説明

ブラジキニンB1拮抗剤としての新規非ペプチド誘導体

本発明はブラジキニンB1の選択的拮抗剤である式(I)のR−R、QおよびZが請求項で定義される新規非ペプチド誘導体、およびその光学異性体またはラセミ体および/または塩および/または水和物および/または溶媒和物、これらの化合物を製造するためのプロセス、それらを含む薬理学的組成物および痛みおよび炎症状態の治療または予防におけるそれらの利用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は痛みおよび炎症の進行の治療あるいは予防に有用な式(I)で表す新規非ペプチド誘導体およびその光学異性体またはラセミ体および/またはその塩および/またはその水和物および/またはその溶媒和物に関する。本発明はまた式(I)の化合物の製造プロセスおよびそれを含む薬理学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キニン類は血漿および抹消組織で組織傷害あるいは感染に反応してカリクレイン酵素によるキニノーゲンの触媒的開裂に続いて作られる内因性のペプチドである。キニン類は痛みと炎症を伴う病態生理学的プロセスにおいて重要な役割をもつ。それらの生理学的作用はB1およびB2で示される膜受容体に結合したG−タンパクによって媒介される。B1およびB2受容体はともにクローン化されていて[Biochem. Biophys. Res. Commun., 184 (1992) 260−268 およびJ. Biol. Chem., 269 (1994) 21583−21586]その発現調節機構、自己保持およびシグナル伝達機能は集中的に研究中である[Mol. Pharmacol., 56 (1999) 325−333およびJ. Cell. Physiol. 193 (2002) 275−286]。
【0003】
キニン類の最初のセット、ブラジキニン(BK)とカリジン(LysBK)は多くの組織に広く分布し構成的に発現され急速に脱感作するB2受容体の刺激を通して選択的に作用する。一方、それらの活性カルボキシペプチダーゼ代謝物、キニン類の第2のセット、desArgBK(DABK)およびLysdesArgBK(LysDABK)は誘導性かつ非脱感作性で非病態条件下では殆ど発現されないB1受容体を活性化する。一般にB1受容体は種々の性質の傷害(組織外傷、感染など)の後に急速に現れる。このようにB1受容体の発現上昇は種々のタイプの傷害に対する組織の初期および後期の反応で重要な役割をもつことがよく知られている酵素、受容体、オータコイド、サイトカインおよびケモカインの局所での共発現(最終的には発現上昇)を含む全身反応の一部として現れる。
【0004】
動物モデルにおいて慢性炎症状態で支配的機能のB2からB1へのスイッチがあることが示されている。B2受容体は炎症および痛みの反応の急性期に関係するが、一方B1受容体はこの反応の慢性期に関与する。炎症および痛みの伝達におけるキニン受容体の関与はブラジキニンB1受容体欠損マウスについての研究結果によって支持されてきた。B1受容体欠損マウスは感覚機能において野生型と異なり、侵害性の化学および熱刺激に対する鎮痛閾値の増大を示し、また炎症部位での多形核白血球の集積の著しい低下を示す[PNAS, 97 (2000) 8140−8145およびNeuropharmacology 41 (2001) 1006−1012]。さらにB1受容体欠損マウスでの最大の独自の発見はB1受容体ノックアウトマウスに見られる痛覚鈍麻は部分的に脊髄における中枢性感作の低下によることを示唆するという痛覚における中枢キニン受容体の役割に対する直接的な証拠であった。しかしながら、上記の変化は別としてB1ノックアウトマウスは外見上いかなる病理的変化もなく見かけ上正常であった。
【0005】
抹消におけるB1受容体の基本的発現の証拠とは別に、近年ますます多くの証拠がB1受容体は脊髄および同様にいくつかの高次構造を含むいくつかの神経要素で‘中枢性’に構成的に発現していることを示している。これらの受容体の機能は不明確であるがそれらは痛みの伝達および痛覚過敏に関係すると見なされてきた。それゆえ、B1受容体拮抗剤は末梢部位を介して痛みの緩和に有用であるのみならず、もしそれらが中枢性B1受容体も同様にブロックするならばおそらくより広い鎮痛効果スペクトルも持つと考えられる[NeuroReport 11 (2000) 4003−4005; NeuroReport, 12 (2001) 2311−2313; Neuroscience 107 (2001) 665−673およびNeuroscience Letters 294 (2000) 175−178]。
【0006】
科学的データに基づきブラジキニン受容体はいくつかのやり方で痛みおよび痛覚過敏の媒介に関与している。B1受容体拮抗剤は多様な作用機序を持つだろう。それらは(1)他の発痛メディエーターの放出阻害による侵害受容器への間接的(‘末梢性’)効果を持つ。炎症誘導において感覚神経に近接する細胞(マクロファージ、繊維芽細胞または内皮細胞)上に現れるB1受容体は侵害受容器を感作または活性化するメディエーター(プロスタグランジン、サイトカインおよび一酸化窒素)の放出に関与することに注意、(2)B1受容体を発現している(構成的に)侵害受容器または誘導への直接的(‘末梢性’)効果および(3)脊髄の浅後角における痛みの処理に対する‘中枢性’効果、を持つ。
【0007】
それゆえ、経口で活性のある非ペプチドブラジキニンB1受容体拮抗剤は慢性の炎症性の痛みの治療の有力な治療剤となり得るだろう。
【0008】
いくつかの特許および特許出願が異なる化学構造を持つブラジキニンB1受容体拮抗剤について述べている。そのような文書は例えば次の国際特許出願である:
国際公開第200075107号パンフレット、国際公開第02076964号パンフレット、国際公開第04054584号パンフレット、国際公開第02099388号パンフレット、国際公開第05004810号パンフレット。
【発明の概要】
【0009】
我々はブラジキニンB1受容体に対し高い親和性をもちブラジキニンB2受容体を超える選択性を持つ非ペプチド誘導体のクラスを見出した。選択性は化合物の望ましくない副作用がより顕著でないので特に重要である。
【0010】
本発明は式(I)の新規非ペプチド誘導体に関するもので、
【化1】

ここで
は水素原子またはC−Cアルキル基である、
は(1) 水素原子、(2) C−Cの直鎖または分岐アルキル基、(3) −(CH−NH、(4) −(CH−OH、(5) −(CH−CO−NH、(6) −(CH−COOR、(7) 1つまたはそれ以上の水酸基あるいはハロゲン原子で任意に置換されたベンジルから選ばれる、あるいは
、Rおよびそれらがともに付く炭素原子が3−7員環シクロアルキルを形成する、
、RおよびRは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノまたは1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基で置換されたアミノ、トリフルオロメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、C−Cアルコキシカルボニル、−C(=O)−NH、または水酸基である、
Qは(1)酸素原子、(2)硫黄原子、から選ばれる、
Zは(1)−(CH−OH基または−(CH−X−P基で任意に置換した
【化2】

(2)1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、−(CH−OH基、−(CH−NH基、−(CH−CO−NH基、トリフルオロメチル基、オキソ基、−(CH−CN基、−NH−CO(C−Cアルキル)基、−NH−SO−(C−Cアルキル)基、−(CH−COOR基、−CO−NR基、−(C−Cアルコキシ)基、−NH−CO−(CH−CF基、−NH−SO−CH−CF基で任意に置換した
【化3】

