説明

半導体装置

【課題】SOI構造の高耐圧トランジスタを含む半導体装置であって、素子分離絶縁膜近傍の半導体層に生じうる寄生MOSトランジスタを抑制する。
【解決手段】半導体層10と、素子形成領域10HVを画定する素子分離絶縁層20と、前記素子形成領域10HVに設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタ100。絶縁ゲート型電界効果トランジスタ100は、前記半導体層10の上方に設けられたゲート絶縁層102と、前記ゲート絶縁層102の上方に設けられたゲート電極106と、前記半導体層10に設けられ、ソース領域またはドレイン領域となる第1の導電型の第1不純物領域120とを含む。ゲート電極104は、平面視したときに、素子形成領域10HVのうち少なくとも第1不純物領域120の上方に開口を有するパターンを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電子機器の軽量化・小型化が進み、該電子機器に搭載されるICの縮小化は必須である。特に、液晶表示装置を搭載した電子機器では、その駆動用ICに対し、低電圧動作用の低耐圧トランジスタと、高電圧動作用の高耐圧トランジスタとが同一基板(同一チップ)に混載されることがある(特開2004−260073号公報参照)。
【特許文献1】特開2004−260073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高耐圧トランジスタと低耐圧トランジスタとを、同一のSOI基板に混載する場合には、SOI基板の膜厚は、高耐圧トランジスタに合わせた膜厚に設定される場合がある。その場合、複数の高耐圧トランジスタ間および高耐圧トランジスタ領域と低耐圧トランジスタ領域とを分離するための絶縁層までに到達する素子分離絶縁層と、低耐圧トランジスタ間を分離するための絶縁層にまで到達しない素子分離絶縁層とを形成する必要がある。しかし、深さの異なる素子分離絶縁層の形成は、工程数の増加を招き、たとえば、2回の熱酸化により行う場合には、熱酸化の影響で素子分離絶縁層の近傍では半導体層の不純物濃度が著しく低下し、寄生MOSトランジスタが形成されることがある。更に、素子分離絶縁膜の近傍の半導体層では、ストレスによる結晶欠陥を引き起こす場合があり、素子の特性に影響を及ぼすことがある。
【0004】
本発明の目的は、SOI層に形成された高耐圧トランジスタを含む半導体装置であって、素子分離絶縁膜近傍の半導体層に生じうる寄生MOSトランジスタを抑制し、信頼性の向上した半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の半導体装置は、
半導体層と、
前記半導体層に設けられ、素子形成領域を画定する素子分離絶縁層と、
前記素子形成領域に設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタであって、
前記半導体層の上方に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の上方に設けられたゲート電極と、
前記半導体層に設けられ、ソース領域またはドレイン領域となる第1の導電型の第1不純物領域と、を含む、絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、を含み、
前記ゲート電極は、平面視したときに、前記素子形成領域のうち少なくとも前記第1不純物領域の上方に開口を有するパターンを有している。
【0006】
本発明にかかる半導体装置によれば、チャネル領域を幅方向に見たときのその端部が第2不純物領域と重ならないようなパターンを有するゲート電極が設けられている。つまり、ゲート電極の端部が素子分離絶縁層の上に乗り上げることのない構造となっているため、ゲート電極の端部での寄生素子の発生を抑制することができる。
【0007】
なお、本発明において、特定のA層(以下、「A層」という。)の上方に設けられた特定のB層(以下、「B層」という。)というとき、A層の上に直接B層が設けられた場合と、A層の上に他の層を介してB層が設けられた場合とを含む意味である。
【0008】
本発明にかかる半導体装置は、さらに、下記の態様をとることができる。
【0009】
(2)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子形成領域内の前記半導体層には、LOCOS層またはSTI層が設けられていないことができる。
【0010】
(3)本発明にかかる半導体装置において、
前記第1不純物領域を包含するように、前記ソース領域およびドレイン領域のオフセット不純物領域が設けられていることができる。
【0011】
(4)本発明にかかる半導体装置において、
前記半導体層は、絶縁層の上に設けられていることができる。
【0012】
(5)本発明にかかる半導体装置は、
半導体層と、
前記半導体層に設けられ、素子形成領域を画定する第1の深さを有する素子分離絶縁層と、
前記素子形成領域に設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタであって、
