説明

光通信モジュール及び光通信モジュールの製造方法

【課題】光電素子を複数備えると共に、レンズを備えない構成であっても通信精度を向上することができる光通信モジュール及びこの光通信モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】コネクタ部品が装着される装着凹部11、及び、導電板30が底部に設けられた凹所12が形成されたベース10を備え、装着凹部11に装着されたコネクタ部品が有する光ファイバの端部に受光部22及び発光部27がそれぞれ対向するように、フォトダイオード20及びレーザダイオード25を凹所12内に配設し、凹所12内に透光性の合成樹脂を充填した封止部14を設けて、透光性の合成樹脂により受光部22及び発光部27を覆う。封止部14は、ベース10の凹所12内に透光性の合成樹脂をポッティングにより充填して設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信を行うためのレーザダイオード及び/又はフォトダイオード等の光電素子をパッケージ化した光通信モジュール及びこの光通信モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバなどを利用した光通信が広く普及している。光通信は、電気信号をレーザダイオードなどの光電素子にて光信号に変換し、光ファイバを介して光信号を送受信し、受信した光信号をフォトダイオードなどの光電素子が電気信号に変換することによって行われる。このため、レーザダイオード及び/又はフォトダイオード等の光電素子を、場合によっては光電素子を動作させるための周辺回路素子と共に、1つのパッケージとして構成した光通信モジュールが広く用いられている。この光通信モジュールは、OSA(Optical Sub-Assembly)と呼ばれている。近年では、光通信及び光通信モジュールに関する種々の発明がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、光信号を送信又は受信する光電素子と、これを固定するためのステムと、光電素子をカバーするためのキャップと、光電素子に電気信号を印加又は光電素子からの電気信号を伝送する複数本のリードとを備え、ステム及びキャップにて構成されるパッケージ内に位置する所定のリードの一端に平面部を設け、この平面部に、一端が光電素子に接続され他端がリードに接続される電気回路部品を設けた構成とすることにより、高周波特性が優れ、小型化できる光−電気変換モジュールが提案されている。
【0004】
また、光通信を行うための光ファイバは、光が通るコアと、その周囲を覆って光を閉じ込めるクラッドとで構成されている。光ファイバは、石英ガラスのコアを高強度プラスチックのクラッドで覆ったHPCF(Hard Polymer Clad Fiber)、コア及びクラッドを石英ガラスで構成したAGF(All silica Glass Fiber)等のように、コア及びクラッドの材質により種々のものがあり、通信速度及びコスト等を考慮して選択される。比較的に低速な光通信に用いられるHPCFはコアの直径が200μm程度であり、高速な光通信に用いられるAGFはコアの直径が数μm〜数十μm程度である。これに対してレーザダイオードの発光部分のサイズは数μm〜十数μm程度であり、フォトダイオードの受光部分のサイズは数十μm程度である。このため、コアの直径が小さいAGFは、レーザダイオードの発光部分又はフォトダイオードの受光部分に対して位置合わせ(調芯)を行う必要がある。
【0005】
また、複数の光電素子を1つのパッケージとして光通信モジュールを構成することができる。例えば光信号の送信を行う発光素子と受信を行う受光素子とを1つのパッケージとした光通信モジュールを用いることによって、通信機器は1つの光通信モジュールを搭載するのみで、光信号の送受信を行うことが可能となる。
【0006】
光ファイバのコネクタ部品として広く用いられているMT(Mechanically Transferable)コネクタは、束ねられた複数の光ファイバを接続するためのものであり、多数の光ファイバを容易に接続して光通信システムを構築することができる。光通信モジュールをMTコネクタに連結可能な形状とし、光ファイバの数に対応した複数の光電素子を光通信モジュールに搭載する構成とすることによって、MTコネクタに連結するのみで利用できる利便性の高い光通信モジュールを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−167189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の光−電気変換モジュールは、光電素子をカバーするキャップにレンズが設けられている。これにより光電素子と光ファイバとの間にレンズが設けられ、光電素子の発光部から発した光を光ファイバの端部へ集光する、又は、光ファイバの端部から発した光を光電素子の受光部へ集光することができる。
【0009】
しかし、低コスト化又は小型化等のために、光通信モジュールにレンズを搭載しない場合がある。光電素子の発光部から発する光又は光ファイバの端部から発する光は、一定角度の広がりを持つため、レンズを搭載しない光通信モジュールでは、光電素子の発光部又は受光部と光ファイバの端部との距離を可能な限り短くすることができる構成とすることが望ましい。しかしながら、これらの距離を短くすることは容易ではないため、レンズを搭載しない光通信モジュールは、レンズを搭載した光通信モジュールと比較して通信精度の向上が難しいという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光電素子を複数備えると共に、レンズを備えない構成であっても通信精度を向上することができる光通信モジュール及びこの光通信モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る光通信モジュールは、受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部、及び、前記導電板が内奥部に設けられた凹所が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記凹所内に前記複数の光電素子を保持する保持体と、前記凹所に透光性の樹脂を充填して前記複数の光電素子を封止した封止部とを備え、前記複数の光電素子は、前記受光部又は発光部が前記封止部の樹脂で覆われていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記装着凹部内に突設され、前記他部材との接続を行うための複数の接続ピンを備え、前記凹所は、前記複数の接続ピンの間に形成してあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記光電素子が、多面体形をなし、前記受光部又は発光部と前記導電板に接続するための接続端子部とが同一の面に設けられており、前記保持体の前記装着凹部及び前記凹所は、前記導電板を介して隣り合って設けてあり、前記導電板は、前記受光部への光又は発光部からの光を通す開口が形成してあり、前記封止部は、前記導電板の開口内を前記樹脂で充填してあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記光電素子が、多面体形をなし、前記受光部又は発光部と前記導電板に接続するための接続端子部とがそれぞれ反対側に設けられており、前記保持体の前記凹所は、前記装着凹部の内奥部に形成してあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記保持体が、前記凹所の内奥部に形成された位置決め凸部を有し、前記光電素子は、前記接続端子部が設けられた面に形成された位置決め凹部を有し、前記位置決め凸部の前記位置決め凹部内への挿入により、前記保持体に対する前記光電素子の位置決めを行うようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る光通信モジュールは、受