内燃機関の制御装置
【課題】排気空燃比がリッチ化している状態ときの燃焼を安定させる。
【解決手段】排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合(S21)、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定されると、主燃料噴射に先だって実施されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内となるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させる。ガス温度は、プレ噴射の噴射量の増加(S24)、EGR率の増加(S26)、主燃料噴射の噴射時期を進角(S27)、によって実現する。これによって、排気空燃比がリッチ化している状態で燃焼が不安定となっても、スモークの抑制を実現しつつ燃焼安定性を確保することができる。
【解決手段】排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合(S21)、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定されると、主燃料噴射に先だって実施されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内となるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させる。ガス温度は、プレ噴射の噴射量の増加(S24)、EGR率の増加(S26)、主燃料噴射の噴射時期を進角(S27)、によって実現する。これによって、排気空燃比がリッチ化している状態で燃焼が不安定となっても、スモークの抑制を実現しつつ燃焼安定性を確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射する内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおける着火時期は、基本的には、燃料噴射時期によって制御されるが、実際の着火時期は直接には検出されず、実際の着火時期が所望の着火時期に正しく合致しているか否かは一般に不明である。ディーゼルエンジンにおける着火時期は、排気中のNOx排出量や燃料消費率に影響し、実際の着火時期を所望の着火時期に制御することが、トレードオフの関係にあるNOx排出量と燃料消費率とを両立させる上で重要である。
【0003】
特許文献1には、ディーゼルエンジンのシリンダブロックに振動センサ(いわゆるノックセンサ)を取り付け、その振幅があるレベルになったときに、単純に、着火時期と判定するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−144583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、着火時期を正確に判定することができたとしても、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射するような内燃機関にあっては、メイン噴射に起因する燃焼が安定しない場合に、燃料が低セタン燃料であると、メイン噴射に先だつ噴射の噴射量を増加させても、圧縮端の温度が十分高くないとメイン噴射に先だつ噴射に起因する熱発生量が増大せず、メイン噴射に起因する燃焼を安定させることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の内燃機関の制御装置は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射するものであって、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合にメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定されると、燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に燃焼が不安定となると、燃焼室内のガス温度を上昇させて圧縮端温度を上昇させることで、燃焼安定性とスモークの抑制を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係る制御装置が適用されるディーゼルエンジンの構成説明図。
【図2】着火時期検出のための処理の流れを示すフローチャート。
【図3】サンプリング期間の一例を示す説明図。
【図4】積算される振動加速度の周波数範囲の一例を示す説明図。
【図5】異なる噴射時期(A)〜(D)における筒内圧及び振動加速度の変化を示す説明図。
【図6】第1制御マップの特性を示す特性図。
【図7】3つの異なる噴射時期における積算値及び検出値を示す説明図。
【図8】3つの異なる運転条件(A)〜(C)における検出値と実着火時期との関係を示す説明図。
【図9】噴射時期の補正の処理の流れを示すフローチャート。
【図10】第2制御マップの特性を示す特性図。
【図11】第3制御マップの特性を示す特性図。
【図12】目標噴射時期マップの特性を示す特性図。
【図13】燃焼期間マップの特性を示す特性図。
【図14】EGR率と噴射時期に対するスモーク性能を表す特性線とトルク変動を無次元化した指標を表す特性線とを併せて示す特性図。
【図15】燃焼室内の熱発生量を示す特性図。
【図16】排気空燃比をリッチとする場合の噴射時期の補正の処理の流れを示すフローチャート。
【図17】排気空燃比がリッチ化している状態における、ノックセンサの検出信号と、筒内の熱発生量とを示した説明図。
【図18】排気空燃比がリッチ化している状態において、ノックセンサの検出信号の絶対値を積分したものを示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明が適用されるディーゼルエンジン1の全体的構成を示している。このディーゼルエンジン1は、コモンレール式の燃料噴射装置を備えたもので、各気筒の燃焼室2の上部中央に燃料噴射ノズル3を有し、サプライポンプ4により加圧された燃料が蓄圧室(コモンレール)5に蓄えられたあとに各気筒の燃料噴射ノズル3に分配され、各燃料噴射ノズル3の開閉に応じてそれぞれ噴射される。上記蓄圧室5には、燃料圧力(レール圧)を検出するための燃料圧力センサ6が設けられている。
【0011】
また、このディーゼルエンジン1は、排気タービン12とコンプレッサ13とを同軸状に備えたターボ過給機11を有している。コンプレッサ13から燃焼室2に至る吸気通路14には、インタークーラ15が介装されている。燃焼室2から排気タービン12に至る排気通路16と上記吸気通路14との間には、EGR通路17が設けられており、このEGR通路17には、EGRクーラ18及びEGR制御弁19が介装されている。吸気通路14のコンプレッサ13よりも上流側には、エアクリーナ21及びエアフロメータ22を備えている。
【0012】
そして、エンジン本体の一部であるシリンダブロック25の側壁に、加速度センサであり燃焼状態検知手段としてシリンダブロック25の振動に応答する公知のノックセンサ26が取り付けられている。このノックセンサ26は、各気筒毎に設けても良いが、この実施例では、各気筒の振動を検知し得る適宜な位置を選択してシリンダブロック25に1つのノックセンサ26を設けている。このノックセンサ26の検出信号は、コントロールユニット30に入力され、これに基づいて、後述するように、燃料噴射ノズル3からの燃料噴射時期が遅進補正される。
【0013】