前記素子形成領域の前記半導体層の上方に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の上方に設けられたゲート電極と、
前記半導体層に設けられ、前記ゲート電極の下方に誘起されるチャネル領域と離間して設けられたソース領域またはドレイン領域となる第1の導電型の第1不純物領域と、を含む、絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、
前記素子形成領域内において、少なくとも前記第1不純物領域および前記チャネル領域となる領域を除いた領域に設けられ、その底面が該第1の深さと比して浅い第2の深さを有する絶縁層と、を含み、
前記チャネル領域を幅方向にみたときの前記ゲート電極の端部は、前記素子分離絶縁層と重ならない。
【0013】
本発明にかかる半導体装置によれば、チャネル領域を幅方向にみたときのゲート電極の端部が第2の深さを有する絶縁層と重ならないパターンを有している。つまり、ゲート電極が第2の深さを有する絶縁層の上に乗り上げていないこととなる。そのため、ゲート電極の端部において寄生素子が形成されることがなく、本来のチャネルの特性に影響を与えることがない。その結果、信頼性の向上した半導体装置を提供することができる。
【0014】
本発明にかかる半導体装置は、さらに、下記の態様をとることができる。
【0015】
(6)本発明にかかる半導体装置において、
さらに、前記チャネル領域を幅方向にみたときの該チャネル領域の端から外側に位置する前記半導体層であって、前記第2の深さを有する絶縁層部分の下方に位置する該半導体層に、第2の導電型の第2不純物領域が設けられていることができる。
【0016】
(7)本発明にかかる半導体装置において、
前記第2不純物領域は、前記素子形成領域内の外周に沿って設けられ、前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタを囲んで設けられていることができる。
【0017】
(8)本発明にかかる半導体装置において、
前記半導体層は、絶縁層の上に設けられていることができる。
【0018】
(9)本発明にかかる半導体装置において、
前記素子分離絶縁層の第1の深さは、前記絶縁層に到達する深さであることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
1.第1の実施の形態
1.1.半導体装置
第1の実施の形態にかかる半導体装置について、図1ないし図3を参照しつつ説明する。図1ないし図3は、本実施の形態にかかる半導体装置を説明する図である。図1は、本実施の形態にかかる半導体装置を説明する平面図である。図2は、図1のI−I線に沿った断面図である。図3は、図1のII−II線に沿った断面図である。
【0021】
図2、3に示すように、本実施の形態にかかる半導体装置は、支持基板6の上に絶縁層8および半導体層10が順次設けられている。半導体層10は、島状の素子形成領域10HVを画定するために絶縁層8に到達する深さを有する素子分離絶縁層20を有する。ここで、島状とは、その周囲を絶縁層に囲まれ、他の半導体層と分離されていることをいう。
【0022】
素子形成領域10HVには、高耐圧トランジスタ100が設けられている。高耐圧トランジスタ100は、第1ゲート絶縁層102と、第1ゲート絶縁層102の両端に形成され第1ゲート絶縁層102と比してその膜厚が大きい第2ゲート絶縁層104と、少なくともゲート絶縁層102の上方に設けられたゲート電極106と、ゲート電極106の側面に設けられたサイドウォール絶縁層108と、半導体層10内に設けられたソース領域またはドレイン領域となる第1不純物領域110と、第1不純物領域110を包合するように設けられたオフセット不純物領域120と、を有する。オフセット不純物領域120は、第1不純物領域110と同一の導電型であり、その不純物濃度が第1不純物領域110と比して低い不純物領域である。さらに、素子形成領域10HV内には、ウェル電位をとるためのコンタクトとなる第2不純物領域130と、第2不純物領域130を包含するように設けられたオフセット不純物領域(図示せず)が設けられている。第2オフセット不純物領域は、第2不純物領域130と同一の導電型であり、その不純物濃度が第2不純物領域130と比して低い不純物領域である。この素子形成領域10HVおいて、第1不純物領域110および第2不純物領域130以外の領域には、絶縁層8に到達しない深さを有する絶縁層22が形成されている。
【0023】
つまり、チャネル領域のW方向に沿った断面構造をみると、図3に示すように、素子分離絶縁層20により画定された素子形成領域10HVに、第1ゲート絶縁層102と、第1ゲート絶縁層102の上方に設けられたゲート電極106とが設けられ、チャネル領域とコンタクトとなる第2不純物領域130とは、絶縁層22により分離されている。このとき、図1および図3に示すように、平面視したときに、チャネル領域の幅方向に沿ったゲート電極106の端部は、絶縁層22と重なることのないパターンを有している。なお、ここで、「チャネル領域」とは、ゲート電極106の下方に位置する半導体層10であって、その表面の高さが第1不純物領域(ソース領域またはドレイン領域)110と同一の高さである領域をいう。
