説明

分子ふるいSSZ−74組成物及びその合成

本発明は、構造方向指向剤としてヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンを使用して調製された新しい結晶性分子ふるいSSZ−74に関し、SSZ−74を合成する方法に関し、そして炭化水素転換反応、ガス流中の窒素の酸化物の還元、部分酸化反応、アシル化反応、含酸素化合物転換、ガス分離、アミン類の合成、エンジン排気の処理(常温始動放出の減少)及びベックマン転位においてのそのSSZ−74の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は新しい結晶性分子ふるいSSZ−74に関し、構造指向剤(“SDA”)としてヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンを使用するSSZ−74を製造する方法に関し、そしてSSZ−74についての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
当業界の状態
それらのユニークなふるい特性、ならびにそれらの触媒的性質の故、結晶性分子ふるい類及びゼオライト類は、炭化水素転換、ガス乾燥及び分離のような適用において特に有用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの異なる結晶性分子ふるいが開示されてきたけれども、ガス分離及び乾燥、炭化水素及び化学的転換、及び他の適用のために望ましい性質を有する新しい分子ふるいに対する途切れなく続いている必要性が存在する。新しい分子ふるいはこれらの方法において高められた選択性を提供する新規な内部細孔組織を含有するだろう。
発明の概要
本発明は、本明細書において“分子ふるいSSZ−74”又は単に“SSZ−74”として称される、ユニークな性質を有する一群の結晶性分子ふるいに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
組成物及び合成
本発明に従えば、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいが提供される。“約15より大きいモル比”と言う語句は、酸化物(2)が存在しない、即ち酸化物(1)の、酸化物(2)に対するモル比が無限大である場合を包含することに留意すべきである。その場合において、分子ふるいは本質的に全ての酸化珪素から構成される。
【0005】
本発明はまた、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを提供する。
【0006】
本発明はさらに、合成されたとき且つ無水状態にあるときにモル比に関して以下を含む組成を有するそのような結晶性分子ふるいを提供する:
【0007】
【表1】

【0008】
(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム及びそれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1(即ちWが四価である)場合に2であるか、又はdはcが2である場合に3又は5である(即ちWが三価の場合に3であり、又はWが五価の場合に5である)、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価(即ち1又は2)であり、Qはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンであり、そしてFはフッ化物である)。
【0009】
本発明に従って、結晶性物質を調製する方法がまた提供され、この方法は、結晶化条件下、(1)酸化珪素の源(1種又は複数種)、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム又はそれらの混合物の源(1種又は複数種)、(3)フッ素イオン、及び(4)ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンを含む構造指向剤(structure directing agent)を接触させることを含む。本発明は、該結晶性物質がカ焼後に表IIのX線回折線を有する、そのような方法を包含する。
【0010】
本発明は、(モル比に関して)以下を含む反応混合物を使用する結晶性物質を調製するそのような方法を包含する:
【0011】
【表2】

【0012】
(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム及びそれらの混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1である(即ちWが四価である)場合は2であり、bはaが2である(即ちWが三価である)場合は3であり、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価(即ち1又は2)であり、Qはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンである)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
炭化水素転換
本発明に従えば、炭化水素転換条件で、炭化水素質(carbonaceous)供給物を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第二の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む炭化水素類を転換するための方法が提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。それはまた、酸性度が実質的に存在しないだろう。
【0014】
本発明により,水素化分解条件下に炭化水素供給原料を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む水素化分解方法がさらに提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。
【0015】
この発明はまた、脱ろう条件下に炭化水素供給原料を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む脱ろう方法を包含する。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。
【0016】
本発明はまた、異性化脱ろう条件下に、ろう状炭化水素供給物を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、ろう状炭化水素供給物の脱ろう生成物の粘度指数を改良する方法を包含する。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。
【0017】
本発明はさらに、異性化条件下にこの発明の分子ふるいを含む触媒上でC20+オレフィン供給物を異性化することを含む、前記オレフィン供給物からのC20+潤滑油を生成する方法を包含する。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。該触媒は少なくとも1種の第VIII属金属を含有することができる。
【0018】
本発明に従えば、約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧力で加えられた水素ガスの存在下に、約350°F(177℃)より高くて沸騰し且つ直鎖及びやや分枝した鎖の炭化水素類を含有する炭化水素油供給原料を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、前記炭化水素油供給原料を触媒作用的に脱ろうする方法がまた提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。その触媒は少なくとも1種の第VIII族金属を含有することができる。その触媒は、この発明の分子ふるい及びその分子ふるいより多くの形状選択性であるアルミノ珪酸塩ゼオライトを含む組み合わせ物であることができる。その組み合わせ物は、少なくとも1種の第VIII属金属を含有することができる。
【0019】
水素化分解帯域において、炭化水素質類供給原料を水素化分解して水素化分解された油を含む流出液を得、そして加えられた水素ガスの存在下に、少なくとも約400°F(204℃)の温度、及び約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7Mpaゲージ)の圧力で、この発明の分子ふるいを含む触媒を用いて、該水素化分解された油を含む前記流出液を触媒作用的に脱ろうすることを含む潤滑油を調製する方法がまた、本発明に包含される。該分子ふるいは主として水素形にあるだろう。該触媒は少なくとも1種の第VIII属金属を含有することができる。
【0020】
加えられた水素の存在下にラフィネートを、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、ラフィネートを異性化脱ろうする方法がこの発明にさらに包含される。そのラフィネートはブライトストックであることができ、そしてその分子ふるいは主として水素形にあるだろう。該触媒は少なくとも1種の第VIII属金属を含有することができる。
【0021】
芳香族転換条件下に約40℃より高く約200℃未満の沸騰範囲を有する直鎖及びやや分枝した炭化水素を含む炭化水素質供給原料を、塩基性金属で本発明の分子ふるいを中和することにより実質的に酸性度が存在しなくされたこの発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、炭化水素供給原料のオクタンを増大させて、増大した芳香属類含有量を有する製品を生成するための方法がまた、この発明に包含される。分子ふるいが第VIII族金属成分を含有する、そのような方法がまた、この発明において提供される。
【0022】
本発明により、添加水素の不存在下に、接触分解条件下に反応帯域において、炭化水素供給原料を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、接触分解方法がまた提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。触媒が追加的に大きな細孔の結晶性分解成分を含む、そのような接触分解方法かまた、この発明に包含される。
【0023】
この発明は、異性化条件下に、直鎖及びやや分枝したC〜C炭化水素を有する供給物を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、C〜C炭化水素類を異性化するための異性化方法をさらに提供する。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。その分子ふるいは、少なくとも1種の第VIII族金属、例えば白金で含浸されていることができる。その触媒は第VIII族金属の含浸後に、高められた温度で水蒸気/空気混合物中でカ焼されることができる。
【0024】
本発明により、少なくとも部分的に液相の条件下及びこの発明の分子ふるいを含む触媒の存在下に、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素を、アルキル化条件下に、C〜C20オレフィンと接触させることを含む、芳香族炭化水素をアルキル化するための方法がまた提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。オレフィンはC〜Cオレフィンであることができ、そして芳香族炭化水素とオレフィンとはそれぞれ、約4:1〜約20:1のモル比で存在することができる。芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はそれらの混合物からなる群から選ばれることができる。
【0025】
少なくとも部分的に液相条件下及びこの発明の分子ふるいを含む触媒の存在下に芳香族炭化水素を、アルキル交換反応条件下、ポリアルキル芳香族炭化水素と接触させることを含む、芳香族炭化水素をアルキル交換するための方法がさらにこの発明に従って提供される。その分子ふるいは主として水素形にあるだろう。芳香族炭化水素とポリアルキル芳香族炭化水素とは、それぞれ約1:1〜約25:1のモル比で存在することができる。
【0026】
芳香族炭化水素はベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン又はそれらの混合物からなる群から選ばれることができ、そしてポリアルキル芳香族炭化水素はジアルキルベンゼンであることができる。
【0027】
この発明により、パラフィン類を芳香族類に転換させることを起こさせる条件下に、パラフィン類を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、パラフィン類を芳香族類に転換させるための方法がさらに提供され、前記触媒はガリウム、亜鉛、あるいはガリウム又は亜鉛の化合物を含む。
【0028】
本発明に従えば、オレフィンを、該オレフィンの異性化を生じさせる条件下に、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、オレフィン類を異性化するための方法がまた、提供される。
【0029】
オルト−、メタ−及びパラ−キシレンの平衡にいっそう近い比が得られる、キシレン異性体又はキシレン異性体とエチルベンゼンとの混合物の芳香族C流を含む異性化供給物を異性化するための方法がこの発明に従ってさらに提供され、前記方法は異性化条件下に前記供給物を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む。
【0030】
本発明は、オリゴマー化条件下にオレフィン供給物を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、オレフィン類をオリゴマー化する方法をさらに提供する。
【0031】
本発明はまた、液体生成物を生成するための条件下に酸素化炭化水素を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、酸素化炭化水素を転換する方法を提供する。酸素化炭化水素は低級アルコールであることができる。
【0032】
本発明に従って、
(a)低分子量炭化水素含有ガスを反応帯域に導入し、そして前記帯域においてC2+炭化水素合成条件下に前記ガスを、当該触媒、及び低分子量炭化水素を高分子量炭化水素に転換することができる金属又は金属化合物と接触させ;そして
(b)前記反応帯域から高分子量炭化水素含有流を取り出す、
諸工程を含む、低分子量炭化水素から高分子量炭化水素を生成する方法がさらに提供される。
【0033】
本発明は、不飽和炭化水素類を含有する炭化水素供給物を水素化する方法をさらに提供し、その方法は水素化を生じさせる条件下に該供給物及び水素を、この発明の分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む。該触媒は、金属が白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム又はそれらの組み合わせからなる群、あるいはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる金属類、塩類又は錯体類をまた含有することができる。
【0034】
本発明はまた、1−オレフィン類の重合を促進するための触媒組成物を提供し、前記組成物は、
(A)(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるい;及び
(B)有機チタン化合物又は有機クロム化合物、
を含む。
【0035】
重合反応を開始し且つ促進するための適当な温度及び圧力を含む重合条件下に、1−オレフィン単量体を、
(A)(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるい;及び
(B)有機チタン化合物又は有機クロム化合物、
を含む触媒組成物の触媒作用的に有効な量と接触させることを含む、1−オレフィン類を重合させるための方法がまた提供される。
【0036】
この発明に従えば、水素処理条件下に、炭化水素供給原料を、触媒がこの発明の分子ふるいを含む水素処理触媒及び水素と接触させることを含む、炭化水素供給原料を水素処理する方法がまた提供される。
【0037】
本発明はまた、分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法を提供する。
【0038】
窒素の酸化物の還元
この発明に従えば、ガス流中に含有している窒素の酸化物を還元するための方法が提供され、その方法は、前記ガス流を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいと接触させることを含む。該分子ふるいは、窒素の酸化物の還元に触媒作用することができる(コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム又はそれらの混合物のような)金属又は金属イオンを含有することができ、そしてその方法は、化学量論的過剰の酸素の存在下に行われることができる。1つの態様において、該ガス流は内燃機関の排気流である。
【0039】
本発明はまた、分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法を提供する。
【0040】
部分酸化
本発明に従えば、炭化水素を酸化するために有効な時間及び温度でチタン含有分子ふるいの触媒作用的に有効な量の存在下に、前記炭化水素を酸化剤と接触させることを含む炭化水素類の酸化方法が提供され、該チタン含有分子ふるいは、(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいである。
【0041】
本発明に従って、オレフィンをエポキシ化するために有効な時間及び温度でチタン含有分子ふるいの触媒作用的に有効な量の存在下に前記オレフィンを過酸化水素と接触させることを含むオレフィンをエポキシ化するための方法がさらに提供され、該チタン含有分子ふるいは、(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいである。
【0042】
本発明に従って、シクロヘキサンを酸化するために有効な時間及び温度でチタン含有分子ふるいの触媒作用的に有効な量の存在下に前記シクロヘキサンを過酸化水素と接触させることを含む、シクロヘキサンを酸化するための方法がさらに提供され、該チタン含有分子ふるいは(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいである。
【0043】
本発明はまた、(1)過酸化水素の存在下に接触酸化することができる反応体、(2)水性過酸化水素及び(3)(i)酸化珪素の、(ii)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む酸化触媒の触媒作用的に有効な量を、酸化条件下に接触させることを含む接触酸化方法を提供する。
【0044】
本発明はまた、(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む触媒の触媒作用的に有効な量の存在下にオレフィンを過酸化水素と接触させることを含む、前記オレフィンのエポキシ化方法を提供する。
【0045】
アシル化
本発明に従って、生成物ArHn−1CORを形成するために芳香族基質ArHに対してアシル化反応を行う方法が提供され、その方法は、
該芳香族基質を用意し、
該基質と、カルボン酸誘導体、カルボン酸、酸無水物、エステル及びハロゲン化アシルからなる群から選ばれたアシル化剤とを均密に混合し、そして
このようにして形成された均密な混合物を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒に対して曝す、
諸工程を含む。
【0046】
本発明はまた、該分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法を提供する。
【0047】
本発明はまた、該分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法を提供する。
【0048】
含酸素化合物転換
本発明は、含酸素化合物(oxygenate)供給原料から、分子当たり2〜4個の炭素原子を有するオレフィン類を含む軽質オレフィンの生成のための方法に関する。その方法は含酸素化合物供給原料を、分子ふるい触媒を含有する含酸素化合物転換帯域に通過させて軽質オレフィン流を生成することを含む。
【0049】
したがって、本発明に従えば、含酸素化合物又は複数種の含酸素化合物の混合物を含む供給原料から軽質オレフィンの生成のための方法が提供され、その方法は(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒上で有効な条件で該供給原料を反応させることを含む。
【0050】
本発明はまた、該分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法をまた提供する。
【0051】
ガス分離
本発明に従えば、ガスの混合物を、分子ふるいが(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいであるその分子ふるいを含有する膜と、接触させることを含む、ガス類を分離するための方法が提供される。ガス類の該混合物は二酸化炭素及びメタンを含むことができる。
【0052】
分子ふるいは、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する。
【0053】
アミン類の合成
本発明に従えば、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒の存在下にガス相中で、メタノール、ジメチルエーテル又はそれらの混合物と、アンモニアとを反応させることを含む、メチルアミン又はジメチルアミンの生成方法が提供される。
【0054】
本発明はまた、該分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法を提供する。
【0055】
エンジン排気(常温始動放出物)の処理
この発明は、一般に、エンジン排気流を処理するための方法に関し、そして特にエンジンの常温始動運転中の放出を最少にするための方法に関する。したがって、本発明は、水上で炭化水素類を優先的に吸着する分子ふるい床上に、炭化水素類及び他の汚染物質を含有する常温始動エンジン排気ガス流を流動させて、第1の排気流を得、そして第1の排気ガス流を触媒上に流動させて該第1の排気ガス流中に含有している全ての残留炭化水素類及び他の汚染物質を無害な生成物に転換させ、そして処理済排気流を得、そして該処理済排気流を大気中に放出させることからなる、前記常温始動エンジン排気ガス流を処理するための方法を提供し、その分子ふるい床は(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含むことを特徴とする。
【0056】
本発明に従って、該結晶性分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、そのような方法がまた提供される。
【0057】
本発明はさらに、エンジンが炭化水素質燃料により燃料供給されることができる、自動車エンジンを包含する内燃機関である、そのような方法を提供する。
【0058】
分子ふるいが、その上に付着して、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びそれらの混合物から選ばれた金属を有する、そのような方法が本発明によりまた提供される。
【0059】
ベックマン転位
本発明に従えば、蒸気相中でオキシムを、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、ベックマン転位を介してオキシム類からアミド類を調製する方法が提供される。その分子ふるいは典型的には酸性である。
【0060】
本発明はまた、該結晶性分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する、そのような方法を提供する。
【0061】
発明の詳細な記載
本発明は、本明細書において“分子ふるいSSZ−74”又は単に“SSZ−74”と称せられる分子ふるいを含む。
SSZ−74を調製するにあたって、ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンがまた、結晶化テンプレートとして知られている構造指向剤(structure directing agent)(“SDA”)として使用される。SSZ−74を作成するために有用なそのSDAは下記の構造を有する:
【化1】

