説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】所望の厚さで制御良くエピタキシャル成長され、良好な特性を示すシリコン混晶層を備えた半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板10内に形成された素子分離領域11aと、素子分離領域11aに囲まれた半導体基板10からなり、トレンチ部を有する活性領域と、活性領域上に形成されたゲート電極13、ゲート電極13の側面上であって、平面的に見てゲート電極13とトレンチ部との間に形成された第1のサイドウォール19、及びトレンチ部内に充填された第1導電型のシリコン混晶層21を有する第1導電型のMISトランジスタと、トレンチ部と素子分離領域11a、11bとの間に設けられ、半導体基板10からなる基板領域と、基板領域に形成された第1導電型の不純物領域22とを備えている。シリコン混晶層21は、活性領域のチャネル領域に対して応力を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置では、高速動作、低消費電力化、高集積化等の高性能化のため、最小加工寸法の微細化が図られてきた。最小加工寸法が65nm以下の世代では、微細化の技術的困難性が極めて高くなり、また、微細化のみによる高性能化に限界が見え始めている。
【0003】
そこで、微細化によらない高性能トランジスタとして、MIS型トランジスタのチャネル領域に対して応力歪みを与えることによりキャリア移動度を向上させる、いわゆる歪みシリコントランジスタが注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。例えば、p型MISトランジスタでは、主面の面方位が(100)面であるシリコン基板の主面上に形成されたp型MISトランジスタのチャネル領域に対して、ゲート長方向に圧縮応力を印加することにより、正孔の移動度が向上しトランジスタ駆動力が増大する。
【0004】
以下、従来の圧縮応力を有する半導体装置の製造方法について図13を参照しながら説明する。図13(a)〜(d)は、従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0005】
まず、図13(a)に示すように、半導体基板100の上部に素子分離領域101によって囲まれ、半導体基板100からなる活性領域100Aを形成した後、活性領域100A上にゲート絶縁膜102、ゲート電極103及び保護絶縁膜104を形成する。その後、活性領域100Aにおけるゲート電極103の側方下の領域にp型エクステンション領域105を形成する。
【0006】
次に、図13(b)に示すように、ゲート電極103の側面上にサイドウォール106を形成した後、露出している半導体基板100を所望の深さまでエッチングする。これにより、活性領域100Aであって、平面的に見てサイドウォール106と素子分離領域101との間に位置する領域にトレンチ部107を形成する。
【0007】
次に、図13(c) に示すように、トレンチ部107内にp型SiGe層108をエピタキシャル成長させる。以降、所定の工程を経て、従来の半導体装置を製造する。
【0008】
この製造方法によれば、ゲート電極103直下のチャネル領域に対して、ゲート長方向に圧縮応力を与えるp型SiGe層108が設けられたp型MISトランジスタを有する半導体装置が製造できる。
【特許文献1】米国特許第6621131号明細書
【特許文献2】特開2006−13428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の半導体装置の製造方法では、トレンチ部内に、例えばSiGe層などの歪みを含有するシリコン混晶層を制御良く所望の厚さでエピタキシャル成長することができないという不具合がある。
【0010】
すなわち、SiGe層をエピタキシャル成長する際、トレンチ部内における素子分離領域側の側面には素子分離領域の絶縁膜が露出しており、エピタキシャル成長基板となるシリコンが存在していないため、エピタキシャル成長不良が生じ、所望の厚さでSiGe層を形成することが困難である。
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、所望の厚さで制御良くエピタキシャル成長され、良好な特性を示すシリコン混晶層を備えた半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板内に形成された素子分離領域と、前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板からなり、トレンチ部を有する活性領域と、前記活性領域上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側面上であって、平面的に見て前記ゲート電極と前記トレンチ部との間に形成された第1のサイドウォールと、前記トレンチ部内に充填され、前記活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせる第1導電型のシリコン混晶層とを有する第1導電型のMISトランジスタと、前記トレンチ部と前記素子分離領域との間に設けられ、前記半導体基板からなる基板領域と、前記基板領域に形成された第1導電型の不純物領域とを備えている。
【0013】
この構成によれば、活性領域に形成されたトレンチ部と素子分離領域との間に、基板領域が設けられている。これにより、活性領域に対して応力を生じさせるシリコン混晶層をトレンチ部内に例えばエピタキシャル成長により形成する場合、トレンチ部内の内壁全体は半導体基板で構成されており、素子分離領域が露出していないため、成長不良が抑制され、制御良くシリコン混晶層を形成することができる。従って、本発明の半導体装置によれば、良好な品質を有するシリコン混晶層を備え、高速に動作が可能な半導体装置を実現することができる。
【0014】
また、基板領域にはシリコン混晶層と同じ導電型の不純物領域が形成されているため、MISトランジスタのソース・ドレイン領域として機能するシリコン混晶層と、半導体基板との間で、リーク電流が発生するのを抑制することができる。従って、本発明の半導体装置によれば、上記の効果に加えて、リーク電流の発生が抑制された信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0015】
次に、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板内に形成された活性領域上に設けられた第1導電型のMISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、前記半導体基板内に前記活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(a)と、前記工程(a)の後、前記活性領域上に、ゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された第1の保護絶縁膜と、前記ゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールとを有するゲート部を形成する工程(b)と、前記活性領域の端部であって、前記素子分離領域と隣接する基板領域上に、マスク部を形成する工程(c)と、前記半導体基板のうち、平面的に見て前記ゲート部と前記マスク部との間に位置するトレンチ部形成領域をエッチングしてトレンチ部を形成するとともに、前記トレンチ部と前記素子分離領域との間に前記基板領域を残存させる工程(d)と、前記トレンチ部内に、前記活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせる第1導電型のシリコン混晶層を充填する工程(e)と、前記基板領域に第1導電型の不純物領域を形成する工程(f)とを備えている。
【0016】
この方法によれば、工程(c)で基板領域を覆うマスク部を形成することで、工程(d)で、トレンチ部と素子分離領域との間に基板領域を残存させてトレンチ部を形成することができる。そのため、工程(e)でトレンチ部内にシリコン混晶層をエピタキシャル成長などにより形成する際に、トレンチ部の表面に素子分離領域が露出することなく、トレンチ部の内壁全体が半導体基板で構成されることになり、トレンチ部内に良好にシリコン混晶層をエピタキシャル成長させることができる。その結果、本発明の半導体装置の製造方法を用いれば、所望の特性を示すシリコン混晶層を備え、高速で動作可能な半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0017】

本発明の半導体装置及びその製造方法によれば、活性領域のチャネル領域に対して応力を生じさせるシリコン混晶層を制御良く形成することができ、半導体装置の駆動能力を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(c)は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0019】
まず、図1(a)に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えば面方位が(100)面の主面を持つシリコン(Si)からなる半導体基板10の上部にトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜を埋め込んで素子分離領域11a、11bを選択的に形成する。これにより、素子分離領域11a、11bによって囲まれた半導体基板10からなる活性領域10A、10B、10Cが形成される。ここで、素子分離領域11aの分離幅は、素子分離領域11bの分離幅よりも狭く、最小ルールにおけるゲート電極のゲート長の2〜5倍である。
【0020】
