説明

半導体装置および半導体装置を用いた記憶装置

【課題】データを一時的に待避させるための周辺回路を用いることなくオフ状態とすることが可能であり、かつ、装置の電源がオフ状態になっても記憶されたデータが消失しない、消費電力の低減された半導体装置および、当該半導体装置を用いた記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の保持回路に、オフ電流を十分に小さくすることができる酸化物半導体材料を用いて半導体層(少なくともチャネル形成領域)を形成したトランジスタを用いる。また、保持回路に蓄えられた記憶データと、外部から入力される参照データの比較処理を行う必要がない比較回路を、強制的に非活性状態とするスイッチング素子を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置を用いた記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野の製品において記憶装置が用いられており、通信分野等の高速検索が要求される分野では、連想メモリ(CAM(Content Addressable Memory)とも言われる)が広く用いられている。
【0003】
連想メモリとは、連想メモリ内に設置された複数のメモリセル(以下、半導体装置と記載する場合もある)の各々にデータを記憶しておき、参照データが入力された際に当該参照データと各々のメモリセルの記憶データが一致するか否かを比較するメモリであり、メモリ全体をひとつの操作で検索できるため、非常に高速での検索が可能である。
【0004】
連想メモリは、例えば、パターンマッチング演算が重要となるデータベースシステムや、セットアソシアティブ方式のキャッシュメモリなどに用いられる。キャッシュメモリは、高速処理低容量を特徴とするCPUと、低速処理高容量を特徴とするメインメモリ(一般的にDRAMが使用される)の間に配置された高速アクセスが可能なメモリである。通常キャッシュメモリには、低容量で高速なSRAMが用いられている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また昨今、通信分野においても電子機器の省電力化の要望が急速に高まっており、省電力化された連想メモリが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−198186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
連想メモリの省電力化の方法の1つとしては、連想メモリに入力された参照データに応じて、比較処理を行う必要のあるメモリセルをオン状態に、比較処理を行う必要のないメモリセルをオフ状態にする方法がある。しかし、従来技術であるSRAMをベースとする連想メモリでは、SRAMは揮発性であり、各々のメモリセル単位でオフ状態(ターンオフとも言われる)にすると、メモリセルに記憶されたデータが消失してしまうため、メモリセルに記憶されたデータを一時的に待避させるための周辺回路が必要となる。このため、面積や消費電力の増加といった問題が生じる。また、SRAMが揮発性であるという特性により、動作時に装置の電源がオフになるとメモリセルに記憶されたデータが消失してしまうという問題もある。
【0008】
そこで、本発明の一態様は、データを一時的に待避させるための周辺回路を用いることなく装置の電源をオフ状態とすることが可能であり、かつ、装置の電源がオフ状態になっても記憶されたデータが消失しない、消費電力の低減された半導体装置および、当該半導体装置を用いた記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、オフ電流を十分に小さくすることができる酸化物半導体材料を用いて半導体層(少なくともチャネル形成領域)を形成したトランジスタ(以下、OS(Oxide Semiconductor)トランジスタと略記する場合もある)を用いて、半導体装置中のデータを記憶する回路(以下、保持回路と略記する)を構成する。当該トランジスタは、オフ状態(ゲート電極に加わる電圧がしきい値電圧以下の状態)においてソース電極とドレイン電極間でのリーク電流を極めて低くすることができるため、保持回路での消費電力低減が可能となる。加えて、データ処理中に装置の電源がオフ状態になっても、ソースとドレイン間でのリーク電流を極めて低いため、保持回路に蓄えられた記憶データの消失を防止できる。
【0010】
また、本発明では、保持回路に蓄えられた記憶データと、参照データの比較処理を行う必要がないメモリセルに対して、比較処理を行う回路(以下、演算回路と略記する)を強制的に非活性状態とする信号を入力する構成とする。これにより、消費電力を更に低減することが可能となる。
【0011】
すなわち、本発明の一態様は、記憶データの入力制御を行う第1のトランジスタおよび記憶データを保持する容量素子を備える保持回路と、記憶データと参照データが一致するか否かを比較する第1の演算回路および第2の演算回路を備える比較回路と、第1の演算回路および第2の演算回路の動作状態を制御するスイッチング素子と、記憶データを保持回路に入力する第1の入力信号線と、参照データを第1の演算回路および第2の演算回路に入力する第2の入力信号線と、第1のトランジスタの動作制御信号を入力する第1の制御信号線と、スイッチング素子の動作制御信号を入力する第2の制御信号線と、スイッチング素子を介して第1の演算回路および第2の演算回路に電気的に接続された出力信号線を備え、第1のトランジスタの半導体層は酸化物半導体材料を含み、保持回路は第1の演算回路および第2の演算回路に電気的に接続され、第1の演算回路または第2の演算回路の少なくとも一方で演算結果が一致し、かつ、スイッチング素子が導通状態の場合において、出力信号線の電位が変動する半導体装置である。
【0012】
なお、上記半導体装置において、スイッチング素子として酸化物半導体材料を含む半導体層を備えるトランジスタを適用しても良い。
【0013】
また、上記半導体装置において、第1の演算回路は、第2のトランジスタと、第2のトランジスタと異なるチャネルタイプの第3のトランジスタを備え、第2の演算回路は、第2のトランジスタと異なるチャネルタイプの第4のトランジスタと、第4のトランジスタと異なるチャネルタイプの第5のトランジスタを備え、第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方は第1の入力信号線と電気的に接続され、第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は容量素子の電極の一方、第3のトランジスタのゲート電極および第5のトランジスタのゲート電極と電気的に接続され、容量素子の電極の他方は第1の固定電位に接続され、第2のトランジスタのゲート電極および第4のトランジスタのゲート電極は第2の入力信号線と電気的に接続され、第2のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方はスイッチング素子と電気的に接続され、第2のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は、第3のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、第3のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は第2の固定電位と電気的に接続され、第4のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方はスイッチング素子と電気的に接続され、第4のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は第5のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、第5のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は第2の固定電位と電気的に接続され、第1の演算回路、または、第2の演算回路の少なくとも一方で演算結果が一致し、かつ、スイッチング素子が導通状態の場合において、出力信号線に信号を出力する半導体装置である。
【0014】
また、本発明の一態様は、マトリクス状に配置された、上記に記載の半導体装置と、半導体装置の出力信号線の電位変化を検出する検出回路を有し、検出回路で電位の変化が検出された場合、検出回路は第1の信号を出力し、検出回路で電位の変化が検出されない場合、検出回路は第1の信号とは異なる第2の信号を出力する記憶装置である。
【0015】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0016】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0017】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0018】
また、本明細書等において「第1」、「第2」等の数詞の付く用語は、要素を区別するために便宜的に用いているものであり、数的に限定するものではなく、また配置及び段階の順序を限定するものでもない。
【0019】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0020】
また、本明細書等において、「ソース電極またはドレイン電極の一方」をソース電極とする場合、「ソース電極またはドレイン電極の他方」はドレイン電極となる。
【発明の効果】
【0021】
装置の電源がオフ状態になってもメモリセルに記憶されたデータが消失せず、かつ、比較処理を行う必要がないメモリセルの演算回路を強制的に非活性状態とすることができる、消費電力の低減された半導体装置および、当該半導体装置を用いた記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様に係る半導体装置の回路構成を説明する図。
【図2】本発明の一態様に係る半導体装置のタイミングチャートの一例図。
【図3】本発明の一態様に係るOSトランジスタの構成および作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様に係るOSトランジスタの構成を説明する図。
【図5】本発明の一態様に係る記憶装置の回路構成を説明する図。
【図6】本発明の一態様に記載の記憶装置を備える電子機器の図。
【図7】計算によって得られた移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図8】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図9】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図10】計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。
【図11】計算に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。
【図12】本発明の一態様に係るOSトランジスタの構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
開示する発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0025】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の回路構成の一例を図1(A)に示すと共に、第1の演算回路および第2の演算回路中の各トランジスタの動作状態を図1(B)を用いて説明する。また、本発明の一態様に係る半導体装置のタイミングチャートの一例を図2に記載する。
