説明

リンク機構及び脚車輪型ロボット

【課題】リンクの可動範囲を十分に確保しつつ、各リンクの連結部の剛性を高めるのに好適なリンク機構、該リンク機構から成る脚部を有する脚車輪型ロボットを提供する。
【解決手段】脚車輪型ロボット100は、第1リンク17を、2つのリンク部材を間隙を空けて相対させ、その上端部において回転関節16で両持ちで支持し、下端部に略ボックス形状の第1のハウジング17cを一体形成する構成とし、屈曲時に、その間隙内に回転関節16の一部を進入可能な構成とし、第1のハウジング17cの上端部に傾斜面を設ける構成とした。更に、第1リンク17を回転関節16に対して回動限界位置まで屈曲させた状態で、更に回転関節14の回転軸周りに回動させたときに、第1股関節駆動部120の側面における第1リンク17が当接する位置に、該第1リンク17の当接部位がその回動方向に進入可能な切り欠き120bを設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクを連結して多関節構造のマニピュレータを構成するリンク機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部を備え、該各脚部を動作させて移動する脚型ロボットがある。各脚部は複数のリンク部材が直列に連結された構成のシリアルリンク機構を利用したものが一般的である。例えば、シリアルリンク機構のロボットとして、特許文献1に記載の脚式歩行ロボットなどがある。この種のロボットは、連結された各リンク部材における基端側(ロボットなどの基体に連結される側)のリンク部材に、これらのリンク部材に対して先端側(ロボットのなどの基体から離れる側)のリンク部材を回動させる関節(回転軸)を駆動するモータ等のアクチュエータを含む回転駆動機構が設けられており、アクチュエータを駆動することによって、該アクチュエータの動力が各関節に伝達される。これにより、各関節が動作(回転軸が回転)して、基体側のリンク部材に支持された先端側のリンク部材が動作(回動)する。
【0003】
しかし、シリアルリンク機構を利用したロボットにあっては、各リンク部材の連結構造が片持ち梁の構造となっているため、各リンク部材に曲げ応力が作用することになり、十分な剛性を確保するのが困難であるという問題があった。
上記のような問題に対して、2つのリンク部材をパラレルに配設して各2つの端部(又は基体など)において他のリンクを両持ちで支持することで連結部の剛性を確保する方法がある。例えば、特許文献2に記載の関節モジュールは、回転する側のリンクを3つの部材を組み合わせてコ字状のフレームを有する構造とし、このコ字状のフレームを、固定側のリンクに両持ちで回転支持する構成としている。つまり、この構成により、関節を回転モーメントに対して強固なものとしている。
【特許文献1】特開2005−7491号公報
【特許文献2】特開2001−191290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2の従来技術においては、ボックス形状をした固定側リンクの一部をコ字形状のフレームの内側に配設し、ボックスの両側面の中央位置で回転側リンクを両持ちで支持する構成が記載されている。この構成では、固定側リンクの形状に対して該固定側リンクとコ字状のフレームとの間に形成される間隙が狭くなり、回転側リンクの動作範囲(回動範囲)を著しく狭めてしまっている。つまり、両持ちで支持する構成は、回動を行うリンクの近傍の間隙の大きさや部材の形状などについても配慮しないと、回転側リンクの回動範囲を著しく狭めることになるが、上記特許文献2では、このことについては一切記載されていない。
【0005】
また、ロボットの脚部を多関節のリンク機構から構成し、リンクをピッチ軸周りに回動限界位置まで回動した状態(脚を持ち上げた状態)で更にヨー軸周りに回動させると、リンクの回動する軌道上に、リンク機構の関節部を構成するフレームや基体などが存在し、これらにリンクがぶつかって、それ以上回動できなくなる場合がある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであり、リンクの可動範囲を十分に確保しつつ、各リンクの連結部の剛性を高めるのに好適なリンク機構、該リンク機構から成る脚部を有する脚車輪型ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のリンク機構は、
第1回転駆動機構を備え、自己に対して第1の回転軸周りに回転自在に支持された第2関節駆動部を前記第1回転駆動機構で回転駆動する第1関節駆動部と、第2回転駆動機構を備え、自己に対して前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに回転自在に支持された第1リンクを前記第2回転駆動機構で回転駆動する第2関節駆動部と、該第2関節駆動部に前記第2の回転軸周りに回転自在に支持された前記第1リンクとから構成されるリンク機構であって、
前記第1関節駆動部を、そのフレームと一体に構成されたハウジングを備え、該ハウジング内に前記第1回転駆動機構の少なくとも一部が収納され、前記リンクを前記第2関節駆動部に対する回転限界位置まで回動させた状態で前記第1の回転軸周りに回動させたときに、前記ハウジングにおける前記第1リンクと当接する部位に、前記第1リンクの当接部がその回動方向に進入可能な凹部が設けられた構成とし、
前記第2関節駆動部は、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持し、
前記第1リンクは、2つの第1リンク部材を、少なくとも前記第2関節駆動部の前記第2回転軸方向の幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第1リンク部材の前記第2関節駆動部とは反対側の端部に、前記2つの第1リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して可動に支持される部材を駆動する第1駆動機構の少なくとも一部を収納する第1のハウジングが形成された構成の第1フレームを備え、
前記第1リンクの間隙の大きさを、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回動させたときに、少なくとも前記第1リンクの前記第2関節駆動部側の端部が該第2関節駆動部に当接しない大きさに構成したことを特徴とする。
【0007】
このような構成であれば、第2回転駆動機構が駆動して、第1リンクが回動すると、第1リンクは第2関節駆動部に近づいていく。第1リンクの間隙は、第2関節駆動部の幅よりも広く且つ第1リンクの回動時に第1のハウジングの第2関節駆動部側の端部が第2関節駆動部に当接しない大きさを有するため、第1リンクは、第2関節駆動部の一部を第1リンクの間隙内に入り込ませながら回動を続け、その後、回動限界位置に到達する。
【0008】
更に、第1リンクが回動限界位置に回動した状態で、第1回転駆動機構を駆動して、第1リンクが回動すると、第1リンクは、第1関節駆動部を構成するハウジングに近づいていく。第1リンクはハウジングとの当接位置に回動すると、そこから先はハウジングの当接位置に設けられた凹部へと進入しながら回動を続ける。
また、第1リンクに他のリンクや車輪などを回転自在に両持ちで支持することで、これらの駆動機構の少なくとも一部を、第1のハウジングの内部に収納することができる。なお、回転駆動される部材に限らず直進運動する部材を直進運動自在に支持し、該部材を直進運動させる駆動機構の少なくとも一部を第1のハウジングの内部に収納することも可能である。
【0009】
ここで、上記第1フレームは、2つの第1リンク部材の端部に、第1のハウジングが一体形成されたものや、ボルトなどで一体的に形成されたものなどが該当し、使用目的に応じた剛性を確保できる構成であればどのような構成でも良い。