次に、リソグラフィ法及びイオン注入法により、半導体基板10に、例えばP(リン)等のn型不純物を注入して、活性領域10A、10B、10Cを含む領域にn型ウェル領域(図示せず)を形成する。その後、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が2nmのシリコン酸窒化膜、膜厚が100nmのポリシリコン膜、及び膜厚が30nmのシリコン酸化膜を順次形成する。その後、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により、シリコン酸化膜、ポリシリコン膜及びシリコン酸窒化膜を順次パターニングして、活性領域10A上にシリコン酸窒化膜からなるゲート絶縁膜12、ポリシリコン膜からなるゲート電極13、及びシリコン酸化膜からなる保護絶縁膜14を形成する。同時に、素子分離領域11a上の中央部に、ダミーゲート絶縁膜12a、ダミーゲート電極13a及びダミー保護絶縁膜14aを形成する。一方、素子分離領域11b上の活性領域10A側の端部に、ダミーゲート絶縁膜12b、ダミーゲート電極13b及びダミー保護絶縁膜14bを形成すると共に、素子分離領域11b上の活性領域10C側の端部に、ダミーゲート絶縁膜12c、ダミーゲート電極13c及びダミー保護絶縁膜14cを形成する。なお、このとき、活性領域10B、10C上にもゲート絶縁膜、ゲート電極及び保護絶縁膜が形成されるが、ここでは図示を省略する。
【0021】
ここで、ダミーゲート電極13aは、ゲート長がゲート電極13のゲート長よりも大きくて素子分離領域11aの分離幅よりも狭くなるように、且つ後工程でダミーゲート電極13aの両側面上に形成されるサイドウォールの一部が平面的に見て活性領域10A、10B上にオーバーラップするように形成する。一方、ダミーゲート電極13b、13cは、ゲート長がゲート電極13のゲート長と同程度となるように、且つ後工程で形成するサイドウォールの一部が活性領域10A、10C上にオーバーラップするようにそれぞれ形成する。なお、ダミーゲート絶縁膜12a、12b、12cは必ずしも設ける必要はない。
【0022】
次に、図1(b)に示すように、半導体基板10上の全面に、膜厚が5nmのシリコン酸化膜を形成した後、該シリコン酸化膜をエッチバックすることにより、ゲート電極13の側面上に断面形状がI字状のオフセットスペーサ15を形成するとともに、ダミーゲート電極13a、13b、13cの側面上に断面形状がI字状のオフセットスペーサ15a、15b、15cをそれぞれ形成する。その後、活性領域10Aに、ゲート電極13及びオフセットスペーサ15をマスクにして、p型不純物であるボロンをドーズ量4×1014ions/cmで注入してp型エクステンション領域16を形成する。このとき、活性領域10B、10Cにも同様にしてp型エクステンション領域16を形成する。
【0023】
次に、図1(c)に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が5nmのシリコン酸化膜と膜厚が30nmのシリコン窒化膜とを順次堆積した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる積層膜をエッチバックする。これにより、ゲート電極13の側面上に、オフセットスペーサ15を介してサイドウォール19を形成するとともに、ダミーゲート電極13a、13b、13cの側面上に、オフセットスペーサ15a、15b、15cを介してサイドウォール19a、19b、19cをそれぞれ形成する。
【0024】
ここで、サイドウォール19は、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17と、内側サイドウォール17上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18とでそれぞれ構成されている。同様に、サイドウォール19aは、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17aと、L字状の内側サイドウォール17a上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18aとでそれぞれ構成されている。また、サイドウォール19bは、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17bと、内側サイドウォール17b上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18bとで構成されている。同様に、サイドウォール19cは、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17cと、内側サイドウォール17c上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18cとで構成されている。
【0025】
次に、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、ダミーゲート絶縁膜12a、ダミーゲート電極13a、ダミー保護絶縁膜14a、オフセットスペーサ15a、及びサイドウォール19aを有するマスク部50aと、ダミーゲート絶縁膜12b、ダミーゲート電極13b、ダミー保護絶縁膜14b、オフセットスペーサ15b、及びサイドウォール19bを有するマスク部50bと、ダミーゲート絶縁膜12c、ダミーゲート電極13c、ダミー保護絶縁膜14c、オフセットスペーサ15c、及びサイドウォール19cを有するマスク部50cとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングする。これにより、活性領域10A内であって、平面的に見てサイドウォール19とサイドウォール19a、19bとの間に位置する領域(トレンチ部形成領域)にトレンチ部20を形成する。このとき、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(以下、「基板領域」と称する)上には、サイドウォール19a、19bが形成されているため、素子分離領域11a、11bとトレンチ部20との間には半導体基板10が残存する。この基板領域が残存することで、トレンチ部20内には素子分離領域11a、11bが露出しない。このとき、活性領域10B、10Cにも同様にしてトレンチ部20が形成される。ここで、トレンチ部20の深さは、50nm程度が望ましい。
【0026】
次に、図2(a) に示すように、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、例えばシランガス(SiH)及びゲルマン(GeH)ガスを、ジボラン(B)などのp型ドーパントガスとともに650〜700℃の温度で供給することにより、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。このとき、p型SiGe層21の上面は、ゲート電極13直下に位置する半導体基板10の上面の高さに比べて同等以上の高さになるように形成することが望ましい。この場合、ゲート電極13の下方に形成されるチャネル領域に対して、p型SiGe層21が十分に応力を加えられるため、p型MISトランジスタの駆動能力をより一層高めることができる。
【0027】
次に、図2(b) に示すように、半導体基板10に熱処理を行うことにより、p型SiGe層21中のp型不純物を半導体基板10に拡散させる。これにより、活性領域10Aにおける素子分離領域11a、11bとp型SiGe層21との間に位置する領域(基板領域)にp型不純物領域22を形成する。このとき、活性領域10B、10Cにも同様にしてp型不純物領域22が形成される。本工程により、サイドウォール19の外側方下に位置する領域に、p型SiGe層21及びp型不純物領域22からなるp型ソース・ドレイン領域が形成される。
【0028】
ここで、図2(b)に示す工程では、p型SiGe層21を含む活性領域10A、10B、10Cに、ゲート電極13及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物である例えばボロンを、ドーズ量が4×1015ions/cmで、注入角度が10°〜25°の注入条件で斜めイオン注入した後、熱処理を行うことでp型不純物領域22を形成してもよい。この場合、p型SiGe層21中のp型不純物のみを拡散させてp型不純物領域22を形成するよりも、基板領域に対して短時間の熱処理で高濃度のp型不純物領域22を確実に形成することができる。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、スパッタ法等により、半導体基板10の上に、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は白金(Pt)等からなる金属膜を堆積する。その後、堆積した金属膜をアニールすることにより、ゲート電極13及びp型SiGe層21の各上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。次に、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0030】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、図1(c)に示す工程でゲート部50、及びマスク部50a、50b、50cを用いてトレンチ部20を形成することにある。この方法によれば、マスク部50a、50b、50cを構成するサイドウォール19a、19b、19cの一部が、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)を覆うため、トレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間に、基板領域を残存させることができる。その結果、トレンチ部20の表面に素子分離領域11a、11bが露出することなくトレンチ部20の内壁全体が半導体基板で構成されることになるため、良好にエピタキシャル成長を行うことができ、所望の特性を示すp型SiGe層21を得ることができる。従って、本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、良好な特性を示すp型SiGe層を備え、高速で動作可能な半導体装置を製造することができる。
【0031】
また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、マスク部を構成するダミーゲート電極13a、13b、13c、ダミー保護絶縁膜14a、14b、14c、及びサイドウォール19a、19b、19cは、MISトランジスタのゲート電極13、保護絶縁膜14、及びサイドウォール19と、それぞれ同一工程で形成されるため、マスク部を別途形成するための工程を増加することなく、比較的容易にトレンチ部20を形成することができる。
