説明

プロキシミティ露光装置、及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法

【課題】マスク保護用の複数のスペーサを、簡単な構成で短時間にチャックの表面に設置する。
【解決手段】チャック10の内部から上昇する突き上げピン12及び突き上げピン12を上下に移動するモータ11を有する複数の突き上げピンユニットをチャック10に設け、マスク2をマスク搬送装置によりチャック10へ搬入し、複数の突き上げピン12により、マスク2をマスク搬送装置から受け取ってマスクホルダ10に装着する。マスク2を載せた突き上げピン12が下降したときマスク2のパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサ30を、チャック10の内部に収納し、各スペーサ30をチャック10の内部からチャック10の表面に出して、マスク2を載せた突き上げピン12が下降したときマスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法に係り、特に、大型のマスクを位置決めしてマスクホルダに装着するのに好適なプロキシミティ露光装置、及びプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
プロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダとを備え、マスクホルダに保持されたマスクとチャックに支持された基板とを極めて接近させて露光を行う。通常、チャックは、基板の移動及び位置決めを行うステージ上に搭載されており、基板を真空吸着して固定する。マスクホルダは、基板を搭載したチャックの上方に設けられ、マスクの周辺部を真空吸着して固定する。チャックへの基板の搬入、及びチャックからの基板の搬出は、通常、基板搬送ロボットのハンドリングアームにより行われるが、マスクと基板との接触を避けるために、マスクの下の露光位置から離れたロード/アンロード位置で行われる。ロード/アンロード位置で基板をチャックに搭載した後、ステージがマスクの下の露光位置へ移動し、露光位置で基板の位置決めを行う。
【0004】
マスクホルダへのマスクの搬入、及びマスクホルダからのマスクの搬出も、従来、マスク搬送ロボットのハンドリングアームにより行われていた。しかしながら、マスク搬送ロボットのハンドリングアームは片持式であるため、マスクが大型になってその重量が増大すると、ハンドリングアームがたわんで、マスクを水平に支持することができなくなり、またハンドリングアームの揺れが大きくなって、マスクホルダの下方へ移動するためのストロークを確保することが困難になってきた。これに対し、特許文献1には、チャックの内部から上昇する突き上げピン及び突き上げピンを上下に移動するモータを有する複数の突き上げピンユニットをチャックに取り付け、複数の突き上げピンによりマスクをマスクホルダに装着する技術が開示されている。また、特許文献2には、複数の突き上げピンユニットを用いて、基板のロード/アンロードを行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−113296号公報
【特許文献2】特開2010−113295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術を用い、複数の突き上げピンによりマスクをマスクホルダに装着する際、何らかの原因で突き上げピンが下降すると、マスクのパターン面がチャックの表面に接触して、パターンが損傷する恐れがある。例えば、特許文献2に記載されている様に、各突き上げピンユニットのモータは、ロッドの最下降位置を原点位置としてロッドのZ方向の座標管理を行っており、電源供給が停止した場合には、管理していた座標が不明となってしまう。そこで、電源供給が再開されると、ロッドを一旦原点位置に復帰させる動作を行うが、マスクを突き上げピンに載せた状態でこの動作を行うと、突き上げピンに載せられたマスクがチャックに接触する。
【0007】
そこで、特許文献1に記載のプロキシミティ露光装置では、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部に接触する複数のスペーサを、チャックの表面に設置して、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを防止している。しかしながら、スペーサをチャックの表面に設置するスペーサ設置装置がスペーサの数だけ必要となり、またスペーサの設置に時間が掛かっていた。
【0008】
本発明の課題は、マスク保護用の複数のスペーサを、簡単な構成で短時間にチャックの表面に設置することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、マスクをチャックへ搬入するマスク搬送装置と、チャックの内部から上昇する突き上げピン及び突き上げピンを上下に移動するモータを有し、突き上げピンにより、マスクをマスク搬送装置から受け取ってマスクホルダに装着する複数の突き上げピンユニットと、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサと、チャックに設けられ、各スペーサをチャックの内部に収納し、また各スペーサをチャックの内部からチャックの表面に出す複数のスペーサ収納装置とを備えたものである。
【0010】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法であって、チャックの内部から上昇する突き上げピン及び突き上げピンを上下に移動するモータを有する複数の突き上げピンユニットをチャックに設け、マスクをマスク搬送装置によりチャックへ搬入し、複数の突き上げピンにより、マスクをマスク搬送装置から受け取ってマスクホルダに装着し、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサを、チャックの内部に収納し、各スペーサをチャックの内部からチャックの表面に出して、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを防止するものである。
