説明

分光エリプソメータおよび偏光解析方法

【課題】分光エリプソメータの光源における熱の発生を低減するとともに対象物からの反射光の偏光状態を精度良く取得する。
【解決手段】分光エリプソメータ1では、光源31からの光が偏光子321を介して基板9に導かれ、基板9からの反射光が、回転する検光子41を経由して分光器42にて受光されて反射光の偏光状態が取得される。分光エリプソメータ1では、半導体発光素子からのパルス状の光を連続スペクトルを有するパルス光に変換して出射する光源31が利用されることにより、光源31における熱の発生を低減することができる。その結果、光源31と基板9との間に配置された光学素子等の熱膨張を抑制し、基板9からの反射光の偏光状態を精度良く取得することができる。また、検光子41の回転位置が所望の角度となっているときの分光強度を正確に取得することができるため、基板9からの反射光の偏光状態をより精度良く取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光エリプソメータおよび偏光解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象物上に存在する膜の厚さ等を測定する光学式の測定装置としてエリプソメータが利用されている。エリプソメータでは、偏光した光(以下、「偏光光」という。)を対象物の測定面上に斜めから照射し、その反射光の偏光状態を取得して偏光解析することにより対象物上の膜厚等が測定される。
【0003】
例えば、特許文献1のエリプソメータでは、発振波長が異なる3つのレーザチップを有する半導体レーザを利用し、3つの波長の光にそれぞれ対応する反射光の偏光状態に基づいて膜厚等の測定を行うことにより、単一波長の光のみを利用して膜厚測定を行う場合に比べて測定精度の向上が図られている。また、特許文献2では、キセノン(Xe)ランプ等から対象物に白色光を連続的に照射し、対象物からの反射光の波長毎の偏光状態に基づいて対象物上の薄膜に対する膜厚測定等を行う分光エリプソメータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−266666号公報
【特許文献2】特開2005−3666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のエリプソメータでは、半導体レーザから出射されて対象物へと至る3つの波長の光の光路が完全に同一となるように、半導体レーザ内の3つのレーザチップの配置、および、半導体レーザからの光を対象物へと導く光学系の形状や配置等を高精度に調整することが必要となる。しかしながら、半導体レーザからの3つの波長の光の光路を完全に同一とすることは困難であり、光路のずれによる測定精度の低下のおそれがある。
【0006】
一方、特許文献2の分光エリプソメータでは、1つの光源からの白色光が対象物へと導かれるため、上述のような光路のずれによる測定精度の低下は生じないが、光源から発生する熱の影響(例えば、光学系における複数の光学素子の熱膨張率の差による影響)による測定精度の低下を防止するために、光源と対象物との間に設けられる偏光解析に係る光学系と光源との間の距離を比較的大きくする必要がある。このため、対象物に至る光の光量が低下し、測定精度を向上することができない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、分光エリプソメータの光源における熱の発生を低減するとともに対象物からの反射光の偏光状態を精度良く取得することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、分光エリプソメータであって、半導体発光素子からのパルス状の光を所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光に変換して出射する光源と、対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射される前記パルス光から生成する偏光光生成部と、前記対象物にて反射された前記偏光光の反射光が入射する検光子と、前記検光子を経由した前記反射光を受光して分光強度を取得する分光器と、前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる偏光機能変更部と、前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する偏光状態取得部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の分光エリプソメータであって、前記偏光機能変更部が、前記検光子を光軸に平行な中心軸を中心として回転する回転機構であり、前記検光子の回転に同期して前記光源から前記パルス光が出射される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の分光エリプソメータであって、前記分光器が、前記検光子を経由した前記反射光を分光する分光デバイスと、前記分光デバイスからの分光光を受光して前記反射光の分光強度を取得する受光デバイスとを備え、前記パルス光の1回の出射時間が、前記受光デバイスによる分光強度の1回の取得に要する最短時間よりも短い。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の分光エリプソメータであって、前記光源からの前記パルス光の出射間隔が、前記受光デバイスによる分光強度の最短取得間隔に等しい。