(3)
【化4】


(4)オキソ基、−SO−(C−Cアルキル)基、C−Cアルキル基、−CO−(C−Cアルキル)基、−(CH−O−(CH−OH基、−(CH−OH基、−SO−NR基、−CO−NR基で任意に置換した
【化5】

(5)
【化6】


(6)
【化7】

または
【化8】

または
【化9】


(7)
【化10】

または
【化11】


(8)−(CH−OH基で任意に置換した
【化12】

または
【化13】

(9)
【化14】


(10)
【化15】

または
【化16】


(11)
【化17】


(12)−NH−(CH−P基、
(13)−NH−(CH−NR基から選ばれる、
Yは(1)−(CH−NR、(2)−(CH−X−P基から選ばれる、
nは0から6の整数、
mは0から3の整数、
qは1から6の整数、
Xは(1)一重結合、(2)酸素原子、(3)−CO−NR基、(4)COまたはSO基から選ばれる、
Pは(1)1つまたはそれ以上のハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換されたフェニル基、(2)O、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のへテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族の4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピペリジン−1−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、(3)−(CH−NR基で任意に置換されたC−Cシクロアルキル基、から選ばれる、
およびRは(1)RおよびRは同時に水素原子であることはできないという条件で、水素原子、(2)直鎖または分岐C−Cアルキル基、(3)R、Rおよびそれらの両方がともに付く窒素原子がO、S、SOおよびNから選ばれる0−3個のヘテロ原子(RおよびRが付く窒素原子に加えて)を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環をつくり、前記の環は1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は水素原子またはC−Cアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、C−Cヒドロキシアルキル基、C−Cシクロアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、ベンジル基、
Aは(1)C−Cシクロアルキル環、(2)O、S、SOおよびNから選ばれるWを含む0−4個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族5−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された5−7員環、
BはO、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は炭素原子、窒素原子またはCH基、
は酸素原子、硫黄原子、NH、CHまたはSO基、
である式(I)の新規非ペプチド誘導体およびその光学異性体またはラセミ体および/または塩および/または水和物および/または溶媒和物に関する。
【0011】
本発明はまた式(I)の化合物またはその光学異性体またはラセミ体または塩または水和物または溶媒和物を活性成分として含む薬剤組成物に関する。
【0012】
さらに本発明の目的は式(I)の化合物の合成であり、またこれらの化合物を含む薬剤の化学的および薬学的製造であり、同様にこれらの化合物による治療法であり、それは治療すべき哺乳類(ヒトを含む)へ有効量の本発明の式(I)の化合物をそれ自体または薬剤として投与することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は式(I)の新規ブラジキニンB1受容体拮抗剤である非ペプチド誘導体に関するもので
【化18】

ここで
は水素原子またはC−Cアルキル基である、
は(1)水素原子、(2)C−Cの直鎖または分岐アルキル基、(3)−(CH−NH、(4)−(CH−OH、(5)−(CH−CO−NH、(6)−(CH−COOR、(7)1つまたはそれ以上の水酸基あるいはハロゲン原子で任意に置換されたベンジルから選ばれる、あるいは
、Rおよびそれらがともに付く炭素原子が3−7員環シクロアルキルを形成する、
、RおよびRは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノまたは1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基で置換されたアミノ、トリフルオロメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、C−Cアルコキシカルボニル、−C(=O)−NH、または水酸基である、
Qは(1)酸素原子、(2)硫黄原子から選ばれる、
Zは
(1)−(CH−OH基または−(CH−X−P基で任意に置換した
【化19】

(2)1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、−(CH−OH基、−(CH−NH基、−(CH−CO−NH基、トリフルオロメチル基、オキソ基、−(CH−CN基、−NH−CO−(C−Cアルキル)基、−NH−SO−(C−Cアルキル)基、−(CH−COOR基、−CO−NR基、−(C−Cアルコキシ)基、−NH−CO−(CH−CF基、−NH−SO−CH−CF基で任意に置換した
【化20】

(3)
【化21】

基、
(4)オキソ基、−SO−(C−Cアルキル)基、C−Cアルキル基、−CO−(C−Cアルキル)基、−(CH−O−(CH−OH基、−(CH−OH基、−SO−NR基、−CO−NR基で任意に置換した
【化22】

(5)
【化23】

基、
(6)
【化24】

または
【化25】

または
【化26】

基、
(7)
【化27】

または
【化28】

基、
(8)−(CH−OH基で任意に置換した
【化28】

または
【化29】

(9)
【化30】

基、
(10)
【化31】

または
【化32】

基、
(11)
【化33】

基、
(12)−NH−(CH−P基、
(13)−NH−(CH−NR基から選ばれる、
Yは(1)−(CH−NR、(2)−(CH−X−P基から選ばれる、
nは0から6の整数、
mは0から3の整数、
qは1から6の整数、
Xは(1)一重結合、(2)酸素原子、(3)−CO−NR基、(4)COまたはSO基から選ばれる、
Pは(1)1つまたはそれ以上のハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換されたフェニル基、(2)O、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のへテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族の4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピペリジン−1−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、(3)−(CH−NR基で任意に置換されたC−Cシクロアルキル基から選ばれる、
およびRは(1)RおよびRは同時に水素原子であることはできないという条件で、水素原子、(2)直鎖または分岐C−Cアルキル基、(3)R、Rおよびそれらの両方がともに付く窒素原子がO、S、SOおよびNから選ばれる0−3個のヘテロ原子(RおよびRが付く窒素原子に加えて)を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環をつくり、前記の環は1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は水素原子またはC−Cアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、C−Cヒドロキシアルキル基、C−Cシクロアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、ベンジル基、
Aは(1)C−Cシクロアルキル環、(2)O、S、SOおよびNから選ばれるWを含む0−4個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族5−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された5−7員環、
BはO、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は炭素原子、窒素原子またはCH基、
は酸素原子、硫黄原子、NH、CHまたはSO基、
である式(I)の新規非ペプチド誘導体およびその光学異性体またはラセミ体および/または塩および/または水和物および/または溶媒和物に関する。
【0014】
本発明はまた式(I)の化合物またはその光学異性体またはラセミ体または塩または水和物または溶媒和物を活性成分として含む薬剤組成物に関する。
【0015】
さらに本発明の目的は式(I)の化合物の合成であり、またこれらの化合物を含む薬剤の化学的および薬学的製造であり、同様にこれらの化合物による治療法であり、それは治療すべき哺乳類(ヒトを含む)へ有効量の本発明の式(I)の化合物をそれ自体または薬剤として投与することを意味する。
【0016】
用語“ハロゲン”置換基はフッ素、塩素。臭素またはヨウ素原子を意味する。本説明で用いる用語“C−Cアルキル基”はメチル、エチル、ノルマル−およびイソプロピルおよび種々のブチル基を意味する。これらのC−Cアルキル基はC−Cアルコキシ基およびC−Cヒドロキシアルキル基におけるものでもよい。
【0017】
およびRの意味における4−7員複素環は例えばピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンおよび同様のものでよい。
【0018】
PおよびBの意味における4−7員複素環は例えばイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラゾール、フラン、テトラヒドロフラン、ピリミジン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、ピラジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンおよび同様のものでよい。
【0019】
Aの意味における飽和、部分不飽和または芳香族5−7員複素環は例えばイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン、ピラジン、ピペラジン、ホモピペラジン、モルホリン、チオモルホリンおよび同様のものでよい。
【0020】
本発明はまた酸または塩基で生じる式(I)の化合物の塩に関する。
【0021】
有機および無機酸とも酸付加塩の生成のために用いられる。適する無機酸は例えば塩酸、硫酸および燐酸である。1価の有機酸の代表は例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸および種々のブタン酸、吉草酸およびカプリン酸である。2価の有機酸の代表は例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸およびコハク酸である。例えばクエン酸、酒石酸などのヒドロキシ酸、あるいは例えば安息香酸またはサリチル酸などの芳香族カルボン酸、同様に例えばメタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸などの脂肪族および芳香族スルホン酸のような他の有機酸もまた使うことができる。特に価値のある酸付加塩のグループはそこで酸成分自身は投与量で治療効果を有せずあるいは活性成分の効果に好ましくない影響を持たないものである。これらの酸付加塩は薬学的に許容される酸付加塩である。なぜ薬学的に許容される酸付加塩に属さない酸付加塩が本発明に属するかの理由は、ある場合にはそれらは望ましい化合物の精製および単離に有益だからである。
【0022】
塩基で生成する塩の中で特に重要なのは例えばナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、例えばカルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属、同様にアンモニアまたは有機アミンで生成する塩である。後者の塩基はさらに例えば生成物の溶解度および処理に影響する例えばヒドロキシまたはアミノ基のような置換基をもってもよい。塩基で生成する塩は薬学的に許容しうる塩基付加塩である。
【0023】
本発明に従い式(I)の化合物はR、R、RおよびQが上記の式(I)と同様の意味をもつ式(II)のアミン誘導体を
【化34】