【0011】
マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサを、チャックの内部に収納し、各スペーサをチャックの内部からチャックの表面に出して、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを防止するので、特許文献1に記載されている様なスペーサ設置装置を用いることなく、マスク保護用の複数のスペーサが、簡単な構成で短時間にチャックの表面に設置される。
【0012】
さらに、本発明によるプロキシミティ露光装置は、各スペーサ収納装置が、各スペーサ収納装置を駆動する駆動力の供給が遮断されたとき、チャックの内部からチャックの表面に出した各スペーサを、チャックの表面に保持するものである。電力や圧縮空気等の各スペーサ収納装置を駆動する駆動力の供給が遮断されたとき、各スペーサがチャックの内部に収納される心配がなく、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのが確実に防止される。
【0013】
さらに、本発明によるプロキシミティ露光装置は、各スペーサ収納装置が、チャックの開口内にチャックの表面と平行に設けられた回転軸と、表面がチャックの表面と同じ高さになる様に回転軸に取り付けられ、裏面に各スペーサが取り付けられた回転台と、回転軸を回転する回転機構とを有するものである。
【0014】
また、本発明によるプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、チャックの開口内に、チャックの表面と平行に回転軸を設け、回転台を、その表面がチャックの表面と同じ高さになる様に回転軸に取り付け、各スペーサを回転台の裏面に取り付け、回転軸を回転して、各スペーサをチャックの開口内に収容し、また各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すものである。
【0015】
各スペーサをチャックの開口内に収容したとき、回転台の表面がチャックの表面と同じ高さとなってチャックが平坦になるので、チャックに搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、回転軸を回転して、各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すので、マスクを載せた突き上げピンが何らかの原因で下降したとき、各スペーサが突き上げピンと同様に下降する心配がなく、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのが確実に防止される。
【0016】
あるいは、本発明によるプロキシミティ露光装置は、各スペーサ収納装置が、チャックの開口内に設けられ、各スペーサを搭載する昇降台と、昇降台を、各スペーサの上面がチャックの表面と同じ高さになる位置へ下降させ、また各スペーサの上面がチャックの表面より高くなる位置へ上昇させて保持する昇降保持機構とを有するものである。
【0017】
また、本発明によるプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、チャックの開口内に、各スペーサを搭載する昇降台を設け、昇降台を、各スペーサの上面がチャックの表面と同じ高さになる位置へ下降させて、各スペーサをチャックの開口内に収容し、各スペーサの上面がチャックの表面より高くなる位置へ上昇させて保持して、各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すものである。
【0018】
各スペーサをチャックの開口内に収容したとき、各スペーサの上面がチャックの表面と同じ高さとなってチャックが平坦になるので、チャックに搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、昇降台を上昇させて保持して、各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すので、マスクを載せた突き上げピンが何らかの原因で下降したとき、各スペーサが突き上げピンと同様に下降する心配がなく、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのが確実に防止される。
【0019】
あるいは、本発明によるプロキシミティ露光装置は、各スペーサ収納装置が、各スペーサの下面に設けられた凸部と、チャックに設けられ、各スペーサを収容し、底面に各スペーサの凸部を収容する凹部を有する溝と、各スペーサを溝から上昇させ、各スペーサをその凸部が溝の凹部から外れる様に回転した後に下降させる昇降回転機構とを有するものである。
【0020】
また、本発明によるプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法は、各スペーサの下面に凸部を設け、チャックに、各スペーサを収容し、底面に各スペーサの凸部を収容する凹部を有する溝を設け、各スペーサをその凸部が溝の凹部に合う位置で下降させて、各スペーサをチャックの溝内に収容し、各スペーサを溝から上昇させ、各スペーサをその凸部が溝の凹部から外れる様に回転した後に下降させて、各スペーサをチャックの溝からチャックの表面に出すものである。
【0021】