【0062】
該SDA二陽イオンは、SSZ−74の形成に有害でない任意の陰イオンであることができる陰イオン類(X)と組み合わされる。代表的な陰イオン類はハロゲン、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロほう酸イオン、カルボン酸イオン、等を包含する。水酸化物イオンは、構造指向剤(SDA)が水酸化物イオンを提供するために用いられることができるので、典型的な陰イオンである。したがって、それはイオン交換する、例えばハロゲンイオンを水酸化物イオンにイオン交換するために有利である。
【0063】
一般に、SSZ−74は、フッ素イオンの存在下に、(1)酸化珪素の活性源(1種又は複数種)及び随意的に(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物の活性源(1種又は複数種)を、ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンSDAと接触させることにより調製される。
【0064】
SSZ−74はモル比に関して以下のものを含む反応混合物から調製される:
【表3】

【0065】
(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム及びそれら混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1である(即ちWが四価である)場合は2であり、bはaが2である(即ちWが三価である)場合は3であり、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価(即ち1又は2)であり、Qはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽性イオンであり、そしてFはフッ素である)。
【0066】
上記したように、反応混合物においてのSiO/Xモル比は100以上である。このことはSiO/Xモル比が無限大であることができ、即ち反応混合物にXが存在しないことができることを意味する。これは本質的に全てシリカであるSSZ−74の版(バージョン)を生ずる。本明細書において用いられるものとして“本質的に全て酸化珪素”又は“本質的に全てシリカ”とは、分子ふるい結晶構造が酸化珪素だけから構成されているか、あるいは酸化珪素と、酸化珪素の源中に不純物として導入されている可能性がある酸化アルミニウムのような他の酸化物のほんのごく微量とから構成されていることを意味する。
【0067】
酸化珪素の源の1例はオルト珪酸テトラエチルである。酸化アルミニウムの源の1例はLZ−210ゼオライト(Yゼオライトの1タイプ)である。
【0068】
実際において、SSZ−74は、
(a)(1)酸化珪素の源(1種又は複数種)、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物の源(1種又は複数種)、(3)フッ素イオンの源及び(4)SSZ−74の形成に有害でない陰イオン対イオンを有するヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンを含有する水溶液を調製し;
(b)SSX−74の結晶を形成するために十分な条件下に、該水溶液を維持し;そして
(c)SSZ−74の結晶を回収する;
ことを含む方法により製造される。
【0069】
該反応混合物は、SSZ−74の結晶が形成されるまで高められた温度に維持される。100℃〜200℃の温度、例えば135℃〜180℃の温度で自己発生圧力下に熱水結晶化が通常行われる。結晶化期間は典型的には1日より多く、例えば約3日〜約20日である。分子ふるいは穏やかな攪拌(stirring or agitation)を用いて調製されることができる。
【0070】
水熱結晶化工程の間に、SSZ−74結晶を放置して反応混合物から自発的に核形成させることができる。種晶材料としてのSSZ−74結晶の使用は、完全な結晶化を生じさせるために必要な時間を減少させるのに有利であるだろう。また、種晶添加は、何らかの望ましくない相を越えてSSZ−74の核形成及び/又は形成を促進することにより、得られる生成物の純度を増大させることができる。種晶として使用される場合、SSZ−74結晶は反応混合物において使用される第1の四価元素の酸化物、例えばシリカの重量の0.1〜10%の量で添加される。
【0071】
いったん分子ふるい結晶が形成したならば、濾過のような標準の機械的分離技術により固体生成物を反応混合物から分離する。合成されたままのSSZ−74結晶を得るために、結晶を水洗し、例えば次に8〜24時間、90℃〜150℃で乾燥する。大気圧又は真空下に乾燥工程を行うことができる。
【0072】
調製されたときSSZ−74は下記表IのX線回折線を有する。SSZ−74は合成されたとき(即ちSSZ−74からSDAを除去する前)そして無水状態で(モル比に関して)下記のものを含む組成を有する:
【0073】
【表4】

【0074】
(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム及びそれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1である(即ちWが四価である)場合は2であり、又はdはcが2である場合は3又は5であり(即ち、Wが三価である場合はdは3であり、又はWが五価である場合はdは5である)、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価(即ち1又は2)であり、Qはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンであり、そしてFはフッ化物である)。
【0075】
SSZ−74は、そのX線回折パターンにより特徴づけられる。合成されたときのSSZ−74は、そのX線粉末回折パターンが表Iにおいて示される特徴線を示す結晶構造を有する。
【0076】
【表5】

【0077】
(a)±0.1
(b)提供されたX線パターンは、X線パターンにおいての最も強い線が100の値を与えられ;W(弱)は20未満であり;M(中位)は20〜40であり;S(強)は40〜60であり;VS(非常に強)は60より大である相対的強度尺度に基づいている。
【0078】
下記表IAは実際の相対的強度を含む合成されたときのSSZ−74についてのX線粉末回折線を示す。
【0079】
【表6−1】


【表6−2】

【0080】
カ焼後、SSZ−74についてX線粉末回折パターンは下記II表において示される特徴線を示す。
【0081】
【表7】

【0082】
下記表IIAは、実際の相対的強度を含むカ焼されたSSZ−74についてのX線粉末回折線を示す。
【0083】
【表8】

【0084】
X線粉末回折パターンは、標準の技術により決定された。放射線は銅の、K−アルファ/二重線であった。θがブラッグ角である2θの関数として、ピーク高さ及び位置はピークの相対強度から読み取られ、そして記録された線に相当するオングストロームでの格子面間隔のdは計算されることができる。
【0085】
機器誤差に起因してのそして各サンプル間の差に起因しての散乱角(2つのシータ)測定においての変動は±0.1度で概算される。
【0086】
カ焼されたSSZ−74のX線回折パターンからの代表的なピークを表IIに示す。計算は“調製されたときの(as−made)”材料のパターンに比較してピークの強度において変化を生ずる可能性があり、ならびに回折パターンにおいての小さな移動を生ずる可能性がある。
【0087】
結晶SSZ−74は、合成されたままで用いられることができるが、しかし典型的には熱的に処理(カ焼)される。通常、(存在する場合に)アルカリ金属陽イオンを、イオン交換により除去し、そしてそれを水素、アンモニウム又は任意の所望の金属イオンと置換することが望ましい。
【0088】
SSZ−74を、広い種々の物理的形状に形成することができる。一般的に言って、分子ふるいは、粉末、顆粒、あるいは2−メッシュ(タイラー(Tyler))スクリーンを通過し、そして400メッシュ(タイラー)スクリーン上に保持されるのに十分である粒子寸法を有する押し出し物のような成形製品の形にあることができる。触媒が有機結合剤と一緒に押し出されることによるようにして成形される場合において、SSZ−74は、乾燥前に押し出されるか、あるいは乾燥又は部分的乾燥され、次に押し出されることができる。
【0089】
SSZ−74を、温度に抵抗性の及び有機転換処理において使用される他の条件に抵抗性の他の材料と複合化することができる。そのようなマトリックス材料は活性及び不活性材料及び合成か又は天然に存在するゼオライト類、ならびにクレー、シリカ及び金属酸化物のような無機材料を包含する。そのような材料の例及びそれらを使用することができる方法は、Zones、等に1990年5月20日に与えられた米国特許第4,910,006号及びNakagawaに1994年5月31日に与えられた米国特許第5,316,753号(この両方の特許をそれらの全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0090】
炭化水素転換方法
SSZ−74分子ふるいは、炭化水素転換反応において有用である。炭化水素転換反応は、炭素含有化合物を異なる炭素含有化合物に変化させる化学的且つ触媒作用的方法である。SSZ−74が有用であると期待される炭化水素転換反応の例は、水素化分解、脱ろう、接触分解、そしてオレフィン類及び芳香族類形成反応を包含する。該触媒はまた、他の石油精製,及びn−パラフィン類及びナフテン類を異性化するような炭化水素転換反応、イソブチレン及びブテン−1のようなオレフィン系又はアセチレン系化合物の重合化及びオリゴマー化、1−オレフィン類(例えばエチレン)の重合、改質、ポリアルキル置換芳香族類(例えばm−キシレン)の異性化、ベンゼン、キシレン類及びより高級のメチルベンゼン類の混合物を提供するための芳香族類(例えばトルエン)の不均化、及び酸化反応において有用であることが期待される。また、種々のナフタレン誘導体を造るための転位反応、及び低分子量炭化水素から高分子量炭化水素の形成(例えばメタンの等級上げ)が包含される。
【0091】
SSZ−74触媒は、高い選択性を有する可能性があり、そして炭化水素転換条件下に全体の生成物に関して高いパーセンテージの所望の生成物を提供することができる。
【0092】
高い触媒活性のために、SSZ−74分子ふるいは、主としてその水素イオン形にあるべきである。一般に、分子ふるいは、アンモニア交換、次にカ焼によりその水素形に変換される。分子ふるいがSDA陽イオンの、ナトリウムイオンに対する高い十分な比で合成されるならば,カ焼のみで十分であろう。典型的にはカ焼後に、陽イオン部位の少なくとも80%が水素イオン及び/又は希土類イオンにより占められる。本明細書において用いられるものとして“主として水素形”とはカ焼後、陽イオン部位の少なくとも80%が水素イオン及び/又は希土類イオンにより占められていることを意味する。
【0093】
炭化水素質供給原料を処理するのにSSZ−74分子ふるいを使用することができる。炭化水素質供給原料は炭素化合物を含有しており、そしてバージン石油留分、再循環石油留分、シェール油、液化石炭、タールサンド油、NAOからの合成パラフィン類、リサイクルされたプラスチック供給原料のような多くの異なる源からのものであることができる。他の供給物は約371℃(700°F)より低くて沸騰する含酸素化合物含有フィッシャートロプシュ法を包含する、フィッシャートロプシュ法から由来する供給物のような合成供給物を包含する。一般に、その供給物は、ゼオライト触媒作用反応に感受性の任意の炭素含有供給原料であることができる。炭化水素質供給物が受けるべき処理のタイプに依存して、供給物は金属を含有することができ、又は金属を含有しなくてもよく、それはまた高い又は低い窒素あるいは硫黄不純物を有することができる。しかしながら、一般的な処理において、供給原料の金属、窒素及び硫黄の含有量が低ければ低いほど、いっそう効率がよい(そして触媒がいっそう活性)であることを認識することができる。
【0094】
炭化水素質供給物の転換は、任意の都合が良い様式で、例えば所望の処理のタイプに依存して、流動床、移動床、又は固定床反応器において行われることができる。触媒粒子の配合は、転換法及び操作の方法に依存して変化するだろう。
【0095】
金属、例えば白金のような第VIII族金属を含有するこの発明の触媒を用いて行うことができる他の反応は、水素化−脱水素化反応、脱窒素反応及び脱硫黄反応を包含する。
【0096】
下記表は、この発明の炭化水素転換反応においてSSZ−74を含む触媒を使用する場合に使用できる典型的な反応条件を示す。典型的な条件をカッコ内に示す。
【0097】
【表9】

