説明

光学測定装置、光学測定方法および同測定方法を用いた光学フィルムの製造方法

【課題】同じ測定箇所で位相差値と厚みデータとを測定することで、複屈折や厚み方向位相差値Rthをより精度よく得ることができる光学測定装置を提供する。
【解決手段】光学測定装置Mは、光学フィルムSに光L1を入射する投光器30と、投光器30から光学フィルムSに入射された入射光L1を受光する受光器34と、受光器34によって受光された透過光L1から光学フィルムSの面内位相差値R0を算出する位相差R0算出部11と、位相差R0算出部11で面内位相差値R0を算出するのに用いた入射光L1と同じ入射光L1を用いて光学フィルムSの厚みデータdを算出する厚み算出部12とを備えている。受光器34は、2つのファイバ部8a,8bに分岐される光ファイバ8を含んでおり、一方のファイバ部8aが位相差R0算出部11に接続され、他方のファイバ部8bが厚み算出部12に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学測定装置、光学測定方法および同測定方法を用いた光学フィルムの製造方法に関するものである。特に、本発明は、位相差及び厚みを光学的に測定する光学測定装置及び光学測定方法、並びに、この光学測定方法を用いた光学フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置をはじめとするフラットパネルディスプレイには、コントラストや視野角向上のため、位相差フィルムや偏光子保護フィルムなどの光学フィルムが用いられている。位相差フィルムは、所定の位相差値を有していることが必要であり、偏光子保護フィルムは、複屈折が発現していないことが必要とされている。また、これら光学フィルムにおいては、高い均一性が必要であり、その測定や評価に対して非常に高い精度が要求されている。
【0003】
このような位相差や複屈折を測定する測定装置として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の装置が知られている。特許文献1に記載の測定装置では、測定用の光源として、ハロゲンランプやHe−Neレーザに代えてLED光を利用して複屈折を測定するようにしており、光源の交換頻度を少なくしてメンテナンス性を向上させている。特許文献2に記載の測定装置では、測定用の光源としてハロゲンランプを利用して、精度のよい位相差の波長分散特性をインラインで測定している。
【0004】
また、フラットパネルディスプレイ等に用いられる光学フィルムでは、複屈折の測定値を高精度に測定することが求められており、より正確な複屈折を測定するために同じ測定箇所での位相差値と推定厚みデータとを求め、これら位相差値と厚みデータとに基づいて複屈折を算出することにより複屈折を高精度に算出できるとする測定装置が、例えば特許文献3で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−285871号公報
【特許文献2】特開2011−013140号公報
【特許文献3】特平11−326190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1,2に記載の測定装置は、光学フィルムの厚みdと複屈折との掛け合わせで算出される面内位相差値R0(後述の式(1)参照)を直接測定するものであり、光学フィルムの厚みdが正確に計測できないと複屈折を精度よく算出するのが難しいといった問題があった。また、厚み方向位相差値Rthは、測定対象の光学フィルムに対して垂直方向から傾けて投光した光を受光して求める位相差値Rθと上述した面内位相差値R0とから算出することができるが、この厚み方向位相差値Rthにおいても、面内位相差値R0と位相差値Rθとから屈折率Nx,Ny,Nzを求め、これら屈折率と厚みdとから算出されるため(後述の式(2)(3)参照)、光学フィルムの厚みdが正確に計測できないと厚み方向位相差値Rthを精度よく測定するのが難しいといった問題もあった。
【0007】
また、特許文献3に記載の測定装置では、上述したような点に鑑みて、同じ測定箇所で位相差値と厚みデータとを測定しようと試みているものの、実際には、位相差測定器と厚み測定器とを別に用意し、測定タイミングセンサーを用いて、概ね同じ箇所となるように測定のタイミングを計って、それぞれの値を測定しているに過ぎなかった。つまり、特許文献3に記載の測定装置では、事前に測定した厚みデータを用いて複屈折を算出することは出来るものの、測定器の設置箇所が2箇所となるため、特にインラインで測定する場合、光学フィルムの蛇行やフィルム搬送時の光学フィルムの揺れ等が発生すると、必ずしも同じ測定箇所で、位相差値と厚みデータとが測定できていないといった問題があった。
【0008】
