説明

ナビゲーション装置及びコンピュータプログラム

【課題】基準位置周辺のオンストリートパーキングを通過する経路の探索を可能としたナビゲーション装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザが基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングへの駐車を希望する場合に、基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングを検索し、検索されたオンストリートパーキングに関する各種情報に基づいてパーキングコスト係数を算出し、算出したパーキングコスト係数に基づいて基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングから通過対象とするオンストリートパーキングを選択し、選択されたオンストリートパーキングを備える道路を通過する経路を探索するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに案内する経路の探索を行うナビゲーション装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に案内経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、運転者を所望の目的地まで確実に案内するようになっている。そして、かかるナビゲーション装置の中には、自車の現在位置の周囲や目的地周辺にある駐車場を案内する機能を持つものもある。
【0003】
例えば、特開2001−349740号公報には、駐車場に関するデータから利用者が入力した目的地もしくは近傍の駐車場を検索し、その検索結果の中から所定の日時に営業している駐車場、利用者の車両の車幅、車高、車種の条件に合致する駐車場を表示したり、駐車場の混雑情報や空き情報を取得したりして、利用者の希望に応じた駐車場を表示する技術が記載されている。また、自車位置から表示した駐車場までの経路を探索し、探索された経路をディスプレイに表示する技術についても記載されている。
【特許文献1】特開2001−349740号公報(第6頁〜第7頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記した特許文献1に記載された技術では、オフロードの所定エリア内に形成された駐車場までの経路を探索対象としている。しかしながら、駐車場にはオフロードに形成される駐車場以外にも、オンロードに形成される所謂オンストリートパーキング(路上駐車場)がある。
【0005】
このオンストリートパーキングは、道路に沿ってオンロードに形成された駐車場である。オンストリートパーキングは、特に欧米の都市に多く見られ、オンストリートパーキングに駐車することは一般化している。
【0006】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された技術では、上記のオンストリートパーキングを考慮して経路の探索が行われていなかった。ここで、オンストリートパーキングで駐車を行う場合には、ユーザはオフロードの駐車場で駐車を行う場合のように駐車場内に進入してから駐車スペースを探すのではなく、目的地までの経路を走行しつつ空きスペースを探す必要が有る。
従って、ユーザがオンストリートパーキングで駐車可能なスペースを探しながら目的地へと走行する際において、最後に空きスペースのあったオンストリートパーキングを通り過ごしてしまった場合には、目的地に到達した後に、再び通り過ごしたオンストリートパーキングまで引き返す必要が生じる。更に、その場合において、特に一方通行の道路を走行していた場合には、引き返すのに相当の時間が必要となる。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、基準位置周辺のオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路の探索を可能としたナビゲーション装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係るナビゲーション装置(1)は、基準位置を取得する基準位置取得手段(13)と、前記基準位置取得手段によって取得された基準位置の周辺にあるオンストリートパーキングを検索するオンストリートパーキング検索手段(13)と、前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索する経路探索手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「オンストリートパーキング」とは、オンロードに形成される駐車場のことをいい、パーキングベイ、パーキングゾーン、路面駐車場、路上駐車場、路肩駐車場、時間制限駐車区間とも呼ばれる。
【0009】
また、請求項2に係るナビゲーション装置(1)は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記形路探索手段(13)は、前記基準位置から前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係るナビゲーション装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングに関するパーキング情報を取得する情報取得手段(13)を有し、前記経路探索手段(13)は、前記情報取得手段により取得したパーキング情報に基づいて前記オンストリートパーキング検索手段により検索された前記オンストリートパーキングの内から所定数のオンストリートパーキングを選択する選択手段(13)を備え、前記選択手段によって選択されたオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係るナビゲーション装置(1)は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記選択手段(13)は、前記基準位置からオンストリートパーキングまでの距離に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係るナビゲーション装置(1)は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記選択手段(13)は、オンストリートパーキングの利用料金に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係るナビゲーション装置(1)は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記選択手段(13)は、オンストリートパーキングの駐車可能距離に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係るナビゲーション装置(1)は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記選択手段(13)は、オンストリートパーキングの連続性に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする。
尚、「オンストリートパーキングの連続性」とは複数のリンクに跨ってオンストリートパーキングが連続して設置されているか否かを特定する情報をいう。
【0015】
また、請求項8に係るナビゲーション装置(1)は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、前記選択手段は、オンストリートパーキングの空車確率に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする。
尚、「空車確率」とはオンストリートパーキングが備える駐車スペースの内、空きスペースのある割合をいう。
【0016】
また、請求項9に係るナビゲーション装置(1)は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のナビゲーション装置において、前記経路探索手段により探索された経路上にあるオンストリートパーキングの内、該経路に沿って自車が最初に通過する道路に形成されたオンストリートパーキングを特定する特定手段(13)と、自車の現在位置から前記特定手段によって特定されたオンストリートパーキングまでの経路を探索する基礎経路探索手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0017】
