説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることを課題とする。
【解決手段】ナビゲーション装置10は、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報(例えば、「道路属性情報」および「阻害要因情報」など)を取得する補足情報取得部19aと、補足情報取得部19aによって取得された補足情報に基づいてナビゲーション情報(例えば、「現在位置画面」や「経路誘導画面」など)を出力するように制御する出力制御部19cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在位置情報および地図情報をもとにナビゲーション情報を出力するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、慣性航法またはGPS(Global Positioning System)を単独あるいは組み合わせて用いた測位方式によって、自車両の現在位置を特定する位置情報を検出し、この位置情報と予め読み出した地図情報とをもとに、自車両の現在位置または目的地までのナビゲーション情報を出力するナビゲーション装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、自車両が地図情報上に道路として存在しない場所を走行する場合にその車両場所の座標の軌跡を記録し、その軌跡を地図情報記憶媒体に新規道路として記録し、この記録した道路情報を既に書き込まれている地図情報に重畳して使用できるようにするカーナビゲーション装置が開示されている。
【0004】
ここで、かかるカーナビゲーション装置では、「地図情報」として、道路を構成するノード間の各接続情報と、道路属性情報(例えば、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類または道路の規制速度などの情報)とが対応付けて記憶されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−271272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術(特許文献1)では、特定の道路(例えば、高速道路や国道などの規模が大きい道路など)については、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類および道路の規制速度などの道路属性情報のうち大半の項目を記憶しているが、それ以外の道路については、多少の項目についてしか記憶していないため、ユーザ(例えば、運転者など)に道路の詳細な情報を提供することができず、ユーザに提供するナビゲーション情報としてユーザビリティが低いものしか提供することができないという問題点があった。
【0007】
特に、地図情報上に存在しない新規道路に係るナビゲーション情報を出力する場合には、新規道路について道路属性情報を収集するすべがなく、自車両の軌跡から得られる新規道路の道筋をナビゲーション情報として出力することしかできない。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明に係るナビゲーション装置は、現在位置情報および地図情報をもとにナビゲーション情報を出力するナビゲーション装置であって、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得する補足情報取得手段と、前記補足情報取得手段によって取得された前記補足情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御する出力制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記補足情報取得手段は、自車両の走行状況から走行道路の道路状況を推定して前記補足情報を取得することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって前記補足情報として取得された道路状況を表す描画情報を生成することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記補足情報取得手段は、前記補足情報として、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の高さ制限、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否からなる道路属性情報を取得し、前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって取得された前記道路属性情報のうち一つまたは複数に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記補足情報取得手段は、前記補足情報として、道路の走行を阻害する要因となる阻害要因情報を取得し、前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって取得された阻害要因情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって当該道路で取得された補足情報の内容が所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得されたならば、該補足情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報を出力禁止対象とする道路および該道路の位置情報を記憶する出力禁止対象記憶手段をさらに備え、前記出力制御手段は、前記出力禁止対象記憶手段によって記憶された道路がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、前記補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明に係るナビゲーション装置は、上記の発明において、前記出力制御手段は、前記現在位置情報および地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と、前記補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して出力するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得し、取得された補足情