半導体装置の製造方法
【課題】低誘電率層間絶縁膜と多層配線とを備える半導体装置において、低誘電率層間絶縁膜の表面が雰囲気に露出して吸湿するのを防止し、また、金属配線の界面及び低誘電率層間絶縁膜がコンタクトホール内に露出してオーバーエッチングされるのを防止することを目的とする。
【解決手段】水分の透過を防止しつつエッチングストッパとしても機能するエッチング防止膜14を低誘電率層間絶縁膜3の表面に形成し、更に、水分の透過を防止しつつエッチングストッパとしても機能するエッチング防止膜6を形成して、吸湿防止効果を有するエッチング防止膜を二重にする。
【解決手段】水分の透過を防止しつつエッチングストッパとしても機能するエッチング防止膜14を低誘電率層間絶縁膜3の表面に形成し、更に、水分の透過を防止しつつエッチングストッパとしても機能するエッチング防止膜6を形成して、吸湿防止効果を有するエッチング防止膜を二重にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンタクトホールを介して相互に接続された上層配線及び下層配線と配線間を絶縁する層間絶縁膜とを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サブクォーターミクロン世代以降のロジックデバイスにおいてデバイスの高速化を実現するためには、デバイスの信号遅延を低減することが重要である。デバイスの信号遅延はトランジスタにおける遅延と配線における遅延との和で表わされるが、配線ピッチの縮小が進むにつれて、トランジスタでの信号遅延よりも配線での信号遅延の影響の方が大きくなっている。配線での信号遅延は配線の抵抗と層間絶縁膜の容量との積に比例するため、これを低減させるには、配線抵抗または層間絶縁膜容量を低減することが必要となる。
【0003】
その目的を達成するための試みの一つとして、例えば銅配線の形成の研究が盛んに行われている。配線材料として銅を用いることにより、更なる配線抵抗の低下が期待できるからである。
【0004】
また、現在ではこのような配線は多層化しており、埋め込み配線プロセスにより形成されることが多い。埋め込み配線プロセスとは、最初に層間絶縁膜となる層を形成してその層に予め配線溝とコンタクトホールとを作り込んでおき、後に配線溝とコンタクトホールの中に金属を埋め込んで表面の平坦化処理をすることで配線を形成する方法のことである。
【0005】
また、信号遅延低減のためのその他の試みとして低誘電率層間絶縁膜(以下、低誘電率膜と略す)の研究が盛んに行われている。例えば、従来の代表的な層間絶縁膜であるシリコン酸化膜に代わってシリコンフッ化酸化膜を層間絶縁膜として採用すると、層間絶縁膜の比誘電率が低下する。すると、層間絶縁膜の容量値が減少するので信号遅延を低減することが可能となる。現在、様々な物質がこのような低誘電率膜の候補として研究の対象となっている。
【0006】
上記の埋め込み配線プロセス及び低誘電率膜を、多層配線の形成に適用した例について以下で説明する。
【0007】
図10は、第1層金属配線105及び第2層金属配線110からなる多層配線構造と低誘電率膜103,107とを備える半導体装置D3について示している。半導体装置D3は基板101を備え、基板101の表面には下部絶縁層102が形成されている。なお、基板101の表面及び下部絶縁層102の内部にはトランジスタ等の素子や基板上の配線等が形成されているが、図示を省略している。また、下部絶縁層102の表面には第1の低誘電率膜103が形成されている。
【0008】
第1の低誘電率膜103の内部には第1層金属配線105が、下部絶縁層102の表面に接触しつつ、第1の低誘電率膜103の表面に露出して、水平方向に間隔を置いて複数形成されている。第1層金属配線105及び第1の低誘電率膜103の表面には、エッチング防止機能を有する層間絶縁膜(以下、エッチング防止膜と記す、なおエッチング防止膜の必要性については後述)106が形成されている。
【0009】
エッチング防止膜106の表面には第2の低誘電率膜107が形成され、また、第2の低誘電率膜107及びエッチング防止膜106にはコンタクトホール111A及び紙面垂直方向に延在する溝111Bが形成されている。コンタクトホール111A及び溝111Bには、それぞれ金属プラグ109及び第2層金属配線110が形成されており、両者は連続している。なお、微細化のために第1層金属配線105の幅W5と金属プラグ109の幅W9とはほぼ同程度に設計され、幅W5は幅W9に比べ充分に大きくとることはできない。また、図10では金属プラグ109の位置が、エッチング防止膜106の面内方向において第1層金属配線105の位置と一致しておらず、アライメントがずれた状態でコンタクトホール111Aが形成された場合を示しているが、後に半導体装置D3の問題点を説明する際の便宜を図ったためである。
【0010】
この図10に示した構造を形成する方法について図11〜16を用いて説明する。まず、基板101の表面に各素子(図示せず)を形成した後、下部絶縁層102を形成する。次に、下部絶縁層102の表面に第1の低誘電率膜103を形成する(図11)。そして、第1の低誘電率膜103のうち第1層金属配線105を形成すべき部分をフォトリソグラフィ技術によりエッチングする。その後、第1層金属配線105の材料となる金属の膜を第1の低誘電率膜103の表面に形成し、第1の低誘電率膜103のエッチングされた部分を充分に埋める。更に金属の表面を平坦化し、第1の低誘電率膜103のエッチングされた部分のみに残置して第1層金属配線105を形成する(図12)。
【0011】
次に、第2の低誘電率膜107に対してエッチング選択性を有する(即ち第2の低誘電率膜107のエッチングに対するストッパとして機能する)絶縁膜を、エッチング防止膜106として第1の低誘電率膜103及び第1層金属配線105の表面に形成し、更にその上に第2の低誘電率膜107を形成する(図13)。そして、第2の低誘電率膜107の内部にコンタクトホール111Aをフォトリソグラフィ技術により形成する。このとき、エッチング防止膜106が第2の低誘電率膜107に対してエッチング選択性を有するので、コンタクトホール111Aの形成時にエッチングがエッチング防止膜106のところまで進行した時点で自動的にエッチング速度が低下し、エッチングを停止することができる。
【0012】
ここでもし仮にエッチング防止膜106がなければ、エッチングが停止せず第1の低誘電率膜103までもがエッチングされてしまう可能性がある。半導体装置の微細化が進む今日においては、下層配線を幅広く形成して、上層配線のアライメントマージンを充分に取ることは困難である。よって現在では、上述のように配線の幅とコンタクトホールの径とを同程度の大きさに設計することが多い。すると、フォトリソグラフィ技術によるコンタクトホール形成の際にフォトマスクのアライメントがずれた場合、下層配線の位置とコンタクトホールの位置とが完全には重なり合わず、コンタクトホール内に下層配線の周囲の層間絶縁膜が露出することになる。そうすれば、第2の低誘電率膜107だけでなく第1の低誘電率膜103までもがエッチングされてしまいかねない。
【0013】
また、第1層金属配線105に銅等を採用した場合、第2の低誘電率膜107を堆積またはエッチングした際に第1層金属配線105が酸化してしまうこともある。しかし、エッチング防止膜106が存在すれば、そのような事態を防ぐことが可能となる。
【0014】
以上がエッチング防止膜106の必要な理由である。なお、エッチング防止膜106の材料には、例えばシリコン窒化膜が採用される。
【0015】
その後、溝111Bも同様にフォトリソグラフィ技術によって形成する(図14)。このときもエッチング防止膜106が存在するので第1の低誘電率膜103と第1層金属配線105とに影響を与えることはない。
【0016】
続いて、コンタクトホール111A内に露出したエッチング防止膜106をエッチングし、第1層金属配線105をコンタクトホール111Aに露出させる(図15)。そして、金属プラグ109及び第2層金属配線110の材料となる金属の膜を第2の低誘電率膜107の表面に形成し、コンタクトホール111A及び溝111Bを充分に埋める。そして金属の表面を平坦化して、コンタクトホール111A及び溝111Bのみに残置し、金属プラグ109及び第2層金属配線110を形成する(図16)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平6−13470号公報
【特許文献2】特開平8−264644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
低誘電率膜には以下に示す課題が存在している。
【0019】
(1)低誘電率膜は一般に膜の密度が低いため、湿気を含んだ雰囲気にその表面が曝されると雰囲気中の水分を吸湿しやすい。水の分子は常態でも僅かに分極しているため、膜中に取りこまれると低誘電率膜の比誘電率を上昇させてしまうという弊害をもたらす。
【0020】
(2)低誘電率膜は一般に、シリコン酸化膜に比較して膜のエッチング速度が速く、エッチングの制御が難しい。
【0021】
図10に示した半導体装置D3、並びに図11〜16に示した半導体装置D3の製造方法において、これらの課題が問題となる。
【0022】
まず(1)の課題については、半導体装置D3の製造方法によると、第1の低誘電率膜103の表面及び第2の低誘電率膜107の表面が雰囲気に露出する時間(第1の低誘電率膜103の場合はエッチング防止膜106が形成されるまでの時間、第2の低誘電率膜107の場合は図16の段階の後に何らかの膜がその表面に形成されるまでの時間)が長いので吸湿しやすい。ちなみに、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜やシリコン窒化膜等は水分を透過させにくいので、第1の低誘電率膜103についていえば、エッチング防止膜106にそれらいずれかの膜を採用することで、以降の吸湿を防止することは可能である。
【0023】
また、第1層金属配線105または第2層金属配線110を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合には、水分を第1の低誘電率膜103または第2の低誘電率膜107に浴びせることになるので、その場合にも(1)の課題が問題となる。
【0024】
また(2)の課題については、半導体装置D3を製造する工程中、エッチング防止膜106を除去する際に第1の低誘電率膜103をオーバーエッチングしてしまう可能性があるという点で問題となる。図17は当該問題を示す断面図である。コンタクトホール111A及び溝111Bの形成時にはエッチング防止膜106があるので第1の低誘電率膜103はエッチングの影響を受けないものの、エッチング防止膜106自身を除去する際には、図17に示すように第1の低誘電率膜103がエッチングされやすく、オーバーエッチングによる窪み103Aを生じやすいからである。このような窪み103Aが生じると、コンタクトホール111Aに金属プラグ109を形成する際に金属膜の埋め込み不良が生じやすく、その結果、半導体装置の歩留まり低下の原因となる。例えば、コンタクトホール111Aの内部にバリアメタル(図示せず)を形成する場合、埋め込み不良のためバリアメタルの形成が不完全になり、配線金属が層間絶縁膜にスパイクを発生させて絶縁性を阻害しやすいからである。
【0025】
これらの課題を解決し得る技術として、特許文献1に開示された技術がある。この技術を半導体装置D4として、図18〜23を用いて説明する。図18は半導体装置D4の構造を示したものであり、半導体装置D4は半導体装置D3と同様、基板101、下部絶縁層102、第1の層間絶縁膜203、第1層金属配線105、第2の層間絶縁膜207、コンタクトホール111A、溝111B、金属プラグ109及び第2層金属配線110を備えている(なお、この技術では層間絶縁膜に低誘電率膜を採用しているわけではないので、区別するために、半導体装置D3における第1の低誘電率膜103を第1の層間絶縁膜203に、第2の低誘電率膜107を第2の層間絶縁膜207に、それぞれ変更している)。しかし半導体装置D4では、半導体装置D3と異なりエッチング防止膜106が形成されていない。その代わりに、第1の層間絶縁膜203の上には第1層金属配線105の表面と同一平面内にある表面を有する第1のエッチング防止膜104が、第2の層間絶縁膜207の上には第2層金属配線110の表面と同一平面内にある表面を有する第2のエッチング防止膜108が、それぞれ形成されている。
