説明

ナビゲーション装置

【課題】地図を部分的に更新可能なナビゲーション装置において、地図のどの部分がどのように更新されたかをユーザが更新後に知ることができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置1は、配信サーバから配信される更新地図データに基づいて、HDD13に記憶されている地図データを部分的に更新する。また、過去の日付を更新日として指定し、この更新日における地図データの更新内容を表す更新履歴地図を表示モニタ17において表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、更新地図データをサーバ等から受信して地図データの差分更新を行うナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−165639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような地図データの更新を行う場合、ナビゲーション装置のユーザは、更新地図データの対価や通信料などの費用を負担する必要がある。しかし、特許文献1に開示される従来のナビゲーション装置によれば、更新地図データを受信すると自動的に最新の地図に更新されるため、ユーザは地図のどの部分がどのように更新されたかを更新後に知ることができない。そのため、ユーザにとっては、せっかく費用負担をしたにも関わらず、地図更新の効果が実感できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるナビゲーション装置は、地図データを記憶する記憶手段と、所定の配信元から配信される更新地図データに基づいて地図データを部分的に更新する更新手段と、過去の日付を更新日として指定する更新日指定手段と、更新日における地図データの更新内容を表す更新履歴地図を表示する表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、地図のどの部分がどのように更新されたかをユーザが更新後に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーションシステムの構成図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】更新履歴地図の一例である。
【図4】別の更新日が指定されたときの更新履歴地図の例である。
【図5】さらに別の更新日が指定されたときの更新履歴地図の例である。
【図6】地図データ更新時のフローチャートである。
【図7】更新履歴地図表示時のフローチャートである。
【図8】更新履歴地図の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によるナビゲーションシステムの構成を図1に示す。このシステムは、車両100に搭載されているナビゲーション装置1および通信端末2と、通信回線網3と、配信サーバ4とによって構成される。なお、ナビゲーション装置1と通信端末2は、有線あるいは無線接続によって接続されている。
【0009】
ナビゲーション装置1は、車両100の位置を検出し、地図を表示して検出した車両100の位置をその地図上に示す。また、ユーザに車両100の目的地が設定されると、その目的地までの推奨経路を探索し、探索した推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。ナビゲーション装置1には、このような処理を実行するために用いる地図データが記憶されている。
【0010】
ナビゲーション装置1において記憶されている地図データは、部分的に更新することができる。地図データを更新する際、ナビゲーション装置1は、元の地図データと最新の地図データとの差分を、更新地図データとして取得する。この更新地図データは、通信端末2および通信回線網3を介して配信サーバ4からナビゲーション装置1に配信される。あるいは、配信サーバ4から配信された更新地図データを、パーソナルコンピュータ等を用いて、DVD5またはUSB(Universal Serial Bus)メモリ6に記録しておき、これをナビゲーション装置1において読み込むこととしてもよい。なお、地図データを部分的に更新する場合、ナビゲーション装置1または配信サーバ4において更新対象地域が設定される。
【0011】
ナビゲーション装置1は、上記のようにして取得した更新地図データに基づいて元の地図データの内容を書き換えることで、地図データの更新を行う。地図データを更新した場合、ナビゲーション装置1は、その更新日および更新内容に関する更新履歴情報を記憶しておく。これにより、後日ユーザがナビゲーション装置1に対して更新日を指定すると、当該更新日における地図データの更新内容を確認するための更新履歴地図を表示することができる。なお、ナビゲーション装置1における地図データ更新時および更新履歴地図表示時の具体的な処理手順については、後で詳しく説明する。
【0012】
