説明

半導体装置

【課題】ボンディングパッドなどの開口内金属膜と層間絶縁膜上の表面金属膜との導通を確保することができる、半導体装置を提供する。
【解決手段】第2配線13上の層間絶縁膜21には、その表面から第2配線13に達するパッド開口22が形成されている。第2配線13におけるパッド開口22に臨む部分上には、AlCu合金からなるボンディングパッド25が形成されている。また、層間絶縁膜21上には、AlCu合金からなる電磁波シールド膜27が形成されている。そして、パッド開口22の側面上には、ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27との導通を確保するための導通確保膜24が形成されている。ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27とが直接に接続されなくても、導通確保膜24により、ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27との導通を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、とくにパワー半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーエレクトロニクスの分野において、トランスを備えるパワー半導体装置(以下「トランスデバイス」という。)の開発が進められている。
図3は、トランスデバイスの構造を示す模式的な断面図である。
トランスデバイス101は、図示しない半導体基板上に、SiO(酸化シリコン)からなる第1絶縁層102を備えている。
【0003】
第1絶縁層102には、第1配線溝103が形成されている。第1配線溝103には、バリアメタル104を介して、Cu(銅)を主成分とする金属材料(以下「Cu配線材料」という。)からなる第1配線105が埋設されている。
第1絶縁層102上には、第2絶縁層106が積層されている。第2絶縁層106は、拡散防止/エッチングストッパ膜107、層間絶縁膜108、エッチングストッパ膜109および絶縁膜110をこの順に積層した構造を有している。
【0004】
第2絶縁層106には、第2配線溝111が形成されている。第2配線溝111は、絶縁膜110の上面から層間絶縁膜108の上面まで掘り下がっている。第2配線溝111には、バリアメタル112を介して、Cu配線材料からなる第2配線113が埋設されている。
また、第2配線溝111は、平面視で第1配線105と交差する部分を有するパターンに形成されている。そして、平面視で第1配線105と第2配線溝111とが交差する部分において、それらの間には、拡散防止/エッチングストッパ膜107および層間絶縁膜108を貫通するビアホール114が形成されている。ビアホール114には、バリアメタル115を介して、ビア116が埋設されている。これにより、第1配線105と第2配線113とは、ビア116を介して電気的に接続されている。
【0005】
そして、第2絶縁層106には、第2配線溝111と間隔を空けて、第2配線溝111と同じ深さを有する平面視渦巻状のコイル溝117が形成されている。コイル溝117には、バリアメタル118を介して、トランスを構成するコイル119が埋設されている。
第2絶縁層106上には、拡散防止/エッチングストッパ膜120および層間絶縁膜121が積層されている。第2配線113は、最上層配線であり、拡散防止/エッチングストッパ膜120および層間絶縁膜121には、層間絶縁膜121の表面から第2配線113に達するパッド開口122が形成されている。パッド開口122の内面には、バリアメタル123が被着されている。パッド開口122内において、バリアメタル123上には、Al(アルミニウム)とCuとを含む合金(以下「AlCu合金」という。)からなるボンディングパッド124が設けられている。ボンディングパッド124には、外部との電気接続のためのボンディングワイヤ(図示せず)が接続される。
【0006】
バリアメタル123は、パッド開口122外の層間絶縁膜121上にも選択的に形成されている。すなわち、バリアメタル123は、パッド開口122の内面とパッド開口122外の層間絶縁膜121上におけるコイル119と対向する領域とに連続して形成されている。そして、そのコイル119と対向する領域に形成されたバリアメタル123上には、ボンディングパッド124と同じ材料からなる電磁波シールド膜125が形成されている。
【0007】
バリアメタル123、ボンディングパッド124および電磁波シールド膜125の形成時には、まず、スパッタ法により、パッド開口122の内面および層間絶縁膜121の表面全域上に、バリアメタル123の材料からなる膜が成膜される。次に、スパッタ法により、そのバリアメタル123の材料からなる膜上に、AlCu合金からなる膜(AlCu合金膜)が成膜される。そして、層間絶縁膜121の表面上のAlCu合金膜およびバリアメタル123の材料からなる膜が選択的に除去(パターニング)されることにより、バリアメタル123、ボンディングパッド124および電磁波シールド膜125が得られる。
【0008】
AlCu合金膜のパターニング時に、パッド開口122の側面上に、AlCu合金が残される。この残されたAlCu合金により、ボンディングパッド124と電磁波シールド膜125とが電気的に接続され。これにより、電磁波シールド膜125は、コイル119から発生する電磁波をシールドする機能を発揮する。
