説明

半導体装置の製造方法

【課題】ウェハの厚みを精度よく制御でき、ウェハの面内均一性が向上した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる半導体装置の製造方法は、(a)ウェハ21と、ウェハ21上に形成された保護部材24とからなる処理対象を用意する工程と、(b)保護部材24の厚みを、複数点において測定する工程と、(c)複数点における測定結果に基づいて、ウェハ21と保護部材24とを合わせた厚みの目標値を設定し、当該目標値に従ってウェハ21を研削する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、ウェハ厚みの高精度加工が可能なウェハ研削における、プロセス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造にあたり、LSIでは3次元実装等によるパッケージの高密度化が行われており、プロセス完了時のウェハ厚みは25μm程度まで薄ウェハ化が進んでいる。
【0003】
また、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)といったパワーデバイスでは、産業用モータや自動車用モータなどのインバータ回路、大容量サーバの電源装置、ならびに無停電電源装置などの半導体スイッチとして広く使われている。これらのパワー半導体装置は、オン特性などに代表される通電性能を改善するために、半導体基板を薄く加工することが行われている。
【0004】
近年では、コスト面・特性面を改善するため、FZ(Floating Zone)法により作製されたウェハ材料を素に、60μm程度まで薄型化された極薄ウェハプロセスによりデバイスが製造されている。
【0005】
一般に、ウェハの薄型加工には、バックグラインドやポリッシュによる研磨、および機械研磨で発生した加工歪みを除去するためのウエットエッチングやドライエッチングが適用され、その後、裏面側にイオン注入や熱処理による拡散層形成やスパッタ法等により電極形成がなされる。
【0006】
その際、従来は薄型化されたウェハの補強部材として、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)を主にした保護テープ等を用いられており、薄型化に伴い強度が保証できるよう保護テープも数百μm程度まで厚くなってきている。また近年では、保護テープでは熱処理に耐えることができないことや、保護テープによる補強ではウェハの反りやたわみが大きくなってしまうことから、ガラス材料を用いた支持板に貼り付けた後、機械研磨以降の工程を処理する方法も提案されている。
【0007】
なお、保護部材を用いるにあたっては、薄型加工後のウェハ厚みがデバイスの性能に反映されるため、保護部材は厚くなっていく一方で、ウェハに対しては高精度な厚み制御が要求されている。
【0008】
このように、ウェハ厚みに対する高精度制御が必要となる問題に対して、研削装置に光学測定手段を取り付け、正確に研削時のウェハ厚みを測定する手法が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
また、ウェハの研削時に飛散する研削液や研削材料が厚み測定の障害となるため、それらを洗浄ノズルと光学系を覆うカバーにより、厚み測定の障害となることを防いだ厚み測定方法についても提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−300847号公報
【特許文献2】特開2009−111238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の研削方法では、面内の一点や、ある半径一定の円周上におけるウェハ厚を制御することは可能であるが、ウェハ内の厚み分布の制御については考慮されていなかった。したがって、従来の研削方法を適用した場合には、その厚みの平均値が目標値からずれてしまうという問題があった。
【0012】
また、処理枚数が増えていくに伴って、ウェハを吸着するステージの傾きや、ウェハを研削する研削砥石の傾きがずれていった場合にも、従来の方法ではそのずれが検出できないため、ウェハ厚みの面内均一性がさらに悪化していくという問題もあった。
【0013】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、ウェハの厚みを精度よく制御でき、ウェハの面内均一性が向上した半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる第1の半導体装置の製造方法は、(a)ウェハと、前記ウェハ上に形成された保護部材とからなる処理対象を用意する工程と、(b)前記保護部材の厚みを、複数点において測定する工程と、(c)前記複数点における測定結果に基づいて、前記ウェハと前記保護部材とを合わせた厚みの目標値を設定し、当該目標値に従って前記ウェハを研削する工程とを備える。
【0015】
また、本発明にかかる第2の半導体装置の製造方法は、(a)ウェハをステージ上に載置し、研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、(b)研削された前記ウェハに光を入射し、その反射光を測定する工程と、(c)測定した前記反射光の強度に基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備える。
【0016】
