説明

圧電デバイス、電子機器および圧電デバイスの製造方法

【課題】基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の視認を容易にすることができるとともに、信頼性の高い接続が可能な圧電デバイス、かかる圧電デバイスを備える電子機器、および前記圧電デバイスを製造する圧電デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】圧電発振器1は、実装用基板4と、実装用基板4上に載置され、圧電振動片2を収納するパッケージ3と、実装用基板4とパッケージ3との間に設けられ、圧電振動片2を駆動する電子部品6とを有している。また、実装用基板4の一部は上方に折り曲げられており、この折り曲げ部401の下面に実装端子43が設けられている。このような圧電発振器1を回路基板8に実装する場合、回路基板8と圧電発振器1との接続を半田付けすると、折り曲げ部401の下方に生じた隙間9に半田溜まり(接続部91)が形成され、これにより圧電発振器1が回路基板8に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイス、電子機器および圧電デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器等の圧電デバイスは、一般に、水晶振動子等の圧電体素子と、圧電体素子を駆動するIC素子等の電子部品とを備えている。このような圧電デバイスとしては、従来、小型化を図る目的等から、圧電体素子と電子部品とを重ねるようにして基板上に実装した構成のものが知られている。
例えば、特許文献1に記載された圧電発振器(水晶発振器)では、水晶振動片を収納したパッケージを柱部材を介して実装用基板上に実装するとともに、電子部品をパッケージと実装用基板との間に納めるように実装用基板上に実装している。
【0003】
また、このような圧電発振器の実装用基板の底面には、外部電極が設けられている。この外部電極は、半田や異方性導電ペースト等を介して、圧電発振器を実装する回路基板上の配線パターンと電気的に接続される。すなわち、圧電発振器の外部電極と回路基板の配線パターンとが接続されることにより、圧電発振器が回路基板上に実装されることとなる。
ここで、特許文献1に記載された圧電発振器を回路基板上に配置する際には、圧電発振器の底面に設けられた外部電極と、回路基板上に設けられた配線パターンとを半田付けすることにより、回路基板上に圧電発振器が固定される。
【0004】
図13は、従来の圧電発振器を回路基板上に実装した状態を示す断面図である。
図13に示す圧電発振器900は、実装用基板901と、その上に実装された電子部品902および水晶振動片を収納したパッケージ903とを有している。また、実装用基板901とパッケージ903との間は、柱部材904が設けられており、また、実装用基板901の下面には実装端子905が設けられている。
【0005】
一方、図13に示す回路基板910は、絶縁性基板911と、その上面に設けられた回路配線912とを有している。
このような圧電発振器900を回路基板910上に半田を用いて実装する場合、圧電発振器900の実装端子905と回路基板910の回路配線912とが対向するように、回路基板910上に圧電発振器900を載置し、実装端子905と回路配線912との間を半田付けする。
【0006】
このようにして実装された圧電発振器900は、検査工程において、回路基板910と圧電発振器900との接続状態が検査される。検査工程では、半田付けされた実装端子905と回路配線912との間を直接視認できることが好ましい。ところが、半田は、実装端子905と回路配線912との間に、非常に薄い層(半田層909)として存在しているため、半田層909の端面以外は直接視認することができない。このため、十分な目視検査を行うことが困難であった。また、実装端子905が圧電発振器900の外縁より内側に入り込んでいる場合には、実装端子905が圧電発振器900の実装用基板901の陰に隠れてしまい、半田層909を直接視認することがより困難になる。
【0007】
また、薄い層状の半田層909を介して接続すると、接続する双方の熱膨張率差に伴って大きな応力が接続界面に集中し易く、また、接続する双方の形状的に、その応力が緩和され難い。このため、接合界面の半田層909に亀裂が発生して、断線等を招くおそれがある。
また、特許文献2に記載された圧電発振器では、圧電振動片を収容したパッケージに、電子部品を介して実装用基板を固定している。
【0008】
この特許文献2に記載されている圧電発振器が回路基板に半田付けされて実装された場合は、実装端子と回路基板の回路配線との間に十分な隙間が形成されないため、半田は実装端子と回路基板の回路配線との間に、非常に薄い半田層として存在することになる。そのため、特許文献1の場合と同様に、半田付けの目視検査が困難であり、半田層に亀裂が発生して、断線等を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−64333号公報
【特許文献2】特開2007−281597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の視認を容易にすることができるとともに、信頼性の高い接続が可能な圧電デバイス、かかる圧電デバイスを備える電子機器、および前記圧電デバイスを製造する圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0012】
[適用例1]
本発明の圧電デバイスは、実装用基板と、前記実装用基板の一方の面側に設けられ、圧電振動片を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージとの間に設けられ、前記圧電振動片を駆動するための電子部品とを有し、
前記実装用基板は、縁部の一部を前記パッケージ側に折り曲げてなる折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部の一部は、前記パッケージに固定されており、
前記折り曲げ部の前記パッケージと反対側の面に実装端子が設けられていることを特徴とする。
これにより、基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の視認を容易にすることができるとともに、信頼性の高い接続が可能な圧電デバイスが得られる。
【0013】
[適用例2]
本発明の圧電デバイスでは、前記折り曲げ部は、前記実装用基板の前記電子部品が搭載された部分である電子部品搭載部に対して傾斜した傾斜部と、前記傾斜部より前記縁部側に延長された部分である先端部とを有し、
前記先端部は、前記パッケージに固定されていることが好ましい。
【0014】