本発明は、同じ測定箇所で位相差値R0,Rθと厚みデータdとを測定することで、複屈折、NZ係数(後述の式(4)参照)や厚み方向位相差値Rthをより精度よく得ることができる光学測定装置、光学測定方法、及び、同測定方法を用いた光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学測定装置は、被測定物に光を入射する光入射手段と、光入射手段から被測定物に入射された入射光を受光する受光手段と、受光手段によって受光された入射光から被測定物の位相差値を算出する位相差値算出手段と、位相差値算出手段で位相差値を算出するのに用いた入射光と同じ入射光を用いて被測定物の厚みデータを算出する厚み算出手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る光学測定方法は、被測定物を測定する光学測定方法であって、光入射手段によって被測定物に光を入射させる光入射ステップと、光入射ステップで被測定物に入射された入射光を受光手段によって受光する受光ステップと、受光ステップで受光された入射光から位相差値算出手段によって被測定物の位相差値を算出する位相差値算出ステップと、位相差値算出ステップで位相差値を算出するのに用いた入射光と同じ入射光を用いて被測定物の厚みデータを厚み算出手段によって算出する厚み算出ステップとを備えたことを特徴としている。
【0011】
本発明に係る光学測定装置及び光学測定方法では、位相差値算出手段で位相差値を算出するのに用いた入射光を、厚み算出手段による厚みの算出にも用いるようにしている。この場合、位相差値算出手段と厚み算出手段とで同じ入射光、すなわち、被測定物における同じ測定箇所に照射した光を用いていることになり、その結果、同じ測定箇所で位相差値と厚みデータとを測定することができ、これにより、複屈折や厚み方向位相差値Rthを精度よく得ることが可能となる。
【0012】
また、上述した光学測定装置及び光学測定方法では、被測定物に光を入射する光入射手段を共通にすることができるため、光源などを含む光入射手段の交換頻度を低減化でき、測定装置や測定方法におけるメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0013】
上述した光学測定装置は、位相差値算出手段で算出された被測定物の位相差値と、厚み算出手段で算出された被測定物の厚みデータとに基づいて、被測定物の複屈折を算出する複屈折算出手段を更に備えるようにしてもよい。また、上述した光学測定方法は、位相差値算出ステップで算出された被測定物の位相差値と、厚み算出ステップで算出された被測定物の厚みデータとに基づいて、複屈折算出手段によって被測定物の複屈折を算出する複屈折算出ステップを更に備えるようにしてもよい。
【0014】
この場合、同じ測定箇所で測定された位相差値と厚みデータとによって精度よく複屈折を得ることが光学装置で出来るようになる。特に、インライン測定時において、測定された位相差値(面内位相差値R0等)が、厚みの変動に由来しているものなのか、または、複屈折に由来して発現しているものであるかを、より正確に知ることができる。複屈折に由来しているとは、例えば、被測定物を搬送中の張力の変動や延伸過程での配向の変動に起因するといったものであり、それらを特定することができる。
【0015】
上述した光学測定装置において、受光手段は、導光方向下流において少なくとも位相差算出手段と厚み算出手段との2つの算出手段に接続されているようにしてもよい。受光手段による受光を複数に分岐する手段としては、少なくとも2つのファイバ部に分岐された光ファイバを用いることができ、これにより、簡易な構成で位相差値と厚みとを同じ測定箇所にて測定することができる。このように、受光手段として、分岐された光ファイバを用いた場合、光ファイバの一方のファイバ部が位相差値算出手段に接続され、光ファイバの他方のファイバ部が厚み算出手段に接続される。この場合、位相差値算出手段で位相差値を算出するのに用いた入射光を、簡易な手段によって、厚み算出手段による厚みの算出にも用いることができる。
【0016】
上述した光学測定装置において、受光手段は、光ファイバを含み、光学測定装置が、位相差値算出手段と厚み算出手段とをそれぞれ切り替えて光ファイバに接続させる切替手段を更に備えているようにしてもよい。この場合、位相差値算出手段で位相差値を算出するのに用いた入射光を、簡易な手段によって、厚み算出手段による厚みの算出にも用いることができる。また、この場合、位相差値又は厚みの必要な測定値のみを測定することもできるため、算出時間を削減することが可能となる。更に、位相差値又は厚みの一方の算出が可能な装置に対し、算出手段と受光手段とのインターフェイスが光ファイバであれば、ファイバを付け替えるのみで他方の測定が可能となるため、算出手段の装置スペースを減少させることもできる。
【0017】
上述した光学測定装置において、光入射手段が、被測定物に対して垂直に第1の光を入射する第1の光入射手段と、第1の光を入手した点と略同じ位置に被測定物に対して所定の傾斜角度で第2の光を入射する第2の光入射手段とを含むようにしてもよい。そして、この光学測定装置において、受光手段が、第1の光入射手段から被測定物に入射された第1の入射光を受光する第1の受光手段と、第2の光入射手段から被測定物に入射された第2の入射光を受光する第2の受光手段と、を含むようにしてもよい。なお、ここで「略同じ位置」としたのは、被測定物が光学フィルムのような薄いシート状のものである場合、それを移動させて光学測定しようとすると、どうしても多少はフィルムが上下にばたついたり左右に蛇行したりしてしまい、完全に同じ位置に光を入射させるのが難しい場合があることを考慮したものであり、製造上許容できる範囲で入射位置が多少ずれた場合も含む趣旨である。