排気タービン12の下流側の排気通路16には、排気ガスを浄化する触媒として、上流側より順に、酸化触媒27と、排気中のNOxを吸着及び脱離・浄化するNOx浄化触媒28と、排気中の排気微粒子(PM)をトラップし、堆積したPMを燃焼などの方法により定期的に除去すなわち再生する排気後処理装置としての微粒子捕捉フィルタすなわちDPF29と、が設けられている。
【0014】
制御部としてのコントロールユニット30には、上述のノックセンサ26やエアフロメータ22の検出信号のほかに、クランクシャフトのクランク角(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサ31、過給圧を検出する過給圧センサ32、排気通路における酸化触媒27の上流側の酸素濃度を検出する空燃比検出手段としての第1酸素センサ33、排気通路におけるNOx浄化触媒28とDPF29との間の酸素温度を検出する第2酸素センサ34、DPF29の入口温度を検出する入口温度センサ35、DPF29の出口温度を検出する出口温度センサ36、DPF29の前後の差圧を検出するDPF差圧センサ37の他、冷却水温を検出する水温センサ、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ、吸気温度を検出する吸気温度センサ等のセンサ類の検出信号が入力されている。コントロールユニット30は、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射ノズル3の他、吸気通路14の絞り量を調整する吸気絞り弁38や、ターボ過給機11の可変ノズルの開度を調整する圧力制御弁39等へ制御信号を出力し、その動作を制御する。
【0015】
図2は、上記コントロールユニット30において実行される実着火時期検出のための処理の流れを示すフローチャートである。本ルーチンはごく短い所定の演算間隔(例えば、所定のクランク角毎あるいは所定時間)毎に繰り返し実行される。
【0016】
先ずステップ(以下、単にSと記す)1では、クランク角センサ31より検出されるクランク角等の各種信号が読み込まれる。S2では、クランク角が各気筒の燃焼サイクルにおける所定のサンプリング期間Δθsmp(図3参照)内にあるかを判定する。サンプリング期間Δθsmpになければ、S10において、後述する積算値を0に初期化する。
【0017】
このサンプリング期間Δθsmpは、図3に示すように、少なくとも着火時期を含み、燃焼圧の発生区間を抽出するように、その開始時期つまり積分開始時期θsから例えば50°CA程度の期間とされる。また、サンプリング期間をエンジン運転条件に応じて可変としても良く、例えば、圧力上昇率dP/dθの立ち上がりと熱発生の立ち上がりとを検出・推定し、無制御燃焼期間から後燃期間までの期間としてもよい。尚、主燃料噴射(メイン噴射)に加えて、主燃料噴射に先だって少量の燃料を噴射して火種を作るプレ噴射や、主燃料噴射後に少量の燃料を噴射して燃え残りの燃料を燃やすアフター噴射を行う場合には、その振動の影響を回避するために、これらの噴射期間と重複しないようにサンプリング期間を設定することが望ましい。積分開始時期θsは、少なくとも着火時期よりも前であって、後述するように主燃料噴射開始時期以降に設定される。
【0018】
サンプリング期間内であれば、S3へ進み、ノックセンサ26が出力するノック信号すなわち振動加速度を読み込み、S4で、バンドパスフィルタ処理(あるいは、ハイパスフィルタ処理)を行って、明らかにノイズと考えられる周波数帯域を除いた所定周波数範囲ΔFrqの信号のみを抽出する。この所定周波数範囲ΔFrqは、図4に示すように、燃焼による振動を抽出するように、5kHz〜10kHz、あるいは5kHz〜20kHz程度の範囲に設定される。2〜4kHz付近の範囲は、一般に、燃焼期間に重複して発生する燃料噴射ノズル3の駆動に伴う振動成分を多く含み、少なくともこれを排除することが望ましい。
【0019】
そして、S5において、この振動加速度の振幅に相当する値(絶対値)を、所定のサンプリング周期毎に積算して、その積算値を更新する。サンプリング周期(演算間隔)は、例えば1°CAの単位クランク角であり、あるいは、1/(360/0.25×Ne/60)×106[μs]等に設定される。尚、絶対値の積算として、この実施例では、正負に反転する振動加速度の二乗値を順次積算している。
【0020】
S6では、そのときのエンジン運転条件つまり負荷(トルク、燃料噴射量)やエンジン回転速度、燃圧等に基づいて、着火時期判定レベルS_SLを設定する。すなわち、図8に示すように着火時期判定レベルS_SLはエンジン回転速度等に応じて可変とされる。S7では、各クランク角毎の積算値Sθを上記の着火時期判定レベルS_SLと比較する。
【0021】
積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達していなければ、本ルーチンを終了する。一方、積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達すると、S8、S9へ進み、この積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達した到達時期に基づいて、実着火時期rT_ignを算出する。具体的には、積算開始時期から到達時期までの経過時間を算出し(S8)、この経過時間をクランク角に変換して、実着火時期rT_ign(クランク角)を求める。
【0022】
尚、上記の例では、実時間ベースで処理を行っているが、サンプリング等を含めた一連の処理をクランク角ベースで行うこともでき、この場合は、上記S9の実時間からクランク角への変換処理を省略し、到達時期(クランク角)から直接的に実着火時期rT_ign(クランク角)を求めることができる。
【0023】
図5は異なる噴射時期(A)〜(D)における筒内圧及びノックセンサ26から出力される振動加速度の変化を示す特性図である。噴射時期(主燃料噴射開始時期)が遅角するほど、着火燃焼による筒内圧上昇領域α1及び振動増加領域α2も遅角していく。従って、上記の積算開始時期θsは、主燃料噴射開始時期に応じて設定され、主燃料噴射開始時期以降、より具体的には、シリンダブロック等の振動伝達系による応答遅れを考慮した所定の伝達遅れ期間θnだけ主燃料噴射開始時期MITよりも遅角させた時期(MIT+θn)に設定される。より具体的には、上記の伝達遅れ期間θnは、図6に示す第1制御マップMAP1を参照して、エンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて設定される。同図に示すように、伝達遅れ期間θnは、エンジン回転速度が高くなるほど大きく、また、燃料噴射量が多くなるほど大きく設定される。これによって、燃料噴射による着火燃焼以外のノイズ成分を精度良く除去することができる。
【0024】
また、図5に示すように、燃料噴射開始時期が上死点より遅角していくほど、振動加速度の強度(振幅)も小さくなっていく。従って、好ましくは上記のS6において、燃料噴射開始時期が上死点より遅角するほど、着火時期判定レベルS_SLを小さくする。
【0025】
図7は、主燃料噴射開始時期MIT(ATDC)が異なる場合の積算値(積分値)の変化及び検出値に対する実着火時期のばらつき・誤差を示している。「検出値」は、上述した積算値が着火時期判定レベルS_SLに到達した到達時期におけるクランク角(ATDC)である。実着火時期は、この検出値に基づいて設定され、この例では検出値より約15°進角した時期となっている。この図7に示すように、検出値(到達時期でのクランク角)に対する実着火時期のばらつきは、主燃料噴射開始時期にかかわらず、±0.7°CA程度の少ない範囲に抑えられ、燃料噴射による燃焼以外のノイズ振動の影響を排除して、実着火時期を精度よく求めることができる。