通信端末2は、ナビゲーション装置1の制御により、必要に応じて通信回線網3と無線接続を行う。通信回線網3には、配信サーバ4が接続されている。すなわちナビゲーション装置1は、通信端末2と通信回線網3を介して配信サーバ4に接続する。通信端末2と通信回線網3が無線接続する際には、通信回線網3が有する不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。なお、通信端末2は、たとえば携帯電話などである。また、通信回線網3は、たとえば携帯電話回線網やインターネットなどにより構築される。
【0013】
配信サーバ4は、全国各地の地図データを記憶している。配信サーバ4を管理している管理者は、地図データの元となる地図の内容に変更が生じると、その変更を所定のタイミングで配信サーバ4の地図データに反映し、地図データの更新を行う。こうして配信サーバ4の地図データが更新されると、その更新内容ごとに更新日の情報が配信サーバ4において記録される。
【0014】
ナビゲーション装置1から通信端末2および通信回線網3を介して更新地図データの配信要求があると、配信サーバ4は、その配信要求に応じて更新地図データを配信する。あるいは、配信サーバ4において更新地図データの配信が可能となったときに、配信サーバ4からナビゲーション装置1へ自動的に更新地図データを配信するようにしてもよい。なお、更新対象地域が設定されている場合は、その更新対象地域についてのみ更新地図データが配信される。こうして配信サーバ4から配信された更新地図データは、通信回線網3を介して通信端末2へと送信され、通信端末2からナビゲーション装置1へ出力される。これにより、ナビゲーション装置1において更新地図データがダウンロードされる。
【0015】
DVD5とUSBメモリ6は、いずれも更新地図データが記録されている記録媒体である。ナビゲーション装置1は、DVD5とUSBメモリ6のいずれか一方がユーザによってセットされると、そこから更新地図データを読み込むことができる。DVD5とUSBメモリ6には、たとえば、ユーザが図示しないパーソナルコンピュータを用いてダウンロードした更新地図データが記録されている。この場合、DVD5には、DVD−Rなどの記録型DVDが用いられる。あるいは、ナビゲーション装置1の製造メーカ等がDVD5やUSBメモリ6を郵送などでユーザに配布してもよい。この場合、DVD5は、記録型DVDでなくともよい。なお、DVD5やUSBメモリ6の代わりに、他の種類の記録媒体、たとえばCDやメモリカード等を用いてもよい。
【0016】
次にナビゲーション装置1の構成について説明する。図2は、ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスク(HDD)13、ディスクドライブ14、USBインタフェース(I/F)15、GPS(Global Positioning System)受信部16、表示モニタ17および入力装置18を備えている。
【0017】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、自車両すなわち車両100を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の検索処理、設定された目的地までの推奨経路の探索処理、車両100の現在位置の算出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。制御部10には通信端末2が接続されており、制御部10によって通信端末2を制御することで、ナビゲーション装置1から図1の配信サーバ4に対して更新地図データの配信要求が行われる。この配信要求に応じて配信サーバ4から配信された更新地図データは、通信端末2を経由して制御部10へ出力される。
【0018】
振動ジャイロ11は、車両100の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、車両100の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサの検出結果に基づいて、制御部10において車両100の運動状態を所定の時間間隔ごとに算出することにより、車両100の移動量が求められ、それによって車両100の現在位置が検出される。
【0019】
HDD13は、記録されている情報を書き換え可能な不揮発性の記録媒体である。このHDD13には、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどの情報が記録されている。HDD13に記録されている地図データでは、地図が所定の距離単位で複数の区画に分割されて表されている。この区画のそれぞれはメッシュと呼ばれる。すなわち、ナビゲーション装置1において、地図データはメッシュ単位で管理されている。
【0020】
HDD13に記録されている地図データにおいて、各道路は所定の道路区間ごとに分割されて表されている。この道路区間のそれぞれは、リンクと呼ばれる。すなわち、地図データにおいて、各道路は複数のリンクにより構成されている。このリンクのそれぞれには、推奨経路を探索するのに用いられるリンクコストと呼ばれる値が設定されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれる。ノードのそれぞれは、地図の座標を用いて表現された位置情報を有している。このノードの位置情報に基づいて、地図上に表される各道路の位置や形状が決定される。
