説明

低いk誘電性フィルムの製造方法

本発明は半導体または電気回路での低いk誘電性フィルムの製造方法に関し、前記方法は、一般式[(RSiO1.5(RSiO)](式中、a、bは0〜1であり、c、dは1であり、m+nは3以上であり、a+bは1であり、n、mは1以上であり、Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、Xはオキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル、シリルオキシ、ハロゲン、エポキシ。エステル、フルオロアルキル、イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ニトリル、アミノまたはホスフィン基であり、またはタイプXの少なくとも1つの前記基を有するタイプRの置換基であり、Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプXおよびYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをフィルムの製造のために使用することを特徴とし、更にこの方法により製造される低いk誘電性フィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体または電気回路での低いk誘電性フィルムの製造方法および前記方法により製造された低いk誘電性フィルムに関する。
【0002】
半導体技術の進歩は高まる小型化とともに低いk誘電性フィルムと呼ばれる3.0より低いk値を有する誘電性フィルムの高まる要求を生じている。k値は材料の電気的誘電率の尺度である。誘電性フィルムは金属導体を絶縁するために使用され、RC時間の遅れ、従って信号伝達速度の増加に寄与する。RC時間の遅れは導体トラックでの信号伝達の大きさの尺度であり、例えば隣接する導体との相互作用の結果として、導体トラックの環境により遅くなり、これがクロストーク(crosstalk)と呼ばれる。絶縁層が少ないほど、好ましくないクロストークが大きい。導体材料として銅に切り換えることにより抵抗Rを低下する他に、低いk値を有する絶縁層の使用により容量Cを低下することがプロセッサーの性能を高める他の1つの手段である。低いk誘電性フィルムの使用により、RC時間の遅れ、従って隣接する導体トラックの間のクロストークを減少することが可能である。
【0003】
低いk誘電性フィルムは、低いk値のほかに、チップを製造する成分として有用であるために他の特性を有しなければならない。例えば低いk誘電性フィルムは高い温度で低い熱膨張のみを示さなければならない。前記フィルムは付加的に金属、金属酸化物および/または金属窒化物への有効な付着を示すべきである。更に前記フィルムは高い機械的安定性を特徴とし、平坦化(CMP)およびエッチングの作業に適しているべきである。
【0004】
現在まで二酸化珪素(SiO)が誘電性フィルムの製造に選択される材料である。SiOフィルムは酸化環境でCVD(化学蒸着)法によりシランまたはシロキサン前駆物質を堆積することにより製造する。この手段により得られる低いk誘電性フィルムは4.0より高いかなり高いk値を有する。
【0005】
2.6〜3.5のk値を有する低いk誘電性フィルムに関して半導体工業は多くの材料、有機、無機および複合材料を製造した。これらの低いk誘電性フィルムはCVD法によりまたはSOD(スピン・オン・デポジション)法により堆積できる。フルオロ珪酸ガラスまたは炭素ドープSiOのような低いk誘電性フィルムに関する新しい材料がCVD法により堆積できる。ポリイミド、ポリアリールエーテル、またはポリシルセスキオキサン(HSQ)から製造した低いk誘電性フィルムはSOD法により製造できる。
【0006】
米国特許2002/0192980号はCVD法により低いk誘電性フィルムを製造するための完全に縮合したオリゴマーのシルセスキオキサンの使用を記載する。官能化された多面体オリゴマーシルセスキオキサンを架橋剤と反応させ、2.6以下のk値を有するフィルム構造を生じる。使用される架橋剤は有利にシランまたはシロキサンである。架橋はシリル基またはペルオキシ基により開始されるラジカル重合により行われる。
【0007】
Lercher等、(Adv.Mater.14(2002)1369−73)はオリゴマーシルセスキオキサンまたはスフェロシリケートと適当な架橋剤の反応による低いk誘電性フィルムの製造を記載する。1つの場合は、ヒドロシリル化を使用してSi−H−置換された完全に縮合した立方体のシルセスキオキサンまたはスフェロシリケートを1,5−ヘキサジエンと反応させる。他の場合は加水分解縮合を使用してSi(OEt)置換された完全に縮合した立方体シルセスキオキサンまたはスフェロシリケートを水と反応させ、三次元ネットワークを形成する。SOD法により被覆される層は2.1〜2.7のk値を有する。欧州特許第1036808号により同様のアプローチが追及され、ここでSi−H−置換された立方体シルセスキオキサンをジビニル末端同時反応物質でヒドロシリル化することにより所望の低いk誘電性フィルムが得られる。
【0008】
特開平13−189109号はポリベンゾオキサゾールまたはその前駆物質および官能化された立方体オリゴマーシルセスキオキサンから2.5のk値を有する低いk誘電性フィルムの製造を記載する。
【0009】
米国特許第639490号は低いk誘電性フィルムを製造するためのフッ素化されたアルキル基を有する完全に縮合したオリゴマーシルセスキオキサンの使用を記載する。
【0010】
CVD法によるフルオロシルセスキオキサンフィルムの堆積はWO01/29141号により記載される。これらのフィルムは前駆物質混合物として水素および/またはフッ素置換基を有するシルセスキオキサンを使用して製造される。
【0011】
低いk誘電性フィルムを製造するためのHSi12のタイプのオリゴマーシルセスキオキサンの使用は欧州特許第0962965号に記載される。
【0012】
本発明の課題は技術水準の方法より好ましい価格のまたは容易に得られるシルセスキオキサン原料を使用することができる低いk誘電性フィルムの製造方法を提供することであった。特にほぼ同じ特性の低いk誘電性フィルムを低い原料費用で製造できる方法を提供することであった。
【0013】
意想外にも、容易に入手できる、より好ましい価格の、不完全に縮合された多面体のオリゴマーシルセスキオキサンの使用により、880kHzの周波数で測定した2.5以下のk値を有する低いk誘電性フィルムを製造できることが見出された。課題の解決は更に意想外なことであり、それというのも不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンとアルコキシシランの反応において三次元構造が形成され、この構造が引き続く焼成で理想的な絶縁成分を形成するからである。
【0014】
従って本発明は半導体または電気回路での低いk誘電性フィルムの製造方法を提供し、前記方法は、一般式
[(RSiO1.5(RSiO)
(式中、
a、bは0〜1であり、c、dは1であり、m+nは3以上であり、a+bは1であり、n、mは1以上であり、
Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、
Xはオキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル、シリルオキシ、ハロゲン、エポキシ。エステル、フルオロアルキル、イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ニトリル、アミノまたはホスフィン基であり、またはタイプXの少なくとも1つの前記基を有するタイプRの置換基であり、
Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、
タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプXおよびYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをフィルムの製造のために使用することからなる。
【0015】
本発明は更に本発明の方法により製造された低いk誘電性フィルムを提供する。
【0016】
本発明は、不完全に縮合された多面体のオリゴマーシルセスキオキサン、好ましい価格の、容易に入手できる反応物質を使用して、これにより製造方法の経済性が明らかに高まるという、技術水準の方法より優れた利点を有する。技術水準による低いk誘電性フィルムを製造する前記方法は費用のかかる多面体のオリゴマーシルセスキオキサンの使用により特徴付けられ、この物質は大部分の場合にわずかしか入手できず、複雑なやり方で多くの工程の合成により製造しなければならない。不完全に縮合した構造式1のシルセスキオキサンは反対に一工程の合成でトリアルコキシシランRSi(OR′)の加水分解縮合によりきわめて良好な収率で製造することができる。構造式1の化合物の簡単なモノシリル化により構造式2の不完全に縮合した多面体のオリゴマー、シルセスキオキサンを生じる。従って構造式1および2の不完全に縮合した多面体のオリゴマー、シスセスキオキサンはオリゴマーのシルセスキオキサンの物質種類の容易に入手できる、好ましい価格の代表である。これらの不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを加水分解縮合可能な他の同時反応物質(例えばアルコキシシラン)と反応させることにより、多孔質の低いk誘電性フィルムとして直接または焼成の後に適当な新しい種類の三次元ネットワーク構造を得ることができる。
【0017】
【化1】