【0026】
図8は、排気代表点が異なる3つの運転条件(A)〜(C)における、検出値と実着火時期との関係を示している。同図に示すように、エンジン運転条件が異なる場合であっても、到達時期のクランク角すなわち検出値に対する実着火時期の誤差は、±1.2°CA以下の少ない範囲に抑えられる。このようにエンジン運転条件にかかわらず精度よく実着火時期を求めることができる。
【0027】
このようにして求められた実着火時期rT_ignは、ディーゼルエンジン1における種々の制御に利用することができるが、図9は、一例として、通常時の実着火時期rT_ignを用いた噴射時期ITの補正についてのフローチャートを示している。ここでは、まずS11において、そのときのエンジン運転条件つまり負荷(トルク)とエンジン回転速度とに基づいて、図10に示す第2制御マップ(MAP2)を参照して、目標着火時期tT_ignを算出・設定する。この第2制御マップは、各運転点毎に望ましい着火時期を割り付けたものであり、基本的には、エンジン運転条件(負荷及びエンジン回転速度)に対して目標噴射時期ITを割り付けた図12に示す目標噴射時期マップに類似した特性となる。
【0028】
次に、S12において、この目標噴射時期tT_ignと推定した実着火時期rT_ignとの差ΔT(=rT_ign−tT_ign)を求める。そして、S13において、図11に示す第3制御マップ(MAP3)を参照して、差ΔTに対応する噴射時期補正量IT_FBを求める。つまり、噴射時期と着火時期とは「1対1」の関係にはなく、例えば噴射時期を1°CA変化させても着火時期が1°CA変化する訳ではなく、しかも両者の相関関係は運転条件によって異なるものとなるので、これらを考慮して、実着火時期rT_ignを目標噴射時期tT_ignに近づけるために必要な補正量IT_FBが第3制御マップとして割り付けられている。この第3制御マップに基づいて求められた補正量IT_FBは、S14において、そのときの噴射時期ITに加えられる。尚、この補正量IT_FBは、必要に応じ、各運転点毎の補正量として学習・保存するようにしてもよい。
【0029】
ところで、上記のサンプリング期間は、例えば積分開始時期から50°CAに設定されるが、必ずしも固定的な範囲でなくてもよく、エンジンの運転条件、特に、燃料噴射量Qf、レール圧Pf、噴射時期IT等を考慮して、可変的に設定するように構成することもできる。例えば、燃焼期間θbrnは、レール圧Pfと燃料噴射量Qfとに相関し、例えば図13に示すような特性の燃焼期間マップを参照して算出することが可能である。
【0030】
サンプリング期間の開始時期θsを、θnを所定の伝達遅れ期間として、「θs=IT+θn」とし、終了時期θfを、「θf=IT+θn+θbrn」として可変的に設定すれば、燃焼期間のみを含む最小のサンプリング期間を与えることができる。これは、例えば、前後にプレ噴射やアフター噴射が行われるような場合に、その影響を避ける上で有利となる。
【0031】
低セタン燃料の場合、プレ噴射による燃料噴射量を増量しても圧縮端温度が十分高くないと、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼の熱発生量が増大せず、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼が安定しない場合がある。筒内の雰囲気がリッチ化している場合、図14に示すように、主燃料噴射の噴射時期を進角させると、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼は安定する傾向にあるが、スモークは悪化してしまう傾向がある。尚、図14中の実線は噴射時期とEGR率に対するスモーク性能を表す特性線であり、噴射時期が遅角するほど、EGR率が増加するほど、スモーク性能は良好となる傾向がある。また、図14中の破線は噴射時期とEGR率に対するトルク変動を無次元化した指標を表す特性線であり、噴射時期が進角するほど、EGR率が減少するほど、トルク変動は小さくなり、燃焼安定性は向上する傾向がある。
【0032】
また、EGRを増量することで圧縮端温度を上げ、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼の安定化を図ることも可能であるが、図15に示すように、EGRを増量しすぎると、プレ噴射により噴射された燃料の熱発生は活発になっていくものの不活性ガス割合過多による燃焼速度低下により主燃料噴射により噴射された燃料の熱発生は弱まってしまう。
【0033】
そこで、リッチスパイクよるNOx浄化触媒28からのNOxの放出処理や、NOx浄化触媒28の硫黄被毒解除に伴い排気空燃比をリッチ化する際には、図16に示すように制御する。すなわち、ノックセンサ26で検出される信号に基づき、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値と主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させる。これは、通常排気空燃比をリッチ化する場合には、吸気を絞ってリッチ化しているため、圧縮上死点での圧力上昇が小さい、すなわち温度上昇が小さくなるため、プレ噴射により噴射された燃料が発火しにくくなるためである。
【0034】
S21では、硫黄被毒解除またはリッチスパイクの実施条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合には、排気空燃比をリッチ化するべくS22へ進み、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
【0035】
S22では、次式(1)と次式(2)の条件が満たされているか否かを判定し、満たされていない場合には、S23へ進み、そうでない場合には今回のルーチンを終了する。すなわち、主燃料噴射に起因する燃焼に着火遅れがあると判定されると、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように燃焼室2内のガス温度を向上させる。
[数1]
|(rT_ign)−(tT_ign)|<ε1 …(1)
[数2]
|(rSpre/rSmain)/(tSpre/tSmain)−所定値|<ε2 …(2)
ここでrT_ignは、上述したように主燃料噴射により噴射された燃料の実着火時期あり、tT_ignは、上述したように主燃料噴射により噴射された燃料の目標着火時期である。前記式(1)から、実着火時期rT_ignと目標着火時期tT_ignの偏差が予め設定された所定値ε1よりも小さい場合に、着火遅れがないと判定し、そうでない場合に着火遅れがあると判定している。
【0036】
また、式(2)におけるrSpreは、ノックセンサ26によって検知されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Aの積算値であり、rSmainはノックセンサ26によって検知された主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Bの積算値である。
【0037】
所定期間Aは、プレ噴射の開始時期とプレ噴射の噴射期間を含んだ期間であり、クランクアングルで例えば25deg相当程度の期間である。所定期間Bは、主燃料噴射の開始時期と主燃料噴射の噴射期間を含んだ期間であり、クランクアングルで例えば60deg相当程度の期間である。尚、プレ噴射の噴射期間、主燃料噴射の噴射期間は、それぞれ噴射量とレール圧から計算できる。