これにより、傾斜部の傾斜角度が自在に変化することにより、面方向の応力が緩和され易い。このため、圧電デバイスを基材に実装した際に、応力集中に伴う不具合の発生をより確実に抑制することができる。また、先端部が電子部品搭載部に対してほぼ平行であるため、パッケージに対してもほぼ平行となり、パッケージに対して十分な面積で確実に接合されることとなる。また、先端部がパッケージに固定されているため、電子部品は実装用基板およびパッケージにより周囲の一部を囲まれた状態となる。その結果、実装用基板およびパッケージは、衝撃や異物の侵入等から電子部品を保護し、圧電デバイスの耐久性および信頼性を高めることができる。
【0015】
[適用例3]
本発明の圧電デバイスでは、前記実装端子は、前記傾斜部に設けられていることが好ましい。
これにより、圧電デバイスを基材に実装した際に、その実装に必要な面積をより小さくすることができる。このため、基材上の領域を有効活用することができ、例えば基材が回路基板である場合には、回路配線の配線密度をより高めることができる。その結果、回路基板の小型化を図ることができる。
【0016】
[適用例4]
本発明の圧電デバイスでは、前記実装用基板は、平面視にて、矩形形状を有し、
前記折り曲げ部は、前記実装用基板の対向する一対の辺の縁部、または、前記実装用基板の四隅に設けられていることが好ましい。
これにより、実装用基板は、電子部品を確実に保護することができる。その結果、圧電デバイスの信頼性をより高めることができる。
【0017】
[適用例5]
本発明の圧電デバイスでは、前記実装用基板は、可撓性を有する材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、実装用基板に可撓性が付与されるため、実装用基板そのものが応力集中を緩和することができる。
【0018】
[適用例6]
本発明の電子機器は、本発明の圧電デバイスを備えた電子機器であって、
前記圧電デバイスは、基材上に載置され、
前記圧電デバイスの前記折り曲げ部と前記基材との間に隙間を有し、
前記隙間内に、前記実装端子と前記基材上の配線パターンとを接続する接続部が形成されていることを特徴とする。
これにより、圧電デバイスを基材に実装する際に、実装端子と基材との間に形成される接続部が、前記隙間内に形成されるため、接続部の厚さが厚くなり易い。このため、この接続部をより容易に視認することができる。
【0019】
[適用例7]
本発明の電子機器では、前記接続部は、前記隙間の少なくとも一部に充填された導電性部材であることが好ましい。
これにより、前記接続を担う接続部は、ある程度の厚さになるため、応力集中を緩和し易い。このため、応力集中に伴う不具合の発生を確実に抑制することができる。
【0020】
[適用例8]
本発明の圧電デバイスの製造方法は、実装端子を備える実装用基板と、該実装用基板の一方の面側に設けられ、圧電振動片を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージとの間に設けられ、前記圧電振動片を駆動するための電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となるべき領域が複数個連結され、それぞれの領域に前記実装端子を備える実装用基板フィルムを用意し、前記各領域の前記実装端子を備える面と反対側の面にそれぞれ前記電子部品を載置する電子部品載置工程と、
前記実装用基板フィルムに対して前記各電子部品を挟むようにそれぞれ前記パッケージを重ねるように載置するパッケージ載置工程と、
前記実装用基板フィルムの前記領域のうち、前記実装端子を備える部分を、それぞれ前記パッケージ側に折り曲げて折り曲げ部を形成するとともに、該折り曲げ部と前記パッケージとを接着する折り曲げ工程と、
前記実装用基板フィルムの前記領域同士の境界を切断し、複数の前記圧電デバイスを製造する切断工程とを有することを特徴とする。
これにより、基板等に実装した際に、低背化を図りつつ、接続部の視認を容易にすることができるとともに、信頼性の高い接続が可能な圧電デバイスを、複数個同時に、かつ効率よく製造することができる。
【0021】
[適用例9]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記実装用基板フィルムは、前記実装用基板となるべき領域と、該領域に連結され、前記電子部品載置工程において前記電子部品と電気的に接続されるべき調整端子を備える拡張部分とを有するものであり、
前記折り曲げ工程の前または後に、前記調整端子を介して前記電子部品の情報を書き換え、その後、前記領域と前記拡張部分とを分離する調整工程を有することが好ましい。
これにより、圧電デバイスの製造後、圧電デバイスの使用環境が著しく変化したとしても、その使用環境に応じた各種情報を電子部品内に書き換えることで、安定した発振が可能な圧電デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1実施形態を適用した圧電発振器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す圧電発振器を模式的に示す(a)上面図および(b)下面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】圧電発振器が備える実装用基板を模式的に示す平面図である。
【図5】図1に示す圧電発振器を回路基板に実装する方法を説明するための断面図である。
【図6】実装端子と回路配線との間の隙間に形成された接続部の他の構成例を示す部分拡大図である。
【図7】図1に示す圧電発振器が備える実装用基板を製造するための実装用基板フィルムを示す概念図である。
【図8】図1に示す圧電発振器の製造方法を説明するための図である。
【図9】図1に示す圧電発振器の製造方法を説明するための図である。
【図10】圧電発振器が備える実装用基板の他の構成例を示す斜視図である。
【図11】本発明の圧電デバイスの第2実施形態を適用した圧電発振器の実装用基板を示す斜視図である。
【図12】図11に示す実装用基板を製造するための実装用基板フィルムを示す(a)上面図および(b)下面図である。
【図13】従来の圧電発振器を回路基板上に実装した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の圧電デバイス、電子機器および圧電デバイスの製造方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の圧電デバイスの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの第1実施形態を適用した圧電発振器を示す分解斜視図、図2は、図1に示す圧電発振器を模式的に示す(a)上面図および(b)下面図、図3は、図2のA−A線断面図、図4は、圧電発振器が備える実装用基板を模式的に示す平面図である。なお、以下の説明では、図2(a)中の紙面表側を「上」、紙面裏側を「下」という。また、図1では、圧電発振器を覆うモールド樹脂を省略している。
【0024】
(圧電発振器)