更に、請求項10に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、基準位置を取得する基準位置取得機能(S31)と、前記基準位置取得機能によって取得された基準位置の周辺にあるオンストリートパーキングを検索するオンストリートパーキング検索機能(S12〜S16)と、前記オンストリートパーキング検索機能によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索する経路探索機能(S33)と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
前記構成を有する請求項1に記載のナビゲーション装置によれば、ユーザが基準位置周辺のオンストリートパーキングへ車両を駐車するに際して、適当な駐車対象となるオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路の探索を行うことができる。従って、旅行者等の土地鑑の無いユーザがオンストリートパーキングに駐車する場合であっても、迅速に適当なオンストリートパーキングへ駐車を行わせることができる。
【0019】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、基準位置から走行を開始した際において、オンストリートパーキングを備えた道路を通過する適切な経路を探索することが可能となる。従って、自車の走行開始位置に応じた経路の探索が可能となる。
【0020】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、オンストリートパーキングに関する情報に基づいて、多数あるオンストリートパーキングの内、ユーザにとって駐車をするのに適当なオンストリートパーキングを備えた道路を優先して通過する経路を探索することが可能となる。従って、複雑な駐車条件が設定されていることが多いオンストリートパーキングであっても、ユーザに利用可能で且つ利便性の高いオンストリートパーキングを適切に案内することが可能である。
【0021】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、基準位置に近いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザはより目的地に近いオンストリートパーキングに駐車することが可能となる。
【0022】
また、請求項5に記載のナビゲーション装置によれば、利用料金の安いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザはより利用料金の安いオンストリートパーキングに駐車することが可能となる。
【0023】
また、請求項6に記載のナビゲーション装置によれば、駐車可能距離の長いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを案内することが可能となる。
【0024】
また、請求項7に記載のナビゲーション装置によれば、複数のリンクに跨って連続して設置されたオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを案内することが可能となる。
【0025】
また、請求項8に記載のナビゲーション装置によれば、空車確率の高いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを案内することが可能となる。
【0026】
また、請求項9に記載のナビゲーション装置によれば、自車の現在位置から設定された案内経路上にあるオンストリートパーキングの内、案内経路に沿って自車が最初に通過する道路に形成されたオンストリートパーキングを特定し、自車の現在位置から特定されたオンストリートパーキングまでの経路について新たに探索することができる。それによって、案内経路上に自車が存在しない場合であっても、現在位置からのオンストリートパーキングを備える道路を通過する経路を案内することが可能となる。
【0027】
更に、請求項10に記載のコンピュータプログラムによれば、基準位置周辺のオンストリートパーキングへ車両を駐車するに際して、適当な駐車対象となるオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路の探索をコンピュータに実行させることができる。従って、旅行者等の土地鑑の無いユーザがオンストリートパーキングに駐車する場合であっても、迅速に適当なオンストリートパーキングへ駐車を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係るナビゲーション装置について具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0029】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(基準位置取得手段、オンストリートパーキング検索手段、経路探索手段、情報取得手段、選択手段、特定手段、基礎経路探索手段)13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、地図情報や案内経路及びオンストリートパーキングに関する各種情報を出力する情報出力部15と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール16と、から構成されている。
【0030】
ここで、以下にオンストリートパーキングについて図2を用いて簡単に説明する。オンストリートパーキングとはオンロードに形成される駐車場のことをいう。図2には、片側一車線の道路に沿って路側帯に形成されたオンストリートパーキング4を示す。図2に示すように、オンストリートパーキング4を備える道路では、白線等の境界線5によって車両2が走行する走行エリア6と駐車可能スペース7、8とが区分される。即ち、境界線5によって囲まれた領域がオンストリートパーキング4の駐車可能スペース7、8となる。また、図2に示すオンストリートパーキング4では、左右の路側帯にそれぞれ駐車可能スペース7、8が形成されているが、いずれか一方のみの路側帯に形成してもよい。
また、駐車可能スペース7、8の近傍にはパーキングメータ9が設置されている。オンストリートパーキング4の利用者は、車両2を駐車可能スペース7、8に駐車した後に、パーキングメータ9に所定額の硬貨を入れることにより駐車券を入手する。そして、入手した駐車券を駐車した車両2に載置することにより、オンストリートパーキング4での所定時間の駐車が可能となる。
尚、オンストリートパーキングは、パーキングベイ、パーキングゾーン、路面駐車場、路上駐車場、路肩駐車場、時間制限駐車区間とも呼ばれる。
【0031】
そして、上記ストリートパーキングでは、従来において以下の問題が生じていた。
第1にオンストリートパーキングは道路に沿って形成される特性を有する。従って、オンストリートパーキングへ到る経路を探索する場合には、オフロードに点状に形成される他の駐車場とは異なり、車両の進行方向やオンストリートパーキングを備えるリンクのリンク形状等についても考慮して経路を探索する必要がある。
第2に、オンストリートパーキングはオフロードに形成される他の駐車場と比較して駐車条件が複雑に設定されている場合が多い。例えば、利用可能な時間帯、利用料金、駐車対象車等が予め決められている。従って、旅行者などがオンストリートパーキングで駐車を行う場合には、そのオンストリートパーキングに駐車することが可能か否かを判断することが難しかった。また、どのオンストリートパーキングで駐車をするのが適当であるかを判断することが難しかった。
【0032】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS31、地磁気センサ32、車速センサ33、ステアリングセンサ34、ジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、自車の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ33は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0033】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB22、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0034】
ここで、地図情報DB22は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ24、ノード点に関するノードデータ25、施設に関する施設データ26、経路を探索するための探索データ27、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ17に描画するための画像描画データ等から構成されている。