また、本発明にかかる第3の半導体装置の製造方法は、(a)ウェハをステージ上に載置し、回転可能な研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、(b)前記研削部材を回転させるための軸電流を測定する工程と、(c)測定した前記軸電流の大きさに基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる第1の半導体装置の製造方法によれば、(a)ウェハと、前記ウェハ上に形成された保護部材とからなる処理対象を用意する工程と、(b)前記保護部材の厚みを、複数点において測定する工程と、(c)前記複数点における測定結果に基づいて、前記ウェハと前記保護部材とを合わせた厚みの目標値を設定し、当該目標値に従って前記ウェハを研削する工程とを備えることにより、保護部材の厚みが精度よく測定され、その保護部材の厚みとウェハの厚みとを合わせた厚みが精度よく決定できるので、ウェハの厚みを適切に制御でき、ウェハの面内均一性を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明にかかる第2の半導体装置の製造方法によれば、(a)ウェハをステージ上に載置し、研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、(b)研削された前記ウェハに光を入射し、その反射光を測定する工程と、(c)測定した前記反射光の強度に基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備えることにより、ウェハの厚みを精度よく制御でき、また劣化等した研削部材を使用し続けることを抑制することが可能となる。
【0019】
また、本発明にかかる第3の半導体装置の製造方法によれば、(a)ウェハをステージ上に載置し、回転可能な研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、(b)前記研削部材を回転させるための軸電流を測定する工程と、(c)測定した前記軸電流の大きさに基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備えることにより、ウェハの厚みを精度よく制御でき、また劣化等した研削部材を使用し続けることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1にかかる半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の、保護部材の測定点の様子を示した図である。
【図3】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の、保護部材の厚みの測定方法を示した図である。
【図4】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の、研削加工の様子を示した側面図である。
【図5】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の、研削加工の様子を示した上面図である。
【図6】実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の、ステージ傾き調整前後のウェハ厚み分布を示した図である。
【図7】実施の形態2にかかる半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。
【図8】実施の形態3にかかる半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。
【図9】実施の形態4にかかる半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。
【図10】実施の形態4にかかる半導体装置の製造方法の、研削量に伴う軸電流と反射率の変化を示した図である。
【図11】実施の形態5にかかる半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<A.実施の形態1>
<A−1.構成>
図1は本発明の実施の形態1における、半導体製造装置である研削装置の構成を示した図である。図1において、保護部材厚み計測部11は、テープやガラス基板などの保護部材の厚みを複数点において計測し、保護部材厚みデータを出力する。厚みデータ処理部12は、保護部材厚み計測部11から出力される保護部材厚みデータを用いて、平均厚みの算出を行う。算出結果を、保護部材平均厚みデータとして出力する。
【0022】
厚みデータ処理部12において算出した保護部材平均厚みデータは、測定データ格納部13に保存される。接触式厚み計測部14は、研削処理中のウェハの厚みと保護部材の厚みとを足し合わせた総厚の計測を行う。このとき、保護部材の厚みとして、測定データ格納部13に保存されている保護部材平均厚みデータが参照される。
【0023】
ウェハ厚計測部15は、処理後のウェハ厚を複数点において計測し、ウェハ厚みデータを出力する。そして、厚みデータ処理部16において、ウェハ厚計測部15から出力されるウェハ厚みデータを用いて、ウェハの平均厚み、面内の厚み分布の算出が行われる。
【0024】
算出されたウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データは、測定データ格納部17に保存される。ステージ傾き評価部18は、測定データ格納部17に保存されたウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データから、ステージ傾きを算出する。