【0024】
本実施の形態にかかる半導体装置によれば、チャネル領域を幅方向にみたときのゲート電極106の端部が絶縁層22と重ならないパターンを有している。本実施の形態にかかる半導体装置に例示されるように、2回の熱酸化工程を経て、絶縁層8に到達する素子分離絶縁層20を形成する場合、素子分離絶縁層20と半導体層10との境界近傍で、半導体層10の結晶構造が壊れてしまう(偏析)ことがある。これにより、先の工程で導入した不純物濃度が低下してしまうことがある。この現象は、素子分離絶縁層20の周囲に形成される絶縁層22の下方の半導体層10において特に生じやすく、絶縁層22の上にゲート電極106が乗り上げていることにより、寄生MOSトランジスタが生じやすい。しかし、本実施の形態にかかる半導体装置では、ゲート電極106が絶縁層22の上に乗り上げていない。そのため、ゲート電極106の端部において寄生素子が形成されることがなく、本来のチャネルの特性に影響を与えることがない。その結果、信頼性の向上した半導体装置を提供することができる。
【0025】
1.2.半導体装置の製造方法
次に、本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について、図4ないし図13を参照しつつ説明する。図4ないし図13は、本実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図であり、図2に対応する断面を示す図である。
【0026】
(1)まず、図4に示すように、支持基板6の上に、絶縁層8と、半導体層10とが積層されたSOI基板を準備する。半導体層10としては、たとえば、単結晶シリコン層を用いることができる。半導体層10の膜厚は、500〜2000nmであることが好ましい。
【0027】
ついで、図4に示すように、高耐圧トランジスタ100が形成される領域にウェル30を形成する。ウェル30は、まず、半導体層10の上に、たとえば、酸化膜からなる犠牲膜12を形成し、その後、所定のパターンを有するマスク層M1を形成する。マスク層M1としては、たとえば、レジスト層を用いることができ、公知のリソグラフィおよびエッチング技術により、パターニングされ形成される。その後、所定の導電型の不純物を半導体層10に導入することで、ウェル30を形成することができる。不純物の導入では、必要に応じて拡散のための熱処理を行ってもよい。その後、マスク層M1は、除去される。
【0028】
(2)次に、図5に示すように、トランジスタ100のオフセット不純物領域120を形成する(図1参照)。この工程では、まず、図5に示すように、オフセット不純物領域120が形成される領域に開口を有するマスク層M2を形成する。その後、マスク層M2をマスクとして、所定の導電型の不純物を、たとえば、イオン注入法により半導体層10に導入し、必要に応じて拡散のための熱処理を施す。これにより、オフセット不純物領域120が形成される。その後、マスク層M2および犠牲膜12は、それぞれの膜質に応じた除去方法により除去される。
【0029】
(3)次に、図6に示すように、半導体層10の上に、第1絶縁層14を形成する。第1絶縁層14としては、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などを用いることができる。第1絶縁層14は、たとえば、CVD法などにより形成することができる。
【0030】
ついで、第1絶縁層14の上に、ストッパ絶縁層16を形成する。ストッパ絶縁層16としては、窒化シリコン膜を形成することができる。ストッパ絶縁層16は、CVD法などにより形成することができる。ついで、ストッパ絶縁層16の上に、所定のパターンのマスク層M3を形成する。マスク層M3は、素子分離絶縁層20(図1参照)が形成される領域に開口を有している。
【0031】
(4)次に、図7に示すように、マスク層M3をマスクとして、第1絶縁層14およびストッパ絶縁層16を除去する。その後、パターニングされたストッパ絶縁層16および第1絶縁層14とをマスクとして、半導体層10をエッチングし、トレンチ18を形成する。このトレンチ18の形成では、トレンチ18の底部が、絶縁層8に到達することのないように形成する。半導体層10のエッチングは、たとえば、ドライエッチングにより行う。
【0032】
(5)次に、図8に示すように、ストッパ絶縁層16を熱酸化のマスクとして、選択熱酸化を行うことにより、トレンチ18に絶縁層20aを形成する。この絶縁層は、後の工程で、さらに酸化され、素子分離絶縁層20(図1参照)となる。
【0033】
(6)次に、図9に示すように、ストッパ絶縁層16の上に、所定のパターンを有するマスク層M4を形成する。マスク層M4は、ソース領域またはドレイン領域となる第1不純物領域110、チャネル領域および基板電位をとるためにコンタクトとなる第2不純物領域130(図1ないし図3参照)が形成される領域以外を覆うパターンを有している。マスク層M4の形成は、上述のマスク層M1の形成と同様の方法で行うことができる。