【特許文献1】US2005/0230837A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コイル119と電磁波シールド膜125との間で絶縁耐圧を確保するため、層間絶縁膜121は、2〜3μm以上の厚さを有する。そのため、パッド開口122は、深さ方向のサイズが2〜3μm以上となり、横方向(深さ方向と直交する方向)のサイズが10μm以上、通常は100μm程度となる。そのため、パッド開口122の側面に対するAlCu合金膜のカバレッジが悪く、ボンディングパッド124と電磁波シールド膜125との導通不良が生じるおそれがある。
【0010】
パッド開口122内をCu配線材料などで埋め尽くした後、層間絶縁膜121およびパッド開口122上にAlCu合金膜を成膜し、これをパターニングすることにより、ボンディングパッド124および電磁波シールド膜125を形成する手法が考えられる。しかしながら、この手法では、AlCu合金膜が成膜されると、その下地(パッド開口122内のCu配線材料)がAlCu合金膜に隠れ、また、AlCu合金膜の表面が平坦面となるので、AlCu合金のパターニングのためのフォトリソグラフィ工程時に、マスクのアライメント(位置合わせ)が非常に困難である。
【0011】
そこで、本発明の目的は、ボンディングパッドなどの開口内金属膜と層間絶縁膜上の表面金属膜との導通を確保することができる、半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、配線と、前記配線上に形成され、その表面から前記配線に達する開口を有する層間絶縁膜と、前記開口内において前記配線上に形成され、アルミニウムを含む金属材料からなる開口内金属膜と、前記層間絶縁膜上に形成され、前記金属材料からなる表面金属膜と、(少なくとも)前記開口の側面上に形成され、前記開口内金属膜と前記表面金属膜との導通を確保するための導通確保膜とを含む、半導体装置である。
【0013】
この構成によれば、配線上の層間絶縁膜には、その表面から配線に達する開口が形成されている。配線における開口に臨む部分上には、アルミニウムを含む金属材料からなる開口内金属膜が形成されている。また、層間絶縁膜上には、開口内金属膜の材料と同じ金属材料からなる表面金属膜が形成されている。そして、開口の側面上には、開口内金属膜と表面金属膜との導通を確保するための導通確保膜が形成されている。
【0014】
スパッタ法によりアルミニウムを含む金属材料からなる膜を成膜し、この膜をパターニングすることにより開口内金属膜および表面金属膜を形成する手法を採用する場合に、開口の側面に金属材料が良好に付着すれば、その側面に付着した金属材料を介して、開口内金属膜と表面金属膜との電気的な接続(導通)が達成される。開口の側面に金属材料が良好に付着せず、開口の側面に対する金属材料(膜)のカバレッジ不良が生じても、導通確保膜により、開口内金属膜と表面金属膜との導通を確保することができる。
【0015】
請求項2に記載のように、前記導通確保膜は、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により形成されることが好ましい。CVD法により、開口の側面に導通確保膜の材料を良好に付着させることができ、開口の側面に導通確保膜を確実に形成することができる。
請求項3に記載のように、前記導通確保膜の材料は、タングステンであってもよい。
【0016】
請求項4に記載のように、前記導通確保膜の厚さは、100nm以上、前記層間絶縁膜の厚さ以下であることが好ましい。この場合、開口内金属膜と表面金属膜との良好な導通(低抵抗な接続)を確保する厚さを有しながら、導通確保膜の表面に段差が形成されるので、その段差を利用して、表面金属膜を形成するためのフォトリソグラフィ工程時に、そのパターニングのためのマスクをアライメントすることができる。
【0017】
請求項5に記載のように、前記半導体装置は、前記層間絶縁膜と前記表面金属膜との間に介在され、前記金属材料の成分が前記層間絶縁膜に拡散することを防止するためのバリアメタルをさらに備えていてもよい。
また、請求項6に記載のように、前記半導体装置は、前記配線と同一層に形成され、トランスを構成するための平面視渦巻状のコイルをさらに備えていてもよい。この場合、前記表面金属膜は、平面視で前記コイルを覆い隠し、外部からの電磁波をシールドして誤作動を防ぐための電磁波シールド膜であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。
半導体装置1は、トランスデバイスであり、図示しない半導体基板を備えている。半導体基板としては、Si(シリコン)基板、SiC(炭化珪素)基板などを例示することができる。
【0019】
半導体基板上には、第1絶縁層2が積層されている。第1絶縁層2は、たとえば、SiOからなる。
第1絶縁層2には、第1配線溝3が形成されている。第1配線溝3は、第1絶縁層2の上面から掘り下がった凹状をなしている。
