固体撮像装置、電子機器
【課題】固体撮像装置において、ゴーストなどの発生を抑制して、画像品質を向上させる。
【解決手段】入射光Hを受光する複数の画素PXが半導体基板101の上面に配列されているセンサ基板100と、前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板300と、前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子601とを有し、前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域PAに前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成する。
【解決手段】入射光Hを受光する複数の画素PXが半導体基板101の上面に配列されているセンサ基板100と、前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板300と、前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子601とを有し、前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域PAに前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置、および、固体撮像装置を含むカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの電子機器は、固体撮像装置を含む。たとえば、固体撮像装置として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサチップ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサチップを含む。
【0003】
固体撮像装置は、複数の画素が基板の撮像面にアレイ状に配列されている。各画素においては、光電変換部が設けられている。光電変換部は、たとえば、フォトダイオードであり、外付けの撮像レンズを含む光学系を介して被写体像として入射する光を受光面で受光し光電変換することで信号電荷を生成する。
【0004】
固体撮像装置を構成する基板において入射光が被写体像として入射する面の上方には、カバーガラスが配置されている。固体撮像装置は、たとえば、「キャビティ構造」であり、カバーガラスと、画素が配列された基板との間には、空気層が介在している。この他に、固体撮像装置は、たとえば、「キャビティレス構造」であり、カバーガラスと、画素が配列された基板との間には、空気層が介在しておらず、たとえば、樹脂などの固体の層が介在している。「キャビティレス構造」は、「キャビティ構造」の空隙に起因して生ずる「反り」,「剥がれ」,「界面反射による感度低下」などの不具合の発生について防止可能である点で、好適である(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、カバーガラスの一方の面には、赤外カットフィルタなどのバンドパスフィルタが設けられる場合がある(たとえば、特許文献2参照)。たとえば、複数の蒸着膜を積層することで、反射型の赤外カットフィルタを設けることで、可視光の被写体像の撮像画像について画像品質を向上させている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
固体撮像装置においては、基板の撮像面に周期的に配列された画素によって生ずる反射回折光に起因して、撮像画像にゴースト(フレア)が発生し、画像品質が低下する場合がある。具体的には、複数の画素のそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズなどの周期構造に入射光が被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光が回折されて、入射光の一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズや基板の表面で反射された光が、反射回折光となる。そして、その基板の上方に設置されているカバーガラス、赤外カットフィルタ、外付けレンズなど部材へ、その反射回折光が入射して反射される。そして、その部材で反射された反射回折光が画素へ再入射すると、撮像画像にゴーストが発生する。このような不具合を解消するために、種々の技術が提案されている(たとえば、非特許文献1,2,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−311454号公報(たとえば、図1,図5)
【特許文献2】特開2010−186818号公報(たとえば、図29)
【特許文献3】特開2001−203913号公報(たとえば、段落[0014])
【特許文献4】特開2011−082266号公報(たとえば、段落[0002],[0026])
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】松岡祥平その他、「撮像素子による反射回折ゴースト」、第34回光学シンポジウム予稿集、応用物理学会分科会 日本光学会、2009年7月2日、p.11〜p.12
【非特許文献2】青野康廣その他、「デジタルカメラ光学系の評価法」、第27回光学シンポジウム予稿集、応用物理学会分科会 日本光学会、2009年6月20日、p.1〜p.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の固体撮像装置においては、ゴーストの発生を十分に抑制することが容易でなく、撮像画像の画像品質を向上することが困難な場合がある。
【0010】
たとえば、「キャビティレス構造」の場合に微細な画素を配列させたときには、画素による反射回折光がカバーガラスの上面で全反射して、高輝度被写体の周囲に放射状に広がったゴーストが撮像画像に顕著に発生する場合がある。
【0011】
また、たとえば、「キャビティ構造」の場合には、画素による反射回折光のうち、高波長成分の光が反射型の赤外カットフィルタで反射され、「赤玉ゴースト」と呼ばれる、赤色のゴーストが撮像画像に顕著に発生する場合がある。
【0012】
したがって、本技術は、撮像画像の画像品質を向上可能な固体撮像装置および電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本技術の固体撮像装置,電子機器は、入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子とを有し、前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている。
【0014】
本技術では、半導体基板の上面にて複数の画素が配列された画素領域に入射光が入射し回折されることで生じた反射回折光を、回折格子が回折する。これにより、反射回折光の一部が回折格子から半導体基板が設けられた側へ反射せずに、半導体基板が設けられた側とは反対側へ、その反射回折光の一部が透過する。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、撮像画像の画像品質を向上可能な固体撮像装置および電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図3】図3は、実施形態1において、センサ基板100の全体構成を示す図である。
【図4】図4は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図5】図5は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図6】図6は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図7】図7は、実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。
【図8】図8は、実施形態1において、回折格子601を示す上面図である。
【図9】図9は、実施形態1において、光の様子を示す断面図である。
【図10】図10は、回折格子を設けない場合において、光の様子を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態1において、式(A)を構成する各因子を示す図である。
【図12】図12は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【図13】図13は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【図14】図14は、実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図15】図15は、実施形態3において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図16】図16は、実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図17】図17は、実施形態5において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図18】図18は、実施形態5において、式(B1)の関係を示す図である。
【図19】図19は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図20】図20は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図21】図21は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図22】図22は、実施形態6において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図23】図23は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図24】図24は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図25】図25は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図26】図26は、実施形態7において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図27】図27は、実施形態7において、光の様子を示す断面図である。
【図28】図28は、実施形態7において、回折格子601を設けない場合における光の様子を示す断面図である。
【図29】図29は、実施形態8において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図30】図30は、実施形態8において、光の様子を示す断面図である。
【図31】図31は、実施形態9において、式(E)を構成する各因子を示す図である。
【図32】図32は、回折格子の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
なお、説明は、下記の順序で行う。
1.実施形態1(回折格子がカバーガラスの上面にある場合)
2.実施形態2(回折格子がカバーガラスの下面にある場合)
3.実施形態3(回折格子がカバーガラス以外の層にある場合)
4.実施形態4(回折格子がカバーガラスの上面と下面にある場合)
5.実施形態5(回折格子が式(B),式(C)を満たす場合)
6.実施形態6(回折格子が式(D)を満たす場合)
7.実施形態7(キャビティ構造において、回折格子がカバーガラスの下面にある場合)
8.実施形態8(キャビティ構造において、回折格子がカバーガラス以外の層にある場合)
9.実施形態9(回折格子が式(E)を満たす場合)
10.その他
【0019】
<1.実施形態1>
[1]装置構成
(1−1)カメラの要部構成
図1は、実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示すように、カメラ40は、固体撮像装置1と、光学系42と、制御部43と、信号処理部44とを有する。各部について、順次、説明する。
【0021】
固体撮像装置1は、光学系42を介して被写体像として入射する入射光Hを、撮像面PSで受光して光電変換することによって、信号電荷を生成する。ここでは、固体撮像装置1は、制御部43から出力される制御信号に基づいて駆動する。そして、信号電荷を読み出し、電気信号として出力する。
【0022】
光学系42は、結像レンズなどの光学部材を含み、入射光Hを、固体撮像装置1の撮像面PSへ集光するように配置されている。
【0023】
制御部43は、各種の制御信号を固体撮像装置1と信号処理部44とに出力し、固体撮像装置1と信号処理部44とを制御して駆動させる。
【0024】
信号処理部44は、固体撮像装置1から出力された電気信号について信号処理を実施することによって、たとえば、カラーデジタル画像を生成する。
【0025】
(1−2)固体撮像装置の要部構成
固体撮像装置1の要部構成について説明する。
【0026】
図2は、実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。図2は、断面図であり、固体撮像装置1の構成を模式的に示している。
【0027】
固体撮像装置1は、図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とを含む。
【0028】
図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とは、互いに対面するように配置されている。
【0029】
ここでは、図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とのそれぞれの間には、接着層501が介在しており、接着層501によって両者が貼り合わされている。固体撮像装置1は、「キャビティレス構造」であって、センサ基板100とカバーガラス300との間の全面には、接着層501が設けられており、空洞なキャビティ部が設けられていない。
【0030】
固体撮像装置1を構成する各部について順次説明する。
【0031】
(A)センサ基板100について
固体撮像装置1を構成するセンサ基板100について説明する。
【0032】
固体撮像装置1において、センサ基板100は、たとえば、CMOSイメージセンサチップであり、図2に示すように、半導体基板101を含む。たとえば、半導体基板101は、単結晶シリコンで形成されている。
【0033】
半導体基板101においてカバーガラス300と対面する上面(表面)には、図2に示すように、画素領域PAと周辺領域SAとが設けられている。画素領域PAには、画素PXが複数配列されている。複数の画素PXのそれぞれには、マイクロレンズMLが設けられている。そして、半導体基板101の上面には、マイクロレンズMLを被覆するように、透明層110が設けられている。
【0034】
これに対して、半導体基板101の下面(裏面)には、図2に示すように、バンプ402が設けられている。
【0035】
図2に示すように、センサ基板100は、上方からカバーガラス300,接着層501を介して被写体像として入射する可視光域の入射光Hを、画素領域PAの各画素PXが受光することで、カラー画像を撮像するように構成されている。
【0036】
(A−1)センサ基板100の全体構成
図3は、実施形態1において、センサ基板100の全体構成を示す図である。図3では、上面を示している。
【0037】
センサ基板100において、画素領域PAは、図3に示すように、半導体基板101の中央部分に設けられている。画素領域PAは、矩形形状であり、複数の画素PXが水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。画素PXの詳細構成については、後述する。
【0038】
センサ基板100において、周辺領域SAは、図3に示すように、画素領域PAの周囲に位置している。そして、この周辺領域SAにおいては、周辺回路が設けられている。
【0039】
具体的には、図3に示すように、垂直駆動回路13と、カラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17と、タイミングジェネレータ(TG)18と、シャッター駆動回路19とが、周辺回路として設けられている。各部は、制御部43(図1参照)から入力される制御信号に基づいて駆動し、撮像動作が実行される。
【0040】
垂直駆動回路13は、図3に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの側部に設けられており、画素領域PAの画素PXを行単位で選択して駆動させる。
【0041】
カラム回路14は、図3に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの下端部に設けられており、列単位で画素PXから出力される信号について信号処理を実施する。ここでは、カラム回路14は、CDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)回路(図示なし)を含み、固定パターンノイズを除去する信号処理を実施する。
【0042】
水平駆動回路15は、図3に示すように、カラム回路14に電気的に接続されている。水平駆動回路15は、たとえば、シフトレジスタを含み、カラム回路14において画素PXの列ごとに保持されている信号を、順次、外部出力回路17へ出力させる。
【0043】
外部出力回路17は、図3に示すように、カラム回路14に電気的に接続されており、カラム回路14から出力された信号について信号処理を実施後、外部へ出力する。外部出力回路17は、AGC(Automatic Gain Control)回路17aとADC回路17bとを含む。外部出力回路17においては、AGC回路17aが信号にゲインをかけた後に、ADC回路17bがアナログ信号からデジタル信号へ変換して、外部へ出力する。
【0044】
タイミングジェネレータ18は、図3に示すように、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19のそれぞれに電気的に接続されている。タイミングジェネレータ18は、各種のタイミング信号を生成し、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19に出力することで、各部について駆動制御を行う。
【0045】
シャッター駆動回路19は、画素PXを行単位で選択して、画素PXにおける露光時間を調整するように構成されている。
【0046】
(A−2)センサ基板100の詳細構成
センサ基板100の詳細構成について説明する。
【0047】
図4〜図6は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【0048】
図4は、画素領域PAにおいて画素PXを設けた部分の上面を模式的に示している。そして、図5は、その画素PXの回路構成を示している。そして、図6は、その部分の断面を模式的に示している。具体的には、図6は、図4に示すX1−X2部分の断面を示している。
【0049】
図4,図5に示すように、画素領域PAにおいて、画素PXは、フォトダイオード21と、画素トランジスタTrとを有する。
【0050】
図6に示すように、画素PXにおいては、フォトダイオード21が半導体基板101の内部に設けられている。図6では図示していないが、半導体基板101の表面(図6では、上面)には、図4,図5に示した画素トランジスタTrが設けられている。そして、図6に示すように、その画素トランジスタTrを被覆するように多層配線層111が設けられている。そして、さらに、多層配線層111の上方には、カラーフィルタCF,マイクロレンズMLなどの部材が設けられている。
【0051】
画素PXにおいては、上方から入射光Hが入射し、各部を介して、フォトダイオード21が受光面JSで受光する。つまり、本実施形態のセンサ基板100は、「表面照射型」のCMOSイメージセンサである。
【0052】
なお、図示を省略しているが、周辺領域SA(図2参照)においては、半導体基板101の表面(上面)に、上述した周辺回路を構成するトランジスタなどの半導体素子(図示なし)が設けられている。そして、その半導体素子(図示なし)を被覆するように多層配線層111が設けられている。
【0053】
センサ基板100を構成する各部の詳細について説明する。
【0054】
(a)フォトダイオード21について
フォトダイオード21は、図2に示した複数の画素PXに対応するように複数が配置されている。つまり、撮像面(xy面)において、水平方向xと、この水平方向xに対して直交する垂直方向yとのそれぞれに並んで設けられている。
【0055】
図4に示すように、フォトダイオード21は、複数の画素PXの間を分離する画素分離部PIで区画された領域内に設けられている。そして、フォトダイオード21は、隣接する部分に画素トランジスタTrが設けられている。
【0056】
図5に示すように、フォトダイオード21は、アノードが接地されており、蓄積した信号電荷(ここでは、電子)が、画素トランジスタTrによって読み出されて、電気信号として垂直信号線27へ出力されるように構成されている。
【0057】
図6に示すように、フォトダイオード21は、n型の電荷蓄積領域を含み、そのn型の電荷蓄積領域の上面側と下面側とにp型のホール蓄積領域が形成されている。つまり、フォトダイオード21は、いわゆるHAD(Hole Accumulated Diode)構造で形成されている。
【0058】
(b)画素トランジスタTrについて
画素トランジスタTrは、図2に示した複数の画素PXに対応するように複数が配置されている。
【0059】
図4,図5に示すように、画素トランジスタTrは、転送トランジスタ22と増幅トランジスタ23と選択トランジスタ24とリセットトランジスタ25とを含み、フォトダイオード21から信号電荷を読み出して電気信号として出力する。たとえば、画素トランジスタTrは、図4に示すように、撮像面(xy面)において、フォトダイオード21の下方に位置するように設けられている。
【0060】
図6では図示していないが、画素トランジスタTrを構成する各トランジスタ22〜25は、上述したように、半導体基板101の上面(表面)に設けられている。たとえば、各トランジスタ22〜25は、NチャネルのMOSトランジスタであって、各ゲートが、たとえば、ポリシリコンを用いて形成されている。そして、各トランジスタ22〜25は、多層配線層111で被覆されている。
【0061】
(b−1)転送トランジスタ22
画素トランジスタTrにおいて、転送トランジスタ22は、図4,図5に示すように、フォトダイオード21で生成された信号電荷を、フローティング・ディフュージョンFDに転送するように構成されている。
【0062】
具体的には、転送トランジスタ22は、図4,図5に示すように、フォトダイオード21のカソードと、フローティング・ディフュージョンFDとの間に設けられている。そして、転送トランジスタ22は、ゲートに転送線26が電気的に接続されている。転送トランジスタ22では、転送線26からゲートに転送信号TGが与えられることによって、フォトダイオード21において蓄積された信号電荷を、フローティング・ディフュージョンFDに転送する。
【0063】
(b−2)増幅トランジスタ23
画素トランジスタTrにおいて、増幅トランジスタ23は、図4,図5に示すように、フローティング・ディフュージョンFDにおいて、電荷から電圧へ変換された電気信号を増幅して出力するように構成されている。
【0064】
具体的には、増幅トランジスタ23は、図4に示すように、選択トランジスタ24とリセットトランジスタ25の間に設けられている。ここでは、増幅トランジスタ23は、図5に示すように、ゲートが、フローティング・ディフュージョンFDに電気的に接続されている。また、増幅トランジスタ23は、ドレインが電源供給線Vddに電気的に接続され、ソースが選択トランジスタ24に電気的に接続されている。増幅トランジスタ23は、選択トランジスタ24がオン状態になるように選択されたときには、定電流源Iから定電流が供給されて、ソースフォロアとして動作する。このため、増幅トランジスタ23では、選択トランジスタ24に選択信号が供給されることによって、フローティング・ディフュージョンFDにおいて、電荷から電圧へ変換された電気信号が増幅される。
【0065】
(b−3)選択トランジスタ24
画素トランジスタTrにおいて、選択トランジスタ24は、図4,図5に示すように、選択信号が入力された際に、増幅トランジスタ23によって出力された電気信号を、垂直信号線27へ出力するように構成されている。
【0066】
具体的には、選択トランジスタ24は、図4に示すように、増幅トランジスタ23に隣接するように設けられている。また、選択トランジスタ24は、図5に示すように、選択信号が供給されるアドレス線28にゲートが接続されている。そして、選択トランジスタ24は、選択信号が供給された際にはオン状態になり、上記のように増幅トランジスタ23によって増幅された出力信号を、垂直信号線27に出力する。
【0067】
(b−4)リセットトランジスタ25
画素トランジスタTrにおいて、リセットトランジスタ25は、図4,図5に示すように、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットするように構成されている。
【0068】
具体的には、リセットトランジスタ25は、図4に示すように、増幅トランジスタ23に隣接するように設けられている。このリセットトランジスタ25は、図5に示すように、リセット信号が供給されるリセット線29にゲートが電気的に接続されている。また、リセットトランジスタ25は、ドレインが電源供給線Vddに電気的に接続され、ソースがフローティング・ディフュージョンFDに電気的に接続されている。そして、リセットトランジスタ25は、リセット線29からリセット信号がゲートに供給された際に、フローティング・ディフュージョンFDを介して、増幅トランジスタ23のゲート電位を、電源電圧にリセットする。
