説明

半導体装置

【課題】銅配線を覆って設けられるバリアメタル膜のバリア性能が向上されており、低比誘電率層間絶縁膜から放出されるガスによりバリアメタル膜が酸化されても、銅配線の信頼性や性能、および品質等が低下するおそれの殆ど無い半導体装置を提供する。
【解決手段】比誘電率が3以下である絶縁膜3が基板1上に少なくとも1層設けられている。少なくとも一部がこの絶縁膜3内に形成されている凹部10の内面を覆って第1のバリアメタル膜6が設けられている。この第1のバリアメタル膜6の表面を覆って凹部10内に第2のバリアメタル膜7が設けられている。この第2のバリアメタル膜7の表面を覆って凹部10内に第3のバリアメタル膜8が設けられている。この第3のバリアメタル膜8の表面を覆って凹部10内にCu膜11が埋め込まれて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリアメタル膜により覆われた銅配線を備える半導体装置に係り、特にいわゆる低比誘電率絶縁膜を用いて形成された層間絶縁膜内に銅配線がバリアメタル膜に覆われて設けられている配線構造を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高性能化および高速化等の要求に応えるべく、配線の材料として銅(Cu)が用いられつつある。それとともに、比誘電率kが約3以下であるいわゆる低比誘電率絶縁膜(Low−k膜)が層間絶縁膜として用いられつつある。しかしながら、この低比誘電率層間絶縁膜は一般的に吸湿性が高く、また半導体装置の製造プロセス中にダメージを受け易い。このため、低比誘電率層間絶縁膜はその膜内にH2O等の水分を含んだガスを容易に吸着してしまう。通常、低比誘電率層間絶縁膜の膜内に吸着されたH2O等のガスは、低比誘電率層間絶縁膜の膜内に銅配線を設ける銅配線形成プロセス中に低比誘電率層間絶縁膜の膜外に放出される。特に、低比誘電率層間絶縁膜の膜内に銅配線を覆うバリアメタル膜を成膜する際にH2O等のガスが低比誘電率層間絶縁膜の膜外に放出されると、この放出ガスによりバリアメタル膜が酸化されてしまう。具体的には、バリアメタル膜に含まれている金属系の材料(元素)が酸化されて酸化金属に変質する。すると、バリアメタル膜が体積膨張を起こし、バリアメタル膜の配線と接する側の表面に表面荒れ(モフォロジー荒れ)が生じる。
【0003】
バリアメタル膜の表面荒れが激しくなると、配線を形成しているCu膜とバリアメタル膜との密着性が低下する。また、バリアメタル膜の表面荒れが激しくなると、Cu膜の埋め込み性が低下してCu配線中に空洞(ボイド)等の欠陥が生じ易くなる。すると、Cu配線付近におけるストレスマイグレーション( Stress Migration:SM)やエレクトロマイグレーション( Electro Migration:EM)に対する耐性が低下する。すなわち、Cu配線の信頼性や性能、および品質等が低下する。ひいては、半導体装置全体の信頼性や性能、および品質等の低下を引き起こす。このような現象は、配線本体よりも微細な構造からなるヴィアプラグ付近において特に顕著である。
【0004】
このようなCu膜とバリアメタル膜との密着性の低下や、Cu配線のストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションに対する耐性の低下等に代表される配線劣化の問題を回避するために、様々な解決策が提案されている(例えば特許文献1参照)。例えば、低比誘電率層間絶縁膜内からの放出ガスによる配線劣化の問題を回避するために、スパッタリングによりバリアメタル膜を成膜するのに先立って低比誘電率層間絶縁膜に高温かつ長時間の加熱処理を施して、低比誘電率層間絶縁膜中からH2O等のガスを予め抜いてしまうデガス処理が試みられている。ところが、ヴィアプラグを介して上層Cu配線と下層Cu配線とを電気的に接続する配線構造を形成する場合に、そのようなデガス処理を行うと、ヴィアホールにより露出された下層Cu配線の表面がデガス処理中に隆起するという問題が生じる。この下層Cu配線の表面の隆起は、前述したバリアメタル膜の表面荒れと同様に、Cu配線付近においてストレスマイグレーション不良が発生する原因となる。すなわち、下層Cu配線の表面の隆起は、Cu配線、ひいては半導体装置全体の信頼性や性能、および品質等の低下を引き起こす。
【特許文献1】特開2003−332426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、いわゆる低比誘電率絶縁膜を含む層間絶縁膜内において銅配線を覆って設けられるバリアメタル膜のバリア性能が向上されており、層間絶縁膜から放出されるガスによりバリアメタル膜が酸化されても、銅配線の信頼性や性能、および品質等が低下するおそれの殆ど無い半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置は、基板上に少なくとも1層設けられている比誘電率が3以下である絶縁膜と、この絶縁膜に非接触で成膜される状態に対する前記絶縁膜に接触して成膜される状態の体積変化率が2倍以下である材料からなるとともに、少なくとも一部が前記絶縁膜内に形成されている凹部の内面を覆って設けられている第1のバリアメタル膜と、この第1のバリアメタル膜が前記絶縁膜に接触して成膜される際に前記第1のバリアメタル膜に生じる化学変化の伝播を抑制可能な材料からなるとともに、前記第1のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に設けられている第2のバリアメタル膜と、この第2のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に設けられている第3のバリアメタル膜と、この第3のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に埋め込まれて設けられているCu膜と、を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、いわゆる低比誘電率絶縁膜を含む層間絶縁膜内において銅配線を覆って設けられるバリアメタル膜のバリア性能が向上されており、層間絶縁膜から放出されるガスによりバリアメタル膜が酸化されても、銅配線の信頼性や性能、および品質等が低下するおそれの殆ど無い半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る各実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
先ず、本発明に係る第1実施形態を図1〜図8を参照しつつ説明する。図1〜図8は、本実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
【0010】
本実施形態においては、いわゆる低比誘電率絶縁膜からなる層間絶縁膜から放出される酸化作用を有するガスによりバリアメタル膜が酸化された場合でも、銅により形成されている配線やヴィアプラグ等の信頼性や性能、および品質等が低下するおそれが殆ど無いバリアメタル膜について説明する。それとともに、バリアメタル膜が酸化された場合でも、配線やヴィアプラグ等となる銅の膜の埋め込み性が劣化するおそれが殆ど無いバリアメタル膜について説明する。すなわち、本実施形態においては、半導体装置の信頼性や性能、および品質等の不良がバリアメタル膜の酸化に起因して発生するおそれが殆ど無い膜構造からなるバリアメタル膜を備える半導体装置およびその製造方法について説明する。以下、図1〜図8を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について具体的かつ詳細に説明する。
【0011】
先ず、図1に示すように、シリコンウェーハ等の半導体基板1の上に、層間絶縁膜( Inter Level Dielectric:ILD)2を設ける。具体的には、層間絶縁膜2を第1層目〜第n層目にかけて複数層に積層して半導体基板1の一方の主面上に設ける。ここで、nは2以上の整数とする。例えば、nが2の場合には、図1中破断線の直ぐ下側の層間絶縁膜2は図1中破断線の直ぐ上側の層間絶縁膜2と同一の第n−1層目の層間絶縁膜2aとなる。具体的には、nが2の場合には、図1中破断線の直ぐ下側の後述する下層側層間絶縁膜3は図1中破断線の直ぐ上側の下層側層間絶縁膜3と同じ層となり、後述する上層側層間絶縁膜4とともに第n−1層目の層間絶縁膜2aを構成する。この場合、第n−1層目の層間絶縁膜2aは第1層目の層間絶縁膜となる。また、nが3以上の整数の場合には、図1中破断線の直ぐ下側の層間絶縁膜2は図1中破断線の直ぐ上側の層間絶縁膜2とは異なる層の層間絶縁膜となる。具体的には、nが3以上の整数の場合には、図1中破断線の直ぐ下側の下層側層間絶縁膜3は第1層目の層間絶縁膜2の一部となり、図1中破断線の直ぐ上側の下層側層間絶縁膜3は第2層目以上の層間絶縁膜2aの一部となる。また、図示は省略するが、半導体基板1の各層間絶縁膜2が設けられる側の表層部には、トランジスタ等の能動素子(能動領域)やキャパシタ等の受動素子(受動領域)等の各種の半導体素子や電子回路、および基板配線等の導電層(導電体)が予め設けられている。
【0012】