【0025】
ステージ傾き調整部19は、ステージ傾き評価部18において算出したステージ傾きに基づいて、ステージ傾きの調整を行う。
【0026】
<A−2.動作>
図1を参照して、本発明の実施の形態1における研削処理プロセスを説明する。まず、処理対象であるウェハ、保護部材を用意し、図1に示すように、保護部材厚み計測部11は、これから研削するウェハに貼り付けられた保護部材となるテープやガラス基板などの厚みを測定する。保護部材は、図2に示すように、半径一定の測定点23のみでなく、ウェハ21面内の半径方向について複数の測定点22の厚みが測定される。なお保護部材としては、薄くなったウェハの反りやたわみが矯正可能な厚みであればよく、例えば、液晶ディスプレイパネルで用いられる700μm厚程度のガラス基板を使用することができる。
【0027】
保護部材の厚みの測定方法としては、例えば図3に示すような方法を用いることができ、ウェハ21の保護部材24の、ウェハ21と接触していない面へ、測定用の入射光26を入射し、保護部材24の表面からの反射光27と、裏面からの反射光270との干渉から、保護部材24の厚みを測定することができる。
【0028】
厚みデータ処理部12は、保護部材24の保護部材厚みデータに基づいて平均厚みを算出し、保護部材平均厚みデータとして出力する。保護部材平均厚みデータは、測定データ格納部13に保存される。
【0029】
その後、保護部材24およびウェハ21は、研削装置の処理テーブルへと搬送され、研削砥石により研削加工される。研削加工は図4に示すように行われ、ウェハ21はステージとしての吸着ステージ210上に搬送、載置され、真空吸着等により吸着ステージ210に吸着された後、吸着ステージ210全体が図4の矢印で示すように回転する。なお、吸着ステージ210は、保護部材カバー211に覆われている。
【0030】
続いて、研削部材としての研削砥石213が設置された研削ホイール212を、図4上方より回転させながらウェハ21上に下降させる。研削砥石213がウェハ21に接触すると、研削砥石213による研削加工が開始される。
【0031】
図5は、図4の構成を上方から見た場合の図である。ウェハ21と、研削砥石213と、接触式厚み測定器214との位置関係は、図に示すようになる。
【0032】
加工中の保護部材24を含むウェハ21の厚みについては、接触式厚み測定器214を用いて、随時モニタリングが可能である。目標とするウェハ21の仕上げ厚みと、保護部材平均厚みデータに基づく保護部材24の平均厚みとから、研削処理を停止する際の接触式厚み測定器214のターゲット値(目標値)が決定される。
【0033】
このような構成から、保護部材24に面内厚みに分布があった場合にも、その平均値である保護部材平均厚みデータを考慮して研削することにより、ウェハ21厚の平均値がターゲット値(目標値)となるように研削することができる。
【0034】
次に、目標の厚みまで研削された保護部材24付きのウェハ21は、ウェハ厚計測部15へと搬送される。ウェハ厚計測部15においては、例えば図3に示すようなレーザによる干渉を用いた非接触の厚み測定手段により、ウェハ21面内の半径方向について複数点の厚みが測定され、ウェハ厚みデータとして出力される。但しこの場合、図3に示す場合とは、ウェハ21と保護部材24との位置関係が異なり(すなわち逆となり)、ウェハ21の表面、裏面からの反射光を用いた干渉から、ウェハ21の厚みを測定する。
【0035】
測定にあたっては、光の透過率の観点から、シリコンであれば波長1.3μm程度のレーザ光が用いられる。また、ウェハ21の表面に形成されたパターンによる影響を取り除くため、あらかじめ厚みデータ処理部16において、ウェハ21の厚みの上限値と下限値とを設定しておくこともできる。このようにすれば、上限値を超える場合、および下限値を超えない場合は、測定値から除外することができる。
【0036】
その後、厚みデータ処理部16において、ウェハ厚みデータに基づいてウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データが算出される。この厚みデータ処理部16で算出されたウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データは、測定データ格納部17に随時保管される。
【0037】
このウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データは、ステージ傾き評価部18にて評価され、面内のウェハ厚みに関して、その最大値と最小値の差が予め設定した設定値より大きくなった場合に、例えば図4に示すようなマイクロメータを用いたステージ傾き調整機構215を有したステージ傾き調整部19にて、吸着ステージ210の傾き調整がなされる。
【0038】
図6(a)には、本発明の実施の形態1におけるステージ傾き調整前のウェハ21面内の厚み分布について示している。一方図6(b)は、研削後のウェハ面内の厚み分布から、ステージ傾き調整機構215を用いてステージ傾きを調整した場合をウェハ21面内の厚み分布(TTV)を示している。
【0039】
図6(a)においては、分布の幅が4.5μm程度であったものが、図6(b)においては、分布の幅は1.2μm程度にまで改善されていることが分かる。
【0040】
本実施の形態1における保護部材24およびウェハ21の厚みの測定に関しては、同一の点においても複数回測定することで、より測定の精度を高めることができる。
【0041】
<A−3.効果>
