説明

危険地点記録装置、警報制御装置、及びプログラム

【課題】危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができるようにする。
【解決手段】自車位置取得部26によって、自車両の位置を取得する。危険地点判定部42によって、自車位置取得部26によって取得された自車両の位置に基づいて、危険地点情報が記録された危険地点データベース34から、自車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、自車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す危険地点情報を検索する。警報制御部44によって、検索された危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報メッセージを出力するように警報装置20を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険地点記録装置、警報制御装置、及びプログラムに係り、特に、危険地点情報をデータベースに記録する危険地点記録装置、該データベースに基づいて警報情報を出力させる警報制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライブレコーダに、車両の衝突や危険な状態が発生した地点に関する情報が保存され、車両の現在位置を検出するGPS受信機からの位置信号に基づき、車両がその地点に接近していることが判定されたとき、車両の運転者に警報を与える方法が知られている(特許文献1)。この方法では、警報によって、車両の運転者は、過去に車両の衝突や危険な状態が発生した地点に接近していることを認識することができ、車両の運転者に対して、その地点を走行する際に慎重かつ安全な運転を行うように動機づけることができる。
【特許文献1】特開2008−65541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、画一的な警報を与えており、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮していないため、警報による事故予防効果が少ない、という問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、危険な状況が発生したときの対象や状況を記録することができる危険地点記録装置を提供することを第1の目的とする。
【0005】
また、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができる警報制御装置及びプログラムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る危険地点記録装置は、車両の位置を取得する位置取得手段と、道路構造の種類を示す情報を含む道路地図情報、及び前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、前記車両の位置の道路構造の種類を特定する道路構造特定手段と、前記車両の前方を撮像する撮像装置又は前記車両の前方に存在する物体を検出する検出装置の出力に基づいて、前記車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する物体認識手段と、前記車両の加速度を検出する加速度センサ又は前記車両の運転操作量を検出する運転操作量センサの出力に基づいて、危険な状況であるか否かを判定する危険判定手段と、前記危険判定手段によって危険な状況であると判定されたときに、前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置、前記道路構造特定手段によって特定された道路構造の種類、及び前記物体認識手段によって認識された前記前方物体の種類を示す危険地点情報を、データベースに記録する記録手段とを含んで構成されている。
【0007】
第1の発明に係る危険地点記録装置によれば、位置取得手段によって車両の位置を取得する。道路構造特定手段によって、道路構造の種類を示す情報を含む道路地図情報、及び位置取得手段によって取得された車両の位置に基づいて、車両の位置の道路構造の種類を特定する。また、物体認識手段によって、車両の前方を撮像する撮像装置又は車両の前方に存在する物体を検出する検出装置の出力に基づいて、車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する。
【0008】
そして、危険判定手段によって、車両の加速度を検出する加速度センサ又は車両の運転操作量を検出する運転操作量センサの出力に基づいて、危険な状況であるか否かを判定する。記録手段によって、危険判定手段によって危険な状況であると判定されたときに、位置取得手段によって取得された車両の位置、道路構造特定手段によって特定された道路構造の種類、及び物体認識手段によって認識された前方物体の種類を示す危険地点情報を、データベースに記録する。
【0009】
このように、危険な状況であると判定されたときに、位置、道路構造の種類、及び前方物体の種類を示す危険地点情報を記録することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を記録することができる。
【0010】
