説明

ブレーキ装置

【課題】電気系が失陥しても、駆動液圧室に所定の圧力を付与して、制動力の低下を抑制するブレーキ装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ装置は、ストロークシミュレータ部12と、レギュレータ15cと、アキュムレータ15a1とレギュレータ15cの高圧ポート21bを接続する第1経路L1と、リザーバタンク14とレギュレータ15cの低圧ポート21cを接続する第2経路L2と、ストロークシミュレータ部12とレギュレータ15cのパイロット圧入力ポート21dを接続する第3経路L3と、駆動液圧室13eとレギュレータ15cの出力ポート21eを接続する第4経路L4と、高圧ポート21bをバイパスしてアキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを接続する第5経路L5と、を備えてなり、常開型の減圧制御弁15b1は第2経路L2又は第4経路L4に設けられ、常閉型の増圧制御弁15b2は第5経路L5に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図1に示されているように、ブレーキ装置においては、マスタピストン(動圧ピストン9)を駆動する駆動液圧室(動圧室7)と、駆動液圧室に接続されるとともに電動ポンプにより圧送されたブレーキ液の液圧を蓄圧する高圧力源(動力圧源5)と、駆動液圧室に接続されるとともに高圧力源よりも低圧の低圧力源(リザーバ6)と、電子制御装置3の指令に応えて動力圧源5およびリザーバ6と動圧室7との間の連絡を調整し出力液圧を制御する調圧弁4とを備え、高圧力源および低圧力源の両圧力源の液圧により駆動液圧室の液圧を調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02−299962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載のブレーキ装置においては、電気系が失陥した場合、動力圧源5の電動ポンプ、調圧弁4が非作動状態となり、駆動液圧室に所定の圧力を付与できず、ひいては制動力が減少するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、電気系が失陥しても、駆動液圧室に所定の圧力を付与して、制動力の低下を抑制するブレーキ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、マスタピストンを駆動する駆動液圧室と、電動ポンプにより圧送されたブレーキ液の液圧を蓄圧する高圧力源と、高圧力源よりも低圧の低圧力源と、高圧力源と駆動液圧室とを接続する経路に設けられ、高圧力源から駆動液圧室へのブレーキ液の流れを制御する増圧制御弁と、低圧力源と駆動液圧室とを接続する経路に設けられ、駆動液圧室から低圧力源へのブレーキ液の流れを制御する減圧制御弁と、を備え、増圧制御弁と減圧制御弁の制御により駆動液圧室の液圧を調整するブレーキ装置において、ブレーキ操作部材の操作量に応じたパイロット液圧を発生させる機械式のパイロット圧発生部と、高圧力源に接続される高圧ポートと、低圧力源に接続される低圧ポートと、機械式のパイロット圧発生部に接続されるパイロット圧入力ポートと、駆動液圧室に接続される出力ポートとを有し、高圧ポートおよび低圧ポートの両ポートに加えられている液圧によりパイロット圧入力ポートに加えられている圧力に応じた液圧を出力ポートから出力する機械式の調圧部と、高圧力源と高圧ポートとを接続する第1経路と、低圧力源と低圧ポートとを接続する第2経路と、機械式のパイロット圧発生部とパイロット圧入力ポートとを接続する第3経路と、駆動液圧室と出力ポートとを接続する第4経路と、高圧力源と駆動液圧室とを接続する経路として設けられ、調圧部の高圧ポートをバイパスして高圧力源と駆動液圧室とを接続する第5経路と、を備え、低圧力源と駆動液圧室とを接続する経路は、第2経路および第4経路を含んで構成され、減圧制御弁は、第2経路又は第4経路に設けられた常開型の制御弁であり、増圧制御弁は、第5経路に設けられた常閉型の制御弁であり、第1経路から前記第4経路は、増圧制御弁および減圧制御弁が非通電状態となった場合に開放されるように構成されていることである。
【0007】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、第3経路に設けられ、機械式のパイロット圧発生部とパイロット圧入力ポートとの間のブレーキ液の流れを制御する常開型のパイロット圧制御弁と、所定の車両状態を検出する車両状態検出手段と、車両状態検出手段による車両状態の検出結果に応じて、パイロット圧制御弁を制御する制御手段と、を備えていることである。
【0008】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、車両状態検出手段は、回生要求があることを検出し、制御手段は、車両状態検出手段により回生要求があることが検出されている場合に、パイロット圧制御弁を閉弁させることである。
【0009】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項2または請求項3において、車両状態検出手段は、アンチロックブレーキ制御中であることを検出し、制御手段は、車両状態検出手段によりアンチロックブレーキ制御中であることが検出されている場合に、パイロット圧制御弁を開弁させることである。
【0010】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項4の何れか一項において、減圧制御弁は、第2経路に設けられていることである。
【0011】
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、機械式のパイロット圧発生部は、ブレーキ操作部材に連動するピストンと同ピストンが摺動するシリンダとを有して構成され、ピストンとシリンダとにより形成されている液圧室であって、ストロークシミュレータが接続される液圧室の液圧を、パイロット液圧として発生させることである。
【0012】
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、機械式のパイロット圧発生部は、マスタピストンと同マスタピストンが摺動するマスタシリンダとを有して構成され、マスタピストンとマスタシリンダとにより形成されているマスタ室の液圧を、パイロット液圧として発生させることである。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、電気系の失陥により増圧制御弁および減圧制御弁が非通電状態となった場合に、第1〜第4経路が開放される。低圧力源と駆動液圧室とを接続する経路は、第2経路および第4経路を含んで構成されているが、減圧制御弁は常開型の制御弁であるため、上記非通電状態になった場合に、同低圧力源と駆動液圧室とを接続する経路が減圧制御弁により遮断されることはない。
【0014】
よって、機械式の調圧部において、高圧ポート、低圧ポート、パイロット圧入力ポートおよび出力ポートが、それぞれ高圧力源、低圧力源、機械式のパイロット圧発生部および駆動液圧室に接続され、ブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧が出力ポートから出力される。その結果、駆動液圧室の液圧がブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧となり、マスタピストンがブレーキ操作部材の操作量に応じた液圧により駆動される。
【0015】