【0018】
また、上述した光学測定装置において、位相差値算出手段が、更に、第1の受光手段によって受光された第1の入射光から被測定物の面内位相差値R0を算出する第1の位相差値算出手段と、第2の受光手段によって受光された第2の入射光から被測定物の傾斜方向位相差値Rθを算出する第2の位相差値算出手段と、第1及び第2の位相差値算出手段で算出される面内位相差値R0及び傾斜方向位相差値Rθに基づいて、被測定物の厚み方向位相差値Rthを算出する第3の位相差値算出手段と、を含むようにしてもよい。
【0019】
上述した光学測定装置は、被測定物の走行方向に交差する幅方向に光を走査させるために光入射手段と受光手段とを幅方向に移動させるトラバース機構を更に備えていてもよい。この場合、被測定物の複屈折等を、幅方向に異なる場所で測定算出できるため、高い均一性を有する光学フィルムを得ることができ、より確実にインライン測定することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、光学フィルムの製造方法としても捉えることもでき、本発明に係る光学フィルムの製造方法としては、上述した光学測定方法によって、被測定物である光学フィルムの位相差値、厚みデータ、複屈折及びNZ係数の何れかを算出する算出ステップと、算出ステップで算出された光学フィルムの位相差値、厚みデータ、複屈折及びNZ係数の何れかに基づいて、特性判定手段によって光学フィルムの特性を判定する特性判定ステップと、特性判定ステップで判定された光学フィルムの特性を、光学フィルムの特性と所定の製造条件との関係を予め定めた条件調整データベースに照合し、条件調整手段によって光学フィルムの製造条件を調整する条件調整ステップとを備えたことを特徴としている。
【0021】
この場合、被測定物における位相差値の変動の原因が厚み変動によるものであるか、または複屈折の変動によるものであるか等をより容易に特定することができ、例えば、特定の面内位相差値R0又は厚み方向位相差値Rthにするために、被測定物の製造工程における張力条件の変更や延伸倍率の変更といった製造条件の調整を迅速に行うことができる。これにより、本発明に係る製造方法によれば、より高い均一性の光学フィルムを連続して得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光学測定装置及び光学測定方法によれば、同じ測定箇所で位相差値と厚みデータとを測定することで複屈折、NZ係数や厚み方向位相差値Rthを精度よく得ることができる。また、本発明に係る製造方法によれば、複屈折の値等が高精度に制御された均一性の高い光学フィルムを連続して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る光学測定装置を示す模式的ブロック図である。
【図2】第2実施形態に係る光学測定装置を示す模式的ブロック図である。
【図3】第3実施形態に係る光学測定装置を示す模式的ブロック図である。
【図4】光学測定装置の変形例を示す模式的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る光学測定装置Mについて説明する。図1に示されるように、光学測定装置Mは、第1及び第2の投光器30,32(光入射手段)と、第1及び第2の受光器34,36(受光手段)と、位相差R0算出部11(第1の位相差値算出手段)と、厚み算出部12(厚み算出手段)と、位相差Rθ算出部13(第2の位相差値算出手段)と、位相差Rth算出部14(第3の位相差値算出手段)と、これらを制御する制御部15とを備えている。
【0026】
第1の投光器30は、第1の光源1、第1の投光ファイバ2、及び第1の投光レンズ3を含んで構成されており、被測定物である光学フィルムSに対して垂直となるように第1の光L1を光学フィルムSの点Pに入射する部材である。第2の投光器32は、第2の光源4、第2の投光ファイバ5、及び第2の投光レンズ6を含んで構成され、被測定物である光学フィルムSに対して所定の角度(本実施形態では45度)となるように第2の光L2を光学フィルムSの点Pに入射する部材である。
【0027】
第1及び第2の投光器30,32は、光学フィルムSに光L1,L2を照射する際、略同じ位置(点P)に光L1,L2を照射するように設定されている。ここで、「略同じ位置」としたのは、光学フィルムSのような薄いシート状のものを移動させて光学測定しようとすると、どうしても多少はフィルムが上下にばたついたり左右に蛇行したりしてしまい、完全に同じ位置に光を入射させるのが難しい場合があることを考慮したものであり、製造上許容できる範囲で入射位置が多少ずれた場合も含む趣旨である。また、第1及び第2の光源1,4は、例えば、ハロゲンランプなどから構成されており、近赤外域(750〜850nm)の多波長成分を含む測定光として白色光を照射する。第1及び第2の投光器30,32は、他にも、分光フィルタや偏光子等を含んで構成される。偏光子としては、グラントムソンプリズム等を例示できる。