また、上記第1リンク部材は、例えば、板状の部材や、円柱状の部材など様々な形状のものが該当する。材質についても、樹脂部材、金属部材など使用目的に応じた条件(剛性等)を満足できるものであればどのような材質のものでも良い。以下、形態5の脚車輪型ロボットについても同様である。
【0010】
また、上記第1のハウジングは、内容物(回転駆動機構など)を収納又は保護できる構成であれば、外形や内部空間の形状はどのような形状でも良い。以下、形態5の脚車輪型ロボットについても同様である。
【0011】
〔発明2〕 更に、発明2のリンク機構は、発明1に記載のリンク機構において、
前記第1リンクは、前記第1のハウジング内に前記第1駆動機構の少なくとも一部を収納し、第2リンクを前記第2の回転軸と同じ方向の軸周りに回転自在に両持ちで支持すると共に、前記第1駆動機構で前記第2リンクを回転駆動し、
前記第2リンクは、2つの第2リンク部材を、少なくとも前記第1のハウジングの幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第2リンク部材の前記第1リンクとは反対側の端部に、前記2つの第2リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して可動に支持された部材を駆動する第2駆動機構の少なくとも一部を収納する第2のハウジングが形成された構成の第2フレームを備え、
前記第2リンクの間隙の大きさを、前記第2リンクを回動させたときに、少なくとも前記第1のハウジングの前記第2リンク側の端部が前記第2のハウジングに当接しない大きさに構成したことを特徴とする。
【0012】
このような構成であれば、第3回転駆動機構が駆動して、第2リンクが回動すると、第2リンクは第1リンクに近づいていく。第2リンクの間隙は、第1リンクのフレームの幅よりも広く且つ第2リンクの回動時に第1のハウジングの第2リンク側の端部が第2のハウジングに当接しない大きさを有するため、第2リンクは、第1のハウジングの一部を第2リンクの間隙内に入り込ませつつ回動を続け、その後、回動限界位置に到達する。
【0013】
また、第2リンクに他のリンクや車輪などを回転自在に両持ちで支持することで、これらの回転駆動機構の少なくとも一部を、第2のハウジングの内部に収納することができる。なお、回転駆動される部材に限らず直進運動する部材を直進運動自在に支持し、該部材を直進運動させる駆動機構の少なくとも一部を第2のハウジングの内部に収納することも可能である。
【0014】
ここで、第1リンク部材と第2リンク部材とは、両者が、材質、形状、サイズ等が同一の部材又は異なる部材のいずれで構成されていても良い。また、第2リンク部材は、例えば、板状の部材や、円柱状の部材など様々な形状のものが該当する。材質についても、樹脂部材、金属部材など使用目的に応じた条件(剛性等)を満足できるものであればどのような材質のものでも良い。以下、形態5の脚車輪型ロボットについても同様である。
【0015】
また、上記第2のハウジングは、内容物(回転駆動機構など)を収納又は保護できる構成であれば、外形や内部空間の形状はどのような形状でも良い。以下、形態5の脚車輪型ロボットについても同様である。
【0016】
〔発明3〕 更に、発明3のリンク機構は、発明1又は2に記載のリンク機構において、
前記第1の回転軸に対する回転原点位置にあり且つ前記第2の回転軸に対する回転限界位置まで回動している前記第1リンクに対して、前記第1リンクの間隙の幅を、前記第1関節駆動部のハウジングにおける前記第1リンクと対向する部位の横幅より広く構成し、更に、前記対向する部位の形状を、前記第1の回転軸方向の断面が半円形状をなす曲面形状としたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、第1リンクが回動限界位置まで回動した状態で、第1回転駆動機構を駆動し、第1リンクを第1の回転軸周りに回動させたときに、第1関節駆動部の第1リンクと対向する部位の形状が第1の回転軸方向の断面が半円形状をなす曲面形状となっているので、第1リンクは、2つの第1リンク部材の間に第1関節駆動部の曲面形状側の部位の一部を挟みこみながら、曲面に沿って回動する。
【0018】
〔発明4〕 更に、発明4のリンク機構は、発明1乃至3のいずれか1に記載のリンク機構において、
前記第1のハウジングの前記第2関節駆動部側の端面に、前記2つの第1リンク部材の相対方向と直交する方向に変位する傾斜面を設けたことを特徴とする。
このような構成であれば、第1のハウジングの第2関節駆動部側の端面に傾斜面が構成されるので、第1リンクをこの傾斜側に回動させることで、例えば、端面を平らな面にした場合と比較して、第1リンクと第1関節駆動部及び第2関節駆動部とが接触するまでの回動距離を長くすることができる。
【0019】
〔発明5〕 一方、上記目的を達成するために、発明5の脚車輪型ロボットは、
基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部と、各該脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記脚部及び前記車輪の駆動を制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することによって移動する脚車輪型ロボットであって、
前記各脚部を、発明1乃至4のいずれか1に記載のリンク機構から構成したことを特徴とする。
このような構成であれば、脚車輪型ロボットの脚部において、発明1〜発明4のいずれか1に記載のリンク機構と同等の作用が得られる。
【0020】
〔発明6〕 また、上記目的を達成するために、発明6の脚車輪型ロボットは、
基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部と、各該脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記各脚部及び前記各車輪の駆動を制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することによって移動する脚車輪型ロボットであって、
各前記脚部は、第1回転駆動機構を備え、自己に対して第1の回転軸周りに回転自在に支持された第2関節駆動部を前記第1回転駆動機構で回転駆動する前記基体に支持された第1関節駆動部と、第2回転駆動機構を備え、自己に対して前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持された第1リンクを前記第2回転駆動機構で回転駆動する第2関節駆動部と、前記第1リンクと、該第1リンクに対して前記第2の回転軸と同じ方向の第3の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持された第2リンクと、該第2リンクを回転駆動する第3回転駆動機構と、前記第2リンクに回転自在に支持された前記車輪と、該車輪を回転駆動する車輪駆動機構とから構成されるリンク機構を備え、
前記各脚部の第1関節駆動部を、そのフレームと一体に構成されたハウジングを備え、該ハウジング内に前記第1回転駆動機構の少なくとも一部が収納された構成とし、
前記各脚部の第1リンクは、2つの第1リンク部材を、少なくとも前記第2関節駆動部の前記第2回転軸方向の幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第1リンク部材の前記第2関節駆動部とは反対側の端部に、前記2つの第1リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して回転自在に支持される部材を回転駆動する第3回転駆動機構の少なくとも一部を収納する第1のハウジングが形成された構成の第1フレームを備え、