【0069】
上記において、転送線26、アドレス線28、リセット線29は、水平方向x(行方向)に並ぶ複数の画素PXの各トランジスタ22,24,25のゲートに接続するように配線されている。このため、上記の各トランジスタ22,23,24,25の動作は、1行分の画素PXについて同時に行われる。
【0070】
(c)多層配線層111について
多層配線層111は、図6に示すように、半導体基板101の表面に設けられている。
【0071】
多層配線層111は、配線111hと絶縁層111zとを含み、絶縁層111z内において、配線111hが各素子に電気的に接続するように形成されている。多層配線層111は、絶縁層111zと配線111hとを交互に積層することで形成されている。たとえば、配線111hは、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属導電材料を用いて形成されている。また、絶縁層111zは、シリコン酸化物などの絶縁材料を用いて形成されている。
【0072】
ここで、画素領域PAにおいては、各配線111hは、図5で示した、転送線26,アドレス線28,垂直信号線27,リセット線29などの各配線として機能するように積層して形成されている。各配線111hは、たとえば、画素PXの境界部分に設けられており、適宜、ビアホール(図示なし)によって電気的に接続されている。
【0073】
なお、周辺領域SAにおいては、周辺回路を構成する各半導体素子(図示なし)に各配線111hが、適宜、電気的に接続されている。
【0074】
そして、図6に示すように、多層配線層111の上面には、パッシベーション膜120と平坦化膜130とが設けられている。たとえば、パッシベーション膜120は、窒化シリコン(SiN)を用いて形成されている。また、たとえば、平坦化膜130は、樹脂などの有機材料を用いて形成されている。平坦化膜130は、パッシベーション膜120が形成された凹凸面を平坦化するために設けられている。
【0075】
(d)カラーフィルタCFについて
カラーフィルタCFは、図6に示すように、画素領域PAにおいて、平坦化膜130の上面に設けられている。
【0076】
図7は、実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。図7では、カラーフィルタCFの上面を示している。
【0077】
図7に示すように、カラーフィルタCFは、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとを含む。
【0078】
カラーフィルタCFにおいて、レッドフィルタ層CFRは、赤色に対応する波長帯域(たとえば、625〜740nm)において光透過率が高く、入射光Hが赤色に着色されて受光面JSへ透過する。グリーンフィルタ層CFGは、緑色に対応する波長帯域(たとえば、500〜565nm)において光透過率が高く、入射光Hが緑色に着色されて受光面JSへ透過する。ブルーフィルタ層CFBは、青色に対応する波長帯域(たとえば、450〜485nm)において光透過率が高く、入射光Hが青色に着色されて受光面JSへ透過する。
【0079】
レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれは、隣接しており、いずれかが、複数の画素PXのそれぞれに対応して設けられている。
【0080】
ここでは、図7に示すように、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれが、ベイヤー配列で並ぶように配置されている。すなわち、複数のグリーンフィルタ層CFGが市松状になるように、対角方向へ並んで配置されている。そして、レッドフィルタ層CFRとブルーフィルタ層CFBとが、複数のグリーンフィルタ層CFGにおいて、対角方向に並ぶように配置されている。
【0081】
たとえば、各フィルタ層CFR,CFG,CFBは、着色顔料とフォトレジスト樹脂とを含む塗布液を、スピンコート法などのコーティング方法によって塗布して塗膜を形成後、リソグラフィ技術によって、その塗膜をパターン加工して形成される。
【0082】
このように、カラーフィルタCFは、水平方向xと垂直方向yとにおいて隣接して並ぶ画素PXの間で、異なる色の光を透過するように構成されている。
【0083】
カラーフィルタCFは、RBGからなる原色フィルタのほか、イエロー,マゼンダ,シアンの補色フィルタで構成されていても良い。
【0084】
(e)マイクロレンズMLについて
マイクロレンズMLは、図6に示すように、画素領域PAにおいて、カラーフィルタCFの上面に設けられている。マイクロレンズMLは、画素領域PAにおいて画素PXに対応して設けられている。
【0085】
マイクロレンズMLは、上方へ凸状に突き出た凸型レンズであり、フォトダイオード21へ入射光Hを集光するように構成されている。つまり、マイクロレンズMLは、受光面JSに垂直な方向zにおいて中心が縁よりも厚くなるように形成されている。
【0086】
たとえば、マイクロレンズは、屈折率が、1.5よりも高い高屈折率材料を用いて形成されている。たとえば、SiNなどを、高屈折率材料として用いて形成されている。マイクロレンズは、たとえば、レンズ材膜上にレンズ形状のレジスト膜を形成後、エッチバック処理を実施することで形成される。この他に、マイクロレンズMLについては、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィ技術でパターン加工した後に、リフロー処理でレンズ形状に変形させることで形成してもよい。
【0087】
そして、図6に示すように、画素領域PAにおいて、マイクロレンズMLの上面を被覆して平坦化するように、透明層110が設けられている。透明層110は、マイクロレンズMLを構成する材料も屈折率が低い低屈折材料を用いて形成されている。たとえば、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの材料を用いて形成されている。透明層110は、厚みが、たとえば、10nm〜2μm程度であり、できるだけ薄いほうが好適である。
【0088】
(B)カバーガラス300について
カバーガラス300について説明する。
【0089】
図2に示すように、固体撮像装置1において、カバーガラス300は、ガラス基板301を含む。ガラス基板301は、厚みが、たとえば、10μm〜2mm程度であり、できるだけ薄いほうが好ましい。そして、ガラス基板301は、接着層501によってセンサ基板100に貼り合わされている。接着層501は、厚みが、たとえば、1μm〜500μm程度であり、できるだけ薄いほうが好ましい。
【0090】
ガラス基板301は、図2に示すように、センサ基板100と対面する下面に対して反対側の上面に、回折格子601が形成されている。
【0091】
回折格子601は、図2に示すように、ガラス基板301の上面の全体に渡って設けられている。つまり、回折格子601は、ガラス基板301において、センサ基板100の画素領域PAに対応する領域と、周辺領域SAに対応する領域との両者に形成されている。
【0092】
図8は、実施形態1において、回折格子601を示す上面図である。
【0093】
図8に示すように、回折格子601は、たとえば、格子状の凹凸パターンである。
【0094】
回折格子601は、たとえば、ガラス基板301の上面において、x方向に対して平行な溝TRが周期的に並ぶと共に、y方向に対して平行な溝TRが周期的に並ぶように、ガラス基板301の上面を加工することで形成される。
【0095】
上記の格子パターンの他に、種々のパターンで回折格子601を構成しても良い。たとえば、径が異なる複数の円形の溝が中心点を軸にして対称になるように並べることで、回折格子601を形成しても良い。つまり、複数の径が異なる同心円状のパターンで複数の溝を設けることで、回折格子601を形成しても良い。
【0096】
本実施形態においては、回折格子601は、透過型であり、半導体基板101の画素領域PAに周期的に配列された複数の画素PXに入射した入射光Hが反射し、回折格子601へ反射回折光として入射した光を回折して透過するように設けられている。
【0097】
図9は、実施形態1において、光の様子を示す断面図である。
【0098】
これに対して、図10は、回折格子を設けない場合において、光の様子を示す断面図である。
【0099】
図9,図10に示すように、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。たとえば、複数の画素PXのそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズMLなどの周期構造に入射光Hが被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズMLや半導体基板101の表面で反射された光が、反射回折光HKとなる。
【0100】
反射回折光HKは、上方へ向かい、カバーガラス300など部材へ入射する。
【0101】
ここでは、反射回折光HKは、屈折率が大きなカバーガラス300から、そのカバーガラス300の上方に存在する屈折率が小さな空気層へ向かう。このため、図10に示すように、カバーガラス300と、その上方の空気との界面では、反射回折光HKが全反射して、全反射光AHとして、画素PXへ、再度、入射する場合がある。よって、光強度が大きな全反射光AHが画素PXへ入射した場合には、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる。
【0102】
たとえば、下記の条件で各部を設けた場合において、波長が600nmの入射光Hが入射した場合には、全反射角度は、41.26°となる。そして、反射回折光HKのうち、3次回折光は、回折角度が42.71°となり、全反射角度よりも大きくなる。よって、カバーガラス300と空気との界面で全反射される。そして、その全反射光AHは、往路において入射光Hが入射した位置から、0.94mm(540個の画素PX分)程度、離れた位置に入射する。このため、上記したように、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる場合がある。
・カバーガラス300の屈折率:1.52
・接着層501の屈折率:1.52
・透明層110の屈折率:1.52
・カバーガラス300の厚み:500μm
・接着層501の厚み:10μm
・透明層110の厚み:1μm
・画素PXのピッチP:1.75μm
【0103】
図9に示すように、本実施形態の場合においても、カバーガラス300と空気との界面にて全反射光AHが生ずる条件では、反射回折光HKの一部が0次回折光KK00として反射し、画素PXへ入射し得る。
【0104】
しかしながら、本実施形態の場合には、図9に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって、±1,2次の回折光KK11,KK12,KK21,KK22として分散される。よって、画素PXへ再入射する光の光強度が低下することになる。
【0105】
たとえば、回折格子601を下記の条件で形成した場合には、42.71°の入射角で回折格子601へ入射する反射回折光HKは、回折格子601によって、下記のような回折角の回折光に分散される。
・回折格子601の格子ピッチ:2.2μm
・+1次回折光の回折角:43.2°
・−1次回折光の回折角:23.4°
・+2次回折光の回折角:58.4°
・−2次回折光の回折角:13.3°
【0106】
このため、0次回折光KK00と+1次回折光KK11と+2次回折光KK12は、全反射されるが、−1次回折光KK21,−2次回折光KK22は、カバーガラス300と空気との界面で反射されず、その界面よりも上方へ屈折して透過する。よって、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。図示を省略しているが、反射回折光HKは、3次以上の回折光にも回折され、そのうちの一部が、カバーガラス300と空気との界面よりも上方へ透過する。
【0107】
したがって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
なお、上記の場合には、回折格子601は、格子ピッチが3μm以下であることが好適である。3μmを超える場合には、波長が650nmの入射光Hが入射した場合に、全反射角度41.28°での光は、回折格子による回折によって空気層へ出射することが困難になる(後述の式(d3)参照)。このため、この場合には、全反射によって、ゴースト(フレア)が発生する場合がある。
【0108】
なお、下記の式(A)を満たすように各部が構成されている場合には、本実施形態のような回折格子601を設けない状態では、カバーガラス300と空気との界面で全反射が生じる。このため、この場合には、本実施形態のように、反射回折光HKにおいて全反射する成分について回折格子601が回折して透過するように、回折格子601を設けることが好適である。
【0109】
【数1】
【0110】
図11は、実施形態1において、式(A)を構成する各因子を示す図である。
【0111】
図11に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n0:カバーガラス300の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n1:カバーガラス300の屈折率
・n4:マイクロレンズMLを被覆する透明層110の屈折率
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・θ0:カバーガラス300と空気層との界面から出射する光の出射角
・θ1:カバーガラス300と空気層との界面へ入射する光の入射角
・θ4:画素PXへ入射する入射光Hの入射角(画素PXが設けられた面に対して垂直な軸に対して、外付けレンズの光軸が傾斜する角度)
・θ5:画素PXによる反射回折光HKの回折角
・m1:画素PXによる反射回折光HKの回折次数(m1=±1,±2,・・・)
【0112】
式(A)は、下記に示すスネルの法則による式(a1)と、画素PXによる回折の式(a2)とを用いて導かれる。
【0113】
【数2】
【0114】
【数3】
【0115】
図11において、式(a1)は、n4=n1,θ1=θ5のとき、下記の式(a3)になる。
【0116】
【数4】
【0117】
また、式(a2)は、下記の式(a4)のように展開できる。
【0118】
【数5】
【0119】
よって、式(a3)と式(a4)から、式(a5)が導かれる。
【0120】
【数6】
【0121】
このため、この式(a5)から、全反射する場合(θ0≧90°)には、上記の式(A)が得られる。
【0122】
なお、θ4=0°の場合には、式(A)より、下記の式(A1)を満たす場合に全反射が生ずる。また、n0=1(空気)の場合には、下記の式(A2)を満たす場合に全反射が生ずる。
【0123】
【数7】
【0124】
【数8】
【0125】
図12,図13は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【0126】
図12,図13において、縦軸は、式(A)の右辺の値を示しており、この値が1以上の場合には、全反射が生じることを示している。横軸は、画素ピッチP(nm)を示している。そして、図12,図13では、入射光Hが複数の代表的な波長λの場合の結果について示している。図12,図13において、(a)は、m1=1,(b)は、m1=2,(c)は、m1=3の場合を示している。また、図12は、n0=1(空気)の場合を示し、図13は、n0=1.2の場合を示している。
【0127】
式(A)より、可視光(波長400〜650nm)を受光する場合、2次回折光については、たとえば、1.4μm以下の画素ピッチの場合に全反射が生じることが判る。また、3次回折光については、たとえば、2μm以下の画素ピッチの場合に全反射することが判る。
【0128】
この他に、シリコンが感度を有する波長域(1200nm以下)を考慮すると、1次回折光については、1.2μm以下の画素ピッチの場合に全反射が生じることが判る。また、2次回折光については、たとえば、2.4μm以下の画素ピッチの場合に全反射することが判る。
【0129】
なお、4次以上の回折次数の回折光についても、全反射が生じ得るが、回折効率が低く、光強度が小さいので、ゴーストの発生が少ない。このため、特に、3次以下の回折次数の回折光について、全反射が生じる場合に、本実施形態のように、回折格子601を設けることが好適である。
【0130】
(2)製造方法
以下より、上記の固体撮像装置1を製造する製造方法の要部について説明する。
【0131】
上記の固体撮像装置1を製造する際には、まず、センサ基板100の形成を実施する。具体的には、図2に示したように、半導体基板101に画素PXなどの各部を設ける。
【0132】
この他に、カバーガラス300について形成する。ここでは、上記したように、ガラス基板301の一方の面を加工して溝を形成して回折格子601を設けることによって、からバーガラス300を形成する。
【0133】
つぎに、センサ基板100とカバーガラス300とを貼り合わせる。たとえば、センサ基板100においてカバーガラス300と貼り合わせる面に接着層501を設ける。そして、カバーガラス300を位置合わせして貼り合わせる。
【0134】
その後、バンプ402の形成やダイシングを実施して、固体撮像装置1を完成させる。
【0135】
(3)まとめ
以上のように、本実施形態において、センサ基板100は、入射光Hを受光する複数の画素PXが半導体基板101の上面に配列されている。カバーガラス300(透明基板)は、センサ基板100の上面に下面が対面しており、入射光Hが透過する。回折格子601は、カバーガラス300を構成するガラス基板301の上に設けられており、入射光Hが透過する。また、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折するように形成されている(図9参照)。
【0136】
ここでは、その反射回折光HKのうち、回折格子601が設けられない状態でカバーガラス300の上面で全反射する成分の少なくとも一部について、回折格子601が回折して透過するように形成されている(図9参照)。つまり、反射回折光HKの一部が回折格子601から半導体基板101が設けられた側へ反射せずに、半導体基板101が設けられた側とは反対側へ、その反射回折光HKの一部が透過する。
【0137】
したがって、上述したように、本実施形態は、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601は、カバーガラス300の上面に設けられている。
この場合には、空気の屈折率n0とカバーガラス300の屈折率n1との間の差△nが、0.5程度、得られる。よって、より広い格子ピッチの回折格子600で、全反射を回避できるので、回折格子600の製造上の難易度を下げることが可能であり、さらに好適である。
【0138】
なお、本実施形態の回折格子601は、2レベルである。このため、回折格子601による回折光は、0次回折光成分が約50%,+1次光成分が約20%,−1次光成分が約20%となる。このため、±1次光成分が画素ピッチP以上の距離分、シフトした場合であっても、2重像として観察されにくい。
【0139】
<2.実施形態2>
(1)装置構成など
図14は、実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。図14は、図2と同様に、断面を示している。
【0140】
図14に示すように、本実施形態においては、回折格子601が設けられた位置が、実施形態1の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0141】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601は、図14に示すように、ガラス基板301においてセンサ基板100と対面する下面に形成されている。
【0142】
回折格子601は、実施形態1の場合と同様に、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光が、カバーガラス300の上部の面より屈折して透過するように設けられている。
この場合には、接着層501の屈折率と、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nを0.2より大きくすることが好ましい。
また、回折格子601の凸部について、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nが0.2より大きい材料で形成することが好ましい。この他に、回折格子601の凹部に、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nが、0.2より大きい材料を埋めて形成することが好ましい。
たとえば、ガラス基板301より大きい屈折率の材料として、SiNなどの窒化物を用いて形成することが好ましい。また、ガラス基板301より小さい屈折率の材料として、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの材料を用いて形成することが好ましい。
つまり、回折格子601において、凸部を構成する材料の屈折率と、凹部に埋め込まれた材料の屈折率との間の差が、0.2よりも大きくなるように設けることが、好適である。
【0143】
(2)まとめ
本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0144】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601について、カバーガラス300の下面に設けている。この場合には、ガラス基板301の表面に凹凸が無いため、ゴミなどの汚れが付着しにくい。
また、本実施形態は、実施形態1よりも回折格子601が撮像面に近い。このため、往路において回折格子601で回折された光の広がり幅を画素ピッチ程度にする際に、回折格子601のピッチを、実施形態1の場合よりも広くすることができる。
よって、製造上の格子ピッチのバラつきを低減できる。
たとえば、格子ピッチの製造公差が0.1μm程度ある場合、その格子ピッチが1μm程度と非常に狭い場合には、10%の格子ピッチバラつきとなる。しかし、5μm程度の場合は、2%程度となるため回折角度を安定化の効果をさらに好適に奏することができる。
【0145】
<3.実施形態3>
図15は、実施形態3において、固体撮像装置の要部を示す図である。図15は、図2と同様に、断面を示している。
【0146】
図15に示すように、本実施形態においては、回折格子601が設けられた位置が、実施形態1の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0147】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601は、透明層110の上面に形成されている。
【0148】
回折格子601は、実施形態1の場合と同様に、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光がカバーガラス300の上部の面より屈折して透過するように設けられている。
本実施形態では、透明層110と接着層501との屈折率が互いに相違させる必要がある。
このため、たとえば、透明層110は、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの低屈折率材料を用いて形成することが好適である。また、接着層501は、たとえば、ガラス基板301と同等の屈折率(n=1.5)の材料で形成することが好適である。
【0149】
(2)まとめ
以上のように、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0150】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601について、透明層110の下面に設けている。この場合には、ガラス基板301の表面に凹凸が無いため、ゴミなどの汚れが付着しにくい。
また、本実施形態は、実施形態1よりも回折格子601が撮像面に近い。このため、往路において回折格子601で回折された光の広がり幅を画素ピッチ程度にする際に、回折格子601のピッチを、実施形態1の場合よりも広くすることができる。よって、実施形態2と同様な効果をさらに好適に奏することができる。
【0151】
<4.実施形態4>
図16は、実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。図16は、図2と同様に、断面を示している。
【0152】
図16に示すように、本実施形態においては、回折格子601として、第1回折格子601Aと、第2回折格子601Bとが設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0153】
本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601として、ガラス基板301の上面の全体に渡って、第1回折格子601Aが設けられている。
【0154】
これと共に、本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601として、透明層110の上面に、第2回折格子601Bが形成されている。
【0155】