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記受光部又は発光部を露出させて前記装着凹部の内奥部に前記光電素子を埋設して保持する保持体とを備え、前記複数の光電素子は、前記受光部又は発光部が透光性の樹脂で覆われていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る光通信モジュールは、前記導電板に接続された電気回路部品と、該電気回路部品及び前記光電素子を電気的に接続する接続線とを更に備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る光通信モジュールの製造方法は、受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部、及び、前記導電板が内奥部に設けられた凹所が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記凹所内に前記複数の光電素子を保持する保持体とを備える光通信モジュールの製造方法であって、前記保持体の前記凹所に、透光性の樹脂をポッティングにより充填して、前記複数の光電素子を封止する封止工程を備え、該封止工程にて、前記光電素子の前記受光部又は発光部を前記樹脂で覆うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る光通信モジュールの製造方法は、前記光電素子が、多面体形をなし、前記導電板に接続するための接続端子部が設けられた面に、前記受光部又は発光部が内奥部に設けられた位置決め凹部が形成されており、前記保持体の前記装着凹部及び前記凹所は、前記導電板を介して隣り合って設けてあり、前記導電板は、前記受光部への光又は発光部からの光を通す開口が形成してあり、位置決め凸部が形成された冶具を、該位置決め凸部が前記導電板の開口を通して前記凹所内へ突出するように、前記装着凹部に装着し、前記位置決め凸部が前記位置決め凹部に挿入されるように、前記光電素子を前記導電板上に搭載する搭載工程を更に備え、前記封止工程は、前記冶具が前記装着凹部に装着された状態で、前記凹所に透光性の樹脂を充填する第1封止工程と、前記光電素子の位置決め凹部内及び前記導電板の開口内に透光性の樹脂を充填する第2封止工程とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明においては、MTコネクタなどの他部材が装着される装着凹部、及び、一又は複数の導電板が底に設けられた凹所が形成された保持体を備え、装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、複数の光電素子を凹所内に配設する。凹所内に配設された複数の光電素子は、透光性の樹脂で封止され、これにより各光電素子の受光部又は発光部が透光性の樹脂で覆われる構成とする。
透光性の樹脂による光の屈折率は、空気による光の屈折率より大きいため、光電素子と他部材の光通信線との間に透光性の樹脂を配することによって、光電素子の発光部から発する光又は光通信線の端部から発する光の広がりを抑えることができる。よって、光電素子の発光部又は受光部と光ファイバの端部との距離条件を緩和することができ、光信号による通信精度を向上することができる。
【0021】
また、本発明においては、保持体の装着凹部内に複数の接続ピンを設けて他部材との接続を行う。光電素子が配される凹所は、複数の接続ピンの間に設ける。これにより、MTコネクタなどの他部材との接続を容易に行うことができる光通信モジュールを実現することができる。
【0022】
また、本発明においては、受光部又は発光部と導電板に接続するための接続端子部とが同一面に設けられた光電素子を用いる場合、保持体の装着凹部と凹所とが導電板を介して隣り合い、導電板には光を通す開口を形成する構成とする。これにより、凹所内にて導電板に接続された光電素子は、導電板の開口を通して装着凹部に装着された他部材の光通信線との間で光信号の送受信を行うことができる。この構成においては、凹所を透光性の樹脂で封止する際に、導電板の開口内を樹脂で充填するように封止を行う。これにより、光電素子の受光部又は発光部と他部材の光通信線との間に透光性の樹脂を配することができる。
【0023】
また、本発明においては、受光部又は発光部と導電板に接続するための接続端子部とがそれぞれ反対側に設けられた光電素子を用いる場合、保持体の装着凹部の底に光電素子を配する凹所を形成する。これにより、凹所内にて導電板に接続された光電素子は、装着凹部に装着された他部材の光通信線との間で光信号の送受信を行うことができる。この構成においては、光電素子が埋まるまで凹所内に透光性の樹脂を充填することで、光電素子の受光部又は発光部と他部材の光通信線との間に透光性の樹脂を配することができる。
【0024】
また、本発明においては、保持体の凹所の底部に位置決め凸部を形成し、光電素子の接続端子が設けられた面に位置決め凹部を形成し、位置決め凸部を位置決め凹部へ挿入することによって、保持体に対する光電素子の位置決めを行う構成とする。これにより、光通信モジュールの製造工程において、複数の光電素子の位置決めを容易に行うことができる。
【0025】
また、本発明においては、MTコネクタなどの他部材が装着される装着凹部の底部に、受光部又は発光部が露出するように光電素子を埋設する。これにより装着凹部に装着された他部材の光通信線に、光電素子の受光部又は発光部が対向する配置とすることができる。光電素子の受光部又は発光部を透光性の樹脂で覆う構成とすることにより、光電素子の受光部又は発光部と他部材の光通信線との間に透光性の樹脂を配することができ、光電素子の発光部から発する光又は光通信線の端部から発する光の広がりを抑えることができる。よって、光電素子の発光部又は受光部と光ファイバの端部との距離条件を緩和することができ、光信号による通信精度を向上することができる。
【0026】
また、本発明においては、光電素子と共にその他のIC(Integrated Circuit)などの電気回路部品を導電板に接続して光通信モジュールに搭載すると共に、ワイヤボンディングなどの接続線により光電素子と電気回路部品とを電気的に接続する。これにより光通信モジュールには、光電素子及び電気回路部品が導電板及び接続線で接続された電気回路を搭載することができるため、光通信モジュールの利便性を向上できる。またこの光通信モジュールを搭載する通信装置は、回路基板に搭載する電気回路部品が削減できるため、装置の小型化に貢献できる。更に、上記電気回路部品が受光用のアンプICであり、これが受光用の光電素子の近傍に配された場合には、接続線を短くできるので、外乱ノイズに強くなる。
【0027】
また、本発明においては、装着凹部及び凹所が形成された保持体を備え、凹所の底に導電板及び光電素子が設けられた光通信モジュールを製造する場合に、保持体の凹所内に透光性の樹脂をポッティングにより充填して光電素子を封止する封止工程を行うことにより、光電素子の受光部又は発光部を透光性の樹脂で覆う。ポッティングとは、液状の樹脂を流し込んで盛り付ける加工法であり、いわゆる樹脂盛り加工である。樹脂の射出成型などの加工法と比較して、作業が容易であり、製造工程の簡略化及び低コスト化が実現できる。
【0028】
また、本発明においては、接続端子部が設けられた面に位置決め凹部が形成され、この位置決め凹部の底部に受光部又は発光部が設けられた光電素子を用い、保持体の装着凹部と凹所とが導電板を介して隣り合い、導電板には光を通す開口を形成した構成の光通信モジュールを製造する場合に、位置決め凸部が設けられた冶具を装着凹部に装着し、位置決め凸部を導電板の開口を通して凹所内へ突出させ、この位置決め凸部が位置決め凹部に挿入されるように光電素子を導電板上に搭載する。