【0026】
また、本発明の一態様にて用いられる、OSトランジスタの構成および作製方法の一例を図3乃至図4を用いて説明する。
【0027】
<本実施の形態における半導体装置の回路構成>
図1(A)に示す、記憶データ(以下、Dmemと記載する場合もある)と参照データ(以下、Drefと記載する場合もある)の比較処理が可能な半導体装置180の回路は、第1のトランジスタ100および容量素子102を備える保持回路110と、第2のトランジスタ122と第3のトランジスタ124を備える第1の演算回路120および、第4のトランジスタ132と第5のトランジスタ134を備える第2の演算回路130を備える比較回路135と、スイッチング素子140と、第1の入力信号線151(プログラマブルビット線PBLと記載することもある)と、第2の入力信号線152(ビット線BLと記載することもある)と、第1の制御信号線153(ストア線STLと記載することもある)と、第2の制御信号線154(イネーブル線ENLと記載することもある)と、出力信号線155(マッチ線MLと記載することもある)を備えている。
【0028】
第1のトランジスタ100は、ソース電極またはドレイン電極の一方が第1の入力信号線151と電気的に接続されており、第1の制御信号線153を介してゲート電極およびソース電極間に加わる電位の大きさにより、第1の入力信号線151からの記憶データに対応した電位(電荷)の入力制御を行う機能を有している。
【0029】
容量素子102は、一方の電極が第1のトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方と電気的に接続されており、他方の電極が固定電位(例えばGND,0Vなど)に電気的に接続されており、第1の入力信号線151から入力される、記憶データに対応した電位(電荷)を蓄える機能を有している。
【0030】
なお、第1のトランジスタ100の半導体層には、酸化物半導体材料を用いて形成した層が用いられている。これにより、第1のトランジスタ100は、オフ電流(ゲート電極とソース電極間に加わる電位がしきい値電圧以下の場合において、ソース電極とドレイン電極間に流れるリーク電流)が極めて小さいという特性を有している。
【0031】
本実施の形態の回路構成では、容量素子102の電極の一方は、第1のトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方、第3のトランジスタ124のゲート電極および第5のトランジスタ134のゲート電極と電気的に接続されている。このため、第1のトランジスタ100をオフ状態(ゲート電極およびソース電極間に加わる電位がしきい値電圧以下の状態)とすることで、容量素子102に蓄えられた、記憶データに対応する電位(電荷)を、長期間にわたり保持することが可能となる。したがって、保持回路110は不揮発性の記憶素子であるともいえる。このため、記憶データに対応する電位(電荷)を定期的に書き込む動作(いわゆるリフレッシュ動作)などを行う必要がないため、記憶装置の消費電力を低減できる。
【0032】
また、例えば停電等により、装置の電源が意図せずオフ状態になった場合においても、保持回路110中の第1のトランジスタ100はオフ状態(ゲート電極およびソース電極間に加わる電位がしきい値電圧以下の状態)となるため、容量素子102に蓄えられた、記憶データに対応する電位(電荷)を、長期間にわたり保持することができる。
【0033】
なお、第1のトランジスタ100の構成および作製方法については、後述にて詳細に説明する。
【0034】
第1の演算回路120は、第2のトランジスタ122および、第2のトランジスタ122と異なるチャネルタイプの第3のトランジスタ124(つまり、第2のトランジスタがpチャネル型のトランジスタであれば、第3のトランジスタ124はnチャネル型のトランジスタ)を備えており、第2のトランジスタ122のソース電極またはドレイン電極の他方と、第3のトランジスタ124のソース電極またはドレイン電極の一方が電気的に接続されている。また、第2のトランジスタ122のソース電極またはドレイン電極の一方はスイッチング素子140と電気的に接続され、第3のトランジスタ124のソース電極またはドレイン電極の他方は固定電位と電気的に接続されている。
【0035】
また、第2のトランジスタ122のゲート電極は第2の入力信号線152と電気的に接続されており、第3のトランジスタ124のゲート電極は第1のトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方および容量素子102の一方の電極と電気的に接続されている。そして、第2のトランジスタ122のゲート電極には第2の入力信号線152に加わる、参照データ(Dref)に対応する電位(電荷)が入力され、第3のトランジスタ124のゲート電極には保持回路110に蓄えられた、記憶データ(Dmem)に対応する電位(電荷)が入力され、当該電位に応じて各々のトランジスタの動作状態が変動する。
【0036】
なお、本明細書では第2のトランジスタ122はpチャネル型トランジスタ、第3のトランジスタ124はnチャネル型トランジスタとして説明を行うが、無論これに限定されることはない。
【0037】
第2の演算回路130は、第2のトランジスタ122と異なるチャネルタイプの第4のトランジスタ132および、第4のトランジスタ132と異なるチャネルタイプの第5のトランジスタ134(つまり、第2のトランジスタ122がpチャネル型のトランジスタであれば、第4のトランジスタ132はnチャネル型のトランジスタ、第5のトランジスタ134はpチャネル型のトランジスタ)を備えており、第4のトランジスタ132のソース電極またはドレイン電極の他方と、第5のトランジスタ134のソース電極またはドレイン電極の一方が電気的に接続されている。また、第4のトランジスタ132のソース電極またはドレイン電極の一方はスイッチング素子140と電気的に接続され、第5のトランジスタ134のソース電極またはドレイン電極の他方は固定電位と電気的に接続されている。
【0038】
また、第4のトランジスタ132のゲート電極は第2の入力信号線152と電気的に接続されており、第5のトランジスタ134のゲート電極は第1のトランジスタ100のソース電極またはドレイン電極の他方および容量素子102の一方の電極と電気的に接続されている。そして、第4のトランジスタ132のゲート電極には第2の入力信号線152に加わる、参照データ(Dref)に対応する電位(電荷)が、第5のトランジスタ134のゲート電極には保持回路110に蓄えられた、記憶データ(Dmem)に対応する電位(電荷)が入力され、該電位に応じて各々のトランジスタの動作状態が変動する。
【0039】
なお、本明細書では第4のトランジスタ132はnチャネル型トランジスタ、第5のトランジスタ134はpチャネル型トランジスタとして説明を行うが、無論これに限定されることはない。
【0040】
スイッチング素子140は、一方の端子が第2のトランジスタ122のソース電極またはドレイン電極の一方、および、第4のトランジスタ132のソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、他方の端子が出力信号線155と電気的に接続されており、スイッチング素子140がオン状態(導通状態)の場合において、比較回路と出力信号線155を電気的に接続する機能を有している。なお、スイッチング素子140の動作状態は、第2の制御信号線154を介して入力される電気信号により制御される。
【0041】
以上が本実施の形態における半導体装置の回路構成例の説明である。
【0042】
<本実施の形態における半導体装置の駆動方法>
本実施の形態に記載する半導体装置の駆動方法である「書き込み動作」および「比較動作」について、図1を用いて説明する。なお、「書き込み動作」とは、第1の入力信号線151を介して保持回路110に記憶データ「Dmem」を書き込み、保持させる動作を指し、「比較動作」とは、保持回路110に保持された記憶データと、第2の入力信号線152より入力される参照データ「Dref」が一致するか否かの確認を行う動作を指すものである。
【0043】
<書き込み動作についての説明>
書き込み動作を行う際は、比較動作を行う必要がないため、まず、スイッチング素子140が非導通状態となる信号(例えば0V)を、第2の制御信号線154を介してスイッチング素子140に送り、第1の演算回路120および第2の演算回路130を非活性状態(第2のトランジスタ122、第3のトランジスタ124、第4のトランジスタ132および第5のトランジスタ134の各々のゲート電極およびソース電極間に加わる電位に依らず、当該各トランジスタに電流が流れない状態)とする。これにより、第1の演算回路120および第2の演算回路130での電力消費を抑制する事ができる。なお、本実施の形態ではスイッチング素子140としてアナログスイッチを用いた回路構成としているが、スイッチング素子140として、先に記載した、OSトランジスタを用いる事もできる。該トランジスタは、オフ状態においてリーク電流が極めて少ないため、第1の演算回路120および第2の演算回路130を非活性状態とすることができる。
【0044】
次に、第1の制御信号線153の電位を低電位VLから高電位VH(第1のトランジスタ100のしきい値電圧よりも大きい電位)として第1のトランジスタ100をオン状態とすることで、第1の入力信号線151から入力される、記憶データ(Dmem)に対応した電位(電荷)が容量素子102に蓄えられることで、保持回路110に記憶データ(Dmem)が書き込まれる。この際、メモリセルのフローティングノード104(以下、FNと略記する場合もある)も記憶データ(Dmem)に対応した電位(電荷)となる。
【0045】
書き込み後は、第1の制御信号線153の電位を高電位VHから低電位VLにして、第1のトランジスタ100をオフ状態にする。容量素子102は、第1のトランジスタ100、第3のトランジスタ124および第5のトランジスタ134と電気的に接続されているが、第1のトランジスタ100はリーク電流が極めて少なく、また、第3のトランジスタ124および第5のトランジスタ134についてはどちらもゲート電極と接続されており、こちらもリーク電流は極めて少ないため、容量素子102(フローティングノード104)に蓄えられた記憶データに対応した電位(電荷)は長期間にわたり保持される。したがって、保持回路110に書き込まれた記憶データ(Dmem)を長期にわたり保持することができる。
【0046】
また、停電等により、装置の電源が意図せずオフ状態になった場合、第1のトランジスタ100のゲート電極およびソース電極間に加わる電位は0Vとなり、第1のトランジスタ100はオフ状態となるため、容量素子102に蓄えられた記憶データに対応する電位(電荷)は、消去されることなく保持回路110に保持されるため、本実施の形態に記載する半導体装置は、意図せずオフ状態となる可能性のある環境下において、利用価値が非常に高いと言える。
【0047】
<比較動作についての説明>
まず、出力信号線155を電源電位VDD(例えば、5V)でプリチャージした後に、第2の制御信号線154の電位を低電位VLから高電位VHにしてスイッチング素子140を導電状態とし、第1の演算回路120および第2の演算回路130を活性状態とする。これにより、記憶データ(Dmem)に対応した電位(以下、Vmemと略記する場合もある)が、第3のトランジスタ124および第5のトランジスタ134のゲート電極に加わる。
【0048】