各スペーサをチャックの溝内に収容したとき、各スペーサの上面がチャックの表面と同じ高さとなってチャックが平坦になるので、チャックに搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、各スペーサを溝から上昇させ、各スペーサをその凸部が溝の凹部から外れる様に回転した後に下降させて、各スペーサをチャックの溝からチャックの表面に出すので、マスクを載せた突き上げピンが何らかの原因で下降したとき、各スペーサが突き上げピンと同様に下降する心配がなく、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのが確実に防止される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサを、チャックの内部に収納し、各スペーサをチャックの内部からチャックの表面に出して、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを防止することにより、マスク保護用の複数のスペーサを、簡単な構成で短時間にチャックの表面に設置することができる。
【0023】
さらに、本発明によれば、電力や圧縮空気等の各スペーサ収納装置を駆動する駆動力の供給が遮断されたとき、各スペーサがチャックの内部に収納される心配がなく、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを確実に防止することができる。
【0024】
さらに、本発明によれば、チャックに搭載した基板の露光を行う際、露光むらを抑制することができ、かつ、マスクを載せた突き上げピンが下降したとき、マスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるチャックの上面図である。
【図4】図4(a)は突き上げピンユニットの上面図、図4(b)は図4(a)のA−A部の断面図である。
【図5】図5(a)は突き上げピンユニットの上面図、図5(b)は図5(a)のB−B部の断面図である。
【図6】突き上げピンユニットの制御系を示す図である。
【図7】図7(a)は本発明の一実施の形態によるマスク保護スペーサの上面図、図7(b)は同側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。
【図10】マスク保護スペーサが設置されたチャックの上面図である。
【図11】突き上げピンユニット及びマスク搬送ロボットの動作を説明する図である。
【図12】マスクホルダの上面図である。
【図13】マスクホルダにマスクを装着する動作を説明する図である。
【図14】本発明の他の実施の形態によるチャックの上面図である。
【図15】図15(a)は本発明の他の実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図、図15(b)は本発明の他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。
【図16】本発明のさらに他の実施の形態によるチャックの上面図である。
【図17】本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図である。
【図18】本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。
【図19】本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。
【図20】本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の平面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、突き上げピンユニット、突き上げピンユニットの制御系、マスクホルダ20、マスク搬送ロボット40、マスクストッカー42、Xステージ駆動回路71、Yステージ駆動回路72、θステージ駆動回路73、及び主制御装置80を含んで構成されている。
【0027】
なお、図1では、突き上げピンユニットの制御系、マスク搬送ロボット40、及びマスクストッカー42が省略されている。また、図2では、突き上げピンユニットの制御系、Xステージ駆動回路71、Yステージ駆動回路72、θステージ駆動回路73、及び主制御装置80が省略されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0028】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0029】
図2において、チャック10は、マスク2の受け取りを行うマスク受け取り位置にある。マスク搬送ロボット40は、マスク2を、マスクストッカー42から取り出して、マスク受け取り位置にあるチャック10へ搬入し、またマスク2を、マスク受け取り位置にあるチャック10から搬出して、マスクストッカー42に収納する。マスク搬送ロボット40のハンドリングアーム41には、マスク2のパターン面(下面)のパターンが形成されていない周辺部に接触するマスク支持部41aが設けられており、ハンドリングアーム41は、マスク支持部41aによりマスク2のパターン面(下面)の周辺部を支持する。後述する突き上げピンユニットの突き上げピンは、マスク2をチャック10へ搬入する際、マスク搬送ロボット40のハンドリングアーム41からマスク2を受け取り、マスク2をチャック10から搬出する際、マスク搬送ロボット40のハンドリングアーム41へマスク2を受け渡す。チャック10へ搬入されたマスク2は、後述する様に、マスクホルダ20の下のマスク装着位置へ移動され、マスク装着位置においてマスクホルダ20へ装着される。
【0030】
基板の露光を行う際、チャック10は、まず、基板のロード/アンロードを行うロード/アンロード位置へ移動される。ロード/アンロード位置において、基板がチャック10にロードされ、また基板がチャック10からアンロードされる。基板がロードされたチャック10は、ロード/アンロード位置から基板の露光を行う露光位置へ移動される。