第2の発明に係る警報制御装置は、車両の位置を取得する位置取得手段と、前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、請求項1記載の危険地点記録装置によって前記危険地点情報が記録された前記データベースから、前記車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、前記車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す前記危険地点情報を検索する検索手段と、前記検索手段によって前記危険地点情報が検索された場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御する警報制御手段とを含んで構成されている。
【0011】
第3の発明に係るプログラムは、コンピュータを、車両の位置を取得する位置取得手段、前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、請求項1記載の危険地点記録装置によって前記危険地点情報が記録された前記データベースから、前記車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、前記車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す前記危険地点情報を検索する検索手段、及び前記検索手段によって前記危険地点情報が検索された場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御する警報制御手段として機能させるためのプログラムである。
【0012】
第2の発明及び第3の発明によれば、位置取得手段によって、車両の位置を取得する。検索手段によって、位置取得手段によって取得された車両の位置に基づいて、上記の第1の発明に係る危険地点記録装置によって危険地点情報が記録されたデータベースから、車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す危険地点情報を検索する。
【0013】
そして、警報制御手段によって、検索手段によって危険地点情報が検索された場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御する。
【0014】
このように、車両の進行方向の所定範囲内に存在する位置を示す危険地点情報の道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができる。
【0015】
上記第2の発明の警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、車両に道路交通法規上の停止義務がある場合、道路構造の種類を示す情報含む警報情報を出力するように出力装置を制御することができる。これによって、道路構造の種類に応じた道路交通法規上の停止義務を守るように警報することができる。
【0016】
上記第2の発明の警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、車両に道路交通法規上の停止義務がなく、かつ、車両が直進するときに該危険地点情報が示す物体の種類に対して危険な状況が発生する場合、前方物体の種類を示す情報を含む警報情報を出力するように出力装置を制御することができる。これによって、前方物体に注意するように警報することができる。
【0017】
上記第2の発明の警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、車両に道路交通法規上の停止義務がなく、かつ、車両が右折又は左折するときに該危険地点情報が示す前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合、右折又は左折を示す情報と前方物体の種類を示す情報とを含む警報情報を出力するように出力装置を制御することができる。これによって、右折又は左折するときに前方物体に注意するように警報することができる。
【0018】
上記第2の発明の警報制御装置は、車両の前方を撮像する撮像装置又は車両の前方に存在する物体を検出する検出装置の出力に基づいて、車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する物体認識手段を更に含み、警報制御手段は、検索手段によって危険地点情報が検索され、かつ、物体認識手段によって認識された前方物体の種類と該危険地点情報が示す前方物体の種類とが一致する場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御することができる。これによって、危険な状況が発生したときの前方物体の種類と一致する場合に、警報を出力することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の危険地点記録装置によれば、危険な状況であると判定されたときに、位置、道路構造の種類、及び前方物体の種類を示す危険地点情報を記録することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を記録することができる、という効果が得られる。
【0020】
また、本発明の警報制御装置及びプログラムによれば、車両の進行方向の所定範囲内に存在する位置を示す危険地点情報の道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。本実施の形態では、車両に搭載された運転警報装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る運転警報装置10は、自車両の前方を撮像する撮像装置12と、自車両の位置情報として緯度情報及び経度情報を検出するGPS14と、自車両の加速度を検出する加速度センサ16と、交通情報センターと通信を行うための通信装置18と、ドライバに対して警報メッセージを提示する警報装置20と、通信装置18によって受信した情報を取得すると共に、撮像装置12、GPS14、及び加速度センサ16からの出力に基づいて、警報装置20による警報を制御するコンピュータ22とを備えている。