【0028】
第1の受光器34は、第1の検光子7及び第1の受光ファイバ8を含んで構成されており、第1の投光器30から光学フィルムSに入射されて透過した第1の透過光L1を受光する部材である。第1の受光器34は、第1の投光器30からの透過光L1を受光するため、検光子7の受光方向が光学フィルムSに対して垂直になるように配置されている。第1の受光器34の受光ファイバ8は、導光方向の下流において第1及び第2のファイバ部8a,8bに分岐されており、第1のファイバ部8aが位相差R0算出部11に接続され、第2のファイバ部8bが厚み算出部12に接続されている。このような分岐により、位相差R0算出部11と厚み算出部12とには、同じ透過光L1(変換後の電気信号)が導入されるようになっている。第1及び第2の投光器30,32と第1及び第2の受光器34,36とは、それぞれの分光された測定光の波長分散特性を取得するために、回転駆動を設けることができる。
【0029】
第2の受光器36は、第2の検光子9及び第2の受光ファイバ10を含んで構成されており、第2の投光器32から光学フィルムに入射されて透過した第2の透過光L2を受光する部材である。第2の受光ファイバ10は、導光方向の下流端が位相差Rθ算出部13に接続されており、位相差Rθ算出部13に透過光L2(変換後の電気信号)が導入される。第2の受光器36は、第2の投光器32からの透過光L2を受光するため、検光子9の受光方向が光学フィルムSに対して所定の角度(本実施形態では45度)となるように配置されている。なお、検光子9の角度は適宜、変更することが可能となっている。第1及び第2の受光器34,36は、更に偏光板や光電子倍増管(PMT)等を含んで構成することもできる。
【0030】
位相差R0算出部11は、第1の受光器34によって受光された透過光L1を電気信号に変換した値から波長分散特性(平行ニコル及び直行ニコル時の特定波長範囲の分光透過率等)を取得し、光学フィルムSの面内位相差値R0を算出する部分である。位相差R0算出部11は、演算処理部を備え、例えば、回転検光子法に基づく処理プログラムにより、受光器34から入力された透過光L1の電気信号等に基づいて面内位相差値R0を算出する。また、位相差R0算出部11は、遅相軸も算出できる。回転検光子法による算出方法については、従来技術であり、詳しい説明を省略するが、例えば、特許文献1(特開2007−285871号公報)や特許文献2(特開2011−013140号公報)に開示されている技術を適宜、用いることができる。位相差R0算出部11は、算出した位相差値R0を位相差Rth算出部14に出力する。
【0031】
位相差R0算出部11で算出される面内位相差値R0は、以下の式(1)で表される。
R0=(Nx―Ny)×d ・・・(1)
Nx:光学フィルムSの面内方向における主屈折率(遅相軸)
Ny:光学フィルムSの面内方向における主屈折率(進相軸)
(但し、Nx−Nyは「面内複屈折」を示す)
d:光学フィルムSの厚み
【0032】
厚み算出部12は、位相差R0算出部11で面内位相差値R0を算出するのに用いた透過光L1と同じ透過光L1を電気信号に変換した値から波長分散特性を用いて、光学フィルムSの厚みデータdを算出する部分である。厚み算出部12は、特定波長範囲の透過率を測定器により取得して周波数変換を行い、パワースペクトルを求める。そして、厚み算出部12は、このパワースペクトルに現れるピークから、光学フィルムSの厚みdを算出することができる。周波数変換においては、一般的に離散フーリエ変換が用いられる。波長範囲としては、特に制限されることはないが、380nm〜1600nmが用いられる。本実施形態で用いられる厚み算出方法としては、光源1等から投光された測定光を受光して厚みdを算出できるものであればよく、特に制限されることはないが、例えば特開2010−002328号公報(発明の名称:膜厚測定装置)に記載の測定技術などを適宜、用いることができる。
【0033】
位相差Rθ算出部13は、第2の受光器36によって受光された透過光L2を電気信号に変換した値から波長分散特性(平行ニコル及び直行ニコル時の特定波長範囲の分光透過率等)を取得し、光学フィルムSの傾斜方向位相差値Rθを算出する部分である。位相差Rθ算出部13は、位相差R0算出部11と同様の演算処理部を備え、例えば、回転検光子法に基づく処理プログラムにより、受光器36から入力された透過光L2の電気信号等に基づき、傾斜方向位相差値Rθを算出する。位相差Rθ算出部13は、算出した位相差値Rθを位相差Rth算出部14に出力する。
【0034】
位相差Rth算出部14は、位相差R0算出部11で算出された面内位相差値R0及び位相差Rθ算出部13で算出された傾斜方向位相差値Rθに基づいて、光学フィルムSの厚み方向位相差値Rthを算出する部分である。位相差Rth算出部14は、面内位相差値R0及び傾斜方向位相差値Rθに基づいて、まずは、光学フィルムSの面内の主屈折率Nx,Nyと、厚さ方向の主屈折率Nzとを求める。
【0035】
