説明

地図情報配信センタ及び地図情報配信方法

【課題】必要最小限のデータ量の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することが可能な地図情報配信センタを提供する。
【解決手段】各ナビゲーション装置2のナビ更新履歴情報51としては、ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」毎に、高速自動車国道、都市高速道路等の高規格道路を表す「高規格」と、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道等の一般道路を表す「一般」と、細街路を表す「細街路」との3つの「配信道路区分」に区分されて、約2.5km四方のエリア毎に付された各「区画ID」に対して現在、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報の「バージョン」が記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報配信センタに関し、特に、地図情報を更新するための更新情報をナビゲーション装置に配信する地図情報配信センタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図データを記録媒体等から読み出し、地図データに基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。
【0003】
ここで、日本全国においては毎年新しい道路(新設道路)が建設されている。また、これに伴って、既存の道路がなくなったり、既存の道路の形状が変更されたりする。従って、ナビゲーション装置に記憶させる地図データはある程度の時間間隔で更新することが必要となる。ここで、地図データの更新は、新しいDVDを購入して古いDVDと交換したり、店舗でHDDに地図データを書き込んだり、地図情報配信センタ等から配信された地図データに基づいてHDDの内容を書き換えることによって行われる。
そこで、ナビゲーション装置に記憶されている地図データを更新するための更新情報を、当該ナビゲーション装置に自動的に配信する地図情報配信センタが種々提案されている。
【0004】
例えば、ナビゲーション装置から地図情報配信センタへ地図情報を更新するための差分データを要求する場合に、当該ナビゲーション装置を識別するナビ識別IDと地図情報を更新するメッシュ番号とを送信する。また、当該地図情報配信センタは、受信したナビ識別IDとメッシュ番号から、そのメッシュについてナビゲーション装置が記憶している地図情報のバージョンと最新のバージョンとを比較して差分データがある場合には、この差分データをナビゲーション装置に送信するように構成した地図情報配信センタがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−125510号公報(段落(0032)〜(0040)、(0046)〜(0063)、図15〜図18、図20〜図29)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された地図情報配信センタでは、ナビゲーション装置が記憶している地図情報のバージョンは、高速自動車国道、都市高速道路、1桁又は2桁の国道等の高規格道路や、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道等の一般道路、細街路等、全道路に関して区別無く管理されている。このため、ナビゲーション装置が記憶している地図情報の高速自動車国道、都市高速道路、1桁又は2桁の国道等の一部の道路に関する地図情報は、既に最新バージョンのものに更新されていても、ナビゲーション装置からナビ識別IDと地図情報を更新するメッシュ番号とを受信した場合には、全道路に関する更新情報を送信する必要があり、必要最小限のデータ量の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することができず、地図情報配信センタとナビゲーション装置との間の通信データ量が多くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、地図情報配信センタが、ナビゲーション装置の記憶している地図情報の更新履歴を道路区分毎に管理することによって、既に更新された道路区分に関する差分データを除いて、必要最小限のデータ量の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することが可能となり、ナビゲーション装置との間の通信データ量を少なくすることが可能な地図情報配信センタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため請求項1に係る地図情報配信センタは、バージョン毎の地図情報を記憶する地図情報記憶手段(14)と、各ナビゲーション装置(2)を識別する識別情報に対応させて、各ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を記憶するバージョン情報記憶手段(15)と、ナビゲーション装置から前記識別情報を受信する受信手段(16)と、受信した該識別情報に基づいて、該識別情報に対応するナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を前記バージョン情報記憶手段から取得して、この取得した道路区分毎のバージョン情報に基づいて前記地図情報記憶手段から最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データを抽出する抽出手段(10)と、前記抽出手段を介して抽出した道路区分毎の差分データを前記受信手段を介して受信した識別情報に対応するナビゲーション装置に送信する送信手段(10、16)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る地図情報配信センタは、請求項1に記載の地図情報配信センタ(3)において、前記受信手段を介して前記識別情報と共に前記地図情報の所定領域に対応する更新情報を要求する領域更新要求情報を受信した場合には、前記抽出手段は、受信した該識別情報に基づいて、該識別情報に対応するナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報から前記所定領域に対応する道路区分毎のバージョン情報を取得し、この取得した道路区分毎のバージョン情報に基づいて前記地図情報記憶手段から最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データを抽出することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る地図情報配信センタは、請求項1又は請求項2に記載の地図情報配信センタ(3)において、前記送信手段を介して道路区分毎の差分データを送信したナビゲーション装置から該差分データに基づいて地図情報を更新した旨を表す更新完了情報を前記受信手段を介して受信した場合には、この送信した差分データに基づいて前記バージョン情報記憶手段に記憶されている該ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を更新するバージョン情報更新手段(10)を備えていることを特徴とする。
【0010】
更に、請求項4に係る地図情報配信センタは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図情報配信センタ(3)において、前記地図情報は、所定範囲のメッシュ単位で区画され、前記バージョン情報記憶手段は、前記メッシュ単位で前記道路区分毎のバージョン情報を記憶し、前記抽出手段は、前記メッシュ単位で前記道路区分毎の差分データを抽出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係る地図情報配信センタでは、ナビゲーション装置から該ナビゲーション装置を識別する識別情報を受信した場合には、受信した該識別情報に対応するナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報をバージョン情報記憶手段から取得し、この取得した道路区分毎のバージョン情報に基づいて地図情報記憶手段から最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データを抽出する。そして、地図情報配信センタは、この抽出した道路区分毎の差分データを識別情報に対応するナビゲーション装置に送信する。
【0012】