その後、冶具が装着された状態で保持体の凹所内に透光性の樹脂を充填する第1封止工程、更に冶具を外した状態で光電素子の位置決め凹部及び導電板の開口内に透光性の樹脂を充填する第2封止工程を行う。これにより光電素子を凹所内に固定することができ、光電素子の受光部又は発光部と他部材の光通信線との間に透光性の樹脂を配することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による場合は、装着凹部及び凹所が形成された保持体を備え、凹所内に配された複数の光電素子を透光性の樹脂で封止して、光電素子の受光部又は発光部を透光性の樹脂で覆う構成とすることにより、透光性の樹脂の屈折率によって、光電素子の発光部から発する光又は光通信線の端部から発する光の広がりを抑えることができ、レンズを備えない場合であっても、精度のよい光通信を行うことができる。
【0030】
また本発明による場合は、保持体の装着凹部の底部に、受光部又は発光部が露出するように光電素子を埋設し、露出した受光部又は発光部を透光性の樹脂で覆う構成とすることにより、透光性の樹脂の屈折率によって、光電素子の発光部から発する光又は光通信線の端部から発する光の広がりを抑えることができ、レンズを備えない場合であっても、精度のよい光通信を行うことができる。
【0031】
また本発明による場合は、光電素子の封止を透光性の樹脂のポッティングにより行うことにより、光通信モジュールの製造工程の簡略化及び低コスト化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールと他部材との連結を説明するための模式図である。
【図3】導電板の構成を示す模式的平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例に係る光通信モジュールの構成を示す模式的平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図である。
【図15】本発明の実施の形態5に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールと他部材との連結を説明するための模式図である。図において1は、フォトダイオード20及びレーザダイオード25の2つの光電素子をパッケージ化したOSAであり、本発明に係る光通信モジュールに相当する。OSA1は、2つの光ファイバ9aを有するコネクタ部品9が装着され、コネクタ部品9の光ファイバ9aを介して他の装置との間で光信号の送受信を行う光通信のための部品である。
【0034】
OSA1は、フォトダイオード20及びレーザダイオード25が接続される導電板30と、コネクタ部品9との接続を行うための2本の接続ピン3と、導電板30に接続された光電素子及び接続ピン3等を保持する合成樹脂製のベース(保持体)10とを備えて構成されている。ベース10は、平面視が略長方形をなす略直方体形であり、非透光性の合成樹脂で成型されている。ベース10の一側(図1において上側)には、2つの光電素子を収容するための凹所12が形成されており、反対側(図1において下側)には、コネクタ部品9が挿入して装着される装着凹部11が形成されている。
【0035】
ベース10の装着凹部11は、開口部から奥方へ徐々に狭まる四角錐台状の凹部であり、その底面から2本の接続ピン3が開口部より外側へ突出して設けられている。装着凹部11の底面は、略長方形をなしており、2本の接続ピン3は底面の長手方向(図1において横方向)に並べて設けられている。各接続ピン3は、丸棒状をなし、金属などの高強度の素材で成型されている。また装着凹部11の底面には、導電板30が下面を露出させて配されている。
【0036】
装着凹部11の形状は、コネクタ部品9の先端部分の形状に対応しており、装着凹部11がコネクタ部品9の先端部分に外嵌する態様で、装着凹部11にコネクタ部品9が装着される。またコネクタ部品9には、その端面に2つの接続穴9bが形成されており、OSA1の2本の接続ピン3がコネクタ部品9の接続穴9bへ挿入されて、装着凹部11にコネクタ部品9が装着される。OSA1とコネクタ部品9との接続位置は、接続ピン3及び接続穴9bにより精度よく規定される。
【0037】
ベース10の凹所12は、開口部から奥方へ、途中までは徐々に且つ途中からは段階的に狭まる形状の凹部である。2本の接続ピン3は凹所12にも突出して設けられている。凹所12の底面は、装着凹部11の底面より小さい略長方形をなし、2本の接続ピン3の間に設けられている。凹所12の底面は、ベース10に埋め込まれる態様で保持された導電板30で構成されている。即ち、ベース10の凹所12は、装着凹部11と連通する態様で形成されるが、装着凹部11との境界として導電板30が配されており、装着凹部11及び凹所12が導電板30を介して隣り合うように設けられる。凹所12の底面をなす導電板30には、フォトダイオード20及びレーザダイオード25が、底面の長手方向に並べて接続されている。
【0038】
フォトダイオード20は、光信号を受光し、電気信号に変換して出力する光電素子である。フォトダイオード20は、平面視が略正方形をなす板状であり、一の面(図1において下面)の中央に受光部22が設けられ、その周囲に接続端子部21が設けられており、反対面(図1において上面)にはワイヤ35(図3参照)を介して導電板30との電気的接続(即ち、ワイヤボンディング)を行うための端子が設けられている。接続端子部21は、フォトダイオード20に対して電気信号の入出力を行うための端子であり、且つ、半田又は導電性接着剤等を介して導電板30への接続を行うためのものである。
【0039】
レーザダイオード25は、入力された電気信号を光信号に変換して出力する光電素子である。レーザダイオード25は、フォトダイオード20と略同じ形状をなし、平面視が略正方形をなす板状であり、下面の中央に発光部27が設けられ、その周囲に接続端子部26が設けられており、上面にはワイヤ35を介して導電板30との電気的接続を行うための端子が設けられている。
【0040】
OSA1の導電板30は、金属製の板体であり、合成樹脂製のベース10に埋設される態様で保持されている。導電板30は、フォトダイオード20の接続端子部21及びレーザダイオード25の接続端子部26が半田若しくは導電性接着剤等を用いて接続され、又は、フォトダイオード20及びレーザダイオード25の上面に設けられた端子がワイヤ35を介して接続されるものであり、フォトダイオード20及びレーザダイオード25が電気信号の送受信を行うためのものである。換言すれば、導電板30は、フォトダイオード20及びレーザダイオード25を用いた光通信装置の回路において、回路の構成要素を接続する配線に相当するものである。また導電板30は、その端部がベース10の外部に延出しており、この延出部分により外部との電気信号の授受を行うことができる。
【0041】
図3は、導電板30の構成を示す模式的平面図である。なお、図3においては、フォトダイオード20及びレーザダイオード25の外形を破線で示してある。図示の例では、OSA1は5つの導電板30a〜30eを備えている。第1の導電板30aは、略長方形をなし、長手方向の一端側の上面にフォトダイオード20が半田又は導電性接着剤等を用いて接続され、他端側はベース10の外部へ延出している。第1の導電板30aのフォトダイオード20が接続される部分には、略円形の開口31が形成されており、フォトダイオード20は受光部22の中心が開口31の中心に略一致するように位置決めされて接続される。第1の導電板30aの開口31には、直線状のスリット32が連ねて形成されており、スリット32の先端部分は第1の導電板30aに接続されたフォトダイオード20の側面よりも側方に設けられる。また第1の導電板30aには、接続ピン3より径の大きい略円形の開口33が形成されており、接続ピン3は開口33を通してベース10の上下を貫通するように設けられる。
【0042】
第2の導電板30bは、略長方形をなし、第1の導電板30aと並べて配されており、長手方向の一端側の上面とフォトダイオード20の上面に設けられた端子とがワイヤ35を介して接続され、他端側はベース10の外部へ延出している。
【0043】