【0018】
本発明の方法の他の利点は不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンおよび加水分解縮合できる同時反応物質の選択により、多孔性、従って低いk誘電性フィルムのk値を調節することが可能である。熱機械的強度、硬度、弾性率、熱安定性および表面粗さが同様に使用される前駆物質に依存する。
【0019】
半導体または電気回路での低いk誘電性フィルムを製造する本発明の方法は、一般式
[(RSiO1.5(RSiO)
(式中、
a、bは0〜1であり、c、dは1であり、m+nは3以上であり、a+bは1であり、n、mは1以上であり、
Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、
Xはオキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル、シリルオキシ、ハロゲン、エポキシ。エステル、フルオロアルキル、イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ニトリル、アミノまたはホスフィン基であり、またはタイプXの少なくとも1つの前記基を有するタイプRの置換基であり、
Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、
タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプXおよびYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをフィルムの製造のために使用することにより特徴付けられる。
【0020】
本発明の方法において、タイプYの置換基として3個以下のヒドロキシル基を有する不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用することが有利である。本発明の方法において、特に一般式
[(RSiO1.5(RSiO)
(式中、
a、c、dは1であり、m+nは3以上であり、n、mは1以上であり、
Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、
Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、
タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用する。
【0021】
しかし有利には、構造式1または2の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用する。
【0022】
【化2】

