説明

出力回路及び出力装置

【課題】出力端子をシンク型又はソース型に切換える場合に、基板を交換する必要がなく、また出力端子に誤って電源を接続してもスイッチング素子の破損を防止することができる出力回路及び該出力回路を備える出力装置を提供する。
【解決手段】ディップスイッチ81にてソース型出力対応モードを選択した場合に、第2スイッチング素子32を常時オンにし、第1スイッチング素子31のオン/オフ制御によって、外部機器への出力をオン/オフ制御する。ディップスイッチ81にてシンク型出力対応モードを選択した場合に、第1スイッチング素子31を常時オンにし、第2スイッチング素子32のオン/オフ制御によって、外部機器への出力をオン/オフ制御する。またソース型出力対応モードを選択した状態で、第2出力端子32に誤って外部電源を接続した場合、第2スイッチング素子32に大電流が流れるが、直ちにヒューズ35が切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器に高電位(ソース型)の信号又は低電位(シンク型)の信号を出力する出力回路及び該出力回路を有する出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に工作機械の数値制御装置は、マシニングセンタ又は旋盤などの外部機器に信号を出力する出力回路と外部機器から信号を入力する入力回路とを備えている。外部機器の入出力信号がソース型の信号である場合、数値制御装置には、ソース型に対応した入出力回路を使用する。一方、外部機器の入出力信号がシンク型の信号である場合、数値制御装置には、シンク型に対応した入出力回路を使用する。作業者は、数値制御装置の入出力回路の型と外部機器の入出力信号の型とを整合させるべく、数値制御装置の入出力回路を交換する。
【0003】
特許文献1には、入出力回路部を交換することができる数値制御装置が開示されており、該数値制御装置は、固定基板と、該固定基板に脱着可能な脱着基板とを備える。固定基板は、制御部を備える。脱着基板は、端子台と、シンク型又はソース型の入出力回路部とを備える。
【0004】
前記固定基板の制御部は、シンク型及びソース型の入出力回路部に対して共通である。そのため、数値制御装置は、シンク型の入出力回路部を備える脱着基板と、ソース型の入出力回路部を備える脱着基板とを交換することによって、外部機器の入出力信号に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3700315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし作業者は、予め2種類の脱着基板を用意する必要があり、数値制御装置の製造費用が嵩む。また脱着基板をシンク型又はソース型に切換える場合、交換作業を要し、シンク型又はソース型への切換えは容易ではない。
【0007】
基板の交換を回避するために、スイッチング素子のオン/オフによって出力端子をシンク型又はソース型へ切替えることが考えられる。作業者は、外部機器を出力回路に接続する場合に、外部機器と該外部機器に対応した出力端子とを接続する必要がある。しかし、作業者が接続作業に不慣れな場合又は作業者が出力端子と外部機器との対応関係を誤認している場合に、作業者は、スイッチング素子により接地されたシンク型の出力端子に外部電源を接続することがある。
【0008】
スイッチング素子をオンにした状態で、作業者がシンク型の出力端子に外部電源を接続した場合、スイッチング素子には大電流が流れる。スイッチング素子の容量を超える電流が流れた場合、スイッチング素子は破損する。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、出力端子をシンク型又はソース型に切換える場合に、基板を交換する必要がなく、また出力端子に誤って電源を接続してもスイッチング素子の破損を防止することができる出力回路及び該出力回路を備える出力装置
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る出力回路は、ソース型の第1出力端子又はシンク型の第2出力端子のいずれかから信号を出力する出力回路であって、前記第1出力端子又は第2出力端子を選択する選択部と、前記第1出力端子と電源側ラインとの間に接続された第1スイッチング素子と、前記第2出力端子と接地側ラインとの間に直列に接続された第2スイッチング素子及びヒューズとを備え、前記選択部によって、前記第1出力端子が選択された場合に、前記第2スイッチング素子をオンにし、前記第2出力端子が選択された場合に、前記第1スイッチング素子をオンにするようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、選択部にて第1出力端子を選択した場合に、第2スイッチング素子をオンにし、第1スイッチング素子のオン/オフによって、外部機器への出力をオン/オフにする。第2出力端子に誤って外部電源を接続した場合、第2スイッチング素子に大電流が流れるが、直ちにヒューズが切断され、第2スイッチング素子の破損を防止する。また選択部にて第2出力状態を選択した場合に、第1スイッチング素子をオンにし、第2スイッチング素子のオン/オフによって、外部機器への出力をオン/オフにする。