【0031】
露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。マスクホルダ20は、マスク2の周辺部を真空吸着して保持する。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板の表面に転写され、基板上にパターンが形成される。
【0032】
図1において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向(図1の図面横方向)へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向(図1の図面奥行き方向)へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10の裏面を複数箇所で支持する。Xステージ駆動回路71、Yステージ駆動回路72、θステージ駆動回路73は、主制御装置80の制御により、Xステージ5、Yステージ7、θステージ8をそれぞれ駆動する。
【0033】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、基板1の位置決めが行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向(図1の図面上下方向)へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。
【0034】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0035】
図3は、チャックの上面図である。図3において、チャック10の中央部付近には、後述する突き上げピンユニットが挿入される複数の開口が設けられており、開口には蓋13がはめられている。蓋13には貫通孔が設けられており、貫通孔には蓋13の下方から突き上げピン12が挿入されている。なお、本実施の形態では、突き上げピンユニットが挿入される開口がチャック10の中央部付近に16個設けられているが、開口の位置及び数はこれに限定されるものではない。
【0036】
図4(a)は突き上げピンユニットの上面図、図4(b)は図4(a)のA−A部の断面図である。また、図5(a)は突き上げピンユニットの上面図、図5(b)は図5(a)のB−B部の断面図である。突き上げピンユニットは、モータ11、突き上げピン12、蓋13、フランジ14、ボルト15,17、及び止めねじ16を含んで構成されている。
【0037】
モータ11は、パルスモータと、パルスモータに接続されたボールねじと、ロッドとを含んで構成され、パルスモータでボールねじを駆動することにより、ロッド収納部11a内に収納されたロッドが、上昇及び下降する。モータ11のロッドの先端には、突き上げピン12が取り付けられている。
【0038】
図4(b)において、モータ11のロッド収納部11aの上面には、フランジ14が取り付けられ、フランジ14は、ボルト15により蓋13の裏面に固定されている。一方、チャック10の裏面の開口周辺には、蓋13を支持するリング状の支持プレート18が取り付けられている。支持プレート18は、ボルト19によりチャック10の裏面に固定されている。
【0039】
図4(a)及び図5(a)において、蓋13の周辺部には、止めねじ16をねじ込むねじ穴と、ボルト17を通す段差付き穴とが、複数箇所に設けられている。図4(b)において、蓋13は、蓋13の周辺部の段差付き穴に通したボルト17により、支持プレート18に固定されている。図5(b)において、止めねじ16は、蓋13の周辺部のねじ穴にねじ込まれ、蓋13の底面から突き出て、支持プレート18の上面に接触している。
【0040】
本実施の形態では、突き上げピンユニットをチャック10に取り付ける際、まず、チャック10の上方から、突き上げピンユニットを開口に挿入し、止めねじ16のねじ込み量を調整して、突き上げピンユニットの取り付け高さを調整する。そして、ボルト17により蓋13を支持プレート18に固定して、突き上げピンユニットをチャック10に取り付ける。突き上げピンユニットを、チャック10の上方から、開口に挿入し、止めねじ16により取り付け高さを調整して、チャック10に取り付けるので、チャック10の外側から手又は治具が届きにくいチャックの中央部付近であっても、突き上げピンユニットの取り付け高さの調整がチャック10の上方から容易に行われる。従って、基板の大型化に伴いチャック10が大型化しても、突き上げピン12の高さが容易に調整される。
【0041】
図6は、突き上げピンユニットの制御系を示す図である。突き上げピン駆動制御回路50は、主制御装置80の制御により、各突き上げピンユニットのモータ11に対して、突き上げピン12の移動先を指定して、突き上げピン12の移動先への移動を指示する。モータ11は、内部にエンコーダを有し、エンコーダは、突き上げピン12が指示された移動先から所定の範囲内に達すると、移動が終了した旨の終了信号を、突き上げピン駆動制御回路50へ出力する。
【0042】
以下、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法について説明する。図3において、チャック10には、突き上げピンユニットが挿入される開口の他に、マスク保護スペーサ及びスペーサ収納装置が収容される4つの開口が設けられている。図3においては、各開口が、スペーサ収納装置の回転台32でふさがれている。
【0043】
図7(a)は本発明の一実施の形態によるマスク保護スペーサの上面図、図7(b)は同側面図である。マスク保護スペーサ30は、マスク2の材料よりも柔らかい合成樹脂等の材料で構成され、図7(b)に示す様に、上面が平坦な面となっている。
【0044】
