説明

半導体記憶装置

【課題】不揮発性メモリ部内蔵のSRAMの特性の向上を図る。
【解決手段】SRAMを構成するアクセストランジスタAcc1とビット線BLとの間に抵抗変化層Rを有するReRAM部RM1を設け、アクセストランジスタAcc2とビット線/BLとの間に抵抗変化層Rを有するReRAM部RM2を設ける。SRAM通常動作期間の終了時において、例えば、蓄積ノードAに低電位(L=0V)、蓄積ノードBに高電位(H=1.5V)が保持されている場合、ReRAM部RM1をオン状態(ON)とし、ReRAM部RM2をオフ状態(OFF)とすることで、SRAMの保持データをReRAM部へ書き込み、再び、SRAM通常動作となった場合には、蓄積ノードAおよびBに対応するデータ書き戻すとともに、ReRAM部RM1、RM2の双方をオン状態に(リセット)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に、SRAMを有する半導体記憶装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SRAM(Static Random Access Memory、スタティックランダムアクセスメモリ)は、半導体メモリの一種であり、フリップフロップを用いてデータを記憶する。例えば、SRAMにおいては、4つのトランジスタで構成される2つの交差接続されたCMOSインバータにデータ(“1”または“0”)が格納される。また、読み出しと書き込みアクセスのために2つのトランジスタを必要とするため、典型的なSRAMでは、メモリセルが6つのトランジスタで構成される。
【0003】
例えば、下記特許文献1(特表2006−527897号公報)には、不揮発性セル(14,16)が、スタティックメモリセルの内部ノード(A,B)にクロスカップリングされた不揮発性スタティックメモリセルが開示されている。2つの不揮発性セルのうち、一の不揮発性セル(14)はBに接続された制御ゲートとAに接続されたソースとを有し、他の不揮発性セル(16)はAに接続された制御ゲートとBに接続されたソースとを有する。
【0004】
また、下記特許文献2(特開平7−226088号公報)には、スタティックメモリ(SRAM)の高速性を保ちながら、不揮発性を実現できる半導体記憶装置が開示されている。この半導体記憶装置は、SRAMメモリセル部1と不揮発性メモリセル部3を有する。ソースがそれぞれ接地され、ドレインが互いのトランジスタのゲートに接続された2つのトランジスタT1,T2に第1および第2の選択トランジスタT7,T8を接続して上記SRAMメモリセル部1を構成している。また、フローティングゲートとコントロールゲートの2つのゲートを備え、ドレインが電源ラインに接続された不揮発性トランジスタT3,T4により、SRAMメモリセル部1の状態を記憶する上記不揮発性メモリセル部3を構成している。
【0005】
また、下記特許文献3(特表2003−511809号公報)には、第1および第2のインバータと、第1および第2のインバータの各々の制御電極と直列にされるコンデンサ(G1、G2)とを備えた不揮発性MOSRAMセルが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献4(特開2007−157183号公報)には、負荷トランジスタと記憶トランジスタとの直列回路を一対有し、それらをスタティックラッチ形態に接続して成るフリップフロップを備えた不揮発性メモリが開示されている。この不揮発性メモリは、書込・消去時に負荷トランジスタを介してフリップフロップの電源側へリーク電流が流れる電流経路に接続したリーク電流遮断素子(T16,T26)を備えている。
【0007】
また、下記特許文献5(特開平6−76582号公報)には、フリップフロップ型のメモリセルを構成する対をなす電界効果トランジスタ(RMmn(o+)、RMmn(o−))のしきい電圧を変化させることで情報の記憶を行う不揮発性メモリが開示されている。
【0008】
また、下記特許文献6(特開平7−183401号公報)には、4個のN型MOSトランジスタと2個のP型TFTの負荷素子とを有する不揮発性メモリセルが開示されている。このTFTは、下層の第1のTFTゲート電極9と、TFTゲート絶縁膜10と、TFTのチャネルを形成するボディ層(半導体層)13と、強誘電性を有する第2のゲート絶縁膜22と、第2のTFTゲート電極23を積層した構造を有する。
【0009】
また、下記特許文献7(特開2004−207282号公報)には、交差接続される2つのCMOSインバータc1,c2と、強誘電体キャパシタfc1,fc2の対とを有する不揮発性SRAMセルが開示されている。この強誘電体キャパシタfc1,fc2は、2つのCMOSインバータのうちの対応する1つに含まれるドレイン拡散領域にそれぞれ接続される下部電極BEL1,BEL2、強誘電体膜FER1,FER2及び上部電極TEL1,TEL2から構成される。
【0010】
また、下記非特許文献1には、SRAMの2つの蓄積ノードとコントロールライン(ctrl)との間に接続されたNVMデバイス(XR1、XR2)を有する不揮発性SRAMセルが開示されている。
【0011】
また、下記非特許文献2には、記憶素子として2つのSONOSトランジスタを有する不揮発性SRAMが開示されている。各SONOSトランジスタは、それぞれSRAMの2つの蓄積ノードとVCCTラインとの間に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2006−527897号公報
【特許文献2】特開平7−226088号公報
【特許文献3】特表2003−511809号公報
【特許文献4】特開2007−157183号公報
【特許文献5】特開平6−76582号公報
【特許文献6】特開平7−183401号公報
【特許文献7】特開2004−207282号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Wei Wang et al, “Nonvolatile SRAM Cell”1-4244-0439-8/06/$20.00(c)2006 IEEE
【非特許文献2】Michael Fliesler et al, “A 15ns 4Mb NVSRAM in 0.13u SONOS Technology” 987-1-4244-1547-2/08/$25.00(c)2008 IEEE P.83-86
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記SRAMは、揮発性のRAMであるため、供給電源が遮断されるとSRAMに記憶されていた内容は失われてしまう。また、SRAMの通常動作状態において、SRAMを構成するCMOSインバータには、常時電源電位が印加されているため、その消費電流が大きくなる。
【0015】
そこで、SRAMメモリセルの供給電源が遮断された場合においても、記憶していたデータを保持し得る記憶装置の実現が望まれる。
【0016】
上記課題およびその他の課題と新規な特徴は、本願明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体記憶装置は、(a1)電源ノードと第1ノードとの間に接続された第1トランジスタと、(a2)上記第1ノードと低電位ノードとの間に接続された第2トランジスタと、を有する。さらに、(a3)上記電源ノードと第2ノードとの間に接続された第3トランジスタと、(a4)上記第2ノードと上記低電位ノードとの間に接続された第4トランジスタと、を有する。さらに、(a5)上記第1ノードに一端が接続された第5トランジスタと、(a6)上記第2ノードに一端が接続された第6トランジスタと、を有する。さらに、(b1)上記第5トランジスタの他端と第1ビット線との間に接続された第1抵抗変化層と、(b2)上記第6トランジスタの他端と第2ビット線との間に接続された第2抵抗変化層と、を有する。
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体記憶装置は、(a1)電源ノードと第1ノードとの間に接続された第1トランジスタと、(a2)上記第1ノードと低電位ノードとの間に接続された第2トランジスタと、を有する。さらに、(a3)上記電源ノードと第2ノードとの間に接続された第3トランジスタと、(a4)上記第2ノードと上記低電位ノードとの間に接続された第4トランジスタと、を有する。さらに、(a5)上記第1ノードに一端が接続された第5トランジスタと、(a6)上記第2ノードに一端が接続された第6トランジスタと、を有する。さらに、(b1)上記第5トランジスタの他端と第1ビット線との間に接続された第1抵抗変化層と、(b2)上記第6トランジスタの他端と第2ビット線との間に接続された第2抵抗変化層を有する。上記第1抵抗変化層は、上記第5トランジスタのソース・ドレイン領域上の第1接続部の上方に配置され、上記第1ビット線は、上記第1抵抗変化層の上方に配置される。
【発明の効果】
【0019】
以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体記憶装置によれば、半導体記憶装置の特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセル構成を示す等価回路図である。
【図2】(A)および(B)は、ReRAM部の動作を示す回路図である。
【図3】SRAM動作を示す回路図である。