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、前記半導体発光素子に供給される電流が、定格電流よりも大きい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、前記偏光光生成部が、前記光源からの前記パルス光から、複数の波長の楕円偏光した光、または、前記複数の波長に含まれる特定の波長の円偏光した光および他の波長の楕円偏光した光を得る。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、前記光源と前記偏光光生成部との間に前記パルス光に含まれる熱線を除去する熱線除去部が設けられない。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、前記光源と前記偏光光生成部との間に前記光源からの前記パルス光を反射する反射面が設けられない。
【0016】
請求項9に記載の発明は、分光エリプソメータであって、半導体発光素子からのパルス状の光を白色光に変換して出射する光源と、対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射されるパルス光から生成する偏光光生成部と、前記対象物にて反射された前記偏光光の反射光が入射する検光子と、前記検光子を経由した前記反射光を受光して分光強度を取得する分光器と、前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる偏光機能変更部と、前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する偏光状態取得部とを備える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、対象物の偏光解析方法であって、a)半導体発光素子からのパルス状の光を所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光に変換して光源から出射する工程と、b)対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射される前記パルス光から生成する工程と、c)前記対象物からの反射光を検光子を経由させて分光器にて受光して分光強度を取得する工程と、d)前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる工程と、e)前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する工程とを備える。
【0018】
請求項11に記載の発明は、対象物の偏光解析方法であって、a)半導体発光素子からのパルス状の光を白色光に変換して光源から出射する工程と、b)対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射されるパルス光から生成する工程と、c)前記対象物からの反射光を検光子を経由させて分光器にて受光して分光強度を取得する工程と、d)前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる工程と、e)前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する工程とを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、分光エリプソメータの光源における熱の発生を低減するとともに対象物からの反射光の偏光状態を精度良く取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る分光エリプソメータの構成を示す図である。
【図2】制御部の構成を示す図である。
【図3】制御部の機能を示すブロック図である。
【図4】膜厚算出の流れを示す図である。
【図5】パルス光の出射および分光強度の取得のタイミングチャートである。
【図6】第2の実施の形態に係る分光エリプソメータの構成を示す図である。
【図7】膜厚算出の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る分光エリプソメータ1の構成を示す図である。分光エリプソメータ1は、測定対象物である半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)上に形成された薄膜の膜厚を測定する装置である。分光エリプソメータ1では、基板9上の薄膜が存在する主面91(すなわち、測定対象となる図1中の(+Z)側の主面であり、以下、「測定面91」という。)に偏光した光を照射し、測定面91からの反射光に基づいて偏光解析が行われて膜厚が求められる。本実施の形態では、分光エリプソメータ1により、基板9の測定面91上に形成された酸化シリコン(SiO)膜の厚さが基板9の光学条件として求められる。なお、図1では、分光エリプソメータ1の構成の一部を断面にて示している(図6においても同様)。
【0022】
分光エリプソメータ1は、測定面91を有する基板9を保持する保持部であるステージ2、ステージ2を移動するステージ移動機構21、偏光した光(以下、「偏光光」という。)を基板9の測定面91へと傾斜しつつ入射させる照明部3、上記偏光光の測定面91からの反射光を受光する受光部4、基板9の測定面91に沿う方向(すなわち、図1中におけるX方向およびY方向)の位置調整に利用される基板観察部5、並びに、各種演算処理を行うCPUや各種情報を記憶するメモリ等により構成されるとともに分光エリプソメータ1の他の構成を制御する制御部を備える。