第1配線溝3の内面(側面および底面)上には、バリアメタル4が形成されている。バリアメタル4は、たとえば、下からTa(タンタル)膜、TaN(窒化タンタル)膜およびTa膜をこの順に積層した構造を有している。そして、第1配線溝3には、バリアメタル4を介して、Cu配線材料(Cuを主成分とする金属材料)からなる第1配線5が埋設されている。第1配線5は、その表面が第1絶縁層2の表面と面一をなしている。バリアメタル4により、第1配線5のCu配線材料に含まれる成分が第1絶縁層2に拡散することが防止されている。
【0020】
第1絶縁層2上には、第2絶縁層6が積層されている。第2絶縁層6は、拡散防止/エッチングストッパ膜7、層間絶縁膜8、エッチングストッパ膜9および絶縁膜10をこの順に積層した構造を有している。拡散防止/エッチングストッパ膜7およびエッチングストッパ膜9は、たとえば、SiN(窒化シリコン)からなる。層間絶縁膜8および絶縁膜10は、たとえば、SiOからなる。拡散防止/エッチングストッパ膜7により、第1配線5のCu配線材料に含まれる成分が第1絶縁層2に拡散することが防止されている。
【0021】
第2絶縁層6の表層部には、第2配線溝11が形成されている。第2配線溝11は、絶縁膜10の上面から層間絶縁膜8の上面まで掘り下がった凹状をなしている。
第2配線溝11の内面(側面および底面)上には、バリアメタル12が形成されている。バリアメタル12は、下からTa膜、TaN膜およびTa膜をこの順に積層した構造を有している。そして、第2配線溝11には、バリアメタル12を介して、Cu配線材料からなる第2配線13が埋設されている。第2配線13は、その表面が第2絶縁層6の表面と面一をなし、第2配線溝11の深さからバリアメタル12の厚さを差し引いた厚さ(たとえば、2μm)を有している。バリアメタル12により、第2配線13のCu配線材料に含まれる成分が第2絶縁層6に拡散することが防止されている。
【0022】
また、第2配線溝11は、平面視で第1配線5と交差する部分を有するパターンに形成されている。そして、平面視で第1配線5と第2配線溝11とが交差する部分において、それらの間には、拡散防止/エッチングストッパ膜7および層間絶縁膜8を貫通するビアホール14が形成されている。
ビアホール14の側面および第1配線5におけるビアホール14に臨む部分上には、バリアメタル15が形成されている。バリアメタル15は、下からTa膜、TaN膜およびTa膜をこの順に積層した構造を有している。そして、ビアホール14には、バリアメタル15を介して、Cu配線材料からなるビア16が埋設されている。バリアメタル15により、ビア16のCu配線材料に含まれる成分が第2絶縁層6に拡散することが防止されている。第1配線5と第2配線13とは、ビア16を介して電気的に接続されている。
【0023】
また、第2絶縁層6には、第2配線溝11と同一層に、第2配線溝11と間隔を空けて、第2配線溝11と同じ深さを有する平面視渦巻状のコイル溝17が形成されている。
コイル溝17の内面(側面および底面)上には、バリアメタル18が形成されている。バリアメタル18は、第2配線溝11の内面上に形成されているバリアメタル12と同じ積層構造を有している。すなわち、バリアメタル18は、下からTa膜、TaN膜およびTa膜をこの順に積層した構造を有している。そして、コイル溝17には、バリアメタル18を介して、第2配線13の材料と同じ材料であるCu配線材料からなるコイル19が埋設されている。コイル19は、他のコイル(図示せず)とともにトランスを構成する。コイル19は、その表面が第2絶縁層6の表面と面一をなし、第2配線13と同じ厚さを有している。バリアメタル18により、コイル19のCu配線材料に含まれる成分が第2絶縁層6に拡散することが防止されている。
【0024】
第2絶縁層6上には、拡散防止/エッチングストッパ膜20および層間絶縁膜21が積層されている。拡散防止/エッチングストッパ膜20は、たとえば、SiNからなり、100nmの厚さを有している。層間絶縁膜21は、たとえば、SiOからなり、2.4μmの厚さを有している。拡散防止/エッチングストッパ膜20により、第2配線13のCu配線材料に含まれる成分が層間絶縁膜21に拡散することが防止されている。
【0025】
第2配線13は、最上層の配線であり、拡散防止/エッチングストッパ膜20および層間絶縁膜21には、層間絶縁膜21の表面から第2配線13に達するパッド開口22が形成されている。パッド開口22の側面は、拡散防止/エッチングストッパ膜20および層間絶縁膜21により形成される。パッド開口22の横方向(深さ方向と直交する方向)のサイズは、たとえば、100μm(0.1μm)である。
【0026】
パッド開口22の側面および第2配線13におけるパッド開口22に臨む部分上には、バリアメタル23が形成されている。バリアメタル23は、下からTa膜、TaN膜、Ti(チタン)膜およびTiN膜をこの順に積層した構造を有している。Ta膜、TaN膜、Ti膜およびTiN膜の厚さは、たとえば、それぞれ7.5μm、7.5μm、20μmおよび10μmである。
【0027】
バリアメタル23上には、W(タングステン)からなる導通確保膜24が形成されている。導通確保膜24は、パッド開口22内において、バリアメタル23の表面全域を被覆している。導通確保膜24の厚さは、たとえば、200〜400nm(0.2〜0.4μm)である。したがって、パッド開口22内は、導通確保膜24により埋め尽くされていない。バリアメタル23により、導通確保膜24の材料に含まれるWが第2絶縁層6に拡散することが防止されている。