前記各脚部の第2リンクは、2つの第2リンク部材を、少なくとも前記第1のハウジングの幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第2リンク部材の前記第1リンクとは反対側の端部に、前記2つの第2リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して回転自在に支持された部材を回転駆動する第4回転駆動機構の少なくとも一部を収納する第2のハウジングが形成された構成の第2フレームを備え、
前記各脚部の第1リンクの間隙の大きさを、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回動させたときに、少なくとも前記第1リンクの前記第2関節駆動部側の端部が該第2関節駆動部に当接しない大きさに構成し、
前記各脚部の第2リンクの間隙の大きさを、前記第2リンクを回動させたときに、少なくとも前記第1のハウジングの前記第2リンク側の端部が前記第2のハウジングに当接しない大きさに構成し、
前記各脚部の第1リンクを前記第2関節駆動部に対する回転限界位置まで回動させた状態で前記第1の回転軸周りに回動させたときに、前記第1関節駆動部のハウジング又は前記基体における前記第1リンクと当接する部位に、前記第1リンクの当接部がその回動方向に進入可能な凹部を設けたことを特徴とする。
【0021】
このような構成であれば、上記発明2のリンク機構と同等の作用に加え、脚部の取り付け位置などによって、第1リンクが第2の回転軸周りに回転限界位置まで回動した状態で第1の回転軸周りに回動したときに、最初に当接する部位が基体であったときに、第1リンクは、基体の第1リンクとの当接部位に設けられた凹部に進入して回動を続けることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、発明1のリンク機構及び発明5の脚車輪型ロボットによれば、第1関節駆動部の第1の回転軸周りに回動する第1リンクとの当接位置に第1リンクが進入可能な凹部を設け、第1リンクを2つの第1リンク部材を相対させ且つ端部に第3回転駆動機構の少なくとも一部を収納する第1のハウジングを形成した構成とし、第2関節駆動部は、第1リンクを両持ちで支持し、更に、第1リンクの間隙を、第1リンクを第2の回転軸周りに回動したときに、少なくとも、第1のハウジングが第2関節駆動部と当接しない大きさに構成したので、従来の構成と比較して、第1リンクの可動範囲を十分に確保しつつ、第1リンクの連結部の剛性を高めることができるという効果が得られる。
【0023】
また、発明2のリンク機構並びに発明5及び6の脚車輪型ロボットによれば、第2リンクを2つの第2リンク部材を相対させ且つ端部に第4回転駆動機構の少なくとも一部を収納するハウジングを形成した構成とし、第1リンクの第1フレーム側の端部と第2リンクの2つの第2リンク部材とにおいて第2リンクを両持ちで支持し、更に、第2リンクの間隙を、第2リンクを回動時に、少なくとも、第1のハウジングが第2のハウジングと当接しない大きさに構成したので、従来の構成と比較して、第2リンクの可動範囲を十分に確保しつつ、各リンクの連結部の剛性を高めることができるという効果が得られる。
【0024】
また、発明3のリンク機構及び発明5の脚車輪型ロボットによれば、第2の回転軸周りに回転限界位置まで回動した第1リンクを、第1の回転軸周りに回動させたときの、第1リンクと対向する第1関節駆動部の部位を曲面形状としたので、例えば、平面視矩形状(角張った形状)にしたときと比較して、第1の回転軸周りの回動範囲を確保した状態で第1リンクを第1関節駆動部により近づけることができ、これにより、第1リンクの第2の回転軸周りの可動範囲を広げることができるという効果が得られる。
【0025】
また、発明4のリンク機構及び発明5の脚車輪型ロボットによれば、第1のハウジングの第2関節駆動部側を向く面に、2つの第1リンク部材の相対方向と直交する方向に変位する傾斜面を設けたので、第1リンクを傾斜面側に回動させたときに、第1リンクの可動範囲を広くすることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図14は、本発明に係るリンク機構及び脚車輪型ロボットの実施の形態を示す図である。
まず、図1及び図2に基づき、本発明に係る脚車輪型ロボットの概略構成を説明する。
図1は、本発明に係る脚車輪型ロボット100の正面図である。また、図2は、本発明に係る脚車輪型ロボット100の側面図である。
【0027】
脚車輪型ロボット100は、図1及び図2に示すように、基体10と、基体10に連結された4つの脚部12とを有して構成されている。
基体10の前方には、2本の脚部12が回転関節14を介して左右対称の位置に連結されている。また、基体10の後方には、2本の脚部12が回転関節14を介して左右対称の位置に連結されている。
【0028】
各脚部12は、第1股関節駆動部120と、第2股関節駆動部122と、第1リンク17と、第2リンク19と、第1リンク17及び第2リンク19を回転自在に連結する2つの回転関節16、18とから構成されている。
各脚部12の回転関節14は、モータ40と、第1股関節駆動部120と、減速機(例えば、ハーモニックドライブなど)とから構成されている。
【0029】
第1股関節駆動部120は、ボックス形状のハウジング内に、回転軸と、該回転軸の軸受と、モータ40及び該モータ40の回転駆動力を回転軸に伝達する伝達機構から構成される第1回転駆動機構のうち伝達部が収納された構成となっている。
第1股関節駆動部120のハウジング内に配設された回転軸と、外部の減速機とは同軸に連結されており、減速機の上端部は、第1股関節駆動部120のハウジングの下面に接合され、該下面に設けられた貫通穴を通って、回転軸が減速機の軸受内に挿通された構成となっている。
【0030】
回転関節14は、第1回転駆動機構から回転駆動力を得て、脚車輪型ロボット100の底面と直交する方向を軸方向として回転する。すなわち、ヨー軸回りに回転する。
各脚部12の回転関節16は、第2股関節駆動部122と、回転軸と、その軸受と、回転軸と同軸の減速機(例えば、ハーモニックドライブなど)とから構成されている。
第2股関節駆動部122は、モータ40及び該モータ40の回転駆動力を回転軸に伝達する伝達機構から構成される第2回転駆動機構と、回転軸、軸受及び減速機を覆う関節フレーム部と第2回転駆動機構を収納するハウジングとが一体形成されたフレームとを備え、ハウジング内に第2回転駆動機構を収納した構成となっている。
【0031】
関節フレーム部の上面には、回転関節14を構成する減速機の下端部が接合され、回転関節16が回転関節14の回転方向に回転自在に支持されている。
各脚部12の第1リンク17は、その上端部が、関節フレーム部において、回転関節16に対してその回転方向に回転自在に連結されている。更に、第1リンク17の下端側には、回転関節18を回転駆動する第3回転駆動機構を収納するボックス形状のフレーム部(以下、第1のハウジングと称す)が一体形成されており、この第1のハウジングの内部には第3回転駆動機構が収納されている。第3回転駆動機構は、モータ40、該モータ40の回転駆動力を回転関節18の回転軸に伝達する伝達機構などを含んで構成されている。
【0032】
各脚部12の第2リンク19は、その上端部が、回転関節18を介して、第1リンク17に対して回転関節18の回転方向に回転自在に連結されている。更に、第2リンク19の下端側には、駆動輪20を回転駆動する車輪駆動機構を収納するボックス形状のフレーム部(以下、第2のハウジングと称す)が一体形成されており、第2のハウジングの内部には車輪駆動機構が収納されている。更に、第2リンク19の下端部には、回転関節16、18と軸方向を同一にして駆動輪20が回転自在に設けられている。車輪駆動機構は、モータ50、該モータ50の回転駆動力を駆動輪20の回転軸に伝達する伝達機構、減速機などを含んで構成されている。