まず、本発明の圧電デバイスの第1実施形態の一例として、圧電発振器について説明する。
図1に示す圧電発振器1は、圧電振動片2を収納するパッケージ3と、パッケージ3を実装(固定)する実装用基板4と、パッケージ3と実装用基板4との間に納められるように実装用基板4上に設けられた電子部品6とを有している。
【0025】
以下、圧電発振器1を構成する各部について、順次、詳細に説明する。
まず、圧電振動片2について説明する。
本実施形態では、圧電振動片2は、図2に示すような音叉型の水晶振動片である。圧電振動片2は、図2に示すように、長手形状でかつ音叉型をなす圧電体基板21と、圧電体基板21の表面に形成された2つの励起電極(図示せず)とを有している。
【0026】
圧電体基板21は、圧電材料で構成されており、この圧電材料としては、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。
励起電極は、圧電体基板21に電場を印加するものである。この励起電極に電場を印加すると、圧電材料の逆圧電効果により、ある一定の周波数(共鳴周波数)で圧電体基板21を振動させることができる。また、圧電体基板21が振動すると、2つの励起電極間には、圧電材料の圧電効果により、ある一定の周波数の電圧が発生する。これらの性質を利用して、圧電振動片2は、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
【0027】
次に、圧電振動片2を収容・固定するパッケージ3について説明する。
パッケージ3は、その平面視にて略正方形状または略長方形状をなしている。このようなパッケージ3は、図3に示すように、中央部に内部空間S1に相当する凹部を有する板状のベース基板31と、この凹部に蓋をするようにベース基板31に重ねられる蓋部材32とを有している。ベース基板31および蓋部材32は、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31と蓋部材32とで画成された内部空間S1に、圧電振動片2を収納している。なお、図2(a)では、蓋部材32を透過して図示している。
【0028】
ベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス材料、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、蓋部材32の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cuのような各種金属材料、各種ガラス材料等を用いることができる。特に、蓋部材32の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、圧電体基板21に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、圧電振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材32を介して前記金属被覆部にレーザーを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、圧電振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0029】
図3に示すように、ベース基板31の凹部(内部空間S1)の底面には、一対のマウント電極34が形成されている。このマウント電極34の上には、それぞれ、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤39が塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39上に、前述した圧電振動片2が載置されている。そして、導電性接着剤39を硬化することにより、圧電振動片2がマウント電極34(ベース基板31)に片持ち支持される。
【0030】
なお、この固定により、一対のマウント電極34のうちの一方が、導電性接着剤39を介して、圧電振動片2に設けられた2つの励起電極のうちの一方と電気的に接続される。また、他方のマウント電極34も、導電性接着剤39を介して、他方の励起電極と電気的に接続される。
また、圧電振動片2の固定は、圧電振動片2の左側端部をベース基板31に接着することにより行われているため、圧電振動片2が振動する際には、圧電振動片2の左側端部が「固定端」となる一方、右側端部が「自由端」となる。
【0031】
また、図2(a)に示すように、ベース基板31の下面には、その長手方向の両端部近傍に、それぞれ外部端子35が設けられている。
これら2つの外部端子35は、それぞれ2つのマウント電極34と電気的に接続されている。
このような各マウント電極34および各外部端子35は、それぞれ、例えばタングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0032】
次に、このようなパッケージ3を載置する実装用基板4について説明する。
実装用基板4は、図1に示すように、パッケージ3および後述する電子部品6を実装する基板であって、平面視にて略正方形状または略長方形状をなしており、パッケージ3のベース基板31とほぼ同等の大きさの基板である。
このような実装用基板4は、絶縁性基板40と、その上面(パッケージ3側の面)に設けられた複数の電極端子部41と、2つの配線パターン42とを有している。
【0033】
このうち、絶縁性基板40は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれであってもよいが、加工容易性等の観点からフレキシブル基板であるのが好ましい。また、絶縁性基板40の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、リジッド基板の構成材料としては、各種ガラス、酸化物系セラミックス、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックス等のセラミックスなどが挙げられ、フレキシブル基板の構成材料としては、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0034】
また、複数の電極端子部41は、図3に示すように、電子部品6のパッド部61に対応して離間配置されている。
これらの電極端子部41は、圧電振動片2を駆動するための端子の他、電子部品6の特性検査や、電子部品6内の各種情報(例えば、圧電発振器1の温度補償情報)の書き換え(調整)を行うための書込端子、入出力端子、アース端子等である。
【0035】