第3の導電板30cは、第1の導電板30aと略同じ構成であり、第1の導電板30aとは反対向きに(又は対称に)配されている。第3の導電板30cは、略長方形をなし、長手方向の一端側の上面にレーザダイオード25が半田又は導電性接着剤等を用いて接続され、他端側はベース10の外部へ延出している。第3の導電板30cのレーザダイオード25が接続される部分には、略円形の開口31が形成されており、レーザダイオード25は発光部27の中心が開口31の中心に略一致するように位置決めされて接続される。第3の導電板30cの開口31には、直線状のスリット32が連ねて形成されており、スリット32の先端部分は第3の導電板30cに接続されたレーザダイオード25の側面よりも側方に設けられる。また第3の導電板30cには、接続ピン3より径の大きい略円形の開口33が形成されており、接続ピン3は開口33を通してベース10の上下を貫通するように設けられる。
【0044】
第4の導電板30dは、第2の導電板30bと略同じ構成であり、第2の導電板30bとは反対向きに配されている。第4の導電板30dは、略長方形をなし、第3の導電板30cと並べて配されており、長手方向の一端側の上面とレーザダイオード25の上面に設けられた端子とがワイヤ35を介して接続され、他端側はベース10の外部へ延出している。
【0045】
第5の導電板30eは、略長方形をなし、第1の導電板30a及び第3の導電板30cと並べて配されている。第1の導電板30a及び第2の導電板30bは、フォトダイオード20と電気信号の授受を行うためのものである。第3の導電板30c及び第4の導電板30dは、レーザダイオード25と電気信号の授受を行うためのものである。また第5の導電板30eは、接地電位などの固定電位に接続され、フォトダイオード20及びレーザダイオード25を外部からのノイズから保護する(シールドする)ためのものである。
【0046】
フォトダイオード20及びレーザダイオード25の接続位置(即ち、2つの開口31の形成位置でもある)は、OSA1の装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合に、コネクタ部品9の光ファイバ9aの位置に対応する。即ち、装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合、フォトダイオード20の受光部22及びレーザダイオード25の発光部27がコネクタ部品9の光ファイバ9の端面と対向するように、フォトダイオード20及びレーザダイオード25はそれぞれ凹所12内で位置決めされて導電板30に接続される。
【0047】
またOSA1は、フォトダイオード20及びレーザダイオード25を収容した凹所12を透光性の合成樹脂で充填して封止した封止部14を備えている。封止部14は、凹所12内全てを透光性の合成樹脂で充填して設ける必要はなく、少なくとも凹所12の底面に配されたフォトダイオード20及びレーザダイオード25の全体を透光性の合成樹脂で覆うことができる程度まで凹所12内を満たせばよい。また、導電板30に形成されたスリット32によって、導電板30の開口31と凹所12とは連通するため、透光性の合成樹脂は開口31内にも充填される。ただし、封止部14の合成樹脂は、装着凹部11内に流れ込むことがないように、OSA1の製造工程にて樹脂封止が行われる。
【0048】
封止部14の合成樹脂が開口31をも充填して設けられることによって、OSA1の装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合に、フォトダイオード20の受光部22及びレーザダイオード25の発光部27とコネクタ部品9の光ファイバ9aの端面とが、透光性の合成樹脂を間にして対向する。
【0049】
例えばレーザダイオード25の発光部27から発した光は、所定の広がりをもってコネクタ部品9の光ファイバ9aの端面に至る。同様に光ファイバ9aの端面から発した光は、所定の広がりを持ってフォトダイオード20の受光部22へ至る。ここで空気による光の屈折率を約1.0とし、封止部14の透光性の合成樹脂による光の屈折率を約1.5とした場合、発光部27と光ファイバ9aの端面との間に透光性の合成樹脂を介在させることによって、発光部27が発した光の広がりを約1/1.5倍に抑えることができる。光ファイバ9aの端面から発した光をフォトダイオード20の受光部22にて受光する場合も同様である。
【0050】
図4及び図5は、本発明の実施の形態1に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図であり、図4から図5へOSA1の製造工程を時系列的に示してある。実施の形態1に係るOSA1の製造工程では、金属板を加工するなどして所望の形状の導電板30を作成し、射出成型用の金型内に導電板30を配置し、金型に液状の非透光性の合成樹脂を流し込んで硬化させることにより、ベース10を成型する(この工程の図示は省略する)。これにより凹所12及び装着凹部11の底面に導電板30が配された構成のベース10を成型することができる。
【0051】
次いで、ベース10の凹所12内に露出する導電板30の所定位置に、フォトダイオード20及びレーザダイオード25をそれぞれ接続する(この工程の図示は省略する)。フォトダイオード20及びレーザダイオード25の接続は、例えばカメラなどにてベース10の上方から撮影を行って、得られた画像から開口31の中心位置を判断し、この中心位置に対して受光部22又は発光部27の中心が一致するようにフォトダイオード20及びレーザダイオード25を位置決めして行うことができる。
【0052】
次いで、ベース10の装着凹部11に嵌合する形状をなし、接続ピン3に挿通される接続穴8aが形成された冶具8を、ベース10の装着凹部11に装着する(図4参照)。冶具8は、装着凹部11に装着された場合に、その端面が装着凹部11の底面(又は底面に配された導電板30の下面)に密接し、導電板30の開口31を下側から閉塞することができるようにしてある。
【0053】
次いで、ベース10の凹所12内へ液状の透光性の合成樹脂14aを流し込んで盛り付ける加工(いわゆるポッティング加工)を行うことによって、凹所12内のフォトダイオード20及びレーザダイオード25を封止する封止部14を設ける(図5参照)。このときに、凹所12内に流れ込んだ液状の合成樹脂14aは、スリット32を通して開口31内へ流れ込む。開口31内へ流れ込んだ液状の合成樹脂14aは、開口31の下側が冶具8の端面で閉塞されているため、装着凹部11内へ流れ込むことはない。液状の合成樹脂14aの硬化後、冶具8を装着凹部11から外し、OSA1の製造が完了する。
【0054】
以上の構成の実施の形態1に係るOSA1は、MTコネクタなどのコネクタ部品9が装着される装着凹部11、及び、導電板30が底部に設けられた凹所12が形成されたベース10を備え、装着凹部11に装着されたコネクタ部品9が有する光ファイバ9aの端部に受光部22及び発光部27がそれぞれ対向するように、フォトダイオード20及びレーザダイオード25を凹所12内に配設し、凹所12内に透光性の合成樹脂を充填した封止部14を設けて、透光性の合成樹脂により受光部22及び発光部27を覆う構成とすることにより、レーザダイオード25の発光部27又は光ファイバ9aの端部から発した光の広がりを抑えることができる。よって、OSA1が高精度な光通信を行うための受光部22及び発光部27と光ファイバ9aとの距離条件を緩和することができるため、OSA1の通信精度を向上することができる。
【0055】
また、ベース10の装着凹部11内に2つの接続ピン3を突出して設け、フォトダイオード20及びレーザダイオード25が配される凹所12を2つの接続ピン3の間に設ける構成とすることにより、コネクタ部品9との接続を容易に且つ精度よく行うことができる。
【0056】
また、ベース10の装着凹部11と凹所12とが導電板30を介して隣り合い、導電板30には光を通す開口31を形成する構成とすることにより、接続端子部21又は26と受光部22又は発光部27とが同一面に配されたフォトダイオード20又はレーザダイオード25を搭載する場合であっても、導電板30のスリット31を通して開口31内に透光性の合成樹脂14aを充填することによって、受光部22及び発光部27と光ファイバ9aとの間に透光性の合成樹脂を配することができる。
【0057】