【0023】
撮像装置12は、自車両の前方を撮像し、画像の画像信号を生成する単眼のカメラで構成される撮像部(図示省略)と、撮像部で生成された画像信号をA/D変換するA/D変換部(図示省略)と、A/D変換された画像信号を一時的に格納するための画像メモリ(図示省略)とを備えている。
【0024】
通信装置18は、無線通信により路側に設置された基地局を介して交通情報センターとデータの送受信を行う。
【0025】
警報装置20は、スピーカを備え、コンピュータ22による制御に従って、ドライバに対して所定の警報メッセージを音声出力する。
【0026】
コンピュータ22は、CPUと、RAMと、後述する危険情報記録処理ルーチン及び警報出力処理ルーチンの各々を実行するためのプログラムを記憶したROMとを備え、機能的には次に示すように構成されている。コンピュータ22は、撮像装置12から出力された前方画像から、自車両の前方に存在する物体の種類を認識する前方物体認識部24と、GPS14から自車両の位置情報を取得する自車位置取得部26と、道路構造の種類を示す情報を含む道路地図情報を記憶した道路地図データベース28と、自車両の位置情報と道路地図情報とに基づいて、自車両が位置する道路の道路構造の種類を特定する道路構造特定部30と、加速度センサ16より得られる自車両の加速度に基づいて、自車両が危険な状況であるか否かを判定する危険状況判定部32と、位置情報、前方物体の種類、及び道路構造の種類を含む危険地点情報を複数記憶した危険地点データベース34と、自車両が危険な状況であると判定されたときに、自車位置取得部26により取得された自車両の位置情報、前方物体認識部24により認識された前方物体の種類、及び道路構造特定部30により特定された道路構造の種類を含む危険地点情報を、危険地点データベース34に記録する危険状況記録部36とを備えている。
【0027】
なお、本実施の形態における前方物体認識部24、自車位置取得部26、道路構造特定部30、危険状況判定部32、及び危険状況記録部36は、本発明の危険地点記録装置の各手段に対応している。
【0028】
前方物体認識部24は、撮像装置12より撮像された前方画像に対して所定の画像処理を行って、前方物体の種類(例えば、先行車両、交差車両、対向車両、横断歩行者、横断自転車、背面歩行者、対向歩行者、背面自転車、対向自転車など)毎にパターン認識を行い、前方画像が前方物体を表わしている場合には、前方物体の種類を認識する。
【0029】
道路地図データベース28の道路地図情報には、各位置における道路構造の種類(信号交差点、優先側の一時停止交差点、非優先側の一時停止交差点、横断歩道ありの単路部、横断歩道無しの単路部など)を示す情報が含まれている。
【0030】
道路構造特定部30は、道路地図データベース28における道路地図情報に基づいて、自車位置取得部26により取得された位置情報の位置における道路構造の種類を特定する。なお、位置情報の位置から、優先側の一時停止交差点であるか、非優先側の一時停止交差点であるかを特定できない場合(例えば、位置情報の位置が一時停止交差点内である場合)には、位置情報の位置の直前までの時系列データから得られる走行方向に基づいて、優先側であるか非優先側であるかを特定すればよい。
【0031】
危険状況判定部32は、加速度センサ16より得られる加速度に基づいて、急減速があった場合や他の車両などとの衝突が起きたと判断される場合に、自車両が危険な状況であると判定する。
【0032】
危険地点データベース34には、危険な状況であると判定されたときの位置情報、前方物体の種類、及び道路構造の種類を含む危険地点情報が複数記憶されている。
【0033】
また、コンピュータ22は、交通情報センターから最新の危険地点情報を受信するように通信装置18を制御する通信制御部38と、受信した最新の危険地点情報を危険地点データベース34に記録するように危険地点データベース34を更新する更新部40とを備えている。
【0034】
交通情報センターでは、他車で得られた危険地点情報を収集し、最新の危険地点情報を、各車両の運転警報装置10に送信する。
【0035】
また、コンピュータ22は、自車両の位置情報に基づいて、危険地点データベース34の中から、進行方向の所定範囲内の位置を位置情報として含む危険地点情報を検索して、進行方向に危険地点が存在するか否かを判定する危険地点判定部42と、該当する危険地点情報が存在すると判定された場合に、該当する危険地点情報に応じた警報メッセージを、警報装置20から出力させる警報制御部44とを備えている。なお、危険地点判定部42は、本発明の検索手段に対応し、警報制御部44は、本発明の警報制御手段に対応している。
【0036】
危険地点判定部42は、自車位置取得部26によって取得された自車両の位置情報に基づいて、自車両の位置に対して自車両の進行方向にある位置であって、自車両の位置からの距離が所定範囲内となる位置を位置情報として含む危険地点情報を、危険地点データベース34の中から検索し、該当する危険地点情報が検索された場合には、進行方向に危険地点が存在すると判定する。
【0037】
警報制御部44は、危険地点判定部42において検索された危険地点情報の道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報メッセージを生成し、生成した警報メッセージを音声出力するように警報装置20を制御する。
【0038】
警報制御部44では、以下に説明するように、図2に示すような、道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに関する分類毎に、警報メッセージの生成ルールが予め定められている。