【0012】
本発明に係る出力回路は、電源側ラインと接地側ラインとの間に直列接続された第1分圧回路並びに該第1分圧回路及び接地側ラインの接続を制御する第3スイッチング素子と、電源側ラインと接地側ラインとの間に直列接続された第2分圧回路並びに該第2分圧回路及び電源側ラインの接続を制御する第4スイッチング素子とを備え、前記第1スイッチング素子を、前記第3スイッチング素子の制御によって発生する前記第1分圧回路の出力に基づいてオンにし、前記第2スイッチング素子を、前記第4スイッチング素子の制御によって発生する前記第2分圧回路の出力に基づいてオンにするようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、第3スイッチング素子の制御によって、第1分圧回路の出力を制御し、第1スイッチング素子のオン/オフを制御する。また第4スイッチング素子の制御によって、第2分圧回路の出力を制御し、第2スイッチング素子のオン/オフを制御する。
【0014】
本発明に係る出力回路は、前記第2出力端子から信号を入力するポートを有し、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の動作を制御する制御装置を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、前記選択部にて第1出力端子が選択され、ヒューズが切断されていない場合、第2出力端子は、第2スイッチング素子及びヒューズを介して接地されている。そのため制御装置のポートには、第2出力端子からローレベルの信号「L」が入力される。第2出力端子に外部電源が誤って接続された場合、ヒューズが切断され、第2出力端子の接地が解除される。そのため制御装置のポートには、外部電源からハイレベルの信号「H」が入力される。
【0016】
本発明に係る出力回路は、前記ヒューズは交換可能にしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、切断されたヒューズを交換することによって、出力回路が回復する。
【0018】
本発明に係る出力回路は、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子は、FETであることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、FET(Field-Effect Transistor)を第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に使用することによって、シンク型又はソース型への端子の切換えを実現する。
【0020】
本発明に係る出力装置は、請求項1から5のいずれか一つに記載の一の出力回路と、ソース型の第3出力端子、シンク型の第4出力端子、該第3出力端子又は第4出力端子を選択する選択手段、前記第3出力端子と電源側ラインとの間に接続された第5スイッチング素子及び前記第4出力端子と前記ヒューズとの間に接続された第6スイッチング素子を有し、前記選択手段によって、前記第3出力端子が選択された場合に、前記第5スイッチング素子をオンにし、前記第4出力端子が選択された場合に、前記第6スイッチング素子をオンにするようにしてある他の出力回路とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、複数の出力回路を使用する場合に、一の出力回路のヒューズに、他の出力回路の第6スイッチング素子を接続する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る出力回路にあっては、選択部にて第1出力端子を選択した場合に、第2スイッチング素子をオンにし、第1スイッチング素子のオン/オフによって、外部機器への出力をオン/オフにする。第2出力端子に誤って外部電源を接続した場合、第2スイッチング素子に大電流が流れるが、直ちにヒューズが切断され、第2スイッチング素子の破損を防止することができる。また選択部にて第2出力状態を選択した場合に、第1スイッチング素子をオンにし、第2スイッチング素子のオン/オフによって、外部機器への出力をオン/オフにする。そのため出力端子をシンク型又はソース型に切換える場合に、基板を交換する必要がない。