を式(III)の塩化スルホニルと反応し
【化35】

ついでそのようにして得られたR、R、RおよびQが上記の式(I)と同様の意味をもつ式(IV)のフェニルスルファモイル安息香酸誘導体を
【化36】

およびRが上記の式(I)と同様の意味をもちRがC−Cアルキルである式(V)のアミノ酸と反応し
【化37】

そのようにして得られたR、R、R、R、R、RおよびQの意味は上で定義した通りである式(VI)の化合物を
【化38】

、R、R、R、RおよびQの意味は上で定義した通りである式(VII)のカルボン酸誘導体を与えるように加水分解し
【化39】

最後に後者をアミン誘導体Zと反応し、得られた式(I)の非ペプチド誘導体はある場合には新しい置換基の導入および/または存在する置換基の修飾または除去、および/または塩形成および/または化合物の塩からの遊離によって他の式(I)の化合物に変換することができる。
【0024】
スルホニル化反応は好ましくは適切な溶媒中で、好ましくは塩基の存在下で行われる。反応に引き続き薄層クロマトグラフにかける。必要な反応時間は6−20時間である。反応混合物の検査は種々の方法で行うことができる。
【0025】
a) 反応混合物を濃縮し生成物を結晶化または抽出により単離する。粗成生物が十分純粋でない場合は、ついでその精製のためにカラムクロマトグラフィーが用いられる。カラムクロマトグラフィーは吸着剤としてキーゼルゲル60を用い例えばn−ヘキサン/酢酸エチル、クロロホルム/メタノール、ジクロロメタン/酢酸エチルまたはクロロホルム/アセトンのような種々の溶媒システムを溶離液とした順相でも、YMC−Pack ODS−AQタイプの充填剤(YMCによって製造された)を用いアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸またはアセトニトリル/水/酢酸を溶離液とした逆相でも行われる。
【0026】
b) 反応混合物を氷水中に注ぎ生成物を濾過または抽出によって単離する。粗生成物を結晶化あるいは上述のようにカラムクロマトグラフィーによって精製する。生成物の構造はIR、NMRおよび質量分析によって決定される。
【0027】
式(VI)の化合物の加水分解は例えば水酸化アルカリ金属、好ましくは水酸化ナトリウムまたはリチウムを用いるか、あるいは例えば有機酸、好ましくはトリフルオロ酢酸を用いて行うことができる。
【0028】
アミド結合の形成は好ましくは式(IV)または(VII)のカルボン酸からの活性誘導体を作ることによって行われ、それはそれぞれ式(V)のアミノ酸またはアミンZと好ましくは塩基の存在下で反応される。
【0029】
カルボン酸の活性誘導体への変換は適切な溶媒(例えばジメチルホルムアミド、アセトニトリル、塩素化炭化水素あるいは炭化水素またはそれらの混合)中でアミド結合の形成中にインサイツで行われる。活性誘導体は酸クロライド(例えばカルボン酸とチオニルクロライドから作られる)、混合無水物(例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下でカルボン酸とイソブチルクロロホルメートから作られる)、活性エステル(例えばカルボン酸とヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)およびジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)から、または例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下でO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)から作られる)でよい。活性誘導体は0℃から室温の範囲の温度で作ることができる。式(V)の適切なアミノ酸またはアミンZを塩基としてあるいは無機酸との塩として、アミンの遊離のために必要な例えばトリエチルアミンのような塩基の存在下で、得られた溶液または懸濁液に加える。縮合反応の後に薄層クロマトグラフにかける。必要な反応時間は6−20時間である。反応混合物の検査は種々の方法で行うことができる。
【0030】
a) 反応混合物を濃縮し、残渣を結晶化または適切な有機溶媒で抽出しある場合にはカラムクロマトグラフィーで精製する。カラムクロマトグラフィーは吸着剤としてキーゼルゲル60を、溶離液として例えばトルエン/メタノール、クロロホルム/メタノールあるいはトルエン/アセトンのような種々の溶媒システムを用いた順相で、あるいはYMC−Pack−ODS−AQタイプの充填材(YMCによって製造された)と溶離液としてアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸あるいはアセトニトリル/水/酢酸を用いた逆相で行われる。
【0031】
b) 反応混合物を純粋な生成物を得るために直接上述のようにカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0032】
生成物の構造はIR、NMRおよび質量分析によって決定される。
【0033】
得られた式(I)の非ペプチド誘導体は(調整法と関係なしに)ある場合にはさらなる置換基の導入および/または存在する置換基の修飾および/または除去によって、および/または酸との塩の形成および/または得られた酸付加物からの塩基処理による式(I)の非ペプチド誘導体の遊離によって他の式(I)の化合物に変換でき、および/または式(I)のフリーのスルホンアミド誘導体を塩基処理によって塩に変換できる。
【0034】
例えばN−ベンジル基からベンジル基、それはRを表す、の切断は例えば接触水素化または適切な溶媒中クロロエチルクロロホルメートで行うことができる。フリーの水酸基を含む式(I)の化合物は種々のアシル化またはスルホニル化剤でアシルオキシまたはスルホキシ誘導体へ変換できる。反応は例えば塩素化炭化水素中でアシル化剤として酸クロライドまたは無水酸を用いて塩基(例えばトリエチルアミンまたは炭酸ナトリウム)の存在下で行うことができる。ニトロ基を含む式(I)のスルホンアミド誘導体は還元によってアミンに変換でき、アミンはさらに水酸基のアシル化に対して述べたように酸アミドを与えるように反応できあるいはカルバメート誘導体が合成できる。エステル基は加水分解できて得られるフリーのカルボン酸は適切なアミン誘導体と反応することによってアミドに変換できる。N−(tert−ブトキシカルボニル)基は有機または無機酸(例えばトリフルオロ酢酸または塩酸)によって切断できる。シアノ基はアミド、N−ヒドロキシアミジンまたはN−を含む種々の複素環基に変換できる。