【0098】
数百気圧、
ガス相反応、
炭化水素分圧、
液相反応、
WHSV。
【0099】
他の反応条件及びパラメーターを下に示す。
水素化分解
例えば、主として水素形にあるSSZ−74及び水素化促進剤を含む触媒を使用して、重質石油残留物供給原料、環式原料及び他の水素化分解物(hydrocrackate)仕込み原料を、前記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号に開示されている処理条件及び触媒成分を用いて水素化分解することががきる。
【0100】
その水素化分解触媒は、水素化分解触媒において通常使用されるタイプの少なくとも1種の水素化成分の有効量を含有する。その水素化成分は、下記金属類を含有する塩類、錯体類及び溶液を包含する、第VIB族及び第VIII族の1種以上の金属からなる、水素化触媒の群から一般に選ばれる。水素化触媒は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及びそれらの混合物の少なくとも1種からなる群、あるいはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム及びそれらの混合物の少なくとも1種からなる群、の金属、それらの塩及び錯体の群から選ばれることができる。触媒的に活性な金属又は金属類に言及して、元素状態にあるか、あるいは酸化物、硫化物,ハロゲン化物、カルボン酸塩、等のような或る形にあるそのような1種又は複数種の金属を包含することが意図される。水素化触媒は例えば0.05〜25重量%の範囲で、水素化分解触媒の水素化機能を提供するために有効な量で存在する。
【0101】
脱ろう
例えば、主として水素形にあるSSZ−74は、直鎖パラフィン類を選択的に除去することにより炭化水素質供給物を脱ろうするために用いられることができる。典型的には、その脱ろう生成物の粘度指数は、異性化脱ろう条件下にろう状供給物をSSZ−74と接触させる場合に(ろう状供給物と比較して)改良される。
【0102】
触媒作用脱ろう条件は大部分は使用される供給物により左右され、そして所望の流動点により左右される。水素は、触媒作用脱ろう処理の間に典型的には反応帯域に存在する。水素の、供給物に対する割合は典型的には約500〜約30,000SCF/bbl(標準立方フィート/バレル)(0.089〜5.34SCM/リットル(標準立方メートル/リットル))、例えば約1000〜約20,000SCF/bbl(0.178〜3.56SCM/リットル)である。一般に、水素を生成物から分離し、そして反応帯域に再循環させるだろう。典型的な供給原料は、軽質ガス油,重質ガス油及び約350°F(177℃)より高くて沸騰する常圧蒸留残油(reduded crude)を包含する。
【0103】
典型的な脱ろう方法は、約15〜3000psi(0.103〜20.7Mpa)の水素圧での添加水素ガスの存在下に炭化水素油供給原料を、SSZ−74と少なくとも1種の第VIII族金属とを含む触媒と接触させることによる、約350°F(177℃)より高くて沸騰し、そして直鎖及びやや分枝した鎖の炭化水素を含有する炭化水素油供給原料の触媒作用脱ろうである。
【0104】
SSZ−74水素化脱ろう触媒は、脱ろう触媒において通常使用されるタイプの水素化成分を随意的に含有することができる。これらの水素化成分の例については、上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0105】
水素化成分は、例えば約0.05〜5重量%の範囲で有効な水素化脱ろう及び水素化異性化触媒を提供するために有効な量で存在する。その触媒は、分解反応を犠牲にして異性化脱ろうを増大させるような様式で働くであろう。
【0106】
供給物は、水素化分解され、次に脱ろうされる、このタイプの2つの工程処理及び典型的な水素化分解条件は、1990年5月1日にMillerに与えられた米国特許第4,921,594号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている。
【0107】
SSZ−74をまた、複数の触媒の組み合わせの形で脱ろう触媒として使用することができる。その組み合わせは、分子ふるいSSZ−74及び望ましくは、少なくとも1種の第VIII族金属を含む第1触媒と、分子ふるいSSZ−74よりいっそう形状選択性であるアルミノ珪酸塩ゼオライトを含む第2触媒とを含む。本明細書において用いられるものとして“組み合わせ”という用語は、この発明の分子ふるいとアルミノ珪酸塩ゼオライトとの混合物、該分子ふるいと該ゼオライトとの複数の層、又は供給物を該分子ふるい及び該ゼオライトの両方と接触させる任意の他の形状を包含する。複数層の形での組み合わせ触媒の使用は、1992年9月22日にMillerに与えられた米国特許第5,149,421号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。その積層化層はまた、水素化分解又はヒドロフィニッシング(hydrofinishing)のいずれかのために計画された非ゼオライト成分と積層されたSSZ−74の床を包含することができる。
【0108】
SSZ−74はまた1980年1月1日にGillespie、等に与えられた米国特許第4,181,598号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示された条件のような条件下にブライトストックを包含するラフィネート類を脱ろうするために用いられることができる。
【0109】
いっそう安定な脱ろう製品を生成するために、穏やかな水素化(ときにはヒドロフィニッシング(hydrofinishing)と称せられる)を使用することがしばしば望ましい。該ヒドロフィニッシング工程は、脱ろう工程の前又は後のいずれか、典型的には後に行われることができる。ヒドロフィニッシングは、約0.1〜20の空間速度(LHSV)及び約400〜1500SCF/bbl(0.071〜0.27SCM/リットル)の水素循環速度で約400psig〜約3000psig(2.76〜20.7Mpaゲージ)の圧力で約190℃〜約340℃の範囲の温度で典型的に行われる。使用される水素化触媒は、オレフィン類、ジオレフィン類及び存在する可能性がある着色体を水素化するばかりでなく、また芳香族含有量を減少させるために十分に活性でなくてはならない。適当な水素化触媒は、1990年5月1日にMillerに与えられた米国特許第4,921,594号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。水素化分解された原料から調製された脱ろう製品は、空気及び光に対して不安定である傾向があり、そして自然発生的且つ迅速にスラッジを形成する傾向があるのでヒドロフィニッシンク工程は、許容できる程度に安定な製品(例えば潤滑油)を調製するために有利である。
【0110】
SSZ−74を用いて潤滑油を調製することができる。例えば、C20+潤滑油は、水素形でのSSZ−74及び少なくとも1種の第VIII族金属を含む触媒上で、C20+オレフィンを異性化することにより造られることができる。別法として、潤滑油は、水素化分解帯域において炭化水素質供給原料を水素化分解して水素化分解された油を含む流出流を得、そして添加水素ガスの存在下に少なくとも約400°F(204℃)の温度及び約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7Mpaゲージ)の圧力で、水素形でのSSZ−74及び少なくとも1種の第VIII族金属を含む触媒を用いて該流出液を触媒作用的に脱ろうすることにより造られることができる。
【0111】
芳香族類形成
SSZ−74は、軽質直留ナフサ類及び同様な混合物を、高度に芳香族の混合物に転換するために用いられることができる。したがって、直鎖及びやや分枝した鎖の炭化水素、例えば約40℃より高くて約200℃未満の沸騰範囲を有する炭化水素は、その炭化水素供給物を、SSZ−74を含む触媒と接触させることにより、実質的にいっそう高いオクタンの芳香族類含有量を有する生成物に転換させることができる。それはまた、SSZ−74を含む触媒を用いて重質供給物を、価値あるBTX又はナフタレン誘導体に転換することが可能である。
【0112】
市場での使用のために十分な活性を有するために、転換触媒は典型的には、第VIII族金属化合物を含有する。本明細書において用いられるものとして、第VIII族金属化合物とは、金属自体又はその化合物を意味する。第VIII族貴金属及びそれらの化合物、白金、パラジウム及びインジウム又はそれらの組み合わせを用いることができる。レニウム又は錫あるいはそれらの混合物をまた、第VIII族金属化合物(典型的には貴金属化合物)、例えば白金化合物と一緒に用いることができる。転換触媒中に存在する第VIII族金属の量は、改質触媒においての通常の使用範囲内であるべきであり、約0.05〜2.0重量%、例えば0.2〜0.8重量%であるべきである。
【0113】
転換触媒は、例えば塩基性金属、例えばアルカリ金属、化合物を用いて分子ふるいを中和することにより実質的に酸性度が存在しないことが、有用な量で芳香族類の選択的生成のために重要である。触媒を酸性度が存在しないようにするための方法は当業界において知られている。そのような方法の記載について、上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0114】
典型的なアルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムである。当該の分子ふるいそれ自体は、非常に高いシリカ:アルミナモル比でのみ、実質的に酸性度が存在しないことができる。
【0115】
接触分解
炭化水素分解原料は、例えば主として水素形でのSSZ−74を用いて、水素の不存在下に触媒作用的に分解されることができる。
【0116】
SSZ−74が、水素の不存在下の接触分解触媒として使用れれる場合、その触媒は、伝統的な分解触媒、例えば分解触媒においての成分として今まで使用された任意のアルミノ珪酸塩と一緒に用いられることができる。典型的にはこれらのものは、大きな細孔の結晶性アルミノ珪酸塩である。これらの伝統的な分解触媒の例は上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号に開示されている。伝統的な分解触媒(TC)成分を使用する場合、TCの、SSZ−74に対する相対的重量比は、一般に約1:10〜約500:1、望ましくは約1:10〜約200:1、例えば約1:2〜約50:1、又は約1:1〜約20:1である。新規な分子ふるい及び/又は伝統的な分解成分は、選択度を修正するために希土類イオンとさらにイオン交換されることができる。
【0117】
その分解触媒は、典型的には無機酸化物マトリックス成分と共に使用される。そのようなマトリックス成分の例について上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0118】
異性化
本触媒は、C〜C炭化水素類を異性化するために高度に活性であり、且つ高度に選択性である。活性とは、触媒が高度に分枝されたパラフィン類を熱力学的に優先する比較的に低い温度で働くことができることを意味する。したがって、その触媒は高いオクタン製品を生成することができる。高い選択性とは、触媒を高いオクタンで働かせる場合、比較的に高い液体収量を達成させることができることを意味する。
【0119】
本方法は、異性化条件下に、異性化触媒、即ち水素形でのSSZ−74を含む触媒を、炭化水素供給物と接触させることを含む。その供給物は典型的には30°F〜250°F(−1℃〜121℃)の範囲内、例えば60°F〜200°F(16℃〜93℃)で沸騰する軽質直留留分である。典型的にはその方法のための炭化水素供給物は、実質的な量のC〜C直鎖及びやや分枝した低オクタン炭化水素類、例えばC及びC炭化水素類を含む。
【0120】
異性化反応は、典型的には水素の存在下に行われる。水素は、0.5〜10のH/HC、例えば1〜8のH/HCの水素の、炭化水素に対する比(H/HC)を与えるように、加えられることができる。異性化処理条件について上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0121】
低硫黄供給物が、本方法において特に有用である。その供給物は、望ましくは10ppm未満、例えば1ppm未満又は0.1ppm未満の硫黄を含有する。すでに硫黄が低くない供給物の場合において、硫黄毒に抵抗性である水素化触媒を用いて、予備飽和帯域において供給物を水素化することにより許容できる水準に到達することが出来る。この水素化脱硫方法の追加の議論について、上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0122】
供給物の窒素水準及び水含有量を制限することが典型的なことである。これらの目的のために適当である触媒及び方法は当業者に知られている。
【0123】
操作の期間の後に、硫黄又はコークスにより触媒は不活性化される可能性がある。この硫黄及びコークスを除去する方法及び触媒を再生することの追加の議論について、上記米国特許第4,910,006号及び同第5,316,753号を参照。
【0124】
転換触媒は、市場での用途のために十分な活性を有するために第VIII族金属化合物を含有するのが望ましい。本明細書において用いられるものとして、第VIII族金属化合物とはその金属自体又はその化合物を意味する。第VIII族貴金属類及びその化合物類、白金、パラジウム及びイリジウム又はそれらの組み合わせを使用することができる。レニウム及び錫がまた、該貴金属と一緒に用いられることができる。典型的にはその金属は白金である。転換触媒中に存在する第VIII族金属の量は、約0.05〜2.0重量%、例えば0.2〜0.8重量%の、異性化触媒において使用する普通の範囲内であるべきである。
【0125】
アルキル化及びアルキル交換反応
芳香族炭化水素のアルキル化又はアルキル交換反応のための方法においてSSZ−74を使用できる。その方法は、少なくとも部分的液相条件下及びSSZ−74を含む触媒の存在下に芳香族炭化水素を、C〜C16オレフィンアルキル化剤又はポリアルキル芳香族炭化水素アルキル交換剤と接触させることを含む。
【0126】
上記したようにベンゼンをアルキル化し、そしてガソリンからアルキル化生成物を除去することによりガソリンからベンゼンを除去するために、SSZ−74をまた使用することができる。
【0127】
高い触媒活性のために、SSZ−74分子ふるいは主としてその水素イオン形にあるべきである。カ焼後に、陽イオン部位の少なくとも80%が水素イオン及び/又は希土類イオンにより占められるのが典型的なことである。
【0128】
本発明の方法によりアルキル化されるか又はアルキル交換されることができる適当な芳香族炭化水素供給分原料の例は、ベンゼン、トルエン及びキシレンのよな芳香族化合物を包含する。ベンゼンが特に有用である。ナフタレン、又はジメチルナフタレンのようなナフタレン誘導体が望ましい可能性がある場合が存在するだろう。芳香族炭化水素類の混合物をまた使用できる。
【0129】
芳香族炭化水素のアルキル化のために適当なオレフィン類は、2〜20個の炭素を含有するオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、トランス−ブテン−2及びシス−ブテン−2又はそれらの混合物のような2〜4個の炭素原子を含有するオレフィンである。ペンタン類が望ましい場合が存在するだろう。典型的なオレフィン類はエチレン及びプロピレンである。より長い鎖のアルファオレフィン類を同様に使用することができる。
【0130】
アルキル交換反応が望ましい場合、アルキル交換剤は、各々が2〜約4個の炭素原子を含有してもよい2つ以上のアルキル基を含有するポリアルキル芳香族炭化水素である。例えば適当なポリアルキル芳香族炭化水素は、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジエチルメチルベンゼン(ジエチルトルエン)、ジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルトルエン、ジブチルベンゼン、等のようなジ−、トリ−及びテトラ−アルキル芳香族炭化水素類を包含する。典型的なポリアルキル芳香族炭化水素はジアルキルベンゼン類である。特に望ましいポリアルキル芳香族炭化水素はジイソプロピルベンゼンである。
【0131】
アルキル化が行われる方法である場合、反応条件は下記のとおりである。芳香族炭化水素供給物は、化学量論的過剰で存在すべきである。迅速な触媒汚染を防止するために、芳香族類の、オレフィン類に対するモル比は、4:1より大であることが典型である。反応温度は100°F〜600°F(38℃〜315℃)の範囲にあることができ、例えば250°F〜450°F(121℃〜232℃)である。反応圧力は、触媒汚染を遅らせるために少なくとも部分的液相を維持するのに十分であるべきである。これは、供給原料及び反応温度に依存して、典型的には50psig〜1000psig(0.345〜6.89Mpaゲージ)である。接触時間は、10秒〜10時間の範囲にあることができるが、しかし通常は5分〜1時間である。時間当たり触媒のグラム(ポンド)当たり芳香族炭化水素及びオレフィンのグラム(ポンド)に関して、重量時間空間速度(WHSV)は、一般に約0.5〜50の範囲内にある。
【0132】
アルキル交換反応が行われる方法である場合、芳香族炭化水素のモル比は、一般に約1:1〜25:1、例えば約2:1〜20:1の範囲であろう。反応温度は約100°F〜600°F(38℃〜315℃)の範囲にあることができるが、しかし典型的には約250°F〜450°F(121℃〜232℃)である。反応圧力は、少なくとも部分的に液相を維持するために十分であるべきであり、典型的には約50psig〜1000psig(0.345〜6.89Mpaゲージ)、例えば300psig〜600psig(2.07〜4.14Mpaゲージ)である。重量時間空間速度は約0.1〜10の範囲にあるだろう。1992年1月21日にHsieh、等に与えられた米国特許第5,082,990号はそのような方法を記載しており、そしてその特許を参照することにより本明細書に組み入れる。
【0133】
芳香族類へのパラフィン類の転換
SSZ−74は、芳香族化合物を包含する高分子量炭化水素類に軽質ガスC〜Cパラフィン類を転換させるために用いられることができる。典型的には分子ふるいは、約0.05〜5重量%の範囲で、金属が周期律表第IB族、第IIB族、第VIII族、第IIIA族、例えばガリウム、ニオブ、インジウム、亜鉛からなる群から選ばれる触媒金属又は金属酸化物を含有するだろう。
【0134】
オレフィン類の異性化
オレフィン類を異性化するためにSSZ−74を使用することができる。供給物流は少なくとも1種C4−6オレフィン、例えばノルマルブテンのようなC4−6直鎖オフレィンを含有する炭化水素流である。この明細書において用いられるものとしてノルマルブテンとは、ノルマルブテンのすべての形、例えば1−ブテン、シス−2−ブテン及びトランス−2−ブテンを意味する。典型的にはノルマルブテン以外の炭化水素類又は他のC4−6直鎖オレフィン類が供給物流に存在するだろう。これらの他の炭化水素は、例えばアルカン類、他のオレフィン類、芳香族類、水素及び他の不活性ガスを含むことができる。