【0023】
本発明に係る出力回路にあっては、第3スイッチング素子の制御によって、第1分圧回路の出力を制御し、第1スイッチング素子のオン/オフを制御する。また第4スイッチング素子の制御によって、第2分圧回路の出力を制御し、第2スイッチング素子のオン/オフを制御する。一般に外部機器と該外部機器を制御する数値制御装置とは、動作電圧が異なる。そのため数値制御装置からの電圧信号に基づいて、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の動作を制御し、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子をオン/オフ制御して、外部機器へ電圧信号を出力する。すなわち、数値制御装置から出力された電圧を外部機器に対応した電圧に変換することができる。
【0024】
本発明に係る出力回路にあっては、選択部にて第1出力端子を選択した場合であって、第2出力端子に誤って外部電源を接続したときに、ヒューズが切断される。ヒューズが切断される前は、第2出力端子は接地されており、制御装置にはローレベルの信号「L」が入力される。ヒューズが切断された後は、第2出力端子の接地が解除されており、制御装置には、ハイレベルの信号「H」が入力される。制御装置は、ヒューズの切断によって第2出力端子からの入力信号が「L」から「H」に変化するので、第2スイッチング素子に過剰な電流が流れたことを検出することができる。
【0025】
本発明に係る出力回路にあっては、切断されたヒューズを交換することによって、出力回路を速やかに回復させることができる。
【0026】
本発明に係る出力回路にあっては、FETを第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に使用することによって、シンク型又はソース型への出力端子の切換えを確実に実現することができる。
【0027】
本発明に係る出力装置にあっては、複数の出力回路を使用する場合に、一の出力回路の
ヒューズに、他の出力回路の第6スイッチング素子を接続し、ヒューズを削減することができる。また第2スイッチング素子又は第6スイッチング素子に過剰な電流が流れた場合に、ヒューズが切断され、第2スイッチング素子及び第6スイッチング素子を一つのヒューズで保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1に係る出力回路を示す回路図である。
【図2】各モードにおけるディップスイッチの状態を示す図である。
【図3】ソース型出力対応モードにおいて、外部電源を第2出力端子に誤って接続した場合の回路図である。
【図4】実施の形態2に係る出力装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る出力回路を示す図面に基づいて詳述する。図1は実施の形態1に係る出力回路を示す回路図、図2は各モードにおけるディップスイッチの状態を示す図である。なお図においてディップスイッチはディップSWと表記してある。
【0030】
出力回路1は、工作機械の数値制御装置に設けてあり、図示しない基板に実装してある。出力回路1は、制御装置10と、第1出力端子21と、第2出力端子22と、端子台80と、ディップスイッチ81(選択部)とを備えている。第1出力端子21及び第2出力端子22には、外部機器が接続される。外部機器は24V系の信号で動作する。
【0031】
制御装置10は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Arrey)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はマイクロコンピュータを備える。制御装置10は、二つの出力ポート10a、10bと入力ポート10cとを備える。また制御装置10は、ディップスイッチ81での選択に基づいて、後述するFETの駆動を制御する。制御装置10は、3.3Vで動作する。
【0032】
第1出力端子21と24Vの電源(電源側ライン)91との間に、p型のMOSFET31(第1スイッチング素子、以下FET31という)が接続している。FET31のソースは、電源91に接続しており、FET31のドレインは第1出力端子21に接続している。なお電源91は、FET31を過剰な電流から保護するように構成してある。
【0033】
