説明

パターン自動検査装置

【課題】検査部のテープ部分に所定の張力を付与することができ、またかかるテープ部分への振動の伝達を確実に阻止し、撮像性能を向上させる。
【解決手段】透過光式検査部Dにテープ1の厚さ方向に湾曲させる第1の張力付与装置43と、テープの長手方向に張力を付与する第2の張力付与装置44を配設する。第1の張力付与装置43は、テープ1の下面を支持する一対の支持ローラ46、47と、テープ1を支持ローラ46、47に押し付ける一対の押圧ローラ48、49とで構成されている。第2の張力付与装置44は、テープ1の側縁部をそれぞれ保持する一対のクランプ装置60、61と、クランプ装置60、61をテープ1の長手方向に移動させてテープ1に張力を付与するシリンダ64を備えている。さらに、一対の吸着手段66によってテープ1の下面を吸着保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造工程等で使用されるパターン自動検査装置に関し、特にフィルムキャリアテープに形成されている回路パターンを撮像カメラによって順次撮像し、回路パターンの欠陥を自動的に検査するパターン自動外観検査装置等に用いて好適なパターン自動検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装用のフィルムキャリアテープ(以下、テープと称する:Tape Automated Bonding)に形成されている回路パターンを撮像装置によって撮像し基準パターンと比較することにより、パターンの欠陥(例えば、太り、断線、短絡、細り等)を自動的に検査する検査装置としては、例えば特許文献1に開示されたパターン自動検査装置が知られている。
【0003】
前記特許文献1に記載されているパターン自動検査装置は、本出願人によって出願されたもので、エアダンサーにダンサーローラを組込み、このローラの質量によってテープに所定の張力を付与することにより、薄くて幅が広いテープであってもテープに緩みが生じず、安定かつ確実に走行させることができるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−174363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のパターン自動検査装置によれば、サンダーローラによってテープに所定の張力を付与しているので、テープの緩みや揺れを抑えることができ、テープを搬送する上できわめて有効な技術といえる。
しかしながら、例えば、装置の巻出しランナー部、バッファー部、巻取りランナー部などでの動作による振動、設置場所の空調装置による風、その他の要因による振動等が検査部のテープに伝わると、微細な検査対象の撮像に悪影響を及ぼすという問題があった。すなわち、検査部のテープ部分に細かな振動が伝わると、テープが弛んだり反ったりして撮像装置の焦点深度から外れ、このため取込み画像が所謂ぶれた状態となって鮮明な画像が得られず、高精細なパターンの検査ができなくなる。
【0006】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、検査部のテープ部分に所定の張力を付与することができ、またかかるテープ部分への振動の伝達を確実に阻止し、撮像性能を向上させるようにしたパターン自動検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、透過光式検査部の撮像位置に配設されテープに形成されているパターンを撮像する透過光式撮像装置と、前記撮像位置に配設され前記テープを厚さ方向に湾曲させる第1の張力付与装置と、この第1の張力付与装置の搬送方向の前後にそれぞれ配設され前記テープに長手方向の張力を付与する一対からなる第2の張力付与装置と、上流側の第2の張力付与装置の上流側と、下流側の第2の張力付与装置の下流側にそれぞれ配設され前記テープのパターン側とは反対側の面を吸着保持する一対からなる吸着手段とを備えたものである。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の張力付与装置が、テープ搬送方向に所定の間隔をおいて平行に配設されテープのパターン側とは反対側の面を支持する回転自在な一対の支持ローラと、この支持ローラの搬送方向の前後にそれぞれ上下動自在かつ回転自在に配設されて前記テープを押圧し前記支持ローラに押し付ける一対の押圧ローラとを備えているものである。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記第2の張力付与装置が、前記テープの幅方向両端部をそれぞれ保持するクランプ装置と、このクランプ装置を開閉させる第1の駆動源と、前記クランプ装置を前記撮像位置から離間する方向に移動させてテープに長手方向の張力を付与する第2の駆動源を備えているものである。