これにより、地図情報配信センタは、各ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を管理しているため、ナビゲーション装置から該ナビゲーション装置を識別する識別情報を受信した場合には、道路区分毎の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することが可能となる。このため、ナビゲーション装置が記憶している地図情報のうちの高速自動車国道、都市高速道路、1桁又は2桁の国道等の高規格道路に関する地図情報が、既に最新バージョンのものに更新されている場合には、これらの高規格道路に関する差分データを除いて、地図情報の更新に関する必要最小限のデータ量の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することが可能となり、ナビゲーション装置との間の通信データ量を少なくすることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に係る地図情報配信センタでは、識別情報と共に地図情報の所定領域に対応する更新情報を要求する領域更新要求情報を受信した場合には、この所定領域に対応する道路区分毎の差分データを抽出して、ナビゲーション装置に送信することが可能となる。このため、ナビゲーション装置から地図情報配信センタへの地図情報の更新を要求する場合には、ナビゲーション装置から地図情報配信センタへ更新情報を要求する領域更新要求情報と該ナビゲーション装置を識別する識別情報とを送信するだけでよく、更新要求時の通信データ量を更に少なくすることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に係る地図情報配信センタでは、道路区分毎の差分データを送信したナビゲーション装置から該差分データに基づいて地図情報を更新した旨を表す更新完了情報を受信した場合には、該ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を更新する。
これにより、地図情報配信センタは、ナビゲーション装置に記憶される地図情報の道路区分毎のバージョン情報の更新履歴を正確に管理することが可能となり、ナビゲーション装置が現在記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を正確に管理することができる。
【0015】
更に、請求項4に係る地図情報配信センタでは、地図情報を所定範囲のメッシュ単位で区画し、ナビゲーション装置に記憶される地図情報を該メッシュ単位で道路区分毎のバージョン情報を管理し、ナビゲーション装置が記憶している地図情報と最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データをメッシュ単位で抽出するため、ナビゲーション装置に記憶される地図情報の道路区分毎のバージョン情報の更新履歴をメッシュ単位で正確に管理して、ナビゲーション装置が現在記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報をメッシュ単位で正確に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る地図情報配信センタを地図情報配信システムについて具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
先ず、本実施例に係る地図情報配信システム1の概略構成について図1乃至図3を用いて説明する。図1は本実施例に係る地図情報配信システム1を示したブロック図である。図2は地図情報配信センタ3における地図データのバージョン管理の仕組みを説明した説明図である。
【0018】
図1に示すように本実施例に係る地図情報配信システム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報を配信する地図情報配信センタ3と、ネットワーク4と、このネットワーク4に接続可能なナビゲーション装置2のユーザや販売店等が所有するPC(Personal Computer)5とから基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と地図情報配信センタ3、PC5と地図情報配信センタ3は、それぞれネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図3を用いて詳細に説明する。
【0019】
また、図1に示すように、地図情報配信センタ3は、サーバ10と、サーバ10に接続された地図情報記録部としてのセンタ側地図情報DB14と、ナビ更新履歴情報DB15と、センタ側通信装置16と、差分データ管理DB18と、配信管理情報DB19とを備えている。また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、後述のようにナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、配信対象エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出すると共に、この更新情報を識別する配信識別IDを付与して、ナビゲーション装置2に対して配信するナビ地図情報更新処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0020】
また、センタ側地図情報DB14には、地図情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報17がバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部分(例えば、自車の現在位置又は予め登録されている自宅地点を中心とする80km四方の領域である。)又は全部を更新用地図情報17に記憶される最新のバージョンに更新する為の更新情報(以下、「差分データ」という。)についてもバージョン毎に区分されて記憶されている。
ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0021】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報17には、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0022】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0023】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0024】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0025】
また、図2に示すように、各道路種別の差分データは、上記10km×10kmで区画された2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方の区画単位毎に、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道から構成される高規格道路区分と、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道から構成される一般道路区分と、細街路から構成される細街路区分の3つの配信道路区分に区分されて、それぞれバージョン毎に更新用地図情報17に格納されて管理されている。
尚、以下、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道を高規格道路という。また、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道を一般道路という。また、一般道路よりも狭い街中等の街路を細街路という。
【0026】
ここで、差分データ管理DB18には、後述のように更新用地図情報17の各バージョン毎に、約2.5km四方のエリア毎に区画ID(図2では16のエリアに対してA、B、C、D、E、F、G、H、・・・・)を設定し、更に各エリアを道路規格で区分した3つの各配信道路区分毎の各差分データを表す差分データファイル名が格納されて管理されている(図5参照)。
【0027】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0028】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記センタ側地図情報DB14には、所定の情報をナビゲーション装置2のスピーカ26によって出力するための音声出力データも記録される。