【0135】
供給物流は、典型的には流動接触分解装置又はメチル−第三級ブチルエーテル装置からの流出流であることができる。流動接触分解装置流出流は、典型的には約40〜60重量%のノルマルブテン類を含有する。メチル−第三級ブチルエーテル装置流出液は典型的には40〜100重量%のノルマルブテンを含有する。供給物流は典型的には少なくとも約40重量%のノルマルブテン、例えば少なくとも約65重量%のノルマルブテンを含有する。この明細書においてイソオレフィン及びメチル分枝イソオレフィンと言う用語は互換的に用いられるだろう。
【0136】
本方法は異性化条件下行われる。蒸気相中で炭化水素供給物を、SSZ−74を含む触媒と接触させる。その方法は一般にブテン類について約625°F〜約950°F(329〜510℃)、例えば約700°F〜約900°F(371〜482℃)、又はペンテン類及びヘキセン類について約350°F〜約650°F(177〜343℃)の温度で行われる。圧力は大気圧以下〜約200psig(1.38Mpaゲージ)、例えば約15psig〜約200psig(0.103〜1.38Mpaゲージ)又は約1psig〜約150psig(0.00689〜1.03Mpaゲージ)の範囲である。
【0137】
接触中の液体時間空間速度は、一般に炭化水素供給物に基づいて、約0.1〜約50/時間、例えば約0.1〜約20/時間、約0.2〜約10/時間、又は約1〜約5/時間である。水素/炭化水素モル比を、約0〜約30以上に維持する。水素を、供給物流に直接加えることができ、又は異性化帯域に直接加えることができる。反応は典型的には水が実質的に存在せず、典型的には供給物に基づいて約2重量%未満である。充てん床反応器、固定床、流動床反応器又は移動床反応器において、その方法を行うことができる。触媒の床は上方に又は下方に移動させることができる。例えばイソブテンへのノルマルブテンのモルパーセント転換は少なくとも10、例えば少なくとも25、又は少なくとも35である。
【0138】
キシレン異性化
SSZ−74は、平衡値に近い比で、オルト−、メタ−及びパラ−キシレンを得るために、C芳香族供給物においての1種以上のキシレン異性体を、異性化する方法においてまた有用であろう。特に、キシレン異性化は、パラキシレンを製造するための別の方法と一緒に用いられる。例えば、混合C芳香族流中のパラキシレンの一部分を、結晶化及び遠心分離により回収することができる。次に、晶出装置からの母液をキシレン異性化条件下に反応させてオルト−、メタ−及びパラ−キシレンを平衡に近い比に戻す。同時に、母液中のエチルベンゼンの一部分を、キシレン類に又は濾過により容易に分離される生成物に転換する。その異性化物を新しい供給物とブレンドし、合併した流れを蒸留して重質及び軽質の副生成物を除去する。次に得られたC芳香族類流を晶出装置に送って、そのサイクルを繰り返す。
【0139】
随意的に、アルキルベンゼン(例えばエチルベンゼン)のモル当たり3.0〜30.0モルの水素の存在下に、蒸気相での異性化が行われる。水素を使用する場合、触媒は、(周期律表の)第VIII族金属成分から選ばれた水素化/脱水素化成分、特に白金又はニッケルの約0.1〜2.0重量%を含むべきである。第VIII族金属成分とは、金属類、そして酸化物及び硫化物のようなそれらの化合物を意味する。
随意的に異性化供給物は、トルエン、トリメチルベンゼン、ナフタレン類及びパラフィン類のような希釈剤の10〜90重量%を含有することができる。
【0140】
オリゴマー化
約2〜21個、例えば2〜5個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖オレフィン類をオリゴマー化するために、SSZ−74をまた使用することができることが期待される。その方法の生成物であるオリゴマー類は両方の燃料、即ちガソリン又はガソリン混合原料(gasoline blending stock)及び化学製品(chemicals)のために有用である中間ないし重質のオレフィン類である。
オリゴマー化方法は、気相又は液相においてオレフィン供給原料を、SSZ−74を含む触媒と接触させることを含む。
【0141】
分子ふるいは、それと組み合わされた最初の陽イオンを、当業界に周知の技術に従って広い種々の他の陽イオンと置き換えて有することができる。典型的な陽イオンは、水素、アンモニウム、及び金属陽イオン類混合物を包含する金属陽イオン類を包含するだろう。置き換え用金属陽イオンの中で、希土類金属、マンガン、カルシウムならびに周期律表第II族の金属、例えば亜鉛及び周期律表第VIII族の金属、例えばニッケルのような金属類の陽イオンが特に望ましい。最も重要な必要条件の1つは、分子ふるいがかなり低い芳香族化活性を有すること、即ちその活性において、生成される芳香族類の量が約20重量%以下であることである。このことはn−ヘキサンを分解するその能力により測定したときに約0.1〜約120、例えば約0.1〜約100の制御された酸活性度(アルファ値)を有する分子ふるいを用いることにより成し遂げられる。
【0142】
アルファ値は、当業界に知られている標準の試験により、例えば1976年6月1日にGivens、等に与えられた米国特許第3,960,978号(この特許を参照することにより本明細書に全体的に組み入れる)に示されているように、規定される。必要に応じて、転換法においての使用による蒸気処理(スチーミング)により、又は当業者が思い出すことができる任意の他の方法により、そような分子ふるいを得ることができる。
【0143】
アルコール類の縮合
混合脂肪族及び芳香族炭化水素を含むガソリン沸点炭化水素生成物に1〜10個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコールを縮合するためにSSZ−74を使用することができる。1975年7月8日にButter、等に与えられた米国特許第3,894,107号(この特許を参照することにより本明細書に全体的に組み入れる)に開示された方法は、この方法において使用される処理条件を記載している。
【0144】
その触媒は、水素形にあってもよく、又は塩基交換されていてもよく、あるいは典型的には約0.05〜5重量%の範囲でアンモニウム又は金属陽イオン補足物(complement)を含有するように含浸されてもよい。存在することができる金属陽イオンは、周期律表の第I族ないしは第VIII族の金属の任意のものを包含する。しかしながら、第IA族金属の場合において、陽イオン含有量は、決して触媒を実際上不活性にするほど大であってはならなく、又は交換がすべての酸性度を排除するようなものであるべきでない。塩基性触媒が所望される酸素化基質の処理を包含する他の方法が存在するだろう。
【0145】
メタン改質
低分子量炭化水素を、SSZ−74及び高分子量炭化水素に該低分子量炭化水素を転換することができる金属又は金属化合物を含む触媒と接触させることにより、該低分子量炭化水素から、高分子量炭化水素を形成することができる。そのような反応の例は、エチレン又はベンゼンあるいはそれら両方のようなC2+炭化水素類へのメタンの転換を包含する。有用な金属類又は金属化合物の例は、ランタニド及び/又はアクチニドの、金属又は金属化合物を包含する。
【0146】
これらの反応、使用される金属類又は金属化合物及びそれらの反応を実施できる条件は、1988年3月29日にDevries、等に与えられた米国特許第4,734,537号、1990年7月3日にWashecheck、等に与えられた米国特許第4,939,311号、1990年10月9日にAbrevaya、等に与えられた米国特許第4,962,261号、1992年3月10日にAbrevaya、等に与えられた米国特許5,095,161号、1992年4月14日にHan、等に与えられた米国特許第5,105,044号、1992年4月14日にWashecheckに与えられた米国特許第5,105,046号、1993年8月24日にHan等に与えられた米国特許第5,238,898号、1994年6月14日にvan der Vaartに与えられた米国特許第5,321,185号及び1994年8月9日にChoudhary、等に与えられた米国特許第5,336,825号(これらの特許の各々をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0147】
1−オレフィン類の重合
本発明の分子フルイを、1−オレフィン類の重合、例えばエチレンの重合のための触媒において使用することができる。オレフィン重合触媒を形成するために、上に記載されたような分子ふるいを特定のタイプの有機金属と反応させる。重合触媒を形成するのに有用な有機金属化合物は、アルキル部分及び随意的にハロゲン部分を有する三価及び四価の有機チタン及び有機クロム化合物を包含する。本発明に関して、“アルキル”と言う用語は直鎖及び分枝鎖の両方のアルキル基、シクロアルキル基、及びベンジルのようなアルキルアリール基を包含する。
【0148】
三価及び四価の有機クロム及び有機チタン化合物の例は、1983年3月15日にChester、等に与えられた米国特許第4,376,722号、1983年3月22日にChester、等に与えられた米国特許第4,377,497号、1984年5月1日にChester、等に与えられた米国特許第4,446,243号及び1985年7月2日にChester、等に与えられた米国特許第4,526,942号に開示されている。上記特許の開示をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる。
【0149】
重合触媒を形成するために用いられる有機金属化合物の例は、一般式:
[化2]
MAlkHalm−x
(式中、Mはチタン及びクロムから選ばれた金属であり、Alkはアルキルであり、Halはハロゲン(例えばCl又はBr)であり、xは1〜4であり、そしてmはxより大であるか又はxに等しく、そして3又は4である)に相当する化合物を包含するが、しかしそれに限定されない。
【0150】
そのような式により包含される有機チタン及び有機クロム化合物の例は、式CrAlk、CrAlk、CrAlkHal、CrAlkHal、CrAlkHal、CrAlkHal、CrAlkHal、TiAlk、TiAlk、TiAlkHal、TiAlkHal、TiAlkHal、TiAlkHal、TiAlkHal(但し、HalはCl又はBrであることかでき、そしてAlkはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、2−エチルブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,2−ジエチルブチル、2−イソプロピル−3−メチルブチル、等、例えばシクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチルのようなシクロヘキシルアルキル類、そして例えば(4−メチルシクロヘキシル)メチル、ネオフィル、即ちベータ,ベータ−ジメチルフェネチル、ベンジル、エチルベンジル及びp−イソプロピルベンジルのような対応するアルキル置換シクロヘキシル基であることができる)の化合物を包含する。Yの所望の例は、C1−アルキル、特にブチルを包含する。
【0151】
触媒において使用される有機チタン及び有機クロム材料は、当業界において周知の技術により調製されることができる。例えば上記Chesters、等の特許を参照。
【0152】
オレフィン重合触媒を形成するために、有機金属化合物と分子ふるいとを反応させることによるような、有機チタン及び有機クロム化合物を本発明の分子ふるいと反応させることができる。一般にそのような反応は、そのような反応生成物の形成を促進する条件下に、該有機金属化合物を調製するために使用される同じ反応媒体中で行われる。有機金属化合物の形成が完了した後に分子ふるいを反応混合物に単に加えることができる。分子ふるいは、分子ふるいの100重量部当たり反応媒体中の有機金属化合物の約0.1〜10重量部、例えば約0.5〜5重量部を提供するのに十分な量で加えられる。
【0153】
分子ふるいとの有機金属化合物の反応中の反応媒体の温度は有機金属反応体の安定性を確保するために十分に低い水準でまた維持される。従って、約−150℃〜50℃、例えば約−80℃〜0℃の範囲の温度を有利に使用できる。有機チタン又は有機クロム化合物を分子ふるいと反応させるにあたって、約0.01〜10時間、さらに例えば約0.1〜1時間の反応時間を使用できる。
【0154】
反応の完了の際、そのようにして形成された触媒材料を回収し、そして窒素雰囲気下に反応媒体溶媒を蒸発させることにより乾燥させることができる。別法として、触媒を形成するために使用された同じ溶媒をベースとする反応媒体中でオレフィン重合反応を行うことができる。
【0155】
1−オレフィン類の重合に触媒作用させるために該重合触媒を使用することができる。この発明の触媒を用いて生成された重合体は、通常分子当たり2〜8個の炭素原子を含有する少なくとも1種のモノ−1−オレフィンの固体重合体である。これらの重合体は、通常、エチレンの単独重合体、あるいはエチレンと分子当たり3〜8個の炭素原子を含有する他のモノ−1−オレフィンとの共重合体である。例示的な共重合体は、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキサン及びエチレン/1−オクテン、等の共重合体を包含する。そのような共重合体の大部分はエチレンから由来し、そして一般に約80〜99、例えば95〜99モルパーセントのエチレンからなる。これらの重合体は押し出し、吹き込み成形(ブロー成形)、射出成形等のために十分に適している。
【0156】
重合反応は、その重合反応を開始させるために十分な温度及び圧力で、水分及び空気のような触媒毒の実質的に不存在下に、1種の単量体又は複数の単量体、例えばエチレン単独又は1種以上の他のオレフィンと共にのエチレンを、担持された有機金属触媒の触媒作用的な量と接触させることにより行われることができる。所望に応じて、重合反応が液相中の、例えば粒子形(スラリ)での反応体を用いて、又は溶液法を用いて行われる場合、不活性有機溶媒を希釈剤として及び材料の取り扱いを容易にするために使用することができる。その反応はまた、例えば溶媒が不存在下に、しかし所望に応じて窒素のような不活性ガスの存在下に流動床装置中において、蒸気相中で反応体を用いて行われることができる。
【0157】
重合反応は、操作圧力、オレフィン単量体の圧力、そして用いられる特定の触媒及びその濃度に大部分依存して、約30℃以下から約200℃以上までの温度で行われる。当然、選ばれる操作温度が重合体の分子量を調節するにあたっての決定的な要因であるので、その選ばれる操作温度は所望の重合体メルトインデックスによりまた左右される。典型的には、使用される温度は、慣用のスラリ、即ち“粒子形性”法において約30℃〜約100℃、又は“溶液形成”法において100℃〜150℃である。流動床法のために、約70℃〜110℃の温度を使用することができる。
【0158】
重合反応において使用されるべき圧力は、高分子量重合体への単量体(1種又は複数種)の重合を開始させるために十分な任意の圧力であることができる。それ故、その圧力は希釈剤として不活性ガスを用いての、大気圧以下の圧力から、約30,000psig以上までの超大気圧の範囲、例えば大気圧(0psig)から約1000psigの範囲であることができる。一般原則として、20psig〜800psigの圧力が望ましい。
【0159】
この発明の溶液又はスラリ法の態様において使用されるべき不活性有機溶媒媒体の選択は非常に重要であるというものではないが、しかしその溶媒は担持された有機金属触媒及び生成されたオレフィン重合体に不活性であるべきであり、そして使用される反応温度で安定であるべきである。しかしながら、その不活性有機溶媒媒体がまた、生成されるべき重合体のための溶媒として働くことは、必須ではない。そのような目的のために適用できる不活性有機溶媒の中で、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソオクタン、精製ケロシン、等のような分子当たり約3〜12個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジメチルシクロペンタン及びメチルシクロヘキサンのような分子当たり約5〜12個の炭素原子を有する飽和脂環式炭化水素類、及びベンゼン、トルエン、キシレン、等のような分子当たり約6〜12個の炭素原子を有する芳香族炭化水素類を挙げることができる。特に望ましい溶媒媒体はシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンである。
【0160】
生成される重合体の分子量を減少させるために(即ちいっそう高いメルトインデックス、MIを提供するために)、重合反応帯域中に水素を導入することができる。水素を用いる場合の水素の分圧は、5〜100psigの範囲内、例えば25〜75psigであることができる。本発明に従って生成される重合体のメルトインデックスは約0.1〜約70又はそれよりもずっと高くまで、の範囲であることができる。
【0161】
粒子形、溶液及び流動床重合装置の例を包含する適当な重合条件のさらに詳細な記載は、1973年1月9日に与えられたKarapinkaの米国特許第3,709,853号及び1978年4月25日に与えられたKarol、等の米国特許第4,806,408号において見い出される。これらの特許の両方を参照することにより本明細書に組み入れる。
【0162】
水素処理
SSZ−74は、水素処理用触媒において有用である。水素処理中に、炭化水素質供給物中に存在する酸素、硫黄及び窒素は低い水準に減少される。供給物中に存在する場合の芳香族類及びオレフィン類はまた、飽和されたそれらの二重結合を有することができる。或る場合において、水素処理用触媒及び水素処理条件は、(典型的には燃料として有用な)大部分脱硫された生成物の収量を減少させる可能性がある分解反応を最少にするように選ばれる。
【0163】
水素処理条件は、400〜900°F(204〜482℃)、例えば650〜850°F(343〜454℃)の反応温度;500〜5000psig(3.5〜34.6Mpa)、例えば1000〜3000psig(7.0〜20.8MPa)の圧力;0.5/時間〜20/時間(v/v)の供給速度(LHSV);及び液体炭化水素供給物のバレル当たり300〜2000scfの全体的水素消費(53.4〜356m/m供給物)を典型的に包含する。水素処理用触媒は、典型的にはこの発明の分子ふるい上に担持された、第VI族金属又はその化合物と、第VIII族金属又はその化合物との複合物である。典型的にはそのような水素処理用触媒は予め硫化されている。
【0164】