【0034】
(7)次に、図10に示すように、ストッパ絶縁層16を耐熱酸化マスクとして選択熱酸化を行う。これにより、第2ゲート絶縁層104および絶縁層8に到達する深さを有する素子分離絶縁層20を形成することができる。同時に、ストッパ絶縁層16に覆われていない領域には、その底面が絶縁層8に到達しない絶縁層22が形成される。この絶縁層22のうち、第1不純物領域110とチャネル領域との間に形成された絶縁層は、第2ゲート絶縁層104となる。その後、第1絶縁層14およびストッパ絶縁層16をそれぞれの膜質に応じた除去方法により除去する。
【0035】
(8)次に、図11に示すように、ゲート絶縁層となる絶縁層(図示せず)の形成を行う。絶縁層の形成は、熱酸化法により行うことができる。絶縁層としては、その膜厚が100nmないし500nmであることができる。ついで、絶縁層をパターニングすることにより、図12に示す第1ゲート絶縁層102を形成することができる。絶縁層のパターニングは、公知のリソグラフィおよびエッチング技術により行うことができる。
【0036】
(9)次に、図12に示すように、第1不純物領域110のイオン注入を行うための保護膜として、絶縁層202を形成する。絶縁層202は、たとえば、熱酸化法により形成することができる。
【0037】
(10)次に、図13に示すように、ゲート電極106の形成を行う。ゲート電極106は、全面に導電層(図示せず)を形成した後、この導電層をパターニングすることにより形成することができる。このとき、ゲート電極106において、チャネル領域の幅方向に沿った端部が絶縁層22に乗り上げることのないようパターニングする(図3参照)。その後、全面に絶縁層(図示せず)を形成し、この絶縁層を異方性エッチングすることにより、ゲート電極106の側面にサイドウォール絶縁層108(図1参照)が形成される。ついで、所定の導電型の不純物を公知の技術により、半導体層10に導入することにより、ソース領域またはドレイン領域となる第1不純物領域110を形成する。以上の工程により、本実施の形態にかかる半導体装置を製造することができる。
【0038】
2.第2の実施の形態
2.1.半導体装置
次に、第2の実施の形態にかかる半導体装置について、図14ないし図16を参照しつつ説明する。図14は、本実施の形態にかかる半導体装置を説明する平面図である。図15は、図14のI−I線に沿った断面図である。図16は、図14のII−II線に沿った断面図である。
【0039】
図15および図16に示すように、本実施の形態にかかる半導体装置は、バルク状の半導体層10を有する。半導体層10には、素子分離絶縁層20が設けられている。素子分離絶縁層20は、公知のLOCOS法、セミリセスLOCOS法またはSTI法のいずれかの形成方法によって形成することができる。本実施の形態では、STI法により形成された場合を図示する。この素子分離絶縁層20により、素子形成領域10HVが画定されている。
【0040】
素子形成領域10HVには、ウェル30が設けられ、このウェル30には、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(以下、「トランジスタ」ともいう。)150が設けられている。トランジスタ150は、ウェル30の上に設けられたゲート絶縁層152と、ゲート絶縁層152の上に設けられたゲート電極154と、ゲート電極154の側面に設けられたサイドウォール絶縁層156と、半導体層10に設けられ、ソース領域またはドレイン領域となる第1不純物領域158とを有する。不純物領域158の下方には、導電型は同一で、その不純物濃度の低いオフセット不純物領域160が設けられている。
【0041】
本実施の形態にかかる半導体装置は、さらに、図14に示すように、トランジスタ150の素子形成領域である素子形成領域10HVの外周に沿って、第1不純物領域158とは導電型の異なる第2不純物領域170が設けられている。第2不純物領域170は、基板電位を固定するためのコンタクトとなる。図15に示すように、第1不純物領域158と第2不純物領域170とは、ゲート電極154のパターンの一部により分離されている。この点について、図15に示すチャネル領域の長さ方向に沿ってみたときの断面を参照しつつ説明する。図15に示すように、チャネル領域の上方に設けられた第1パターン154aと、第1不純物領域158(オフセット不純物領域160)を挟んで第1パターン154aと分離した第2パターン154bが設けられている。つまり、この第2パターン154bが、第2不純物領域170と、第1不純物領域158とを分離しているのである。
【0042】
本実施の形態にかかる半導体装置によれば、図16に示すように、チャネル領域を幅方向に見たときに、その端部が第2不純物領域170と重ならないようなパターンを有するゲート電極154が設けられている。つまり、ゲート電極154の端部が素子分離絶縁層20の上に乗り上げることのない構造となっているため、素子分離絶縁層20の近傍での寄生素子の発生を抑制することができる。その結果、特性のよい半導体装置を提供することができる。