本実施形態においては、各層間絶縁膜2を、互いに膜質が異なる2種類の絶縁膜3,4を積層してなる2層構造に形成する。具体的には、各層間絶縁膜2を、下層側がいわゆる低比誘電率絶縁膜( Low−k膜)3からなるとともに、上層側が低比誘電率絶縁膜3よりも緻密な膜組織を有する絶縁膜4からなる、2層構造に形成する。先ず、下層側層間絶縁膜としての低比誘電率絶縁膜(低比誘電率層間絶縁膜)3を所定の膜厚になるまで成膜する。この低比誘電率層間絶縁膜3は、比誘電率が約3以下である絶縁膜材料を用いて形成される。そのような絶縁膜材料は、主に2種類に大別される。一方は無機系の絶縁膜材料であり、他方は有機系の絶縁膜材料である。
【0013】
比誘電率が約3以下である代表的な無機系の絶縁膜材料としては、例えばSiO2 中にSi−H結合を含有するいわゆるHSQ( hydrogensilsesquioxane )と称されるH含有ポリシロキサンや、SiO2 中にカーボンを含有するSiOC、あるいはSiO2 中にSi−CH3 結合を含有するいわゆる多孔質シリカ(ポーラスシリカ)と称されるメチル基含有ポリシロキサン等が挙げられる。HSQや多孔質シリカからなる低比誘電率絶縁膜を成膜する場合には、塗布法が用いられる。また、SiOC(カーボン含有SiO2 )からなる低比誘電率絶縁膜を成膜する場合には、プラズマCVD法等のCVD法が用いられる。
【0014】
他方、比誘電率が約3以下である代表的な有機系の絶縁膜材料としては、例えばSiO2 中にメチル基(−CH3 )を含有するいわゆるMSQ( methylsilsesquioxane )と称されるSiOC組成のメチル基含有ポリシロキサンや、ベンゼン環を有する芳香族ポリイミド( aromatic PI)にフッ素を導入したフッ素化ポリイミド( aromatic FPI)、芳香族エーテルの一種であるポリアリーレンエーテル( poly-arylene ether:PAE)およびポリフロロアリーレンエーテル( poly-fluoroarylene ether:PFAE)、フッ素樹脂(fluoropolymer:FP)の一種であるポリテトラフロロエチレン( poly-tetrafluoroethylene:PTFE)、あるいはフッ素がドープされたアモルファスフロロカーボン(a−C:F:amorphous fluorocarbon )等が挙げられる。これら各有機系絶縁膜材料のうち、特にFPI、PAE、PFAE、およびPTFEは高分子系の有機系絶縁膜材料である。MSQ、FPI、PAE、あるいはPFAEからなる低比誘電率絶縁膜3を成膜する場合には、塗布法が用いられる。また、PTFEやフッ素がドープされたアモルファスフロロカーボンからなる低比誘電率絶縁膜3を成膜する場合には、プラズマCVD法等のCVD法が用いられる。
【0015】
本実施形態においては、前述した各材料のうち多孔質シリカ(ポーラスシリカ)を用いて、塗布法により下層側層間絶縁膜としての低比誘電率層間絶縁膜3を成膜することとする。したがって、本実施形態の低比誘電率層間絶縁膜3は、ポーラスILD( porous-ILD)とも称することができる。
【0016】
低比誘電率層間絶縁膜3を所定の膜厚になるまで成膜した後、その上に上層側層間絶縁膜としての緻密絶縁膜4を所定の膜厚になるまで成膜する。この緻密絶縁膜4は、低比誘電率層間絶縁膜3とは異なり、比誘電率が通常の大きさである一般的なシリコン系の酸化膜材料を用いて形成される。具体的には、緻密絶縁膜4はSiO2、SOG( spin on glass )、あるいはd−TEOS等を用いて形成される。SiO2 やSOGからなる緻密絶縁膜4を成膜する場合には、塗布法が用いられる。また、d−TEOSからなる緻密絶縁膜4を成膜する場合には、プラズマCVD法等のCVD法が用いられる。本実施形態においては、前述した各材料のうちSiO2 を用いて、塗布法により上層側層間絶縁膜としての緻密絶縁膜4を成膜することとする。この緻密絶縁膜(SiO2 膜)4は、その下側の低比誘電率層間絶縁膜(ポーラスILD)3を保護するための保護膜として機能する。
【0017】
また、本実施形態においては、図1に示すように、第n−1層目の層間絶縁膜2aの上に第n層目の層間絶縁膜2bを成膜するのに先立って、第n−1層目の層間絶縁膜2a内に少なくとも1本の下層配線5を予め設ける。ここでは、第n−1層目の層間絶縁膜2a内に2本の下層配線5を設ける。これら各下層配線5は、第n層目の層間絶縁膜2b内に設けられる後述する2本の配線(上層配線)14にそれぞれ独立に電気的に接続される。また、図示は省略するが、それら各下層配線5は、他の層間接続配線やコンタクトプラグ等を介して、半導体基板1の表層部に設けられている各種半導体素子や能動領域、あるいは基板配線等の導電層に電気的に接続されている。各下層配線5は、後述する各上層配線14の形成方法と同様の方法により、銅(Cu)を用いて形成される。それとともに、各下層配線5の周囲は、各上層配線(上層Cu配線)14と同様に、後述する下層6、中層7、および上層8の3層構造からなるバリアメタル膜9により覆われる。
【0018】
2本の下層Cu配線5をそれぞれバリアメタル膜9により覆って第n−1層目の層間絶縁膜2a内に設けた後、各下層Cu配線5の表面および第n−1層目の層間絶縁膜2aの表面等を覆って第n層目の層間絶縁膜2bを設ける。すなわち、各下層Cu配線5および各バリアメタル膜9が設けられた第n−1層目の層間絶縁膜2aの表面等を覆って、第n層目の層間絶縁膜2bとなる第n層目のポーラスILD3およびSiO2 膜4を順次積層して設ける。
【0019】
次に、図2に示すように、第n層目の層間絶縁膜2b内の所定の2箇所に凹部(溝、穴)10を形成する。これら各凹部10の内部には、各下層Cu配線5に接続される上層配線14の本体12やプラグ13、およびバリアメタル膜9が設けられる。以下の説明においては、凹部10を上層配線用凹部と称することとする。各上層配線用凹部10は、各下層Cu配線5の上方において第n層目の層間絶縁膜2bをその膜厚方向に沿って貫通して形成される。また、後述するように、上層配線14は、その配線本体12とプラグ部(ヴィアプラグ)13とが一体の、いわゆるデュアルダマシン配線として形成される。したがって、上層配線用凹部10は、その上側が上層配線14の本体12を設けるための配線本体用凹部(配線本体用溝、配線本体用穴)10aからなるとともに、その下側がヴィアプラグ13を設けるためのプラグ用凹部(プラグ用溝、プラグ用穴、ヴィアホール)10bからなる2段構造に形成される。また、プラグ用凹部10bは配線本体用凹部10aの下部(底部)に連通されて一体に形成される。この際、配線本体用凹部10aとプラグ用凹部10bとは、どちらを先に形成しても構わない。本実施形態では、プラグ用凹部10bを配線本体用凹部10aよりも先に形成する設定とする。以下、具体的に説明する。
【0020】
先ず、図示は省略するが、通常のリソグラフィ工程により、第n層目の層間絶縁膜2b(SiO2 膜4)の上にヴィアホール(プラグ用凹部)形成用のレジストマスクを設ける。続けて、予め定められているヴィアホール形成用のレジストパターン(ヴィアホールパターン)を各下層Cu配線5の上方においてレジストマスクの表面にパターニングする。続けて、例えば反応性イオンエッチング( Reactive Ion Etching:RIE)法等のドライエッチングにより、レジストマスクの表面に形成(転写)されたヴィアホールパターンに沿って、第n層目の層間絶縁膜2bを構成するポーラスILD3およびSiO2 膜4をエッチングする。この際、ポーラスILD3およびSiO2 膜4を、下層Cu配線5の表面が露出するまで主にそれらの膜厚方向に沿って異方的にエッチングする。これにより、図2に示すように、所定のパターンからなるヴィアホール10bが、各下層Cu配線5の上方において第n層目の層間絶縁膜2bをその厚さ方向に沿って貫通して層間絶縁膜2b内の2箇所に形成される。この後、ヴィアホール形成用のレジストマスクをSiO2 膜4上から剥離させて除去する。
【0021】
次に、図示は省略するが、ヴィアホール10bが形成された第n層目の層間絶縁膜2b(SiO2 膜4)上に配線本体用凹部形成用のレジストマスクを設ける。続けて、予め定められている配線本体用凹部形成用のレジストパターン(配線本体用凹部パターン)を各ヴィアホール10bの上方においてレジストマスクの表面にパターニングする。続けて、RIE法により、レジストマスクの表面に形成(転写)された配線本体用凹部パターンに沿って第n層目の層間絶縁膜2bをその膜厚方向の中間部までエッチングする。具体的には、先ず、層間絶縁膜2bの上層膜であるSiO2 膜4を主にその膜厚方向に沿って貫通するまで異方的にエッチングする。続けて、層間絶縁膜2bの下層膜であるポーラスILD3を主にその膜厚方向に沿って中間部に達する深さまで異方的にエッチングする。これにより、図2に示すように、ヴィアホール10bよりも幅広の所定のパターンからなる配線本体用凹部10aが、各下層Cu配線5の上方において各ヴィアホール10bの上部(開口部)に連通して層間絶縁膜2b内の2箇所に形成される。この後、上層配線用凹部形成用のレジストマスクをSiO2 膜4上から剥離させて除去する。
【0022】
これまでの工程により、図2に示すように、上層配線を形成するための上層配線用凹部10が、各下層Cu配線5の上方において第n層目の層間絶縁膜2bをその膜厚方向に貫通して層間絶縁膜2b内の2箇所に形成される。すなわち、ヴィアホール10bが配線本体用凹部10aの下部(底部)に連通して一体化された上層配線用凹部10が、各下層Cu配線5の上方において第n層目の層間絶縁膜2bをその膜厚方向に貫通して層間絶縁膜2b内の2箇所に形成される。
【0023】