【0029】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、各ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴に関するナビ更新履歴情報が、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに記憶される。
ここで、図2に示すように、各ナビゲーション装置2のナビ更新履歴情報51としては、ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」毎に、高規格道路を表す「高規格」と、一般道路を表す「一般」と、細街路を表す「細街路」との3つの「配信道路区分」に区分されて、約2.5km四方のエリア毎に付された各「区画ID」に対して現在、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報の「バージョン」が記憶されている。
【0030】
例えば、「ナビ識別ID」が「1001」のナビゲーション装置2が現在記憶している地図情報の「バージョン」は、「区画ID」が「A」のエリアに対して、配信道路区分が「高規格」の地図データのバージョンは「1」であり、配信道路区分が「一般」の地図データのバージョンは「2」であり、配信道路区分が「細街路」の地図データのバージョンは「1」となっている。
そして、後述のようにナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に、ナビ更新履歴情報51には、更新した各「区画ID」の「配信道路区分」毎に対応する最新の「バージョン」が記憶されて、新たな更新履歴に書き換えられる(図4参照)。
【0031】
そして、地図情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報17の内、最もバージョンの新しい更新用地図情報17によってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。
具体的には、本実施例に係る地図情報配信システム1では、ナビゲーション装置2から所定領域内の更新用地図情報17の配信要求があった場合には、最もバージョンの新しい更新用地図情報17に更新する為の差分データを抽出して、後述のようにこの差分データに「配信識別ID」を付与してナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる(図4参照)。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される差分データとしては、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報17に更新する為の必要最小限の「配信道路区分」毎の情報を送信する。
【0032】
また、配信管理情報DB19には、このナビゲーション装置2に配信した差分データに付与した「配信識別ID」毎に、この差分データの配信対象エリアの各区画を表す「区画ID」と、各「区画ID」における更新した各「配信道路区分」の「バージョン」が記憶されている(図8参照)。
【0033】
尚、地図情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、VICS(登録商標)センタが運営していてもよい。
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0034】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置2のユーザや販売店等が所有するPC(Personal Computer)5は、ネットワーク4を介して地図情報配信センタ3との間で、県単位で更新用地図情報17に格納される最新バージョンの地図情報の配信を受けることができるように構成されている。また、PC5は、この受信した県単位の地図情報を記憶媒体としてのCD−ROM6にナビゲーション装置2が読取部28(図3参照)で読み取り可能に記録できる記録部5Aを備えている。尚、ナビゲーション装置2の読取部28で読み取り可能であれば、CD−ROM6に替えて、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、MD、DVD、MO、ICカード、光カード等を使用してもよい。
【0035】
次に、本実施例に係る地図情報配信システム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施例に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0036】
図3に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、予め登録された自宅地点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)や各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、交通情報センタや地図情報配信センタ3等の情報センタとの間で通信を行う通信装置27と、記憶媒体としてのCD−ROM6から県単位で記録された所定バージョンの地図情報を読みとる読取部28と、から構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ28が接続される。尚、読取部28は、CD−ROM6だけでなくDVDに記録された地図情報等を読み取ることができるように構成してもよい。
【0037】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0038】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0039】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0040】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0041】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側地図情報DB37、及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0042】
ここで、ナビ側地図情報DB37にはナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに地図情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報38が格納されている。ここで、ナビ地図情報38には、更新用地図情報17と同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。尚、各データの詳細については既に説明したので、ここではその詳細は省略する。
そして、ナビ側地図情報DB37の内容は、地図情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された差分データや後述のCD−ROM6に記録された更新地図情報等の更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0043】
また、図3に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のようにエンジン始動時や目的地設定時に実行するナビ地図情報更新処理プログラム(図4等参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0044】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0045】
更に、前記ナビゲーション制御部23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、通信装置27、読取部28の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0046】
操作部24は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー、目的地設定ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーション制御部23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0047】
また、液晶ディスプレイ25には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0048】