図8は、本発明の一実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図である。本実施の形態によるスペーサ収納装置は、回転軸31、回転台32、軸受33、歯車34、ウォームホイール35、ウォームギヤ36、及びモータ37を含んで構成されている。なお、図8(a)はスペーサ収納装置の側面図、図8(b)は図8(a)の矢印で示す方向から見た側面図を示しており、図8(b)では軸受33が省略されている。
【0045】
図8(a)に示す様に、チャック10の開口内には、回転軸31が、チャック10の表面と平行に設けられている。回転軸31の両端は、チャック10に取り付けられた軸受33により、回転可能に支持されている。回転軸31には、回転台32が、その表面がチャック10の表面と同じ高さになる様に取り付けられている。回転台32の裏面には、マスク保護スペーサ30が取り付けられている。
【0046】
回転軸31の一端の近くには、歯車34が取り付けられている。図8(b)に示す様に、歯車34には、ウォームホイール35がかみ合わせてあり、ウォームホイール35には、モータ37の回転軸に取り付けられたウォームギヤ36がかみ合わせてある。モータ37によりウォームギヤ36を回転すると、ウォームホイール35及び歯車34が回転して回転軸31が回転し、回転軸31に取り付けた回転台32が回転軸31周りに回転する。図8(b)の破線は、回転台32の回転範囲を示している。
【0047】
図9は、本発明の一実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。本実施の形態によるスペーサ収納装置は、モータ37により回転軸31を回転して、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口内に収容し、またマスク保護スペーサ30をチャック10の開口からチャック10の表面に出す。図8に示す、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口内に収容した状態から、回転台32を180度回転すると、図9に示す様に、回転台32の裏面に取り付けられたマスク保護スペーサ30が、チャック10の表面に設置される。
【0048】
図10は、マスク保護スペーサが設置されたチャックの上面図である。図10において、マスク搬送ロボット40により搬入されるマスク2は、破線で示されている。マスク保護スペーサ30は、マスク2を載せた突き上げピン12が下降したとき、上面がマスク2のパターン面(下面)のパターンが形成されていない周辺部に接触して、マスク2を支持する。これにより、マスク2を載せた突き上げピン12が何らかの原因で下降したとき、マスク2のパターン面(下面)がチャック10の表面に接触してパターンが損傷するのが防止される。
【0049】
図8(a),(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口内に収容したとき、回転台32の表面がチャック10の表面と同じ高さとなってチャック10が平坦になるので、チャック10に搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、図9(a),(b)に示す様に、回転軸31を回転して、マスク保護スペーサ30をチャックの10開口からチャック10の表面に出すので、マスク2を載せた突き上げピン12が何らかの原因で下降したとき、マスク保護スペーサ30が突き上げピン12と同様に下降する心配がなく、マスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのが確実に防止される。
【0050】
図11は、突き上げピンユニット及びマスク搬送ロボットの動作を説明する図である。マスク2をチャック10へ搬入する際、まず、各突き上げピンユニットのモータ11は、突き上げピン12を上昇させる(図11(a))。マスク搬送ロボット40は、マスク2を載せたハンドリングアーム41を、チャック10の上空へ移動する(図11(a))。次に、マスク搬送ロボット40は、ハンドリングアーム41を下降させて、マスク2を突き上げピン12に載せ(図11(b))、ハンドリングアーム41をさらに下降させて、ハンドリングアーム41のマスク支持部41aをマスク2から離す(図11(c))。これにより、各突き上げピン12は、マスク搬送ロボット40からマスク2を受け取る。次に、マスク搬送ロボット40は、ハンドリングアーム41をチャック10の上空から退避させる(図11(d))。
【0051】
チャック10の内部から上昇する突き上げピン12及び突き上げピンを上下に移動するパルスモータ11を有する複数の突き上げピンユニットをチャック10に設け、突き上げピン12によりマスク搬送ロボット40からマスク1を受け取るので、マスク2がチャック10に搭載する基板より小さくても、マスク2をチャック10へ搬入することができる。
【0052】
チャック10をマスク受け取り位置からマスク装着位置へ移動する際、各突き上げピンユニットのモータ11は、突き上げピン12を下降させて、マスク2をマスク保護スペーサ30に載せる。マスク2をチャック10から搬出する際は、上記と逆の動作を行う。
【0053】
図1において、主制御装置80は、Xステージ駆動回路71、Yステージ駆動回路72、及びθステージ駆動回路73を制御して、Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8によりチャック10を移動し、マスク2をマスク受け取り位置からマスクホルダ20の下のマスク装着位置へ移動する。
【0054】
図12は、マスクホルダの上面図である。マスクホルダ20には、露光光が通る開口20aよりも一回り大きな開口が設けられており、この開口の内側に、ホルダ部21a,21bによって露光光が通る開口20aが形成されている。ホルダ部21a,21bは、マスクホルダ20の下面に取り付けられており、ホルダ部21a,21bのマスクホルダ20より下の部分は破線で示されている。ホルダ部21a,21bは、破線で示すマスク2の周辺部を真空吸着して保持している。