【0039】
まず、道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせにおいて、自車両に交通法規上の停止義務が存在する場合(図2の分類「A」参照)に対して、道路構造の種類、又は道路構造の種類及び前方物体の種類を含む警報メッセージを生成する生成ルールが定められている。例えば、自車両の位置の道路構造の種類が、一時停止交差点の非優先側(一時停止側)である場合や、横断歩道がある単路部において、横断する歩行者又は自転車が存在する場合は、自車両に交通法規上の停止義務が存在する場合に分類される。一時停止交差点の非優先側では、その交差点で自車が停止する義務があり、単路部における横断報道では、歩行者や自転車がいる場合に一時停止する義務があり、この分類において、過去に発生した危険な状況は、その義務を守らなかったことが原因で発生したと考えられる。危険な状況に陥らないためには、当然その停止義務を守ることが重要であるため、「一時停止が存在する」、「横断歩道があり歩行者自転車がいる」ことに対して、ドライバが優先して注意するように、道路構造の種類を含む警報メッセージ(例えば、「一時停止交差点があります。注意してください。」)や、道路構造の種類及び前方物体の種類を含む警報メッセージ(例えば、「横断歩道があります。歩行者、自転車に注意してください。」)を生成する。
【0040】
また、道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせにおいて、自車両に交通法規上の停止義務がなく、かつ、自車両が直進するときに前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合(図2の分類「B」参照)に対して、前方物体の種類を含む警報メッセージを生成する生成ルールが定められている。例えば、自車両の位置の道路構造の種類が、信号交差点(赤信号では車両が停止し危険な状況が発生しないと考えられるため、信号状態が青信号であり停止義務が存在しないことを前提とする)であって、前方物体の種類が、先行車両、交差車両、横断歩行者、又は横断自転車である場合や、一時停止交差点の優先側(一時停止不要側)であって、前方物体の種類が、先行車両、交差車両、横断歩行者、又は横断自転車である場合は、自車両に交通法規上の停止義務がなく、かつ、自車両が直進するときに前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合に分類される。自車両に停止義務がないときに発生した危険な状況は、交通法規上の義務は守っているが、前方物体に対する注意が足りなかったことや、道路構造上、前方物体が認知しにくかった状況であったことが原因で発生したと考えられる。よって、そのときの前方物体の種類に対する注意を喚起するように、前方物体の種類を含む警報メッセージ(例えば、「先行車両との追突に注意してください。」や「交差車両に注意してください。」、「横断歩行者、自転車に注意してください。」)を生成する。
【0041】
また、道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせにおいて、自車両に交通法規上の停止義務がなく、かつ、自車両が右折又は左折するときに前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合(図2の分類「C」参照)に対して、右折又は左折を示す情報と前方物体の種類とを含む警報メッセージを生成する生成ルールが定められている。例えば、自車両の位置の道路構造の種類が、信号交差点(信号状態が青信号であることを前提とする)であって、前方物体の種類が、対向車両、背面/対面歩行者、又は背面/対面自転車である場合や、一時停止交差点の優先側(一時停止不要側)であって、前方物体の種類が、背面/対面歩行者、又は背面/対面自転車である場合は、自車両に交通法規上の停止義務がなく、かつ、自車両が右折又は左折するときに前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合に分類される。右左折時は直進時と異なり、新たに交錯する対象が発生するため、危険な状況は、右左折により新たに交錯する対象が発生したことが原因で発生すると考えられる。よって、右左折行動が発生するときに前方物体の種類に対する注意を喚起するように、右折又は左折を示す情報と前方物体の種類とを含む警報メッセージ(例えば、「右折時に対向車に注意してください。」や「右折時に歩行者、自転車に注意してください。」)を生成する。
【0042】
また、道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせについて、上記の3つの分類以外である場合(図2の分類「D」参照)に対して、注意を喚起する警報メッセージを生成する生成ルールが定められている。交差点や横断歩道が無い単路部では、基本的に交錯する対象はいないはずであるが、歩行者、自転車が交通法規を守らなかった場合には飛び出しなどによる交錯が発生する。例えば、前方物体の種類が歩行者や自転車であるときに危険な状況が発生した地点は、公園、学校が近く子供が多い場所であるとか、住宅地、商店街が近く歩行者、自転車が多い場所であることが考えられる。よって、予防的に注意する喚起する警報メッセージ(例えば、「周辺の歩行者、自転車に注意してください。」や、「歩行者、自転車の飛び出しに注意してください。」、「周辺の歩行者、自転車に注意してください。」)を提供する。
【0043】