これにより、電気系が失陥した場合、すなわち、増圧制御弁および減圧制御弁の制御により駆動液圧室の液圧を調整することができず、電動ポンプによりブレーキ液を高圧力源に圧送することができない場合であっても、高圧力源に液圧が残存している限り、ブレーキ操作部材の操作量に応じた制動力を発生させることができる。
【0016】
また、第5経路は、調圧部の高圧ポートをバイパスして高圧力源と駆動液圧室とを接続する経路であるが、増圧制御弁は常閉型の制御弁であるため、上記非通電状態となった場合に、高圧力源から駆動液圧室へのブレーキ液の流れは増圧制御弁により遮断される。
【0017】
これにより、電気系失陥時における高圧力源の液圧の消費を抑制することができ、上記電気系失陥時における制動力の発生を比較的(増圧制御弁を常開型とした場合と比較して)長時間継続することができる。
【0018】
一方、電気系に失陥などがなく、電動ポンプ、増圧制御弁、減圧制御弁が正常に作動する場合には、上述したように機械式の調圧部が作動し、これに加えて、増圧制御弁および減圧制御弁の作動による調圧も行うことができる。
【0019】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1において、電気系が失陥していない場合には、制御手段が、機械式のパイロット圧発生部とパイロット圧入力ポートとの間のブレーキ液の流れを制御するパイロット圧制御弁を車両状態に応じて制御することができるため、車両状態に応じて機械式の調圧部による調圧を適切に行うことができる。
【0020】
なお、車両状態には、イグニッションスイッチのオン状態またはオフ状態が含まれ、車両状態の検出結果に応じたパイロット圧制御弁の制御には、イグニッションスイッチがオン状態である場合には、電気系失陥が発生していない限りパイロット圧制御弁を常時閉弁させる制御が含まれる。
【0021】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項2において、電気系が失陥していない場合において、回生要求がある場合には、パイロット圧制御弁が閉弁されるため、調圧部のパイロット圧入力ポートには、機械式のパイロット圧発生部のブレーキ操作部材の操作量に応じた出力液圧は付与されず、機械式の調圧部による調圧は行われない。そのため、増圧制御弁および減圧制御弁の制御により回生要求に応じた液圧を駆動液圧室に付与することができ、所望の回生制動を行うことができる。
【0022】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項2または請求項3において、電気系が失陥していない場合において、アンチロックブレーキ制御中である場合には、パイロット圧制御弁が開弁されるため、機械式の調圧部により調圧された液圧と、増圧制御弁および減圧制御弁の制御により調圧された液圧との両方の液圧が付与される。よって、アンチロックブレーキ制御に大流量のブレーキ液が必要となったとしても、十分に対応することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、減圧制御弁を第2経路に比べてブレーキ液の流量が大きい第4経路に設けず、第4経路に比べてブレーキ液の流量が小さい第2経路に設けて、駆動液圧室と調圧部との間のブレーキ液の流量が減圧制御弁の最大流量に制限されないようにしている。
【0024】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、機械式のパイロット圧発生部は、ブレーキ操作部材に連動するピストンと同ピストンが摺動するシリンダとを有して構成され、ピストンとシリンダとにより形成されている液圧室であって、ストロークシミュレータが接続される液圧室の液圧を、パイロット液圧として発生させる。これにより、ブレーキ操作部材の操作量に応じたパイロット液圧を簡単な構成で適切に発生させることができる。
【0025】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、機械式のパイロット圧発生部は、マスタピストンと同マスタピストンが摺動するマスタシリンダとを有して構成され、マスタピストンとマスタシリンダとにより形成されているマスタ室の液圧を、パイロット液圧として発生させる。これにより、パイロット液圧を発生させるために特別な構成を設けることなく、既存のマスタシリンダの構成を利用することができるため、装置を小型化・低コスト化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるブレーキ装置を適用した第1の実施形態を示す概要図である。
【図2】図1に示すブレーキ装置を示す概要図である。
【図3】図2に示すレギュレータを示す断面図であり、パイロット圧が付与されていない状態を示す図である。
【図4】図2に示すレギュレータを示す断面図であり、パイロット圧が付与されている状態を示す図である。
【図5】本発明によるブレーキ装置の第2の実施形態を示す概要図である。
【図6】本発明によるブレーキ装置の第3の実施形態を示す概要図である。
【図7】本発明によるブレーキ装置の第4の実施形態を示す概要図である。
【図8】本発明によるブレーキ装置の第5の実施形態を示す概要図である。
【図9】図8に示すレギュレータを示す断面図であり、パイロット圧が付与されていない状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1)第1の実施の形態
以下、本発明に係るブレーキ装置をハイブリッド車に適用した第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1はそのハイブリッド車の構成を示す概要図であり、図2はブレーキ装置の構成を示す概要図であり、図3および図4は機械式の調圧部であるレギュレータを示す断面図である。
【0028】
ハイブリッド車は、図1に示すように、ハイブリッドシステムによって駆動輪例えば左右前輪Wfl,Wfrを駆動させる車両である。ハイブリッドシステムは、エンジン1およびモータ2の2種類の動力源を組み合わせて使用するパワートレーンである。本第1の実施形態の場合、エンジン1およびモータ2の双方で車輪を直接駆動する方式であるパラレルハイブリッドシステムである。なお、これ以外にシリアルハイブリッドシステムがあるが、これはモータ2によって車輪が駆動され、エンジン1はモータ2への電力供給源として作用する。
【0029】
このパラレルハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車は、エンジン1およびモータ2を備えている。エンジン1の駆動力は、動力分割機構3および動力伝達機構4を介して駆動輪(本第1の実施形態では左右前輪Wfl,Wfr)に伝達されるようになっており、モータ2の駆動力は、動力伝達機構4を介して駆動輪に伝達されるようになっている。動力分割機構3は、エンジン1の駆動力を車両駆動力と発電機駆動力に適切に分割するものである。動力伝達機構4は、走行条件に応じてエンジン1およびモータ2の駆動力を適切に統合して駆動輪に伝達するものである。動力伝達機構4はエンジン1とモータ2の伝達される駆動力比を0:100〜100:0の間で調整している。この動力伝達機構4は変速機能を有している。
【0030】
モータ2は、エンジン1の出力を補助し駆動力を高めるものであり、一方車両の制動時には発電を行いバッテリ7を充電するものである。発電機5は、エンジン1の出力により発電を行うものであり、エンジン始動時のスタータの機能を有する。これらモータ2および発電機5は、インバータ6にそれぞれ電気的に接続されている。インバータ6は、直流電源としてのバッテリ7に電気的に接続されており、モータ2および発電機5から入力した交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ7に供給したり、逆にバッテリ7からの直流電圧を交流電圧に変換してモータ2および発電機5へ出力したりするものである。