【0033】
回転関節14及び回転関節16は脚車輪型ロボット100の股関節を構成し、回転関節18は脚車輪型ロボット100の膝関節を構成している。
回転関節14は、下方を軸方向としてヨー軸周りに回転し、回転関節16に連結された各構成部(第1リンク17及び第1リンク17に連結された第2リンク19など)をヨー軸周りに回動させる。
【0034】
また、回転関節16、18は、回転関節14が図1の状態であるときは、脚車輪型ロボット100の側面と直交する方向を軸方向として回転する。すなわち、回転関節14が図1の状態であるときは、ピッチ軸回りに回転し、回転関節14が図1の状態から90度回転した状態であるときは、ロール軸回りに回転し、第1リンク17及び第2リンク19を各回転方向に回動させる。従って、脚部12は、それぞれ3自由度を有する。
【0035】
各脚部12の第2リンク19には、脚車輪型ロボット100の移動経路上に存在する物体までの距離を測定し、且つ接地面までの距離を測定する脚先センサ24が設けられている。
一方、基体10の正面の上部中央には、水平面レーザ光を照射する水平レーザ26が設けられている。また、基体10の正面の中央左右には、垂直面レーザ光を照射する垂直レーザ28、30がそれぞれ設けられている。
【0036】
基体10の正面の下部中央には、水平面レーザ光および垂直面レーザ光の反射光を含む画像を撮影するカメラ32が設けられている。
水平レーザ26は、カメラ32で水平面レーザ光の反射光を含む画像が撮影できるように下方に所定角度傾けて設けられている。同様に、垂直レーザ28は、カメラ32で垂直面レーザ光の反射光を含む画像が撮影できるように右方に所定角度傾けて設けられ、垂直レーザ30は、左方に所定角度傾けて設けられている。
【0037】
カメラ32の左右には、障害物を検出する障害物センサ34、36がそれぞれ設けられている。障害物センサ34、36は、指向性の低い超音波測距センサを複数アレイ状に配列して構成することができる。また、指向性の高い赤外線測距センサを複数アレイ状に配列して構成することもできる。アレイ状に配列する構成に限らず、単体で構成してもよい。また、超音波測距センサまたは赤外線測距センサを複数平面上に配列したエリアセンサで構成してもよい。これにより、脚車輪型ロボット100の移動経路上に存在する障害物を大まかに検出することができる。
【0038】
次に、図3〜図5に基づき、脚部12のより詳細な構成を説明する。
ここで、図3は、脚部12を前方側から見た斜視図である。また、図4は、図3における第1股関節駆動部120、第2股関節駆動部122及び第1リンク17を含む構成部をやや上方から見た斜視図である。また、図5は、図3に示す第1リンク17及び第2リンク19を含む構成部を後方側から見た斜視図である。
【0039】
図3及び図4に示すように、第1股関節駆動部120を構成するボックス形状のハウジングは、その回転関節14の回転軸が収納される側の外郭形状が、回転関節14の回転軸と直交する方向の断面が半円形状をなす曲面形状、つまり、円筒を縦に半分に切ったような曲面形状となっている。また、この円筒部分を含む上面部はハウジングカバー120aで覆われており、回転関節14の回転軸を回転駆動するモータ40が、ハウジングカバー120aに覆われていない部分から上方に突出する形で設けられている。本実施の形態において、モータ40の回転駆動力は、ハウジング内部のプーリ及びベルトから構成される伝達機構で回転関節14の回転軸へと伝達される。
【0040】
更に、第1股関節駆動部120の側面には、脚部12の回転関節14に対する回動範囲を広げる目的で、平面視矩形の切り欠き120bが設けられている。この切り欠き120bは、回転関節16の回転駆動によって第1リンク17が屈曲している状態で、回転関節14の回転駆動によって第2股関節駆動部122が開脚方向に回動したときに、屈曲状態の第1リンク17が第1股関節駆動部120の側面と丁度ぶつかる位置に設けられている。つまり、開脚方向への回動によって最初に第1股関節駆動部120の側面とぶつかる第1リンク17の部位が、その回動方向に切り欠き120b内に進入できる構成とすることによって回動範囲を広くしている。
【0041】
ここで、開脚方向に回動させるとは、脚車輪型ロボット100の右前脚を回転関節14を時計回り方向に回転する方向に回動させ且つ左前脚を回転関節14を反時計回り方向に回転させる方向に回動させることである。同様に、後ろ脚の場合は、左後脚を時計回り方向に回動させ、且つ右後脚を反時計回り方向に回動させることである。
一方、第1リンク17の外郭を構成するフレーム(以下、第1フレームと称す)は、2つの板状の第1リンク部材17a及び17bの板面同士を、回転関節16の回転軸方向の幅よりも広い間隙を空けて相対させ、その下端側に、上端部に傾斜面、下端部に回転関節18との連結用のコ字状の第1フレーム部が形成された略ボックス形状の第1のハウジング17cが、第1リンク部材17a及び17bと一体形成された構成となっている。本実施の形態では、第1のハウジング17cのその正面から見たときの短尺方向の幅(横幅)を、上端側の一部分を除いて第1リンク部材17a及び17bのこれらを正面から見たときの間隙を挟んで形成する短尺方向の幅(横幅)よりも狭く構成している。
【0042】
更に、第1リンク17は、その第1フレームの上端部と第2股関節駆動部122の関節フレーム部とにおいて、回転関節16を構成する回転軸、その軸受及び回転軸と同軸の減速機を介して、第2股関節駆動部122に両持ちで支持されている。このように、両側から支持する構成としたことで、回転モーメント等に対する連結部の剛性を高めている。
また、第1リンク部材17a及び17bと第1のハウジング17cの上面と回転関節16とに囲まれた間隙の大きさは、第1リンク17を回転関節16の回転軸周りに主屈曲方向(図3中の前方側)に向けて回動させたときに、少なくとも、第1のハウジング17cが回転関節16に当接しない大きさに構成されている。これにより、第1リンク17の主屈曲方向の回動を第1のハウジング17cが阻害しないようにしている。なお、本実施の形態において、図3中の後方側に向けて第1リンク17を屈曲する方向を第1リンク17の副屈曲方向とする。
【0043】
また、第1のハウジング17cの上端部に形成された傾斜面は、回転関節16の回転軸と直交する方向に変位する傾斜(本実施の形態においては、図3に示す前方側に向かって下っていく傾斜)を有している。これにより、第1リンク17を、第1股関節駆動部120の曲面が、傾斜面と略平行となる位置(ぶつかる寸前の位置)に近づくまで回動させることができる。つまり、傾斜面を設けずに平らな面にした場合は、その角の部分が第1股関節駆動部120の曲面にぶつかることになるので、これと比較して、傾斜にした分だけ、第1リンク17の回動範囲を広げることができる。
【0044】
また、図3に示すように、第2リンク19の外郭を構成するフレーム(以下、第2フレームと称す)は、2つの板状の第2リンク部材19a及び19bの板面同士を、第1リンク17の第1フレームを正面から見てその第1のハウジング17cのコ字状の第1フレーム部の短尺方向の幅(以下、横幅と称す)よりも広い間隙を空けて相対させ、その下端側に、上端部に傾斜面、下端部に駆動輪20の取付用のコ字状の第2フレーム部が形成された略ボックス形状の第2のハウジング19cが、第2リンク部材19a及び19bと一体形成された構成となっている。更に、第2のハウジング19cのその正面から見たときの短尺方向の幅(横幅)を、上端側の一部分を除いて第2リンク部材19a及び19bのこれらを正面から見たときの間隙を挟んで形成する短尺方向の幅(横幅)よりも狭く構成している。
【0045】
