説明

ナビゲーション装置

【課題】 車両やナビゲーション装置が盗難された場合でも、ナビゲーション装置のHDDに保存された個人データの流出、漏洩を防止することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 車両の現在位置から目的地を設定して経路案内を行い、個人データが保存されたナビゲーション装置であって、前記車両に設けられ車両の盗難を検出する盗難検出手段と、前記車両の利用者を認証する認証手段と、前記盗難検出手段の検出時に前記認証手段で認証を行うと共に、前記認証結果に基づいて前記ナビゲーション装置の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の盗難時やナビゲーション装置の盗難時に個人データを流出させずに保護するナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置には大容量のハードディスクドライブ(HDD)が搭載されるようになり、HDD内に所有者が必要とする友人や知人等の大量の個人データを保存して使用することができ、例えば、経路探索を行う際にHDD内に保存された個人データからナビゲーション装置の経路案内における目的地を設定したり、ナビゲーションシステムに接続した携帯電話を用いてHDD内に保存された個人データから電話することができるように構成されている。
【0003】
また、このようなナビゲーション装置に保存された大量の個人データが漏洩させないために、ナビゲーション装置の操作を行う際にパスワードによる認証を行い、認証結果に応じて操作範囲を限定し、車載ナビゲーション装置に登録されている個人データの漏洩や流出等を防止する対策を施したナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−348476号公報(第4、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナビゲーション装置に保存された個人データの漏洩や流出を防止するために、パスワードによる認証結果に応じてナビゲーション装置の操作範囲を限定するだけでは、個人データの漏洩や流出を完全に防止することが難しかった。
【0005】
また、ナビゲーション装置に設けられたHDDを取り出し、外部のパソコン等の情報端末に接続することで内部の個人データを簡単に読み取られてしまうおそれがあり、特に、車両が盗難された場合は、ナビゲーション装置からHDDを取り外すことができるため、パソコンを用いて取り外されたHDDを分析して個人データを読み取ることができるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであって、車両やナビゲーション装置が盗難された場合でも、ナビゲーション装置のHDDに保存された個人データの流出、漏洩を防止することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のナビゲーション装置は、車両の現在位置から目的地を設定して経路案内を行うと共に個人データを保存可能に構成されたナビゲーション装置であって、前記車両に設けられ車両の異常を検出する車両異常検出手段と、前記車両異常検出手段の出力から車両の盗難を判定する盗難判定手段と、前記盗難判定手段が盗難と判定したとき前記車両の利用者であることを認証する認証手段と、前記認証手段の認証結果に基づいてナビゲーション装置の動作を制御する制御手段と、を備えた構成を有している。
【0008】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、車両に取り付けられた(設けられた)車両異常検出手段を用いて車両の異常を監視し、この車両異常検出手段が車両の異常を検出すると、この検出された異常が意図的に与えられたものか自然に生じたものなのか
を盗難判定手段で判定する。この盗難判定手段が盗難と判断すると、ナビゲーション装置の操作をおこなう人に対して認証手段を用いて車両の所有者(利用者)であるか否かを認証し、認証結果に応じて制御手段を用いてナビゲーション装置の動作を制御するように構成されているため、ナビゲーション装置を搭載した車両が盗難された場合でも、ナビゲーション装置に保存された個人データを勝手に読み出されることを防止することができる。なお制御手段は、例えば、認証手段の認証結果に基いてナビゲーション装置の電源をオフにしたり、ナビゲーション装置の機能を制限することができるものである。また、個人データとは、車両の所有者がナビゲーション装置に個人的に入力した電話番号、住所、メールアドレス等の情報である。
【0009】
また、本発明のナビゲーション装置の前記制御手段は、前記認証手段の認証結果が否のとき前記個人データを削除するデータ削除手段を備える構成を有している。