FET31のゲートと電源91と間に抵抗41が接続しており、FET31のゲートは抵抗42を介してNPN型のトランジスタ51(第3スイッチング素子)のコレクタに接続している。トランジスタ51のエミッタは接地しており、トランジスタ51のベースは抵抗52を介して制御装置10の出力ポート10aに接続している。トランジスタ51のベース及びエミッタは抵抗53を介して接続している。なお抵抗41及び抵抗42は第1分圧回路を構成している。
【0034】
第2出力端子22と接地側ラインとの間に、n型のMOSFET32(第2スイッチング素子、以下FET32という)及びヒューズ35が直列に接続している。FET32のドレインは第2出力端子22に接続しており、FET32のソースはヒューズ35を介して接地されている。またFET32のソースは、電圧を変換する変換回路82を介して制御装置10の入力ポート10cに接続している。変換回路82は、入力信号(例えば24Vの信号)を制御装置10に対応した3.3Vの信号に変換する。
【0035】
FET32のゲートは抵抗43を介してヒューズ35の一端部に接続している。ヒューズ35の他端部は接地されている。ヒューズ35は、FET32の破損を防止する基準と
なる電流(以下定格電流という)よりも充分に小さい電流で切断されるように構成してある。またヒューズ35は、交換可能である。FET32のゲートは、抵抗44を介してトランジスタ61(第4スイッチング素子)のコレクタに接続している。トランジスタ61のエミッタは、24Vの電源92に接続されている。トランジスタ61のベース及びエミッタは抵抗63を介して接続されている。なお抵抗43及び抵抗44は、第2分圧回路を構成している。
【0036】
トランジスタ61のベースは、抵抗62を介してトランジスタ71のコレクタに接続されている。トランジスタ71のエミッタは接地されている。トランジスタ71のベースは、抵抗72を介して制御装置10の出力ポート10bに接続されている。トランジスタ71のベース及びエミッタは抵抗73を介して接続されている。
【0037】
前記端子台80は複数のポートを備えており、第1出力端子21及び第2出力端子22は、各ポートに配置してある。なお第1出力端子21及び第2出力端子22の間に、第2出力端子22から第1出力端子21へ電流を通過させ、過電流を吸収するダイオードを接続しても良い。
【0038】
ディップスイッチ81は、ソース型出力対応モード又はシンク型出力対応モードを選択することができる。ソース型出力対応モードは、第1出力端子21から外部機器に高電位の信号「H」を出力することが可能な状態をいう。ソース型出力対応モードは、第2出力端子22から外部機器に低電位の信号「L」を出力することが可能な状態をいう。図2Aに示すように、作業者がディップスイッチ81をオンにした場合、出力回路1は、ソース型出力対応モードとなる。ディップスイッチ81をオフに設定した場合、出力回路1は、シンク型出力対応モードとなる。
【0039】
次にソース型出力対応モードにおける出力回路1の動作について説明する。ソース型出力対応モードの場合、制御装置10は、出力ポート10bから抵抗72に信号「H」を常時出力する。抵抗72を介してトランジスタ71のベースに信号「H」が入力され、ベースをオンにする。なお出力ポート10bは、3.3Vの電圧信号を出力する。
【0040】
トランジスタ71のオンによって、抵抗62は接地される。トランジスタ61のベースは、抵抗62を介して0Vにプルダウンされ、トランジスタ61をオンにする。トランジスタ61のオンによって、電源92の電圧は、抵抗44及び抵抗43によって分圧され、FET32のゲートに信号「H」が入力される。第2出力端子22が接地され、ローレベルの信号「L」(0Vの信号)が第2出力端子22から常時出力される。すなわち、第2出力端子22は、0Vを供給する端子(グランド)として機能する(図2B参照)。また変換回路82を介して、第2出力端子22から制御装置10の入力ポート10cに信号「L」が入力される。
【0041】
出力ポート10aから抵抗52に、信号「H」が出力された場合、トランジスタ51のベースに、抵抗52を介して信号「H」が入力され、トランジスタ51をオンにする。なお出力ポート10aは、3.3Vの電圧信号を出力する。
【0042】
トランジスタ51のオンによって、抵抗42は接地する。FET31のゲートは抵抗42を介してプルダウンされ、FET31をオンにする。FET31のオンによって、第1出力端子21は電源91に接続される。第1出力端子21から24Vの信号「H」が出力される。
【0043】
一方出力ポート10aから抵抗52に信号「L」が出力された場合、トランジスタ51のベースに、抵抗52を介して信号「L」が入力され、トランジスタ51をオフにする。