そして、主屈折率Nx,Ny,Nzを算出した位相差Rth算出部14は、下記の式(2)又は(3)に基づいて、主屈折率Nx,Ny,Nzや光学フィルムSの厚みdから厚み方向位相差値Rthを算出する。
Rth=[{(Nx+Ny)/2}―Nz]×d ・・・(2)
Rth={(Nx―Nz)+(Ny−Nz)}×d/2 ・・・(3)
【0036】
位相差Rth算出部14は、算出した厚み方向位相差値Rthと、取得した面内位相差値R0、傾斜方向位相差値Rθ、主屈折率Nx,Ny,Nz及び厚みdとを、制御部15に出力する。
【0037】
制御部15は、投光器30,32、受光器34,36、位相差R0算出部11、厚み算出部12、位相差Rθ算出部13、及び、位相差Rth算出部14を制御する部分である。制御部15は、例えば、投光器32及び受光器34の傾斜角度、偏光子、検光子や分光フィルタの駆動を調整したりする。また、制御部15は、不図示のトラバース機構も制御し、このトラバース機構によって、投光器30,32や受光器34,36等を光学フィルムSの走行方向Fに直交する幅方向Wに移動させる。これにより、光学フィルムSの幅方向に光L1,L2を走査させることができる。なお、制御部15は、取得した厚み方向位相差値Rth、面内位相差値R0、傾斜方向位相差値Rθ、主屈折率Nx,Ny,Nz及び厚みdなどをディスプレイなどに表示させたり、所定のデータ処理等を行うようにしてもよい。
【0038】
次に、上述した構成を備える光学測定装置Mによる測定方法について説明する。
【0039】
まず、第1の投光器30によって、被測定物である光学フィルムSに対して垂直となるように第1の光L1を光学フィルムSの点Pに入射させる。また、同様に、第2の投光器32によって、光学フィルムSに対して所定の角度(本実施形態では45度)となるように第2の光L2を光学フィルムSの点Pに入射させる。
【0040】
続いて、第1の受光器34によって、第1の投光器30から光学フィルムSに入射されて透過した第1の透過光L1を受光する。第1の受光器34の受光ファイバ8が導光方向の下流において第1及び第2のファイバ部8a,8bに分岐されていることから、位相差R0算出部11と厚み算出部12とには、同じ透過光L1(変換後の電気信号)が導入される。また、第2の受光器36によって、第2の投光器32から光学フィルムに入射されて透過した第2の透過光L2(変換後の電気信号)を受光する。そして、第2の受光器36によって、位相差Rθ算出部13に透過光L2が導入される。
【0041】
続いて、位相差R0算出部11によって、第1の受光器34によって受光された透過光L1を電気信号に変換した値から波長分散特性(平行ニコル及び直行ニコル時の特定波長範囲の分光透過率等)が取得され、光学フィルムSの面内位相差値R0が算出される。位相差R0算出部11は、例えば、回転検光子法に基づく処理プログラムにより、受光器34から入力された透過光L1の電気信号等に基づき面内位相差値R0を算出する。
【0042】
また、厚み算出部12によって、位相差R0算出部11で面内位相差値R0を算出するのに用いた透過光L1と同じ透過光L1を電気信号に変換した値から波長分散特性を用いて、光学フィルムSの厚みデータdが算出される。厚み算出部12によって、特定波長範囲の透過率を測定器により取得して周波数変換を行い、パワースペクトルが求められる。そして、厚み算出部12によって、このパワースペクトルに現れるピークより厚みdが算出される。
【0043】
また、位相差Rθ算出部13によって、第2の受光器36によって受光された透過光L2を電気信号に変換した値から波長分散特性(平行ニコル及び直行ニコル時の特定波長範囲の分光透過率等)が取得され、光学フィルムSの傾斜方向位相差値Rθが算出される。位相差Rθ算出部13は、例えば、回転検光子法に基づく処理プログラムにより、受光器36から入力された透過光L2の電気信号等に基づき、傾斜方向位相差Rθを算出する。
【0044】
続いて、位相差Rth算出部14によって、位相差R0算出部11で算出された面内位相差値R0及び位相差Rθ算出部13で算出された傾斜方向位相差値Rθに基づいて、光学フィルムSの厚み方向位相差値Rthが算出される。位相差Rth算出部14によって、まずは、面内位相差値R0及び傾斜方向位相差値Rθに基づいて、光学フィルムSの面内の主屈折率Nx,Nyと、厚さ方向の主屈折率Nzとが求められる。
【0045】
その後、主屈折率Nx,Ny,Nzを算出した位相差Rth算出部14によって、式(2)又は(3)に基づいて、厚み方向位相差値Rthが算出される。そして、位相差Rth算出部14によって算出された厚み方向位相差値Rthと、取得された面内位相差値R0、厚みd、傾斜方向位相差値Rθ及び主屈折率Nx,Ny,Nzとが、制御部15に出力される。
【0046】
以上、本実施形態に係る光学測定装置M及び光学測定装置Mによる測定方法では、位相差R0算出部11で位相差値R0を算出するのに用いた透過光L1を、厚み算出部12による厚みdの算出にも用いるようにしている。このため、位相差R0算出部11と厚み算出部12とで同じ透過光L1、すなわち、光学フィルムSにおける同じ測定箇所Pに照射した光L1を用いていることになり、その結果、同じ測定箇所P1で位相差値R0と厚みデータdとを測定することができる。その結果、式(1)を用いることにより、面内複屈折Nx−Nyを精度よく得ることが可能となる。
