説明

ナビゲーション装置

【課題】推奨経路にしたがって走行するための車線変更を容易にするナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在地検出装置を用いて、車両の現在地を検出する。走行車線検出装置を用いて、車両が走行している車線を検出する。車両の現在地、推奨経路および地図データに基づいて、車両が次に進行する分岐点を検出する。車両が、そのまま走行車線を走行して、推奨経路にしたがって分岐点を通過できない場合は、DVD−ROMに記憶された統計交通情報に基づいて、推奨経路上の分岐点の先では渋滞が発生しているか否かを判定する。分岐点の先で渋滞が発生している場合は、分岐点の先で渋滞が発生していない場合に比べて、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離を長くする。検出した分岐点から所定距離以内の位置に車両は到達すると、車線変更を指示する音声がスピーカから出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車線別のリンク旅行時間が格納されている統計交通データを記憶したナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。この統計交通データを用いることによって、車線ごとに交通状況が異なることを考慮して、より精度よく推奨経路を探索することができる。
【特許文献1】特開2007−71581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のナビゲーション装置では、交通状況によっては、分岐点などにおいて推奨経路へ進行するための車線に変更できない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、出発地から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、車両が走行している車線を検出する車線検出手段と、車線検出手段で検出した車線に基づいて、車両が分岐点を通って推奨経路へ進入するために車線変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、判定手段で車線変更が必要であると判定されたことを条件として車線変更を指示する指示手段と、過去に収集された交通情報により生成された統計交通情報に基づいて、指示手段による車線変更指示のタイミングを制御するタイミング制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、タイミング制御手段は、統計交通情報に基づいて車線変更先の車線が渋滞していると認識した場合、渋滞を認識しない場合に比べて、車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、車速を検出する車速検出手段をさらに備え、タイミング制御手段は、車速検出手段で検出した車速も加味し、所定速度以上の場合には所定速度未満の場合に比べて、車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、統計交通情報は、車線ごとに平均車速情報と走行台数情報を備えた車線情報を含み、タイミング制御手段は、車線情報のうち、車線変更先の車線情報に基づいて車線変更の指示のタイミングを制御することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、タイミング制御手段は、車線変更先の車線における平均車速が所定値以上、および走行車両台数が所定値以上である条件が成立した場合、条件が成立しない場合に比べて車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、車線変更指示手段により車線変更を指示する変更先の車線は、高速道路を退出するときに車両が通過する車線、または、交差点を右折するときに車両が通過する車線であること特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、過去に収集された統計交通情報に基づいて、車線変更指示のタイミングが適切に制御されるので、車線変更先車線の渋滞などにより、車線変更するタイミングを逸して推奨経路から離脱するリスクを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1は、車両が走行している車線を検出し、推奨経路上の車線変更をドライバに適切に指示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、走行車線検出装置19およびディスクドライブ110を有している。ディスクドライブ110には、地図データが記憶されたDVD−ROM111が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。この制御回路11がDVD−ROM111に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは、車両の進行方向を検出する。車速センサ14bは、車速を検出する。GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定する。