説明

主基材に対する装飾製品のインモールドラミネーション

露出前面、背面、シェルの背面に形成され接着された発泡層、及び前面及び背面を有するアップリケを有している好ましくは可撓性を有するプラスチック材料のシェルを含んでいる装飾トリムパネルに関する。アップリケは、外側シェルの露出前面の一部の形状を引き立たせるように形成される。そして、アップリケは、スキンの背面と前面との間に接着層をさらに含んでいる。接着剤は、アップリケをシェルに接着する発泡層を形成している間に活性化される。対応する装飾トリムパネルの製造方法についても開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、主基材(primary substrate)に対する装飾用又は保護用の薄層製品におけるインモールド(in-mold)の適用、特に、自動車の分野で利用される薄層製品に関する。より具体的には、本願発明は、自動車用トリムパネルを形成するウレタン発泡プロセスにおける薄層製品のラミネーションに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送車両(特に自動車)は、他の競合モデルとの差別化に基づいて市場投入され、販売されている。差別化は、スタイルや色彩によるものである場合があり、車両の内装又は外装にトリムパネル又はアップリケを利用することにより達成される場合もある。前記トリムパネルや前記アップリケは、異なるレベルの豪華さ、価格、又は価値を表わす。また、前記アップリケ又は前記パネルは、隣接面から突起する領域のための保護用カバーを形成することができる。これらのパネルは、一般的に車両の隣接面と共にカラーコーディネートされているが、明るい、反射的な、木目調の、マーブル模様付けされた、又は金属の外観とすることができる。
【0003】
本来、本物の木のアップリケ及び金属仕上げのパネル(finished metal panel)が用いられていたが、高コスト及び乏しい耐久性が原因で人気を博するには至らなかった。その後、真空蒸着された金属層を備えるベニヤ材及びフィルムが好評を博したが、これらの解決策は、今日の市場において要求される豪華な見た目や向上された耐久性を生み出さない。
【0004】
自動車用内装トリムパネル及び外装トリムパネル又はアップリケとして使用するためのプラスチック複合材の製造のために、様々な提案が示され実践されている。一のアプローチは、金属基材又はプラスチック基材を形成し、前記基材の上に複数のコーティングを適用し、高い光沢を有する等級Aの表面(Class A-surface)を備えている製品を製造することができる。基材は、鋼板、又は広範囲に亘る公知のプラスチック材料(例えば、ABS、PP、ABS/PC配合材、PU、TPO、PET、PBT、又は、射出成形して製品の形状にするのに適合する他の同等な高強度プラスチック材料)のうちいずれか1つの材料から形成される。前記基材用コーティングが、公知のコーティング(例えば、下塗り、定着剤、ベースコート、光沢塗り、金属の場合には電着塗装)から選択され得る。前記コーティングの例は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。前記システムで利用される溶剤は、望ましくない環境問題及び排出問題の原因となる。
【0005】
他の方法は、塗膜を形成し、該塗膜の背面に高分子材料を射出して、露出したA等級表面上に理想的な色合わせを施された部品を製造するものである。公知の塗膜及び射出成形されたプラスチック部品の例が、特許文献3及び特許文献4に開示されている。前記システムは、塗膜の独立した製造及び管理を必要とする場合がある。さらには、塗膜とされる外面は、十分な耐摩耗性を示さない場合がある。
【0006】
着色されたプラスチック部品を提供するさらに他の方法は、コーティングされている部品上に耐へこみ特性(crater-resistant)を有する表面を生成している際に、排出物(emissions)を低減するエナメルコーティングを提供するものである。一のそのようなシステムが、特許文献5に開示されている。前記システムは、理想的な外観を有する基材上の仕上がりを形成するためには、従来のコーティングシステム及び焼成炉を必要とする場合がある。
【0007】
さらなる他の方法は、積層装置を提供し、この積層装置において、突起部により色層が形成され、次いで基材に接続されるものである。特許文献6においては、装飾モールドされている外装トリム部品の製造におけるそのような技術の利用が開示されている。
【0008】