また、実装用基板4の長手方向の両端部(対向する辺の縁部)には、図1に示すように、絶縁性基板40の短手方向の中央の一部が上方に突出するように折り曲げられてなる、2つの折り曲げ部401、401が形成されている。各折り曲げ部401には、それぞれの根元部分と先端部分とに折り曲げ線402a、402bが形成されている。これにより、各折り曲げ部401は、それぞれ折り曲げ線402aで上方に折り曲げられ、折り曲げ線402aより先端側でかつ折り曲げ線402bより基端側の領域は、絶縁性基板40の折り曲げ部401以外の部分に対して傾斜した傾斜部401aとなる。また、折り曲げ線402bでは反対に下方に折り曲げられ、これにより、折り曲げ線402bより先端側の領域は、絶縁性基板40の折り曲げ部401以外の部分に対してほぼ平行な先端部401bとなる。
【0036】
傾斜部401aの傾斜角度、すなわち絶縁性基板40の折り曲げ部401以外の部分と傾斜部401aとがなす角度は、特に限定されないものの、5〜80°程度であるのが好ましく、10〜70°程度であるのがより好ましく、20〜60°程度であるのがさらに好ましい。なお、傾斜角度が2つ考えられる場合は、小さい方の角度を上記の「傾斜角度」とする。
【0037】
また、先端部401bの高さは、圧電発振器1のサイズや電子部品6の厚さ等に応じて異なるものの、一例として、好ましくは0.2〜3mm程度、より好ましくは0.3〜2mm程度とされる。
また、実装用基板4の長手方向の両端部には、それぞれ図2(b)に示すように、長手方向に沿って2本の切り欠き403、403が形成されている。すなわち、実装用基板4には全部で4本の切り欠き403が形成されている。そして、2本の切り欠き403、403で挟まれた領域が折り曲げ部401になっている。このように切り欠き403が設けられていることにより、実装用基板4を折り曲げても、その影響が実装用基板4の短手方向の他の領域に及ばないようになっている。
【0038】
なお、各切り欠き403は、その先端の平面視形状が図2(b)に示すようにV字状になっているのが好ましい。これにより、各折り曲げ部401がより折り曲げ易くなる。
さらに、実装用基板4の長手方向において、図2(b)に示すように、各折り曲げ部401とそれ以外の領域(電子部品6が搭載される電子部品搭載部)とを区切るための切り込み404が形成されている。すなわち、この切り込み404は、各折り曲げ部401の根元部分に、折り曲げ線402aに沿って複数個形成されている。このように切り込み404が設けられていることにより、実装用基板4は、折り曲げ線402aに沿って容易に折り曲げることができ、かつその折り曲げの影響が実装用基板4の長手方向の他の領域に及ばないようになっている。
【0039】
各切り込み404は、実装用基板4に形成した溝、凹部、貫通孔等で構成される。
また、2つの配線パターン42は、図3および図4に示すように、それぞれの一方の端部が、複数の電極端子部41のうちの1つと接続し、それぞれの他方の端部は、実装用基板4の長手方向の両端部に向かって延伸するように形成されている。
そして、各配線パターン42の他方の端部は、各折り曲げ部401の傾斜部401aを経て先端部401bに至るまで延伸している。また、各配線パターン42の他方の端部は、その線幅が広くなっている。これにより、各配線パターン42は、前述したパッケージ3の外部端子35との接続性が高められている。
【0040】
一方、実装用基板4のうち、各折り曲げ部401の下面には、それぞれ実装端子43が形成されている。各実装端子43は、圧電発振器1を実装する回路基板と電気的および機械的に接続するための端子である。また、各実装端子43は、実装用基板4に形成されたビアホールに設けられた導体ポストを介して、各電極端子部41と電気的に接続されている。
【0041】
このような実装用基板4の上面の中央部には、電子部品6が載置されている。電子部品6は、例えば集積回路素子(IC)であり、圧電振動片2を駆動する機能を有する。
電子部品6は、図3に示すように、各電極端子部41上にそれぞれ形成されたバンプ(突起電極)44を介して、いわゆるフェイスダウンボンディングにより実装されている。これにより、電子部品6の各パッド部61と各電極端子部41とが電気的に接続されるとともに、実装用基板4に対して電子部品6が固定される。
【0042】
なお、電子部品6は、フェイルダウンボンディングに代えて、金属ワイヤを用いた、いわゆるワイヤボンディングにより電気的に接続されていてもよい。
また、実装用基板4の各折り曲げ部401の先端部401b上には、パッケージ3が載置されている。パッケージ3が先端部401b上に載置された結果、パッケージ3は、図1および図3に示すように、各折り曲げ部401の突出高さ分だけ、実装用基板4の中央部から持ち上げられた状態になっている。これにより、従来のようにパッケージ3を持ち上げるためのスペーサや柱部材等が不要になり、圧電発振器1の構造の簡素化に伴う低背化を図ることができる。
【0043】
また、実装用基板4の各折り曲げ部401の先端部401bと、パッケージ3の外部端子35との間は、前述したように半田(ろう材)、導電性接着剤等の導電性部材により接合または接着されている。先端部401bは、パッケージ3の下面とほぼ平行な領域であるため、パッケージ3に対して十分な面積で確実に接合することができる。
なお、各折り曲げ部401とパッケージ3とが接合された結果、電子部品6は、その下面および側面を、実装用基板4で覆われた状態となる。これにより、実装用基板4は、衝撃や異物の侵入等から電子部品6を保護し、圧電発振器1の耐久性および信頼性を高めることができる。
【0044】
また、圧電発振器1は、一部の領域がモールド樹脂7でモールドされている。これにより、パッケージ3と実装用基板4との接合を補強するとともに、それぞれを保護している。モールド樹脂7には、例えば熱硬化性の各種樹脂材料等が好適である。
なお、図3では、モールド樹脂7は、蓋部材32の外周部、および、パッケージ3と実装用基板4との間隙に充填されているが、さらにパッケージ3や実装用基板4の側面も覆うように設けられていてもよい。
【0045】
(圧電発振器の実装方法)
次に、圧電発振器1を回路基板に実装する方法について説明する。
図5は、図1に示す圧電発振器を回路基板に実装する方法を説明するための断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」という。また、図5では、圧電発振器を覆うモールド樹脂を省略している。
【0046】
圧電発振器1は、例えば半田、異方性導電性ペースト等を介して回路基板に実装される。
実装方法としては、リフロー方式、フロー方式等、特に限定されないが、ここではリフロー方式について説明する。
リフロー方式による実装方法は、具体的には、回路基板上の圧電発振器1を実装する箇所に半田ペーストを供給する工程と、回路基板上に圧電発振器1を載置する工程と、圧電発振器1を載置した回路基板を加熱し、半田を溶融したのち固化することにより半田付け(リフロー)する工程とを有している。
【0047】
以下、各工程について説明する。
まず、回路基板8の回路配線81上に、半田ペーストを供給する。
半田ペーストは、半田の粉末やフラックスをバインダーに混合してペースト状にしたものである。