また、車両の現在地を地図上に自車位置マークとして表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなる。それらはDVD−ROM111に記憶された地図データなどに基づいて、制御回路11において適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ110は、DVD−ROM111から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。道路のリンク情報には、リンク旅行時間およびリンクに対応する道路の車線数の情報が含まれている。このリンク旅行時間は、後述の統計交通情報20と異なり、平日や休日など日の種類、時間帯に関係がない値である。地図表示用データは、広域から詳細までの地図データを有する。これにより、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM111以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0011】
DVD−ROM111には、過去の交通情報を収集し、その情報を統計処理した情報(以下、統計交通情報と呼ぶ)が記憶されている。図2を参照して統計交通情報20について説明する。統計交通情報20には、日の種類21と、リンクID22と、リンクに含まれる車線23と、各時間帯におけるリンク旅行時間の統計値24とが含まれている。ここで、各時間帯におけるリンク旅行時間の統計値24とは、VICS(登録商標)センタなどが過去に収集した車両の平均速度の情報からリンク旅行時間を算出し、日の種類別、リンクID別、車線別、時間帯別に分類し、統計処理(たとえば、平均化)して算出した値である。
【0012】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。
【0013】
入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などを行うための操作部材を有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を手動で操作することにより、目的地を設定する。
【0014】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地とし、目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0015】
走行車線検出装置19は、車両が走行している車線を検出する。走行車線検出装置19は、不図示のカメラを備えている。走行車線検出装置19は、カメラで車線の境界線を撮影し、その境界線が実線で描かれているか破線で描かれているかを認識し、その認識結果に基づいて車両が走行している車線を検出する。たとえば、車両が片側2車線の道路を走行している場合、走行している車線の左側の境界線が破線であるとき、車両は右側の車線を走行していると認識する。走行している車線の右側の境界線が破線であるとき、車両は左側の車線を走行していると認識する。車両が走行している道路の車線数は、現在地検出装置14で検出した車両の現在地に基づいてDVD−ROM111に記憶されている地図データより取得する。なお、GPSセンサ14cにより検出した現在地の位置精度が向上しているので、GPSセンサ14cにより検出した現在地に基づいて、車両が走行している車線を検出するようにしてもよい。
【0016】
次に、図3および図4を参照して、本発明の実施形態における車線変更指示処理について説明する。ここで、ナビゲーション装置1は、統計交通情報20を使用せず、経路探索用データを使用して推奨経路を探索する。そして、ナビゲーション装置1は、推奨経路に基づいて車線変更指示を行う。
【0017】
図3は、車両が高速道路を退出するために出口インターチェンジへ向かうときの車線変更指示を説明するための図である。高速道路を退出して、出口インターチェンジへ向かう推奨経路31が探索されており、車両32はその推奨経路31にしたがって進行するものとして説明する。また、高速道路は、片側3車線であるものとして説明する。
【0018】
図3(a)に示すように、車両32が中央の車線を走行しているとき、車両32は出口インターチェンジに進行するために、中央の車線から左側の車線に車線変更しなければならない。ナビゲーション装置1は、高速道路から出口インターチェンジへ向かう分岐点より所定距離手前(たとえば、300m手前)に車両32が到達すると、スピーカ17より、「左車線に変更指定ください。」という音声案内33を出力して、ユーザに対して車線変更を指示する。
【0019】
図3(b)の矢印34は、渋滞を表す矢印であり、高速道路から出口インターチェンジへ向かう車線が渋滞している場合である。このような場合、左側の車線に他の車両が渋滞で並び、車両32が左側の車線に車線変更できない。これを回避するため、ナビゲーション装置1は、上記所定距離よりさらに長い距離手前(たとえば、500m手前)に車両32が到達すると、スピーカ17より、「左車線に変更指定ください。」という音声案内33を出力して、ユーザに対して車線変更を指示する。
【0020】
渋滞の情報は、以下のようにして取得する。推奨経路31の探索に使用した経路探索用データのリンク旅行時間を使用して、推奨経路31上の各リンクにおける到達予想時刻を算出する。この到達予想時刻を統計交通情報20と照合して、リンク長をリンク旅行時間で割り算した値(平均速度)が所定値より小さい値となるリンクを抽出する。その抽出したリンクに対応する道路が、渋滞が発生する道路となる。