独特のパターンを有している装飾トリム部品及びアップリケを製造するための種々の提案が為されている。例えば、特許文献7は、一連のベニヤ板を貼り合せてオーバーレイシートを形成し、仕上げを行い、オーバーレイシートを切断・乾燥させ形状を形成し、木目形状(wooden shape)の前面上に透明樹脂層を成形し、及び木目形状の背面上に合成樹脂の心材を成形することに関するものである。しかしながら、理想的な形状となるようにベニヤのオーバーレイを成形するためには、長時間を要し、コスト高となる。
【0009】
同様に、特許文献8は、予め形状を付されたブランク材及び縁部を有する切出し材(cutout)を備えているライニング部の製造であって、第1のプラスチック材料を射出成形して裏面を形成し、次いで第2のプラスチック材料を射出成形しライニング部の縁部をコーティングする前面表面被覆を形成する製造に関するものである。
【0010】
特許文献9は、ポリオレフィン層及びプライマ層を含み、ポリオレフィン樹脂をポリオレフィンフィルム層上に射出成形し、外層を形成するラミネートフィルムの製造に関するものである。
【0011】
他の装飾木目製製品の製造に関しては、特許文献10は、ラッカー層又は樹脂層を備えた自動車用の内装付属品(interior fitting)の表面被覆に関するものであり、ここでは、ベニヤ板部品がモールド内部に挿入されて、キャビティーから離隔されることにより、少なくとも2つの混合成分を有している液体の表面被覆材料がモールドとベニヤ部材との間の空間に導入されている。特許文献11及び特許文献12は、セラミックの微粒子からなる被覆材料を付加したものであって、それぞれ、紫外線で硬化可能とされる液体被覆材料の利用、並びに、植物油改質樹脂(vegetable-oil-modified resin)及び自然植物油に基づいた被覆材料の応用に関するものである。
【0012】
最後に、特許文献13は、木目調パターンを有している成形された木目部品の製造方法に関するものである。ここでは、木部繊維の基材が形成され、水を透過させない材料で被覆されており、ハイドログラフィックプロセス(hydrographic process)を利用して基材にパターンを転写している成形。保護用のトップコートを、パターン上に適用しても良い。ハイドログラフィックスプロセスの1つの例が特許文献14に開示されている。ここでは、パターンが印刷されている薄膜が液面上に浮いており、対象物表面を液体中に浸すことにより対象物表面上にパターンを転写している。
【0013】
フィルム又は箔の背面に溶融した高分子化合物を射出して基材を形成する従来技術は多数存在している。これら従来技術においては、基板が、所望の形状のトリムパネル内で、フィルム又は箔を保持している。またこれら従来技術においては、基板が、取付のための一体化されたボス、締結装置、及びそれに類する態様のものを提供している。特許文献15及び特許文献16には、溶融樹脂が用いられているプロセスによって製造されるアップリケが開示されている。
【0014】
特許文献17は内装トリム部品のための安全性の高い成形に関するものである。この特許文献17においては、材料のコスメティック層(cosmetic layer)がブロー成形されてシェルを形成する際に、パリソン(parison)の外装に一体的に成形され直接的に接合されている。
【0015】
アップリケを備えている自動車用トリムパネルを装飾する付加的な手段が、いずれも本願発明の譲受人に帰属し、参照することにより本明細書に組み込まれている特許文献18,19,20に開示されている。特許文献18は、人工革のアップリケを自動車用のプラスチック内装トリム部材と一体的に成形する方法に関するものであって、ここでは、周囲に深い溝部を備えたテクスチャー部を有している薄肉シェルが形成されている。発泡性緩衝ブロックは前記溝部内に圧入され、所定位置で発泡されて人工アップリケを形成している。特許文献19は、別々に成形され、エアバッグのカバー上に取り付けられる成形アップリケに関するものである。ここで当該アップリケは、仕上げカバー内部に延伸しており、エアバッグが展開した場合に前記カバーが引き離されない保持している外側ヘッド部、及び横方向に間隔を置いて形成されたフランジ部を含んでいる。特許文献20はエアバッグ拘束組立体を隠すためのカバー組立体に関するものであり、ここでは、アップリケが、前記スキンがエアバッグ展開の間に破れて緩まないように、外スキン上にしっかりと支持されている。
【0016】
様々な方法が、その意図する目的について適している一方で、そのすべての方法において、排出物の生成、又は、そして、トリム製品のための内装用又は外装用の装飾アップリケを提供するために、一層以上の材料の不要な取り扱いの必要性、及び、裏面層又は基材の製造についてプロセス的に考慮しなければならない。