次に、図3に示すように、上層配線用凹部10の内面を覆って第1のバリアメタル膜6を設ける。具体的には、上層配線用凹部10が形成された第n層目の層間絶縁膜2bの表面および上層配線用凹部10により露出された下層Cu配線5の表面を覆って、第1のバリアメタル膜6を設ける。この第1のバリアメタル膜6は、後述する3層構造からなるバリアメタル膜9の下層バリアメタル膜となる。また、第1のバリアメタル膜6は、例えばPVD法の一種であるスパッタリング法により所定の膜厚になるまで成膜される。なお、本実施形態においては、第1のバリアメタル膜6としてチタン(Ti)単体からなるTi膜を成膜することとする。この理由については、後に図9〜図16および表1を参照しつつ詳しく説明する。
【0024】
次に、図4に示すように、第1のバリアメタル膜としてのTi膜6の表面を覆って、第2のバリアメタル膜7を設ける。この第2のバリアメタル膜7は、後述する3層構造からなるバリアメタル膜9の中層バリアメタル膜となる。また、第2のバリアメタル膜7は、例えばスパッタリング法(PVD法)やCVD法、あるいはALD( Atomic Layer Deposit )法により所定の膜厚になるまで成膜される。なお、本実施形態においては、第2のバリアメタル膜7としてチタン(Ti)の窒化物からなるTiN膜を成膜することとする。この理由についても、後に図9〜図16および表1を参照しつつ詳しく説明する。
【0025】
次に、図5に示すように、第2のバリアメタル膜としてのTiN膜7の表面を覆って、第3のバリアメタル膜8を設ける。この第3のバリアメタル膜8は、後述する3層構造からなるバリアメタル膜9の上層バリアメタル膜となる。また、第3のバリアメタル膜7は、第1のバリアメタル膜6と同様に、例えばスパッタリング法(PVD法)により所定の膜厚になるまで成膜される。なお、本実施形態においては、第1のバリアメタル膜6と同様に、第3のバリアメタル膜8としてチタン(Ti)単体からなるTi膜を成膜することとする。この理由についても、後に図9〜図16および表1を参照しつつ詳しく説明する。
【0026】
これまでの工程により、図5に示すように、第n層目の層間絶縁膜2b内に形成された2個の上層配線用凹部10内にTi膜6、TiN膜7、およびTi膜8の3層構造からなるバリアメタル膜9が設けられる。本実施形態においては、Ti膜6、TiN膜7、およびTi膜8のそれぞれの膜厚を、バリアメタル膜9全体の膜厚がおおよそ15〜20nmになる大きさで成膜する。また、前述した構造によれば、バリアメタル膜9を構成する各膜6,7,8のうち下層バリアメタル膜としてのTi膜6だけが、比誘電率が3以下である低比誘電率層間絶縁膜からなる下層側層間絶縁膜としてのポーラスILD3、一般的な絶縁膜からなる上層側層間絶縁膜としてのSiO2 膜4、および下層Cu配線5のそれぞれの表面に接触している。すなわち、中層バリアメタル膜としてのTiN膜7および上層バリアメタル膜としてのTi膜8は、ポーラスILD3、SiO2 膜4、および下層Cu配線5にはともに非接触である。
【0027】
次に、図6に示すように、バリアメタル膜9の表面を覆って、上層配線14の本体12やヴィアプラグ13となるCu膜11を設ける。具体的には、先ず、Cu膜11の下層側の膜となる第1のCu膜11aを、上層バリアメタル膜(Ti膜)8の表面を覆って設ける。この第1のCu膜11aは、後述する第2のCu膜11bを設ける際のシード層(下地層)となる。第1のCu膜(シードCu膜、Cu下地膜)11aは、例えばスパッタリング法等のPVD法により所定の膜厚になるまで成膜される。
【0028】
次に、図7に示すように、第1のCu膜11aの表面を覆って、Cu膜11の上層側の膜となる第2のCu膜11bを設ける。この第2のCu膜11bは、その下地層である第1のCu膜11aをシード層( seed layer )として、その表面上に電解めっき法や無電解めっき法等のめっき法により成膜される。この際、めっき層(めっき膜)である第2のCu膜11bは、シードCu膜11aとともに2個の上層配線用凹部10の内部を完全に満たすまで、シードCu膜11aに一体化されつつめっき成長される。
【0029】
次に、図8に示すように、第n層目の層間絶縁膜2bの表面上に設けられているバリアメタル膜9およびCu膜11を、例えばCMP法により研磨して除去する。これにより、不要なバリアメタル膜9およびCu膜11が除去されて、各上層配線用凹部10の内部にのみバリアメタル膜9およびCu膜11が残される。すなわち、各上層配線用凹部10の内部がバリアメタル膜9およびCu膜11により埋め込まれる。
【0030】
この後、予め定められている所定の工程を経ることにより、図8に示す所望の配線構造を有する本実施形態に係る半導体装置15を得る。すなわち、配線本体12とヴィアプラグ13とが一体に形成されたデュアルダマシン配線としての上層配線14が、その表面をTi膜6、TiN膜7、およびTi膜8の3層構造からなるバリアメタル膜9により覆われて、ポーラスILD3およびSiO2 膜4からなる第n層目の層間絶縁膜2b内に設けられている配線構造を有する半導体装置15を得る。
【0031】
(第1実施形態に対する比較例)
次に、主に図9〜図16および表1を参照しつつ、本実施形態と本実施形態に対する背景技術に係る第1〜第4の各比較例との相違点について説明する。特に、前述したように、本実施形態に係る半導体装置15において、下層バリアメタル膜としてTi膜6を、中層バリアメタル膜としてTiN膜7を、そして上層バリアメタル膜としてTi膜8を、それぞれ採用した理由について詳しくかつ具体的に説明する。
【0032】
(第1の比較例)
先ず、図9(a)および(b)を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置15と、これに対する第1の比較例としての背景技術に係る半導体装置101との相違点について説明する。図9(a)は、第1の比較例に係る半導体装置101のヴィアプラグ102付近を拡大して示す断面図であり、図9(b)は図9(a)に示すヴィアプラグ102付近を示すTEM写真である。
【0033】
図9(a)に示すように、第1の比較例に係る半導体装置101においては、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、Cuからなる上層配線やヴィアプラグ102がバリアメタル膜103に覆われて層間絶縁膜104の内部に設けられている。ただし、図9(a)においては、ヴィアプラグ102のみを図示し、上層配線の図示を省略する。また、半導体装置101のバリアメタル膜103は、半導体装置15のバリアメタル膜9と異なり、Ti膜6、TiN膜7、およびTi膜8からなる3層構造ではなく、タンタル膜(Ta膜)のみからなる単層構造に形成されている。さらに、半導体装置101の層間絶縁膜104は、半導体装置15の層間絶縁膜2と異なり、ポーラスILD(低比誘電率絶縁膜)3およびSiO2 膜4からなる2層構造ではなく、SiO2 膜等の通常の絶縁膜のみからなる単層構造に形成されている。
【0034】
一般的に、SiO2 膜等の通常の絶縁膜は低比誘電率絶縁膜に比べて吸湿量が少なく、また半導体装置の製造プロセス中にダメージを受け難い。このため、通常の絶縁膜はその膜内にH2O等の水分を含んだガスを吸着し難い。通常、絶縁膜内に吸着されたH2O等のガスは、絶縁膜内に銅配線を設ける銅配線形成プロセス等において絶縁膜の外に放出される。特に、銅配線を覆うバリアメタル膜を通常の絶縁膜からなる層間絶縁膜内に成膜する際にH2O等のガスが絶縁膜の外に放出されると、この放出ガスによりバリアメタル膜が酸化されてしまう。具体的には、バリアメタル膜に含まれている金属系の材料(元素)が酸化されて酸化金属に変質する。すると、バリアメタル膜が体積膨張を起こし、バリアメタル膜の配線と接する側の表面に表面荒れ(モフォロジー荒れ)が生じる。
【0035】
第1の比較例に係る半導体装置101においては、前述したように層間絶縁膜104がSiO2 膜等の通常の絶縁膜のみから形成されているので、H2O等の水分を含んだガスを吸着し難い。このため、半導体装置101では、その銅配線形成プロセス等において図9(a)中白抜き矢印で示す層間絶縁膜104からバリアメタル膜103に向かうH2O等の水分を含んだガスの流れは殆ど発生しない。したがって、半導体装置101では、バリアメタル膜103の酸化に起因するバリアメタル膜103の体積膨張や表面荒れは殆ど生じない。
【0036】
図9(b)に示すように、半導体装置101では、Cuからなる上層配線105およびヴィアプラグ102を覆っているバリアメタル膜(Ta膜)103は、略均一な膜厚で設けられており、体積膨張は殆ど見られない。また、バリアメタル膜103は、上層配線105、Cuヴィアプラグ102、あるいは同じくCuからなる下層配線106、さらには層間絶縁膜(SiO2 膜)104等との界面において、その表面が滑らかであり、表面荒れは殆ど見られない。しかし、背景技術において説明したように、層間絶縁膜104がSiO2 膜等の通常の絶縁膜により形成されている半導体装置101では、今後の半導体装置の高性能化および高速化等の要求に応えるのは困難である。
【0037】
(第2の比較例)
次に、図10〜図12を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置15と、これに対する第2の比較例としての背景技術に係る半導体装置111との相違点について説明する。図10および図11は、本実施形態に対する第2の比較例としての背景技術に係る半導体装置111の製造工程を示す工程断面図である。図12(a)は、図11に示す第2の比較例としての半導体装置111のヴィアプラグ112付近を拡大して示す断面図であり、図12(b)は図12(a)に示すヴィアプラグ112付近を示すTEM写真である。
