説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】選択的に消去動作を実行可能な不揮発性半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】制御回路は、選択メモリブロック内の選択セルユニットに対して第1メモリトランジスタに蓄積された電荷を放出する消去動作を実行する一方、選択メモリブロック内の非選択セルユニットに対して消去動作を禁止するように構成されている。制御回路は、消去動作時、選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのボディの電圧を第1電圧まで上げ、非選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのボディの電圧を第1電圧よりも低い第2電圧に設定すると共に、選択セルユニット及び非選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのゲートに第2電圧以下の第3電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性半導体記憶装置のビット密度向上にあっては、微細化技術が限界に近づいてきたことから、メモリセルの積層化が期待されている。その一つとして縦型トランジスタを用いてメモリトランジスタを構成した積層型NAND型フラッシュメモリが提案されている。積層型NAND型フラッシュメモリは、積層方向に直列接続された複数のメモリトランジスタからなるメモリストリングと、そのメモリストリングの両端に設けられた選択トランジスタとを有する。
【0003】
この積層型NAND型フラッシュメモリにおいても、従来と同様に製造コストを抑えるため、製造工程の簡略化が求められる。しなしながら、この場合、複数のメモリストリングの間でメモリトランジスタのゲートは、1本のワード線によって共通接続される。よって、メモリトランジスタのデータを消去する消去動作は、1本のワード線WLで接続されたメモリストリング毎(ブロック毎)にしか実行できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−266143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、選択的に消去動作を実行可能な不揮発性半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る不揮発性半導体記憶装置は、複数のメモリブロック、第1配線、第2配線、及び制御回路を備える。複数のメモリブロックは、各々、複数のセルユニットを有する。第1配線は、複数のメモリブロックに共通に設けられ且つ複数のセルユニットの一端に接続されている。第2配線は、複数のセルユニットの他端に接続されている。制御回路は、セルユニットに供給する信号を制御する。複数のセルユニットは、各々、メモリストリング、第2メモリトランジスタ、第1トランジスタ、及び第2トランジスタを有する。メモリストリングは、電気的に書き換え可能な複数の第1メモリトランジスタを直列接続してなる。第2メモリトランジスタは、メモリストリングの一端に一端を接続されている。第1トランジスタは、第2メモリトランジスタの他端と第1配線との間に設けられている。第2トランジスタは、メモリストリングの他端と第2配線との間に設けられている。メモリストリングは、半導体層、電荷蓄積層、及び第1導電層を備える。半導体層は、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、第1メモリトランジスタのボディとして機能する。電荷蓄積層は、柱状部の側面を取り囲むように形成されて、電荷を蓄積可能に構成されている。第1導電層は、電荷蓄積層を介して柱状部の側面を取り囲み且つメモリブロック毎に分断され、第1メモリトランジスタのゲートとして機能する。第2メモリトランジスタは、半導体層、及び第2導電層を備える。半導体層は、基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、第2メモリトランジスタのボディとして機能する。第2導電層は、ゲート絶縁膜を介して柱状部の側面を取り囲み且つメモリブロック毎に分断され、第2メモリトランジスタのゲートとして機能する。制御回路は、選択メモリブロック内の選択セルユニットに対して第1メモリトランジスタに蓄積された電荷を放出する消去動作を実行する一方、選択メモリブロック内の非選択セルユニットに対して消去動作を禁止するように構成されている。制御回路は、消去動作時において、選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのボディの電圧を第1電圧まで上げる。そのため、制御回路は、消去動作時において、選択セルユニットに接続された第2配線の電圧を、選択セルユニットに含まれる第2トランジスタのゲートの電圧よりも所定の電圧だけ高く設定して、これによりGIDL電流を発生させる動作を実行可能に構成されている。また、制御回路は、消去動作時において、選択セルユニットに含まれる第2メモリトランジスタのゲートの電圧を、選択セルユニットに接続された第2配線の電圧以上として、これにより、選択セルユニットから第1配線へのホールの移動を抑制する動作を実行可能に構成されている。また、制御回路は、消去動作時において、選択セルユニットに含まれる第1トランジスタのゲートの電圧を、選択セルユニットに接続された第1配線の電圧以下として、これにより、第1配線から選択セルユニットへの電子の移動を抑制する動作を実行可能に構成されている。制御回路は、消去動作時において、非選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのボディの電圧を第1電圧よりも低い第2電圧に設定する。そのため、制御回路は、消去動作時において、非選択セルユニットに含まれる第2トランジスタのゲートの電圧を、非選択セルユニットに接続された第2配線の電圧以上として、これにより、GIDL電流の発生を抑制し且つ非選択セルユニットから第2配線への電子の移動を許容する動作を実行可能に構成されている。また、制御回路は、消去動作時において、非選択セルユニットに含まれる第1トランジスタのゲートの電圧を、非選択セルユニットに接続された第1配線の電圧以上として、これにより、GIDL電流の発生を抑制し且つ非選択セルユニットから第1配線への電子の移動を許容する動作を実行可能に構成されている。更に、制御回路は、消去動作時において、選択セルユニット及び非選択セルユニットに含まれる第1メモリトランジスタのゲートに第2電圧以下の第3電圧を印加する動作を実行可能に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイ1、及び制御回路2を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るメモリセルアレイ1の積層構造を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るメモリセルアレイ1の積層構造を示す断面図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】ワード線導電層31aを示す上面図である。
【図6】ソース側導電層41a、及びドレイン側導電層41bを示す上面図である。
【図7】ソース層51a、51b、ビット層52、及び共通ソース層53a、53bを示す上面図である。
【図8】第1実施形態において選択メモリブロックs−MB内の選択セルユニットs−MUに対して消去動作を実行する一例を示す図である。
【図9】図8の領域R1のポテンシャルを示す図である。
【図10A】図8の領域R2のポテンシャルを示す図である。
【図10B】図8の領域R2のポテンシャルを示す図である。
【図11】図8の領域R3のポテンシャルを示す図である。
【図12】第1実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図13】第1実施形態において選択メモリブロックs−MB内のダミートランジスタDTrの電荷を放出する一例を示す図である。
【図14】第1実施形態に係る制御回路2を示す回路図である。
【図15】第2実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図16】第2実施形態に係る制御回路2を示す回路図である。
【図17】第3実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図18】図17の領域R6のポテンシャルを示す図である。
【図19】第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイ1、及び制御回路2を示す図である。
【図20】第4実施形態に係るメモリセルアレイ1の積層構造を示す斜視図である。
【図21】第4実施形態に係るメモリセルアレイ1の積層構造を示す断面図である。
【図22】ソース層51、ビット層52、及び共通ソース層53を示す上面図である。
【図23】第4実施形態において選択メモリブロックs−MB内の選択セルユニットs−MUに対して消去動作を実行する一例を示す図である。
【図24】第4実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図25】第4実施形態に係る制御回路2を示す回路図である。
【図26】第5実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図27】図26の領域R7のポテンシャルを示す図である。