炭化水素供給物を水素処理するために有用な触媒は、1982年8月31日にMayer、等に与えられた米国特許第4,347,121号及び1989年3月7日にChester、等に与えられた米国特許第4,810,357号(この両方の特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。適当な触媒は、Fe、Co、Ni、Pt又はPdのような第VIII族からの貴金属及び/又はCr、Mo、Sn又はWのような第VI族金属を包含する。第VIII族金属と第VI族金属との組み合わせの例はNi−Mo又はNi−Snを包含する。他の適当な触媒は、1979年6月5日にIwao、等に与えられた米国特許第4,157,294号及び1975年9月9日にFischer、等に与えられた米国特許第3,904,513号に記載されている。1974年12月3日にStrangeland、等に与えられた米国特許3,852,207号は適当な貴金属触媒及び穏やかな水素処理条件を記載している。これらの特許の内容を参照することにより本明細書に組み入れる。
【0165】
触媒中の水素化成分(1種又は複数種)の量は、重量によるパーセンテージが硫化前の触媒の重量に基づいている、全触媒の100重量部当たり、金属酸化物(1種又は複数種)として計算して、適当には第VIII族成分(1種又は複数種)の約0.5重量%〜約10重量%の範囲、及び第VI族金属成分(1種又は複数種)の5重量%〜約25重量%の範囲にある。触媒中の水素化成分(1種又は複数種)は酸化物形及び/又は硫化物形であることができる。
【0166】
水素化
不飽和炭化水素類を含有する炭化水素供給物の水素化に触媒作用するために触媒中にSSZ−74を使用することができる。不飽和炭化水素類は、オレフィン類、ジェン類、ポリエン類、芳香族化合物、等を含むことができる。
【0167】
SSZ−74を含む触媒の存在下に、不飽和炭化水素類を含有する炭化水素供給物を水素と接触させることにより、水素化を成し遂げることができる。その触媒はまた、第VIB族及び第VIII族の金属の塩類、錯体類及び溶液を包含する、第IVB族及び第VIII族の1種以上の金属を含有することができる。これらの触媒作用的に活性な金属に言及する場合、元素状態で、又は酸化物、硫化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、等のような或る形で、そのような金属又は金属類を包含することが意図される。そのような金属の例は、金属が白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム又はそれらの組み合わせからなる群、あるいはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、金属類、塩類又は錯体類を包含する。
【0168】
触媒の水素化成分(即ち上記金属)は、触媒の水素化機能を提供するために有効な量、例えば0.05〜25重量%の範囲で存在する。
温度、圧力、空間速度、接触時間、等のような水素化条件は当業界に周知である。
【0169】
窒素の酸化物の還元
ガス流中の窒素の酸化物の接触還元のためにSSZ−74を使用することができる。典型的には、そのガス流はまた、酸素を含有し、しばしばその化学量論的過剰で含有する。また、分子ふるいは、その中に又はその上に、窒素酸化物の還元に触媒作用することができる金属又は金属イオン類を含有することができる。そのような金属又は金属イオン類の例は、コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン,パラジウム、ロジウム及びそれらの混合物を包含する。
【0170】
ゼオライトの存在下に窒素の酸化物の接触還元のためのそのような方法の1例は、1981年10月27日にRitscher、等に与えられた米国特許第4,297,328号(この特許を参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。そこでは、その触媒作用方法は、内燃機関からの排気ガスのような、ガス流中に含有する一酸化炭素及び炭化水素の燃焼、そして窒素の酸化物の接触還元である。使用されるゼオライトは、そのゼオライト内に又はその上に触媒性銅金属又は銅イオンの有効な量を与えるように十分に金属イオン交換されているか、ドーピングされているか、又は装入されている。さらに、その方法は、過剰の酸化剤、例えば酸素中において行われる。
【0171】
部分酸化
アルコール類及びエポキシド類のような高い価値の生成物への、アルカン類及びアルケン類のような低い価値の炭化水素の部分酸化は、市場で大きな関心を持たれていることである。これらの酸化生成物は、そのままで価値があるばかりでなく、製薬品及び殺虫剤を含む特定の化学製品のための中間体としてもまた価値がある。
【0172】
1983年10月18日にEsposito、等に与えられた米国特許第4,410,510号は、全シリカZSM−5分子ふるいのチタン含有類似体を開示している。(“TS−1”として知られている)この物質は、広い範囲の部分酸化化学反応、例えばフェノール及び過酸化水素(H)からのカテコール及びヒドロキノンの生成、プロピレンからのプロピレンオキシドの製造及びシクロヘキサノンからのシクロヘキサノンオキシムの製造に触媒作用するために有用であることが発見された。さらにアルコール類及びケトン類を形成するためにアルカン類と水性Hとの反応に触媒作用するためにTS−1を使用することができる(Huybrechts D.R.C.等によるNature 1990,345第240頁〜第242頁、及びTatsumi,T.等によるJ.C.S.Chem.Commun.1990,第476頁〜第477頁を参照)。
【0173】
TS−1は、市場での触媒としてそれを魅力的なものとしている、その触媒的能力以外の、多くの顕著な特徴を有している。最も重要なことには、それが固体であることである。これは、簡単な、費用がかからない濾過により、反応体及び生成物(典型的には液体)からの容易な分離を可能にする。さらに、この固体は高い熱安定性及び非常に長い寿命を有する。適当な温度(550℃)での空気中でのカ焼は、その材料をその最初の触媒能力に戻す。TS−1は、穏やかな温度(<100℃)及び圧力(1気圧)で最良の性能を果たす。TS−1により触媒作用される反応のために使用される酸化剤は、水性Hであり、このことは水性Hが比較的に安価であり、そしてその副生成物が水であるので重要である。したがって、市場及び環境の両方の観点から、その酸化剤の選択か望ましい。
【0174】
TS−1に基づく触媒システムは、多くの有用な特徴を有する一方で、それは1つの重大な欠点を有する。TS−1のゼオライト構造は、およそ5.5Åの細孔直径を造りだす(10−員環又は単に“10環”と呼ばれる)10個の珪素原子のほぼ円形の環により形成される細孔の規則正しいシステムを含む。この小さい寸法は5.5Åより大きい分子の排除を生ずる。触媒作用的に活性な部位は、ゼオライトの細孔内に位置しているので、細孔からの分子の何らかの排除は貧弱な触媒活性を生ずる。
【0175】
酸化チタンを含有するSSZ−74(Ti−SSZ−74)は、酸化反応において、特に炭化水素の酸化において触媒として有用である。そのような反応の例は、オレフィン類のエポキシ化、アルカン類の酸化、硫黄含有化合物の酸化、窒素含有化合物の酸化又は燐含有化合物の酸化を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0176】
使用されるTi−SSZ−74触媒の量は重要ではないが、しかし実際的に短い時間期間において所望の酸化反応を実質的に成し遂げるように十分であるべきである(即ち、触媒作用的に有効な量であるべきである)。触媒の最適な量は、反応温度、基質(substrate)の反応性及び濃度、過酸化水素濃度、有機溶媒のタイプ及び濃度ならびに触媒の活性度を包含する多くの要因により左右されるだろう。しかしながら、典型的には触媒の量は基質のモル当たり約0.001〜10グラムであろう。
典型的にはTi−SSZ−74は触媒として使用する前に熱的に処理される(カ焼される)。
【0177】
この発明の酸化方法において使用される酸化剤は過酸化水素(H)又は過酸化水素前駆体(即ち酸化反応条件下に過酸化水素を生成するか又は遊離することができる化合物)のような過酸化水素源である。
【0178】
基質(substrate)の量に対しての過酸化水素の量は重要ではないが、しかし基質の少なくとも幾らかの酸化を起こさせるのに十分でなければならない。典型的には、過酸化水素の、基質に対するモル比は、約100:1〜約1:100、例えば10:1〜約1:10である。基質が1つより多くの炭素−炭素二重結合を含有するオレフィンである場合、追加の過酸化水素を必要とするだろう。理論的に、1当量の過酸化水素は、モノ−不飽和基質の1当量を酸化するのに必要とされるが、しかしエポキシドへの選択性を最適するために1反応体の過剰を使用することが望ましいだろう。特に、過酸化水素に対しての中位(moderte)ないしは大過剰の(例えば50〜200%)のオレフィンの使用が、或る基質のために有利であろう。
【0179】
所望ならば、Ti−SSZ−74以外の反応体を溶解させて、より良好な温度制御を得るために、又は酸化速度及び選択性に好ましく影響させるために、酸化反応の間に溶媒を追加的に存在させることができる。溶媒は、存在する場合,全酸化反応混合物の1〜99重量%を占めることができ、そして望ましくは酸化反応温度でそれが液体であるように選ばれる。約50℃〜約150℃の、大気圧力での沸点を有する有機化合物は使用のために一般に望ましい。過剰の炭化水素は溶媒又は希釈剤として役に立つだろう。他の適当な溶媒の例示的例は、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ブチルエーテル)、ニトリル類(例えばアセトニトリル)、脂肪族及び芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、及びアルコール類(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、アルファ−メチルベンジルアルコール、シクロヘキサノール)を包含するが、しかしそれらに限定されない。1つより多くのタイプの溶媒を使用できる。溶媒又は希釈剤として水をまた使用できる。
【0180】
反応温度は重要ではないが、しかし理にかなった短い時間期間内で基質の実質的な転換を完成させるために十分であるべきである。一貫した合理的な選択度で、できるだけ高い過酸化水素転換、典型的には少なくとも約50%、例えば少なくとも約90%又は少なくとも約95%の転換を成し遂げるように反応を行うのが一般的に有利である。最適な反応温度は、他の要因の中で、触媒活性、基質反応性、反応体濃度及び使用される溶媒のタイプにより影響されるだろうが、しかし典型的には約0℃〜約150℃(例えば約25℃〜約120℃)の範囲にあるだろう。約1分〜約48時間(例えば約10分〜約8時間)の反応又は滞留時間が、典型的には上記可変事項に依存して適当であろう。大気圧以下の圧力を使用することができるけれども、反応は典型的には大気圧で、又は特に基質の沸点が酸化反応温度よりも低い場合には高められた圧力(典型的には1〜100気圧)で行われる。一般に、液相混合物として反応成分を維持するために十分に、反応容器を加圧することが望ましい。ほとんど(50%以上)の基質は、液相中で存在するのが望ましい。
【0181】
この発明の酸化方法は、固定床、移動床、流動床、かき混ぜられたスラリ又はCSTR反応器のような任意の適当なタイプの反応器又は装置を用いて、回分式、連続式又は半連続式様式で行われることができる。反応体は、一度に又は続けて、全てを一緒にすることができる。例えば、過酸化水素又は過酸化水素前駆体を、反応帯域に漸増的に加えることができる。過酸化水素はまた、酸化を行う同じ反応帯域内でその場で生成させることができる。
【0182】
所望の程度の転換まで酸化がいったん行われたならば、分別蒸留、抽出蒸留、液−液抽出、結晶化、等のような任意の適当な技術を用いて反応混合物から酸化生成物を分離且つ回収することができる。
【0183】
オレフィンエポキシ化
Ti−SSZ−74が触媒として有用である酸化反応の1つはオレフィン類のエポキシ化である。この発明の方法においてエポキシ化されるオレフィン基質は少なくとも1つのエチレン不飽和官能基(即ち、炭素−炭素二重結合)を有する任意の有機化合物であることができ、そして環式、分枝又は直鎖オレフィンであることができる。オレフィンはアリール基(例えばフェニル、ナフチル)を含有することができる。典型的にはオレフィンは、特性において脂肪族であり、そして2〜約20個の炭素原子を含有する。軽質(低沸騰)C〜C10モノオレフィン類の使用が特に有利である。
【0184】
1つより多くの炭素−炭素二重結合がオレフィン類に存在してもよく、即ち、ジェン類、トリエン類及び他の多不飽和基質を使用できる。二重結合はオレフィンにおいての末端又は内部位置にあることができ、又は(例えばシクロオクテンにおいてのように)環式構造の部分を交互に形成することができる。
適当な基質の他の例は、不飽和脂肪酸又はエステル類のような脂肪酸誘導体を包含する。
【0185】
オレフィンは、ハロゲン化物、カルボン酸、エーテル、ヒドロキシ、チオール、ニトロ、シアノ、ケトン、アシル、エステル、酸無水物、アミノ、等のような、炭化水素置換基以外の置換基を含有することができる。
【0186】
この発明の方法において使用するために適当な例示的オレフィン類は、エチレン、プロピレン、ブテン類(即ち、1,2−ブテン、2,3−ブテン、イソブチレン)、ブタジェン、ペンテン類、イソプレン、1−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−ノネン、1−テトラデセン、ペンタミルセン、カンフェン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、プロピレンの三量体及び四量体、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジェン、ジシクロペンタジェン、メチレンシクロプロパン、メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、メタリルケトン(methallyl ketone)、塩化アリル、ジクロロブテン類、アリルアルコール、炭酸アリル、酢酸アリル、アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、そしてオレイン酸、リノレン酸、リノール酸、エルカ酸、パルミトレイン酸及びリシノレイン酸のような不飽和脂肪酸、及び(モノ−、ジ−、及びトリグリセリドエステル類を包含する)それらのエステル類、等を包含する。
【0187】
エポキシ化のために特に有用であるオレフィン類は、一般構造式:
[化3]
C=CR
(式中、R、R、R及びRは、同じであるか又は異なっており、そして水素及びC〜C18アルキルからなる群から選ばれる)を有するC〜C20オレフィン類である。
【0188】
オレフィン類の混合物をエポキシ化することができ、そしてエポキシド類の得られた混合物を、混合された形で使用するか又は異なる成分エポキシドに分離する。
【0189】
本発明は、Ti−SSZ−74の触媒作用的に有効な量の存在下に、炭化水素類を、前記炭化水素を酸化するために有効な時間及び温度で、過酸化水素と接触させることを含む、炭化水素類を酸化するための方法をさらに提供する。
【0190】
アシル化
触媒の存在下に下記芳香族基質をアシル化剤と接触させることにより、芳香族基質ArH(但し、nは少なくとも1である)をアシル化させるための触媒において本発明の分子ふるいを使用することができる。アシル化反応の生成物は、ArHn−1COR(但し、Rは有機基である)である。
【0191】
芳香族基質の例は、ベンゼン、トルエン、アニソール及び2−ナフトールを包含するが、しかしそれらに限定されない。アシル化剤の例は、カルボン酸誘導体、カルボン酸類、酸無水物類、エステル類及びハロゲン化アシル類を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0192】
反応条件は当業界に知られている(例えば2003年10月7日にPoliakoff、等に与えられた米国特許第6,630,606号、2002年10月1日にChoudhary、等に与えられた米国特許第6,459,000号及び2003年4月15日にChoudhary、等に与えられた米国特許第6,548,722号(これらの特許の全てをそれらの全体において参照することにより本明細書に組み入れる)を参照)。典型的にはそのアシル化反応は約0.03〜約0.5の、触媒の、アシル化剤に対する重量比、約1.0〜約20の芳香族基質の、アシル化剤に対するモル比、約20℃〜約200℃の範囲の反応温度、約1気圧〜約5気圧の範囲の反応圧力、及び約0.05時間〜約20時間の反応時間を用いて行われる。
【0193】
含酸素化合物転換
本発明は、アルコール類及びエーテル類を含む1種以上の含酸素化合物(oxygenate)を含む供給原料を、軽質オレフィン類、即ちC、C及び/又はCオレフィン類を含有する炭化水素生成物に接触転換するための方法を含む。軽質オレフィン類を生成するために有効な処理条件で、供給原料を本発明の分子ふるいと接触させる。
【0194】
本明細書において用いられるものとして“含酸素化合物(oxygenate)”という用語は、アルコール類、エーテル類及びそれらの混合物のような化合物を称する。含酸素化合物の例は、メタノール及びジメチルエーテルを包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0195】
全ての供給物及び希釈剤成分のモルの総数に基づいて約1〜約99モル%の量で含酸素化合物供給物において存在することができる1種以上の希釈剤の存在下に、本発明の方法を行うことができる。希釈剤は、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、(メタン等のような)炭化水素類、芳香族化合物又はそれらの混合物を包含するが、しかしそれらに限定されない。米国特許第4,861,938号及び同第4,677,242号(これらの特許をそれらの全体において参照することにより本明細書に組み入れる)は、軽質オレフィン類、特にエチレンの生成に対する触媒選択性を維持するために希釈剤の使用を強調している。
【0196】
含酸素化合物転換は、炭化水素を生成するために有効な処理条件、即ち、有効な温度、圧力、重量時間空間速度(WHSV)、及び随意的に有効な量の希釈剤で、反応帯域で蒸気相中で、含酸素化合物供給原料を、この発明の分子ふるいと接触させるように、蒸気相中で行われるのが望ましい。その方法は所望の軽質オレフィン類を生成するのに十分な時間期間にわたって行われる。一般に、所望の生成物を生成するために使用される滞留時間は、数秒、ないしはかなりの時間で変化させることができる。滞留時間は、反応温度、分子ふるい触媒、WHSV、相(液相又は蒸気相)及び処理計画特性により有意義な程度に決められることが容易に認識されるだろう。含酸素化合物供給原料流速は、オレフィン生成に影響する。供給原料流速を増大させると、WHSVが増大し、そしてパラフィン生成に対してオレフィン生成の形成を高める。しかしながら、パラフィン生成に対しての高められたオレフィンの生成は、炭化水素類への含酸素化合物の減少した転換により補われる。
【0197】