この時点で、仮に記憶データが高電位VHの場合、第3のトランジスタ124はオン状態、第5のトランジスタ134はオフ状態となる。
【0049】
次に、第2の入力信号線152に、参照データ(Dref)に対応した電位(以下、Vrefと略記する場合もある)を入力する。これにより、第2のトランジスタ122および第4のトランジスタ132のゲート電極に、参照データに対応した電位(Vref)が加わり、第1の演算回路120および第2の演算回路130で、記憶データと参照データの比較演算が行われる。
【0050】
ここで、参照データ(Dref)および記憶データ(Dmem)により、第2のトランジスタ122、第3のトランジスタ124、第4のトランジスタ132および第5のトランジスタ134の状態、ならびに、第1の演算回路120および第2の演算回路130の状態がどのように変動するかについて、図1(B)を用いて説明する。なお、図中の「Tr.」とはトランジスタを表す略記号であり、例えば「Tr.2」と記載されている場合は第2のトランジスタ122を表している。
【0051】
参照データ(Dref)の値が”0”(例えば、第2の入力信号線152に0Vの電位が加わっている)、記憶データ(Dmem)の値が”0” (例えば、保持回路110に0Vの電位が蓄えられている)の時、つまり参照データと記憶データが一致する場合、第2のトランジスタ122は導通状態(図1(B)では、passと記載)、第3のトランジスタ124は非導通状態(図1(B)では、×と記載)となり、第4のトランジスタ132は非導通状態、第5のトランジスタ134は導通状態となる。これにより、第1の演算回路120および第2の演算回路130は非導通状態となり、出力信号線155と固定電位は電気的に接続されないため、出力信号線155にプリチャージされた電位は変動しない。
【0052】
参照データ(Dref)の値が”0”(例えば、第2の入力信号線152に0Vの電位が加わっている)、記憶データ(Dmem)の値が”1”(例えば、保持回路110に+3Vの電位が蓄えられている)の時、つまり参照データと記憶データが不一致の場合、第2のトランジスタ122および第3のトランジスタ124が導通状態となり、第4のトランジスタ132および第5のトランジスタ134が非導通状態となる。このため、第1の演算回路120は導通状態、第2の演算回路130は非導通状態であり、出力信号線155と固定電位が電気的に接続されるため、出力信号線155にプリチャージされた電位が変動する。
【0053】
参照データ(Dref)の値が”1”(例えば、第2の入力信号線152に+3Vの電位が加わっている)、記憶データ(Dmem)の値が”0” (例えば、保持回路110に0Vの電位が蓄えられている)の時、つまり参照データと記憶データが不一致の場合、第2のトランジスタ122および第3のトランジスタ124は非導通状態となり、第4のトランジスタ132および第5のトランジスタ134が導通状態となる。このため、第1の演算回路120は非導通状態、第2の演算回路130は導通状態であり、出力信号線155と固定電位が電気的に接続されるため、出力信号線155にプリチャージされた電位が変動する。
【0054】
参照データ(Dref)の値が”1”(例えば、第2の入力信号線152に+3Vの電位が加わっている)、記憶データ(Dmem)の値が”1” (例えば、保持回路110に+3Vの電位が蓄えられている)の時、つまり参照データと記憶データが一致する場合、第2のトランジスタ122および第5のトランジスタ134が非導通状態となり、第3のトランジスタ124および第4のトランジスタ132が導通状態となる。これにより、第1の演算回路120および第2の演算回路130は非導通状態となり、出力信号線155と固定電位は電気的に接続されないため、出力信号線155にプリチャージされた電位は変動しない。
【0055】
そして、前述の出力信号線155に電位変動が生じたか否かを検出することで、参照データ(Dref)と記憶データ(Dmem)が一致するか否かを判断することができる。
【0056】
なお、本明細書で図1(A)のように2つの演算回路(第1の演算回路120および第2の演算回路130)を用いている理由について、以下にて説明する。
【0057】
例えば、比較回路に演算回路が第1の演算回路120のみの場合、記憶データ(Dmem)が”1”で参照データ(Dref)が”0”の時、つまり、記憶データ(Dmem)と参照データ(Dref)が異なる場合、点線四角部160のように第2のトランジスタ122および第3のトランジスタ124は共に”pass”となって出力信号線155にプリチャージされた電位が変動し、該電位変動に基づいて記憶データ(Dmem)と参照データ(Dref)が等しいか否かの判断が下される。
【0058】
これに対し、前述と同様に記憶データ(Dmem)と参照データ(Dref)が異なる場合であっても、記憶データ(Dmem)が”0”で参照データ(Dref)が”1”の時は、図1(B)の点線四角部162のように第2のトランジスタ122および第3のトランジスタ124は共に”×”となり、出力信号線155にプリチャージされた電位は変動しない。
【0059】
このように、1つの演算回路のみを用いた場合、記憶データ(Dmem)と参照データ(Dref)が一致しない場合において誤動作(つまり、比較結果が正しく出されない。)の原因となる。
【0060】
これに対し、本実施の形態のように、2つの演算回路(第1の演算回路120および第2の演算回路130)を併用することにより、図1(B)の点線四角部164のように、第1の演算回路120と第2の演算回路の130の演算結果が異なる状態(つまり、第1の演算回路120が”pass”の場合は第2の演算回路130が”×”であり、第1の演算回路120が”×”の場合は第2の演算回路130が”pass”)となるため、前述のような問題が生じない。
【0061】
以上が本実施の形態における半導体装置の駆動方法例の説明である。
【0062】
このように、本実施の形態における半導体装置の例のように、記憶データを蓄える保持回路110に備えられた第1のトランジスタ100としてOSトランジスタを用いることにより、第1のトランジスタ100でのリーク電流を極めて小さくすることができるため、保持回路110に記憶されたデータの変動を抑制することができる。さらに、メモリセルに記憶されたデータの変動を抑制することにより、メモリセルにデータを保持させながら電源供給を適宜停止することができるため、消費電力を低減することができる。
【0063】
また、本実施の形態のように、2つの演算回路(第1の演算回路120および第2の演算回路130)および、2つの演算回路の活性状態を制御するスイッチング素子140を用いる事により、演算回路で処理を行う必要が無い場合にスイッチング素子140をオフ状態とすることにより、2つの演算回路における電力消費を抑制することができるため、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0064】
なお、スイッチング素子140として、本実施の形態中にて記載した、オフ状態におけるリーク電流の極めて小さいOSトランジスタを用いることにより、第1の演算回路120および第2の演算回路130での電力消費を更に抑制する事ができるため好ましい。
【0065】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態では、先の実施の形態にて記載した半導体装置を用いた、複数ビットのデータ判別が可能な記憶装置の回路構成例および駆動方法について説明する。
【0067】
<記憶装置の回路構成>
本実施の形態における記憶装置の回路構成例を図5を用いて説明する。なお、図5において、各々の半導体装置180に記載されている括弧内の数値は、行および列を意味する。例えば180(1,n)であれば、1行目、且つ、n列目の半導体装置180を意味する。
【0068】
図5に示す記憶装置は、先の実施の形態1にて説明した半導体装置180がアレイ状に設置されたCAMRAMの概念を示す図である。CAMRAMは、半導体装置に記憶された記憶データと外部から入力される参照データが、特定の行のすべてにおいて一致しているか否かを検出する記憶装置である。
【0069】
図5に示す記憶装置は、半導体装置180がm行×n列(m、nは2以上の自然数)設置されており、また、n本のビット線BLと、n本のプログラマブルビット線PBLと、n本のイネーブル線ENLと、m本のストア線STLと、m本のマッチ線MLと、検出回路500を備えている。
【0070】
m行×n列の半導体装置180のそれぞれは、図1に示す構成の半導体装置を適用することができる。そして、第1の入力信号線151を介してプログラマブルビット線PBLから入力される記憶データおよび、第2の入力信号線152を介してビット線BLから入力される参照データに応じて、出力信号線155に接続されたマッチ線MLの電位を変動させる機能を有している。
【0071】
n本のプログラマブルビット線PBLのそれぞれは、同一列の半導体装置180の各々に電気的に接続されている。例えば、1列目のプログラマブルビット線PBL(1)は、1列目に設置された半導体装置である180(1,1)〜180(m,1)に電気的に接続されている。そして、各々の半導体装置の備える第1の入力信号線151を介して、保持回路110内の第1のトランジスタ100に、記憶データ(Dmem)に対応した電位を与える。
【0072】
n本のビット線BLのそれぞれは、同一列の半導体装置180の各々に電気的に接続されている。例えば、1列目のビット線BL(1)は、1列目に設置された半導体装置である180(1,1)〜180(m,1)に電気的に接続されている。そして、各々の半導体装置の備える第2の入力信号線152を介して、第2のトランジスタ122および第4のトランジスタ132に参照データ(Dref)に対応した電位を与える。
【0073】
n本のイネーブル線ENLのそれぞれは、同一列の半導体装置180の各々に電気的に接続されている。例えば、1列目のイネーブル線ENL(1)は、1列目に設置された半導体装置である180(1,1)〜180(m,1)に電気的に接続されている。そして、各々の半導体装置の備える第2の制御信号線154を介して、スイッチング素子140に動作状態を決定する電気信号(電位)を与える。
【0074】
m本のストア線STLのそれぞれは、同一行の半導体装置180の各々に電気的に接続されている。例えば、1行目のストア線STL(1)は、1行目に設置された半導体装置である180(1,1)〜180(1,n)に電気的に接続されている。そして、各々の半導体装置の備える第1の制御信号線153を介して、第1のトランジスタ100に動作状態(オンオフ状態)を決定する電気信号(電位)を与える。
【0075】
m本のマッチ線MLのそれぞれは、同一行の半導体装置180の各々に電気的に接続されている。例えば、1行目のマッチ線ML(1)は、1行目に設置された半導体装置である180(1,1)〜180(1,n)に電気的に接続されている。そして、各々のマッチ線MLは検出回路500と電気的に接続されている。
【0076】
検出回路500は、各々のマッチ線MLにおける電位の変動を検出する機能を有しており、マッチ線MLの電位の変動が検出された場合、外部に第1の信号(1本のマッチ線MLに電気的に接続された複数の半導体装置のうち、少なくとも1つ以上の半導体装置において記憶データと参照データが異なることを伝える信号)を出力し、マッチ線MLの電位の変動が検出されない場合、外部に第1の信号とは異なる第2の信号(1本のマッチ線MLに電気的に接続された複数の半導体装置の全てにおいて、記憶データと参照データが一致していることを伝える信号)を出力する機能を有している。また、マッチ線MLを決められた電位にプリチャージする機能も有している。
【0077】