【0023】
図2は、分光エリプソメータ1の制御部6の構成を示す図である。図2に示すように、制御部6は、通常のコンピュータと同様に、各種演算処理を行うCPU61、実行されるプログラムを記憶したり演算処理の作業領域となるRAM62、基本プログラムを記憶するROM63、各種情報を記憶する固定ディスク64、作業者に各種情報を表示するディスプレイ65、および、キーボードやマウス等の入力部66等を接続した構成となっている。
【0024】
図3は、制御部6のCPU61(図2参照)等がプログラムに従って演算処理を行うことにより実現される機能を、分光エリプソメータ1の他の構成と共に示すブロック図であり、図3中の偏光状態取得部611、光学条件演算部612および記憶部613が、CPU61等により実現される機能に相当する。なお、これらの機能は複数台のコンピュータにより実現されてもよい。
【0025】
図1に示すように、ステージ移動機構21は、ステージ2を図1中のY方向に移動するY方向移動機構22、および、ステージ2をX方向に移動するX方向移動機構23を有する。Y方向移動機構22はモータ221にボールねじ(図示省略)が接続され、モータ221が回転することにより、X方向移動機構23がガイドレール222に沿って図1中のY方向に移動する。X方向移動機構23もY方向移動機構22と同様の構成となっており、モータ231が回転するとボールねじ(図示省略)によりステージ2がガイドレール232に沿ってX方向に移動する。ステージ移動機構21は、また、基板9をステージ2と共に基板9の測定面91に垂直な上下方向(すなわち、図1中のZ方向)に移動する昇降機構24を有し、分光エリプソメータ1のフォーカス調整が行われる際には、当該昇降機構24により基板9の昇降が行われる。
【0026】
照明部3は、パルス状の白色光(以下、単に「パルス光」という。)を出射する光源31、光源31からのパルス光を案内する第1案内光学系33、および、光源31からのパルス光から偏光光を生成する偏光光生成部32を備え、偏光光生成部32により光源31から出射されたパルス光から得られた偏光光は、照明部3から基板9の測定面91に傾斜しつつ導かれる。偏光光生成部32はシート状(または、薄板状)の偏光子321を備え、第1案内光学系33は、アパーチャ板331およびレンズ332,333を備える。第1案内光学系33のアパーチャ板331およびレンズ332,333、並びに、偏光光生成部32は、光源31から基板9に至る照明部3の直線状の光軸J1上に配置される。なお、偏光子321として結晶を利用したものが用いられてもよい。
【0027】
本実施の形態では、光源31として、半導体発光素子の1つである発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)からの一の波長の光を蛍光体を介して出射することにより、当該一の波長の光を、所定の波長範囲において連続するスペクトルを有する白色光に変換して出射する蛍光体方式の白色LEDが利用される。分光エリプソメータ1では、光源31からの白色光のうち、所定の波長帯の光(本実施の形態では、400nm以上800nm以下の波長帯の可視光)が、後述する基板9の測定面91上の膜厚測定に利用される。以下の説明では、膜厚測定に利用される光の波長帯を「測定波長帯」という。
【0028】
受光部4は、基板9にて反射された偏光光の反射光が入射する検光子41、検光子41を光軸J2に平行な中心軸を中心として回転する検光子回転機構43、検光子41を経由した反射光を受光して当該反射光の分光強度を取得する分光器42、および、対象物からの反射光を分光器42へと導く第2案内光学系44を備える。第2案内光学系44は、レンズ441,442およびアパーチャ板443を備え、第2案内光学系44のレンズ441,442およびアパーチャ板443、並びに、検光子41は、基板9から分光器42に至る受光部4の直線状の光軸J2上に配置される。分光器42は、検光子41を経由した反射光を受光して波長毎の光に分光する分光デバイスであるグレーティング421、および、グレーティング421からの分光した光(以下、「分光光」という。)を受光して反射光の分光強度(すなわち、波長毎の光強度)を取得する受光デバイス422を備える。
【0029】
分光エリプソメータ1では、検光子41の回転位置、および、分光器42により取得された反射光の分光強度が、制御部6の偏光状態取得部611(図3参照)へと出力される。そして、偏光状態取得部611において、検光子41の回転位置および分光器42からの出力に基づいて、照明部3からの白色光のうち測定波長帯における複数の波長の光のそれぞれの偏光状態を示すp偏光成分とs偏光成分との位相差および反射振幅比角が取得される。
【0030】
基板観察部5は、白色光を連続的に出射する観察用光源51および基板9の位置調整用のカメラ52を備える。観察用光源51からの光は、ハーフミラー53および対物レンズ54を介して基板9の測定面91に垂直に入射し、基板9からの反射光は、対物レンズ54、ハーフミラー53およびレンズ55を介してカメラ52にて受光される。分光エリプソメータ1では、基板9の測定面91上に設けられた位置調整用の目印(いわゆる、アライメントマーク)がカメラ52により撮像される。そして、制御部6により、当該目印の画像に基づいてステージ移動機構21のX方向移動機構23およびY方向移動機構22が制御され、基板9のX方向およびY方向における位置調整が行われる。
【0031】