半田ペーストの供給は、例えば、スクリーン印刷等の各種印刷法の他、ディスペンサー等を用いて行うこともできる。
【0048】
次いで、供給した半田ペースト上に圧電発振器1を載置する。載置された圧電発振器1は、半田ペーストの粘性により、その位置が保持される。
次に、圧電発振器1を載置した回路基板8を、リフロー炉により加熱する。加熱温度は、半田の種類に応じて適宜設定されるが、一例として220〜260℃程度とされる。
このような加熱により、まず、半田ペースト中のバインダー成分が分解・除去される。その後、加熱温度が半田の融点を上回ると、半田が溶融し、回路基板8の回路配線81と圧電発振器1の各実装端子43との間に濡れ広がる。
【0049】
その後、回路基板8を放熱することにより、半田が固化して、圧電発振器1が回路基板8上に実装される。
ここで、実装端子43と回路配線81との間で溶融した半田は、図5に示すように、実装端子43と回路配線81との隙間を充填するように濡れ広がる。また、実装端子43は、圧電発振器1の実装用基板4のうち、折り曲げ部401の下面に形成されているため、実装端子43と回路配線81との間には、折り曲げに伴う隙間9が生じる。溶融した半田は、図5に示すように、隙間9の開口側に、いわゆる「フィレット」と呼ばれる緩やかな湾曲した形状(図5に示すフィレット92)を伴い、隙間9を充填するように形成された半田溜まりとなる。このような半田溜まりが固化し、図5に示す接続部91が形成される。
【0050】
従来の圧電発振器では、回路基板と隙間がほとんどなかったことから、接続部を視認しようとしても、視認可能な面積はごくわずかであった。このため、検査工程において、フィレットを直接目視し、接続部に発生した亀裂等の不具合を発見することは極めて困難であった。
また、圧電発振器と回路基板との間には、一般に熱膨張率差が存在するが、実装後に、この熱膨張率差が接続部への応力集中を招く場合がある。従来の層状に溜まった半田では、このような応力集中を緩和し切れず、接続部に亀裂等が発生することがあった。
【0051】
これに対し、圧電発振器1の実装では、図5に示すように、実装端子43と回路配線81との間に、折り曲げ部401の折り曲げに伴う比較的広い隙間9が生じる。したがって、検査工程では、広い隙間9内に形成された、より厚い接続部91を容易に視認することができ、不具合の発見も容易になる。
また、接続部91は、半田がある程度の厚さに溜まったものであり、さらに半田は比較的柔軟性が高い材料であることから、接続部91における応力集中の緩和に寄与する。このため、接続部91は、圧電発振器1と回路基板8との熱膨張率差に伴う応力が発生したとしても、それによる不具合の発生を確実に抑制し、製品の信頼性向上および製造歩留まり向上を図ることができる。
【0052】
さらには、接続部91は、折り曲げ部401を回路基板8に固定しているため、特に横方向(回路基板8と平行な方向)の応力緩和に寄与する。これは、折り曲げ部401は、絶縁性基板を折り曲げて形成されたものであるため、折り曲げ角度(傾斜部401aの傾斜角度)が自在に変化することにより、特に横方向(面方向)の応力を緩和し易いからである。この傾向は、絶縁性基板40がフレキシブル基板(可撓性基板)である場合に特に顕著である。このようなことから、接続部91は、応力集中に伴う不具合の発生を、より確実に抑制することができる。
【0053】
また、電子部品6は、実装用基板4の両端部に形成された折り曲げ部401同士の間に搭載されるため、接続部91の厚さが厚くなっても、電子部品6の搭載位置(搭載高さ)にはほとんど影響が及ばない。このため、接続部91の厚さが厚くなっても、回路基板8に実装された圧電発振器1の高さには影響が及び難くなり、実装された圧電発振器1の低背化、および、圧電発振器1を実装した回路基板8全体の薄型化を確実に図ることができる。
【0054】
なお、接続部91の形状は、実装端子43の形成領域に応じて種々の形状をとり得る。
図6は、実装端子と回路配線との間の隙間に形成された接続部の他の構成例を示す部分拡大図である。
前述した図5に示す圧電発振器1では、実装端子43が折り曲げ部401のうち、傾斜部401aの下面と先端部401bの下面の双方設けられている。一方、図6に示す圧電発振器は、実装端子43の形状が異なる以外は、図5に示す圧電発振器1と同様である。
【0055】
すなわち、図6(a)に示す実装端子43aは、折り曲げ部401のうち、先端部401bの下面にのみ設けられている。このような実装端子43aを備えた圧電発振器1を回路基板8上に載置すると、実装端子43aと回路配線81との間には、図6(a)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91aが形成されている。
一方、図6(b)に示す実装端子43bは、前述した実装端子43aと同様、折り曲げ部401のうち、先端部401bの下面にのみ設けられている。このような実装端子43bを備えた圧電発振器1は、回路基板8上に載置され、さらに実装端子43bと回路配線81との間は、図6(b)に示すような導電性の球形のスペーサ93を介して接続されている。そして、実装端子43bとスペーサ93との間、および、回路配線81とスペーサ93との間に、図6(b)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91bが形成されている。
【0056】
このような接続部91bによれば、圧電発振器1をスペーサ93の直径分だけ回路基板8より持ち上げた状態で実装することができる。これにより、実装端子43と回路配線81との間に、より広い隙間9が形成されることとなる。その結果、接続部91bおよびそのフィレット92をより確実に目視することができる。
なお、スペーサ93としては、例えば、銅で構成された粒子の表面に半田の層を成膜したもの等が挙げられる。
【0057】
また、図6(c)に示す実装端子43cは、折り曲げ部401のうち、傾斜部401aの下面にのみ設けられている。このような実装端子43cを備えた圧電発振器1を回路基板8上に載置すると、実装端子43cと回路配線81との間には、図6(c)に示すような半田溜まりが形成され、これが固化することにより接続部91cが形成されている。
このような接続部91cによれば、圧電発振器1の実装に必要な面積をより小さくすることができる。すなわち、図6(c)の場合、圧電発振器1の長さL1より、回路基板8上における圧電発振器1の実装に必要な長さL2は短くなっている。このため、回路基板8上の領域を有効活用することができ、例えば、回路基板8は、図6(c)に示すように、隙間9に入り込むように設けられた回路配線82を有することができる。この回路配線82は、回路配線81とは異なる別の配線であるため、図6(c)に示す実装形態によれば、圧電発振器1のサイズを縮小することなく、回路基板8における配線密度をより高めることができる。その結果、回路基板8の小型化を図ることができる。
以上のような図6に示す各接続部91a、91b、91cによっても、それぞれ、前述した図5に示す接続部91と同様の作用・効果が得られる。