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記透過光式撮像装置と前記第1の張力付与装置とは、一体的に結合されており、パターンの撮像時にテープの長手方向に移動されるものである。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記吸着手段が、ケースの開口部を覆う連続気泡の多孔質板からなる吸着板を備え、前記ケースの内部を排気装置によって排気し、テープを前記吸着板に吸着させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明において、テープは第1、第2の張力付与装置の働きにより長手方向および幅方向の張力を付与されることにより被撮像部分が平坦な面を形成する。したがって、被撮像部分は皺や反りや凹凸が発生したりすることがなく、また撮像装置の焦点深度内に位置し、鮮明な画像を得ることができる。
【0013】
吸着手段は、テープを吸着保持することにより、検査部以外での動作による振動、設置場所の空調装置による風、その他の要因による振動等がテープの被撮像部分に伝わるのを阻止する。したがって、撮像への影響が少なく、撮像性能を一層向上させることができる。また、連続気泡の多孔質板からなる吸着板は、テープを均一に吸着し、テープを損傷することが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るパターン自動検査装置の一実施の形態を示す概略構成図、図2は第2の検査部の詳細な構成図、図3は第1の張力付与装置の斜視図、図4は第2の張力付与装置の斜視図である。本実施の形態は、テープ1に形成されている回路パターン2を電子部品が実装される以前に自動的に検査し、不良品(NG)の回路パターンに対してはNGのマーキングを施するようにしたパターン自動検査装置10に適用した例を示す。
【0015】
図3および図4において、前記テープ1は、ポリイミド製の半透明なフィルムからなり、表面にはパターン形成部3が幅方向に二列(一般的には1〜4列)に並べて形成されている。これらのパターン形成部3に検査対象である同一形状からなる多数の微細な回路パターン2が所定のピッチでテープ1の長さ方向に形成されている。一般に回路パターン2は、テープ1のパターン形成部3の銅箔をエッチング処理することにより形成したものである。また、回路パターン2の厚さは8〜30μm、幅はボンディングするインナーリード線部で8〜50μm程度である。そして、テープ1の両側縁部および中央部にはパーフォレーション部5を形成しており、これらのパーフォレーション部5には多数のパーフォレーション6がテープ1の全長にわたって一定のピッチで形成されている。テープ1の幅は35〜300mm程度、厚さは20〜75μm程度である。回路パターン2の検査項目は、太り、断線、短絡、細り、ピッチずれ、突起、欠け、リード曲がり、ピンホール、導線間比率、最小パターン幅、最小ギャップ幅等である。
【0016】
図1において、前記パターン自動検査装置10は、筐体12を有し、その内部がテープ1の搬送通路11に沿って7つのセクション、すなわち図1において左から右に向かって巻出しランナー部A、第1の検査部(反射光式検査部)B、第1のバッファー部C、第2の検査部(透過光式検査部)D、第2のバッファー部E、マーキング部Fおよび巻取りランナー部Gに分かれている。なお、図1においては、図示を省略したが、筐体12の各セクションA〜Gは独立した筐体になっている。これは、セクションA、C、E〜Gでの動作による振動を第1、第2の検査部B、Dに極力伝えないようにするためである。
【0017】
前記巻出しランナー部A、第1、第2のバッファー部C、Eおよび巻取りランナー部Gは、筐体12の内部下方に設けられ、第1、第2の検査部B、Dおよびマーキング部Fは、筐体12の内部上方に設けられている。また、筐体12の内部には、装置全体をコンピュータ制御する図示を省略した制御部が組み込まれている。
【0018】
前記巻出しランナー部Aには、テープ1を第1の検査部Bに供給する巻出し装置13が設けられている。巻出し装置13は、前記テープ1がその表面を外側にして巻回された巻出しリール14と、この巻出しリール14を間欠的に駆動しテープ1を巻出す駆動用モータ15と、テープ1を押圧することで張力を付与する回転自在なテンションローラ16等で構成されている。
【0019】
前記第1の検査部Bは、テープ1に形成されている回路パターン2を光学的に検査するセクションであって、回路パターン2を照射する光源20と、この光源20から出射し回路パターン2に当たって反射した反射光を撮像する反射光式のパターン撮像装置21と、このパターン撮像装置21によって撮像された回路パターン2の良否を判定する判定部(図示せず)等を備えている。パターン撮像装置21による回路パターン2の撮像は、巻出しランナー部Aから第1のバッファー部Cまでのテープ1を一時停止させた状態で行われる。判定部は、パターン撮像装置21によって撮像された回路パターン2の画像を予め記憶している良品パターンと比較することにより、欠陥箇所を割り出しその良否を判する。そして、その結果は、制御部に送られ記憶部に一時記憶される。