【0028】
パッド開口22内において、第2配線13上には、バリアメタル23および導通確保膜24を挟んで、AlCu合金(AlとCuとを含む合金)からなるボンディングパッド25が形成されている。ボンディングパッド25には、外部との電気接続のためのボンディングワイヤ(図示せず)が接続される。
層間絶縁膜21上には、コイル19の全体と対向する領域およびパッド開口22の周囲の領域に、バリアメタル26が形成されている。バリアメタル26は、導通確保膜24上にも形成されている。バリアメタル26は、下からTi膜およびTiN膜をこの順に積層した構造を有している。Ti膜およびTiN膜の厚さは、たとえば、それぞれ7nm(0.007μm)および40nm(0.04μm)である。
【0029】
バリアメタル26上には、ボンディングパッド25の材料と同じ材料であるAlCu合金からなる電磁波シールド膜27が形成されている。電磁波シールド膜27の厚さは、たとえば、900nm(0.9μm)である。電磁波シールド膜27は、パッド開口22の側面上まで回り込んでおり、ボンディングパッド25に直接に接続されるか、または、導通確保膜24を介してボンディングパッド25と電気的に接続されている。これにより、電磁波シールド膜27は、平面視でコイル19を覆い隠し、外部からの電磁波をシールドして誤作動を防ぐ。また、バリアメタル26により、電磁波シールド膜27の材料に含まれる成分が第2絶縁層6に拡散することが防止されている。
【0030】
なお、半導体基板と第1絶縁層2との間に1または複数の絶縁層が介在されて、第1配線5の下層に別の配線が形成されていてもよい。この場合、第1配線5は、第1配線5の下層の配線とビア28を介して電気的に接続される。むろん、第1絶縁層2が半導体基板に接して形成され、第1配線5が最下層の配線であってもよい。
図2A〜2Gは、図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【0031】
図2Aに示すように、公知の手法(たとえば、シングルダマシン法を含む手法)により、第1絶縁層2、第1配線溝3、バリアメタル4、第1配線5、第2絶縁層6、第2配線溝11、バリアメタル12、第2配線13、ビアホール14、バリアメタル15、ビア16、コイル溝17、バリアメタル18およびコイル19が形成される。
図2Bに示すように、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:プラズマ化学気相成長)法により、第2絶縁層6上に、拡散防止/エッチングストッパ膜20および層間絶縁膜21が順に形成される。
【0032】
次に、図2Cに示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、パッド開口22が形成される。
その後、図2Dに示すように、スパッタ法により、パッド開口22の側面および第2配線13におけるパッド開口22に臨む部分上には、バリアメタル23の材料からなる積層膜(たとえば、Ta膜、TaN膜、Ti膜およびTiN膜)31が形成される。
【0033】
次いで、図2Eに示すように、CVD法により、積層膜31上に、WからなるW膜32が形成される。
そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、W膜32の表面が研磨される。この研磨は、図2Fに示すように、W膜32におけるパッド開口22外の部分が完全に除去され、さらに積層膜31におけるパッド開口22外の部分が完全に除去されて、パッド開口22外において層間絶縁膜21の上面が露出するまで続けられる。これにより、パッド開口22内に、バリアメタル23および導通確保膜24が得られる。
【0034】
その後、図2Gに示すように、スパッタ法により、層間絶縁膜21上に、バリアメタル26の材料からなる積層膜(たとえば、Ti膜およびTiN膜)33が形成される。つづいて、スパッタ法により、バリアメタル26上に、AlCu合金からなるAlCu合金膜34が形成される。
この後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、積層膜33およびAlCu合金膜34がパターニングされる。その結果、図1に示すように、ボンディングパッド25、バリアメタル26および電磁波シールド膜27が形成され、これらを備える半導体装置1が得られる。
【0035】
以上のように、第2配線13上の層間絶縁膜21には、その表面から第2配線13に達するパッド開口22が形成されている。第2配線13におけるパッド開口22に臨む部分上には、AlCu合金からなるボンディングパッド25が形成されている。また、層間絶縁膜21上には、ボンディングパッド25の材料と同じ材料であるAlCu合金からなる電磁波シールド膜27が形成されている。そして、パッド開口22の側面上には、ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27との導通を確保するための導通確保膜24が形成されている。
【0036】
スパッタ法によるAlCu合金膜34の形成時に、パッド開口22の側面にAlCu合金が良好に付着せず、パッド開口22の側面に対するAlCu合金膜34のカバレッジ不良が生じても、導通確保膜24により、ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27との導通を確保することができる。