【0038】
先ず、図10に示すように、第2の比較例においては、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、半導体基板112の上に、ポーラスILD113およびSiO2 膜114の2層構造からなる層間絶縁膜115を第1層目〜第n層目まで積層して設ける。第n−1層目の層間絶縁膜115a内には、Cuからなる下層配線116をバリアメタル膜117により覆って設ける。ただし、第2の比較例のバリアメタル膜117は、半導体装置15のバリアメタル膜9とは異なり、Ti膜6、TiN膜7、およびTi膜8からなる3層構造ではなく、タンタル膜(Ta膜)のみからなる単層構造に形成する。すなわち、第2の比較例のバリアメタル膜117は、第1の比較例に係る半導体装置101のバリアメタル膜103と同じである。また、第n層目の層間絶縁膜115b内には、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、各下層配線116の上方において配線本体用凹部118aにヴィアホール118bが連通して一体になった上層配線用凹部118を形成する。
【0039】
このような構造からなる各上層配線用凹部118の内部に、例えばスパッタリング法によりバリアメタル膜となるTa膜117を設ける。すると、背景技術において説明したように、Ta膜117と接する第n層目の層間絶縁膜115bのうち、低比誘電率絶縁膜であるポーラスILD113からTa膜117に向けて、図10中白抜き矢印で示すように、H2O等の水分を含んだガスが放出される。この結果、図10に示すように、Ta膜117のうち、主にポーラスILD113と接触する部分117aが酸化されて体積膨張を起こす。それとともに、Ta膜117のポーラスILD113と接触する部分117aのうち、主に後述する上層Cu配線122と接する側の表面に表面荒れ(モフォロジー荒れ)が生じる。
【0040】
次に、図11に示すように、Ta膜117の上にCu膜119を設けて各上層配線用凹部118の内部を満たす。続けて、CMP処理を行い、各上層配線用凹部118の内部にTa膜117およびCu膜119を埋め込む。これにより、配線本体120とヴィアプラグ121とが一体となったデュアルダマシン配線としての上層Cu配線122がTa膜117に覆われて各上層配線用凹部118の内部に設けられる。この後、予め定められている所定の工程を経ることにより、図11に示す配線構造を有する第2比較例に係る半導体装置111を得る。
【0041】
ところが、前述したように、バリアメタル膜(Ta膜)117のポーラスILD113と接触する部分117aは、上層Cu配線122の形成プロセスにおいて、図11中白抜き矢印で示すポーラスILD113からTa膜117に向けて放出されるH2O等の水分を含んだガスにより酸化されている。そして、Ta膜117のポーラスILD113と接触する部分117aは酸化されることにより体積膨張を起こし、その上層Cu配線122と接する側の表面に表面荒れが生じた状態となっている。
【0042】
背景技術において説明したように、バリアメタル膜117に表面荒れが生じると、上層Cu配線122を形成しているCu膜119とバリアメタル膜117とは、それらの界面における密着性が低下する。また、図11に示すように、バリアメタル膜117に表面荒れが生じると、Cu膜119による各上層配線用凹部118の埋め込み性が低下して各上層Cu配線122(各上層配線用凹部118)中に空洞(ボイド)123等の欠陥が生じる。すると、各上層Cu配線122付近におけるストレスマイグレーション( Stress Migration:SM)やエレクトロマイグレーション( Electro Migration:EM)に対する耐性が低下する。すなわち、各上層Cu配線122の信頼性や性能、および品質等が低下する。ひいては、半導体装置111全体の信頼性や性能、および品質等の低下を引き起こす。このような現象は、配線本体120よりも微細な構造からなるヴィアプラグ121付近において特に顕著である。
【0043】
図12(a)に示すように、第2の比較例に係る半導体装置111においては、第1の比較例に係る半導体装置101と異なり、各層間絶縁膜115の下層部は低比誘電率絶縁膜であるポーラスILD113により形成されている。すなわち、Cu膜119からなるヴィアプラグ121は、その周囲をポーラスILD113により囲まれている。背景技術において説明したように、低比誘電率絶縁膜は、通常の絶縁膜に比べて一般的に吸湿量が多く、また半導体装置の製造プロセス中にダメージを受け易い。すなわち、低比誘電率絶縁膜はその膜内にH2O等の水分を含んだガスを吸着し易い。低比誘電率絶縁膜内に吸着されたH2O等のガスは、低比誘電率絶縁膜内に銅配線を設ける銅配線形成プロセス等において低比誘電率絶縁膜の外に放出される。このため、半導体装置111では、図12(a)中白抜き矢印で示すように、ポーラスILD113内に吸着されたH2O等の水分を含んだガスが、上層Cu配線122の形成プロセス等においてポーラスILD113からバリアメタル膜117に向かって大量に放出される。この結果、前述したように、バリアメタル膜117のうち、主にポーラスILD113と接触する部分117aが酸化されて体積膨張を起こし、その上層Cu配線122と接する側の表面に表面荒れが生じる。
【0044】
第2の比較例に係る半導体装置111においては、前述したようにバリアメタル膜117をTa膜のみで形成している。このTa膜は、後述するように、一般にバリアメタル膜として採用される各種金属膜の中でも、酸化されて金属酸化膜となる際の体積膨張率が大きい部類に入る。例えば、Ta膜が酸化されてTa23 膜になると、その体積は酸化される前に比べて約2.3倍になる。通常、バリアメタル膜は、配線やヴィアプラグとなるCu膜に比べて極めて薄い薄膜形状に成膜される。そのような薄膜形状のバリアメタル膜が、その体積が約2.3倍になるまで膨張すると、その表面は激しく荒れる。すると、図12(a)に示すように、酸化されたバリアメタル膜117であるTa23 膜117aとヴィアプラグ121であるCu膜119とは、それらの界面において密着性が低下し、Cu膜119(Cuヴィアプラグ121)によるヴィアホール118bの埋め込み性が悪くなる。この結果、ヴィアプラグ121と酸化されたバリアメタル膜117aとの間に空洞(ボイド)123が生じる。
【0045】
図12(b)に示すように、半導体装置111では、Cu膜119からなる上層配線120およびヴィアプラグ121を覆っているバリアメタル膜(Ta膜)117のうち、ポーラスILD113とヴィアプラグ121の側部との間に設けられている部分は、酸化されてバリアメタル膜としての形跡が殆ど無くなっている。当然、これらの酸化されたバリアメタル膜117aは、それらの表面が非常に激しく荒れている。さらに、ヴィアプラグ121の下端部の角部とこれに対向する酸化されたバリアメタル膜117aとの間には、空洞(ボイド)123が生じている。これらの結果、ヴィアプラグ121と酸化されたバリアメタル膜117aとは、それらの界面における密着性が大幅に低下している。また、バリアメタル膜117のうち、下層Cu配線116とヴィアプラグ121の下端部との間に設けられている部分が酸化されて体積膨張を起こしており、他の部分よりも膜厚になっている。この場合、ヴィアプラグ121とバリアメタル膜117との界面のみならず、下層Cu配線116とバリアメタル膜117との界面においても、それらの間の密着性が大幅に低下しているおそれが高い。
【0046】
このように、第2の比較例に係る半導体装置111では、各上層Cu配線122やヴィアプラグ121およびそれらの付近の構造が劣化しており、各上層Cu配線122やヴィアプラグ121付近におけるストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションに対する耐性が低下している。すなわち、各上層Cu配線122の信頼性や性能、および品質等が低下している。ひいては、半導体装置111全体の信頼性や性能、および品質等が低下している。
【0047】
(第3の比較例)
次に、図13〜図15および表1を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置15と、これに対する第3の比較例としての背景技術に係る半導体装置131との相違点について説明する。図13(a),(b)は、それぞれ第1実施形態に対する第3の比較例としての背景技術に係る半導体装置131のヴィアプラグ132付近を拡大して示す断面図である。図14(a)は、本実施形態に係るヴィアホール付近を拡大して示すTEM写真であり、図14(b)は、本実施形態に対する第3の比較例としての背景技術に係るヴィアホール付近を拡大して示すTEM写真である。図15は、本実施形態に係るCu配線および第3の比較例としての背景技術に係るCu配線のそれぞれのエレクトロマイグレーション耐性試験における配線寿命のTTF依存性をプロットして示す図である。また、表1は、バリアメタル膜に用いられる主な金属元素の単体の密度およびその酸化物の分子密度、ならびにそれら各金属元素および各酸化物の体積膨張率を示す表である。
【0048】