【0020】
さらに、前記第1の検査部Bには、同検査部Bの下流側に位置してテープ1の幅方向の移動を防止する回転自在なスプロケットローラ22と、検査部Bの上流側に位置しテープ1の搬送時に駆動モータによって駆動されるスプロケットローラ23と、撮像時にテープ1の被撮像部分S1を下側から吸着保持する吸着板24が配設されている。
【0021】
前記第1のバッファー部Cには、テープ1に所定の張力を付与する張力付与機構30が配設されている。前記張力付与機構30は、上方が開放するボックス31と、このボックス31の開口部付近に回転自在に配設された一対のテープ案内ローラ32、33と、前記ボックス31内に配設されたダンサーローラ34等で構成されている。
【0022】
前記ダンサーローラ34は、それ自身の質量によってテープ案内ローラ32、33間のテープ部分1AをU字状に屈曲させてボックス31内に垂下させることにより、前記テープ部分1Aに一定の張力を付与している。すなわち、ダンサーローラ34は、テープ案内ローラ32、33間のテープ部分1Aの下端部が下面側に略半周にわたって添接されることにより、このテープ部分1Aによって支持され、ローラ自体の質量によってテープ1自体に弛みがなくなるまで下降してテープ部分1Aに一定の張力を付与するものである。これによりダンサーローラ34は、質量がテープ部分1Aの張力とバランスする高さに保持される。なお、テープ部分1Aの張力は、ダンサーローラ34の質量を変えることで容易に調整することができる。
【0023】
前記第2の検査部Dは、前記第1の検査部Bとともにテープ1に形成されている回路パターン2を光学的に検査するセクションであって、搬送通路11を挟んで撮像位置Hの下方および上方に互いに対向して配設された光源41および透過光式のパターン撮像装置42と、このパターン撮像装置42によって撮像された回路パターン2の良否を判定する判定部(図示せず)と、図2に示す第1、第2の張力付与装置43、44が配設されている。光源41は、撮像時にテープ1の回路パターン2を下方から照射する。パターン撮像装置42は、テープ1の幅方向に並設されたラインセンサを備え、撮像時に駆動モータにより光源41および第1の張力付与装置43と一体にテープ1の長手方向に移動し、ラインセンサが光源41から出射しテープ1を透過した透過光を受光することにより回路パターン2を撮像するように構成されている。
【0024】
図2および図3において、前記第1の張力付与装置43は、テープ1を厚さ方向に湾曲させることにより長手方向の張力を付与するもので、前記撮像位置Hにテープ1の搬送方向に所定の間隔をおいて平行に配設されテープ1の回路パターン2が形成されている面(上面)とは反対側の面(下面)を幅方向全長にわたって支持する一対の支持ローラ46、47と、これらの支持ローラ46、47の搬送方向の前後にそれぞれずれて配設され前記テープ1の被撮像部分S2の近傍部S2’を自重によって上方から押圧し支持ローラ46、47に押し付けて下方に湾曲させる一対の押圧ローラ48、49とで構成されている。
【0025】
支持ローラ46、47は、全長にわたって同一外径の棒状体に形成され、端部が搬送通路11を挟んで対向する左右一対の支持板50A、50Bに形成した軸孔によって回転自在に軸支されている。支持ローラ46、47のテープ1が接触する上側周面は、テープ1の送り基準ラインJ(図2)よりも上方に位置している。この上側周面の高さは、パターン撮像装置42の焦点深度と一致している。また、支持ローラ46、47の外周面には、反射光による影響を少なくするために艶消し黒色塗料が塗布されている。
【0026】
前記各押圧ローラ48、49は、軸50、51と、これらの軸50、51の各端部寄りおよび中央部にそれぞれ設けられた3つのローラ52a〜52c、53a〜53cとからなり、各軸50、51の端部が前記支持板50A、50Bに形成したU字状の軸受け溝54a、54b、55a、55bによってそれぞれ回転自在かつ上下動自在に軸支されている。3つのローラ52a〜52c、53a〜53cは、テープ1の各パーフォレーション部5に対応するように軸50、51にそれぞれ固定されている。
【0027】
テープ1の押圧ローラ48、49によって押圧されている部分、すなわち被撮像部分S2の近傍部S2’は、図2および図3に示すように押し下げられて下方に湾曲し、被撮像部部S2の両端部が幅方向全長にわたって支持ローラ46、47の上側周面上側に押し付けられる。このように押圧ローラ48、49によってテープ1の被撮像部分S2の近傍部S2’を押圧して下方に湾曲させることにより、被撮像部分S2に長手方向および幅方向の張力が加わるため、被撮像部分S2はテープ長手方向および幅方向の反り、凹凸が取り除かれて平坦化し、撮像高さ位置に保持される。