【0017】
従って、上記問題を取り除く製品及び製造方法の技術分野においては、絶えずニーズがある。必要とされるものは、装飾薄膜製品を車両トリム部材の外面に取り付けるための効率的なプロセスである。
【特許文献1】米国特許第4,681,811号明細書
【特許文献2】米国特許第5,320,869号明細書
【特許文献3】米国特許第5,432,666号明細書
【特許文献4】米国特許第5,009,821号明細書
【特許文献5】米国特許第4,396,680号明細書
【特許文献6】米国特許第4,349,592号明細書
【特許文献7】米国特許第5,338,592号明細書
【特許文献8】米国特許第5,525,179号明細書
【特許文献9】米国特許第6,444,317号明細書
【特許文献10】米国特許第6,444,319号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2003/0044598号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2003/0162045号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2002/0007898号明細書
【特許文献14】米国特許第4,010,057号明細書
【特許文献15】米国特許第5,529,336号明細書
【特許文献16】米国特許第6,395,219号明細書
【特許文献17】米国特許第5,700,050号明細書
【特許文献18】米国特許第5,439,630号明細書
【特許文献19】米国特許第5,901,977号明細書
【特許文献20】米国特許第5,992,876号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本願発明は、自動車両のトリム製品に装飾層、保護層、又はアップリケを貼り合せるための効果的な製造方法に関する。薄層複合材(好ましくは、箔、フィルム、ファブリック、又はベニヤ板)は、内装トリム製品の表面の一部を装飾又は保護するために、設けられている、前記製品は、アームレスト、ドアパネル、ヘッドレスト、ヘッドライナー、計器盤、パッケージシェル、エアバッグドア、ガーニッシュトリム、及びそれに類するものを含んでいるが、制限される訳ではない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の実施例においては、露出前面及び背面を備えている可撓性を有するプラスチック材料のシェル、該シェルの背面に形成され接着されている発泡層、及び前面及び背面を有しているアップリケを含んでなる装飾トリムパネルが開示されている。アップリケは、外装シェルの露出前面の一部の形状を引き立たせるように形成されている。そして、アップリケは、背面上に接着層をさらに含んでおり、アップリケをシェルに接着する発泡層を形成している間に活性化される。
【0020】
方法の形態(method form)においては、本願発明は、アップリケを含むトリムパネルの形成方法を備えている。さらに、アップリケは、
(a)キャビティー部及びカバー部が前記トリムパネルを形成するように係合可能とされ、前記キャビティー部がキャビティー面を有しており、前記キャビティー部及び前記カバー部を含んでいる成形装置を提供するステップと、
(b)スキンが外面及び背面を有しており、選択された形状の前記スキンを提供するステップと、
(c)アップリケが接着コーティングと、代替的に接着剤で前記アップリケの裏面をコーティングするステップ及び前記接着剤を前記アップリケの裏面上で乾燥させるステップを含んでいることを特徴として、外面の及び背面を含み、前記スキンの外面の一部を引き立たせる形状を有しているアップリケを提供するステップと、
(d)
前記成形装置の前記キャビティー部内の接着剤を塗布された前記裏面を含み、前記アップリケの前記外面が前記キャビティー面と接触している前記アップリケを載置するステップと、
(e)前記スキンの外面前記キャビティー及び前記接着剤が塗布された前記アップリケの裏面と接触している状態で、前記成形装置の前記キャビティー部内に前記可塑性スキンを載置するステップと、
(f)前記モールドキャビティーと前記モールドカバーとを係合して、前記スキンの裏面の背後に開空間を形成するステップと、
(g)前記開空間内部に前記スキンの前記裏面の少なくとも一部分に抗してウレタン発泡先駆物質を提供するステップと、