次に、照明部3および受光部4の詳細、並びに、分光エリプソメータ1において行われる膜厚算出の流れについて説明する。図4は、膜厚算出の流れを示す図である。図1に示す分光エリプソメータ1では、光源31において、半導体発光素子に定格電流よりも大きいパルス状の電流が供給されることにより半導体発光素子からパルス状の光が出射され、当該パルス状の光が所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光に変換されて出射される(ステップS11)。照明部3では、光源31からのパルス光がアパーチャ板331の開口に導かれる。
【0032】
アパーチャ板331の開口を通過した光は、レンズ332を介して偏光光生成部32の偏光子321へと導かれ、偏光子321により導き出された偏光光は、レンズ333を介して70°の入射角にて基板9へと導かれて測定面91上の照射領域に照射される(ステップS12)。照明部3では、アパーチャ板331の開口が測定面91上の照射領域と光学的に共役な位置に配置される。
【0033】
基板9の測定面91上の上記照射領域にて反射された反射光は、レンズ441を介して検光子41へと導かれる(ステップS13)。本実施の形態では、検光子41として、偏光シートやグラントムソンプリズム等が利用される。検光子41は、制御部6により制御される検光子回転機構43(例えば、ステッピングモータ)により光軸J2に平行な軸を中心として回転し、これにより、検光子回転機構43の回転角に応じた(すなわち、検光子41の回転位置に応じた)偏光光が検光子41から導き出される。回転する検光子41を透過した偏光光は、レンズ442および分光器42に固定されたアパーチャ板443の開口を介して分光器42へと入射する。アパーチャ板443の開口は、基板9の測定面91上の照射領域と光学的に共役な位置に配置される。
【0034】
検光子41を経由して分光器42へと入射した反射光は、グレーティング421により反射されて高い波長分解能にて分光され、受光デバイス422により受光される。受光デバイス422では、測定面91からの反射光に含まれる測定波長帯における複数の波長の光のそれぞれの光強度である分光強度が取得される。分光エリプソメータ1では、検光子回転機構43により検光子41が所定の角度だけ回転される毎に、制御部6により、分光器42の受光デバイス422に対して取込開始信号が送られ、光源31に対して点灯信号が送られて測定面91からの反射光の分光強度が取得される(ステップS14)。換言すれば、検光子回転機構43により検光子41の回転位置を変化させつつ(すなわち、検光子回転機構43により、光源31から分光器42に至る光学系が有する光を偏光させる偏光機能を変化させつつ)、検光子41の回転に同期して、光源31からのパルス光の出射、および、受光デバイス422による分光強度の取得が繰り返される。その結果、検光子41の複数の回転位置に対応する複数の分光強度が取得される。
【0035】
分光器42により取得された反射光の分光強度は、制御部6の偏光状態取得部611(図3参照)へと出力され、偏光状態取得部611において、受光デバイス422および検光子回転機構43からの出力に基づいて反射光の分光強度と検光子41の回転角とが対応づけられることにより、反射光の波長毎の偏光状態(すなわち、測定波長帯の複数の波長のそれぞれにおける偏光状態)を示すp偏光成分とs偏光成分との位相差および反射振幅比角が取得される(ステップS15)。そして、反射光の波長毎の偏光状態が偏光状態取得部611から光学条件演算部612(図3参照)へと出力される。光学条件演算部612では、反射光の波長毎の偏光状態に基づいて偏光解析が行われ、基板9に係る光学条件の1つである測定面91に存在する膜の厚さが求められて記憶部613に出力される(ステップS16)。
【0036】
図5は、分光エリプソメータ1における光源31からのパルス光の出射、および、受光デバイス422による分光強度の取得と、時間経過との関係を示すタイミングチャートである。受光デバイス422では、分光強度の1回の取得に要する時間および分光強度の取得間隔が変更可能であり、本実施の形態では、分光強度の1回の取得に要する時間が最短時間T1に設定され、分光強度の取得間隔が最短取得間隔T2に設定される。図5に示すように、分光エリプソメータ1では、光源31からのパルス光の出射間隔が、受光デバイス422による分光強度の最短取得間隔T2に等しくされ、また、パルス光の1回の出射時間T3が、受光デバイス422による分光強度の1回の取得に要する最短時間T1よりも短くされる。
【0037】
ところで、光源から連続的に光を照射して分光強度の取得を行う分光エリプソメータ(以下、「比較例の分光エリプソメータ」という。)では、受光デバイスによる分光強度の1回の取得に要する時間をtとし、時間tの間に検光子の回転位置が変化する量を2dθとすると、偏光解析の際に検光子の回転位置θ1に対応付けられる分光強度は、実際には、検光子の回転位置がθ1となっているときの分光強度ではなく、検光子の回転位置が(θ1−dθ)から(θ1+dθ)まで変化する間の分光強度の平均値となる。このため、比較例の分光エリプソメータでは、偏光解析の精度向上に限界がある。
【0038】