以上が本実施の形態における記憶装置の回路構成例の説明である。
【0078】
<記憶装置の駆動方法>
本実施の形態に記載する記憶装置の駆動方法の一例について説明する。
【0079】
まず、n本のイネーブル線ENLに低電位VL(例えば0V)を印加して、全ての半導体装置180の演算回路を非活性状態とした後に、n本のプログラマブルビット線PBLのそれぞれに、記憶データに対応する電位(電荷)を印加し、m本のストア線STLに高電位(例えば5V)を印加する。これにより、各々の半導体装置の保持回路110に、記憶データに対応する電位(電荷)が加わる。その後、m本のストア線STLに低電位(例えば0V)を印加することで、保持回路110中の容量素子102に、記憶データに対応する電位(電荷)を蓄えられる(実施の形態1にて記載した書き込み動作に対応)。なお、実施の形態1にて記載したとおり、半導体装置180はリーク電流が極めて小さく、記憶データに対応する電位(電荷)のリークも極めて小さいため、記憶データに対応する電位(電荷)を定期的に書き込む動作(いわゆるリフレッシュ動作)などを行う必要がないため、記憶装置の消費電力を低減できる。また、容量素子102に記憶データに対応する電位(電荷)を蓄えた後に、停電等により装置の電源が意図せずオフ状態になった場合においても、第1のトランジスタ100はオフ状態(ゲート電極およびソース電極間に加わる電位がしきい値電圧以下の状態)となるため、容量素子102に蓄えられた、記憶データに対応する電位(電荷)は消失することがない。
【0080】
次に、検出回路500によりm本のマッチ線MLに電位をプリチャージ(例えば5V)した後、比較処理を行う列のイネーブル線ENLに高電位(例えば5V)を印加して、比較処理を行う必要のある列の比較回路135を活性状態とする。なお、比較処理を行う必要のない列のイネーブル線ENLは低電位(例えば0V)のままであり、比較回路135を非活性状態に保つことができるため、記憶装置の消費電力を低減することができる。
【0081】
次に、n本のビット線BLのそれぞれに、参照データに対応する電位(電荷)を印加する。これにより、比較回路135が活性状態となっている半導体装置において、比較回路135にて記憶データと参照データが一致しているか否かの演算処理が行われる(実施の形態1にて記載した比較動作に対応)。そして、記憶データと参照データが異なっている半導体装置においては、実施の形態1の比較動作にて記載したとおり、出力信号線155の電位が変動する。
【0082】
次に、検出回路500において、m本のマッチ線MLのそれぞれにおいて電位が変動したか否かの検出(以下、検出処理と記載する場合もある)が行われる。例えば、図5のようにm行×n列の半導体装置を有する記憶装置において、1行目、且つ、1列目の半導体装置で記憶データと参照データが一致せず、半導体装置180(1,1)の出力信号線155の電位が変動した場合、1行目のマッチ線ML(1)の電位が変動するため、検出回路500は、1行目の半導体装置180(1,1)〜半導体装置180(1,m)の少なくともいずれか一において記憶データと参照データが不一致であったと判断し、外部に第1の信号(1本のマッチ線MLに電気的に接続された複数の半導体装置のうち、少なくとも1つ以上の半導体装置において記憶データと参照データが異なることを伝える信号)を出力する。また、1行全ての半導体装置において記憶データと参照データが一致する場合は、マッチ線MLの電位は変動しないため、外部に第1の信号とは異なる第2の信号(1本のマッチ線MLに電気的に接続された複数の半導体装置の全てにおいて、記憶データと参照データが一致していることを伝える信号)を出力する。
【0083】
以上が本実施の形態における記憶装置の駆動方法例の説明である。
【0084】
(実施の形態3)
本実施の形態では、先の実施の形態にて記載した、第1のトランジスタ100やスイッチング素子140に用いることのできるOSトランジスタの作製方法について、図3を用いて以下の文章にて説明するとともに、OSトランジスタの諸特性について説明する。
【0085】
まず、基板300上に酸化物半導体層302を形成する(図3(A)参照)。
【0086】
基板300としては、例えば、ガラス基板(バリウムホウケイ酸ガラス基板やアルミノホウケイ酸ガラス基板等)、絶縁体でなる基板(セラミック基板、石英基板、サファイア基板等)、結晶化ガラス基板、プラスチック基板、または、半導体基板(シリコン基板等)を用いることができる。
【0087】
また、基板300上に下地層を形成してもよい。下地層は基板300からの不純物拡散を防止するものであり、プラズマCVD法などのCVD法、PVD法及びスパッタリング法などの既知の方法を用いて、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、酸化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒化酸化アルミニウム(AlNO)などを形成すればよい。なお、下地層は、単層構造、積層構造のどちらであってもよく、積層構造とする場合は、前述の膜を組み合わせて形成すればよい。また、下地層の厚さは特に限定されないが、例えば、10nm以上500nm以下とすることが望ましい。10nmより薄い膜厚では、成膜装置に起因した基板面内の不均一な膜厚分布により、下地層が形成されない領域が発生する可能性がある。また、500nmより厚い膜厚は、成膜時間や生産コストの増加に繋がる懸念がある。
【0088】
酸化物半導体層302を形成する方法としては、まず基板300上にスパッタリングなどのPVD法や、CVD法などにより酸化物半導体膜を形成し、当該酸化物半導体膜上にフォトリソグラフィ法やインクジェット法などの公知の技術を用いて、加工したいパターン形状に応じたレジストを形成し、ドライエッチング法やウェットエッチング法などの公知の技術を用いて酸化物半導体膜の不要部分を選択的に除去して、酸化物半導体層302を形成すればよい。
【0089】
なお、酸化物半導体膜のエッチングとしてドライエッチングを用いる場合、エッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0090】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0091】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、クエン酸やシュウ酸などの有機酸を用いることができる。本実施の形態では、ITO−07N(関東化学社製)を用いる。
【0092】
なお、酸化物半導体膜の厚さは、3nm以上30nm以下とするのが望ましい。酸化物半導体膜を厚くしすぎると(例えば、膜厚を50nm以上)、トランジスタがノーマリーオンとなってしまうおそれがあるためである。
【0093】
また、酸化物半導体膜は、水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が混入しにくい方法で作製するのが望ましい。したがって、スパッタリング法などを用いて作製することが好ましい。
【0094】
酸化物半導体膜の成膜に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0095】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0096】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0097】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0098】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)、In:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)あるいはIn:Sn:Zn=20:45:35の原子比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0099】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a―A)+(b―B)+(c―C)≦rを満たすことをいい、rは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0100】
また、ターゲット中の金属酸化物の相対密度は80%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは99.9%以上である。相対密度の高いターゲットを用いることにより、緻密な構造の酸化物半導体膜を成膜することが可能である。
【0101】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値電圧、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0102】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では高い移動度が得られている(Eri Fukumoto,Toshiaki Arai,Narihiro Morosawa,Kazuhiko Tokunaga,Yasuhiro Terai,Takashige Fujimori,Tatsuya Sasaoka、「High Mobility Oxide Semiconductor TFT for Circuit Integration of AM−OLED」、IDW’10、p.631−p634)。
【0103】
半導体層(少なくとも、チャネル形成領域)としてIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体を用いたトランジスタは、該酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、主成分とは組成比で5atomic%以上含まれる元素をいう。
【0104】
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜の成膜時に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ、ノーマリ・オフ化させることが可能となる。
【0105】
なお、前述では半導体層(少なくともチャネル形成領域)としてIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体を用いたトランジスタについての説明を行ったが、半導体層(少なくともチャネル形成領域)としてIn、Ga、Znを主成分とする酸化物半導体を用いたトランジスタについても、酸化物半導体層中のバルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0106】
前述の酸化物半導体を用いて形成した酸化物半導体層302は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質などの状態をとる。
【0107】
なお、好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。CAAC−OSの構造等についての具体的な内容は、実施の形態4にて記載する。
【0108】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0109】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下の表面上に形成するとよい。
【0110】
なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、以下の式にて定義される。
【0111】
【数1】

【0112】
なお、上記において、Sは、測定面(座標(x,y)(x,y)(x,y)(x,y)で表される4点によって囲まれる長方形の領域)の面積を指し、Zは測定面の平均高さを指す。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0113】
酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する際には、例えば、減圧状態に保持された処理室内に被処理物を保持し、被処理物の温度が100℃以上550℃未満、好ましくは200℃以上400℃以下となるように被処理物を熱する。または、酸化物半導体膜の成膜の際の被処理物の温度は、室温としてもよい。そして、処理室内の水分を除去しつつ、水素や水などが除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜する。被処理物を熱しながら酸化物半導体膜を成膜することにより、酸化物半導体膜に取り込まれる水素や水などの不純物を低減することができ、電界効果移動度を向上させる効果が見込める。また、スパッタによる損傷を軽減することができる。処理室内の水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどを用いることができる。また、ターボポンプにコールドトラップを加えたものを用いてもよい。クライオポンプなどを用いて排気することで、処理室から水分などの不純物を除去することができるため、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減できる。
【0114】
スパッタリング法により成膜する際の各種設定条件としては、例えば、被処理物とターゲットの間との距離が170mm、圧力が0.4Pa、直流(DC)電力が0.5kW、雰囲気が酸素(酸素100%)雰囲気、またはアルゴン(アルゴン100%)雰囲気、または酸素とアルゴンの混合雰囲気、といった条件を適用することができる。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、パーティクル(成膜時に形成される粉状の物質など)を低減でき、膜厚分布も均一となるため好ましい。酸化物半導体膜の厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上30nm以下、より好ましくは1nm以上10nm以下とする。このような厚さの酸化物半導体膜を用いることで、微細化に伴う短チャネル効果を抑制することが可能である。ただし、適用する酸化物半導体材料や、半導体装置の用途などにより適切な厚さは異なるから、その厚さは、用いる材料や用途などに応じて選択することもできる。
【0115】
なお、酸化物半導体膜をスパッタリング法により成膜する前には、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、成膜面の付着物を除去することが好ましい。ここで、逆スパッタとは、通常のスパッタリング法においては、スパッタターゲットにイオンを衝突させるところを、逆に、処理表面にイオンを衝突させることによってその表面を改質する方法のことをいう。処理表面にイオンを衝突させる方法としては、アルゴン雰囲気下で処理表面側に高周波電圧を印加して、被処理物付近にプラズマを生成する方法などがある。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などによる雰囲気を適用してもよい。
【0116】
なお、前述の方法により形成された酸化物半導体層302には、不純物としての水分又は水素(水酸基を含む)が含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、酸化物半導体膜中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体膜に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、などにおいて、脱水化または脱水素化の加熱処理(以下、第1の加熱処理と略記する)を行ってもよい。
【0117】
酸化物半導体層302に第1の加熱処理を行うことで、酸化物半導体層302中の水分又は水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化または脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0118】
加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0119】
第1の加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0120】
また、第1の加熱処理を行った酸化物半導体層302に、第2の加熱処理を行ってもよい。第2の加熱処理は、酸化性雰囲気にて加熱処理することにより酸化物半導体層302中に酸素を供給して、第1の加熱処理の際に酸化物半導体層302中に生じた酸素欠損を補填する目的がある。このため、第2の加熱処理は加酸素化処理ということもできる。第2の加熱処理は、例えば200℃以上基板の歪み点未満で行えばよい。好ましくは、250℃以上450℃以下とする。処理時間は3分〜24時間とする。処理時間を長くするほど非晶質領域に対して結晶領域の割合の多い酸化物半導体層302を形成することができるが、24時間を超える熱処理は生産性の低下を招くため好ましくない。
【0121】
酸化性雰囲気とは酸化性ガスを含む雰囲気である。酸化性ガスとは、酸素、オゾンまたは亜酸化窒素などであって、水、水素などが含まれないことが好ましい。例えば、熱処理装置に導入する酸素、オゾン、亜酸化窒素の純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm未満、好ましくは0.1ppm未満)とする。酸化性雰囲気は、酸化性ガスを不活性ガスと混合して用いてもよい。その場合、酸化性ガスが少なくとも10ppm以上含まれるものとする。また、不活性ガス雰囲気とは、窒素、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン)などの不活性ガスを主成分とする雰囲気である。具体的には、酸化性ガスなどの反応性ガスが10ppm未満とする。
【0122】
なお、第2の加熱処理に用いる熱処理装置およびガス種は、第1の加熱処理と同じ物を用いることができる。また、脱水化または脱水素化の加熱処理である第1の加熱処理と、加酸素化の加熱処理である第2の加熱処理は連続して行うことが好ましい。連続して行うことで、半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0123】
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理(上述の第1および第2の熱処理以外に、後述の第3の熱処理も含む)することにより、酸化物半導体膜から水素や水酸基若しくは水分を放出させ除去し、酸化物半導体膜中の酸素欠損を補填することができ、電界効果移動度を向上させる効果が見込める。このような電界効果移動度の向上は、脱水化・脱水素化による不純物の除去、過酸素化による酸素欠損の低減のみならず、高密度化により原子間距離が短くなるためとも推定される。また、酸化物半導体から不純物を除去して高純度化することで結晶化を図ることができる。
【0124】
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理することの効果は、電界効果移動度の向上のみならず、トランジスタのノーマリ・オフ化を図ることにも寄与している。基板を意図的に加熱しないで形成された、半導体層(少なくともチャネル形成領域)としてIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体を用いたトランジスタでは、しきい値電圧がマイナスシフトしてしまう傾向があるが、基板を意図的に加熱(150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは400℃以上)して形成された酸化物半導体膜を用いた場合、このしきい値電圧のマイナスシフト化は解消され、しきい値電圧はトランジスタがノーマリ・オフとなる方向に動くことが観測されている。
【0125】
また、意図的に基板を加熱した成膜及び/又は成膜後に熱処理をすることで、ゲートバイアス・ストレスに対する安定性を高めることができる。
【0126】
なお、しきい値電圧はIn、Sn及びZnの比率を変えることによっても制御することが可能であり、組成比としてIn:Sn:Zn=2:1:3とすることでトランジスタのノーマリ・オフ化を期待することができる。また、ターゲットの組成比をIn:Sn:Zn=2:1:3とすることで結晶性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。
【0127】
このように、基板を意図的に加熱して成膜する及び/又は成膜後に熱処理等の処理を行うことで高純度化された非単結晶酸化物半導体は、理想的には100cm/Vsecを超える電界効果移動度を実現することも可能になると推定される。
【0128】
なお、酸化物半導体膜の成膜後、酸化物半導体層302の形成後のいずれか一以上において、酸化物半導体層302(または、酸化物半導体膜)に酸素注入処理を行い、熱処理により該酸化物半導体に含まれる水素や水酸基若しくは水分を放出させ、その熱処理と同時に又はその後の熱処理により酸化物半導体を結晶化させても良い。このような結晶化若しくは再結晶化の処理により結晶性の良い非単結晶酸化物半導体を得ることができる。
【0129】
ここで、酸素注入処理とは、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)を酸化物半導体層302(または、酸化物半導体膜)のバルクに添加することをいう。なお、当該「バルク」の用語は、酸素を、薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、「酸素ドープ」には、プラズマ化した酸素をバルクに添加する「酸素プラズマドープ」が含まれる。酸素ドープ処理を行うことにより、酸化物半導体層302やゲート絶縁層306に含まれる酸素を、化学量論的組成比より多くすることができる。
【0130】
酸素ドープ処理は、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)方式を用いて、マイクロ波(例えば、周波数2.45GHz)により励起された酸素プラズマを用いて行うことが好ましい。
【0131】
なお、上述の酸化物半導体膜への酸素イオンの注入は、第2の加熱処理と同様に、酸化物半導体膜中に酸素を補充する加酸素化処理と言える。過剰酸素は主に格子間に存在する酸素であり、その酸素濃度は1×1016/cm以上2×1020/cm以下とすれば、結晶に歪み等を与えることなく酸化物半導体中に含ませることができる。
【0132】
次に、基板300上および酸化物半導体層302上に、ソース電極(またはドレイン電極)304aおよびドレイン電極(またはソース電極)304bを形成する(図3(B)参照)。
【0133】