【0055】
図13は、マスクホルダにマスクを装着する動作を説明する図である。マスク装着位置において、マスクホルダにマスクを装着する際、まず、各突き上げピンユニットのモータ11は、マスク2の位置検出用マークが図示しない高分解能可動カメラの焦点に合う高さまで、突き上げピン12を上昇させる(図13(a))。図示しない高分解能可動カメラは、マスク2の位置検出用マークの画像を取得する。図示しない画像処理装置は、高分解能可動カメラが出力した画像信号を処理して、マスク2の位置を検出する。
【0056】
図1において、主制御装置80は、画像処理装置が検出したマスク2の位置の検出結果を入力し、予め記憶したマスク装着位置でのマスク2の基準位置と比較して、マスク2の位置のずれ量を検出する。そして、主制御装置80は、検出したマスク2の位置のずれ量に基づいて、Xステージ駆動回路71、Yステージ駆動回路72、及びθステージ駆動回路73を制御して、Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8によりチャック10を移動し、マスク2の位置決めを行う。
【0057】
図13において、マスク2の位置決め終了後、各突き上げピンユニットのモータ11は、突き上げピン12をさらに上昇させて、マスク2をホルダ部21a,21bへ押し付ける(図13(b))。ホルダ部21a,21bへ押し付けられたマスク2の上空には、負圧ガラス23が設けられており、負圧ガラス23とマスク2との間に負圧室が形成される。ホルダ部21a,21bには図示しない吸着溝が設けられており、負圧室内の圧力が制御された後、ホルダ部21a,21bは、図示しない吸着溝によりマスク2の周辺部を真空吸着する。
【0058】
Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8によりチャック10を移動してマスク2の位置決めを行い、突き上げピン12によりマスク2をマスクホルダ20に装着するので、チャック10へ搬入したマスク2が、Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8により精度良く位置決めされて、マスクホルダ20に装着される。
【0059】
マスク2の装着が終了した後、各突き上げピンユニットのモータ11は、突き上げピン12を下降させる(図13(c))。各スペーサ収納装置は、各マスク保護スペーサ30をチャック10内に収納する。
【0060】
図14は、本発明の他の実施の形態によるチャックの上面図である。図14において、チャック10には、突き上げピンユニットが挿入される開口の他に、マスク保護スペーサ及びスペーサ収納装置が収容される4つの開口が設けられている。本実施の形態においては、各開口が上方から見てマスク保護スペーサ30と同じ形状をしており、各開口にマスク保護スペーサ30が収容されている。
【0061】
図15(a)は本発明の他の実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図、図15(b)は本発明の他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。本実施の形態によるスペーサ収納装置は、支持具61、昇降台62、ガイド63、ボールねじ64a、ナット64b、軸継手65、及びブレーキ付きモータ66を含んで構成されている。マスク保護スペーサ30は、昇降台62に設けた支持具61により支持されている。昇降台62は、ガイド63に沿って上下に移動可能となっている。昇降台62の下面には、ボールねじ64aにより移動されるナット64bが取り付けられており、ボールねじ64aは、軸継手65を介してブレーキ付きモータ66の回転軸に接続されている。ブレーキ付きモータ66によりボールねじ64aを回転することにより、ナット64bが取り付けられた昇降台62が上昇又は下降される。
【0062】
ブレーキ付きモータ66は、図15(a)に示す様に、昇降台62を、マスク保護スペーサ30の上面がチャック10の表面と同じ高さになる位置へ下降させて、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口内に収容する。また、ブレーキ付きモータ66は、図15(b)に示す様に、昇降台62を、マスク保護スペーサ30の上面がチャック10の表面より高くなる位置へ上昇させ、ブレーキによりその位置で保持して、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口からチャック10の表面に出す。
【0063】
図15(a)に示す様に、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口内に収容したとき、マスク保護スペーサ30の上面がチャック10の表面と同じ高さとなってチャック10が平坦になるので、チャック10に搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、図15(b)に示す様に、昇降台62を上昇させて保持して、マスク保護スペーサ30をチャック10の開口からチャック10の表面に出すので、マスク2を載せた突き上げピン12が何らかの原因で下降したとき、マスク保護スペーサ30が突き上げピン12と同様に下降する心配がなく、マスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのが確実に防止される。
【0064】
図16は、本発明のさらに他の実施の形態によるチャックの上面図である。図16において、チャック10には、突き上げピンユニットが挿入される開口の他に、マスク保護スペーサ及びスペーサ収納装置が収容される4つの開口が設けられている。本実施の形態においては、マスク保護スペーサ30’及び各開口が上方から見て丸い形状をしており、各開口にマスク保護スペーサ30’が収容されている。