【0010】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、車両に取り付けられた盗難判定手段が異常を検出すると、認証手段で車両の所有者で有るか否かの認証を行い、認証結果が一致しないときは、ナビゲーション装置に保存された個人データをデータ削除手段を用いて削除するように構成されている。このため、車両が盗難にあった場合でも、認証手段で車両の所有者であることが認証できないと、ナビゲーション装置に保存された個人データを自動的に削除することができるので個人データの漏洩や流出するのを防止することができる。
【0011】
また、本発明のナビゲーション装置の前記制御手段は、前記認証手段の認証結果が否のとき前記個人データを暗号化するデータ暗号化手段を備える構成を有している。
【0012】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、車両に取り付けられた盗難判定手段が異常を検出すると、認証手段で車両の所有者で有るか否かの認証を行い、認証結果が一致しないときは、ナビゲーション装置に保存された個人データをデータ暗号化手段を用いて暗号化して、認証手段で認証されるまで個人データの読み取りができないように構成されている。このため、車両が盗難にあった場合でも、認証手段で認証できないとナビゲーション装置に保存された個人データは暗号化され、ナビゲーション装置に記録された個人データの読出しを防止することができる。なお、暗号化とは、特に限定されるものではなく、例えば、アルゴリズム等を用いた様々な公知技術の暗号化技術を用いることができる。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置の前記盗難判定手段は、盗難検出時から前記車両が一定時間走行後に前記制御手段を作動させる構成を有している。
【0014】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、盗難判定手段で異常を検出したあと車両が一定時間走行しても認証手段で認証されない場合には、制御手段を作動させて、個人データを削除したり、個人データを暗号化したりすることができるので個人データの漏洩、流出を防止することができる。
【0015】
また、本発明のナビゲーション装置の前記車両異常検出手段は、振動センサ、イモビライザー、侵入センサ、盗難警報装置の少なくとも一つを用いて構成されている。
【0016】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、車両異常検出手段として、振動センサ、イモビライザー、侵入センサ、盗難警報装置の少なくとも1つを用いることができ、車両の異常を簡単に検出することができる。例えば、盗難判定手段を振動センサとした場合、、車両の駐車中における振動を検出することができ、車両の窓ガラスが破壊された場合でも、窓ガラスの破壊時に生じる振動を検出することができ、容易に異常を検出する
ことができる。また、車両異常検出手段を侵入センサとした場合、正規にドアが開けられずにこじ開けられたり、窓ガラスが割られて車内に侵入された場合でも異常を検出することができる。
【0017】
また、本発明のナビゲーション装置の前記車両異常検出手段は、検出精度を調整可能に構成されている。
【0018】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、車両異常検出手段の検出精度を調整可能に構成することにより、車両異常検出手段が過敏に反応して生じる誤動作を削減することができる。例えば、実際には車両自体に振動がない状態でも、路面等の振動を検出することで異常と検出しまうことを防止することができる。
【0019】
また、本発明のナビゲーション装置の前記認証手段は、認証精度を調整可能に構成されている。
【0020】
このように構成されたナビゲーション装置によれば、認証手段の認証精度を調整可能に構成することで、例えば、認証精度が高すぎてナビゲーション装置の所有者であるにも関わらず認証できない場合や、認証精度が低いことで所有者でなくても認証してしまう場合、適切な認証精度を調整することができ認証による誤作動を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のナビゲーション装置は、車両に設けた車両異常検出手段で異常が検出され、盗難判定手段で車両の異常・盗難であると判断されると、ナビゲーション装置の操作する際に認証手段で車両の所有者であるか否かを認証し、認証結果に問題がない場合には通常のナビゲーション装置を起動させ、認証結果に問題があった場合にはナビゲーション装置に保存されている個人データを全て削除又は暗号化することで、個人データの流出・漏洩を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態のナビゲーション装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施の形態での車両は、駐車場等に駐車している状態として説明する。また、認証手段の認証方法としてパスワードを用いた認証を行い、このパスワードは、予め所有者が設定しておき、認証を求められたときに同じパスワードが入力できるか否かで正規の利用者か不正利用者かを判断するものとして説明する。