更に、第2リンク19は、その第2フレームの上端部と第1リンク17の下端に設けられたコ字状の第1フレーム部とにおいて、回転関節18を構成する回転軸、その軸受及び回転軸と同軸の減速機を介して両持ちで支持されている。このように、両側から支持する構成としたことで、回転モーメント等に対する連結部の剛性を高めている。
また、第2リンク部材19a及び19bと第2のハウジング17cの上面と回転関節18とに囲まれた間隙の大きさは、第2リンク19を回転間関節18の回転軸周りに主屈曲方向(図3中の後方側)に向けて回動させたときに、少なくとも、第2のハウジング19cが回転関節18に当接しない大きさに構成されている。これにより、第2リンク19の主屈曲方向の回動を第2のハウジング19cが阻害するのを回避している。なお、本実施の形態において、図3中の前方側に向けて第2リンク19を屈曲する方向を第2リンク19の副屈曲方向とする。
【0046】
また、第2のハウジング19cの上端部に形成された傾斜面は、図5に示すように、回転関節18の回転軸と直交する方向に変位する傾斜(本実施の形態においては、図3に示す後方側に向かって下っていく傾斜)を有している。これにより、第2リンク19を、第1リンク17の第1フレームの一部が、傾斜面と略平行となる位置(ぶつかる寸前の位置)に近づくまで回動させることができる。つまり、傾斜面を設けずに平らな面にした場合は、その角の部分が第1リンク17の第1フレームにぶつかることになるので、これと比較して、傾斜にした分だけ、第2リンク19の回動範囲を広げることができる。
【0047】
なお、図3に示す例は、脚車輪型ロボット100の左前脚の例となるが、右前脚についても同様となる。また、左後脚及び右後脚については、基体10の向きを基準として、右前脚の例(図3の例)において、前方側を後方側に、後方側を前方側に入れ替えることで同様となる。
次に、脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを説明する。
【0048】
図6は、脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを示すブロック図である。
各脚部12には、図6に示すように、第1、第2、第3回転駆動機構に対して、回転関節14、16、18を回転駆動するアクチュエータとして関節モータ40がそれぞれ設けられている。各関節モータ40には、関節モータ40の回転角度位置を検出するエンコーダ42と、モータ指令信号およびエンコーダ42の出力信号に基づいて関節モータ40の駆動を制御するドライバ44が設けられている。
【0049】
各脚部12の駆動輪20の回転軸を回転駆動する車輪駆動機構に対して、車輪モータ50がそれぞれ設けられている。各車輪モータ50には、車輪モータ50の回転角度位置を検出するエンコーダ52と、モータ指令信号およびエンコーダ52の出力信号に基づいて車輪モータ50の駆動を制御するドライバ54が設けられている。
脚車輪型ロボット100は、更に、CPU60と、脚車輪型ロボット100の姿勢を検出する3軸姿勢センサ70と、カメラ32の画像信号を処理するビジョンプロセッサ72と、外部のPC等と無線通信を行う無線通信部74と、ビジョンプロセッサ72および無線通信部74とCPU60の入出力を中継するハブ76と、警告音等を出力するスピーカ78とを有して構成される。
【0050】
3軸姿勢センサ70は、ジャイロ若しくは加速度センサ、またはその両方を有し、地軸に対して脚車輪型ロボット100の姿勢の傾きを検出する。
CPU60は、モータ指令出力I/F61を介してドライバ44、54にモータ指令信号を出力し、角度取込I/F62を介してエンコーダ42、52の出力信号を入力する。また、センサ入力I/F63を介して、脚先センサ24、障害物センサ34及び3軸姿勢センサ70からそれぞれセンサ信号を入力する。また、通信I/F64を介してハブ76と信号の入出力を行い、サウンド出力I/F65を介してスピーカ78に音声信号を出力する。
【0051】
次に、CPU60で実行される処理を説明する。
CPU60は、ROM等の所定領域に格納されている制御プログラムを起動させ、その制御プログラムに従って、図7のフローチャートに示す昇降制御処理を実行する。
図7は、昇降制御処理を示すフローチャートである。
昇降制御処理は、脚車輪型ロボット100の移動経路上に段差(障害物)があったときに実行される、脚部12の昇降制御を行う処理であって、CPU60において実行されると、まず、図7に示すように、ステップS100に移行する。
【0052】
ステップS100では、ビジョンプロセッサ72から画像を取り込み、ステップS102に移行する。
ステップS102では、取り込んだ画像に基づいて光切断法により段差の特徴点を抽出する。
図8は、光切断法の原理を説明するための図である。
【0053】
光切断法は、三角測量の原理により計測対象上の座標を求める計測法である。図8に計測座標系を示す。 計測対象上の座標P(x0、y0、z0)は、カメラ32の撮像素子上の任意の座標をPs(xi、yi、zi)とすると、下式(1)により求められる。
【0054】
【数1】

【0055】
次に、得られた三次元座標から、レーザ光の反射光の不連続点または屈曲点を段差の特徴点として抽出する。 図9は、段差にレーザ光を照射した状態およびカメラ32の撮像素子の画像を示す図である。
【0056】
脚車輪型ロボット100の移動経路上に凸状の段差が存在すると、図9(a)左側に示すように、水平レーザ26から照射された水平面レーザ光が段差の壁面および床面で反射し、カメラ32により、その反射光を含む段差の画像が撮影される。その画像に対して画像処理を行うと、図9(a)右側に示すように、壁面での反射光エッジおよび床面での反射光エッジを抽出することができる。そして、そのエッジ画像および上式(1)により得られた三次元座標に基づいて、反射光エッジの不連続点に対応する実座標を算出することができる。
【0057】
また、図9(b)左側に示すように、垂直レーザ28から照射された垂直面レーザ光が段差の壁面および上面で反射し、カメラ32により、その反射光を含む段差の画像が撮影される。その画像に対して画像処理を行うと、図9(b)右側に示すように、壁面での反射光エッジおよび上面での反射光エッジを抽出することができる。また、垂直レーザ30についても同様であり、図9(c)右側に示すように、壁面での反射光エッジおよび上面での反射光エッジを抽出することができる。そして、それらエッジ画像および上式(1)により得られた三次元座標に基づいて、反射光エッジの屈曲点に対する実座標を算出することができる。
【0058】
図7に戻り、次いで、ステップS104に移行して、抽出した特徴点に基づいて段差の幅を算出し、ステップS106に移行する。
ステップS106、抽出した特徴点に基づいて段差の上面の実座標を算出し、ステップS108に移行する。
ステップS108では、算出した段差の幅および上面の実座標、並びに3軸姿勢センサ70のセンサ信号に基づいて逆運動学計算および重心計算を行い、ステップS110に移行する。
【0059】
ステップS110では、ステップS108の計算結果に基づいて脚先の着地位置を決定し、ステップS112に移行する。
ステップS112では、車輪モータ50の回転を停止すべき停止信号をドライバ54に出力し、ステップS114に移行する。これにより、車輪モータ50が制御され駆動輪20の回転を停止する(回転しないようにトルクをかけて保持する)。または、減速機などによって、車輪モータを駆動していないときに車輪が回転しないように保持する構成としても良い。この構成の場合は、車輪モータ50への電力の供給を停止する。
【0060】
ステップS114では、脚先センサ24からセンサ信号を入力し、ステップS116に移行する。