【図4】本実施の形態の半導体記憶装置の動作を示すフロー図である。
【図5】SRAMの保持データのReRAM部への書き込み動作の一例を示す回路図である。
【図6】(A)および(B)は、ReRAM部への書き込み時の印加電圧を示す断面模式図である。
【図7】電源オフ状態における各部位の電位の状態を示す回路図である。
【図8】電源オフ状態から電源オン状態への電位の変化を示す回路図である。
【図9】ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第1状態を示す回路図である。
【図10】ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第2状態を示す回路図である。
【図11】ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第3状態を示す回路図である。
【図12】ReRAM部の保持データのSRAMへの書き込み動作の一例を示す回路図である。
【図13】(A)および(B)は、ReRAM部のリセット時の印加電圧を示す断面模式図である。
【図14】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す平面図である。
【図15】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す平面図である。
【図16】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す平面図である。
【図17】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す平面図である。
【図18】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す断面図である。
【図19】本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す断面図である。
【図20】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図20に続く断面図である。
【図23】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図21に続く断面図である。
【図24】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図22に続く断面図である。
【図25】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図23に続く断面図である。
【図26】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図24に続く断面図である。
【図27】本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図であって、図25に続く断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、複数の類似の部材(部位)が存在する場合には、総称の符号に記号を追加し個別または特定の部位を示す場合がある。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0024】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0025】
また、断面図および平面図において、各部位の大きさは実デバイスと対応するものではなく、図面を分かりやすくするため、特定の部位を相対的に大きく表示する場合がある。また、平面図と断面図が対応する場合においても、各部位の大きさを変えて表示する場合がある。
【0026】
(実施の形態)
[回路構成]
図1は、本実施の形態の半導体記憶装置(半導体装置、半導体集積回路装置)のメモリセル構成を示す等価回路図である。
【0027】
図示するように、本実施の形態の半導体記憶装置は、フリップフロップ部(FF部、ラッチ回路)において、データを記憶するSRAMである。フリップフロップ部は、4つのトランジスタで構成される2つの交差接続されたCMOSインバータで構成される。このCMOSインバータの入出力部にデータ(“1”または“0”)が格納される。なお、CMOSとは、相補型(Complementary)MOS(Metal Oxide Semiconductor)の略である。
【0028】
ここで、本実施の形態においては、このCMOSインバータの入出力部に、アクセストランジスタを介してReRAM部(不揮発性メモリ部)RM1、RM2が設けられている。ReRAMとは、Resistance Random Access Memoryの略であり、電圧の印加による電気抵抗の変化を利用したメモリを意味し、“抵抗変化型メモリ”などとも呼ばれる。このように、本実施の形態の半導体記憶装置は、SRAMの構成と、ReRAM部(不揮発性メモリ部)とを有するため、“不揮発性SRAM”または“不揮発性メモリ部内蔵のSRAM”と言うこともできる。
【0029】
以下に、図1を参照しながら、上記メモリセル構成について詳細に説明する。
【0030】
図示するように、メモリセルは、一対のビット線(ビット線BL、ビット線/(バー)BL)とワード線WLとの交差部に配置される。このメモリセルは、一対のロードトランジスタ(ロードMOS、負荷用トランジスタ、負荷用MISFET)Lo1、Lo2、一対のアクセストランジスタ(アクセスMOS、アクセス用トランジスタ、アクセスMISFET、転送用トランジスタ)Acc1、Acc2および一対のドライバトランジスタ(ドライバMOS、駆動用トランジスタ、駆動用MISFET)Dr1、Dr2を有している。
【0031】
上記メモリセルを構成する上記6つのトランジスタのうち、ロードトランジスタ(Lo1、Lo2)は、p型(pチャネル型)のトランジスタであり、アクセストランジスタ(Acc1、Acc2)およびドライバトランジスタ(Dr1、Dr2)は、n型(nチャネル型)のトランジスタである。
【0032】
なお、MISFETは、Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の略であり、MOSと呼ばれることもある。また、以下において、上記ロードトランジスタ、アクセストランジスタおよびドライバトランジスタを、単に“トランジスタ”と呼ぶことがある。また、各トランジスタの符号(Lo1、Lo2、Acc1、Acc2、Dr1、Dr2)のみで各トランジスタを示す場合がある。
【0033】
上記メモリセルを構成する上記6つのトランジスタのうち、Lo1とAcc1とはCMOSインバータを構成し、Lo2とAcc2とは、他のCMOSインバータを構成している。これら一対のCMOSインバータの相互の入出力部(蓄積ノードA、B)は、交差結合され、1ビットの情報を記憶する情報蓄積部としてのフリップフロップ部(FF部)を構成している。
【0034】
以上のSRAMメモリセルを構成する6つのトランジスタの接続関係を詳述すれば以下のようになる。
【0035】
電源電位ノード(電源ノード)NVccと蓄積ノード(第1ノード)Aとの間にLo1が接続され、蓄積ノードAと基準電位ノード(低電位ノード)NVssとの間にDr1が接続され、Lo1およびDr1のゲート電極は、蓄積ノード(第2ノード)Bに接続される。電源電位ノードNVccには、後述するSRAMの通常動作期間において、第1電源電位Vccが印加され、また、後述するスタンバイ期間の前後に、第2電源電位Vcc2や第3電源電位Vcc3が印加される。また、基準電位ノードNVssには、第1〜第3電源電位(Vcc、Vcc2、Vcc3)より低い電位、こでは、基準電位(0V、接地電位、グランド)が印加される。第1電源電位Vccは、例えば、1.5Vである。また、第2電源電位Vcc2は、第1電源電位Vccより高い電位であり、例えば、2.0Vである。また、第3電源電位Vcc3は、第2電源電位Vcc2より高い電位であり、例えば、3.5Vである。
【0036】
電源電位ノードNVccと蓄積ノードBとの間にLo2が接続され、蓄積ノードBと基準電位ノードNVssとの間にDr2が接続され、Lo2およびDr2のゲート電極は、蓄積ノードAに接続される。
【0037】
蓄積ノードAにAcc1が接続され、蓄積ノードBにAcc2が接続され、Acc1およびAcc2のゲート電極は、ワード線WLに接続される(ワード線となる)。このワード線WLの駆動電位は、例えば、上記第1電源電位Vcc(例えば、1.5V)である。
【0038】
ここで、本実施の形態のSRAMメモリセルには、ReRAM部RM1、RM2が設けられている。このReRAM部(RM1、RM2)は、抵抗変化層(記憶層、記憶部、状態変化層、抵抗変化層、可変抵抗層、相変化層、磁性変化層)Rを有する。抵抗変化層Rは第1端と第2端を有し、ここでは、その第1端に電極部Eが設けられている。ReRAM部RM1の第1端(電極部E側)は、Acc1(蓄積ノードAと逆側の端部)と接続され、第2端は、ビット線BLと接続される。ReRAM部RM2の第1端(電極部E側)は、Acc2(蓄積ノードBと逆側の端部)と接続され、第2端は、ビット線/BLと接続される。
【0039】
[回路動作]
次いで、上記ReRAM部とSRAMの動作について説明する。
【0040】
<ReRAM部動作>
