説明

光及び熱エネルギー架橋性有機薄膜トランジスタ絶縁層材料

【課題】閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを製造しうる有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供すること。
【解決手段】(A)分子内にビニルオキシ基を含有する低分子化合物及び/又は分子内にビニルオキシ基及び活性水素と反応しうる第2の官能基を電磁波の照射もしくは熱の作用により生成しうる第1の官能基を含有する高分子化合物と、(B)分子内にN−マレオイルアミノ基を含含有する低分子化合物及び/又は分子内にN−マレオイルアミノ基及び活性水素と反応しうる第2の官能基を電磁波の照射もしくは熱の作用により生成しうる第1の官能基を含有する高分子化合物とを、含有し、前記2種類の高分子化合物のうちの少なくとも一方の高分子化合物を含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機薄膜トランジスタが有する絶縁層を形成するのに適した材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機薄膜トランジスタは、無機半導体よりフレキシブルであり、低温プロセスで製造できるため、基板としてプラスチック基板やフィルムを用いることができ、軽量で壊れにくい素子となる。また、有機材料を含む溶液の塗布や印刷法を用いた成膜により素子作製が可能な場合があり、大面積の基板に多数の素子を低コストで製造することが可能である。
さらに、トランジスタの検討に用いることができる材料の種類が豊富であるため、分子構造の異なる材料を検討に用いれば、幅広い範囲の特性のバリエーションを有する素子を製造することができる。
【0003】
有機薄膜トランジスタの一態様である電界効果型有機薄膜トランジスタの製造に用いられる有機半導体化合物は、湿度、酸素等の環境の影響を受けやすく、トランジスタ特性が、湿度、酸素等に起因する経時劣化を起こしやすい。
【0004】
そのため、有機半導体化合物が剥き出しになるボトムゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、素子構造全体を覆うオーバーコート層を形成して有機半導体化合物を外気との接触から保護することが必須となっている。一方、トップゲート型有機薄膜トランジスタ素子構造では、有機半導体化合物はゲート絶縁層によりコートされて保護されている。
【0005】
このように、有機薄膜トランジスタにおける有機半導体層を覆うオーバーコート層及びゲート絶縁層等を形成するために、絶縁層材料が用いられる。本願明細書では、前記オーバーコート層及びゲート絶縁層のような有機薄膜トランジスタの絶縁層又は絶縁膜を有機薄膜トランジスタ絶縁層という。また、有機薄膜トランジスタ絶縁層を形成するのに用いる材料を有機薄膜トランジスタ絶縁層材料という。
【0006】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料には、絶縁性及び薄膜にしたときの絶縁破壊強度に優れた特性が要求される。また、特にボトムゲート型の電界効果トランジスタでは半導体層がゲート絶縁層に重ねて形成される。そのため、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料には、有機半導体と密着した界面を形成するための有機半導体との親和性、該有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料から形成した膜の有機半導体層側の表面が平坦になることが要求される。
【0007】
このような要求に応える技術として、特許文献1には、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料としてエポキシ樹脂とシランカップリング剤とを組み合わせて用いることが記載されている。この技術においては、エポキシ樹脂の硬化反応の際に生成する水酸基とシランカップリング剤を反応させる。これは、前記水酸基はゲート絶縁層材料の吸湿性を高め、トランジスタ性能の安定性が損なわれるからである。
【0008】
非特許文献1には、ポリビニルフェノールとメラミン化合物とを熱架橋させた樹脂をゲート絶縁層に用いることが記載されている。この技術では、メラミン化合物で架橋することによってポリビニルフェノールに含まれる水酸基を除去し、同時に膜強度を高める。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、ゲートバイアス応力に対して耐久性を示す。
【0009】
非特許文献2には、ポリビニルフェノール及びビニルフェノールとメチルメタクリレートとを共重合させたコポリマーをゲート絶縁層に用いることが記載されている。この技術では、ビニルフェノールの水酸基をメチルメタクリレートのカルボニル基と相互作用させて膜全体の極性を低下させる。このゲート絶縁層を有するペンタセンTFTはヒステリシスが小さく、安定した電気特性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−305950号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.89,093507(2006)
【非特許文献2】Appl.Phys.Lett.92,183306(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)のような発光素子を駆動するなどの実用化を考慮すると、有機薄膜トランジスタの動作精度をより向上する必要があり、前記従来のゲート絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、閾値電圧(Vth)の絶対値及びヒステリシスの低下が不十分である。
【0013】
本発明の目的は、閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さい有機薄膜トランジスタを製造しうる有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の事に鑑み、種々検討を行った結果、二重結合を含み、架橋構造を形成しうる特定の樹脂組成物を用いてゲート絶縁層を形成することにより、有機薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)の絶対値及びヒステリシスを小さくできることを見出し、本発明に至った。
【0015】
即ち、本発明は、
(A)
ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及び
式(1)
【0016】
【化1】

(1)
【0017】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rbbは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び第1の官能基を含有する繰り返し単位であって、該第1の官能基が、活性水素と反応しうる第2の官能基を、電磁波もしくは熱の作用により生成しうる官能基である繰り返し単位、を含有する高分子化合物(A−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
【0018】
(B)
N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及び
式(2)
【0019】
【化2】

(2)
【0020】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rccは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び第1の官能基を含有する繰り返し単位であって、該第1の官能基が、活性水素と反応しうる第2の官能基を、電磁波もしくは熱の作用により生成しうる官能基である繰り返し単位、を含有する高分子化合物(B−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有し、
高分子化合物(A−2)と高分子化合物(B−2)の少なくとも一方の高分子化合物を含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供する。
【0021】
ある一形態においては、前記高分子化合物(A−2)又は前記高分子化合物(B−2)又はこれらの両方が、さらに、式(3)
【0022】
【化3】

(3)
【0023】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位を含有する。
【0024】
ある一形態においては、前記第1の官能基が、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である。
【0025】
ある一形態においては、前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式(4)
【0026】
【化4】

(4)
【0027】
[式中、Xaは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である。
【0028】
ある一形態においては、前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式(5)
【0029】
【化5】

(5)
【0030】
[式中、Xbは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である。
【0031】
ある一形態においては、前記高分子化合物(A−2)又は前記高分子化合物(B−2)又はこれらの両方が、さらに、活性水素を1個含有する構造単位を2個以上、又は、活性水素を2個以上含有する構造単位を含む。
【0032】
ある一形態においては、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、さらに、活性水素を2個以上含有する低分子化合物である活性水素化合物及び活性水素を2個以上含有する高分子化合物である活性水素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物を含有する。
【0033】
また、本発明は、(A)
ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及び
式(1)
【0034】
【化6】

(1)
【0035】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rbbは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び式(3)
【0036】
【化7】

(3)
【0037】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を含有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位、を含有する高分子化合物(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
【0038】
(B)
N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及び
式(2)
【0039】
【化8】

(2)
【0040】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rccは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び式(3)
【0041】
【化9】