【0021】
HDD13に記録されている地図データは、配信サーバ4から配信される更新地図データ、あるいはDVD5またはUSBメモリ6から読み込まれる更新地図データにより、全体または設定された更新対象地域について更新することができる。たとえば、新しい道路が開通した場合や、新しい施設が設置された場合などに、その道路や施設の情報が更新地図データとして提供される。この更新地図データにより、更新前の地図データのうち該当する部分の内容が書き換えられることで、地図データが更新される。なお、更新対象地域の設定は、前述のメッシュ単位で行われる。
【0022】
新しく開通した道路が更新対象地域を通過して他の地域まで到達している場合、更新地図データにおいてその道路の情報は、更新対象地域内の部分だけでなく、他の道路に接続する地点までを含めて提供される。すなわち、既存の道路との接続が保障されている地点までの情報が更新地図データとして提供される。これにより、更新後の地図データにおいて追加された道路が途中で途切れてしまったり、既存の道路との間で不整合が生じたりするのを避けるようにしている。
【0023】
なお、配信サーバ4から更新地図データを配信する場合と、DVD5またはUSBメモリ6から更新地図データを読み込む場合とで、異なる更新対象地域の範囲を設定してもよい。たとえば、配信サーバ4から更新地図データを配信する場合は、通信端末2による無線通信の費用や時間を抑えるために、ユーザが指定した地点から所定距離内の範囲に含まれるメッシュが更新対象地域とされる。その一方で、DVD5またはUSBメモリ6から更新地図データを読み込む場合は、ユーザがパーソナルコンピュータを用いて更新地図データをダウンロードする際に、ユーザによって都道府県単位で更新対象地域のメッシュが設定される。すなわち、ユーザに指定された都道府県と全体的または部分的に重なる全てのメッシュが更新対象地域とされる。さらにこの場合、更新対象地域内の道路や施設以外の情報、たとえば新たなアイコンの情報などを更新地図データに含めることもできる。
【0024】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、書き換え可能な記録媒体であればHDD以外のものであってもよい。たとえば、HDDの代わりにフラッシュメモリなどを用いてもよい。
【0025】
ディスクドライブ14は、DVD5に記録されている更新地図データを読み出すための部分であり、ディスク駆動機構やピックアップ機構などを有している。ディスクドライブ14にDVD5がセットされると、DVD5に記録されている更新地図データがディスクドライブ14によって読み出され、制御部10に出力される。これにより、ナビゲーション装置1においてDVD5から更新地図データが読み込まれる。
【0026】
USBインタフェース15は、USBメモリ6を装填するためのスロット部を有している。このスロット部にUSBメモリ6が装填されると、USBメモリ6に記録されている更新地図データがUSBインタフェース15によって読み出され、所定のインタフェース処理が行われた後、制御部10に出力される。これにより、ナビゲーション装置1においてUSBメモリ6から更新地図データが読み込まれる。
【0027】
GPS受信部16は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、車両100の位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて車両100の現在位置と現在時刻を算出することができる。このGPS受信部16によって受信されたGPS信号に基づいて算出された車両100の現在位置と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の検出結果に基づいて算出された車両100の現在位置とに基づいて、最終的な車両100の現在位置が求められる。
【0028】
表示モニタ17は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ17により、地図画面の表示などが行われる。表示モニタ17に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ17は、たとえば車両100のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0029】
入力装置18は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは入力装置18を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、表示モニタ17と一体化されたタッチパネルにより入力装置18を実現してもよい。