これに対し、本実施の形態に係る分光エリプソメータ1では、光源31から出射されるパルス光の基板9からの反射光を受光して分光強度を測定するため、検光子41の回転位置が所望の位置となっているときにパルス光を出射することにより、当該所望の回転位置における分光強度を正確に取得することができる。このため、比較例の分光エリプソメータに比べて、基板9からの反射光の偏光状態を精度良く取得することができる。また、光源31から出射される光をパルス光とすることにより、光源31の半導体発光素子に供給される電流を定格電流よりも大きくすることができる。これにより、基板9の測定面91上の照射領域に照射される光の強度を増大させることができ、その結果、受光デバイス422にて分光強度を取得するために必要な光量を得るための時間が短縮され、偏光解析の精度をより向上することができる。
【0039】
分光エリプソメータ1では、上述のように、検光子41を回転することにより、光源31から分光器42に至る光学系(すなわち、第1案内光学系33、偏光光生成部32、検光子41および第2案内光学系44)が有する光を偏光させる偏光機能を変化させ、当該偏光機能の変化に同期して光源31からパルス光が出射される。このような構造とすることにより、偏光解析の精度を向上しつつ装置構造を簡素化することができる。また、図5に示すように、パルス光の1回の出射時間T3が、受光デバイス422による分光強度の1回の取得に要する最短時間T1よりも短くされることにより、光源31からのパルス光の出射を、受光デバイス422における分光強度の取得開始と厳密に同期させる必要がないため、制御部6による制御を簡素化することができる。さらに、パルス光の出射間隔が、受光デバイス422による分光強度の最短取得間隔T2に等しくされることにより、膜厚測定に要する時間を短縮することができる。なお、パルス光の出射間隔は、上記最短取得間隔T2にほぼ等しくされていればよく、これにより、膜厚測定に要する時間を短縮することができる。
【0040】
ところで、比較例の分光エリプソメータの光源として連続点灯するキセノン(Xe)ランプ等が利用される場合、光源から比較的大きい熱エネルギーが放出されるため、光源と基板との間に配置された案内光学系や偏光子等の熱膨張により、膜厚測定の精度低下のおそれがある。
【0041】
これに対し、本実施の形態に係る分光エリプソメータ1では、半導体発光素子からのパルス状の光を連続スペクトルを有するパルス光に変換して出射する光源31が利用されることにより、光源31における熱の発生を低減することができる。これにより、基板9からの反射光の偏光状態を精度良く取得することができ、膜厚測定の精度を向上することができる。
【0042】
また、比較例の分光エリプソメータでは、光源の発熱による案内光学系や偏光子等の熱膨張を抑制し、測定精度の低下を抑制するために、光源と上記案内光学系等との間の光路長を大きくし、さらに、光源と案内光学系等との間に熱線カットフィルタ等の熱線除去部を設けることが行われている。また、光源と案内光学系等との間の光路長を大きくしつつ装置を小型化するために、光源と案内光学系等との間に光軸の向きを変更する反射ミラー等が設けられる。
【0043】
これに対し、本実施の形態に係る分光エリプソメータ1では、上述のように、光源31における熱の発生を低減することができるため、光源31と第1案内光学系33との間の光路長を縮小することができる。また、光源31と第1案内光学系33(のアパーチャ板331)との間、および、光源31と偏光光生成部32との間に、光源31からのパルス光に含まれる熱線を除去する熱線除去部は設けられない。これにより、光源31からの光の減衰を抑制しつつ基板9の測定面91に照射することができ、その結果、光源31からのパルス光を効率良く偏光解析に利用することができる。また、分光エリプソメータ1の装置構造を簡素化することもできる。
【0044】
照明部3では、光源31と第1案内光学系33(のアパーチャ板331)、および、光源31と偏光光生成部32との間に、光源31からのパルス光を反射してパルス光の向きを変更する反射ミラー(すなわち、反射面)等の光学素子も設けられない。これにより、上記と同様に、光源31と基板9との間の光路長をさらに短くして光源31からのパルス光をより効率良く偏光解析に利用することができる。また、分光エリプソメータ1の装置構造をより簡素化することもできる。
【0045】
上述のように、分光エリプソメータ1では、第1案内光学系33の各光学素子(アパーチャ板331およびレンズ332,333)、並びに、偏光光生成部32の偏光子321が、光源31から基板9に至る直線状の光軸J1上に配置される。また、第2案内光学系44の各光学素子(レンズ441,442およびアパーチャ板443)、並びに、検光子41が、基板9から分光器42に至る直線状の光軸J2上に配置される。これにより、分光エリプソメータ1の装置構造がさらに簡素化される。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る分光エリプソメータについて説明する。図6は、第2の実施の形態に係る分光エリプソメータ1aの構成を示す図である。図6に示すように、分光エリプソメータ1aでは、偏光光生成部32aが、偏光子321と基板9との間において照明部3の光軸J1上に配置される波長板322をさらに備える。分光エリプソメータ1aのその他の構成は、図1に示す分光エリプソメータ1と同様であり、対応する構成には以下の説明において同符号を付す。
【0047】
偏光光生成部32aでは、偏光子321により、光源31からのパルス光に含まれる各波長の光から直線偏光した光(以下、「直線偏光光」という。)が得られる。また、波長板322により、偏光子321を経由した特定の波長の光から円偏光した光(以下、「円偏光光」という。)が得られ、その他の波長の光から楕円偏光した光(以下、「楕円偏光光」という。)得られる。換言すれば、偏光光生成部32aでは、測定波長帯における複数の波長に含まれる特定の波長の光から円偏光光を得るとともに当該複数の波長に含まれる特定の波長以外の波長の光から楕円偏光光を得ることにより、多波長偏光光が生成される。波長板322は、位相差の波長依存性を抑えた広帯域波長板であり、可視光に対応する波長帯(すなわち、およそ360nm以上830nm以下の波長帯)におけるp偏光成分とs偏光成分との位相差が、80°以上100°以下とされる。