ソース電極(またはドレイン電極)304aおよびドレイン電極(またはソース電極)304bを形成する方法としては、まず基板300上および酸化物半導体層302上に抵抗加熱蒸着やスパッタリングなどのPVD法により導電層を形成し、当該導電層上にフォトリソグラフィ法やインクジェット法などの公知の技術を用いて、加工したいパターン形状に応じたレジストを形成し、ドライエッチング法やウェットエッチング法などの公知の技術を用いて導電層の不要部分を選択的に除去して、ソース電極(またはドレイン電極)304aおよびドレイン電極(またはソース電極)304bを形成すればよい。なお、導電層の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素や、上述した元素を主成分とする合金等を用いることができる。
【0134】
なお、導電層は、単層構造であっても良いし、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、チタン膜や窒化チタン膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜が積層された2層構造、窒化チタン膜上にチタン膜が積層された2層構造、チタン膜によりアルミニウム膜を挟んだ3層構造、モリブデン膜によりアルミニウム膜を挟んだ3層構造などが挙げられる。
【0135】
また、導電層は、導電性の金属酸化物を用いて形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO、ITOと略記する場合がある)、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)、または、これらの金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含有させたものを用いることができる。
【0136】
次に、酸化物半導体層302、ソース電極(またはドレイン電極)304a上およびドレイン電極(またはソース電極)304b上にゲート絶縁層306を形成する(図3(C)参照)。
【0137】
ゲート絶縁層306を形成する方法としては、酸化物半導体層302上、ソース電極(またはドレイン電極)304a上およびドレイン電極(またはソース電極)304b上にPVD法やCVD法などにより絶縁膜を形成すればよい。また、図3(C)ではゲート絶縁層306はパターン形成処理が行われていないが、パターン形成処理を行う場合は、当該絶縁膜上にフォトリソグラフィ法やインクジェット法などの公知の技術を用いて、加工したいパターン形状に応じたレジストを形成し、ドライエッチング法やウェットエッチング法などの公知の技術を用いて絶縁膜の不要部分を選択的に除去すればよい。
【0138】
なお、絶縁膜の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの材料を用いることができる。また、ゲート絶縁層306は、13族元素および酸素を含む材料を用いて形成することもできる。13族元素および酸素を含む材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウムなどを用いることができる。さらに、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、などを含むように形成してもよい。ゲート絶縁層306は、単層構造としても良いし、上記の材料を組み合わせて積層構造としても良い。
【0139】
また、ゲート絶縁層306の厚さは特に限定されないが、トランジスタを微細化する場合には、トランジスタの動作を確保するために薄くすることが望ましい。例えば、酸化シリコンを用いる場合には、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。例えば、絶縁膜として酸化シリコンを30nm成膜した上に酸化アルミニウムを10nm成膜した積層膜を用いて、ゲート絶縁層306を形成すればよい。
【0140】
ゲート絶縁層306は、水素、水などの不純物を混入させない方法で成膜した膜を用いて形成することが好ましい。ゲート絶縁層306に水素、水などの不純物が含まれると、前述の工程にて形成された酸化物半導体層302に水素、水などの不純物が浸入する、水素や水などの不純物により酸化物半導体層302中の酸素が引き抜きかれる、などによって酸化物半導体層302のチャネルが低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがあるためである。よって、ゲート絶縁層306はできるだけ水素、水などの不純物が含まれないように作製することが好ましい。例えば、スパッタリング法によって成膜することが好ましい。成膜する際に用いるスパッタガスとしては、水素、水などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
【0141】
なお、酸化物半導体層302に用いられる酸化物半導体材料には、13族元素を含むものが多い。このため、13族元素および酸素を含む材料を用いて、酸化物半導体層302と接するゲート絶縁層306を形成する場合には、酸化物半導体層302との界面の状態を良好に保つことができる。これは、ゲート絶縁層306の形成に用いる13族元素および酸素を含む材料と、酸化物半導体層302の形成に用いる酸化物半導体材料との相性が良いことによる。例えば、酸化ガリウムを用いたゲート絶縁層306を酸化物半導体層302と接して設けることにより、酸化物半導体層302とゲート絶縁層306との界面における水素のパイルアップを低減することができる。
【0142】
また、酸化アルミニウムをゲート絶縁層306として用いる場合、酸化アルミニウムは水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体層302への水分浸入防止という点においても好ましい。加えて、酸化アルミニウムは酸素を透過させにくいという特性も有しているため、後の工程にて行う第3の加熱処理の際に、ゲート絶縁層306中に含まれる酸素(過剰酸素を含む)がゲート電極308側に放出されることを抑制し、酸化物半導体層302中の酸素欠損を効果的に補填することができる。
【0143】
なお、上述のように、ゲート絶縁層306の膜厚を薄くすると、トンネル効果などに起因するゲートリークが問題となる。ゲートリークの問題を解消するためには、ゲート絶縁層306に、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、などの高誘電率(high−k)材料を用いると良い。high−k材料をゲート絶縁層306に用いることで、ゲート絶縁層306の電気的特性を確保しつつ、ゲートリークを抑制するために膜厚を大きくすることが可能になる。なお、high−k材料を含む膜と、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウムなどのいずれかを含む膜との積層構造としてもよい。
【0144】
また、ゲート絶縁層306は、酸素を化学量論的組成比よりも多く含むことが好ましい。例えば、ゲート絶縁層306として酸化珪素を用いた場合は、化学量論的組成比はSiO2+α(0<α<1)と表すことができる。また、酸化ガリウムを用いた場合はGa3+α(0<α<1)と表すことができる。また、酸化アルミニウムを用いた場合は、Al3+α(0<α<1)と表すことができる。さらに、酸化ガリウムアルミニウムを用いた場合は、GaAl2−x3+α(0<x<2、0<α<1)と表すことができる。
【0145】
なお、ゲート絶縁層306形成後(またはゲート絶縁層306の形成に用いる絶縁膜形成後)、ゲート絶縁層306(またはゲート絶縁層306の形成に用いる絶縁膜)に酸素注入処理を行ってもよい。また、前述の酸化物半導体層302への酸素注入処理を、ゲート絶縁層306(またはゲート絶縁層306の形成に用いる絶縁膜)に酸素注入処理を行う際に同時に行ってもよい。
【0146】
ゲート絶縁層306の形成後には、不活性ガス雰囲気下、または酸素雰囲気下で第3の加熱処理を行うことが望ましい。第3の加熱処理の温度は、200℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上350℃以下とすることが望ましい。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の熱処理を行えばよい。第3の加熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、酸化物半導体層302に接する膜、例えばゲート絶縁層306が酸素を含む場合、酸化物半導体層302に酸素を供給し、該酸化物半導体層302の酸素欠損を補填して、i型(真性半導体)またはi型に限りなく近い酸化物半導体層を形成することもできる。なお、酸化物半導体層302に接して酸素を含む下地膜などがある場合は、下地膜側からも酸素欠損を補填することができる。
【0147】
なお、本実施の形態では、ゲート絶縁層306の形成後に第3の加熱処理を行っているが、第3の加熱処理のタイミングはこれに限定されない。例えば、ゲート電極308の形成後や、ゲート電極308として用いる導電膜を形成した後に第3の加熱処理を行っても良い。
【0148】
上述のように、第3の加熱処理を適用することで、酸化物半導体層302を、水素原子を含む物質が極力含まれないように高純度化することができる。
【0149】
次に、ゲート絶縁層306上にゲート電極308を形成する(図3(D)参照)。
【0150】
ゲート電極308を形成する方法としては、まず、ゲート絶縁層306上に抵抗加熱蒸着やスパッタリング等のPVD法により導電膜を形成し、当該導電膜上にフォトリソグラフィ法やインクジェット法などの公知の技術を用いて、加工したいパターン形状に応じたレジストを形成し、ドライエッチング法やウェットエッチング法などの公知の技術を用いて導電膜の不要部分を選択的に除去して、ゲート電極308を形成すればよい。
【0151】
なお、導電膜の材料としては、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、マグネシウム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。なお、ゲート電極308は、単層構造としても良いし、上記の材料を組み合わせて積層構造としても良い。
【0152】
また、その厚さは特に限定されないが、厚くしすぎると半導体装置の生産性低下の要因となりうるため、10nm以上1000nm以下、好ましくは50nm以上500nm以下とすることが望ましい。例えば、導電膜としてチタンを100nm成膜した上にアルミニウムを300nm成膜した積層膜を用いて、ゲート電極308を形成すればよい。
【0153】
以上の工程により、本実施の形態の第1のトランジスタ100およびスイッチング素子140に用いることのできるOSトランジスタが完成する。なお、ゲート電極308形成後に、図3(D)のように、ゲート絶縁層306上およびゲート電極308上に絶縁膜310を形成してもよい。
【0154】
なお、図3では、ソース電極(またはドレイン電極)304aおよびドレイン電極(またはソース電極)304bが酸化物半導体層302の上に接する、トップコンタクト型の順スタガ型構造の作製方法を一例として挙げているが、本実施の形態のOSトランジスタは、当該構造に限定されることはない。例えば、図4(A)に示すボトムコンタクト型の順スタガ構造や、図4(B)に示すトップコンタクト型の逆スタガ構造や、図4(C)に示すボトムコンタクト型の逆スタガ構造であってもよい。
【0155】
また、本実施の形態の第1のトランジスタ100およびスイッチング素子140に用いることのできるOSトランジスタは、図12に示すコプラナー型であってもよい。図12はコプラナー型であるトップゲート・トップコンタクト構造のトランジスタの上面図および断面図である。図12(A)にトランジスタの上面図を示す。また、図12(B)に図12(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面A−Bを示す。