【0026】
また、図19〜23は半導体装置D4の製造方法を示したものである。まず、図11と同様、基板101の表面に各素子(図示せず)を形成した後、下部絶縁層102、第1の層間絶縁膜203を形成する。そして、第1の層間絶縁膜203の表面に第1のエッチング防止膜104を形成する(図19)。そして、第1の層間絶縁膜203及び第1のエッチング防止膜104のうち、第1層金属配線105を形成すべき部分をフォトリソグラフィ技術によりエッチングする。その後、第1層金属配線105の材料となる金属の膜を第1のエッチング防止膜104の表面に形成し、エッチングされた部分を充分に埋める。更に金属の表面を平坦化して、エッチングされた部分にのみ金属を残置して第1層金属配線105を形成する(図20)。
【0027】
次に、第2の層間絶縁膜207を形成し、さらにその表面に第2のエッチング防止膜108を形成する(図21)。そして、第2の層間絶縁膜207及び第2のエッチング防止膜108の内部にコンタクトホール111A及び溝111Bをフォトリソグラフィ技術により形成する(図22)。そして、金属プラグ109及び第2層金属配線110の材料となる金属の膜を、第2のエッチング防止膜108の表面に形成し、コンタクトホール111A及び溝111Bを充分に埋める。そして金属の表面を平坦化して、コンタクトホール111A及び溝111Bのみに残置し、金属プラグ109及び第2層金属配線110を形成する(図23)。
【0028】
このような半導体装置D4を用いれば、第1のエッチング防止膜104の表面が第1層金属配線の表面と同一平面内に存在するので、半導体装置D3のように、コンタクトホール111Aを形成した際に第1の層間絶縁膜203が露出することがない。よって、半導体装置D3の場合のエッチング防止膜106の除去の際に生じていた窪み103Aは、生じにくい。
【0029】
また、半導体装置D4の製造方法によれば、第1の層間絶縁膜203の形成に続いて第1のエッチング防止膜104が形成され、第2の層間絶縁膜207の形成に続いて第2のエッチング防止膜108がその表面に形成されるので、第1の層間絶縁膜203の表面及び第2の層間絶縁膜207の表面が雰囲気に露出する時間が短く、吸湿しにくい。さらに、第1層金属配線105または第2層金属配線110を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合、第1のエッチング防止膜104または第2のエッチング防止膜108が存在するので、水分が第1の層間絶縁膜203または第2の層間絶縁膜207に直接触れることはなく、第1の層間絶縁膜203及び第2の層間絶縁膜207が吸湿しにくい。
【0030】
しかしながら半導体装置D4であっても、半導体装置D3に比べれば窪み103Aは生じにくいものの、コンタクトホール111Aの形成の際に第1層金属配線105と第1のエッチング防止膜104との界面104Aが露出してエッチャントに曝されるので、窪み103Aの発生を充分に抑制できるわけではない。通常、コンタクトホールは半導体装置D4において広く分布しており、また、各領域によって微妙に表面の高さの高低差があるため、コンタクトホール111Aの形成時にはコンタクトを確実にするためにエッチング時間は長めに設定されることが多い。すると、たとえエッチング防止膜104が形成されていても、エッチング時間が長いために実際には界面104Aにエッチャントがしみ込んで窪み103Aを発生させやすい。これは、エッチング防止膜104をたとえ厚く形成したとしても解決しがたい問題である。
【0031】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、低誘電率膜と多層配線とを備える半導体装置において、低誘電率膜がコンタクトホール内に露出してオーバーエッチングされるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
この発明にかかる半導体装置の製造方法の第1の態様は、基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、第一異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出するような第一ビアホールを形成する工程と、第二異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられ、上記第一ビアホールと連通するような第二溝を形成する工程と、第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有する。
【0033】
上記第一異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出される。上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜である。上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚い。上記第一ビアによって上記第一配線と上記第二配線が接続される。
【0034】
この発明にかかる半導体装置の製造方法の第2の態様は、基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、第一異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられるような第二溝を形成する工程と、第二異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出し、上記第二溝と連通するような第一ビアホールを形成する工程と、第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有する。
【0035】
上記第二異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出される。上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜である。上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚い。上記第一ビアにより上記第一配線と上記第二配線が接続される。
【0036】
望ましくは、上記第二層間絶縁膜と上記第四層間絶縁膜の材料は同一であり、上記第三層間絶縁膜と上記第五層間絶縁膜の材料は同一である。
【0037】
更に望ましくは、上記第二層間絶縁膜は水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、ポリアリルエーテル、ベンゾシクロブテン、ポリテトラフロロエチレン、ポーラスシリカであるキセロゲル、ポーラスシリカであるエアロゲル、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、及びパリレンから選択された一つの材料を含み、上記第三層間絶縁膜はシリコン酸化膜である。
【0038】
更に望ましくは、上記第二層間絶縁膜の比誘電率は1.8〜3.0の範囲であり、上記第一絶縁膜はシリコンと窒素の化合物で構成された絶縁膜である。
【0039】
あるいは望ましくは、上記第一溝を形成する工程と上記第一金属を埋め込む工程との間に、第一熱処理を行って上記配線溝の表面から水分を飛ばす工程と、上記第一配線表面を露出させる工程と上記第二金属を埋め込む工程との間に、第二熱処理を行って上記第二溝表面及び上記第一ビアホール表面から水分を飛ばす工程とを更に有する。
【0040】
あるいは望ましくは、上記第三層間絶縁膜と上記第一絶縁膜は上記第二層間絶縁膜よりも水分の透過防止機能が高い。
【0041】
あるいは望ましくは、上記第一エッチングでは、上記第一絶縁膜のエッチングレートよりも上記第三層間絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。
【発明の効果】
【0042】
この発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、第一ビアホールと第二溝を形成した後、第一ビアホール底の露出した第一絶縁膜に対して第一エッチングを施して第一配線表面を露出するので、第一絶縁膜を薄くして第一エッチングの時間を短くすることができる。よって第二溝内及び第一ビアホール内に第二金属を埋め込む第一ビアホールの合わせズレが起きた際の第一エッチングによるオーバーエッチによって第二層間膜が大きくオーバーエッチされる不具合を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態1の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図3】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図12】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図13】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図16】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図17】従来の半導体装置の問題点を示す断面図である。
【図18】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図19】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図20】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図21】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図22】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図23】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる半導体装置D1の構造を示す断面図である。半導体装置D1は、金属プラグ9を介して接続された第1層金属配線5と第2層金属配線10とからなる多層配線構造を備える。この多層配線構造を構成する金属には、例えば銅が用いられる。半導体装置D1は更に基板1を備え、基板1の表面には下部絶縁層2が形成されている。なお、基板1の表面及び下部絶縁層2の内部にはトランジスタ等の素子や基板上の配線等が形成されているが、図示を省略している。
【0045】
下部絶縁層2の表面には第1の低誘電率膜3が形成されている。低誘電率膜の材料としては例えば、水素化シルセスキオキサン(Hydrogen Silsesquioxane)、メチルシルセスキオキサン(Methyl Silsesquioxane)、ポリアリルエーテル(Polyarylether)、ベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)、ポリテトラフロロエチレン(Polytetrafluoroethylene)や、ポーラスシリカであるキセロゲル(Xerogel)、エアロゲル(Aerogel)等の回転塗布法で形成される材料や、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、パリレン(Parylene)等のCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成される材料が適用可能である。このような低誘電率膜の比誘電率は1.8〜3.0程度である。本実施の形態においては、例えばポリアリルエーテル(以下、PAEと記す)を第1の低誘電率膜3に使用する。PAEは炭素、酸素、水素を主成分とする有機物である。
【0046】
さらに本実施の形態では、第1の低誘電率膜3の表面に第1のエッチング防止膜4が形成されている。この第1のエッチング防止膜4は、水分の透過を防止する膜であり、第1の低誘電率膜3が外部から水分を吸湿するのを防止する機能を備えている。第1のエッチング防止膜4の材料には、例えばシリコン酸化膜が採用される。また、第1の低誘電率膜3及び第1のエッチング防止膜4の内部には第1層金属配線5が、下部絶縁層2の表面に接触しつつ、第1のエッチング防止膜4の表面に露出して、水平方向に間隔を置いて複数形成されている。
【0047】