図2は、RePRAM部の動作を示す回路図である。抵抗変化層Rは、第1端および第2端に所定の電位(特定の電位、第1電位)以上の電位差が生じた場合にその抵抗が変化する。
【0041】
具体的に、図2(A)に示すように、抵抗変化層Rの第2端に第2電源電位Vcc2(2.0V)が印加され、抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に第2電源電位Vcc2より所定の電位だけ低い電位(ここでは、基準電位0V)が印加された場合、抵抗変化層Rが低抵抗化する。上記所定の電位は、例えば、2.0Vであり、図2(A)に示すように、第1端および第2端に所定の電位以上の電位差が生じ、第2端に印加される電位が高い場合を“正バイアス”と言う。このように、抵抗変化層Rに正バイアスが印加された場合に、抵抗変化層Rは低抵抗化し、オン状態(ON)となる。即ち、抵抗変化層Rを介して電流が流れる。
【0042】
一方、図2(B)に示すように、抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に第2電源電位Vcc2(2.0V)が印加され、抵抗変化層Rの第2端に第2電源電位Vcc2より所定の電位だけ低い電位(ここでは、基準電位0V)が印加された場合、抵抗変化層Rが高抵抗化する。上記所定の電位は、例えば、2.0Vであり、図2(B)に示すように、第1端および第2端に所定の電位以上の電位差が生じ、第1端に印加される電位が高い場合を“逆バイアス”と言う。このように、抵抗変化層Rに逆バイアスが印加された場合に、抵抗変化層Rは高抵抗化し、オフ状態(OFF)となる。即ち、抵抗変化層Rを介して電流がほとんど流れない。
【0043】
また、抵抗変化層Rの第1端および第2端の電位差が所定の電位未満である場合には、抵抗の変化は生じず、それまでの状態(オン状態またはオフ状態)を維持する。
【0044】
<SRAM動作>
(SRAMの通常動作)
次いで、SRAMの通常動作について説明する。図3は、SRAM動作を示す回路図である。
【0045】
SRAMの通常動作期間(第1期間)においては、上記ReRAM部RM1、RM2の双方をオン状態(ON)とし、ReRAM部RM1、RM2がSRAM動作を阻害しないようにする。
【0046】
即ち、CMOSインバータの蓄積ノードBが高電位(Hレベル、第2レベル、H=1.5V)であるときには、Dr1がオン状態となるので、他のCMOSインバータの蓄積ノードAが低電位(Lレベル、第1レベル、L=0V)になる。したがって、Lo2がオン状態となり、蓄積ノードBの高電位(H=1.5V)が保持される。すなわち、一対のCMOSインバータを交差結合させたフリップフロップ部によって相互の蓄積ノードA、Bの状態が保持され、データ(情報)が記憶(保存)される。
【0047】
一方、Acc1、Acc2のそれぞれのゲート電極にはワード線WLが接続されている。すなわち、ワード線WLが高電位(H=1.5V)であるときには、Acc1、Acc2がオン状態となり、フリップフロップ回路とビット線(BL、/BL)とが電気的に接続されるので、蓄積ノードA、Bの電位状態(HとLの組み合わせ、または、LとHの組み合わせ)がビット線BL、/BLに現れ、メモリセルのデータとして読み出される。
【0048】
また、メモリセルに情報を書き込むには、ワード線WLを高電位(H=1.5V)とし、Acc1およびAcc2をオン状態とすることにより、フリップフロップ回路とビット線(BL、/BL)とを電気的に接続させ、ビット線BL、/BLの情報(HとLの組み合わせ、または、LとHの組み合わせ)を蓄積ノードA、Bに伝達(書き込み)し、前述のようにデータを保存する。
【0049】
(スタンバイ動作)
次いで、上記SRAM通常動作期間後のスタンバイ期間(第2期間)から再びSRAM通常動作期間(第3期間)に到るまでのフローについて説明する。
【0050】
図4は、本実施の形態の半導体記憶装置の動作を示すフロー図である。前述したSRAM通常動作期間ST1においては、SRAMの通常動作、データ保存、読み出し、書き込みなどが行われる。この際、前述したように、上記ReRAM部RM1、RM2の双方はオン状態であり、ReRAM部RM1、RM2がSRAM動作を阻害しない。
【0051】
その後、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)からの指示、例えば、スタンバイ信号の立ち上がりに対応してスタンバイ状態となる(ST2)。このスタンバイ信号の立ち上がりに対応して、ReRAM部RM1、RM2をセットする(ST3)。具体的には、SRAM通常動作期間ST1の終了時、例えば、スタンバイ信号の立ち上がり時における、SRAMの保持データ(蓄積ノードA、Bの電位状態、蓄積ノードA、BのHおよびLの組み合わせ)を、ReRAM部RM1、RM2に書き込む。言い換えれば、蓄積ノードA、Bの電位状態を、2つのReRAM部RM1、RM2の状態(オン状態とオフ状態の組み合わせ)と対応させて記憶する。
【0052】
図5は、SRAMの保持データのReRAM部への書き込み動作の一例を示す回路図である。SRAM通常動作期間ST1の終了時において、例えば、図3を参照しながら説明したように、蓄積ノードAに低電位(L=0V)、蓄積ノードBに高電位(H=1.5V)が保持されている場合、ReRAM部RM1をオン状態(ON)とし、ReRAM部RM2をオフ状態(OFF)とする。
【0053】
前述したように、上記ReRAM部RM1、RM2の双方はオン状態(ON)であるため、ReRAM部RM1においては、そのままオン状態(ON)を維持し、ReRAM部RM2においては、オン状態(ON)からオフ状態(OFF)へと変化させる。
【0054】
具体的には、図5に示すように、ReRAM部RM2においては、オン状態からオフ状態へと変化させるため、<1>電源電位ノードNVccに印加される電位を第1電源電位Vcc(1.5V)から第2電源電位Vcc2(2.0V)へ切り換える。これにより、<2>蓄積ノードBの電位が1.5Vから2.0Vに上昇する。この際、ワード線WLは第1電源電位Vcc(1.5V)であるため、Acc2を介して、抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に第2電源電位Vcc2(2.0V)が印加される。一方、ビット線/BLは、低電位(0V)のままであるため、抵抗変化層Rの第2端は、0Vが印加される。これにより、<3>抵抗変化層Rの第1端および第2端に所定の電位(2.0V)以上の電位差が生じ、第1端に印加される電位が高い、いわゆる“逆バイアス”の状態となるため、抵抗変化層Rが高抵抗化し、ReRAM部RM2が、オン状態(ON)からオフ状態(OFF)へと変化する(書き換えられる)。
【0055】
このように、第1電源電位Vcc(1.5V)より高い電位である所定の電位(2.0V)で書き換えを行う。言い換えれば、第1電源電位Vcc(1.5V)より高い電位である所定の電位(2.0V)で抵抗変化するReRAM部(抵抗変化層R)を用いることで、SRAMの通常動作時には書き換えは起こらず、必要に際して、SRAMの保持データのReRAM部への書き込みを行うことができる。
【0056】
なお、ReRAM部RM1においては、ワード線WLには、第1電源電位Vcc(1.5V)が印加されてAcc1がオン状態であっても、ビット線BLは、低電位(0V)で、蓄積ノードAは、低電位(L=0V)に維持されているため、抵抗変化層Rの第1端および第2端には電位差が生じない。よって、ReRAM部RM1においては、書き換えは生じず、オン状態(ON)を維持する。
【0057】
図6は、ReRAM部への書き込み時の印加電圧を示す断面模式図である。図6(A)は、図5に示すReRAM部RM1に対応し、図6(B)は、図5に示すReRAM部RM2に対応する。
【0058】
図6(A)に示すように、ワード線WL(ゲート電極)が1.5Vであるためオン状態であるAcc1を介して、蓄積ノードAの電位(0V)が、ReRAM部RM1の抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に印加される。ビット線BLの電位は、0Vであるため、抵抗変化層Rの第2端には、0Vが印加される。このように、第1端および第2端には電位差が生じないため、書き換えは生じず、ReRAM部RM1においては、オン状態(ON)を維持する。
【0059】
図6(B)に示すように、ワード線WL(ゲート電極)が1.5Vであるためオン状態であるAcc2を介して、蓄積ノードBの電位(2.0V)が、ReRAM部RM2の抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に印加される。ビット線/BLの電位は、0Vであるため、抵抗変化層Rの第2端には、0Vが印加される。このように、第2端には、0Vが、第1端には、2.0Vが印加され、第1端に印加される電位が高い状態で、抵抗変化に必要な電位差が生じるため、抵抗変化層Rが高抵抗化する。よって、ReRAM部RM2においては書き換えが生じ、オン状態(ON)からオフ状態(OFF)となる。
【0060】