【0031】
本第1の実施形態においては、これらモータ2、インバータ6およびバッテリ7から回生ブレーキ装置Aが構成されており、この回生ブレーキ装置Aは、ペダルストロークセンサ11a(または圧力センサP)によって検出されたブレーキ操作状態に基づいた回生制動力を各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの何れか(本第1の実施形態では駆動源であるモータ2によって駆動される左右前輪Wfl,Wfr)に発生させるものである。
【0032】
エンジン1はエンジンECU(電子制御ユニット)8によって制御されており、エンジンECU8は後述するハイブリッドECU(電子制御ユニット)9からのエンジン出力要求値に従って電子制御スロットルに開度指令を出力し、エンジン1の回転数を調整する。ハイブリッドECU9は、インバータ6が互いに通信可能に接続されている。ハイブリッドECU9は、アクセル開度およびシフトポジション(図示しないシフトポジションセンサから入力したシフト位置信号から算出する)から必要なエンジン出力、電気モータトルクおよび発電機トルクを導出し、その導出したエンジン出力要求値をエンジンECU8に送信してエンジン1の駆動力を制御し、また導出した電気モータトルク要求値および発電機トルク要求値に従って、インバータ6を通してモータ2および発電機5を制御する。また、ハイブリッドECU9はバッテリ7が接続されており、バッテリ7の充電状態、充電電流などを監視している。さらに、ハイブリッドECU9は、アクセルペダル(図示省略)に組み付けられて車両のアクセル開度を検出するアクセル開度センサ(図示省略)も接続されており、アクセル開度センサからアクセル開度信号を入力している。
【0033】
さらに、ブレーキECU17はハイブリッドECU9に互いに通信可能に接続されており、車両の全制動力が油圧ブレーキだけの車両と同等となるようにモータ2が行う回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御を行っている。具体的には、ブレーキECU17は運転者の制動要求すなわち制動操作状態に対して、ハイブリッドECU9に全制動力のうち回生ブレーキ装置の負担分である回生要求値を回生ブレーキ装置の目標値すなわち目標回生制動力として出力する。ハイブリッドECU9は、入力した回生要求値(目標回生制動力)に基づいて車速やバッテリ充電状態等を考慮して実際に回生ブレーキとして作用させる実回生実行値を導出しその実回生実行値に相当する回生制動力を発生させるようにインバータ6を介してモータ2を制御するとともに、導出した実回生実行値をブレーキECU17に出力している。
【0034】
さらに、ブレーキECU17は、ブレーキ液圧がホイールシリンダWCに供給されたとき、車輪Wに付与する液圧制動力をマップ、テーブルまたは演算式にしてメモリに予め記憶している。また、ブレーキECU17は、ブレーキペダルのストローク(またはマスタシリンダ圧)であるブレーキ操作状態に応じて車輪Wに付与する目標回生制動力をマップ、テーブルまたは演算式にしてメモリに予め記憶している。
【0035】
また、ハイブリッド車は、直接各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに液圧制動力を付与して車両を制動させるブレーキ装置Bを備えている。ブレーキ装置Bは、図2に示すように、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル11、ストロークシミュレータ部12、マスタシリンダ13、リザーバタンク14、マスタピストン駆動液圧調整装置15(以下駆動液圧調整装置15という)、制動液圧調整装置16、ブレーキECU17、およびホイールシリンダWCを備えている。
【0036】
ホイールシリンダWCは、車輪Wの回転をそれぞれ規制するものであり、キャリパCLに設けられている。ホイールシリンダWCにマスタシリンダ13からのブレーキ液の圧力(ブレーキ液圧)が供給されると、ホイールシリンダWCの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して車輪Wと一体回転する回転部材であるディスクロータDRを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。なお、本実施形態においては、左右前後輪のうち1つのみの油圧経路を示して、同様に構成されている他の油圧経路を省略している。また、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。車輪Wは左右前後輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrのいずれかである。
【0037】
ブレーキペダル11の近傍には、ブレーキペダル11の踏み込みによるブレーキ操作状態であるブレーキペダルストロークを検出するペダルストロークセンサ11aが設けられている。このペダルストロークセンサ11aはブレーキECU17に接続されており、検出信号がブレーキECU17に出力されるようになっている。
【0038】
ブレーキペダル11はプッシュロッド18を介してストロークシミュレータ部12に接続されている。ストロークシミュレータ部12は、ボディー12aと、ボディー12aに形成された穴12bと、穴12b内を液密に摺動可能なピストン12cと、ボディー12aとピストン12cとによって形成された液圧室12dと、液圧室12dと連通されているストロークシミュレータ12eとを備えている。
【0039】
ボディー12aは、マスタシリンダ13のボディー13aに一体的に接続されている。ピストン12cの摺動方向(軸方向)の一端側には、プッシュロッド18が連結される連結部12c1が形成されている。ピストン12cの摺動方向のプッシュロッド18とは反対側の他端側には、ロッド12fが一体的に設けられている。ロッド12fのピストン12cとは反対側の他端部12f1は、ストロークシミュレータ部12の液圧室12dとマスタシリンダ13の駆動液圧室13eとを隔てる隔壁12a1に貫通して液密に支持されている。隔壁12a1はボディー12aの一部を成すものである。
【0040】
液圧室12dは、第1入出力ポート12a2を介してリザーバタンク14に連通するとともに、第2入出力ポート12a3に接続された油路12gを介してストロークシミュレータ12eに連通している。ストロークシミュレータ12eは、一般的によく知られているものであり、ブレーキペダル11の操作状態に応じた大きさのストロークをブレーキペダル11に発生させるものである。ストロークシミュレータ12eはハウジング12e1内を液密に摺動するピストン12e2と、ハウジング12e1とピストン12e2との間に形成された液圧室12e3と、ピストン12e2を液圧室12e3の容積を減少させる方向に付勢するスプリング12e4を備えている。
【0041】
マスタシリンダ13は、ドライバによるブレーキ操作部材であるブレーキペダル11の操作力に応じて液圧(マスタシリンダ圧)を形成してホイールシリンダWCに供給し、その液圧によって車輪Wに液圧制動力を発生させ得る装置である。
【0042】
マスタシリンダ13は、タンデム式のマスタシリンダであり、ボディー13aを備えている。ボディー13aには、シリンダ穴13bが形成されている。シリンダ穴13b内には、第1および第2ピストン13c,13dが液密に摺動可能に並べて配設されている。
【0043】
第1ピストン13cと隔壁12a1との間には、第1および第2ピストン13c,13dを駆動させるための駆動液圧室13eが形成されている。駆動液圧室13eには、ロッド12fの他端部12f1が往復動可能に臨んでいる。隔壁12a1には段部12a2が形成されており、段部12a2に第1ピストン13cの一端側が当接するようになっている。第1ピストン13cが段部12a2に当接しても、駆動液圧室13eは容積を確保することができるようになっている。