トランジスタ51のオフによって抵抗42の接地が解除される。FET31のゲートは抵抗41を介して24V(電源91の電位)にプルアップされ、FET31をオフにする。なお第1出力端子21はハイインピーダンス状態となる。制御装置10は、FET31をオン/オフ制御し、第1出力端子21は、信号「H」を出力するソース型の出力端子として機能する。
【0044】
次にシンク型出力対応モードにおける出力回路1の動作について説明する。シンク型出力対応モードの場合、制御装置10は出力ポート10aから抵抗72に信号「H」を常時出力する。前述したように、制御装置10は、出力ポート10aからFET31をオンにし、第1出力端子21を電源91に接続する。第1出力端子21から信号「H」が常時出力され、第1出力端子21は24Vを供給する端子として機能する(図2B参照)。
【0045】
制御装置10は、前述したように出力ポート10bからFET32をオンにして、第2出力端子22を接地させ、第2出力端子22から信号「L」を出力させる。一方制御装置10は、出力ポート10bから抵抗72に信号「L」を出力させて、トランジスタ71をオフにする。
【0046】
トランジスタ71のオフによって、抵抗62の接地が解除され、トランジスタ61のベースは抵抗63を介してプルアップされ、オフになる。電源92と抵抗44との接続が解除され、FET32のゲートは抵抗43を介して0Vにプルダウンされ、FET32をオフにする。なお第2出力端子22は、ハイインピーダンス状態になる。制御装置10は、FET32をオン/オフ制御し、第2出力端子22は信号「L」を出力するシンク型の出力端子として機能する。
【0047】
次にソース型出力対応モードにおいて、外部電源を第2出力端子22に誤って接続した場合について説明する。図3は、ソース型出力対応モードにおいて、外部電源を第2出力端子22に誤って接続した場合の回路図である。
【0048】
前述したように、ソース型出力対応モードにおいてFET32はオンになっており、第2出力端子22は、FET32及びヒューズ35を介して接地している。また第2出力端子22から入力ポート10cに信号「L」が入力されている。図3に示すように、作業者が第2出力端子22に誤って外部電源5を接続した場合、第2出力端子22からFET32及びヒューズ35に大電流が流れる(図3の白抜矢符参照)。ヒューズ35は、FET32の定格電流よりも充分に小さい電流で切断される。そのため定格電流よりも大きな電流が第2出力端子22からFET32に流れた場合に、図3に示すように、ヒューズ35は即時に切断され、FET32は破損しない。
【0049】
ヒューズ35の切断によって、第2出力端子22の電位は上昇し、変換回路82を介して第2出力端子22から入力ポート10cに信号「H」が入力される。制御装置10は、第2出力端子22から信号「H」が入力された場合に、ヒューズ35の切断、換言すればFET32に過剰な電流が流れたことを検知する。制御装置10は、ヒューズ35の切断を検知した場合に、ランプ又はブザーなどの報知手段を動作させて、ヒューズ35の交換を作業者に促すことができる。なお変換回路82は、第2出力端子22から入力された外部電源5の電圧を3.3Vの信号(電圧)に変換する。
【0050】
なおシンク型出力対応モードにおいて、第1出力端子21が接地された場合に、FET31に大電流が流れるが、前述したように、電源91はFET31を過剰な電流から保護するように構成してある。例えば電源91はIPD(Intelligent Power Device)を備え、FET31に定格電流よりも大きな電流が流れた場合に、FET31への電流の供給を即時に遮断する。
【0051】
実施の形態1に係る出力回路にあっては、ディップスイッチ81にてソース型出力対応モードを選択した場合に、第2スイッチング素子32をオンにし、第1スイッチング素子31のオン/オフ制御によって、外部機器への出力を制御する。第2出力端子22に誤って外部電源を接続した場合、第2スイッチング素子32に大電流が流れるが、直ちにヒューズ35が切断され、第2スイッチング素子32の破損を防止することができる。また基板の交換をせずに、ソース型出力対応モード及びシンク型出力対応モードに切り替えることができる。また制御装置10の出力電圧を外部機器の動作電圧に変換することができる。
【0052】
なおヒューズ22は基板に固定されていても良い。この場合、ヒューズ22の交換は基板の交換によって行われる。また制御装置10の動作電圧は3.3V系であり、外部機器の動作電圧は24V系であるが、これらに限定されない。制御装置10の動作電圧と外部機器の動作電圧とが適切に変換されればよい。またソース型出力対応モード又はシンク型出力対応モードの選択にディップスイッチ81を使用しているが、ディップスイッチ81に代えて、ボタン式のスイッチ及びトグル式のスイッチなど他のスイッチを使用しても良い。またFET又はトランジスタをスイッチング素子として使用しているが、IGBT(Insulated Gate Bipolar transistor)その他のスイッチング素子を使用してもよい。