ReRAM部RM1、RM2への書き込み(セット)が終了した後は、電源電位ノードNVccに印加される電位を低電位(0V)とし、電源オフ状態(スタンバイ期間)とする(ST4、図4)。図7は、電源オフ状態における各部位の電位の状態を示す回路図である。図7に示すように、電源電位ノードNVccに印加される電位が2.0Vから0Vとなる。この際、ワード線WLの電位も立ち下げられる。即ち、ワード線WLの電位は、1.5Vから0Vとなり、Acc1、Acc2はオフ状態となる。この電源電位ノードNVccの立ち下げにより、蓄積ノードA、Bの保持電位(データ)は消失し、例えば、蓄積ノードA、Bの電位は、0Vとなる。しかしながら、対応するデータが、2つのReRAM部RM1、RM2の状態(オン状態とオフ状態の組み合わせ)として記憶(保存)されている。ここでは、ReRAM部RM1をオン状態(ON)とし、ReRAM部RM2をオフ状態(OFF)として、蓄積ノードA、Bの電源オフ直前の電位(A=L、B=H)が記憶(保存)されている。
【0061】
次いで、スタンバイ期間から、再び、SRAM通常動作となる場合について説明する。例えば、CPUからの指示により、スタンバイ信号の立ち下がりに対応して、スタンバイ状態が解除される(ST5、図4)。この際、スタンバイ信号の立ち下がりに対応して、電源電位ノードNVccに印加される電位が0Vから1.5Vとなる。即ち、電源オン状態となる(ST6、図4)。図8は、電源オフ状態から電源オン状態への電位の変化を示す回路図である。図8に示すように、電源電位ノードNVccに印加される電位が0Vから1.5Vへと立ち上がる。この際、電源電位ノードNVcc以外の各部位の電位の状態は、図7の場合と同じで、蓄積ノードA、Bの電位は、0Vのままである。
【0062】
次いで、スタンバイ信号の立ち下がりに対応して、ReRAM部RM1、RM2のデータを読み出し(ST7、図4)、蓄積ノードAおよびBに対応するデータ書き戻すとともに、ReRAM部RM1、RM2の双方をオン状態に(リセット)する(ST8、図4)。
【0063】
図9は、ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第1状態を示す回路図である。図9に示すように、ワード線WLを0Vから駆動電位(1.5V)とし、双方のビット線BL、/BLを0Vから高電位(1.5V=H)とする。この際、ReRAM部RM1はオン状態(ON)であるため、蓄積ノードAがH(1.5V)となり、Dr2がオン状態となるので、蓄積ノードBがL(0V)となる。このように、双方のビット線BL、/BLを高電位(1.5V=H)とすることで、オン状態(ON)のReRAM部(ここでは、RM1)側の蓄積ノード(ここでは、A)にHが書き込まれ(記憶され)、オフ状態(OFF)のReRAM部(ここでは、RM2)側の蓄積ノード(ここでは、B)はLとなる。このように、双方のビット線BL、/BLを0Vから高電位(1.5V=H)に立ち上げるだけで、自己整合的に(自動的に)、ReRAM部のデータの転送を行うことができる。即ち、ReRAM部RM1、RM1に書き込まれたデータ(ここでは、ON、OFFの組み合わせ)に対応して、蓄積ノードA、Bの電位が変化する(ここでは、A=H、B=Lとなる)。なお、この電位の状態(A=H、B=L)は、蓄積ノードA、Bの電源オフ直前の電位(A=L、B=H)と逆の関係になっている。
【0064】
次いで、ワード線WLおよびビット線BL、/BLを立ち下げる。図10は、ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第2状態を示す回路図である。図10に示すように、ワード線WLおよびビット線BL、/BLを立ち下げ、1.5Vから0Vとする。このように、ワード線WLおよびビット線BL、/BLを立ち下げても、ReRAM部RM1、RM1に書き込まれたデータと対応する電位が蓄積ノードA、Bに維持される。
【0065】
次いで、ワード線WLを0Vから1.5Vに立ち上げ、蓄積ノードAおよびBの電位をAcc1、Acc2を介してビット線BL、/BLに転送する。即ち、ReRAM部のデータを読み出す。図11は、ReRAM部のデータの読み出し動作(データ判定動作)の第3状態を示す回路図である。図11に示すように、ワード線WLの立ち上げに対応して、ビット線BL、/BLの電位が変化する。ここでは、ビット線BLが、0Vから1.5V(H)に変化し、/BLが0Vを維持する。このビット線の電位の変化で、蓄積ノードAがHであり、蓄積ノードA側のReRAM部RM1がオン状態であったことが解かる。このようにビット線BL、/BLに現れた電位から、どちらのReRAM部RM1、RM2がオン状態であったかを判定する(読み出す)ことができる。言い換えれば、ビット線BLおよび/BLの電位が、それぞれHおよびLの組み合わせであれば、ビット線BL側のReRAM部RM1がオン状態、即ち、電源オフ直前に蓄積ノードAがL状態であったことが解かる。逆に、ビット線BLおよび/BLの電位が、それぞれLおよびHの組み合わせであれば、ビット線BL側のReRAM部RM2がオン状態、即ち、電源オフ直前に蓄積ノードBがL状態であったことが解かる。このようにして、ReRAM部RM1、RM2のデータを読み出し、電源オフ直前の蓄積ノードA、Bの電位の状態を判定すことができる(ST7)。
【0066】
次いで、読み出したReRAM部RM1、RM2のデータを蓄積ノードAおよびBに書き戻す(ST8)。言い換えれば、電源オフ直前の蓄積ノードA、Bの電位の判定(ここでは、A=L、B=H)に基づいたデータを、蓄積ノードAおよびBに書き戻す。図12は、ReRAM部の保持データのSRAMへの書き込み動作(データ戻し動作)の一例を示す回路図である。
【0067】
図12に示すように、電源オフ直前の蓄積ノードA、Bの電位の判定(ここでは、A=L、B=H)に基づき、ビット線BLを0Vに、ビット線/BLに、第3電源電位(3.5V)を印加する。具体的には、電源電位ノードNVccに印加される電位が1.5Vである電源オン状態において、[1]オフ状態(OFF)であったReRAM部(ここでは、RM2)側、言い換えれば、電源オフ直前に“H”が保持されていた蓄積ノードB側のビット線/BLを第3電源電位(3.5V)まで昇圧する。この第3電源電位Vcc3は、第1電源電位Vcc(ここでは、1.5V)から所定の電位(ここでは、2.0V)だけ高い電位であり、第2電源電位Vcc2より高い電位である。一方、オン状態(ON)であったReRAM部(ここでは、RM1)側、言い換えれば、電源オフ直前に“L”が保持されていた蓄積ノードA側のビット線BLを低電位(0V)とする。この際、ワード線WLは、立ち上がっており、1.5Vである。[2]ReRAM部(ここでは、RM1)は、オン状態(ON)であるため、ビット線BLの電位(0V)が蓄積ノードAに転送され、蓄積ノードAの電位が1.5Vから0V(L)となる。これにより、[3]Lo2がオン状態となるので、[4]蓄積ノードBが0Vから1.5V(H)となる。このように、蓄積ノードAがL、蓄積ノードBがHとなり、保持データ(即ち、電源オフ直前の蓄積ノードA、Bの電位)が蓄積ノードAおよびBに書き戻される。
【0068】
さらに、蓄積ノードBの電位(1.5V)は、抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に印加される。一方、ビット線BLの電位(3.5V)は、抵抗変化層Rの第2端に印加されているため、抵抗変化層Rには、第1端に印加される電位が低い状態で、抵抗変化に必要な電位差が生じているため、抵抗変化層Rが低抵抗化する。よって、[5]ReRAM部RM2においては書き換えが生じ、オフ状態(OFF)からオン状態(ON)となる。これにより、SRAMにデータが書き戻されるとともに、ReRAM部RM1、RM2の双方がオン状態(ON)となる、即ち、リセットされる。この後はSRAMの通常動作が可能となる。即ち、SRAMの通常動作、データ保持、読み出し、書き込みなどが可能となり、前述したSRAM通常動作期間ST1に戻ることとなる。
【0069】
図13は、ReRAM部のリセット時の印加電圧を示す断面模式図である。図13(A)は、図12に示すReRAM部RM1に対応し、図13(B)は、図12に示すReRAM部RM2に対応する。
【0070】
図13(A)に示すように、ワード線WL(ゲート電極)が1.5Vであるためオン状態であるAcc1を介して、蓄積ノードAの電位(0V)が、ReRAM部RM1の抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に印加される。ビット線BLの電位は、0Vであるため、抵抗変化層Rの第2端には、0Vが印加される。このように、第1端および第2端には電位差が生じないため、書き換えは生じず、ReRAM部RM1においては、オン状態(ON)を維持する。
【0071】
図13(B)に示すように、ワード線WL(ゲート電極)が1.5Vであるためオン状態であるAcc2を介して、蓄積ノードBの電位(1.5V)が、ReRAM部RM2の抵抗変化層Rの第1端(電極部E側)に印加される。ビット線BLの電位は、3.5Vであるため、抵抗変化層Rの第2端には、3.5Vが印加される。このように、第2端には、3.5Vが、第1端には、1.5Vが印加され、第1端に印加される電位が低い状態で、抵抗変化に必要な電位差が生じるため、抵抗変化層Rが低抵抗化する。よって、ReRAM部RM2においては書き換えが生じ、オフ状態(OFF)からオン状態(ON)となる。
【0072】