本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、(a)ウェハ21と、ウェハ21上に形成された保護部材24とからなる処理対象を用意する工程と、(b)保護部材24の厚みを、複数点において測定する工程と、(c)複数点における測定結果に基づいて、ウェハ21と保護部材24とを合わせた厚みの目標値を設定し、当該目標値に従ってウェハ21を研削する工程とを備えることで、保護部材24の厚みが精度よく測定され、その保護部材24の厚みとウェハ21の厚みとを合わせた厚みが精度よく決定できるので、ウェハ21の厚みを適切に制御でき、ウェハ21の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0042】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(b)は、保護部材24の厚みを、その径方向の複数点において測定する工程であることで、保護部材24の厚みが精度よく測定することが可能となる。
【0043】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(c)は、複数点における測定結果の平均値に基づいて、目標値を設定する工程であることで、保護部材24の厚みが精度よく測定することが可能となる。
【0044】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(c)は、ウェハ21をステージとしての吸着ステージ210上に載置し、ウェハ21上に配置した研削部材としての研削砥石213を用いてウェハ21を研削する工程であり、(d)研削されたウェハ21内の厚み分布を測定する工程と、(e)厚み分布に基づいて、吸着ステージ210の研削砥石213に対する配置角度を調整する工程とをさらに備えることで、ウェハ21を連続して研削処理する場合でも、吸着ステージ210と研削砥石213との位置関係を常に適切な状態に調整でき、ウェハ21を精度よく研削処理し続けることができる。
【0045】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(d)は、予めウェハ21の厚みの上限値および/または下限値を設定し、当該上限値以下および/または下限値以上の厚み範囲において、ウェハ21内の厚み分布を測定する工程であることで、ウェハ21表面に形成されたパターン等による凹凸の影響を除外して、適切にウェハ21の厚み制御を行うことができる。
【0046】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(b)、(d)は、測定対象物の表面と裏面との干渉による膜厚測定を用いて、保護部材24の厚み、およびウェハ21内の厚み分布を測定する工程であることで、非接触で、かつ精度よくウェハ21の厚みを測定することができる。
【0047】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(c)は、ウェハ21と保護部材24とを合わせた厚みを接触式厚み測定器214によって測定しながら、ウェハ21を研削する工程であることで、目標値に対する総厚の変化を確認しながら研削処理を行うことができる。
【0048】
また、本発明にかかる実施の形態1によれば、半導体装置の製造方法において、工程(b)、(c)、(d)は、測定対象物における同一点を複数回測定し、その測定値が予め設定された範囲外である場合には、当該測定値を除外する工程であることで、より精度よく測定対象物の厚みを測定することができる。
【0049】
<B.実施の形態2>
<B−1.構成>
図7は、本発明の実施の形態2における、研削装置の構成を示した図である。保護部材厚み計測部11〜測定データ格納部17については、本発明の実施の形態1と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。本実施の形態2ではさらに、厚みデータ処理部16からの出力をうける砥石傾き評価部48、その出力をうける砥石傾き調整部49を備える。
【0050】
<B−2.動作>
測定データ格納部17に随時保管されているウェハ平均厚みデータ、ウェハ厚み分布データを用いて、砥石傾き評価部48にてウェハ21面内の厚み分布が評価される。厚み分布の幅が予め設定した設定値より大きくなった場合には、例えば、ステージ傾き調整機構215(図4参照)と同様の機構を有した砥石傾き調整部49にて、研削ホイール212の傾きが調整される。すなわち、研削砥石213の吸着ステージ210に対する配置角度が調整される。なお、研削砥石213・吸着ステージ210・ウェハ21の位置関係は、図4に示すような配置になっている。
【0051】
なお、本実施の形態2の構成、実施の形態1に示すようなステージ傾き評価部18およびステージ傾き調整部19をさらに組み合わせることも可能である。
【0052】
<B−3.効果>
本発明にかかる実施の形態2によれば、半導体装置の製造方法において、(f)厚み分布に基づいて、吸着ステージ210の研削砥石213に対する配置角度を調整する工程(e)の代わりに、ウェハ21の厚み分布に基づいて、研削部材としての研削砥石213のステージとしての吸着ステージ210に対する配置角度を調整する工程をさらに備えることで、ウェハ21を連続して研削処理する場合でも、吸着ステージ210と研削砥石213との位置関係を適切な状態に調整でき、ウェハ21を精度よく研削処理し続けることができる。
【0053】
<C.実施の形態3>
<C−1.構成>