【0047】
また、光学測定装置M及び光学測定装置Mによる測定方法では、傾斜方向位相差値Rθを算出するための透過光L2が、面内位相差値R0や厚みデータdを算出するのに用いる透過光L1と略同じ場所Pを透過するように設定されている。このため、同じ測定箇所P1で、更に、傾斜方向位相差値Rθを測定することができる。その結果、複屈折やNZ係数や厚み方向位相差値Rthを精度よく得ることが可能となる。なお、NZ係数は、下記の式(4)で表現される値であって、主屈折率Nx,Ny,Nzのそれぞれの大小関係を表現する指標となる値である。
NZ係数=(Nx−Nz)/|Nx−Ny| ・・・(4)
【0048】
また、光学測定装置M及び光学測定装置Mによる測定方法では、光学フィルムSに光L1を入射する投光器30を共通にすることができるため、光源などを含む投光器30の交換頻度を低減化でき、光学測定装置Mや同装置Mによる測定方法におけるメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0049】
また、光学測定装置Mにおいて、受光器34は、導光方向下流において2つのファイバ部8a,8bに分岐される光ファイバ8を含み、光ファイバ8の一方のファイバ部8aが位相差R0算出部11に接続され、光ファイバ8の他方のファイバ部8bが厚み算出部12に接続されている。このため、位相差R0算出部11で面内位相差値R0を算出するのに用いた透過光L1を、簡易な手段によって、厚み算出部12による厚みdの算出にも用いることができる。
【0050】
また、光学測定装置Mは、光学フィルムSの走行方向Fに交差する幅方向Wに光L1,L2を走査させるために投光器30,32と受光器34,36とを幅方向Wに移動させるトラバース機構を更に備えている。このため、光学フィルムSの面内位相差値R0や傾斜方向位相差値Rθ、更に厚みdなどを、幅方向Wにおいて異なる場所で測定算出できるため、高い均一性を得ることができ、より確実にインライン測定することができる。
【0051】
ここで、上述した測定方法を光学フィルムSの製造方法に利用した例について簡単に説明する。
【0052】
例えば、光学フィルムSの製造方法では、所望の面内位相差値R0や厚み方向位相差Rthになるように光学フィルムSを管理する必要があるが、正確な厚みdを算出するといった上述の測定方法により、これらの特性を精度よく管理して、光学フィルムSを製造することができる。即ち、上述した測定方法で算出された厚みデータd(及び厚みデータd等から算出可能な複屈折等)を用いることにより、特性の変動が厚みdの変動によるものであるのか、あるいは、厚みdではなく複屈折の変動等によるものであるのかを判定することができる。更には、同じ測定箇所Pにおいて測定した面内位相差値R0、傾斜方向位相差値Rθ、更に厚みdから算出した主屈折率Nx,Ny,Nzから式(4)より求められる精度のよいNZ係数を指標として製造条件を調整することができる。
【0053】
そこで、このような測定方法を利用した光学フィルムSの製造方法としては、まずは、光学フィルムSの位相差値R0,Rth、厚みデータd、NZ係数及び複屈折などを上述した測定方法によって算出する。そして、これによって算出された光学フィルムSの位相差値R0,Rth、厚みデータd、NZ係数及び複屈折の何れかに基づいて、特性を判定する特性判定部で、光学フィルムの特性を判定する。その後、特性が判定された光学フィルムSの特性を、光学フィルムSの特性と所定の製造条件との関係を予め定めた条件調整データベースに照合し、条件調整部によって光学フィルムSの製造条件を調整する。なお、特性判定部、条件照合データベース、及び条件調整部は、例えば、制御部15等に含まれる。
【0054】
このような製造方法を適用すれば、例えば、所望の面内位相差値R0よりも、製造中の光学フィルムSの面内位相差値R0が低い場合には、延伸倍率を上げたり、延伸温度を下げる等することで厚みdを増やしたりして、面内位相差値R0の値を調整することができる。また、光学フィルムSの幅方向Wの特定の位置において面内位相差値R0が低い場合には、特定位置のみをIRヒータ等の局所加熱装置を用いて熱を付与すること等により、所望の面内位相差値R0になるように調整することができる。
【0055】
また、光学フィルムSの製造中において、例えば、光学フィルムSを繰り出し始めて、徐々にフィルムSの厚みdが上昇していることが観測された場合には、その測定された厚みdの値に基づいて、延伸温度を上げたり、延伸倍率を下げたり等することで、面内位相差値R0や厚み方向位相差値Rthが適正な値になるように調整することができる。このように、上述した製造方法によれば、より高い均一性の光学フィルムSを連続して得ることが可能となる。後述する実施形態で説明する測定装置でも同様である。