【0053】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る出力装置を示す図面に基づいて詳述する。図4は、出力装置を示す回路図である。
【0054】
出力装置100は、出力回路1(一の出力回路)及び出力回路2(他の出力回路)を備えている。出力回路2は、制御装置10と、第3出力端子23と、第4出力端子24と、端子台83と、ディップスイッチ81(選択部及び選択手段)とを備えている。第3出力端子23及び第4出力端子24には、外部機器が接続される。外部機器は24V系の信号で動作する。
【0055】
制御装置10は、出力ポート10d、10eを備える。また制御装置10は、ディップスイッチ81での選択に基づいて、後述するFETの駆動を制御する。
【0056】
第3出力端子23は、p型のMOSFET33(第5スイッチング素子、以下FET33という)のドレインに接続している。FET33のソースは、24Vの電源93に接続している。FET33のゲートは、抵抗141を介して電源93と接続しており、また抵抗142を介してNPN型のトランジスタ151のコレクタに接続している。電源93は、FET33を過剰な電流から保護するように構成してある。トランジスタ151のエミッタは接地されている。トランジスタ151のベースは、抵抗152を介して制御装置10の出力ポート10dに接続している。トランジスタ151のベース及びエミッタは抵抗153を介して接続されている。
【0057】
第4出力端子24は、n型のMOSFET34(第6スイッチング素子、以下FET34という)のドレインに接続している。FET34のソースは、出力回路1のヒューズ35を介して接地されており、また変換回路82を介して入力ポート10cに接続している。FET34のゲートは、抵抗143を介してヒューズ35に接続している。FET34のゲートは、抵抗144を介してNPN型のトランジスタ161のコレクタに接続している。
【0058】
トランジスタ161のエミッタは、24Vの電源94に接続している。トランジスタ161のベース及びエミッタは、抵抗163を介して接続している。トランジスタ161の
ベースは、抵抗162を介してNPN型トランジスタ171のコレクタに接続している。トランジスタ171のエミッタは接地されている。トランジスタ171のベースは、抵抗172を介して出力ポート10eに接続している。トランジスタ171のベース及びエミッタは、抵抗173を介して接続している。
【0059】
前記端子台83は複数のポートを備えており、第3出力端子23及び第4出力端子24は、各ポートに配置してある。なお第3出力端子23及び第4出力端子24の間に、第4出力端子24から第3出力端子23へ電流を通過させ、過電流を吸収するダイオードを接続しても良い。
【0060】
ディップスイッチ81は、ソース型出力対応モード又はシンク型出力対応モードを選択することができる。ソース型出力対応モードが選択された場合、第3出力端子23を介して制御装置10から外部機器にハイレベルの信号「H」を出力することができる。シンク型出力対応モードが選択された場合、第4出力端子24を介して制御装置10から外部機器にローレベルの信号「L」を出力することができる。
【0061】
なおディップスイッチ81での選択に基づく出力回路2の動作は、実施の形態1に係る出力回路1と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0062】
ディップスイッチ81にて、ソース型出力対応モードを選択した状態で、第2出力端子22又は第4出力端子24に、誤って外部電源を接続した場合、ヒューズ35が切断される。ヒューズ35が切断される前は、第2出力端子22から入力ポート10cに信号「L」が入力されている。ヒューズ35が切断された後は、変換回路82を介して第2出力端子22又は第4出力端子24から入力ポート10cに信号「H」が入力される。制御装置10は、第2出力端子22又は第4出力端子24から信号「H」が入力された場合に、ヒューズ35の切断、換言すればFET32又はFET34に過剰な電流が流れたことを検知する。
【0063】
実施の形態2に係る出力装置100にあっては、FET34のソースは、出力回路1のヒューズ35を介して接地されているので、出力回路2はヒューズを削減することができる。FET32又はFET34に過剰な電流が流れた場合に、ヒューズ35が切断され、FET32及びFET34を一つのヒューズ35で保護することができる。また第2出力端子22及び第4出力端子24の信号を監視し、FET32又はFET34に過剰に電流が流れたことを検出することができる。