第1回折格子601Aおよび第2回折格子601Bは、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光が上方へ屈折して透過するように設けられている。
【0156】
つまり、本実施形態では、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光が第2回折格子601Bに入射し、回折される。さらに、反射回折光が第1回折格子601Aに入射し、回折される。そして、その一部は、ガラス基板301の上方へ透過する。
【0157】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態は、実施形態1の場合と同様に、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bが、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0158】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bとのそれぞれを、回折格子601として、カバーガラス300の上面と下面とのそれぞれに設けている。
このため、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bとのそれぞれにおいては、回折角度が減少し、格子ピッチを広くできる。これにより、製造上の格子ピッチのバラつきを低減できる。
たとえば、格子ピッチの製造公差が0.1μm程度ある場合、その格子ピッチが1μm程度と非常に狭い場合には、10%の格子ピッチバラつきとなる。しかし、5μm程度の場合は、2%程度となるため回折角度を安定化することが可能となる。
【0159】
<5.実施形態5>
本実施形態においては、下記の式(B)と式(C)を満たすように各部を設計し、その設計に基づいて、各部を設けている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0160】
【数9】
【0161】
【数10】
【0162】
図17は、実施形態5において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【0163】
図17に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・d:回折格子601の格子ピッチ
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・L:回折格子601と半導体基板101との間の光学的距離(実際の距離×屈折率)
・m2:回折格子601で回折される回折光TKの回折次数(m2=±1,±2,・・・)
・θ2:回折格子601が設けられた面へ入射する入射光Hの入射角(回折格子法線に対する入射光の傾斜角)
・θ3:回折格子601で回折される回折光TKの回折角(回折格子法線に対する回折光の傾斜角)
・θ3’:回折格子601の界面で屈折する屈折光RK(0次光)の屈折角(回折格子面の法線に対する屈折光の傾斜角)
・W:回折光TKのシフト量(半導体基板101の面で所定の次数(m2)の回折光が屈折光RK(0次回折光)に対してシフトした量)
・RW:入射位置から屈折光RKが半導体基板101の面に到達したときの幅(屈折光到達幅)
・DW:入射位置から回折光TKが半導体基板101の面に到達したときの幅(回折光到達幅)
【0164】
式(B)は、下記に示す回折の式(b1)〜(b4)を用いて導かれる。上記の回折光到達幅DWは、下記に示す式(b2)の関係にある。上記の屈折光到達幅RWは、下記に示す式(b3)の関係にある。また、屈折光到達幅RWと回折光到達幅DWとは、下記の式(b4)の関係にある。
【0165】
【数11】
【0166】
【数12】
【0167】
【数13】
【0168】
【数14】
【0169】
そして、式(b1)〜式(b4)より、シフト量Wは、下記の式(b5)となる。よって、この式(b5)から上記の式(B)が得られる。
【0170】
【数15】
【0171】
図17に示すように、上方から回折格子601へ入射光Hが入射した場合には、入射光Hが回折格子601によって回折されて出射される。このため、屈折光RK(0次回折光)が入射する位置とは、異なる位置の画素PXへ、他の次数の回折光TKが入射する場合がある。よって、撮像画像にボケが生じて、画像品質が低下する場合がある。
しかし、上記の式(B)で示すシフト量Wが、式(C)を満たす場合には、そのシフト量Wが、画素PXのピッチP以下である。このため、異なる位置の画素PXへ光が入射することを抑制できるので、画像品質の低下を防止することができる。特に、±1次の回折光(m2=±1)については、光強度が大きいので、上記の関係を満足させるように、各部を構成することが好適である。
なお、θ2=0°の場合には、式(B)から、下記の式(B1)が導かれる。
【0172】
【数16】
【0173】
図18は、実施形態5において、式(B1)の関係を示す図である。
【0174】
図18において、縦軸は、回折格子とセンサ間の距離L(μm)を示している。横軸は、画素ピッチP(nm)を示している。また、凡例は、格子ピッチd(μm)を示している。
ここでは、m2=1,n3=1.5,λ=500nm、θ2=0°の場合を示している。
【0175】
式(B1)から、たとえば、下記の条件になるように、各部を設けることが好適である。
・λ=500nm
・n3=1.5
・P=1.8μm
・L≧40μm
・m2=±1
・d>約7.5
【0176】
すなわち、入射光Hが上方から入射した回折格子601を透過した回折光TKにおいて、±1次回折光の中心軸が、屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトする。このときのシフト量Wが、画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601を形成することが好適である。
【0177】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0178】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0179】
この他に、本実施形態では、上記したように、式(B),式(C)を満たすように設けられている。
【0180】
このため、上記したように、異なる位置の画素PXへ光が入射することを抑制できるので、撮像画像にボケが生ずることを防止し、画像品質を更に向上することができる。
【0181】
特に、本実施形態では、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、複数の画素PXの画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601が形成されている。つまり、半導体基板101の上面において、±1次回折光(m2=±1)の中心軸が屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601を形成している(W<P)。この場合には、光強度が大きい±1次の回折光(m2=±1)が、隣接する他の画素へ入射しないので、撮像画像にボケが生ずることを更に好適に防止可能である。
【0182】
上記の他に、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、複数の画素PXの画素ピッチPと同じになるように、回折格子601を形成してもよい。つまり、半導体基板101の上面において1次回折光(m2=±1)の中心軸が0次回折光の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、画素ピッチPと同じになるように、回折格子601を形成してもよい(W=P)。
この場合には、回折格子601が光学ローパスフィルタとして機能する。つまり、被写体像として高い周波数の入射光を受光し撮像する場合には、画素ピッチに基づく空間周波数(ナイキスト周波数)で折り返し成分が生じる場合があるが、その折り返し成分の発生を抑制できる。よって、撮像画像の画像品質を、さらに好適に向上できる。
【0183】
(3)変形例
本実施形態では、実施形態1の場合において、上記の式(B),式(C)を満たすように、各部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。他の実施形態においても、上記の式(B),式(C)を満たすように、各部を設けてもよい。
【0184】
(3−1)変形例1
図19は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図19では、実施形態2(図14参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0185】
図19に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0186】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0187】
(3−2)変形例2
図20は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図20では、実施形態3(図15参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0188】
図20に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(接着層501)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(透明層110)の屈折率
【0189】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0190】
(3−3)変形例3
図21は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図21では、実施形態4(図16参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0191】
図21に示すように、本変形例では、複数の回折格子601(第1回折格子601Aと第2回折格子601B)のうち、半導体基板101に最も近い第2回折格子601Bについて、式(B),式(C)を満たすように設けることが好適である。具体的には、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0192】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0193】
(3−4)変形例4
上記においては、式(B)の他に、式(C)を満たす場合について示したが、これに限定されない。
【0194】
上記の他に、撮像レンズ(図1の光学系42に相当)は、収差を有しており、結像限界がある。この結像限界は、有限の値であり、この際の最小スポット径を、結像限界性能の幅LMとする。
この場合には、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、結像限界性能の幅LMよりも小さくなるように、回折格子601を形成することが好適である。つまり、半導体基板101の上面において、1次回折光(m2=±1)の中心軸が屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、結像限界性能の幅LMよりも小さくなるように、回折格子601を形成しても好適である(W<LM)。
結像性能を考慮しない理想的な場合にはボケが目立たないシフト量の条件は1画素までである。しかし、上記のように、撮像レンズの結像性能を考慮した回折格子の条件にして、実際のレンズの収差を考慮することで許容できるシフト量は広がることになるので、回折格子601の設計自由度を広くすることが可能となる。
よって、画質を適切に保つ効果を好適に奏することができる。
【0195】
<6.実施形態6>
本実施形態においては、下記の式(D)を更に満たすように各部が設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態5と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0196】
【数17】
【0197】
図22は、実施形態6において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【0198】
図22に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(ガラス基板301,接着層501)の屈折率
・n4:マイクロレンズMLを被覆する透明層110の屈折率
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・d:回折格子601の格子ピッチ
・θ4:画素PXへ入射する入射光Hの入射角(画素PXが設けられた面に対して垂直な軸に対して、外付けレンズの光軸が傾斜する角度)
・θ5:画素PXによる反射回折光HKの回折角
・θ6:反射回折光HKの回折格子601への入射角
・θ7:反射回折光HKが回折格子601によって回折されて生ずる回折光TKの回折角
・m1:画素PXによる反射回折光HKの回折次数(m1=±1,±2,・・・)
・m3:反射回折光HKが回折格子601で回折されて生ずる回折光TKの回折次数(m3=±1,±2,・・・)
【0199】
式(D)は、下記に示す式(d1)〜式(d3)を用いて導かれる。ここで、式(d1)は、画素PXによる回折を示す式である。式(d2)は、マイクロレンズMLを被覆する透明層110と、回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)との界面における挙動を示す式である。式(d3)は、回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)と下方に位置する層(ガラス基板301)との界面における挙動を示す式である。
【0200】
【数18】
【0201】
【数19】
【0202】
【数20】
【0203】
式(d1)と式(d2)より、式(d4)が導かれる。
【0204】
【数21】
【0205】
そして、式(d3)を変形すると、式(d5)が導かれる。
【0206】
【数22】
【0207】
そして、式(d5)を式(d4)に加えると、式(d6)が導かれる。
【0208】
【数23】
【0209】
図22に示すように、反射回折光HKが下方から回折格子601へ進み、回折格子601によって回折されて回折光TKが生ずる。このとき、その回折光TKの回折角θ7が90°以上の場合には、回折格子601が設けられた面で反射が生じることになる。このため、その回折光TKは、本来、入射すべき位置とは異なる位置の画素PXへ入射する場合がある。よって、画像品質が低下する場合がある。
【0210】
しかし、回折光TKの回折角θ7が90°未満の場合には、回折格子601が設けられた面で反射が生じずに、屈折して、上方へ透過する。このため、回折光TKが、本来、入射すべき位置とは異なる位置の画素PXへ入射しないので、画像品質が低下することを防止できる。つまり、本実施形態のように、式(d6)において、θ7が90°未満の場合を示す式(D)を満足することで、画像品質を向上させることができる。たとえば、式(A)から特定されるm1=±1〜5と、式(D)におけるm3=±1〜5については、光強度が大きいので、上記の関係を満足させるように、各部を構成することが好適である。
【0211】
本実施形態では、下記のような手順で回折格子601の格子ピッチdを最適化し、その最適化された条件で、回折格子601を形成する。
まず、実施形態1の場合で示した式(A)を用いて、画素PXによる反射回折光HKについて全反射が何次(m1)以上で生じるかを特定する。
そして、実施形態5で示したように、式(B)と式(C)を満たすような、回折格子の格子ピッチdの条件(範囲)を特定する。
そして、回折格子601による全反射光が極力少なくなるように、回折格子ピッチdの条件を最適化する。
この最適化においては、上記で特定した次数m1であって、複数条件の次数m3の場合に、式(D)を満足する回折格子のピッチdの条件を別途求める。その後、式(D)を満たす格子ピッチdの各条件と、式(B)と式(C)を満たす格子ピッチdの条件との全てを満足する条件を、回折格子601の格子ピッチdの最適条件として設定する。
具体的には、式(A)から、波長500nmの光の場合には4次以上の次数(m1=4)で全反射が生じることが求められる。このため、m1=4であって、たとえば、m3=1,2,3の場合には、上記の式(D)の関係を満たす格子ピッチdは、下記のように算出される。
(m1=4,m3=1,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが4.5μm未満のとき好適
(m1=4,m3=2,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが9.0μm未満のとき好適
(m1=4,m3=3,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが9.0μm未満のとき好適
この他に、実施形態5で示したように、式(B),式(C)を満たすためには、格子ピッチdを7.5μm以上とすることが好適であることが算出される。
よって、これらの結果から、m1=4,m3=1,2および3,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合、格子ピッチdが4μm以下の条件が最適条件として求められる。
【0212】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、他の実施形態の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0213】
したがって、本実施形態は、他の実施形態と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0214】
特に、本実施形態では、式(D)を満たすように設けられている。このため、反射回折光HKにおいて全反射する成分を回折格子601が回折して透過できる。よって、ゴーストの発生を更に好適に抑制可能であって、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0215】
(3)変形例
本実施形態では、実施形態5の場合において、上記の式(D)を満たすように、各部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。他の実施形態においても、上記の式(D)を満たすように、各部を設けてもよい。
【0216】
(3−1)変形例1
図23は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図23では、実施形態2(図14参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0217】
図23に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
【0218】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0219】
(3−2)変形例2
図24は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図24では、実施形態3(図15参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0220】
図24に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0221】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0222】
(3−3)変形例3
図25は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図25では、実施形態4(図16参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0223】
図25に示すように、本変形例では、複数の回折格子601(第1回折格子601Aと第2回折格子601B)のうち、半導体基板101に最も遠い第1回折格子601Aについて、式(D)を満たすように設けることが好適である。
【0224】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0225】
<7.実施形態7>
図26は、実施形態7において、固体撮像装置の要部を示す図である。図26は、図14と同様に、断面を示している。
【0226】
図26に示すように、本実施形態においては、キャビティ700が設けられている。また、赤外カットフィルタIRCFが設けられている。また、透明層110が設けられていない。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態2と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0227】
固体撮像装置は、図26に示すように、センサ基板100とカバーガラス300とが対面するように配置されている。そして、この対面する面の中央部分に、空洞なキャビティ700が設けられている。そして、センサ基板100とカバーガラス300とにおいて対面する面の周辺部分に、接着層501が設けられており、この接着層501によって両者が貼り合わされている。
【0228】
ここでは、図26に示すように、キャビティ700は、センサ基板100において画素領域PAが設けられた部分と、カバーガラス300を構成するガラス基板301との間に介在するように設けられている。
【0229】
そして、カバーガラス300を構成するガラス基板301において、センサ基板100に対面する面とは反対側の面には、赤外カットフィルタIRCFが設けられている。赤外カットフィルタIRCFは、バンドパスフィルタであり、入射光Hのうち、可視光成分を選択的に透過するように設けられている。本実施形態では、赤外カットフィルタIRCFは、吸収型でなく、反射型であって、入射光Hのうち、赤外成分などの光を反射によってカットし、可視光成分を選択的に透過するように設けられている。
【0230】
これに対して、カバーガラス300を構成するガラス基板301において、センサ基板100に対面する面には、回折格子601が設けられている。
【0231】
図27は、実施形態7において、光の様子を示す断面図である。
【0232】
これに対して、図28は、実施形態7において、回折格子601を設けない場合における光の様子を示す断面図である。
【0233】
図27,図28に示すように、本実施形態では、画素PXの上方から、赤外カットフィルタIRCF、ガラス基板301、回折格子601、キャビティ700を介して、被写体像として入射光Hが、半導体基板101の上面に設けられた画素PXへ入射する。
【0234】
このとき、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。たとえば、複数の画素PXのそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズMLなどの周期構造に入射光Hが被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズMLや半導体基板101の表面で反射された光が、反射回折光HKとなる。
【0235】
そして、反射回折光HKは、上方へ向かい、キャビティ700、カバーガラス300を介して、赤外カットフィルタIRCFへ入射する。
【0236】
このため、図28に示すように、反射型の赤外カットフィルタIRCFによって、反射回折光HKが反射し、反射光HHとして画素PXへ再入射する場合がある。そして、反射光HHが画素PXへ入射した場合には、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる。
【0237】
反射型の赤外カットフィルタIRCFは、光を透過する透過波長域において、境界部分の波長域では、反射率が高い。また、多層膜で作られる反射型の赤外カットフィルタIRCFは、斜め入射光に対しては、垂直入射光に対する赤外光を反射するバンドパス特性が短波長側にシフトするため、垂直入射で透過した可視光帯域の光が反射されることになる。このため、反射回折光HKのうち、上述の可視光部分の波長域の成分が、反射型の赤外カットフィルタIRCFで反射され反射光HHとして画素PXへ、再度、入射する場合がある。特に、太陽光などのように、高輝度な光が被写体像として入射した場合には、長波長な赤色成分の光が、反射光HHとして画素PXへ再入射する。よって、いわゆる「赤玉ゴースト」と呼ばれるゴーストが撮像画像に生じ、画像品質が低下する場合がある(たとえば、特許文献4参照)。
【0238】
しかしながら、本実施形態の場合には、図27に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKaとして分散し、回折格子601を透過する。そして、反射型の赤外カットフィルタIRCFで、その回折光KKaが反射されて、反射光HHとして、再度、回折格子601へ入射する。その後、その反射光HHは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKbとして分散して回折格子601を透過し、半導体基板101の上面側へ出射する。
この時、回折により赤外カットフィルタIRCFへの入射角度が小さくなる回折光は、上述の斜め入射光に対するバンドパス特性のシフト量が少ないため反射が減ることになる。このため、その回折された光の一部は、半導体基板101側へ戻らず赤外カットフィルタIRCFを透過することになる。