【0032】
なお、本実施形態の半導体装置の製造方法のように、分離幅がゲート電極13のゲート長に対して十分に大きい素子分離領域11bを備えている場合は、ゲート長がゲート電極13のゲート長と同じであるダミーゲート電極13bを素子分離領域11bの両端部に1つずつ設けることが望ましい。これにより、ダミーゲート電極13bとダミーゲート電極13aを形成する際のマスクレイアウトパターンが比較的容易に形成できる、最適なエッチング条件を使用できるなどの効果が得られる。また、分離幅がゲート電極13のゲート長よりも大きく、素子分離領域11bの分離幅よりも小さい素子分離領域11aを備えている場合は、上述したように所望の領域にトレンチ部20が形成できるように、素子分離領域11aの分離幅、サイドウォール19aの幅を考慮して、ダミーゲート電極13aのゲート長を設定すればよい。なお、本実施形態の製造方法の素子分離領域11a、11bの分離幅は一例であり、これに限定されるものではない。
【0033】
次に、図2(c)を用いて本実施形態の半導体装置の構成について簡単に説明する。なお、各構成部材の材料、膜厚、形成方法などは、上述の製造方法で述べた材料と同様である。
【0034】
図2(c)に示すように、本実施形態の半導体装置は、半導体基板10と、半導体基板10内に形成された素子分離領域11a、11bと、素子分離領域11a、11bに囲まれた半導体基板10からなり、トレンチ部を有する活性領域10Aと、活性領域10A上に形成されたp型MISトランジスタと、トレンチ部と素子分離領域11a、11bの間にそれぞれ設けられ、半導体基板10からなる基板領域と、基板領域に形成されたp型不純物領域22とを備えている。
【0035】
ここで、p型MISトランジスタは、活性領域10A上に下から順に形成されたゲート絶縁膜12及びゲート電極13と、ゲート電極13の側面上に形成されたオフセットスペーサ15と、オフセットスペーサ15上であって、平面的に見てゲート電極13とトレンチ部との間に形成されたサイドウォール19と、活性領域10Aにおけるゲート電極13の側方下の領域に形成されたp型エクステンション領域16と、サイドウォール19の外側方下の領域に形成されたp型SiGe層21及びp型不純物領域22からなるp型ソース・ドレイン領域とを有している。ここで、p型SiGe層21は、トレンチ部内に充填され、活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせる。なお、サイドウォール19は、断面形状がL字状の内側サイドウォール17と、内側サイドウォール17上に形成された外側サイドウォール18とで構成されている。また、ゲート電極13及びp型SiGe層21の上には、金属シリサイド層23が形成されている。
【0036】
さらに、本実施形態の半導体装置は、素子分離領域11a、11b上に下から順にそれぞれ形成されたダミーゲート絶縁膜12a、12bと、ダミーゲート電極13a、13bと、及びダミー保護絶縁膜14a、14bと、ダミーゲート電極13a、13bの側面上に形成されたオフセットスペーサ15a、15bと、オフセットスペーサ15a上であって、基板領域を覆うように形成されたサイドウォール19a、19bとを備えている。なお、サイドウォール19aは、断面形状がL字状の内側サイドウォール17aと、内側サイドウォール17a上に形成された外側サイドウォール18aとで構成されている。同様に、サイドウォール19bは、断面形状がL字状の内側サイドウォール17bと、内側サイドウォール17b上に形成された外側サイドウォール18bとで構成されている。
【0037】
以上の構成を備えた本実施形態の半導体装置では、活性領域10Aであって、ゲート電極13の両側方下に位置する領域に形成されたp型SiGe層21を備えている。このp型SiGe層21は、Siよりも格子定数が大きいGeを含むため、ゲート長方向に圧縮応力歪みを生じさせる。その結果、活性領域10A内であって、ゲート電極13の下側に位置するチャネル領域にp型SiGe層21により圧縮応力が加わることで、p型MISトランジスタの駆動力を向上させることができ、高速で動作可能な半導体装置を実現することができる。
【0038】
また、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域である基板領域には、p型不純物領域22が形成されている。これにより、p型ソース・ドレイン領域(p型SiGe層21及びp型不純物領域22)と半導体基板10(n型ウェル領域(図示せず))との間に生じるリーク電流の低減を図ることができる。
【0039】
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法について図3を参照しながら説明する。図3(a)〜(c)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、図3において、図1、図2に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0040】
まず、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様にして、図1(a)及び図1(b)に示す工程を行うことで、p型エクステンション領域16が形成された図1(b)に示す構成を得る。
【0041】
次に、図3(a)に示すように、半導体基板10上に、ゲート電極13、及び後工程でトレンチ部を形成するトレンチ部形成領域の一部を覆い、且つ、活性領域10A、10B、10Cの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域を露出させる開口部を有するレジスト30を形成する。その後、レジスト30をマスクにして、活性領域10A、10B、10Cに、p型不純物である例えばボロンをドーズ量が4×1015ions/cmの注入条件でイオン注入する。次いで、レジスト30を除去した後、注入した不純物を活性化するための熱処理を行って、p型不純物領域22を形成する。このp型不純物領域22は、半導体基板10からなり、後工程で形成するp型SiGe層と素子分離領域11a、11bとの間に位置する領域に形成されていれば良い。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、図1(c)に示す工程と同様な方法によって、サイドウォール19、19a、19b、19cを形成する。その後、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、ダミーゲート絶縁膜12a、ダミーゲート電極13a、ダミー保護絶縁膜14a、オフセットスペーサ15a、及びサイドウォール19aを有するマスク部50aと、ダミーゲート絶縁膜12b、ダミーゲート電極13b、ダミー保護絶縁膜14b、オフセットスペーサ15b、及びサイドウォール19bを有するマスク部50bと、ダミーゲート絶縁膜12c、ダミーゲート電極13c、ダミー保護絶縁膜14c、オフセットスペーサ15c、及びサイドウォール19cを有するマスク部50cとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングすることで、トレンチ部20を形成する。このとき、素子分離領域11a、11bとトレンチ部20との間には、p型不純物領域22が形成された半導体基板10が残存するため、トレンチ部20の表面に素子分離領域11a、11bが露出することなく、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成される。
【0043】
次に、図3(c)に示すように、例えばMOCVD法により、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。なお、本変形例の製造方法では、イオン注入により形成されたp型不純物領域22の接合深さが、トレンチ部20に形成されたp型SiGe層21の底面よりも浅くなっている。続いて、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、ゲート電極13及びソース・ドレイン領域となるp型SiGe層21の上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。その後、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0044】
本変形例に係る半導体装置の製造方法では、第1の実施形態の半導体装置の製造方法と同様にして、トレンチ部20を形成する際に、マスク部50a、50b、50cを構成するサイドウォール19a、19b、19cの一部が、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)を覆うため、トレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間に、基板領域を残存させることができる。その結果、トレンチ部20の内壁全体が半導体基板で構成されることになるため、良好にエピタキシャル成長を行うことができ、所望の特性を示すp型SiGe層21を得ることができる。従って、本変形例の半導体装置の製造方法によれば、良好な特性を示すp型SiGe層を備え、高速で動作可能な半導体装置を製造することができる。
【0045】
また、本変形例の半導体装置の製造方法では、p型不純物領域22は、p型SiGe層21におけるゲート電極13側の側方(サイドウォール19の下方)には形成されず、p型SiGe層21と素子分離領域11a、11bとの間に位置する半導体基板10の領域のみに形成される。この場合、図2(c)に示す第1の実施形態の半導体装置に比べて、短チャネル効果の抑制を図ることができる。その結果、本変形例の半導体装置の製造方法を用いれば、リーク電流が抑制されるとともに、短チャネル効果によるMISトランジスタの特性の劣化が軽減され、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。
【0046】
また、本変形例の半導体装置の製造方法では、p型不純物領域22は、p型SiGe層21を形成する前にイオン注入することにより形成される。このため、第1の実施形態の製造方法のように、p型SiGe層21を形成した後、該p型SiGe層21に含まれるp型不純物を熱処理で拡散することでp型不純物領域を形成する場合に比べて、本変形例の半導体装置の製造方法では、短時間の熱処理で高濃度のp型不純物領域22を比較的容易に形成することができる。