【0043】
2.2 半導体装置の製造方法
次に、第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について、図17ないし図21を参照しつつ説明する。図17ないし21は、本実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を模式的に示す断面図であり、図15に対応する断面を示す図である。なお、以下の説明では、第1の実施の形態にかかる製造工程と同一にできる工程については、詳細な説明を省略することもある。
【0044】
(1)まず、図17に示すように、半導体層10を準備する。ついで、公知の技術によりウェル30の形成を行う。ついで、オフセット領域となる不純物領域160の形成を行う。ウェル30およびオフセット不純物領域160は、所定のパターンを有するマスク層(図示せず)を形成した後、所定の導電型の不純物をたとえば、イオン注入法により、半導体層10に導入し、必要に応じて熱拡散を行うことで形成することができる。
【0045】
(2)次に、図18に示すように、半導体層10に、STI(Shallow Trench Isolation)法により、素子形成領域を画定するための素子分離絶縁層20を形成する。具体的には、まず、半導体層10の全面に酸化膜12と窒化膜14との積層膜を形成し、これらの積層膜をパターニングして素子分離絶縁層20を形成したい領域のみ開口する。その後、パターニングされた酸化膜12および窒化膜14をマスクとして半導体層10をエッチングし、トレンチ18を形成する。ついで、トレンチ18を埋め込むように、半導体層10の全面に絶縁層を形成し、窒化膜14の表面が露出するまでCMPを施すことにより、素子分離絶縁層20を形成することができる。その後、残存している窒化膜14および酸化膜12をそれぞれの膜質に応じた除去方法により除去する。これにより、トランジスタ100が形成される素子形成領域10HVが画定する。
【0046】
(3)次に、図19に示すように、半導体層10の上に、ゲート絶縁層152を形成する。半導体層10の全面に、ゲート絶縁層となる絶縁層(図示せず)を形成する。絶縁層の形成は、例えば熱酸化により行うことが出来る。ついで、絶縁層をパターンニングすることにより、図19に示すゲート絶縁層152を形成することができる。絶縁層のパターンニングは、公知のリソグラフィ及びエッチング技術により行うことができる。ついで、ゲート絶縁層152の上に、ゲート電極となる導電層155を形成する。導電層155は、公知の材質および形成方法により形成することができる。
【0047】
(4)次に、図20に示すように、導電層155をパターニングすることで、ゲート電極154を形成することができる。このとき、ゲート電極154は、図14に参照されるように、後述の工程で形成される第1不純物領域158(オフセット不純物領域160をも含む)と、第2不純物領域170が形成される領域以外を覆うようなパターンを有する。そのため、図20に示す断面をみたときに、チャネルが誘起される領域の上に形成される第1パターン154aと、第1パターン154aと離間された位置に第2パターン154bが形成されることとなる。
【0048】
ついで、ゲート電極154の側面にサイドウォール絶縁層156を公知の技術により形成する。その後、ソース領域およびドレイン領域となる第1不純物領域158の形成を行う。第1不純物領域158は、図14に参照される平面図において、第1不純物領域158の位置に開口を有するマスク層(図示せず)を形成した後、不純物をたとえば、イオン注入法により半導体層に導入することで形成される。この際、ゲート電極154にも不純物が導入される。
【0049】
(5)次に、素子形成領域10HVの外周に沿って、第2不純物領域170の形成が行われる。まず、図21に示すように、第2不純物領域170を開口するマスク層M1を形成する。その後、不純物をたとえば、イオン注入法により半導体層10に導入する。これにより、トランジスタ150を囲む第2不純物領域170(図14ないし図16参照)が形成される。
【0050】
以上の工程により、本実施の形態にかかる半導体装置を製造することができる。
【0051】
3.第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態にかかる半導体装置について、図22を参照しつつ説明する。図22は、第3の実施の形態にかかる半導体装置を模式的に示す断面図である。第3の実施の形態にかかる半導体装置は、高耐圧トランジスタ150と、低耐圧トランジスタ200とが、絶縁層上の半導体層(SOI層)に設けられた例である。
【0052】
図22に示すように、本実施の形態にかかる半導体装置は、支持基板6の上に絶縁層8および半導体層10が順次設けられている。半導体層10として、第1の実施の形態と同様とすることができる。
【0053】