(3)
【0042】
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を含有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位、を含有する高分子化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有し、
高分子化合物(A−3)と高分子化合物(B−3)の少なくとも一方の高分子化合物を含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を提供する。
【0043】
また、本発明は、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法を提供する。
【0044】
また、本発明は、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;
該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程;及び
該塗布層に熱を印加する工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法を提供する。
【0045】
ある一形態においては、前記電磁波は紫外線である。
【0046】
また、本発明は、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した有機薄膜トランジスタ絶縁層を有する有機薄膜トランジスタを提供する。
【0047】
ある一形態においては、前記有機薄膜トランジスタ絶縁層がゲート絶縁層である。
【0048】
また、本発明は、前記有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材を提供する。
【0049】
また、本発明は、前記ディスプレイ用部材を含むディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0050】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した絶縁層を有する有機薄膜トランジスタは、閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが低い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書において、「高分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位が複数繰り返された構造を含む化合物をいい、いわゆる2量体もこれに含まれる。一方、「低分子化合物」とは、分子中に同じ構造単位を繰り返し有していない化合物を意味する。本明細書において「活性水素」とは、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に結合している水素原子を意味する。本明細書において「活性水素化合物」とは、活性水素を1個以上有する化合物を意味する。
【0053】
有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、(A)ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)及びビニルオキシ基を含有する高分子化合物(A−2’)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)及びN−マレオイルアミノ基を含有する高分子化合物(B−2’)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有する。
【0054】
ビニルオキシ基は、式−O−CH=CHで表される基である。
【0055】
N−マレオイルアミノ基は、式
【0056】
【化10】

【0057】
で表される基である。
【0058】
ビニルオキシ基はラジカル反応性が低く、一般には、フリーラジカル種の存在下に付加重合反応を起こしにくい。しかしながら、ビニルオキシ基は、N−マレオイルアミノ基に対しては、特異的にフリーラジカルを媒介として反応し、交互に共重合する。
【0059】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、ビニルオキシ基とN−マレオイルアミノ基を含有するため、フリーラジカルが発生する条件の下にこれらが共重合し、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。
【0060】
絶縁層の内部に架橋構造が形成されると、分子構造の移動が抑制され、絶縁層の分極が抑制される。絶縁層の分極が抑制されると、例えばゲート絶縁層として用いた場合に有機薄膜トランジスタのヒステリシスが低下して、動作精度が向上する。
【0061】
一般に、エチレン性不飽和結合同士のラジカル付加重合は、酸素によって反応の進行が阻害され易い。そのため、反応を行う雰囲気に少量でも酸素が存在すると、ラジカル付加重合の反応の進行が不十分になる。しかしながら、ビニルオキシ基とN−マレオイルアミノ基との共重合反応は酸素によって進行が阻害されにくく、酸素が存在する環境下であっても十分に進行する。その結果、本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、容易に高い架橋密度を達成することができる。
【0062】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に含まれる化合物が加熱することで架橋する官能基を含まない場合は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は光エネルギー架橋性である。その場合、ゲート絶縁層材料を架橋させるために高温で熱処理を行う必要が無く、絶縁層を形成する過程においてトランジスタ特性が低下し難くなる。
【0063】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、前記高分子化合物(A−2’)及び高分子化合物(B−2’)のうちの少なくとも一方の高分子化合物を含有する。有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料に要求される強度を得るためである。
【0064】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料の好ましい一態様は、ビニルオキシ基を含有する高分子化合物(A−2’)が、更に第1の官能基を含有する高分子化合物(A−2)である。そして、N−マレオイルアミノ基を含有する高分子化合物(B−2’)が、更に第1の官能基を含有する高分子化合物(B−2)である。ここで、第1の官能基は活性水素と反応しないが、第1の官能基に電磁波又は熱が作用すると第2の官能基が生成し、この第2の官能基は活性水素と反応する。
【0065】
つまり、前記第1の官能基は電磁波又は熱により脱保護されて、活性水素と反応する第2の官能基を生成するものである。第2の官能基は、活性水素化合物の活性水素含有基と反応してこれと結合することにより、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。また、使用する第2の官能基の種類によっては、第2の官能基同士が反応して結合することにより、絶縁層の内部に架橋構造を形成することができる。
【0066】
第2の官能基は、ゲート絶縁層の形成工程において熱が加えられるまで保護(ブロック)されて、第1の官能基として有機薄膜トランジスタ絶縁層材料中に存在する。その結果、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の貯蔵安定性が向上する。
【0067】
第1の官能基の好ましい例としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が挙げられる。第2の官能基の好ましい例としては、イソシアナト基及びイソチオシアナト基が挙げられる。イソシアナト基及びイソチオシアナト基は大気中の水分と反応(加水分解)した場合に、活性水素を有するアミノ基を生成する。この生成したアミノ基は、加水分解していないイソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応して架橋構造を形成することができる。
【0068】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又は前記ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基は、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応しうる活性水素を1分子中に1個だけ含有するブロック化剤とイソシアナト基又はイソチオシアナト基とを反応させることにより製造することができる。
【0069】
前記ブロック化剤としては、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と反応した後でも、170℃以下の温度で解離するものが好ましい。ブロック化剤としては、例えば、アルコ−ル系化合物、フェノ−ル系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、重亜硫酸塩、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。これらのブロック化剤は、単独使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。好ましいブロック化剤としては、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物が挙げられる。
【0070】
以下に、具体的なブロック化剤を例示する。アルコール系化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールが挙げられる。フェノール系化合物としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。活性メチレン系化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンが挙げられる。メルカプタン系化合物としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンが挙げられる。酸アミド系化合物としては、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムが挙げられる。酸イミド系化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミドが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾールが挙げられる。尿素系化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素が挙げられる。オキシム系化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムが挙げられる。アミン系化合物としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾールが挙げられる。イミン系化合物としては、エチレンイミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。重亜硫酸塩としては、重亜硫酸ソーダが挙げられる。ピリジン系化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンが挙げられる。ピラゾール系化合物としては、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジエチルピラゾールが挙げられる。
【0071】
本発明に用いてもよいブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はイソチアシアナト基としては、前記式(4)で表される基又は前記式(5)で表される基が好ましい。
【0072】
式(4)及び式(5)中、Xaは、酸素原子又は硫黄原子を表し、Xbは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。
【0073】
炭素数1〜20の一価の有機基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0074】
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0075】
炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基は、これらの基に含まれる水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
【0076】
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などで置換されていてもよい。
【0077】
炭素数1〜20の一価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基が挙げられる。
【0078】
炭素数1〜20の一価の有機基としては、アルキル基が好ましい。
【0079】
ある一形態では、R〜Rは水素原子である。
【0080】
ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)カルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルカルボニル)アミノ基が挙げられる。
【0081】
ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基としては、例えば、O−(メチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−エチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−(1−メチルエチリデンアミノ)チオカルボキシアミノ基、O−[1−メチルプロピリデンアミノ] チオカルボキシアミノ基、(N−3,5−ジメチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3,5−ジエチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−プロピル−5−メチルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基、(N−3−エチル−5−プロピルピラゾリルチオカルボニル)アミノ基が挙げられる。
【0082】
第1の官能基としては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基が好ましい。
【0083】
また、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料はフッ素を含有することが好ましい。例えば、フッ素は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の成分である低分子化合物又は高分子化合物の水素原子を置換することにより、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に導入される。
【0084】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にフッ素が導入されることにより、該材料から形成される絶縁層は極性が低く、絶縁層の分極が抑制される。
【0085】
フッ素原子は高分子化合物の主鎖の水素原子を置換するのではなく、側鎖又は側基(ペンダント基)の水素原子を置換することが好ましい。フッ素原子が側鎖又は側基に置換していると有機半導体のような他の有機材料に対する親和性が低下せず、該有機材料を含む層の形成において、有機材料が絶縁層の露出面に接し、層を形成し易くなる。
【0086】
ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)としては、例えば、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、シクオロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、メタクリロイルオキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ジ(ビニルオキシメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリビニルエーテルが挙げられる。
【0087】
これらの低分子化合物の中でも、2個以上のビニルオキシ基を含有する低分子化合物が好ましい。
【0088】
N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)としては、例えば、N−ターシャリーブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ジ−N−マレオイルアミノメタン、1,2−ジ−N-マレオイルアミノエタン、1,3−ジ−N-マレオイルアミノプロパン、2,2−ジ−N-マレオイルアミノプロパン、1,2−ジ−N−マレオイルアミノベンゼン、1,3−ジ−N−マレオイルアミノベンゼン、1,4−ジ−N−マレオイルアミノベンゼン、2,4−ジ−N−マレオイルアミノトルエン、2,6−ジ−N−マレオイルアミノナフタレン、1,5−ジ−N−マレオイルアミノ−2−メチルナフタレン、1,3−ジ−N−マレオイルアミノ−2−フェニルナフタレン、4,4’−ジ−N−マレオイルアミノビフェニル、3,3’−ジ−N−マレオイルアミノビフェニル、3,4’−ジ−N−マレオイルアミノ−4,3’−ジ−N−マレオイルアミノビフェニル、4,4’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルメタン、4,3’−ジメチル−3,4’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルメタン、5,5’−ジエチル−3,3’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルメタン、4,4’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジ−N−マレオイルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジ−N−マレオイルアミノジフェニルスルフィド、1,3−ビス(4−ジ−N−マレオイルアミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0089】
これらの低分子化合物の中でも、2個以上のN−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物が好ましい。
【0090】
好ましい一形態においては、ビニルオキシ基及び第1の官能基を含有する高分子化合物(A−2)は、前記式(1)で表される繰り返し単位を含有する。
【0091】
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、Rはメチル基である。Rbbは、主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。連結部分は、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を架橋させる環境条件の下で反応性を示さない構造を有する二価の基であればよい。連結部分の具体例には、炭素数1〜20の二価の有機基からなる結合、エーテル結合(−O−)、ケトン結合(−CO−)、エステル結合(−COO−、−OCO−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、ウレタン結合(−NHCOO−、−OCONH−)及びこれらの結合が組み合わされた結合等が挙げられる。
【0092】
前記炭素数1〜20の二価の有機基としては、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。例えば、炭素数1〜20の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の二価の環状炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基が挙げられる。中でも、炭素数1〜6の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の二価の環状炭化水素基、アルキル基等で置換されていてもよい二価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
【0093】
二価の直鎖状脂肪族炭化水素基、二価の分岐状脂肪族炭化水素基、及び二価の環状炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピルレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0094】
炭素数6〜20の二価の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、エチレンフェニレン基、ジエチレンフェニレン基、トリエチレンフェニレン基、プロピレンフェニレン基、ブチレンフェニレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基が挙げられる。
【0095】
ある一態様では、Rbbは、下記結合である。
【0096】
【化11】