【0023】
まず、第1の実施の形態として盗難発生時に個人データを削除する実施の形態について説明する。また車両異常検出手段として振動センサを用いて説明する。
図1には、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、ナビゲーション装置Nは、データ削除手段1と、認証手段2と、盗難判定手段3と、表示手段4と、通信手段5と、チューナー6と、再生手段7と、記憶手段8と、制御手段9と、車両側に取り付けられるGPS10と、車速パルス11と、振動センサ12で構成され、制御手段9でナビゲーション装置Nを制御するように構成されている。
【0024】
ここで、データ削除手段1は、記憶手段8に保存された所有者の電話帳やメールなどの個人情報だけを消去するものであり、記憶手段8に保存されているナビゲーション装置Nのシステムデータ、電子道路地図データ、音楽データ、映像データ等は消去しないように構成されている。
認証手段2は、自動車の所有者や自動車の使用を許可された人であるか否かを認証確認
できるように構成されている。なお、ナビゲーション装置Nに付属しているリモコンからパスワードを入力させてもよく、また、地図表示などに使用する表示手段4に英数字等を表示させて画面に触れてパスワードを入力するようにしてもよい。また、認証手段2として、例えば、パスワード、音声認証(認識)、声紋認証、指紋認証、虹彩認証等を用いることができる。
【0025】
盗難判定手段3は、振動センサ12から検出された信号から、車体に対して意図的に与えられた振動なのか、車体に対して自然に与えられた振動なのかを判断することができるように構成されている。ここで車体に対して意図的に与えられた振動とは、例えば、盗人が車体の扉を開ける際に生じる振動や、窓ガラスを壊した際に生じる振動であり、自然に与えられた振動とは、例えば、車両の停車時に路面から伝わってくる振動である。路面から伝わってくる振動のデータを複数学習させることで、自然に与えられた振動なのか、意図的に与えられた振動なのか、認証手段2の制度を向上させることができる。
表示手段4は、ナビゲーション装置Nに構成されている電子道路地図データや、経路案内時の経路や渋滞情報や有料道路料金等を画面に表示すると共に表示画面に表示された項目に触れることで機能を選択することができるタッチパネルの機能を有している。
【0026】
通信手段5は、ナビゲーション装置Nが外部と通信するためのものであり、例えば、外部のネットワークやインターネットに接続する際に使用することができるように構成されている。
チューナー6は、公共施設から受信したFM、AM、TV等の受信電波から放送チャンネルを選択するものであり、ナビゲーション装置Nの使用者が自由にチャンネルを選択することができるように構成されている。
【0027】
再生手段7は、CD、MD、DVD等の記録媒体に記録された例えば音楽データや映像データを再生することができるように構成されている。
記憶手段8は、ナビゲーション装置Nで使用する電子道路地図データやシステムデータが保存されていると共に、ナビゲーション装置Nの所有者が個人的に入力し保存した電話帳やメール等の個人データや再生手段7で再生した音楽データを保存することができるように構成されている。
【0028】
制御手段9は、ナビゲーション装置Nの動作を制御するものであり、データ削除手段1、認証手段2、盗難判定手段3、表示手段4、通信手段5、チューナー6、再生手段7、記憶手段8、GPS10、車速パルス11と接続され、それぞれを制御できるように構成されている。
GPS10は、自車位置を検出する際に使用するGPS(Global Positioning System)であり、ナビゲーション装置Nに用いることで電子道路地図データ上に自車位置を表示することができる。また、車速パルス11は、車両の速度に対応して車両から送信される信号であり、この車速パルス11をナビゲーション装置Nに入力することで車両がどれくらいの速度で進行しているのか検出することができるように構成されている。
振動センサ12は、駐車中の車両に発生する振動を検出して盗難判定手段3に信号を送信するように構成されている。なお、振動センサ12の設置場は特に限定するものではなく、駐車中の車両の生じる振動を検出できる場所であれば何処でもよい。
【0029】
このように構成されたナビゲーション装置Nの動作についてフロー図を用いて説明する。図2は、第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図である。
【0030】