このように、本実施の形態によれば、SRAMにReRAM部を設けることで、電源オフ状態(スタンバイ状態)においてSRAMのフリップフロップ部に保持したデータを記憶し続けることができる。逆に、SRAMのフリップフロップ部に保持したデータをReRAM部に記憶させることによって、SRAMの電源をオフすることが容易となり、消費電流を低下させることができる。即ち、SRAMは、揮発性メモリであるため、データを保持し続ける場合には、電源を供給し続ける必要があるが、SRAM機能を用いない場合、例えば、他のメモリを主として機能させる場合には、当該SRAM自身を容易にスタンバイ状態とすることができ、装置の低消費電力化を図ることができる。
【0073】
[装置構造]
次いで、本実施の形態の半導体記憶装置の構造を断面図および平面図を参照しながら説明する。
【0074】
図14〜図17は、本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す平面図である。図18および図19は、本実施の形態の半導体記憶装置のメモリセルの構成を示す断面図である。図18は、図14のA−A断面部に、図19は、図14のB−B断面部に対応する。平面図においては、メモリセル領域MCAを基準として重ねあわすことにより、各図に表示のパターンの位置関係が明確となる。なお、本明細書においては、図面の簡略化のために、後述する活性領域AcP1およびAcN1の断面図しか示していないが、活性領域AcP2およびAcN2の対応する断面部も同様の構造となる。
【0075】
図18および図19に示すように、本実施の形態の半導体記憶装置(ReRAM部内蔵のSRAM)のメモリセルは、半導体基板1上に形成される。この半導体基板1には、素子分離領域STIが配置され、この素子分離領域STIで区画された領域が活性領域(素子形成領域、半導体領域)Acとなる。
【0076】
図14に示す破線で囲んだ略矩形の領域は、1(1ビット)のメモリセル領域MCAである。図示するように、4つの活性領域(AcP1、AcN1、AcN2、AcP2)がX方向に順に並んで配置されている。ここでは、活性領域を示す符号“Ac”に記号を加え、個別の領域を示してある。これらの活性領域(Ac)の間は、素子分離領域(STI)となる。言い換えれば、前述したように、素子分離領域(STI)で活性領域(Ac)が区画される。
【0077】
また、活性領域(Ac)の半導体基板1中には、ウエル(半導体領域、nW、pW)が配置されている(図18、図19参照)。言い換えれば、活性領域(Ac)は、ウエルの露出領域と対応する。このウエル(nW、pW)のうち、p型のウエルpWは、2つの活性領域(AcP1、AcP2)の下部にそれぞれ配置され、n型のウエルnWは、活性領域(AcN1、AcN2)の下部に配置される。
【0078】
図14に示すように、活性領域AcP1は、Y方向に延在するライン状である。具体的には、後述するドライバトランジスタDr1の配置部のX方向の幅が、アクセストランジスタAcc1の配置部のX方向の幅より広くなったライン状である。図14では、上部に幅広部を有する。また、この活性領域AcP1の下部には、p型のウエルpWが配置される(図18参照)。
【0079】
活性領域AcN1は、Y方向に長辺を有する四角形状である(図14)。この活性領域AcN1の下部には、n型のウエルnWが配置される(図19参照)。
【0080】
活性領域AcN2は、Y方向に長辺を有する四角形状である(図14)。この活性領域AcN2の下部には、n型のウエルnWが配置される(図19参照)。
【0081】
活性領域AcP2は、Y方向に延在するライン状である。より具体的には、後述するドライバトランジスタDr2の配置部のX方向の幅が、アクセストランジスタAcc2の配置部のX方向の幅より広くなったライン状である。図14では、下部に幅広部を有する。また、この活性領域AcP2の下部には、p型のウエルpWが配置される(図18参照)。
【0082】
図14に示すように、上記4つの活性領域(AcP1、AcN1、AcN2、AcP2)上には、ゲート絶縁膜(GO、図18、図19等参照)を介して、ゲート電極(ゲート配線)G(G1〜G4)が、各活性領域をX方向に横切るように延在し、上記「回路構成」の欄で説明した6つのトランジスタを構成している。なお、ゲート電極Gの両側の活性領域(Ac)が、トランジスタのソース・ドレイン領域となる(図18、図19等参照)。
【0083】
具体的に、活性領域AcP1およびAcN1上を横切るように共通のゲート電極G1が配置されている。これにより、活性領域AcP1上にDr1および活性領域AcN1上にLo1が配置され、これらのゲート電極(G)が接続されることとなる。この共通のゲート電極G1は、活性領域AcN2の近傍まで延在し、後述するシェアードプラグSP1によりLo2のソース・ドレイン領域と接続される(図19参照)。
【0084】
活性領域AcP1上には、上記共通のゲート電極G1と並行に、ゲート電極G2が配置されている。これにより、活性領域AcP1上にAcc1が配置され、Dr1のソース・ドレイン領域とAcc1のソース・ドレイン領域とが接続される(共通化される)。
【0085】
また、活性領域AcP2およびAcN2上を横切るように共通のゲート電極G3が配置されている。これにより、活性領域AcP2上にDr2および活性領域AcN2上にLo2が配置され、これらのゲート電極(G)が接続されることとなる。この共通のゲート電極G3は、活性領域AcN1の近傍まで延在し、後述するシェアードプラグSP1によりLo1のソース・ドレイン領域と接続される。
【0086】
活性領域AcP2上には、上記共通のゲート電極G3と並行に、ゲート電極G4が配置されている。これにより、活性領域AcP2上にAcc2が配置され、Dr2のソース・ドレイン領域とAcc2のソース・ドレイン領域とが接続される(共通化される)。
【0087】
また、上記4つのゲート電極G1〜G4は、2つずつ同一ライン上(一直線状)に配置されている。具体的には、活性領域AcP1およびAcN1上を横切る共通のゲート電極G1と活性領域AcP2上のゲート電極G4とは、X方向に延在する同一ライン上に配置されている。活性領域AcP2およびAcN2上を横切る共通のゲート電極G3と活性領域AcP1上のゲート電極G2とは、X方向に延在する同一ライン上に配置されている。
【0088】
上記6つのトランジスタ(Dr1、Acc1、Lo1、Lo2、Acc2、Dr2)のソース・ドレイン領域上には、第1プラグP1(P1a〜P1h)が配置される(図14)。第1プラグ(接続部)P1は、後述の第1層配線M1に接続するプラグである。また、4つのゲート電極(G1〜G4)上にも第1プラグP1が配置される。ゲート電極G1およびG3上の第1プラグP1は、“シェアードプラグ”を構成する第1プラグであるため、前述のとおり“SP1”と示す。また、ゲート電極G2およびG4上の第1プラグP1を、それぞれ、P1i、P1jと示す。
【0089】
上記第1プラグP1(P1a〜P1j、SP1)上に第1層配線M1が配置される(図15参照)。この第1層配線M1上には、さらに、多層配線層が配置される。例えば、第1層配線M1上には、第2プラグP2および第2層配線M2が配置され(図16参照)、第2層配線M2上には、第3プラグP3および第3層配線M3等が配置される(図17参照)。これらの配線等を介して第1プラグP1間の電気的接続が図られ、図1に示すトランジスタ間の電気的接続が図られる。
【0090】
さらに、本実施の形態においては、図15に示すように、第1プラグP1cとP1fの上方にそれぞれReRAM部RM1、RM2が配置される。第1プラグP1cは、Acc1の一端(ソース、ドレイン領域)と対応する。このAcc1の他端は、後述するように、蓄積ノードAと対応付けられる第1層配線M1Aと接続される。即ち、蓄積ノードAと接続される一端(ソース、ドレイン領域)を有するAcc1の他端(ソース、ドレイン領域、具体的には、後述の第2プラグP2ca)とビット線BLとの間に、ReRAM部RM1が配置される。
【0091】
第1プラグP1fは、Acc2の一端(ソース、ドレイン領域)と対応する。このAcc2の他端は、後述するように、蓄積ノードBと対応付けられる第1層配線M1Bと接続される。即ち、蓄積ノードBと接続される一端(ソース、ドレイン領域)を有するAcc2の他端(ソース、ドレイン領域、具体的には、後述の第2プラグP2fa)とビット線/BLとの間に、ReRAM部RM2が配置される。
【0092】
図1に示すトランジスタ間の接続状態を満たす限りにおいて、第1プラグP1間の具体的な接続形態、例えば、第1層配線M1、第2プラグP2、第2層配線M2、第3プラグP3および第3層配線M3等のレイアウトに制限はないが、レイアウトの一例を以下に説明する。
【0093】
図15に示すように、Lo2とDr2の共通のゲート電極G3上のシェアードプラグ(シェアードコンタクト)SP1と、Dr1とAcc1の共通のソース・ドレイン領域上の第1プラグP1bとを接続するように第1層配線M1を配置する。この第1層配線M1は、図1の蓄積ノードAと対応付けることができるのでM1Aと示す。
【0094】
Lo1とDr1の共通のゲート電極G1上のシェアードプラグ(シェアードコンタクト)SP1とDr2とAcc2の共通のソース・ドレイン領域上の第1プラグP1gとを接続するように第1層配線M1を配置する。この第1層配線M1は、図1の蓄積ノードBと対応付けることができるのでM1Bと示す。
【0095】
また、第1プラグP1a、P1c、P1d、P1e、P1f、P1h、P1iおよびP1jの上部にそれぞれ第1層配線(パッド領域)M1を配置する。さらに、各第1層配線M1上に第2プラグP2(P2a、P2c、P2d、P2e、P2f、P2h、および2つのP2w)を配置する(図15、図16)。