【0035】
ここで、リンクデータ24としては、道路を構成する各リンクに関してリンク長、リンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0036】
また、ノードデータ25としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0037】
また、施設データ26としては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、オンストリートパーキングを含む駐車場、観光施設、レストラン、サービスエリア等の各種施設に関するデータが記録される。
【0038】
次に、施設データ26の内、特にオンストリートパーキングに関するデータについて図3を用いて説明する。図3は地図情報DB22に記憶されるオンストリートパーキングに関する施設データの一例を示した図である。
図3に示すように、オンストリートパーキングに関する施設データは、オンストリートパーキングを識別する『識別ID』と、オンストリートパーキングを備えるリンクの『リンクID』と、オンストリートパーキングを利用者が利用可能な時間帯である『利用可能時間帯』と、オンストリートパーキングを利用する際に必要な『利用料金』と、オンストリートパーキングの設置場所を示す『位置座標』と、予想される駐車スペースの空き具合を示す『空車確率』と、利用可能な利用者の条件を示す『利用者制限』等から構成される。尚、『利用料金』は、時間帯(例えは、9:00〜12:00、12:00〜21:00)によって利用料金が変化するオンストリートパーキングについては、時間帯毎の利用料金が記憶される。また、『位置座標』はオンストリートパーキングの開始点の座標と終了点の座標がそれぞれ記憶され、オンストリートパーキングがリンクの全長に渡って形成されているときにはそのリンクの両端の座標となる。また、『空車確率』はそのオンストリートパーキングにおける過去の駐車状況から算出される値であり、オンストリートパーキングが備える駐車スペースの内、空きスペースのある割合に相当する。尚、『空車確率』はオンストリートパーキングの現在の駐車状況をセンタから取得し、取得した現在の駐車状況に基づいて算出しても良い。また、過去の駐車スペースの空き情報を曜日毎及び時間帯毎に累積記憶し、累積された空き情報の統計結果に基づいて曜日毎及び時間帯毎の『空車確率』を算出し、記憶するようにしても良い。また、『利用者制限』には、制限無し、住民専用、障害者専用等の複数種類の条件がある。
【0039】
例えば、図3に示す施設データでは、オンストリートパーキング「A」に関する情報として、ID:000001のリンクに(x1,y1)〜(x2,y2)の範囲で設置され、利用者制限無く0:00〜24:00まで無料で利用でき、空車確率が0.42であることが記憶される。また、オンストリートパーキング「B」に関する情報として、ID:002468のリンクに(x3,y3)〜(x4,y4)の範囲で設置され、利用者制限無く0:00〜24:00まで700円/60分で利用でき、空車確率が0.45であることが記憶される。同様にして、他のオンストリートパーキングに関する情報も記憶されている。
【0040】
また、探索データ27としては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータが記録されている。具体的には、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路網を構成する各リンクを走行する際のコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ17の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
ここで、ノードコストは交差点に対応するノードに対して基本的に算出され、交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)、信号機の有無、車線数等によって、その値が算出される。
一方、リンクコストは、道路網を構成する各リンクに対して算出され、各リンクのリンク長、オンストリートパーキングの有無(オンストリートパーキングを備える場合には更にその駐車条件等)、道路属性、道路種別、道路幅、車線数等によって、その値が算出される。
【0041】
以下には、特にオンストリートパーキングを備えたリンクのリンクコストの算出方法について説明する。
ここで、道路網を構成する各リンクの内、オンストリートパーキングを備えたリンクは、基準位置(現在位置や設定した目的地等)の周辺に位置するオンストリートパーキングを巡回する経路の探索を行う場合において、道路属性、道路種別、道路幅、車線数等によって規定された通常のコスト係数に加えて、オンストリートパーキングに関する情報に基づいて算出されたパーキングコスト係数を用いてリンクコストが算出される。即ち、リンク長等によって算出された基本のリンクコストに対して、通常のコスト係数に加えて、パーキングコスト係数を更に乗じることによりリンクコストが算出される。尚、パーキングコスト係数は、以下の式(1)により算出される。
パーキングコスト係数=「料金のコスト係数」×「距離のコスト係数」×(1−「空車確率」)・・・・(1)
【0042】
ここで、「料金のコスト係数」はオンストリートパーキングを利用する際に必要な利用料金に基づいて決定される。図4は利用料金に基づくコスト係数決定テーブルを示した図である。具体的には、図4に示すように利用料金が“無料”であればコスト係数は0.5に決定され、利用料金が“1円〜10円/分”であればコスト係数は0.6に決定され、利用料金が“11円〜20円/分”であればコスト係数は0.7に決定され、利用料金が“21円〜30円/分”であればコスト係数は0.8に決定され、利用料金が“31円〜50円/分”であればコスト係数は0.9に決定され、利用料金が“51円/分以上”であればコスト係数は1.0に決定される。
【0043】
また、「距離のコスト係数」はオンストリートパーキングの巡回を開始する基準位置からの距離に基づいて決定される。図5は基準位置からの距離に基づくコスト係数決定テーブルを示した図である。具体的には、図5に示すように基準位置からの距離が“0〜50m”であればコスト係数は0.6に決定され、基準位置からの距離が“51m〜100m”であればコスト係数は0.7に決定され、基準位置からの距離が“101m〜500m”であればコスト係数は0.8に決定され、基準位置からの距離が“501m〜1000m”であればコスト係数は0.9に決定され、基準位置からの距離が“1001m以上”であればコスト係数は1.0に決定される。
尚、基準位置からの距離は、基準位置の位置座標とオンストリートパーキングの位置座標(図3参照)との間の直線距離に基づいて算出される。また、直線距離ではなく、リンク形状に沿った道なり距離としても良い。
【0044】
また、パーキングコスト係数については、以下の式(2)により算出しても良い。
パーキングコスト係数=α×C1×β×C2×γ×C3×ε×C4・・・・(2)
(α、β、γ、ε:調整係数)
ここで、C1は基準位置からの距離に基づく係数である。具体的には、先ず、基準位置周辺(基準位置から所定距離以内、或いは基準位置のある探索ブロックを含む周辺の探索ブロック内)に位置するオンストリートパーキングを対象として、基準位置から近い順にオンストリートパーキングに番号(1、2、3、・・・n)を付与する。そして、i番目のオンストリートパーキングについて、係数C1(i)=i/nと規定する。
また、C2は駐車可能な距離、即ちオンストリートパーキングの長さに基づく係数である。具体的には、先ず、基準位置周辺に位置するオンストリートパーキングを対象として、オンストリートパーキングの長さLを算出し、最小値Lminを検出する。尚、オンストリートパーキングの長さLは、オンストリートパーキングが設置されたリンクのリンク形状及びオンストリートパーキングの位置座標(図3参照)に基づいて算出される。そして、i番目のオンストリートパーキングの長さをL(i)とすると、i番目のオンストリートパーキングについて、係数C2(i)=1/(L(i)/Lmin)と規定する。
また、C3は空車確率に基づく係数である。具体的には、i番目のオンストリートパーキングの空車確率をP(i)とすると、i番目のオンストリートパーキングについて、係数C3(i)=1−P(i)と規定する。