ステップS116では、ステップS114で入力した脚先センサ24のセンサ信号に基づいて壁面までの距離を算出し、ステップS118に移行する。
ステップS118では、ステップS114で入力した脚先センサ24のセンサ信号に基づいて脚先と上面との位置関係を算出し、ステップS120に移行する。
【0061】
ステップS120では、決定した着地位置および算出した両距離に基づいてドライバ44へのモータ指令信号を生成し、ステップS122に移行する。
ステップS122では、ステップS120で生成したモータ指令信号をドライバ44に出力し、ステップS124に移行する。
ステップS124では、脚先が着地位置に着地したか否かを判定し、脚先が着地したと判定したとき(Yes)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰させる。 一方、ステップS124で、脚先が着地しないと判定したとき(No)は、ステップS112に移行する。
【0062】
次に、図10〜図14に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図10は、第2リンク19を主屈曲方向に限界位置まで回動させたときの脚部12を正面側から見た斜視図である。また、図11は、図10の状態の脚部12を斜め後方側から見た斜視図である。また、図12は、第1リンク17を主屈曲側に限界位置まで回動させたときの脚部12を斜め上方向から見た斜視図である。また、図13は、図12の状態の脚部12を側面から見た図である。また、図14は、図12の状態の脚部12を開脚方向に回動させたときの斜め上方向から見た斜視図である。
【0063】
脚車輪型ロボット100の移動経路上に凸状の段差が存在すると、水平レーザ26から照射された水平面レーザ光、および垂直レーザ28、30から照射された垂直面レーザ光がそれぞれ段差で反射し、カメラ32により、それら反射光を含む画像が撮影される。次いで、カメラ32で撮影された画像が取り込まれ(ステップS100)、取り込まれた画像から段差の特徴点が抽出される(ステップS102)。そして、抽出された特徴点に基づいて段差の幅及び段差上面の実座標が算出され(ステップS104〜S108)、算出された段差の幅及び段差上面の実座標に基づいて脚先の着地位置が決定される(ステップS110)。
【0064】
着地位置が決定されると、各車輪20を駆動する車輪モータ50に対応するドライバ54に対して、駆動輪20の回転を停止させる停止信号を出力する(ステップS112)。これにより、各駆動輪20が回転しないように制御される。
更に、脚先センサ22、24からそれぞれセンサ信号が入力され(ステップS114)、壁面までの距離及び脚先と段差上面との位置関係が算出される(ステップS116〜S118)。そして、決定された着地位置および算出された両距離に基づいてモータ指令信号が生成され(ステップS120)、生成されたモータ指令信号がドライバ44に出力される(ステップS122)。これにより、回転関節14〜18が駆動し、脚車輪型ロボット100の脚部12の姿勢が、段差を乗り越えるための姿勢へと変更される。
【0065】
ここで、昇降対象の段差が脚部12の回動限界以上の比較的高い段差であったとする。以下、説明の便宜上、右前脚の動作についてのみ説明する。
まず、駆動制御システムは、回転関節18を回転駆動して、右前脚を構成する第2リンク19を、図5の姿勢から、図10に示すように、主屈曲方向に回動限界位置まで回動させる。
【0066】
駆動制御システムの制御によって、第2リンク19が主屈曲方向に回動を開始すると、第2リンク19の第2リンク部材19a及び19bの横幅よりも狭い横幅で構成されている第1リンク17の第1のハウジング17cの下端部が、第2リンク19の回動に伴い、第2リンク部材19a及び19bとの間に形成された間隙内に入り込んでいく。この間隙は、第2リンク19を主屈曲方向に回動したときに、第1のハウジング17cの下端部(回転関節18の回転軸及び減速機を含む)が、第2のハウジング19cの上端部と当接しないように適宜の大きさに形成されている。従って、第2のハウジング19cの上端部と、第1のハウジング17cの下端部とを接触させることなく、第2リンク19は、第1のハウジング17cの下端部を間隙内に入り込ませながら回動を続ける。
【0067】
また、第2リンク19が回動することによって、第2のハウジング19cの上端面が、第1リンク17の第1リンク部材17a及び17bへと、該第1リンク部材17a及び17bの一部を第2リンク19の間隙内に入り込ませながら近づいていく。第2のハウジング19cの上端面には、先述したように、副屈曲方向に向かって下っていく傾斜面が形成されているため、図11に示すように、第2リンク19は、その傾斜面と第1リンク部材17a及び17bとが略平行になる位置まで回動していき、第1リンク部材17a及び17bと第2の傾斜面とがぶつかる寸前で停止する。この停止動作は、駆動制御システムにおいて、第2リンク19の回動限界位置を検出するセンサの検出結果に基づき制御される。
【0068】
次に、駆動制御システムは、段差の上面に脚先を持っていくために、第2リンク19が主屈曲方向に回転限界位置まで回動している状態で、更に、回転関節16を回転駆動して、第1リンク17を、図4に示す状態から、図12に示すように、主屈曲方向に回転限界位置まで回動させる。
駆動制御システムの制御によって、第1リンク17が主屈曲方向に回動を開始すると、回転関節16の回転軸方向の横幅が第1リンク17の第1リンク部材17a及び17bの横幅よりも狭く構成されているため、第1リンク17の回動に伴い、回転関節16の関節フレーム部側の下端部(回転関節16の回転軸及び減速機を含む)が、第1リンク部材17a及び17bとの間に形成された間隙内に入り込む。この間隙は、第1リンク17を主屈曲方向に回動時に、回転関節16(関節フレーム部側の下端部)が、第1のハウジング17cの上端部と当接しないように適宜の大きさに形成されている。従って、第1のハウジング17cの上端部を、回転関節16に接触させることなく、第1リンク17は、回転関節16の関節フレーム部側の下端部を間隙内に入り込ませながら回動を続ける。
【0069】
更に、第1リンク17が回動することによって、第1リンク17の第1のハウジング17cの上端面が、回転関節14の一部を第1リンク部材17a及び17bの間隙内に入り込ませながら、回転関節14の半円筒形状の曲面部へと近づいていく。第1のハウジング17cの上端面には、先述したように、主屈曲方向に向かって下っていく傾斜面が形成されているため、図13に示すように、第1リンク17は、その傾斜面と第1股関節駆動部120の半円筒形状の曲面部とが略平行になる位置まで回動していき、傾斜面と曲面部とがぶつかる寸前で停止する。この停止動作は、駆動制御システムにおいて、第1リンク17の回転関節16に対する回動限界位置を検出するセンサの検出結果に基づき制御される。
【0070】
以上の制御によって、段差の上面へと右前脚の脚先を運ぶ。駆動制御システムは、図12、図13に示す姿勢でも段差に届かない場合は、更に、第2リンクを副屈曲方向に回動させる制御を行う。
次に、脚車輪型ロボット100を、重心位置をできるだけ低くした状態で正面を向かせたまま真横方向に車輪走行で移動させる場合の動作を説明する。この場合は、各脚部12を、図12及び図13に示す姿勢で開脚方向に駆動輪20の進行方向が真横を向く回動角度分、回動させることになる。以下、説明の便宜上、右前脚の開脚動作のみを説明する。
【0071】
具体的に、駆動制御システムは、第1リンク17及び第2リンク19が主屈曲方向の回動限界位置まで回動している状態で、回転関節14を回転駆動して、第1リンク17を、図12及び図13に示す状態から、開脚方向に駆動輪20の進行方向が真横方向を向く回動位置まで回動させる。