図2に示すように、第1の実施の形態のナビゲーション装置Nは、駐車場等に駐車している状態で車(車両)の振動センサ12が振動を検出すると(S1、YES)、盗難判定
手段3で振動センサ12が検出した振動が故意に与えられたものか、自然に発生した振動なのかを判断する(S2)。このとき、盗難判定手段3で車に生じた振動が故意に与えられた振動であると判断すると(S2、YES)、ナビゲーション装置Nは車内に入室しナビゲーション装置Nを操作しようとする人に対して、認証手段2がパスワードの入力画面を表示手段4に表示し、入室した人が車の所有者又は車の利用を許可された人か否かをパスワードの入力によって判断する(S3)。
【0031】
このとき、認証手段2で登録されているパスワードと入力されたパスワードが一致し正規の利用者(車の所有者又は車の利用を許可された人)であることが認証できた場合は(S3、YES)、ナビゲーション装置Nの操作が許可され、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる。
【0032】
また、認証手段2でパスワードが一致せず正規の利用者であることが認証できない場合は(S3、NO)、不正使用者と判断する。認証手段2が不正使用者と判断すると(S3、NO)、ナビゲーション装置Nの記憶手段8に保存された所有者の電話帳やメールなどの個人情報をデータ削除手段1を用いて削除(消去)する(S4)。そしてデータ削除手段1が個人情報を削除したあと、ナビゲーション装置Nを操作不可能な状態に自動的に移行する(S5)。なお、盗難判定手段3で自然に発生した振動だと判断された場合は(S2、NO)、ナビゲーション装置Nの操作が許可される(S6)。
【0033】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、車両に生じた振動を振動センサ12で検出し、その振動が意図的に車に与えられた振動と盗難判定手段3で判断した場合には、車内に入室した人がナビゲーション装置Nを操作しようとした際に認証手段2でパスワードを入力させ正規の利用者か判断し、正規の利用者でないと判断された場合には、記憶手段8に保存されている電話帳や電子メール等の個人情報を削除して個人情報の流出を防止することができる。
【0034】
次に、第2の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、ナビゲーション装置の構成は第1の実施形態と同じであり、構成の詳細な説明は省略する。
なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態において認証手段2で認証できなかったときに、記憶手段8の個人情報を即座に削除していたが、第2の実施形態では、個人情報の削除をするまでに一定期間を設けるように構成している。
【0035】
第2の実施の形態のナビゲーション装置Nについてフロー図用いて説明する。図3は、第2の実施の形態を示すフロー図である。
【0036】
図3に示すように、駐車場等に停車している車(車両)の振動センサ12が振動を検出すると(S7、YES)、盗難判定手段3が振動センサ12で検出した振動が故意に与えられたものか、自然に発生した振動なのかを判断する(S8)。ここで、車に生じた振動が故意に与えられた振動であると盗難判定手段3が判断すると(S8、YES)、車内に入室した人がナビゲーション装置Nを操作しようとする際に、認証手段2でパスワードを入力させ車の所有者又は車の利用を許可された人か否かを認証手段2を用いて判断する(S9)。
【0037】
このとき、認証手段2で正規の利用者(車の所有者又は車の利用を許可された人)であることが認証できた場合は(S9、YES)、ナビゲーション装置Nの操作が許可される。また、認証手段2で正規の利用者であることが認証できない場合は(S9、NO)、車両が一定時間走行したか、走行していないかをナビゲーション装置Nに接続されている車速パルスからの信号を元に盗難判定手段3で判断する(S10)。ここで、車が走行していないと判断されると(S10、NO)、認証手段2で再度認証を行う(S9)。そこで
認証手段2で認証されると(S9、YES)、正規の利用者として判断しナビゲーション装置Nの操作が可能になる(S13)。
【0038】
また、S10において車が一定時間走行したと判断されると(S10、YES)、ナビゲーション装置Nの記憶手段8に保存された車の所有者の電話帳やメールなどの個人情報をデータ削除手段1を用いて削除(消去)する。そして、個人情報を削除したあと、制御手段9を用いてナビゲーション装置Nを操作不可能な状態に自動的に移行する(S12)。
【0039】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、車両に生じた振動を振動センサ12で検出し、その振動が意図的に車に与えられた振動であると盗難判定手段3が判断した場合は、車内に入室した人がナビゲーション装置Nを操作しようとする際に認証手段2で正規の利用者か判断して、認証できない状態で車が動いた(移動した)場合には、不正な利用者であると判断し、記憶手段8に保存されている電話帳や電子メール等の個人情報を削除するため個人情報の流出を防止することができる。