【0065】
図17は、本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置を示す図である。本実施の形態によるスペーサ収納装置は、凸部91、溝92、凹部93、及び昇降回転シリンダ94を含んで構成されている。なお、図17(a)はスペーサ収納装置の上面図、図17(b)は図17(a)のC−C部の断面図である。
【0066】
図17(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30’ の下面には、複数の凸 部91が設けられている。チャック10の表面には、マスク保護スペーサ30’を収容し、底面にマスク保護スペーサ30’の凸部91を収容する凹部93を有する溝92が設けられている。マスク保護スペーサ30’は、下面の中央部が昇降回転シリンダ94のロッド94aに接続され、昇降回転シリンダ94により上昇及び下降され、また回転される。昇降回転シリンダ94は、図17(a),(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30’をその凸部91が溝92の凹部93に合う位置で下降させて、マスク保護スペーサ30’をチャック10の溝92内に収容する。
【0067】
図18〜図20は、本発明のさらに他の実施の形態によるスペーサ収納装置の動作を説明する図である。なお、図18(a)はスペーサ収納装置の上面図、図18(b)は図18(a)のC−C部の断面図である。また、図19(a),図20(a)はスペーサ収納装置の上面図、図19(b),図20(a)は図19(a),図20(a)のD−D部の断面図である。マスク保護スペーサ30’をチャック10に設置する際、昇降回転シリンダ94は、まず、図18(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30’を溝92から上昇させる。続いて、昇降回転シリンダ94は、図19(a)に示す様に、マスク保護スペーサ30’を90度回転する。マスク保護スペーサ30’の凸部91は、溝92の凹部93から外れた位置に来る。この状態で、昇降回転シリンダ94は、図20(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30’を下降させる。マスク保護スペーサ30’の凸部91が、溝92の底面の凹部93が設けられていない部分に接触して、マスク保護スペーサ30’がチャック10に設置される。マスク保護スペーサ30’をチャック10の溝92内に収容するときは、これらと逆の動作を行う。
【0068】
図17(a),(b)に示す様に、マスク保護スペーサ30’をチャック10の溝92内に収容したとき、マスク保護スペーサ30’の上面がチャック10の表面と同じ高さとなってチャック10が平坦になるので、チャック10に搭載した基板の露光を行う際、露光むらが抑制される。そして、マスク保護スペーサ30’を溝92から上昇させ、マスク保護スペーサ30’をその凸部91が溝92の凹部91から外れる様に回転した後に下降させて、マスク保護スペーサ30’をチャック10の溝92からチャック10の表面に出すので、マスク2を載せた突き上げピン12が何らかの原因で下降したとき、マスク保護スペーサ30’が突き上げピン12と同様に下降する心配がなく、マスク2のパターン面がチャックの表面に接触するのが確実に防止される。
【0069】
なお、以上説明した本実施の形態では、マスク保護スペーサ及びスペーサ収納装置をチャック10の4箇所に設けていたが、マスク保護スペーサ及びスペーサ収納装置をチャック10の5箇所以上設けてもよい。
【0070】
以上説明した実施の形態によれば、マスク2を載せた突き上げピン12が下降したときマスク2のパターン面の周辺部を支持する複数のマスク保護スペーサ30,30’を、チャック10の内部に収納し、各マスク保護スペーサ30,30’をチャック10の内部からチャック10の表面に出して、マスク2を載せた突き上げピン12が下降したときマスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのを防止することにより、複数のマスク保護スペーサ30,30’を、簡単な構成で短時間にチャック10の表面に設置することができる。
【0071】
さらに、電力や圧縮空気等の各スペーサ収納装置を駆動する駆動力の供給が遮断されたとき、各マスク保護スペーサ30,30’がチャック10の内部に収納される心配がなく、マスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのを確実に防止することができる。
【0072】
さらに、チャック10に搭載した基板の露光を行う際、露光むらを抑制することができ、かつ、マスク2を載せた突き上げピン12が下降したとき、マスク2のパターン面がチャック10の表面に接触するのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
11 モータ
12 突き上げピン
13 蓋
14 フランジ
15,17,19 ボルト
16 止めねじ
18 支持プレート
20 マスクホルダ
21a、21b ホルダ部
23 負圧ガラス
30,30’ マスク保護スペーサ
31 回転軸
32 回転台
33 軸受
34 歯車
35 ウォームホイール
36 ウォームギヤ
37 モータ
40 マスク搬送ロボット
41 ハンドリングアーム
41a マスク支持部
42 マスクストッカー
50 突き上げピン駆動制御回路
61 支持具
62 昇降台
63 ガイド
64a ボールねじ
64b ナット
65 軸継手
66 ブレーキ付きモータ
71 Xステージ駆動回路
72 Yステージ駆動回路
73 θステージ駆動回路