【0239】
このように、反射回折光HKは、再度、半導体基板101の上面へ入射するとき、複数の分散された回折光KKbとして入射する。よって、本実施形態では、反射回折光HKにおいて、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。
【0240】
よって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
【0241】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、反射型の赤外カットフィルタIRCFが、センサ基板100の上面に対面しており、入射光のうち、可視光成分の波長範囲を選択的に透過する。回折格子601は、赤外カットフィルタIRCFと、センサ基板100との間に設けられており、入射光Hが透過する。そして、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折する。
【0242】
したがって、上述したように、本実施形態では、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質を向上することができる。
【0243】
<8.実施形態8>
図29は、実施形態8において、固体撮像装置の要部を示す図である。図29は、図26と同様に、断面を示している。
【0244】
図29に示すように、本実施形態においては、透明層110が設けられている。また、回折格子601が設けられた位置が異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態7と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0245】
図29に示すように、透明層110は、センサ基板100においてマイクロレンズMLが設けられた半導体基板101の上面を被覆して平坦化するように設けられている。
【0246】
たとえば、透明層110は、たとえば、下記の条件で設けられている。
(透明層110)
・材料:シリコン樹脂系、シロキサン樹脂系
・厚み:1μm程度
【0247】
そして、図29に示すように、透明層110の上面には、回折格子601が設けられている。
【0248】
図30は、実施形態8において、光の様子を示す断面図である。
【0249】
図30に示すように、画素PXの上方から、赤外カットフィルタIRCF、ガラス基板301、キャビティ700、回折格子601を介して、被写体像として入射光Hが、半導体基板101の上面に設けられた画素PXへ入射する。
【0250】
上述したように、このとき、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。そして、反射回折光HKは、キャビティ700、カバーガラス300を介して、赤外カットフィルタIRCFへ入射する。
【0251】
図30に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKaとして分散し、回折格子601を透過する。そして、反射型の赤外カットフィルタIRCFで、その回折光KKaが反射されて、反射光HHとして、再度、回折格子601へ入射する。その後、その反射光HHは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKbとして分散して回折格子601を透過し、半導体基板101の上面側へ出射する。
この時、回折により赤外カットフィルタIRCFへの入射角度が小さくなる回折光は、上述の斜め入射光に対するバンドパス特性のシフト量が少ないため反射が減ることになる。このため、回折された光のうち一部は半導体基板101側へ戻らず赤外カットフィルタIRCFを透過することになる。
【0252】
このように、反射回折光HKは、再度、半導体基板101の上面へ入射するとき、複数の分散された回折光KKbとして入射する。よって、本実施形態では、実施形態7と同様に、反射回折光HKにおいて、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。
【0253】
よって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
【0254】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、実施形態8と同様に、反射型の赤外カットフィルタIRCFが設置されている。そして、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折する。
【0255】
したがって、本実施形態では、実施形態8と同様に、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質を向上することができる。
【0256】
<9.実施形態9>
本実施形態においては、入射光Hが回折格子601によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)の関係を満たすように、回折格子601が設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態7と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0257】
【数24】
【0258】
図31は、実施形態9において、回折パターンを示す図である。図31では、縦軸が、回折パターンの輝度を示し、横軸が、位置を示している。
図31において、(a)は、元の回折パターンであって、複数の画素PXによって生じる反射回折光(赤玉ゴースト)を示している。そして、(b)は、その反射回折光(赤玉ゴースト)が、回折格子601によって回折された後の回折パターンを示している。
【0259】
図31に示すように、式(E)を構成する各因子は、下記の通りである。
・KP0:0次回折光のピーク位置P0における輝度(0次回折光の出射位置での極大値)
・KP1:±1次回折光のピーク位置P1における輝度(1次回折光の出射位置での極大値)
・KPB:0次回折光のピーク位置P0と±1次回折光のピーク位置P1との間に生じるボトム位置PBにおける輝度(0次回折光の出射位置と±1次回折光の出射位置との間の極小値)
P0は、画素PXで生じる回折によるゴースト像を意味している(図28参照)。P1は、回折格子601により生じる回折像を意味している(図27、図29参照)。
【0260】
上記の式(E)を満たす場合(左辺が0.1より大きい場合)には、回折により光が分散して拡散が大きくなり、また、一部の回折光が赤外カットフィルタIRCFで反射せずに透過される。このため、回折格子601を設けない場合に生ずる赤玉ゴースト(「元の回折パターン」,図31(a)参照)の光が拡散し、更に、その赤玉ゴーストのピーク輝度が減衰することになる(図31(b)参照)。たとえば、ピーク輝度のレベルが半分になる。よって、赤玉ゴーストを低減することができる。
これに対して、上記の式(E)を満たさない場合(左辺が0.1以下の場合)には、赤玉ゴーストのピーク輝度が減衰するが、拡散が小さいために、上記の効果を得ることができない。
【0261】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、入射光Hが回折格子601によって回折されたときの回折光の回折パターンが、式(E)を満たすように、回折格子601が設けられている。
【0262】
このため、上記したように、撮像画像を向上することができる。
【0263】
なお、本実施形態では、実施形態7の「キャビティ構造」の固体撮像装置において、上記の式(E)を満たす場合について示したが、これに限定されない。
他の実施形態で示した「キャビティレス構造」においても、上記の式(E)を満たすように、回折格子601を形成することが好適である。
【0264】
<10.その他>
本技術の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0265】
上記の実施形態においては、回折格子について断面が矩形状の凸部と凹部とを周期的に配置させる場合について説明したが、これに限定されない。
【0266】
図32は、回折格子の形状を示す断面図である。
【0267】
図32(a)に示すように、回折格子については、溝の断面形状が鋸歯状になるように形成しても良い。また、図32(b)に示すように、正弦波状に形成しても良い。
【0268】
上記の実施形態においては、回折格子が2レベル(±1次回折効率41%(最大値))の場合について示したが、これに限定されない。4レベル(±1次回折効率81%(最大値))のものなど、種々の回折格子を用いても良い。
【0269】
上記の実施形態においては、可視光帯域の光を被写体像として撮像する場合について説明したが、これに限定されない。近赤外帯域などのように他の帯域の光を被写体像として撮像する場合に、本技術を適用してもよい。
【0270】
上記の実施形態においては、ガラス基板や透明層についてエッチング加工することで、回折格子を形成しているが、これに限定されない。種々の方向によって、回折格子を設けても良い。
たとえば、ガラス基板の面に、ガラス基板とは異なる屈折率材料で材料膜を成膜した後に、その材料膜を格子構造に加工する。その後、その格子構造の凹部に、ガラス基板と同等の屈折率の材料を埋め込むことで、回折格子を形成しても良い。
たとえば、ガラス基板の面をエッチング加工して設けた溝に、ガラス基板と異なる屈折率の材料を埋め込むことで、回折格子を形成してもよい。
また、インプリントや金型成形によって、回折格子を形成しても良い。
【0271】
上記の実施形態においては、固体撮像装置をカメラに適用する場合について説明したが、これに限定されない。スキャナーやコピー機などのように、固体撮像装置を備える他の電子機器に適用しても良い。
【0272】
上記の実施形態においては、センサ基板にガラス基板をカバーガラスとして貼り付ける場合について説明したが、これに限定されない。ガラス基板に代えて、プラスチックからなる透明基板を用いても良い。
【0273】
上記の実施形態では、固体撮像装置が、「表面照射型」のCMOSイメージセンサである場合について説明したが、これに限定されない。「裏面照射型」の場合に、本技術を適用しても良い。また、CCDイメージセンサの場合に、本技術を適用しても良い。
【0274】
その他、上記の各実施形態を、適宜、組み合わせても良い。
【0275】
本技術は、下記のような構成も取ることができる。
【0276】
(1)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【0277】
(2)
前記反射回折光のうち、前記回折格子が設けられない状態で前記透明基板の上面で全反射する成分について、前記回折格子が回折して透過するように形成されている、
(1)に記載の固体撮像装置。
【0278】
(3)
前記センサ基板と前記透明基板との間の全面に接着層が介在しており、前記センサ基板と前記透明基板とが前記接着層によって貼り合わされている、
(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
【0279】
(4)
前記センサ基板の上面を被覆する透明層
を有し、
前記センサ基板と前記透明基板とは、前記透明層を介在して前記接着層によって貼り合わされている、
(3)に記載の固体撮像装置。
【0280】
(5)
下記の式(A)を満たすように設けられている、
(4)に記載の固体撮像装置。
【0281】
【数25】
(式(A)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
また、n0は、前記透明基板の上方に位置する層の屈折率である。
また、n4は、前記透明層の屈折率である。
また、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。
また、θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
また、m1は、前記反射回折光の回折次数(m1=±1,±2,・・・)である。)
【0282】
(6)
前記回折格子は、前記透明基板の上面に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0283】
(7)
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0284】
(8)
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
(4)または(5)に記載の固体撮像装置。
【0285】
(9)
前記回折格子は、前記透明基板の上面と下面との両者に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0286】
(10)
下記の式(B)を満たすように設けられている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0287】
【数26】
(式(B)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n3は、前記回折格子が設けられた面の下方に位置する層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
Lは、前記回折格子と前記半導体基板との間の光学的距離である。
m2は、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光の回折次数である。
θ2は、前記回折格子が設けられた面へ入射する入射光の入射角である。
Wは、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光のシフト量である。)
【0288】
(11)
下記の式(C)を満たすように設けられている、
(10)に記載の固体撮像装置。
【0289】
【数27】
(式(C)において、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。)
【0290】
(12)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチよりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0291】
(13)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチと同じになるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0292】
(14)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、撮像光学系における結像限界性能の幅よりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0293】
(15)
下記の式(D)を満たすように設けられている、
(4)または(5)に記載の固体撮像装置。
【0294】
【数28】
(式(D)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n4は、前記透明層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
m3は、前記反射回折光が前記回折格子で回折されて生ずる回折光の回折次数(m3=±1,±2,・・・)である。)
【0295】
(16)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光のうち、所定の波長範囲の成分を選択的に透過する反射型のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと前記センサ基板との間に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【0296】
(17)
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
(16)に記載の固体撮像装置。
【0297】
(18)
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記センサ基板の上面を被覆する透明層と
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
(16)に記載の固体撮像装置。
【0298】
(19)
前記入射光が前記回折格子によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)を満たすように、前記回折格子が設けられている、
(1)から(18)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0299】
【数29】
(式(E)において、KP0は、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置における輝度である。
KP1は、前記回折パターンにおいて、±1次回折光のピーク位置における輝度である。
KPBは、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置と±1次回折光のピーク位置との間に生じるボトム位置における輝度である。)
【0300】
(20)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
電子機器。
【0301】
なお、上記の実施形態において、画素PXは、本技術の画素に相当する。上記の実施形態において、半導体基板101は、本技術の半導体基板に相当する。上記の実施形態において、センサ基板100は、本技術のセンサ基板に相当する。上記の実施形態において、ガラス基板301は、本技術の透明基板に相当する。上記の実施形態において、回折格子601は、本技術の回折格子に相当する。上記の実施形態において、透明層110は、本技術の透明層に相当する。上記の実施形態において、接着層501は、本技術の接着層に相当する。上記の実施形態において、カメラ40は、本技術の電子機器に相当する。上記の実施形態において、赤外カットフィルタIRCFは、本技術のバンドパスフィルタに相当する。
【符号の説明】
【0302】
1:固体撮像装置、13:垂直駆動回路、14:カラム回路、15:水平駆動回路、17:外部出力回路、17a:AGC回路、17b:ADC回路、18:タイミングジェネレータ、19:シャッター駆動回路、21:フォトダイオード、22:転送トランジスタ、23:増幅トランジスタ、24:選択トランジスタ、25:リセットトランジスタ、26:転送線、27:垂直信号線、28:アドレス線、29:リセット線、40:カメラ、42:光学系、43:制御部、44:信号処理部、100:センサ基板、101:半導体基板、110:透明層、111:多層配線層、111h:配線、111z:絶縁層、120:パッシベーション膜、130:平坦化膜、300:カバーガラス、301:ガラス基板、402:バンプ、501:接着層、601:回折格子、601A:第1回折格子、601B:第2回折格子、700:キャビティ、AH:全反射光、CF:カラーフィルタ、CFB:ブルーフィルタ層、CFG:グリーンフィルタ層、CFR:レッドフィルタ層、FD:フローティング・ディフュージョン、H:入射光、HH:反射光、HK:反射回折光、I:定電流源、IRCF:赤外カットフィルタ、JS:受光面、KK00:0次回折光、KK11:1次回折光、KK12:2次回折光、KK21:−1次回折光、KK22:−2次回折光、KKa:回折光、KKb:回折光、ML:マイクロレンズ、P:画素ピッチ、P0:ピーク位置、P1:ピーク位置、PA:画素領域、PI:画素分離部、PB:ボトム位置、PS:撮像面、PX:画素、SA:周辺領域、TK:回折光、TR:溝、Tr:画素トランジスタ、Vdd:電源供給線、W:シフト量、d:格子ピッチ、x:水平方向、y:垂直方向、z:深さ方向
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置、および、固体撮像装置を含むカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどの電子機器は、固体撮像装置を含む。たとえば、固体撮像装置として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサチップ、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサチップを含む。
【0003】
固体撮像装置は、複数の画素が基板の撮像面にアレイ状に配列されている。各画素においては、光電変換部が設けられている。光電変換部は、たとえば、フォトダイオードであり、外付けの撮像レンズを含む光学系を介して被写体像として入射する光を受光面で受光し光電変換することで信号電荷を生成する。
【0004】
固体撮像装置を構成する基板において入射光が被写体像として入射する面の上方には、カバーガラスが配置されている。固体撮像装置は、たとえば、「キャビティ構造」であり、カバーガラスと、画素が配列された基板との間には、空気層が介在している。この他に、固体撮像装置は、たとえば、「キャビティレス構造」であり、カバーガラスと、画素が配列された基板との間には、空気層が介在しておらず、たとえば、樹脂などの固体の層が介在している。「キャビティレス構造」は、「キャビティ構造」の空隙に起因して生ずる「反り」,「剥がれ」,「界面反射による感度低下」などの不具合の発生について防止可能である点で、好適である(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
また、カバーガラスの一方の面には、赤外カットフィルタなどのバンドパスフィルタが設けられる場合がある(たとえば、特許文献2参照)。たとえば、複数の蒸着膜を積層することで、反射型の赤外カットフィルタを設けることで、可視光の被写体像の撮像画像について画像品質を向上させている(たとえば、特許文献3参照)。
【0006】
固体撮像装置においては、基板の撮像面に周期的に配列された画素によって生ずる反射回折光に起因して、撮像画像にゴースト(フレア)が発生し、画像品質が低下する場合がある。具体的には、複数の画素のそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズなどの周期構造に入射光が被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光が回折されて、入射光の一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズや基板の表面で反射された光が、反射回折光となる。そして、その基板の上方に設置されているカバーガラス、赤外カットフィルタ、外付けレンズなど部材へ、その反射回折光が入射して反射される。そして、その部材で反射された反射回折光が画素へ再入射すると、撮像画像にゴーストが発生する。このような不具合を解消するために、種々の技術が提案されている(たとえば、非特許文献1,2,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−311454号公報(たとえば、図1,図5)
【特許文献2】特開2010−186818号公報(たとえば、図29)
【特許文献3】特開2001−203913号公報(たとえば、段落[0014])
【特許文献4】特開2011−082266号公報(たとえば、段落[0002],[0026])
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】松岡祥平その他、「撮像素子による反射回折ゴースト」、第34回光学シンポジウム予稿集、応用物理学会分科会 日本光学会、2009年7月2日、p.11〜p.12
【非特許文献2】青野康廣その他、「デジタルカメラ光学系の評価法」、第27回光学シンポジウム予稿集、応用物理学会分科会 日本光学会、2009年6月20日、p.1〜p.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の固体撮像装置においては、ゴーストの発生を十分に抑制することが容易でなく、撮像画像の画像品質を向上することが困難な場合がある。
【0010】
たとえば、「キャビティレス構造」の場合に微細な画素を配列させたときには、画素による反射回折光がカバーガラスの上面で全反射して、高輝度被写体の周囲に放射状に広がったゴーストが撮像画像に顕著に発生する場合がある。
【0011】
また、たとえば、「キャビティ構造」の場合には、画素による反射回折光のうち、高波長成分の光が反射型の赤外カットフィルタで反射され、「赤玉ゴースト」と呼ばれる、赤色のゴーストが撮像画像に顕著に発生する場合がある。
【0012】
したがって、本技術は、撮像画像の画像品質を向上可能な固体撮像装置および電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本技術の固体撮像装置,電子機器は、入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子とを有し、前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている。
【0014】
本技術では、半導体基板の上面にて複数の画素が配列された画素領域に入射光が入射し回折されることで生じた反射回折光を、回折格子が回折する。これにより、反射回折光の一部が回折格子から半導体基板が設けられた側へ反射せずに、半導体基板が設けられた側とは反対側へ、その反射回折光の一部が透過する。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、撮像画像の画像品質を向上可能な固体撮像装置および電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。