【0028】
前記一対の支持板50A、50Bは、不図示の連結部材によって前記光源41およびパターン撮像装置42に一体に連結されており、回路パターン2の撮像時に駆動モータによってこれらと一体にテープ1の搬送方向に移動され、ラインセンサが回路パターン2をスキャンして撮像するように構成されている。パターン撮像装置42による回路パターン2の撮像は、上記した反射光式のパターン撮像装置21と同様に巻出しランナー部Aから第2のバッファー部Eまでのテープ部分を停止させた状態で行われ、その画像が判定部に送られる。判定部は、パターン撮像装置42によって撮像された回路パターン2の画像と予め記憶している良品パターンと比較することにより、欠陥箇所を割り出しその良否を判定する。そして、その結果は、制御部に送られ記憶部に一時記憶される。
【0029】
前記第2の張力付与装置44は、一対からなり図2に示すように前記第1の張力付与装置43の上流側と下流側に等距離離間して対称的に配設されることにより、テープ1にその長手方向の張力を付与するもので、テープ1の幅方向両端部をそれぞれ保持する一対のクランプ装置60、61(図4)と、各クランプ装置60、61をそれぞれ開閉させる第1のシリンダ(駆動源)62、63と、前記クランプ装置60、61を撮像位置H(図2)からテープ長手方向に離間する方向に移動させてテープ1に長手方向の張力を付与する第2のシリンダ64、65とを備えている。各クランプ装置60、61は、上下に対向する一対のクランプ片60aと60b、61aと61bをそれぞれ備え、上側のクランプ片60a、61aが第1のシリンダ62、63によってそれぞれ上下動されるように構成されている。また、クランプ装置60、61は、テープ1の長手方向に移動自在な取付板70の上面両端部にそれぞれ配設されている。取付板70は、テープ1への張力付与時に、第2のシリンダ64、65によってテープ1に張力を付与する方向に移動される。
【0030】
また、前記第2の検査部Dには、テープ1を吸着保持する一対の吸着手段66が配設されている。この吸着手段66は、上流側の第2の張力付与装置44の上流側と、下流側の第2の張力付与装置44の下流側にそれぞれ配設されるもので、テープ1の下面を吸着する吸着板72と、この吸着板72が取付けられたケース73と、このケース73を上下動させる第3のシリンダ(駆動源)74と、ケース73の内部を排気する排気ポンプ75等で構成されている。
【0031】
前記吸着板72は、連続気泡の多孔質板によって形成され、ケース73の上面開口部を覆うように設けられている。ケース73は、通常テープ1の送り基準ラインJ(図2)より下方に待機しており、回路パターン2の撮像時にテープ1が停止すると第3のシリンダ74の駆動によって前記送り基準ラインJの高さ位置まで上昇し、吸着板72をテープ1の下面に接触させるように構成されている。なお、ケース73は、排気管76を介して排気ポンプ75に接続されている。
【0032】
図1において、さらに前記第2の検査部Dの搬送方向の前後には、同検査部Dにおけるテープ1の幅方向の移動を防止する回転自在なスプロケットローラ76と、テープ1の搬送時に駆動モータによって駆動されるスプロケットローラ77(図2)が配設されている。
【0033】
図1において、前記第2のバッファー部Eには、テープ1に所定の張力を付与する張力付与機構80が配設されている。この張力付与機構80は、前記第1のバッファー部Cの張力付与機構30と同一構造であるためその説明を省略する。
【0034】
前記マーキング部Fは、制御部から送られてくるNG信号によってNGと判定された回路パターン2に対してパンチングによりNGのマーキングを施すセクションであり、マーキング装置90が設置されている。マーキング装置90によるNG回路パターン2へのマーキングは、第2のバッファー部Eから巻取りランナー部Gまでのテープ1を停止させた状態で行われる。また、第1、第2の検査部B、Dにおける回路パターン2の撮像とマーキング部Fにおけるマーキングは、同期しておらず個々独立に行われる。
【0035】
前記マーキング部Fの上流側と下流側には、マーキング部Fにおけるテープ1の幅方向の移動を防止するための回転自在なスプロケットローラ91と、テープ1の搬送時に駆動モータによって駆動されるスプロケットローラ92が配設されている。
【0036】
前記巻取りランナー部Gには、回路パターン2の検査が終了したテープ1を巻取る巻取り装置95が配設されている。巻取り装置95は、テープ1を巻取る巻取りリール96と、この巻取りリール96を間欠的に駆動してテープ1を巻取りリール96に巻取らせる駆動用モータ97と、テープ1に張力を付与する回転自在なテンションローラ98等で構成されている。
【0037】
次に、上記構造からなるパターン自動検査装置10の動作等を説明する。