(h)前記先駆物質が発泡して前記開空間を充填する場合に、前記ウレタン発泡先駆物質が反応し、熱及び圧力を発生するステップと、
(i)前記発生した熱が前記接着層を活性化させて、前記アップリケを前記スキンの外面に接着するステップと、
(j)前記トリムパネルを前記成形装置から取り除くステップと、
を備えている。
【0021】
薄層複合材は、理想的な保護特性又は装飾特性を備えている単層又は多層の構成物とされ得る。薄層複合材は、真空成形、圧力成形、又はそれに類する方法によって、トリム製品の外形(outer contour)に適合する形状に成形され得る。成形された形状又はアップリケは、接着剤を用いて裏面上でコーティングされ得る。前記接着剤は、熱促進型である熱硬化性プラスチックとすることが好ましく、より好ましくは、湿分硬化型ウレタン配合物である。他の実施例においては、コーティングがスキン表面に適用可能とされる。及び/又は、発泡プロセスにより所定の形状に成形される略平坦なアップリケが提供される。トリム製品の外形とされるキャビティーを含んでいるモールド下側の成形型、及びトリム製品の裏側形状とされるモールド上側の成形型(カバー部)を備えてなるモールド組立体が提供される。モールドセットの下半分であるキャビティー部内部の領域は、アップリケが載置される周辺部を規定するキャビティー面の縁部を含んでいることが好ましい。前記領域は、周辺縁部により規定されていることが望ましく、モールド面にアップリケを保持するための吸引源に接続された一連の開口部をさらに含んでいることが望ましい。接着剤の塗布されたアップリケが、装飾外面が規定利用域内のモールドキャビティーに接触している状態で載置されている。そして、吸引することにより、アップリケが所定の位置に保持される。次に、内装トリム製品の外面を形成するスキンは、モールドキャビティー内部にアップリケの接着剤の塗布された裏面に抗して装填されて面接触(surface to surface contact)する。次に、スキンは反応性高分子配合物(好ましくは、ウレタン発泡材)を利用して埋め戻しされて、モールドが閉じる。反応による発熱及び発泡膨張の最終的な圧力により、スキン外面が、アップリケの接着剤塗布面に対して密接に接触して、接着剤を活性化させる。
【0022】
成形品を取り外す場合には、アップリケにより仕上げ装飾された付加的な基材層又は補助的な固定手段を必要としないトリム製品が提供される。アップリケのトリム製品の外面への貼り合せが、トリム製品の成形における主プロセスステップのうちの1つのプロセスステップの一部として生じる。
【0023】
従って、本願発明の目的は、自動車用トリムパネルの外面を装飾するために、十分な製造プロセスを提供することにある。
【0024】
さらなる本願発明の目的は、上述のプロセスを利用し適用された装飾用アップリケ又は保護用アップリケを有するトリム製品を提供することにある。
【0025】
さらにさらなる本願発明の目的は、熱促進型接着剤を利用して、アップリケ(フィルム、箔、ファブリック、シート状の金属、シート状の複合材、可撓性を有する回路、及びベニヤ板)を、前記製品を形成する主プロセスステップの一部として、自動車用トリム製品の主面に取り付けることにある。
【0026】
本願発明のさらなる目的は、ウレタン発泡材の発熱及び膨張圧力の利用して、アップリケの裏面とトリム製品の主面との間に設けられた接着層を活性化させることを通じて、アップリケを内装トリム製品に保持するための十分な手段を提供することにある。
【0027】
他のさらなる本願発明の目的は、トリム製品で一体化され表面から突出していないように見えるアップリケで装飾された自動車用内装トリム製品を提供することにある。
【0028】
他のさらなる本願発明の利点は、以下の詳細な説明を参照することにより、当業者には明らかになるだろう。前記以下の詳細な説明は、本願発明の好ましい実施例に示され説明されている。本願発明を理解すれば、他の異なる実施例の実施が可能となり、本願発明の技術的範囲から逸脱することなく、幾つかの詳細部分を様々な観点から改造することが可能である。従って、本願明細書は本質的に図解されているものと考えられ、制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本願発明の様々な実施例に共通する要素については、実施例間の数字の参照符号は同一であるが、数字の参照符号にアルファベット文字を添えることにより区別される。言い換えれば、例えば、第1の実施例において、参照符号10が付された要素は、後続の実施例において、10A,10B等で対応して参照される。従って、実施例の説明においては、参照符号を利用し、要素について言及する。従って、前記要素が共通する他の実施例に対してアルファベット文字により区別されるので、前記参照符号は同等に用いられている。