図13(a)に示すように、第3の比較例に係る半導体装置131においては、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、Cuからなる上層配線やヴィアプラグ132がバリアメタル膜133に覆われて層間絶縁膜134の内部に設けられている。ただし、図13(a),(b)においては、層間絶縁膜134に形成されたヴィアホール135内に設けられているヴィアプラグ132の下端部みを図示し、上層配線の図示を省略する。上層配線は、ヴィアプラグ132およびバリアメタル膜133を介して、Cuからなる下層配線136に電気的に接続されている。
【0049】
半導体装置131のバリアメタル膜133は、半導体装置15のバリアメタル膜9と同様に、下層バリアメタル膜137、中層バリアメタル膜138、および上層バリアメタル膜139からなる3層構造に形成されている。ただし、これら各バリアメタル膜137,138,139は、本実施形態の下層バリアメタル膜6、中層バリアメタル膜7、および上層バリアメタル膜8とは異なり、チタン(Ti)ではなくタンタル(Ta)を用いて成膜されている。具体的には、下層バリアメタル膜137および上層バリアメタル膜139は、Ta単体からなるTa膜を用いて形成されている。また、中層バリアメタル膜138は、Taの窒化物であるTaN膜を用いて形成されている。さらに、半導体装置131の層間絶縁膜134も、半導体装置15の層間絶縁膜2と同様に、ポーラスILD(低比誘電率絶縁膜)およびSiO2 膜からなる2層構造に形成されている。ただし、図13(a),(b)においては、層間絶縁膜134のうち下層側の層間絶縁膜であるポーラスILD140のみを図示し、上層側の層間絶縁膜であるSiO2 膜の図示を省略する。
【0050】
このような構造からなる半導体装置131においては、第2の比較例に係る半導体装置111で起きた現象と同様の現象が起きる。すなわち、図13(a),(b)中白抜き矢印で示すように、ポーラスILD140から下層バリアメタル膜であるTa膜137に向けてH2O等の水分を含んだガスが放出される。すると、Ta膜137のうち、先ず、図13(a)中一点鎖線より左側のポーラスILD140と接する側の部分が酸化されて金属酸化膜に変質する。例えば、Ta膜137は酸化されてTa23 膜137aに変質する。以後、Ta膜137の酸化が進行すると、図13(b)に示すように、Ta膜137全体がTa23 膜137aに変質して体積膨張を起こす。
【0051】
図13(b)に示すように、体積膨張を起こしたTa23 膜137aのヴィアプラグ132と接する側の表面には表面荒れ(モフォロジー荒れ)が生じる。第2の比較例において説明したように、Ta膜137は、一般にバリアメタル膜として採用される各種金属膜の中でも、酸化されて金属酸化膜となる際の体積膨張率が大きい部類に入る。ここで、一般にバリアメタル膜に用いられる主な金属元素の単体の密度およびその金属酸化物(金属酸化膜)の分子密度、ならびにそれら各金属元素および各金属酸化物の体積膨張率を表1に示す。
【表1】

【0052】
表1から明らかなように、一般にバリアメタル膜に用いられる主な金属元素のうち、Ta(タンタル)およびNb(ニオブ)は、単体から酸化されて金属酸化物であるTa25 やNb25 になった際の体積膨張率が2倍を越えている。これに対して、本実施形態に係る半導体装置15においてバリアメタル膜9の主成分として採用しているTi(チタン)は、単体から酸化されて金属酸化物であるTiO,Ti35 ,あるいはTiO2 になった際の体積膨張率が2倍を下回っている。特に、TiOおよびTi35 は、Ti単体に対する体積膨張率がMg(マグネシウム)を除く他のいずれの金属酸化物よりも小さい。なお、Mgだけは、単体から酸化されて金属酸化物であるMgOになった際の体積膨張率が1倍を下回っている。すなわち、Mgは、酸化されて金属酸化物であるMgOになると、膨張ではなく収縮することが分かる。
【0053】
前述したように、第3の比較例に係る半導体装置131においては、第2の比較例に係る半導体装置111と同様に、ポーラスILD140に接する下層バリアメタル膜137にTa膜を採用する。このため、図13(b)に示すように、下層バリアメタル膜137は、ヴィアプラグ132を形成する際に約2.3倍の体積膨張を起こす。すると、下層バリアメタル膜137の表面が激しく荒れて、下層バリアメタル膜137と中層バリアメタル膜であるTaN膜138とは、それらの界面における密着性が低下する。ひいては、中層バリアメタル膜138および上層バリアメタル膜(Ta膜)139を介した下層バリアメタル膜137とヴィアプラグ132との界面における密着性が低下し、Cu膜(Cuヴィアプラグ)132によるヴィアホール135の埋め込み性が悪くなる。この結果、第2の比較例に係る半導体装置111と同様に、第3の比較例に係る半導体装置131においても、中層バリアメタル膜(TaN膜)138と酸化された下層バリアメタル膜(Ta23 膜)137aとの間に図13(b)に示すように空洞(ボイド)141が生じる。また、ヴィアプラグ132と下層バリアメタル膜137との界面のみならず、下層Cu配線136と下層バリアメタル膜137との界面においても、それらの間の密着性が大幅に低下しているおそれが高い。
【0054】
また、図14(a)に示すように、本実施形態においてはポーラスILD(低比誘電率層間絶縁膜)3内に形成されたヴィアホール10bの内面に、Ti膜からなる下層バリアメタル膜6を直接接触させて設けている。この場合、図14(a)から明らかなように、Ti膜6は全体的に略均一な膜厚で設けられており、体積膨張は殆ど見られない。それとともに、Ti膜6の内側表面は滑らかであり、表面荒れは殆ど見られない。これに対して、図14(b)に示すように、第3の比較例においては、ポーラスILD(低比誘電率層間絶縁膜)140内に形成されたヴィアホール135の内面に、Ta膜からなる下層バリアメタル膜137を直接接触させて設けている。この場合、図14(b)から明らかなように、Ta膜137は全体的に酸化されてTa23 膜137aに変質し、体積膨張を起こしている。当然、Ta23 膜137aは、その内側表面が非常に激しく荒れているとともに、膜厚が極めて不均一である
さらに、図15から明らかなように、本実施形態に係るCu配線14のエレクトロマイグレーション耐性試験における配線寿命のTTF依存性は、第3の比較例に係るCu配線のエレクトロマイグレーション耐性試験における配線寿命のTTF依存性に比べて極めて良好である。具体的に説明すると、Tiを主成分とするバリアメタル膜9により覆われてポーラスILD(低比誘電率層間絶縁膜)3内に設けられた本実施形態に係るCu配線14のエレクトロマイグレーション耐性試験の結果は、図15中黒丸でプロットされている。また、Taを主成分とするバリアメタル膜133により覆われてポーラスILD(低比誘電率層間絶縁膜)140内に設けられた第3の比較例に係るCu配線のエレクトロマイグレーション耐性試験の結果は、図15中白丸でプロットされている。それら各プロットされた点のうち、同じ累積確率の黒丸の点と白丸の点とを比較すると、故障するまでの時間が黒丸の点は白丸の点に比べて約10倍以上長い。すなわち、エレクトロマイグレーション耐性試験においては、本実施形態に係るCu配線14は、第3の比較例に係るCu配線に比べて配線寿命が約10倍以上長持ちすることが分かる。
【0055】
このように、第3の比較例に係る半導体装置131では、第2の比較例に係る半導体装置111と同様に、ヴィアプラグ132付近の構造が劣化しており、ヴィアプラグ132や図示しない上層Cu配線の付近におけるストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションに対する耐性が低下している。すなわち、ヴィアプラグ132や上層Cu配線の信頼性や性能、および品質等が低下している。ひいては、半導体装置131全体の信頼性や性能、および品質等が低下している。
【0056】
また、図示は省略するが、本発明者らが行った他の実験によれば、層間絶縁膜を低比誘電率絶縁膜により形成した場合、この低比誘電率層間絶縁膜に直接接触するバリアメタル膜をTaやNbの単体あるいはTaやNbを主成分とする化合物で形成すると、実際の製品としての半導体装置の製造現場において後から修正不可能な様々な不良が生じることが分かった。具体的には、TaやNb等の酸化された際の体積膨張率が2倍を越える物質を用いて低比誘電率層間絶縁膜に直接接触するバリアメタル膜を成膜すると、バリアメタル膜の激しい体積膨張や表面荒れ、バリアメタル膜とCuヴィアプラグとの密着性の低下、あるいはCuヴィアプラグによるヴィアホールの埋め込み性の低下等の深刻な不良が、実際の製品としての半導体装置において許容できる範囲を大幅に超える程度および頻度で発生することが分かった。すなわち、低比誘電率層間絶縁膜に直接接触するバリアメタル膜を、TaやNb等の酸化された際の体積膨張率が2倍を越える物質を用いて成膜することは好ましくないことが分かった。
【0057】
同様に、低比誘電率層間絶縁膜に直接接触するバリアメタル膜を、酸化された際の体積収縮率が2倍を越える物質、すなわち体積膨張率が0.5倍を下回る物質を用いて成膜することも好ましくないことが分かった。このように、本発明者らが行った実験によれば、低比誘電率層間絶縁膜に直接接触するバリアメタル膜として、酸化等の化学変化を起こした際の体積変化率が2倍を越える物質を主成分とする膜を採用することは、実際の製品としての半導体装置の製造現場においては実質的に殆ど不可能であることが分かった。
【0058】