また、C4はオンストリートパーキングの連続性、即ち複数のリンクに跨って連続して設置される数に基づく係数である。具体的には、i番目のオンストリートパーキングを備えるリンクに進入するリンクが、更にオンストリートパーキングを備える場合には、C4(i)=KB、(0<KB<1)とする。一方、i番目のオンストリートパーキングを備えるリンクに進入するリンクが、オンストリートパーキングを備えていない場合には、C4(i)=1とする。更に、i番目のオンストリートパーキングを備えるリンクから退出するリンクが、更にオンストリートパーキングを備える場合には、C4(i)=KA、(0<KB<1)とする。一方、i番目のオンストリートパーキングを備えるリンクから退出するリンクが、オンストリートパーキングを備えていない場合には、C4(i)=1とする。そして、i番目のオンストリートパーキングについて、係数C4(i)=C4(i)×C4(i)と規定する。
【0045】
そして、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、出発地から目的地までの経路を探索する以外に、所定の基準位置(現在位置や設定された目的地等)から周辺のオンストリートパーキングを巡回する経路を探索する構成を有する。
ここで、出発地から目的地までの経路を探索するに当たっては、ナビゲーションECU13はダイクストラ法により出発地から目的地までの全経路に対して探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を加算した値、即ち、コスト加算値を算出する。そして、コスト加算値が最小になる経路を案内経路として設定する。
一方、基準位置から周辺のオンストリートパーキングを巡回する経路を探索するに当たっては、ナビゲーションECU13は基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングの内から所定数のオンストリートパーキングを選択し、ダイクストラ法により、前記選択された全オンストリートパーキングを巡回する全経路に対して探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を加算した値、即ち、コスト加算値を算出する。そして、コスト加算値が最小になる経路を案内経路として設定する。
【0046】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングを巡回する案内経路を設定する案内経路設定処理、設定された案内経路に従って走行を案内する走行案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データや後述のオンストリートパーキングリスト(図9)等が記憶されるRAM42、ナビゲーション装置1の備える各種装置の制御用のプログラムを記録するROM43、ROM43から読み出したプログラムのほか、案内経路設定処理プログラム(図6参照)、走行案内処理プログラム(図11参照)等を記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0047】
操作部14は、案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ17の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、操作部14は案内開始地点としての出発地の入力にも用いられる場合がある。
【0048】
また、情報出力部15は、液晶ディスプレイ17やスピーカ18等によって構成され、ユーザに対して自車周辺の地図や案内経路及びオンストリートパーキングに関する各種情報を出力する。
【0049】
ここで、情報出力部15を構成する液晶ディスプレイ17は、車両の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等を表示する。また、自車がオンストリートパーキングに接近した際には、オンストリートパーキングに関する情報(オンストリートパーキングの設置位置、利用可能時間帯、利用料金、空車確率、利用者制限等)を表示する。
【0050】
また、情報出力部15を構成するスピーカ18は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0051】
また、通信モジュール16は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0052】
また、ナビゲーション装置1にはDVDドライブを設けても良い。DVDドライブは、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB22の更新等が行われる。
【0053】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する案内経路設定処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係る案内経路設定処理プログラムのフローチャートである。ここで、案内経路設定処理プログラムはユーザによって所定の操作が行われた際に実行され、走行開始地点の周辺に位置するオンストリートパーキングを巡回する経路を探索し、案内経路に設定するプログラムである。尚、以下の図6〜図8にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0054】
先ず、案内経路設定処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はオンストリートパーキングの巡回を開始する基準位置を取得する。尚、基準位置としては、自車の現在位置、ユーザが設定した目的地、ユーザが設定した目的地に最も近いオンストリートパーキング等の任意の地点を適用することが可能である。但し、以下では一例として基準位置をユーザの設定した目的地に適用した場合について説明することとする。従って、前記S1では、ナビゲーション装置1で現在設定されている目的地を取得する処理を行う。尚、上記S1が基準位置取得手段の処理に相当する。
【0055】
尚、前記S1の処理の後に案内を希望するオンストリートパーキングをユーザに選択させる処理を追加しても良い。例えば、液晶ディスプレイ17に基準位置周辺にあるオンストリートパーキングの一覧を表示し、ユーザに選択させるように構成する。
また、案内を希望するオンストリートパーキングの条件を予めユーザに選択させるようにしても良い。例えば、液晶ディスプレイ17に「有料」、「無料」、「どちらでも良い」等の複数の条件を表示し、ユーザに選択させるように構成する。
【0056】
その後、S2においてCPU41は、後述の駐車場検索処理(図7)を実行する。尚、駐車場検索処理は、前記S1で取得した目的地の周辺に位置するオンストリートパーキング(図2参照)を検索し、駐車をするのに適したオンストリートパーキングであるか否かを判定する処理である。
【0057】
続いて、S3においてCPU41は、後述の経路探索処理(図8)を実行する。尚、経路探索処理は、ダイクストラ法を用い、目的地から走行を開始して駐車をするのに適したストリートパーキングを巡回する経路を探索し、各経路のコスト加算値を算出する処理である。
【0058】
次に、S4においてCPU41は、前記S3の経路探索処理の結果に基づいて、コスト加算値が最小になる経路を特定し、案内経路に設定する。尚、コスト加算値の少ない複数の経路を案内経路の候補として液晶ディスプレイ17に表示し、ユーザに選択された経路を案内経路に設定しても良い。
【0059】
次に、上記S2の駐車場検索処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は駐車場検索処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0060】
先ず、S11においてCPU41は、RAM42に格納されたオンストリートパーキングリストを初期化する。尚、オンストリートパーキングリストは、図9に示すように、地図情報DB22の施設データ26に記憶された各オンストリートパーキングについて、今回の経路探索に用いる為の各種情報が記憶される記憶領域である。
【0061】
次に、S12においてCPU41は、地図情報DB22の施設データ26からオンストリートパーキングを検索し、以下のS13〜S15の処理の対象とするオンストリートパーキングに関する情報を取得する。
【0062】
そして、S13でCPU41は、前記S12で取得されたオンストリートパーキングの位置座標と目的地の位置座標とに基づいて、目的地からオンストリートパーキングまでの直線距離を算出する。尚、直線距離ではなく、リンク形状に沿った道なり距離としても良い。また、駐車スペースへ駐車した場合の徒歩での目的地到達時間(距離)について算出し、後述の走行案内処理プログラム(図11)において案内するようにしても良い。
【0063】