【0030】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、地図データにおいて設定された前述のリンクコストに基づいて、たとえばリンクコストの合計が最小となる目的地までの経路を探索し、その経路を推奨経路として設定する。こうして設定された推奨経路は、他の道路と区別可能な表示形態により地図上に示される。その後ナビゲーション装置1は、現在地周辺の地図を表示し、設定された推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。
【0031】
次に、ナビゲーション装置1において更新履歴を確認する方法について説明する。ユーザが入力装置18を用いて所定の操作を行うと、ナビゲーション装置1は、過去の更新履歴を確認するための更新履歴確認モードに移行する。この更新履歴確認モードでは、現在の地図、すなわち最後に更新された地図データに基づく地図と、ユーザに指定された更新日に対する過去の地図、すなわち更新前の地図とを、当該更新日における地図データの更新内容を表す更新履歴地図として、表示モニタ17に同時に表示する。これにより、ユーザが過去の更新履歴を確認できるようにする。
【0032】
更新履歴確認モードにおいて表示される更新履歴地図の一例を図3に示す。この例では、現在の地図20が画面左側に、過去の地図21が画面右側にそれぞれ表示されている。また、過去地図21は2007年8月1日以前の地図であること、すなわち地図データの更新日が2007年8月1日であることも表示されている。なお、図3では、HDD13の地図データが最後に更新された日付を更新日として指定したときの例を示している。すなわち、過去地図21は現在地図20の一世代前の地図であり、上記更新日において地図データが更新されることで、過去地図21が現在地図20に書き換えられている。
【0033】
また、画面下側に表示されている操作ボタン41および42は、更新日を変更して過去地図21をその更新日に対応するものに切り替えるための操作ボタンである。ユーザが入力装置18の操作により操作ボタン41を選択すると、更新日が一回分だけ新しい日付側に変更される。すなわち、それまでに指定されていた更新日の次に地図データの更新が行われた日が新たに指定される。この場合、過去地図21はそれよりも一世代だけ新しい地図に切り替えられる。一方、操作ボタン42を選択すると、更新日が一回分だけ古い日付側に変更される。すなわち、それまでに指定されていた更新日の前に地図データの更新が行われた日が新たに指定される。この場合、過去地図21はそれよりも一世代だけ古い地図に切り替えられる。
【0034】
なお、図3では、前述のようにHDD13の地図データを最後に更新した日付が更新日として指定されたときの例を示している。すなわち、この更新日よりも新しい日付側の更新日を指定することができない。そのため、操作ボタン41の選択操作を禁止すると共に、そのことが分かるように操作ボタン41の表示形態を変えている。
【0035】
図3において現在地図20と過去地図21とを比較すると、現在地図20において存在する道路31が過去地図21では存在しないことが分かる。すなわち、この道路31は、過去地図21に対応する更新日である2007年8月1日においてHDD13の地図データを更新することにより、当該地図データに新たに書き加えられたものであることが分かる。ユーザは、更新履歴地図としてナビゲーション装置1に表示されるこのような画面を確認することで、地図のどの部分がどのように更新されたかを地図データの更新後に知ることができる。
【0036】
図3において操作ボタン42が選択されると、前述のように古い日付側の更新日が新たに指定され、過去地図21が切り替えられる。このとき表示される更新履歴地図の例を図4に示す。図4では、図3の過去地図21の代わりに、新たに更新日として指定された日付である2006年9月1日以前の過去地図22が表示されている。図4において現在地図20と過去地図22とを比較すると、現在地図20において存在する道路31および32が過去地図22では存在しないことが分かる。このうち前述の道路31を除いた道路32は、過去地図22に対応する更新日である2006年9月1日においてHDD13の地図データを更新することにより、当該地図データに新たに書き加えられたものである。
【0037】
図4において操作ボタン41が選択されると、新しい日付側の更新日として、前述の図3における更新日、すなわち2007年8月1日が指定される。その結果、図3の更新履歴地図に戻る。一方、図4において操作ボタン42が選択されると、古い日付側の更新日が新たに指定され、過去地図22が切り替えられる。このとき表示される更新履歴地図の例を図5に示す。図5では、図4の過去地図22の代わりに、新たに更新日として指定された日付である2005年5月1日以前の過去地図23が表示されている。図5において現在地図20と過去地図23とを比較すると、現在地図20において存在する道路31、32および33が過去地図23では存在しないことが分かる。このうち前述の道路31および32を除いた道路33は、過去地図23に対応する更新日である2005年5月1日においてHDD13の地図データを更新することにより、当該地図データに新たに書き加えられたものである。