また、ベース10の凹所12内に透光性の合成樹脂をポッティングにより充填して封止部14を設けることにより、封止部14を射出成型などの方法で成型する場合と比較して、樹脂封止の作業を容易化することができるため、OSA1の製造工程の簡略化及び低コスト化を実現することができる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、OSA1がフォトダイオード20及びレーザダイオード25の2つの光電素子を備える構成としたが、これに限るものではなく、3つ以上の光電素子を備える構成としてもよい。またOSA1がフォトダイオード20のみを複数備える構成であってもよく、レーザダイオード25のみを複数備える構成であってもよい。またOSA1が2つの接続ピン3を備える構成としたが、これに限るものではなく、OSA1が接続ピン3を備えずに、他部材の接続ピンが挿入される穴又は凹部をベース10に形成する構成であってもよい。また図3に示した導電板30の構成は一例であって、これに限るものではない。またOSA1の封止部14は、透光性の合成樹脂をポッティングにより充填することで設ける構成としたが、これに限るものではなく、透光性の合成樹脂を樹脂成型して封止部14を設けてもよい。
【0059】
(変形例)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例に係る光通信モジュールの構成を示す模式的平面図であり、OSA1の凹所12内の構成を図示してある。変形例に係るOSA1は、6つの導電板30a〜30fを備えている。第1の導電板30a、第3の導電板30c〜第5の導電板30eは、図3に示したものと略同じ構成である。
【0060】
第2の導電板30bは、略長方形をなし、第1の導電板30aと並べて配されており、長手方向の一端側の上面にアンプIC(Integrated Circuit)60が接続固定されている。このため第2の導電板30bは、アンプIC60を搭載可能な程度に幅広に形成されている。第6の導電板30fは、第4の導電板と略同じ形状であり、第4の導電板と並べて配されている。
【0061】
アンプIC60は、その上面に4つの端子が設けられている。アンプIC60の第1の端子は、フォトダイオード20の上面に設けられた端子とワイヤ35を介して接続されている。アンプIC60の第2の端子は第1の導電板30aと、第3の端子は第2の導電板30bと、第4の端子は第6の導電板30fと、それぞれワイヤ35を介して接続されている。またアンプIC60は、封止部14の合成樹脂によって、フォトダイオード20及びレーザダイオード25と共に封止される。
【0062】
このように、OSA1の凹所12内には、フォトダイオード20及びレーザダイオード25のみでなく、アンプIC60のようなその他の電気回路部品を搭載することができる。これにより、OSA1の利便性を向上することができると共に、このOSA1を搭載する通信装置の小型化などに貢献することができる。更に接続線を短くできるので、外乱ノイズに強くなると共に、寄生容量を削減できるので、受信回路の性能を上げることができる。なお、OSA1に搭載する電気回路部品は、アンプIC60に限らず、例えば抵抗器又はコンデンサなどの他の電気回路部品であってもよい。またOSA1には、2つ以上の電気回路部品を搭載してもよい。
【0063】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。実施の形態2に係るOSA1は、接続端子部21及び受光部22が反対面に設けられたフォトダイオード220と、接続端子部26及び発光部27が反対面に設けられたレーザダイオード225とを備える構成である。
【0064】
フォトダイオード220は、平面視が略正方形をなす板状であり、一の面(図7において下面)の中央に受光部22が設けられ、反対面(図7において上面)に接続端子部21が設けられている。また図示は省略するが、フォトダイオード220の下面には、ワイヤを介して導電板30と接続される端子が設けられている。同様に、レーザダイオード225は、平面視が略正方形をなす板状であり、下面の中央に発光部27とワイヤを接続する端子とが設けられ、上面に接続端子部26が設けられている。
【0065】
実施の形態2に係るOSA201のベース210は、平面視が略長方形をなす略直方体であり、非透光性の合成樹脂で成型され、下側にはコネクタ部品9が装着される装着凹部11が形成されている。装着凹部11には、2本の接続ピン3が底面から外部へ向けて突出して設けられており、装着凹部11の底面には、2本の接続ピン3の間に、フォトダイオード220及びレーザダイオード250を収容するための凹所212が形成されている。凹所212の底面には、導電板230がその下面を露出させて配されている。
【0066】
実施の形態2に係るOSA201の導電板230は、実施の形態1に係るOSA1の導電板30と略同じ構成であるが、開口31及びスリット32が形成されていない構成である。導電板230は、その下面の一部が凹所212内に露出するように、ベース210に埋め込まれる態様で保持されている。
【0067】
フォトダイオード220及びレーザダイオード225の接続位置は、OSA201の装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合に、コネクタ部品9の光ファイバ9aの位置に対応する。即ち、装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合、フォトダイオード220の受光部22及びレーザダイオード225の発光部27がコネクタ部品9の光ファイバ9の端面と対向するように、フォトダイオード220及びレーザダイオード225はそれぞれ凹所212内で位置決めされて導電板230に接続される。
【0068】
またOSA201は、フォトダイオード220及びレーザダイオード225を収容した凹所212を透光性の合成樹脂で充填して封止した封止部214を備えている。封止部214は、凹所12内全てを透光性の合成樹脂で充填して設ける必要はなく、少なくとも凹所212の底面に配されたフォトダイオード220及びレーザダイオード225の全体(少なくとも受光部22及び発光部27)を透光性の合成樹脂で覆うことができる程度まで凹所212内を満たせばよい。これにより、OSA201の装着凹部11にコネクタ部品9が装着された場合に、フォトダイオード220の受光部22及びレーザダイオード225の発光部27とコネクタ部品9の光ファイバ9aの端面とが、透光性の合成樹脂を間にして対向し、透光性の合成樹脂の屈折率によって光の広がりを抑えることができる。
【0069】
図8及び図9は、本発明の実施の形態2に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図であり、図8から図9へOSA201の製造工程を時系列的に示してある。実施の形態2に係るOSA2011の製造工程では、金属板を加工するなどして所望の形状の導電板230を作成し、射出成型用の金型内に導電板230を配置し、金型に液状の非透光性の合成樹脂を流し込んで硬化させることにより、ベース210を成型する(この工程の図示は省略する)。これにより凹所212の底面に導電板230が配された構成のベース210を成型することができる。
【0070】
次いで、ベース210の凹所212内に露出する導電板230の所定位置に、フォトダイオード220及びレーザダイオード225をそれぞれ接続する(この工程の図示は省略する)。フォトダイオード220及びレーザダイオード225の接続は、例えばカメラなどにてベース210の上方から撮影を行って、得られた画像から導電板230の形状などを判断して基準位置を定め、この基準位置に対して受光部22又は発光部27の中心が所定位置となるようにフォトダイオード220及びレーザダイオード225を位置決めして行うことができる。
【0071】
次いで、ベース210を装着凹部11及び凹所212の開口部分が上側となるように(図7に示した状態とは上下逆の状態に)載置して、ベース210の凹所212内へ液状の合成樹脂14aを流し込んで盛り付ける(図8参照)。
【0072】