【0035】
殆どの式(V)のアミノ酸およびアミンZは市販品を入手可能かまたは種々の既知の方法によって合成できる。いくつかの新規アミンZの合成は実施例で述べる。これらの手順に従って他のアミンZも作られる。
【0036】
本発明の化合物はそれらの薬学的に許容される塩または水和物または溶媒和物も同様にそれ自身あるいは薬剤組成物の形で用いることができる。これらの組成物(薬剤)は固体、液体または半流動体の形でよく、担体、賦形剤、稀釈剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、pH−および浸透圧調節剤、香味料、着香料、同様に製剤促進または製剤準備添加物のような一般に実用されている薬剤補助剤および補助物質を加えてもよい。
【0037】
治療効果を発揮するために必要な用量は広範囲に変わり、病気のステージ、治療される患者の状態および体重、同様に活性成分に対する患者の感受性、投与経路および1日の治療回数によって各々の特定のケースにおける個々の要求に適合される。用いられる活性成分の実際の用量は治療される患者について熟練した技術、知識を持つ担当医によって安全に決められる。
【0038】
本発明による活性成分を含む薬剤組成物は通常1用量単位に0.01から100mgの活性成分を含む。もちろん、ある組成物中の活性成分の量は上で定めた上限または下限を超えることは可能である。
【0039】
薬剤組成物の固体の形は例えば錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬または注射剤に有用な凍結乾燥粉末アンプルでよい。液体組成物は注射および点滴ができる組成物、液体医薬、液体充填剤、液滴である。半流動体組成物は軟膏、バルサム、クリーム、振とう混合物および坐薬でよい。
【0040】
単純な投薬のために薬剤組成物が活性成分の一度に投与される量、あるいは数度分またはその1/2,1/3または1/4を含む用量単位からなることが適している。そのような用量単位は例えば活性成分の要求量を正確に投与するために半分または1/4にしやすくする溝で粉末化できる錠剤である。
【0041】
錠剤は胃を出た後に活性成分含量の放出を確かにするために酸溶解層で被覆できる。そのような錠剤は腸溶性である。同様な効果はまた活性成分のカプセル化で達成できる。
【0042】
経口投与のための薬剤組成物は例えば賦形剤として乳糖または澱粉、結合剤あるいは造粒剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは澱粉ペーストを含んでもよい。じゃがいも澱粉または微結晶セルロースが崩壊剤として加えられるが、ウルトラアミロペクチンまたはホルムアルデヒドカゼインもまた用いられる。タルカム、コロイド状珪酸、ステアリン、ステアリン酸カルシウムまたはマグネシウムは抗凝集剤および潤滑剤として用いられる。
【0043】
錠剤は例えば湿式造粒とそれに続く圧縮によって製造できる。混合された活性成分と賦形剤、ある場合には崩壊剤の一部も同様に適切な装置中で結合剤の水溶液、アルコール溶液またはアルコール水溶液とともに造粒し、ついで顆粒を乾燥する。乾燥した顆粒に他の崩壊剤、潤滑剤および抗粘着剤を加え、混合物を圧縮して錠剤にする。ある場合には錠剤に投与が容易なように二分溝が作られる。
【0044】
錠剤は活性成分と適切な補助剤の混合物から圧縮によって直接作ることができる。ある場合には、錠剤は例えば砂糖、セルロース誘導体(メチル−またはエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、ポリビニルピロリドン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、食用着色剤、食用酒、芳香剤、酸化鉄顔料などの安定剤、香味料、着色剤のような薬剤の実務で一般に用いられる添加物を用いることによって被覆できる。カプセルの場合、活性成分と補助剤の混合物がカプセルに詰められる。
【0045】
例えば懸濁シロップ、エリキシル剤のような液体組成物は水、グリコール、オイル、アルコール、着色および香味料を用いて作られる。
【0046】
直腸投与のために組成物は坐薬または浣腸剤に処方される。坐薬は活性成分のほかに担体、いわゆるアデプス プロ サポジトリーを含んでもよい。担体は水素化植物油、C12−C18脂肪酸トリグリセリド(好ましくは商品名Witepsolの担体)のような植物油でよい。活性成分は融かしたアデプス プロ サポジトリーと均一に混ぜられ坐薬が形作られる。
【0047】
非経口投与のために組成物は注射用溶液として処方される。注射用溶液を製造するため活性成分は蒸留水および/またはグリコールエーテルのような種々の有機溶剤に溶かされ、ある場合には例えばポリオキシエチレンソルビタン−モノラウレート、−モノオレエート、またはモノステアレート(ツイーン20、ツイーン60、ツイーン80)のような溶解剤の存在下で溶かされる。注射用溶液はまた例えばエチレンジアミンテトラアセテートのような保存剤、同様にpH調整剤および緩衝液およびある場合にはリドカインのような局所麻酔剤、のような種々の補助剤を含んでもよい。本発明の活性成分を含む注射用溶液はアンプルに詰める前に濾過され、充填後に殺菌される。
【0048】
活性成分が吸湿性の場合は、凍結乾燥によって安定化することができる。
【0049】
有用性
本発明の化合物はブラジキニン受容体拮抗剤、特に選択的ブラジキニンB1受容体拮抗剤であり、その結果痛みと炎症の進行の治療および予防に有用である。化合物は例えば慢性疼痛、特に炎症性疼痛、痛覚過敏、骨および関節痛(変形性関節症)、反復運動痛、筋膜痛(筋肉傷害、線維筋痛)、内臓痛(潰瘍性大腸炎、膵臓塩、膀胱炎、ブドウ膜炎)、周術期痛(一般外科、婦人科)、術後痛(手術後疼痛症候群)、外傷後の痛み(例えば捻挫または骨折)、神経因性疼痛(ヘルペス後神経痛、神経障害、幻肢痛、単神経炎、多発神経炎)、歯痛、および癌疼痛を含む痛みの治療に有効である。さらに狭心症、月経、糖尿病性血管障害、膵頭炎に伴う毛細血管後抵抗または糖尿病性症候群(例えば高血糖症、多尿、タンパク尿および尿中亜硝酸およびカリクレイン排泄の増加)、糖尿病性痛覚過敏に伴う痛みの治療に有効である。さらに化合物は血管浮腫、動脈硬化症、例えば抗血液量減少および/または抗低血圧剤、および敗血症のような敗血症ショックの治療に用いられる。