【0048】
次に、図7を参照しつつ分光エリプソメータ1aによる膜厚算出の流れについて説明する。分光エリプソメータ1aでは、光源31から所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光が出射され、偏光光生成部32aの偏光子321へと導かれる(ステップS21)。そして、偏光子321により導き出された多波長の直線偏光光が波長板322を透過することにより、楕円偏光または円偏光された多波長偏光光が生成され、70°の入射角にて基板9の測定面91上の照射領域に照射される(ステップS22)。
【0049】
上記照射領域にて反射された反射光は検光子41へと導かれ(ステップS23)、検光子41の回転位置に応じて導き出された直線偏光光が分光器42へと入射して測定波長帯における分光強度が取得される(ステップS24)。
【0050】
分光器42により取得された分光強度は、制御部6の偏光状態取得部611(図3参照)へと出力され、反射光の分光強度と検光子41の回転角とが対応づけられることにより、反射光の波長毎の偏光状態を示すp偏光成分とs偏光成分との位相差および反射振幅比角が取得される(ステップS25)。そして、光学条件演算部612(図3参照)により、反射光の波長毎の偏光状態に基づいて偏光解析が行われ、基板9に係る光学条件の1つである測定面91に存在する膜の厚さが求められて記憶部613(図3参照)に出力される(ステップS26)。
【0051】
次に、分光エリプソメータ1aの光学条件演算部612による膜厚算出の詳細について説明する。制御部6の偏光状態取得部611では、分光器42にて受光された測定波長帯の各波長の光について、反射振幅比角ψout_measの正接であるtan(ψout_meas)、および、位相差Δout_measの余弦であるcos(Δout_meas)が、反射振幅比角および位相差を示す測定値として取得されて光学条件演算部612へと送られる。
【0052】
一方、制御部6の記憶部613には、測定波長帯の複数の波長のそれぞれにおける入射光(すなわち、偏光光生成部32aから基板9へと入射する楕円偏光光または円偏光光)の反射振幅比角ψin、および、位相差Δinが予め記憶されている。分光エリプソメータ1aでは、基板9における反射による偏光状態の変化(すなわち、p偏光成分とs偏光成分との反射振幅比角および位相差の変化ψwa_meas,Δwa_meas)と、上記ψout_meas,Δout_meas,ψin,Δinとの関係が、数1および数2のように表される。
【0053】
(数1)
tan(ψout_meas)=tan(ψin)×tan(ψwa_meas
【0054】
(数2)
cos(Δout_meas)=cos(Δin+Δwa_meas
【0055】
ところで、入射光が直線偏光光である回転検光子法の分光エリプソメータでは、入射光の全波長において、ψinおよびΔinの値がそれぞれ45°および0°となるため、tan(ψwa_meas)およびcos(Δwa_meas)はそれぞれ、tan(ψout_meas)およびcos(Δout_meas)と等しい値として求められる。上記分光エリプソメータでは、基板上の膜厚を仮定して、基板における反射による偏光状態の変化(すなわち、p偏光成分とs偏光成分との反射振幅比角および位相差の変化)の理論値ψwa_calc,Δwa_calcが演算により求められ、各波長λにおける測定値(に基づいて求められた値)ψwa_meas(λ)、および、Δwa_meas(λ)の余弦であるcos(Δwa_meas(λ))と、測定値に対応する理論値ψwa_calc(λ),cos(Δwa_calc(λ))との残差の平方和(すなわち、測定値と理論値との差分に基づく値であり、以下、単に「差分値」という。)が、例えば、数3のE1のように求められる。
【0056】
【数3】

【0057】
そして、膜厚を変数として、基板における反射による偏光状態の変化の理論値ψwa_calc(λ),Δwa_calc(λ)を変更しつつ差分値E1を求め、線型回帰解析法により、差分値E1が最小となる膜厚が基板上の膜の厚さとして取得される。
【0058】
一方、本実施の形態に係る分光エリプソメータ1aでは、基板9に入射する測定波長帯の複数の波長の光が楕円偏光光(ただし、特定の波長の光のみは円偏光光)であるため、入射光の複数の波長のそれぞれにおける反射振幅比角ψin、および、位相差Δinは様々な値をとる。分光エリプソメータ1aの光学条件演算部612(図3参照)では、上述のように、各波長におけるψin,Δinが予め求められて記憶部613に記憶されており、各波長におけるψinと、偏光状態取得部611により取得された各波長におけるtan(ψout_meas)とに基づいて、上述の数1から、基板における反射によるp偏光成分とs偏光成分との反射振幅比角の変化ψwa_measが求められる。しかしながら、偏光状態取得部611により取得された各波長におけるcos(Δout_meas)の値からはΔout_measの正負が確定できないため、上述の数2を用いても、基板における反射によるp偏光成分とs偏光成分との位相差Δwa_meas、および、その余弦であるcos(Δwa_meas)を求めることはできない。