【図28】第6実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する一例を示す図である。
【図29】第6実施形態に係る制御回路2を示す回路図である。
【図30】第4実施形態の変形例において選択メモリブロックs−MB内の選択セルユニットs−MUに対して消去動作を実行する一例を示す図である。
【図31】図30の領域R8のポテンシャルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、不揮発性半導体記憶装置の実施形態について説明する。
【0009】
[第1実施形態]
先ず、図1を参照して、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成について説明する。第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、図1に示すように、メモリセルアレイ1、及び制御回路2を備える。制御回路2は、メモリセルアレイ1に供給する信号を制御する。なお、制御回路2の具体的構成については、図14にて後述する。
【0010】
メモリセルアレイ1は、図1に示すように、n本のビット線BL、2本の共通ソース線SLA1、SLA2、及びm列のメモリブロックMBを有する。
【0011】
ビット線BLは、ロウ方向に所定ピッチをもって、複数のメモリブロックMBを跨ぐようにカラム方向に延びるように形成されている。1本のビット線BLは、各メモリブロックMB中において、カラム方向に並ぶ2個のセルユニットMUに共有されている。共通ソース線SLA1、SLA2は、各々、ロウ方向に所定ピッチをもって、複数のメモリブロックMBを跨ぐようにカラム方向に延びるように形成されている。
【0012】
メモリブロックMBは、所定ピッチをもってカラム方向に繰り返し設けられている。各メモリブロックMBは、n行2列のセルユニットMU、及び2本のソース線SL1、SL2を有する。
【0013】
セルユニットMUは、メモリストリングMS、メモリトランジスタDTr、ドレイン側選択トランジスタSDTr、及びソース側選択トランジスタSSTrを有する。メモリトランジスタDTrは、メモリストリングMSのドレインに接続されている。メモリトランジスタDTrは、メモリストリングMSに含まれるメモリトランジスタMTr1〜7と同様の構成を有する。しかしながら、メモリトランジスタDTrの役割は、メモリトランジスタMTr1〜7の役割と異なる。よって、説明を容易にするため、以下本明細書中では、“メモリトランジスタDTr”を“ダミートランジスタDTr”と呼ぶ。ドレイン側選択トランジスタSDTrは、ダミートランジスタDTrのドレインとビット線BLとの間に設けられている。ソース側選択トランジスタSSTrは、メモリストリングMSのソースとソース線SL1(又は、SL2)との間に設けられている。なお、図1に示す例においては、セルユニットMUの一列目を(1)と表記し、その二列目を(2)と表記する。
【0014】
ここで、メモリストリングMS、ダミートランジスタDTr、ドレイン側選択トランジスタSDTr、及びソース側選択トランジスタSSTrは、後述する図2に示すように、3次元マトリクス状に配列して構成されている。すなわち、それらは、水平方向にマトリクス状に配列されるとともに、積層方向(基板に対して垂直方向)にも配列されている。
【0015】
メモリストリングMSは、図1に示すように、直列接続されたメモリトランジスタMTr1〜7、及びバックゲートトランジスタBTrにて構成されている。メモリトランジスタMTr1〜3は直列に接続され、メモリトランジスタMTr4〜7も、同様に直列に接続されている。メモリトランジスタMTr1〜7は、その電荷蓄積層に蓄積される電荷の量が変化することで、その閾値電圧が変化する。閾値電圧が変化することにより、メモリトランジスタMTr1〜7が保持するデータが書き替えられる。バックゲートトランジスタBTrは、メモリトランジスタMTr3とメモリトランジスタMTr4との間に接続されている。
【0016】
1つのメモリブロックMB内の2×n個のメモリトランジスタMTr1のゲートは、1本のワード線WL1に共通接続されている。同様に、1つのメモリブロックMB内の2×n個のメモリトランジスタMTr2〜7のゲートは、各々、1本のワード線WL2〜7に共通接続されている。また、1つのメモリブロックMB内の2×n個のバックゲートトランジスタBTrのゲートは、1本のバックゲート線BGに共通接続されている。
【0017】
ダミートランジスタDTrは、データの記憶に用いられず、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧を制御するために用いられる。よって、ダミートランジスタDTrは、電荷蓄積層を有さない構造が望ましい。しかしながら、製造工程を簡略化するため、本実施形態において、ダミートランジスタDTrは、メモリトランジスタMTr1〜MTr7と同様に、電荷蓄積層を有するものとされている。1つのメモリブロックMB内の2×n個のダミートランジスタDTrのゲートは、1本のダミーワード線DWLに共通接続されている。
【0018】
ロウ方向に一列に配列されたn個のドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートは、ロウ方向に延びる1本のドレイン側選択ゲート線SGDに共通接続されている。また、カラム方向に一列に配列されたドレイン側選択トランジスタSDTrのドレインは、カラム方向に延びる1本のビット線BLに共通接続されている。
【0019】
ロウ方向に一列に配列されたn個のソース側選択トランジスタSSTrのゲートは、ロウ方向に延びる1本のソース側選択ゲート線SGSに共通接続されている。また、1列目(1)に位置するソース側選択トランジスタSSTrのソースは、ロウ方向に延びるソース線SL1を介して共通ソース線SLA1に接続されている。2列目(2)に位置するソース側選択トランジスタSSTrのソースは、ロウ方向に延びるソース線SL2を介して共通ソース線SLA2に接続されている。
【0020】
次に、図2〜図4を参照して、メモリセルアレイ1の積層構造について説明する。第1実施形態に係るメモリセルアレイ1は、図2及び図3に示すように、半導体基板10の上に順次積層されたバックゲート層20、メモリ層30、選択トランジスタ層40、及び配線層50を有する。バックゲート層20は、バックゲートトランジスタBTrとして機能する。メモリ層30は、メモリトランジスタMTr1〜MTr7、及びダミートランジスタDTrとして機能する。選択トランジスタ層40は、ドレイン側選択トランジスタSDTr、及びソース側選択トランジスタSSTrとして機能する。配線層50は、ソース線SL、及びビット線BLとして機能する。
【0021】
バックゲート層20は、図2及び図3に示すように、バックゲート導電層21を有する。バックゲート導電層21は、基板10と平行なロウ方向及びカラム方向に2次元的に広がるように形成されている。バックゲート導電層21は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0022】
バックゲート層20は、図3に示すように、バックゲートホール22を有する。バックゲートホール22は、バックゲート導電層21を掘り込むように形成されている。バックゲートホール22は、上面からみてカラム方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。バックゲートホール22は、ロウ方向及びカラム方向にマトリクス状に形成されている。
【0023】
メモリ層30は、図2及び図3に示すように、バックゲート層20の上層に形成されている。メモリ層30は、ワード線導電層31a〜31dを有する。ワード線導電層31aは、ワード線WL3、WL4、及びメモリトランジスタMTr3、MTr4のゲートとして機能する。ワード線導電層31bは、ワード線WL2、WL5、及びメモリトランジスタMTr2、MTr5のゲートとして機能する。ワード線導電層31cは、ワード線WL1、WL6、及びメモリトランジスタMTr1、MTr6のゲートとして機能する。ワード線導電層31dは、ダミーワード線DWL、ワード線WL7、及びダミートランジスタDTr、メモリトランジスタMTr7のゲートとして機能する。
【0024】
ワード線導電層31a〜31dは、層間絶縁層(図示せず)を挟んで積層されている。ワード線導電層31a〜31dは、カラム方向に所定ピッチをもってロウ方向に延びるように形成されている。ワード線導電層31a〜31dは、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0025】
メモリ層30は、図3に示すように、メモリホール32を有する。メモリホール32は、ワード線導電層31a〜31d、及び層間絶縁層を貫通するように形成されている。メモリホール32は、バックゲートホール22のカラム方向の端部近傍に整合するように形成されている。
【0026】
また、バックゲート層20、及びメモリ層30は、図2及び図3に示すように、メモリ半導体層34を有する。メモリ半導体層34は、メモリトランジスタMTr1〜MTr7(メモリストリングMS)のボディ、及びダミートランジスタDTrのボディとして機能する。
【0027】
メモリ半導体層34は、バックゲートホール22、及びメモリホール32を埋めるように形成されている。すなわち、メモリ半導体層34は、ロウ方向からみてU字状に形成されている。メモリ半導体層34は、基板10に対して垂直方向に延びる一対の柱状部34a、及び一対の柱状部34aの下端を連結する連結部34bを有する。メモリ半導体層34は、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0028】