【0038】
図5において操作ボタン41が選択されると、新しい日付側の更新日として、前述の図4における更新日、すなわち2006年9月1日が指定される。その結果、図4の更新履歴地図に戻る。なお、図5では、HDD13の地図データを最初に更新した日付が更新日として指定されたときの例を示している。すなわち、この更新日よりも古い日付側の更新日を指定することができない。そのため、操作ボタン42の選択操作を禁止すると共に、そのことが分かるように操作ボタン42の表示形態を変えている。
【0039】
以上説明したように、ナビゲーション装置1は、更新履歴確認モードにおいて、更新履歴地図として、指定された更新日における更新前の地図と最新の地図とを同時に表示モニタ17に表示する。
【0040】
なお、上記の図3〜5では、更新前の地図である過去地図21、22または23と、最新の地図である現在地図20とを、同一の縮尺および地図範囲で表示している。このようにすれば、ユーザにとって更新内容を容易に把握できるため好ましい。
【0041】
次に、ナビゲーション装置1において地図データ更新時および更新履歴地図表示時に実行される処理内容を説明する。図6は地図データ更新時のフローチャート、図7は更新履歴地図表示時のフローチャートである。先に図6に示す地図データ更新時のフローチャートについて説明する。ユーザが入力装置18を用いて所定の操作を行うことにより、ナビゲーション装置1に対して地図データの更新を指示すると、図6のフローチャートの実行が制御部10において開始される。
【0042】
ステップS10において、制御部10は、配信サーバ4から配信される更新地図データを取得する。この配信地図データは、前述のように通信端末2および通信回線網3による無線通信を介して、またはDVD5やUSBメモリ6を介して、ナビゲーション装置1に供給される。
【0043】
ステップS20において、制御部10は、ステップS10で取得した更新地図データにおける更新対象地域を特定する。
【0044】
ステップS30において、制御部10は、前述のような更新履歴地図を後で表示するための更新履歴情報をHDD13に保存する。ここでは、更新日すなわち現在の日付の情報と共に、ステップS10で取得した更新地図データが反映される前の地図内容を更新履歴情報として保存する。具体的には、更新対象地域における更新前の地図を表示するための画像、すなわちステップS20で特定した更新対象地域の全体を含む範囲の地図画像を、更新履歴情報としてHDD13に記憶させる。
【0045】
ステップS40において、制御部10は、ステップS10で取得した更新地図データに基づいて、HDD13に記憶された地図データを更新する。これにより、地図データが部分的に更新される。ステップS40を実行したら、制御部10は図6のフローチャートを終了する。
【0046】
続いて図7に示す更新履歴地図表示時のフローチャートについて説明する。ユーザが入力装置18を用いて所定の操作を行うことにより、ナビゲーション装置1に対して更新履歴確認モードへの移行を指示すると、図7のフローチャートの実行が制御部10において開始される。
【0047】
ステップS100において、制御部10は、HDD13に更新履歴情報が記録されているか否かを判定する。更新履歴情報が記録されている場合はステップS110へ進み、記録されていない場合は図7のフローチャートを終了する。このステップS100の処理により、ナビゲーション装置1において地図データの更新が一度も行われておらず、HDD13に更新履歴情報が記録されていない場合は、ユーザから更新履歴確認モードへの移行を指示された場合であっても、図7のフローチャートを実行せずに更新履歴確認モードへ移行しないようにする。さらに、更新履歴確認モードへ移行するためのタッチパネル操作ボタンが画面上に表示されているときは、そのボタンをハッチング表示などすることで操作可能時とは異なる表示形態として、当該ボタンが操作不可能であることをユーザに知らせるようにしてもよい。
【0048】
ステップS110において、制御部10は、更新日の指定を行う。ここでは、図6のステップS30により過去に保存された更新履歴情報に基づいて、これまでに地図データの更新が行われた過去の日付のうちいずれかを更新日として指定する。この更新日の指定は自動的に行ってもよい。たとえば、更新履歴確認モードに移行した直後は、最新の更新日すなわち最後に地図データの更新が行われた日を自動的に指定する。
【0049】
ステップS120において、制御部10は、ステップS110で指定された更新日に対応する更新履歴情報をHDD13において検索する。すなわち、図6のステップS30により過去に保存された更新履歴情報の中から、指定された更新日の情報を含む更新履歴情報を検索する。
【0050】
ステップS130において、制御部10は、HDD13に記録された地図データに基づいて現在の地図を表示モニタ17に表示する。さらに、ステップS120で検索された更新履歴情報に基づいて、ステップS110で指定された更新日における更新前の地図を表示モニタ17に同時に表示する。すなわち、図6のステップS30により更新履歴情報として過去に保存された前述の地図画像を更新前の地図として表示する。これにより、図3〜5に例示したような更新履歴地図が表示される。