【0047】
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法について図4を参照しながら説明する。図4(a)〜(c)は、第2変形例に係る半導体装置の製造方法である。なお、図4において、図1、図2に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0048】
まず、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様にして、図1(a)及び図1(b)に示す工程を行うことで、p型エクステンション領域16が形成された図1(b)に示す構成を得る。
【0049】
次に、図4(a)に示すように、図1(c)に示すサイドウォールの形成と同様な方法によって、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ15を介してサイドウォール19を形成するとともに、ダミーゲート電極13a、13b、13cの側面上にオフセットスペーサ15a、15b、15cを介してサイドウォール19a、19b、19cを形成する。
【0050】
次に、図4(b)に示すように、半導体基板10上に、ゲート電極13、サイドウォール19、及び後の工程でトレンチ部を形成するトレンチ部形成領域の一部を覆い、且つ、活性領域10A、10B、10Cの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)を露出させる開口部を有するレジスト30を形成する。その後、レジスト30をマスクにして、活性領域10A、10B、10Cに、p型不純物である例えばボロンをドーズ量が4×1015ions/cmで、注入角度が10°〜25°の注入条件で斜めイオン注入する。次に、レジスト30を除去した後、注入した不純物を活性化するための熱処理を行って、p型不純物領域22を形成する。このp型不純物領域22は、後工程で形成するp型SiGe層と、素子分離領域11a、11bとの間に位置する半導体基板10からなる領域に形成されていれば良い。
【0051】
次に、図4(c)に示すように、図1(c)に示すトレンチ部20の形成と同様な方法によって、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、ダミーゲート絶縁膜12a、ダミーゲート電極13a、ダミー保護絶縁膜14a、オフセットスペーサ15a、及びサイドウォール19aを有するマスク部50aと、ダミーゲート絶縁膜12b、ダミーゲート電極13b、ダミー保護絶縁膜14b、オフセットスペーサ15b、及びサイドウォール19bを有するマスク部50bと、ダミーゲート絶縁膜12c、ダミーゲート電極13c、ダミー保護絶縁膜14c、オフセットスペーサ15c、及びサイドウォール19cを有するマスク部50cとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングすることで、トレンチ部20を形成する。このとき、素子分離領域11a、11bとトレンチ部20との間には、p型不純物領域22が形成された半導体基板10が残存するため、トレンチ部20の表面に素子分離領域11a、11bが露出することなく、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成される。
【0052】
続いて、図示は省略するが、例えばMOCVD法により、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。次に、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、ゲート電極13及びp型SiGe層21の上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。その後、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0053】
本変形例の半導体装置及びその製造方法によれば、図4(c)に示す工程でトレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間には、p型不純物領域22が形成された基板領域が設けられている。これにより、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成されるため、トレンチ部20内にエピタキシャル成長により制御良くp型SiGe層21を形成することができる。従って、良好な品質を有するp型SiGe層21を備えた半導体装置を実現することができ、第1の実施形態及び第1変形例の半導体装置及びその製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0054】
(第1の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法について、図5を参照しながら説明する。図5(a)〜(c)は、第3変形例に係る半導体装置の製造方法である。なお、図5において、図1、図2に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0055】
まず、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様にして、図1(a)〜(c)、図2(a)に示す工程を順次行って、p型SiGe層21が形成された図2(a)に示す構成を得る。
【0056】
次に、図5(a)に示すように、半導体基板10上に、ゲート電極13、オフセットスペーサ15、サイドウォール19、及びp型SiGe層21の一部を覆うレジスト30を形成する。その後、レジスト30をマスクにして、サイドウォール19a、19b、19cを構成する外側サイドウォール18a、18b、18cをそれぞれ除去する。
【0057】
次に、図5(b)に示すように、レジスト30を除去した後、活性領域10A、10B、10Cに、p型不純物であるボロンをドーズ量が4×1015ions/cmの注入条件でイオン注入する。その後、注入したp型不純物を活性化するための熱処理を行って、p型不純物領域22を形成する。なお、本変形例では、レジスト30を除去した後、ボロンのイオン注入を行ったが、レジスト30をマスクにしてボロンのイオン注入を行ってp型不純物領域22を形成してもよい。あるいは、レジスト30を除去した後、再度半導体基板10上にゲート電極13、オフセットスペーサ15、サイドウォール19、及びp型SiGe層21の一部を覆うレジストを形成し、該レジストをマスクにしてボロンのイオン注入を行ってp型不純物領域22を形成してもよい。
【0058】
次に、図5(c)に示すように、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、ゲート電極13及びp型SiGe層21の上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。その後、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0059】
本変形例の半導体装置及びその製造方法によれば、第1の実施形態、及びその第1変形例、第2変形例と同様に、トレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間には、基板領域が設けられている。これにより、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成されるため、図5(a)に示す工程で、トレンチ部20内に制御良くp型SiGe層21をエピタキシャル成長させることができる。従って、本変形例の半導体装置及びその製造方法によれば、良好な品質を有するp型SiGe層21を備え、高速に動作可能な半導体装置を実現することができる。
【0060】
なお、本変形例では、図5(a)に示す工程において、内側サイドウォール17a、17b、17cを残存させたが、必ずしも残存させる必要はなく、内側サイドウォール17a、17b、17cを全て除去する、又は、内側サイドウォール17a、17b、17cのうち半導体基板10に接している部分を除去してもよい。この場合、p型不純物を注入しやすくなるため、より確実にp型不純物領域22を形成することができる。
【0061】
また、本変形例では、図5(a)に示す工程において、ゲート電極13の側面上に設けられた外側サイドウォール18は残存させたが、必ずしも残存させる必要はなく、外側サイドウォール18a、18b、18cとともに外側サイドウォール18も除去してもよい。この場合、図5(b)に示す工程において、半導体基板10上にゲート電極13、オフセットスペーサ15、内側サイドウォール17、及びp型SiGe層21の一部を覆うレジストを形成し、該レジストをマスクにしてボロンのイオン注入を行ってp型不純物領域22を形成すれば良い。
【0062】
なお、第1の実施形態及びその各変形例の製造方法では、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14は、p型SiGe層21を形成する際にゲート電極13上でもエピタキシャル成長が起こるのを防止するために設けられている。従って、保護絶縁膜14の除去工程は、必ずしも金属シリサイド層23の形成直前で行う必要はなく、p型SiGe層21を形成した後であれば、金属シリサイド層23を形成するまでのどの工程でも保護絶縁膜14を除去することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図6及び図7は、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、第1の実施形態(図1、図2)の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0064】
まず、図6(a)に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えば面方位が(100)面の主面を持つシリコン(Si)からなる半導体基板10の上部にトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜を埋め込んで素子分離領域11a、11bを選択的に形成する。これにより、素子分離領域11a、11bによって囲まれた半導体基板10からなる活性領域10Aが形成される。