【0021】
図4は、車両が右折するときの車線変更指示を説明するための図である。道路を右折する推奨経路41が探索されており、車両42はその推奨経路41にしたがって進行するものとして説明する。また、道路は、片側2車線であるものとして説明する。
【0022】
図4(a)に示すように、車両42が左側の車線を走行しているとき、車両42は道路を右折するために、右側の車線に車線変更しなければならない。ナビゲーション装置1は、右折する交差点より所定距離手前(たとえば、100m手前)に車両42が到達すると、スピーカ17より、「右車線に変更指定ください。」という音声案内43を出力して、ユーザに対して車線変更を指示する。
【0023】
図4(b)の矢印44は、渋滞を表す矢印であり、車両が右折するとき通過する車線が渋滞している場合である。このような場合、右側の車線に他の車両が渋滞で並び、車両42が右側の車線に車線変更できない。これを回避するため、ナビゲーション装置1は、上記所定距離よりさらに長い距離手前(たとえば、200m手前)に車両42が到達すると、スピーカ17より、「右車線に変更してください。」という音声案内43を出力して、ユーザに対して車線変更を指示する。渋滞の情報は、上述と同様に、統計交通情報20を用いて取得する。
【0024】
次に、図5のフローチャートを参照して、本発明の実施形態における車線変更指示処理について説明する。図5の処理は、経路誘導が開始されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。
【0025】
ステップS501では、現在地検出装置14を用いて、車両32,42(以下、単に車両)の現在地を検出する。ステップS502では、走行車線検出装置19を用いて、車両が走行している車線を検出する。ステップS503では、車両の現在地、推奨経路31,41(以下、単に推奨経路)および地図データに基づいて、車両が次に進行する分岐点を検出する。
【0026】
ステップS504では、車両32,42が、そのまま走行車線を走行して、推奨経路31,41にしたがって分岐点を通過できるか否かを判定する。車両32,42が推奨経路31,41にしたがって分岐点を通過できる場合はステップS504が肯定判定され、リターンする。車両32,42が推奨経路31,41にしたがって分岐点を通過できない場合はステップS504が否定判定され、ステップS505へ進む。
【0027】
ステップS505では、DVD−ROM111に記憶された統計交通情報20に基づいて、推奨経路が通過する変更先の車線では渋滞34,44(以下、単に渋滞)が発生しているか否かを判定する。変更先の車線で渋滞が発生している場合はステップS505が肯定判定され、ステップS506へ進む。変更先の車線で渋滞が発生していない場合はステップS505が否定判定され、ステップS507へ進む。ステップS506では、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離をL1とする。ステップS507では、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離をL2とする。ここで、距離L2は距離L1に比べて小さい値である。
【0028】
ステップS508では、検出した分岐点から所定距離(L)以内の位置に車両が到達したか否かを判定する。検出した分岐点から所定距離(L)以内の位置に車両が到達した場合はステップS508が肯定判定され、ステップS509へ進む。検出した分岐点から所定距離(L)以内の位置に車両が到達していない場合はステップS508が否定判定され、リターンする。ステップS509では、車線変更を指示する音声案内33,43(以下、単に音声案内)をスピーカ17から出力する。そして、リターンする。
【0029】
以上の本発明の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)統計交通情報20を使用して道路の渋滞情報を取得し、車両が変更する車線に渋滞が発生するか否かによって、車線変更を指示するタイミングを変更するようにした。これにより、推奨経路にしたがって車両が走行するための車線変更が容易になる。また、統計交通情報20を使用して変更先の車線の渋滞情報を取得するので、車線ごとの渋滞情報を取得することができる。
【0030】
(2)推奨経路の探索には統計交通情報20を使用せず、車線変更指示のタイミングを判断するための渋滞情報の取得に統計交通情報20を使用するようにした。これにより、推奨経路にしたがって走行し、渋滞に遭遇した場合のユーザの推奨経路に対する不満を抑制することができる。
【0031】
統計交通情報20は、一般に数多くのサンプルデータを平均化して作成される。このため、数回程度、特異なデータを検出してもサンプルデータの平均化のため、統計交通情報20には、その特異なデータが現れてこない。統計交通情報20に基づいて推奨経路を探索すると、渋滞に遭遇しないというユーザの期待感はかなり高くなる。しかし、上述した特異なデータを検出したときと同じ状況にユーザが遭遇した場合、統計交通情報20を用いて経路探索してもユーザは渋滞に遭遇する。そうすると、渋滞に遭遇したときのユーザの推奨経路の探索に対する不満は大きくなる。一方、統計交通情報20を使用しないで推奨経路を探索した場合、渋滞に遭遇しないというユーザの期待感は高くないので、ユーザが渋滞に遭遇しても推奨経路の探索に対する不満は小さい。