次に、S14においてCPU41は、前記S13で算出した目的地からオンストリートパーキングまでの距離が所定距離以内(例えば2km以内)か否か判定する。そして、目的地からオンストリートパーキングまでの距離が所定距離以内であると判定された場合(S14:YES)には、S15へと移行する。一方、目的地からオンストリートパーキングまでの距離が所定距離以上離れていると判定された場合(S14:NO)には、当該オンストリートパーキングは今回の経路探索に当たって所定条件に適合しないオンストリートパーキングであると判定し、S17へと移行する。尚、S14の処理に代えて、目的地のある探索ブロックを含む周辺の探索ブロック内のオンストリートパーキングであるか否かを判定する処理を行っても良い。
【0064】
S15においてCPU41は、当該オンストリートパーキングのパーキングコスト係数を算出する。尚、パーキングコスト係数については、(A)前記S13で算出した目的地からオンストリートパーキングまでの距離と、(B)オンストリートパーキングの利用料金と、(C)空車確率とに基づいて、上記式(1)により算出される。また、パーキングコスト係数については、(A)前記S13で算出した目的地からオンストリートパーキングまでの距離と、(B)オンストリートパーキングの駐車可能距離と、(C)空車確率と、(D)オンストリートパーキングの連続性とに基づいて、上記式(2)により算出しても良い。
【0065】
続いて、S16でCPU41は、前記S13で算出した目的地からオンストリートパーキングまでの距離と、前記S15で算出したオンストリートパーキングのパーキングコスト係数をオンストリートパーキングリストに記憶する(図9参照)。尚、目的地からオンストリートパーキングまでの距離が所定距離以上離れていると判定されたオンストリートパーキングについては、パーキングコスト係数として「1」を記憶する。また、目的地からオンストリートパーキングまでの距離が所定距離以内であっても、利用者制限のあるオンストリートパーキングや、到着予定時刻が利用可能時間帯以外であるオンストリートパーキングについては、パーキングコスト係数として「1」を記憶する。例えば、図9ではオンストリートパーキング「X」は利用者制限があるので、パーキングコスト係数として「1」を記憶する。
【0066】
次に、S17においてCPU41は、施設データ26に記憶された全オンストリートパーキングについての検索、並びに検索された全オンストリートパーキングを対象とした前記S13〜S16の処理が終了したか否かを判定する。
【0067】
その結果、施設データ26に記憶された全オンストリートパーキングについての検索、並びに検索された全オンストリートパーキングを対象とした前記S13〜S16の処理が終了したと判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。一方、施設データ26に記憶された全オンストリートパーキングについての検索、並びに検索された全オンストリートパーキングを対象とした前記S13〜S16の処理が終了していないと判定された場合(S17:NO)にはS12へと戻り、新たに処理対象とするオンストリートパーキングを検索する。尚、上記S12〜S16がオンストリートパーキング検索手段の処理に相当する。
【0068】
S18においてCPU41は、前記オンストリートパーキングリストに記憶されたオンストリートパーキングのパーキングコスト係数を参照し、パーキングコスト係数が所定条件を満たしているか否か判定する。ここで、所定条件としては、パーキングコスト係数が所定値以下(例えば0.3以下)であることを条件とする。尚、所定条件としては、パーキングコスト係数が小さい方から順に所定順位以内であることや、目的地からの距離が短い方から順に所定順位以内であることや、空車確率が高い方から順に所定順位以内であることや、利用者制限(図3参照)が無いことを条件としても良い。
【0069】
そして、パーキングコスト係数が所定条件に適合すると判定された場合(S18:YES)には、当該オンストリートパーキングを今回の経路探索に当たって所定条件に適合したオンストリートパーキング(以下、条件適合オンストリートパーキングともいう)であると判定し、当該オンストリートパーキングの案内対象駐車場フラグを「1」に設定する(S19)。その後、S22へと移行する。
【0070】
一方、パーキングコスト係数が所定条件に適合しないと判定された場合(S18:NO)には、当該オンストリートパーキングを今回の経路探索に当たって所定条件に適合しないオンストリートパーキングであると判定し、当該オンストリートパーキングの案内対象駐車場フラグを「0」に設定する(S20)。その後、更に、当該オンストリートパーキングのパーキングコスト係数を「1」に変更し、オンストリートパーキングリストを更新する。その結果、パーキングコスト係数が所定条件を満たしていないリンクについては、リンクコストの算出の際にオンストリートパーキングを備えていないリンクと同様に扱われる。
例えば、図9ではオンストリートパーキング「B」はパーキングコスト係数が0.3より大きく、所定条件を満たしていないので、パーキングコスト係数が「1」に変更される。尚、上記S18〜S21がパーキング特定手段の処理に相当する。
【0071】
その後、S22でCPU41は、前記オンストリートパーキングリストに記憶された全オンストリートパーキングに対して前記S18〜S21の処理が終了したか否かを判定する。そして、全オンストリートパーキングを対象としてS19〜S21の処理が終了していないと判定された場合(S22:NO)にはS18へと戻り、新たなオンストリートパーキングを対象としてS18以降の処理を実行する。一方、全オンストリートパーキングを対象としてS19〜S21の処理が終了したと判定された場合(S22:YES)には当該駐車場検索処理を終了し、S5へと移行する。尚、上記S12〜S22が情報取得手段の処理に相当する。
【0072】
次に、上記S3の経路探索処理のサブ処理について図8に基づき説明する。図8は経路探索処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0073】
先ず、S31においてCPU41は、リンク長に基づいて特定されたリンクコストに対して各種コスト係数を乗じ、探索対象とする各リンクについて目的地から離れる方向におけるリンクコストをそれぞれ算出する。尚、S31において乗じられるコスト係数は、オンストリートパーキングを備えていないリンクについては、道路属性、道路種別、道路幅、車線数等によって規定された通常のコスト係数である。また、オンストリートパーキングを備えているリンクについては、上記通常のコスト係数に加えて前記駐車場検索処理(図7)で算出されたパーキングコスト係数についても乗じられる。
尚、上記本実施形態では、リンクコストにパーキングコスト係数をそのまま乗じているが、算出されたリンクコストが小さくなりすぎる場合には、一律または項目に応じた補正係数をパーキングコスト係数に乗じても良い。それによって、より適切なルート探索がなされるよう調整することが可能となる。
【0074】
その結果、今回の経路探索に当たって条件適合オンストリートパーキングを備えたリンク、即ち、パーキングコスト係数が前記S18の所定条件(例えば0.3以下)に適合し、案内対象駐車場フラグが「1」に設定されているオンストリートパーキングを備えたリンクについては、リンクコストが他のリンクと比較して小さい値に算出される。従って、後述のS32及びS33で目的地までの経路の探索を行った際に、当該リンクを含む案内経路が設定される可能性が高くなる。
【0075】
次に、S32においてCPU41は、目的地の周辺に位置するオンストリートパーキングの内、通過対象とするオンストリートパーキングを所定数(例えば3箇所)選択する。尚、通過対象とするオンストリートパーキングの選択基準としては、前記S31で算出されたリンクコストを参照し、今回の経路探索に当たって所定条件に適合するオンストリートパーキングの内、オンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストが小さい順に3箇所選択することとする。尚、他の選択基準としては、パーキングコスト係数が小さい方から順に所定順位以内(例えば3位以内)であることや、目的地からの距離が短い方から順に所定順位以内であることや、空車確率が高い方から順に所定順位以内であることや、連続性が高い順に所定順位以内であることを基準としても良い。また、上記S32が選択手段の処理に相当する。
【0076】