【0038】
図17は、排気空燃比がリッチ化している状態において、ノックセンサ26で検出される検出信号と、筒内の熱発生量とを示した説明図である。図18は、ノックセンサ26の検出信号の絶対値を積分したものを所定期間A積算したものと、所定期間B積算したものとを示している。
【0039】
図17及び図18に示すように、ノックセンサ26で検出された検出信号の絶対値を積分したものを所定期間A積算することで上述したrSpreを算出し、ノックセンサ26で検出された検出信号の絶対値を積分したものを所定期間B積算することで上述したrSmainを算出する。
【0040】
tSpreは、ノックセンサ26によって検知されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Aの積算値の目標値であり、tSmainはノックセンサ26によって検知された主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Bの積算値の目標値である。
【0041】
S23では、プレ噴射における燃料の噴射量が所定量よりも少ないか否かを判定し、少ない場合にはS24へ進みプレ噴射における燃料の噴射量を増量し、そうでない場合にはS25へ進む。ここで、プレ噴射における燃料の噴射量は、多くなりすぎても燃焼安定性に寄与しないことが判っており、S23における所定量としては、例えば4(mm3/st)程度の値を設定することが望ましい。
【0042】
S25では、EGR率が所定値よりも少ないか否かを判定し、少ない場合にはS26へ進みEGR率を増加させ、そうでない場合にはS27へ進み主燃料噴射の噴射時期を進角させる。ここでEGR率を増加させすぎると燃焼室2内の不活性ガス割合が大きくなり、失火する可能性が増加させるので、S25における所定量としては、例えば15%程度の値を設定することが望ましい。
【0043】
このような本実施形態においては、排気空燃比がリッチ化している状態で燃焼が不安定となっても、ノックセンサ26で検出される信号に基づき、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値と主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値との比が所定の範囲内になるように燃焼室2内のガス温度を上昇させることで、スモークの抑制を実現しつつ燃焼安定性を確保することができる。
【0044】
尚、上述した実施形態においては、燃焼室2内のガス温度を上昇させる手段としてEGR率を増加させているが、燃焼室2にグロープラグを配置してこのグロープラグによって燃焼室2内のガス温度を上昇させるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態においては、ノックセンサ26を用いて燃焼室2内の燃焼状態を検出しているが、筒内圧を検知する筒内圧センサを各気筒に設ければ、この筒内圧センサを用いて燃焼室2内の燃焼状態を検出するようにしてもよい。また、ノックセンサ26変わって筒内圧センサを用いることで、筒内圧センサで検出されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する筒内の熱発生量の所定区間の積算値と、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する筒内の熱発生量の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させるようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0047】
(1) 燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、排気空燃比を検知する手段と、燃焼室内の燃焼に起因する信号を用いて燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、燃焼室内のガス温度を上昇させる燃焼室内ガス温度上昇手段と、を有し、前記燃料噴射弁は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射すると共に、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合には、燃焼室内ガス温度上昇手段により燃焼室内のガス温度を上昇させる。これによって、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に燃焼が不安定となると、燃焼室内のガス温度を上昇させて圧縮端温度を上昇させることで、燃焼安定性とスモークの抑制を実現することができる。
【0048】
(2) 前記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、具体的には、EGR率を増加させることによって燃焼室内のガス温度を上昇させている。
【0049】
(3) 前記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、具体的には、グロープラグにより燃焼室内のガス温度を上昇させている。
【0050】
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼状態検出手段は、具体的には、燃焼室を構成する内燃機関本体に取り付けられたノックセンサである。
【0051】
(5) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼状態検出手段は、具体的には、各気筒の筒内圧力を直接検出する筒内圧センサである。
【0052】
(6) 前記(4)に記載の内燃機関の制御装置は、具体的には、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合、メイン噴射に先だって実施された噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室内のガス温度を上昇させる。
【符号の説明】
【0053】
1…ディーゼルエンジン
2…燃焼室
3…燃料噴射ノズル
26…ノックセンサ
30…コントロールユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射する内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンにおける着火時期は、基本的には、燃料噴射時期によって制御されるが、実際の着火時期は直接には検出されず、実際の着火時期が所望の着火時期に正しく合致しているか否かは一般に不明である。ディーゼルエンジンにおける着火時期は、排気中のNOx排出量や燃料消費率に影響し、実際の着火時期を所望の着火時期に制御することが、トレードオフの関係にあるNOx排出量と燃料消費率とを両立させる上で重要である。
【0003】