【0096】
ここで、第2プラグP2cをP2caとP2cbで構成し、これらの間にReRAM部RM1を配置する。具体的には、第1プラグP1c上の第1層配線M1上に第2プラグP2caを配置し、その上部にReRAM部RM1を構成する電極部Eおよびその上部の抵抗変化層Rを配置し、さらに、抵抗変化層R上に第2プラグP2cbを配置する(図15、図16、図18参照)。また、第2プラグP2fをP2faとP2fbで構成し、これらの間にReRAM部RM2を配置する。具体的には、第1プラグP1f上の第1層配線M1上に第2プラグP2faを配置し、その上部にReRAM部RM2を構成する電極部Eおよびその上部の抵抗変化層Rを配置し、さらに、抵抗変化層R上に第2プラグP2fbを配置する(図15、図16参照)。
【0097】
また、図16に示すように、2つの第2プラグP2iおよびP2j間をX方向に延在するように第2層配線M2を配置する。この第2層配線M2がワード線WLとなる。
【0098】
また、他の第2プラグP2(P2a、P2cb、P2d、P2e、P2fb、P2h)の上部にそれぞれ第2層配線(パッド領域)M2を配置する。
【0099】
図17に示すように、各第2層配線M2上に第3プラグP3(P3a、P3c、P3d、P3e、P3f、P3h)を配置する。
【0100】
第1プラグP1d、P1eと接続される第3プラグP3d、P3e間をY方向に延在するように第3層配線M3を配置する。この第3層配線M3が電源電位線(VccL)となる。この電源電位線(VccL)は、電源電位ノードNVccと接続され、第1〜第3電源電位が印加される。
【0101】
第1プラグP1aと接続される第3プラグP3a上をY方向に延在するように第3層配線M3を配置し、第1プラグP1hと接続される第3プラグP3h上をY方向に延在するように第3層配線M3を配置する。この2つの第3層配線M3がそれぞれ基準電位線(VssL、接地電位線)となる。
【0102】
第1プラグP1cと接続される第3プラグP3c上をY方向に延在するように第3層配線M3を配置し、第1プラグP1fと接続される第3プラグP3f上をY方向に接続するように第3層配線M3を配置する。この2つの第3層配線M3がビット線(BL、/BL)となる。
【0103】
[製造工程]
次いで、図20〜図27の断面図を参照しながら本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を説明するとともに、本実施の形態の半導体記憶装置の構成をより明確にする。図20〜図27は、本実施の形態の半導体記憶装置の製造工程を示す断面図である。
【0104】
図20および図21に示すように、例えば、p型の単結晶シリコン基板である半導体基板1に、素子分離領域STIを形成する。この素子分離領域STIにより、活性領域(Ac)が区画される。
【0105】
この素子分離領域STIは、例えば、STI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。即ち、半導体基板1にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して半導体基板1中に素子分離溝を形成する。次いで、素子分離溝を埋め込むように半導体基板1上に酸化シリコン膜などの絶縁膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて形成する。その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板1上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。
【0106】
次いで、半導体基板1中に、p型のウエルpWおよびn型のウエルnWを形成する。p型のウエルpWは、例えば、イオン注入法を用いて、半導体基板1中にp型不純物を導入することにより形成する。n型のウエルnWは、例えば、イオン注入法を用いて、半導体基板1中にn型不純物を導入することにより形成する。この不純物の形成の際には、適宜、フォトレジスト膜(マスク膜)を形成し、不純物の注入が不要な領域に不純物が導入されるのを阻止することは言うまでもない。
【0107】
次いで、p型のウエルpWおよびn型のウエルnWの露出領域である活性領域(Ac)の主表面に、各トラジスタ(Acc1、Dr1、Lo1、Acc2、Dr2、Lo2)を形成する。
【0108】
まず、活性領域(Ac)の主表面に、ゲート絶縁膜GOを形成する。このゲート絶縁膜GOとしては、例えば、酸化シリコン膜などを用いることができる。例えば、活性領域(Ac)の表面に、熱酸化法を用いて酸化シリコン膜を形成する。なお、CVD法を用いて酸化シリコン膜を形成してもよい。また、上記酸化シリコン膜に代えて酸窒化シリコン膜を用いてもよい。また、ゲート絶縁膜GOを高誘電体膜(high−k膜)で構成してもよい。また、ゲート絶縁膜GOを、酸化シリコン膜とこの上部の高誘電体膜(high−k膜)との積層膜で構成してもよい。
【0109】
次いで、ゲート絶縁膜GO上に、導電性膜よりなるゲート電極Gを形成する。ゲート電極Gとしては、例えば、多結晶シリコン膜を用いることができる。例えば、ゲート絶縁膜GO上に多結晶シリコン膜をCVD法などを用いて堆積する。次いで、多結晶シリコン膜上にフォトレジスト膜を形成し、露光・現像した後、このフォトレジスト膜をマスクに多結晶シリコン膜をエッチングすることによりゲート電極Gを形成する。このフォトレジスト膜の形成工程からエッチング工程までをパターニングということがある。なお、ゲート電極Gとして金属膜を用いてもよい。また、ゲート電極Gを金属膜とその上部の多結晶シリコン膜との積層膜で構成してもよい。このように、金属(金属的な導電性を持つ化合物を含む)をゲート電極として用いた、いわゆるメタルゲート構造を採用してもよい。
【0110】
次いで、ゲート電極Gの両側の、活性領域AcP1、AcP2およびp型ウエルpW中に、n型の低濃度不純物領域EXを形成する。このn型の低濃度不純物領域EXは、ゲート電極Gをマスクとして、イオン注入法により、活性領域(AcP1、AcP2、pW)にn型不純物を導入することにより形成する。また、ゲート電極Gの両側の活性領域AcN1、AcN2およびn型ウエルnW中に、p型の低濃度不純物領域EXを形成する。このp型の低濃度不純物領域EXは、ゲート電極Gをマスクとして、イオン注入法により、活性領域(AcN1、AcN2、nW)にp型不純物を導入することにより形成する。
【0111】
次いで、ゲート電極Gの両側の側壁に、サイドウォール膜SWを形成する。例えば、酸化シリコン膜とその上部の窒化シリコン膜との積層膜よりなる絶縁膜をCVD法でゲート電極G上に堆積した後、異方性エッチングを施すことにより、ゲート電極Gの側壁に上記絶縁膜よりなるサイドウォール膜SWを形成する。
【0112】
次いで、ゲート電極Gおよびサイドウォール膜SWの合成体の両側の活性領域(AcP1、AcP2、pW)中に、n型の高濃度不純物領域SDを形成する。例えば、イオン注入法を用いて、n型不純物を導入することによりn型の高濃度不純物領域SDを形成する。このn型の高濃度不純物領域SDは、n型の低濃度不純物領域EXより不純物濃度が高く、また、より深い位置まで延在するように形成される。
【0113】
次いで、ゲート電極Gおよびサイドウォール膜SWの合成体の両側の活性領域(AcN1、AcN2、nW)中に、p型の高濃度不純物領域SDを形成する。例えば、イオン注入法を用いて、p型不純物を導入することによりp型の高濃度不純物領域SDを形成する。このp型の高濃度不純物領域SDは、p型の低濃度不純物領域EXより不純物濃度が高く、また、より深い位置まで延在するように形成される。上記高濃度不純物領域SDおよび低濃度不純物領域EXにより、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造のソース、ドレイン領域が構成される。
【0114】
以上の工程により、SRAMメモリセルを構成する6つのトランジスタ(Dr1、Acc1、Lo1、Lo2、Acc2、Dr2)が略完成する。
【0115】
次いで、ゲート電極Gおよびソース、ドレイン領域(SD)上に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、金属シリサイド層13を形成する。例えば、トランジスタ上にニッケル(Ni)膜などの金属膜を形成し熱処理を施すことにより、ゲート電極GとNi膜およびソース、ドレイン領域(SD)とNi膜との接触領域において、シリサイド化反応を生じさせる。その後、未反応のNi膜を除去することにより、ニッケルシリサイド膜を形成する。
【0116】
次いで、図22および図23に示すように、各トランジスタ(Dr1、Acc1、Lo1、Lo2、Acc2、Dr2)のソース、ドレイン領域(SD)およびゲート電極(G)上に第1プラグP1(P1a〜P1j、SP1)を形成する(図14等参照)。
【0117】
まず、各トランジスタ(Dr1、Acc1、Lo1等)上に層間絶縁膜IL1として、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜を形成する。この窒化シリコン膜は酸化シリコン膜のエッチングの際のエッチングストッパーの役割を果たすものであり、酸化シリコン膜より薄く形成される。
【0118】