【0051】
ステップS140において、制御部10は、ステップS110で指定した更新日を変更するか否かを判定する。前述したように、図3〜5いずれかの更新履歴地図において、ユーザが入力装置18を用いた操作によって操作ボタン41または42を選択した場合は、更新日を変更すると判定してステップS110へ戻る。この場合、当該操作内容に応じた新たな更新日をステップS110において指定した後、上記のステップS120およびS130の処理を再度実行する。これにより、変更後の更新日に応じた更新履歴地図が表示される。一方、操作ボタン41または42の選択操作が行われていない場合は、更新日を変更しないと判定してステップS150へ進む。
【0052】
ステップS150において、制御部10は、更新履歴確認モードを終了するか否かを判定する。ユーザが入力装置18を用いて所定の操作を行うことにより、更新履歴確認モードの終了をナビゲーション装置1に対して指示した場合は、図7のフローチャートを終了して更新履歴確認モードを終了する。一方、更新履歴確認モードを継続する場合は、ステップS140へ戻り、ユーザから更新日の変更操作が入力されるのを待つ。
【0053】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0054】
(1)ナビゲーション装置1は、配信サーバ4から配信される更新地図データに基づいて、HDD13に記憶されている地図データを部分的に更新する(ステップS40)。また、過去の日付を更新日として指定し(ステップS110)、この更新日における地図データの更新内容を表す更新履歴地図を表示モニタ17において表示する(ステップS130)。このようにしたので、地図のどの部分がどのように更新されたかを更新後にユーザに知らせることができる。
【0055】
(2)ステップS130では、更新履歴地図として、ステップS110で指定された更新日における更新前の地図と最新の地図とを同時に表示する。これにより、過去の更新履歴をユーザに分かり易く確認させることができる。
【0056】
(3)ステップS130で更新履歴地図を表示する際は、更新前の地図と最新の地図とを同一の縮尺および地図範囲で表示する。これにより、更新内容をユーザに容易に把握させることができる。
【0057】
(4)ナビゲーション装置1は、図6のフローチャートが実行されて地図データが更新されるときに、更新前の地図を表示するための画像を更新履歴情報としてHDD13に記憶しておく(ステップS30)。ステップS130で更新履歴地図を表示するときは、この画像に基づいて更新前の地図を表示する。このようにしたので、地図データの更新後においても、更新前の地図を簡単な処理で確実に表示することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態では、指定された更新日における更新前の地図と最新の地図とを更新履歴地図として表示する例を図3〜5により説明したが、これに代えて、更新前の地図と更新後の地図とを更新履歴地図として同時に表示してもよい。たとえば図4において、現在地図20の代わりに、更新日に指定された2006年9月1日における更新後の地図、すなわち図3の過去地図21を更新前の過去地図22と共に表示する。また同様に、図5において、現在地図20の代わりに、更新日に指定された2005年5月1日における更新後の地図、すなわち図4の過去地図22を更新前の過去地図23と共に表示する。さらに、こうした更新後の地図と最新の地図とを合わせて、更新前の地図と同時に表示してもよい。すなわち、指定された更新日における更新前の地図と、最新の地図および当該更新日における更新後の地図のいずれか少なくとも一方とを、更新履歴地図として同時に表示することができる。このようにしても、地図のどの部分がどのように更新されたかを地図データの更新後にユーザに知らせることができる。
【0059】
あるいは、図3〜5のように更新前の地図と最新の地図とを同時に表示する代わりに、指定された更新日における更新部分と他の部分とを識別可能に表した地図を更新履歴地図として表示することとしてもよい。その例を図8に示す。図8の例では、更新日に指定された2007年8月1日について、図3の現在地図20と過去地図21の代わりに、更新履歴地図24が表示されている。この更新履歴地図24では、上記の更新日において地図データに新たに書き加えられた道路31を破線で表示することで、実線で表示された他の道路と識別可能に表している。なお、破線以外の表示形態を用いることもできる。たとえば色を変えたり点滅表示したりすることで、道路31を他の道路と識別可能に表してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、更新前の地図内容を画像データによりHDD13に保存しておく例を説明したが、他の方法でこれを保存してもよい。たとえば、地図データの更新時に、更新された部分の地図データを消去せずにそのままHDD13に残しておくことで、更新前の地図内容を保存することもできる。