【0059】
そこで、光学条件演算部612では、基板9の測定面91上の膜厚を仮定し、測定波長帯の複数の波長において、基板9における反射による偏光状態の変化(すなわち、p偏光成分とs偏光成分との反射振幅比角および位相差の変化)の理論値ψwa_calc,Δwa_calcを演算により求め、Δwa_calcと記憶部613に予め記憶されているΔinとを用いて、数4により、測定波長帯の各波長におけるcos(Δout_calc)(すなわち、偏光状態取得部611にて取得された反射振幅比角を示す測定値cos(Δout_meas)に対応して求められた理論値)が求められる。
【0060】
(数4)
cos(Δout_calc)=cos(Δin+Δwa_calc
【0061】
そして、偏光状態取得部611にて取得された測定波長帯の各波長λにおける測定値(または、測定値に基づいて求められた値)であるψwa_meas(λ),cos(Δout_meas(λ))と、測定値に対応する理論値であるψwa_calc(λ),cos(Δout_calc(λ))との差分に基づく差分値が、例えば、数5のE2のように求められる。
【0062】
【数5】

【0063】
光学条件演算部612では、基板9の光学条件の1つである膜厚を変数として、膜厚が変更されることにより、基板における反射による反射振幅比角の変化の理論値ψwa_calc(λ)が変更され、また、位相差の変化の理論値Δwa_calc(λ)が変更されてcos(Δout_calc(λ))が変更される(数4参照)。そして、膜厚を変更しつつ差分値E2が求められ、線型回帰解析法により、差分値E2が最小となる膜厚が基板9の測定面91上の膜の厚さ(すなわち、光学条件の値)として取得される。
【0064】
測定波長帯(すなわち、400nm以上800nm以下の波長帯)では、基板9上の膜厚が比較的薄い場合(例えば、膜厚が10nm以下の場合)、膜厚が単位厚さ(例えば、0.1nm)だけ変化した場合の位相差Δの変化量(以下、「位相差変化量」という。)は、円偏光光や楕円偏光光の方が直線偏光光よりも大きくなる。このため、分光エリプソメータ1aでは、基板9に対する偏光解析をより高精度に行うことができ、基板9の測定面91上の膜厚測定を高精度に実現することができる。
【0065】
分光エリプソメータ1aでは、また、第1の実施の形態と同様に、光源31である白色LEDからパルス光を出射して反射光の分光強度を取得することにより、光源31における熱の発生を低減し、基板9からの反射光の偏光状態を精度良く取得することができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0067】
例えば、光源31から出射されるパルス光は、可視領域の全ての波長の光を含むいわゆる白色光には限定されず、所定の波長範囲において連続するスペクトルを有していればよい。また、光源31では、発光ダイオードに代えて半導体レーザが半導体発光素子として利用されてもよい。さらに、第1案内光学系33および第2案内光学系44では、各レンズに代えて平面ミラーや楕円ミラー(すなわち、非球面ミラー)が利用されてもよい。
【0068】
上記実施の形態に係る分光エリプソメータでは、光源31から分光器42に至る光学系(すなわち、第1案内光学系33、偏光光生成部32、検光子41および第2案内光学系44)が有する光を偏光させる偏光機能を変化させる偏光機能変更部として、検光子回転機構43が設けられるが、偏光機能変更部は、検光子回転機構43とは異なる構成であってもよい。例えば、検光子を固定して偏光子を回転する回転偏光子型の分光エリプソメータでは、偏光子を回転する回転機構が偏光機能変更部となる。また、偏光子および検光子を固定して位相子を回転する回転位相子型の分光エリプソメータでは、位相子を回転する回転機構が偏光機能変更部となる。
【0069】
第2の実施の形態に係る分光エリプソメータ1aでは、照明部3の偏光光生成部32aにて生成される多波長偏光光のうち、測定波長帯の複数の波長の光に必ずしも円偏光光は含まれる必要はなく、偏光光生成部32aにより、光源31からの測定波長帯の複数の波長の光から楕円偏光光のみが得られてもよい。この場合も、上記実施の形態と同様に、基板9に対する偏光解析を高精度に行うことができる。
【0070】
上述の分光エリプソメータでは、分光器42にて取得された分光強度に基づいて、基板9の膜厚に代えて、基板9上の膜の屈折率が基板9の光学条件として求められてもよく、また、基板9上の膜の厚さおよび屈折率の双方が求められてもよい。さらには、分光エリプソメータにより、膜厚および屈折率以外の様々な光学条件(例えば、基板9の表面状態や光学定数)が求められてもよく、また、半導体基板以外の対象物の測定面の偏光解析が行われてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1,1a 分光エリプソメータ
9 基板
31 光源
32,32a 偏光光生成部
33 第1案内光学系
41 検光子
42 分光器
43 検光子回転機構
44 第2案内光学系
91 測定面
321 偏光子
322 波長板
421 グレーティング
422 受光デバイス
611 偏光状態取得部
J1,J2 光軸
S11〜S16,S21〜S26 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光エリプソメータであって、
半導体発光素子からのパルス状の光を所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光に変換して出射する光源と、