【0030】
自動車用内装トリム製品は、一般的に、柔らかく曲げやすい外面を有している。該外面は、革、ファブリック、又はプラスチック表皮とされることが好ましい。該プラスチック表皮は、低密度で(一般的には発泡性を有する)緩衝材層により裏打ちされており、さらに任意で剛性の高い基材層により裏打ちすることも可能である。ここで、該基材層は、トリムパネルと同様に隣接する構成部品に取り付けられる。
【0031】
トリム製品(例えば、計器盤)は3つの一次プロセス(基材成形、スキン成形、及び発泡成形)により製造されることが望ましい。剛性の高い基材は、一般的に、熱可塑性樹脂による射出成形がなされている。金属、ウッドストック(woodstock)、及び他の剛性の高い材料もまた、使用可能とされる。柔軟なスキン材料は、一般的に熱可塑性の構成部品(例えば、ポリウレタン、ポリ(ビニル)塩化物(PVC)、熱可塑性オレフィン、熱可塑性エラストマー、アクリル−スチレン−アクリロニトリル、及び同種のもの)とされて、液体又は粉体として型(shape)に投入され固形化される。代替的には、記録されたシート状の材料(calendared sheet material)(例えば、PVC/ABS混合樹脂、熱可塑性のオレフィン、及び熱可塑性エラストマー)が加熱されて、トリム製品の外形スキンを提供する真空状態及び圧力状態で成形され得る。また、ファブリック素材(例えば、布又は革でさえも)は、トリムパネル用外形スキンとして利用され得る。その場合、成形された基材及び注型又は形成されたスキンが、発泡プロセス内で共に接着される。
【0032】
成形された基材及び柔軟なスキンは、一般的には、2つの材料を成形した組立体を利用して、金型内で発泡されている。一の材料は、柔軟な外形スキンを含んでおり、他の材料は、基材層を任意で含んでいる。2つの成形型(mold halves)が係合され、スキンと、液体ウレタン発泡先駆物質をその内部に有する基材との間に開口された空間を生み出す場合には、前記2つの成形型は協働する。成形型を係合している場合には、液状先駆物質が発熱反応して、膨張し開空間を充填する。このようにして作られたウレタン発泡材の緩衝材層は、一般的には、密度約5〜約20ポンド/立方フィートである。発泡性先駆物質は、射出口、及び本願発明の属する技術分野において“閉モールド射出注入(closed mold injection pour)”として知られるランナーシステムを通じて近傍のモールドに送り出され得る。代替的には、2つの成形型が独立し、発泡性先駆物質が、柔軟なスキンの大部分の裏面上に発泡体を分配するために、ロボット又は人間により連結された(articulated)ミクシングヘッドを通じて注入されることを特徴として、開モールド内部に設けられ得る。従って、成形型は素速く係合されて、スキンと基材との間で膨張する先駆物質を密閉する。軽量で非構造的且つ平坦なトリム製品(例えば、ドアパネルやヘッドライナー)の場合においては、基材層は必要とされない場合がある。この場合においては、1つ以上のより剛性の高いウレタン発泡材がガラスマット層(さもなければ、類似物)と共に設けられる場合があり、成形品の運搬に必要な硬さを備えるために、発泡膨張の間、充満している。
【0033】
図1は、風防ガラス24の下に主計器盤20を備える自動車の運転席の概略図である。一般的には、エアバック展開システム26が計器盤の下に内蔵されており、前記システムの存在は計器盤の上面を見てもわからない。計器盤20の表面を装飾しているものは、外スキン22及び3つの調和されたアップリケ10,12,14である。アップリケは、パネルからパネルへと滑らかに流れる木目調パターン16を含んでなる。この木目調の外観は、完全に計器盤を横切ってドアパネルに沿って車両の各側面を下方に流れる場合がある。軽く磨かれた高価な木材の外観を有するアップリケを提供することにより、車両内部の外観が高められ差別化される。
【0034】
第2の装飾アップリケが図2に示されており、ドアパネル30は掴みハンドル34及びアームレスト36を含み、さらには装飾アップリケ32(この場合には、磨き仕上げされた金属の外観を有している)を含んでいる。
【0035】
第3の主成形プロセス及び発泡プロセスの一部としての前記装飾アップリケを積層するための装置及び方法が以下に説明されている。
【0036】