続いて、S33でCPU41は、前記S31で算出されたリンクコストを用いて、基準位置(設定された目的地又は現在位置)から前記S32で選択された所定数のオンストリートパーキングを巡回する経路、即ち選択されたオンストリートパーキングを備える道路を通過する経路を探索する。尚、オンストリートパーキングを巡回する経路を探索するに当たっては、ナビゲーションECU13はダイクストラ法により、設定された目的地から走行を開始して前記S32で選択された各オンストリートパーキングを備える道路を通過する全経路に対して探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を加算した値、即ち、コスト加算値を算出する。尚、ダイクストラ法による経路探索については、既に公知の技術であるので、その説明は省略する。
【0077】
その後、CPU41は、前記S33の経路探索の結果を参照し、パーキングコスト係数が最も小さいオンストリートパーキングを最初に通過し、且つコスト加算値が最小となる経路を案内経路として設定する(S4)。尚、オンストリートパーキングを通過する順序については問わずにコスト加算値が最小となる経路を案内経路として設定するようにしても良い。また、コスト加算値が最小となる経路ではなく、トータルの実走行距離が一番短い経路を案内経路として設定しても良い。また、駐車可能な距離が最も長いオンストリートパーキングを最初に通過する経路や、空車確率が最も高いオンストリートパーキングを最初に通過する経路や、連続性があって且つ基準位置に最も近いオンストリートパーキングを最初に通過する経路を案内経路として設定しても良い。更に、複数の経路の候補を液晶ディスプレイ17に表示し、その後にユーザによって選択された経路を案内経路として設定しても良い。尚、上記S33が経路探索手段の処理に相当する。
【0078】
また、CPU41は、自車の現在位置が前記S4で設定された案内経路上に無い場合には、自車の現在位置から設定された案内経路上にあるオンストリートパーキングの内、案内経路に沿って自車が最初に通過する道路に形成されたオンストリートパーキングを特定し(特定手段)、自車の現在位置から特定されたオンストリートパーキングまでの経路について新たに探索する(基礎経路探索手段)ように構成する。そして、新たに探索された経路を一旦設定された案内経路に追加することにより、案内経路を修正する。それによって、案内経路上に自車が存在しない場合であっても、現在位置から基準位置周辺にある複数のオンストリートパーキングを巡回(通過)する経路を案内することが可能となる。
【0079】
ここで、図10は、ナビゲーション装置1に設定された目的地52を基準位置として、周囲のオンストリートパーキングを巡回する経路の探索を行った場合に設定される案内経路の例である。
図10に示す目的地52の周辺には、6箇所のオンストリートパーキング「A」〜「F」がある。また、オンストリートパーキング「A」〜「F」の内、オンストリートパーキング「A」、「C」、「D」、「F」は経路探索に当たって所定条件に適合するオンストリートパーキングである。従って、オンストリートパーキング「A」を備えるリンク54と、オンストリートパーキング「C」を備えるリンク55と、オンストリートパーキング「D」を備えるリンク56と、オンストリートパーキング「F」を備えるリンク57は、他のリンクよりパーキングコスト係数に従ってリンクコストが低く算出される。そして、経路探索に当たって所定条件に適合する各オンストリートパーキングの内、特に、オンストリートパーキング「A」、「C」、「D」は、前記S32で通過対象に選択されたオンストリートパーキングである。
【0080】
そして、図10に示すように案内経路53として、リンク54とリンク55とリンク56を走行する経路が設定された場合には、案内経路53はオンストリートパーキング「A」とオンストリートパーキング「C」とオンストリートパーキング「D」とを巡回する経路となる。従って、ユーザは目的地へと到着した後に目的地周辺にあるオンストリートパーキングへの駐車を希望する際に、駐車をするのに適当なオンストリートパーキングであるオンストリートパーキング「A」とオンストリートパーキング「C」とオンストリートパーキング「D」とを、案内経路53に従って効率よく巡回することができる。そして、各オンストリートパーキングの空き状況を確認し、空きスペースがある場合には駐車を行うことができる。
【0081】
続いて、ナビゲーション装置1においてCPU41が実行する走行案内処理プログラムについて図11に基づき説明する。図11は本実施形態に係る走行案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行案内処理プログラムは前記案内経路設定処理プログラム(図6〜図8)で設定された案内経路に従って、オンストリートパーキングを巡回する走行を案内するプログラムである。尚、以下の図11にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0082】
先ず、走行案内処理プログラムではS41において、CPU41は前記案内経路設定処理プログラム(図6〜図8)で設定された案内経路上に位置する全てのオンストリートパーキングを特定する。そして、特定された各オンストリートパーキングに関する情報を地図情報DB22に記憶された施設データ26(図3参照)やオンストリートパーキングリスト(図9)から取得する。そして、取得した情報に基づいて通過リストを作成する。
【0083】
ここで、図13は前記S41で作成される通過リストの一例を示した図である。図13では3箇所のオンストリートパーキングを通過する案内経路が設定された場合に作成される通過リストである。
図13に示すように、通過リストに記憶されるオンストリートパーキングに関する情報は、案内経路に沿って走行した際に通過する『通過順』と、『基準位置からの距離』と、オンストリートパーキングの設置場所を示す『位置座標』と、オンストリートパーキングを利用者が利用可能な時間帯である『利用可能時間帯』と、オンストリートパーキングを利用する際に必要な『利用料金』と、予想される駐車スペースの空き具合を示す『空車確率』と、利用可能な利用者の条件を示す『利用者制限』等から構成される。
【0084】
次に、S42でCPU41は自車の現在位置を取得する。具体的には、先ずGPS31によって自車の現在位置を検出し、地図情報DB22に記憶された地図情報から自車の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理を行う。
【0085】
続いて、S43においてCPU41は、前記S42で取得した自車の現在位置と、液晶ディスプレイ17に表示する地図の縮尺設定と、前記S41で作成した通過リストに基づいて、液晶ディスプレイ17に表示する地図画面内に位置するオンストリートパーキングを特定する。そして、特定したオンストリートパーキングに関する情報を通過リストから抽出する。
【0086】
その後、S44においてCPU41は、前記S43で抽出したオンストリートパーキングに関する情報とともに自車位置周辺の地図画像を液晶ディスプレイ17に描画する。それによって、案内経路に沿って運転者の走行を案内する走行案内画面が液晶ディスプレイ17に表示される。
【0087】
ここで、図13は本実施形態に係るナビゲーション装置1において液晶ディスプレイ17に表示される走行案内画面61を示した図である。
図13に示すように、走行案内画面61は、自車の現在位置を示す自車位置マーク62と、地図画像上で案内経路に沿って描かれた案内経路線63と、オンストリートパーキングの設置位置を示すパーキングマーク64〜68と、オンストリートパーキングに関する情報を示す情報ウィンドウ69、70とから構成される。
【0088】
また、パーキングマーク64〜68の内、前記案内経路設定処理プログラム(図6〜図8)において、今回の経路探索に当たって所定条件に適合すると判定されたオンストリートパーキングに対応するマークについては、赤色で強調表示する。一方、他のオンストリートパーキング(即ち、所定条件に適合しないと判定されたオンストリートパーキング)に対応するマークについては、青色で表示する。尚、案内対象駐車場フラグにおいてフラグが「1」に設定されているオンストリートパーキングが「所定条件に適合する駐車場」として案内され、「0」に設定されているオンストリートパーキングが「所定条件に適合しない駐車場」として案内される。
【0089】
また、情報ウィンドウ69、70は地図上に表示されたオンストリートパーキングの内、特に案内経路上に位置するオンストリートパーキングに関する情報が文章で表示される。尚、表示される内容としては、案内経路に沿って残り何件のオンストリートパーキングがあるかを示す情報と、基準位置からの距離に関する情報と、利用料金に関する情報と、利用可能時間帯に関する情報と、空車確率に関する情報と、利用者制限に関する情報がある。
また、上記情報の他に、基準位置からの直線距離情報、駐車スペースへ駐車した場合の徒歩での基準位置までの到達時間(距離)について案内するようにしても良い。