次いで、凹所212内の合成樹脂14aが硬化する前に、ベース210の装着凹部11に嵌合する形状をなし、接続ピン3に挿通される接続穴8aが形成された冶具208を、ベース210の装着凹部11に上側から装着する(図9参照)。冶具208は、その端面(装着凹部11の底面に対応する面)に、装着凹部11に装着された場合に凹所212内へ挿入される平板部208bが設けられている。冶具208の平板部208bは、凹所212の開口部分と略同じ形状をなしており、精度のよい平面が形成されている。冶具208の装着凹部11への装着により凹所212内に挿入された平板部208bは、凹所212内に充填された合成樹脂14aに押し当てられ、合成樹脂14aの表面を精度のよい平面に均すことができるようにしてある。液状の合成樹脂14aの硬化後、冶具208を装着凹部11から外し、OSA201の製造が完了する。
【0073】
以上の構成の実施の形態2に係るOSA201は、コネクタ部品9が装着される装着凹部11の底面に凹所212が設けられたベース210を備え、フォトダイオード220及びレーザダイオード250を凹所212内に配設し、凹所212内に透光性の合成樹脂を充填した封止部214を設けて受光部22及び発光部27を覆う構成とすることにより、レーザダイオード225の発光部27又は光ファイバ9aの端部から発した光の広がりを抑えることができる。よって、OSA1が高精度な光通信を行うための受光部22及び発光部27と光ファイバ9aとの距離条件を緩和することができるため、OSA1の通信精度を向上することができる。
【0074】
また、凹所212内のフォトダイオード220及びレーザダイオード250を透光性の合成樹脂で封止した封止部214を設ける際に、凹所212内に液状の透光性の合成樹脂14aを流し込み、合成樹脂14aが硬化する前に冶具208の平板部208bにより合成樹脂14aの表面を平滑化することによって、フォトダイオード220及びレーザダイオード250とコネクタ部品9の光ファイバ9aとの光信号の送受信を精度よく行うことが可能となる。
【0075】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図であり、実施の形態3に係るOSA301の凹所312の周辺を拡大して図示したものである。実施の形態3に係るOSA301は、実施の形態2に係るOSA201と略同じ構成であるが、実施の形態2に係るOSA201に対して、凹所312内におけるフォトダイオード320及びレーザダイオード325の搭載位置の位置決め作業を容易化することができる構成を追加したものである。
【0076】
実施の形態3に係るOSA301が備えるフォトダイオード320は、接続端子部321が設けられた面の中央に位置決め凹部323が形成されており、同様にレーザダイオード325は、接続端子部326が設けられた面の中央に位置決め凹部328が形成されている。これに対して実施の形態3に係るOSA301のベース310は、凹所312の底面に、導電板330に形成された2つの開口331を通して、2つの位置決め凸部315がそれぞれ突設されている。
【0077】
位置決め凸部315は、ベース310と一体的に成型され、突出端が先細りの形状をなす略四角錐台形である。また位置決め凸部315は、テーパ状に所定角度に傾斜した4つの側面で構成される外周面と、略正方形の天面とを有している。フォトダイオード320の位置決め凹部323及びレーザダイオード325の位置決め凹部328は、略正方形の開口から奥方へ狭まる態様の凹部であり、位置決め凸部315の外周面と略同じ角度に傾斜したテーパ状の内周面と、略正方形の底面とを有している。
【0078】
位置決め凹部323、328の開口のサイズは、位置決め凸部315の平面視の正方形のサイズより小さいか又は略同じである。また位置決め凹部323、328の底面の大きさ(面積又は一辺の長さ)は、位置決め凸部315の天面より小さい。また位置決め凹部323、328の深さは、位置決め凸部315の高さより深い(長い)か、又は、同程度である。
【0079】
フォトダイオード320は、ベース310の位置決め凸部315がフォトダイオード320の位置決め凹部323内に収まるように、ベース310の凹所312の底面に搭載される。このとき、位置決め凸部315の外周面と、位置決め凹部323の内周面とは、傾斜角度が略同じであるため、それぞれ当接した状態となる。また位置決め凸部315の天面は位置決め凹部323の底面より大きいため、天面及び底面は当接せず、天面及び底面は所定距離を隔てて対向した状態となる。
【0080】
同様にレーザダイオード325は、ベース310の位置決め凸部315がレーザダイオード325の位置決め凹部328内に収まるように、ベース310の凹所312の底面に搭載される。このとき、位置決め凸部315の外周面と、位置決め凹部328の内周面とは、傾斜角度が略同じであるため、それぞれ当接した状態となる。また位置決め凸部315の天面は位置決め凹部328の底面より大きいため、天面及び底面は当接せず、天面及び底面は所定距離を隔てて対向した状態となる。
【0081】
また位置決め凹部323、328の開口サイズは位置決め凸部315の平面視の正方形のサイズより小さいか又は略同じであるため、フォトダイオード320及びレーザダイオード325をベース310の凹所312に搭載した場合に、フォトダイオード320の接続端子部321及びレーザダイオード325の接続端子部326と、凹所312の底面に設けられた導電板330との間に隙間が生じるときがある。そこで接続端子部321、326及び導電板330の間には、半田又は導電性接着剤等を充填することによって、接続端子部321、326及び導電板330の電気的接続を確実に行う。
【0082】
位置決め凸部315の外周面と位置決め凹部323、328の内周面とが当接した状態でフォトダイオード320及びレーザダイオード325がベース310の凹所312内に搭載されることによって、位置決め凸部315の中心と位置決め凹部323、328の中心とが略一致する。よって、OSA301の製造工程において、フォトダイオード320及びレーザダイオード325のベース310に対する位置決め作業を行うことなく、フォトダイオード320及びレーザダイオード325をベース310に搭載するのみで位置が確定する。フォトダイオード320及びレーザダイオード325の搭載後は、ベース310の凹所312内に透光性の合成樹脂を充填して封止部314を設けることによって、OSA301の製造を完了する。
【0083】
以上の構成の実施の形態3に係るOSA301は、導電板330が埋設されたベース310に2つの位置決め凸部315を一体的に成型し、フォトダイオード320に位置決め凹部323を設け、レーザダイオード325に位置決め凹部328を設けて、位置決め凸部315が位置決め凹部323、328内に収まるようにフォトダイオード320及びレーザダイオード325を凹所312内に搭載することで、位置決め凸部315の外周面と位置決め凹部323、328の内周面とが当接し、ベース310に対するフォトダイオード320及びレーザダイオード325の位置が一意的に定まる。即ち、フォトダイオード320及びレーザダイオード325の位置決めが自動的になされるセルフアライメント構造とすることができるため、OSA301の製造工程においてフォトダイオード320及びレーザダイオード325の位置決めに係る作業を容易化することができる。
【0084】
なお、本実施の形態においては、ベース310の位置決め凸部315を略四角錐台形としたが、これに限るものではなく、三角錐台形又は5角錐台形等の多角錐台形であってもよく、円錐台形であってもよい。またフォトダイオード320の位置決め凹部23及びレーザダイオード325の位置決め凹部328の形状も同様にして他の形状であってもよく、位置決め凸部315の形状に対応して形状を決定することができる。なお位置決め凹部323、328は、エッチングなどのマイクロマシニング技術を用いて成形してもよい。
【0085】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図であり、実施の形態4に係るOSA401の凹所412の周辺を拡大して図示したものである。実施の形態4に係るOSA401は、実施の形態1に係るOSA1と略同じ構成であるが、実施の形態1に係るOSA1に対して、凹所412内におけるフォトダイオード420及びレーザダイオード425の搭載位置の位置決め作業を容易化することができる構成を追加したものである。