次いで、層間絶縁膜IL1をエッチングすることによりコンタクトホールを形成する。この際、ゲート電極G3部においては、ゲート電極G3上からLo1のソース、ドレイン領域(SD)上まで延在するコンタクトホールが形成される(G1部においても同様)。次いで、コンタクトホールの内部を含む層間絶縁膜IL1上に導電性膜を堆積する。導電性膜としては、バリア膜(図示せず)と金属膜との積層膜を用いることができる。バリア膜としては、例えば、Ti(チタン)膜またはTiN(窒化チタン)膜、もしくはこれらの積層膜を用いることができる。また、金属膜としては、例えば、W(タングステン)膜などを用いることができる。堆積した導電性膜のうち、コンタクトホール以外の導電性膜をCMP法などを用いて除去することにより、コンタクトホール内に導電性膜を埋め込むことにより、第1プラグP1(P1a〜P1j、SP1)を形成する。
【0119】
次いで、プラグP1の上部に、第1層配線M1を形成する。この第1層配線M1は、Al(アルミニウム)などの導電性膜をパターニングすることにより形成することができる(図15等参照)。
【0120】
次いで、第1層配線M1の上方にReRAM部(RM1、RM2)を形成する。具体的には、Acc1のソース、ドレイン領域上に形成された第1プラグP1c上の第1層配線M1上に第2プラグP2caを介してReRAM部RM1を形成する。
【0121】
まず、第1層配線M1上に層間絶縁膜IL2aを形成する。層間絶縁膜IL2aとして、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜を形成する。次いで、層間絶縁膜IL2aをエッチングすることにより、第1プラグP1cと接続される第1層配線M1上にコンタクトホールを形成する。このコンタクトホール内に、第1プラグP1と同様に、導電性膜を埋め込むことにより第2プラグP2caを形成する。
【0122】
次いで、第2プラグP2ca上を含む層間絶縁膜IL2a上に、導電性膜を堆積し、さらに、抵抗変化層Rの材料を堆積した後、これらの積層膜をパターニングすることにより、第2プラグP2ca上に電極部Eおよび抵抗変化層Rを形成する。電極部Eの材料としては、例えば、Pt(白金)やW(タングステン)膜などを用いることができる。また、抵抗変化層Rの材料としては、前述したように所定の電位差により抵抗が変化する材料を用いることができ、その材料に制限はないが、例えば、CuxSiyO、GeO、GeSeなどを用いることができる。特に、上記CuxSiyO(銅と酸化シリコンとを含有する化合物)は、2〜3V程度の電位差で抵抗変化が生じ、CuおよびSiO2を含有する複合ターゲットを用いてスパッタリング法などにより容易に形成することができるため、本実施の形態の抵抗変化層Rと用いて好適である。また、電極部Eの材料として、例えば、Ru(ルテニウム)を用い、抵抗変化層Rの材料として、WO(酸化タングステン)とTiO(酸化チタン)との積層膜を用いてもよい。なお、本実施の形態においては、ReRAMに用いられる抵抗変化層Rを例に説明したが、前述したように所定の電位差により抵抗が変化する材料であれば、いわゆるPRAM(Phase change RAM、相変化メモリ)やMRAM(Magnetoresistive RAM、磁気抵抗メモリ)に用いられる材料を使用することも可能である。このように、第2プラグP2ca、P2fa上にReRAM部(RM1、RM2)を配置することにより、装置の小面積化を図ることができる。また、メモリセルの高集積化を図ることができる。
【0123】
次いで、図24および図25に示すように、抵抗変化層R上を含む層間絶縁膜IL2a上に層間絶縁膜IL2bを形成する。層間絶縁膜IL2bとして、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜を形成する。次いで、層間絶縁膜IL2bをエッチングすることにより、抵抗変化層R上にコンタクトホールを形成する。このコンタクトホール内に、第1プラグP1と同様に、導電性膜を埋め込むことにより第2プラグP2cbを形成する。先の層間絶縁膜IL2bのエッチング際、層間絶縁膜IL2bの下層の層間絶縁膜IL2aも同時にエッチングすることにより、これらを貫通するコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールにも導電性膜を埋め込むことにより第2プラグP2(P2a、P2d等)を、第2プラグP2cbと同時に形成する。
【0124】
次いで、図26および図27に示すように、第2プラグP2上に第2層配線M2を形成し、この第2層配線M2上に第3プラグP3を介して第3層配線M3を形成する(図16、図17等参照)。例えば、第2プラグP2上を含む層間絶縁膜IL2b上に、Alなどの導電性膜を堆積し、パターニングすることにより第2層配線M2を形成する。さらに、第2層配線M2上に層間絶縁膜IL3として例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜との積層膜を形成する。次いで、層間絶縁膜IL3をエッチングすることによりコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内に、導電性膜を埋め込むことにより第3プラグP3を形成する。次いで、第3プラグP3上を含む層間絶縁膜IL3上に、Alなどの導電性膜を堆積し、パターニングすることにより第3層配線M3を形成する。この後、第3層配線M3上に層間絶縁膜IL4等を形成し、さらに、多層の配線を形成してもよい。
【0125】
なお、第1層配線M1〜第3層配線M3を埋め込み配線(ダマシン配線)としてもよい。例えば、層間絶縁膜IL1を配線溝用の第1絶縁膜と配線間用の第2絶縁膜との積層構造とし、第1絶縁膜に形成された配線溝内に導電性膜を埋め込むことによりダマシン配線を形成する。また、第2層配線M2以降の配線においては、第2絶縁膜中のコンタクトホールと第1絶縁膜中の配線溝内に同時に導電性膜を埋め込むことにより、一度にプラグと配線(導電膜)とを形成してもよい(デュアルダマシン法)。
【0126】
以上の工程により、図14〜図19に示す本実施の形態の半導体記憶装置が略完成する。
【0127】
なお、本実施の形態においては、第2層配線M2と第1層配線M1との間に、ReRAM部RM1、RM2を形成したが、ReRAM部RM1、RM2の位置は、かかる位置に制限されるものではなく、ビット線(BL、/BL)とアクセストランジスタ(Acc1、Acc2)の一端(但し、蓄積ノードA、Bと逆側)との間であれば、他の位置でもよい(図6等参照)。例えば、アクセストランジスタ(Acc1、Acc2)のソース、ドレイン領域(SD)と第1層配線M1との間に配置してもよく、また、第3層配線M3と第2層配線M2の間に配置してもよい。
【0128】
また、電極部Eは省略可能であり、第2プラグP2a上に直接、抵抗変化層Rを形成してもよい。
【0129】
また、上記実施の形態において説明した1.5Vや2.0Vなどの具体的な電位は、一例にすぎず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。また、SRAMの保持データのReRAM部への書き込みに際しては、蓄積ノードA、Bの電位に対応して、2つのReRAM部(RM1、RM2)のいずれをオン状態(ON)としてもよく、上記実施の形態の場合(RM1をオン状態)と逆に、ReRAM部RM2をオン状態としてもよい。かかる場合には、蓄積ノードAおよびBに対応するデータの書き戻し動作も適宜変更されることは言うまでもない。
【0130】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、半導体記憶装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 半導体基板
13 金属シリサイド層
A 蓄積ノード
AcN1 活性領域
AcN2 活性領域
AcP1 活性領域
AcP2 活性領域
Acc1 アクセストランジスタ
Acc2 アクセストランジスタ
B 蓄積ノード
BL ビット線
/BL ビット線
Dr1 ドライバトランジスタ
Dr2 ドライバトランジスタ
E 電極部
EX 低濃度不純物領域
G ゲート電極
G1 ゲート電極
G2 ゲート電極
G3 ゲート電極
G4 ゲート電極
GO ゲート絶縁膜
IL1 層間絶縁膜
IL2a 層間絶縁膜
IL2b 層間絶縁膜
IL3 層間絶縁膜
IL4 層間絶縁膜
M1 第1層配線
M1A 第1層配線
M1B 第1層配線
M2 第2層配線
M3 第3層配線
MCA メモリセル領域
NVcc 電源電位ノード
NVss 基準電位ノード
P1 第1プラグ
P1a 第1プラグ
P1b 第1プラグ
P1c 第1プラグ
P1d 第1プラグ
P1e 第1プラグ
P1f 第1プラグ
P1g 第1プラグ
P1h 第1プラグ
P1i 第1プラグ
P1j 第1プラグ
P2 第2プラグ
P2a 第2プラグ
P2c 第2プラグ
P2ca 第2プラグ
P2cb 第2プラグ
P2b 第2プラグ
P2e 第2プラグ
P2f 第2プラグ
P2fa 第2プラグ
P2fb 第2プラグ
P2h 第2プラグ
P2i 第2プラグ
P2j 第2プラグ
P3 第3プラグ
P3a 第3プラグ
P3c 第3プラグ
P3d 第3プラグ
P3e 第3プラグ
P3f 第3プラグ
P3h 第3プラグ
R 抵抗変化層
RM1 ReRAM部
RM2 ReRAM部