【0044】
第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間には、マスタシリンダ圧を形成する第1液圧室13fが形成され、第2ピストン13dと底壁13a1との間には、マスタシリンダ圧を形成する第2液圧室13gが形成されている。第1液圧室13f内には、第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間に介装されて第1液圧室13fを拡張する方向に付勢する付勢部材13h(例えばスプリング)が配設されている。第2液圧室13g内には、第2ピストン13dと底壁13a1との間に介装されて第2液圧室13gを拡張する方向に付勢する付勢部材13i(例えばスプリング)が配設されている。
【0045】
駆動液圧室13eに液圧が供給されていないとき(例えばブレーキペダル11が踏み込まれていないとき)には、第2ピストン13dは付勢部材13hによって付勢されて所定位置にあり、第1ピストン13cは付勢部材13iによって付勢されて所定位置にある(図2参照)。第1ピストン13cの所定位置は、第1ピストン13cの一端側が段部12a2に当接して位置決め固定される位置であり、第1ピストン13cの他端側端がポート13kを閉塞する直前位置となっている。第2ピストン13dの所定位置は、第2ピストン13dの他端側端がポート13lを閉塞する直前位置に位置決め固定される位置である。
【0046】
マスタシリンダ13のボディー13aには、駆動液圧室13eとレギュレータ15cとを連通するためのポート13jと、第1液圧室13fとリザーバタンク14とを連通するためのポート13kと、第2液圧室13gとリザーバタンク14とを連通するためのポート13lと、第1液圧室13fとホイールシリンダWCとを連通するためのポート13mと、第2液圧室13gと他のホイールシリンダ(図示省略)とを連通するためのポート13nと、が設けられている。
【0047】
駆動液圧調整装置15は、高圧力源および低圧力源の両圧力源の液圧によりマスタシリンダ13の駆動液圧室13eの圧力を調整するものであり、圧力供給装置15aと電動式の調圧部15bとレギュレータ15cを備えている。駆動液圧調整装置15は、圧力供給装置15aからの圧力を受けた電動式の調圧部15bおよびレギュレータ15cの少なくとも何れか一方によりブレーキペダル11の操作量に応じたレギュレータ圧を形成してマスタシリンダ13の駆動液圧室13eに供給するものである。
【0048】
圧力供給装置15aは、低圧力源であるリザーバタンク14と、高圧力源であるアキュムレータ15a1と、リザーバタンク14のブレーキ液を吸入しアキュムレータ15a1に圧送するポンプ15a2と、ポンプ15a2を駆動させる電動モータ15a3を備えている。
【0049】
リザーバタンク14(低圧力源)は、マスタシリンダ13の駆動液圧室13eと接続されている。低圧力源は高圧力源よりも低圧である。また、アキュムレータ15a1も、マスタシリンダ13の駆動液圧室13eと接続されている。
【0050】
圧力供給装置15aの低圧力源としてリザーバタンク14を共用しているが、別のリザーバタンクを設けるようにしてもよい。なお、圧力供給装置15aは、アキュムレータ15a1から供給されるブレーキ液の圧力を検出してブレーキECU17の出力する圧力センサ15a4を備えている。
【0051】
電動式の調圧部15bは、リザーバタンク14と駆動液圧室13eとの間のブレーキ液の流れを制御する常開型の減圧制御弁15b1と、アキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとの間のブレーキ液の流れを制御する常閉型の増圧制御弁15b2と、駆動液圧室13eの液圧を検出する圧力センサ15b3と、を含んで構成されている。減圧制御弁15b1と増圧制御弁15b2は、ブレーキECU17からの指令を受けて作動する電磁弁である。圧力センサ15b3は、検出信号をブレーキECU17に出力する。
【0052】
電動式の調圧部15bは、圧力センサ15b3による検出値をモニタしながら、アキュムレータ15a1から駆動液圧室13eに供給される液圧を増圧制御弁15b1によって調整すること、およびリザーバタンク14へのブレーキ液の排出(駆動液圧室13eからリザーバタンク14に排出される液圧)を減圧制御弁15b2によって調整することにより、ペダルストロークセンサ11aによって検出されたブレーキペダル11のストローク量や車両状態に応じた液圧を駆動液圧室13eに供給することができる。
【0053】
レギュレータ15cは、図3に示すようなレギュレータ20で構成されている。レギュレータ20のハウジング21にはシリンダ穴21aが形成されると共に、高圧ポート21b、低圧ポート21c、パイロット圧入力ポート21d、出力ポート21eおよびドレンポート21fが形成されている。図2に示すように、高圧ポート21bは液圧油路31を介してアキュムレータ15a1に直接接続されている。低圧ポート21cは液圧油路32を介してリザーバタンク14に接続されている。パイロット圧入力ポート21dは油路12gに接続されている液圧油路33を介してストロークシミュレータ部12の液圧室12dに接続されている。出力ポート21eは液圧油路34を介してマスタシリンダ13の駆動液圧室13eに接続されている。ドレンポート21fはリザーバタンク14に接続されている。液圧油路31は途中で分岐している液圧油路35を介して出力ポート21eに接続されている。
【0054】
ここで、「直接接続されている」とは、電磁弁や逆止弁が液圧油路に設けられていないことを意味する。本実施形態では、高圧力源であるアキュムレータ15a1と高圧ポート21bとを接続する第1経路L1は、液圧油路31により、低圧力源であるリザーバタンク14と低圧ポート21cとを接続する第2経路L2は、液圧油路32により、機械式のパイロット圧発生部であるストロークシミュレータ部12とパイロット圧入力ポート21dとを接続する第3経路L3は、液圧油路33により、駆動液圧室13eと出力ポート21eとを接続する第4経路L4は、液圧油路34により構成されている。
【0055】
また、第5経路L5は、液圧油路31(アキュムレータ15a1と液圧油路35の接続点との間の部分)、液圧油路35、出力ポート21e、調圧室20b、出力ポート21e、液圧油路34、およびポート13jにより構成されており、高圧ポート21bを介さずに(バイパスし)出力ポート21eを介しアキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを接続している。液圧油路35上には、増圧制御弁15b2が配設されている。また、液圧油路32上には、減圧制御弁15b1が配設されている。
【0056】
シリンダ穴21aには、調圧ピストン22が液密的に摺動自在に配設されている。調圧ピストン22は大径部22aと大径部22aより小径である小径部22bとが一体的に形成されるように構成されている。調圧ピストン22の大径部22a側の端面および小径部22b側の端面の各面積は、レギュレータ20cが高圧ポート21bおよび低圧ポート21cの両ポートに加えられている液圧によりパイロット圧入力ポート21dに加えられている圧力に応じた液圧を出力ポート21eから出力することができるように設定されている。
【0057】
調圧ピストン22の大径部22a側端(図示右端)とシリンダ穴21aの右開口端を閉塞するナット29との間にはパイロット液圧室20aが形成され、調圧ピストン22の小径部22b側端(図示左端側)には調圧室20bが形成されている。パイロット液圧室20aはパイロット圧入力ポート21dに連通し、調圧室20bは出力ポート21e(本実施形態では2つ設けられている)に連通している。調圧ピストン22には低圧ポート21cに連通する連通路22cが形成されている。調圧室20bにはスプリング23が配設され、調圧室20bの容積を増大させる方向に調圧ピストン22を付勢している。