【0097】
(式中、R10は、炭素数1〜20の二価の直鎖状脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の二価の分岐状脂肪族炭化水素基を表す。)
【0098】
また、好ましい一形態においては、前記高分子化合物(A−2)は、前記式(3)で表される繰り返し単位を含有する。
【0099】
式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、Rはメチル基である。Raaは、主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。連結部分は、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を架橋させる環境条件の下で反応性を示さない構造を有する二価の基であればよい。連結部分の具体例には、炭素数1〜20の二価の有機基からなる結合、エーテル結合(−O−)、ケトン結合(−CO−)、エステル結合(−COO−、−OCO−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、ウレタン結合(−NHCOO−、−OCONH−)及びこれらの結合が組み合わされた結合等が挙げられる。炭素数1〜20の二価の有機基の具体例としては、Rbbで表される炭素数1〜20の二価の有機基の具体例と同じ基が挙げられる。
【0100】
aは、0又は1の整数を表す。ある一形態では、aは0である。
【0101】
Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。ある一形態では、Rfはフッ素原子である。
【0102】
bは、1〜5の整数を表す。ある一形態では、bは5である。
【0103】
Rfで表される炭素数1〜20の一価の有機基は、フッ素原子を有していてもよく、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0104】
炭素数1〜20の一価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、炭素数3〜20の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖状炭化水素基、炭素数3〜6の分岐状炭化水素基、炭素数3〜6の環状炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0105】
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基は、基中の水素原子がアルキル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などで置換されていてもよい。
【0106】
式(1)中、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基である。好ましくは、bが5であり、5個のRfがフッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基である。
【0107】
炭素数1〜20の一価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基が挙げられる。
【0108】
炭素数1〜20の一価の有機基としては、アルキル基が好ましい。
【0109】
Rfがフッ素原子を有する炭素数1〜20の有機基である場合、フッ素原子を有する炭素数1〜20の一価の有機基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、ペンタフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基等が挙げられる。
【0110】
高分子化合物(A−2)の製造方法としては、例えば、前記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法が挙げられる。
【0111】
また、高分子化合物(A−2)の他の製造方法としては、活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させて共重合体を製造した後、必要に応じて脱酸剤の存在下で、該共重合体とビニルオキシ基と活性水素とを含有する化合物と反応させる方法が挙げられる。前記反応において、共重合体中の活性水素と反応しうる官能基と化合物中の活性水素とが反応する。
【0112】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にフッ素を含有させる場合は、前記重合性モノマー混合物に、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーを含有させて共重合を行えばよい。
【0113】
式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、ビニルオキシエチルアクリレート、ビニルオキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテルアクリレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテルメタクリレート、4−(ビニルオキシエチルオキシカルボニルアミノ)スチレン等が挙げられる。
【0114】
第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを含有するモノマーが挙げられる。該ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と不飽和結合とを含有するモノマーは、イソシアナト基又はイソチオシアナト基と不飽和結合とを含有する化合物と、ブロック化剤とを反応させることにより製造することが出来る。不飽和結合としては、二重結合が好ましい。
【0115】
二重結合とイソシアナト基とを含有する化合物としては、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソシアネートが挙げられる。二重結合とイソチオシアナト基とを含有する化合物の例としては、2−アクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソチオシアネート、2−(2’−メタクリロイルオキシエチル)オキシエチルイソチオシアネートが挙げられる。
【0116】
該ブロック化剤としては、前記のブロック化剤を好適に用いることが出来、必要に応じて有機溶媒、触媒等を添加することが出来る。
【0117】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基と二重結合とを含有するモノマーとしては、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート、2−〔N−[1’,3’−ジメチルピラゾリル]カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレートが挙げられる。
【0118】
前記ブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基と二重結合とを含有するモノマーとしては、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]チオカルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート、2−〔N−[1’,3’−ジメチルピラゾリル] チオカルボニルアミノ〕エチル−メタクリレートが挙げられる。
【0119】
二重結合とブロック化剤でブロックされたイソシアナト基又はブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基とをもつモノマーの仕込み量は、重合に関与する全てのモノマー中、好ましくは5モル%以上50モル%以下であり、より好ましくは5モル%以上40モル%以下である。前記モノマーの仕込みモル比をこの範囲に調節することにより、絶縁層の内部に架橋構造が十分形成され、極性基の含有量が低いレベルに保たれ、絶縁層の分極が抑制される。
【0120】
活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、イソシアナトエチルアクリレート、イソシアナトエチルメタクリレート、アクリロイルクロライド、メタクリロイルクロライド、グリシジルエチルアクリレート、グリシジルエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0121】
ビニルオキシ基と活性水素とを含有する化合物としては、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0122】
式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、2−トリフルオロメチルスチレン、3−トリフルオロメチルスチレン、4−トリフルオロメチルスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−フルオロスチレン等が挙げられる。
【0123】
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾイル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカルボニル化合物、メチルアントラキノン、クロロアントラキノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキノン誘導体又はチオキサントン誘導体、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物が挙げられる。
【0124】
共重合を開始させるエネルギーとして光エネルギーを用いる場合は、重合性モノマーに照射する光の波長は、360nm以上、好ましくは360〜450nmである。
【0125】
前記熱重合開始剤としては、ラジカル重合の開始剤となる化合物であればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩等のアゾ系化合物、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオキシド類、イソブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、o−メチルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、トリス(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキルパーオキシド類、1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート類が挙げられる。
【0126】
高分子化合物(A−2)の製造に用いることができる脱酸剤の例としては、トリエチルアミン、ピリジンが挙げられる。
【0127】
高分子化合物(A−2)は、式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー以外の他の重合しうるモノマーを重合性モノマー混合物に添加して製造してもよい。
【0128】
該他の重合しうるモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸エステル及びその誘導体、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、スチレン及びその誘導体、酢酸ビニル及びその誘導体、メタアクリロニトリル及びその誘導体、アクリロニトリル及びその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体、フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体、マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体、末端不飽和炭化水素及びその誘導体等、不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体等が挙げられる。
【0129】
該他の重合しうるモノマーの種類は、絶縁層に要求される特性に応じて適宜選択される。溶媒に対する優れた耐久性や有機薄膜トランジスタのヒステリシスを小さくする観点からは、スチレンやスチレン誘導体のように、これらの化合物を含む膜において、分子の密度が高く、硬い膜を形成するモノマーが選択される。また、ゲート電極や基板の表面等の絶縁層の隣接面に対する密着性の観点からは、メタアクリル酸エステル及びその誘導体、アクリル酸エステル及びその誘導体のように、高分子化合物(A−2)に可塑性を付与するモノマーが選択される。
【0130】
アクリル酸エステル類及びその誘導体は、単官能のアクリレートであっても、使用量に制約は出てくるものの、多官能のアクリレートであってもよい。アクリル酸エステル及びその誘導体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンを挙げることができる。
【0131】
メタアクリル酸エステル類及びその誘導体は、単官能のメタアクリレートであってもよく、使用量に制約は出てくるものの、多官能のメタアクリレートであってもよい。メタアクリル酸エステル類及びその誘導体としては、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパンジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタアクリレート、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンを挙げることができる。
【0132】
スチレン及びその誘導体としては、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン、4−アミノスチレンが挙げられる。
【0133】
有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニルが挙げられる。
【0134】
有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体としては、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリルが挙げられる。
【0135】
フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジルが挙げられる。
【0136】
マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジルが挙げられる。
【0137】
イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジルが挙げられる。
【0138】
有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体としては、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
【0139】
マレイミド及びその誘導体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
【0140】
末端不飽和炭化水素及びその誘導体としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルアルコールが挙げられる。
【0141】
不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体としては、アリルトリメチルゲルマニウム、アリルトリエチルゲルマニウム、アリルトリブチルゲルマニウム、トリメチルビニルゲルマニウム、トリエチルビニルゲルマニウムが挙げられる。
【0142】
これらのうちでは、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、スチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アリルトリメチルゲルマニウムが好ましい。
【0143】
高分子化合物(A−2)のポリスチレン換算の量平均分子量は、3000〜1000000が好ましく、5000〜500000がより好ましい。高分子化合物(A−2)は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
【0144】
本発明に用いられる高分子化合物(A−2)としては、例えば、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ((4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ((4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−スチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−4−アミノスチレン−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(ペンタフルオロスチレン−コ−(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−コ−(4−ビニルオキシブチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]等が挙げられる。
【0145】
好ましい一形態においては、N−マレオイルアミノ基及び第1の官能基を含有する高分子化合物(B−2)は、前記式(2)で表される繰り返し単位を含有する。
【0146】
式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。ある一形態では、Rはメチル基である。Rccは、主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。連結部分は、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を架橋させる環境条件の下で反応性を示さない構造を有する二価の基であればよい。連結部分の具体例には、炭素数1〜20の二価の有機基からなる結合、エーテル結合(−O−)、ケトン結合(−CO−)、エステル結合(−COO−、−OCO−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、ウレタン結合(−NHCOO−、−OCONH−)及びこれらの結合が組み合わされた結合等が挙げられる。