それらは消化管または子宮の痙攣の治療のための平滑筋弛緩薬として用いられる。さらに、本発明の化合物は乾癬および湿疹、および火傷および日焼け(UV−紅斑および疼痛)を含む皮膚傷害のような炎症性皮膚疾患の治療に用いられる。化合物は様々な原因の炎症性疼痛(例えば慢性関節リウマチ、リウマチ性疾患、腱鞘炎、肝疾患、過敏性大腸症候群、炎症性大腸炎。クローン病、腎炎、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、ブドウ膜炎、歯肉炎)、アレルギーの治療に用いられる。そのような化合物は例えば慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸促迫症候群、気管支炎、肺炎、喘息のような炎症性気道疾患を治療するため治療上用いられる。それらは喘息における気道の過敏反応を制御、制限または逆転するため、アレルギー性喘息(アトピー性または非アトピー性)を含む内因性および外因性の喘息、職業性喘息、ウィルスまたは細菌で憎悪した喘息、他の非アレルギー性喘息、乳児喘鳴症候群、同様に運動誘発気管支収縮を治療するために用いられる。それらはアルミニウム肺症、アントラコーシス、アスベスト肺症、珪肺症、羽毛肺塵症、鉄症、珪粉症、煙草粉肺症および綿肺症を含む塵肺症に対し有効である。さらに、それらは例えば多発性硬化症、アルツハイマー病、癲癇、脳浮腫、群発性頭痛を含む頭痛、予防および急性の使用を含む偏頭痛、同様に閉鎖性頭部外傷にも有効である。
【0050】
生物学的評価
機能評価
組換ヒトB1またはB2受容体発現細胞におけるプレート読み取り蛍光光度計での細胞質カルシウムイオン濃度測定によるインビトロB1およびB2受容体拮抗作用強度の評価
【0051】
細胞培養
組換ヒトB1(CHO−B1、ユーロスクリーン)またはB2(CHO−B2、パーキン−エルマー)受容体を安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を10%ウシ胎児血清(FCS)、100U/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、0.25μg/mlアンホテリシンB、1%イーグル最小必須培地(MEM)、非必須アミノ酸溶液、600μg/mlG418、1%ピルベート(B2細胞株に対して)を含むダルベッコーの修飾イーグル培地(DMEM)で培養した。細胞を加湿したインキュベーター中で5%CO/95%空気の雰囲気で37℃に保ち週3回1:4で継代した。細胞を1.5−2.5x10細胞/ウェルで標準96穴マイクロプレートに蒔き、プレーティング1−2日後に細胞質カルシウムイオン濃度([Ca2+)を測定した。
【0052】
細胞質カルシウムイオン濃度の蛍光光度測定
ヒトB1およびB2受容体をそれぞれ安定して発現するCHO−B1およびCHO−B2細胞について[Ca2+測定を行った。細胞は標準96穴マイクロプレート中で増殖し測定前にカルシウム感受性蛍光染料、フルオ−4/AM(2μM)を負荷した:培養培地を除去した後染料を細胞に加え(測定用緩衝液:145 mM NaCl、5 mM KCl、2 mM MgCl、2 mM CaCl、10 mM HEPES、20 mM D−グルコース、2 mM プロベネシド、100 μl/ウェルに溶解)細胞を37℃で加湿インキュベーター中5%CO/95%空気の雰囲気で40−120分間培養した。染料負荷を止めるため細胞を測定用緩衝液で2回洗浄した。洗浄後、種々の濃度の試験化合物(DMSOストック溶液からの細胞外培養液で稀釈、最終DMSO濃度<0.1%)または緩衝液を実験構成に依って各ウェルに加えた。37℃で20−25分間培養後、[Ca2+のベースラインおよびアゴニスト誘起変化をプレート読取蛍光光度計(Fluoroskan Ascent, Labsystems)でカラム毎に測定した。励起および発光検出はプレートの底から行った。フルオ−4で用いたフィルター−485nm、発光フィルター−538nm。測定の全過程は37℃で行い通例のソフトウェアによって制御した。試験化合物の阻害強度は種々の濃度の化合物の存在下でのアゴニスト誘起[Ca2+上昇の低下の測定によって評価した。アゴニストはCHO−B1細胞に対しLysDABK、CHO−B2細胞に対しブラジキニンであった。アゴニストはEC80濃度で適用し、EC80値は毎日測定した用量反応曲線から導いた。蛍光データはΔF/F(ベースラインに対して正規化した蛍光変化)として表した。1枚のプレートについての全ての処理を複数のウェルで測定した。同じ処理をしたすべてのウェルからのデータを平均して、平均値を分析に用いた。1つの濃度点での化合物の阻害強度は対照アゴニスト反応のパーセント阻害率で表した。S字型の濃度−阻害曲線をデータに合わせ(少なくとも3回の独立した実験から導いた)、化合物による最大阻害の1/2を生じる濃度としてIC50値を決定した。
【0053】
機能および結合試験で測定した試験参照化合物は以下の通りである:
1) 4−{2−[(2,2−ジフェニル−エチル)−アミノ]−5−{4−[4−[(4−メチル−1−ピペラジニル)−カルボニル]−1−ピペリジニル]−スルホニル}−ベンゾイル}−モルホリン(NVP−SAA164, Br. J. Pharmacol. 144 (2005) 889−899); K 8nM; IC50: 33nM;
2) (R)−N−[2,3−ジヒドロ−2−オキソ−5−(2−フェニル−エチル)−1−プロピル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル]−N’−{4−[4−(4−ピリジニル)−1−ピペラジニル]−フェニル}−ウレア(J. Med. Chem. 46 (2003) 1803−1806); K 0.59nM; IC50 1.9nM;
3) N−[4−(4’−ビピペリジン)−1’−イルフェニル]−N’−[(3R)−2,3−ジヒドロ−5−(4−メチル−フェニル)−2−オキソ−1−プロピル−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−イル)−ウレア(J. Med. Chem. 46 (2003) 1803−1806); K 13.4nM; IC50 64.5nM
【0054】
参照化合物に対して我々が測定した KおよびIC50データは文献で与えられたデータとよく一致した。
【0055】
表Iに機能評価で測定した本発明の最も効果のある化合物を掲げた。
【0056】
【表1】