【0064】
なお出力装置100は出力回路2を複数備えていてもよい。この場合、各出力回路2のFET34のソースはヒューズ35を介して接地される。
【0065】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲に記載された事項及び特許請求の範囲の記載に基づいて定められる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 出力回路(一の出力回路)
2 出力回路(他の出力回路)
21 第1出力端子
22 第2出力端子
23 第3出力端子
24 第4出力端子
31 FET(第1スイッチング素子)
32 FET(第2スイッチング素子)
33 FET(第5スイッチング素子)
34 FET(第6スイッチング素子)
35 ヒューズ
41、42 抵抗(第1分圧回路)
141、142 抵抗
43、44 抵抗(第2分圧回路)
143、144 抵抗
51、151 トランジスタ(第3スイッチング素子)
61、161 トランジスタ(第4スイッチング素子)
81 ディップスイッチ(選択部、選択手段)
100 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース型の第1出力端子又はシンク型の第2出力端子のいずれかから信号を出力する出力回路であって、
前記第1出力端子又は第2出力端子を選択する選択部と、
前記第1出力端子と電源側ラインとの間に接続された第1スイッチング素子と、
前記第2出力端子と接地側ラインとの間に直列に接続された第2スイッチング素子及びヒューズと
を備え、
前記選択部によって、前記第1出力端子が選択された場合に、前記第2スイッチング素子をオンにし、前記第2出力端子が選択された場合に、前記第1スイッチング素子をオンにするようにしてあること
を特徴とする出力回路。
【請求項2】
電源側ラインと接地側ラインとの間に直列接続された第1分圧回路並びに該第1分圧回路及び接地側ラインの接続を制御する第3スイッチング素子と、
電源側ラインと接地側ラインとの間に直列接続された第2分圧回路並びに該第2分圧回路及び電源側ラインの接続を制御する第4スイッチング素子と
を備え、
前記第1スイッチング素子を、前記第3スイッチング素子の制御によって発生する前記第1分圧回路の出力に基づいてオンにし、前記第2スイッチング素子を、前記第4スイッチング素子の制御によって発生する前記第2分圧回路の出力に基づいてオンにするようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項3】
前記第2出力端子から信号を入力するポートを有し、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の動作を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記ヒューズは交換可能にしてあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の出力回路。
【請求項5】
前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子は、FETであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の出力回路。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の一の出力回路と、
ソース型の第3出力端子、
シンク型の第4出力端子、
該第3出力端子又は第4出力端子を選択する選択手段、
前記第3出力端子と電源側ラインとの間に接続された第5スイッチング素子及び
前記第4出力端子と前記ヒューズとの間に接続された第6スイッチング素子
を有し、
前記選択手段によって、前記第3出力端子が選択された場合に、前記第5スイッチング素子をオンにし、前記第4出力端子が選択された場合に、前記第6スイッチング素子をオンにするようにしてある他の出力回路と
を備えることを特徴とする出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−75032(P2012−75032A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219760(P2010−219760)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】