【0023】
特に有利に本発明の方法に使用される不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンはタイプRの置換基として水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基またはアルケニル基を含有する。きわめて有利には使用される不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンはタイプRの置換基としてアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、n−オクチル基またはイソオクチル基または2,2,4−トリメチルペンチル基を含有する。本発明の方法の1つの特別な構成において、使用される不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンはタイプRの置換基としてフェニル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を含有する。タイプRの置換基は、不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンがタイプRの異なる置換基を有することができるにもかかわらず、すべて同じであってもよい。
【0024】
本発明の方法により、不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンはそれ自体物質としてまたは溶液で使用することができる。適当な溶剤は有利に水のほかに有機溶剤、有利にアルコール、ケトン、エーテル、アルカン、シクロアルカン、アレーン、ニトリル、アミン、硫化物、エステル、カルボン酸、アミドまたは不飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素が含まれる。特に適した溶剤はアルコールであり、1−メトキシ−2−プロパノールがきわめて適している。
【0025】
本発明の方法の1つの特別な構成において、不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを加水分解縮合できる同時反応物質、有利にアルコキシラン、より有利にテトラアルコキシシラン、きわめて有利にテトラエトキシシランと一緒に反応させる。この反応において、不完全に縮合した多面体のオリゴマーのシルセスキオキサンと加水分解縮合できる同時反応物質とのモル比は有利に1:100〜100:1、より有利に1:10〜10:1、きわめて有利に1:2である。
【0026】
本発明の方法の1つのきわめて有利な構成において、加水分解縮合できる同時反応物質を不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンとの反応の前に予め加水分解するかまたは部分的に加水分解する。加水分解縮合できる同時反応物質のこの予めのまたは部分的加水分解は酸性溶液中でまたは中性溶液中で行うことができ、有利に酸性溶液中で行う。この目的のために加水分解縮合できる同時反応物質を有利に水と反応させる。1つの特別な構成において、この予めまたは部分的加水分解のために、加水分解縮合できる同時反応物質の完全な加水分解に計算により必要な水の50%のモル量を添加する。
【0027】
本発明の方法の他の構成において、皮膜形成剤、有利に飽和炭化水素、より有利に10、11、12、13、14、15、16、17、18,19または20個の炭素原子を有する飽和炭化水素、きわめて有利にヘキサデカンを不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンに添加する。本発明の方法の1つの特別な構成において、気泡形成剤を使用することができる。
【0028】
半導体または回路であってもよい支持体上の出発物質の堆積は有利に湿式化学被覆法により、より有利にスピンコーティングにより、きわめて有利に室温で行う。1つの特別な構成において、堆積を浸漬被覆により行うことができる。これに続いて特に400〜500℃で有利に焼成する。
【0029】
本発明は更に本発明の方法により製造される低いk誘電性フィルムを提供する。本発明の低いk誘電性フィルムは880kHzの周波数で測定して有利に2.5以下、より有利に2.3以下、きわめて有利に2.1以下のk値、誘電率を有する。k値はA.R.Blythe、Electrical Properties of Polymers、Cambridge University Press ISBN0521298253の方法に類似の方法により決定する。
【0030】
以下の例は本発明の方法を説明することを目的とし、本発明がこの実施例に限定されることを意図するものでない。
【0031】
1.加水分解縮合できる同時反応物質の予備加水分解
テトラエトキシシランの予備加水分解のために、テトラエトキシシランと水を1:2のモル比で(テトラエトキシシラン50gおよび水8.65g)、pH2で反応させ、前記pHは塩酸の添加により調節する。この反応のために、反応混合物を室温で、透明な溶液が形成されるまで約1日間攪拌する。
【0032】
2.出発物質混合物の製造
不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサン20質量%を1−メトキシ−2−プロパノールに溶解する。引き続きヘキサデカン10質量%をこの溶液に添加する。他の工程で工程1からの予備加水分解生成物を室温で不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンの溶液に添加し、テトラエトキシシランと不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンのモル比は2:1である。
【0033】
表1:出発物質混合物の製造に関する実験パラメーター
【0034】
【表1】