【0058】
(圧電発振器の製造方法)
次に、圧電発振器1を製造する方法(本発明の圧電デバイスの製造方法)について説明する。
図7は、図1に示す圧電発振器が備える実装用基板を製造するための実装用基板フィルムを示す概念図、図8および図9は、それぞれ図1に示す圧電発振器の製造方法を説明するための図である。なお、図8および図9は、図7のB−B線断面図である。
【0059】
図7に示す実装用基板フィルム100は、複数の圧電発振器1を同時に形成できるように、実装用基板4に相当する領域が一列に連結した帯状のフィルムである。
この実装用基板フィルム100は、前述したポリイミド等の樹脂材料で構成された絶縁性基板40が複数連結されたものであり、図7に示す切断線CLで切断することにより、複数の実装用基板4を製造することができる。
【0060】
実装用基板フィルム100には、個々の実装用基板4に相当する部位に、前述した各電極端子部41、各配線パターン42、各実装端子43、各切り欠き403、および各切り込み404が形成されている。
また、隣接する折り曲げ部401同士の間には、幅方向に沿って配列した複数の貫通孔101が形成されている。この貫通孔101は隣接する切り欠き403と繋がっており、これにより、各折り曲げ部401は折り曲げが可能になり、各部位を切断する前の実装用基板フィルム100の状態であっても、各折り曲げ部401の形成が可能になる。
【0061】
なお、各電極端子部41、各配線パターン42、および各実装端子43は、銅等の導電性材料を用い、エッチング、印刷、蒸着、メッキ等の技術を組み合わせることにより形成することができる。
また、実装用基板フィルム100の上面全体には、各電極端子部41、各配線パターン42、各切り欠き403、および各切り込み404を除く領域に絶縁膜102が形成されている。
【0062】
以下、圧電発振器1の製造方法を順次説明する。
まず、このような実装用基板フィルム100の上面に電子部品6をフェイスダウン実装する(電子部品載置工程)。
具体的には、まず、電子部品6のパッド部61を有する面を上向きにして、各パッド部61上にそれぞれバンプ44を形成する。バンプ44には、めっきバンプや金属バンプ等、種々のものを用いることができるが、一例としては、ワイヤボンディングに用いられる金属ワイヤの先端を、放電によりボール状にした後、その先端をパッド部61に押し付けて接合し、その後、ワイヤを切断して先端部をパッド部61上に残すことにより形成された、いわゆるスタッドバンプが挙げられる。バンプ44の形成後、図8(a)に示すように、ボンディングヘッドBHで上方から電子部品6を支持し、各バンプ44と各電極端子部41とがそれぞれ接触するように電子部品6を実装用基板フィルム100上に載置する。そして、ボンディングヘッドBHで超音波を印加しつつ、電子部品6を実装用基板フィルム100に圧着する。
【0063】
次いで、図8(b)に示すように、パッケージ3の下面と電子部品6の上面とを、図示しない接着剤で接着する(パッケージ載置工程)。これにより、パッケージ3が電子部品6の上面に固定される。
次いで、電子部品6およびパッケージ3を固定した実装用基板フィルム100を上下反転させる。そして、実装用基板フィルム100の各折り曲げ部401を、図8(c)に示すように下方に押し下げる(折り曲げ工程)。そして、各折り曲げ部401に設けられた配線パターン42とパッケージ3に設けられた外部端子35とを接続する。これにより、配線パターン42と外部端子35およびパッケージ3内に収納された圧電振動片2とが電気的に接続される。なお、配線パターン42と外部端子35との接続には、熱圧着やバンプによる接合等が用いられる。
【0064】
また、実装用基板フィルム100の折り曲げには、例えば、治具等を実装用基板フィルム100に押し当てることにより行うことができる。
次いで、図9(d)に示すように、パッケージ3と実装用基板フィルム100との間や、パッケージ3の蓋部材32の外側を、モールド樹脂7でモールドする。モールド樹脂7は、例えば、モールドする部材を成形型内に入れ、その型内にモールド樹脂を供給する方法(インジェクションモールド)、スクリーン印刷法等により供給する方法、隙間にモールド樹脂を充填する方法(ポッティングモールド)等により供給される。なお、ポッティングモールドでは、各切り欠き403や各貫通孔101からモールド樹脂が漏れ出ないように、これらを図示しない部材で塞ぐようにしてもよい。
【0065】
次いで、図9(d)に示す切断線CLに沿って実装用基板フィルム100を切断する(切断工程)。これにより、実装用基板フィルム100が複数の実装用基板4に分離され、その結果、複数の圧電発振器1が同時に製造される。
次いで、それぞれの圧電発振器1の各種特性を検査し、必要に応じて、電子部品6内の各種情報を書き換える。また、必要に応じて、蓋部材32を透過させるようにパッケージ3内の圧電振動片2にレーザー光を照射し、前述した質量削減方式により圧電振動片2の周波数を調整する。
【0066】
なお、実装用基板4を幅方向に拡張し、この拡張した部分に、電子部品6内の各種情報を書き換えるための調整端子を設けるようにしてもよい。このような実装用基板を以下に説明する。
図10は、圧電発振器が備える実装用基板の他の構成例を示す斜視図である。
図10(a)に示す仮基板400は、図1に示す実装用基板4が幅方向に拡張されたものであり、図1に示す実装用基板4に相当する部分の絶縁性基板40と、拡張された部分である拡張部分4aとを有している。この拡張部分4aの上面には、2つの調整端子47、47が設けられている。よって、仮基板400の構成は、拡張部分4aおよび2つの調整端子47、47以外は、図1に示す実装用基板4の構成と同様である。
【0067】
2つの調整端子47、47は、それぞれ独立して、配線を介して仮基板400の電極端子部41と電気的に接続されている。これにより、各調整端子47を介して、電子部品6内の各種情報を書き換えることができる(調整工程)。
また、各調整端子47が設けられた拡張部分4aは、電子部品6やパッケージ3の陰に隠れることがないので、仮基板400上に電子部品6やパッケージ3を搭載した後にも、各調整端子47に電圧を印加することができる。なお、本調整工程は、前記折り曲げ工程の前に行うようにしてもよい。
【0068】
さらに、各調整端子47は、従来、実装用基板4の下面に形成されていたため、隣接する実装端子43との絶縁性の確保との兼ね合いから、そのサイズを大きくすることができなかった。このため、電子部品6の各種情報を書き換える場合、各調整端子47に接触させ、これに電圧を印加するプローブの位置制御が難しく、接続不良を生じ易いことが問題となっていた。これに対し、図10に示す仮基板400では、拡張部分4aに各調整端子47を設けるようにしたため、各調整端子47のサイズを十分に大きくすることができ、かつ、実装端子43と調整端子47との離間距離を十分に大きくすることができる。その結果、前述したようなプローブの位置制御が容易になり、接続不良の発生を確実に防止することができる。