【0086】
実施の形態4に係るOSA401が備えるフォトダイオード420は、接続端子部21が設けられた面の中央に位置決め凹部423が形成されており、位置決め凹部423の底面に受光部22が設けられている。同様にレーザダイオード425は、接続端子部26が設けられた面の中央に位置決め凹部428が形成されており、位置決め凹部428の底面に発光部27が設けられている。実施の形態4の位置決め凹部423、428は、実施の形態3に係る位置決め凹部323、328と略同じ形状である。
【0087】
実施の形態4に係るOSA401の封止部414は、凹所412内において、フォトダイオード420及びレーザダイオード425の外側を覆うように設けられる部分と、位置決め凹部423、428及び導電板430の開口31を充填するように設けられる部分とで構成され、封止部414の各部分は別工程で透光性の合成樹脂により樹脂成型される。このため、OSA401が備える導電板430には、開口31に連なるスリット32は形成されていない。
【0088】
実施の形態4に係るOSA401では、位置決め凹部423、428を利用してフォトダイオード420及びレーザダイオード425の位置決めを行うための位置決め凸部は、製造工程にて用いられる冶具408に設けられている。図12〜図14は、本発明の実施の形態4に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための模式図であり、図12から図14へOSA401の製造工程を時系列的に示してある。実施の形態4に係るOSA401の製造工程では、金属板を加工するなどして所望の形状の導電板430を作成し、射出成型用の金型内に導電板430を配置し、金型に液状の非透光性の合成樹脂を流し込んで硬化させることにより、ベース410を成型する(この工程の図示は省略する)。これにより凹所412及び装着凹部11の底面に導電板430が配された構成のベース410を成型することができる。
【0089】
次いで、ベース410の装着凹部11に冶具408を装着し、フォトダイオード420及びレーザダイオード425を凹所412内に搭載する(図12参照)。実施の形態4に係るOSA401の製造工程にて用いられる冶具408は、実施の形態1に係るOSA1の製造工程にて用いられる冶具8と略同じ構成であり、ベース410の装着凹部11に嵌合する形状をなしている。ただし、冶具408は、その端面に2つの位置決め凸部408cが突設されており、装着凹部11に装着された場合に2つの位置決め凸部408cが導電板430の開口31を通して凹所412内へ突出するように、位置決め凸部408cの位置が定められている。なお、冶具408に突設される位置決め凸部408cは、実施の形態4に係る位置決め凸部315と略同じ形状である。
【0090】
ベース410の装着凹部11に冶具408を装着して、2つの位置決め凸部408cを凹所412内に突出させた後、各位置決め凸部408cが位置決め凹部423、428にそれぞれ挿入されるように、フォトダイオード420及びレーザダイオード425を凹所412内に搭載し、半田又は導電性接着剤等を用いて接続端子部21、26を導電板430に接続する。
【0091】
その後、冶具408を外して、ベース410の凹所412内へ液状の透光性の合成樹脂14aを流し込んで硬化させることによって、凹所412内のフォトダイオード420及びレーザダイオード425の外側を覆って封止する封止部414を設ける(図13参照)。
【0092】
前工程での合成樹脂14aが硬化した後、ベース410の上下を逆にし、装着凹部11側から導電板430の開口31を通して透光性の合成樹脂14aをフォトダイオード420の位置決め凹部423内及びレーザダイオード425の位置決め凹部428内へ流し込んで硬化させることによって、凹所412内のフォトダイオード420及びレーザダイオード425の内側を覆って封止する封止部414を設ける(図14参照)。これにより、フォトダイオード420及びレーザダイオード425の位置決め凹部423、428と、導電板30の開口31とを透光性の合成樹脂14aで充填した封止部414を設けることができる。なおこのときに、実施の形態3に係るOSA301の製造工程にて冶具308を用いて行った作業と同様に、別の冶具(図示は省略する)を用いて合成樹脂14aの表面を平滑化する作業を行ってもよい。液状の合成樹脂14aの硬化後、OSA401の製造が完了する。
【0093】
以上の構成の実施の形態4に係るOSA401は、受光部22又は発光部27と接続端子部21、26とが同一面に設けられたフォトダイオード420又はレーザダイオード425を用い、位置決め凹部423、428に対応する位置決め凸部をベース410に設けることができない場合であっても、OSA401の製造工程にて位置決め凸部408cが設けられた冶具408を用いてフォトダイオード420及びレーザダイオード425の搭載を行うことによって、OSA401の製造工程においてフォトダイオード420及びレーザダイオード425の位置決めに係る作業を容易化することができる。
【0094】
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5に係る光通信モジュールの構成を示す模式的断面図である。実施の形態5に係るOSA501は、ベース510に光電素子を収容する凹所を形成するのではなく、ベース510を樹脂成型する際に光電素子を埋設する構成である。実施の形態5に係るOSA501が備える光電素子は、実施の形態4に係るOSA401が備えるフォトダイオード420及びレーザダイオード425と同じものであり、接続端子部21、26が設けられた面に位置決め凹部423、428が設けられ、位置決め凹部423、428の底面に受光部22又は発光部27が設けられた構成である。同様に実施の形態5に係るOSA501が備える導電板430は、実施の形態4に係るOSA401が備える導電板430と同じものである。
【0095】
フォトダイオード420及びレーザダイオード425は、開口31を覆うように接続端子部21、26にて導電板430に接続され、フォトダイオード420及びレーザダイオード425が接続された面の反対面がベース510の装着凹部11の底面に露出するように、フォトダイオード420及びレーザダイオード425と導電板430とが非透光性の合成樹脂製のベース510に埋設されている。装着凹部11にコネクタ部品9を装着した場合、ベース510に埋設されたフォトダイオード420及びレーザダイオード425の受光部22及び発光部27が、それぞれ導電板430の開口31を通してコネクタ部品9の光ファイバ9aの端面に対向するように、フォトダイオード420及びレーザダイオード425の埋設位置が規定されている。
【0096】
また、フォトダイオード420及びレーザダイオード425の装着凹部423、428と、導電板430の開口31とには、透光性の合成樹脂を充填して封止部514がそれぞれ設けてある。これによりフォトダイオード420の受光部22及びレーザダイオード425の発光部27と、対応するコネクタ部品9の光ファイバ9aとの間に透光性の合成樹脂を設けることができ、レーザダイオード425の発光部27又は光ファイバ9aの端部から発した光の広がりを抑えることができる。
【0097】
実施の形態5に係るOSA501の製造工程では、ベース510を樹脂成型するための金型(図示は省略する)に2つの位置決め凸部を設け、金型内に導電板430、フォトダイオード420及びレーザダイオード425を配置する際に、金型の位置決め凸部をフォトダイオード420の位置決め凹部423及びレーザダイオード425の位置決め凹部428を挿入して位置決めを行う。金型の位置決め凸部は、実施の形態4に係るOSA401の製造に用いる冶具408に設けられた位置決め凸部408cと略同じ構成である。
【0098】