第1層金属配線5及び第1のエッチング防止膜4の表面には、第2のエッチング防止膜6が形成されている。つまり、本発明ではエッチング防止膜を二重に設けている。第2のエッチング防止膜6には、第1のエッチング防止膜4の材料に対しエッチング選択性を有し、かつ、水分の透過を防止する材料が採用される。第1のエッチング防止膜4にシリコン酸化膜を採用した場合には、この第2のエッチング防止膜6に例えばシリコン窒化膜が採用される。
【0048】
第2のエッチング防止膜6の表面には第2の低誘電率膜7が形成され、また、第2の低誘電率膜7の表面には第3のエッチング防止膜8が形成されている。第2の低誘電率膜7の材料には、例えば第1の低誘電率膜3と同様、PAEが採用される。また第3のエッチング防止膜8は、水分の透過を防止する機能を備えている。第3のエッチング防止膜8には例えば、第1のエッチング防止膜4と同様、シリコン酸化膜が採用される。
【0049】
そして、第2の低誘電率膜7及び第2のエッチング防止膜6に形成されたコンタクトホール11Aには、金属プラグ9が形成されている。また、第2の低誘電率膜7及び第3のエッチング防止膜8に形成され、紙面垂直方向に延在する溝11Bには、第2層金属配線10が形成されている。
【0050】
本実施の形態にかかる半導体装置では、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6とが形成されて二重のエッチング防止膜となっている。よって、コンタクトホール11Aの形成時には、たとえエッチング時間が長い場合であっても第2の低誘電率膜7のエッチングについては、第2のエッチング防止膜6が形成されているのでエッチングを一旦停止できる。このとき、第1層金属配線5と第1のエッチング防止膜4との界面4A及び第1の低誘電率膜3は、第2のエッチング防止膜6に覆われているのでコンタクトホール11A内に露出する可能性は低い。また、コンタクトを取るためにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6を除去する際には、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間にエッチング選択性があり、また、第2の低誘電率膜7をエッチングする場合とは異なって第2のエッチング防止膜6のエッチング時間を長くとる必要はないので、界面4Aが露出しても、半導体装置D3の場合のように第1の低誘電率膜3に対してオーバーエッチングして窪みを発生させてしまう可能性は低い。よって、コンタクトホール11A内で金属プラグ9の埋め込み不良が生じにくい構造であり、半導体装置としての信頼性が高い。
【0051】
また、第1の低誘電率膜3については、その表面に第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6とが二重に形成されており、それぞれが水分の透過を防止する機能を備えているので、吸湿する可能性が少ない。また、第2の低誘電率膜7についても、その表面に水分の透過を防止する第3のエッチング防止膜8が形成されているので、吸湿する可能性が少ない。よって、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7の比誘電率を増大させない。
【0052】
なお図示してはいないが、第2層金属配線10及び第3のエッチング防止膜8の表面に更に、第2のエッチング防止膜6と同様の第4のエッチング防止膜、第2の低誘電率膜7と同様の第3の低誘電率膜、第3のエッチング防止膜8と同様の第5のエッチング防止膜、金属プラグ9と同様の金属プラグ、第2層金属配線10と同様の第3層金属配線が、それぞれ形成されていてもよい。
【0053】
その場合、第3のエッチング防止膜8と第4のエッチング防止膜との間のエッチング選択性の関係が、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間のエッチング選択性の関係と同様になるので、第2の低誘電率膜7に窪みを発生させる可能性は低い。また、第2の低誘電率膜7の表面に第3のエッチング防止膜8と第4のエッチング防止膜とが二重に形成されていることになり、それぞれが水分の透過を防止する機能を備えているので、第2の低誘電率膜7が吸湿する可能性が少ない。また、第3の低誘電率膜についても、その表面に水分の透過を防止する第5のエッチング防止膜が形成されているので、吸湿する可能性が少ない。
【0054】
もちろん、このような層構造がさらに繰り返し形成されていてもよく、その場合も各層ごとに同様の効果がある。一般的に表現すれば、第N(N≧1)層金属配線の表面及び第(2N−1)のエッチング防止膜の表面に更に、第(2N)のエッチング防止膜と第(N+1)の低誘電率膜と第(2N+1)のエッチング防止膜とがこの順に形成され、それらの内部に金属プラグと第(N+1)層金属配線とが形成された構造とすればよい。
【0055】
また、図2は本実施の形態の変形にかかる半導体装置D2の構造を示す断面図である。このように、第1のエッチング防止膜4及び第3のエッチング防止膜8を、それぞれ、より厚い第1のエッチング防止膜14及び第3のエッチング防止膜18として形成すれば、エッチング防止効果が高まり、それぞれの膜の直下の低誘電率膜に対してオーバーエッチングによる窪みを発生させてしまう可能性がより少なくなる。また、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7が吸湿する可能性もより少なくなる。
【0056】
なお、エッチング防止膜を二重に形成する例として、例えば特許文献2に記載の技術がある。図3は、この技術を半導体装置D3に適用した場合について示したものである(ただし、この技術は低誘電率膜を採用しているわけではないので、その点を区別するために第1及び第2の低誘電率膜103,107の代わりに、第1及び第2の層間絶縁膜203,207として示している。)。しかしこの技術によれば、第1の層間絶縁膜203の表面にではなく、第1層金属配線105の表面に、エッチング防止膜106と同じ材料のエッチング防止膜204を設ける点で本発明とは構成が異なる。このような相違は、この技術がコンタクトホール111A内のエッチング防止膜106を除去する際に同時にエッチング防止膜204を除去して、自己整合的に第1層配線105と金属プラグ109とのコンタクトをとるのを目的とすることに起因している。つまり第1の層間絶縁膜203の保護を目的とはしておらず、本願とは目的が異なっている。
【0057】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1にかかる半導体装置D1を製造する方法について示したものである。半導体装置D1を製造する方法について、図4〜9を用いて説明する。まず、基板1の表面に各素子(図示せず)を形成した後、その上に下部絶縁層2を形成する。次に、例えば回転塗布法によりPAE膜を第1の低誘電率膜3として下部絶縁層2の表面に形成し、続いて、例えばプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を第1のエッチング防止膜4として第1の低誘電率膜3の表面に形成する(図4)。
【0058】
そして、エッチング防止膜4及び第1の低誘電率膜3のうち、第1層金属配線5を形成すべき部分に対しフォトリソグラフィ技術を適用する。すなわち、第1のエッチング防止膜4の表面にレジストを形成してパターニングし、第1のエッチング防止膜4をエッチングする。第1のエッチング防止膜4の材料がシリコン酸化膜なので、例えばC4F8とArとの混合ガスを使用したプラズマエッチングを行えばよい。第1の低誘電率膜3が露出した後はエッチングガスを変更し、第1のエッチング防止膜4をマスクとして下部絶縁層2が露出するまで第1の低誘電率膜3をエッチングする。第1の低誘電率膜3の材料がPAEなので、例えば、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかをエッチングガスに用いればよい。これらの混合ガスはいずれも有機物をエッチングすることができるため、最初に第1のエッチング防止膜4上に形成したレジストもこのとき同時に除去できる。なお、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等は、これらの混合ガスではほとんどエッチングされないので、第1のエッチング防止膜4はエッチングの影響を受けることはほとんどない。
【0059】
この後、第1層金属配線5を形成するが、その前に、第1の低誘電率膜3がエッチングした部分の側壁から水分を吸湿している可能性があるので、熱処理を行い水分を放出させておく。
【0060】
そして、第1層金属配線5の材料となる金属膜を第1のエッチング防止膜4の表面に形成し、第1のエッチング防止膜4及び第1の低誘電率膜3のうちエッチングされた部分を充分に埋める。本実施の形態においては、例えばメッキ法により銅を埋め込む。その後、例えば化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を用いて第1のエッチング防止膜4上の不要な金属膜を除去し、その金属の表面を平坦化することで第1層金属配線5を形成する(図5)。なお、金属膜を埋め込むプロセスとしては、メッキ法の他に、スパッタ法で成膜した後に熱処理により金属膜を軟化させて埋め込むリフロー法や、CVD法等がある。また、金属膜の材料には銅の他に、Al合金等が採用されてもよい。
【0061】
次に、第1のエッチング防止膜4及び第1層金属配線5の表面に、例えばプラズマCVD法によりシリコン窒化膜を第2のエッチング防止膜6として形成する。更にエッチング防止膜6の表面に、例えば回転塗布法によりPAE膜を第2の低誘電率膜7として形成する。そして更に第2の低誘電率膜7の表面に、第2のエッチング防止膜6に対してエッチング選択性を有する第3のエッチング防止膜8を、例えばプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を第3のエッチング防止膜8として形成する(図6)。
【0062】
そして、第2の低誘電率膜7及び第3のエッチング防止膜8にコンタクトホール11A及び溝11Bを、フォトリソグラフィ技術により形成する。このとき、先にコンタクトホール11Aを形成してから溝11Bを形成する方法と、先に溝11Bを形成してからコンタクトホール11Aを形成する方法とがあるが、いずれを用いてもよい。以下では、例えば前者の方法を採用した場合について述べる。
【0063】
まず、第3のエッチング防止膜8の表面にレジストを形成してコンタクトホール11Aのパターニングをし、第3のエッチング防止膜8をエッチングする。第3のエッチング防止膜8の材料がシリコン酸化膜なので、第1のエッチング防止膜4と同様、例えばC4F8とArとの混合ガスを使用したプラズマエッチングを行えばよい。第2の低誘電率膜7が露出した後は、エッチングガスを変更し、第2のエッチング防止膜6が露出するまで第2の低誘電率膜7をエッチングする。第2の低誘電率膜7の材料がPAEなので、第1の低誘電率膜3と同様、例えば、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかをエッチングガスに用いればよい。これらの混合ガスはいずれも有機物をエッチングすることができるため、最初に第3のエッチング防止膜8上に形成したレジストもこのとき同時に除去できる。一方、これらの混合ガスは第2のエッチング防止膜6であるシリコン窒化膜をほとんどエッチングすることができないので、コンタクトホール11Aの形成は第2のエッチング防止膜6が露出すれば、停止する。
【0064】
次に、溝11Bについてもコンタクトホール11Aと同様にしてエッチングを行い、コンタクトホール11Aに連通し、第1の低誘電率膜3中に底を有するように形成する。つまり、第3のエッチング防止膜8の表面にレジストを形成して、溝11Bが形成済みのコンタクトホール11Aと交わるようにパターニングをし、第3のエッチング防止膜8をプラズマエッチングする。ただしこのとき、すでに第2のエッチング防止膜6であるシリコン窒化膜が露出しているので、第3のエッチング防止膜8であるシリコン酸化膜をエッチングする際に第2のエッチング防止膜6をエッチングしないようにしなければならない。そこで、シリコン酸化膜のエッチング速度とシリコン窒化膜のエッチング速度の比が、例えば10:1となるようにエッチング条件を調節しておく。例えば、先にも使用したC4F8とArとの混合ガスは、シリコン窒化膜に対して上記の条件を満たすよう調整できるので、同様にこのガスによるプラズマエッチングを行えばよい。