【0065】
次に、リソグラフィ法及びイオン注入法により、半導体基板10に、例えばP(リン)等のn型不純物を注入して、n型ウェル領域(図示せず)を形成する。その後、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が2nmのシリコン酸窒化膜、膜厚が100nmのポリシリコン膜、及び膜厚が30nmのシリコン酸化膜を順次形成する。その後、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法により、シリコン酸化膜、ポリシリコン膜及びシリコン酸窒化膜を順次パターニングして、活性領域10A上にシリコン酸窒化膜からなるゲート絶縁膜12、ポリシリコン膜からなるゲート電極13、及びシリコン酸化膜からなる保護絶縁膜14を形成する。
【0066】
次に、半導体基板10上の全面に、膜厚が5nmのシリコン酸化膜を形成した後、該シリコン酸化膜をエッチバックすることにより、ゲート電極13の側面上に断面形状がI字状のオフセットスペーサ15を形成する。その後、活性領域10Aに、ゲート電極13及びオフセットスペーサ15をマスクにして、p型不純物であるボロンをドーズ量4×1014ions/cmで注入してp型エクステンション領域16を形成する。
【0067】
次に、図6(b)に示すように、例えばCVD法により、例えば膜厚が5nmのシリコン酸化膜と膜厚が30nmのシリコン窒化膜とを順次堆積した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる積層膜をエッチバックすることで、ゲート電極13の側面上に、オフセットスペーサ15を介してサイドウォール19を形成する。ここで、サイドウォール19は、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17と、L字状の内側サイドウォール17上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18とで構成されている。
【0068】
次に、図6(c)に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が30nmのシリコン酸化膜からなる保護膜24を堆積する。その後、保護膜24上に、保護膜24のうち、ゲート電極13、サイドウォール19、及び後工程でトレンチ部を形成するトレンチ部形成領域の上に設けられた部分を露出させる開口部を有し、且つ、保護膜24のうち、素子分離領域11a、11b上、及び、素子分離領域11a、11bと活性領域10Aとの境界位置から活性領域10A側に所定の距離だけ離れた位置までに亘る領域上に設けられた部分を覆うレジスト31を形成する。次いで、レジスト31をマスクにして保護膜24をエッチングする。これにより、トレンチ部形成領域を露出させる開口部を有し、且つ、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bとの境界領域(基板領域)を覆う保護膜24を形成する。なお、本実施形態では、素子分離領域11a、11bの全面を覆うようにレジスト31を形成したが、所定の位置に開口部を有し、且つ、基板領域の上方に形成された保護膜24を覆っていれば、必ずしも素子分離領域11a、11b上にレジスト31を形成する必要はない。
【0069】
次に、図7(a)に示すように、レジスト31を除去した後、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、保護膜24からなるマスク部50dとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングする。これにより、活性領域10Aにおけるサイドウォール19と保護膜24との間に位置する領域(トレンチ部形成領域)にトレンチ部20を形成する。このとき、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)上には保護膜24が形成されているため、素子分離領域11a、11bとトレンチ部20との間には半導体基板10が残存する。これにより、トレンチ部20内には素子分離領域11a、11bが露出することなく、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成される。
【0070】
次に、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、例えばシランガス(SiH)及びゲルマン(GeH)ガスを、ジボラン(B)などのp型ドーパントガスとともに650〜700℃の温度で供給することにより、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。このとき、p型SiGe層21の上面は、ゲート電極13直下に位置する半導体基板10の上面の高さに比べて同等以上の高さになるように形成することが望ましい。この場合、ゲート電極13の下方に形成されるチャネル領域に対して、p型SiGe層21が十分に応力が加えることができるので、p型MISトランジスタの駆動能力をより一層高めることができる。
【0071】
続いて、半導体基板10に熱処理を行うことにより、p型SiGe層21中のp型不純物を半導体基板10に拡散させる。これにより、活性領域10Aにおける素子分離領域11a、11bとp型SiGe層21との間に位置する領域(基板領域)にp型不純物領域22を形成する。本工程により、サイドウォール19の外側方下に位置する領域に、p型SiGe層21及びp型不純物領域22からなるp型ソース・ドレイン領域が形成される。
【0072】
ここで、上述の工程では、p型SiGe層21を形成した後に、p型SiGe層21を含む活性領域10Aに、ゲート電極13及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物である例えばボロンを、ドーズ量が4×1015ions/cmで、注入角度が10°〜25°の注入条件で斜めイオン注入した後、熱処理を行うことでp型不純物領域22を形成してもよい。この場合、p型SiGe層21中のp型不純物のみを拡散させてp型不純物領域22を形成するよりも、基板領域に短時間の熱処理で高濃度のp型不純物領域22を確実に形成することができる。
【0073】
次に、図7(c)に示すように、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、スパッタ法等により、半導体基板10の上に、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は白金(Pt)等からなる金属膜を堆積する。その後、堆積した金属膜をアニールすることにより、ゲート電極13及びp型SiGe層21の各上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。ここで、p型SiGe層21の形成後であれば、保護膜24を除去して、p型不純物領域22上にも金属シリサイド層23を形成してもよい。次に、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0074】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、図7(a)に示す工程でゲート部50及びマスク部50dを用いてトレンチ部20を形成することにある。この方法によれば、マスク部50dを構成する保護膜24の一部が、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)を覆うため、トレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間に、基板領域を残存させることができる。その結果、トレンチ部20の内壁全体が半導体基板で構成されるため、良好にエピタキシャル成長を行うことができ、所望の特性を示すp型SiGe層21を得ることができる。従って、本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、良好な特性を示すp型SiGe層を備え、高速で動作可能な半導体装置を製造することができる。
【0075】
(第2の実施形態の変形例)
以下、本発明の第2の実施形態変形例に係る半導体装置の製造方法について図8を参照しながら説明する。図8(a)〜(c)は、本実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、図8において、図6、図7に示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0076】
まず、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様にして、図6(a)、(b)に示す工程を行うことで、サイドウォール19が形成された図6(b)に示す構成を得る。
【0077】
次に、図8(a)に示すように、活性領域10Aに、ゲート電極13、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物であるボロンを、ドーズ量4×1014ions/cmの注入条件でイオン注入した後、熱処理を行ってp型不純物領域22を形成する。
【0078】
次に、図8(b)に示すように、図6(c)及び図7(a)と同様な方法によって、素子分離領域11a、11b及びp型不純物領域22の一部上に、トレンチ部形成領域を露出させる開口部を有し、且つ、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bとの境界領域(基板領域)を覆う保護膜24を形成する。その後、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14及びサイドウォール19を有するゲート部50と、保護膜24からなるマスク部50dをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングしてトレンチ部20を形成する。
【0079】