【0147】
炭素数1〜20の二価の有機基の具体例としては、Rbbで表される炭素数1〜20の二価の有機基の具体例と同じ基が挙げられる。
【0148】
また、好ましい一形態においては、前記高分子化合物(B−2)は、前記式(3)で表される繰り返し単位を含有する。
【0149】
高分子化合物(B−2)の製造方法としては、例えば、アミノ基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させて共重合体を得た後、該共重合体中のアミノ基を無水マレイン酸と脱水縮合させる方法が挙げられる。
【0150】
また、高分子化合物(B−2)の他の製造方法としては、活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させて共重合体を得た後、必要に応じて脱酸剤の存在下で、該共重合体とN−マレオイルアミノ基と活性水素とを含有する化合物と反応させる方法が挙げられる。前記反応において、共重合体中の活性水素と反応しうる官能基と化合物中の活性水素とが反応する。
【0151】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にフッ素を含有させる場合は、前記重合性モノマー混合物に、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーを含有させて共重合を行えばよい。
【0152】
アミノ基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、4−アミノスチレンが挙げられる。
【0153】
活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマー及び式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの具体例としては、前述の高分子化合物(A−2)の製造に用いることができるこれら重合性モノマーと同じモノマーが挙げられる。
【0154】
N−マレオイルアミノ基と活性水素とを含有する化合物としては、2−N−マレオイルアミノエタノール、3−N−マレオイルアミノプロパノールが挙げられる。
【0155】
高分子化合物(B−2)は、アミノ基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、第1の官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマー、式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマー以外の他の重合しうるモノマーを重合性モノマー混合物に添加して製造してもよい。
【0156】
該他の重合しうるモノマーの具体例としては、前述の高分子化合物(A−2)の製造に用いることができる他の重合しうるモノマーと同じモノマーが挙げられる。
【0157】
高分子化合物(B−2)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、3000〜1000000が好ましく、5000〜500000がより好ましい。高分子化合物(B−2)は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
【0158】
高分子化合物(B−2)としては、例えば、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート]−コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ(スチレン−コ−[3−(N−マレオイルアミノプロピル)メタクリレート]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−アクリロニトリル−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート] −コ−アリルトリメチルゲルマニウム)、ポリ([3−(N−マレオイルアミノプロピル)メタクリレート]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ([3−(N−マレオイルアミノプロピル)メタクリレート]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[3−(N−マレオイルアミノプロピル)メタクリレート]−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−[3−(N−マレオイルアミノプロピル)メタクリレート]−コ−[2−〔1’−(3’,5’−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ〕エチル−メタクリレート])、ポリ(スチレン−コ−[4−(N−マレオイルアミノスチレン)]−コ−ペンタフルオロスチレン−コ−(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)−コ−[2−〔O−(1’−メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート])等が挙げられる。
【0159】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、更に、活性水素を2個以上含有する低分子化合物である活性水素化合物及び活性水素を2個以上含有する高分子化合物である活性水素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物を含有することが出来る。
【0160】
活性水素化合物が含有する活性水素としては、上述した第1の官能基から生成しうる第2の官能基、中でもイソシアナト基、イソチオシアナト基と良好に反応しうるフェノール性ヒドロキシ基に含まれる水素、アルコール性ヒドロキシ基に含まれる水素、芳香族アミノ基に含まれる水素が好ましい。
【0161】
活性水素を2個以上含有する低分子化合物である活性水素化合物の具体例としては、2個以上の活性水素含有基が低分子構造に結合した構造を有する化合物が挙げられる。この低分子構造としては、例えば、アルキル構造やベンゼン環構造が挙げられる。該低分子化合物の具体例としては、アミン系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物及びチオール系化合物が挙げられる。本明細書において、「アルキル構造」とは、脂肪族炭化水素からなる直鎖状、分岐状、または環状の構造を意味する。一方、「ベンゼン環構造」とは、芳香族炭化水素からなる直鎖状、分岐状、または環状の構造を意味する。
【0162】
アミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’,−テトラアミノエチルエチレンジアミン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、メラミン、2,4,6−トリアミノピリミジン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリス(トリメチルシロキシ)シランが挙げられる。
【0163】
アルコール系化合物としては、エチレングリコール、1,2−ジヒドロキシプロパン、グリセロール、1,4−ジメタノールベンゼンが挙げられる。
【0164】
フェノール系化合物としては、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)、1,2−ジヒドロキシナフタレン、レゾルシン、フルオログリセロール、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデハイド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアミドが挙げられる。
【0165】
チオール系化合物としては、エチレンジチオール、パラ−フェニレンジチオールが挙げられる。
【0166】
活性水素を2個以上含有する低分子化合物としては、アルコール系化合物、フェノール系化合物、芳香族アミン系化合物が好ましい。
【0167】
前記活性水素を2個以上含有する高分子化合物において、活性水素は、高分子化合物を構成する主鎖に直接結合していてもよく、所定の基を介して結合していてもよい。また、活性水素は、高分子化合物を構成する構造単位に含まれていてもよく、その場合は、各構造単位に含まれていてもよく、一部の構造単位にのみ含まれていてもよい。さらに、活性水素は、高分子化合物の末端にのみ結合していてもよい。
【0168】
活性水素を2個以上含有する高分子化合物の具体例としては、2個以上の活性水素を含有する基が高分子構造に結合した構造を有する化合物が挙げられる。
【0169】
好ましい一形態においては、活性水素を2個以上含有する高分子化合物は、高分子化合物(A−2)又は高分子化合物(B−2)において、第1の官能基の代わりに活性水素を含有する基を含有する高分子化合物である。
【0170】
かかる高分子化合物は、高分子化合物(A−2)又は高分子化合物(B−2)を製造するための重合性モノマー混合物において、活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの代わりに活性水素を含有する基及び二重結合等の不飽和結合を含有するモノマーを使用することによって得られる。
【0171】
活性水素を含有する基及び不飽和結合を含有するモノマーとしては、例えば、アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルベンジルアルコール、アミノエチルメタクリレート、エチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられる。
【0172】
活性水素を含有する基及び不飽和結合を含有するモノマーとしては、水酸基を含有するものが好ましい。
【0173】
また、活性水素を2個以上含有する高分子化合物としては、フェノール化合物と、ホルムアルデヒドとを、酸触媒の存在下で縮合させることによって得られた、ノボラック樹脂も好適に用いられる。
【0174】
活性水素を含有する基を2個以上含有する高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000〜1000000であることが好ましく、3000〜500000であることがより好ましい。これにより、絶縁層の平坦性及び均一性が良好となるという効果が得られるようになる。ポリスチレン換算の重量平均分子量は、GPCにより測定される。
【0175】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の好ましい一態様は、ビニルオキシ基及び第1の官能基を含有する高分子化合物(A−2)とN−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)とを含む組成物である。該組成物の中でも、ビニルオキシ基及び第1の官能基を含有する高分子化合物(A−2)とN−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)と活性水素化合物、特に活性水素を2個以上含有する高分子化合物とを含む組成物がより好ましい。
【0176】
高分子化合物(A−2)と低分子化合物(B−1)との混合割合は、高分子化合物(A−2)中のビニルオキシ基と、低分子化合物(B−1)中のN−マレオイルアミノ基のモル比が100/100〜100/5となる割合が好ましい。より好ましくは100/90〜100/10となる割合であり、さらに好ましくは100/60〜100/30となる割合である。
【0177】
該活性水素を2個以上含有する高分子化合物は、更にビニルオキシ基及び/又はフッ素を含有するものであってよい。その場合は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料全体に含まれるビニルオキシ基とN−マレオイルアミノ基のモル比が上記範囲、特に好ましくは100/55〜100/25になるように、高分子化合物(A−2)、低分子化合物(B−1)及び活性水素を2個以上含有する高分子化合物の混合割合が調節される。
【0178】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に含まれるビニルオキシ基とN−マレオイルアミノ基のモル比が100/100未満となる割合で混合すると、または、100/5を超える割合で混合すると架橋構造の形成が不十分となり、耐溶剤性が低下することがある。
【0179】
高分子化合物(A−2)が第1の官能基を含む繰り返し単位を含有する場合、高分子化合物(A−2)と活性水素化合物との混合割合は、高分子化合物(A−2)から生成しうる第2の官能基と、活性水素化合物中の活性水素を含有する基のモル比が60/100〜150/100となる割合が好ましい。より好ましくは70/100〜120/100となる割合であり、さらに好ましくは90/100〜110/100となる割合である。該モル比が60/100未満となる割合で混合すると活性水素が過剰になりヒステリシスの低下効果が小さくなることがあり、150/100を超える割合で混合すると活性水素と反応する官能基が過剰になり閾値電圧の絶対値が大きくなることがある。
【0180】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料には、混合や粘度調節のための溶媒や、高分子化合物(A−2)及び/又は高分子化合物(B−2)を架橋させるために用いる架橋剤、該架橋剤と組み合わせて用いられる添加剤などを含有させてよい。使用される溶媒はテトラヒドロフランやジエチルエーテルなどのエーテル溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素溶媒、ペンテン等の不飽和炭化水素溶媒、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトンなどのケトン溶媒、ブチルアセテートなどのアセテート溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール溶媒、クロロホルムなどのハロゲン溶媒またはこれらの混合溶媒である。また、添加剤としては、架橋反応を促進するための触媒、レべリング剤、粘度調節剤などを用いることができる。
【0181】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料の一態様は、(A)ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及びビニルオキシ基及びフッ素を含有する高分子化合物(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及びN−マレオイルアミノ基及びフッ素を含有する高分子化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有するものであってもよい。
【0182】
但し、この実施形態の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料に要求される強度を得るために、前記高分子化合物(A−3)及び高分子化合物(B−3)のうちの少なくとも一方の高分子化合物を含有する。
【0183】
この実施形態では、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にフッ素が導入されている。そのことにより、該材料から形成される絶縁層の分極が抑制される。また、この有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は加熱した場合に架橋する官能基を必ずしも含んでおらず、ゲート絶縁層材料を架橋させるために高温で熱処理を行う必要が無い。その結果、絶縁層を形成する過程においてトランジスタ特性が低下し難くなる。
【0184】
好ましい一形態においては、ビニルオキシ基及びフッ素を含有する高分子化合物(A−3)は、前記式(1)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位を含有する。
【0185】
高分子化合物(A−3)の製造方法としては、例えば、前記式(1)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法が挙げられる。
【0186】
また、高分子化合物(A−3)の他の製造方法としては、活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させて共重合体を製造した後、必要に応じて脱酸剤の存在下で、該共重合体とビニルオキシ基と活性水素とを含有する化合物と反応させる方法が挙げられる。前記反応において、共重合体中の活性水素と反応しうる官能基と化合物中の活性水素とが反応する。
【0187】
好ましい一形態においては、N−マレオイルアミノ基及びフッ素を含有する高分子化合物(B−3)は、前記式(2)で表される繰り返し単位及び前記式(3)で表される繰り返し単位を含有する。
【0188】
高分子化合物(B−3)の製造方法としては、例えば、前記式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させる方法が挙げられる。
【0189】
また、高分子化合物(B−3)の他の製造方法としては、活性水素と反応しうる官能基を含有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、前記式(3)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを含む重合性モノマー混合物を、光重合開始剤もしくは熱重合開始剤を用いて共重合させて共重合体を得た後、必要に応じて脱酸剤の存在下で、該共重合体とN−マレオイルアミノ基と活性水素とを含有する化合物と反応させる方法が挙げられる。前記反応において、共重合体中の活性水素と反応しうる官能基と化合物中の活性水素とが反応する。
【0190】
また、本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、(A)ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及びビニルオキシ基、及び活性水素と反応しうる第2の官能基を電磁波もしくは熱の作用により生成しうる第1の官能基を含有する高分子化合物(A−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及びN−マレオイルアミノ基及びフッ素を含有する高分子化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有するものであってもよい。