【0065】
そして、第2の低誘電率膜7が露出した後は、エッチングガスを、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかに変更し、所望の幅及び深さとなるまで第2の低誘電率膜7をエッチングして溝11Bを形成する(図7)。
【0066】
続いて今度は、第3のエッチング防止膜8はエッチングされずにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6のみがエッチングされる条件でエッチングを行う。そのために、シリコン酸化膜のエッチング速度とシリコン窒化膜のエッチング速度の比が、例えば1:10となるようにエッチング条件を調節しておく。例えば塩素と酸素との混合ガスを用いれば、上記の条件を満たすよう調整できるので、このガスによるプラズマエッチングを行えばよい。このようにして、コンタクトホール11A内に第1層金属配線5を露出させる(図8)。なお、塩素と酸素との混合ガスを用いれば、第2の低誘電率膜7は多少エッチングされてしまうので、溝11Bの幅は広がり、底面の高さは低くなる。よって予め、第2のエッチング防止膜6のエッチング時間や、そのときの第2の低誘電率膜7のエッチング速度等を考慮した上で、溝11Bの幅及び深さを決定しておけばよい。
【0067】
なお以上は、先にコンタクトホール11Aを形成してから溝11Bを形成する場合についての説明であったが、先に溝11Bを形成してからコンタクトホール11Aを形成する場合には、以下の点で工程がもう少し行いやすいものとなる。つまり、第1に、溝11Bの形成の際に第2のエッチング防止膜6が露出しないので、第3のエッチング防止膜8をエッチングしつつ第2のエッチング防止膜6はエッチングしないようにエッチング選択性を考慮する必要がなく、第2に、コンタクトホール11Aの形成のためには、溝11B内の第2の低誘電率膜7をパターニングしてエッチングするだけでよく、第3のエッチング防止膜8をエッチングする必要がないからである。
【0068】
ただしその場合は、コンタクトホール11Aのマスクパターンを、形成済みの溝11Bに合わせつつフォトリソグラフィを行う必要があるので、マスクのアライメント調整を慎重に行わなくてはならない。その点、先にコンタクトホール11Aを形成する場合には、多少のアライメントのずれは許容される。
【0069】
さてこの後、金属プラグ9及び第2層金属配線10を形成するが、その前に、第2の低誘電率膜7がコンタクトホール11A及び溝11Bの側壁部分から水分を吸湿している可能性があるので、熱処理を行い水分を放出させておく。
【0070】
そして、金属プラグ9及び第2層金属配線10の材料となる金属膜を、第3のエッチング防止膜8の表面に形成してコンタクトホール11A及び溝11Bを充分に埋め、その金属の表面を例えばCMP法により平坦化して金属をコンタクトホール11A及び溝11Bのみに残置し、金属プラグ9及び第2層金属配線10を形成する(図9)。
【0071】
なお、層構造の繰り返しを有する半導体装置を製造する場合には、以上の工程を繰り返せばよい。
【0072】
本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を用いれば、第2の低誘電率膜7のエッチングについては、第2のエッチング防止膜6が形成されているのでエッチングを一旦停止できる。このとき、コンタクトホール11Aがフォトマスクのアライメントのずれた状態で形成された場合であっても、第1層金属配線5と第1のエッチング防止膜4との界面4A及び第1の低誘電率膜3は、第2のエッチング防止膜6に覆われているのでコンタクトホール11A内に露出する可能性は低い。また、コンタクトを取るためにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6を除去する際には、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間にエッチング選択性があり、また、第2の低誘電率膜7をエッチングする場合とは異なって第2のエッチング防止膜6のエッチング時間を長くとる必要はないので、半導体装置D3の場合のように第1の低誘電率膜3に対してオーバーエッチングして窪みを発生させてしまう可能性が低い。
【0073】
また、第1の低誘電率膜3の形成に続いて第1のエッチング防止膜4が形成され、第2の低誘電率膜7の形成に続いて第2のエッチング防止膜8がその表面に形成されるので、第1の低誘電率膜3の表面及び第2の低誘電率膜7の表面が雰囲気に露出する時間が短く、吸湿しにくい。さらに、第1層金属配線5または第2層金属配線10を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合であっても、第1のエッチング防止膜4または第3のエッチング防止膜8が存在するので、水分が第1の低誘電率膜3または第2の低誘電率膜7に直接触れることはなく、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7が吸湿しにくい。
【0074】
また、コンタクトホール11Aを先に形成する場合には、第3のエッチング防止膜8が第2のエッチング防止膜6に対しエッチング選択性を有するので、エッチング条件を調整することで、第3のエッチング防止膜8の表面を溝11B形成用にパターニングする際には第3のエッチング防止膜8をエッチングしつつ第2のエッチング防止膜6はエッチングしないようにすることができる。一方、第2のエッチング防止膜6にエッチングを施して第1層金属配線5を露出させる際には第2のエッチング防止膜6をエッチングしつつ第3のエッチング防止膜8はエッチングしないようにすることができる。
【0075】
また、第1層金属配線5に銅等を採用した場合であっても、第2のエッチング防止膜6が存在するので、第1層金属配線5の酸化を防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 基板、2 下部絶縁層、3 第1の低誘電率膜、4 第1のエッチング防止膜、5 第1層金属配線、6 第2のエッチング防止膜、7 第2の低誘電率膜、8 第3のエッチング防止膜、9 金属プラグ、10 第2層金属配線、11A コンタクトホール、11B 溝。
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンタクトホールを介して相互に接続された上層配線及び下層配線と配線間を絶縁する層間絶縁膜とを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サブクォーターミクロン世代以降のロジックデバイスにおいてデバイスの高速化を実現するためには、デバイスの信号遅延を低減することが重要である。デバイスの信号遅延はトランジスタにおける遅延と配線における遅延との和で表わされるが、配線ピッチの縮小が進むにつれて、トランジスタでの信号遅延よりも配線での信号遅延の影響の方が大きくなっている。配線での信号遅延は配線の抵抗と層間絶縁膜の容量との積に比例するため、これを低減させるには、配線抵抗または層間絶縁膜容量を低減することが必要となる。
【0003】
その目的を達成するための試みの一つとして、例えば銅配線の形成の研究が盛んに行われている。配線材料として銅を用いることにより、更なる配線抵抗の低下が期待できるからである。
【0004】
また、現在ではこのような配線は多層化しており、埋め込み配線プロセスにより形成されることが多い。埋め込み配線プロセスとは、最初に層間絶縁膜となる層を形成してその層に予め配線溝とコンタクトホールとを作り込んでおき、後に配線溝とコンタクトホールの中に金属を埋め込んで表面の平坦化処理をすることで配線を形成する方法のことである。
【0005】
また、信号遅延低減のためのその他の試みとして低誘電率層間絶縁膜(以下、低誘電率膜と略す)の研究が盛んに行われている。例えば、従来の代表的な層間絶縁膜であるシリコン酸化膜に代わってシリコンフッ化酸化膜を層間絶縁膜として採用すると、層間絶縁膜の比誘電率が低下する。すると、層間絶縁膜の容量値が減少するので信号遅延を低減することが可能となる。現在、様々な物質がこのような低誘電率膜の候補として研究の対象となっている。
【0006】
上記の埋め込み配線プロセス及び低誘電率膜を、多層配線の形成に適用した例について以下で説明する。
【0007】
図10は、第1層金属配線105及び第2層金属配線110からなる多層配線構造と低誘電率膜103,107とを備える半導体装置D3について示している。半導体装置D3は基板101を備え、基板101の表面には下部絶縁層102が形成されている。なお、基板101の表面及び下部絶縁層102の内部にはトランジスタ等の素子や基板上の配線等が形成されているが、図示を省略している。また、下部絶縁層102の表面には第1の低誘電率膜103が形成されている。
【0008】
第1の低誘電率膜103の内部には第1層金属配線105が、下部絶縁層102の表面に接触しつつ、第1の低誘電率膜103の表面に露出して、水平方向に間隔を置いて複数形成されている。第1層金属配線105及び第1の低誘電率膜103の表面には、エッチング防止機能を有する層間絶縁膜(以下、エッチング防止膜と記す、なおエッチング防止膜の必要性については後述)106が形成されている。
【0009】
エッチング防止膜106の表面には第2の低誘電率膜107が形成され、また、第2の低誘電率膜107及びエッチング防止膜106にはコンタクトホール111A及び紙面垂直方向に延在する溝111Bが形成されている。コンタクトホール111A及び溝111Bには、それぞれ金属プラグ109及び第2層金属配線110が形成されており、両者は連続している。なお、微細化のために第1層金属配線105の幅W5と金属プラグ109の幅W9とはほぼ同程度に設計され、幅W5は幅W9に比べ充分に大きくとることはできない。また、図10では金属プラグ109の位置が、エッチング防止膜106の面内方向において第1層金属配線105の位置と一致しておらず、アライメントがずれた状態でコンタクトホール111Aが形成された場合を示しているが、後に半導体装置D3の問題点を説明する際の便宜を図ったためである。
【0010】
この図10に示した構造を形成する方法について図11〜16を用いて説明する。まず、基板101の表面に各素子(図示せず)を形成した後、下部絶縁層102を形成する。次に、下部絶縁層102の表面に第1の低誘電率膜103を形成する(図11)。そして、第1の低誘電率膜103のうち第1層金属配線105を形成すべき部分をフォトリソグラフィ技術によりエッチングする。その後、第1層金属配線105の材料となる金属の膜を第1の低誘電率膜103の表面に形成し、第1の低誘電率膜103のエッチングされた部分を充分に埋める。更に金属の表面を平坦化し、第1の低誘電率膜103のエッチングされた部分のみに残置して第1層金属配線105を形成する(図12)。
【0011】
次に、第2の低誘電率膜107に対してエッチング選択性を有する(即ち第2の低誘電率膜107のエッチングに対するストッパとして機能する)絶縁膜を、エッチング防止膜106として第1の低誘電率膜103及び第1層金属配線105の表面に形成し、更にその上に第2の低誘電率膜107を形成する(図13)。そして、第2の低誘電率膜107の内部にコンタクトホール111Aをフォトリソグラフィ技術により形成する。このとき、エッチング防止膜106が第2の低誘電率膜107に対してエッチング選択性を有するので、コンタクトホール111Aの形成時にエッチングがエッチング防止膜106のところまで進行した時点で自動的にエッチング速度が低下し、エッチングを停止することができる。
【0012】
ここでもし仮にエッチング防止膜106がなければ、エッチングが停止せず第1の低誘電率膜103までもがエッチングされてしまう可能性がある。半導体装置の微細化が進む今日においては、下層配線を幅広く形成して、上層配線のアライメントマージンを充分に取ることは困難である。よって現在では、上述のように配線の幅とコンタクトホールの径とを同程度の大きさに設計することが多い。すると、フォトリソグラフィ技術によるコンタクトホール形成の際にフォトマスクのアライメントがずれた場合、下層配線の位置とコンタクトホールの位置とが完全には重なり合わず、コンタクトホール内に下層配線の周囲の層間絶縁膜が露出することになる。そうすれば、第2の低誘電率膜107だけでなく第1の低誘電率膜103までもがエッチングされてしまいかねない。