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、ユーザに道路の詳細な情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば、自車両の走行状況から走行道路の道路状況を推定して補足情報を取得することとしたので、実際の走行道路の道路状況が詳細に反映された補足情報を取得することが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、補足情報として取得された道路状況を表す描画情報を生成することとしたので、実際の走行道路の道路状況が詳細に反映された描画情報を出力することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、補足情報として、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の高さ制限、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否からなる道路属性情報を取得し、取得された道路属性情報のうち一つまたは複数に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、ユーザに道路自体の属性情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを効果的に向上させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、補足情報として、道路の走行を阻害する要因となる阻害要因情報を取得し、取得された阻害要因情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、ユーザに道路の走行環境に係る情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを効果的に向上させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、当該道路で取得された補足情報の内容が所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得されたならば、該補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、補足情報の信頼性を担保することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティをより一層向上させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報を出力禁止対象とする道路および該道路の位置情報を記憶し、記憶された道路がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御することとしたので、補足情報に基づくナビゲーション情報の出力制御の可否を道路ごとに定義することが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、現在位置情報および地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と、補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して出力するように制御することとしたので、ナビゲーション情報の作成元となる情報源を区別させることが可能なナビゲーション装置が得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るナビゲーション装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明した後に、本実施例1に係るナビゲーション装置について説明し、最後に、他の実施例として種々の変形例(実施例2)を説明することとする。
【0026】
(概要および特徴)
まず最初に、本発明に係るナビゲーション装置の概要および特徴を説明する。図1は、本実施例1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このナビゲーション装置10は、現在位置情報および地図情報をもとにナビゲーション情報を出力するものであり、具体的には、自車両の現在位置周辺の地図を示す現在位置画面や、所望の目的地への経路を示す経路誘導画面を表示したり、現在位置周辺の地理状況や所望の目的地への経路誘導に関する音声ガイダンスを音声出力したりする。
【0027】
ここで、本発明に係るナビゲーション装置10は、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得し、取得された補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御する「出力制御処理」に主たる特徴があり、かかる「出力制御処理」によって、ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることができるようにしている。
【0028】
この主たる特徴を具体的に説明すると、このナビゲーション装置10では、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得する。具体的には、自車両の走行状況(すなわち、自車位置の振れ幅、自車両の速度、自車両の停止位置の間隔、自車両の軌跡、ETC、ライトのON/OFF状態およびウィンカー動作指示などの情報)からナビゲーションの補足となる補足情報として、道路属性情報(例えば、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否など)および阻害要因情報(例えば、実使用可能車線の変化や停止箇所の頻度など)を推定して取得する。
【0029】
そして、このナビゲーション装置10は、このようにして取得した補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御する。具体的には、自車両の現在位置周辺の地図情報に対して地図情報に記憶されていない道路属性情報および阻害要因情報を追加した「現在位置画面」や、地図情報に記憶されていない道路属性情報および阻害要因情報を反映して経路設定がおこなわれた所望の目的地への経路を示す「経路誘導画面」などのナビゲーション情報を出力するように制御する。
【0030】