特許文献1には、ディーゼルエンジンのシリンダブロックに振動センサ(いわゆるノックセンサ)を取り付け、その振幅があるレベルになったときに、単純に、着火時期と判定するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−144583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、着火時期を正確に判定することができたとしても、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射するような内燃機関にあっては、メイン噴射に起因する燃焼が安定しない場合に、燃料が低セタン燃料であると、メイン噴射に先だつ噴射の噴射量を増加させても、圧縮端の温度が十分高くないとメイン噴射に先だつ噴射に起因する熱発生量が増大せず、メイン噴射に起因する燃焼を安定させることができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の内燃機関の制御装置は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射するものであって、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合にメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定されると、燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に燃焼が不安定となると、燃焼室内のガス温度を上昇させて圧縮端温度を上昇させることで、燃焼安定性とスモークの抑制を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係る制御装置が適用されるディーゼルエンジンの構成説明図。
【図2】着火時期検出のための処理の流れを示すフローチャート。
【図3】サンプリング期間の一例を示す説明図。
【図4】積算される振動加速度の周波数範囲の一例を示す説明図。
【図5】異なる噴射時期(A)〜(D)における筒内圧及び振動加速度の変化を示す説明図。
【図6】第1制御マップの特性を示す特性図。
【図7】3つの異なる噴射時期における積算値及び検出値を示す説明図。
【図8】3つの異なる運転条件(A)〜(C)における検出値と実着火時期との関係を示す説明図。
【図9】噴射時期の補正の処理の流れを示すフローチャート。
【図10】第2制御マップの特性を示す特性図。
【図11】第3制御マップの特性を示す特性図。
【図12】目標噴射時期マップの特性を示す特性図。
【図13】燃焼期間マップの特性を示す特性図。
【図14】EGR率と噴射時期に対するスモーク性能を表す特性線とトルク変動を無次元化した指標を表す特性線とを併せて示す特性図。
【図15】燃焼室内の熱発生量を示す特性図。
【図16】排気空燃比をリッチとする場合の噴射時期の補正の処理の流れを示すフローチャート。
【図17】排気空燃比がリッチ化している状態における、ノックセンサの検出信号と、筒内の熱発生量とを示した説明図。
【図18】排気空燃比がリッチ化している状態において、ノックセンサの検出信号の絶対値を積分したものを示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、この発明が適用されるディーゼルエンジン1の全体的構成を示している。このディーゼルエンジン1は、コモンレール式の燃料噴射装置を備えたもので、各気筒の燃焼室2の上部中央に燃料噴射ノズル3を有し、サプライポンプ4により加圧された燃料が蓄圧室(コモンレール)5に蓄えられたあとに各気筒の燃料噴射ノズル3に分配され、各燃料噴射ノズル3の開閉に応じてそれぞれ噴射される。上記蓄圧室5には、燃料圧力(レール圧)を検出するための燃料圧力センサ6が設けられている。
【0011】
また、このディーゼルエンジン1は、排気タービン12とコンプレッサ13とを同軸状に備えたターボ過給機11を有している。コンプレッサ13から燃焼室2に至る吸気通路14には、インタークーラ15が介装されている。燃焼室2から排気タービン12に至る排気通路16と上記吸気通路14との間には、EGR通路17が設けられており、このEGR通路17には、EGRクーラ18及びEGR制御弁19が介装されている。吸気通路14のコンプレッサ13よりも上流側には、エアクリーナ21及びエアフロメータ22を備えている。
【0012】
そして、エンジン本体の一部であるシリンダブロック25の側壁に、加速度センサであり燃焼状態検知手段としてシリンダブロック25の振動に応答する公知のノックセンサ26が取り付けられている。このノックセンサ26は、各気筒毎に設けても良いが、この実施例では、各気筒の振動を検知し得る適宜な位置を選択してシリンダブロック25に1つのノックセンサ26を設けている。このノックセンサ26の検出信号は、コントロールユニット30に入力され、これに基づいて、後述するように、燃料噴射ノズル3からの燃料噴射時期が遅進補正される。
【0013】
排気タービン12の下流側の排気通路16には、排気ガスを浄化する触媒として、上流側より順に、酸化触媒27と、排気中のNOxを吸着及び脱離・浄化するNOx浄化触媒28と、排気中の排気微粒子(PM)をトラップし、堆積したPMを燃焼などの方法により定期的に除去すなわち再生する排気後処理装置としての微粒子捕捉フィルタすなわちDPF29と、が設けられている。
【0014】
制御部としてのコントロールユニット30には、上述のノックセンサ26やエアフロメータ22の検出信号のほかに、クランクシャフトのクランク角(エンジン回転速度)を検出するクランク角センサ31、過給圧を検出する過給圧センサ32、排気通路における酸化触媒27の上流側の酸素濃度を検出する空燃比検出手段としての第1酸素センサ33、排気通路におけるNOx浄化触媒28とDPF29との間の酸素温度を検出する第2酸素センサ34、DPF29の入口温度を検出する入口温度センサ35、DPF29の出口温度を検出する出口温度センサ36、DPF29の前後の差圧を検出するDPF差圧センサ37の他、冷却水温を検出する水温センサ、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセル開度センサ、吸気温度を検出する吸気温度センサ等のセンサ類の検出信号が入力されている。コントロールユニット30は、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射ノズル3の他、吸気通路14の絞り量を調整する吸気絞り弁38や、ターボ過給機11の可変ノズルの開度を調整する圧力制御弁39等へ制御信号を出力し、その動作を制御する。
【0015】
図2は、上記コントロールユニット30において実行される実着火時期検出のための処理の流れを示すフローチャートである。本ルーチンはごく短い所定の演算間隔(例えば、所定のクランク角毎あるいは所定時間)毎に繰り返し実行される。
【0016】
先ずステップ(以下、単にSと記す)1では、クランク角センサ31より検出されるクランク角等の各種信号が読み込まれる。S2では、クランク角が各気筒の燃焼サイクルにおける所定のサンプリング期間Δθsmp(図3参照)内にあるかを判定する。サンプリング期間Δθsmpになければ、S10において、後述する積算値を0に初期化する。
【0017】
このサンプリング期間Δθsmpは、図3に示すように、少なくとも着火時期を含み、燃焼圧の発生区間を抽出するように、その開始時期つまり積分開始時期θsから例えば50°CA程度の期間とされる。また、サンプリング期間をエンジン運転条件に応じて可変としても良く、例えば、圧力上昇率dP/dθの立ち上がりと熱発生の立ち上がりとを検出・推定し、無制御燃焼期間から後燃期間までの期間としてもよい。尚、主燃料噴射(メイン噴射)に加えて、主燃料噴射に先だって少量の燃料を噴射して火種を作るプレ噴射や、主燃料噴射後に少量の燃料を噴射して燃え残りの燃料を燃やすアフター噴射を行う場合には、その振動の影響を回避するために、これらの噴射期間と重複しないようにサンプリング期間を設定することが望ましい。積分開始時期θsは、少なくとも着火時期よりも前であって、後述するように主燃料噴射開始時期以降に設定される。