含酸素化合物転換方法は自己発生圧力を包含する広い範囲の圧力にわたって有効に行われる。約0.01気圧(0.1kPa)〜約1000気圧(101.3kPa)の圧力で、最適な量の生成物が全ての圧力で必ずしも形成されないけれども、軽質オレフィン類の形成に影響するだろう。典型的な圧力は約0.01気圧(0.1kPa)〜約100気圧(10.13kPa)、例えば約1〜約10気圧(101.3kPa〜1.013Mpa)である。本明細書において言及している圧力は、存在する場合の希釈剤を除外しており、そしてその圧力が含酸素化合物に関連するときは、供給原料の分圧に言及している。
【0198】
含酸素化合物転換方法において使用することができる温度は,分子ふるい触媒に少なくとも1部分依存して、広い範囲にわたって変化することができる。一般にその方法を、約200℃〜約700℃の有効な温度で行うことができる。該温度範囲の低い方の末端で、従って反応のより低い速度で、所望の軽質オレフィン類の形成は低くなる可能性がある。その範囲の上方末端で、その方法は最適な量の軽質オレフィンを形成しない可能性があり、そして触媒の不活性化が迅速である可能性がある。
【0199】
分子ふるい触媒は、軽質オレフィン類への含酸素化合物の所望の転換を促進するために有効な量で触媒が存在する固体粒子中に導入されることができる。1つの面において、固体粒子は、触媒作用的に有効な量の触媒、そして固体粒子に、1つの所望の性質又は複数の所望の性質、例えば所望の触媒希釈、機械的強度、等を与えるために結合剤材料、充てん剤材料及びそれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のマトリックス材料を含む。そのようなマトリッツス材料は、しばしば或る程度まで種類において多孔質であり、そして所望の反応を促進するために有効なものであってもよく、又はそうでなくともよい。充てん剤及び結合剤材料は、例えば金属酸化物、クレー、シリカ類、アルミナ類、シリカ−アルミナ類、シリカ−マグネシア類、シリカ−ジルコニア類、シリカ−トリア類、等のような合成又は自然に存在する物質を包含する。マトリックス材料が、触媒組成物中に包含される場合、分子ふるいは望ましくは全組成物の約1〜99重量%、例えば約5〜90重量%又は約10〜80重量%を占める。
【0200】
ガス分離
ガス類を分離するために本発明の分子ふるいを使用することができる。例えば天然ガスから二酸化炭素を分離するためにそれを使用することができる。典型的にはガス類を分離するために用いられる膜においての成分としてその分子ふるいを使用する。そのような膜の例は、2003年1月21日にKulkarni、等に与えられた米国特許第6,508,860号(その特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0201】
アミン類の合成
メチルアミン又はジメチルアミンを造るために触媒において本発明の分子ふるいを使用することができる。ジメチルアミンは一般に、シリカ−アルミナ触媒の存在下にメタノール(及び/又はジメチルエーテル)とアンモニアとの連続反応により工業的量で製造される。典型的には、300℃〜500℃の範囲の温度及び高められた圧力で蒸気相においてそれらの反応体を一緒にする。そのような方法は、1988年4月12日にAbrams、等に与えられた米国特許第4,737,592号(この特許をその全体において参照するとにより本明細書に組み入れる)に開示されている。
【0202】
その触媒はその酸形で使用される。分子ふるいの酸形は種々の技術により調製されることができる。望ましくは、ジメチルアミンを製造するために使用される分子ふるいは、水素形にあるか、又はそれにイオン交換される、Na、K、Rb又はCsのよなアルカリ又はアルカリ土類金属を有する。
【0203】
本発明の方法は、約0.2〜約1.5、例えば約0.5〜約1.2の炭素/窒素(C/N)比を与えるのに十分な量で、メタノール、ジメチルエーテル又はそれらの混合物とアンモニアとを反応させることを包含する。その反応は約250℃〜約450℃、例えば約300℃〜約400℃の温度で行われる。反応圧力は約7〜7000kPa(1〜1000psi)、例えば約70〜3000kPa(10〜500psi)で変化することができる。典型的には約0.01〜80時間、例えば0.10〜1.5時間のメタノール及び/又はジメチルエーテル空間時間を使用する。この空間時間は、反応器中に導入されるメタノール/ジメチルエーテルの質量流速により割り算された触媒の質量として計算される。
【0204】
エンジン排気(常温始動放出)の処理
ガソリン及び燃料油のような炭化水素質燃料の燃焼から生ずるガス廃棄物は、燃焼又は不完全燃焼の生成物として一酸化炭素、炭化水素類、窒素酸化物類を含み、そして大気の汚染に関連して重大な健康問題を有する。定置内燃機関、工業炉、等のような他の炭素質燃料燃焼源からの排気ガスが空気汚染の実質的な一因となる一方で、自動車エンジンからの排気ガスが汚染の主要な根源である。これらの健康問題の重大な関連の故、環境保護局(EPA)は、自動車が放出する可能性がある一酸化炭素、炭化水素類及び窒素酸化物類の量に対しての厳重な制御を公布した。これらの制御の用具手段は、自動車から放出される汚染物質の量を減少させるために触媒作用転換装置の使用を生じた。
【0205】
一酸化炭素、炭化水素及び窒素酸化物汚染物質の同時転換を達成させるために、エンジン排気システム中の酸素センサーからのフィードバックシグナルに応答する機能を果たす空気−対−燃料比制御手段と組み合わせて触媒を使用することが慣例となってきた。これら三成分制御触媒は、それらが約300℃の操作温度に到達した後に完全に十分に働くけれども、より低い温度でそれらは実質的な量の汚染物質を転換させることができない。これが意味することは、エンジン、特に自動車エンジンを始動させたときに、その三成分制御触媒は、炭化水素類及び他の汚染物質を無害な化合物に転換させることができないことである。
【0206】
エンジンの常温始動の部分の間に、炭化水素を吸着させるために吸着剤床を使用してきた。その方法は、典型的には炭化水素燃料と共に使用されるけれども、本発明はまた、アルコール燃料供給エンジンからの排気流を処理するために、使用されることができる。吸着剤床は典型的には触媒の直前に置かれる。したがって排気流はまず吸着剤床を通って流れ、次に触媒中を通って流れる。吸着剤床は排気流中に存在する条件下、水上の炭化水素類を優先的に吸着する。或る量の時間の後に吸着剤床は、その床が排気流から炭化水素類を除去することがもはや不可能である温度(典型的に約150℃)に到達してしまう。即ち、炭化水素は吸着される代わりに吸着剤床から実際的に脱着される。これは吸着剤床を再生し、その結果、それは次の常温始動の間に炭化水素類を吸着することができる。
【0207】
先行技術は、常温始動エンジン操作の間の炭化水素放出を最少にするために吸着剤床の使用を取り扱う幾つかの参考文献を示している。1つのそのような参考文献は、吸着剤床が還元用触媒及び酸化用触媒の両方の後に置かれる米国特許第3,699,683号である。その特許権者は、排気ガス流が200℃より低い場合、ガス流を還元用触媒中に流し、次に酸化用触媒中に流し、最後に吸着剤床中に流し、それにより炭化水素類を吸着剤床上に吸着させることを開示している。温度が200℃より高くに進んだとき、酸化触媒から放出されるガス流を大部分と小部分とに分割し、大部分を大気中に直接放出し、そして小部分を吸着剤床中に通過させ、それにより燃焼されていない炭化水素を脱着させ、次に脱着された非燃焼炭化水素を含有するこの排気流の得られた小部分をエンジン中に流し、そこでそれらを燃焼させる。
【0208】
他の参考文献は排気ガス流中に含有している一酸化炭素と炭化水素とを酸化するための方法を教示している米国特許2,942,932号である。この特許に開示されている方法は一酸化炭素及び炭化水素を吸着する吸着帯域中に、800°Fより低い排気流を流し、次にこの吸着帯域から得られた流れを酸化帯域に通過させることからなる。排気ガス流の温度が約800°Fに到達したとき、排気流を吸着帯域にもはや通過させないが、しかし過剰の空気の添加と共に酸化帯域に直接通過させる。
【0209】
1992年1月7日にDunneに与えられた米国特許第5,078,979号(この特許をその全体において参照することにより本明細書に組み入れる)は、分子ふるい吸着剤床を用いて、常温始動放出を防止するためにエンジンからの排気ガス流を処理することを開示している。分子ふるいの例は、ファウジァサイト(faujasites)、クリノプチロライト(clinoptilolites)、モルデン沸石、菱沸石、シリカライト(silicalite)、ゼオライトY、超安定ゼオライトYを包含する。
【0210】
カナダ特許第1,205,980号は、アルコール燃料供給自動車からの排気放出を減少させる方法を開示している。この方法は、冷温エンジン始動排気ガスを、ゼオライト粒子の床中に送り、次に酸化触媒上に送り、次にガスを大気中に放出させることからなる。排気ガス流が温かくなったとき、それを吸着床上に、次に酸化床上に連続的に通過させる。
【0211】
記載したように、この発明はエンジン排気流を処理する方法に関し、特にエンジンの常温始動運転中の放出を最少にするための方法に関する。エンジンは非燃焼又は熱的に分解された炭化水素類又は同様な有機化合物を包含する有害な成分又は汚染物質を含有する排気ガス流を生成する任意の内燃機関又は外燃機関からなる。排気ガス中に通常存在する他の有害な成分は、窒素酸化物及び一酸化炭素を包含する。エンジンに炭化水素質燃料により燃料供給することができる。この明細書及び特許請求の範囲において用いられるものとして“炭化水素質燃料(hydrocarbonaceous fuel)”という用語は、炭化水素類、アルコール類及びそれらの混合物を包含する。エンジンに燃料供給するために用いられることができる炭化水素類の例は、ガソリン又はディーゼル燃料を構成している炭化水素類の混合物である。エンジンに燃料供給するために使用できるアルコール類は、エタノール及びメタノールを包含する。アルコール類の混合物、及びアルコール類と炭化水素類との混合物をまた使用できる。エンジンは、自動車、トラック又はバスのエンジン、ディーゼルエンジン、等のような、ジエットエンジン、ガスタービン、内燃機関であることができる。この発明の方法は、炭化水素、アルコール、炭化水素−アルコール混合物、自動車に設けられた内燃機関のために特に適している。便宜上、記載において本発明を例示するための燃料として炭化水素を使用する。この後の記載において炭化水素の使用は、本発明を、炭化水素燃料供給エンジンに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0212】
エンジンを始動させたとき、それはエンジン排気ガス流中に比較的に高い濃度の炭化水素類、ならびに他の汚染物質を生成する。本明細書において、汚染物質は、排気流中に見い出される任意の非燃焼燃料成分及び燃焼副生成物に総合的に言及するために使用される。例えば、燃料が炭化水素燃料である場合、炭化水素類、窒素酸化物類、一酸化炭素及び他の燃焼副生成物がエンジン排気ガス流中に見い出されるだろう。このエンジン排気流の温度は比較的に低く、一般に500℃より低く、典型的には200℃〜400℃の範囲にある。このエンジンの排気流は、エンジン操作の初期の期間中、典型的には常温のエンジンの始動後の最初の30〜120秒間に上記特性を有する。エンジン排気流は典型的に、容量により約500〜1000ppmの炭化水素を含有するだろう。
【0213】
処理されるべきエンジン排気ガス流を、分子ふるいSSZ−74を含む分子ふるい床上に流して第1排気流を生成する。分子ふるいSSZ−74は本明細書に記載されている。分子ふるい床から放出される該第1排気流を、今度は触媒上に流して該第1排気流に含有されている汚染物質を無害な成分に転換し、そして処理済排気流を得、これは大気中に放出される。大気中に放出する前に、処理済排気流を、マフラー又は当業界に周知の他の消音装置中に流すことができることが理解されよう。
【0214】
汚染物質を無害な成分に転換するために用いられる触媒は、それが第1排気流中に存在する全ての残留炭化水素類を同時に酸化して二酸化炭素と水とにし、全ての残留一酸化炭素を酸化して二酸化炭素にし、そして全ての残留窒素酸化物を還元して窒素と酸素にすることができるので、当業界において通常、三成分制御触媒(three−component control catalyst)と称される。或る場合において、例えばアルコールを燃料として使用する場合、窒素酸化物を窒素及び酸素に転換するために触媒を必要としない。この場合において触媒は酸化触媒と呼ばれる。エンジン排気流及び第1排気流の比較的に低い温度の故、この触媒は非常に高い効率では機能を果たさなく、それにより分子ふるい床を必要とする。
【0215】
分子ふるい床が十分な温度、典型的には約150〜200℃に到達したときに、その床に吸着される汚染物質は脱着し始め、そして第1排気流により触媒上に運ばれる。この時点で、触媒はその操作温度に到達しており、それ故、汚染物質を無害な成分に十分に転換することができる。
【0216】
本発明において使用される吸着剤床を、粒状形で都合よく使用することができるか、又は吸着剤を固体モノリス担体上に付着させることができる。粒状形を所望する場合、吸着剤は、丸形、ペレット、顆粒、リング、球形、等のような形に造ることができる。モノリス形の使用において通常は吸着剤のための構造的支持体を提供する不活性担体材料上に吸着させた薄いフィルム又はコーティングとして吸着剤を使用することが最も都合がよい。不活性担体材料は、セラミック又は金属材料のような任意の耐火性材料であることができる。担体材料は吸着剤と非反応性であり、そしてそれが曝されるガスにより劣化しないことが望ましい。適当なセラミック材料の例は、シリマナイト、葉長石、菫青石、ムライト、ジルコンムライト、スポンジュメン(spondumene)、アルミナ−チタン酸塩、等包含する。さらに、この発明の範囲内にある金属材料は、酸化抵抗性であり、そして他の場合に高温に耐えることができる、米国特許第3,920,583号に開示されているような金属類及び合金類を包含する。
【0217】
担体材料を、複数の細孔又はガス流の方向に延びているチャネルを与える任意の硬質の一体的形状で最もよく使用することができる。その形状は蜂の巣形状であってもよい。蜂の巣構造を、一体形で又は多数のモジュールの配列としてのいずれかで有利に使用することができる。蜂の巣構造は通常、ガス流が一般にその蜂の巣構造の小室(セル)又はチャネルと同じ方向にあるように配向される。モノリス構造のさらに詳細な説明については米国特許第3,785,998号及び同第3,767,453号を参照。
【0218】
当業界に周知の任意の都合のよい方法により、分子ふるいを担体上に付着させる。望ましい方法は、分子ふるいを用いてスラリを調製し、そしてモノリス蜂の巣担体を該スラリでコーティングすることを包含する。適当な量の分子ふるい及び結合剤を水と一緒にするような当業界に既知の手段によりスラリを調製することができる。次に、この混合物を、音波処理、ミリング、等の手段を用いてブレンドする。このスラリは、そのスラリ中に蜂の巣を浸し、チャネルから排出させるか又は吹き流すことにより過剰のスラリを除去し、そして約100℃に加熱することによりモノリス蜂の巣をコーティングするために用いられる。分子ふるいの所望の装入が達成されない場合、所望の装入を達成するために必要な多くの回数で上記の方法を繰り返すことができる。
【0219】
モノリス蜂の巣構造物上に分子ふるいを付着させる代わりに、分子ふるいを取得し、そして当業界に知られている手段により、それをモノリス蜂の巣構造に形成することができる。
【0220】
吸着剤は、随意的にその上に分散された1種以上の触媒金属を含有することができる。吸着剤上に分散させることができる金属は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びそれらの混合物からなる貴金属類である。所望の貴金属を、当業界に周知の任意の適当な方法で、支持体として働く吸着剤上に付着させることができる。吸着剤支持体上に貴金属を分散させる方法の1つの例は、吸着支持体を所望の貴金属(1種又は複数種)の分解可能な化合物の水溶液で吸着剤支持体に含浸させ、その上に貴金属化合物を分散させて有する吸着剤を乾燥させ、次に約1時間〜約4時間の時間にわたって約400℃〜約500℃の温度で空気中でカ焼させることを包含する。分解可能な化合物とは、空気中で加熱した際に金属又は金属酸化物を提供する化合物を意味する。使用できる分解可能な化合物の例は、米国特許第4,791,091号(この特許を参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている。分解可能な化合物の例は、クロロ白金酸、三塩化ロジウム、クロロパラジウム酸(chloropalladic acid)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸(hexachloroiridate(IV)acid)及びヘキサクロロルテニウム酸塩(hexachlororuthenate)である。貴金属は吸着剤支持体の約0.01〜約4重量%の範囲の量で存在するのが典型的である。特に、白金及びパラジウムの場合において、その範囲は0.1〜4重量%である一方、ロジウム及びルテニウムの場合においてその範囲は約0.01〜2重量%である。
【0221】
これらの触媒金属は、炭化水素及び一酸化炭素を酸化し、そして窒素酸化物成分を還元して無害な生成物にすることができる。したがって、吸着剤床は吸着剤として、そして触媒として両方の働きをすることができる。
【0222】
この発明において使用する触媒は、当業界に周知の任意の三成分制御触媒又は酸化触媒から選ばれる。触媒の例は、米国特許第4,528,279号,同第4,791,091号、同第4,760,044号、同第4,868,148号及び同第4,868,149号(これらの特許を全て参照することにより本明細書に組み入れる)に記載されている触媒である。当業界に周知の望ましい触媒は、白金及びロジウム、そして随意的にパラジウムを含有する触媒である一方、酸化触媒は通常ロジウムを含有しない。酸化触媒は通常白金及び/又はパラジウム金属を含有する。これらの触媒はまた、バリウム、セリウム、ランタン、ニッケル及び鉄のような促進剤及び安定剤を含有することができる。貴金属促進剤及び安定剤は、通常アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミノ珪酸塩及びそれらの混合物のような支持体上に付着され、その支持体はアルミナが望ましい。触媒は粒子形で都合よく用いられることができ、あるいは触媒複合物が固体モノリス担体上に付着されることができ、モノリス担体が望ましい。触媒の粒子形及びモノリス形は、上記に吸着剤について記載したようにして調製される。
吸着剤床において使用される分子ふるいはSSZ−74である。
【0223】
ベックマン転位
本発明はオキシム類からアミド類を調製するための方法に関する。本発明はさらに、ベックマン触媒作用転位としてまた知られている、イプシロン−カプロラクタム(カプロラクタム)のようなアミド類への、シクロヘキサノンオキシムのようなオキシム類の、触媒作用転換においてのSSZ−74の使用に関する。ベックマン転位を下(分子ふるい触媒の代わりに硫酸を使用する場合)に示す:
【化4】