このように、ナビゲーションの補足となる補足情報として、自車両の走行状況から道路属性情報および阻害要因情報を取得し、取得された補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することで、ユーザに道路の詳細な情報(例えば、道路自体の属性情報や該道路の走行環境に係る情報)を提供することができる。
【0031】
したがって、上記した従来技術の例で言えば、特定の道路(例えば、高速道路や国道などの規模が大きい道路など)についてのみ道路属性情報を記憶するのではなく、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報(すなわち、道路属性情報や阻害要因情報など)を取得し、取得された補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、ユーザに道路の詳細な情報を提供することができ、上記した主たる特徴のように、ナビゲーション情報のユーザビリティを向上させることが可能になる。特に、地図情報上に存在しない新規道路に係るナビゲーション情報を出力する場合でも、ユーザに道路の詳細な情報を提供することが可能になる。
【実施例1】
【0032】
次に、本実施例1に係るナビゲーション装置を説明する。なお、ここでは、本実施例1に係るナビゲーション装置の構成を説明した後に、このナビゲーション装置の各種処理の手順を説明することとする。
【0033】
(ナビゲーション装置の構成)
図1は、本実施例1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、このナビゲーション装置10は、入力部11aと、出力部11bと、GPS受信機12と、車速センサ13と、ETC14と、車載カメラ15と、ライト16と、ウィンカー17と、記憶部18と、制御部19とを備える。
【0034】
このうち、入力部11aは、各種の情報を入力するハードスイッチやタッチパネルなどの指示入力手段であり、例えば、ルート設定の受付、補足情報の選択設定(補足情報の取込対象項目の選択)の受付および補足情報の表示態様の設定(地図情報の表示態様と同じ或いは相違する表示態様)の受付などをおこなう。
【0035】
出力部11bは、各種の情報を出力するモニタなどの出力表示手段であり、例えば、出力制御部19cによって出力されたナビゲーション情報(すなわち、「現在位置画面」や「経路誘導画面」)を出力する。
【0036】
GPS受信機12は、GPS人工衛星からの情報を受信して時刻情報の取得、自車両の位置情報の特定を行う。また、GPS受信部12は、特定した自車両の位置を制御部19(補足情報取得部19aや経路設定部19b)に出力する。
【0037】
車速センサ13は、自車両の速度を検出するセンサであり、車速センサ13の検出結果を制御部19に出力する。ETC(Electronic Toll Collection)14は、料金所などに設置されたアンテナと車載器との間で無線通信により料金情報の授受をおこなう料金精算機であり、料金精算情報を制御部19に通知する。
【0038】
車載カメラ15は、自車両の車外環境を撮像するカメラであり、車載カメラ15による撮像画像は、制御部19に出力される。ライト16は、前照灯など車両に設置されるライトであり、ライト16による「ON/OFF」状態は、制御部19に出力される。また、ウィンカー17は、運転者から方向指示やハザードなどの動作指示を受け付けて点滅動作をおこなう方向指示器であり、このウィンカー17の動作指示についても制御部19に出力されることとなる。
【0039】
記憶部18は、制御部19による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する格納手段(記憶手段)であり、補足情報推定テーブル18a、補足情報記憶部18bおよび地図情報18cを備える。
【0040】
このうち、補足情報推定テーブル18aは、自車両の各走行状況に、補足情報を対応付けて記憶するテーブルであり、具体的には、図2−1に示すように、自車位置の振れ幅(例えば、「0m以上〜0.5m未満」)に、道路の幅(例えば、「2.5m〜3.0m」)を対応付けて記憶する道路幅推定テーブルと、図2−2に示すように、自車両が停止した位置の間隔(例えば、「0Km以上〜1Km未満」)に、道路の種別(例えば、「一般道路」)を対応付けて記憶する道路種別推定テーブルとを有する。
【0041】
補足情報記憶部18bは、ナビゲーションの補足となる補足情報を記憶する記憶手段であり、具体的には、地図情報記憶部18cに記憶された地図情報の道路構成を示すノード間の各接続情報と、補足情報取得部19aによって取得された複数世代(例えば、同一道路の走行時の「1回目」、「2回目」・・・・などの世代)の補足情報(例えば、道路属性情報および阻害要因情報など)とを対応付けて記憶している。
【0042】
ここで、補足情報取得部19aによって取得された補足情報が地図情報記憶部18cによって記憶された地図情報上に存在しない新規道路の補足情報である場合には、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに道路構成を示すノード間の接続情報を作成し、該作成されたノード間の接続情報と、取得した補足情報とが対応付けて記憶されることとなる。なお、この「補足情報」は、補足情報取得部19aによって書き込みがおこなわれた際には、補足情報フラグが「OFF」に設定され、後述する所定の条件を満した場合に、補足情報フラグが「ON」に設定される。
【0043】
地図情報記憶部18cは、地図情報として、道路を構成するノード間の各接続情報および初期道路属性情報を対応付けて記憶する記憶(格納)手段である。なお、ここで言う「初期道路属性情報」とは、当該地図情報記憶部18cに地図情報が書き込まれた時点で、特定の道路(例えば、高速道路や国道などの規模が大きい道路など)について記憶された道路属性情報を指す。
【0044】
制御部19は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、補足情報取得部19aと、経路設定部19bと、出力制御部19cとを備える。
【0045】
このうち、補足情報取得部19aは、自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得する処理部である。具体的には、自車両の走行状況から道路固有の特性を示す「道路属性情報」および道路の走行を阻害する要因となる「阻害要因情報」を取得する。
【0046】