更に、GPS31により現在の時刻を取得し、現在の時刻に対応する空車確率や現在時刻に対応する利用料金を案内するようにしても良い。また、駐車条件の変更があるオンストリートパーキングについては、例えば、「現在時刻から10分後に無料になります。」のように、オンストリートパーキングの情報に基づいて、現在時刻に応じた案内をするようにしても良い。
【0090】
従って、ユーザは液晶ディスプレイ17に表示された走行案内画面61を参照することによって、案内経路上に位置するオンストリートパーキングに関する各種情報を把握することが可能となる。特に、パーキングマーク64〜68の表示位置と長さから、該当するオンストリートパーキングの設置されたリンクと、オンストリートパーキングの長さ(即ち、駐車可能距離)を把握することが可能となる。また、パーキングマーク64〜68の表示色を参照することによって、該当するオンストリートパーキングが条件適合オンストリートパーキングか否かを容易に把握することが可能となる。
【0091】
次に、S45においてCPU41は、ナビゲーション装置1が2画面表示モードに設定されているか否かを判定する。そして、2画面表示モードに設定されていると判定された場合(S45:YES)には、S46へと移行する。一方、通常の画面表示モードに設定されていると判定された場合(S45:NO)には、S48へと移行する。
【0092】
S46においてCPU41は、通過リストから案内経路に沿ってこれから通過する3箇所のオンストリートパーキングに関する情報を抽出する。そして、S47においてCPU41は、前記S46で抽出した情報を液晶ディスプレイ17の右側の画面にリスト状に表示する。
【0093】
ここで、図14は本実施形態に係るナビゲーション装置1において2画面表示モード中に液晶ディスプレイ17に表示される走行案内画面71を示した図である。
図14に示すように、走行案内画面71は、自車周辺の地図画像を表示する左画面72と、これから通過する3箇所のオンストリートパーキングに関する情報を表示する右画面73の2つの表示領域から構成される。尚、左画面72については情報ウィンドウ69、70が表示されないことを除いて、既に説明した走行案内画面61(図13)と同一であるので、その説明は省略する。
【0094】
右画面73には、3個の情報表示スペース74〜76が設けられている。そして、各情報表示スペース74〜76には、案内経路上に位置するオンストリートパーキングの内、特に車両がこれから通過する3箇所のオンストリートパーキングに関する情報が文章で表示される。尚、最も下段に位置する情報表示スペース74には、現在の自車位置から案内経路に沿って最も近い位置にあるオンストリートパーキングに関する情報が表示される。また、中段に位置する情報表示スペース75には、現在の自車位置から案内経路に沿って2番目に近い位置にあるオンストリートパーキングに関する情報が表示される。また、上段に位置する情報表示スペース76には、現在の自車位置から案内経路に沿って3番目に近い位置にあるオンストリートパーキングに関する情報が表示される。尚、情報表示スペース74〜76に表示される内容は、図13に示す情報ウィンドウ69、70に表示される内容と同様である。
【0095】
従って、ユーザは液晶ディスプレイ17に表示された走行案内画面71を参照することによって、案内経路上に位置するオンストリートパーキングに関する各種情報をより容易に把握することが可能となる。
【0096】
その後、S48においてCPU41は、自車が走行を終了したか否かを判定する。尚、走行を終了した場合とは、例えば、同一地点に所定時間以上停車をした場合や、オンストリートパーキングを備えるリンクでACCがオフされた場合等が該当する。そして、走行を終了したと判定された場合(S48:YES)には、当該走行案内処理プログラムを終了する。一方、自車が走行を終了していないと判定された場合(S48:NO)にはS42へと戻り、継続して走行の案内を行う。
【0097】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による経路探索方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザが基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングへの駐車を希望する場合に、基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングを検索し(S12)、検索されたオンストリートパーキングに関する各種情報に基づいてパーキングコスト係数を算出し(S15)、算出したパーキングコスト係数に基づいて基準位置の周辺に位置するオンストリートパーキングから通過対象とするオンストリートパーキングを選択し(S32)、選択されたオンストリートパーキングを備える道路を通過する経路を探索する(S33)ので、基準位置周辺のオンストリートパーキングへ車両を駐車するに際して、適当な駐車対象となるオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路の探索を行うことができる。従って、旅行者等の土地鑑の無いユーザがオンストリートパーキングに駐車する場合であっても、迅速に適当なオンストリートパーキングへ駐車を行わせることができる。
また、オンストリートパーキングに関する各種情報に基づいて通過対象とするオンストリートパーキングを選択するので、多数あるオンストリートパーキングの内、ユーザにとって駐車をするのに適当なオンストリートパーキングを優先して通過する経路を探索することが可能となる。従って、複雑な駐車条件が設定されていることが多いオンストリートパーキングであっても、ユーザに利用可能で且つ利便性の高いオンストリートパーキングを適切に案内することが可能である。
利用可能時間帯、利用料金、目的地からオンストリートパーキングまでの距離、駐車可能距離、オンストリートパーキングの連続性、空車確率、又は利用者制限に関する情報を用いることによって、多数あるオンストリートパーキングの内、ユーザにとって駐車を行うのに適当なオンストリートパーキングを適切に抽出し、通過対象とすることが可能となる。
また、目的地までの距離が短いオンストリートパーキングほどオンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストを小さくし、該通過対象として選択され易くするので、目的地に近いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザはより目的地に近いオンストリートパーキングに駐車することが可能となる。
また、利用料金が安いオンストリートパーキングほどオンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストを小さくし、該通過対象として選択され易くするので、利用料金の安いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザはより利用料金の安いオンストリートパーキングに駐車することが可能となる。
また、駐車可能距離が長いオンストリートパーキングほどオンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストを小さくし、該通過対象として選択され易くするので、駐車可能距離の長いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを駐車することが可能となる。
また、連続して接続する2以上のリンクにそれぞれオンストリートパーキングを備える場合に、該リンクのリンクコストを小さくし、該通過対象として選択され易くするので、複数のリンクに跨って連続して設置されたオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを案内することが可能となる。
また、空車確率が高いオンストリートパーキングほどオンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストを小さくし、該通過対象として選択され易くするので、空車確率の高いオンストリートパーキングを優先して案内経路に含めることが可能となる。従って、ユーザが駐車をすることができる可能性の高いオンストリートパーキングを案内することが可能となる。
更に、オンストリートパーキングに関する各種情報に基づいて、今回の経路探索に当たって所定条件に適合するオンストリートパーキングを特定し(S18〜S21)、特定されたオンストリートパーキングを通過する経路を探索するので、ユーザにとって駐車をするのに適当なオンストリートパーキングを巡回する経路を探索することが可能となる。