図8は、本発明の実施の形態3における、研削装置の構成を示した図である。保護部材厚み計測部11〜測定データ格納部17については、本発明の実施の形態1と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。実施の形態3ではさらに、厚み測定が行われる際の測定光の強度を、反射率評価部58にてモニタリングする。
【0054】
<C−2.動作>
反射率評価部58では、図3で示すように、厚み測定のためにウェハ21表面に入射した光について、ウェハ21表面および裏面から反射した反射光を、例えばフォトダイオードなどで検出し、予めミラー加工されたウェハを用いた際の反射光の強度と相対比較することができる。
【0055】
研削面の面粗さが粗くなり、あらかじめ設定しておいた設定値よりも検出した反射光の強度が小さくなった際、反射率判定部59にて研削性能が劣化したと判定し、次ウェハの処理を停止する。このような構成としておくことで、研削性能が低下したままの状態で次ウェハの処理を防止することができる。特にこの構成は、ウェハ材が難削材料であり、砥石の寿命が短くなる、炭化ケイ素である場合に顕著な効果を奏する。
【0056】
なお、本実施の形態3の構成に、実施の形態1、2に示すような構成をさらに組み合わせることも可能である。
【0057】
<C−3.効果>
本発明にかかる実施の形態3によれば、半導体装置の製造方法において、(g)研削されたウェハ21に入射光26を入射し、その反射光27、270を測定する工程と、(h)測定した反射光27、270の強度に基づいて、研削部材としての研削砥石213の研削性能を評価する工程とをさらに備えることで、研削性能が劣化した状態でさらに研削処理を続けることを抑制でき、ウェハ21の厚みを精度よく制御できる。
【0058】
また、本発明にかかる実施の形態3によれば、半導体装置の製造方法において、(a)ウェハ21をステージとしての吸着ステージ210上に載置し、研削部材としての研削砥石213をウェハ21上に配置してウェハ21を研削する工程と、(b)研削されたウェハ21に入射光26を入射し、その反射光27、270を測定する工程と、(c)測定した反射光27、270の強度に基づいて、研削部材としての研削砥石213の研削性能を評価する工程とを備えることで、研削性能が劣化した状態でさらに研削処理を続けることを抑制でき、ウェハ21の厚みを精度よく制御できる。
【0059】
<D.実施の形態4>
<D−1.構成>
図9は、本発明の実施の形態4における、研削装置の構成を示した図である。保護部材厚み計測部11〜測定データ格納部17までは、本発明の実施の形態3と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。実施の形態4の場合では、研削時に研削砥石213の軸にかかる負荷をモニタリングする軸電流評価部68およびその判定を行う軸電流判定部69を設けることで、研削砥石213の研削性能の低下が検出できる。
【0060】
<D−2.動作>
ここで軸電流とは、ウェハ21の研削加工の際に、研削ホイール212を回転させるモータに流れる電流のことで、研削砥石213中の砥粒の劣化などにより研削性能が低下すると、ウェハ21の研削速度が下がっていくために、軸電流(モータ電流)が増大していく傾向がある。実施の形態3および4における研削量にともなう軸電流と反射率の変化を図10に示す。
【0061】
軸電流評価部68において軸電流の増大を検出した場合は、軸電流判定部69において研削性能が劣化したと判定し、次ウェハの処理を停止する。
【0062】
このような構成としておくことで、研削性能が低下したままの状態で次ウェハの処理を防止することができる。例えば、軸電流の判定値を初期値の120%以内とすることで、砥石性能が劣化した状態での研削を抑制することが可能になる。特にこの構成は、ウェハ材が難削材料であり、砥石の寿命が短くなる炭化ケイ素である場合に顕著な効果を奏する。
【0063】
なお、本実施の形態4の構成に、実施の形態1、2、3に示すような構成をさらに組み合わせることも可能である。
【0064】
<D−3.効果>
本発明にかかる実施の形態4によれば、半導体装置の製造方法において、(i)研削部材としての研削砥石213を回転させるための軸電流を測定する工程と、(j)測定した軸電流の大きさに基づいて、研削砥石213の研削性能を評価する工程とをさらに備えることで、研削性能が劣化した状態でさらに研削処理を続けることを抑制でき、ウェハ21の厚みを精度よく制御できる。
【0065】
また、本発明にかかる実施の形態4によれば、半導体装置の製造方法において、(a)ウェハ21をステージとしての吸着ステージ210上に載置し、回転可能な研削部材としての研削砥石213をウェハ21上に配置してウェハ21を研削する工程と、(b)研削砥石213を回転させるための軸電流を測定する工程と、(c)測定した軸電流の大きさに基づいて、研削砥石213の研削性能を評価する工程とを備えることで、研削性能が劣化した状態でさらに研削処理を続けることを抑制でき、ウェハ21の厚みを精度よく制御できる。
【0066】
<E.実施の形態5>
図11には、本発明の実施の形態5における、研削処理プロセスを示している。本発明の実施の形態1で示した、保護部材厚み計測部11、厚みデータ処理部12、測定データ格納部13、接触式厚み計測部14の構成とすることで、保護部材24の厚み分布の幅が大きくなった場合に、簡易な構成で保護部材24の厚み分布のばらつきの影響を取り除くことが可能となる。
【符号の説明】
【0067】