【0018】
サンプリング期間内であれば、S3へ進み、ノックセンサ26が出力するノック信号すなわち振動加速度を読み込み、S4で、バンドパスフィルタ処理(あるいは、ハイパスフィルタ処理)を行って、明らかにノイズと考えられる周波数帯域を除いた所定周波数範囲ΔFrqの信号のみを抽出する。この所定周波数範囲ΔFrqは、図4に示すように、燃焼による振動を抽出するように、5kHz〜10kHz、あるいは5kHz〜20kHz程度の範囲に設定される。2〜4kHz付近の範囲は、一般に、燃焼期間に重複して発生する燃料噴射ノズル3の駆動に伴う振動成分を多く含み、少なくともこれを排除することが望ましい。
【0019】
そして、S5において、この振動加速度の振幅に相当する値(絶対値)を、所定のサンプリング周期毎に積算して、その積算値を更新する。サンプリング周期(演算間隔)は、例えば1°CAの単位クランク角であり、あるいは、1/(360/0.25×Ne/60)×106[μs]等に設定される。尚、絶対値の積算として、この実施例では、正負に反転する振動加速度の二乗値を順次積算している。
【0020】
S6では、そのときのエンジン運転条件つまり負荷(トルク、燃料噴射量)やエンジン回転速度、燃圧等に基づいて、着火時期判定レベルS_SLを設定する。すなわち、図8に示すように着火時期判定レベルS_SLはエンジン回転速度等に応じて可変とされる。S7では、各クランク角毎の積算値Sθを上記の着火時期判定レベルS_SLと比較する。
【0021】
積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達していなければ、本ルーチンを終了する。一方、積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達すると、S8、S9へ進み、この積算値Sθが着火時期判定レベルS_SLに到達した到達時期に基づいて、実着火時期rT_ignを算出する。具体的には、積算開始時期から到達時期までの経過時間を算出し(S8)、この経過時間をクランク角に変換して、実着火時期rT_ign(クランク角)を求める。
【0022】
尚、上記の例では、実時間ベースで処理を行っているが、サンプリング等を含めた一連の処理をクランク角ベースで行うこともでき、この場合は、上記S9の実時間からクランク角への変換処理を省略し、到達時期(クランク角)から直接的に実着火時期rT_ign(クランク角)を求めることができる。
【0023】
図5は異なる噴射時期(A)〜(D)における筒内圧及びノックセンサ26から出力される振動加速度の変化を示す特性図である。噴射時期(主燃料噴射開始時期)が遅角するほど、着火燃焼による筒内圧上昇領域α1及び振動増加領域α2も遅角していく。従って、上記の積算開始時期θsは、主燃料噴射開始時期に応じて設定され、主燃料噴射開始時期以降、より具体的には、シリンダブロック等の振動伝達系による応答遅れを考慮した所定の伝達遅れ期間θnだけ主燃料噴射開始時期MITよりも遅角させた時期(MIT+θn)に設定される。より具体的には、上記の伝達遅れ期間θnは、図6に示す第1制御マップMAP1を参照して、エンジン回転速度及び燃料噴射量に応じて設定される。同図に示すように、伝達遅れ期間θnは、エンジン回転速度が高くなるほど大きく、また、燃料噴射量が多くなるほど大きく設定される。これによって、燃料噴射による着火燃焼以外のノイズ成分を精度良く除去することができる。
【0024】
また、図5に示すように、燃料噴射開始時期が上死点より遅角していくほど、振動加速度の強度(振幅)も小さくなっていく。従って、好ましくは上記のS6において、燃料噴射開始時期が上死点より遅角するほど、着火時期判定レベルS_SLを小さくする。
【0025】
図7は、主燃料噴射開始時期MIT(ATDC)が異なる場合の積算値(積分値)の変化及び検出値に対する実着火時期のばらつき・誤差を示している。「検出値」は、上述した積算値が着火時期判定レベルS_SLに到達した到達時期におけるクランク角(ATDC)である。実着火時期は、この検出値に基づいて設定され、この例では検出値より約15°進角した時期となっている。この図7に示すように、検出値(到達時期でのクランク角)に対する実着火時期のばらつきは、主燃料噴射開始時期にかかわらず、±0.7°CA程度の少ない範囲に抑えられ、燃料噴射による燃焼以外のノイズ振動の影響を排除して、実着火時期を精度よく求めることができる。
【0026】
図8は、排気代表点が異なる3つの運転条件(A)〜(C)における、検出値と実着火時期との関係を示している。同図に示すように、エンジン運転条件が異なる場合であっても、到達時期のクランク角すなわち検出値に対する実着火時期の誤差は、±1.2°CA以下の少ない範囲に抑えられる。このようにエンジン運転条件にかかわらず精度よく実着火時期を求めることができる。
【0027】
このようにして求められた実着火時期rT_ignは、ディーゼルエンジン1における種々の制御に利用することができるが、図9は、一例として、通常時の実着火時期rT_ignを用いた噴射時期ITの補正についてのフローチャートを示している。ここでは、まずS11において、そのときのエンジン運転条件つまり負荷(トルク)とエンジン回転速度とに基づいて、図10に示す第2制御マップ(MAP2)を参照して、目標着火時期tT_ignを算出・設定する。この第2制御マップは、各運転点毎に望ましい着火時期を割り付けたものであり、基本的には、エンジン運転条件(負荷及びエンジン回転速度)に対して目標噴射時期ITを割り付けた図12に示す目標噴射時期マップに類似した特性となる。
【0028】
次に、S12において、この目標噴射時期tT_ignと推定した実着火時期rT_ignとの差ΔT(=rT_ign−tT_ign)を求める。そして、S13において、図11に示す第3制御マップ(MAP3)を参照して、差ΔTに対応する噴射時期補正量IT_FBを求める。つまり、噴射時期と着火時期とは「1対1」の関係にはなく、例えば噴射時期を1°CA変化させても着火時期が1°CA変化する訳ではなく、しかも両者の相関関係は運転条件によって異なるものとなるので、これらを考慮して、実着火時期rT_ignを目標噴射時期tT_ignに近づけるために必要な補正量IT_FBが第3制御マップとして割り付けられている。この第3制御マップに基づいて求められた補正量IT_FBは、S14において、そのときの噴射時期ITに加えられる。尚、この補正量IT_FBは、必要に応じ、各運転点毎の補正量として学習・保存するようにしてもよい。
【0029】
ところで、上記のサンプリング期間は、例えば積分開始時期から50°CAに設定されるが、必ずしも固定的な範囲でなくてもよく、エンジンの運転条件、特に、燃料噴射量Qf、レール圧Pf、噴射時期IT等を考慮して、可変的に設定するように構成することもできる。例えば、燃焼期間θbrnは、レール圧Pfと燃料噴射量Qfとに相関し、例えば図13に示すような特性の燃焼期間マップを参照して算出することが可能である。
【0030】
サンプリング期間の開始時期θsを、θnを所定の伝達遅れ期間として、「θs=IT+θn」とし、終了時期θfを、「θf=IT+θn+θbrn」として可変的に設定すれば、燃焼期間のみを含む最小のサンプリング期間を与えることができる。これは、例えば、前後にプレ噴射やアフター噴射が行われるような場合に、その影響を避ける上で有利となる。
【0031】