より詳細には、補足情報取得部19aは、自車両が走行中である場合には、車速センサ13から自車両の速度情報を取得し、この自車両の速度を平均して道路の規制速度を推定する。なお、自車両の速度を平均する際には、相加平均や加重平均などの各種の平均処理をおこなうことが可能であり、例えば、本実施例1では、一定速度で走行している区間に重み付けをおこなう加重平均を採用することとする。また、このように推定された「平均速度」に対して所定値(例えば、「10Km」や「20Km」など)の減算或いは加算を運転者の運転特性に合わせておこなうようにしても良い。
【0047】
また、自車両が走行中でない場合には、自車両が停止した位置の間隔(すなわち、直前に停止した停止位置と当該停止位置との距離)をもとに道路の種別を推定する。具体的には、図2−2に示すように、補足情報推定テーブル18aを参照して、自車両が停止した位置の間隔が「0Km以上〜1Km未満」であれば、道路の種別を「一般道路」と推定し、自車両が停止した位置の間隔が「1Km以上〜2Km未満」であれば、道路の種別を「国道」と推定し、また、自車両が停止した位置の間隔が「2Km以上」であれば、道路の種別を「高速道路」と推定する。なお、自車両が停止した位置の間隔が所定距離に満たなければ「渋滞」と推定し、この推定結果を無視するようにしても良い。
【0048】
さらに、補足情報取得部19aは、ライト16の「ON/OFF」状態を監視する。このとき、「昼間」にライト16の「ON」状態を所定の監視時間(例えば、「3秒」)について検出した場合には、当該道路が「トンネル」であると推定する。なお、かかる「監視時間」を設けることとしたのは、他の車両に対する「パッシング」と区別するためである。また、ここでは、ライト16の「ON」状態が所定の監視時間について継続されるか否かを監視することとしたが、ライト16の「ON」指示が所定の監視時間について継続されるか否かを監視するようにしても良い。
【0049】
また、補足情報取得部19aは、ウィンカー17の動作状態を監視する。このとき、ウィンカーの継続動作を所定の監視時間(例えば、「5秒」)について検出した場合には、当該走行地点が「交差点」であると推定する。なお、かかる「監視時間」を設けることとしたのは、自車両による車線変更と自車両による交差点の右左折とを区別するためである。また、ここでは、ウィンカー17の動作状態が所定の監視時間について継続されるか否かを監視することとしたが、ウィンカー17の動作指示が所定の監視時間について継続されるか否かを監視するようにしても良い。
【0050】
さらに、補足情報取得部19aは、ETC14からの料金精算の通知の有無を監視する。このとき、ETC14から料金精算の通知を受けた場合には、当該道路が「有料道路」であると推定する。
【0051】
また、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡から自車位置の振れ幅を算出し、この自車位置の振れ幅をもとに、道路の幅を推定する。具体的には、図2−1に示すように、補足情報推定テーブル18aを参照して、自車位置の振れ幅が「0m以上〜0.5m未満」であれば、道路の幅を「2.5m〜3.0m」と推定し、自車位置の振れ幅が「0.5m以上〜1.0m未満」であれば、道路の幅を「3.0m〜3.5m」と推定し、また、自車位置の振れ幅が「1.0m以上〜1.5m未満」であれば、道路の幅を「3.5m〜4.0m」と推定する。なお、この補足情報推定テーブル18aには、車両の車幅および運転者の運転特性に応じた道路の幅の値が保持されることが好ましい。
【0052】
さらに、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに、道路の車線数を推定する。具体的には、図3−1に示すように、自車両の軌跡が左右方向に「1車両分」移動していれば、道路の車線数を「2車線」と推定し、図3−2に示すように、自車両の軌跡が左右方向に「2車両分」移動していれば、道路の車線数を「3車線」と推定する。なお、ウィンカー17の動作状態(但し、「5秒」以内の継続動作)を検出した場合にのみ車線変更と推定し、車線変更がおこなわれたときのみ道路の車線数を推定するようにしても良い。
【0053】
また、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに、車線種別を推定する。具体的には、ウィンカー17の「左方向」の点灯動作を「5秒」以上継続して検出し、かつ自車両の軌跡が図4−1に示すような軌跡を検出した場合に、当該走行車線の種別が「直進・左折レーン」であると推定し、ウィンカー17の「右方向」の点灯動作を「5秒」以上継続して検出し、かつ自車両の軌跡が図4−2に示すような軌跡を検出した場合に、当該走行車線の種別が「右折レーン」であると推定する。なお、ウィンカー17の「左方向」の点灯動作が「5秒」以上継続して検出されることを「車線種別」の推定条件としたのは、自車両が「交差点」を右左折したのか、或いは単に道路が左右に「カーブ」しているだけなのかを区別するためである。
【0054】
さらに、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに、当該道路における実使用可能車線の変化を推定する。具体的には、当該道路の走行時に所定の回数(例えば、過去の世代を含め「3回」)以上について同一車線のみを連続して走行したことを検出した場合には、当該道路における実使用可能車線が減少した旨を推定する。なお、かかる実使用可能車線の減少状態は、図5に示すように、当該道路で道路工事が定常的におこなわれている場合などに発生する。
【0055】
また、補足情報取得部19aは、車載カメラ15によって自車両の車外環境が撮像された画像をもとに、当該道路における停止箇所の頻度を推定する。例えば、図6に示すように、車載カメラ15によって撮像された画像に画像認識処理をおこなって、横断歩道または自転車横断帯があることを示す「ひし形標示」や「一旦停止」など車両が停止する要因となる道路標示を検出する。
【0056】
そして、補足情報取得部19aは、当該道路の所定区間(例えば、「3Km」の区間)で車両停止に係る道路標示を所定の回数(例えば、5回)以上検出した場合に、当該道路における停止箇所の存在頻度が高い旨を推定する。
【0057】
このように、車両の走行状況から走行道路の道路状況(例えば、自車両の速度から道路の規制速度、自車両が停止した位置の間隔から道路の種別、ライト16の「ON/OFF」状態から走行道路のトンネルの可否、ウィンカー17の動作状態から当該走行地点の交差点の可否、ETC(料金精算機)14から道路の走行に要する料金、自車両の軌跡から自車位置の振れ幅、道路の車線数、道路の車線種別および当該道路における実使用可能車線の変化、自車両の車外環境が撮像された画像から当該道路における停止箇所の頻度)を推定して補足情報を取得し、補足情報として取得された道路状況を表す描画情報を生成することとしたので、実際の走行道路の道路状況が詳細に反映された描画情報を出力することができるようにしている。