図4は、本願発明を実施する場合に利用される成形装置40の代表的な断面図である。成形装置40は、二等分された結合部材、キャビティー部42、及びカバー部44を備えているウレタン発泡成形装置である。カバー部44は、キャビティー部42から離隔された関係で、剛性の高いプラスチックの(好ましくは射出成形された)基材46を保持している。キャビティー部42は、剛性の高い基材46に対して離間された関係で、柔軟な外スキン22Aを保持している。柔軟なスキン層22Aと接触した状態で、装飾された前面50及び熱促進型接着剤(heat-activatable adhesive)を塗布された裏面52を備えているアップリケ10Aを形作るように成形されたアップリケ10Aが、柔軟なスキン22Aの下に載置されている。当該実施例においては、成形装置は、モールドカバー44を通じて射出口48を含んでいる。前記カバーにより、発泡性先駆物質が、離隔された基材46とスキン22Aとの間の空間に向かって射出される。この場合、前記スキンは、反応して発泡性緩衝材層54を形成する。また、図4は、モールドキャビティー部42内でアップリケ10Aを位置合わせするために利用され得る突起部60と、真空部を備え、発泡プロセスの間、所定の位置で前記アップリケを保持するための吸引導管62と、を示す。
【0037】
アップリケの好ましい積層方法が、図3においてブロックダイアグラムの形式で表わされている。装飾用の又は保護用のシート状の材料が、トリム製品の表面上で利用するために設けられている。前記材料は、車両用として設けられていることが望ましい(ブロック200)。シート状の材料は、フィルム、箔、ファブリック、ベニヤ板、金属、又はこれらの複合材、フレックスサーキット及び類するもののいずれかを備え得る。シート状の材料は、単層とされるか、又は多層で構成され、相応の装飾用の又は保護用の結果物を生み出すことができる。シート状の材料は、形成可能な木目調積層材、金属箔、塗膜、及びファブリックを含み得るが、これに限定される訳ではない。このタイプの形成可能な積層材の一例として、Avery Dennison(商標)社のThermark(登録商標)に係る成形可能な装飾仕上材料(Decorative Formable Finishes)が挙げられる。他の成形可能なフィルムとしては、Avery Dennison(商標)社のSoft Laminate(登録商標)を用いた成形可能な装飾フィルム(Formable Decorative Film)が挙げられる。さらには、Avery Dennison(商標)社のAvloy(登録商標)Dry Paint(登録商標)フィルムが挙げられる。次に、シート状の材料は、モールドキャビティー部(図4における符号42)の表面と嵌合し、トリム製品の外面としての形状に注型又は成形された柔軟なスキン材料の外面を引き立たせる形状(ブロック202)に成形される。次に、成形されたアップリケは、熱促進型接着剤(好ましくは、EFTEC HL9588VFのような湿分硬化ウレタン配合物)を塗布されている。そして、前記接着剤は乾燥される(ブロック204)。他のタイプの硬化型接着剤も利用可能である。前記接着剤には、エポシキ、ポリエステル、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、シリコン、及びシアノアクリルが含まれるが、これに限定される訳ではない。さらには、B−ステージを有するか、又は部分的に硬化された高分子化合物を利用することが可能である。
【0038】
好ましくは、2つの係合可能な成形型(キャビティー部及びカバー部)を備えている成形装置が設けられている(ブロック206)。モールドセットのキャビティー部が、所定の領域を含んでいる。該所定の領域は、隆起部や窪み部のような表面の特徴により描かれることが望ましい。そして、前記所定の領域により、形成されたアップリケが適切に位置決めされる(ブロック208、図2における符号60を参照)。アップリケが、モールド面に対向するアップリケの装飾面又は外面を利用して載置される。そして、接着剤は、対面する裏面に塗布される。吸引源は、アップリケを所定位置で保持するために、導管に接続され所定領域内の開口部として終端する。
【0039】