低セタン燃料の場合、プレ噴射による燃料噴射量を増量しても圧縮端温度が十分高くないと、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼の熱発生量が増大せず、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼が安定しない場合がある。筒内の雰囲気がリッチ化している場合、図14に示すように、主燃料噴射の噴射時期を進角させると、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼は安定する傾向にあるが、スモークは悪化してしまう傾向がある。尚、図14中の実線は噴射時期とEGR率に対するスモーク性能を表す特性線であり、噴射時期が遅角するほど、EGR率が増加するほど、スモーク性能は良好となる傾向がある。また、図14中の破線は噴射時期とEGR率に対するトルク変動を無次元化した指標を表す特性線であり、噴射時期が進角するほど、EGR率が減少するほど、トルク変動は小さくなり、燃焼安定性は向上する傾向がある。
【0032】
また、EGRを増量することで圧縮端温度を上げ、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼の安定化を図ることも可能であるが、図15に示すように、EGRを増量しすぎると、プレ噴射により噴射された燃料の熱発生は活発になっていくものの不活性ガス割合過多による燃焼速度低下により主燃料噴射により噴射された燃料の熱発生は弱まってしまう。
【0033】
そこで、リッチスパイクよるNOx浄化触媒28からのNOxの放出処理や、NOx浄化触媒28の硫黄被毒解除に伴い排気空燃比をリッチ化する際には、図16に示すように制御する。すなわち、ノックセンサ26で検出される信号に基づき、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値と主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させる。これは、通常排気空燃比をリッチ化する場合には、吸気を絞ってリッチ化しているため、圧縮上死点での圧力上昇が小さい、すなわち温度上昇が小さくなるため、プレ噴射により噴射された燃料が発火しにくくなるためである。
【0034】
S21では、硫黄被毒解除またはリッチスパイクの実施条件が成立しているか否かを判定し、成立している場合には、排気空燃比をリッチ化するべくS22へ進み、そうでない場合は今回のルーチンを終了する。
【0035】
S22では、次式(1)と次式(2)の条件が満たされているか否かを判定し、満たされていない場合には、S23へ進み、そうでない場合には今回のルーチンを終了する。すなわち、主燃料噴射に起因する燃焼に着火遅れがあると判定されると、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように燃焼室2内のガス温度を向上させる。
[数1]
|(rT_ign)−(tT_ign)|<ε1 …(1)
[数2]
|(rSpre/rSmain)/(tSpre/tSmain)−所定値|<ε2 …(2)
ここでrT_ignは、上述したように主燃料噴射により噴射された燃料の実着火時期あり、tT_ignは、上述したように主燃料噴射により噴射された燃料の目標着火時期である。前記式(1)から、実着火時期rT_ignと目標着火時期tT_ignの偏差が予め設定された所定値ε1よりも小さい場合に、着火遅れがないと判定し、そうでない場合に着火遅れがあると判定している。
【0036】
また、式(2)におけるrSpreは、ノックセンサ26によって検知されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Aの積算値であり、rSmainはノックセンサ26によって検知された主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Bの積算値である。
【0037】
所定期間Aは、プレ噴射の開始時期とプレ噴射の噴射期間を含んだ期間であり、クランクアングルで例えば25deg相当程度の期間である。所定期間Bは、主燃料噴射の開始時期と主燃料噴射の噴射期間を含んだ期間であり、クランクアングルで例えば60deg相当程度の期間である。尚、プレ噴射の噴射期間、主燃料噴射の噴射期間は、それぞれ噴射量とレール圧から計算できる。
【0038】
図17は、排気空燃比がリッチ化している状態において、ノックセンサ26で検出される検出信号と、筒内の熱発生量とを示した説明図である。図18は、ノックセンサ26の検出信号の絶対値を積分したものを所定期間A積算したものと、所定期間B積算したものとを示している。
【0039】
図17及び図18に示すように、ノックセンサ26で検出された検出信号の絶対値を積分したものを所定期間A積算することで上述したrSpreを算出し、ノックセンサ26で検出された検出信号の絶対値を積分したものを所定期間B積算することで上述したrSmainを算出する。
【0040】
tSpreは、ノックセンサ26によって検知されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Aの積算値の目標値であり、tSmainはノックセンサ26によって検知された主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定期間Bの積算値の目標値である。
【0041】
S23では、プレ噴射における燃料の噴射量が所定量よりも少ないか否かを判定し、少ない場合にはS24へ進みプレ噴射における燃料の噴射量を増量し、そうでない場合にはS25へ進む。ここで、プレ噴射における燃料の噴射量は、多くなりすぎても燃焼安定性に寄与しないことが判っており、S23における所定量としては、例えば4(mm3/st)程度の値を設定することが望ましい。
【0042】
S25では、EGR率が所定値よりも少ないか否かを判定し、少ない場合にはS26へ進みEGR率を増加させ、そうでない場合にはS27へ進み主燃料噴射の噴射時期を進角させる。ここでEGR率を増加させすぎると燃焼室2内の不活性ガス割合が大きくなり、失火する可能性が増加させるので、S25における所定量としては、例えば15%程度の値を設定することが望ましい。
【0043】
このような本実施形態においては、排気空燃比がリッチ化している状態で燃焼が不安定となっても、ノックセンサ26で検出される信号に基づき、プレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値と主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の積算値との比が所定の範囲内になるように燃焼室2内のガス温度を上昇させることで、スモークの抑制を実現しつつ燃焼安定性を確保することができる。
【0044】
尚、上述した実施形態においては、燃焼室2内のガス温度を上昇させる手段としてEGR率を増加させているが、燃焼室2にグロープラグを配置してこのグロープラグによって燃焼室2内のガス温度を上昇させるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態においては、ノックセンサ26を用いて燃焼室2内の燃焼状態を検出しているが、筒内圧を検知する筒内圧センサを各気筒に設ければ、この筒内圧センサを用いて燃焼室2内の燃焼状態を検出するようにしてもよい。また、ノックセンサ26変わって筒内圧センサを用いることで、筒内圧センサで検出されたプレ噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する筒内の熱発生量の所定区間の積算値と、主燃料噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する筒内の熱発生量の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室2内のガス温度を上昇させるようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態から把握し得る本発明の技術的思想について、その効果とともに列記する。