先ず、制御部に検査対象であるテープ1の品種データを登録する。登録する品種データは、テープ1の幅、回路パターン2のピッチP、テープ幅方向のパターン数等である。また、第1、第2の検査部B、Dの撮像動作をテープ1の回路パターン2に応じて設定する。
【0038】
次に、被検査対象であるテープ1が巻回された巻出しリール14を巻出しランナー部Aにセットし、テープ1の先端部を引き出して第1の検査部B、第1のバッファー部C、第2の検査部D、第2のバッファー部E、マーキング部Fおよび巻取りランナー部Gに導き、始端を巻取りリール96に固定する。テープ1の巻取りリール96に固定された始端から巻出しリール14までの巻出し部分は、回路パターン2が形成されていない余長部分である。
【0039】
パターン自動検査装置10による検査のための準備が全て完了すると、スタートボタンをONにする。スタートボタンをONにすると、駆動モータ15(図1)が駆動して回路パターン2が形成されているテープ部分を巻出しリール14から間欠的に繰り出して第1の検査部Bに導く。回路パターン2が形成されているテープ部分が第1の検査部Bに導かれると、スプロケットローラ23の駆動が停止してこのローラ23から巻出しリール14までのテープ部分を停止させ、パターン撮像装置21によりテープ1の被撮像部分S1の回路パターン2の撮像が行われる。このとき、テープ1のパターン撮像装置21によって撮像される被撮像部分S1は、吸着板24によって下面が吸着保持されていることにより平坦面を形成しており、反り、凹凸、皺等が取り除かれる。このため、テープ1の被撮像部分S1の回路パターン2は、パターン撮像装置21の焦点深度内に位置し、パターン撮像装置21によって的確に撮像される。パターン撮像装置21が回路パターン2を撮像すると、その画像信号は判定部に送られる。判定部では、回路パターン2が良品であるか否かを判断し、その結果が制御部に送られて記憶部に一時記憶される。なお、吸着板24は、第2の張力付与装置44の吸着板72と同様に連続気泡の多孔質板からなり、撮像時に図示を省略した排気ポンプによって排気されることによりテープ1の被撮像部分S1を下方から吸着保持し、撮像が終了すると下方に退避するように構成されている。パターン撮像装置21により回路パターン2の撮像が終了すると、再びスプロケットローラ23を駆動させてテープ1を搬送する。
【0040】
回路パターン2の撮像が終了し第1の検査部Bを通過したテープ1は、第1のバッファー部Cを経て第2の検査部Dに導かれ、被撮像部分S2が撮像位置Hに到達すると再び停止する。テープ1が停止すると、第1、第2の張力付与装置43、44によってテープ1にその長手方向の張力を付与する。すなわち、押圧ローラ48,49によってテープ1の被撮像部分S2を支持ローラ46、47に押し付けることにより、被撮像部分S2に長手方向の張力を付与する。また、テープの幅方向全長が支持ローラ46,47に押し付けられることにより幅方向の張力が付与される。さらに、一対のクランプ装置60、61を第1のシリンダ62、63によってそれぞれ駆動してテープ1の各端部を挾持させ、次いで、第2のシリンダ64、65を駆動して取付板70を吸着板72方向に移動させる。これにより、テープ1の第2の検査部Dに停止しているテープ部分に長手方向の張力を付与する。この結果、撮像位置Hに位置し一対の支持ローラ46、47によって支持されている被撮像部分S2が平坦面を形成し、長手方向および幅方向の部分的な反り、凹凸等が取り除かれ、パターン撮像装置42の焦点深度内に保持される。
【0041】
さらに、吸着手段66が駆動してテープ1のテープ部分S3を吸着保持する。すなわち、この吸着保持は、第3のシリンダ74の駆動によってケース73を所定の高さまで上昇させて吸着板72をテープ1の下面に接触させ、この状態で排気ポンプ75を駆動してケース73の内部を真空排気すると、吸着板72がテープ1を吸引して保持する。前記テープ部分S3は、被撮像部分S2より上流側においては、上流側のクランプ装置60、61とスプロケットローラ77の間のテープ部分であり、被撮像部分S2より下流側においては、下流側のクランプ装置60、61とスプロケットローラ76との間のテープ部分である。
【0042】
このようにテープ部分S3を吸着保持すると、テープ巻出し部A、第1のバッファー部B、第2のバッファー部E、マーキング部F、巻取り部Gなどにおいて発生する微小な振動、その他の振動等が前記テープ部分S3を通って撮像位置Hの被撮像部分S2に伝達されるのを阻止することができる。このため、被撮像部分S2が動いたり、弛んだりするおそれがなく、パターン撮像装置42によって回路パターン2を的確に撮像することができ、高精細なパターンの検査を行なうことができる。
【0043】
パターン撮像装置42による回路パターン2の撮像が終了すると、クランプ装置60、61によるテープ1のクランプ状態を解除するとともに、吸着手段66による吸着状態を解除してテープ1を解放し、ケース73を下方に退避させる。そして、テープ1を再び走行させてマーキング部Fに搬送する。テープ1の走行時にケース73を下方に退避させておくと、吸着板72がテープ1に接触せず、テープ1の損傷を低減することができる。