次に、トリム製品の外スキンが製造されて(ブロック210)、接着剤が塗布されたアップリケの裏面に対向して、モールドキャビティー部内で位置決めされる(ブロック212)。このことにより、接着剤の塗布されたアップリケは、外スキンに対して面と面とが向き合って接触することが可能となる。次に、剛性の高いプラスチック基材が、モールドセットのカバー部上に位置決めされて、成形型が、スキンと基材とを離隔された関係で位置決めするように係合又は接近させる。ブロック214で、液状先駆物質の形態とされるウレタン発泡配合物は、外スキンの裏面に適用される。このことは、液状先駆物質をスキンの外面の大部分に注ぐことにより、射出することにより、又は、噴霧することにより達成される。次に、ウレタン発泡先駆物質は、閉モールド内で反応する(ブロック216)。そして、ウレタン発泡先駆物質は膨張して、モールドセット内の任意の開空間を充填して、スキンと基材とを共に接着しトリム製品を成形する。この発熱反応が十分な熱を発生させ、湿分硬化型接着剤を活性化させることにより、前記層が硬化して、アップリケをスキンの外面に粘着して結合させる。さらには、液状先駆物質の発熱反応により、ウレタン先駆物質が膨張を開始して、アップリケの接着剤が塗布された裏面に抗してスキンをしっかりと圧縮することにより、液体から発泡体へと変化させる。前記反応により発生した温度は、接着面で約華氏95〜115度とされることが望ましいが、より高い温度でも利用され得る。膨張する発泡体により発生する圧力は、約10〜約40psiとされることが望ましいが、約30〜約35psiとされることがより望ましい。ウレタン発泡材が取り扱うために十分に硬化した後に(望ましくは、約3〜6分後)、トリムパネルはモールドから取り除かれて、バリ取りをされる(trim)(ブロック218)。好ましい実施例について以下に記載する一方で、類似する装飾トリム製品を提供する他の方法も実施可能である。例えば、湿分硬化型ウレタン接着剤が、アップリケの裏面というよりも外スキンの所定領域に適用され得る。独立した熱源が、所定領域に隣接してモールドキャビティー内に据え付けられ、アップリケを部分的に加熱して、接着層の硬化を開始させる必要がある場合に使用され得る。スキンは、接着剤をモールドキャビティーに供給して活性化させる前に加熱され得る。本願発明の技術分野においては、より高温で活性化される接着材料を提供することがさらによく知られており、これには、成形環境における高い外気温での実施例を含まれる。他の発泡材料(例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、及びエポキシ)は、スキン層の背面に設けられる。そして、前記発泡材料は熱膨張し、接着剤が硬化するために必要とされる温度及び圧力を提供する。さらなる他の実施例においては、同一の成形装置が、多数の車両モデルにトリムパネルを提供する必要があるモールドの数を節約するために、所定位置で成形されるアップリケの有無に関わらず、スキン材料が膨張して一般的にはアップリケに占有される空間を充填することにより、トリムパネルを製造するために利用されるように構成され得る。
【0040】
本願発明が好ましい実施例に関連して説明されている一方で、前記実施例の様々な改良が本願明細書を精査した当業者にとって自明であることを理解すべきである。従って、本願明細書に開示された本願発明が特許請求の範囲内に属する改良をカバーする意図があることを理解すべきである。
【0041】
本願発明の特徴、操作、及び利点は、添付した図面と連係して、好ましい実施例の詳細な説明からより良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明により提供されるアップリケを含んでいる車両用計器盤の斜視図である。
【図2】本願発明により適用されるアップリケを含んでいる車両用ドアパネルの斜視図である。
【図3】好ましい貼り合せプロセスのステップを引用したブロックダイアグラムである。
【図4】本願発明を実施する際に利用される装置の代表的な断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 アップリケ
40 成形装置
42 キャビティー部
44 カバー部
46 基材
48 射出口
54 緩衝材層
60 突起部
62 吸引導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出前面及び露出背面を有しているスキンと、
シェルの背面に形成され、接着された発泡層と、
前面及び背面を有し、前記背面上に接着層をさらに含むアップリケであって、該アップリケを前記スキンに接着するための前記発泡層が形成される際に、前記接着層が活性化されるアップリケと、
を備えている装飾トリムパネル。
【請求項2】
前記アップリケが、前記外側シェルの前記露出前面の一部の形状を引き立たせるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項3】
前記発泡層に取り付けられた基材層をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項4】