なお、この第3の比較例ならびに第1および第2の各比較例において説明した上層Cu配線105,120やCuヴィアプラグ102,121,132を覆っているTa膜103,117,137に生じる各種の不良は、下層Cu配線106,116を覆っているTa膜117にも生じ得るのはもちろんである。ただし、第1〜第3の各比較例の説明においては、説明を簡潔にするために、敢えてそれらの話しを省略した。
【0059】
(第4の比較例)
次に、図16を参照しつつ、本実施形態に係る半導体装置15と、これに対する第4の比較例としての背景技術に係る半導体装置との相違点について説明する。図16は、本実施形態に対する第4の比較例としての背景技術に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。
【0060】
図16に示すように、第4の比較例においては、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、半導体基板151の上に、ポーラスILD152およびSiO2 膜153の2層構造からなる層間絶縁膜154を第1層目〜第n層目まで積層して設ける。第n−1層目の層間絶縁膜154a内には、Cuからなる下層配線155をバリアメタル膜156により覆って設ける。ただし、第4の比較例のバリアメタル膜156は、半導体装置15のバリアメタル膜9とは異なり、Ti膜6、TiN膜7、およびTi膜8からなる3層構造ではなく、タンタル膜(Ta膜)のみからなる単層構造に形成する。すなわち、第4の比較例のバリアメタル膜156は、第1の比較例に係る半導体装置101のバリアメタル膜103や、第2の比較例に係る半導体装置111のバリアメタル膜117と同じである。また、第n層目の層間絶縁膜154b内には、本実施形態に係る半導体装置15と同様に、各下層配線155の上方において配線本体用凹部157aにヴィアホール157bが連通して一体になった上層配線用凹部157を形成する。
【0061】
このような構造からなる各上層配線用凹部157の内部に、第2の比較例や第3の比較例と同様にバリアメタル膜となるTa膜156を設けると、第2の比較例や第3の比較例において説明した様々な不良が発生する。すなわち、ポーラスILD152に直接接触するバリアメタル膜156をTa膜により形成すると、バリアメタル膜156の激しい体積膨張や表面荒れ、バリアメタル膜156と図示しないCuヴィアプラグとの密着性の低下、あるいはCuヴィアプラグによるヴィアホール157bの埋め込み性の低下等の深刻な不良が発生する。これらの無視し得ない不良を回避するために、この第4の比較例においては、背景技術で説明したデガス処理を行う。具体的には、Ta膜156を成膜するのに先立ってポーラスILD152に高温かつ長時間の加熱処理を施して、図16中白抜き矢印で示すように、ポーラスILD152中からH2O等の水分を含んだガスを予め抜いてしまう。
【0062】
ところが、そのようなデガス処理を行うと、図16に示すように、ヴィアホール157bにより露出された下層Cu配線155の表面がデガス処理中に隆起するという別の問題が生じる。この下層Cu配線155の表面の隆起は、前述したバリアメタル膜(Ta膜)の表面荒れ等と同様に、図示しない上層Cu配線付近においてストレスマイグレーション不良等が発生する原因となる。すなわち、下層Cu配線155の表面の隆起は、バリアメタル膜156の激しい体積膨張や表面荒れ、バリアメタル膜156と図示しないCuヴィアプラグとの密着性の低下、あるいはCuヴィアプラグによるヴィアホール157bの埋め込み性の低下等の不良と同様に、上層Cu配線やCuヴィアプラグ、ひいては半導体装置全体の信頼性や性能、および品質等の低下を引き起こす。
【0063】
(第1実施形態と比較例との相違点)
これら第1〜第4の各比較例に対して、本実施形態に係る半導体装置15においては、前述したように、上層Cu配線14の本体12やCuヴィアプラグ13を覆うバリアメタル膜9を、第1(下層)、第2(中層)、および第3(上層)の各バリアメタル膜6,7,8からなる3層構造に形成している。それとともに、それら各バリアメタル膜6,7,8の主成分として、酸化による体積膨張率(体積変化率)が2倍未満と比較的小さいTiを採用している。具体的には、低比誘電率層間絶縁膜であるポーラスILD3や下層Cu配線5との密着層となる下層バリアメタル膜6を、Ti単体からなる金属層(導電層)であるTi膜を用いて形成している。また、この下層バリアメタル膜6と同様に、上層Cu配線14の本体12やCuヴィアプラグ13との密着層となる上層バリアメタル膜8を、Ti膜を用いて形成している。さらに、これら下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8との間に設けられる中層バリアメタル膜7を、Tiの窒化物であるTiN膜を用いて形成している。
【0064】
このようなバリアメタル膜構造を有する本実施形態の半導体装置15によれば、前述した第1〜第3の各比較例と異なり、下層バリアメタル膜6が酸化された際の体積変化率を2倍以下に抑えて、下層バリアメタル膜6の体積変化に伴う表面荒れを抑制することができる。すなわち、下層バリアメタル膜6において激しい体積膨張や表面荒れ等の不良が生じ難くなっている。
【0065】
また、半導体装置15においては、ともに金属単体の膜からなる下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8との間に金属化合物の膜からなる中層バリアメタル膜7が設けられている。これにより、低比誘電率層間絶縁膜(ポーラスILD)3に接触する下層バリアメタル膜6に好ましくない化学反応が生じた場合でも、この化学反応が上層Cu配線14に接触する上層バリアメタル膜8に伝播するおそれを抑制することができる。具体的に説明すると、本実施形態に係るTi膜からなる下層バリアメタル膜6は、前述した第1〜第3の各比較例に係るTa膜からなるバリアメタル膜103,117,137に比べて酸化され難い。しかし、たとえTi膜6であっても、Ta膜103,117,137と同様に、水分が付着すると酸化されることに変わりはない。すなわち、半導体装置15の下層バリアメタル膜6は、少なくともその低比誘電率層間絶縁膜3と接触する側が部分的に酸化されている。ところが、半導体装置15においては、下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8との間の中層バリアメタル膜7としてTiN膜を採用している。このTiN膜7は、Ti膜6,8に比べて膜構造が緻密であり、水分等の不純物が内部に侵入し難い。
【0066】
したがって、半導体装置15では、下層バリアメタル膜6が低比誘電率層間絶縁膜3内から放出された水分により酸化された場合でも、その水分の上層バリアメタル膜8への浸透を中層バリアメタル膜7で略止めることができる。この結果、低比誘電率層間絶縁膜3内から放出された水分が下層バリアメタル膜6を経て同じくTi膜からなる上層バリアメタル膜8に達するおそれを抑制して、上層バリアメタル膜8が酸化されるおそれを殆ど無くすことができる。このように、TiN膜からなる中層バリアメタル膜7は、低比誘電率層間絶縁膜3側から上層Cu配線14側への水分の浸透や酸化反応(化学反応)の伝播を抑制して上層バリアメタル膜8の酸化(変質)を防ぐ防御材、抑制材、ブロック材、保護膜、あるいはバリア膜として機能する。
【0067】
また、本発明者らが行った他の実験によれば、TiN膜からなる中層バリアメタル膜7は、Ti膜からなる下層バリアメタル膜6が酸化されて体積膨張を起こし、表面荒れが生じた場合でも、その表面の凹凸を吸収させつつ成膜できることが分かった。具体的には、表面荒れが生じた下層バリアメタル膜6の上に中層バリアメタル膜7を一般的な成膜方法により成膜しても、中層バリアメタル膜7の表面状態は下層バリアメタル膜6の表面荒れに殆ど影響されないことが分かった。すなわち、表面荒れが生じた下層バリアメタル膜6の上に中層バリアメタル膜7をCVD法等により成膜しても、中層バリアメタル膜7の表面を殆ど凹凸のない滑らかな状態に仕上げることができることが分かった。このように、TiN膜からなる中層バリアメタル膜7は、低比誘電率層間絶縁膜3側から上層Cu配線14側への水分の浸透や好ましくない化学反応の伝播のみならず、その下地となる下層バリアメタル膜6の好ましくない表面状態の伝播を抑制したり、あるいは表面の凹凸を吸収したりする緩衝材や吸収材としても機能する。
【0068】
さらに、半導体装置15においては、上層Cu配線14や下層Cu配線5と直接接触するCu密着層である下層バリアメタル膜6および上層バリアメタル膜8が、Ti単体からなる金属層(純金属層)により形成されている。一般的に、金属は非金属よりも金属同士の方が密着性が高い。したがって、半導体装置15においては、上層Cu配線14や下層Cu配線5とバリアメタル膜9との密着性が向上されている。ひいては、Cuヴィアプラグ13によるヴィアホール10bの埋め込み性が向上(改善)されている。
【0069】
このように、半導体装置15においては、Cu密着層であるとともに低比誘電率層間絶縁膜3と直接接触する Low−k膜密着層でもある下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8とを、互いに分離して形成する。それとともに、下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8との間に、金属化合物膜(金属窒化膜)である中層バリアメタル膜7を介在させる。これにより半導体装置15では、上層Cu配線14の本体12やCuヴィアプラグ13、あるいは下層Cu配線5付近における配線信頼性が向上されている。なお、第1〜第3の各バリアメタル膜6,7,8の主成分であるTiは、化学変化を起こして各種の化合物となった場合でも、その導電性が完全に失われるおそれが殆どない材料であることはもちろんである。本実施形態に即して言えば、Tiは、酸化されて酸化物になった場合でも、その導電性が完全に失われるおそれは殆どない。