また、スピーカ26は、ナビゲーション制御部23からの指示に基づいて、選択された目的地である施設名称や、誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「○○スキー場への新しい道路が更新されました。」、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0049】
そして、通信装置27は、地図情報配信センタ3と通信を行う通信手段であり、後述のように地図情報配信センタ3との間で所定区画領域内の最もバージョンの新しい更新用地図情報17等の送受信を行う。また、地図情報配信センタ3に加えて、例えば、VICS(登録商標)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信することも可能である。
【0050】
次に、前記構成を有する地図情報配信システム1において、ナビゲーション装置2のCPU41及び地図情報配信センタ3のCPU11が実行する、ナビ側地図情報DB37のナビ地図情報38をエンジン始動時や目的地設定時に自動更新するために実行するナビ地図情報更新処理について図4乃至図9に基づいて説明する。
図4は本実施例に係る地図情報配信システム1において、ナビゲーション装置2のCPU41及び地図情報配信センタ3のCPU11が実行する、ナビ側地図情報DB37のナビ地図情報38をエンジン始動時や目的地設定時に自動更新するために実行するナビ地図情報更新処理を示すフローチャートである。尚、図4にフローチャートで示される各プログラムは、ナビゲーション装置2のROM43、地図情報配信センタ3のROM13に記憶されており、各CPU41、11により実行される。
【0051】
図4に示すように、先ず、ナビゲーション装置2のCPU41は、ステップ(以下、Sと略記する)11において、イグニションスイッチがONにされてエンジンが始動された場合、即ち、アクセサリー(ACC)がONになってナビゲーション装置2の電源が入った場合には、まだ目的地が設定されていないため、データ記録部22に予め登録されている自宅地点の座標データ(例えば、自宅地点の緯度と経度等である。以下、「登録自宅位置」という。)を読み出し、この登録自宅位置の座標データを地図情報配信センタ3に送信する座標データとしてRAM42に記憶する。また、CPU41は、RAM42から自宅フラグ(座標フラグ)を読み出し、該自宅フラグをONに設定する、即ち、自宅フラグに「1」を代入して再度、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、この登録自宅位置を表す座標データと自宅フラグとをRAM42から読み出し、当該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」(例えば、ナビ識別ID「1001」である。)とともに該座標データと自宅フラグとを地図情報配信センタ3に送信する。
【0052】
また、S11において、操作部24を介して目的地が設定された場合には、ナビゲーション装置2のCPU41は、当該目的地の座標データをRAM42に記憶する。また、CPU41は、RAM42から自宅フラグを読み出し、該自宅フラグをOFFに設定する、即ち、自宅フラグに「0」を代入して再度、RAM42に記憶する。そして、CPU41は、この目的地の座標データと自宅フラグとをRAM42から読み出し、当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに該座標データと自宅フラグとを地図情報配信センタ3に送信する。
【0053】
一方、図4に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S111において、センタ側通信装置16を介して、ナビゲーション装置2から送信された当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに座標データと自宅フラグとを受信した場合には、該ナビ識別ID、座標データ及び自宅フラグをRAM12に記憶する。
そして、CPU11は、当該座標データと自宅フラグを再度、RAM12から読み出し、この自宅フラグが「1」の場合には、座標データを中心とする所定領域としての第1領域(例えば、座標データを中心とする約80km四方の領域である。)を差分データを抽出する配信対象エリアとして設定する。即ち、登録自宅位置を中心とする第1領域が差分データを抽出する配信対象エリアとして設定される。
【0054】
また、CPU11は、当該座標データと自宅フラグを再度、RAM12から読み出し、この自宅フラグが「0」の場合には、座標データを中心とする所定領域としての第2領域(例えば、約10km四方の領域である。)を差分データを抽出する配信対象エリアとして設定する。即ち、目的地を中心とする第2領域が差分データを抽出する配信対象エリアとして設定される。
【0055】
続いて、S112において、CPU11は、上記S111で受信したナビ識別IDをRAM12から読み出し、上記S111で設定した配信対象エリアにおけるこのナビ識別IDで特定されるナビゲーション装置2の更新履歴に関する情報をナビ更新履歴情報DB15から読み出して、この配信対象エリアの約2.5km×2.5km四方の各区画(各メッシュ)内における「高規格」、「一般」、「細街路」の各「配信道路区分」毎のナビゲーション装置2の現在のバージョンを抽出してRAM12に記憶する。そして、CPU11は、差分データ管理DB18から配信対象エリアの各区画内における最新バージョンの差分データを表す差分データファイル名を読み出し、この配信対象エリアの各区画内におけるナビゲーション装置2の現在のバージョンと最新バージョンとの差分データファイル名を抽出してRAM12に記憶する。続いて、CPU11は、各差分データファイル名に対応する差分データを更新用地図情報17から読み出してRAM12に記憶する。
【0056】
ここで、CPU11が実行する配信対象エリアの各区画(各メッシュ)内における「高規格」、「一般」、「細街路」の各「配信道路区分」毎のナビゲーション装置2の現在のバージョンと最新バージョンとの差分データを抽出する一例を図5乃至図7に基づいて具体的に説明する。尚、説明を簡単にするために、配信対象エリアの約2.5km×2.5km四方の区画を2区画としているが、配信対象エリアが80km四方の場合には、約2.5km×2.5km四方の区画(メッシュ)は1024区画となり、配信対象エリアが10km四方の場合には、約2.5km×2.5km四方の区画(メッシュ)は16区画となる。
図5は地図情報配信センタ3の差分データ管理DB18に格納される差分データ管理情報52の一例を示す図である。図6は地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納されるナビ更新履歴情報53の一例を示す図である。図7は配信対象エリアの各区画(各メッシュ)内において抽出された差分データの一例を説明する説明図である。
【0057】
図5に示すように、地図情報配信センタ3の差分データ管理DB18に格納される差分データ管理情報52には、約2.5km四方の区画を表す各「区画ID」(A、B、C、D、・・・)毎に、更新用地図情報17に格納される最新バージョンである「バージョン2」の地図情報に更新するための差分データを表す「差分データファイル名」が、道路規格で区分した3つの各配信道路区分毎に格納されている。
例えば、「区画ID」が「A」の約2.5km四方の区画の地図情報を「バージョン2」に更新するための「差分データファイル名」は、「配信道路区分」が高規格道路を表す「高規格」に対して「2A1」であり、「配信道路区分」が一般道路を表す「一般」に対して「2A2」である。
【0058】
また、図6に示すように、地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納されるナビ更新履歴情報53には、2.5km四方のエリア毎に付された各「区画ID」(A、B、C、D、・・・)に対して現在、「ナビ識別ID」が「1001」のナビゲーション装置2に記憶されている高規格道路を表す「高規格」と、一般道路を表す「一般」と、細街路を表す「細街路」との3つの配信道路区分毎の地図情報の「バージョン」が格納されている。
例えば、「ナビ識別ID」が「1001」のナビゲーション装置2が現在記憶している地図情報の「バージョン」は、「区画ID」が「A」のエリアに対して、配信道路区分が「高規格」の地図データのバージョンは「1」であり、配信道路区分が「一般」の地図データのバージョンは「2」であり、配信道路区分が「細街路」の地図データのバージョンは「1」となっている。