【0056】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る光学測定装置M1について説明する。光学測定装置M1は、図2に示されるように、複屈折算出機能を更に備えた複屈折・位相差Rth算出部16(複屈折算出手段、第3の位相差値算出手段)を備えた点で第1実施形態と相違している。複屈折・位相差Rth算出部16は、第1実施形態の位相差Rth算出部14と同様の位相差Rth算出機能も備えている。光学測定装置M1の他の構成は第1実施形態と同じである。
【0057】
複屈折・位相差Rth算出部16は、位相差算出部11,13で算出された光学フィルムSの位相差値R0,Rthと、厚み算出部12で算出された光学フィルムの厚みデータdとに基づいて、光学フィルムの複屈折を算出する部分である。複屈折・位相差Rth算出部16は、位相差R0算出部11から面内位相差値R0が、厚み算出部12から厚みデータdが入力されると、これらのデータを式(1)に入力して、面内複屈折Nx−Nyを求める。また、複屈折・位相差Rth算出部16は、位相差Rθ算出部13から傾斜方向位相差値Rθが、厚み算出部12から厚みデータdが入力されると、これらのデータを式(2)又は(3)に入力して、厚み方向複屈折Nx−Nz,Ny−Nz及びNZ係数を求める。複屈折・位相差Rth算出部16は、主屈折率Nx,Ny,NzからNZ係数を算出することができる。複屈折・位相差Rth算出部16は、求めた複屈折及びNZ係数を制御部15に出力する。
【0058】
このように複屈折・位相差Rth算出部16を設けることにより、同じ測定箇所Pで測定された位相差値R0,Rθと厚みデータdとによって精度よく複屈折を得ることができる。特に、インライン測定時において、測定された位相差値(面内位相差値R0等)が、厚みdの変動に由来しているものなのか、または、複屈折に由来して発現しているものであるかを、本実施形態による測定装置M1によれば、より正確に知ることができる。複屈折に由来しているとは、例えば、被測定物を搬送中の張力の変動や延伸過程での配向の変動に起因するといったものであり、この実施形態によれば、それらを特定することができる。
【0059】
なお、複屈折・位相差Rth算出部16を備えた光学測定装置M1による測定方法では、第1実施形態での測定方法での各ステップに加えて、算出された光学フィルムSの位相差値R0,Rθと、算出された光学フィルムSの厚みデータdとに基づいて、複屈折・位相差Rth算出部16によって光学フィルムSの複屈折及びNZ係数が算出されるようになっている。
【0060】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る光学測定装置M2について説明する。光学測定装置M2は、図3に示されるように、厚み算出部12が、導光方向下流で分岐するファイバ部20a,20bを含む光ファイバ20を有する第2の受光器40に接続されている点で、第2実施形態と相違している。
【0061】
光学測定装置M2では、斜め方向に入射された光L2がファイバ部20bを介して、厚み算出部12に入力されている。つまり、位相差Rθ算出部13で位相差値Rθを算出するのに用いた透過光L2を、厚み算出部12による厚みdの算出にも用いるようにしている。このため、位相差Rθ算出部13と厚み算出部12とで同じ透過光L2、すなわち、光学フィルムSにおける同じ測定箇所Pに照射した光L2を用いていることになり、その結果、同じ測定箇所Pで位相差値Rθと厚みデータdとを測定することができる。なお、第1の受光器38は、導光方向下流で分岐していない光ファイバ18を含んで構成され、位相差R0算出部11にのみ接続されている。
【0062】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、光ファイバ8、20を2つのファイバ部8a,8b又は20a,20bに分岐することで、位相差算出部11,13で位相差値を算出するのに用いた透過光L1又はL2を、厚み算出部12による厚みdの算出にも用いるようにしているが、図4に示されるように、光学測定装置M3において、受光器42が、第1の検光子7及び分岐していない光ファイバ22を含み、光学測定装置M3が、位相差R0算出部11(又は位相差Rθ算出部13)と厚み算出部12とをそれぞれ切り替えて光ファイバ22(又は光ファイバ10)に接続させる切替手段を更に備えているようにしてもよい。
【0063】
このような変形例によっても、位相差R0算出部11又は位相差Rθ算出部13で位相差を算出するのに用いた透過光L1又はL2を、簡易な手段によって、厚み算出部12による厚みの算出に用いることができる。また、上述した実施形態では、利用する光L1,L2を光学フィルムSに透過させるタイプの装置で説明したが、利用する光L1,L2を光学フィルムSで反射させるタイプの装置に本発明を適用してももちろんよく、その場合には、受光器はフィルムSに対し、投光器側に配置されることが好ましい。
【符号の説明】
【0064】
8…光ファイバ、8a,8b…ファイバ部、11…位相差R0算出部、12…厚み算出部、13…位相差Rθ算出部、14…位相差Rth算出部、16…複屈折・位相差Rth算出部、30,32…投光器、34,36,38,40,42…受光器、M,M1〜M3…光学測定装置、S…光学フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に光を入射する光入射手段と、