次に、図8(c)に示すように、例えばMOCVD法により、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。その後、ゲート電極13上に設けられた保護絶縁膜14を除去した後、ゲート電極13及びソース・ドレイン領域となるp型SiGe層21の上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。ここで、p型SiGe層21を形成した後であれば、保護膜24を除去してp型不純物領域22上にも金属シリサイド層23を形成してもよい。次に、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0080】
本変形例の製造方法では、第2の実施形態の製造方法と同様にして、図8(b)に示す工程で、ゲート部50及びマスク部50dを用いてトレンチ部20を形成する。この方法によれば、マスク部50dを構成する保護膜24の一部が、活性領域の端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)を覆うため、トレンチ部20と素子分離領域11a、11bとの間に、基板領域を残存させることができる。その結果、トレンチ部20の内壁全体が半導体基板で構成されるため、良好にエピタキシャル成長を行うことができ、所望の特性を示すp型SiGe層21を得ることができる。従って、本変形例の製造方法によれば、良好な品質を有するp型SiGe層21を備え、高速に動作可能な半導体装置を実現することができる。
【0081】
なお、本変形例の製造方法では、図8(a)に示す工程において、ゲート電極13及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物領域22を形成したが、第1の実施形態の第1変形例〜第3変形例と同様な方法によってp型不純物領域22を形成しても良い。すなわち、第1の実施形態の第1変形例における図3(a)に示す工程と同様にして、図6(a)の工程の後で図6(b)の工程の前に、ゲート電極13及びオフセットスペーサ15、並びにトレンチ部形成領域の一部を覆うレジストを注入マスクに用いてp型不純物領域22を形成する方法を用いてもよい。また、第1の実施形態の第2変形例における図4(b)に示す工程と同様にして、図6(b)の工程の後で、図7(a)の工程の前、好ましくは図6(c)の工程の前に、ゲート電極13、オフセットスペーサ15、サイドウォール19及びトレンチ部形成領域の一部を覆うレジストを注入マスクに用いてp型不純物領域22を形成する方法を用いてもよい。あるいは、第1の実施形態の第3変形例における図5(a)、図5(b)に示す工程と同様にして、図7(b)の工程でp型SiGe層21を形成した後で、図7(c)の工程の前に、半導体基板10上に、ゲート電極13、オフセットスペーサ15、サイドウォール19及びp型SiGe層21の一部を覆うレジストを注入マスクに用いてp型不純物領域22を形成する方法であってもよい。これらの方法を用いても、本変形例の製造方法と同様な効果を得ることができる。
【0082】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図9及び図10は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、第1の実施形態(図1、図2)の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0083】
まず、図9(a)に示すように、第2の実施形態における図6(a)に示す工程と同様な方法によって、半導体基板10における素子分離領域11a、11bに囲まれた活性領域10A上にゲート絶縁膜12、ゲート電極13及び保護絶縁膜14を形成する。次に、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ15を形成した後、活性領域10Aにおけるゲート電極13の側方にp型エクステンション領域16を形成する。
【0084】
次に、図9(b)に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えば膜厚が5nmのシリコン酸化膜からなる第1絶縁膜17Aと、膜厚が30nmのシリコン窒化膜からなる第2絶縁膜18Aとを順次堆積する。
【0085】
次に、図9(c)に示すように、第2絶縁膜18A上に、第2絶縁膜18Aのうち、ゲート電極13、サイドウォール19,及び後工程でトレンチ部を形成するトレンチ部形成領域の上に設けられた部分を露出させる開口部を有し、且つ、第2絶縁膜18Aのうち、素子分離領域11a、11b上、及び、素子分離領域11a、11bと活性領域10Aと境界位置から活性領域10A側に所定の距離だけ離れた位置までに亘る領域上に設けられた部分を覆うレジスト31を形成する。その後、レジスト31をマスクにして第2絶縁膜18A及び第1絶縁膜17Aを順次エッチングする。これにより、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ15を介してサイドウォール19を形成すると共に、素子分離領域11a、11b上、及び、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bとの境界領域(基板領域)上を覆い、第1絶縁膜17Aと第2絶縁膜18Aとからなるマスク部50xを形成する。
【0086】
次に、図10(a)に示すように、レジスト31を除去した後、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、第1絶縁膜17A及び第2絶縁膜18Aからなるマスク部50xとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングする。これにより、活性領域10A内であって、平面的に見てサイドウォール19とマスク部50x(第1絶縁膜17A及び第2絶縁膜18A)との間に位置する領域(トレンチ部形成領域)にトレンチ部20を形成する。このとき、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)上にはマスク部50xが形成されているため、素子分離領域11aとトレンチ部20との間、及び、素子分離領域11bとトレンチ部20との間には半導体基板10が残存する。このため、トレンチ部20内には素子分離領域11a、11bが露出することなく、トレンチ部20の内壁全体は、半導体基板10で構成される。
【0087】
次に、図10(b)に示すように、第2の実施形態における図7(b)に示す工程と同様にして、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。その後、半導体基板10に熱処理を行うことにより、p型SiGe層21中のp型不純物を半導体基板10に拡散させる。これにより、活性領域10Aにおいて、素子分離領域11aとp型SiGe層21との間に位置する領域、及び、素子分離領域11bとp型SiGe層21との間に位置する領域にp型不純物領域22を形成する。このとき、熱処理を行う前に、p型SiGe層21を含む活性領域10Aに、ゲート電極13及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物であるボロンをイオン注入した後、熱処理を行ってp型不純物領域22を形成してもよい。この場合、短時間の熱処理で高濃度のp型不純物領域22を比較的容易に形成することができる。
【0088】
次に、図10(c)に示すように、ゲート電極13上の保護絶縁膜14を除去した後、スパッタ法等により、半導体基板10の上に、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は白金(Pt)等からなる金属膜を堆積し、堆積した金属膜をアニールすることにより、ゲート電極13及びp型SiGe層21の上に金属シリサイド層23をそれぞれ形成する。その後、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0089】
本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法と同様にして、基板領域を覆うマスク部50xを用いてトレンチ部20を形成することにある。これにより、素子分離領域11a、11bが露出することなくトレンチ部20が形成されるため、トレンチ部20内に制御良くp型SiGe層21をエピタキシャル成長させることができる。また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、マスク部50xがMISトランジスタのサイドウォール19と同一工程で形成されるため、複雑な工程を用いることなく、良好な品質を有するp型SiGe層21を備え、高速に動作可能な半導体装置を比較的容易に製造することができる。
【0090】
なお、本実施形態の製造方法では、図10(b)に示す工程において、p型SiGe層21に含まれる不純物の拡散またはp型不純物のイオン注入によってp型不純物領域22を形成したが、第1の実施形態の第1変形例〜第3変形例の製造方法と同様な方法によってp型不純物領域22を形成しても良い。
【0091】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。図11および図12は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、第1の実施形態(図1、図2)の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0092】
まず、図11(a)に示すように、例えばSTI法により、例えば面方位が(100)面の主面を持つシリコン(Si)からなる半導体基板10の上部にトレンチを形成し、該トレンチ内に絶縁膜が埋め込め込んで素子分離領域11a、11bを選択的に形成する。これにより、素子分離領域11a、11bによって囲まれた半導体基板10からなる活性領域10Aが形成される。このとき、上面が活性領域10Aの上面よりも、例えば30nm程度高くなるように素子分離領域11a、11bを形成し、活性領域10Aと素子分離領域11a、11bとの境界に段差を設ける。このとき、例えば、活性領域10A上にシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる膜厚50nmの保護膜を形成した状態で、CMP法を用いてトレンチ内に絶縁膜を埋め込み、その後、活性領域10A上の保護膜を除去することによって、活性領域10Aと素子分離領域11a、11bとの境界に所望の段差を設けることができる。あるいは、素子分離領域11a、11bを形成した後、活性領域10Aの上部をエッチングして、活性領域10Aと素子分離領域11a、11bとの境界に所望の段差を設けてもよい。続いて、n型ウェル領域(図示せず)を形成した後、活性領域10A上にシリコン酸窒化膜からなるゲート絶縁膜12、ポリシリコン膜からなるゲート電極13及びシリコン酸化膜からなる保護絶縁膜14を形成する。