【0058】
パイロット液圧室20aに液圧が付与されていない場合(例えばブレーキペダル11の非作動時など)、スプリング23の付勢力によって調圧ピストン22は図示右方向に付勢され調圧ピストン22の右端はナット29に当接して位置決め固定される。このとき、後述する減圧弁は開状態となるため、出力ポート21eは調圧室20bおよび連通路22cを介して低圧ポート21cに連通する。
【0059】
シリンダ穴21aの図示左端側には、2つの孔24a,24bを区画する隔離部24cを有するシリンダ部材24が固定されている。孔24aは調圧室20bに対向しており、この孔24aには弁体25が摺動自在に配設されている。この弁体25の調圧室20b側端部にはボール25aが固定され、このボール25aは調圧ピストン22の調圧室20b側端部に形成された弁座22dに着脱可能になっている。ボール25aは、調圧室20bの容積を減少させる方向へ所定距離だけ調圧ピストン22が摺動した場合に弁座22dに着座する。これらボール25a及び弁座22dは減圧弁を構成し、調圧室20bと連通路22cとの間を連通又は遮断し、調圧室20b内の液圧(レギュレータ液圧)を減圧する。弁体25はスプリング25bにより弁座22d側に付勢されている。弁体25の調圧室20b反対側端部には小径の突起部25cが一体的に設けられている。また、弁体25には、孔24aと隔離部24cと弁体25から形成された空間と調圧室20bとを連通する連通路25dが形成されている。
【0060】
シリンダ部材24の孔24bには、ボール状の弁体26が移動自在に配設され、隔離部24cに形成された弁孔24c1の弁座24c2に着脱可能になっている。弁孔24c1は、弁体25の突起部25cが進退可能なものであり、弁孔24c1の内径は突起部25cの外径より大きく設定されている。弁体26はスプリング26aにより弁座24c2側に付勢され、常態では押圧されて弁座24c2に着座している。弁体25が図示左方向に摺動したときに、弁体26が弁体25の突起部25cにより押されて弁座24c2から離脱する。シリンダ部材24には、孔24bを高圧ポート21bに連通する連通路24dが形成されている。これら弁体26、弁座24c2及びスプリング26aは、増圧弁を構成し、前述の減圧弁と協動して調圧室20bと連通路24dとの間を連通又は遮断し、調圧室20b内の液圧(レギュレータ液圧)を増圧する。尚、孔24bは栓体27により塞がれ、シリンダ部材24はナット28により固定されている。
【0061】
このように構成されたレギュレータ20の作動を図3、図4を参照して説明する。パイロット液圧室20aが増圧され、大径部22a側端に作用する力が、調圧ピストン22の小径部22b側端に作用する力(=圧力×面積)とスプリング23による付勢力の総和より大きくなれば、調圧ピストン22は左方向への移動を開始する。さらに、調圧ピストン22が左方向へ移動されると、弁座22dがボール25aに当接して、減圧弁は閉状態となる。さらに、調圧ピストン22が左方向へ移動されると、調圧ピストン22がスプリング25bの付勢力に抗して弁体25が左方向に移動される。弁体25がさらに左方向に移動されると、突起部25cが弁体26に当接して、その後、スプリング26aの付勢力に抗して弁体26が左側に移動されることで、増圧弁は開状態となる(図4参照)。
【0062】
増圧弁が開状態とされると、アキュムレータ15a1からの高圧の液圧が高圧ポート21b、連通路24d、弁孔24c1、および連通路25dを通って調圧室20bに供給される。調圧室20b内の液圧が上昇して、大径部22a側端に作用する力が、調圧ピストン22の小径部22b側端に作用する力(=圧力×面積)とスプリング23による付勢力の総和より小さくなれば、調圧ピストン22は右方向への移動を開始する。その後、増圧弁が閉状態となり、弁体25が規制部材24eに当接した後、減圧弁が開状態となる。これにより、調圧室20bは連通路21cを介して低圧ポート21cに連通するため、調圧室20b内の液圧は低下する。
【0063】
そして、調圧室20b内の液圧が低下して、大径部22a側端に作用する力が、調圧ピストン22の小径部22b側端に作用する力(=圧力×面積)とスプリング23による付勢力の総和より大きくなれば、調圧ピストン22は右方向への移動を再び開始する。このような調圧ピストン22の左右方向の移動の繰り返しによって、レギュレータ20は高圧ポート21bと低圧ポート21cの両ポートに加えられている圧力によりパイロット液圧室20aに供給される液圧に応じた液圧を出力ポート21eから出力することができる。
【0064】
上述したように、低圧力源であるリザーバタンク14とマスタシリンダ13の駆動液圧室13eとは、液圧油路32、低圧ポート21c、連通路22c、調圧室20b、出力ポート21e、液圧油路34、およびポート13jからなる油路(特許請求の範囲に記載の「低圧力源と駆動液圧室とを接続する経路」)により接続(連通)されている。この経路には、減圧制御弁15b1が設けられている。
【0065】
また、高圧力源であるアキュムレータ15a1とマスタシリンダ13の駆動液圧室13eとは、液圧油路31(アキュムレータ15a1と液圧油路35の接続点との間の部分)、液圧油路35、調圧室20b、出力ポート21e、液圧油路34、およびポート13jからなる油路(特許請求の範囲に記載の「高圧力源と駆動液圧室とを接続する経路」)により接続(連通)されている。この経路には、増圧制御弁15b2が設けられている。
【0066】
さらに、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1が非通電時には、アキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとは、液圧油路31、高圧ポート21b、連通路24d、弁孔24c1、連通路25d、調圧室20b、出力ポート21e、液圧油路34、およびポート13jからなる油路により接続されている。この油路は、上述したように、レギュレータ15cが作動する中において、アキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを断続的に連通することができる。この油路は、アキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを高圧ポート21bおよび出力ポート21eを経由して接続する経路である。
【0067】
制動液圧調整装置16は、図2に示すように、保持弁16a、減圧弁16b、リザーバタンク16c、ポンプ16d、および電動モータ16eを備えている。保持弁16aは、マスタシリンダ13のポート13mとホイールシリンダWCとの間に配設され、マスタシリンダ13とホイールシリンダWCとの間を連通・遮断する常開型の電磁開閉弁である。保持弁16aは、ブレーキECU17の指令に応じて非通電されると連通状態(図示状態)にまた通電されると遮断状態に制御できる2位置弁として構成されている。保持弁16aにはホイールシリンダWCからマスタシリンダ13への流れを許容するとともに逆方向の流れを規制する逆止弁16fが並列に設けられている。
【0068】
減圧弁16bは、ホイールシリンダWCとリザーバタンク16cとの間を連通・遮断する常閉型の電磁開閉弁である。減圧弁16bは、ブレーキECU17の指令に応じて非通電されると遮断状態(図示状態)にまた通電されると連通状態に制御できる2位置弁として構成されている。
【0069】