前記光入射手段から前記被測定物に入射された入射光を受光する受光手段と、
前記受光手段によって受光された入射光から前記被測定物の位相差値を算出する位相差値算出手段と、
前記位相差値算出手段で前記位相差値を算出するのに用いた入射光と同じ入射光を用いて前記被測定物の厚みデータを算出する厚み算出手段と、
を備えたことを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記位相差値算出手段で算出された前記被測定物の位相差値と、前記厚み算出手段で算出された前記被測定物の厚みデータとに基づいて、前記被測定物の複屈折及びNZ係数の少なくとも一方を算出する複屈折算出手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記受光手段は、導光方向下流において少なくとも2つのファイバ部に分岐される光ファイバを含み、前記光ファイバの一方のファイバ部が前記位相差値算出手段に接続され、 前記光ファイバの他方のファイバ部が前記厚み算出手段に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学測定装置。
【請求項4】
前記受光手段は、光ファイバを含み、
前記位相差値算出手段と前記厚み算出手段とをそれぞれ切り替えて前記光ファイバに接続させる切替手段を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記光入射手段は、
前記被測定物に対して垂直に第1の光を入射する第1の光入射手段と、
前記第1の光を入手した点と略同じ位置に前記被測定物に対して所定の傾斜角度で第2の光を入射する第2の光入射手段と、を含み、
前記受光手段は、
前記第1の光入射手段から前記被測定物に入射された第1の入射光を受光する第1の受光手段と、
前記第2の光入射手段から前記被測定物に入射された第2の入射光を受光する第2の受光手段と、を含み、
前記位相差値算出手段は、
前記第1の受光手段によって受光された第1の入射光から前記被測定物の面内位相差値R0を算出する第1の位相差値算出手段と、
前記第2の受光手段によって受光された第2の入射光から前記被測定物の傾斜方向位相差値Rθを算出する第2の位相差値算出手段と、
前記第1及び第2の位相差値算出手段で算出される面内位相差値R0及び傾斜方向位相差値Rθに基づいて、前記被測定物の厚み方向位相差値Rthを算出する第3の位相差値算出手段と、を含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記被測定物の走行方向に交差する幅方向に光を走査させるために前記光入射手段と前記受光手段とを前記幅方向に移動させるトラバース機構を更に備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
被測定物を測定する光学測定方法であって、
光入射手段によって前記被測定物に光を入射させる光入射ステップと、
前記光入射ステップで前記被測定物に入射された入射光を受光手段によって受光する受光ステップと、
前記受光ステップで受光された入射光から位相差値算出手段によって前記被測定物の位相差値を算出する位相差値算出ステップと、
前記位相差値算出ステップで前記位相差値を算出するのに用いた入射光と同じ入射光を用いて前記被測定物の厚みデータを厚み算出手段によって算出する厚み算出ステップと、
を備えたことを特徴とする光学測定方法。
【請求項8】
前記位相差値算出ステップで算出された前記被測定物の位相差値と、前記厚み算出ステップで算出された前記被測定物の厚みデータとに基づいて、複屈折算出手段によって前記被測定物の複屈折を算出する複屈折算出ステップを更に備えることを特徴とする請求項7に記載の光学測定方法。
【請求項9】
光学フィルムの製造方法であって、
請求項7又は8に記載の光学測定方法によって、前記被測定物である光学フィルムの位相差値、厚みデータ及び複屈折の何れかを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出された前記光学フィルムの位相差値、厚みデータ、複屈折及びNZ係数の何れかに基づいて、特性判定手段によって前記光学フィルムの特性を判定する特性判定ステップと、
前記特性判定ステップで判定された前記光学フィルムの特性を、前記光学フィルムの特性と所定の製造条件との関係を予め定めた条件調整データベースに照合し、条件調整手段によって前記光学フィルムの製造条件を調整する条件調整ステップと、
を備えたことを特徴とする光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−251860(P2012−251860A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124238(P2011−124238)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】