【0040】
また、第2の実施の形態において、認証手段2で認証できず(S9、NO)、車両が走行していない場合(S10、NO)だと、S9とS10との間でループ状態となってしまう構成としているが特に本発明を限定するものではなく、ループ状態を回避するために、例えば、S9とS10との間にループ回数をカウントするように構成し、S9とS10の間を3回ループして認証できない場合は、S11にバイパスするように構成して個人データを削除するように構成してもよい。
【0041】
次に、第3の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成部分に関しては同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図4は、第3の実施の形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、第3の実施の形態のナビゲーション装置Nは、データ暗号化手段1aと、認証手段2と、盗難判定手段3と、表示手段4と、通信手段5と、チューナー6と、再生手段7と、記憶手段8と、制御手段9と、車両側に取り付けられるGPS10と、車速パルス11と、振動センサ12で構成され、制御手段9でナビゲーション装置Nを制御するように構成されている。
【0043】
ここで、データ暗号化手段1aは、記憶手段8に保存された所有者の電話帳や電子メール等を個人情報を暗号化して読み取りや解読ができないようにするものである。暗号化として例えば、アルゴリズム等を用いて暗号化することができる。また、暗号化された個人情報は、暗号鍵が一致することで復元することができるように構成することが好ましい。
【0044】
次に、データ暗号化手段1aを備えたナビゲーション装置Nの動作について、図5を用いて詳細に説明する。図5は、第3実施の形態のナビゲーション装置の動作を示すフロー図である。
【0045】
図5に示すように、駐車場等に停車している車(車両)の振動センサ12が振動を検出すると(S14、YES)、振動センサ12が検出した振動が故意に与えられたものか、自然に発生した振動なのかを盗難判定手段3で判断する(S15)。ここで盗難判定手段3で車に生じた振動が故意に与えられた振動であると判断されると(S15、YES)、車内に入室し他人がナビゲーション装置Nを操作しようとすると、車の所有者又は車の利用を許可された人か否かを認証手段2を用いてパスワードを入力させて判断する(S16)。
【0046】
このとき、認証手段2で正規の利用者(車の所有者又は車の利用を許可された人)であることが認証できた場合は(S16、YES)、ナビゲーション装置Nの操作が許可され、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる。しかし、認証手段2で正規の利用者であることが認証できない場合は(S16、NO)、不正使用者と判断しナビゲーション装置Nの記憶手段8に保存された所有者の電話帳やメールなどの個人情報をデータ暗号化手段1aを用いて暗号化する(S17)。そしてデータ暗号化手段1aで個人情報が暗号化と共にナビゲーション装置Nを操作できない状態に移行する(S18)。なお、盗難判定手段3で自然に発生した振動だと判断された場合は(S14、NO)、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる(S19)。
【0047】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、車に生じた振動を振動センサ12で検出し、その振動が意図的に車に与えられた振動だと盗難判定手段3で判断した場合には、車内に入室した人がナビゲーション装置Nを操作しようとすると、認証手段2で正規の利用者か判断するためにパスワードの入力を求めて認証する。そして正規の利用者でないと判断された場合には、記憶手段8に保存されている電話帳や電子メール等の個人情報をデータ暗号化手段1aで暗号化することで個人情報の流出を防止することができる。
【0048】
次に、第4の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、ナビゲーション装置の構成は第2の実施形態と同じであり、構成の詳細な説明は省略する。
また、第3の実施の形態において認証手段2で認証できなかった場合、記憶手段8の個人情報を即座に暗号化していたが、第4の実施形態では、個人情報を暗号化するまでに一定期間を設けるように構成したナビゲーション装置の実施の形態を説明する。
【0049】
第4の実施の形態のナビゲーション装置Nの動作についてフロー図を用いて説明する。図6は、第4の実施の形態を示すフロー図である。