【0156】
図12(B)に示すトランジスタは、基板1500と、基板1500上に設けられた下地絶縁層1502と、下地絶縁層1502の周辺に設けられた保護絶縁層1504と、下地絶縁層1502および保護絶縁層1504上に設けられた高抵抗領域1506aおよび低抵抗領域1506bを有する酸化物半導体層1506と、酸化物半導体層1506上に設けられたゲート絶縁層1508と、ゲート絶縁層1508を介して酸化物半導体層1506と重畳して設けられたゲート電極1510と、ゲート電極1510の側面と接して設けられた側壁絶縁層1512と、少なくとも低抵抗領域1506bと接して設けられた一対の電極1514と、少なくとも酸化物半導体層1506、ゲート電極1510および一対の電極1514を覆って設けられた層間絶縁層1516と、層間絶縁層1516に設けられた開口部を介して少なくとも一対の電極1514の一方と接続して設けられた配線1518を有する。
【0157】
図12に示すコプラナー型のトランジスタの酸化物半導体層1506としては、先の実施の形態にて記載した酸化物半導体層302と同じ材料を用いることができる。また、その他の構成要素については、公知の技術および材料を用いて適宜形成すればよい。
【0158】
なお、図示しないが、層間絶縁層1516および配線1518を覆って設けられた保護膜を有していても構わない。該保護膜を設けることで、層間絶縁層1516の表面伝導に起因して生じる微小リーク電流を低減することができ、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0159】
本実施の形態により作製されるOSトランジスタはオフ電流が極めて小さく、また、高い電界効果移動度を有している。なお、本実施の形態にて用いた酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
【0160】
半導体本来の移動度をμ、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、以下の式にて表現できる。
【0161】
【数2】

【0162】
ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、以下の式にて表現できる。
【0163】
【数3】

【0164】
ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。
線形領域におけるドレイン電流Iは、以下の式にて表現できる。
【0165】
【数4】

【0166】
ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vはドレイン電圧である。上式の両辺をVgで割り、更に両辺の対数を取ると、以下の式のようになる。
【0167】
【数5】

【0168】
数5の右辺はVの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(Id/Vg)、横軸を1/Vgとして実測値をプロットして得られるグラフの直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのI―V特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
【0169】
このようにして求めた欠陥密度等をもとに数2および数3よりμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は40cm/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
【0170】
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁物との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁物界面からxだけ離れた場所における移動度μは、以下の式にて表現できる。
【0171】
【数6】

【0172】
ここで、Dはゲート方向の電界、B、lは定数である。Bおよびlは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、l=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と数6の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
【0173】
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネルに用いたトランジスタの移動度μを計算した結果を図7に示す。なお、計算にはシノプシス社製ソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
【0174】
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁物の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長およびチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
【0175】
図7で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
【0176】
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図8乃至図10に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図11に示す。図11に示すトランジスタは酸化物半導体層にnの導電型を呈する半導体領域1403aおよび半導体領域1403cを有する。半導体領域1403aおよび半導体領域1403cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
【0177】
図11(A)に示すトランジスタは、下地絶縁層1401と、下地絶縁層1401に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁層1402の上に形成される。トランジスタは半導体領域1403a、半導体領域1403cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の半導体領域1403bと、ゲート電極1405を有する。ゲート電極1405の幅を33nmとする。
【0178】
ゲート電極1405と半導体領域1403bの間には、ゲート絶縁層1404を有し、また、ゲート電極1405の両側面には側壁絶縁層1406aおよび側壁絶縁層1406b、ゲート電極1405の上部には、ゲート電極1405と他の配線との短絡を防止するための絶縁物1407を有する。側壁絶縁層の幅は5nmとする。また、半導体領域1403aおよび半導体領域1403cに接して、ソース1408aおよびドレイン1408bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
【0179】
図11(B)に示すトランジスタは、下地絶縁層1401と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁層1402の上に形成され、半導体領域1403a、半導体領域1403cと、それらに挟まれた真性の半導体領域1403bと、幅33nmのゲート電極1405とゲート絶縁層1404と側壁絶縁層1406aおよび側壁絶縁層1406bと絶縁物1407とソース1408aおよびドレイン1408bを有する点で図11(A)に示すトランジスタと同じである。
【0180】
図11(A)に示すトランジスタと図11(B)に示すトランジスタの相違点は、側壁絶縁層1406aおよび側壁絶縁層1406bの下の半導体領域の導電型である。図11(A)に示すトランジスタでは、側壁絶縁層1406aおよび側壁絶縁層1406bの下の半導体領域はnの導電型を呈する半導体領域1403aおよび半導体領域1403cであるが、図11(B)に示すトランジスタでは、真性の半導体領域1403bである。すなわち、半導体領域1403a(半導体領域1403c)とゲート電極1405がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域と言い、その幅Loffをオフセット長という。図から明らかなように、オフセット長は、側壁絶縁層1406a(側壁絶縁層1406b)の幅と同じである。
【0181】
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製ソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図8は、図11(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(Id、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(Vg、ゲートとソースの電位差)依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
【0182】
図8(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図8(B)は10nmとしたものであり、図8(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流Id(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流Id(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0183】
図9は、図11(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図9(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図9(B)は10nmとしたものであり、図9(C)は5nmとしたものである。
【0184】
また、図10は、図11(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図10(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図10(B)は10nmとしたものであり、図10(C)は5nmとしたものである。
【0185】
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
【0186】
なお、移動度μのピークは、図8では80cm/Vs程度であるが、図9では60cm/Vs程度、図10では40cm/Vs程度と、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流もオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
【0187】
以上が、先の実施の形態にて記載した、第1のトランジスタ100やスイッチング素子140に用いることのできるOSトランジスタの作製方法およびOSトランジスタの諸特性について説明である。
【0188】
(実施の形態4)
本実施の形態では、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜についての説明を行う。
【0189】