【0093】
次に、図11(b)に示すように、半導体基板10上の全面にシリコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜をエッチバックすることにより、ゲート電極13の側面上に断面形状がI字状のオフセットスペーサ15を形成するとともに、素子分離領域11a、11bの側面上に断面形状がI字状のオフセットスペーサ15eを形成する。このとき、オフセットスペーサ15eは必ずしも形成する必要はない。その後、活性領域10Aにおけるゲート電極13の側方下の領域にp型エクステンション領域16を形成する。
【0094】
次に、図11(c)に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を順次堆積した後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜からなる積層膜をエッチバックすることにより、ゲート電極13の側面上にオフセットスペーサ15を介してサイドウォール19を形成するとともに、素子分離領域11a、11bの側面上にはオフセットスペーサ15eを介してサイドウォール19eを形成する。ここで、サイドウォール19は、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17と、内側サイドウォール17上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18とで構成されている。同様に、サイドウォール19eは、シリコン酸化膜からなる断面形状がL字状の内側サイドウォール17eと、内側サイドウォール17e上に形成されたシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール18eとで構成されている。
【0095】
次に、図12(a)に示すように、ゲート絶縁膜12、ゲート電極13、保護絶縁膜14、オフセットスペーサ15、及びサイドウォール19を有するゲート部50と、オフセットスペーサ15e及びサイドウォール19eを有するマスク部50eとをマスクにして、露出している半導体基板10を所望の深さまでエッチングする。これにより、活性領域10Aの端部であって、平面的に見てサイドウォール19とサイドウォール19eとの間の領域(トレンチ部形成領域)にトレンチ部20を形成する。このとき、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bと隣接する領域(基板領域)上にはマスク部50eが形成されているため、素子分離領域11aとトレンチ部20との間、及び、素子分離領域11bとトレンチ部20との間には、半導体基板10が残存する。このため、トレンチ部20内には素子分離領域11a、11bが露出することなく、トレンチ部20の内壁全体は半導体基板10で構成される。
【0096】
次に、図12(b)に示すように、第2の実施形態における図7(b)に示す工程と同様にして、トレンチ部20内を充填するようにp型SiGe層21をエピタキシャル成長させる。その後、半導体基板10に熱処理を行うことにより、p型SiGe層21中のp型不純物を半導体基板10に拡散させる。これにより、活性領域10Aにおける、素子分離領域11a、11bとp型SiGe層21との間に位置する領域にp型不純物領域22を形成する。このとき、熱処理を行う前に、p型SiGe層21を含む活性領域10Aに、ゲート電極13及びサイドウォール19をマスクにしてp型不純物であるボロンをイオン注入した後、熱処理を行ってp型不純物領域22を形成してもよい。
【0097】
次に、図12(c)に示すように、ゲート電極13上の保護絶縁膜14を除去した後、スパッタ法等により、半導体基板10の上に、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)又は白金(Pt)等からなる金属膜を堆積し、堆積した金属膜をアニールすることにより、ゲート電極13及びp型SiGe層21の各上部に金属シリサイド層23を形成する。その後、半導体基板10上に、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、金属配線等(図示せず)を形成することによって、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0098】
本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、第2の実施形態及びその変形例と同様にして、活性領域10Aの端部であって、素子分離領域11a、11bとの境界領域(基板領域)を覆うマスク部50eを用いてトレンチ部20を形成する。これにより、素子分離領域11a、11bが露出することなくトレンチ部が形成されるので、トレンチ内に制御良くp型SiGe層21をエピタキシャル成長させることができる。また、本実施形態の半導体装置の製造方法では、素子分離領域11a、11bの上面を半導体基板10の上面よりも高くして段差を設けることで、MISトランジスタのサイドウォール19形成時に段差部分に自己整合的にマスク部50eを形成することができる。その結果、本実施形態の半導体装置を用いれば、良好な品質を有するp型SiGe層21を備え、高速に動作可能な半導体装置を比較的容易に製造することができる。
【0099】
なお、本実施形態の製造方法では、図12(b)に示す工程において、p型SiGe層21からの拡散またはp型不純物のイオン注入によってp型不純物領域22を形成したが、第1の実施形態の第1変形例〜第3変形例と同様な方法によってp型不純物領域22を形成してもよい。
【0100】
なお、本発明に係る第1〜第4の実施形態及びその各変形例では、p型MISトランジスタを用いて説明したが、n型MISトランジスタであっても、例えばシリコン混晶層として、p型SiGe層の代わりにn型SIC層を用いれば、本発明の半導体装置およびその製造方法と同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、半導体装置の高性能化に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、第1の実施形態の第1変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、第1の実施形態の第2変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】(a)〜(c)は、第1の実施形態の第3変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】(a)〜(c)は、第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、第3の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、第3の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】(a)〜(c)は、第4の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】(a)〜(c)は、第4の実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、従来の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0103】
10 半導体基板
10A、10B、10C 活性領域
11a、11b 素子分離領域
12 ゲート絶縁膜
12a、12b、12c ダミーゲート絶縁膜
13 ゲート電極
13a、13b、13c ダミーゲート電極
14 保護絶縁膜
14a、14b、14c ダミー保護絶縁膜
15 オフセットスペーサ
15a、15b、15c オフセットスペーサ
16 p型エクステンション領域
17、17a、17b、17c 内側サイドウォール
17A 第1絶縁膜
18、18a、18b、18c 外側サイドウォール
18A 第2絶縁膜
19、19a、19b、19c サイドウォール
20 トレンチ部
21 p型SiGe層
22 p型不純物領域
23 金属シリサイド層
24 保護膜
30、31 レジスト
50 ゲート部
50a、50b、50c、50d、50e、50x マスク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板内に形成された素子分離領域と、
前記素子分離領域に囲まれた前記半導体基板からなり、トレンチ部を有する活性領域と、
前記活性領域上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側面上であって、平面的に見て前記ゲート電極と前記トレンチ部との間に形成された第1のサイドウォールと、前記トレンチ部内に充填され、前記活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせる第1導電型のシリコン混晶層とを有する第1導電型のMISトランジスタと、
前記トレンチ部と前記素子分離領域との間に設けられ、前記半導体基板からなる基板領域と、
前記基板領域に形成された第1導電型の不純物領域とを備えている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記基板領域上には、マスク部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記マスク部は、前記素子分離領域上に形成されたダミーゲート電極と、前記ダミーゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールとを有し、