【0069】
なお、情報の書き換え後、図10(a)に示す切断線CL2に沿って仮基板400を切断する。これにより、仮基板400が、図10(b)に示すように、絶縁性基板40と拡張部分4aとに分離される。その結果、図1に示す実装用基板4を得ることができる。
また、拡張部分4aを分離することなく、切断線CL2で折り返して、電子部品6とパッケージ3との隙間やその他の隙間に差し込むようにしてもよい。これにより、拡張部分4aを電子部品6とパッケージ3との間に収納することができる。その結果、調整端子47を内蔵した圧電発振器1が得られることとなる。
【0070】
このような圧電発振器1では、必要に応じて拡張部分4aを隙間から引っ張り出すことにより、随時、電子部品6内の各種情報を書き換えることができる。これにより、圧電発振器1の製造後、圧電発振器1の使用環境が著しく変化したとしても、その使用環境に応じた各種情報を電子部品6内に書き換えることで、安定した発振が可能な圧電発振器1が得られる。
【0071】
<第2実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第2実施形態について説明する。
図11は、本発明の圧電デバイスの第2実施形態を適用した圧電発振器の実装用基板を示す斜視図、図12は、図11に示す実装用基板を製造するための実装用基板フィルムを示す(a)上面図および(b)下面図である。なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」という。
【0072】
以下、第2実施形態にかかる圧電デバイスについて説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態は、実装用基板4’における折り曲げ部401の形成箇所が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
図11に示す実装用基板4’の長手方向の両端部には、それぞれ図11に示すように、四隅の一部が上方に突出するように折り曲げられてなる、4つの折り曲げ部401、401、401、401が形成されている。これにより、実装用基板4’はパッケージ3と確実に接合され、かつ電子部品6の四隅を確実に保護することができる。その結果、圧電発振器1の信頼性をより高めることができる。
【0073】
また、実装用基板4’が有する複数の電極端子部41のうち、2つの電極端子部41には、それぞれ配線パターン42の一方の端部が接続されている。また、これらの配線パターン42の他方の端部は、それぞれ実装用基板4’の長手方向の左側端部に向かって延伸するように形成されている。
そして、各配線パターン42の他方の端部は、各折り曲げ部401のうち、左側端部に設けられた2つの折り曲げ部401、401の傾斜部401aを経て先端部401bに至るまで延伸している。また、各配線パターン42の他方の端部では、その線幅が広くなっている。これにより、各配線パターン42は、前述したパッケージ3の外部端子35との接続性が高められている。
【0074】
一方、各折り曲げ部401のうち、右側端部に設けられた2つの折り曲げ部401、401には、それぞれパッケージ3の外部端子35との接続に供される接続パターン48が設けられている。すなわち、実装用基板4’では、2つの配線パターン42、42および2つの接続パターン48、48と、パッケージ3が有する外部端子35との間を接合することにより、パッケージ3を実装する。
【0075】
また、実装用基板4’のうち、各折り曲げ部401の下面には、それぞれ実装端子43が形成されている。各実装端子43は、実装用基板4’に形成されたビアホールに設けられた導体ポスト45および配線パターン46を介して、各電極端子部41と電気的に接続されている。
以上のような第2実施形態も、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0076】
また、前記第1実施形態は、実装端子43を2つ有しているが、第2実施形態は、実装端子43を4つ有しているため、圧電発振器1を回路基板に対してより確実に実装することができる。
また、前記第1実施形態では、実装用基板4を幅方向に拡張し、この拡張した部分(拡張部分4a)に、電子部品6内の各種情報を書き換えるための調整端子47を設けた場合について説明したが、本実施形態では、実装用基板4’が長手方向に拡張され、この拡張部分4aに調整端子47が設けられている。なお、図11では、実装用基板4’(絶縁性基板40)と拡張部分4aとを切断線CL2で分離した状態を示している。
【0077】
次いで、実装用基板4’を製造するための実装用基板フィルム100’について説明する。
実装用基板フィルム100’は、複数の圧電発振器1を同時に形成されるように、実装用基板4’に相当する領域(以下、省略して「実装用基板領域」という。)が一列に連結した帯状のフィルムであるが、その連結方向と拡張部分4aおよび余白部分4bが設けられている点とが異なる以外は、実質的に実装用基板フィルム100と同様である。
【0078】
すなわち、実装用基板フィルム100’は、図12に示すように、実装用基板4’、拡張部分4aおよび余白部分4bに相当する領域の幅方向の端部同士が互いに連結されたものである。そして、この実装用基板フィルム100’を図12に示す切断線CLで切断することにより、実装用基板4’およびこれに付属した拡張部分4aおよび余白部分4bからなる仮基板400’を複数個同時に形成することができる。また、このようにして得られた仮基板400’を図12に示す切断線CL2で切断することにより、実装用基板4’を複数個同時に形成することができる。
【0079】
また、実装用基板フィルム100’では、上述したように、実装用基板フィルム100と比べて、実装用基板に相当する領域の配列方向が異なっているため、各折り曲げ部401は、電子部品6を実装する領域を挟んで、幅方向の両側に配列することとなる。このため、前述した実装用基板フィルム100では、1つの実装用基板領域において折り曲げ部401を折り曲げた際にフィルムが長手方向に引っ張られ、隣接する実装用基板領域に引っ張り力が伝達されてしまい、この実装用基板領域の実装装置に対する位置がずれてしまうおそれがあるが、実装用基板フィルム100’では、このような問題が解消される。すなわち、実装用基板フィルム100’では、1つの実装用基板領域において折り曲げ部401を折り曲げたとしても、その際に発生する引っ張り力は、実装用基板フィルム100’の幅方向に伝達し、実装用基板フィルム100’の長手方向に隣接する実装用基板領域には伝達しない。このため、実装用基板フィルム100’によれば、前述したような位置ずれを確実に防止することができる。
【0080】
なお、実装用基板フィルム100’は、余白部分4bを含んでいるが、この余白部分4bは必要に応じて有していればよく、省略してもよい。