【0013】
また、第1層金属配線105に銅等を採用した場合、第2の低誘電率膜107を堆積またはエッチングした際に第1層金属配線105が酸化してしまうこともある。しかし、エッチング防止膜106が存在すれば、そのような事態を防ぐことが可能となる。
【0014】
以上がエッチング防止膜106の必要な理由である。なお、エッチング防止膜106の材料には、例えばシリコン窒化膜が採用される。
【0015】
その後、溝111Bも同様にフォトリソグラフィ技術によって形成する(図14)。このときもエッチング防止膜106が存在するので第1の低誘電率膜103と第1層金属配線105とに影響を与えることはない。
【0016】
続いて、コンタクトホール111A内に露出したエッチング防止膜106をエッチングし、第1層金属配線105をコンタクトホール111Aに露出させる(図15)。そして、金属プラグ109及び第2層金属配線110の材料となる金属の膜を第2の低誘電率膜107の表面に形成し、コンタクトホール111A及び溝111Bを充分に埋める。そして金属の表面を平坦化して、コンタクトホール111A及び溝111Bのみに残置し、金属プラグ109及び第2層金属配線110を形成する(図16)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平6−13470号公報
【特許文献2】特開平8−264644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
低誘電率膜には以下に示す課題が存在している。
【0019】
(1)低誘電率膜は一般に膜の密度が低いため、湿気を含んだ雰囲気にその表面が曝されると雰囲気中の水分を吸湿しやすい。水の分子は常態でも僅かに分極しているため、膜中に取りこまれると低誘電率膜の比誘電率を上昇させてしまうという弊害をもたらす。
【0020】
(2)低誘電率膜は一般に、シリコン酸化膜に比較して膜のエッチング速度が速く、エッチングの制御が難しい。
【0021】
図10に示した半導体装置D3、並びに図11〜16に示した半導体装置D3の製造方法において、これらの課題が問題となる。
【0022】
まず(1)の課題については、半導体装置D3の製造方法によると、第1の低誘電率膜103の表面及び第2の低誘電率膜107の表面が雰囲気に露出する時間(第1の低誘電率膜103の場合はエッチング防止膜106が形成されるまでの時間、第2の低誘電率膜107の場合は図16の段階の後に何らかの膜がその表面に形成されるまでの時間)が長いので吸湿しやすい。ちなみに、シリコン酸化膜やシリコン酸窒化膜やシリコン窒化膜等は水分を透過させにくいので、第1の低誘電率膜103についていえば、エッチング防止膜106にそれらいずれかの膜を採用することで、以降の吸湿を防止することは可能である。
【0023】
また、第1層金属配線105または第2層金属配線110を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合には、水分を第1の低誘電率膜103または第2の低誘電率膜107に浴びせることになるので、その場合にも(1)の課題が問題となる。
【0024】
また(2)の課題については、半導体装置D3を製造する工程中、エッチング防止膜106を除去する際に第1の低誘電率膜103をオーバーエッチングしてしまう可能性があるという点で問題となる。図17は当該問題を示す断面図である。コンタクトホール111A及び溝111Bの形成時にはエッチング防止膜106があるので第1の低誘電率膜103はエッチングの影響を受けないものの、エッチング防止膜106自身を除去する際には、図17に示すように第1の低誘電率膜103がエッチングされやすく、オーバーエッチングによる窪み103Aを生じやすいからである。このような窪み103Aが生じると、コンタクトホール111Aに金属プラグ109を形成する際に金属膜の埋め込み不良が生じやすく、その結果、半導体装置の歩留まり低下の原因となる。例えば、コンタクトホール111Aの内部にバリアメタル(図示せず)を形成する場合、埋め込み不良のためバリアメタルの形成が不完全になり、配線金属が層間絶縁膜にスパイクを発生させて絶縁性を阻害しやすいからである。
【0025】
これらの課題を解決し得る技術として、特許文献1に開示された技術がある。この技術を半導体装置D4として、図18〜23を用いて説明する。図18は半導体装置D4の構造を示したものであり、半導体装置D4は半導体装置D3と同様、基板101、下部絶縁層102、第1の層間絶縁膜203、第1層金属配線105、第2の層間絶縁膜207、コンタクトホール111A、溝111B、金属プラグ109及び第2層金属配線110を備えている(なお、この技術では層間絶縁膜に低誘電率膜を採用しているわけではないので、区別するために、半導体装置D3における第1の低誘電率膜103を第1の層間絶縁膜203に、第2の低誘電率膜107を第2の層間絶縁膜207に、それぞれ変更している)。しかし半導体装置D4では、半導体装置D3と異なりエッチング防止膜106が形成されていない。その代わりに、第1の層間絶縁膜203の上には第1層金属配線105の表面と同一平面内にある表面を有する第1のエッチング防止膜104が、第2の層間絶縁膜207の上には第2層金属配線110の表面と同一平面内にある表面を有する第2のエッチング防止膜108が、それぞれ形成されている。
【0026】
また、図19〜23は半導体装置D4の製造方法を示したものである。まず、図11と同様、基板101の表面に各素子(図示せず)を形成した後、下部絶縁層102、第1の層間絶縁膜203を形成する。そして、第1の層間絶縁膜203の表面に第1のエッチング防止膜104を形成する(図19)。そして、第1の層間絶縁膜203及び第1のエッチング防止膜104のうち、第1層金属配線105を形成すべき部分をフォトリソグラフィ技術によりエッチングする。その後、第1層金属配線105の材料となる金属の膜を第1のエッチング防止膜104の表面に形成し、エッチングされた部分を充分に埋める。更に金属の表面を平坦化して、エッチングされた部分にのみ金属を残置して第1層金属配線105を形成する(図20)。
【0027】
次に、第2の層間絶縁膜207を形成し、さらにその表面に第2のエッチング防止膜108を形成する(図21)。そして、第2の層間絶縁膜207及び第2のエッチング防止膜108の内部にコンタクトホール111A及び溝111Bをフォトリソグラフィ技術により形成する(図22)。そして、金属プラグ109及び第2層金属配線110の材料となる金属の膜を、第2のエッチング防止膜108の表面に形成し、コンタクトホール111A及び溝111Bを充分に埋める。そして金属の表面を平坦化して、コンタクトホール111A及び溝111Bのみに残置し、金属プラグ109及び第2層金属配線110を形成する(図23)。
【0028】
このような半導体装置D4を用いれば、第1のエッチング防止膜104の表面が第1層金属配線の表面と同一平面内に存在するので、半導体装置D3のように、コンタクトホール111Aを形成した際に第1の層間絶縁膜203が露出することがない。よって、半導体装置D3の場合のエッチング防止膜106の除去の際に生じていた窪み103Aは、生じにくい。
【0029】
また、半導体装置D4の製造方法によれば、第1の層間絶縁膜203の形成に続いて第1のエッチング防止膜104が形成され、第2の層間絶縁膜207の形成に続いて第2のエッチング防止膜108がその表面に形成されるので、第1の層間絶縁膜203の表面及び第2の層間絶縁膜207の表面が雰囲気に露出する時間が短く、吸湿しにくい。さらに、第1層金属配線105または第2層金属配線110を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合、第1のエッチング防止膜104または第2のエッチング防止膜108が存在するので、水分が第1の層間絶縁膜203または第2の層間絶縁膜207に直接触れることはなく、第1の層間絶縁膜203及び第2の層間絶縁膜207が吸湿しにくい。
【0030】
しかしながら半導体装置D4であっても、半導体装置D3に比べれば窪み103Aは生じにくいものの、コンタクトホール111Aの形成の際に第1層金属配線105と第1のエッチング防止膜104との界面104Aが露出してエッチャントに曝されるので、窪み103Aの発生を充分に抑制できるわけではない。通常、コンタクトホールは半導体装置D4において広く分布しており、また、各領域によって微妙に表面の高さの高低差があるため、コンタクトホール111Aの形成時にはコンタクトを確実にするためにエッチング時間は長めに設定されることが多い。すると、たとえエッチング防止膜104が形成されていても、エッチング時間が長いために実際には界面104Aにエッチャントがしみ込んで窪み103Aを発生させやすい。これは、エッチング防止膜104をたとえ厚く形成したとしても解決しがたい問題である。
【0031】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであり、低誘電率膜と多層配線とを備える半導体装置において、低誘電率膜がコンタクトホール内に露出してオーバーエッチングされるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
この発明にかかる半導体装置の製造方法の第1の態様は、基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、第一異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出するような第一ビアホールを形成する工程と、第二異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられ、上記第一ビアホールと連通するような第二溝を形成する工程と、第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有する。
【0033】
上記第一異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出される。上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜である。上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚い。上記第一ビアによって上記第一配線と上記第二配線が接続される。
【0034】
この発明にかかる半導体装置の製造方法の第2の態様は、基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、第一異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられるような第二溝を形成する工程と、第二異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出し、上記第二溝と連通するような第一ビアホールを形成する工程と、第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有する。
【0035】
上記第二異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出される。上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜である。上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚い。上記第一ビアにより上記第一配線と上記第二配線が接続される。
【0036】
望ましくは、上記第二層間絶縁膜と上記第四層間絶縁膜の材料は同一であり、上記第三層間絶縁膜と上記第五層間絶縁膜の材料は同一である。
【0037】
更に望ましくは、上記第二層間絶縁膜は水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、ポリアリルエーテル、ベンゾシクロブテン、ポリテトラフロロエチレン、ポーラスシリカであるキセロゲル、ポーラスシリカであるエアロゲル、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、及びパリレンから選択された一つの材料を含み、上記第三層間絶縁膜はシリコン酸化膜である。
【0038】
更に望ましくは、上記第二層間絶縁膜の比誘電率は1.8〜3.0の範囲であり、上記第一絶縁膜はシリコンと窒素の化合物で構成された絶縁膜である。