【0224】
アミド類、特にカプロラクタムは、化学合成のための重要な中間体として、そしてポリアミド樹脂の製造のための原料として文献において知られている。
【0225】
カプロラクタムは硫酸又は発煙硫酸を用いて液相中でのシクロヘキサノンオキシム転位により工業的に生成される。転位生成物を、アンモニウムで中和して硫酸アンモニウムの同時形成を生じさせる。この技術は、廃棄処分、酸蒸気の存在による機器腐食、等の関連問題と共に硫酸の使用に結びついていた、高い量の硫酸アンモニウムの形成に結びついている多くの問題を有する。
【0226】
カプロラクタムへのシクロヘキサノンオキシムの触媒作用転位について文献において別の方法が提案され、その方法において、ほう酸の誘導体、ゼオライト類、非ゼオライト分子ふるい、固体燐酸、混合金属酸化物、等から選ばれた酸性質の固体を触媒として使用する。
【0227】
特に、ヨーロッパ特許第234,088号は、1〜12の“制約指数(Consraint index)”、少なくとも500の原子比Si/Al(少なくとも1000のSiO/Alモル比)、及び5マイクロ当量/g未満の外部酸官能性を有する、ZSM−5、ZSM−11又はZSM−23のようなゼオライトタイプのアルミノ珪酸塩と接触させて、ガス状態にシクロヘキサノンオキシムを置くことを含む、カプロラクタムを製造する方法を記載している。
【0228】
John Wiley & Sons発行(1974)のD.W.Breckによる“ゼオライト分子ふるい類”において又は“Nature”381(1996)第295頁において記載されているように、ゼオライト類は、3〜10オングストロームの寸法を有するチャネルを有する規則正しい微細孔性の存在により特徴づけられる結晶性生成物である。或る特定のゼオライト構造において、約13オングストロームまでの大きな寸法を有する空隙が存在し得る。
【0229】
アミド類、特にカプロラクタムの製造のための他の方法を提供する目的で、SSZ−74を含む触媒を使用する新しい方法を今や見い出した。その故、本発明は、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む触媒と接触させて蒸気相中にオキシムを置くことを含む、オキシム類の触媒作用的転位を介してのアミド類の製造方法に関する。その分子ふるいは、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有することができる。
【0230】
ベックマン転位を介してオキシム類をアミド類に転換するための他の方法は、触媒中に結晶性ほう珪酸塩分子ふるいを使用する、1989年11月28日に、McMahonに与えられた米国特許第4,883,915号及び触媒中に中間細孔質(mesoporous)シリカ−アルミナを使用する、1999年8月24日にCarati、等に与えられた米国特許第5,942,613号に開示されている。この両方の特許をそれらの全体において参照することにより本明細書に組み入れる。
【0231】
本発明に従えば、望ましいアミドはイプシロン−カプロラクタム(カプロラクタム)であり、そして望ましいオキシムはシクロヘキサノンオキシム(CEOX)である。特に、シクロヘキサノンオキシムの触媒作用転位は、0.05〜10バールの圧力及び250℃〜500℃、例えば300℃〜450℃の温度で起こる。さらに特定的に、溶媒及び随意的に凝縮できないガスの存在下に、触媒を含有する反応器に、蒸気相でシクロヘキサノンオキシムを供給する。シクロヘキサノンオキシムを溶媒中に溶解し、次にこのようにして得られた混合物を蒸気化させ、そして反応器中に供給する。溶媒は、オキシム及びアミド、ならびに触媒に本質的に不活性であるべきである。有用な溶媒は、低沸騰炭化水素類、アルコール類及びエーテル類を包含するが、しかしそれらに限定されない。
【0232】
望ましい溶媒は、R−O−R(但し、RはC〜Cアルキル鎖であり、そしてRは水素原子又はRより小さいか又はRと等しい数の炭素原子を含有するアルキル鎖であることができる)のタイプのものである。これらの溶媒を、単独で又は互いに混合して、あるいはベンゼン又はトルエンのような芳香族炭化水素と一緒にして使用することができる。C〜Cアルキル鎖を有するアルコール類が特に望ましい。
【0233】
0.1〜50/時間、例えば0.5〜20/時間の、シクロヘキサノンオキシムのKg/触媒のKg/時間として表される、WHSV(重量時間空間速度)を与えるような、触媒に関しての重量比を用いて、シクロヘキサノンオキシムを転位反応器に供給する。
【0234】
触媒の劣化は、触媒の細孔を塞ぎ、そして触媒の活性部位を毒する有機残留物の形成に起因している。劣化過程はゆっくりとしており、そして操作条件、特に空間速度、溶媒、温度、供給物の組成により左右される。しかしながら、450℃〜600℃の温度で空気及び窒素の流れ中での処理による該残留物の燃焼により触媒活性を有効に修復させることができる。
【実施例】
【0235】
以下の例は本発明を示すが、しかし本発明を限定しない。
【0236】
例 1
ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンSDAの合成
50mlのアセトン中にN−メチルピロリジンの5ml(48ミリモル)を溶解した。1,6−ジブロモヘキサンの4.9グラム(20ミリモル)を加え、そして得られた混合物を室温で3日間かき混ぜた。固体が形成し、それを濾過により収集し、エーテルで洗浄し、そして真空オーブン中に保持した。次にOH形への交換のために3.71グラムの乾燥固体を18.7グラムの水及び9.57グラムのAG1−X8樹脂中に混合した。その交換を一夜行い、次に溶液を収集し、そして滴定した。
【0237】
例 2
全−シリカSSZ−74の合成
例1からの溶液の6.4グラム(3ミリモル)を、重さを計ったテフロン(登録商標)カップ中でオルト珪酸テトラエチルの1.26グラムと混合し、次に加水分解が起こるように数日間(フード中で)放置して蒸発させた。第2の反応を同じ方法で設定した。外観での乾燥まで蒸発させた後に、一方の反応に0.20グラムの水を加え、そして混合した。第2の反応に0.60グラムの水を加え、そして同じ処理を続けた。各々の反応混合物に約50%HFの0.125グラムを注意深く加え、プラスチックのヘラで内容物をかき混ぜ、そして厚いゲルが形成した。第1の場合において、ここでHO/SiO比はおよそ3.5であって、第2の場合においてその比は7.0であった。ブルーM(Blue M)対流加熱用オーブンに置かれた回転パル(Parr)反応器中で150℃に、そして43RPMで、それら物質を加熱した。反応物を冷却させ、6日期間開放し、結晶が形成されたかどうかを調べるために走査電子顕微鏡で少量を調べた。22日後に、両方の場合において結晶質物質が存在し、固体を(濾過により)収集し、多量の水で洗浄し、空気乾燥し、次にX線回折(XRD)により調べた。両方の場合において生成物はSSZ−74であった。
【0238】
例 3
SSZ−74のカ焼
例2においての両方の反応からの生成物を、数段階で空気中で595℃でカ焼して有機含有物を除去した。それらの物質は、安定であることが分かり、そしてXRDパターンは作成時のSSZ−74への関連性を示した。
【0239】
例 4
2,2−ジメチルブタンの吸着
次に、例3のカ焼物質を、炭化水素2,2−ジメチルブタンの取り込みについて試験した。この吸着物は、小さな細孔のゼオライト類(8−環門(8−ring portals))には入っていかず、そしてときにはZSM−5のような中間細孔ゼオライト類に入っていくのが妨げられる。SSZ−74は、吸着物の着実な漸次吸収を示す、(大きな細孔物質のYゼオライトとは対照的に)中間細孔物質のより特徴的なプロフィールを示した。
【0240】
脈動方式を用いて2,2−ジメチルブタン吸着物に3時間曝した後にSSZ−74は、約0.08cc/グラムを吸着することを示した。この値を、同じ実験条件下、時間において同じ点で0.07cc/グラムに近い値を与えるZSM−5ゼオライトについての分析と比較する。このことは、SSZ−74の細孔が少なくとも10−環であることを示すだろう。
【0241】
例 5
アルミナ珪酸塩SSZ−74の合成
以下の変更を除いて、例2の合成パラメーターを繰り返した:(1)Alの有効な寄与物質(contributor)としてYゼオライト材料LZ−210の0.04グラムを加えた;(2)合成のための初期HO/SiO比を5に調節した;(3)首尾の良いSSZ−74生成物の種晶を加えた;そして(4)反応を170℃で実施した。9日後に、完成し且つXRDにより分析したときにSSZ−74であった結晶性物質が存在した。次に、その固体を例3におけるようにしてカ焼した。
【0242】
例 6
制約指数
20〜40ペレット化及びメッシュの範囲で例5からの物質の0.12グラムをステンレス鋼反応器中に装入し、そして制約指数試験(Constraint Index test)(50/50のn−ヘキサン/3−メチルペンタン)において実施した。反応器中で1000°F近くに触媒を乾燥させた後に、通常の供給速度(8μl/分)を用い、そして試験を700°Fで実施した。ヘリウムの流れを使用した。流れ上10分で、各々の反応体のおよそ等しい量を用いて、供給物の30%近くが転換されつつあった。100分で触媒が汚染されて転換が半分になったとき、その選択度は変化しなかった。活性SSZ−74の細孔は大きさにおいて少なくとも中間であった。
【0243】
例 7
アルミノ珪酸塩SSZ−74の合成
SDA溶液の3ミリモル及びオルト珪酸テトラエチルの1.26グラム(6ミリモル)をパル(Parr)反応器のためのテフロン(登録商標)カップ中で一緒にした。その内容物を放置して反応させ、次に大部分の水、その次にエタノール副生成物を、数日間にわたってフード(hood)中で放置して蒸発させた。蒸発からいったんHO/SiO比が約5であったとき、0.04グラムのLZ−210ゼオライト(LZ−210は、幾分脱アルミニウム化を提供するように(NHSiFで処理されたYゼオライトである)を加えた。作成されたときの状態において2,3ミリグラムのSSZ−74の種晶を加えた。最後に50%HFの0.132グラムを加え、反応器を閉じ、そして6日間43RPMで170℃で加熱した。冷却された反応生成物のサンプルは、電子顕微鏡で結晶性物質を適切に示した。反応内容物を完成させ、そして乾燥させた。X線回折による分析は、生成物が分子ふるいSSZ−74であることを示した。
【0244】
サンプルを(空気中で595℃に)カ焼し、次にペレット化し、メッシュに(20〜40)かけ、そして標準の制約指数試験(Constraint index test)において実施した。700°Fで、1.1のCI値と共に初期転換は28%であった。流れ上の時間と共に、触媒は着実な不活性化を示した一方で、CI値は多くは変化しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】2つのX線回折パターンの比較を示し、上方のものはZSM−5であり、そして下方のものはSSZ−74である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する、結晶性分子ふるい。
【請求項2】
分子ふるいが、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、請求項1の分子ふるい。
【請求項3】
合成されたとき、且つ無水状態においてモル比に関して以下:
【表1】