【0191】
但し、この実施形態の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料に要求される強度を得るために、前記高分子化合物(A−2)及び高分子化合物(B−3)のうちの少なくとも一方の高分子化合物を含有する。
【0192】
また、本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、(A)ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及びビニルオキシ基及びフッ素を含有する高分子化合物(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、(B)N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及びN−マレオイルアミノ基、及び活性水素と反応しうる第2の官能基を電磁波もしくは熱の作用により生成しうる第1の官能基を含有する高分子化合物(B−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有するものであってもよい。
【0193】
但し、この実施形態の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料に要求される強度を得るために、前記高分子化合物(A−3)及び高分子化合物(B−2)のうちの少なくとも一方の高分子化合物を含有する。
【0194】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタに含まれる絶縁層の形成に用いられる組成物である。有機薄膜トランジスタの絶縁層中でも、オーバーコート層又はゲート絶縁層の形成に用いられることが好ましい。有機薄膜トランジスタ絶縁層材料としては、有機薄膜トランジスタオーバーコート層組成物、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層組成物であることが好ましく、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料であることがより好ましい。
【0195】
有機薄膜トランジスタ
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0196】
ボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、オーバーコートを形成することで製造することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料として、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いられる。また、有機薄膜トランジスタオーバーコート層材料として、オーバーコート層を形成するのに用いることもできる。
【0197】
図2は、本発明の一実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5及びドレイン電極6と、ソース電極5及びドレイン電極6上に形成された有機半導体層4と、素子全体を覆うオーバーコート7とが、備えられている。
【0198】
ボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にソース電極、ドレイン電極を形成し、ソース電極、ドレイン電極上に有機半導体層を形成し、オーバーコートを形成することで製造することができる。本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料として、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いられる。また、有機薄膜トランジスタオーバーコート層材料として、オーバーコート層を形成するのに用いることもできる。
【0199】
ゲート絶縁層又はオーバーコート層の形成は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料に要すれば溶媒などを添加して絶縁層塗布液を調製し、絶縁層塗布液を、基材に塗布し、乾燥し、硬化させることにより行う。ここで、「基材」とは、その上に有機薄膜トランジスタ絶縁層が配置されることになる有機薄膜トランジスタの構成部材をいう。該絶縁層塗布液に用いられる有機溶媒としては、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を溶解させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が100℃〜200℃の有機溶媒である。該有機溶媒の例としては、2−ヘプタノン(沸点151℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)が挙げられる。該絶縁層塗布液には、必要に応じてレベリング剤、界面活性剤、硬化触媒等を添加することができる。
【0200】
該絶縁層塗布液はスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の方法により有機半導体化合物又はゲート電極上に塗布することができる。形成される塗布層は必要に応じて乾燥させる。ここでいう乾燥は、塗布された樹脂組成物に含まれる溶媒を除去することを意味する。
【0201】
乾燥させた塗布層は、次いで硬化させる。硬化は有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋することを意味する。トランジスタ絶縁層材料の架橋は、例えば、塗布層に電磁波若しくは電子線の照射又は熱を印加することにより行われる。
【0202】
塗布層に電磁波を照射する場合、低分子化合物(B−1)又は高分子化合物(B−2)に含まれるN−マレオイルアミノ基からラジカルが生成し、低分子化合物(A−1)又は高分子化合物(A−2)に含まれるビニルオキシ基と該ラジカルとが反応し、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋する。
【0203】
塗布層に電子線を照射する場合、低分子化合物(B−1)又は高分子化合物(B−2)に含まれるN−マレオイルアミノ基からラジカルが生成し、低分子化合物(A−1)又は高分子化合物(A−2)に含まれるビニルオキシ基と該ラジカルとが反応し、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が架橋する。
【0204】
架橋を促進させる観点からは、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料にラジカル開始剤が含まれることが好ましい。また、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が、第1の官能基を含む繰り返し単位を含有する高分子化合物(A−2)及び/又は第1の官能基を含む繰り返し単位を含有する高分子化合物(B−2)を含有する場合、より架橋が促進される。
【0205】
本発明の有機薄膜トランジスタゲート絶縁層材料は、酸素が存在する環境下であってもビニルオキシ基とN−マレオイルアミノ基との共重合反応が十分に進行し、高い架橋密度を達成することができる。それゆえ、塗布層に対する電磁波若しくは電子線の照射は周囲に酸素が存在する雰囲気下で行ってよい。
【0206】
つまり、本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法では、例えば、大気中で塗布層に対する電磁波若しくは電子線の照射を行うことができ、塗布層の周囲の雰囲気を不活性ガスで置換したり、真空にする必要がなく、塗布層を架橋するための操作が簡略化される。
【0207】
塗布層に熱を印加する場合、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料が、第1の官能基を含む繰り返し単位を含有する高分子化合物(A−2)及び/又は第1の官能基を含む繰り返し単位を含有する高分子化合物(B−2)を含有することが、より架橋が促進されて好ましい。
【0208】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法は、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程、及び、該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程を包含する形成方法である。
【0209】
有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程、該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程、及び該塗布層に熱を印加する工程を包含する形成方法がより好ましい。
【0210】
塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程と、該塗布層に熱を印加する工程の両方行うことで、絶縁層の架橋密度が向上するからである。特に、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料をゲート絶縁層に使用する場合には、有機薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)の絶対値及びヒステリシスが小さくなる。絶縁層の架橋密度が向上することで電圧印加時の分極がより抑制され、有機薄膜トランジスタの閾値電圧の絶対値及びヒステリシスが小さくなると考えられる。
【0211】
塗布層に熱を印加する場合は、塗布層を約80〜250℃、好ましくは約100〜230℃の温度に加熱して約5〜120分、好ましくは約10〜60分維持する。加熱温度が低すぎたり加熱時間が短すぎると絶縁層の架橋が不十分になり、加熱温度が高すぎたり加熱時間が長すぎると絶縁層が損傷する可能性がある。
【0212】
塗布層に電磁波を照射する場合、絶縁層の架橋及び損傷の度合いを考慮して、照射条件を調節する。マイクロ波を印加して加熱する場合は、絶縁層の架橋が及び損傷の度合いを考慮して印加条件を調節する。
【0213】
照射する電磁波の波長は450nm以下が好ましく、より好ましくは150〜410nmである。照射する電磁波の波長が450nmを越えると有機薄膜トランジスタ絶縁層材料の架橋が不十分になる場合がある。電磁波としては、紫外線が好ましい。
【0214】
紫外線の照射は、例えば、半導体の製造のために使用されている露光装置やUV硬化性樹脂を硬化させるために使用されているUVランプを用いて行うことができる。電子線の照射は、例えば、超小型電子線照射管を用いて行うことができる。加熱はヒーター及びオーブンなどを用いて行うことができる。その他の照射条件及び加熱条件は、適宜決定される。
【0215】
ゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成してもよい。該自己組織化単分子膜層は、例えば、有機溶媒中にアルキルクロロシラン化合物もしくはアルキルアルコキシシラン化合物を1〜10重量%溶解した溶液でゲート絶縁層を処理することにより形成することが出来る。
【0216】
アルキルクロロシラン化合物の例としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0217】
アルキルアルコキシシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。
【0218】
基板1、ゲート電極2、ソース電極5、ドレイン電極6及び有機半導体層4は、通常使用される材料及び方法で構成すればよい。基板の材料には樹脂やプラスチックの板やフィルム、ガラス板、シリコン板などが用いられる。電極の材料には、クロム、金、銀、アルミニウム、モリブデン等を用い、蒸着法、スパッタ法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法で電極を形成する。
【0219】
有機半導体層4を形成するための有機半導体化合物としてはπ共役ポリマーが用いられ、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(P−フェニレンビニレン)類などを用いることができる。また、有機溶媒への溶解性を有する低分子物質、例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができる。具体的には、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジ(エチレンボロネート)と、2,6−ジブロモ−(4,4−ビス−ヘキサデカニル−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]−ジチオフェンとの縮合物、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)と、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェンとの縮合物等があげられる。
【0220】
有機半導体層の形成は、例えば、有機半導体化合物に要すれば溶媒などを添加して有機半導体塗布液を調製し、該有機半導体塗布液をゲート絶縁層上に塗布し、該有機半導体塗布液を乾燥させることにより行う。本発明では、ゲート絶縁層を構成する樹脂がベンゼン環を有し、有機半導体化合物と親和性がある。それゆえ、前記塗布乾燥法によって、有機半導体層とゲート絶縁層との間に均一で平坦な界面が形成される。
【0221】
有機半導体塗布液に使用される溶媒としては、有機半導体を溶解又は分散させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が50℃〜200℃の溶媒である。該溶媒の例としては、クロロホルム、トルエン、アニソール、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。該有機半導体塗布液は、前記絶縁層塗布液と同様にスピンコート、ダイコーター、スクリーン印刷、インクジェット等の公知の方法によりゲート絶縁層上に塗布することができる。
【0222】
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機薄膜トランジスタを保護し、また、表面の平滑性を高める目的で、オーバーコート材でコートしてもよい。
【0223】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて製造した絶縁層は、その上に平坦な膜等を積層することができ、積層構造を容易に形成することができる。また、該絶縁層上に有機エレクトロルミネッセンス素子を好適に搭載することができる。
【0224】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて、好適に有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を作製できる。該有機薄膜トランジスタを有するディスプレイ用部材を用いて、ディスプレイ用部材を備えるディスプレイを作製できる。
【0225】
本発明の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料は、絶縁層以外のトランジスタに含まれる層、有機エレクトロルミネッセンス素子に含まれる層を形成する用途にも用いることができる。
【実施例】
【0226】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明が実施例に限定されるものではない。
【0227】
合成例1
(4−ビニルオキシブチルメタクリレートの合成)
三方コック、ジムロート及びセプタムを取り付けた500mlの三口フラスコに、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学株式会社製)を26.5g、トリエチルアミン(和光純薬株式会社製)を46.15g、脱水テトラヒドロフラン(和光純薬株式会社製)を300ml、攪拌子を入れ、フラスコ内部の気体を窒素で置換した。フラスコを氷浴に漬け、マグネチックスターラーで攪拌子を攪拌しながら、メタクリル酸クロライド(東京化成株式会社製)25.07gをガスタイトシリンジからゆっくり滴下した。滴下終了後、氷浴中で1時間攪拌を続けた後、更に、室温で3時間攪拌し、反応させた。反応終了後、メタノール20mlを加えて過剰のメタクリル酸クロライドをクエンチし、混合物である反応生成物を分液ロートに移し、ジエチルエーテル200mlを加え、その後、イオン交換水100mlで水洗した。有機層を分液し、分液した有機層に更にイオン交換水100mlを加えて水洗し、その後、有機層を分液した。水洗の操作は、繰り返して3回行った。水洗終了後、有機層を分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。その後、ろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮し、淡黄褐色液体として4−ビニルオキシブチルメタクリレートを得た。4−ビニルオキシブチルメタクリレートの得量は38.8gであった。
【0228】
合成例2
(高分子化合物1の合成)
50mlの耐圧容器(エース製)に、スチレン(和光純薬製)を2.25g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)を3.00g、合成例1で合成した4−ビニルオキシブチルメタクリレートを2.28g、2−(O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)を2.97g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を0.05g、2−ヘプタノン(東京化成株式会社製)を15.82g入れ、アルゴンガスでバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で6時間重合させ、高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物1は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0229】
【化12】