11 保護部材厚み計測部、12,16 厚みデータ処理部、13,17 測定データ格納部、14 接触式厚み計測部、15 ウェハ厚計測部、18 ステージ傾き評価部、19 ステージ傾き調整部、21 ウェハ、22,23 測定点、24 保護部材、26 入射光、27,270 反射光、48 砥石傾き評価部、49 砥石傾き調整部、58 反射率評価部、59 反射率判定部、68 軸電流評価部、69 軸電流判定部、210 吸着ステージ、211 保護部材カバー、212 研削ホイール、213 研削砥石、214 接触式厚み測定器、215 ステージ傾き調整機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ウェハと、前記ウェハ上に形成された保護部材とからなる処理対象を用意する工程と、
(b)前記保護部材の厚みを、複数点において測定する工程と、
(c)前記複数点における測定結果に基づいて、前記ウェハと前記保護部材とを合わせた厚みの目標値を設定し、当該目標値に従って前記ウェハを研削する工程とを備える、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)は、前記保護部材の厚みを、その径方向の複数点において測定する工程である、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(c)は、前記複数点における測定結果の平均値に基づいて、前記目標値を設定する工程である、
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(c)は、前記ウェハをステージ上に載置し、前記ウェハ上に配置した研削部材を用いて前記ウェハを研削する工程であり、
(d)研削された前記ウェハ内の厚み分布を測定する工程と、
(e)前記厚み分布に基づいて、前記ステージの前記研削部材に対する配置角度を調整する工程とをさらに備える、
請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(d)は、予め前記ウェハの厚みの上限値および/または下限値を設定し、当該上限値以下および/または下限値以上の厚み範囲において、前記ウェハ内の厚み分布を測定する工程である、
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
(f)前記工程(e)の代わりに、前記厚み分布に基づいて、前記研削部材の前記ステージに対する配置角度を調整する工程をさらに備える、
請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(g)研削された前記ウェハに光を入射し、その反射光を測定する工程と、
(h)測定した前記反射光の強度に基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とをさらに備える、
請求項4〜6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
(i)前記研削部材を回転させるための軸電流を測定する工程と、
(j)測定した前記軸電流の大きさに基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とをさらに備える、
請求項4〜7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記工程(b)、(d)は、測定対象物の表面と裏面との干渉による膜厚測定を用いて、前記保護部材の厚み、および前記ウェハ内の厚み分布を測定する工程である、
請求項4〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記工程(c)は、前記ウェハと前記保護部材とを合わせた厚みを接触式厚み測定器によって測定しながら、前記ウェハを研削する工程である、
請求項1〜9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(b)、(c)、(d)は、測定対象物における同一点を複数回測定し、その測定値が予め設定された範囲外である場合には、当該測定値を除外する工程である、
請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
(a)ウェハをステージ上に載置し、研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、
(b)研削された前記ウェハに光を入射し、その反射光を測定する工程と、
(c)測定した前記反射光の強度に基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備える、
半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(a)ウェハをステージ上に載置し、回転可能な研削部材を前記ウェハ上に配置して前記ウェハを研削する工程と、
(b)前記研削部材を回転させるための軸電流を測定する工程と、
(c)測定した前記軸電流の大きさに基づいて、前記研削部材の研削性能を評価する工程とを備える、
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−245610(P2011−245610A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124391(P2010−124391)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】