また、バックゲート層20、及びメモリ層30は、図4に示すように、メモリゲート絶縁層33を有する。メモリゲート絶縁層33は、メモリ半導体層34とワード線導電層31a〜31d(バックゲート導電層21)との間に設けられている。メモリゲート絶縁層33は、ブロック絶縁層33a、電荷蓄積層33b、トンネル絶縁層33cを有する。
【0029】
ブロック絶縁層33aは、図4に示すように、バックゲートホール22及びメモリホール32の側面に所定の厚みをもって形成されている。電荷蓄積層33bは、ブロック絶縁層33aの側面に所定の厚みをもって形成されている。トンネル絶縁層33cは、電荷蓄積層33bの側面に所定の厚みをもって形成されている。ブロック絶縁層33a、及びトンネル絶縁層33cは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。電荷蓄積層33bは、窒化シリコン(SiN)にて構成され、電荷を蓄積する。
【0030】
上記バックゲート層20の構成を換言すると、バックゲート導電層21は、メモリゲート絶縁層33を介して連結部34bを取り囲むように形成されている。また、上記メモリ層30の構成を換言すると、ワード線導電層31a〜31dは、メモリゲート絶縁層33を介して柱状部34aを取り囲むように形成されている。
【0031】
なお、メモリ半導体層34と平行に、メモリストリングMSとしては機能しないダミーメモリ半導体層34Dも形成されている。このダミーメモリ半導体層34Dは、本来形成の必要のない半導体層であるが、リソグラフィ時における規則性を保つために設けられている。ダミーメモリ半導体層34Dは、メモリ層30及び選択トランジスタ層40に亘って形成されている。
【0032】
選択トランジスタ層40は、図2及び図3に示すように、ソース側導電層41a、ドレイン側導電層41b、及びダミー導電層41cを有する。ソース側導電層41aは、ソース側選択ゲート線SGS、及びソース側選択トランジスタSSTrのゲートとして機能する。ドレイン側導電層41bは、ドレイン側選択ゲート線SGD、及びドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートとして機能する。ダミー導電層41cは、リソグラフィの規則性の維持のために設けられるダミー配線であり、ダミーメモリ半導体層34Dを囲うように設けられている。
【0033】
ソース側導電層41aは、メモリ半導体層34を構成する一方の柱状部34aの上端付近に形成され、ドレイン側導電層41bは、ソース側導電層41aと同層であって、メモリ半導体層34を構成する他方の柱状部34aの上端付近に形成されている。ソース側導電層41a、及びドレイン側導電層41bは、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0034】
選択トランジスタ層40は、図2及び図3に示すように、ソース側ホール42a、及びドレイン側ホール42bを有する。ソース側ホール42aは、ソース側導電層41aを貫通するように形成されている。ドレイン側ホール42bは、ドレイン側導電層41bを貫通するように形成されている。ソース側ホール42a及びドレイン側ホール42bは、各々、メモリホール32と整合する位置に形成されている。
【0035】
選択トランジスタ層40は、図2及び図3に示すように、ソース側柱状半導体層44a、及びドレイン側柱状半導体層44bを有する。ソース側柱状半導体層44aは、ソース側選択トランジスタSSTrのボディとして機能する。ドレイン側柱状半導体層44bは、ドレイン側選択トランジスタSDTrのボディとして機能する。
【0036】
ソース側柱状半導体層44aは、ソース側ホール42aを埋めるように形成されている。すなわち、ソース側柱状半導体層44aは、一対の柱状部34aの一方の上面に接し、基板10に対して垂直方向に延びるように柱状に形成されている。ソース側柱状半導体層44aは、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0037】
ドレイン側柱状半導体層44bは、ドレイン側ホール42bを埋めるように形成されている。すなわち、ドレイン側柱状半導体層44bは、一対の柱状部34aの他方の上面に接し、基板10に対して垂直方向に延びるように柱状に形成されている。ドレイン側柱状半導体層44bは、ポリシリコン(poly−Si)にて構成されている。
【0038】
また、選択トランジスタ層40は、図4に示すように、ソース側ゲート絶縁層43a、及びドレイン側ゲート絶縁層44bを有する。ソース側ゲート絶縁層43aは、ソース側柱状半導体層44aとソース側導電層41aとの間に設けられている。ドレイン側ゲート絶縁層43bは、ドレイン側柱状半導体層44bとドレイン側導電層41bとの間に設けられている。ソース側ゲート絶縁層43a、及びドレイン側ゲート絶縁層43bは、酸化シリコン(SiO)にて構成されている。
【0039】
配線層50は、図2及び図3に示すように、ソース層51a、51b、及びビット層52を有する。ソース層51a、51bは、各々ソース線SL1、SL2として機能する。ビット層53は、ビット線BLとして機能する。
【0040】
ソース層51a、51bは、各々、ソース側柱状半導体層44aの上面に接し、ロウ方向に延びるように形成されている。ソース層51a、51bは、各々、カラム方向に所定ピッチをもってメモリブロックMBに1つずつ設けられている。ビット層52は、ドレイン側柱状半導体層44bの上面に接し、カラム方向に延びるように形成されている。ソース層51a、51b、及びビット層52は、タングステン等の金属にて構成されている。
【0041】
次に、図5を参照して、ワード線導電層31aの形状について詳しく説明する。なお、ワード線導電層31b〜31dは、ワード線導電層31aと同様の形状であるため、それらの説明は省略する。
【0042】
ワード線導電層31aは、図5に示すように、1つのメモリブロックMBに一対設けられている。一方のワード線導電層31aは、上面からみてT字状(凸状)に形成されている。他方のワード線導電層31aは、T字状のワード線導電層31aに対向するように、コの字状(凹状)に形成されている。
【0043】
次に、図6を参照して、ソース側導電層41a、及びドレイン側導電層41bの形状について詳しく説明する。
【0044】
ソース側導電層41a、及びドレイン側導電層41bは、図6に示すように、各々、ロウ方向に延びるように形成されている。ソース側導電層41a、及びドレイン側導電層41bは、各々、1つのメモリブロックMBに一対ずつ設けられている。ソース側導電層41aはメモリブロックMBのカラム方向の両端近傍に設けられ、ドレイン側導電層41bは一対のソース側導電層41aの間に設けられている。
【0045】
次に、図7を参照して、ソース層51a、51bの形状について詳しく説明する。
【0046】
ソース層51a、51bは、カラム方向に所定ピッチをもってロウ方向に延びるように形成されている。ソース層51a、51bは、各々、1つのメモリブロックMBに1つずつ設けられている。これらソース層51a、51bの上層には、カラム方向に延びる共通ソース層53a、53bが設けられている。複数のメモリブロックMBに含まれるソース層51a、51bは、プラグ層54を介して、各々、1本の共通ソース層53a、53bに共通接続されている。共通ソース層53a、53bは、各々、共通ソース線SLA1、SLA2として機能する。
【0047】
次に、第1実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の消去動作について説明する。第1実施形態において、制御回路2は、選択したメモリブロックMB(以下、選択メモリブロックs−MB)内の選択したセルユニットMU(以下、選択セルユニットs−MU)に対して消去動作を実行する。一方、制御回路2は、選択メモリブロックs−MB内の非選択としたセルユニットMU(以下、非選択セルユニットns−MU)に対して消去動作を禁止する。なお、消去動作は、メモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層に蓄積された電荷を放出する動作である。
【0048】
先ず、図8を参照して、選択メモリブロックs−MBに対する制御を説明する。図8に示すように、制御回路2は、消去動作時、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧を20Vまで上げる。一方、制御回路2は、消去動作時、非選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧を0Vに設定する。そして、制御回路2は、消去動作時、選択セルユニットs−MU、及び選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のゲートの電圧を0V(GND)に設定する。これにより、選択セルユニットs−MUにおいては、メモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層に高電圧が印加され、それらに蓄積された電荷はチャネル側に放出される。一方、非選択セルユニットns−MUにおいては、メモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層に高電圧が印加されず、それらに蓄積された電荷は放出されない。
【0049】
次に、上述した選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧を20Vまで上げる処理について説明する。
【0050】