【0050】
図6に示すように、駐車場等に停車している車(車両)の振動センサ12が振動を検出すると(S20、YES)、振動センサ12が検出した振動が故意に与えられたものか、自然に発生した振動なのかを盗難判定手段3で判断する(S21)。車に生じた振動が故意に与えられた振動であると盗難判定手段3で判断されると(S21、YES)、車内に入室した人がナビゲーション装置Nを操作しようとすると、認証手段2がパスワードを入力させて車の所有者又は車の利用を許可された人か否かを判断する(S22)。
【0051】
このとき、認証手段2で正規の利用者(車の所有者又は車の利用を許可された人)であると判断されると(S22、YES)、ナビゲーション装置Nの操作が許可され、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる。また、認証手段2で正規の利用者であることが認証できない場合(S22、NO)、車両が一定時間走行したか、走行していないかをナビゲーション装置Nに接続されている車速パルス11の信号からの信号を元に盗難判定手段3で判断する(S23)。ここで、車が走行していないと判断されると(S23、NO)、認証手段2で再度認証を行う(S22)。そこで認証手段2で認証されると(S22、YES)、正規の利用者として判断しナビゲーション装置Nの操作を可能にする(S26)。
【0052】
また、車速パルス11を検出し盗難判定手段3で車が一定時間走行したと判断すると(S23、YES)、ナビゲーション装置Nの記憶手段8に保存された車の所有者の電話帳やメールなどの個人情報をデータ暗号化手段1aを用いて暗号化する。そして、個人情報を暗号化すると共に、ナビゲーション装置Nの操作ができない状態に制御手段9を用いて自動的に移行する(S25)。
【0053】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、車両に生じた振動を振動センサ12で
検出し、その振動が意図的に車に与えられた振動だと盗難判定手段3で判断した場合には、車内に入室してナビゲーション装置Nを操作しようとする際に認証手段2でパスワードの入力を求め、パスワードの入力結果から正規の利用者か判断する。パスワードでの認証ができない状態で車が動いた(移動した)場合には、不正な利用者であると判断し記憶手段8に保存されている電話帳や電子メール等の個人情報を暗号化するので個人情報の流出を防止することができる。
【0054】
また、第4の実施の形態において、認証手段2で認証できず(S22、NO)、車両が走行していない場合(S23、NO)だと、S22とS23との間でループ状態となってしまう構成としているが特に本発明を限定するものではなく、ループ状態を回避するために、例えば、S22とS23との間にループ回数をカウントするように構成し、S22とS23の間を3回ループして認証できない場合は、S24にバイパスするように構成して個人データを暗号化するように構成してもよい。
【0055】
以上、第1の実施の形態から第4の実施の形態において振動センサ12で振動を検出した際に振動のゆれに応じて盗難判定手段3で判断するように構成しているが、例えば、市販されている車両盗難防止装置を本発明のナビゲーション装置Nに接続して使用することができる。
【0056】
次に、第5の実施の形態として振動センサ12以外の車両異常検出手段としてイモビライザー13を用いた実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。なお、ナビゲーション装置の構成は第4の実施形態と同じであり、構成の詳細な説明は省略する。図7(a)は、第5の実施の形態を示す構成図であり、図7(b)は、第5の実施の形態の動作を示すフロー図である。
【0057】
図7(a)に示すように、ナビゲーション装置Nは、データ削除手段1と、認証手段2と、盗難判定手段3と、表示手段4と、通信手段5と、チューナー6と、再生手段7と、記憶手段8と、制御手段9と、車両側に取り付けられるGPS10と、車速パルス11と、イモビライザー13で構成され、制御手段9でナビゲーション装置Nを制御するように構成されている。なお、イモビライザー13とは、キーに埋め込まれたトランスポンダ(電子チップ)の個有のIDコードと車両側コントローラのIDコードを電子的に照合し、IDコードが一致すれば自動車のドアの施錠を解除したり、自動車のエンジン始動を行うことができるものである。
【0058】
次に、第5の実施の形態としてイモビライザー13を備えたナビゲーション装置Nの動作について、図7(b)を用いて詳細に説明する。
【0059】