以上説明したような圧電発振器1は、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
本発明の圧電デバイスを備える電子機器としては、特に限定されないが、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレータ等が挙げられる。
【0081】
以上、本発明の圧電デバイス、電子機器および圧電デバイスの製造方法について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、折り曲げ部401の個数は、2つまたは4つに限定されず、3つまたはそれ以上であってもよい。
また、各折り曲げ部401は、折り曲げ線402a、402bを伴う「折り曲げ」ではなく、明瞭な折り曲げ線を伴わない湾曲した「折り曲げ」であってもよい。
また、本発明の圧電デバイスは、水晶発振器(SPXO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒温槽付水晶発振器(OCXO)等の圧電発振器の他、ジャイロセンサー、弾性表面波(SAW)フィルター等であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1‥‥圧電発振器 2‥‥圧電振動片 21‥‥圧電体基板 3‥‥パッケージ 31‥‥ベース基板 32‥‥蓋部材 34‥‥マウント電極 35‥‥外部端子 39‥‥導電性接着剤 4、4’‥‥実装用基板 4a‥‥拡張部分 4b‥‥余白部分 40‥‥絶縁性基板 401‥‥折り曲げ部 401a‥‥傾斜部 401b‥‥先端部 402a、402b‥‥折り曲げ線 403‥‥切り欠き 404‥‥切り込み 41‥‥電極端子部 42‥‥配線パターン 43、43a、43b、43c‥‥実装端子 44‥‥バンプ 45‥‥導体ポスト 46‥‥配線パターン 47‥‥調整端子 48‥‥接続パターン 6‥‥電子部品 61‥‥パッド部 7‥‥モールド樹脂 8‥‥回路基板 81、82‥‥回路配線 9‥‥隙間 91、91a、91b、91c‥‥接続部 92‥‥フィレット 93‥‥スペーサ 100、100’‥‥実装用基板フィルム 101‥‥貫通孔 102‥‥絶縁膜 400、400’‥‥仮基板 900‥‥圧電発振器 901‥‥実装用基板 902‥‥電子部品 903‥‥パッケージ 904‥‥柱部材 905‥‥実装端子 909‥‥半田層 910‥‥回路基板 911‥‥絶縁性基板 912‥‥回路配線 S1‥‥内部空間 BH‥‥ボンディングヘッド CL、CL2‥‥切断線 L1、L2‥‥長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装用基板と、前記実装用基板の一方の面側に設けられ、圧電振動片を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージとの間に設けられ、前記圧電振動片を駆動するための電子部品とを有し、
前記実装用基板は、縁部の一部を前記パッケージ側に折り曲げてなる折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部の一部は、前記パッケージに固定されており、
前記折り曲げ部の前記パッケージと反対側の面に実装端子が設けられていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、前記実装用基板の前記電子部品が搭載された部分である電子部品搭載部に対して傾斜した傾斜部と、前記傾斜部より前記縁部側に延長された部分である先端部とを有し、
前記先端部は、前記パッケージに固定されている請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記実装端子は、前記傾斜部に設けられている請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記実装用基板は、平面視にて、矩形形状を有し、
前記折り曲げ部は、前記実装用基板の対向する一対の辺の縁部、または、前記実装用基板の四隅に設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記実装用基板は、可撓性を有する材料で構成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の圧電デバイスを備えた電子機器であって、
前記圧電デバイスは、基材上に載置され、
前記圧電デバイスの前記折り曲げ部と前記基材との間に隙間を有し、
前記隙間内に、前記実装端子と前記基材上の配線パターンとを接続する接続部が形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記接続部は、前記隙間の少なくとも一部に充填された導電性部材である請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
実装端子を備える実装用基板と、該実装用基板の一方の面側に設けられ、圧電振動片を収納したパッケージと、前記実装用基板と前記パッケージとの間に設けられ、前記圧電振動片を駆動するための電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装用基板となるべき領域が複数個連結され、それぞれの領域に前記実装端子を備える実装用基板フィルムを用意し、前記各領域の前記実装端子を備える面と反対側の面にそれぞれ前記電子部品を載置する電子部品載置工程と、
前記実装用基板フィルムに対して前記各電子部品を挟むようにそれぞれ前記パッケージを重ねるように載置するパッケージ載置工程と、
前記実装用基板フィルムの前記領域のうち、前記実装端子を備える部分を、それぞれ前記パッケージ側に折り曲げて折り曲げ部を形成するとともに、該折り曲げ部と前記パッケージとを接着する折り曲げ工程と、
前記実装用基板フィルムの前記領域同士の境界を切断し、複数の前記圧電デバイスを製造する切断工程とを有することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記実装用基板フィルムは、前記実装用基板となるべき領域と、該領域に連結され、前記電子部品載置工程において前記電子部品と電気的に接続されるべき調整端子を備える拡張部分とを有するものであり、
前記折り曲げ工程の前または後に、前記調整端子を介して前記電子部品の情報を書き換え、その後、前記領域と前記拡張部分とを分離する調整工程を有する請求項8に記載の圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−226397(P2010−226397A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71029(P2009−71029)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】