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0190】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0191】
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
【0192】
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0193】
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0194】
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態で説明した記憶装置を電子機器に適用する場合について、図6を用いて説明する。本実施の形態では、携帯型の情報端末(携帯電話、携帯型ゲーム機、音響再生装置なども含む)、電子ペーパー、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルカメラなどの電子機器に、上述の半導体装置を適用する場合について説明する。
【0195】
図6(A)は、携帯型の情報端末であり、筐体901、筐体902、第1の表示部903a、第2の表示部903bなどによって構成されている。筐体901と筐体902の少なくとも一部には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたノート型のパーソナルコンピュータが実現される。筐体901、筐体902の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された電子書籍が実現される。
【0196】
なお、第1の表示部903aおよび第2の表示部903bはタッチ入力機能を有するパネルとなっており、例えば図6(A)の左図のように、第1の表示部903aに表示される選択ボタン904により入力方法を選択できる。選択ボタンは様々な大きさで表示できるため、幅広い世代の人が使いやすさを実感できる。ここで、例えば「キーボード入力」を選択した場合、図6(A)の右図のように第1の表示部903aにはキーボード905が表示される。これにより、従来の情報端末と同様に、キー入力による素早い文字入力などが可能となる。
【0197】
また、図6(A)に示す携帯型の情報端末は、図6(A)の右図のように、第1の表示部903aを備える筐体901と、第2の表示部903bを備える筐体902を分離することができる。このため、必要に応じて筐体901のみ、または筐体902のみを取り外して、より軽量な携帯型の情報端末として用いることができる。
【0198】
図6(A)に示す携帯型の情報端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報を操作又は編集する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。
【0199】
また、図6(A)に示す携帯型の情報端末は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0200】
さらに、図6(A)に示す筐体902にアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話として用いてもよい。
【0201】
図6(B)は、電子ペーパーを実装した電子書籍であり、筐体911と筐体912の2つの筐体で構成されている。筐体911および筐体912には、それぞれ表示部913および表示部914が設けられている。筐体911と筐体912は、軸部915により接続されており、該軸部915を軸として開閉動作を行うことができる。また、筐体911は、電源916、操作キー917、スピーカー918などを備えている。筐体911、筐体912の少なくとも一には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減された電子書籍が実現される。
【0202】
図6(C)は、テレビジョン装置であり、筐体921、表示部922、スタンド923などで構成されている。テレビジョン装置の操作は、筐体921が備えるスイッチや、リモコン操作機924により行うことができる。筐体921およびリモコン操作機924には、先の実施の形態に示す半導体装置が搭載されている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたテレビジョン装置が実現される。
【0203】
図6(D)は、デジタルカメラであり、本体931、操作スイッチ932、バッテリー933などを備えており、また、背面には表示部(本体の裏面にあるため図示しない)などを備えている。本体931内には、先の実施の形態に示す半導体装置が設けられている。そのため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減されたデジタルカメラが実現される。
【0204】
以上のように、本実施の形態に示す電子機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が搭載されている。このため、消費電力を低減した電子機器が実現される。
【符号の説明】
【0205】
100 第1のトランジスタ
102 容量素子
104 フローティングノード
110 保持回路
120 第1の演算回路
122 第2のトランジスタ
124 第3のトランジスタ
130 第2の演算回路
132 第4のトランジスタ
134 第5のトランジスタ
135 比較回路
140 スイッチング素子
151 第1の入力信号線
152 第2の入力信号線
153 第1の制御信号線
154 第2の制御信号線
155 出力信号線
160 点線四角部
162 点線四角部
164 点線四角部
180 半導体装置
300 基板
302 酸化物半導体層
304a ソース電極(またはドレイン電極)
304b ドレイン電極(またはソース電極)
306 ゲート絶縁層
308 ゲート電極
310 絶縁膜
500 検出回路
901 筐体
902 筐体
903a 第1の表示部
903b 第2の表示部
904 選択ボタン
905 キーボード
911 筐体
912 筐体
913 表示部
914 表示部
915 軸部
916 電源
917 操作キー
918 スピーカー
921 筐体
922 表示部
923 スタンド
924 リモコン操作機
931 本体
932 操作スイッチ
933 バッテリー
1401 下地絶縁層
1402 埋め込み絶縁層
1403a 半導体領域
1403b 半導体領域
1403c 半導体領域
1404 ゲート絶縁層
1405 ゲート電極
1406a 側壁絶縁層
1406b 側壁絶縁層
1407 絶縁物
1408a ソース
1408b ドレイン
1500 基板
1502 下地絶縁層
1504 保護絶縁層
1506 酸化物半導体層
1506a 高抵抗領域
1506b 低抵抗領域
1508 ゲート絶縁層
1510 ゲート電極
1512 側壁絶縁層
1514 電極
1516 層間絶縁層
1518 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶データの入力制御を行う第1のトランジスタおよび前記記憶データを保持する容量素子を備える保持回路と、
前記記憶データと参照データが一致するか否かを比較する第1の演算回路および第2の演算回路を備える比較回路と、
前記第1の演算回路および前記第2の演算回路の動作状態を制御するスイッチング素子と、
前記記憶データを前記保持回路に入力する第1の入力信号線と、
前記参照データを前記第1の演算回路および前記第2の演算回路に入力する第2の入力信号線と、
前記第1のトランジスタの動作制御信号を入力する第1の制御信号線と、
前記スイッチング素子の動作制御信号を入力する第2の制御信号線と、
前記スイッチング素子を介して前記第1の演算回路および前記第2の演算回路に電気的に接続された出力信号線を備え、
前記第1のトランジスタの半導体層は酸化物半導体材料を含み、
前記保持回路は前記第1の演算回路および前記第2の演算回路に電気的に接続され、
前記第1の演算回路、または、前記第2の演算回路の少なくとも一方で演算結果が一致し、かつ、前記スイッチング素子が導通状態の場合において、前記出力信号線の電位が変動する半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチング素子が、酸化物半導体材料を含む半導体層を備えるトランジスタである半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において
前記第1の演算回路は、第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタと異なるチャネルタイプの第3のトランジスタを備え、
前記第2の演算回路は、前記第2のトランジスタと異なるチャネルタイプの第4のトランジスタと、前記第4のトランジスタと異なるチャネルタイプの第5のトランジスタを備え、
前記第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方は、前記第1の入力信号線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は前記容量素子の電極の一方、前記第3のトランジスタのゲート電極および前記第5のトランジスタのゲート電極と電気的に接続され、
前記容量素子の電極の他方は第1の固定電位に接続され、
前記第2のトランジスタのゲート電極および前記第4のトランジスタのゲート電極は前記第2の入力信号線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方は、前記スイッチング素子と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は、前記第3のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は、第2の固定電位と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方は、前記スイッチング素子と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は、前記第5のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の一方と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース電極またはドレイン電極の他方は、前記第2の固定電位と電気的に接続され、
前記第1の演算回路、または、前記第2の演算回路の少なくとも一方で演算結果が一致し、かつ、前記スイッチング素子が導通状態の場合において、前記出力信号線に信号を出力する半導体装置。
【請求項4】
マトリクス状に配置された、請求項1乃至請求項3のいずれか一の半導体装置と、
前記半導体装置の出力信号線の電位変化を検出する検出回路を有し、
前記検出回路で電位の変化が検出された場合、前記検出回路は第1の信号を出力し、
前記検出回路で電位の変化が検出されない場合、前記検出回路は前記第1の信号とは異なる第2の信号を出力する記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−256409(P2012−256409A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−107725(P2012−107725)
【出願日】平成24年5月9日(2012.5.9)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】