【0058】
ここで、補足情報取得部19aは、上述した一連の処理によって取得した道路属性情報(すなわち、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否など)および阻害要因情報(すなわち、実使用可能車線の変化や停止箇所の頻度な)を補足情報記憶部18bに書き込んで記憶する。
【0059】
このとき、当該道路における補足情報の内容を所定の回数(例えば、当該捕捉情報と、補足情報記憶部18bに記憶された過去2世代の補足情報とを含め3世代)について許容範囲内のばらつきで取得したならば、「補足情報フラグ」を「ON」に設定して補足情報記憶部18bにおける補足情報を更新する。
【0060】
具体的に説明すると、当該道路において道路属性情報および阻害要因情報の各項目の内容が所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得されたならば、取得した補足情報の「補足情報フラグ」を「ON」に設定して補足情報記憶部18bを更新する。かかる「許容範囲のばらつき」とは、道路属性情報および阻害要因情報の各項目が「数値」である場合に許容される「誤差」、「分類」や「可否」である場合に許容される「不正解率」を指し、補足情報記憶部18bによって記憶された複数世代の補足情報それぞれまたは全体で比較されることとなる。
【0061】
例えば、当該道路で取得した補足情報が「道路の幅」であり、許容範囲のばらつきが「0.5m」であるとしたときに、今回取得した数値が「3.0m〜3.5m」(この場合、代表値「3.25m」とする。)、過去2世代の数値が「3.0m〜3.5m」(同様に、代表値「3.25m」とする。)、「3.5m〜4.0m」(同様に、代表値「3.75m」とする。)であったならば、過去3世代の誤差が「0.5m」以内であると判定し、今回取得した数値「3.0m〜3.5m」を最新世代の補足情報として補足情報フラグを「ON」に設定して補足情報記憶部18bに更新する。なお、かかる補足情報の更新は、道路属性情報および阻害要因情報における各項目ごとにおこなわれることとなる。
【0062】
また、補足情報取得部19aによって取得された当該道路における補足情報の内容を所定の回数(例えば、当該捕捉情報と、補足情報記憶部18bに記憶された過去2世代の補足情報とを含め3世代)について取得していない場合、或いは所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得できなかった場合、若しくは補足情報取得部19aによって取得された当該道路における補足情報が地図情報記憶部18cによって記憶された地図情報上に存在しない新規道路の補足情報であった場合には、取得した補足情報の「補足情報フラグ」を「OFF」に設定して補足情報記憶部18bを更新、或いは取得した補足情報の「補足情報フラグ」を「OFF」に設定して補足情報記憶部18bに新規の書込処理をおこなう。
【0063】
経路設定部19bは、補足情報記憶部18bによって記憶された補足情報、GPS受信機12から取得された現在位置情報および地図情報記憶部18cによって記憶された地図情報をもとに、自車両の経路設定をおこなう処理部である。具体的には、「補足情報フラグ」が「ON」に設定されている補足情報と、現在位置情報および地図情報をもとに所定の目的地への「最適な経路」を探索してルート設定をおこなう。なお、ここで言う「最適な経路」とは、最短距離である経路、最短時間である経路または最小費用である経路を指す。
【0064】
出力制御部19cは、補足情報記憶部18bによって記憶された補足情報、GPS受信機12から取得された現在位置情報および地図情報記憶部18cによって記憶された地図情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御する処理部である。
【0065】
より詳細には、「補足情報フラグ」が「ON」に設定されている補足情報、現在位置情報および地図情報に基づいて、自車両の現在位置周辺の地図情報に対して地図情報に記憶されていない補足情報(すなわち、道路属性情報および阻害要因情報)を追加して作成した「現在位置画面」や、経路設定部19bによって補足情報を反映して経路設定がおこなわれた所望の目的地への経路を示す「経路誘導画面」をナビゲーション情報として出力する。
【0066】
このように、補足情報として、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の高さ制限、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否等の道路属性情報を取得し、取得された道路属性情報のうち一つまたは複数に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することで、ユーザに道路自体の属性情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを効果的に向上させることが可能になる。
【0067】
さらに、補足情報として、道路の走行を阻害する要因となる阻害要因情報を取得し、取得された阻害要因情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することで、ユーザに道路の走行環境に係る情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを効果的に向上させることが可能になる。
【0068】
また、当該道路で取得された補足情報の内容が所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得されたならば、該補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたので、補足情報の信頼性を担保することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティをより一層向上させることが可能になる。
【0069】
また、出力制御部19cは、現在位置情報および地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と、補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して出力するように制御する。