【0098】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではオンストリートパーキングの利用料金が有料、無料に関わらず、基準位置周辺(例えば、基準位置を中心とした半径2km以内)に位置する全オンストリートパーキングを巡回対象として経路の探索を行っているが、無料のオンストリートパーキングのみを巡回対象として経路の探索を行っても良い。
【0099】
また、本実施形態では予めオンストリートパーキングを備えるリンクのリンクコストから巡回対象とするオンストリートパーキングを選択し(S32)、その後に選択したオンストリートパーキングを巡回する経路を探索するように構成しているが、経路の探索を行った後に巡回対象とするオンストリートパーキングを選択するようにしても良い。
【0100】
また、パーキングコスト係数はユーザの好みに応じて調整できるようにしても良い。それによって、ユーザ毎に料金、距離等の許容範囲が異なる場合であっても、各ユーザの許容範囲を考慮して、各ユーザの指向に応じた駐車場を経由する案内経路を設定することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態では、前記S32において目的地の周辺に位置するオンストリートパーキングの内、巡回対象とするオンストリートパーキングを所定数(例えば3箇所)選択し、選択された全オンストリートパーキングを巡回する経路を探索するように構成されているが、連続するオンストリートパーキングについては1箇所のオンストリートパーキングとしてカウントするようにしても良い。この場合においては、連続するオンストリートパーキングの開始端と終端を経由する経路を算出する必要がある。
【0102】
また、ユーザによって案内を希望するオンストリートパーキングの条件(例えば、利用力金の上限や、目的地までの直線距離など)を入力させ、入力した情報に基づいて通過対象とするオンストリートパーキングを選択するようにしても良い。
【0103】
また、本実施形態ではオンストリートパーキングに関する情報を液晶ディスプレイ17に表示したマークや文章により案内することとしているが、スピーカから出力する案内音声により案内しても良い。
【0104】
また、オンストリートパーキングに関する情報として、オンストリートパーキングに駐車した後に基準位置まで戻るのに必要な所要時間や、自車の現在位置からの距離、所要時間等を案内しても良い。
【0105】
更に、オンストリートパーキングに関する情報として、オンストリートパーキングの「推奨度」を案内するようにしても良い。ここで、オンストリートパーキングの「推奨度」は、前記S15で算出したパーキングコスト係数に基づいて決定することが望ましい。例えば、パーキングコスト係数が0.2以下であれば該オンストリートパーキングの推奨度を最も高い『1』に決定し、パーキングコスト係数が0.3以下であれば該オンストリートパーキングの推奨度を中程度の『2』に決定し、パーキングコスト係数が0.4以上であれば該オンストリートパーキングの推奨度を最も低い『3』に決定する。
【0106】
また、本実施形態では駐車場としてオンロードに形成されたオンストリートパーキングを案内対象としているが、オフロードに形成された駐車場についても案内対象に含めても良い。例えば、ユーザからオフロードの駐車場に駐車しても良い意思表示があった場合には、オンストリートパーキングのある道路を通過し、且つ基準位置の周辺にあるオフロードの駐車場を経由する経路を設定し、案内するように構成する。また、走行案内画面61、71(図13、図14)においてオフロードの駐車場に関する情報についても表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】片側一車線の道路に沿って路側帯に形成されたオンストリートパーキングの一例を示す。
【図3】地図情報DBに記憶されるオンストリートパーキングに関する施設データの一例を示した図である。
【図4】利用料金に基づくコスト係数決定テーブルを示した図である。
【図5】目的地までの距離に基づくコスト係数決定テーブルを示した図である。
【図6】本実施形態に係る案内経路設定処理プログラムのフローチャートである。
【図7】駐車場検索処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図8】経路探索処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【図9】オンストリートパーキングリストの一例を示した図である。
【図10】出発地から目的地への経路の探索を行った場合に設定される案内経路の例である。
【図11】本実施形態に係る走行案内処理プログラムのフローチャートである。
【図12】通過リストの一例を示した図である。
【図13】本実施形態に係るナビゲーション装置において液晶ディスプレイに表示される走行案内画面を示した図である。
【図14】本実施形態に係るナビゲーション装置において2画面表示モード中に液晶ディスプレイに表示される走行案内画面を示した図である。
【符号の説明】
【0108】
1 ナビゲーション装置
4 オンストリートパーキング
13 ナビゲーションECU
15 液晶ディスプレイ
16 スピーカ
22 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置を取得する基準位置取得手段と、
前記基準位置取得手段によって取得された基準位置の周辺にあるオンストリートパーキングを検索するオンストリートパーキング検索手段と、
前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索する経路探索手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記形路探索手段は、前記基準位置から前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記オンストリートパーキング検索手段によって検索された前記オンストリートパーキングに関するパーキング情報を取得する情報取得手段を有し、
前記経路探索手段は、
前記情報取得手段により取得したパーキング情報に基づいて前記オンストリートパーキング検索手段により検索された前記オンストリートパーキングの内から所定数のオンストリートパーキングを選択する選択手段を備え、
前記選択手段によって選択されたオンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記基準位置からオンストリートパーキングまでの距離に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記選択手段は、オンストリートパーキングの利用料金に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記選択手段は、オンストリートパーキングの駐車可能距離に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記選択手段は、オンストリートパーキングの連続性に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記選択手段は、オンストリートパーキングの空車確率に基づいてオンストリートパーキングを選択することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記経路探索手段により探索された経路上にあるオンストリートパーキングの内、該経路に沿って自車が最初に通過する道路に形成されたオンストリートパーキングを特定する特定手段と、
自車の現在位置から前記特定手段によって特定されたオンストリートパーキングまでの経路を探索する基礎経路探索手段と、を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
コンピュータに搭載され、
基準位置を取得する基準位置取得機能と、
前記基準位置取得機能によって取得された基準位置の周辺にあるオンストリートパーキングを検索するオンストリートパーキング検索機能と、
前記オンストリートパーキング検索機能によって検索された前記オンストリートパーキングを備えた道路を通過する経路を探索する経路探索機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−162569(P2009−162569A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340796(P2007−340796)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】