図8の領域R1に示すように、制御回路2は、選択セルユニットs−MUに接続されたソース線SL2の電圧VSL2を20Vに設定し、選択セルユニットs−MUに含まれるソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを12Vに設定する。すなわち、選択セルユニットs−MUに接続されたソース線SL2の電圧VSL2は、選択セルユニットs−MUに含まれるソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSよりも電圧αだけ高くなる(VSL2−α=VSGS)。この場合、図8に示す領域R1において、電子からみたポテンシャルは、図9に示すようになる。これにより、GIDL電流が発生し、それにより生じたホールは、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜7のボディに流れる。一方、GIDL電流により生じた電子は、選択セルユニットs−MUからソース線SL2に流れる。
【0051】
また、図8の領域R2に示すように、制御回路2は、選択セルユニットs−MUに含まれるダミートランジスタDTrのゲートの電圧VDLを20Vに設定する。すなわち、選択セルユニットs−MUに含まれるダミートランジスタDTrのゲートの電圧VDLは、選択セルユニットs−MUに接続されたソース線SL2の電圧VSL2以上となる(VDL≧VSL2)。この場合、図8に示す領域R2において、電子からみたポテンシャルは、図10Aに示すように、ホールに対するポテンシャル障壁を形成する。これにより、選択セルユニットs−MUからビット線BLへのホールの移動は抑制される。
【0052】
また、図8の領域R2に示すように、制御回路2は、選択セルユニットs−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを8Vに設定し、選択セルユニットs−MUに接続されたビット線BLの電圧VBLを8Vに設定する。すなわち、選択セルユニットs−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDは、選択セルユニットs−MUに接続されたビット線BLの電圧VBL以下となる(VSGD≦VBL)。この場合、図8に示す領域R2において、電子からみたポテンシャルは、図10Aに示すように、電子に対するポテンシャル障壁を形成する。これにより、ビット線BLから選択セルユニットs−MUへの電子の移動は抑制される。
【0053】
以上、図8の領域R1、R2における制御により、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、20Vまで上げられる。ここで、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1に対して消去動作を実行しない場合、制御回路2は、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1のゲートの電圧を15Vとしてもよい。すなわち、選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1のゲートの電圧CGL1は、ソース線SL2の電圧VSL2未満としてもよい(VCG1<VSL2)。この場合、図8に示す領域R2において、電子からみたポテンシャルは、図10Bに示すようになる。
【0054】
次に、上述した非選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧を0Vに設定する処理について説明する。
【0055】
図8の領域R3に示すように、制御回路2は、非選択セルユニットns−MUに含まれるソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを8Vに設定し、非選択セルユニットns−MUに接続されたソース線SL1の電圧VSL1を8Vに設定する。すなわち、非選択セルユニットns−MUに含まれるソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSは、非選択セルユニットns−MUに接続されたソース線SL1の電圧VSL1以上とする(VSGS≧VSL1)。この場合、図8に示す領域R3において、電子からみたポテンシャルは、図11に示すようになる。これにより、GIDL電流は発生せず、非選択セルユニットns−MUからソース線SL1への電子の移動は許容される。
【0056】
また、図8の領域R4に示すように、制御回路2は、非選択セルユニットns−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを8Vに設定する。すなわち、非選択セルユニットns−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDは、非選択セルユニットns−MUに接続されたビット線BLの電圧VBL以上となる(VSGD≧VBL)。これにより、図8に示す領域R4において、GIDL電流は発生せず、非選択セルユニットns−MUからビット線BLへの電子の移動は許容される。
【0057】
以上、図8の領域R3、R4における制御により、非選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、0Vに設定される。
【0058】
次に、図12を参照して、非選択としたメモリブロックMB(以下、非選択メモリブロックns−MB)に対する制御を説明する。図12に示すように、制御回路1は、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のゲートをフローティングとする。これにより、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧にかかわらず、メモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層には高電圧が印加されない。すなわち、非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止することができる。
【0059】
また、図12の領域R3に示すように、制御回路2は、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを20Vに設定し、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2を8V、20Vに設定する。すなわち、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSは、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2以上となる(VSGS≧VSL1、VSL2)。これにより、領域R3にて、セルユニットMUからソース線SL1、SL2への電子の移動が許容される。
【0060】
また、図12の領域R4に示すように、制御回路2は、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを20Vに設定し、ビット線BLの電圧VBLを8Vに設定する。すなわち、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDは、ビット線BLの電圧VBL以上とする(VSGD≧VBL)。これにより、領域R4にて、セルユニットMUからビット線BLへの電子の移動が許容される。
【0061】
以上、図12のR3、R4における制御により、非選択メモリブロックns−MBにおいて、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、0Vに設定される。
【0062】
ここで、図8〜図12に示す消去動作は、メモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層に蓄積された電荷を放出するが、ダミートランジスタDTrの電荷蓄積層に蓄積された電荷は放出されない。よって、ダミートランジスタDTrの閾値電圧は次第に上昇し、その導通制御が困難となるおそれがある。そこで、第1実施形態は、図13に示すように、選択メモリブロックs−MBのダミートランジスタDTrに対して、その蓄積された電荷を放出する動作(以下、ダミー消去動作)を実行する。
【0063】
図13に示すように、制御回路2は、ダミー消去動作時、選択メモリブロックs−MBにおいて、ダミートランジスタDMTrのボディの電圧を20Vまで上げる。そして、制御回路2は、ダミー消去動作時、選択メモリブロックs−MBにおいて、ダミートランジスタDMTrのゲートの電圧を0V(GND)に設定する一方、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のゲートをフローティングとする。これにより、選択メモリブロックs−MBにおいて、ダミートランジスタDMTrの電荷蓄積層に高電圧が印加され、ダミートランジスタDMTrに蓄積された電荷は放出される。すなわち、ダミートランジスタDTrの閾値電圧は下げられ、その導通制御の実行に問題は生じない。
【0064】
次に、上述した選択メモリブロックs−MBにおいて、ダミートランジスタDMTrのボディの電圧を20Vまで上げる処理について説明する。
【0065】
図13の領域R1に示すように、制御回路2は、選択メモリブロックs−MBにおいて、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2を20Vに設定し、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを12Vに設定する。すなわち、選択メモリブロックs−MBにおいて、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2は、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSよりも電圧αだけ高くなる(VSL1、VSL2−α=VSGS)。これにより、領域R1、R5において、GIDL電流が発生する。