対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射される前記パルス光から生成する偏光光生成部と、
前記対象物にて反射された前記偏光光の反射光が入射する検光子と、
前記検光子を経由した前記反射光を受光して分光強度を取得する分光器と、
前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる偏光機能変更部と、
前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する偏光状態取得部と、
を備えることを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項2】
請求項1に記載の分光エリプソメータであって、
前記偏光機能変更部が、前記検光子を光軸に平行な中心軸を中心として回転する回転機構であり、
前記検光子の回転に同期して前記光源から前記パルス光が出射されることを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の分光エリプソメータであって、
前記分光器が、
前記検光子を経由した前記反射光を分光する分光デバイスと、
前記分光デバイスからの分光光を受光して前記反射光の分光強度を取得する受光デバイスと、
を備え、
前記パルス光の1回の出射時間が、前記受光デバイスによる分光強度の1回の取得に要する最短時間よりも短いことを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項4】
請求項3に記載の分光エリプソメータであって、
前記光源からの前記パルス光の出射間隔が、前記受光デバイスによる分光強度の最短取得間隔に等しいことを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、
前記半導体発光素子に供給される電流が、定格電流よりも大きいことを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、
前記偏光光生成部が、前記光源からの前記パルス光から、複数の波長の楕円偏光した光、または、前記複数の波長に含まれる特定の波長の円偏光した光および他の波長の楕円偏光した光を得ることを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、
前記光源と前記偏光光生成部との間に前記パルス光に含まれる熱線を除去する熱線除去部が設けられないことを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の分光エリプソメータであって、
前記光源と前記偏光光生成部との間に前記光源からの前記パルス光を反射する反射面が設けられないことを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項9】
分光エリプソメータであって、
半導体発光素子からのパルス状の光を白色光に変換して出射する光源と、
対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射されるパルス光から生成する偏光光生成部と、
前記対象物にて反射された前記偏光光の反射光が入射する検光子と、
前記検光子を経由した前記反射光を受光して分光強度を取得する分光器と、
前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる偏光機能変更部と、
前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する偏光状態取得部と、
を備えることを特徴とする分光エリプソメータ。
【請求項10】
対象物の偏光解析方法であって、
a)半導体発光素子からのパルス状の光を所定の波長範囲において連続するスペクトルを有するパルス光に変換して光源から出射する工程と、
b)対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射される前記パルス光から生成する工程と、
c)前記対象物からの反射光を検光子を経由させて分光器にて受光して分光強度を取得する工程と、
d)前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる工程と、
e)前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する工程と、
を備えることを特徴とする偏光解析方法。
【請求項11】
対象物の偏光解析方法であって、
a)半導体発光素子からのパルス状の光を白色光に変換して光源から出射する工程と、
b)対象物へと傾斜しつつ導かれる偏光光を、前記光源から出射されるパルス光から生成する工程と、
c)前記対象物からの反射光を検光子を経由させて分光器にて受光して分光強度を取得する工程と、
d)前記光源から前記分光器に至る光学系が有する偏光機能を変化させる工程と、
e)前記分光器からの出力に基づいて前記反射光の波長毎の偏光状態を取得する工程と、
を備えることを特徴とする偏光解析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−223822(P2010−223822A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72488(P2009−72488)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】