次に、第1の実施の形態に係る運転警報装置10の動作について説明する。まず、運転警報装置10を搭載している車両が走行中に、運転警報装置10のコンピュータ22において、図3に示す危険状況記録処理ルーチンが実行される。
【0044】
まず、ステップ100において、GPS14から自車両の現在の位置情報を取得し、ステップ102において、道路地図データベース28の道路地図情報と上記ステップ100で取得した位置情報とに基づいて、自車両の位置における道路構造の種類を特定する。
【0045】
そして、ステップ104において、撮像装置12から前方画像を取得し、ステップ106において、上記ステップ104で取得した前方画像に基づいて、自車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する。
【0046】
次のステップ108では、加速度センサ16から自車両の現在の加速度を取得し、ステップ110において、上記ステップ108で取得した加速度に基づいて、危険な状況であるか否かを判定する。危険な状況でないと判定された場合には、上記ステップ100へ戻るが、一方、危険な状況であると判定された場合には、ステップ112において、上記ステップ100で取得した位置情報、上記ステップ102で特定した道路構造の種類、及び上記ステップ106で認識した前方物体の種類を含む危険地点情報を道路地図データベース28に記録して、上記ステップ100へ戻る。
【0047】
また、運転警報装置10において、通信装置18を介して、交通情報センターから最新の危険地点情報を受信した場合には、受信した危険地点情報を、危険地点データベース34に記録して、危険地点データベース34を更新する。
【0048】
また、運転警報装置10を搭載している車両が走行中に、運転警報装置10のコンピュータ22において、図4に示す警報出力処理ルーチンが実行される。
【0049】
まず、ステップ120において、GPS14から自車両の現在の位置情報を取得し、ステップ122において、上記ステップ120で取得した自車両の位置情報に基づいて、自車両の位置に対して自車両の進行方向にある位置であって、自車両の位置からの距離が所定範囲内となる位置を位置情報として含む危険地点情報を、危険地点データベース34に記録された危険地点情報の中から検索する。
【0050】
そして、ステップ124において、上記ステップ122で、該当する危険地点情報が検索されたか否かを判定し、該当する危険地点情報が検索されなかった場合には、ステップ120へ戻るが、一方、該当する危険地点情報が検索された場合には、進行方向に危険地点が存在すると判断し、ステップ126へ移行する。
【0051】
ステップ126では、上記ステップ122で検索された危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに関する分類に対応して定められた生成ルールに従って、道路構造の種類又は前方物体の種類に基づいて、警報メッセージを生成する。そして、ステップ128において、上記ステップ126で生成された警報メッセージを音声出力するように警報装置20を制御して、上記ステップ120へ戻る。
【0052】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る運転警報装置によれば、危険な状況であると判定されたときに、自車両の位置情報、道路構造の種類、及び前方物体の種類を示す危険地点情報を危険地点データベースに記録することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を記録することができる。
【0053】
また、車両の進行方向の所定範囲に存在する位置を示す危険地点情報を検索し、危険地点情報の道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに応じた警報メッセージを出力することにより、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができる。
【0054】
危険地点情報として記録された道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせの分類に応じて、注意対象を詳細に提示した警報メッセージを出力することにより、何に対して注意するべきなのかを、ドライバに対して適切に案内することができ、慎重かつ安全な運転を行うようにドライバに対して動機づけることができる。
【0055】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
第2の実施の形態では、検索された危険地点情報の前方物体の種類と、現在の前方物体の種類とが一致する場合に、警報メッセージを出力するように制御している点が、第1の実施の形態と主に異なっている。
【0057】
図5に示すように、第2の実施の形態に係る運転警報装置210のコンピュータ222は、前方物体認識部24と、自車位置取得部26と、道路地図データベース28と、道路構造特定部30と、危険状況判定部32と、危険地点データベース34と、危険状況記録部36と、通信制御部38と、更新部40と、危険地点データベース34の危険地点情報の中から、進行方向の所定範囲内の位置を位置情報として含む危険地点情報を検索し、検索された危険地点情報が示す前方物体の種類と現在の前方画像から認識された前方物体の種類とが一致するか否かを判定する危険地点判定部242と、警報制御部44とを備えている。
【0058】