図7(b)に示すように、イモビライザー13を装備している車において、エンジン始動がイモビライザー13で行われたか否かを判断する(S26)。ここでイモビライザー13で始動された場合には(S26、YES)、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる(S30)。また、イモビライザー13でエンジンを始動していないと判断されると(S26、NO)、ナビゲーション装置Nを利用しようとするときに車の所有者又は車の利用を許可された人か否かを認証手段2を用いてパスワードを入力させて判断する(S27)。認証手段2で認証できると(S27、YES)、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる。また、認証手段2で認証できないと(S27、NO)、ナビゲーション装置Nに保存されている個人情報データを暗号化し(S28)、ナビゲーション装置Nの操作を行えない状態に移行する(S29)。
【0060】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、車に搭載されたイモビライザー13が利用されずにエンジンが始動されると、ナビゲーション装置Nを操作しようとするときに
認証手段2で正規の利用者か否かを認証して判断し、認証できない場合には、車の正規の利用者でないと判断し、記憶手段8に保存されている電話帳や電子メール等の個人データを暗号化手段1aで暗号化することで個人情報の流出を防止することができる。
【0061】
次に第6の実施の形態としてイモビライザー13以外の車両異常検出手段として侵入センサ14を用いた実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。なお、ナビゲーション装置の構成は第5の実施の形態とほぼ同じであり、構成の詳細な説明は省略する。図8(a)は、第5の実施の形態を示す構成図であり、図8(b)は、第6の実施の形態の動作を示すフロー図である。
【0062】
図8(a)に示すように、ナビゲーション装置Nは、データ削除手段1と、認証手段2と、盗難判定手段3と、表示手段4と、通信手段5と、チューナー6と、再生手段7と、記憶手段8と、制御手段9と、車両側に取り付けられるGPS10と、車速パルス11と、侵入センサ14で構成され、制御手段9でナビゲーション装置Nの動作を制御するように構成されている。なお、侵入センサ14は、車内への侵入者や室内の動きを検知したときに異常と判断するものであり、車両の外部にいる人に車両に異常が生じていることを知らせるために警笛を鳴らしたりすることができるよう構成されている。
【0063】
次に、第6の実施の形態として侵入センサ14を備えたナビゲーション装置Nの動作について、図8(b)を用いて詳細に説明する。
【0064】
図8(b)に示すように、侵入センサ14を装備している車において、侵入センサ14で車両内部に侵入してくることを監視している(S31)。侵入センサ14が車両内部に人が侵入したと判断すると(S31、YES)、ナビゲーション装置Nは車両内部に侵入した人が車の所有者であるか否かを判断するために認証手段2を用いて認証させる(S32)。認証手段2で認証できないと(S32、NO)、ナビゲーション装置Nに保存されている個人情報データを暗号化し(S33)、ナビゲーション装置Nの操作を行えない状態に移行する(S34)。
また、認証手段2で車の所有者であると認証できると(S32、YES)、ナビゲーション装置Nの操作を行うことができる。
【0065】
このように構成されたナビゲーション装置Nは、侵入センサ14で車内に侵入者がいるか否かを判断し、不正に車内に侵入したと侵入センサ14で判断した場合、ナビゲーション装置Nの操作を使用としたときに認証手段2で車の所有者か否かを認証することで確認する。このとき、認証手段2で車の所有者であると認証できないときはナビゲーション装置Nの記憶手段8に保存されている個人データを暗号化し、その後、制御手段8でナビゲーション装置Nの操作を行えないようにすることで、ナビゲーション装置Nに保存されている個人データを保護することができる。
【0066】
以上、第1の実施の形態から第6の実施の形態まで説明したが、本発明を限定するものではなく種々の変形を行っても同様の効果をえることができる。例えば、認証手段2として、パスワードを用いて認証するように説明したが、本発明を限定するものではなく、ナビゲーション装置Nに指紋認証用センサを設け、正規の利用者を指紋で認証するように構成してもよく、また、音声認証を行うために、ナビゲーション装置Nにマイクを設け、マイクから入力される音声で認証するように構成してもよい。さらに、虹彩認証を行うために、CCDカメラをナビゲーション装置Nに設け、車内に入室した際に、虹彩認証を行い正規の利用者かを認証するように構成してもよい。
【0067】
また、第1の実施の形態から第4の実施の形態において盗難判定手段3に検出精度を調整する検出精度調整手段を設けて構成することができる。このように調整手段を設けて構
成することで、盗難判定手段が過敏に反応して生じる誤動作を削減することができ、実際に車自体に振動がない状態でも検出しまうような誤動作を防止することができる。