【0070】
なお、以上説明した本実施形態に係る半導体装置15の上層Cu配線14の本体12やCuヴィアプラグ13を覆っているTi膜6、TiN膜7、およびTi膜8が有するそれぞれの作用および効果は、下層Cu配線5を覆っているTi膜6、TiN膜7、およびTi膜8についても同様に有しているのはもちろんである。ただし、これまでの本実施形態の説明においては、説明を簡潔にするために、敢えてそれらの話しを省略した。
【0071】
以上説明したように、この第1実施形態によれば、低比誘電率絶縁膜3を含む層間絶縁膜2内において銅配線14を覆って設けられるバリアメタル膜9のバリア性能が向上されており、層間絶縁膜2から放出されるガスによりバリアメタル膜9が酸化されても、銅配線14の信頼性や性能、および品質等が低下するおそれの殆ど無い半導体装置15を提供することができる。ひいては、装置全体の信頼性や性能、および品質等が向上されており、より高速で動作可能な半導体装置15を提供することができる。当然、本実施形態に係る半導体装置15として、ロジックLSI( Logical Large Scale Integrated Circuit )、DRAM( Dynamic Random Access Memory )、あるいはSRAM( Static Random Access Memory )等に代表されるメモリLSIや、バイポーラ・トランジスタ( Bipolar Transistor )等の各種半導体装置を製造することにより、それらの信頼性や性能、および品質等を向上させることができるとともに、それらをより高速で動作させることができる。
【0072】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2実施形態を図17を参照しつつ説明する。図17は、本実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。なお、前述した第1実施形態と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0073】
本実施形態においては、第1実施形態と異なり、上層Cu配線の本体やCuヴィアプラグ、および上層Cu配線を覆っているバリアメタル膜を、3層構造ではなく2層構造に形成する。以下、簡潔に説明する。
【0074】
図17に示すように、第1実施形態に係る半導体装置15と同様に、半導体基板1の上に、ポーラスILD3およびSiO2 膜4の2層構造からなる層間絶縁膜2を第1層目〜第n層目まで積層して設ける。第n−1層目の層間絶縁膜2a内には、Cuからなる下層配線5をバリアメタル膜21により覆って設ける。ただし、本実施形態のバリアメタル膜21は、第1実施形態のバリアメタル膜9とは異なり、Ti膜6、TiN膜7、およびTi膜8からなる3層構造ではなく、TiN膜22およびTi膜23からなる2層構造に形成する。すなわち、本実施形態のバリアメタル膜21は、第1実施形態のバリアメタル膜9から下層バリアメタル膜としてのTi膜6を省略した構造となっている。したがって、本実施形態においては、TiN膜22が第1のバリアメタル膜としての下層バリアメタル膜となるとともにTi膜23が第2のバリアメタル膜としての上層バリアメタル膜となり、中層バリアメタル膜は存在しない。また、第n層目の層間絶縁膜2b内には、第1実施形態に係る半導体装置15と同様に、各下層Cu配線5の上方において配線本体用凹部10aにヴィアホール10bが連通して一体になった上層配線用凹部10を形成する。
【0075】
続けて、そのような構造からなる各上層配線用凹部10の内部に、第1実施形態と同様の工程により、バリアメタル膜となるTiN膜22およびTi膜23を順次積層して設ける。続けて、第1実施形態と同様の工程により、Ti膜23の上にCu膜11を設けて各上層配線用凹部10の内部を満たす。続けて、CMP処理を行い、各上層配線用凹部10の内部にTiN膜22、Ti膜23、およびCu膜11を埋め込む。これにより、配線本体12とヴィアプラグ13とが一体となったデュアルダマシン配線としての上層Cu配線14が、TiN膜22およびTi膜23に覆われて各上層配線用凹部10の内部に設けられる。
【0076】
この後、予め定められている所定の工程を経ることにより、図17に示す配線構造を有する本実施形態に係る半導体装置24を得る。すなわち、配線本体12とヴィアプラグ13とが一体に形成されたデュアルダマシン配線としての上層配線14が、その表面をTiN膜22およびTi膜23の2層構造からなるバリアメタル膜21により覆われて、ポーラスILD3およびSiO2 膜4からなる第n層目の層間絶縁膜2b内に設けられている配線構造を有する半導体装置24を得る。
【0077】
以上説明したように、この第2実施形態においては、低比誘電率層間絶縁膜(ポーラスILD)3に直接接触する下層バリアメタル膜22が、第1実施形態の中層バリアメタル膜7と同様にTiN膜により形成されているので、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態のバリアメタル膜21は、3層構造からなる第1実施形態のバリアメタル膜9よりも1層少ない2層構造に形成すればよいので、半導体装置24の製造工程に掛かる工程数を減らして生産効率を向上させることができる。ひいては、半導体装置24の製造コストを低減させることができる。
【0078】
なお、本発明に係る半導体装置は、前述した第1および第2の各実施形態には制約されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、それらの構成、あるいは製造工程等の一部を種々様々な設定に変更したり、あるいは各種設定を適宜、適当に組み合わせて用いたりして実施することができる。
【0079】
例えば、第1実施形態において低比誘電率層間絶縁膜(ポーラスILD)3に直接接触して設けられる第1のバリアメタル膜(下層バリアメタル膜)6は、前述したTi膜には限定されない。下層バリアメタル膜6は、低比誘電率絶縁膜3に非接触で成膜される状態に対する、低比誘電率絶縁膜3に接触して成膜される状態の体積変化率が2倍以下である材料を用いて形成されればよい。具体的には、下層バリアメタル膜6は、酸化されていない状態に対する酸化された状態の体積膨張率や体積縮小率が2倍以下である材料を用いて形成されればよい。このような材料としては、例えばII−A族、IV−A族、VI−A族、VIII族、I−B族、III−B族、およびIV−B族のいずれかの族に属する金属元素のうち1種類の金属元素からなる金属単体、少なくとも2種類のそれら各金属元素からなる合金、ならびにそれら各金属単体または各合金の窒化物、酸化物、および炭化物等が挙げられる。下層バリアメタル膜6は、それらかく材料のうちの少なくとも1つを用いて形成されればよい。より具体的には、下層バリアメタル膜6は、例えばチタン(Ti)、銀(Ag)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等からなる金属単体、少なくとも2種類のそれら各金属元素からなる合金、ならびにそれら各金属単体または各合金の窒化物、酸化物、および炭化物等のうちの少なくとも1つを用いて形成されればよい。
【0080】
また、第1実施形態において下層バリアメタル膜6と上層バリアメタル膜8との間に設けられる中層バリアメタル膜(第2のバリアメタル膜)7も、前述したTiN膜には限定されない。例えば、Tiを主成分とする材料により中層バリアメタル膜7を形成する場合、Tiの窒化物であるTiN膜に限らず、Tiの酸化物であるTi35 膜やTiの炭化物であるTiC膜を用いて中層バリアメタル膜7を形成しても構わない。すなわち、中層バリアメタル膜7は、所定の金属の窒化物、酸化物、および炭化物等のうち少なくとも1つを用いて形成されればよい。具体的には、中層バリアメタル膜7は、前述したTiN膜が有する各種の作用および効果と同様の作用および効果を有する材料を用いて形成されればよい。例えば、中層バリアメタル膜7は、少なくとも下層バリアメタル膜6が低比誘電率絶縁膜3に接触して成膜される際に、下層バリアメタル膜6に生じる酸化等の好ましくない化学変化の伝播を抑制可能な材料により形成されればよい。好ましくは、中層バリアメタル膜7は、低比誘電率絶縁膜3側から上層Cu配線14側への水分の浸透や酸化等の好ましくない化学反応の伝播のみならず、その下地となる下層バリアメタル膜6の好ましくない表面状態の伝播を抑制したり、あるいは表面の凹凸を吸収したりすることができる材料を用いて形成されればよい。
【0081】
また、第1実施形態において上層Cu配線14の本体12やCuヴィアプラグ13に直接接触して設けられる第3のバリアメタル膜(上層バリアメタル膜)8も、前述したTi膜には限定されない。上層バリアメタル膜8は、上層Cu配線14を形成しているCu膜11等、配線やヴィアプラグとなる導電層(金属層)との密着性が高い材料を用いて形成されればよい。具体的には、II−A族、IV−A族、V−A族、VI−A族、VIII族、I−B族、III−B族、およびIV−B族のいずれかの族に属する金属元素のうち1種類の金属元素からなる金属単体、ならびにそれら各金属元素のうち少なくとも2種類の金属元素からなる合金のうちの少なくとも1つを用いて形成されればよい。より具体的には、上層バリアメタル膜8は、例えばチタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、銀(Ag)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)等のうち1種類の金属元素からなる金属単体、ならびにそれら各金属元素のうち少なくとも2種類の金属元素からなる合金のうちの少なくとも1つを用いて形成されればよい。