【0059】
また、CPU11は、上記S111で「ナビ識別ID」として「1001」を受信して、RAM12に記憶し、配信対象エリアとして各区画ID「A」、「B」の区画を設定した場合には、先ず、ナビ更新履歴情報53の「ナビ識別ID」が「1001」に対応する各区画ID「A」、「B」に対応する各「配信道路区分」毎の「バージョン」を読み出し、RAM12に記憶する。そして、CPU11は、差分データ管理情報52から各区画ID「A」、「B」に対応する各「配信道路区分」を読み出し、この読み出した各「配信道路区分」に対応するナビ更新履歴情報53の各「バージョン」が「バージョン2」か否かを判定する判定処理を行う。
【0060】
続いて、図7に示すように、差分データ管理情報52から読み出した各「配信道路区分」に対応するナビ更新履歴情報53の各「バージョン」が「バージョン2」でない場合には、この「配信道路区分」に対応する「差分データファイル名」を差分データ管理情報52から読み出し、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」をRAM12に順次記憶する。続いて、CPU11は、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する「差分データ」を更新用地図情報17から読み出して、「ナビ識別ID」が「1001」のナビゲーション装置2に配信する差分データとしてRAM12に記憶する。
【0061】
その後、S113において、CPU11は、この抽出した差分データを識別する「配信識別ID」を選択して、RAM12記憶する。
また、S114において、CPU11は、この抽出した差分データを識別する「配信識別ID」と、差分データに対応する配信対象エリア内の各区画を表す各「区画ID」と、この各区画IDにおける更新した各「配信道路区分」の「バージョン」とから構成される配信管理情報を配信管理情報DB19に記憶する。
【0062】
ここで、配信管理情報DB19に記憶される配信管理情報の一例を図8に基づいて説明する。図8は図7に示す配信対象エリアの抽出した各差分データに対応する配信管理情報54の一例を示す図である。
図8に示すように、CPU11は、抽出した各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する「差分データ」を識別する「配信識別ID」として「T00001」を選択して、配信管理情報54の「配信識別ID」に該「T00001」を記憶する。また、CPU11は、配信管理情報54の「区画ID」に、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する配信対象エリアの各区画を表す各区画ID「A」、「B」、「B」を記憶する。また、CPU11は、配信管理情報54の「配信道路区分」に、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する「配信道路区分」を表す「高規格」、「高規格」、「一般」を記憶する。また、CPU11は、配信管理情報54の「バージョン」に、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する「バージョン」を表す各バージョン「2」を記憶する。
【0063】
そして、S115において、CPU11は、S112で抽出した「差分データ」と、S113でこの差分データに付与した「配信識別ID」とをRAM21から読み出して、ナビゲーション装置2に配信する。
例えば、図8に示すように、各差分データファイル名「2A1」、「2B1」、「2B2」に対応する「差分データ」と、この「差分データ」に付与された配信識別ID「T00001」とをナビゲーション装置2に配信する。
【0064】
また一方、図4に示すように、ナビゲーション装置2のCPU41は、S12において、通信装置27を介して、地図情報配信センタ3から「差分データ」と「配信識別ID」とを受信した場合には、この「差分データ」と「配信識別ID」とをRAM42に記憶する。
そして、S13において、CPU41は、受信した差分データをRAM12から読み出し、ナビ地図情報38の配信対象エリアの地図情報を最新バージョンの地図情報に更新する。
続いて、S14において、CPU41は、ナビ地図情報38の配信対象エリアにおける地図情報の更新チェックを行い、地図情報の更新エラーが無いか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビ地図情報38の配信対象エリアにおける地図情報の更新エラーが無い場合、即ち、配信対象エリアにおける地図情報の更新に成功した場合には(S14:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。S15において、CPU41は、S12で受信した「配信識別ID」をRAM42から読み出し、この「配信識別ID」を上記S11で地図情報配信センタ3に送信した該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」と共に地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38の更新成功を通知後、当該処理を終了する。
【0065】
例えば、CPU41は、ナビ地図情報38の配信対象エリアの各区画ID「A」、「B」における地図情報の更新エラーが無い場合には(S14:YES)、S12で受信した配信識別ID「T00001」と、上記S11で地図情報配信センタ3に送信した当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別ID「1001」とを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38の更新成功を通知後、当該処理を終了する。
【0066】
一方、ナビ地図情報38の配信対象エリアにおける地図情報の更新エラーが有った場合、即ち、配信対象エリアにおける地図情報の更新に失敗した場合には(S14:NO)、CPU41は、S16の処理に移行する。S16において、CPU41は、上記S11で地図情報配信センタ3に送信した該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」だけを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38の更新失敗を通知後、当該処理を終了する。
例えば、CPU41は、上記S11で地図情報配信センタ3に送信した当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別ID「1001」だけを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38の更新失敗を通知後、当該処理を終了する。
【0067】
一方、図4に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S116において、ナビゲーション装置2から送信されたナビ地図情報38の更新成功の通知、又は更新失敗の通知を受信した場合には、該通知をRAM12に記憶後、S117の処理に移行する。
S117において、CPU11は、この通知をRAM12から再度読み出し、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38の更新が成功したか否か、即ち、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信していない場合、即ち、「ナビ識別ID」だけを受信した場合には(S117:NO)、CPU11は、当該「ナビ識別ID」によって特定されるナビゲーション装置2におけるナビ地図情報38の更新処理が失敗した判定し、当該処理を終了する。
従って、例えば、当該「ナビ識別ID」が「1001」の場合には、このナビ識別ID「1001」によって特定されるナビゲーション装置2に対応するナビ更新履歴情報53(図6参照)は、更新されない。
【0068】
一方、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信した場合には(S117:YES)、CPU11は、当該「ナビ識別ID」によって特定されるナビゲーション装置2におけるナビ地図情報38の更新処理が成功したと判定して、S118の処理に移行する。