【0044】
マーキング部Fは、判定部によって不良品と判定された回路パターン2に対してマーキング装置90によってマーキングする。そして、マーキング部Fを通過したテープ1は、巻取りランナー部Gに導かれ、巻取りリール96に巻取られる。パターン自動検査装置10による回路パターン2の検査が終了すると、巻取りリール96に巻取られたテープ1は、巻取りリール96とともに巻取りランナー部Gから取り外され、次工程に搬送される。
【0045】
なお、上記した実施の形態においては、フィルムキャリアテープ1の回路パターン2を検査するパターン自動検査装置10に適用した例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、LCD、ASIC、μBGA、CSP等の被検査物のパターン検査にも用いることができる。
【0046】
また、上記した実施の形態においては、反射光式の第1の検査部Bと、透過光式の第2の検査部Dとを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず透過光式の検査部Dのみを備えたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るパターン自動検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】第2の検査部の詳細な構成図である。
【図3】第1の張力付与装置の斜視図である。
【図4】第2の張力付与装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1…テープ、2…回路パターン、10…パターン自動検査装置、11…搬送通路、41…光源、42…パターン撮像装置、43…第1の張力付与装置、44…第2の張力付与装置、46、47…支持ローラ、48、49…押圧ローラ、60、61…クランプ装置、62、63…第1の駆動源、64、65…第2の駆動源、66…吸着手段、72…吸着板、73…ケース、74…第3の駆動源、75…排気ポンプ、D…透過光式検査部、H…撮像位置、S1、S2…被撮像部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過光式検査部の撮像位置に配設されテープに形成されているパターンを撮像する透過光式撮像装置と、前記撮像位置に配設され前記テープを厚さ方向に湾曲させる第1の張力付与装置と、この第1の張力付与装置の搬送方向の前後にそれぞれ配設され前記テープに長手方向の張力を付与する一対からなる第2の張力付与装置と、上流側の第2の張力付与装置の上流側と、下流側の第2の張力付与装置の下流側にそれぞれ配設され前記テープのパターン側とは反対側の面を吸着保持する一対からなる吸着手段とを備えたパターン自動検査装置。
【請求項2】
請求項1記載のパターン自動検査装置において、
前記第1の張力付与装置は、テープ搬送方向に所定の間隔をおいて平行に配設されテープのパターン側とは反対側の面を支持する回転自在な一対の支持ローラと、この支持ローラの搬送方向の前後にそれぞれ上下動自在かつ回転自在に配設されて前記テープを押圧し前記支持ローラに押し付ける一対の押圧ローラとを備えているパターン自動検査装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のパターン自動検査装置において、
前記第2の張力付与装置は、前記テープの幅方向両端部をそれぞれ保持するクランプ装置と、このクランプ装置を開閉させる第1の駆動源と、前記クランプ装置を前記撮像位置から離間する方向に移動させてテープに長手方向の張力を付与する第2の駆動源とを備えているパターン自動検査装置。
【請求項4】
請求項1、2、3のうちのいずれか一項記載のパターン自動検査装置において、
前記透過光式撮像装置と前記第1の張力付与装置とは、一体的に結合されており、パターンの撮像時にテープの長手方向に移動されるパターン自動検査装置。
【請求項5】
請求項1、2、3、4のうちのいずれか一項記載のパターン自動検査装置において、
前記吸着手段は、ケースの開口部を覆う連続気泡の多孔質板からなる吸着板を備え、前記ケースの内部を排気装置によって排気し、テープを前記吸着板に吸着させるパターン自動検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−129844(P2010−129844A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304194(P2008−304194)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】