【0057】
受容体結合試験
1.ヒト組換ブラジキニンB1受容体結合
結合試験はヒト組換ブラジキニン受容体(CHO細胞に発現)についてユーロスクリーンのテクニカルデータシートに従って行った(Cat. No. : ES−091)。20μgタンパク/チューブを放射性リガンドとしての[3,4−プロリル−3,4−H(N)]−[Des−Arg10]カリジンとともに培養した。非特異的結合は10μMのLys−des−Arg−ブラジキニンの存在下で測定した。最終培養容積は250μlとした。試料を15分間25℃で培養しついで少なくとも1時間0.5%PEIに予め浸漬したGF/Bフィルターを通して急速に真空濾過した。放射活性は液体シンチレーションスペクトロスコピーによって測定した。
【0058】
表IIに結合試験で測定した本発明の最も効果のある化合物を掲げた。
【0059】
【表2】

【0060】
2.ヒト組換ブラジキニンB2受容体結合試験
結合試験はヒト組換ブラジキン2受容体(CHO細胞に発現)についてレセプター バイオロジーのテクニカルデータシート(Cat. No. :RBHB2M)に従い僅かに変更して行った。8.4μgタンパク/チューブを放射性リガンドとしての[2,3−プロリル−3,4−H(N)]−ブラジキンとともに培養した。非特異的結合は5μMのブラジキニンの存在下で測定した。最終培養容積は200μlとした。試料を90分間+4℃で培養しついで少なくとも1時間0.5%PEIに予め浸漬したGF/Bフィルターを通して急速に真空濾過した。放射活性は液体シンチレーションスペクトロスコピーによって測定した。
【0061】
化合物は機能および結合の両試験によってヒトB1受容体に対しヒトB2受容体を超える高い親和性と選択性(>50倍)を示した。
【実施例】
【0062】
本発明による化合物および薬剤組成物の合成をそれに限定されるものではないが以下の実施例で例示する。
【0063】
参考例1
トランス−4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−シクロヘキシルアミン二塩酸
a) トランス−2−{1−[4−(N−tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−エタノール
トランス−2−{1−[4−(N−tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−酢酸メチルエステル[J. Med. Chem. 43 (2000) 1878−1885](28.5g、105.2mmol)の無水テトラヒドロフラン(500mL)溶液を−2℃に冷却し、水素化リチウムアルミニウム(5.4g、142mmol)を滴下して混合物を−2℃で60分間攪拌した。反応混合物を−10℃に冷却して酢酸エチル(15mL)でクエンチし、ついで混合物に0℃で塩水(43mL)をゆっくり加えた。沈殿した塩を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空で乾燥した。残渣をジイソプロピルエーテル(100mL)から再結晶して白色粉末として標記化合物23.7g(93%)を得た。
【0064】
b) メタンスルホン酸トランス−2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロヘキシル)−エチルエステル
トランス−2−{1−[4−(N−tert−ブトキシカルボニル)−アミノ]−シクロヘキシル}−エタノール(15g、62mmol)およびトリエチルアミン(10.5mL、75mmol)の攪拌している無水ジクロロメタン(150mL)溶液にメタンスルホニルクロリド(5.7mL、73.4mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液を0℃で滴下した。0℃で30分間攪拌した後、溶液を水で3回抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥し真空で濃縮して標記化合物13.0g(65%)を得た。
【0065】
c) トランス−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
アセトニトリル(40mL)中でメタンスルホン酸トランス−2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロヘキシル)−エチルエステル(3.2g、10mmol)、炭酸カリウム(1.4g、10mmol)およびピロリジン(1.25mL、15mmol)の混合物を60℃で2時間攪拌した。混合物を室温に冷却し水(200mL)に注いだ。沈殿した白色結晶を濾別し水で洗浄して1.9g(64%)の標記化合物を得た。
【0066】
d) トランス−4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−シクロヘキシルアミン二塩酸
トランス−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.5g、8.46mmol)、無水ジオキサン(20mL)およびジオキサン(40mL)中の6.5N塩酸の混合物を室温で一夜撹拌し、ついでジエチルエーテルで稀釈し0℃で1時間撹拌した。沈殿した結晶を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄して乾燥し、白色に近い固体として標記化合物2.25g(99%)を得た。
【0067】
参考例2
(3−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−プロピルアミン三塩酸
a) (3−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル−プロピル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
4−ピペリジノピペリジン(Aldrich)(2.0g、11.88mmol)、(3−ブロモ−プロピル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル[Eur. J. Med. Chem. Chim. Ther. 37 (2002) 573−584] (3.96g,16.63mmol)、ジメチルホルムアミド(130mL)および炭酸カリウム(1.64g、11.88mmol)の混合物を室温で一夜攪拌し、ついで真空で乾燥した。残渣を水(150mL)に溶解し、ジクロロメタン(3x150mL)で抽出し、合わせた有機層を塩水(150mL)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して濃縮した。粗製生物を吸着剤としてキーゼルゲル60(0.040−0.063mm)(Merck)、溶出液としてクロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウム=10:1:0.1を用いたカラムクロマトグラフィーにかけて油状の標記化合物2.27g(59%)を得た。
【0068】
b) (3−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル)−プロピルアミン三塩酸
(3−[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル−プロピル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(2.15g、6.6mmol)、無水ジオキサン(40mL)およびジオキサン(22mL)中の6.5N塩酸の混合物を室温で一夜攪拌し、ついでジエチルエーテルで稀釈して0℃で1時間攪拌した。沈殿した結晶を濾別し、ジエチルエーテルで洗い乾燥してベージュ色の固体として標記化合物2.03g(92%)を得た。
【0069】
[実施例1]
(R)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) 4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)安息香酸
アルゴン雰囲気下で氷冷した2−フェノキシ−フェニルアミン(Aldrich)(49.76g、268.65mmol)の無水ピリジン(290mL)溶液に4−クロロスルホニル安息香酸(59.42g、269.32mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を室温で一夜撹拌した。混合物を真空で蒸発し、残渣を1N塩酸(300mL)で処理した。合わせた有機層を1N塩酸、水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し真空濃縮した。残渣をトルエンで処理し、得られた結晶生成物を濾過してトルエンで洗い淡桃色固体として標記化合物84.86g(85.5%)を得た。MS(EI)370.2(MH)。
【0070】
b) (R)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゼン(2.5g、6.76mmol)、トリエチルアミン(1.5mL、10.8mmol)およびHBTU[O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(Advanced Chem. Tech.)](2.9g、7.64mmol)の無水ジメチルホルムアミド(50mL)溶液を室温で5分間撹拌後、(R)−2−アミノ−プロピオン酸メチルエステル(0.95g、6.8mmol)を加えた。反応混合物のpHをトリエチルアミンの添加によって8に調整し、そのようにして得られた混合物を室温で一夜撹拌し、ついで真空濃縮した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)で処理し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出し、有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水および塩水で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して濃縮した。残渣を吸着材としてキーゼルゲル60(0.040−0.063mm)(Merck)、溶出液としてトルエン:アセトン=6:1を用いたカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色の非結晶性固体として標記化合物2.4g(78%)を得た。MS(EI)455.3(MH)。
【0071】
c) (R)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
(R)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル(0.2g、0.44mmol)のテトラヒドロフラン(1.0mL)、水(0.5mL)およびメタノール(0.5mL)の混合溶液中に撹拌しながら水酸化リチウム一水和物(0.093g、2.2mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を水に溶かし、1M塩酸で酸性にして、沈殿した固体を濾別して、水で洗い乾燥して白色に近い固体として標記化合物0.158g(81.5%)を得た。MS(EI)441.3(MH)。
【0072】
d) (R)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
(R)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸(37mg、0.085mmol)のジクロロメタン(2mL)およびジメチルホルムアミド(0.2mL)の混合溶液中に撹拌しながら1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)(18mg、0.1mmol)、HBTU(46mg、0.12mmol)およびトリエチルアミン(60μL、0.4mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、ついで吸着材としてキーゼルゲル60(0.015−0.040mm)(Merck)、溶出剤を100%Aで始め70%Aおよび30%Bまで15分間で変える(溶出剤A: クロロホルム、溶出剤B: 5%水酸化アンモニウムを含むメタノール)勾配溶出カラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物38.5mg(75%)を得た。MS(EI)605.6(MH)。
【0073】
[実施例2]
N−{2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) 4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−安息香酸
標記化合物を2−フェニルスルファニル−フェニルアミン[J. Med. Chem.; 18 (1975) 386−391]から実施例1/aに記載の方法に従って調製した。MS(EI)386.2(MH)。
【0074】
b) [4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸エチルエステル
標記化合物を4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−安息香酸とグリシンエチルエステル塩酸から実施例1/bに記載の方法に従って調製した。
【0075】
c) [4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸
標記化合物を[4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸エチルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)443.2(MH)。
【0076】
d) N−{2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を[4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)607.5(MH)。
【0077】
表Iの化合物を[4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸(実施例2/c)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。
【0078】
【表3−1】