前記基板領域上は前記第2のサイドウォールで覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は、ゲート長方向の一方に形成された第1の素子分離領域と、ゲート長方向の他方に形成された前記第1の素子分離領域よりも分離幅の広い第2の素子分離領域とを有し、
前記ダミーゲート電極は、前記第1の素子分離領域上に形成され、前記ゲート電極のゲート長よりも大きいゲート長を有する第1のダミーゲート電極と、前記第2の素子分離領域上に形成され、前記ゲート電極のゲート長と同一のゲート長を有する第2のダミーゲート電極とを有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールは、断面形状がL字状の第1絶縁膜からなる第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された第2絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールとで構成されており、
前記第2のサイドウォールは、断面形状がL字状の前記第1絶縁膜からなる第2の内側サイドウォールと、前記第2の内側サイドウォール上に形成された前記第2絶縁膜からなる第2の外側サイドウォールとで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールは、断面形状がL字状の第1絶縁膜からなる第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された第2絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールとで構成されており、
前記第2のサイドウォールは、断面形状がL字状の前記第1絶縁膜からなる第2の内側サイドウォールのみで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記マスク部は、前記素子分離領域及び前記基板領域上に形成された保護膜からなることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールは、断面形状がL字状の第1絶縁膜からなる第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された第2絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールとで構成されており、
前記マスク部は、前記基板領域上に形成された前記第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成された前記第2絶縁膜とで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記素子分離領域は、上面が前記基板領域の上面よりも高く形成されており、
前記マスク部は、前記素子分離領域の側面上に形成された第3のサイドウォールからなることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記第1のサイドウォールは、断面形状がL字状の第1絶縁膜からなる第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された第2絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールとで構成されており、
前記第3のサイドウォールは、断面形状がL字状の前記第1絶縁膜からなる第2の内側サイドウォールと、前記第2の内側サイドウォール上に形成された前記第2絶縁膜からなる第2の外側サイドウォールとで構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記トレンチ部の内壁全体は、前記半導体基板で構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記シリコン混晶層の上面は、前記ゲート電極直下に位置する前記半導体基板の上面の高さに比べて同等以上の高さを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記不純物領域の接合深さは、前記シリコン混晶層の底面よりも浅いことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1〜13のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ゲート電極及び前記シリコン混晶層の上に金属シリサイド層がそれぞれ形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1導電型のMISトランジスタは、p型MISトランジスタであり、
前記第1導電型のシリコン混晶層は、p型SiGe層であることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
半導体基板内に形成された活性領域上に設けられた第1導電型のMISトランジスタを備えた半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板内に前記活性領域を囲む素子分離領域を形成する工程(a)と、
前記工程(a)の後、前記活性領域上に、ゲート電極と、前記ゲート電極上に形成された第1の保護絶縁膜と、前記ゲート電極の側面上に形成された第1のサイドウォールとを有するゲート部を形成する工程(b)と、
前記活性領域の端部であって、前記素子分離領域と隣接する基板領域上に、マスク部を形成する工程(c)と、
前記半導体基板のうち、平面的に見て前記ゲート部と前記マスク部との間に位置するトレンチ部形成領域をエッチングしてトレンチ部を形成するとともに、前記トレンチ部と前記素子分離領域との間に前記基板領域を残存させる工程(d)と、
前記トレンチ部内に、前記活性領域におけるチャネル領域に対して応力を生じさせる第1導電型のシリコン混晶層を充填する工程(e)と、
前記基板領域に第1導電型の不純物領域を形成する工程(f)とを備えている半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記マスク部は、前記素子分離領域上に形成されたダミーゲート電極と、前記ダミーゲート電極上に形成された第2の保護絶縁膜と、前記ダミーゲート電極の側面上に形成された第2のサイドウォールとを有し、
前記工程(c)は、前記工程(b)と同一工程で行い、
前記工程(d)において、前記基板領域上は前記第2のサイドウォールで覆われていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(c)では、前記工程(b)の後に、前記トレンチ部形成領域を露出させる開口部を有し、且つ、前記基板領域を覆う保護膜からなる前記マスク部を前記半導体基板上に形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)は、前記活性領域上に前記ゲート電極及び前記第1の保護絶縁膜を形成する工程(b1)と、前記工程(b1)の後に、前記半導体基板上に第1絶縁膜及び第2絶縁膜を順次形成する工程(b2)と、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜をエッチングして、前記ゲート電極の側面上に断面形状がL字状の前記第1絶縁膜からなる第1の内側サイドウォールと、前記第1の内側サイドウォール上に形成された前記第2絶縁膜からなる第1の外側サイドウォールとで構成された前記第1のサイドウォールを形成する工程(b3)とを有し、
前記工程(c)は、前記工程(b3)と同一工程であり、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜をエッチングして、前記基板領域上に形成され、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜からなる前記マスク部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(a)では、上面の高さが前記活性領域の上面よりも高い前記素子分離領域を形成し、
前記工程(c)では、前記素子分離領域の側面上に第3のサイドウォールからなる前記マスク部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項16〜20のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(f)では、前記工程(e)の後に、前記シリコン混晶層中の第1導電型の不純物を前記基板領域に熱拡散して、前記不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項16〜20のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(f)では、前記工程(b)における前記ゲート電極及び前記第1の保護絶縁膜を形成した後、前記第1のサイドウォールを形成する前に、前記基板領域に第1導電型の不純物をイオン注入して前記不純物領域を形成することを特徴する半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項16〜20のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(f)では、前記工程(b)の後で、且つ前記工程(d)の前に、前記基板領域に第1導電型の不純物をイオン注入して前記不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項16〜20のうちいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(f)では、前記工程(e)の後に、前記基板領域に第1導電型の不純物をイオン注入して前記不純物領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−123997(P2009−123997A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297639(P2007−297639)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】