【0039】
あるいは望ましくは、上記第一溝を形成する工程と上記第一金属を埋め込む工程との間に、第一熱処理を行って上記配線溝の表面から水分を飛ばす工程と、上記第一配線表面を露出させる工程と上記第二金属を埋め込む工程との間に、第二熱処理を行って上記第二溝表面及び上記第一ビアホール表面から水分を飛ばす工程とを更に有する。
【0040】
あるいは望ましくは、上記第三層間絶縁膜と上記第一絶縁膜は上記第二層間絶縁膜よりも水分の透過防止機能が高い。
【0041】
あるいは望ましくは、上記第一エッチングでは、上記第一絶縁膜のエッチングレートよりも上記第三層間絶縁膜のエッチングレートの方が小さい。
【発明の効果】
【0042】
この発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、第一ビアホールと第二溝を形成した後、第一ビアホール底の露出した第一絶縁膜に対して第一エッチングを施して第一配線表面を露出するので、第一絶縁膜を薄くして第一エッチングの時間を短くすることができる。よって第二溝内及び第一ビアホール内に第二金属を埋め込む第一ビアホールの合わせズレが起きた際の第一エッチングによるオーバーエッチによって第二層間膜が大きくオーバーエッチされる不具合を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態1の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図3】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図5】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図8】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】実施の形態2の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図11】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図12】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図13】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図15】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図16】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図17】従来の半導体装置の問題点を示す断面図である。
【図18】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【図19】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図20】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図21】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図22】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図23】従来の半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態にかかる半導体装置D1の構造を示す断面図である。半導体装置D1は、金属プラグ9を介して接続された第1層金属配線5と第2層金属配線10とからなる多層配線構造を備える。この多層配線構造を構成する金属には、例えば銅が用いられる。半導体装置D1は更に基板1を備え、基板1の表面には下部絶縁層2が形成されている。なお、基板1の表面及び下部絶縁層2の内部にはトランジスタ等の素子や基板上の配線等が形成されているが、図示を省略している。
【0045】
下部絶縁層2の表面には第1の低誘電率膜3が形成されている。低誘電率膜の材料としては例えば、水素化シルセスキオキサン(Hydrogen Silsesquioxane)、メチルシルセスキオキサン(Methyl Silsesquioxane)、ポリアリルエーテル(Polyarylether)、ベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)、ポリテトラフロロエチレン(Polytetrafluoroethylene)や、ポーラスシリカであるキセロゲル(Xerogel)、エアロゲル(Aerogel)等の回転塗布法で形成される材料や、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、パリレン(Parylene)等のCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成される材料が適用可能である。このような低誘電率膜の比誘電率は1.8〜3.0程度である。本実施の形態においては、例えばポリアリルエーテル(以下、PAEと記す)を第1の低誘電率膜3に使用する。PAEは炭素、酸素、水素を主成分とする有機物である。
【0046】
さらに本実施の形態では、第1の低誘電率膜3の表面に第1のエッチング防止膜4が形成されている。この第1のエッチング防止膜4は、水分の透過を防止する膜であり、第1の低誘電率膜3が外部から水分を吸湿するのを防止する機能を備えている。第1のエッチング防止膜4の材料には、例えばシリコン酸化膜が採用される。また、第1の低誘電率膜3及び第1のエッチング防止膜4の内部には第1層金属配線5が、下部絶縁層2の表面に接触しつつ、第1のエッチング防止膜4の表面に露出して、水平方向に間隔を置いて複数形成されている。
【0047】
第1層金属配線5及び第1のエッチング防止膜4の表面には、第2のエッチング防止膜6が形成されている。つまり、本発明ではエッチング防止膜を二重に設けている。第2のエッチング防止膜6には、第1のエッチング防止膜4の材料に対しエッチング選択性を有し、かつ、水分の透過を防止する材料が採用される。第1のエッチング防止膜4にシリコン酸化膜を採用した場合には、この第2のエッチング防止膜6に例えばシリコン窒化膜が採用される。
【0048】
第2のエッチング防止膜6の表面には第2の低誘電率膜7が形成され、また、第2の低誘電率膜7の表面には第3のエッチング防止膜8が形成されている。第2の低誘電率膜7の材料には、例えば第1の低誘電率膜3と同様、PAEが採用される。また第3のエッチング防止膜8は、水分の透過を防止する機能を備えている。第3のエッチング防止膜8には例えば、第1のエッチング防止膜4と同様、シリコン酸化膜が採用される。
【0049】
そして、第2の低誘電率膜7及び第2のエッチング防止膜6に形成されたコンタクトホール11Aには、金属プラグ9が形成されている。また、第2の低誘電率膜7及び第3のエッチング防止膜8に形成され、紙面垂直方向に延在する溝11Bには、第2層金属配線10が形成されている。
【0050】
本実施の形態にかかる半導体装置では、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6とが形成されて二重のエッチング防止膜となっている。よって、コンタクトホール11Aの形成時には、たとえエッチング時間が長い場合であっても第2の低誘電率膜7のエッチングについては、第2のエッチング防止膜6が形成されているのでエッチングを一旦停止できる。このとき、第1層金属配線5と第1のエッチング防止膜4との界面4A及び第1の低誘電率膜3は、第2のエッチング防止膜6に覆われているのでコンタクトホール11A内に露出する可能性は低い。また、コンタクトを取るためにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6を除去する際には、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間にエッチング選択性があり、また、第2の低誘電率膜7をエッチングする場合とは異なって第2のエッチング防止膜6のエッチング時間を長くとる必要はないので、界面4Aが露出しても、半導体装置D3の場合のように第1の低誘電率膜3に対してオーバーエッチングして窪みを発生させてしまう可能性は低い。よって、コンタクトホール11A内で金属プラグ9の埋め込み不良が生じにくい構造であり、半導体装置としての信頼性が高い。
【0051】
また、第1の低誘電率膜3については、その表面に第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6とが二重に形成されており、それぞれが水分の透過を防止する機能を備えているので、吸湿する可能性が少ない。また、第2の低誘電率膜7についても、その表面に水分の透過を防止する第3のエッチング防止膜8が形成されているので、吸湿する可能性が少ない。よって、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7の比誘電率を増大させない。
【0052】
なお図示してはいないが、第2層金属配線10及び第3のエッチング防止膜8の表面に更に、第2のエッチング防止膜6と同様の第4のエッチング防止膜、第2の低誘電率膜7と同様の第3の低誘電率膜、第3のエッチング防止膜8と同様の第5のエッチング防止膜、金属プラグ9と同様の金属プラグ、第2層金属配線10と同様の第3層金属配線が、それぞれ形成されていてもよい。
【0053】
その場合、第3のエッチング防止膜8と第4のエッチング防止膜との間のエッチング選択性の関係が、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間のエッチング選択性の関係と同様になるので、第2の低誘電率膜7に窪みを発生させる可能性は低い。また、第2の低誘電率膜7の表面に第3のエッチング防止膜8と第4のエッチング防止膜とが二重に形成されていることになり、それぞれが水分の透過を防止する機能を備えているので、第2の低誘電率膜7が吸湿する可能性が少ない。また、第3の低誘電率膜についても、その表面に水分の透過を防止する第5のエッチング防止膜が形成されているので、吸湿する可能性が少ない。
【0054】
もちろん、このような層構造がさらに繰り返し形成されていてもよく、その場合も各層ごとに同様の効果がある。一般的に表現すれば、第N(N≧1)層金属配線の表面及び第(2N−1)のエッチング防止膜の表面に更に、第(2N)のエッチング防止膜と第(N+1)の低誘電率膜と第(2N+1)のエッチング防止膜とがこの順に形成され、それらの内部に金属プラグと第(N+1)層金属配線とが形成された構造とすればよい。
【0055】
また、図2は本実施の形態の変形にかかる半導体装置D2の構造を示す断面図である。このように、第1のエッチング防止膜4及び第3のエッチング防止膜8を、それぞれ、より厚い第1のエッチング防止膜14及び第3のエッチング防止膜18として形成すれば、エッチング防止効果が高まり、それぞれの膜の直下の低誘電率膜に対してオーバーエッチングによる窪みを発生させてしまう可能性がより少なくなる。また、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7が吸湿する可能性もより少なくなる。
【0056】
なお、エッチング防止膜を二重に形成する例として、例えば特許文献2に記載の技術がある。図3は、この技術を半導体装置D3に適用した場合について示したものである(ただし、この技術は低誘電率膜を採用しているわけではないので、その点を区別するために第1及び第2の低誘電率膜103,107の代わりに、第1及び第2の層間絶縁膜203,207として示している。)。しかしこの技術によれば、第1の層間絶縁膜203の表面にではなく、第1層金属配線105の表面に、エッチング防止膜106と同じ材料のエッチング防止膜204を設ける点で本発明とは構成が異なる。このような相違は、この技術がコンタクトホール111A内のエッチング防止膜106を除去する際に同時にエッチング防止膜204を除去して、自己整合的に第1層配線105と金属プラグ109とのコンタクトをとるのを目的とすることに起因している。つまり第1の層間絶縁膜203の保護を目的とはしておらず、本願とは目的が異なっている。