【0047】
(1) 燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、排気空燃比を検知する手段と、燃焼室内の燃焼に起因する信号を用いて燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、燃焼室内のガス温度を上昇させる燃焼室内ガス温度上昇手段と、を有し、前記燃料噴射弁は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射すると共に、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合には、燃焼室内ガス温度上昇手段により燃焼室内のガス温度を上昇させる。これによって、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に燃焼が不安定となると、燃焼室内のガス温度を上昇させて圧縮端温度を上昇させることで、燃焼安定性とスモークの抑制を実現することができる。
【0048】
(2) 前記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、具体的には、EGR率を増加させることによって燃焼室内のガス温度を上昇させている。
【0049】
(3) 前記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、具体的には、グロープラグにより燃焼室内のガス温度を上昇させている。
【0050】
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼状態検出手段は、具体的には、燃焼室を構成する内燃機関本体に取り付けられたノックセンサである。
【0051】
(5) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記燃焼状態検出手段は、具体的には、各気筒の筒内圧力を直接検出する筒内圧センサである。
【0052】
(6) 前記(4)に記載の内燃機関の制御装置は、具体的には、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合、メイン噴射に先だって実施された噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室内のガス温度を上昇させる。
【符号の説明】
【0053】
1…ディーゼルエンジン
2…燃焼室
3…燃料噴射ノズル
26…ノックセンサ
30…コントロールユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、
排気空燃比を検知する手段と、
燃焼室内の燃焼に起因する信号を用いて燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
燃焼室内のガス温度を上昇させる燃焼室内ガス温度上昇手段と、を有し、
前記燃料噴射弁は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射すると共に、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合には、燃焼室内ガス温度上昇手段により燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、EGR率を増加させることによって燃焼室内のガス温度を上昇させていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、グロープラグにより燃焼室内のガス温度を上昇させていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記燃焼状態検出手段は、燃焼室を構成する内燃機関本体に取り付けられたノックセンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記燃焼状態検出手段は、各気筒の筒内圧力を直接検出する筒内圧センサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合、メイン噴射に先だって実施された噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項1】
燃焼室内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、
排気空燃比を検知する手段と、
燃焼室内の燃焼に起因する信号を用いて燃焼室内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
燃焼室内のガス温度を上昇させる燃焼室内ガス温度上昇手段と、を有し、
前記燃料噴射弁は、メイン噴射に先だって少量の燃料を噴射すると共に、排気空燃比が理論空燃比よりもリッチの場合に、前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合には、燃焼室内ガス温度上昇手段により燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、EGR率を増加させることによって燃焼室内のガス温度を上昇させていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記燃焼室内ガス温度上昇手段は、グロープラグにより燃焼室内のガス温度を上昇させていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記燃焼状態検出手段は、燃焼室を構成する内燃機関本体に取り付けられたノックセンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記燃焼状態検出手段は、各気筒の筒内圧力を直接検出する筒内圧センサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記燃焼状態検出手段によりメイン噴射により噴射された燃料の燃焼に着火遅れがある判定された場合、メイン噴射に先だって実施された噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値と、メイン噴射により噴射された燃料の燃焼に起因する振動信号の所定区間の積算値との比が所定の範囲内になるように、燃焼室内のガス温度を上昇させることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−203421(P2010−203421A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53010(P2009−53010)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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