リザーバタンク16cは、ブレーキ液を貯蔵するものであり、マスタシリンダ13のポート13mに連通するものである。リザーバタンク16cとマスタシリンダ13との間には、ポンプ16dが配設されている。ポンプ16dは、吸い込み口がリザーバタンク16cに連通し、吐出口が逆止弁16gを介してマスタシリンダ13と保持弁16aとの間に連通するものである。逆止弁16gは、ポンプ16dからマスタシリンダ13への流れを許容するとともに逆方向の流れを規制する逆止弁である。ポンプ16dは、ブレーキECU17の指令に応じた電動モータ16eの作動によって駆動されている。ポンプ16dは、ABS制御の減圧モード時においては、ホイールシリンダWC内のブレーキ液またはリザーバタンク16c内に貯められているブレーキ液を吸い込んでマスタシリンダ13に戻している。なお、ポンプ16dが吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために、ポンプ16dの上流側にはダンパ16hが配設されている。
【0070】
制動液圧調整装置16は、車輪Wの付近に設けられて、車輪Wの車輪速度を検出する車輪速度センサ16iを備えている。車輪速度センサ16iにより検出された車輪速度を示す検出信号はブレーキECU17に出力されるようになっている。
【0071】
このように構成された制動液圧調整装置16において、ブレーキECU17は、マスタシリンダ圧、車輪速度の状態および前後加速度に基づき、各電磁弁16a,16bの開閉を切り換え制御し電動モータ16eを必要に応じて作動してホイールシリンダWCに付与するブレーキ液圧すなわち車輪Wに付与する制動力を調整するABS制御(アンチロックブレーキ制御)を実行する。
【0072】
上述した本実施形態によれば、電気系の失陥により増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1が非通電状態となった場合に、第1〜第4経路L1〜L4が開放される。リザーバタンク14(低圧力源)と駆動液圧室13eとを接続する経路は、第2経路L2および第4経路L4を含んで構成されているが、減圧制御弁15b1は常開型の制御弁であるため、上記非通電状態になった場合に、同低圧力源14と駆動液圧室13eとを接続する経路が減圧制御弁15b1により遮断されることはない。
【0073】
よって、レギュレータ15c(機械式の調圧部)において、高圧ポート21b、低圧ポート21c、パイロット圧入力ポート21dおよび出力ポート21eが、それぞれアキュムレータ15a1(高圧力源)、リザーバタンク14(低圧力源)、ストロークシミュレータ部12(機械式のパイロット圧発生部)および駆動液圧室13eに接続され、ブレーキペダル11(ブレーキ操作部材)の操作量に応じた液圧が出力ポート21eから出力される。その結果、駆動液圧室13eの液圧がブレーキペダル11の操作量に応じた液圧となり、マスタピストン13c,13dがブレーキペダル11の操作量に応じた液圧により駆動される。
【0074】
これにより、電気系が失陥した場合、すなわち、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の制御により駆動液圧室13eの液圧を調整することができず、電動ポンプ15a2によりブレーキ液をアキュムレータ15a1に圧送することができない場合であっても、アキュムレータ15a1に液圧が残存している限り、ブレーキペダル11の操作量に応じた制動力を発生させることができる。
【0075】
また、第5経路L5は、レギュレータ15cの高圧ポート21bをバイパスしてアキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを接続する経路であるが、増圧制御弁15b2は常閉型の制御弁であるため、上記非通電状態となった場合に、アキュムレータ15a1から駆動液圧室13eへのブレーキ液の流れは増圧制御弁15b2により遮断される。
【0076】
これにより、電気系失陥時におけるアキュムレータ15a1の液圧の消費を抑制することができ、上記電気系失陥時における制動力の発生を比較的(増圧制御弁を常開型とした場合と比較して)長時間継続することができる。
【0077】
一方、電気系に失陥などがなく、電動ポンプ15a2、増圧制御弁15b2、減圧制御弁15b1が正常に作動する場合には、上述した制御弁の非通電状態と同様にレギュレータ15cが作動し、これに加えて、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の作動による調圧も行うことができる。
【0078】
また、上述した実施形態においては、ブレーキペダル11(ブレーキ操作部材)に連動するピストン12cと同ピストン12cが摺動するボディー12a(シリンダ)とを有して構成され、ピストン12cとボディー12aとにより形成されている液圧室12dが機械式のパイロット圧発生部である。機械式のパイロット圧発生部は、ブレーキペダル11の操作量に応じたパイロット液圧を発生させるものである。機械式のパイロット圧発生部は、ストロークシミュレータ12eが接続される液圧室12dの液圧を、パイロット液圧として発生させるものである。これにより、ブレーキペダル11の操作量に応じたパイロット液圧を簡単な構成で適切に発生させることができる。
【0079】
また、上述した実施形態においては、減圧制御弁15b1は、第2経路L2に設けられている。減圧制御弁15b1を第2経路L2に比べてブレーキ液の流量が大きい第4経路L4に設けず、第4経路L4に比べてブレーキ液の流量が小さい第2経路L2に設けて、駆動液圧室13eとレギュレータ15c(調圧部)との間のブレーキ液の流量が減圧制御弁15b1の最大流量に制限されないようにしている。
【0080】
2)第2の実施の形態
次に、本発明に係るブレーキ装置の第2の実施の形態を図5を参照して説明する。図5はブレーキ装置Bの構成を示す概要図である。
【0081】
本第2の実施形態は、パイロット圧制御弁41を設けた点で第1の実施形態と異なる。同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。具体的には、パイロット圧制御弁41は、液圧油路33上に配設されており、ストロークシミュレータ部12(機械式のパイロット圧発生部)とパイロット圧入力ポート21dとの間のブレーキ液の流れを制御する常開型の電磁制御弁である。パイロット圧制御弁41は、ブレーキECU17の指令に基づいて開閉制御されるようになっている。
【0082】
本第2の実施形態における作動を説明する。電気系が失陥している場合、常開型であるパイロット圧制御弁41は開状態となり、ストロークシミュレータ部12の液圧室12dとパイロット圧入力ポート21dは連通状態となる。このとき、上述した第1の実施形態と同様に、アキュムレータ15a1から高圧が供給される限りにおいて、レギュレータ15c(機械式の調圧部)は、高圧ポート21bおよび低圧ポート21cの両ポートに加えられている液圧によりパイロット圧入力ポート21dに加えられている圧力に応じた液圧を出力ポート21eから出力する。
【0083】
また、電気系が失陥していない場合において、ブレーキECU17(制御手段)は、回生要求があるときには、パイロット圧制御弁41を閉弁させる。よって、パイロット圧制御弁41が閉弁されるため、レギュレータ15cのパイロット圧入力ポート21dには、ストロークシミュレータ部12(機械式のパイロット圧発生部)のブレーキペダル11の操作量に応じた出力液圧は付与されず、レギュレータ15cによる調圧は行われない。そのため、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の制御により回生要求に応じた液圧を駆動液圧室13eに付与することができ、所望の回生制動を行うことができる。なお、上述したように回生要求値は運転者の制動要求すなわち制動操作状態に対して設定されているため、ブレーキECU17はペダルストロークセンサ11aに基づいて検出される操作量に応じた回生要求を設定する。よって、回生要求があることを検出する車両状態検出手段は、ブレーキECU17である。