第1リンク17が図12及び図13に示す姿勢の状態で回転関節14が回転駆動されると、第1リンク17はその第1フレームの間隙の内面を、第1股関節駆動部120の半円筒形状の曲面に沿わせながら回動し、やがて回転関節14の第1股関節駆動部120の側面へと到達する。第1股関節駆動部120の側面には、先述したように、第1フレームの当接位置に、平面視矩形の切り欠き120bが設けられているため、第1フレームは、側面との当接部分を切り欠き120b内に進入させながら回動を続ける。
【0072】
本実施の形態において、切り欠き120bは、第1リンク17が第1股関節駆動部120のハウジングの曲面に沿って回動することから、内壁の一部が該曲面に沿って形成されている。従って、第1フレームの第1股関節駆動部120との当接部位は、切り欠き120b内の曲面に沿って切り欠き120bの内部へと進入し、図14に示すように、駆動輪20の進行方向を、正面を向いた状態(図12及び図13に示す状態)から時計回り方向に略90[°]回動する。これにより、駆動輪20の進行方向が真横方向へと変更されると共に回動が停止される。この停止動作は、駆動制御システムにおいて、第1リンク17の回転関節14に対する回動限界位置を検出するセンサの検出結果又はエンコーダ42の検出角度に基づき制御される。他の脚部12についても同様の開脚動作を行うことで、脚車輪型ロボット100を真横移動させることが可能な姿勢へと変更することができる。
【0073】
以上より、各脚部12の第1リンク17を、2つの第1リンク部材17a及び17bを間隙を空けて相対させ、その上端部において回転関節16で両持ちで支持し、下端部に略ボックス形状の第1のハウジング17cを一体形成する構成とした。つまり、第1リンク17を平行リンクのような構成としたので、その剛性を高めることができると共に、回転関節16に両持ちで支持させたことで、連結部の剛性を高めることができる。
【0074】
更に、第1リンク17を主屈曲方向に回動時に、その間隙内に回転関節16の一部を進入させる構成とし、第1のハウジング17cの上端部に、第1リンク17の主屈曲方向に下る傾斜を有する傾斜面を設けたので、従来と比較して、第1リンク17の回動範囲を広げることができる。
更に、各脚部12のヨー軸周りの回転関節である回転関節14の第1股関節駆動部120の側面における、第1リンク17を主屈曲方向に回動限界位置まで回動した状態で開脚方向に回動時に該第1リンク17の第1フレームが当接する位置に、当接を回避する切り欠き120bを設けたので、切り欠きを設けなかった場合と比較して、第1リンク17の開脚方向の回動範囲を広げることができる。
【0075】
更に、各脚部12の第1股関節駆動部120の第1リンク17を主屈曲方向に回動時に相対する側の面を半円筒形状の曲面にしたので、曲面にしなかった場合と比較して、第1リンク17のヨー軸周りの回動範囲を広げることができる。
更に、各脚部12の第2リンク19を、2つの第2リンク部材19a及び19bを間隙を空けて相対させ、その上端部を第1リンク17で両持ちで支持し、下端部に略ボックス形状の第2のハウジング19cを一体形成する構成とした。つまり、第2リンク19を平行リンクのような構成としたので、その剛性を高めることができると共に、第1リンク17に両持ちで支持させたことで、連結部の剛性を高めることができる。
【0076】
更に、第2リンク19を主屈曲方向に回動時に、第1リンク17の第1フレームの下端部を進入させる構成とし、第2のハウジング19cの上端部に、第2リンク19の副屈曲方向に下る傾斜を有する傾斜面を設けたので、従来と比較して、第2リンク19の回動範囲を広げることができる。
上記実施の形態において、脚車輪型ロボット100は、発明5又は6に記載の脚車輪型ロボットに対応し、脚部12は、発明1乃至4のリンク機構又は発明5若しくは6に記載の脚部に対応する。
【0077】
また、上記実施の形態において、第1股関節駆動部120は、発明1、3、4及び6のいずれか1に記載の第1関節駆動部に対応し、第2股関節駆動部122は、発明1、4及び6のいずれか1に記載の第2関節駆動部に対応し、第3回転駆動機構は、発明1に記載の第1駆動機構又は発明6に記載の第3回転駆動機構に対応し、車輪駆動機構は、発明2に記載の第2駆動機構又は発明6に記載の車輪駆動機構に対応する。
【0078】
また、上記実施の形態において、切り欠き120bは、発明1又は発明6に記載の凹部に対応する。
なお、上記実施の形態においては、第1リンク17及び第2リンク19を、板状のリンク部材で構成したが、これに限らず、円柱状のリンク部材など剛性を著しく損なうものでなければどのような形状のものを用いて構成しても良い。
【0079】
また、上記実施の形態においては、第1のハウジング17cの下部に、コ字状の第1フレーム部を設け、該第1フレーム部において第2リンク19を両持ちで支持する構成としたが、これに限らず、第1のハウジング17cの下部において直接、両持ちで支持する構成としても良い。
また、上記実施の形態においては、第1股関節駆動部120の側面に平面視矩形の切り欠き(凹み)120bを設ける構成としたが、これに限らず、主屈曲方向に屈曲時の第1リンク17の回動範囲を広げることができる構成であれば、平面視矩形に限らず他の形状としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る脚車輪型ロボット100の正面図である。
【図2】本発明に係る脚車輪型ロボット100の側面図である。
【図3】脚部12を前方側から見た斜視図である。
【図4】図3における第1股関節駆動部120、第2股関節駆動部122及び第1リンク17を含む構成部をやや上方から見た斜視図である。
【図5】図3に示す第1リンク17及び第2リンク19を含む構成部を後方側から見た斜視図である。
【図6】脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを示すブロック図である。
【図7】昇降制御処理を示すフローチャートである。
【図8】光切断法の原理を説明するための図である。
【図9】段差にレーザ光を照射した状態およびカメラ32の撮像素子の画像を示す図である。
【図10】第2リンク19を主屈曲方向に限界位置まで回動させたときの脚部12を正面側から見た斜視図である。
【図11】図10の状態の脚部12を斜め後方側から見た斜視図である。
【図12】第1リンク17を主屈曲側に限界位置まで回動させたときの脚部12を斜め上方向から見た斜視図である。
【図13】図12の状態の脚部12を側面から見た図である。
【図14】図12の状態の脚部12を開脚方向に回動させたときの斜め上方向から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
100 脚車輪型ロボット
120 第1股関節駆動部
120b 切り欠き
122 第2股関節駆動部
10 基体
12 脚部
14、16、18 回転関節
17 第1リンク
17a,17b 第1リンク部材
17c 第1のハウジング
19 第2リンク
19a,19b 第2リンク部材
19c 第2のハウジング
20 車輪
24 脚先センサ
26 水平レーザ
28、30 垂直レーザ
32 カメラ
34、36 障害物センサ
40 関節モータ
50 車輪モータ
42、52 エンコーダ
44、54 ドライバ
60 CPU
62 角度取込I/F
64 通信I/F
70 3軸姿勢センサ
76 ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転駆動機構を備え、自己に対して第1の回転軸周りに回転自在に支持された第2関節駆動部を前記第1回転駆動機構で回転駆動する第1関節駆動部と、第2回転駆動機構を備え、自己に対して前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに回転自在に支持された第1リンクを前記第2回転駆動機構で回転駆動する第2関節駆動部と、該第2関節駆動部に前記第2の回転軸周りに回転自在に支持された前記第1リンクとから構成されるリンク機構であって、