80 主制御装置
91 凸部
92 溝
93 凹部
94 昇降回転シリンダ
94a ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、前記チャックを移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置において、
マスクを前記チャックへ搬入するマスク搬送装置と、
前記チャックの内部から上昇する突き上げピン及び該突き上げピンを上下に移動するモータを有し、該突き上げピンにより、マスクを前記マスク搬送装置から受け取って前記マスクホルダに装着する複数の突き上げピンユニットと、
マスクを載せた前記突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサと、
前記チャックに設けられ、各スペーサを前記チャックの内部に収納し、また各スペーサを前記チャックの内部から前記チャックの表面に出す複数のスペーサ収納装置とを備えたことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
各スペーサ収納装置は、各スペーサ収納装置を駆動する駆動力の供給が遮断されたとき、前記チャックの内部から前記チャックの表面に出した各スペーサを、前記チャックの表面に保持することを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
各スペーサ収納装置は、
前記チャックの開口内に前記チャックの表面と平行に設けられた回転軸と、
表面が前記チャックの表面と同じ高さになる様に前記回転軸に取り付けられ、裏面に各スペーサが取り付けられた回転台と、
前記回転軸を回転する回転機構とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
各スペーサ収納装置は、
前記チャックの開口内に設けられ、各スペーサを搭載する昇降台と、
前記昇降台を、各スペーサの上面が前記チャックの表面と同じ高さになる位置へ下降させ、また各スペーサの上面が前記チャックの表面より高くなる位置へ上昇させて保持する昇降保持機構とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項5】
各スペーサ収納装置は、
各スペーサの下面に設けられた凸部と、
前記チャックに設けられ、各スペーサを収容し、底面に各スペーサの前記凸部を収容する凹部を有する溝と、
各スペーサを前記溝から上昇させ、各スペーサをその凸部が前記溝の凹部から外れる様に回転した後に下降させる昇降回転機構とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項6】
基板を支持するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージとを備え、マスクと基板との間に微小なギャップを設けて、マスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法であって、
チャックの内部から上昇する突き上げピン及び突き上げピンを上下に移動するモータを有する複数の突き上げピンユニットをチャックに設け、
マスクをマスク搬送装置によりチャックへ搬入し、
複数の突き上げピンにより、マスクをマスク搬送装置から受け取ってマスクホルダに装着し、
マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面の周辺部を支持する複数のスペーサを、チャックの内部に収納し、
各スペーサをチャックの内部からチャックの表面に出して、マスクを載せた突き上げピンが下降したときマスクのパターン面がチャックの表面に接触するのを防止することを特徴とするプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。
【請求項7】
チャックの開口内に、チャックの表面と平行に回転軸を設け、
回転台を、その表面がチャックの表面と同じ高さになる様に回転軸に取り付け、
各スペーサを回転台の裏面に取り付け、
回転軸を回転して、各スペーサをチャックの開口内に収容し、また各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すことを特徴とする請求項6に記載のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。
【請求項8】
チャックの開口内に、各スペーサを搭載する昇降台を設け、
昇降台を、各スペーサの上面がチャックの表面と同じ高さになる位置へ下降させて、各スペーサをチャックの開口内に収容し、各スペーサの上面がチャックの表面より高くなる位置へ上昇させて保持して、各スペーサをチャックの開口からチャックの表面に出すことを特徴とする請求項6に記載のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。
【請求項9】
各スペーサの下面に凸部を設け、
チャックに、各スペーサを収容し、底面に各スペーサの凸部を収容する凹部を有する溝を設け、
各スペーサをその凸部が溝の凹部に合う位置で下降させて、各スペーサをチャックの溝内に収容し、
各スペーサを溝から上昇させ、各スペーサをその凸部が溝の凹部から外れる様に回転した後に下降させて、各スペーサをチャックの溝からチャックの表面に出すことを特徴とする請求項6に記載のプロキシミティ露光装置のマスク搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−63514(P2012−63514A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206687(P2010−206687)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】