【0066】
さらに、図13の領域R5に示すように、制御回路2は、選択メモリブロックs−MBにおいて、ビット線BLの電圧VBLを20Vに設定し、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを12Vに設定する。すなわち、選択メモリブロックs−MBにおいて、ビット線BLの電圧VBLは、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDよりも電圧αだけ高くなる(VBL−α=VSGD)。これにより、領域R5において、GIDL電流が発生する。
【0067】
以上、図13の領域R1、R5における制御により、選択メモリブロックs−MBにおいて、ダミートランジスタDMTrのボディの電圧は、20Vまで上げられる。
【0068】
次に、図14を参照して、上記第1実施形態の消去動作を実行可能とする制御回路2の具体的構成につていて説明する。制御回路2は、ソース線SL1、SL2に各々異なる電圧を印加できるように構成されている。制御回路2は、図14に示すように、アドレスデコーダ回路11、昇圧回路12a〜12c、ワード線駆動回路13a、13b、バックゲート線駆動回路14、選択ゲート線駆動回路15a、15b、ソース線駆動回路16、センスアンプ回路17、シーケンサ18、及びロウデコーダ回路19a、19bを有する。
【0069】
アドレスデコーダ回路11は、図14に示すように、信号BADをロウデコーダ回路19a、19bに出力する。信号BADは、メモリブロックMB(ブロックアドレス)を指定するための信号である。
【0070】
昇圧回路12a〜12cは、基準電圧を昇圧させた昇圧電圧を生成する。昇圧回路12aは、図14に示すように、昇圧した電圧をワード線駆動回路13a、13bに転送する。昇圧回路12bは、昇圧した電圧をソース線駆動回路16に出力する。昇圧回路12cは、昇圧した信号RDECをロウデコーダ回路19a、19bに出力する。
【0071】
ワード線駆動回路13aは、図14に示すように、信号VDL、VCG1〜VCG3を出力する。ワード線駆動回路13bは、信号VCG4〜VCG7を出力する。信号VDLは、選択メモリブロックs−MBのダミーワード線DWLを駆動する際に用いられる。信号VCG1〜VCG7は、選択メモリブロックs−MBのワード線WL1〜WL7を駆動する際に用いられる。
【0072】
バックゲート線駆動回路14は、図14に示すように、信号VBGを出力する。信号VBGは、選択メモリブロックs−MBのバックゲート線BGを駆動する際に用いられる。
【0073】
選択ゲート線駆動回路15aは、図14に示すように、信号VSGS2、信号VSGD1、及び信号VSGOFFを出力する。選択ゲート線駆動回路15bは、信号VSGS1、信号VSGD2、及び信号VSGOFFを出力する。信号VSGS1、VSGS2は、各々、選択メモリブロックs−MBの1列目、2列目のソース側選択ゲート線SGSを駆動する際に用いられる。信号VSGD1、VSGD2は、各々、選択メモリブロックs−MBの1列目、2列目のドレイン側選択ゲート線SGDを駆動する際に用いられる。信号VSGOFFは、非選択メモリブロックns−MBのソース側選択ゲート線SGS及びドレイン側選択ゲート線SGDを駆動する際に用いられる。
【0074】
上記信号VSGS2、信号VSGD1、及び信号VSGOFFは、選択ゲート線駆動回路15aからロウデコーダ回路19aを介して、各種配線に入力される。また、信号VSGOFF、VSGD2、VSGS1は、選択ゲート線駆動回路15bからロウデコーダ回路19bを介して、各種配線に入力される。
【0075】
ソース線駆動回路16は、図14に示すように、信号VSL1、VSL2を出力する。信号VSL1、VSL2は、各々、共通ソース線SLA1、SLA2を介してソース線SL1、SL2を駆動する際に用いられる。
【0076】
センスアンプ回路17は、図14に示すように、信号VBLを出力することにより、ビット線BLを所定の電圧まで充電し、その後ビット線BLの電圧の変化に基づきメモリトランジスタMTr1〜MTr7の保持データを判定する。
【0077】
シーケンサ18は、図14に示すように、上記回路11〜17に制御信号を供給し、それら回路を制御する。
【0078】
ロウデコーダ回路19a、19bは、図14に示すように、一つのメモリブロックMBに対して、各々一つ設けられている。ロウデコーダ回路19aは、信号BAD、信号VCG1〜VCG3に基づき、メモリトランジスタMTr1〜MTr3のゲートに信号VCG1<i>〜VCG3<i>を入力する。ロウデコーダ回路19aは、信号BAD、信号VDLに基づき、ダミートランジスタDMTrのゲートに信号VDL<i>を入力する。また、ロウデコーダ回路19aは、信号BAD、信号VSGS2、及び信号SGOFFに基づき、選択的に2列目のセルユニットMUのソース側選択トランジスタSSTrのゲートに信号VSGS2<i>を入力する。また、ロウデコーダ回路19aは、信号BAD、信号VSGD1、及び信号SGOFFに基づき、選択的に1列目のセルユニットMUのドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートに信号VSGD1<i>を入力する。
【0079】
ロウデコーダ回路19aは、NAND回路19aa、NOT回路19ab、電圧変換回路19ac、第1転送トランジスタTra1〜Tra6、及び第2転送トランジスタTrb1、Trb2を有する。電圧変換回路19acは、NAND回路19aa、NOT回路19abを介して受け付けた信号BAD、及び信号RDECに基づき信号VSELa<i>を生成し、第1転送トランジスタTra1〜Tra6のゲートに出力する。また、電圧変換回路19acは、信号BAD、信号RDECに基づき信号VbSELa<i>を生成し、第2転送トランジスタTrb1、Trb2のゲートに出力する。
【0080】
第1転送トランジスタTra1は、ワード線駆動回路13aとダミーワード線DWLとの間に接続されている。第1転送トランジスタTra2〜Tra4は、各々、ワード線駆動回路13aとワード線WL1〜WL3との間に接続されている。第1転送トランジスタTra1は、信号VDL、VSELa<i>に基づき、ダミーワード線DWLに信号VDL<i>を出力する。第1転送トランジスタTra2〜Tra4は、各々、信号VCG1〜VCG3、VSELa<i>に基づき、ワード線WL1〜WL3に信号VCG1<i>〜VCG3<i>を出力する。第1転送トランジスタTra5は、選択ゲート線駆動回路15aと2列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSとの間に接続されている。第1転送トランジスタTra5は、信号VSGS2、及び信号VSELa<i>に基づき、2列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSに信号VSGS2<i>を出力する。第1転送トランジスタTra6は、選択ゲート線駆動回路15aと1列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDとの間に接続されている。第1転送トランジスタTra6は、信号VSGD1、及び信号VSELa<i>に基づき、1列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDに信号VSGD1<i>を出力する。
【0081】
第2転送トランジスタTrb1は、選択ゲート線駆動回路15aと2列目のソース側選択ゲート線SGSとの間に接続されている。第2転送トランジスタTrb1は、信号VSGOFF、及び信号VbSELa<i>に基づき、2列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSに信号VSGS2<i>を出力する。第2転送トランジスタTrb2は、選択ゲート線駆動回路15aと1列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDとの間に接続されている。第2転送トランジスタTrb2は、信号VSGOFF、及び信号VbSELa<i>に基づき、1列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDに信号VSGD1<i>を出力する。
【0082】
ロウデコーダ回路19bは、信号BAD、及び信号VCG4〜VCG7に基づき、メモリトランジスタMTr4〜MTr7のゲートに信号VCG4<i>〜VCG7<i>を入力する。また、ロウデコーダ回路19bは、信号BAD、信号VSGS1、及び信号SGOFFに基づき、選択的に1列目のセルユニットMUのソース側選択トランジスタSSTrのゲートに信号VSGS1<i>を入力する。また、ロウデコーダ回路19bは、信号BAD、信号VSGD2、及び信号SGOFFに基づき、選択的に2列目のセルユニットMUのドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートに信号VSGD2<i>を入力する。
【0083】
ロウデコーダ回路19bは、NAND回路19ba、NOT回路19bb、電圧変換回路19bc、第1転送トランジスタTrc1〜Trc7、及び第2転送トランジスタTrd1、Trd2を有する。電圧変換回路19bcは、NAND回路19ba、NOT回路19bbを介して受け付けた信号BAD、信号RDECに基づき信号VSELb<i>を生成し、第1転送トランジスタTrc1〜Trc7のゲートに出力する。また、電圧変換回路19bcは、信号BAD、信号RDECに基づき信号VbSELb<i>を生成し、第2転送トランジスタTrd1、Trd2のゲートに出力する。