【0057】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1にかかる半導体装置D1を製造する方法について示したものである。半導体装置D1を製造する方法について、図4〜9を用いて説明する。まず、基板1の表面に各素子(図示せず)を形成した後、その上に下部絶縁層2を形成する。次に、例えば回転塗布法によりPAE膜を第1の低誘電率膜3として下部絶縁層2の表面に形成し、続いて、例えばプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を第1のエッチング防止膜4として第1の低誘電率膜3の表面に形成する(図4)。
【0058】
そして、エッチング防止膜4及び第1の低誘電率膜3のうち、第1層金属配線5を形成すべき部分に対しフォトリソグラフィ技術を適用する。すなわち、第1のエッチング防止膜4の表面にレジストを形成してパターニングし、第1のエッチング防止膜4をエッチングする。第1のエッチング防止膜4の材料がシリコン酸化膜なので、例えばC4F8とArとの混合ガスを使用したプラズマエッチングを行えばよい。第1の低誘電率膜3が露出した後はエッチングガスを変更し、第1のエッチング防止膜4をマスクとして下部絶縁層2が露出するまで第1の低誘電率膜3をエッチングする。第1の低誘電率膜3の材料がPAEなので、例えば、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかをエッチングガスに用いればよい。これらの混合ガスはいずれも有機物をエッチングすることができるため、最初に第1のエッチング防止膜4上に形成したレジストもこのとき同時に除去できる。なお、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等は、これらの混合ガスではほとんどエッチングされないので、第1のエッチング防止膜4はエッチングの影響を受けることはほとんどない。
【0059】
この後、第1層金属配線5を形成するが、その前に、第1の低誘電率膜3がエッチングした部分の側壁から水分を吸湿している可能性があるので、熱処理を行い水分を放出させておく。
【0060】
そして、第1層金属配線5の材料となる金属膜を第1のエッチング防止膜4の表面に形成し、第1のエッチング防止膜4及び第1の低誘電率膜3のうちエッチングされた部分を充分に埋める。本実施の形態においては、例えばメッキ法により銅を埋め込む。その後、例えば化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法を用いて第1のエッチング防止膜4上の不要な金属膜を除去し、その金属の表面を平坦化することで第1層金属配線5を形成する(図5)。なお、金属膜を埋め込むプロセスとしては、メッキ法の他に、スパッタ法で成膜した後に熱処理により金属膜を軟化させて埋め込むリフロー法や、CVD法等がある。また、金属膜の材料には銅の他に、Al合金等が採用されてもよい。
【0061】
次に、第1のエッチング防止膜4及び第1層金属配線5の表面に、例えばプラズマCVD法によりシリコン窒化膜を第2のエッチング防止膜6として形成する。更にエッチング防止膜6の表面に、例えば回転塗布法によりPAE膜を第2の低誘電率膜7として形成する。そして更に第2の低誘電率膜7の表面に、第2のエッチング防止膜6に対してエッチング選択性を有する第3のエッチング防止膜8を、例えばプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を第3のエッチング防止膜8として形成する(図6)。
【0062】
そして、第2の低誘電率膜7及び第3のエッチング防止膜8にコンタクトホール11A及び溝11Bを、フォトリソグラフィ技術により形成する。このとき、先にコンタクトホール11Aを形成してから溝11Bを形成する方法と、先に溝11Bを形成してからコンタクトホール11Aを形成する方法とがあるが、いずれを用いてもよい。以下では、例えば前者の方法を採用した場合について述べる。
【0063】
まず、第3のエッチング防止膜8の表面にレジストを形成してコンタクトホール11Aのパターニングをし、第3のエッチング防止膜8をエッチングする。第3のエッチング防止膜8の材料がシリコン酸化膜なので、第1のエッチング防止膜4と同様、例えばC4F8とArとの混合ガスを使用したプラズマエッチングを行えばよい。第2の低誘電率膜7が露出した後は、エッチングガスを変更し、第2のエッチング防止膜6が露出するまで第2の低誘電率膜7をエッチングする。第2の低誘電率膜7の材料がPAEなので、第1の低誘電率膜3と同様、例えば、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかをエッチングガスに用いればよい。これらの混合ガスはいずれも有機物をエッチングすることができるため、最初に第3のエッチング防止膜8上に形成したレジストもこのとき同時に除去できる。一方、これらの混合ガスは第2のエッチング防止膜6であるシリコン窒化膜をほとんどエッチングすることができないので、コンタクトホール11Aの形成は第2のエッチング防止膜6が露出すれば、停止する。
【0064】
次に、溝11Bについてもコンタクトホール11Aと同様にしてエッチングを行い、コンタクトホール11Aに連通し、第1の低誘電率膜3中に底を有するように形成する。つまり、第3のエッチング防止膜8の表面にレジストを形成して、溝11Bが形成済みのコンタクトホール11Aと交わるようにパターニングをし、第3のエッチング防止膜8をプラズマエッチングする。ただしこのとき、すでに第2のエッチング防止膜6であるシリコン窒化膜が露出しているので、第3のエッチング防止膜8であるシリコン酸化膜をエッチングする際に第2のエッチング防止膜6をエッチングしないようにしなければならない。そこで、シリコン酸化膜のエッチング速度とシリコン窒化膜のエッチング速度の比が、例えば10:1となるようにエッチング条件を調節しておく。例えば、先にも使用したC4F8とArとの混合ガスは、シリコン窒化膜に対して上記の条件を満たすよう調整できるので、同様にこのガスによるプラズマエッチングを行えばよい。
【0065】
そして、第2の低誘電率膜7が露出した後は、エッチングガスを、酸素及び窒素の混合ガス、または酸素及び窒素及びArの混合ガス、または窒素及び水素の混合ガスのいずれかに変更し、所望の幅及び深さとなるまで第2の低誘電率膜7をエッチングして溝11Bを形成する(図7)。
【0066】
続いて今度は、第3のエッチング防止膜8はエッチングされずにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6のみがエッチングされる条件でエッチングを行う。そのために、シリコン酸化膜のエッチング速度とシリコン窒化膜のエッチング速度の比が、例えば1:10となるようにエッチング条件を調節しておく。例えば塩素と酸素との混合ガスを用いれば、上記の条件を満たすよう調整できるので、このガスによるプラズマエッチングを行えばよい。このようにして、コンタクトホール11A内に第1層金属配線5を露出させる(図8)。なお、塩素と酸素との混合ガスを用いれば、第2の低誘電率膜7は多少エッチングされてしまうので、溝11Bの幅は広がり、底面の高さは低くなる。よって予め、第2のエッチング防止膜6のエッチング時間や、そのときの第2の低誘電率膜7のエッチング速度等を考慮した上で、溝11Bの幅及び深さを決定しておけばよい。
【0067】
なお以上は、先にコンタクトホール11Aを形成してから溝11Bを形成する場合についての説明であったが、先に溝11Bを形成してからコンタクトホール11Aを形成する場合には、以下の点で工程がもう少し行いやすいものとなる。つまり、第1に、溝11Bの形成の際に第2のエッチング防止膜6が露出しないので、第3のエッチング防止膜8をエッチングしつつ第2のエッチング防止膜6はエッチングしないようにエッチング選択性を考慮する必要がなく、第2に、コンタクトホール11Aの形成のためには、溝11B内の第2の低誘電率膜7をパターニングしてエッチングするだけでよく、第3のエッチング防止膜8をエッチングする必要がないからである。
【0068】
ただしその場合は、コンタクトホール11Aのマスクパターンを、形成済みの溝11Bに合わせつつフォトリソグラフィを行う必要があるので、マスクのアライメント調整を慎重に行わなくてはならない。その点、先にコンタクトホール11Aを形成する場合には、多少のアライメントのずれは許容される。
【0069】
さてこの後、金属プラグ9及び第2層金属配線10を形成するが、その前に、第2の低誘電率膜7がコンタクトホール11A及び溝11Bの側壁部分から水分を吸湿している可能性があるので、熱処理を行い水分を放出させておく。
【0070】
そして、金属プラグ9及び第2層金属配線10の材料となる金属膜を、第3のエッチング防止膜8の表面に形成してコンタクトホール11A及び溝11Bを充分に埋め、その金属の表面を例えばCMP法により平坦化して金属をコンタクトホール11A及び溝11Bのみに残置し、金属プラグ9及び第2層金属配線10を形成する(図9)。
【0071】
なお、層構造の繰り返しを有する半導体装置を製造する場合には、以上の工程を繰り返せばよい。
【0072】
本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を用いれば、第2の低誘電率膜7のエッチングについては、第2のエッチング防止膜6が形成されているのでエッチングを一旦停止できる。このとき、コンタクトホール11Aがフォトマスクのアライメントのずれた状態で形成された場合であっても、第1層金属配線5と第1のエッチング防止膜4との界面4A及び第1の低誘電率膜3は、第2のエッチング防止膜6に覆われているのでコンタクトホール11A内に露出する可能性は低い。また、コンタクトを取るためにコンタクトホール11A内の第2のエッチング防止膜6を除去する際には、第1のエッチング防止膜4と第2のエッチング防止膜6との間にエッチング選択性があり、また、第2の低誘電率膜7をエッチングする場合とは異なって第2のエッチング防止膜6のエッチング時間を長くとる必要はないので、半導体装置D3の場合のように第1の低誘電率膜3に対してオーバーエッチングして窪みを発生させてしまう可能性が低い。
【0073】
また、第1の低誘電率膜3の形成に続いて第1のエッチング防止膜4が形成され、第2の低誘電率膜7の形成に続いて第2のエッチング防止膜8がその表面に形成されるので、第1の低誘電率膜3の表面及び第2の低誘電率膜7の表面が雰囲気に露出する時間が短く、吸湿しにくい。さらに、第1層金属配線5または第2層金属配線10を形成する際に、表面を平坦化する手法としてCMP法を用いる場合であっても、第1のエッチング防止膜4または第3のエッチング防止膜8が存在するので、水分が第1の低誘電率膜3または第2の低誘電率膜7に直接触れることはなく、第1の低誘電率膜3及び第2の低誘電率膜7が吸湿しにくい。
【0074】
また、コンタクトホール11Aを先に形成する場合には、第3のエッチング防止膜8が第2のエッチング防止膜6に対しエッチング選択性を有するので、エッチング条件を調整することで、第3のエッチング防止膜8の表面を溝11B形成用にパターニングする際には第3のエッチング防止膜8をエッチングしつつ第2のエッチング防止膜6はエッチングしないようにすることができる。一方、第2のエッチング防止膜6にエッチングを施して第1層金属配線5を露出させる際には第2のエッチング防止膜6をエッチングしつつ第3のエッチング防止膜8はエッチングしないようにすることができる。
【0075】
また、第1層金属配線5に銅等を採用した場合であっても、第2のエッチング防止膜6が存在するので、第1層金属配線5の酸化を防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 基板、2 下部絶縁層、3 第1の低誘電率膜、4 第1のエッチング防止膜、5 第1層金属配線、6 第2のエッチング防止膜、7 第2の低誘電率膜、8 第3のエッチング防止膜、9 金属プラグ、10 第2層金属配線、11A コンタクトホール、11B 溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、
上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、
上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、
上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、