前記第1関節駆動部を、そのフレームと一体に構成されたハウジングを備え、該ハウジング内に前記第1回転駆動機構の少なくとも一部が収納され、前記リンクを前記第2関節駆動部に対する回転限界位置まで回動させた状態で前記第1の回転軸周りに回動させたときに、前記ハウジングにおける前記第1リンクと当接する部位に、前記第1リンクの当接部がその回動方向に進入可能な凹部が設けられた構成とし、
前記第2関節駆動部は、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持し、
前記第1リンクは、2つの第1リンク部材を、少なくとも前記第2関節駆動部の前記第2回転軸方向の幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第1リンク部材の前記第2関節駆動部とは反対側の端部に、前記2つの第1リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して可動に支持される部材を駆動する第1駆動機構の少なくとも一部を収納する第1のハウジングが形成された構成の第1フレームを備え、
前記第1リンクの間隙の大きさを、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回動させたときに、少なくとも前記第1リンクの前記第2関節駆動部側の端部が該第2関節駆動部に当接しない大きさに構成したことを特徴とするリンク機構。
【請求項2】
前記第1リンクは、前記第1のハウジング内に前記第1駆動機構の少なくとも一部を収納し、第2リンクを前記第2の回転軸と同じ方向の軸周りに回転自在に両持ちで支持すると共に、前記第1駆動機構で前記第2リンクを回転駆動し、
前記第2リンクは、2つの第2リンク部材を、少なくとも前記第1のハウジングの幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第2リンク部材の前記第1リンクとは反対側の端部に、前記2つの第2リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して可動に支持された部材を駆動する第2駆動機構の少なくとも一部を収納する第2のハウジングが形成された構成の第2フレームを備え、
前記第2リンクの間隙の大きさを、前記第2リンクを回動させたときに、少なくとも前記第1のハウジングの前記第2リンク側の端部が前記第2のハウジングに当接しない大きさに構成したことを特徴とする請求項1に記載のリンク機構。
【請求項3】
前記第1の回転軸に対する回転原点位置にあり且つ前記第2の回転軸に対する回転限界位置まで回動している前記第1リンクに対して、前記第1リンクの間隙の幅を、前記第1関節駆動部のハウジングにおける前記第1リンクと対向する部位の横幅より広く構成し、更に、前記対向する部位の形状を、前記第1の回転軸方向の断面が半円形状をなす曲面形状としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリンク機構。
【請求項4】
前記第1のハウジングの前記第2関節駆動部側の端面に、前記2つの第1リンク部材の相対方向と直交する方向に変位する傾斜面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のリンク機構。
【請求項5】
基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部と、各該脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記脚部及び前記車輪の駆動を制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することによって移動する脚車輪型ロボットであって、
前記各脚部を、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリンク機構から構成したことを特徴とする脚車輪型ロボット。
【請求項6】
基体と、前記基体に対して自由度を有して連結された複数の脚部と、各該脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記各脚部及び前記各車輪の駆動を制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することによって移動する脚車輪型ロボットであって、
各前記脚部は、第1回転駆動機構を備え、自己に対して第1の回転軸周りに回転自在に支持された第2関節駆動部を前記第1回転駆動機構で回転駆動する前記基体に支持された第1関節駆動部と、第2回転駆動機構を備え、自己に対して前記第1の回転軸と直交する第2の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持された第1リンクを前記第2回転駆動機構で回転駆動する第2関節駆動部と、前記第1リンクと、該第1リンクに対して前記第2の回転軸と同じ方向の第3の回転軸周りに回転自在に両持ちで支持された第2リンクと、該第2リンクを回転駆動する第3回転駆動機構と、前記第2リンクに回転自在に支持された前記車輪と、該車輪を回転駆動する車輪駆動機構とから構成されるリンク機構を備え、
前記各脚部の第1関節駆動部を、そのフレームと一体に構成されたハウジングを備え、該ハウジング内に前記第1回転駆動機構の少なくとも一部が収納された構成とし、
前記各脚部の第1リンクは、2つの第1リンク部材を、少なくとも前記第2関節駆動部の前記第2回転軸方向の幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第1リンク部材の前記第2関節駆動部とは反対側の端部に、前記2つの第1リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して回転自在に支持される部材を回転駆動する第3回転駆動機構の少なくとも一部を収納する第1のハウジングが形成された構成の第1フレームを備え、
前記各脚部の第2リンクは、2つの第2リンク部材を、少なくとも前記第1のハウジングの幅よりも広い幅の間隙を空けて相対させると共に、該2つの第2リンク部材の前記第1リンクとは反対側の端部に、前記2つの第2リンク部材を前記間隙を空けた状態で固定支持し且つ自己に対して回転自在に支持された部材を回転駆動する第4回転駆動機構の少なくとも一部を収納する第2のハウジングが形成された構成の第2フレームを備え、
前記各脚部の第1リンクの間隙の大きさを、前記第1リンクを前記第2の回転軸周りに回動させたときに、少なくとも前記第1リンクの前記第2関節駆動部側の端部が該第2関節駆動部に当接しない大きさに構成し、
前記各脚部の第2リンクの間隙の大きさを、前記第2リンクを回動させたときに、少なくとも前記第1のハウジングの前記第2リンク側の端部が前記第2のハウジングに当接しない大きさに構成し、
前記各脚部の第1リンクを前記第2関節駆動部に対する回転限界位置まで回動させた状態で前記第1の回転軸周りに回動させたときに、前記第1関節駆動部のハウジング又は前記基体における前記第1リンクと当接する部位に、前記第1リンクの当接部がその回動方向に進入可能な凹部を設けたことを特徴とする脚車輪型ロボット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−50940(P2009−50940A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218650(P2007−218650)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】