危険地点判定部242は、自車位置取得部26によって取得された自車両の位置情報に基づいて、自車両の位置に対して自車両の進行方向にある位置であって、自車両の位置からの距離が所定範囲内となる位置を位置情報として含む危険地点情報を、危険地点データベース34の中から検索する。危険地点判定部242は、危険地点情報が検索された場合には、現在の前方画像から前方物体認識部24によって認識された前方物体の種類と、検索された危険地点情報が示す前方物体の種類とが一致するか否かを判定し、前方物体の種類が一致する場合には、進行方向に危険地点が存在すると判定する。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係る警報出力処理ルーチンについて図6を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、ステップ120において、GPS14から自車両の現在の位置情報を取得し、ステップ252において、撮像装置12から現在の前方画像を取得する。そして、ステップ254において、上記ステップ252で取得した前方画像から、自車両の位置からの距離が所定範囲内となる位置に存在する前方物体の種類を認識する。
【0061】
次のステップ122では、上記ステップ120で取得した自車両の位置情報に基づいて、自車両の位置に対して自車両の進行方向にある位置であって、自車両の位置からの距離が所定範囲内となる位置を位置情報として含む危険地点情報を、危険地点データベース34の中から検索する。
【0062】
そして、ステップ124において、上記ステップ122で、該当する危険地点情報が検索されたか否かを判定し、該当する危険地点情報が検索されなかった場合には、ステップ120へ戻るが、一方、該当する危険地点情報が検索された場合には、ステップ256へ移行する。
【0063】
ステップ256では、上記ステップ254で認識された前方物体の種類と、上記ステップ122で検索された危険地点情報が示す前方物体の種類と比較し、ステップ258において、上記ステップ256で比較した前方物体の種類が一致するか否かを判定する。前方物体の種類が一致しない場合には、危険地点情報を記録した状況とは異なると判断し、上記ステップ120へ戻るが、一方、前方物体の種類が一致する場合には、進行方向に危険地点が存在すると判断し、ステップ126へ移行する。
【0064】
ステップ126では、上記ステップ122で検索された危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに応じて、警報メッセージを生成し、ステップ128において、上記ステップ126で生成された警報メッセージを音声出力するように警報装置20を制御して、上記ステップ120へ戻る。
【0065】
このように、自車両の進行方向の所定範囲に存在する位置を示す危険地点情報を検索し、検索された危険地点情報の前方物体の種類と一致する場合に、危険地点情報の道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに応じた警報メッセージを出力することにより、危険な状況が発生する可能性が高い場合に、危険な状況が発生したときの対象や状況を考慮して、事故予防効果の高い警報を出力することができる。
【0066】
なお、上記の実施の形態では、危険地点情報の前方物体の種類と現在の前方物体の種類とを比較する場合を例に説明したが、更に、危険地点情報の道路構造の種類と自車両前方の道路構造の種類とを比較するようにしてもよい。この場合には、検索された危険地点情報の前方物体の種類と現在の前方物体の種類とが一致し、かつ、検索された危険地点情報の道路構造の種類と自車両前方の道路構造の種類とが一致する場合に、警報メッセージを出力するように制御すればよい。
【0067】
また、上記の第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、危険地点記録装置と警報制御装置とを1つの運転警報装置で構成した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、危険地点記録装置と警報制御装置とを別々構成してもよい。この場合には、運転警報装置は、外部の危険地点記録装置によって危険地点情報が記録されたデータベースを、危険地点データベースとして外部から読み込んで用いるようにすればよい。
【0068】
また、前方物体の種類を、前方画像から認識する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、自車両に搭載されたレーザレーダなどの検出装置を用いて、前方物体の存在を検出すると共に、検出結果に基づいて、前方物体の種類を認識するようにしてもよい。
【0069】
また、加速度センサによって検出された加速度に基づいて、自車両が危険な状況であるか否かを判定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、自車両の運転操作量を検出する運転操作量センサの出力に基づいて、自車両が危険な状況であるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、運転操作量に基づいて急ハンドルをとったと判断される場合を、危険な状況であると判定すればよい。
【0070】
また、本発明のプログラムを、記憶媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る運転警報装置を示すブロック図である。
【図2】道路構造の種類及び前方物体の種類の組み合わせに応じた警報メッセージの具体例を示す表である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る運転警報装置における危険状況記録処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る運転警報装置における警報出力処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る運転警報装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る運転警報装置における警報出力処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