第一異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出するような第一ビアホールを形成する工程と、
第二異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられ、上記第一ビアホールと連通するような第二溝を形成する工程と、
第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、
上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有し、
上記第一異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さく、
上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出され、
上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜であり、
上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚く、
上記第一ビアによって上記第一配線と上記第二配線が接続されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、
上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、
上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、
上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、
第一異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられるような第二溝を形成する工程と、
第二異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出し、上記第二溝と連通するような第一ビアホールを形成する工程と、
第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、
上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有し、
上記第二異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さく、
上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出され、
上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜であり、
上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚く、
上記第一ビアにより上記第一配線と上記第二配線が接続されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
上記第二層間絶縁膜と上記第四層間絶縁膜の材料は同一であり、
上記第三層間絶縁膜と上記第五層間絶縁膜の材料は同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
上記第二層間絶縁膜は水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、ポリアリルエーテル、ベンゾシクロブテン、ポリテトラフロロエチレン、ポーラスシリカであるキセロゲル、ポーラスシリカであるエアロゲル、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、及びパリレンから選択された一つの材料を含み、
上記第三層間絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
上記第二層間絶縁膜の比誘電率は1.8〜3.0の範囲であり、
上記第一絶縁膜はシリコンと窒素の化合物で構成された絶縁膜であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
上記第一溝を形成する工程と上記第一金属を埋め込む工程との間に、第一熱処理を行って上記配線溝の表面から水分を飛ばす工程と、
上記第一配線表面を露出させる工程と上記第二金属を埋め込む工程との間に、第二熱処理を行って上記第二溝表面及び上記第一ビアホール表面から水分を飛ばす工程とを更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
上記第三層間絶縁膜と上記第一絶縁膜は上記第二層間絶縁膜よりも水分の透過防止機能が高いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
上記第一エッチングでは、上記第一絶縁膜のエッチングレートよりも上記第三層間絶縁膜のエッチングレートの方が小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、
上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、
上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、
上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、
第一異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出するような第一ビアホールを形成する工程と、
第二異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられ、上記第一ビアホールと連通するような第二溝を形成する工程と、
第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、
上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有し、
上記第一異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さく、
上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出され、
上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜であり、
上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚く、
上記第一ビアによって上記第一配線と上記第二配線が接続されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に第一層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第一層間絶縁膜上に単層の膜である第二層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜上に第三層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第二層間絶縁膜内部に至り上記第三層間絶縁膜を貫くような第一溝を形成する工程と、
上記第一溝内に第一金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第三層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第三層間絶縁膜上の上記第一金属を取り除いて、上記第一溝内に上記第一金属を残して、上記第一溝に第一配線を形成する工程と、
上記第三層間絶縁膜上及び上記第一配線上に第一絶縁膜を形成する工程と、
上記第一絶縁膜上に単層の膜である第四層間絶縁膜を形成する工程と、
上記第四層間絶縁膜上に第五層間絶縁膜を形成する工程と、
第一異方性エッチングによって、上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第四層間絶縁膜に底面が設けられるような第二溝を形成する工程と、
第二異方性エッチングによって、上記第四層間絶縁膜及び上記第五層間絶縁膜を貫き、上記第一絶縁膜を露出し、上記第二溝と連通するような第一ビアホールを形成する工程と、
第一エッチングによって、露出された上記第一絶縁膜をエッチングして上記第一ビアホールの底に上記第一配線表面を露出させる工程と、
上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に第二金属を埋め込む工程と、
化学的機械研磨法を行うことにより、上記第五層間絶縁膜で研磨処理をとめて、上記第五層間絶縁膜上の上記第二金属を取り除いて、上記第二溝内及び上記第一ビアホール内に上記第二金属を残して、上記第二溝内に第二配線を形成し、上記第一ビアホール内に第一ビアを形成する工程と、を有し、
上記第二異方性エッチングでは、上記第四層間絶縁膜のエッチングレートよりも上記第一絶縁膜のエッチングレートの方が小さく、
上記第一エッチングでは、上記第三層間絶縁膜が上記第一ビアホールの底に露出され、
上記第二層間絶縁膜及び上記第四層間絶縁膜それぞれは、前記第三層間絶縁膜、前記第五層間絶縁膜、及び前記第一絶縁膜それぞれよりも誘電率の低い低誘電率膜であり、
上記第三層間絶縁膜の厚みは上記第一絶縁膜の厚みよりも厚く、
上記第一ビアにより上記第一配線と上記第二配線が接続されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
上記第二層間絶縁膜と上記第四層間絶縁膜の材料は同一であり、
上記第三層間絶縁膜と上記第五層間絶縁膜の材料は同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
上記第二層間絶縁膜は水素化シルセスキオキサン、メチルシルセスキオキサン、ポリアリルエーテル、ベンゾシクロブテン、ポリテトラフロロエチレン、ポーラスシリカであるキセロゲル、ポーラスシリカであるエアロゲル、フッ素化シリコン酸化膜、フッ素化アモルファスカーボン、及びパリレンから選択された一つの材料を含み、
上記第三層間絶縁膜はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
上記第二層間絶縁膜の比誘電率は1.8〜3.0の範囲であり、
上記第一絶縁膜はシリコンと窒素の化合物で構成された絶縁膜であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
上記第一溝を形成する工程と上記第一金属を埋め込む工程との間に、第一熱処理を行って上記配線溝の表面から水分を飛ばす工程と、
上記第一配線表面を露出させる工程と上記第二金属を埋め込む工程との間に、第二熱処理を行って上記第二溝表面及び上記第一ビアホール表面から水分を飛ばす工程とを更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
上記第三層間絶縁膜と上記第一絶縁膜は上記第二層間絶縁膜よりも水分の透過防止機能が高いことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
上記第一エッチングでは、上記第一絶縁膜のエッチングレートよりも上記第三層間絶縁膜のエッチングレートの方が小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−124600(P2011−124600A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20583(P2011−20583)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2008−152767(P2008−152767)の分割
【原出願日】平成11年4月5日(1999.4.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【分割の表示】特願2008−152767(P2008−152767)の分割
【原出願日】平成11年4月5日(1999.4.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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