【0070】
この「表示態様」の区別について説明する。図7−1は、地図情報をもとに作成された「現在位置画面」の一例を示す図である。このとき、例えば、同図に示す「A山」を貫通する「トンネル」が新たに設けられた場合には、地図情報および補足情報に基づいて作成された「現在位置画面」では、図7−2に示すような「現在位置画面」が出力されることとなる。また、地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して作成された「現在位置画面」では、図7−3に示すような「現在位置画面」が出力されることとなる。なお、かかる「表示態様」の区別は、色表示による区別、線表示による区別またはハッチング表示による区別など、作成元となる情報を区別可能な手法であれば、いずれの手法を用いるようにしても良い。
【0071】
このように、現在位置情報および地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と、補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して出力するように制御することで、ナビゲーション情報の作成元となる情報源を区別させることが可能になる。
【0072】
(各種処理の手順)
次に、本実施例1に係るナビゲーション装置の各種手順を説明する。なお、ここでは、補足情報を取得する「補足情報取得処理」を説明した後に、主たる特徴である「出力制御処理」について説明することとする。
【0073】
(補足情報取得処理)
図8は、補足情報取得処理の手順を示すフローチャートである。この「補足情報取得処理」は、ナビゲーション装置が起動している場合に、所定の周期ごとにおこなわれる処理である。
【0074】
同図に示すように、自車両が走行中である場合には(ステップS801肯定)、補足情報取得部19aは、車速センサ13から自車両の速度情報を取得し、この自車両の速度を平均して道路の規制速度を推定する(ステップS802)。
【0075】
また、自車両が走行中でない場合には、補足情報取得部19aは、補足情報推定テーブル18aを参照して、自車両が停止した位置の間隔(すなわち、直前に停止した停止位置と当該停止位置との距離)をもとに道路の種別を推定する(ステップS803)。
【0076】
例えば、図2−2に示すように、補足情報推定テーブル18aを参照して、自車両が停止した位置の間隔が「0Km以上〜1Km未満」であれば、道路の種別を「一般道路」と推定し、自車両が停止した位置の間隔が「1Km以上〜2Km未満」であれば、道路の種別を「国道」と推定し、また、自車両が停止した位置の間隔が「2Km以上」であれば、道路の種別を「高速道路」と推定する。
【0077】
そして、補足情報取得部19aは、ライト16の「ON/OFF」状態を監視する(ステップS804)。このとき、「昼間」にライト16の「ON」状態を所定の監視時間(例えば、「3秒」)について検出した場合(ステップS804肯定)には、当該道路が「トンネル」であると推定する(ステップS805)。
【0078】
続いて、補足情報取得部19aは、ウィンカー17の動作状態を監視する(ステップS806)。このとき、ウィンカーの継続動作を所定の監視時間(例えば、「5秒」)について検出した場合(ステップS806肯定)には、当該走行地点が「交差点」であると推定する(ステップS807)。
【0079】
その後、補足情報取得部19aは、ETC14からの料金精算の通知の有無を監視する(ステップS808)。このとき、ETC14から料金精算の通知を受けた場合(ステップS808肯定)には、当該道路が「有料道路」であると推定する(ステップS809)。
【0080】
そして、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡から自車位置の振れ幅を算出し、この自車位置の振れ幅をもとに、道路の幅を推定する(ステップS810)。
【0081】
例えば、図2−1に示すように、補足情報推定テーブル18aを参照して、自車位置の振れ幅が「0m以上〜0.5m未満」であれば、道路の幅を「2.5m〜3.0m」と推定し、自車位置の振れ幅が「0.5m以上〜1.0m未満」であれば、道路の幅を「3.0m〜3.5m」と推定し、また、自車位置の振れ幅が「1.0m以上〜1.5m未満」であれば、道路の幅を「3.5m〜4.0m」と推定する。
【0082】
続いて、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに、道路の車線数および車線種別を推定する(ステップS811)。例えば、図3−1に示すように、自車両の軌跡が左右方向に「1車両分」移動していれば、道路の車線数を「2車線」と推定し、図3−2に示すように、自車両の軌跡が左右方向に「2車両分」移動していれば、道路の車線数を「3車線」と推定する。
【0083】
さらに、ウィンカー17の「左方向」の点灯動作を「5秒」以上継続して検出し、かつ自車両の軌跡が図4−1に示すような軌跡を検出した場合には、当該走行車線の種別が「直進・左折レーン」であると推定し、ウィンカー17の「右方向」の点灯動作を「5秒」以上継続して検出し、かつ自車両の軌跡が図4−2に示すような軌跡を検出した場合には、当該走行車線の種別が「右折レーン」であると推定する。
【0084】
その後、補足情報取得部19aは、GPS受信機12から取得した自車両の軌跡をもとに、当該道路における実使用可能車線の変化を推定する(ステップS812)。このとき、当該道路の走行時に所定の回数(例えば、過去の世代を含め「3回」)以上について同一車線のみを連続して走行したことを検出した場合(ステップS812肯定)には、当該道路における実使用可能車線が減少した旨を推定する(ステップS813)。
【0085】
そして、補足情報取得部19aは、車載カメラ15によって自車両の車外環境が撮像された画像をもとに、当該道路における停止箇所の頻度を推定する(ステップS814)。このとき、当該道路の所定区間(例えば、「3Km」の区間)で車両停止に係る道路標示を所定の回数(例えば、5回)以上検出した場合(ステップS814肯定)に、当該道路における停止箇所の存在頻度が高い旨を推定する(ステップS815)。
【0086】
ここで、補足情報取得部19aは、当該道路における補足情報の内容を所定の回数(例えば、当該捕捉情報と、補足情報記憶部18bに記憶された過去2世代の補足情報とを含め3世代)について許容範囲内のばらつきで取得したならば(ステップS816肯定)、「補足情報フラグ」を「ON」に設定して補足情報記憶部18bにおける補足情報を更新し(ステップS817)、処理を終了する。