【0061】
上記実施の形態では、HDD13において地図データが更新された日付を更新日として指定する例を説明したが、これに代えて、更新地図データの配信元である配信サーバ4において管理者が地図データを更新した日付、すなわち更新地図データの配信に用いる地図データが更新された日付を、更新日として指定するようにしてもよい。この場合、更新地図データを配信する際に、その更新地図データの元となる配信サーバ4の地図データが更新された日付の情報を、配信サーバ4からナビゲーション装置1へ提供する。あるいは、HDD13における地図データの更新日と配信サーバ4における地図データの更新日の両方を指定できるようにしてもよい。この場合、ユーザが両者を識別できるようにするために、更新履歴地図等において更新日を表示する際の表示形態をその種類に応じて変えるなどの処置を行うことが好ましい。
【0062】
さらに、更新日に加えて、時刻や地域を指定できるようにしてもよい。たとえば、同じ更新日に複数の地域について地図データが更新された場合は、更新の時刻や地域についても指定できるようにする。このようにすれば、同じ更新日における複数の更新内容を個別に指定できるため、ユーザが確認したい更新内容に対応する更新履歴地図を確実に選択して表示することができる。なお、こうした更新日、時刻、地域などの指定は、前述のような方法で行ってもよいし、リスト表示されたものの中からいずれかをユーザが選択することで行うようにしてもよい。
【0063】
以上説明した実施の形態では、更新前の地図データと最新の地図データとの差分を更新地図データとしてナビゲーション装置1に提供することで、ナビゲーション装置1の地図データを更新する例を説明した。しかし、このようにはせず、更新前の地図データと重複する部分を更新地図データに含めてナビゲーション装置1に提供し、HDD13において記録してもよい。
【0064】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:ナビゲーション装置、2:通信端末、3:通信回線網、4:配信サーバ、
5:DVD、6:USBメモリ、10:制御部、11:振動ジャイロ、
12:車速センサ、13:HDD、14:ディスクドライブ、
15:USBインタフェース、16:GPS受信部、17:表示モニタ、
18:入力装置、100:車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する記憶手段と、
所定の配信元から配信される更新地図データに基づいて前記地図データを部分的に更新する更新手段と、
過去の日付を更新日として指定する更新日指定手段と、
前記更新日における前記地図データの更新内容を表す更新履歴地図を表示する表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記更新履歴地図として、前記更新日における更新前の地図と、最新の地図および前記更新日における更新後の地図のいずれか少なくとも一方とを、同時に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記更新前の地図と、前記最新の地図および前記更新後の地図のいずれか少なくとも一方とを、同一の縮尺および地図範囲で表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナビゲーション装置において、
前記記憶手段は、前記更新手段により前記地図データが更新されるときに、前記更新前の地図を表示するための画像を記憶し、
前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記画像に基づいて前記更新前の地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記更新履歴地図として、前記更新日における更新部分と他の部分とを識別可能に表した地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記更新日指定手段は、前記記憶手段において前記地図データが更新された日付または前記配信元において前記更新地図データの配信に用いる地図情報が更新された日付のいずれかを前記更新日として指定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記更新日に複数の地域について前記地図データが更新された場合、前記複数の地域のいずれかを指定する地域指定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記地域指定手段により指定された地域について前記更新履歴地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−163949(P2011−163949A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27364(P2010−27364)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】