【0084】
さらに、電気系が失陥していない場合において、ブレーキECU17(制御手段)は、アンチロックブレーキ制御中である場合には、パイロット圧制御弁41を開弁させる。よって、パイロット圧制御弁41が開弁されるため、レギュレータ15cにより調圧された液圧と、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の制御により調圧された液圧との両方の液圧が付与される。したがって、アンチロックブレーキ制御に大流量のブレーキ液が必要となったとしても、十分に対応することができる。なお、上述したように、ブレーキECU17は、マスタシリンダ圧、車輪速度の状態および前後加速度に基づき、各電磁弁16a,16bの開閉を切り換え制御し電動モータ16eを必要に応じて作動してホイールシリンダWCに付与するブレーキ液圧すなわち車輪Wに付与する制動力を調整するABS制御(アンチロックブレーキ制御)を実行する。よって、アンチロックブレーキ制御中であることを検出する車両状態検出手段は、ブレーキECU17である。
【0085】
このように、電気系が失陥していない場合には、制御手段であるブレーキECU17が、ストロークシミュレータ部12(機械式のパイロット圧発生部)とパイロット圧入力ポート21dとの間のブレーキ液の流れを制御するパイロット圧制御弁41を、車両状態検出手段であるブレーキECU17により検出された車両状態に応じて制御することができるため、車両状態に応じてレギュレータ15cによる調圧を適切に行うことができる。
【0086】
3)第3の実施の形態
次に、本発明に係るブレーキ装置の第3の実施の形態を図6を参照して説明する。図6はブレーキ装置Bの構成を示す概要図である。
【0087】
本第3の実施形態は、減圧制御弁15b1を出力ポート21eと駆動液圧室13eとの間の第4経路L4に設けるとともに当該減圧制御弁15b1に対して並列に逆止弁42を設けた点と、高圧力源と駆動液圧室とを接続する第5経路L5をレギュレータを介さないものとした点とで第2の実施形態と異なる。同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0088】
液圧油路35は、液圧油路34に接続されている。逆止弁42は、レギュレータ15cから駆動液圧室13eへの流れを許容するが、反対方向への流れは規制するものである。逆止弁42の流路面積は、減圧制御弁15b1の流路面積より広いため、増圧する際のブレーキ液の流量を稼ぐことができる。なお、本第3の実施形態における作用効果は、上述した第2の実施形態の作用効果と同様である。
【0089】
4)第4の実施の形態
次に、本発明に係るブレーキ装置の第4の実施の形態を図7を参照して説明する。図7はブレーキ装置Bの構成を示す概要図である。
【0090】
本第4の実施形態は、第5経路L5がレギュレータ20の低圧ポート21cおよび出力ポート21eを介してアキュムレータ15a1と駆動液圧室13eとを接続する点で上記第2の実施形態と異なっている。同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。液圧油路35は、液圧油路32に接続されている。この場合、第5経路L5は、液圧油路31(アキュムレータ15a1と液圧油路35の接続点との間の部分)、液圧油路35、液圧油路32(液圧油路35の接続点と低圧ポート21cとの間の部分)、低圧ポート21c、連通路22c、調圧室20b、出力ポート21e、液圧油路34、およびポート13jにより構成されている。
【0091】
5)第5の実施の形態
次に、本発明に係るブレーキ装置の第5の実施の形態を図8を参照して説明する。図8はブレーキ装置Bの構成を示す概要図である。
【0092】
本第5の実施形態は、機械式のパイロット圧発生部としてマスタシリンダ13の第1液圧室13fを採用した点で第1の実施形態と異なる。同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。具体的には、機械式のパイロット圧発生部は、マスタピストンである第1ピストン13cと同マスタピストン13cが摺動するマスタシリンダ13とを有して構成されている。マスタピストン13cとマスタシリンダ13とにより形成されているマスタ室である第1液圧室13fの液圧を、パイロット液圧として発生させる。これにより、パイロット液圧を発生させるために特別な構成を設けることなく、既存のマスタシリンダの構成を利用することができるため、装置を小型化・低コスト化することができる。なお、機械式のパイロット圧発生部としてマスタシリンダ13の第2液圧室13gを採用するようにしてもよい。
【0093】
また、この場合、レギュレータ15cは図9に示すレギュレータ30を採用するのが好ましい。レギュレータ30は、調圧ピストン122においてパイロット液圧室20aに望む端面(図示右端面)の面積が調圧室20bに望む端面(図示左端面)の面積より小さくなるように設定されている点でレギュレータ20と異なる。他の構成については基本的に同一であり、同一符号を付してその説明を省略する。
【0094】
レギュレータ30においては、パイロット液圧室20aの液圧と第1液圧室13fの液圧は同一であり、調圧室20bの液圧と駆動液圧室13eの液圧は同一である。また、レギュレータ30は、駆動液圧室13eの液圧が第1ピストン13cに対して図示左方向に及ぼす力が第1液圧室13fの液圧が第1ピストン13cに対して図示右方向に及ぼす力より小さくなるように構成されている。なお、この場合、第1ピストン13cの両端面の受圧面積はほぼ等しい。また、第1ピストン13cの両端面の受圧面積が異なる場合でも、レギュレータ30は、駆動液圧室13eの液圧が第1ピストン13cに対して図示左方向に及ぼす力が第1液圧室13fの液圧が第1ピストン13cに対して図示右方向に及ぼす力より小さくなるように構成されるのが好ましい。
【0095】
本第5の実施形態による作動について説明する。電気系の失陥により増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1が非通電状態となった場合に、第1〜第4経路L1〜L4が開放される。リザーバタンク14(低圧力源)と駆動液圧室13eとを接続する経路は、第2経路L2および第4経路L4を含んで構成されているが、減圧制御弁15b1が常開型の制御弁であるため、上記非通電状態になった場合に、同低圧力源14と駆動液圧室13eとを接続する経路が減圧制御弁15b1により遮断されることはない。よって、レギュレータ15c(機械式の調圧部)において、高圧ポート21b、低圧ポート21c、パイロット圧入力ポート21dおよび出力ポート21eが、それぞれアキュムレータ15a1(高圧力源)、リザーバタンク14(低圧力源)、マスタシリンダの第1液圧室13f(機械式のパイロット圧発生部)および駆動液圧室13eに接続される。
【0096】
ブレーキペダル11(ブレーキ操作部材)が操作されると、レギュレータ15cによりレギュレータ圧の供給が開始される前では、ロッド12fにより直接第1ピストン13cを押圧することで、第1液圧室13fでマスタシリンダ圧が形成される。第1液圧室13fからマスタシリンダ圧が供給されると、ブレーキペダル11の操作量に応じたマスタシリンダ圧(パイロット液圧)がパイロット圧入力ポート21dに入力される。よって、レギュレータ15cはその圧力に応じた液圧(レギュレータ圧)を出力ポート21eから出力する。
【0097】