【0082】
第1実施形態において説明したように、上層バリアメタル膜8はその構造上、低比誘電率絶縁膜(ポーラスILD)3に直接接触するおそれがない。このため、上層バリアメタル膜8では、低比誘電率絶縁膜3に直接接触して設けられる下層バリアメタル膜6とは異なり、下層バリアメタル膜6では用いることが実質的に不可能であるTaやNb等のV−A族に属する金属元素を主成分として用いることができる。
【0083】
また、前述したように、第2実施形態においては、下層バリアメタル膜が第1のバリアメタル膜22となるとともに上層バリアメタル膜が第2のバリアメタル膜23となる。したがって、第2実施形態における下層バリアメタル膜22は、第1実施形態における下層バリアメタル膜6と同様の材料により形成されればよい。それとともに、第2実施形態における上層バリアメタル膜23は、第1実施形態における上層バリアメタル膜8と同様の材料により形成されればよい。
【0084】
また、第1実施形態においては、下層バリアメタル膜6、中層バリアメタル膜7、および上層バリアメタル膜8を、すべてTiを主成分とする膜により形成した。同様に、第2実施形態においては、下層バリアメタル膜22および上層バリアメタル膜23を、ともにTiを主成分とする膜により形成した。このように、バリアメタル膜9,21を構成する膜の層数に拘らず、各膜6,7,8,22,23を全て同じ材料を主成分として成膜することにより、バリアメタル膜9,21の成膜工程に掛かる手間やコストを低減することができる。ひいては、半導体装置15,24の生産効率を向上させることができるとともに、製造コストを低減することができる。ただし、バリアメタル膜9,21を構成する各膜6,7,8,22,23を、必ずしも全て同じ材料を主成分として成膜する必要はない。例えば、第1実施形態において、下層バリアメタル膜6はTi膜を用いて形成するとともに中層バリアメタル膜7はTiN膜を用いて形成し、かつ、上層バリアメタル膜8はTa膜を用いて形成しても構わない。同様に、第2実施形態において、下層バリアメタル膜22はTiN膜を用いて形成するとともに上層バリアメタル膜23はTa膜を用いて形成しても構わない。このように、バリアメタル膜9,21を構成する各膜6,7,8,22,23は、前述した条件を満たす限り、各膜6,7,8,22,23ごとに適宜、適正な材料を用いて形成することができる。
【0085】
さらに、第1および第2の各実施形態ともに、バリアメタル膜9,21の層数は前述した3層または2層には限定されない。第1実施形態に係るバリアメタル膜9の層数は、前述した第1のバリアメタル膜6、第2のバリアメタル膜7、および第3のバリアメタル膜8の3つの膜さえ含んでいればよい。すなわち、第1実施形態に係るバリアメタル膜9の層数は、3層以上であれば、4層でも5層でも構わない。同様に、第2実施形態に係るバリアメタル膜21の層数は、前述した第1のバリアメタル膜22および第2のバリアメタル膜23の2つの膜さえ含んでいればよい。すなわち、第2実施形態に係るバリアメタル膜21の層数は、2層以上であれば、3層でも4層でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図2】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図3】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図4】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図9】(a)は第1実施形態に対する第1の比較例としての背景技術に係る半導体装置のヴィアプラグ付近を拡大して示す断面図、(b)は(a)に示すヴィアプラグ付近を示すTEM写真。
【図10】第1実施形態に対する第2の比較例としての背景技術に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図11】第1実施形態に対する第2の比較例としての背景技術に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図12】(a)は図11に示す第2の比較例としての半導体装置のヴィアプラグ付近を拡大して示す断面図、(b)は(a)に示すヴィアプラグ付近を示すTEM写真。
【図13】(a)および(b)はそれぞれ第1実施形態に対する第3の比較例としての背景技術に係る半導体装置のヴィアプラグ付近を拡大して示す断面図。
【図14】(a)は第1実施形態に係るヴィアホール付近を拡大して示すTEM写真、(b)は第1実施形態に対する第3の比較例としての背景技術に係るヴィアホール付近を拡大して示すTEM写真。
【図15】第1実施形態に係るCu配線および第3の比較例としての背景技術に係るCu配線のそれぞれのエレクトロマイグレーション耐性試験における配線寿命のTTF依存性をプロットして示す図。
【図16】第1実施形態に対する第4の比較例としての背景技術に係る半導体装置の製造工程を示す工程断面図。
【図17】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0087】
1…半導体基板(シリコンウェーハ、基板)、2…層間絶縁膜、2a…第n−1層目の層間絶縁膜、2b…第n−1層目の層間絶縁膜、3…ポーラスILD(低比誘電率層間絶縁膜、低比誘電率絶縁膜、比誘電率が3以下である絶縁膜)、4…SiO2 膜(通常の層間絶縁膜、通常の絶縁膜)、5…下層Cu配線(下層配線)、6…Ti膜(第1のバリアメタル膜、下層バリアメタル膜)、7…TiN膜(第2のバリアメタル膜、中層バリアメタル膜)、8…Ti膜(第3のバリアメタル膜、上層バリアメタル膜)、9,21…バリアメタル膜、10…上層配線用凹部(凹部)、10a…上層配線本体用凹部(凹部)、10b…ヴィアホール(ヴィアプラグ用凹部、プラグ用凹部、凹部)、11…Cu膜、11a…下層Cu膜(Cuシード膜、Cuシード層)、11b…上層Cu膜、12…上層配線本体、13…Cuヴィアプラグ(プラグ)、14…上層Cu配線(上層配線)、15,24…半導体装置、22…TiN膜(第1のバリアメタル膜、下層バリアメタル膜)、23…Ti膜(第2のバリアメタル膜、上層バリアメタル膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも1層設けられている比誘電率が3以下である絶縁膜と、
この絶縁膜に非接触で成膜される状態に対する前記絶縁膜に接触して成膜される状態の体積変化率が2倍以下である材料からなるとともに、少なくとも一部が前記絶縁膜内に形成されている凹部の内面を覆って設けられている第1のバリアメタル膜と、
この第1のバリアメタル膜が前記絶縁膜に接触して成膜される際に前記第1のバリアメタル膜に生じる化学変化の伝播を抑制可能な材料からなるとともに、前記第1のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に設けられている第2のバリアメタル膜と、
この第2のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に設けられている第3のバリアメタル膜と、
この第3のバリアメタル膜の表面を覆って前記凹部内に埋め込まれて設けられているCu膜と、
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1のバリアメタル膜は、酸化されていない状態に対する酸化された状態の体積変化率が2倍以下である材料からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のバリアメタル膜は、II−A族、IV−A族、VI−A族、VIII族、I−B族、III−B族、およびIV−B族のいずれかの族に属する金属元素のうち1種類の前記金属元素からなる金属単体、少なくとも2種類の前記金属元素からなる合金、ならびに前記金属単体または前記合金の窒化物、酸化物、および炭化物のうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3のバリアメタル膜は、II−A族、IV−A族、V−A族、VI−A族、VIII族、I−B族、III−B族、およびIV−B族のいずれかの族に属する金属元素のうち1種類の前記金属元素からなる金属単体、ならびに少なくとも2種類の前記金属元素からなる合金のうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2のバリアメタル膜は、金属の窒化物、酸化物、および炭化物のうちの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−43018(P2007−43018A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228260(P2005−228260)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】