S118において、CPU11は、S116で記憶した「配信識別ID」をRAM12から再度、読み出し、この「配信識別ID」に対応する配信管理情報を配信管理情報DB19から読み出してRAM12に記憶する。そして、CPU11は、S116で記憶した「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報DB15に格納される更新履歴情報の「バージョン」を、このRAM12に記憶した配信管理情報の各「区画ID」と「配信道路区分」に対応する「バージョン」に書き替えて、再度、ナビ更新履歴情報DB15に格納後、当該処理を終了する。これにより、更新履歴情報DB15に格納されるこの「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報は、この「ナビ識別ID」で特定されるナビゲーション装置2のナビ地図情報38に記憶される現在のバージョン情報と確実に一致することとなる。
【0069】
ここで、図6に示すナビ更新履歴情報53の更新の一例について図8及び図9に基づいて説明する。図9は図6に示すナビ更新履歴情報53を図8に示す配信管理情報54に基づいて更新した一例を示す図である。
例えば、上記S116で配信識別ID「T00001」とナビ識別ID「1001」とを受信した場合には、CPU11は、配信管理情報DB19に格納される配信管理情報54(図8参照)から当該配信識別ID「T00001」に対応する各区画ID「A」、「B」、「B」と各配信道路区分「高規格」、「高規格」、「一般」に対応する各バージョン「2」、「2」、「2」を読み出し、RAM12に記憶する。
【0070】
そして、図9に示すように、CPU11は、S116で記憶したナビ識別ID「1001」で特定される更新履歴情報DB15に格納される更新履歴情報53(図6参照)の「バージョン」を、このRAM12に記憶した配信管理情報54(図8参照)の各区画ID「A」、「B」、「B」と各配信道路区分「高規格」、「高規格」、「一般」に対応する各バージョン「2」、「2」、「2」に書き替えて、ナビ更新履歴情報55を作成して、再度、ナビ更新履歴情報DB15に格納後、当該処理を終了する。
これにより、更新履歴情報DB15に格納されるこのナビ識別ID「1001」で特定される更新履歴情報55は、このナビ識別ID「1001」で特定されるナビゲーション装置2のナビ地図情報38に記憶される現在のバージョン情報と確実に一致することとなる。
【0071】
次に、前記構成を有する地図情報配信システム1において、地図情報配信センタ3からPC5に配信されてCD−ROM6に記録された県単位の更新地図情報に基づいて、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新した場合に、当該地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納されるナビ更新履歴情報を更新する更新処理について図10乃至図15に基づいて説明する。
先ず、地図情報配信センタ3とPC5との間で実行される、県単位の更新地図情報をCD−ROM6に記録する記憶媒体記録処理について図10乃至図12に基づいて説明する。
図10は本実施例に係る地図情報配信システム1において、地図情報配信センタ3とPC5との間で実行される、県単位の更新地図情報をCD−ROM6に記録する記憶媒体記録処理を示すフローチャートである。尚、図10にフローチャートで示される各プログラムは、地図情報配信センタ3のROM13と、PC5の不図示のROM73に記憶されており、地図情報配信センタ3のCPU11及びPC5の不図示のCPU71により実行される。
【0072】
図10に示すように、先ず、PC5のCPU71は、S211において、ユーザによって選択された都道府県(例えば、東京都、大阪府、北海道、愛知県等である。)を表す「県データ」と、この選択された都道府県単位の地図情報の更新情報(差分データ)を要求する「県単位要求信号」とを地図情報配信センタ3に送信する。
【0073】
一方、図10に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S311において、センタ側通信装置16を介して、PC5から送信された都道府県を表す「県データ」と、都道府県単位の地図情報の更新情報(差分データ)を要求する「県単位要求信号」とを受信した場合には、この「県データ」をRAM12に記憶する。
そして、CPU11は、この「県データ」を再度RAM12から読み出し、当該「県データ」で特定される都道府県を、差分データを抽出する県単位の配信対象エリア(配布領域)として設定し、差分データ管理DB18から当該県単位の配信対象エリア(配布領域)内の各区画における最新バージョンの差分データ管理情報を読み出し、RAM12に記憶する。続いて、CPU11は、このRAM12に記憶した差分データ管理情報の各差分データファイル名に対応する各差分データを更新用地図情報17から読み出してRAM12に記憶する。
【0074】
例えば、CPU11は、RAM12から読み出した「県データ」が「○○県」の場合には、「○○県」を差分データを抽出する県単位の配信対象エリア(配布領域)として設定する。そして、この配信対象エリア(配布領域)内の約2.5km×2.5km四方の区画(各メッシュ)が各区画「A」、「B」、「C」、「D」、「E」の場合には(図14参照)、差分データ管理DB18に格納される差分データ管理情報52(図5参照)から、「区画ID」が各区画「A」〜「E」に対する最新バージョンの差分データ管理情報(「バージョン」、「区画ID」、「配信道路区分」、「差分データファイル名」)を順次読み出し、RAM12に記憶する。従って、CPU11は、最新バージョンの差分データ管理情報として、(「バージョン2」、「区画A」、「高規格道路」、「2A1」)、(「バージョン2」、「区画A」、「一般」、「2A2」)、・・・、(「バージョン2」、「区画E」、「細街路」、「2E1」)をRAM12に記憶する。続いて、CPU11は、このRAM12に記憶した差分データ管理情報の各差分データファイル名「2A1」、「2A2」、「2B1」、・・・、「2E1」に対応する差分データを更新用地図情報17から読み出してRAM12に記憶する。
尚、説明を簡単にするために、県単位の配信対象エリア(配布領域)である「○○県」内の約2.5km×2.5km四方の区画を各区画「A」〜「E」の5区画とする。また、「県データ」を「○○県」の1県にしたが、複数県を配信対象エリア(配布領域)としてもよい。
【0075】
続いて、S312において、CPU11は、この抽出した県単位の差分データを識別する「配信識別ID」を選択して、RAM12記憶する。
また、S313において、CPU11は、この抽出した県単位の差分データを識別する「配信識別ID」と、RAM12に記憶した配信対象エリア内の各区画における最新バージョンの差分データ管理情報の各区画を表す各「区画ID」と、各「配信道路区分」と、各「バージョン」とから構成されるPC配信管理情報を作成して、PC5に配信する県単位の差分データを管理するための配信管理情報として配信管理情報DB19に記憶する。
【0076】
ここで、配信管理情報DB19に記憶されるPC配信管理情報の一例を図11に基づいて説明する。図11は図10のステップ313で配信管理情報DB19に記憶されたPC配信管理情報61の一例を示す図である。
図11に示すように、CPU11は、抽出した「○○県」の県単位の差分データを識別する「配信識別ID」として「P00001」を選択して、PC配信管理情報61の「配信識別ID」に該「P00001」を格納する。また、CPU11は、RAM12に記憶した「○○県」の最新バージョンの差分データ管理情報である(「バージョン2」、「区画A」、「高規格道路」、「2A1」)、(「バージョン2」、「区画A」、「一般」、「2A2」)、・・・、(「バージョン2」、「区画E」、「細街路」、「2E1」)から「区画ID」、「配信道路区分」、「バージョン」を順番に読み出し、PC配信管理情報61の配信識別ID「P00001」に対応する「区画ID」、「配信道路区分」、「バージョン」に順次格納して、配信管理情報DB19に記憶する。
従って、配信識別ID「P00001」によって特定されるPC配信管理情報61の「区画ID」には、「A、A、B、・・・、E」が順番に格納され、「配信道路区分」には「高規格、一般、高規格、・・・、細街路」が順番に格納され、「バージョン」にはバージョン「2」が順番に格納される。
【0077】
そして、S314において、CPU11は、上記S311で設定した県単位の配信対象エリアの各区画における最新バージョンの差分データ管理情報の各「区画ID」と、各「配信道路区分」と、この各「区画ID」に対応する各差分データと、上記S312でこの抽出した県単位の差分データを識別する「配信識別ID」とをRAM12から読み出して、PC5に配信後、当該処理を終了する。