10、210 運転警報装置
12 撮像装置
16 加速度センサ
20 警報装置
22、222 コンピュータ
24 前方物体認識部
26 自車位置取得部
28 道路地図データベース
30 道路構造特定部
32 危険状況判定部
34 危険地点データベース
36 危険状況記録部
42、242 危険地点判定部
44 警報制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を取得する位置取得手段と、
道路構造の種類を示す情報を含む道路地図情報、及び前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、前記車両の位置の道路構造の種類を特定する道路構造特定手段と、
前記車両の前方を撮像する撮像装置又は前記車両の前方に存在する物体を検出する検出装置の出力に基づいて、前記車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する物体認識手段と、
前記車両の加速度を検出する加速度センサ又は前記車両の運転操作量を検出する運転操作量センサの出力に基づいて、危険な状況であるか否かを判定する危険判定手段と、
前記危険判定手段によって危険な状況であると判定されたときに、前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置、前記道路構造特定手段によって特定された道路構造の種類、及び前記物体認識手段によって認識された前記前方物体の種類を示す危険地点情報を、データベースに記録する記録手段と、
を含む危険地点記録装置。
【請求項2】
車両の位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、請求項1記載の危険地点記録装置によって前記危険地点情報が記録された前記データベースから、前記車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、前記車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す前記危険地点情報を検索する検索手段と、
前記検索手段によって前記危険地点情報が検索された場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御する警報制御手段と、
を含む警報制御装置。
【請求項3】
前記警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、前記車両に道路交通法規上の停止義務がある場合、前記道路構造の種類を示す情報含む警報情報を出力するように前記出力装置を制御する請求項2記載の警報制御装置。
【請求項4】
前記警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、前記車両に道路交通法規上の停止義務がなく、かつ、前記車両が直進するときに該危険地点情報が示す前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合、前記前方物体の種類を示す情報を含む警報情報を出力するように前記出力装置を制御する請求項2又は3記載の警報制御装置。
【請求項5】
前記警報制御手段は、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類において、前記車両に道路交通法規上の停止義務がなく、かつ、前記車両が右折又は左折するときに該危険地点情報が示す前方物体の種類に対して危険な状況が発生する場合、右折又は左折を示す情報と前記前方物体の種類を示す情報とを含む警報情報を出力するように前記出力装置を制御する請求項2〜請求項4の何れか1項記載の警報制御装置。
【請求項6】
前記車両の前方を撮像する撮像装置又は前記車両の前方に存在する物体を検出する検出装置の出力に基づいて、前記車両の前方に存在する前方物体の種類を認識する物体認識手段を更に含み、
前記警報制御手段は、前記検索手段によって前記危険地点情報が検索され、かつ、前記物体認識手段によって認識された前記前方物体の種類と該危険地点情報が示す前方物体の種類とが一致する場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように前記出力装置を制御する請求項2〜請求項5の何れか1項記載の警報制御装置。
【請求項7】
コンピュータを、
車両の位置を取得する位置取得手段、
前記位置取得手段によって取得された前記車両の位置に基づいて、請求項1記載の危険地点記録装置によって前記危険地点情報が記録された前記データベースから、前記車両の進行方向に存在する位置であって、かつ、前記車両の位置との距離が所定範囲内である位置を示す前記危険地点情報を検索する検索手段、及び
前記検索手段によって前記危険地点情報が検索された場合、該危険地点情報が示す道路構造の種類及び前方物体の種類に応じた警報情報を出力するように出力装置を制御する警報制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−97345(P2010−97345A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266594(P2008−266594)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】