【0084】
第1転送トランジスタTrc1〜Trc4は、各々、ワード線駆動回路13bとワード線WL4〜WL7との間に接続されている。第1転送トランジスタTrc1〜Trc4は、信号VCG4〜VCG7、VSELb<i>に基づき、ワード線WL4〜WL7に信号VCG4<i>〜VCG7<i>を出力する。第1転送トランジスタTrc5は、バックゲート線駆動回路14とバックゲート線BGとの間に接続されている。第1転送トランジスタTrc5は、信号VBG、及び信号VSELb<i>に基づき、バックゲート線BGに信号VBG<i>を出力する。第1転送トランジスタTrc6は、選択ゲート線駆動回路15bと1列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSとの間に接続されている。第1転送トランジスタTrc6は、信号VSGS1、及び信号VSELb<i>に基づき、1列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSに信号VSGS1<i>を出力する。第1転送トランジスタTrc7は、選択ゲート線駆動回路15bと2列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDとの間に接続されている。第1転送トランジスタTrc7は、信号VSGD2、及び信号VSELb<i>に基づき、2列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDに信号VSGD2<i>を出力する。
【0085】
第2転送トランジスタTrd1は、選択ゲート線駆動回路15bと1列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSとの間に接続されている。第2転送トランジスタTrd1は、信号VSGOFF、及び信号VbSELb<i>に基づき、1列目のセルユニットMUのソース側選択ゲート線SGSに信号VSGS1<i>を出力する。第2転送トランジスタTrd2は、選択ゲート線駆動回路15bと2列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDとの間に接続されている。第2転送トランジスタTrd2は、信号VSGOFF、及び信号VbSELb<i>に基づき、2列目のセルユニットMUのドレイン側選択ゲート線SGDに信号VSGD2<i>を出力する。上記図14に示す回路によって、第1実施形態の消去動作は実行可能とされている。
【0086】
[第2実施形態]
次に、図15を参照して、第2実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の消去動作について説明する。第2実施形態は、非選択メモリブロックns−MBにおける制御が、第1実施形態と異なる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
ここで、上記第1実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGD、及びソース線SL1に接続されたソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを20Vに設定する(図13参照)。これに対して、第2実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、図15に示すように、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGD、及びソース線SL1に接続されたソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを8Vに設定する。この点、第2実施形態は、第1実施形態と異なる。これにより、第1実施形態と同様に、図14の領域R3にて、セルユニットMUからソース線SL1、SL2への電子の移動は許容される。また、図14の領域R4にて、セルユニットMUからビット線BLへの電子の移動は許容される。さらに、第2実施形態は、第1実施形態と比較して上記のようにゲートに印加する電圧を8Vに削減することから、第1実施形態よりも消費電力を抑えることができる。
【0088】
次に、図16を参照して、上記第2実施形態の消去動作を実行可能とする制御回路2の具体的構成について説明する。制御回路2は、第1実施形態と異なり、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するドレイン側選択ゲート線SGDの各々に異なる電圧を印加可能に構成されている。したがって、第2実施形態に係る制御回路2においては、図16に示すように、選択ゲート線駆動回路15a、15bの出力信号が、第1実施形態と異なる。
【0089】
選択ゲート線駆動回路15aは、第1実施形態の信号VSGOFFの代わりに、信号VSGDOFF1、VSGSOFF2を出力する。選択ゲート線駆動回路15bは、信号VSGOFFの代わりに、信号VSGDOFF2、VSGSOFF1を出力する。
【0090】
信号VSGSOFF1、VSGSOFF2は、各々、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するソース側選択ゲート線SGSを駆動する際に用いられる。信号VSGSOFF1は、第2転送トランジスタTrd1の一端に供給される。信号VSGOFF2は、第2転送トランジスタTrb1の一端に供給される。
【0091】
信号VSGDOFF1、VSGDOFF2は、各々、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するドレイン側選択ゲート線SGDを駆動する際に用いられる。信号VSGDOFF1は、第2転送トランジスタTrb2の一端に供給される。信号VSGDOFF2は、第2転送トランジスタTrd2の一端に供給される。上記図15に示す回路によって、第2実施形態の消去動作は実行可能とされている。
【0092】
[第3実施形態]
次に、図17を参照して、第3実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の消去動作について説明する。第3実施形態は、非選択メモリブロックns−MBにおける制御が、第1実施形態と異なる。なお、第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
第3実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、図17に示すように、GIDL電流を発生させる。この点、第3実施形態は、第1実施形態と異なる。具体的に、図17の領域R5に示すように、制御回路2は、非選択メモリブロックns−MBにおいて、ビット線BLの電圧VBLを8Vに設定し、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを0Vに設定する。すなわち、ビット線BLの電圧VBLは、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDよりも電圧αだけ高くなる(VBL−α=VSGD)。これにより、図17の領域R5において、GIDL電流が発生する。
【0094】
また、図17の領域R6に示すように、制御回路2は、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2を各々、8V、20Vに設定する。制御回路2は、ソース線SL1近傍のソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを8Vに設定し、ソース線SL2近傍のソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを20Vに設定する。すなわち、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSは、各々、ソース線SL1、SL2の電圧VSL1、VSL2以上となる(VSGS≧VSL1、VSL2)。この場合、図17に示す領域R6において、電子からみたポテンシャルは、図18に示すようになる。これにより、図17の領域R6において、セルユニットMUからソース線SL1、SL2への電子の移動は許容される。一方、セルユニットMUからソース線SL1、SL2へのホールの移動は抑制される。
【0095】
以上、図17の領域R5、R6における制御により、非選択メモリブロックns−MBにおいて、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、8Vまで上げられる。しかしながら、制御回路2は、ワード線WL1〜WL7をフローティングとしているため、非選択メモリブロックns−MB内のメモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層には高電圧が印加されない。よって、非選択メモリブロックns−MBに対する消去動作は禁止される。
【0096】
なお、第3実施形態の消去動作は、図16に示した第2実施形態に係る制御回路2にて実行可能とされている。
【0097】
[第4実施形態]