【0079】
【表3−2】

【0080】
[実施例26]
(S)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) (S)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸ベンジルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)と(S)−2−アミノ−プロピオン酸ベンジルエステル塩酸から実施例1/bに記載の方法に従って調製した。MS(EI)531.6(MH)。
【0081】
b) (S)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を(S)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸ベンジルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)441.3(MH)。
【0082】
c) (S)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(S)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)605.5(MH)。
【0083】
[実施例27]
(R)−N−{1−ヒドロキシメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) (R)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)と(R)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/bに記載の方法に従って調製した。MS(EI)471.3(MH)。
【0084】
b) (R)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を(R)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)457.3(MH)。
【0085】
c) (R)−N−{1−ヒドロキシメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(R)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)621.5(MH)。
【0086】
[実施例28]
(S)−N−{1−ヒドロキシメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) (S)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)と(S)−2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/bに記載の方法に従って調製した。MS(EI)471.3(MH)。
【0087】
b) (S)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を(S)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)457.3(MH)。
【0088】
c) (S)−N−{1−ヒドロキシメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(S)−3−ヒドロキシ−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)621.5(MH)。
【0089】
[実施例29]
(R)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) (R)−3−(4ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)と(R)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/bに記載の方法に従って調製した。MS(EI)547.4(MH)。
【0090】
b) (R)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を(R)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)533.3(MH)。
【0091】
c) (R)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(R)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と4−ヒドロキシピペリジンから実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)616.5(MH)。
【0092】
[実施例30]
(R)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(R)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸(実施例30/b)とピペリジン−4−イル−メタノールから実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)630.6(MH)。
【0093】
[実施例31]
(R)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(R)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸(実施例30/b)と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)697.5(MH)。
【0094】
[実施例32]
(S)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) (S)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)と(S)−2−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/bに記載の方法に従って調製した。MS(EI)547.4(MH)。
【0095】
b) (S)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を(S)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/cに記載の方法に従って調製した。MS(EI)533.3(MH)。
【0096】
c) (S)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を(S)−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。MS(EI)697.6(MH)。
【0097】
表2の化合物を(S)−3−(4−ヒドロキシ−フェノキシ)−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸(実施例33/b)から実施例1/dに記載の方法に従って調製した。
【0098】
【表4】

【0099】
[実施例38]
N−{1,1−ジメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
a) 2−メチル−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステル
標記化合物を4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−安息香酸(実施例1/a)とα−アミノ−イソ酪酸メチルエステル塩酸[Collect. Czech. Chem. Commun.; 63 (1998) 85−93]から実施例1/bに記載の方法によって調製した。MS(EI)469.1(MH)。
【0100】
b) 2−メチル−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸
標記化合物を2−メチル−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸メチルエステルから実施例1/cに記載の方法によって調製した。MS(EI)455.1(MH)。
【0101】
c) N−{1,1−ジメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド
標記化合物を2−メチル−2−[4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−プロピオン酸と1−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペラジン(EMKA−Chemie)から実施例1/dに記載の方法によって調製した。MS(EI)588.3(MH)。
【0102】
[実施例39]
4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−N−{[(ピペリジン−4−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−ベンズアミド塩酸
[4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンゾイルアミノ]−酢酸(実施例2/c)(37.6mg、0.085mmol)のジクロロメタン(2mL)およびジメチルホルムアミド(0.2mL)および4−アミノメチル−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(21.4mg、0.1mmol)の混合溶液に、撹拌しながらHBTU(46mg、0.12mol)およびトリエチルアミン(30μL、0.2mmol)を加えた。混合物を室温で24時間撹拌し、ついで吸着材としてキーゼルゲル60(0.015−0.040mm)(Merck)を用い、溶出剤を100%Aではじめて20分間で100%Bに変える勾配溶出カラムクロマトグラフィー(溶出剤A: n−ヘキサン; 溶出剤B: 酢酸エチル)によって精製した。精製した化合物を酢酸エチル(0.5mL)に溶解して酢酸エチル(2.0mL)中2.5Mの塩酸を加え、混合物を室温で24時間撹拌した。沈殿した生成物を濾別し、ジエチルエーテルで洗い、真空乾燥して標記化合物30mg(62%)を得た。MS(EI)539.4(MH)。
【0103】
[実施例40]
薬剤組成物の調製:
a) 錠剤:
式(I)の活性成分0.01−50%、乳糖15−50%、ジャガイモ澱粉15−50%、ポリビニルピロリドン5−15%、タルク1−5%、ステアリン酸マグネシウム0.01−3%、コロイド状二酸化珪素1−3%およびウルトラアミロペクチン2−7%を混合し、ついで湿式造粒により顆粒化し加圧して錠剤とした。
【0104】
b) 糖衣錠、フィルムコート錠:
上記の方法によってつくった錠剤を腸溶または胃腸溶フィルム、あるいは砂糖またはタルクで被覆した。糖衣錠を蜜蝋およびカルナバ蝋で艶出しした。
【0105】
c) カプセル:
式(I)の活性成分0.01−50%、ラウリル硫酸ナトリウム1−5%、澱粉15−50%、乳糖15−50%、コロイド状二酸化珪素1−3%およびステアリン酸マグネシウム0.01−3%を完全に混合し、混合物を篩に通してハードゼラチンカプセルに充填した。
【0106】
d) 懸濁剤:
成分:式(I)の活性成分0.01−15%、水酸化ナトリウム0.1−2%、クエン酸0.1−3%、ニパギン(メチル4−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム)0.05−0.2%、ニパゾール0.005−0.02%、カルボポール(ポリアクリル酸)0.01−0.5%、96%エタノール0.1−5%、香味料0.1−1%、ソルビトール(70%水溶液)20−70%および蒸留水30−50%。
【0107】
ニパギンとクエン酸の20mL蒸留水溶液に、カルボポールを少量ずつ激しく攪拌しながら加え、溶液を10−12時間静置した。ついで蒸留水1mL中の水酸化ナトリウム、ソルビトール水溶液および最後にラズベリー風味のエタノール液を攪拌しながら加えた。この担体に活性成分を少量ずつ加え浸漬ホモジナイザーで懸濁した。最後に懸濁液を蒸留水で所望の最終容積に満たし、懸濁シロップをコロイド粉砕装置に通した。
【0108】
e) 坐薬:
各坐薬に対して式(I)の活性成分0.01−15%および乳糖1−20%を完全に混合し、ついで
50−95%のアデプス プロ サポジトリー(例えばWitepsol 4)を融解、35℃に冷却し、その中に活性成分と乳糖の混合物をホモジナイザーで混合した。得られた混合物を冷却した型で成型した。
【0109】
f) 凍結乾燥粉末アンプル組成物:
注射用に2回蒸留した水でマンニトールまたは乳糖の5%溶液をつくり、溶液を無菌溶液を得るために濾過した。式(I)の化合物の0.01−5%溶液もまた注射用に2回蒸留した水でつくり、この溶液を無菌溶液を得るために濾過した。これら2つの溶液を無菌条件下で混合し、1mlずつアンプルに詰め、アンプルの内容物を凍結乾燥し、窒素下でアンプルを封じた。アンプルの内容物は投与前に滅菌水または0.9%(生理的)滅菌食塩水に溶解した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジキニンB1受容体拮抗剤である式(I)の非ペプチド誘導体で、
【化1】