例えば、CPU11は、「○○県」の県単位の差分データ管理情報の各区画ID「A、A、B、・・・、E」と、各配信道路区分「高規格、一般、高規格、・・・、細街路」と、各差分データファイル名「2A1、2A2、2B1、・・・、2E1」に対応する各差分データ「2A1、2A2、2B1、・・・、2E1」と、配信識別ID「P00001」とをRAM12から読み出して、PC5に配信後、当該処理を終了する。
【0078】
また一方、図10に示すように、PC5のCPU71は、S212において、通信装置27を介して、地図情報配信センタ3から県単位の差分データ管理情報の各「区画ID」と、各「配信道路区分」と、この各「区画ID」に対応する各差分データと、この県単位の差分データを識別する「配信識別ID」とを受信した場合には、これらの各データを不図示のRAM72に記憶する。
そして、S213において、CPU71は、この受信した県単位の差分データ管理情報の各「区画ID」と、各「配信道路区分」と、この各「区画ID」に対応する各差分データと、この県単位の差分データを識別する「配信識別ID」とをRAM72から順次読み出して、記録部5Aを介してCD−ROM6に、県単位の更新地図情報としてナビゲーション装置2のCPU41が読取部28を介して読み取り可能に記録後、当該処理を終了する。
【0079】
ここで、CD−ROM6に記録される県単位の更新地図情報の一例を図12に基づいて説明する。図12は図10のステップ213でCD−ROM6に記録された県単位の更新地図情報の一例を示す図である。
地図情報配信センタ3からPC5へ、「○○県」の県単位の差分データ管理情報の各区画ID「A、A、B、・・・、E」と、各配信道路区分「高規格、一般、高規格、・・・、細街路」と、各差分データ「2A1、2A2、2B1、・・・、2E1」と、配信識別ID「P00001」とが配信された場合には、PC5のCPU71は、図12に示すように、「配信識別ID」に「P00001」が格納され、「区画ID」に各区画「A、A、B、・・・、E」が順次格納され、「配信道路区分」に「高規格、一般、高規格、・・・、細街路」が順次格納され、「差分データ」に「2A1、2A2、2B1、・・・、2E1」が順次格納された県単位の更新地図情報62を作成して、この県単位の更新地図情報62を記録部5Aを介してCD−ROM6に、ナビゲーション装置2のCPU41が読取部28を介して読み取り可能に記録する。
【0080】
次に、図10に示す記憶媒体記録処理で作成されたCD−ROM6に記録された県単位の更新地図情報に基づいて、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新した場合に、当該地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納されるナビ更新履歴情報を更新する更新処理について図13乃至図15に基づいて説明する。
図13は図10に示す記憶媒体記録処理で作成されたCD−ROM6を介してナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新した場合に、当該地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納されるナビ更新履歴情報を更新する更新処理を示すフローチャートである。図13にフローチャートで示される各プログラムは、ナビゲーション装置2のROM43、地図情報配信センタ3のROM13に記憶されており、各CPU41、11により実行される。
【0081】
図13に示すように、先ず、ナビゲーション装置2のCPU41は、S31において、読取部28を介してCD−ROM6に記録されている県単位の更新地図情報のうちの各「区画ID」と、各「配信道路区分」と、この各「区画ID」に対応する各差分データとを読み込み、RAM42に記憶する。
そして、S32において、CPU41は、このRAM42に記憶した各「区画ID」の「配信道路区分」毎に対応するナビ地図情報38の県単位の更新対象エリアの地図情報の現在のバージョンが、当該RAM42に記憶する各差分データの最新のバージョンより古いバージョンか否かを判定し、古いバージョンの場合には、この対応する最新のバージョンの差分データに基づいて更新する。
【0082】
ここで、図12に示す県単位の更新地図情報62が記録されたCD−ROM6を介してナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新した一例を図14に基づいて説明する。
図14は図12に示す県単位の更新地図情報62が記録されたCD−ROM6を介してナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新した一例を示す図である。
図14に示すように、CPU41は、CD−ROM6から読み込んでRAM42に記憶した県単位の更新地図情報62に基づいて、先ず、ナビ地図情報38の区画ID「A」の配信道路区分「高規格」に対するバージョンが「バージョン2」か否かを判定し、「バージョン2」でない場合には、RAM42に記憶する差分データ「2A1」に基づいて、ナビ地図情報38の区画ID「A」の配信道路区分「高規格」に対する地図情報を「バージョン2」に更新する。
【0083】
次に、CPU41は、RAM42に記憶した県単位の更新地図情報62に基づいて、ナビ地図情報38の区画ID「A」の配信道路区分「一般」に対するバージョンが「バージョン2」か否かを判定し、「バージョン2」の場合には、ナビ地図情報38の区画ID「A」の配信道路区分「一般」の地図情報の更新は行わない。そして、CPU41は、同様に、RAM42に記憶した県単位の更新地図情報62に基づいて、ナビ地図情報38の区画ID「B」の各配信道路区分「高規格」「一般」と、区画ID「C」の各配信道路区分「高規格」「一般」「細街路」と、区画ID「E」の配信道路区分「細街路」とを、それぞれ各差分データ「2B1」、「2B2」、「2C1」〜「2C3」、「2E1」に基づいて地図情報を最新の「バージョン2」に更新する。
【0084】
続いて、S33において、CPU41は、上記S32で更新したナビ地図情報38の県単位の更新対象エリアの地図情報の更新チェックを行い、地図情報の更新エラーが無いか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビ地図情報38の県単位の更新対象エリアにおける地図情報の更新エラーが有った場合、即ち、県単位の更新対象エリアにおける地図情報の更新に失敗した場合には(S33:NO)、CPU41は、ユーザに地図情報の更新を失敗した旨を報知後、当該処理を終了する。
【0085】
一方、ナビ地図情報38の県単位の更新対象エリアにおける地図情報の更新エラーが無い場合、即ち、県単位の更新対象エリアにおける地図情報の更新に成功した場合には(S33:YES)、CPU41は、S34の処理に移行する。S34において、CPU41は、CD−ROM6に格納されている「配信識別ID」を読み込み、RAM42に記憶する。
例えば、CD−ROM6に図12示す県単位の更新地図情報62が格納されている場合には、CPU42は、配信識別ID「P00001」を読み込み、RAM42に記憶する。
【0086】
続いて、S35において、CPU41は、この「配信識別ID」を再度RAM42から読み出し、この「配信識別ID」を上記S11で地図情報配信センタ3に送信した該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」と共に地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38のCD−ROM6による更新を通知後、当該処理を終了する。
例えば、CPU41は、S34でRAM42に記憶した配信識別ID「P00001」と、上記S11で地図情報配信センタ3に送信した当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別ID「1001」とを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38のCD−ROM6による更新を通知後、当該処理を終了する。
【0087】
また一方、図13に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S411において、ナビゲーション装置2からナビ地図情報38の更新の通知を受信したか否か、即ち、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信していない場合には(S411:NO)、CPU11は、当該処理を終了する。
従って、例えば、ナビ識別ID「1001」によって特定されるナビゲーション装置2に対応するナビ更新履歴情報53(図6参照)は、更新されない。
【0088】