前記アップリケが、箔、ラミネート、ファブリック、ベニヤ材、フレックスサーキット、フィルム、金属、及びそれらの複合材のうちの1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項5】
前記接着剤が、ポリウレタン、エポキシ、シリコン、アクリル配合物、及びホルムアルデヒド配合物のうちのいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項6】
前記接着剤が、湿分硬化性ウレタン配合物であることを特徴とする請求項5に記載のトリムパネル。
【請求項7】
前記スキンが、革、ファブリック、及びプラスチックのうちいずれか1つ又はそれらの組み合わせたものを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項8】
前記接着剤が、前記発泡材の発熱により活性化されることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項9】
前記接着剤が、前記発泡材の発熱以外に供給される熱により活性化されることを特徴とする請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項10】
アップリケを含むトリムパネルの成形方法であって、
(a)キャビティー部及びカバー部を含んでいる成形装置であって、前記キャビティー部及び前記カバー部が前記トリムパネルを形成するように係合可能とされ、前記キャビティー部がキャビティー面を有している成形装置を提供するステップと、
(b)スキンが外面及び背面を有しているスキンを提供するステップと、
(c)外面及び接着剤を塗布された背面を有しているアップリケを提供するステップと、
(d)前記成形装置の前記キャビティー部内に接着剤を塗布された前記裏面を含み、前記外面が前記キャビティー面と接触している前記アップリケを載置するステップと、
(e)前記スキンの外面が前記キャビティー面及び接着剤が塗布された前記アップリケの裏面と接触した状態で、前記成形装置の前記キャビティー部内に前記スキンを載置するステップと、
(f)前記モールドキャビティーと前記モールドカバーとを係合し、前記スキンの裏面の背後に開空間を形成するステップと、
(g)前記開空間内及び前記スキンの前記裏面の少なくとも一部分に対して発泡先駆物質を提供するステップと、
(h)前記先駆物質が前記開空間を泡で充填する際に、前記ウレタン発泡先駆物質が反応して、熱及び圧力を発生させるステップと、
(i)前記発生した熱が前記接着層を活性化させ、前記アップリケを前記スキンの外面に接着させるステップと、
(j)前記トリムパネルを前記成形装置から取り除くステップと、
を備えている方法。
【請求項11】
ステップ(f)の前に、前記成形装置のカバー部上の剛性の高い基材を載置するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(f)で形成される開空間内にガラスマットを載置するステップをさらに含んでいる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記アップリケが、箔、ラミネート、ファブリック、ベニヤ材、フレックスサーキット、フィルム、金属、及びそれらの複合材のうち1つを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記接着剤が、ポリウレタン、エポキシ、シリコン、アクリル配合物、及びホルムアルデヒド配合物のうちいずれか1つを含んでいることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記接着剤が、湿分硬化型ウレタン配合物とされることを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−522958(P2007−522958A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547624(P2006−547624)
【出願日】平成17年1月3日(2005.1.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/000253
【国際公開番号】WO2005/065935
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505343756)コリンズ・アンド・アイクマン・プロダクツ・コーポレーション (9)
【Fターム(参考)】