【0087】
また、補足情報取得部19aは、当該道路における補足情報の内容を所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得できなかった場合(ステップS816否定)に、取得した補足情報の「補足情報フラグ」を「OFF」に設定して補足情報記憶部18bを更新、或いは取得した補足情報の「補足情報フラグ」を「OFF」に設定して補足情報記憶部18bに新規の書込処理をおこなう(ステップS818)。
【0088】
このように、本実施例1に係るナビゲーション装置では、自車両の走行状況から道路固有の特性を示す「道路属性情報」および道路の走行を阻害する要因となる「阻害要因情報」を取得することができるようにしている。
【0089】
(出力制御処理)
図9は、出力制御処理の手順を示すフローチャートである。この「出力制御処理」は、ナビゲーション装置が起動している場合に、所定の周期ごとに回帰的におこなわれる処理である。
【0090】
同図に示すように、所定の周期が経過した場合(ステップS901肯定)に、補足情報取得部19aは、自車両の走行状況から道路固有の特性を示す「道路属性情報」および道路の走行を阻害する要因となる「阻害要因情報」を取得する「補足情報取得処理」をおこなう(ステップS902)。
【0091】
ここで、経路誘導の設定がおこなわれている場合(ステップS903肯定)には、出力制御部19cは、経路設定部19bによって補足情報を反映して経路設定がおこなわれた所望の目的地への経路を示す「経路誘導画面」をナビゲーション情報として出力する(ステップS904)。
【0092】
また、経路誘導の設定がおこなわれていない場合(ステップS903否定)には、出力制御部19cは、「補足情報フラグ」が「ON」に設定されている補足情報、現在位置情報および地図情報に基づいて、自車両の現在位置周辺の地図情報に対して地図情報に記憶されていない補足情報(すなわち、道路属性情報および阻害要因情報)を追加して作成した「現在位置画面」をナビゲーション情報として出力する(ステップS905)。
【0093】
なお、この「出力制御処理」は、ステップS901〜S905までの処理をナビゲーション装置10の電源が落とされるまで、繰り返しておこなわれることとなる。
【0094】
上述してきたように、本実施例1に係るナビゲーション装置10によれば、自車両の走行状況から道路固有の特性を示す「道路属性情報」および道路の走行を阻害する要因となる「阻害要因情報」を取得し、取得した「道路属性情報」および「阻害要因情報」に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御するよう構成したので、ユーザに道路自体の属性情報および道路の走行環境に係る情報を提供することができ、ナビゲーション情報のユーザビリティを効果的に向上させることが可能になる。さらに、地図情報上に存在しない新規道路に係るナビゲーション情報を出力する場合でも、ユーザに道路の詳細な情報を提供することが可能になる。
【実施例2】
【0095】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例1以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施例にて実施されてもよいものである。
【0096】
例えば、本発明では、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報を出力禁止対象とする道路および該道路の位置情報を記憶し、記憶された道路がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御するようにしても良い。
【0097】
具体的に説明すると、例えば、出力禁止対象を「高速道路」および「国道」と定義した場合に、出力禁止対象の「高速道路」および「国道」と、「高速道路」および「国道」を構成するノード間の接続情報とを記憶する。そして、これらの道路(すなわち、「高速道路」および「国道」)がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、補足情報記憶部18bに記憶された補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御する。なお、かかる「出力禁止対象」は、初期設定を行うようにしても良いし、入力部11aを介してユーザによる指定を受け付けるようにしても良い。
【0098】
すなわち、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報を出力禁止対象とする道路および該道路の位置情報を記憶し、記憶された道路がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御することで、補足情報に基づくナビゲーション情報の出力制御の可否を道路ごとに定義することが可能になる。
【0099】
なお、実施例1では、「道路属性情報」および「阻害要因情報」の両方を取得し、該取得した「道路属性情報」および「阻害要因情報」に基づいてナビゲーション情報を出力するように制御することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、「道路属性情報」または「阻害要因情報」の片方のみの補足情報を取得して本発明を実施するようにしても良い。
【0100】
また、実施例1では、「道路属性情報」として、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否、「阻害要因情報」として、実使用可能車線の変化や停止箇所の頻度を取得することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の「道路属性情報」または「阻害要因情報」を取得するようにしても良い。例えば、道路属性情報として、車載カメラ15によって撮像された画像から道路の高さ制限情報などを取得するようにしても良い。なお、「道路属性情報」および/または「阻害要因情報」の任意項目について取得して本発明を実施するようにしても良い。
【0101】
また、実施例1では、補足情報フラグが「ON」設定である場合にのみ、補足情報記憶部18bに記憶された補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、地図情報に記憶されていない補足情報を取得した場合に、補足情報フラグのようなフィルタリング処理をおこなうことなく、補足情報に基づいてナビゲーション情報を出力するようにしても良いし、また、地図情報に記憶されていない補足情報を取得した場合に、この補足情報に基づくナビゲーション情報の出力制御の可否をユーザに確認して出力するようにしても良い。