次に、図19を参照して、第4実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の概略構成について説明する。第4実施形態は、図19に示すように、第1実施形態のソース線SL1、SL2、及び共通ソース線SLA1、SLA2の代わりに、ソース線SL、及び共通ソース線SLAを有する。ソース線SLは、各メモリブロックMBに、2本設けられている。2本のソース線SLは、1本の共通ソース線SLAに接続されている。この点で、第4実施形態は、第1実施形態と異なる。なお、第4実施形態において、第1〜第3実施形態と同様の構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0098】
次に、図20〜図22を参照して、第4実施形態におけるメモリセルアレイ1の積層構造について説明する。第4実施形態に係るメモリセルアレイ1は、図20及び図21に示すように、第1実施形態のソース層51a、51bの代わりに、ソース層51を有する。ソース層51は、ソース線SLとして機能する。
【0099】
ソース層51は、図22に示すように、第1実施形態と同様に、1つのメモリブロックMBに2つ設けられている。ただし、1本のソース層51は、隣接する一対のメモリブロックMBにて共有されている。ソース層51はプラグ層54を介して共通ソース層53に接続されている。共通ソース層53は、共通ソース線SLAとして機能する。
【0100】
次に、図23を参照して、第4実施形態において選択セルユニットs−MUに対して消去動作を実行する制御について説明する。図23に示すように、制御回路2は、選択メモリブロックs−MBにおいて、略第1実施形態と同様の制御を実行する。ただし、制御回路2は、ソース線SLの電圧VSLを20Vに設定し、非選択セルユニットns−MUに含まれるソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを20Vに設定する。これにより、第4実施形態においても、選択メモリブロックs−MBに第1実施形態と同様の領域R1〜R4が設定される。すなわち、第4実施形態は、選択メモリブロックs−MBにおいて第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0101】
次に、図24を参照して、第4実施形態において非選択メモリブロックns−MBに対して消去動作を禁止する制御について説明する。図24に示すように、制御回路2は、非選択メモリブロックns−MBにおいて、第1実施形態と略同様の制御を実行する。ただし、制御回路2は、ソース線SLの電圧VSLを20Vに設定する。これにより、第4実施形態においても、非選択メモリブロックns−MBに第1実施形態と同様の領域R3、R4が設定される。すなわち、第4実施形態は、非選択メモリブロックns−MBにおいて第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0102】
次に、図25を参照して、上記第4実施形態の消去動作を実行可能とする制御回路2の具体的構成について説明する。第4実施形態に係る制御回路2は、ソース線SL1、SL2に異なる電圧を与える第1実施形態と異なり、ソース線SLに単一の電圧を与える構成とすればよい。すなわち、第4実施形態に係る制御回路2においては、図25に示すように、ソース線駆動回路16の出力信号が、第1実施形態と異なる。
【0103】
ソース線駆動回路16は、信号VSL1、VSL2の代わりに、信号VSLを出力する。信号VSLは、共通ソース線SLAを介して、ソース線SLを駆動する際に用いられる。上記図25に示す回路によって、第4実施形態の消去動作は実行可能とされる。したがって、第4実施形態は、第1実施形態よりもソース線SLの数を削減しており、これにより第1実施形態よりも占有面積を削減することができる。
【0104】
[第5実施形態]
次に、図26を参照して、第5実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の消去動作について説明する。第5実施形態に係るメモリセルアレイ1の構成は、第4実施形態と同様である。一方、第5実施形態に係る非選択メモリブロックns−MBにおける制御は、第4実施形態と異なる。なお、第5実施形態において、第1〜第4実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
第5実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、図26に示すように、GIDL電流を発生させる。この点、第5実施形態は、第4実施形態と異なる。具体的に、図26の領域R1に示すように、制御回路2は、ソース線SLの電圧VSLを20Vに設定し、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSを12Vに設定する。すなわち、ソース線SLの電圧VSLは、ソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSGSよりも電圧αだけ高くなる(VSL−Vα=VSGS)。これにより、図26に示す領域R1においてGIDL電流が発生する。
【0106】
また、図26の領域R7に示すように、制御回路2は、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを8Vに設定し、ビット線BLの電圧VBLを8Vに設定する。すなわち、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDは、ビット線BLの電圧VBL以上となる。この場合、図26の領域R7において、電子からみたポテンシャルは、図27に示すようになる。これにより、セルユニットMUからビット線BLへのホールの移動は許容される。また、ビット線BLからセルユニットMUへの電子の移動が許容される。
【0107】
以上、図26の領域R1、R7における制御により、非選択メモリブロックns−MBにおいて、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、8Vまで上げられる。しかしながら、制御回路2は、ワード線WL1〜WL7をフローティングとしているため、非選択メモリブロックns−MB内のメモリトランジスタMTr1〜MTr7の電荷蓄積層には高電圧が印加されない。よって、非選択メモリブロックns−MBに対する消去動作は禁止される。
【0108】
なお、第5実施形態の消去動作は、図25に示した第4実施形態に係る制御回路2にて実行可能とされている。
【0109】
[第6実施形態]
次に、図28を参照して、第6実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の消去動作について説明する。第6実施形態に係るメモリセルアレイ1の構成は、第4実施形態と同様である。一方、第6実施形態に係る非選択メモリブロックns−MBにおける制御は、第4実施形態と異なる。なお、第6実施形態において、第1〜第5実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
ここで、上記第4実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを20Vに設定する(図24参照)。これに対して、第6実施形態の非選択メモリブロックns−MBにおいて、制御回路2は、図28に示すように、ドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを8Vに設定する。この点で、第6実施形態は第4実施形態と異なる。これにより、第4実施形態と同様に、図28の領域R3にて、セルユニットMUからソース線SLへの電子の移動は許容される。また、図28の領域R4にて、セルユニットMUからビット線BLへの電子の移動は許容される。
【0111】
以上、図28の領域R3、R4における制御により、非選択メモリブロックns−MBにおいて、メモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧は、0Vに設定される。よって、第6実施形態において、非選択メモリブロックns−MBに対する消去動作は禁止される。さらに、第6実施形態は、第4実施形態と比較して上記のようにゲートに印加する電圧を8Vに削減することから、第4実施形態よりも消費電力を抑えることができる。
【0112】
次に、図29を参照して、上記第6実施形態の消去動作を実行可能とする制御回路2の具体的構成について説明する。第6実施形態に係る制御回路2は、第4実施形態と異なり、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するドレイン側選択ゲート線SGDの各々に異なる電圧を印加可能に構成されている。したがって、第6実施形態に係る制御回路2においては、図29に示すように、選択ゲート線駆動回路15a、15bの出力信号が、第4実施形態と異なる。
【0113】
選択ゲート線駆動回路15aは、第4実施形態の信号VSGOFFの代わりに、信号VSGDOFF1、VSGSOFF2を出力する。選択ゲート線駆動回路15bは、信号VSGOFFの代わりに、信号VSGDOFF2、VSGSOFF1を出力する。
【0114】
信号VSGSOFF1、VSGSOFF2は、各々、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するソース側選択ゲート線SGSを駆動する際に用いられる。信号VSGSOFF1は、第2転送トランジスタTrd1の一端に供給される。信号VSGOFF2は、第2転送トランジスタTrb1の一端に供給される。
【0115】
信号VSGDOFF1、VSGDOFF2は、各々、非選択メモリブロックns−MBの1列目、2列目に位置するドレイン側選択ゲート線SGDを駆動する際に用いられる。信号VSGDOFF1は、第2転送トランジスタTrb2の一端に供給される。信号VSGDOFF2は、第2転送トランジスタTrd2の一端に供給される。上記図15に示す回路によって、第2実施形態の消去動作は実行可能とされている。