【図3】図3は、実施形態1において、センサ基板100の全体構成を示す図である。
【図4】図4は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図5】図5は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図6】図6は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【図7】図7は、実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。
【図8】図8は、実施形態1において、回折格子601を示す上面図である。
【図9】図9は、実施形態1において、光の様子を示す断面図である。
【図10】図10は、回折格子を設けない場合において、光の様子を示す断面図である。
【図11】図11は、実施形態1において、式(A)を構成する各因子を示す図である。
【図12】図12は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【図13】図13は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【図14】図14は、実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図15】図15は、実施形態3において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図16】図16は、実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図17】図17は、実施形態5において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図18】図18は、実施形態5において、式(B1)の関係を示す図である。
【図19】図19は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図20】図20は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図21】図21は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【図22】図22は、実施形態6において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図23】図23は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図24】図24は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図25】図25は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【図26】図26は、実施形態7において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図27】図27は、実施形態7において、光の様子を示す断面図である。
【図28】図28は、実施形態7において、回折格子601を設けない場合における光の様子を示す断面図である。
【図29】図29は、実施形態8において、固体撮像装置の要部を示す図である。
【図30】図30は、実施形態8において、光の様子を示す断面図である。
【図31】図31は、実施形態9において、式(E)を構成する各因子を示す図である。
【図32】図32は、回折格子の形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
なお、説明は、下記の順序で行う。
1.実施形態1(回折格子がカバーガラスの上面にある場合)
2.実施形態2(回折格子がカバーガラスの下面にある場合)
3.実施形態3(回折格子がカバーガラス以外の層にある場合)
4.実施形態4(回折格子がカバーガラスの上面と下面にある場合)
5.実施形態5(回折格子が式(B),式(C)を満たす場合)
6.実施形態6(回折格子が式(D)を満たす場合)
7.実施形態7(キャビティ構造において、回折格子がカバーガラスの下面にある場合)
8.実施形態8(キャビティ構造において、回折格子がカバーガラス以外の層にある場合)
9.実施形態9(回折格子が式(E)を満たす場合)
10.その他
【0019】
<1.実施形態1>
[1]装置構成
(1−1)カメラの要部構成
図1は、実施形態1において、カメラ40の構成を示す構成図である。
【0020】
図1に示すように、カメラ40は、固体撮像装置1と、光学系42と、制御部43と、信号処理部44とを有する。各部について、順次、説明する。
【0021】
固体撮像装置1は、光学系42を介して被写体像として入射する入射光Hを、撮像面PSで受光して光電変換することによって、信号電荷を生成する。ここでは、固体撮像装置1は、制御部43から出力される制御信号に基づいて駆動する。そして、信号電荷を読み出し、電気信号として出力する。
【0022】
光学系42は、結像レンズなどの光学部材を含み、入射光Hを、固体撮像装置1の撮像面PSへ集光するように配置されている。
【0023】
制御部43は、各種の制御信号を固体撮像装置1と信号処理部44とに出力し、固体撮像装置1と信号処理部44とを制御して駆動させる。
【0024】
信号処理部44は、固体撮像装置1から出力された電気信号について信号処理を実施することによって、たとえば、カラーデジタル画像を生成する。
【0025】
(1−2)固体撮像装置の要部構成
固体撮像装置1の要部構成について説明する。
【0026】
図2は、実施形態1において、固体撮像装置1の要部構成を示す図である。図2は、断面図であり、固体撮像装置1の構成を模式的に示している。
【0027】
固体撮像装置1は、図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とを含む。
【0028】
図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とは、互いに対面するように配置されている。
【0029】
ここでは、図2に示すように、センサ基板100と、カバーガラス300とのそれぞれの間には、接着層501が介在しており、接着層501によって両者が貼り合わされている。固体撮像装置1は、「キャビティレス構造」であって、センサ基板100とカバーガラス300との間の全面には、接着層501が設けられており、空洞なキャビティ部が設けられていない。
【0030】
固体撮像装置1を構成する各部について順次説明する。
【0031】
(A)センサ基板100について
固体撮像装置1を構成するセンサ基板100について説明する。
【0032】
固体撮像装置1において、センサ基板100は、たとえば、CMOSイメージセンサチップであり、図2に示すように、半導体基板101を含む。たとえば、半導体基板101は、単結晶シリコンで形成されている。
【0033】
半導体基板101においてカバーガラス300と対面する上面(表面)には、図2に示すように、画素領域PAと周辺領域SAとが設けられている。画素領域PAには、画素PXが複数配列されている。複数の画素PXのそれぞれには、マイクロレンズMLが設けられている。そして、半導体基板101の上面には、マイクロレンズMLを被覆するように、透明層110が設けられている。
【0034】
これに対して、半導体基板101の下面(裏面)には、図2に示すように、バンプ402が設けられている。
【0035】
図2に示すように、センサ基板100は、上方からカバーガラス300,接着層501を介して被写体像として入射する可視光域の入射光Hを、画素領域PAの各画素PXが受光することで、カラー画像を撮像するように構成されている。
【0036】
(A−1)センサ基板100の全体構成
図3は、実施形態1において、センサ基板100の全体構成を示す図である。図3では、上面を示している。
【0037】
センサ基板100において、画素領域PAは、図3に示すように、半導体基板101の中央部分に設けられている。画素領域PAは、矩形形状であり、複数の画素PXが水平方向xと垂直方向yとのそれぞれに、配置されている。画素PXの詳細構成については、後述する。
【0038】
センサ基板100において、周辺領域SAは、図3に示すように、画素領域PAの周囲に位置している。そして、この周辺領域SAにおいては、周辺回路が設けられている。
【0039】
具体的には、図3に示すように、垂直駆動回路13と、カラム回路14と、水平駆動回路15と、外部出力回路17と、タイミングジェネレータ(TG)18と、シャッター駆動回路19とが、周辺回路として設けられている。各部は、制御部43(図1参照)から入力される制御信号に基づいて駆動し、撮像動作が実行される。
【0040】
垂直駆動回路13は、図3に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの側部に設けられており、画素領域PAの画素PXを行単位で選択して駆動させる。
【0041】
カラム回路14は、図3に示すように、周辺領域SAにおいて、画素領域PAの下端部に設けられており、列単位で画素PXから出力される信号について信号処理を実施する。ここでは、カラム回路14は、CDS(Correlated Double Sampling;相関二重サンプリング)回路(図示なし)を含み、固定パターンノイズを除去する信号処理を実施する。
【0042】
水平駆動回路15は、図3に示すように、カラム回路14に電気的に接続されている。水平駆動回路15は、たとえば、シフトレジスタを含み、カラム回路14において画素PXの列ごとに保持されている信号を、順次、外部出力回路17へ出力させる。
【0043】
外部出力回路17は、図3に示すように、カラム回路14に電気的に接続されており、カラム回路14から出力された信号について信号処理を実施後、外部へ出力する。外部出力回路17は、AGC(Automatic Gain Control)回路17aとADC回路17bとを含む。外部出力回路17においては、AGC回路17aが信号にゲインをかけた後に、ADC回路17bがアナログ信号からデジタル信号へ変換して、外部へ出力する。
【0044】
タイミングジェネレータ18は、図3に示すように、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19のそれぞれに電気的に接続されている。タイミングジェネレータ18は、各種のタイミング信号を生成し、垂直駆動回路13、カラム回路14、水平駆動回路15,外部出力回路17,シャッター駆動回路19に出力することで、各部について駆動制御を行う。
【0045】
シャッター駆動回路19は、画素PXを行単位で選択して、画素PXにおける露光時間を調整するように構成されている。
【0046】
(A−2)センサ基板100の詳細構成
センサ基板100の詳細構成について説明する。
【0047】
図4〜図6は、実施形態において、センサ基板100の要部を示す図である。
【0048】
図4は、画素領域PAにおいて画素PXを設けた部分の上面を模式的に示している。そして、図5は、その画素PXの回路構成を示している。そして、図6は、その部分の断面を模式的に示している。具体的には、図6は、図4に示すX1−X2部分の断面を示している。
【0049】
図4,図5に示すように、画素領域PAにおいて、画素PXは、フォトダイオード21と、画素トランジスタTrとを有する。
【0050】
図6に示すように、画素PXにおいては、フォトダイオード21が半導体基板101の内部に設けられている。図6では図示していないが、半導体基板101の表面(図6では、上面)には、図4,図5に示した画素トランジスタTrが設けられている。そして、図6に示すように、その画素トランジスタTrを被覆するように多層配線層111が設けられている。そして、さらに、多層配線層111の上方には、カラーフィルタCF,マイクロレンズMLなどの部材が設けられている。
【0051】
画素PXにおいては、上方から入射光Hが入射し、各部を介して、フォトダイオード21が受光面JSで受光する。つまり、本実施形態のセンサ基板100は、「表面照射型」のCMOSイメージセンサである。
【0052】
なお、図示を省略しているが、周辺領域SA(図2参照)においては、半導体基板101の表面(上面)に、上述した周辺回路を構成するトランジスタなどの半導体素子(図示なし)が設けられている。そして、その半導体素子(図示なし)を被覆するように多層配線層111が設けられている。
【0053】
センサ基板100を構成する各部の詳細について説明する。
【0054】
(a)フォトダイオード21について
フォトダイオード21は、図2に示した複数の画素PXに対応するように複数が配置されている。つまり、撮像面(xy面)において、水平方向xと、この水平方向xに対して直交する垂直方向yとのそれぞれに並んで設けられている。
【0055】
図4に示すように、フォトダイオード21は、複数の画素PXの間を分離する画素分離部PIで区画された領域内に設けられている。そして、フォトダイオード21は、隣接する部分に画素トランジスタTrが設けられている。
【0056】
図5に示すように、フォトダイオード21は、アノードが接地されており、蓄積した信号電荷(ここでは、電子)が、画素トランジスタTrによって読み出されて、電気信号として垂直信号線27へ出力されるように構成されている。
【0057】
図6に示すように、フォトダイオード21は、n型の電荷蓄積領域を含み、そのn型の電荷蓄積領域の上面側と下面側とにp型のホール蓄積領域が形成されている。つまり、フォトダイオード21は、いわゆるHAD(Hole Accumulated Diode)構造で形成されている。
【0058】
(b)画素トランジスタTrについて
画素トランジスタTrは、図2に示した複数の画素PXに対応するように複数が配置されている。
【0059】
図4,図5に示すように、画素トランジスタTrは、転送トランジスタ22と増幅トランジスタ23と選択トランジスタ24とリセットトランジスタ25とを含み、フォトダイオード21から信号電荷を読み出して電気信号として出力する。たとえば、画素トランジスタTrは、図4に示すように、撮像面(xy面)において、フォトダイオード21の下方に位置するように設けられている。
【0060】
図6では図示していないが、画素トランジスタTrを構成する各トランジスタ22〜25は、上述したように、半導体基板101の上面(表面)に設けられている。たとえば、各トランジスタ22〜25は、NチャネルのMOSトランジスタであって、各ゲートが、たとえば、ポリシリコンを用いて形成されている。そして、各トランジスタ22〜25は、多層配線層111で被覆されている。
【0061】
(b−1)転送トランジスタ22
画素トランジスタTrにおいて、転送トランジスタ22は、図4,図5に示すように、フォトダイオード21で生成された信号電荷を、フローティング・ディフュージョンFDに転送するように構成されている。
【0062】
具体的には、転送トランジスタ22は、図4,図5に示すように、フォトダイオード21のカソードと、フローティング・ディフュージョンFDとの間に設けられている。そして、転送トランジスタ22は、ゲートに転送線26が電気的に接続されている。転送トランジスタ22では、転送線26からゲートに転送信号TGが与えられることによって、フォトダイオード21において蓄積された信号電荷を、フローティング・ディフュージョンFDに転送する。
【0063】
(b−2)増幅トランジスタ23
画素トランジスタTrにおいて、増幅トランジスタ23は、図4,図5に示すように、フローティング・ディフュージョンFDにおいて、電荷から電圧へ変換された電気信号を増幅して出力するように構成されている。
【0064】
具体的には、増幅トランジスタ23は、図4に示すように、選択トランジスタ24とリセットトランジスタ25の間に設けられている。ここでは、増幅トランジスタ23は、図5に示すように、ゲートが、フローティング・ディフュージョンFDに電気的に接続されている。また、増幅トランジスタ23は、ドレインが電源供給線Vddに電気的に接続され、ソースが選択トランジスタ24に電気的に接続されている。増幅トランジスタ23は、選択トランジスタ24がオン状態になるように選択されたときには、定電流源Iから定電流が供給されて、ソースフォロアとして動作する。このため、増幅トランジスタ23では、選択トランジスタ24に選択信号が供給されることによって、フローティング・ディフュージョンFDにおいて、電荷から電圧へ変換された電気信号が増幅される。
【0065】
(b−3)選択トランジスタ24
画素トランジスタTrにおいて、選択トランジスタ24は、図4,図5に示すように、選択信号が入力された際に、増幅トランジスタ23によって出力された電気信号を、垂直信号線27へ出力するように構成されている。
【0066】
具体的には、選択トランジスタ24は、図4に示すように、増幅トランジスタ23に隣接するように設けられている。また、選択トランジスタ24は、図5に示すように、選択信号が供給されるアドレス線28にゲートが接続されている。そして、選択トランジスタ24は、選択信号が供給された際にはオン状態になり、上記のように増幅トランジスタ23によって増幅された出力信号を、垂直信号線27に出力する。
【0067】
(b−4)リセットトランジスタ25
画素トランジスタTrにおいて、リセットトランジスタ25は、図4,図5に示すように、増幅トランジスタ23のゲート電位をリセットするように構成されている。
【0068】
具体的には、リセットトランジスタ25は、図4に示すように、増幅トランジスタ23に隣接するように設けられている。このリセットトランジスタ25は、図5に示すように、リセット信号が供給されるリセット線29にゲートが電気的に接続されている。また、リセットトランジスタ25は、ドレインが電源供給線Vddに電気的に接続され、ソースがフローティング・ディフュージョンFDに電気的に接続されている。そして、リセットトランジスタ25は、リセット線29からリセット信号がゲートに供給された際に、フローティング・ディフュージョンFDを介して、増幅トランジスタ23のゲート電位を、電源電圧にリセットする。
【0069】
上記において、転送線26、アドレス線28、リセット線29は、水平方向x(行方向)に並ぶ複数の画素PXの各トランジスタ22,24,25のゲートに接続するように配線されている。このため、上記の各トランジスタ22,23,24,25の動作は、1行分の画素PXについて同時に行われる。
【0070】
(c)多層配線層111について
多層配線層111は、図6に示すように、半導体基板101の表面に設けられている。
【0071】
多層配線層111は、配線111hと絶縁層111zとを含み、絶縁層111z内において、配線111hが各素子に電気的に接続するように形成されている。多層配線層111は、絶縁層111zと配線111hとを交互に積層することで形成されている。たとえば、配線111hは、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属導電材料を用いて形成されている。また、絶縁層111zは、シリコン酸化物などの絶縁材料を用いて形成されている。
【0072】
ここで、画素領域PAにおいては、各配線111hは、図5で示した、転送線26,アドレス線28,垂直信号線27,リセット線29などの各配線として機能するように積層して形成されている。各配線111hは、たとえば、画素PXの境界部分に設けられており、適宜、ビアホール(図示なし)によって電気的に接続されている。
【0073】
なお、周辺領域SAにおいては、周辺回路を構成する各半導体素子(図示なし)に各配線111hが、適宜、電気的に接続されている。
【0074】
そして、図6に示すように、多層配線層111の上面には、パッシベーション膜120と平坦化膜130とが設けられている。たとえば、パッシベーション膜120は、窒化シリコン(SiN)を用いて形成されている。また、たとえば、平坦化膜130は、樹脂などの有機材料を用いて形成されている。平坦化膜130は、パッシベーション膜120が形成された凹凸面を平坦化するために設けられている。
【0075】
(d)カラーフィルタCFについて
カラーフィルタCFは、図6に示すように、画素領域PAにおいて、平坦化膜130の上面に設けられている。
【0076】
図7は、実施形態1において、カラーフィルタCFを示す図である。図7では、カラーフィルタCFの上面を示している。
【0077】
図7に示すように、カラーフィルタCFは、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとを含む。
【0078】
カラーフィルタCFにおいて、レッドフィルタ層CFRは、赤色に対応する波長帯域(たとえば、625〜740nm)において光透過率が高く、入射光Hが赤色に着色されて受光面JSへ透過する。グリーンフィルタ層CFGは、緑色に対応する波長帯域(たとえば、500〜565nm)において光透過率が高く、入射光Hが緑色に着色されて受光面JSへ透過する。ブルーフィルタ層CFBは、青色に対応する波長帯域(たとえば、450〜485nm)において光透過率が高く、入射光Hが青色に着色されて受光面JSへ透過する。
【0079】
レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれは、隣接しており、いずれかが、複数の画素PXのそれぞれに対応して設けられている。
【0080】
ここでは、図7に示すように、レッドフィルタ層CFRと、グリーンフィルタ層CFGと、ブルーフィルタ層CFBとのそれぞれが、ベイヤー配列で並ぶように配置されている。すなわち、複数のグリーンフィルタ層CFGが市松状になるように、対角方向へ並んで配置されている。そして、レッドフィルタ層CFRとブルーフィルタ層CFBとが、複数のグリーンフィルタ層CFGにおいて、対角方向に並ぶように配置されている。
【0081】
たとえば、各フィルタ層CFR,CFG,CFBは、着色顔料とフォトレジスト樹脂とを含む塗布液を、スピンコート法などのコーティング方法によって塗布して塗膜を形成後、リソグラフィ技術によって、その塗膜をパターン加工して形成される。
【0082】
このように、カラーフィルタCFは、水平方向xと垂直方向yとにおいて隣接して並ぶ画素PXの間で、異なる色の光を透過するように構成されている。
【0083】
カラーフィルタCFは、RBGからなる原色フィルタのほか、イエロー,マゼンダ,シアンの補色フィルタで構成されていても良い。
【0084】
(e)マイクロレンズMLについて
マイクロレンズMLは、図6に示すように、画素領域PAにおいて、カラーフィルタCFの上面に設けられている。マイクロレンズMLは、画素領域PAにおいて画素PXに対応して設けられている。
【0085】
マイクロレンズMLは、上方へ凸状に突き出た凸型レンズであり、フォトダイオード21へ入射光Hを集光するように構成されている。つまり、マイクロレンズMLは、受光面JSに垂直な方向zにおいて中心が縁よりも厚くなるように形成されている。
【0086】
たとえば、マイクロレンズは、屈折率が、1.5よりも高い高屈折率材料を用いて形成されている。たとえば、SiNなどを、高屈折率材料として用いて形成されている。マイクロレンズは、たとえば、レンズ材膜上にレンズ形状のレジスト膜を形成後、エッチバック処理を実施することで形成される。この他に、マイクロレンズMLについては、感光性樹脂膜をフォトリソグラフィ技術でパターン加工した後に、リフロー処理でレンズ形状に変形させることで形成してもよい。
【0087】
そして、図6に示すように、画素領域PAにおいて、マイクロレンズMLの上面を被覆して平坦化するように、透明層110が設けられている。透明層110は、マイクロレンズMLを構成する材料も屈折率が低い低屈折材料を用いて形成されている。たとえば、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの材料を用いて形成されている。透明層110は、厚みが、たとえば、10nm〜2μm程度であり、できるだけ薄いほうが好適である。
【0088】
(B)カバーガラス300について
カバーガラス300について説明する。
【0089】
図2に示すように、固体撮像装置1において、カバーガラス300は、ガラス基板301を含む。ガラス基板301は、厚みが、たとえば、10μm〜2mm程度であり、できるだけ薄いほうが好ましい。そして、ガラス基板301は、接着層501によってセンサ基板100に貼り合わされている。接着層501は、厚みが、たとえば、1μm〜500μm程度であり、できるだけ薄いほうが好ましい。
【0090】
ガラス基板301は、図2に示すように、センサ基板100と対面する下面に対して反対側の上面に、回折格子601が形成されている。
【0091】
回折格子601は、図2に示すように、ガラス基板301の上面の全体に渡って設けられている。つまり、回折格子601は、ガラス基板301において、センサ基板100の画素領域PAに対応する領域と、周辺領域SAに対応する領域との両者に形成されている。
【0092】
図8は、実施形態1において、回折格子601を示す上面図である。
【0093】
図8に示すように、回折格子601は、たとえば、格子状の凹凸パターンである。
【0094】
回折格子601は、たとえば、ガラス基板301の上面において、x方向に対して平行な溝TRが周期的に並ぶと共に、y方向に対して平行な溝TRが周期的に並ぶように、ガラス基板301の上面を加工することで形成される。
【0095】
上記の格子パターンの他に、種々のパターンで回折格子601を構成しても良い。たとえば、径が異なる複数の円形の溝が中心点を軸にして対称になるように並べることで、回折格子601を形成しても良い。つまり、複数の径が異なる同心円状のパターンで複数の溝を設けることで、回折格子601を形成しても良い。