その結果、駆動液圧室13eの液圧がブレーキペダル11の操作量に応じた液圧となり、マスタピストン13c,13dがブレーキペダル11の操作量に応じた液圧により駆動される。これにより、電気系が失陥した場合、すなわち、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の制御により駆動液圧室13eの液圧を調整することができず、電動ポンプ15a2によりブレーキ液をアキュムレータ15a1に圧送できない場合であっても、アキュムレータ15a1に液圧が残存している限り、ブレーキペダル11に操作量に応じた制動力を発生させることができる。
【0098】
一方、電気系に失陥などがなく、電動ポンプ15a2、増圧制御弁15b2、減圧制御弁15b1が正常に作動する場合には、レギュレータ15cによりレギュレータ圧の供給が開始される前では、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の作動によってブレーキペダル11の操作量に応じたマスタシリンダ圧(パイロット液圧)がパイロット圧入力ポート21dに入力される。また、上述したようにレギュレータ15cが作動するため、レギュレータ15cによる調圧と、増圧制御弁15b2および減圧制御弁15b1の作動による調圧を合わせて行うことができる。
【0099】
なお、上述した各実施形態においては、本発明は、ハイブリッド車に搭載のブレーキ装置に限られず、エンジンのみ搭載の車両のブレーキ装置にも適用できる。
【0100】
また、本発明は、ABS制御のみできるブレーキ装置でなく、ESC制御もできるブレーキ装置に適用することもできる。ESC制御できるブレーキ装置は、上述した第1の実施形態において、マスタシリンダ13と制動液圧調整装置16の間に差圧制御弁を設けるようにしたものである。
【符号の説明】
【0101】
1…エンジン、2…モータ、3…動力分割機構、4…動力伝達機構、5…発電機、6…インバータ、7…バッテリ、8…エンジンECU、9…ハイブリッドECU、11…ブレーキペダル(ブレーキ操作部材)、11a…ペダルストロークセンサ、12…ストロークシミュレータ部(機械式のパイロット圧発生部)、13…マスタシリンダ(機械式のパイロット圧発生部)、13c…第1ピストン(マスタピストン)、13e…駆動液圧室、14…リザーバタンク(低圧力源)、15…駆動液圧調整装置、15a…圧力供給装置、15a1…アキュムレータ(高圧力源)、15a2…ポンプ(電動ポンプ)、15a3…電動モータ、15b…電動式の調圧部、15b1…減圧制御弁、15b2…増圧制御弁、15c,20…レギュレータ(機械式の調圧部)、21b…高圧ポート、21c…低圧ポート、21d…パイロット圧入力ポート、21e…出力ポート、16…制動液圧調整装置、17…ブレーキECU(制御手段、車両状態検出手段)、41…パイロット圧制御弁、A…回生ブレーキ装置、B…ブレーキ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタピストン(13c,13d)を駆動する駆動液圧室(13e)と、
電動ポンプ(15a2)により圧送されたブレーキ液の液圧を蓄圧する高圧力源(15a1)と、
前記高圧力源よりも低圧の低圧力源(14)と、
前記高圧力源と前記駆動液圧室とを接続する経路に設けられ、前記高圧力源から前記駆動液圧室へのブレーキ液の流れを制御する増圧制御弁(15b2)と、
前記低圧力源と前記駆動液圧室とを接続する経路に設けられ、前記駆動液圧室から前記低圧力源へのブレーキ液の流れを制御する減圧制御弁(15b1)と、を備え、
前記増圧制御弁と前記減圧制御弁の制御により前記駆動液圧室の液圧を調整するブレーキ装置(B)において、
ブレーキ操作部材(11)の操作量に応じたパイロット液圧を発生させる機械式のパイロット圧発生部(12,13)と、
前記高圧力源に接続される高圧ポート(21b)と、前記低圧力源に接続される低圧ポート(21c)と、前記機械式のパイロット圧発生部に接続されるパイロット圧入力ポート(21d)と、前記駆動液圧室に接続される出力ポート(21e)とを有し、前記高圧ポートおよび前記低圧ポートの両ポートに加えられている液圧により前記パイロット圧入力ポートに加えられている圧力に応じた液圧を前記出力ポートから出力する機械式の調圧部(15c,20,30)と、
前記高圧力源と前記高圧ポートとを接続する第1経路(L1)と、
前記低圧力源と前記低圧ポートとを接続する第2経路(L2)と、
前記機械式のパイロット圧発生部と前記パイロット圧入力ポートとを接続する第3経路(L3)と、
前記駆動液圧室と前記出力ポートとを接続する第4経路(L4)と、
前記高圧力源と前記駆動液圧室とを接続する経路として設けられ、前記調圧部の前記高圧ポートをバイパスして前記高圧力源と前記駆動液圧室とを接続する第5経路(L5)と、を備え、
前記低圧力源と前記駆動液圧室とを接続する経路は、前記第2経路および前記第4経路を含んで構成され、
前記減圧制御弁は、前記第2経路又は前記第4経路に設けられた常開型の制御弁であり、
前記増圧制御弁は、前記第5経路に設けられた常閉型の制御弁であり、
前記第1経路から前記第4経路は、前記増圧制御弁および前記減圧制御弁が非通電状態となった場合に開放されるように構成されていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記第3経路に設けられ、前記機械式のパイロット圧発生部と前記パイロット圧入力ポートとの間のブレーキ液の流れを制御する常開型のパイロット圧制御弁(41)と、
所定の車両状態を検出する車両状態検出手段(17)と、
前記車両状態検出手段による車両状態の検出結果に応じて、前記パイロット圧制御弁を制御する制御手段(17)と、
を備えていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記車両状態検出手段は、回生要求があることを検出し、
前記制御手段は、前記車両状態検出手段により前記回生要求があることが検出されている場合に、前記パイロット圧制御弁を閉弁させることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、前記車両状態検出手段は、アンチロックブレーキ制御中であることを検出し、
前記制御手段は、前記車両状態検出手段により前記アンチロックブレーキ制御中であることが検出されている場合に、前記パイロット圧制御弁を開弁させることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、前記減圧制御弁は、前記第2経路に設けられていることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、前記機械式のパイロット圧発生部は、前記ブレーキ操作部材に連動するピストン(12c)と同ピストンが摺動するシリンダ(12a)とを有して構成され、前記ピストンと前記シリンダとにより形成されている液圧室(12d)であって、ストロークシミュレータ(12e)が接続される液圧室の液圧を、前記パイロット液圧として発生させることを特徴とするブレーキ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、前記機械式のパイロット圧発生部は、前記マスタピストンと同マスタピストンが摺動するマスタシリンダ(13)とを有して構成され、前記マスタピストンと前記マスタシリンダとにより形成されているマスタ室の液圧を、前記パイロット液圧として発生させることを特徴とするブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−240872(P2011−240872A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116274(P2010−116274)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】