【0032】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
−他の実施の形態1−
上述したように、推奨経路上の渋滞情報に基づいて車線変更指示のタイミングを変更するナビゲーション装置において、さらに、車速も加味して車線変更指示のタイミングを変更するようにしてもよい。車両の速度に関係なく、分岐点から所定距離手前に車両が到達したとき、車線変更指示を行うと、車速が速い場合、車線変更操作を行う時間が短くなるからである。車速によって、車線変更指示のタイミングを変更することによって、車速が速い場合も、車線変更を行うための時間を充分に確保することができる。
【0033】
図6のフローチャートを参照して、本発明の他の実施の形態1における車線変更指示処理について説明する。図6の処理は、経路誘導が開始されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。図5の処理と同じステップには同じ符号を付し、図5の処理と異なる部分を主に説明する。
【0034】
ステップS505が肯定判定されると、ステップS601へ進む。ステップS505が否定判定されると、ステップS603へ進む。
【0035】
ステップ601では、車速センサ14bによって車速を検出し、車速が所定速度(Tkm/h)以上であるか否かを判定する。車速が所定速度(Tkm/h)以上である場合はステップS601が肯定判定され、ステップS602へ進む。車速が所定速度(Tkm/h)に満たない場合はステップS601が否定判定され、ステップS506へ進む。ステップS602では、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離をL3とする。ここで、距離L3は距離L1に比べて大きい値である。そして、ステップS508へ進む。
【0036】
ステップ603では、車速センサ14bによって車速を検出し、車速が所定速度(Tkm/h)以上であるか否かを判定する。車速が所定速度(Tkm/h)以上である場合はステップS603が肯定判定され、ステップS604へ進む。車速が所定速度(Tkm/h)に満たない場合はステップS603が否定判定され、ステップS507へ進む。ステップS604では、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離をL4とする。ここで、距離L4は、距離L2に比べて大きく、距離L1に比べて小さい値である。そして、ステップS508へ進む。
【0037】
−他の実施の形態2−
図7に示すように、車両の平均速度および平均走行台数の情報25を統計交通情報20Aに加え、渋滞情報のほかに車両の平均速度および平均走行台数の情報25に基づいて車線変更指示のタイミングを変更するようにしてもよい。渋滞が発生していない場合であっても、変更先の車線を走行している他の車両の速度が速く、変更先の車線を走行している他の車両の台数が多い場合、車線変更が難しくなるからである。たとえば、首都高速道路などでは、このような状況が想定される。したがって、そのような場合、余裕を持って車線変更を行えるようにするため、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離(L)を長くするようにしてもよい。
【0038】
車両の平均速度および平均走行台数の情報25は、交通流計測システムで検出した車両の速度および台数を、日の種類別、リンクID別、車線別、時間帯別に分類し、統計処理(たとえば、平均化)して算出される。交通流計測システムでは、各地点の道路に設置された画像センサによって道路を撮影し、撮影した画像から車両を抽出し、その抽出した車両の座標を追跡して、速度・台数などを計測する。
【0039】
図8は、画像センサで道路を撮影したときの画像を説明するための図である。たとえば、図8(a)に示すように車両のテールランプ付近81a〜81cを検出することによって、車両を抽出する。これにより、走行車両の台数を計測できる。そして、同じ車両のテールランプ付近81aを追跡し、図8(b)に示す所定時刻後の同じ車両のテールランプ付近81bの座標の移動距離より、車両の速度を計測することができる。
【0040】
図9のフローチャートを参照して、本発明の他の実施の形態2における車線変更指示処理について説明する。図9の処理は、経路誘導が開始されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。図5の処理と同じステップには同じ符号を付し、図5の処理と異なる部分を主に説明する。
【0041】
ステップS506、あるいはステップS507で所定距離(L)の値が決定された後、ステップS901へ進む。ステップS901では、分岐点から、分岐点より所定距離(L)の位置から分岐点までの変更先車線に、平均速度が所定値以上、かつ平均走行台数が所定値以上のリンクが存在するか否かを判定する。変更先車線に、平均速度が所定値以上、かつ平均走行台数が所定値以上のリンクが存在する場合はステップS901が肯定判定され、ステップS902へ進む。変更先車線に、平均速度が所定値以上、かつ平均走行台数が所定値以上のリンクが存在しない場合はステップS901が否定判定され、ステップS508へ進む。ステップS902では、車線変更の指示を行うための基準となる所定距離(L)に所定の距離(L0)を加算する。この加算した値を所定距離(L)とする。そして、ステップS508へ進む。