【0096】
本実施形態においては、回折格子601は、透過型であり、半導体基板101の画素領域PAに周期的に配列された複数の画素PXに入射した入射光Hが反射し、回折格子601へ反射回折光として入射した光を回折して透過するように設けられている。
【0097】
図9は、実施形態1において、光の様子を示す断面図である。
【0098】
これに対して、図10は、回折格子を設けない場合において、光の様子を示す断面図である。
【0099】
図9,図10に示すように、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。たとえば、複数の画素PXのそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズMLなどの周期構造に入射光Hが被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズMLや半導体基板101の表面で反射された光が、反射回折光HKとなる。
【0100】
反射回折光HKは、上方へ向かい、カバーガラス300など部材へ入射する。
【0101】
ここでは、反射回折光HKは、屈折率が大きなカバーガラス300から、そのカバーガラス300の上方に存在する屈折率が小さな空気層へ向かう。このため、図10に示すように、カバーガラス300と、その上方の空気との界面では、反射回折光HKが全反射して、全反射光AHとして、画素PXへ、再度、入射する場合がある。よって、光強度が大きな全反射光AHが画素PXへ入射した場合には、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる。
【0102】
たとえば、下記の条件で各部を設けた場合において、波長が600nmの入射光Hが入射した場合には、全反射角度は、41.26°となる。そして、反射回折光HKのうち、3次回折光は、回折角度が42.71°となり、全反射角度よりも大きくなる。よって、カバーガラス300と空気との界面で全反射される。そして、その全反射光AHは、往路において入射光Hが入射した位置から、0.94mm(540個の画素PX分)程度、離れた位置に入射する。このため、上記したように、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる場合がある。
・カバーガラス300の屈折率:1.52
・接着層501の屈折率:1.52
・透明層110の屈折率:1.52
・カバーガラス300の厚み:500μm
・接着層501の厚み:10μm
・透明層110の厚み:1μm
・画素PXのピッチP:1.75μm
【0103】
図9に示すように、本実施形態の場合においても、カバーガラス300と空気との界面にて全反射光AHが生ずる条件では、反射回折光HKの一部が0次回折光KK00として反射し、画素PXへ入射し得る。
【0104】
しかしながら、本実施形態の場合には、図9に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって、±1,2次の回折光KK11,KK12,KK21,KK22として分散される。よって、画素PXへ再入射する光の光強度が低下することになる。
【0105】
たとえば、回折格子601を下記の条件で形成した場合には、42.71°の入射角で回折格子601へ入射する反射回折光HKは、回折格子601によって、下記のような回折角の回折光に分散される。
・回折格子601の格子ピッチ:2.2μm
・+1次回折光の回折角:43.2°
・−1次回折光の回折角:23.4°
・+2次回折光の回折角:58.4°
・−2次回折光の回折角:13.3°
【0106】
このため、0次回折光KK00と+1次回折光KK11と+2次回折光KK12は、全反射されるが、−1次回折光KK21,−2次回折光KK22は、カバーガラス300と空気との界面で反射されず、その界面よりも上方へ屈折して透過する。よって、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。図示を省略しているが、反射回折光HKは、3次以上の回折光にも回折され、そのうちの一部が、カバーガラス300と空気との界面よりも上方へ透過する。
【0107】
したがって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
なお、上記の場合には、回折格子601は、格子ピッチが3μm以下であることが好適である。3μmを超える場合には、波長が650nmの入射光Hが入射した場合に、全反射角度41.28°での光は、回折格子による回折によって空気層へ出射することが困難になる(後述の式(d3)参照)。このため、この場合には、全反射によって、ゴースト(フレア)が発生する場合がある。
【0108】
なお、下記の式(A)を満たすように各部が構成されている場合には、本実施形態のような回折格子601を設けない状態では、カバーガラス300と空気との界面で全反射が生じる。このため、この場合には、本実施形態のように、反射回折光HKにおいて全反射する成分について回折格子601が回折して透過するように、回折格子601を設けることが好適である。
【0109】
【数1】
【0110】
図11は、実施形態1において、式(A)を構成する各因子を示す図である。
【0111】
図11に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n0:カバーガラス300の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n1:カバーガラス300の屈折率
・n4:マイクロレンズMLを被覆する透明層110の屈折率
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・θ0:カバーガラス300と空気層との界面から出射する光の出射角
・θ1:カバーガラス300と空気層との界面へ入射する光の入射角
・θ4:画素PXへ入射する入射光Hの入射角(画素PXが設けられた面に対して垂直な軸に対して、外付けレンズの光軸が傾斜する角度)
・θ5:画素PXによる反射回折光HKの回折角
・m1:画素PXによる反射回折光HKの回折次数(m1=±1,±2,・・・)
【0112】
式(A)は、下記に示すスネルの法則による式(a1)と、画素PXによる回折の式(a2)とを用いて導かれる。
【0113】
【数2】
【0114】
【数3】
【0115】
図11において、式(a1)は、n4=n1,θ1=θ5のとき、下記の式(a3)になる。
【0116】
【数4】
【0117】
また、式(a2)は、下記の式(a4)のように展開できる。
【0118】
【数5】
【0119】
よって、式(a3)と式(a4)から、式(a5)が導かれる。
【0120】
【数6】
【0121】
このため、この式(a5)から、全反射する場合(θ0≧90°)には、上記の式(A)が得られる。
【0122】
なお、θ4=0°の場合には、式(A)より、下記の式(A1)を満たす場合に全反射が生ずる。また、n0=1(空気)の場合には、下記の式(A2)を満たす場合に全反射が生ずる。
【0123】
【数7】
【0124】
【数8】
【0125】
図12,図13は、実施形態1において、式(A)の関係を示す図である。
【0126】
図12,図13において、縦軸は、式(A)の右辺の値を示しており、この値が1以上の場合には、全反射が生じることを示している。横軸は、画素ピッチP(nm)を示している。そして、図12,図13では、入射光Hが複数の代表的な波長λの場合の結果について示している。図12,図13において、(a)は、m1=1,(b)は、m1=2,(c)は、m1=3の場合を示している。また、図12は、n0=1(空気)の場合を示し、図13は、n0=1.2の場合を示している。
【0127】
式(A)より、可視光(波長400〜650nm)を受光する場合、2次回折光については、たとえば、1.4μm以下の画素ピッチの場合に全反射が生じることが判る。また、3次回折光については、たとえば、2μm以下の画素ピッチの場合に全反射することが判る。
【0128】
この他に、シリコンが感度を有する波長域(1200nm以下)を考慮すると、1次回折光については、1.2μm以下の画素ピッチの場合に全反射が生じることが判る。また、2次回折光については、たとえば、2.4μm以下の画素ピッチの場合に全反射することが判る。
【0129】
なお、4次以上の回折次数の回折光についても、全反射が生じ得るが、回折効率が低く、光強度が小さいので、ゴーストの発生が少ない。このため、特に、3次以下の回折次数の回折光について、全反射が生じる場合に、本実施形態のように、回折格子601を設けることが好適である。
【0130】
(2)製造方法
以下より、上記の固体撮像装置1を製造する製造方法の要部について説明する。
【0131】
上記の固体撮像装置1を製造する際には、まず、センサ基板100の形成を実施する。具体的には、図2に示したように、半導体基板101に画素PXなどの各部を設ける。
【0132】
この他に、カバーガラス300について形成する。ここでは、上記したように、ガラス基板301の一方の面を加工して溝を形成して回折格子601を設けることによって、からバーガラス300を形成する。
【0133】
つぎに、センサ基板100とカバーガラス300とを貼り合わせる。たとえば、センサ基板100においてカバーガラス300と貼り合わせる面に接着層501を設ける。そして、カバーガラス300を位置合わせして貼り合わせる。
【0134】
その後、バンプ402の形成やダイシングを実施して、固体撮像装置1を完成させる。
【0135】
(3)まとめ
以上のように、本実施形態において、センサ基板100は、入射光Hを受光する複数の画素PXが半導体基板101の上面に配列されている。カバーガラス300(透明基板)は、センサ基板100の上面に下面が対面しており、入射光Hが透過する。回折格子601は、カバーガラス300を構成するガラス基板301の上に設けられており、入射光Hが透過する。また、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折するように形成されている(図9参照)。
【0136】
ここでは、その反射回折光HKのうち、回折格子601が設けられない状態でカバーガラス300の上面で全反射する成分の少なくとも一部について、回折格子601が回折して透過するように形成されている(図9参照)。つまり、反射回折光HKの一部が回折格子601から半導体基板101が設けられた側へ反射せずに、半導体基板101が設けられた側とは反対側へ、その反射回折光HKの一部が透過する。
【0137】
したがって、上述したように、本実施形態は、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601は、カバーガラス300の上面に設けられている。
この場合には、空気の屈折率n0とカバーガラス300の屈折率n1との間の差△nが、0.5程度、得られる。よって、より広い格子ピッチの回折格子600で、全反射を回避できるので、回折格子600の製造上の難易度を下げることが可能であり、さらに好適である。
【0138】
なお、本実施形態の回折格子601は、2レベルである。このため、回折格子601による回折光は、0次回折光成分が約50%,+1次光成分が約20%,−1次光成分が約20%となる。このため、±1次光成分が画素ピッチP以上の距離分、シフトした場合であっても、2重像として観察されにくい。
【0139】
<2.実施形態2>
(1)装置構成など
図14は、実施形態2において、固体撮像装置の要部を示す図である。図14は、図2と同様に、断面を示している。
【0140】
図14に示すように、本実施形態においては、回折格子601が設けられた位置が、実施形態1の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0141】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601は、図14に示すように、ガラス基板301においてセンサ基板100と対面する下面に形成されている。
【0142】
回折格子601は、実施形態1の場合と同様に、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光が、カバーガラス300の上部の面より屈折して透過するように設けられている。
この場合には、接着層501の屈折率と、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nを0.2より大きくすることが好ましい。
また、回折格子601の凸部について、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nが0.2より大きい材料で形成することが好ましい。この他に、回折格子601の凹部に、ガラス基板301の屈折率との間の屈折率差△nが、0.2より大きい材料を埋めて形成することが好ましい。
たとえば、ガラス基板301より大きい屈折率の材料として、SiNなどの窒化物を用いて形成することが好ましい。また、ガラス基板301より小さい屈折率の材料として、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの材料を用いて形成することが好ましい。
つまり、回折格子601において、凸部を構成する材料の屈折率と、凹部に埋め込まれた材料の屈折率との間の差が、0.2よりも大きくなるように設けることが、好適である。
【0143】
(2)まとめ
本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0144】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601について、カバーガラス300の下面に設けている。この場合には、ガラス基板301の表面に凹凸が無いため、ゴミなどの汚れが付着しにくい。
また、本実施形態は、実施形態1よりも回折格子601が撮像面に近い。このため、往路において回折格子601で回折された光の広がり幅を画素ピッチ程度にする際に、回折格子601のピッチを、実施形態1の場合よりも広くすることができる。
よって、製造上の格子ピッチのバラつきを低減できる。
たとえば、格子ピッチの製造公差が0.1μm程度ある場合、その格子ピッチが1μm程度と非常に狭い場合には、10%の格子ピッチバラつきとなる。しかし、5μm程度の場合は、2%程度となるため回折角度を安定化の効果をさらに好適に奏することができる。
【0145】
<3.実施形態3>
図15は、実施形態3において、固体撮像装置の要部を示す図である。図15は、図2と同様に、断面を示している。
【0146】
図15に示すように、本実施形態においては、回折格子601が設けられた位置が、実施形態1の場合と異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0147】
本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601は、透明層110の上面に形成されている。
【0148】
回折格子601は、実施形態1の場合と同様に、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光がカバーガラス300の上部の面より屈折して透過するように設けられている。
本実施形態では、透明層110と接着層501との屈折率が互いに相違させる必要がある。
このため、たとえば、透明層110は、多孔質シリカ(n=1.2以下)、フッ素化合物MgFなど(n=1.2以下)、シリコン樹脂系(n=1.3〜1.4)、シロキサン樹脂系などの低屈折率材料を用いて形成することが好適である。また、接着層501は、たとえば、ガラス基板301と同等の屈折率(n=1.5)の材料で形成することが好適である。
【0149】
(2)まとめ
以上のように、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0150】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、回折格子601について、透明層110の下面に設けている。この場合には、ガラス基板301の表面に凹凸が無いため、ゴミなどの汚れが付着しにくい。
また、本実施形態は、実施形態1よりも回折格子601が撮像面に近い。このため、往路において回折格子601で回折された光の広がり幅を画素ピッチ程度にする際に、回折格子601のピッチを、実施形態1の場合よりも広くすることができる。よって、実施形態2と同様な効果をさらに好適に奏することができる。
【0151】
<4.実施形態4>
図16は、実施形態4において、固体撮像装置の要部を示す図である。図16は、図2と同様に、断面を示している。
【0152】
図16に示すように、本実施形態においては、回折格子601として、第1回折格子601Aと、第2回折格子601Bとが設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0153】
本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601として、ガラス基板301の上面の全体に渡って、第1回折格子601Aが設けられている。
【0154】
これと共に、本実施形態では、実施形態1の場合と異なり、回折格子601として、透明層110の上面に、第2回折格子601Bが形成されている。
【0155】
第1回折格子601Aおよび第2回折格子601Bは、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光を回折し、その反射回折光のうち、一部の光が上方へ屈折して透過するように設けられている。
【0156】
つまり、本実施形態では、複数の画素PXに入射した入射光Hで生じた反射回折光が第2回折格子601Bに入射し、回折される。さらに、反射回折光が第1回折格子601Aに入射し、回折される。そして、その一部は、ガラス基板301の上方へ透過する。
【0157】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態は、実施形態1の場合と同様に、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bが、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0158】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
特に、本実施形態では、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bとのそれぞれを、回折格子601として、カバーガラス300の上面と下面とのそれぞれに設けている。
このため、第1回折格子601Aと第2回折格子601Bとのそれぞれにおいては、回折角度が減少し、格子ピッチを広くできる。これにより、製造上の格子ピッチのバラつきを低減できる。
たとえば、格子ピッチの製造公差が0.1μm程度ある場合、その格子ピッチが1μm程度と非常に狭い場合には、10%の格子ピッチバラつきとなる。しかし、5μm程度の場合は、2%程度となるため回折角度を安定化することが可能となる。
【0159】
<5.実施形態5>
本実施形態においては、下記の式(B)と式(C)を満たすように各部を設計し、その設計に基づいて、各部を設けている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態1と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0160】
【数9】
【0161】
【数10】
【0162】
図17は、実施形態5において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。
【0163】
図17に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・d:回折格子601の格子ピッチ
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・L:回折格子601と半導体基板101との間の光学的距離(実際の距離×屈折率)
・m2:回折格子601で回折される回折光TKの回折次数(m2=±1,±2,・・・)
・θ2:回折格子601が設けられた面へ入射する入射光Hの入射角(回折格子法線に対する入射光の傾斜角)
・θ3:回折格子601で回折される回折光TKの回折角(回折格子法線に対する回折光の傾斜角)
・θ3’:回折格子601の界面で屈折する屈折光RK(0次光)の屈折角(回折格子面の法線に対する屈折光の傾斜角)
・W:回折光TKのシフト量(半導体基板101の面で所定の次数(m2)の回折光が屈折光RK(0次回折光)に対してシフトした量)
・RW:入射位置から屈折光RKが半導体基板101の面に到達したときの幅(屈折光到達幅)
・DW:入射位置から回折光TKが半導体基板101の面に到達したときの幅(回折光到達幅)
【0164】
式(B)は、下記に示す回折の式(b1)〜(b4)を用いて導かれる。上記の回折光到達幅DWは、下記に示す式(b2)の関係にある。上記の屈折光到達幅RWは、下記に示す式(b3)の関係にある。また、屈折光到達幅RWと回折光到達幅DWとは、下記の式(b4)の関係にある。
【0165】
【数11】
【0166】
【数12】
【0167】
【数13】
【0168】
【数14】
【0169】
そして、式(b1)〜式(b4)より、シフト量Wは、下記の式(b5)となる。よって、この式(b5)から上記の式(B)が得られる。
【0170】
【数15】
【0171】
図17に示すように、上方から回折格子601へ入射光Hが入射した場合には、入射光Hが回折格子601によって回折されて出射される。このため、屈折光RK(0次回折光)が入射する位置とは、異なる位置の画素PXへ、他の次数の回折光TKが入射する場合がある。よって、撮像画像にボケが生じて、画像品質が低下する場合がある。
しかし、上記の式(B)で示すシフト量Wが、式(C)を満たす場合には、そのシフト量Wが、画素PXのピッチP以下である。このため、異なる位置の画素PXへ光が入射することを抑制できるので、画像品質の低下を防止することができる。特に、±1次の回折光(m2=±1)については、光強度が大きいので、上記の関係を満足させるように、各部を構成することが好適である。
なお、θ2=0°の場合には、式(B)から、下記の式(B1)が導かれる。
【0172】
【数16】
【0173】
図18は、実施形態5において、式(B1)の関係を示す図である。
【0174】
図18において、縦軸は、回折格子とセンサ間の距離L(μm)を示している。横軸は、画素ピッチP(nm)を示している。また、凡例は、格子ピッチd(μm)を示している。
ここでは、m2=1,n3=1.5,λ=500nm、θ2=0°の場合を示している。
【0175】
式(B1)から、たとえば、下記の条件になるように、各部を設けることが好適である。
・λ=500nm
・n3=1.5
・P=1.8μm
・L≧40μm
・m2=±1
・d>約7.5
【0176】
すなわち、入射光Hが上方から入射した回折格子601を透過した回折光TKにおいて、±1次回折光の中心軸が、屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトする。このときのシフト量Wが、画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601を形成することが好適である。
【0177】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、実施形態1の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0178】
したがって、本実施形態は、実施形態1と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0179】
この他に、本実施形態では、上記したように、式(B),式(C)を満たすように設けられている。
【0180】
このため、上記したように、異なる位置の画素PXへ光が入射することを抑制できるので、撮像画像にボケが生ずることを防止し、画像品質を更に向上することができる。
【0181】
特に、本実施形態では、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、複数の画素PXの画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601が形成されている。つまり、半導体基板101の上面において、±1次回折光(m2=±1)の中心軸が屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、画素ピッチPよりも小さくなるように、回折格子601を形成している(W<P)。この場合には、光強度が大きい±1次の回折光(m2=±1)が、隣接する他の画素へ入射しないので、撮像画像にボケが生ずることを更に好適に防止可能である。
【0182】
上記の他に、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、複数の画素PXの画素ピッチPと同じになるように、回折格子601を形成してもよい。つまり、半導体基板101の上面において1次回折光(m2=±1)の中心軸が0次回折光の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、画素ピッチPと同じになるように、回折格子601を形成してもよい(W=P)。
この場合には、回折格子601が光学ローパスフィルタとして機能する。つまり、被写体像として高い周波数の入射光を受光し撮像する場合には、画素ピッチに基づく空間周波数(ナイキスト周波数)で折り返し成分が生じる場合があるが、その折り返し成分の発生を抑制できる。よって、撮像画像の画像品質を、さらに好適に向上できる。