【0116】
[その他の実施形態]
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0117】
例えば、第4実施形態に係る図23の領域R4は、非選択セルユニットns−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを8Vに設定する例を示している。しかしながら、このような場合であっても、非選択セルユニットs−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧が上昇して、誤消去が発生するおそれがある。
【0118】
そこで、図30の領域R8のように、制御回路2は、非選択セルユニットns−MUに含まれるドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDを12Vに設定してもよい。この場合、図30に示す領域R8において、電子からみたポテンシャルは、図31に示すようになる。これにより、非選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧が所定電圧(例えば、8V)を越える場合、ビット線BLから非選択セルユニットns−MUへの電子の移動は許容される。したがって、図30に示す制御によれば、非選択セルユニットns−MUに含まれるメモリトランジスタMTr1〜MTr7のボディの電圧上昇は抑えられ、もって誤消去の発生を抑制することができる。
【0119】
また、第4及び第5実施形態における非選択メモリブロックns−MBにおいて、ビット線BLの電圧VBLは20Vに設定され、ソース線SLの電圧VSLは8Vに設定されてもよい。また、第6実施形態における非選択メモリブロックns−MBにおいて、ビット線BL及びドレイン側選択トランジスタSDTrのゲートの電圧VSGDは20Vに設定され、ソース線SL及びソース側選択トランジスタSSTrのゲートの電圧VSL、VSGSは8Vに設定されてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…メモリセルアレイ、 2…制御回路、 MB…メモリブロック、 MU…セルユニット、 MS…メモリストリング、 MTr1〜MTr7…メモリトランジスタ、 DTr…ダミートランジスタ、 SSTr…ソース側選択トランジスタ、 SDTr…ドレイン側選択トランジスタ、 BTr…バックゲートトランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルユニットを有する複数のメモリブロックと、
複数の前記メモリブロックに共通に設けられ且つ複数の前記セルユニットの一端に接続された第1配線と、
複数の前記セルユニットの他端に接続された第2配線と、
前記セルユニットに供給する信号を制御する制御回路とを備え、
複数の前記セルユニットは、各々、
電気的に書き換え可能な複数の第1メモリトランジスタを直列接続してなるメモリストリングと、
前記メモリストリングの一端に一端を接続された第2メモリトランジスタと、
前記第2メモリトランジスタの他端と前記第1配線との間に設けられた第1トランジスタと、
前記メモリストリングの他端と前記第2配線との間に設けられた第2トランジスタとを備え、
前記メモリストリングは、
基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記第1メモリトランジスタのボディとして機能する半導体層と、
前記柱状部の側面を取り囲むように形成されて、電荷を蓄積可能に構成された電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層を介して前記柱状部の側面を取り囲み且つ前記メモリブロック毎に分断され、前記第1メモリトランジスタのゲートとして機能する第1導電層とを備え、
前記第2メモリトランジスタは、
前記基板に対して垂直方向に延びる柱状部を含み、前記第2メモリトランジスタのボディとして機能する前記半導体層と、
ゲート絶縁膜を介して前記柱状部の側面を取り囲み且つ前記メモリブロック毎に分断され、前記第2メモリトランジスタのゲートとして機能する第2導電層とを備え、
前記制御回路は、選択メモリブロック内の選択セルユニットに対して前記第1メモリトランジスタに蓄積された電荷を放出する消去動作を実行する一方、前記選択メモリブロック内の非選択セルユニットに対して前記消去動作を禁止するように構成され、
前記制御回路は、消去動作時において、
前記選択セルユニットに含まれる前記第1メモリトランジスタのボディの電圧を第1電圧まで上げるため、前記選択セルユニットに接続された前記第2配線の電圧を、前記選択セルユニットに含まれる前記第2トランジスタのゲートの電圧よりも所定の電圧だけ高く設定して、これによりGIDL電流を発生させる動作と、前記選択セルユニットに含まれる前記第2メモリトランジスタのゲートの電圧を、前記選択セルユニットに接続された前記第2配線の電圧以上として、これにより、前記選択セルユニットから前記第1配線へのホールの移動を抑制する動作と、前記選択セルユニットに含まれる前記第1トランジスタのゲートの電圧を、前記選択セルユニットに接続された前記第1配線の電圧以下として、これにより、前記第1配線から前記選択セルユニットへの電子の移動を抑制する動作とを実行可能に構成されると共に、前記非選択セルユニットに含まれる前記第1メモリトランジスタのボディの電圧を前記第1電圧よりも低い第2電圧に設定するため、前記非選択セルユニットに含まれる前記第2トランジスタのゲートの電圧を、前記非選択セルユニットに接続された前記第2配線の電圧以上として、これにより、GIDL電流の発生を抑制し且つ前記非選択セルユニットから前記第2配線への電子の移動を許容する動作と、前記非選択セルユニットに含まれる前記第1トランジスタのゲートの電圧を、前記非選択セルユニットに接続された前記第1配線の電圧以上として、これにより、GIDL電流の発生を抑制し且つ前記非選択セルユニットから前記第1配線への電子の移動を許容する動作とを実行可能に構成され、
更に前記選択セルユニット及び前記非選択セルユニットに含まれる前記第1メモリトランジスタのゲートに前記第2電圧以下の第3電圧を印加する動作を実行可能に構成されている
ことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリブロック内に設けられた複数の前記第2配線は、各々、異なる電圧に制御可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御回路は、非選択メモリブロックにおいて、前記第1メモリトランジスタのゲートをフローティングとする動作を更に実行するように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記非選択メモリブロックにおいて、前記第1トランジスタのゲートの電圧を前記第1配線の電圧以上として、これにより、前記非選択メモリブロックに含まれる前記セルユニットから前記第1配線への電子の移動を許容する動作と、
前記非選択メモリブロックにおいて、前記第2トランジスタのゲートの電圧を前記第2配線の電圧以上として、これにより、前記非選択メモリブロックに含まれる前記セルユニットから前記第2配線への電子の移動を許容する動作とを更に実行するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記非選択メモリブロックにおいて、前記第1配線の電圧を前記第1トランジスタのゲートの電圧よりも所定の電圧だけ高く設定して、これにより、GIDL電流を発生させる動作と、
前記非選択メモリブロックにおいて、前記第2トランジスタの電圧を前記第2配線の電圧以上として、これにより、前記セルユニットから前記第2配線への電子の移動を許容し且つホールの移動を抑制する動作とを更に実行するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2メモリトランジスタは、前記ゲート絶縁膜として電荷蓄積膜を有し、
前記制御回路は、前記第2メモリトランジスタの前記電荷蓄積膜に蓄積された電荷を放出する消去動作を実行するように構成され、
前記制御回路は、前記第2メモリトランジスタに対する消去動作時において、
前記選択メモリブロックにおいて、前記第2メモリトランジスタのボディの電圧を前記第1電圧まで上げると共に、前記第2メモリトランジスタのゲートに前記第3電圧を印加する一方、前記第1メモリトランジスタのゲートをフローティングとする動作を実行するように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記選択メモリブロックにおいて、前記第2メモリトランジスタのボディの電圧を前記第1電圧まで上げるため、前記選択メモリブロックにおいて、前記第1配線の電圧を前記第1トランジスタのゲートの電圧よりも所定の電圧だけ高く設定して、これにより、GIDL電流を発生させると共に、
前記選択メモリブロックにおいて、前記第2配線の電圧を前記第2トランジスタのゲートの電圧よりも所定の電圧だけ高く設定して、これにより、GIDL電流を発生させる動作を実行可能に構成された
ことを特徴とする請求項6記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−69205(P2012−69205A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212861(P2010−212861)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】