半導体層10には、素子分離絶縁層20が設けられており、第1素子形成領域10HVと、第2素子形成領域10LVとが画定されている。素子分離絶縁層20は、公知のLOCOS法、セミリセスLOCOS法またはSTI法のいずれかの形成方法によって形成することができる。本実施の形態では、STI法により形成された場合を図示する。また、素子分離絶縁層20は、絶縁層8の底面に到達するまでの深さを有し、島状の第1素子形成領域10HVが形成されている。
【0054】
第1素子形成領域10HVには、高耐圧トランジスタ150が設けられ、第2素子形成領域10LVには、低耐圧トランジスタ200が設けられている。高耐圧トランジスタ150は、第2の実施の形態にかかる半導体装置として説明したトランジスタ150と同様の構造である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0055】
低耐圧トランジスタ200は、半導体層10に形成されたウェル32と、ウェル32の上に設けられたゲート絶縁層202と、ゲート絶縁層202の上に設けられたゲート電極204と、ゲート電極204の側面に設けられたサイドウォール絶縁層206と、半導体層10に設けられたソース領域またはドレイン領域となる不純物領域208と、を有する。必要に応じて、オフセット領域が形成されていてもよい(図示せず)。
【0056】
本実施の形態にかかる半導体装置によれば、SOI層に高耐圧トランジスタ150と低耐圧トランジスタ200とが混載された半導体装置を提供することができる。一般に、駆動電圧の異なるトランジスタを同一のSOI層に混載する場合には、それぞれのトランジスタ形成領域のSOI層の膜厚を異ならせる。そして、膜厚の大きい領域には高耐圧トランジスタが設けられ、膜厚の小さい領域には低耐圧トランジスタが設けられる。このことは、面内での上面の高さのばらつきを生じさせ、層間絶縁層や配線層の形成を困難とすることがあった。しかし、本実施の形態によれば、オフセット不純物領域160を面方向に広げることで、その耐圧が確保された高耐圧トランジスタ150を混載している。そのため、低耐圧トランジスタ200の設計上規定される半導体層10の膜厚に併せて、所望の耐圧が確保された高耐圧トランジスタ150を混載することができるのである。
【0057】
また、本実施の形態にかかる半導体装置は、主に、第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造方法に従い、一般的な低耐圧トランジスタの形成工程を組み合わせ、たとえば、ゲート電極154とゲート電極204の形成など共通できる工程を共通化することにより製造することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図2】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図3】第1の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図4】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図5】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図6】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図7】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図8】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図9】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図10】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図11】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図12】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図13】第1の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図14】第2の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図15】第2の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図16】第2の実施の形態にかかる半導体装置を説明する図。
【図17】第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図18】第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図19】第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図20】第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図21】第2の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【図22】第3の実施の形態にかかる半導体装置の製造工程を説明する図。