フォトダイオード420及びレーザダイオード425の位置決め後、金型内に液状の非透光性の合成樹脂を流し込んで硬化させることによってベース510の成型を行う。次いで、ベース510の装着凹部11の底面に露出する導電板30の開口31内に透光性の合成樹脂を流し込んで、フォトダイオード420の位置決め凹部423及びレーザダイオード425の位置決め凹部428の内部と、導電板430の開口31とを透光性の合成樹脂で充填することにより、封止部514を設けてOSA501の製造を完了する。なおこのときに、実施の形態3に係るOSA301の製造工程にて冶具308を用いて行った作業と同様に、別の冶具(図示は省略する)を用いて封止部514の合成樹脂の表面を平滑化する作業を行ってもよい。
【0099】
以上の構成の実施の形態5に係るOSA501は、フォトダイオード420及びレーザダイオード425をベース510内に埋設する構成であっても、OSA501の製造工程にて位置決め凸部が設けられた金型を用いることによって、ベース510の樹脂成型を行う際に、フォトダイオード420及びレーザダイオード425の位置決めを行うことができ、製造工程を容易化することができる。また、フォトダイオード420の位置決め凹部423及びレーザダイオード425の位置決め凹部428の内部に透光性の合成樹脂を充填した封止部514を設けて受光部22及び発光部27を覆う構成とすることにより、レーザダイオード425の発光部27又は光ファイバ9aの端部から発した光の広がりを抑えることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 OSA(光通信モジュール)
3 接続ピン
8 冶具
8a 接続穴
9 コネクタ部品(他部材)
9a 光ファイバ
9b 接続穴
10 ベース(保持体)
11 装着凹部
12 凹所
14 封止部
14a 合成樹脂
20 フォトダイオード
21 接続端子部
22 受光部
25 レーザダイオード
26 接続端子部
27 発光部
30、30a〜30e 導電板
31 開口
32 スリット
33 開口
35 ワイヤ
60 アンプIC(電気回路部品)
201 OSA(光通信モジュール)
208 冶具
208b 平板部
210 ベース(保持体)
212 凹所
214 封止部
220 フォトダイオード
225 レーザダイオード
230 導電板
301 OSA(光通信モジュール)
310 ベース(保持体)
312 凹所
314 封止部
315 位置決め凸部
320 フォトダイオード
321 接続端子部
323 位置決め凹部
325 レーザダイオード
326 接続端子部
328 位置決め凹部
330 導電板
331 開口
401 OSA(光通信モジュール)
408 冶具
408c 位置決め凸部
410 ベース(保持体)
412 凹所
414 封止部
420 フォトダイオード
423 位置決め凹部
425 レーザダイオード
428 位置決め凹部
430 導電板
501 OSA(光通信モジュール)
510 ベース(保持体)
514 封止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、
該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、
複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部、及び、前記導電板が内奥部に設けられた凹所が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記凹所内に前記複数の光電素子を保持する保持体と、
前記凹所に透光性の樹脂を充填して前記複数の光電素子を封止した封止部と
を備え、
前記複数の光電素子は、前記受光部又は発光部が前記封止部の樹脂で覆われていること
を特徴とする光通信モジュール。
【請求項2】
前記装着凹部内に突設され、前記他部材との接続を行うための複数の接続ピンを備え、
前記凹所は、前記複数の接続ピンの間に形成してあること
を特徴とする請求項1に記載の光通信モジュール。
【請求項3】
前記光電素子は、多面体形をなし、前記受光部又は発光部と前記導電板に接続するための接続端子部とが同一の面に設けられており、
前記保持体の前記装着凹部及び前記凹所は、前記導電板を介して隣り合って設けてあり、
前記導電板は、前記受光部への光又は発光部からの光を通す開口が形成してあり、
前記封止部は、前記導電板の開口内を前記樹脂で充填してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光通信モジュール。
【請求項4】
前記光電素子は、多面体形をなし、前記受光部又は発光部と前記導電板に接続するための接続端子部とがそれぞれ反対側に設けられており、
前記保持体の前記凹所は、前記装着凹部の内奥部に形成してあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光通信モジュール。
【請求項5】
前記保持体は、前記凹所の内奥部に形成された位置決め凸部を有し、
前記光電素子は、前記接続端子部が設けられた面に形成された位置決め凹部を有し、
前記位置決め凸部の前記位置決め凹部内への挿入により、前記保持体に対する前記光電素子の位置決めを行うようにしてあること
を特徴とする請求項4に記載の光通信モジュール。
【請求項6】
受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、
該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、
複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記受光部又は発光部を露出させて前記装着凹部の内奥部に前記光電素子を埋設して保持する保持体と
を備え、
前記複数の光電素子は、前記受光部又は発光部が透光性の樹脂で覆われていること
を特徴とする光通信モジュール。
【請求項7】
前記導電板に接続された電気回路部品と、
該電気回路部品及び前記光電素子を電気的に接続する接続線と
を更に備えること
を特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の光通信モジュール。
【請求項8】
受光部又は発光部を有し、光信号から電気信号へ又は電気信号から光信号への変換をそれぞれ行う複数の光電素子と、該光電素子が接続されて電気信号の授受を行う一又は複数の導電板と、複数の光通信線を有する他部材が装着される装着凹部、及び、前記導電板が内奥部に設けられた凹所が形成され、前記装着凹部に装着された他部材の光通信線の端部に前記受光部又は発光部がそれぞれ対向するように、前記凹所内に前記複数の光電素子を保持する保持体とを備える光通信モジュールの製造方法であって、
前記保持体の前記凹所に、透光性の樹脂をポッティングにより充填して、前記複数の光電素子を封止する封止工程を備え、
該封止工程にて、前記光電素子の前記受光部又は発光部を前記樹脂で覆うこと
を特徴とする光通信モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記光電素子は、多面体形をなし、前記導電板に接続するための接続端子部が設けられた面に、前記受光部又は発光部が内奥部に設けられた位置決め凹部が形成されており、
前記保持体の前記装着凹部及び前記凹所は、前記導電板を介して隣り合って設けてあり、
前記導電板は、前記受光部への光又は発光部からの光を通す開口が形成してあり、
位置決め凸部が形成された冶具を、該位置決め凸部が前記導電板の開口を通して前記凹所内へ突出するように、前記装着凹部に装着し、前記位置決め凸部が前記位置決め凹部に挿入されるように、前記光電素子を前記導電板上に搭載する搭載工程を更に備え、
前記封止工程は、
前記冶具が前記装着凹部に装着された状態で、前記凹所に透光性の樹脂を充填する第1封止工程と、
前記光電素子の位置決め凹部内及び前記導電板の開口内に透光性の樹脂を充填する第2封止工程と
を有すること
を特徴とする請求項8に記載の光通信モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−222762(P2011−222762A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90638(P2010−90638)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】