【0183】
(3)変形例
本実施形態では、実施形態1の場合において、上記の式(B),式(C)を満たすように、各部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。他の実施形態においても、上記の式(B),式(C)を満たすように、各部を設けてもよい。
【0184】
(3−1)変形例1
図19は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図19では、実施形態2(図14参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0185】
図19に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0186】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0187】
(3−2)変形例2
図20は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図20では、実施形態3(図15参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0188】
図20に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(接着層501)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(透明層110)の屈折率
【0189】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0190】
(3−3)変形例3
図21は、実施形態5の変形例において、式(B),式(C)を構成する各因子を示す図である。図21では、実施形態4(図16参照)の場合において、式(B),式(C)を構成する各因子を示している。
【0191】
図21に示すように、本変形例では、複数の回折格子601(第1回折格子601Aと第2回折格子601B)のうち、半導体基板101に最も近い第2回折格子601Bについて、式(B),式(C)を満たすように設けることが好適である。具体的には、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0192】
本変形例においても、式(B),式(C)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0193】
(3−4)変形例4
上記においては、式(B)の他に、式(C)を満たす場合について示したが、これに限定されない。
【0194】
上記の他に、撮像レンズ(図1の光学系42に相当)は、収差を有しており、結像限界がある。この結像限界は、有限の値であり、この際の最小スポット径を、結像限界性能の幅LMとする。
この場合には、回折格子601で入射光Hが回折されて生ずる回折光TKのうち、1次回折光(m2=±1)のシフト量Wが、結像限界性能の幅LMよりも小さくなるように、回折格子601を形成することが好適である。つまり、半導体基板101の上面において、1次回折光(m2=±1)の中心軸が屈折光(0次回折光)の中心軸に対してシフトしたシフト量Wが、結像限界性能の幅LMよりも小さくなるように、回折格子601を形成しても好適である(W<LM)。
結像性能を考慮しない理想的な場合にはボケが目立たないシフト量の条件は1画素までである。しかし、上記のように、撮像レンズの結像性能を考慮した回折格子の条件にして、実際のレンズの収差を考慮することで許容できるシフト量は広がることになるので、回折格子601の設計自由度を広くすることが可能となる。
よって、画質を適切に保つ効果を好適に奏することができる。
【0195】
<6.実施形態6>
本実施形態においては、下記の式(D)を更に満たすように各部が設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態5と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0196】
【数17】
【0197】
図22は、実施形態6において、式(D)を構成する各因子を示す図である。
【0198】
図22に示す各因子は、下記の通りである。
・λ:入射光Hの波長(画素PXが受光する光の中心波長)
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)の屈折率
・n3:回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(ガラス基板301,接着層501)の屈折率
・n4:マイクロレンズMLを被覆する透明層110の屈折率
・P:複数の画素PXの画素ピッチ
・d:回折格子601の格子ピッチ
・θ4:画素PXへ入射する入射光Hの入射角(画素PXが設けられた面に対して垂直な軸に対して、外付けレンズの光軸が傾斜する角度)
・θ5:画素PXによる反射回折光HKの回折角
・θ6:反射回折光HKの回折格子601への入射角
・θ7:反射回折光HKが回折格子601によって回折されて生ずる回折光TKの回折角
・m1:画素PXによる反射回折光HKの回折次数(m1=±1,±2,・・・)
・m3:反射回折光HKが回折格子601で回折されて生ずる回折光TKの回折次数(m3=±1,±2,・・・)
【0199】
式(D)は、下記に示す式(d1)〜式(d3)を用いて導かれる。ここで、式(d1)は、画素PXによる回折を示す式である。式(d2)は、マイクロレンズMLを被覆する透明層110と、回折格子601が設けられた面の下方に位置する層(接着層501)との界面における挙動を示す式である。式(d3)は、回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(空気層)と下方に位置する層(ガラス基板301)との界面における挙動を示す式である。
【0200】
【数18】
【0201】
【数19】
【0202】
【数20】
【0203】
式(d1)と式(d2)より、式(d4)が導かれる。
【0204】
【数21】
【0205】
そして、式(d3)を変形すると、式(d5)が導かれる。
【0206】
【数22】
【0207】
そして、式(d5)を式(d4)に加えると、式(d6)が導かれる。
【0208】
【数23】
【0209】
図22に示すように、反射回折光HKが下方から回折格子601へ進み、回折格子601によって回折されて回折光TKが生ずる。このとき、その回折光TKの回折角θ7が90°以上の場合には、回折格子601が設けられた面で反射が生じることになる。このため、その回折光TKは、本来、入射すべき位置とは異なる位置の画素PXへ入射する場合がある。よって、画像品質が低下する場合がある。
【0210】
しかし、回折光TKの回折角θ7が90°未満の場合には、回折格子601が設けられた面で反射が生じずに、屈折して、上方へ透過する。このため、回折光TKが、本来、入射すべき位置とは異なる位置の画素PXへ入射しないので、画像品質が低下することを防止できる。つまり、本実施形態のように、式(d6)において、θ7が90°未満の場合を示す式(D)を満足することで、画像品質を向上させることができる。たとえば、式(A)から特定されるm1=±1〜5と、式(D)におけるm3=±1〜5については、光強度が大きいので、上記の関係を満足させるように、各部を構成することが好適である。
【0211】
本実施形態では、下記のような手順で回折格子601の格子ピッチdを最適化し、その最適化された条件で、回折格子601を形成する。
まず、実施形態1の場合で示した式(A)を用いて、画素PXによる反射回折光HKについて全反射が何次(m1)以上で生じるかを特定する。
そして、実施形態5で示したように、式(B)と式(C)を満たすような、回折格子の格子ピッチdの条件(範囲)を特定する。
そして、回折格子601による全反射光が極力少なくなるように、回折格子ピッチdの条件を最適化する。
この最適化においては、上記で特定した次数m1であって、複数条件の次数m3の場合に、式(D)を満足する回折格子のピッチdの条件を別途求める。その後、式(D)を満たす格子ピッチdの各条件と、式(B)と式(C)を満たす格子ピッチdの条件との全てを満足する条件を、回折格子601の格子ピッチdの最適条件として設定する。
具体的には、式(A)から、波長500nmの光の場合には4次以上の次数(m1=4)で全反射が生じることが求められる。このため、m1=4であって、たとえば、m3=1,2,3の場合には、上記の式(D)の関係を満たす格子ピッチdは、下記のように算出される。
(m1=4,m3=1,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが4.5μm未満のとき好適
(m1=4,m3=2,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが9.0μm未満のとき好適
(m1=4,m3=3,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合)
dが9.0μm未満のとき好適
この他に、実施形態5で示したように、式(B),式(C)を満たすためには、格子ピッチdを7.5μm以上とすることが好適であることが算出される。
よって、これらの結果から、m1=4,m3=1,2および3,λ=500nm,P=1800nm,θ4=0°の場合、格子ピッチdが4μm以下の条件が最適条件として求められる。
【0212】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、他の実施形態の場合と同様に、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光HKを回折する。
【0213】
したがって、本実施形態は、他の実施形態と同様に、ゴーストの発生を抑制可能であり、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0214】
特に、本実施形態では、式(D)を満たすように設けられている。このため、反射回折光HKにおいて全反射する成分を回折格子601が回折して透過できる。よって、ゴーストの発生を更に好適に抑制可能であって、撮像画像の画像品質を向上することができる。
【0215】
(3)変形例
本実施形態では、実施形態5の場合において、上記の式(D)を満たすように、各部を設ける場合について説明したが、これに限定されない。他の実施形態においても、上記の式(D)を満たすように、各部を設けてもよい。
【0216】
(3−1)変形例1
図23は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図23では、実施形態2(図14参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0217】
図23に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(ガラス基板301)の屈折率
【0218】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0219】
(3−2)変形例2
図24は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図24では、実施形態3(図15参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0220】
図24に示すように、本変形例では、上記の実施形態に対して、下記の点が異なる。
・n2:回折格子601が設けられた面の上方に位置する層(接着層501)の屈折率
【0221】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0222】
(3−3)変形例3
図25は、実施形態6の変形例において、式(D)を構成する各因子を示す図である。図25では、実施形態4(図16参照)の場合において、式(D)を構成する各因子を示している。
【0223】
図25に示すように、本変形例では、複数の回折格子601(第1回折格子601Aと第2回折格子601B)のうち、半導体基板101に最も遠い第1回折格子601Aについて、式(D)を満たすように設けることが好適である。
【0224】
本変形例においても、式(D)を満たすように各部を設けることで、上記した本実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0225】
<7.実施形態7>
図26は、実施形態7において、固体撮像装置の要部を示す図である。図26は、図14と同様に、断面を示している。
【0226】
図26に示すように、本実施形態においては、キャビティ700が設けられている。また、赤外カットフィルタIRCFが設けられている。また、透明層110が設けられていない。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態2と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0227】
固体撮像装置は、図26に示すように、センサ基板100とカバーガラス300とが対面するように配置されている。そして、この対面する面の中央部分に、空洞なキャビティ700が設けられている。そして、センサ基板100とカバーガラス300とにおいて対面する面の周辺部分に、接着層501が設けられており、この接着層501によって両者が貼り合わされている。
【0228】
ここでは、図26に示すように、キャビティ700は、センサ基板100において画素領域PAが設けられた部分と、カバーガラス300を構成するガラス基板301との間に介在するように設けられている。
【0229】
そして、カバーガラス300を構成するガラス基板301において、センサ基板100に対面する面とは反対側の面には、赤外カットフィルタIRCFが設けられている。赤外カットフィルタIRCFは、バンドパスフィルタであり、入射光Hのうち、可視光成分を選択的に透過するように設けられている。本実施形態では、赤外カットフィルタIRCFは、吸収型でなく、反射型であって、入射光Hのうち、赤外成分などの光を反射によってカットし、可視光成分を選択的に透過するように設けられている。
【0230】
これに対して、カバーガラス300を構成するガラス基板301において、センサ基板100に対面する面には、回折格子601が設けられている。
【0231】
図27は、実施形態7において、光の様子を示す断面図である。
【0232】
これに対して、図28は、実施形態7において、回折格子601を設けない場合における光の様子を示す断面図である。
【0233】
図27,図28に示すように、本実施形態では、画素PXの上方から、赤外カットフィルタIRCF、ガラス基板301、回折格子601、キャビティ700を介して、被写体像として入射光Hが、半導体基板101の上面に設けられた画素PXへ入射する。
【0234】
このとき、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。たとえば、複数の画素PXのそれぞれに対応して周期的に配置されたマイクロレンズMLなどの周期構造に入射光Hが被写体像として上方から入射した場合には、その周期構造で入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光として上方へ反射する。たとえば、マイクロレンズMLや半導体基板101の表面で反射された光が、反射回折光HKとなる。
【0235】
そして、反射回折光HKは、上方へ向かい、キャビティ700、カバーガラス300を介して、赤外カットフィルタIRCFへ入射する。
【0236】
このため、図28に示すように、反射型の赤外カットフィルタIRCFによって、反射回折光HKが反射し、反射光HHとして画素PXへ再入射する場合がある。そして、反射光HHが画素PXへ入射した場合には、撮像画像にゴースト(フレア)が発生して、画像品質の低下が生ずる。
【0237】
反射型の赤外カットフィルタIRCFは、光を透過する透過波長域において、境界部分の波長域では、反射率が高い。また、多層膜で作られる反射型の赤外カットフィルタIRCFは、斜め入射光に対しては、垂直入射光に対する赤外光を反射するバンドパス特性が短波長側にシフトするため、垂直入射で透過した可視光帯域の光が反射されることになる。このため、反射回折光HKのうち、上述の可視光部分の波長域の成分が、反射型の赤外カットフィルタIRCFで反射され反射光HHとして画素PXへ、再度、入射する場合がある。特に、太陽光などのように、高輝度な光が被写体像として入射した場合には、長波長な赤色成分の光が、反射光HHとして画素PXへ再入射する。よって、いわゆる「赤玉ゴースト」と呼ばれるゴーストが撮像画像に生じ、画像品質が低下する場合がある(たとえば、特許文献4参照)。
【0238】
しかしながら、本実施形態の場合には、図27に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKaとして分散し、回折格子601を透過する。そして、反射型の赤外カットフィルタIRCFで、その回折光KKaが反射されて、反射光HHとして、再度、回折格子601へ入射する。その後、その反射光HHは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKbとして分散して回折格子601を透過し、半導体基板101の上面側へ出射する。
この時、回折により赤外カットフィルタIRCFへの入射角度が小さくなる回折光は、上述の斜め入射光に対するバンドパス特性のシフト量が少ないため反射が減ることになる。このため、その回折された光の一部は、半導体基板101側へ戻らず赤外カットフィルタIRCFを透過することになる。
【0239】
このように、反射回折光HKは、再度、半導体基板101の上面へ入射するとき、複数の分散された回折光KKbとして入射する。よって、本実施形態では、反射回折光HKにおいて、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。
【0240】
よって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
【0241】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、反射型の赤外カットフィルタIRCFが、センサ基板100の上面に対面しており、入射光のうち、可視光成分の波長範囲を選択的に透過する。回折格子601は、赤外カットフィルタIRCFと、センサ基板100との間に設けられており、入射光Hが透過する。そして、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折する。
【0242】
したがって、上述したように、本実施形態では、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質を向上することができる。
【0243】
<8.実施形態8>
図29は、実施形態8において、固体撮像装置の要部を示す図である。図29は、図26と同様に、断面を示している。
【0244】
図29に示すように、本実施形態においては、透明層110が設けられている。また、回折格子601が設けられた位置が異なる。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態7と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0245】
図29に示すように、透明層110は、センサ基板100においてマイクロレンズMLが設けられた半導体基板101の上面を被覆して平坦化するように設けられている。
【0246】
たとえば、透明層110は、たとえば、下記の条件で設けられている。
(透明層110)
・材料:シリコン樹脂系、シロキサン樹脂系
・厚み:1μm程度
【0247】
そして、図29に示すように、透明層110の上面には、回折格子601が設けられている。
【0248】
図30は、実施形態8において、光の様子を示す断面図である。
【0249】
図30に示すように、画素PXの上方から、赤外カットフィルタIRCF、ガラス基板301、キャビティ700、回折格子601を介して、被写体像として入射光Hが、半導体基板101の上面に設けられた画素PXへ入射する。
【0250】
上述したように、このとき、半導体基板101の上面側においては、上方から入射した入射光Hが回折されて、入射光Hの一部が反射回折光HKとして上方へ反射する。そして、反射回折光HKは、キャビティ700、カバーガラス300を介して、赤外カットフィルタIRCFへ入射する。
【0251】
図30に示すように、反射回折光HKは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKaとして分散し、回折格子601を透過する。そして、反射型の赤外カットフィルタIRCFで、その回折光KKaが反射されて、反射光HHとして、再度、回折格子601へ入射する。その後、その反射光HHは、回折格子601によって回折されて、さまざまな回折次数の回折光KKbとして分散して回折格子601を透過し、半導体基板101の上面側へ出射する。
この時、回折により赤外カットフィルタIRCFへの入射角度が小さくなる回折光は、上述の斜め入射光に対するバンドパス特性のシフト量が少ないため反射が減ることになる。このため、回折された光のうち一部は半導体基板101側へ戻らず赤外カットフィルタIRCFを透過することになる。
【0252】
このように、反射回折光HKは、再度、半導体基板101の上面へ入射するとき、複数の分散された回折光KKbとして入射する。よって、本実施形態では、実施形態7と同様に、反射回折光HKにおいて、画素PXへ入射する光の強度が低下することになる。
【0253】
よって、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質の低下を抑制することができる。
【0254】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、実施形態8と同様に、反射型の赤外カットフィルタIRCFが設置されている。そして、回折格子601は、半導体基板101の上面にて複数の画素PXが配列された画素領域PAに入射光Hが入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折する。
【0255】
したがって、本実施形態では、実施形態8と同様に、撮像画像にゴースト(フレア)が発生したとしても、目立たなく、画像品質を向上することができる。
【0256】
<9.実施形態9>
本実施形態においては、入射光Hが回折格子601によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)の関係を満たすように、回折格子601が設けられている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、実施形態7と同様である。このため、重複する部分については、適宜、記載を省略する。
【0257】
【数24】
【0258】
図31は、実施形態9において、回折パターンを示す図である。図31では、縦軸が、回折パターンの輝度を示し、横軸が、位置を示している。
図31において、(a)は、元の回折パターンであって、複数の画素PXによって生じる反射回折光(赤玉ゴースト)を示している。そして、(b)は、その反射回折光(赤玉ゴースト)が、回折格子601によって回折された後の回折パターンを示している。
【0259】
図31に示すように、式(E)を構成する各因子は、下記の通りである。
・KP0:0次回折光のピーク位置P0における輝度(0次回折光の出射位置での極大値)
・KP1:±1次回折光のピーク位置P1における輝度(1次回折光の出射位置での極大値)
・KPB:0次回折光のピーク位置P0と±1次回折光のピーク位置P1との間に生じるボトム位置PBにおける輝度(0次回折光の出射位置と±1次回折光の出射位置との間の極小値)
P0は、画素PXで生じる回折によるゴースト像を意味している(図28参照)。P1は、回折格子601により生じる回折像を意味している(図27、図29参照)。
【0260】
上記の式(E)を満たす場合(左辺が0.1より大きい場合)には、回折により光が分散して拡散が大きくなり、また、一部の回折光が赤外カットフィルタIRCFで反射せずに透過される。このため、回折格子601を設けない場合に生ずる赤玉ゴースト(「元の回折パターン」,図31(a)参照)の光が拡散し、更に、その赤玉ゴーストのピーク輝度が減衰することになる(図31(b)参照)。たとえば、ピーク輝度のレベルが半分になる。よって、赤玉ゴーストを低減することができる。
これに対して、上記の式(E)を満たさない場合(左辺が0.1以下の場合)には、赤玉ゴーストのピーク輝度が減衰するが、拡散が小さいために、上記の効果を得ることができない。
【0261】
(2)まとめ
以上のように、本実施形態では、入射光Hが回折格子601によって回折されたときの回折光の回折パターンが、式(E)を満たすように、回折格子601が設けられている。
【0262】
このため、上記したように、撮像画像を向上することができる。
【0263】
なお、本実施形態では、実施形態7の「キャビティ構造」の固体撮像装置において、上記の式(E)を満たす場合について示したが、これに限定されない。
他の実施形態で示した「キャビティレス構造」においても、上記の式(E)を満たすように、回折格子601を形成することが好適である。
【0264】
<10.その他>
本技術の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例を採用することができる。