【符号の説明】
【0060】
6…支持基板、 8…絶縁層、 10…半導体層、 18…トレンチ、 20…素子分離絶縁層、 20a…絶縁層、 22…絶縁層、 30、32…ウェル、 100、150…トランジスタ、 102…第1ゲート絶縁層、 104…第2ゲート絶縁層、 106…ゲート電極、 108…サイドウォール絶縁層、 110…第1不純物領域(ソース領域またはドレイン領域)、 120…オフセット不純物領域、130…第2不純物領域、 152…ゲート絶縁層、 154…ゲート電極、 154a…第1パターン 154b…第2パターン 156…サイドウォール絶縁層、 158…第1不純物領域(ソース領域またはドレイン領域)、 160…オフセット不純物領域、 170…第2不純物領域、 200…低耐圧トランジスタ、 202…ゲート絶縁層、 204…ゲート電極 206…サイドウォール絶縁層、 208…不純物領域(ソース領域またはドレイン領域)、 M1〜M4…マスク層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層に設けられ、素子形成領域を画定する素子分離絶縁層と、
前記素子形成領域に設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタであって、
前記半導体層の上方に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の上方に設けられたゲート電極と、
前記半導体層に設けられ、ソース領域またはドレイン領域となる第1の導電型の第1不純物領域と、を含む、絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、を含み、
前記ゲート電極は、平面視したときに、前記素子形成領域のうち少なくとも前記第1不純物領域の上方に開口を有するパターンを有している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記素子形成領域内の前記半導体層には、LOCOS層またはSTI層が設けられていない、半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1不純物領域を包含するように、前記ソース領域およびドレイン領域のオフセット不純物領域が設けられている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記半導体層は、絶縁層の上に設けられている、半導体装置。
【請求項5】
半導体層と、
前記半導体層に設けられ、素子形成領域を画定する第1の深さを有する素子分離絶縁層と、
前記素子形成領域に設けられた絶縁ゲート型電界効果トランジスタであって、
前記素子形成領域の前記半導体層の上方に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層の上方に設けられたゲート電極と、
前記半導体層に設けられ、前記ゲート電極の下方に誘起されるチャネル領域と離間して設けられたソース領域またはドレイン領域となる第1の導電型の第1不純物領域と、を含む、絶縁ゲート型電界効果トランジスタと、
前記素子形成領域内において、少なくとも前記第1不純物領域および前記チャネル領域となる領域を除いた領域に設けられ、その底面が該第1の深さと比して浅い第2の深さを有する絶縁層と、を含み、
前記チャネル領域を幅方向にみたときの前記ゲート電極の端部は、前記素子分離絶縁層と重ならない、半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
さらに、前記チャネル領域を幅方向にみたときの該チャネル領域の端から外側に位置する前記半導体層であって、前記第2の深さを有する前記絶縁層の下方に位置する該半導体層に、第2の導電型の第2不純物領域が設けられている、半導体装置。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記第2不純物領域は、前記素子形成領域内の外周に沿って設けられ、前記絶縁ゲート型電界効果トランジスタを囲んで設けられている、半導体装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかにおいて、
前記半導体層は、絶縁層の上に設けられている、半導体装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記素子分離絶縁層の第1の深さは、前記絶縁層に到達する深さである、半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−59784(P2007−59784A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245793(P2005−245793)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】