高分子化合物1
【0230】
得られた高分子化合物1の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、187000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0231】
合成例3
(高分子化合物2の合成)
50mlの耐圧容器(エース製)に、スチレン(和光純薬製)を2.63g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)を3.50g、合成例1で合成した4−ビニルオキシブチルメタクリレートを2.65g、4−アミノスチレン(アルドリッチ製)を1.72g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(東京化成株式会社製)を15.82g入れ、アルゴンガスでバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で12時間重合させ、高分子化合物2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。高分子化合物2は、下記繰り返し単位を有している。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。高分子化合物2は、活性水素化合物としても作用する。
【0232】
【化13】

高分子化合物2
【0233】
得られた高分子化合物2の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、227000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0234】
合成例4
(高分子化合物3の合成)
2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジ(エチレンボロネート)を1.88g、及び、2,6−ジブロモ−(4,4−ビス−ヘキサデカニル−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]−ジチオフェンを3.81g含む80mLのトルエン中に、窒素下において、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムを0.75g、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(Aldrich製、商品名「Aliquat 336」(登録商標))を1.0g、及び、2Mの炭酸ナトリウム水溶液を24mL加えた。
【0235】
この混合物を激しく攪拌し、加熱して24時間還流させた。粘稠な混合物である反応生成物をアセトン500mLに注ぎ、繊維状の黄色のポリマーを沈澱させた。このポリマーを濾過して集め、アセトンで洗浄し、真空オーブンにおいて60℃で一晩乾燥させた。得られたポリマーを高分子化合物3とよぶ。高分子化合物3は、下記繰り返し単位を有している。nは繰り返し単位の数を示している。
【0236】
【化14】