(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム及びそれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1である場合に2であるかあるいはdはcが2である場合に3又は5であり、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価であり、Qはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンであり、そてFはフッ化物である)を含む組成を有する、結晶性分子ふるい。
【請求項4】
方法が、結晶化条件下、(1)酸化珪素の源、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物の源、(3)フッ化物イオン及び(4)ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンを含む構造指向剤を接触させることを含む、結晶性物質を調製する方法。
【請求項5】
結晶性物質が、酸化珪素、及びモル比に関して、以下:
【表2】


(但し、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びそれらの混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1である場合は2であり、bはaが2である場合は3であり、Mはアルカリ金属陽イオン、アルカリ土類金属陽イオン又はそれらの混合物であり、nはMの原子価であり、そしてQはヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−N−ピロリジニウム)二陽イオンである)を含む反応混合物から、調製される、請求項4の方法。
【請求項6】
反応混合物が
【表3】


を含む、請求項5の方法。
【請求項7】
炭化水素転換条件で、炭化水素質供給物を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、炭化水素類を転換するための方法。
【請求項8】
分子ふるいが、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム又はそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、請求項1の方法。
【請求項9】
分子ふるいが酸性度を実質的に有しない、請求項8の方法。
【請求項10】
方法が、水素化分解条件下、該触媒を炭化水素供給原料と接触させることを含む水素化分解方法である、請求項8の方法。
【請求項11】
方法が、脱ろう条件下、該触媒を炭化水素供給原料と接触させることを含む、脱ろう方法である、請求項8の方法。
【請求項12】
方法が、異性化脱ろう条件下、該触媒をろう状炭化水素供給物と接触させることを含む、ろう状炭化水素供給物の脱ろうされた生成物の粘度指数を改良するための方法である、請求項8の方法。
【請求項13】
方法が、触媒上で異性下条件下、C20+オレフィン供給物を異性化することを含む、該C20+オレフィン供給物からC20+潤滑油を生成する方法である、請求項8の方法。
【請求項14】
触媒が少なくとも1種の第VIII族金属をさらに含む、請求項13の方法。
【請求項15】
方法が、脱ろう条件下約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧で添加された水素ガスの存在下に、下記炭化水素油供給原料を該触媒と接触させることを含む、約350°F(177℃)より高い温度で沸騰し、そして直鎖及びやや分枝した鎖の炭化水素を含有する炭化水素油供給原料を触媒作用的に脱ろうする方法である、請求項8の方法。
【請求項16】
触媒が少なくとも1種の第VIII族金属をさらに含む、請求項15の方法。
【請求項17】
前記触媒が、分子ふるい及び少なくとも1種の第VIII族金属を含む第1層、及び前記第1層の分子ふるいよりいっそう形状選択性であるアルミノ珪酸塩ゼオライトを含む第2層、を含む積層化触媒を含む、請求項15の方法。
【請求項18】
方法が、
水素化分解帯域において炭化水素質供給原料を水素化分解して、水素化分解された油を含む流出液を得、
添加された水素ガスの存在下に少なくとも約400°F(204℃)の温度及び約15psig〜約3000psig(0.103〜20.7MPaゲージ)の圧力で、水素化分解された油を含む前記流出液を、該触媒で触媒作用的に脱ろうする、
ことを含む、潤滑油を調製する方法である、請求項8の方法。
【請求項19】
触媒が少なくとも1種の第VIII族金属をさらに含む、請求項18の方法。
【請求項20】
方法が、異性化脱ろう条件下、添加水素の存在下、ラフィネートを該触媒と接触させることを含む、ラフィネートの異性化脱ろうする方法である、請求項8の方法。
【請求項21】
触媒が少なくとも1種の第VIII族金属をさらに含む、請求項20の方法。
【請求項22】
ラフィネートがブライトストックである、請求項20の方法。
【請求項23】
方法が、芳香族転換条件下約40℃より高く、約200℃未満の沸騰範囲を有する直鎖又はやや分枝した炭化水素を含む炭化水素質供給原料を、該触媒と接触させることを含む、炭化水素供給原料のオクタンを増大させて、増大した芳香族含有量を有する生成物を生成する方法である、請求項8の方法。
【請求項24】
分子ふるいが酸性度を実質的に有しない、請求項23の方法。
【請求項25】
分子ふるいが第VIII族金属成分を含む、請求項23の方法。
【請求項26】
方法が、添加水素の不存在下の接触分解条件下、反応帯域において炭化水素供給原料を、該触媒と接触させることを含む、接触分解方法である、請求項8の方法。
【請求項27】
触媒が大きな細孔の結晶性分解成分をさらに含む、請求項26の方法。
【請求項28】
方法が、異性化条件下、直鎖及びやや分枝したC〜C炭化水素類を有する供給物を、該触媒と接触させることを含む、C〜C炭化水素類を異性化するための異性化方法である、請求項8の方法。
【請求項29】
分子ふるいが、少なくとも1種の第VIII族金属で含浸されている、請求項28の方法。
【請求項30】
触媒が、第VIII族金属の含浸後に高められた温度で水蒸気/空気混合物中でカ焼されている、請求項28の方法。
【請求項31】
第VIII族金属が白金である、請求項29の方法。
【請求項32】
方法が、少なくとも部分的液相条件で且つ触媒の存在下に、アルキル化条件下、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素を、C〜C20オレフィンと接触させることを含む、芳香族炭化水素をアルキル化する方法である、請求項8の方法。
【請求項33】
オレフィンがC〜Cオレフィンである、請求項32の方法。
【請求項34】
芳香族炭化水素とオレフィンとがそれぞれ、約4:1〜約20:1のモル比で存在する、請求項33の方法。
【請求項35】
芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項33の方法。
【請求項36】
方法が、少なくとも部分的な液相条件下、且つ触媒の存在下に、アルキル交換反応条件下、芳香族炭化水素をポリアルキル芳香族炭化水素と接触させることを含む、芳香族炭化水素をアルキル交換する方法である、請求項8の方法。
【請求項37】
分子ふるいが主として水素形にある、請求項7、10、11、12、13、15、18、20、26、28、32又は36の方法。
【請求項38】
芳香族炭化水素と、ポリアルキル芳香族炭化水素とがそれぞれ、約1:1〜約25:1のモル比で存在する、請求項36の方法。
【請求項39】
芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項36の方法。
【請求項40】
ポリアルキル芳香族炭化水素が、ジアルキルベンゼンである、請求項36の方法。
【請求項41】
方法が、パラフィン類を芳香族類への転換を起こさせる条件下、パラフィン類を、分子ふるい、及びガリウム、亜鉛、ガリウムの化合物又は亜鉛の化合物を含む触媒と接触させることを含む、パラフィン類を芳香族類に転換させる方法である、請求項8の方法。
【請求項42】
方法が、オレフィン類の異性化を起こさせる条件下、前記オレフィン類を該触媒と接触させることを含む、前記オレフィン類を異性化する方法である、請求項8の方法。
【請求項43】
方法が、平衡比のいっそう近くでオルト−、メタ−及びパラ−キシレン類が得られる、キシレン異性体類、又はキシレン異性体類の混合物及びエチルベンゼンの芳香族C流れを含む異性化供給物を異性化する方法であって、この方法が、異性化条件下に前記供給物を該触媒と接触させることを含む方法である、請求項8の方法。
【請求項44】
方法が、オリゴマー化条件下、オレフィン供給物を該触媒と接触させることを含む、オレフィン類をオリゴマー化する方法である、請求項8の方法。
【請求項45】
方法が、
(a)低分子量炭化水素含有ガスを反応帯域中に導入し、そしてC2+炭化水素合成条件下、前記帯域において前記ガスを、該触媒とそして該低分子量炭化水素を高分子量炭化水素に転換することができる金属又は金属化合物と、接触させ、
(b)前記反応帯域から高分子量炭化水素含有流を取り出す、
工程を含む、低分子量炭化水素から高分子量炭化水素を生成する方法である、請求項8の方法。
【請求項46】
金属又は金属化合物が、ランタニド又はアクチニドの、金属又は金属化合物である、請求項45の方法。
【請求項47】
低分子量炭化水素がメタンである、請求項45の方法。
【請求項48】
(A)(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるい;及び
(B)有機チタン又は有機クロム化合物、
を含む、1−オレフィン類の重合を促進するための触媒組成物。
【請求項49】
方法が、重合反応を開始し且つ促進させるために適当な温度及び圧力を包含する重合条件下、1−オレフィン単量体を、下記触媒組成物の触媒作用的に有効な量と接触させることを含む1−オレフィンを重合する方法であって、該触媒組成物が:
(A)(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるい;及び
(B)有機チタン又は有機クロム化合物、
を含む組成物である、請求項8の方法。
【請求項50】
1−オレフィン単量体がエチレンである、請求項49の方法。
【請求項51】
方法が、不飽和炭化水素を含有する炭化水素供給物を水素化する方法であって、その方法が、該触媒を用いて水素化を起こさせる条件下に該供給物を水素と接触させることを含む、請求項8の方法。
【請求項52】
触媒は、金属が白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム又はそれらの組み合わせからなる群、あるいはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、金属類、塩類又は錯体類を含有する、請求項51の方法。
【請求項53】
液体生成物を生成させる条件下、酸素化炭化水素を、第1の四価元素の酸化物の、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素、三価元素、五価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、酸素化炭化水素を転換する方法。
【請求項54】
酸素化炭化水素が低級アルコールである、請求項53の方法。
【請求項55】
低級アルコールがメタノールである、請求項54の方法。
【請求項56】
水素処理条件下、炭化水素供給原料を、水素処理用触媒及び水素と接触させることを含む該炭化水素供給原料を水素処理する方法であって,該触媒が(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む、上記方法。
【請求項57】
触媒が、第VIII族金属若しくはその化合物、第VI族金属若しくはその化合物、又はそれらの組み合わせを含有する、請求項56の方法。
【請求項58】
ガス流中に含有されている窒素の酸化物を還元する方法であって、前記方法が、該ガス流を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいと接触させることを含む、上記方法。
【請求項59】
酸素の存在下に行われる、請求項58の方法。
【請求項60】
前記分子ふるいが、窒素の酸化物の還元に触媒作用することができる金属又は金属イオンを含有する、請求項58の方法。
【請求項61】
金属が、コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム又はそれらの混合物である、請求項60の方法。
【請求項62】
ガス流が、内燃機関の排気流である、請求項58の方法。
【請求項63】
ガス流が、内燃機関の排気流である、請求項61の方法。
【請求項64】
炭化水素を酸化するのに有効な時間及び温度で、触媒作用的に有効な量のチタン含有分子ふるいの存在下、該炭化水素を酸化剤と接触させることを含む前記炭化水素の酸化方法であって、前記チタン含有分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に、表IIのX線回折線を有する分子ふるいである、上記方法。
【請求項65】
オレフィンをエポキシ化するのに有効な時間及び温度で、触媒作用的に有効な量のチタン含有分子ふるいの存在下に、前記オレフィンを過酸化水素と接触させることを含む前記オレフィンのエポキシ化方法であって、前記チタン含有分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいである、上記方法。
【請求項66】
シクロヘキサンを酸化するのに有効な時間及び温度で、触媒作用的に有効な量のチタン含有分子ふるいの存在下に、前記シクロヘキサンを過酸化水素と接触させることを含む前記シクロヘキサンの酸化方法であって、前記チタン含有分子ふるいが(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいである、上記方法。
【請求項67】
酸化条件下、(1)過酸化水素の存在下に接触酸化することができる反応体、(2)水性過酸化水素、及び(3)(i)酸化珪素の、(ii)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む酸化触媒の触媒作用的に有効な量、を接触させることを含む、接触酸化方法。
【請求項68】
酸化することができる反応体が炭化水素である、請求項67の方法。
【請求項69】
(1)酸化珪素の、(2)酸化チタンに対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する分子ふるいを含む触媒の触媒作用的に有効な量の存在下に、オレフィンを過酸化水素と接触させることを含む、オレフィンのエポキシ化方法。
【請求項70】
芳香族基質ArHに対してアシル化反応を行って、生成物ArHn−1CORを形成する方法であって、その方法が:
該芳香族基質を用意し、
該基質と、カルボン酸誘導体、カルボン酸、酸無水物、エステル及びハロゲン化アシルからなる群から選ばれたアシル化剤とを均密に混合し、
このようにして形成された均密な混合物を、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒に曝す、
工程を含む、上記方法。
【請求項71】
有機基質がベンゼン、トルエン、アニソール及び2−ナフトールからなる群から選ばれる、請求項70の方法。
【請求項72】
有機基質がアニソールである、請求項71の方法。
【請求項73】
アシル化剤が、カルボン酸誘導体、カルボン酸、酸無水物、エステル及びハロゲン化アシルからなる群から選ばれる、請求項70の方法。
【請求項74】
含酸素化合物、又は含酸素化合物の混合物を含む供給原料から軽質オレフィンを生成する方法であって、その方法が、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒上で有効な条件で該供給原料を反応させることを含む、上記方法。
【請求項75】
軽質オレフィンが、エチレン、プロピレン、ブチレン又はそれらの混合物である、請求項74の方法。
【請求項76】
軽質オレフィンがエチレンである、請求項75の方法。
【請求項77】
含酸素化合物が、メタノール、ジメチルエーテル又はそれらの混合物である、請求項74の方法。
【請求項78】
含酸素化合物がメタノールである、請求項77の方法。
【請求項79】
ガスの混合物を、分子ふるいを含有する膜と接触させることを含むガスを分離する方法であって、前記分子ふるいが(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む、上記方法。
【請求項80】
ガスの混合物が、二酸化炭素及びメタンを含む、請求項79の方法。
【請求項81】
(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒の存在下にガス相中でメタノール、ジメチルエーテル又はそれらの混合物と、アンモニアとを反応させることを含む、メチルアミン又はジメチルアミンの生成方法。
【請求項82】
メタノール、ジメチルエーテル又はそれらの混合物とアンモニアとは約0.2〜約1.5の炭素/窒素比を与えるために十分な量で存在する、請求項81の方法。
【請求項83】
約250℃〜約450℃の温度で行われる、請求項81の方法。
【請求項84】
炭化水素及び他の汚染物質を含有する常温始動エンジン排気ガス流を、水上の炭化水素を優先して吸着する分子ふるい床上に流して第1排気流を得、該第1排気ガス流を触媒上に流して該第1排気ガス流中に含有している残留炭化水素類及び他の汚染物質を無害な生成物に転換し、処理済排気流を得、該処理済排気流を大気中に放出することからなり、しかも該分子ふるい床が(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、そしてカ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む、炭化水素及び他の汚染物質を含有する常温始動エンジン排気ガス流を処理する方法。
【請求項85】
エンジンが内燃機関である、請求項84の方法。
【請求項86】
内燃機関が自動車エンジンである、請求項85の方法。
【請求項87】
エンジンが炭化水素質燃料により燃料供給されている、請求項84の方法。
【請求項88】
分子ふるいが、その上に白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム及びそれらの混合物からなる群から選ばれた金属を付着させている、請求項84の方法。
【請求項89】
金属が白金である、請求項88の方法。
【請求項90】
金属がパラジウムである、請求項88の方法。
【請求項91】
金属が白金とパラジウムとの混合物である、請求項88の方法。
【請求項92】
蒸気相中でオキシムを、(1)第1の四価元素の酸化物の、(2)三価元素、五価元素、前記第1の四価元素とは異なる第2の四価元素の酸化物又はそれらの混合物に対する約15より大きいモル比を有し、カ焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性分子ふるいを含む触媒と接触させることを含む、ベックマン転位を介してオキシムからアミドを調製する方法。
【請求項93】
オキシムがシクロヘキサノンオキシムであり、アミドがカプロラクタムである、請求項92の方法。
【請求項94】
転位が溶媒の存在下に起こる、請求項93の方法。
【請求項95】
溶媒が、R−O−R(式中、RはC〜Cアルキル鎖であり、Rは水素原子であるか又はRより小さいか又はRに等しい炭素原子の数を含有するアルキル鎖であることができる)のタイプのものである、請求項94の方法。
【請求項96】
分子ふるいが、(1)酸化珪素の、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム及びそれらの混合物から選ばれた酸化物に対する約15より大きいモル比を有する、請求項48、53、54、55、56、58、59、60、61、62、63、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94又は95の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−528968(P2009−528968A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548659(P2008−548659)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049120
【国際公開番号】WO2007/079038
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】