1.)Sigma−Aldrichから入手した
2.)トリメチルシリルクロリドおよび構造式1の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用するシリル化により製造した。
【0035】
3.出発物質混合物の堆積
工程2からの出発物質混合物それぞれ0.5mlをスピンコーティングにより表面積6.45cmを有する支持体に1200rpmの速度で2分経過して回転させて堆積する。引き続き被覆した支持体を最初に室温で乾燥し、その後450℃で空気雰囲気で1時間経過して焼成する。
【0036】
【表2】

【0037】
4.本発明の低いk誘電性フィルムの特性化
例3.1および3.2により製造した低いk誘電性フィルムは良好な透明性および湿りを示す。例3.3により製造した低いk誘電性フィルムは厚さ550nmを有する。被膜を焼成した後に、層厚さ100〜500nmを有する金電極を物理的蒸着によりその上に堆積する。引き続き精密LCRメーターHP4284Aを使用して室温での周波数の関数としてアドミッタンスを測定する。880kHzの周波数でk値は2.3である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体または電気回路での低いk誘電性フィルムの製造方法において、前記方法は、一般式
[(RSiO1.5(RSiO)
(式中、
a、bは0〜1であり、c、dは1であり、m+nは3以上であり、a+bは1であり、n、mは1以上であり、
Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、
Xはオキシ、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキシル、シリル、シリルオキシ、ハロゲン、エポキシ。エステル、フルオロアルキル、イソシアネート、アクリレート、メタクリレート、ニトリル、アミノまたはホスフィン基であり、またはタイプXの少なくとも1つの前記基を有するタイプRの置換基であり、
Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、
タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプXおよびYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをフィルムの製造のために使用することを特徴とする、低いk誘電性フィルムの製造方法。
【請求項2】
一般式
[(RSiO1.5(RSiO)
(式中、
a、c、dは1であり、m+nは3以上であり、n、mは1以上であり、
Rは水素原子またはアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリールまたはヘテロアリール基であり、それぞれ置換されているかまたは置換されてなく、
Yはヒドロキシル、アルコキシまたはタイプO−SiZの置換基であり、Z、ZおよびZはフルオロアルキル、アルコキシ、シリルオキシ、エポキシ、エステル、アクリレート、メタクリレートまたはニトリル基であり、またはタイプRの置換基であり、同じかまたは異なり、
タイプRの置換基が同じかまたは異なるだけでなく、タイプYの置換基もそれぞれ同じかまたは異なり、タイプYの置換基として少なくとも1個のヒドロキシル基を有する)の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
タイプYの置換基として3個以下のヒドロキシル基を有する不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用する請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
構造式1または2
【化1】

の不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンを使用する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをアルコキシシランと反応させる請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンをテトラアルコキシシランと反応させる請求項5記載の方法。
【請求項7】
不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンと加水分解縮合できる同時反応物質のモル比が1:10〜10:1である請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
不完全に縮合した多面体のオリゴマーシルセスキオキサンと加水分解縮合できる同時反応物質のモル比が2:1である請求項7記載の方法。
【請求項9】
湿式化学被覆法により低いk誘電性フィルムを製造する請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
スピンコーティングおよび引き続く焼成により低いk誘電性フィルムを製造する請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により製造される低いk誘電性フィルム。
【請求項12】
880kHzの周波数で測定した2.3以下のk値を有する請求項11記載の低いk誘電性フィルム。

【公表番号】特表2009−514189(P2009−514189A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518193(P2006−518193)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050989
【国際公開番号】WO2005/004220
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】