高分子化合物3
【0237】
高分子化合物3の標準ポリスチレンから求めた重量平均分子量は、32000であった(島津製GPC、Tskgel super HM−H 1本+Tskgel super H2000 1本、移動相=THF)。
【0238】
実施例1
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料及び電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
10mlのサンプル瓶に、合成例2で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を1.00g、合成例3で得た高分子化合物2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を0.86g、N−ターシャリーブチルマレイミド(和光純薬製)を0.072g、イルガキュア907(昭和電工製)を0.011g、2−ヘプタノンを1.86g入れ、攪拌しながら溶解して、有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む均一な塗布溶液1を調製した。
【0239】
【化15】

イルガキュア907
【0240】
得られた塗布溶液1を孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いてろ過し、クロム電極のついたガラス基板上にスピンコートした後、ホットプレート上で100℃で1分間乾燥させた。その後、乾燥させた塗布層に対して、大気中、アライナー(Canon製;PLA−521)を用いて1600mJ/cmのUV光(波長365nm)を照射し、窒素中、ホットプレート上で200℃で30分間焼成してゲート絶縁層を得た。
【0241】
次に、高分子化合物3を溶媒であるキシレンに溶解させて、濃度が0.5重量%である溶液(有機半導体組成物)を作製した。該溶液をメンブランフィルターでろ過して塗布液を調製した。
【0242】
得られた塗布液を、前記ゲート絶縁層上にスピンコート法により塗布し、膜厚が約30nmの活性層を形成した。次いで、メタルマスクを用いた真空蒸着法により、活性層上に、チャネル長20μm、チャネル幅2mmのソース電極及びドレイン電極を形成し、電界効果型有機薄膜トランジスタ1を作製した。ソース電極及びドレイン電極は、活性層側から、酸化モリブデンと金が積層した構造を有する。
【0243】
<トランジスタ特性の評価>
こうして作製した電界効果型有機薄膜トランジスタ1について、ゲート電圧Vgを20〜−40V、ソース・ドレイン間電圧Vsdを0〜−40Vに変化させた条件で、そのトランジスタ特性を真空プロ−バ(BCT22MDC−5−HT−SCU;Nagase Electronic Equipments Service Co., LTD製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0244】
電界効果型有機薄膜トランジスタのヒステリシスは、ソース・ドレイン間電圧Vsdが−40Vで、ゲート電圧Vgを20V→−40Vに変化させた際の閾値電圧Vth1とゲート電圧Vgを−40V→20Vに変化させた際の閾値電圧Vth2との電圧差異で表した。
【0245】
比較例1
(電界効果型有機薄膜トランジスタの製造)
10mlのサンプル瓶に、ポリビニルフェノール−コ−ポリメチルメタクリレート(アルドリッチ製、Mn=6700)を1.00g、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメトキシメチルメラミン(住友化学製)を0.163g、熱酸発生剤(みどり化学(株)製、商品名:TAZ-108)を0.113g、2−ヘプタノンを7.00g入れ、攪拌溶解して均一な塗布溶液2を調製した。
【0246】
塗布溶液1に代えて塗布溶液2を用い、ゲート絶縁層の形成時にUV照射を行わない以外は実施例1と同様にして電界効果型有機薄膜トランジスタ2を作製し、トランジスタ特性を測定し、評価したがゲート電圧Vgが20V〜―40Vの領域ではトランジスタとして動作しなかった。
【0247】
【表1】