【0102】
また、実施例1では、補足情報取得部19aによって取得された補足情報を補足情報記憶部18bに記憶することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、この補足情報を地図情報記憶部18cに記憶するようにしても良い。
【0103】
なお、実施例1では、ナビゲーション情報の出力として、ナビゲーション画面(例えば、「現在位置画面」や「経路誘導画面」など)を表示する実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、補足情報に基づいて案内に係る音声ガイダンスを音声出力するようにしても良い。
【0104】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0105】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本実施例1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2−1】補足情報推定テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図2−2】補足情報推定テーブルに記憶される情報の一例を示す図である。
【図3−1】道路の車線数の推定を説明するための説明図である。
【図3−2】道路の車線数の推定を説明するための説明図である。
【図4−1】道路の車線種別の推定を説明するための説明図である。
【図4−2】道路の車線種別の推定を説明するための説明図である。
【図5】道路における実使用可能車線の変化を説明するための説明図である。
【図6】車両が停止する要因となる道路標示の一例を示す図である。
【図7−1】地図情報をもとに作成された現在位置画面の一例を示す図である。
【図7−2】地図情報および補足情報に基づいて作成された現在位置画面の一例を示す図である。
【図7−3】表示態様を区別して作成された現在位置画面の一例を示す図である。
【図8】補足情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】出力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
10 ナビゲーション装置
11a 入力部
11b 出力部
12 GPS受信機
13 車速センサ
14 ETC
15 車載カメラ
16 ライト
17 ウィンカー
18 記憶部
18a 補足情報推定テーブル
18b 補足情報記憶部
18c 地図情報記憶部
19 制御部
19a 補足情報取得部
19b 経路設定部
19c 出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置情報および地図情報をもとにナビゲーション情報を出力するナビゲーション装置であって、
自車両の走行状況からナビゲーションの補足となる補足情報を取得する補足情報取得手段と、
前記補足情報取得手段によって取得された前記補足情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御する出力制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記補足情報取得手段は、自車両の走行状況から走行道路の道路状況を推定して前記補足情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって前記補足情報として取得された道路状況を表す描画情報を生成することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記補足情報取得手段は、前記補足情報として、道路の幅、道路の種別、道路の車線数、道路の車線種類、道路の規制速度、道路の高さ制限、道路の走行に要する料金、走行道路のトンネルの可否または当該走行地点の交差点の可否の少なくともいずれか一つを含む道路属性情報を取得し、
前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって取得された前記道路属性情報のうち一つまたは複数に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする請求項1、2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記補足情報取得手段は、前記補足情報として、道路の走行を阻害する要因となる阻害要因情報を取得し、
前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって取得された阻害要因情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記出力制御手段は、前記補足情報取得手段によって当該道路で取得された補足情報の内容が所定の回数について許容範囲内のばらつきで取得されたならば、該補足情報に基づいて前記ナビゲーション情報を出力するように制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報を出力禁止対象とする道路および該道路の位置情報を記憶する出力禁止対象記憶手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記出力禁止対象記憶手段によって記憶された道路がナビゲーション情報の出力対象に含まれている場合に、前記補足情報に基づいて作成されるナビゲーション情報の出力をおこなわないように制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記出力制御手段は、前記現在位置情報および地図情報をもとに作成されたナビゲーション情報と、前記補足情報に基づいて作成されたナビゲーション情報との表示態様を区別して出力するように制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−242643(P2006−242643A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56478(P2005−56478)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】