SD 高濃度不純物領域
SP1 シェアードプラグ
STI 素子分離領域
SW サイドウォール膜
Vcc 第1電源電位
Vcc2 第2電源電位
Vcc3 第3電源電位
WL ワード線
nW n型ウエル
pW p型ウエル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)電源ノードと第1ノードとの間に接続された第1トランジスタと、
(a2)前記第1ノードと低電位ノードとの間に接続された第2トランジスタと、
(a3)前記電源ノードと第2ノードとの間に接続された第3トランジスタと、
(a4)前記第2ノードと前記低電位ノードとの間に接続された第4トランジスタと、
(a5)前記第1ノードに一端が接続された第5トランジスタと、
(a6)前記第2ノードに一端が接続された第6トランジスタと、
(b1)前記第5トランジスタの他端と第1ビット線との間に接続された第1抵抗変化層と、
(b2)前記第6トランジスタの他端と第2ビット線との間に接続された第2抵抗変化層と、を有する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層は、
その両端に印加される電位の電位差が所定の電位以上の場合に、その抵抗が変化する請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1抵抗変化層は、
前記第5トランジスタの他端の電位より前記第1ビット線の電位が高く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が低下し、低抵抗状態となり、
前記第2抵抗変化層は、
前記第6トランジスタの他端の電位より前記第2ビット線の電位が高く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が低下し、低抵抗状態となる請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1抵抗変化層は、
前記第5トランジスタの他端の電位より前記第1ビット線の電位が低く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が上昇し、高抵抗状態となり、
前記第2抵抗変化層は、
前記第6トランジスタの他端の電位より前記第2ビット線の電位が低く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が上昇し、高抵抗状態となる請求項3記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記電源ノードに第1電源が印加されている第1期間において、
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層は、前記低抵抗状態である請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記電源ノードに前記第1電源が印加されている第1期間において、
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層は、前記低抵抗状態であり、
前記第1ノードおよび前記第2ノードの電位を、前記第1ビット線および前記第2ビット線に読み出し可能であり、
前記第1ノードおよび前記第2ノードの電位を、前記第1ビット線および前記第2ビット線を介して書き換え可能である請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1期間の終了に対応して、
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層のいずれかを前記高抵抗状態とする請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記所定の電位は、前記第1電源より高電位である請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1期間の終了に対応して、
前記第1ノードの電位が第1レベルであり、前記第2ノードの電位が前記第1レベルより高い第2レベルである場合に、
前記第2抵抗変化層を高抵抗状態とする請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第2抵抗変化層は、
前記第6トランジスタの他端の電位を、前記第2ビット線の電位より高く、その電位差を前記所定の電位以上とすることにより、高抵抗状態とする請求項9記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第6トランジスタの他端には、
前記電源ノードに印加された、前記第1電源より電位が高い第2電位が、前記第1トランジスタを介して印加される請求項10記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記電源ノードに前記第1電源より低い電位が印加されている第2期間において、
前記第1期間の終了時における前記第1ノードおよび前記第2ノードの電位の状態であるデータを、前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層のいずれかを高抵抗状態とする書き込み動作により記憶する請求項5記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第2期間後の第3期間において、
前記データを、前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層の低抵抗状態または高抵抗状態の検出により判定する請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記判定に基づき、
前記第1ノードおよび前記第2ノードのうち、高電位であったと判定された側のノードに接続されたビット線に、前記第1電源より前記所定の電位分だけ高い第3電源を印加することにより、前記ノード側に位置する、前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層のいずれかを、低抵抗状態とし、前記ノードを高電位とする請求項13記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
(a1)電源ノードと第1ノードとの間に接続された第1トランジスタと、
(a2)前記第1ノードと低電位ノードとの間に接続された第2トランジスタと、
(a3)前記電源ノードと第2ノードとの間に接続された第3トランジスタと、
(a4)前記第2ノードと前記低電位ノードとの間に接続された第4トランジスタと、
(a5)前記第1ノードに一端が接続された第5トランジスタと、
(a6)前記第2ノードに一端が接続された第6トランジスタと、
(b1)前記第5トランジスタの他端と第1ビット線との間に接続された第1抵抗変化層と、
(b2)前記第6トランジスタの他端と第2ビット線との間に接続された第2抵抗変化層と、を有し、
前記第1抵抗変化層は、前記第5トランジスタのソース・ドレイン領域上の第1接続部の上方に配置され、前記第1ビット線は、前記第1抵抗変化層の上方に配置される半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第2抵抗変化層は、前記第6トランジスタのソース・ドレイン領域上の第2接続部の上方に配置され、前記第2ビット線は、前記第2抵抗変化層の上方に配置される請求項15記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層は、
その両端に印加される電位の電位差が所定の電位以上の場合に、その抵抗が変化する請求項16記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
前記第1抵抗変化層は、
前記第5トランジスタの他端の電位より前記第1ビット線の電位が高く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が低下し、低抵抗状態となり、
前記第5トランジスタの他端の電位より前記第1ビット線の電位が低く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が上昇し、高抵抗状態となる請求項17記載の半導体記憶装置。
【請求項19】
前記第2抵抗変化層は、
前記第6トランジスタの他端の電位より前記第2ビット線の電位が高く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が低下し、低抵抗状態となり、
前記第6トランジスタの他端の電位より前記第2ビット線の電位が低く、その電位差が前記所定の電位以上の場合に抵抗が上昇し、高抵抗状態となる請求項18記載の半導体記憶装置。
【請求項20】
前記第1抵抗変化層および前記第2抵抗変化層は、CuxSiyOを有する請求項15記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−115081(P2013−115081A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257063(P2011−257063)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】