【0265】
上記の実施形態においては、回折格子について断面が矩形状の凸部と凹部とを周期的に配置させる場合について説明したが、これに限定されない。
【0266】
図32は、回折格子の形状を示す断面図である。
【0267】
図32(a)に示すように、回折格子については、溝の断面形状が鋸歯状になるように形成しても良い。また、図32(b)に示すように、正弦波状に形成しても良い。
【0268】
上記の実施形態においては、回折格子が2レベル(±1次回折効率41%(最大値))の場合について示したが、これに限定されない。4レベル(±1次回折効率81%(最大値))のものなど、種々の回折格子を用いても良い。
【0269】
上記の実施形態においては、可視光帯域の光を被写体像として撮像する場合について説明したが、これに限定されない。近赤外帯域などのように他の帯域の光を被写体像として撮像する場合に、本技術を適用してもよい。
【0270】
上記の実施形態においては、ガラス基板や透明層についてエッチング加工することで、回折格子を形成しているが、これに限定されない。種々の方向によって、回折格子を設けても良い。
たとえば、ガラス基板の面に、ガラス基板とは異なる屈折率材料で材料膜を成膜した後に、その材料膜を格子構造に加工する。その後、その格子構造の凹部に、ガラス基板と同等の屈折率の材料を埋め込むことで、回折格子を形成しても良い。
たとえば、ガラス基板の面をエッチング加工して設けた溝に、ガラス基板と異なる屈折率の材料を埋め込むことで、回折格子を形成してもよい。
また、インプリントや金型成形によって、回折格子を形成しても良い。
【0271】
上記の実施形態においては、固体撮像装置をカメラに適用する場合について説明したが、これに限定されない。スキャナーやコピー機などのように、固体撮像装置を備える他の電子機器に適用しても良い。
【0272】
上記の実施形態においては、センサ基板にガラス基板をカバーガラスとして貼り付ける場合について説明したが、これに限定されない。ガラス基板に代えて、プラスチックからなる透明基板を用いても良い。
【0273】
上記の実施形態では、固体撮像装置が、「表面照射型」のCMOSイメージセンサである場合について説明したが、これに限定されない。「裏面照射型」の場合に、本技術を適用しても良い。また、CCDイメージセンサの場合に、本技術を適用しても良い。
【0274】
その他、上記の各実施形態を、適宜、組み合わせても良い。
【0275】
本技術は、下記のような構成も取ることができる。
【0276】
(1)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【0277】
(2)
前記反射回折光のうち、前記回折格子が設けられない状態で前記透明基板の上面で全反射する成分について、前記回折格子が回折して透過するように形成されている、
(1)に記載の固体撮像装置。
【0278】
(3)
前記センサ基板と前記透明基板との間の全面に接着層が介在しており、前記センサ基板と前記透明基板とが前記接着層によって貼り合わされている、
(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
【0279】
(4)
前記センサ基板の上面を被覆する透明層
を有し、
前記センサ基板と前記透明基板とは、前記透明層を介在して前記接着層によって貼り合わされている、
(3)に記載の固体撮像装置。
【0280】
(5)
下記の式(A)を満たすように設けられている、
(4)に記載の固体撮像装置。
【0281】
【数25】
(式(A)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
また、n0は、前記透明基板の上方に位置する層の屈折率である。
また、n4は、前記透明層の屈折率である。
また、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。
また、θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
また、m1は、前記反射回折光の回折次数(m1=±1,±2,・・・)である。)
【0282】
(6)
前記回折格子は、前記透明基板の上面に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0283】
(7)
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0284】
(8)
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
(4)または(5)に記載の固体撮像装置。
【0285】
(9)
前記回折格子は、前記透明基板の上面と下面との両者に設けられている、
(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0286】
(10)
下記の式(B)を満たすように設けられている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0287】
【数26】
(式(B)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n3は、前記回折格子が設けられた面の下方に位置する層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
Lは、前記回折格子と前記半導体基板との間の光学的距離である。
m2は、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光の回折次数である。
θ2は、前記回折格子が設けられた面へ入射する入射光の入射角である。
Wは、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光のシフト量である。)
【0288】
(11)
下記の式(C)を満たすように設けられている、
(10)に記載の固体撮像装置。
【0289】
【数27】
(式(C)において、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。)
【0290】
(12)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチよりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0291】
(13)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチと同じになるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0292】
(14)
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、撮像光学系における結像限界性能の幅よりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
(1)から(9)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0293】
(15)
下記の式(D)を満たすように設けられている、
(4)または(5)に記載の固体撮像装置。
【0294】
【数28】
(式(D)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n4は、前記透明層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
m3は、前記反射回折光が前記回折格子で回折されて生ずる回折光の回折次数(m3=±1,±2,・・・)である。)
【0295】
(16)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光のうち、所定の波長範囲の成分を選択的に透過する反射型のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと前記センサ基板との間に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【0296】
(17)
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
(16)に記載の固体撮像装置。
【0297】
(18)
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記センサ基板の上面を被覆する透明層と
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
(16)に記載の固体撮像装置。
【0298】
(19)
前記入射光が前記回折格子によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)を満たすように、前記回折格子が設けられている、
(1)から(18)のいずれかに記載の固体撮像装置。
【0299】
【数29】
(式(E)において、KP0は、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置における輝度である。
KP1は、前記回折パターンにおいて、±1次回折光のピーク位置における輝度である。
KPBは、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置と±1次回折光のピーク位置との間に生じるボトム位置における輝度である。)
【0300】
(20)
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
電子機器。
【0301】
なお、上記の実施形態において、画素PXは、本技術の画素に相当する。上記の実施形態において、半導体基板101は、本技術の半導体基板に相当する。上記の実施形態において、センサ基板100は、本技術のセンサ基板に相当する。上記の実施形態において、ガラス基板301は、本技術の透明基板に相当する。上記の実施形態において、回折格子601は、本技術の回折格子に相当する。上記の実施形態において、透明層110は、本技術の透明層に相当する。上記の実施形態において、接着層501は、本技術の接着層に相当する。上記の実施形態において、カメラ40は、本技術の電子機器に相当する。上記の実施形態において、赤外カットフィルタIRCFは、本技術のバンドパスフィルタに相当する。
【符号の説明】
【0302】
1:固体撮像装置、13:垂直駆動回路、14:カラム回路、15:水平駆動回路、17:外部出力回路、17a:AGC回路、17b:ADC回路、18:タイミングジェネレータ、19:シャッター駆動回路、21:フォトダイオード、22:転送トランジスタ、23:増幅トランジスタ、24:選択トランジスタ、25:リセットトランジスタ、26:転送線、27:垂直信号線、28:アドレス線、29:リセット線、40:カメラ、42:光学系、43:制御部、44:信号処理部、100:センサ基板、101:半導体基板、110:透明層、111:多層配線層、111h:配線、111z:絶縁層、120:パッシベーション膜、130:平坦化膜、300:カバーガラス、301:ガラス基板、402:バンプ、501:接着層、601:回折格子、601A:第1回折格子、601B:第2回折格子、700:キャビティ、AH:全反射光、CF:カラーフィルタ、CFB:ブルーフィルタ層、CFG:グリーンフィルタ層、CFR:レッドフィルタ層、FD:フローティング・ディフュージョン、H:入射光、HH:反射光、HK:反射回折光、I:定電流源、IRCF:赤外カットフィルタ、JS:受光面、KK00:0次回折光、KK11:1次回折光、KK12:2次回折光、KK21:−1次回折光、KK22:−2次回折光、KKa:回折光、KKb:回折光、ML:マイクロレンズ、P:画素ピッチ、P0:ピーク位置、P1:ピーク位置、PA:画素領域、PI:画素分離部、PB:ボトム位置、PS:撮像面、PX:画素、SA:周辺領域、TK:回折光、TR:溝、Tr:画素トランジスタ、Vdd:電源供給線、W:シフト量、d:格子ピッチ、x:水平方向、y:垂直方向、z:深さ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記反射回折光のうち、前記回折格子が設けられない状態で前記透明基板の上面で全反射する成分について、前記回折格子が回折して透過するように形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記センサ基板と前記透明基板との間の全面に接着層が介在しており、前記センサ基板と前記透明基板とが前記接着層によって貼り合わされている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記センサ基板の上面を被覆する透明層
を有し、
前記センサ基板と前記透明基板とは、前記透明層を介在して前記接着層によって貼り合わされている、
請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
下記の式(A)を満たすように設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【数1】
(式(A)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
また、n0は、前記透明基板の上方に位置する層の屈折率である。
また、n4は、前記透明層の屈折率である。
また、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。
また、θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
また、m1は、前記反射回折光の回折次数(m1=±1,±2,・・・)である。)
【請求項6】
前記回折格子は、前記透明基板の上面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記回折格子は、前記透明基板の上面と下面との両者に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
下記の式(B)を満たすように設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【数2】
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n3は、前記回折格子が設けられた面の下方に位置する層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
Lは、前記回折格子と前記半導体基板との間の光学的距離である。
m2は、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光の回折次数(m2=±1,±2,・・・)である。
θ2は、前記回折格子が設けられた面へ入射する入射光の入射角である。
Wは、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光のシフト量である。)
【請求項11】
下記の式(C)を満たすように設けられている、
請求項10に記載の固体撮像装置。
【数3】
(式(C)において、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。)
【請求項12】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチよりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチと同じになるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、撮像光学系における結像限界性能の幅よりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
下記の式(D)を満たすように設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【数4】
(式(D)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n4は、前記透明層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
m3は、前記反射回折光が前記回折格子で回折されて生ずる回折光の回折次数(m3=±1,±2,・・・)である。)
【請求項16】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光のうち、所定の波長範囲の成分を選択的に透過する反射型のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと前記センサ基板との間に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【請求項17】
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
請求項16に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記センサ基板の上面を被覆する透明層と
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
請求項16に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記入射光が前記回折格子によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)を満たすように、前記回折格子が設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【数5】
(式(E)において、KP0は、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置における輝度である。
KP1は、前記回折パターンにおいて、±1次回折光のピーク位置における輝度である。
KPBは、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置と±1次回折光のピーク位置との間に生じるボトム位置における輝度である。)
【請求項20】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
電子機器。
【請求項1】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【請求項2】
前記反射回折光のうち、前記回折格子が設けられない状態で前記透明基板の上面で全反射する成分について、前記回折格子が回折して透過するように形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記センサ基板と前記透明基板との間の全面に接着層が介在しており、前記センサ基板と前記透明基板とが前記接着層によって貼り合わされている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記センサ基板の上面を被覆する透明層
を有し、
前記センサ基板と前記透明基板とは、前記透明層を介在して前記接着層によって貼り合わされている、
請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
下記の式(A)を満たすように設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【数1】
(式(A)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
また、n0は、前記透明基板の上方に位置する層の屈折率である。
また、n4は、前記透明層の屈折率である。
また、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。
また、θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
また、m1は、前記反射回折光の回折次数(m1=±1,±2,・・・)である。)
【請求項6】
前記回折格子は、前記透明基板の上面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記回折格子は、前記透明基板の上面と下面との両者に設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
下記の式(B)を満たすように設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【数2】
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n3は、前記回折格子が設けられた面の下方に位置する層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
Lは、前記回折格子と前記半導体基板との間の光学的距離である。
m2は、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光の回折次数(m2=±1,±2,・・・)である。
θ2は、前記回折格子が設けられた面へ入射する入射光の入射角である。
Wは、前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる回折光のシフト量である。)
【請求項11】
下記の式(C)を満たすように設けられている、
請求項10に記載の固体撮像装置。
【数3】
(式(C)において、Pは、前記複数の画素が配列された画素ピッチである。)
【請求項12】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチよりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、前記複数の画素の画素ピッチと同じになるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記回折格子で前記入射光が回折されて生ずる1次回折光のシフト量が、撮像光学系における結像限界性能の幅よりも小さくなるように、前記回折格子が形成されている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
下記の式(D)を満たすように設けられている、
請求項4に記載の固体撮像装置。
【数4】
(式(D)において、λは、前記画素が受光する前記入射光の中心波長である。
n2は、前記回折格子が設けられた面の上方に位置する層の屈折率である。
n4は、前記透明層の屈折率である。
dは、前記回折格子の格子ピッチである。
θ4は、前記画素へ入射する入射光の入射角である。
m3は、前記反射回折光が前記回折格子で回折されて生ずる回折光の回折次数(m3=±1,±2,・・・)である。)
【請求項16】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光のうち、所定の波長範囲の成分を選択的に透過する反射型のバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタと前記センサ基板との間に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
固体撮像装置。
【請求項17】
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明基板の下面に設けられている、
請求項16に記載の固体撮像装置。
【請求項18】
キャビティを介して前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記センサ基板の上面を被覆する透明層と
を有し、
前記バンドパスフィルタは、前記透明基板の上面に設けられており、
前記回折格子は、前記透明層の上面に設けられている、
請求項16に記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記入射光が前記回折格子によって回折されたときの回折光の回折パターンが、下記の式(E)を満たすように、前記回折格子が設けられている、
請求項1に記載の固体撮像装置。
【数5】
(式(E)において、KP0は、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置における輝度である。
KP1は、前記回折パターンにおいて、±1次回折光のピーク位置における輝度である。
KPBは、前記回折パターンにおいて、0次回折光のピーク位置と±1次回折光のピーク位置との間に生じるボトム位置における輝度である。)
【請求項20】
入射光を受光する複数の画素が半導体基板の上面に配列されているセンサ基板と、
前記センサ基板の上面に下面が対面しており、前記入射光が透過する透明基板と、
前記透明基板の上面と前記センサ基板の上面との間のいずれかの位置に設けられており、前記入射光が透過する回折格子と
を有し、
前記回折格子は、前記半導体基板の上面にて前記複数の画素が配列された画素領域に前記入射光が入射し回折されることで生ずる反射回折光を回折するように形成されている、
電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−38164(P2013−38164A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171894(P2011−171894)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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