【符号の説明】
【0248】
1…基板、
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及び
式(1)
【化1】

(1)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rbbは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び第1の官能基を含有する繰り返し単位であって、該第1の官能基が、活性水素と反応しうる第2の官能基を、電磁波もしくは熱の作用により生成しうる官能基である繰り返し単位、を含有する高分子化合物(A−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(B)
N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及び
式(2)
【化2】

(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rccは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び第1の官能基を含有する繰り返し単位であって、該第1の官能基が、活性水素と反応しうる第2の官能基を、電磁波もしくは熱の作用により生成しうる官能基である繰り返し単位、を含有する高分子化合物(B−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有し、
高分子化合物(A−2)と高分子化合物(B−2)の少なくとも一方の高分子化合物を含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項2】
前記高分子化合物(A−2)又は前記高分子化合物(B−2)又はこれらの両方が、さらに、式(3)
【化3】

(3)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を含有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位を含有する請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項3】
前記第1の官能基が、ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項4】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式(4)
【化4】

(4)
[式中、Xaは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R及びRは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項5】
前記ブロック化剤でブロックされたイソシアナト基及びブロック化剤でブロックされたイソチオシアナト基が、式(5)
【化5】

(5)
[式中、Xbは、酸素原子又は硫黄原子を表し、R〜Rは、同一又は相異なり、水素原子又は炭素数1〜20の一価の有機基を表す。]
で表される基である請求項3に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項6】
前記高分子化合物(A−2)又は前記高分子化合物(B−2)又はこれらの両方が、さらに、活性水素を1個含有する構造単位を2個以上、又は、活性水素を2個以上含有する構造単位を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項7】
さらに、活性水素を2個以上含有する低分子化合物である活性水素化合物及び活性水素を2個以上含有する高分子化合物である活性水素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の活性水素化合物を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項8】
(A)
ビニルオキシ基を含有する低分子化合物(A−1)、及び
式(1)
【化6】

(1)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rbbは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び式(3)
【化7】

(3)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を含有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位、を含有する高分子化合物(A−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
(B)
N−マレオイルアミノ基を含有する低分子化合物(B−1)、及び
式(2)
【化8】

(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rccは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。]
で表される繰り返し単位、及び式(3)
【化9】

(3)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基を表す。Raaは、高分子化合物の主鎖と側鎖とを連結し、フッ素原子を有していてもよい連結部分を表す。aは、0または1の整数を表し、bは、1〜5の整数を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ただし、少なくとも1個のRfは、フッ素原子又はフッ素原子を含有する炭素数1〜20の一価の有機基である。]
で表される繰り返し単位、を含有する高分子化合物(B−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、含有し、
高分子化合物(A−3)と高分子化合物(B−3)の少なくとも一方の高分子化合物を含有する有機薄膜トランジスタ絶縁層材料。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;及び
該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を含む液を基材に塗布して該基材上に塗布層を形成する工程;
該塗布層に電磁波又は電子線を照射する工程;及び
該塗布層に熱を印加する工程;
を包含する有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法。
【請求項11】
前記電磁波が紫外線である請求項9又は10に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層の形成方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ絶縁層材料を用いて形成した有機薄膜トランジスタ絶縁層を有する有機薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記有機薄膜トランジスタ絶縁層がゲート絶縁層である請求項12に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の有機薄膜トランジスタを含むディスプレイ用部材。
【請求項15】
請求項14に記載のディスプレイ用部材を含むディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−8951(P2013−8951A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113954(P2012−113954)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】