ここで
は水素原子またはC−Cアルキル基である、
は(1) 水素原子、(2) C−Cの直鎖または分岐アルキル基、(3) −(CH−NH、(4) −(CH−OH、(5) −(CH−CO−NH、(6) −(CH−COOR、(7) 1つまたはそれ以上の水酸基あるいはハロゲン原子で任意に置換されたベンジルから選ばれる、あるいは
、Rおよびそれらがともに付く炭素原子が3−7員環シクロアルキルを形成する、
、RおよびRは互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノまたは1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基で置換されたアミノ、トリフルオロメチル、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、C−Cアルコキシカルボニル、−C(=O)−NH、または水酸基である、
Qは(1)酸素原子、(2)硫黄原子から選ばれる、
Zは
(1) −(CH−OH基または−(CH−X−P基で任意に置換した
【化2】

(2) 1つまたはそれ以上のC−Cアルキル基、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、−(CH−OH基、−(CH−NH基、−(CH−CO−NH基、トリフルオロメチル基、オキソ基、−(CH−CN基、−NH−CO−(C−Cアルキル)基、−NH−SO−(C−Cアルキル)基、−(CH−COOR基、−CO−NR基、−(C−Cアルコキシ)基、−NH−CO−(CH−CF基、−NH−SO−CH−CF基で任意に置換した
【化3】

(3)
【化4】


(4)オキソ基、−SO−(C−Cアルキル)基、C−Cアルキル基、−CO−(C−Cアルキル)基、−(CH−O−(CH−OH基、−(CH−OH基、−SO−NR基、−CO−NR基で任意に置換した
【化5】

(5)
【化6】


(6)
【化7】

または
【化8】

または
【化9】


(7)
【化10】

または
【化11】


(8)−(CH−OH基で任意に置換した
【化12】

または
【化13】

(9)
【化14】


(10)
【化15】

または
【化16】


(11)
【化17】


(12) −NH−(CH−P基、
(13) −NH−(CH−NR基から選ばれる、
Yは(1) −(CH−NR、(2) −(CH−X−P基から選ばれる、
nは0から6の整数、
mは0から3の整数、
qは1から6の整数、
Xは(1) 一重結合、(2) 酸素原子、(3) −CO−NR基、(4) COまたはSO基から選ばれる、
Pは (1) 1つまたはそれ以上のハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、[1,4’]ビピペリジニル−1’−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換されたフェニル基、 (2) O、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のへテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族の4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、ピペリジン−1−イルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、(3) −(CH−NR基で任意に置換されたC−Cシクロアルキル基から選ばれる、
およびRは(1) RおよびRは同時に水素原子であることはできないという条件で、水素原子、(2) 直鎖または分岐C−Cアルキル基、(3) R、Rおよびそれらの両方がともに付く窒素原子がO、S、SOおよびNから選ばれる0−3個のヘテロ原子(RおよびRが付く窒素原子に加えて)を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環をつくり、前記の環は1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は水素原子またはC−Cアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、C−Cヒドロキシアルキル基、C−Cシクロアルキル基、
は水素原子、C−Cアルキル基、ベンジル基、
Aは(1) C−Cシクロアルキル環、(2) O、S、SOおよびNから選ばれるWを含む0−4個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族5−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された5−7員環、
BはO、S、SOおよびNから選ばれる1−3個のヘテロ原子を含む飽和、部分不飽和または芳香族4−7員環で、1つまたはそれ以上のハロゲン原子、オキソ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、フェニルまたはC−Cアルキル基で任意に置換された4−7員環、
は炭素原子、窒素原子またはCH基、
は酸素原子、硫黄原子、NH、CHまたはSO基、
であることを特徴とする式(I)の新規非ペプチド誘導体およびその光学異性体またはラセミ体および/または塩および/または水和物および/または溶媒和物。
【請求項2】
化合物が(R)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−[2−オキソ−2−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−エチル]−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−[4−(2−ジメチルアミノ−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−オキソ−2−[4−(3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−[4−(3−ジメチルアミノ−プロピル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−オキソ−2−[4−(3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−[1,4]ジアゼパン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−[4−(1−メチル−ピペリジン−3−イルメチル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、N−{2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−{1−メチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(R)−N−{1−ヒドロキシメチル−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(R)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(R)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(R)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エチル)−ピペリジン−1−イル]−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−オキソ−2−(4−ピロリジン−1−イル−ピペリジン−1−イル)−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−[1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、(S)−N−{1−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−2−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−ピペラジン−1−イル]−2−オキソ−エチル}−4−(2−フェノキシ−フェニルスルファモイル)−ベンズアミド、4−(2−フェニルスルファニル−フェニルスルファモイル)−N−{[(ピペリジン−4−イルメチル)−カルバモイル]−メチル}−ベンズアミド塩酸のグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の式(I)の化合物を調製するプロセスで、R、R、RおよびQが上記の式(I)と同様の意味をもつ式(II)のアミン誘導体を
【化18】

を式(III)の塩化スルホニルと反応し
【化19】

ついでそのようにして得られたR、R、RおよびQが上記の式(I)と同様の意味をもつ式(IV)のフェニルスルファモイル安息香酸誘導体を
【化20】

およびRが上記の式(I)と同様の意味をもちRがC−Cアルキルである式(V)のアミノ酸と反応し
【化21】

そのようにして得られたR、R、R、R、R、RおよびQの意味は上で定義した通りである式(VI)の化合物を
【化22】

、R、R、R、RおよびQの意味は上で定義した通りである式(VII)の酸誘導体を与えるように加水分解し
【化23】

最後に式(VII)の酸誘導体をアミン誘導体Zと反応し式(I)の非ペプチド誘導体またはその光学異性体またはラセミ体および/または薬学的に許容される塩および/または水和物および/または溶媒和物を得ることからなるプロセス。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製のためのプロセスで、式(I)の化合物を新しい置換基の導入および/または存在する置換基の修飾または除去、および/または塩形成および/または塩からの化合物の遊離によって別の式(I)の化合物に変換することからなるプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその光学異性体またはラセミ体または薬学的に許容される塩または水和物または溶媒和物の治療上有効な量と1つまたはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤からなる薬剤組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその光学異性体またはラセミ体または薬学的に許容される塩または水和物または溶媒和物のブラジキン受容体の阻害を必要とする状態の予防および/または治療のための医薬製造への利用。
【請求項7】
ブラジキン受容体がブラジキニンB1受容体であることを特徴とする請求項6に記載の利用。
【請求項8】
ブラジキニン受容体の阻害を必要とする状態の治療および/または予防の方法で、それを必要とする患者に請求項1に記載の式(I)の化合物またはその光学異性体またはラセミ体または薬学的に許容される塩または水和物または溶媒和物の有効量を投与することからなる方法。
【請求項9】
ブラジキン受容体がブラジキニンB1受容体であることを特徴とする請求項8に記載の治療および/または予防の方法。

【公表番号】特表2011−500782(P2011−500782A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530568(P2010−530568)
【出願日】平成19年10月27日(2007.10.27)
【国際出願番号】PCT/HU2007/000101
【国際公開番号】WO2009/053763
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ニルバーノシャン ミーケデーレスベニュタールシャシャーグ (33)
【Fターム(参考)】