導通確保膜24は、CVD法によりW膜32が形成され、パッド開口22外からW膜32が除去されることにより形成される。CVD法により、パッド開口22の側面にW膜32を良好に付着させることができる。その結果、パッド開口22の側面に導通確保膜24を確実に形成することができる。
【0037】
なお、パッド開口22外からW膜32の除去は、CMP法に限らず、エッチバックにより達成されてもよい。この場合、導通確保膜24は、パッド開口22の側面上にのみ形成され、バリアメタル23とボンディングパッド25との間には形成されなくてもよい。すなわち、導通確保膜24は、少なくともパッド開口22の側面上に形成されていればよい。
【0038】
導通確保膜24の厚さは、その一例として200〜400nmであるとしたが、この範囲には限定されない。ただし、導通確保膜24(W膜32)の厚さは、100nm以上、層間絶縁膜21の厚さ以下であることが好ましい。このような厚さであれば、ボンディングパッド25と電磁波シールド膜27との良好な導通(低抵抗な接続)を確保する厚さを有しながら、導通確保膜24の表面に段差が形成されるので、その段差を利用して、電磁波シールド膜27を形成するためのフォトリソグラフィ工程時に、そのパターニングのためのマスクをアライメントすることができる。
【0039】
また、導通確保膜24がWからなるとしたが、導通確保膜24の材料としては、Wに限らず、CuまたはTiNなどを用いることもできる。Cuが採用される場合、CVD法により、導通確保膜24の素となる層を形成することができる。TiNが採用される場合、スパッタ法により、導通確保膜24の素となる層を形成することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の構造を示す模式的な断面図である。
【図2A】図2Aは、図1に示す半導体装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2C】図2Cは、図2Bの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2D】図2Dは、図2Cの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2E】図2Eは、図2Dの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2F】図2Fは、図2Eの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図2G】図2Gは、図2Fの次の工程を示す模式的な断面図である。
【図3】図3は、従来のトランスデバイスの構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 半導体装置
13 第2配線(配線)
19 コイル
21 層間絶縁膜
22 パッド開口(開口)
24 導通確保膜
25 ボンディングパッド(開口内金属膜)
26 バリアメタル
27 電磁波シールド膜(表面金属膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線と、
前記配線上に形成され、その表面から前記配線に達する開口を有する層間絶縁膜と、
前記開口内において前記配線上に形成され、アルミニウムを含む金属材料からなる開口内金属膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記金属材料からなる表面金属膜と、
前記開口の側面上に形成され、前記開口内金属膜と前記表面金属膜との導通を確保するための導通確保膜とを含む、半導体装置。
【請求項2】
前記導通確保膜は、CVD法により形成される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導通確保膜は、タングステンからなる、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記導通確保膜の厚さは、100nm以上、前記層間絶縁膜の厚さ以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記層間絶縁膜と前記表面金属膜との間に介在され、前記金属材料の成分が前記層間絶縁膜に拡散することを防止するためのバリアメタルをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記配線と同一層に形成され、トランスを構成するための平面視渦巻状のコイルをさらに含み、
前記表面金属膜は、平面視で前記コイルと対向する領域を被覆し、前記コイルから発生する電磁波をシールドするための電磁波シールド膜である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−80772(P2010−80772A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248902(P2008−248902)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】