【0068】
また、認証手段2の認証精度を調整するように認証制度調整手段を設けて構成してもよい。このように、認証精度調整手段を設けて構成することで、前記した指紋認証、音声認証、虹彩認証の場合、認証精度が高すぎてナビゲーション装置Nが、車の所有者であるにも関わらず認証できない場合や、認証精度が低いことで所有者でなくても認証してしまう等の誤動作を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかるナビゲーション装置は、車に生じた振動や異常を検出すると、ナビゲーション装置を操作しようとしたときに、車の所有者又は車の使用を許可された人かを認証手段で判断し、認証できない場合には、ナビゲーション装置に保存されている個人情報を削除又は暗号化することができるため個人情報の流出を防止することができ、セキュリティーの高いナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図2】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図3】第2の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図4】第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図
【図5】第3の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図6】第4の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図7】(a)第5の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図(b)第5の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【図8】(a)第6の実施の形態におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図(b)第6の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0071】
1 データ削除手段
1a データ暗号化手段
2 認証手段
3 盗難判定手段
4 表示手段
5 通信手段
6 チューナー
7 再生手段
8 記憶手段
9 制御手段
10 GPS
11 車速パルス
12 振動センサ
13 イモビライザー
14 侵入センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置から目的地を設定して経路案内を行うと共に個人データを保存可能に構成されたナビゲーション装置であって、
前記車両に設けられ車両の異常を検出する車両異常検出手段と、
前記車両異常検出手段の出力から車両の盗難を判定する盗難判定手段と、
前記盗難判定手段が盗難と判定したとき前記車両の利用者であることを認証する認証手段と、
前記認証手段の認証結果に基づいてナビゲーション装置の動作を制御する制御手段と、
を備えて構成されることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記認証手段の認証結果が否のとき前記個人データを削除するデータ削除手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記認証手段の認証結果が否のとき前記個人データを暗号化するデータ暗号化手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前期盗難判定手段は、前記車両の一定時間走行後に前記制御手段を動作させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記車両異常検出手段は、振動センサ、イモビライザー、侵入センサ、盗難警報装置の少なくとも一つを用いて構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記車両異常検出手段は、検出精度を調整可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記認証手段は、認証精度を調整可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。










【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−108917(P2007−108917A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297508(P2005−297508)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】