【0042】
−他の実施の形態3−
VICS情報より取得した渋滞情報を用いて算出した推奨経路の所要時間が、推奨経路を探索したときにVICS情報より取得した渋滞情報を用いて算出した所要時間に比べて、所定割合(たとえば、20%)以上大きくなる場合は、推奨経路の探索を再び行うようにしてもよい。推奨経路の探索は、VICS情報より取得した渋滞情報を考慮に入れて行う。渋滞がひどい場合、車線変更のタイミングを変更するよりも、推奨経路を再探索して、渋滞を回避した方が好ましいからである。ここで、VICS情報より取得した渋滞情報を考慮に入れた推奨経路の探索とは、渋滞に応じてリンク旅行時間を補正して、補正した旅行時間を用いて推奨経路の探索を行うことをいう。
【0043】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0044】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の探索手段は制御回路11に対応し、車線検出手段は走行車線検出装置19に対応する。判定手段は制御回路11に対応し、指示手段は制御回路11およびスピーカ17に対応する。車速検出手段は車速センサ14bに対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による統計交通情報を説明するための図である。
【図3】車両が高速道路を退出し、出口インターチェンジへ向かうときの車線変更指示を説明するための図である。
【図4】車両が右折するときの車線変更指示を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態における車線変更指示処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施の形態1における車線変更指示処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態2における統計交通情報を説明するための図である。
【図8】交通流計測システムを説明するための図である。
【図9】本発明の他の実施の形態2における車線変更指示処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
13 RAM
16 表示モニタ
19 走行車線検出装置
110 ディスクドライブ
111 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの推奨経路を探索する探索手段と、
車両が走行している車線を検出する車線検出手段と、
前記車線検出手段で検出した車線に基づいて、前記車両が分岐点を通って推奨経路へ進入するために車線変更する必要があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で車線変更が必要であると判定されたことを条件として車線変更を指示する指示手段と、
過去に収集された交通情報により生成された統計交通情報に基づいて、前記指示手段による車線変更指示のタイミングを制御するタイミング制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御手段は、前記統計交通情報に基づいて車線変更先の車線が渋滞していると認識した場合、渋滞を認識しない場合に比べて、車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
車速を検出する車速検出手段をさらに備え、
前記タイミング制御手段は、前記車速検出手段で検出した車速も加味し、所定速度以上の場合には所定速度未満の場合に比べて、車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記統計交通情報は、車線ごとに平均車速情報と走行台数情報を備えた車線情報を含み、
前記タイミング制御手段は、前記車線情報のうち、車線変更先の車線情報に基づいて車線変更の指示のタイミングを制御することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記タイミング制御手段は、前記車線変更先の車線における平均車速が所定値以上、および走行車両台数が所定値以上である条件が成立した場合、前記条件が成立しない場合に比べて車線変更の指示のタイミングを早くすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記車線変更指示手段により車線変更を指示する変更先の車線は、高速道路を退出するときに前記車両が通過する車線、または、交差点を右折するときに前記車両が通過する車線であること特徴とするナビゲーション装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−47491(P2009−47491A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212312(P2007−212312)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】