一方、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信した場合には(S411:YES)、CPU11は、当該「ナビ識別ID」によって特定されるナビゲーション装置2におけるナビ地図情報38が更新されたと判定して、この「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とをRAM12に記憶後、S412の処理に移行する。
S412において、CPU11は、この「配信識別ID」をRAM12から再度、読み出し、この「配信識別ID」に対応するPC配信管理情報を配信管理情報DB19から読み出してRAM12に記憶する。
【0089】
そして、S413において、CPU11は、S411で記憶した「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報DB15に格納される更新履歴情報の「バージョン」を、このRAM12に記憶したPC配信管理情報の各「区画ID」と「配信道路区分」に対応する「バージョン」に書き替えて、再度、ナビ更新履歴情報DB15に格納後、当該処理を終了する。これにより、更新履歴情報DB15に格納されるこの「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報は、この「ナビ識別ID」で特定されるナビゲーション装置2のナビ地図情報38に記憶されるCD−ROM6に格納された更新地図情報に基づいて更新された現在のバージョン情報と確実に一致することとなる。
【0090】
ここで、図6に示すナビ更新履歴情報53の更新の一例について図11及び図15に基づいて説明する。図15は図6に示すナビ更新履歴情報53を図11に示すPC配信管理情報61に基づいて更新した一例を示す図である。
例えば、上記S411で配信識別ID「P00001」とナビ識別ID「1001」とを受信した場合には、CPU11は、配信管理情報DB19に格納されるPC配信管理情報61(図11参照)から当該配信識別ID「P00001」に対応する各区画ID「A」、「A」、「B」、・・・・、「E」と各配信道路区分「高規格」、「一般」、「高規格」、・・・・、「細街路」に対応する各バージョン「2」、「2」、「2」、・・・・、「2」を読み出し、RAM12に記憶する。
【0091】
そして、図15に示すように、CPU11は、S411で記憶したナビ識別ID「1001」で特定される更新履歴情報DB15に格納される更新履歴情報53(図6参照)の「バージョン」を、このRAM12に記憶したPC配信管理情報61(図11参照)の各区画ID「A」、「A」、「B」、・・・・、「E」と各配信道路区分「高規格」、「一般」、「高規格」、・・・・、「細街路」に対応する各バージョン「2」、「2」、「2」、・・・・、「2」に書き替えて、ナビ更新履歴情報63を作成して、再度、ナビ更新履歴情報DB15に格納後、当該処理を終了する。
これにより、更新履歴情報DB15に格納されるこのナビ識別ID「1001」で特定される更新履歴情報63は、このナビ識別ID「1001」で特定されるナビゲーション装置2のナビ地図情報38に記憶されるCD−ROM6に格納された県単位の更新地図情報62(図12参照)に基づいて更新された現在のバージョン情報と確実に一致することとなる。
【0092】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係る地図情報配信センタ3では、CPU11は、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに座標データと自宅フラグとを受信した場合には、この自宅フラグがONの場合には、登録自宅位置の座標データを中心とする第1領域を配信対象エリアとして設定し、自宅フラグがOFFの場合には、目的地の座標データを中心とする第2領域を配信対象エリアとして設定する(S11、S111)。そして、CPU11は、配信対象エリアにおけるこのナビ識別IDで特定されるナビゲーション装置2の更新履歴に関する情報をナビ更新履歴情報DB15から読み出して、この配信対象エリアの約2.5km×2.5km四方の各区画(各メッシュ)内における「高規格」、「一般」、「細街路」の各「配信道路区分」毎のナビゲーション装置2の現在のバージョンを読み出すと共に、差分データ管理DB18から配信対象エリアの各区画内における各「配信道路区分」毎の最新バージョンの差分データを表す差分データファイル名を読み出し、この配信対象エリアの各区画内におけるナビゲーション装置2の現在のバージョンと最新バージョンとの差分データを抽出する(S113)。続いて、CPU11は、この抽出した差分データを識別する「配信識別ID」を選択して、この「配信識別ID」と差分データに対応する配信対象エリア内の各区画を表す各「区画ID」と、この各区画IDにおける更新した各「配信道路区分」の「バージョン」とから構成される配信管理情報を配信管理情報DB19に記憶後、この「配信識別ID」と差分データとをナビゲーション装置2に送信する(S114〜S115)。
【0093】
一方、ナビゲーション装置2のCPU41は、受信した差分データに基づいてナビ地図情報38を更新した場合には、受信した「配信識別ID」と当該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」とを地図情報配信センタ3に送信する(S12〜S16)。
そして、地図情報配信センタ3のCPU11は、「配信識別ID」と「ナビ識別ID」とを受信した場合には、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38が更新されたと判定して、この「配信識別ID」に対応する配信管理情報を配信管理情報DB19から読み出して、「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報DB15に格納される更新履歴情報の「バージョン」を、この配信管理情報の各「区画ID」と「配信道路区分」に対応する「バージョン」に書き替えて、更新履歴情報DB15に格納されるこの「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報を更新する(S116〜S118)。
【0094】
これにより、地図情報配信センタ3は、各ナビゲーション装置2が記憶しているナビ地図情報38のバージョン情報を約2.5km×2.5km四方の各区画(各メッシュ)内における「高規格」、「一般」、「細街路」の各「配信道路区分」毎に管理しているため、ナビゲーション装置2からナビ識別IDとともに座標データと自宅フラグとを受信した場合には、差分データ管理DB18から配信対象エリアの各区画内における各「配信道路区分」毎の最新バージョンの差分データを表す差分データファイル名を読み出し、この配信対象エリアの各区画内におけるナビゲーション装置2の現在のバージョンと最新バージョンとの差分データを各「配信道路区分」毎に抽出してナビゲーション装置2に送信することが可能となる。このため、ナビゲーション装置2がデータ記録部22に記憶しているナビ地図情報38の各区画内のうちの高速自動車国道、都市高速道路、1桁又は2桁の国道等に関する「配信道路区分」が「高規格」の地図情報が、既に最新バージョンのものに更新されている場合には、この「高規格」に関する地図情報を除いて、「配信道路区分」が「一般」と「細街路」の更新に関する必要最小限のデータ量の差分データを抽出してナビゲーション装置に送信することが可能となり、ナビゲーション装置との間の通信データ量を少なくすることが可能となる。
【0095】
また、ナビゲーション装置2から地図情報配信センタ3への差分データを要求する場合には、ナビゲーション装置2から更新要求情報として自宅フラグと座標データとナビ識別IDを地図情報配信センタ3へ送信するだけでよく、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38を更新するために送信する通信データ量を更に少なくすることができる。
また、地図情報配信センタ3は、差分データと共に送信した「配信識別ID」とナビゲーション装置2を識別する「ナビ識別ID」とを受信した場合には、この「配信識別ID」に対応する配信管理情報を配信管理情報DB19から読み出して、更新履歴情報DB15に格納されるこの「ナビ識別ID」で特定される更新履歴情報の「バージョン」を、この配信管理情報の各「区画ID」と「配信道路区分」に対応する「バージョン」に書き替えて、更新する。これにより、地図情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2のデータ記録部22に記憶されるナビ地図情報38の各「区画ID」に対する各「配信道路区分」毎のバージョン情報の更新履歴を正確に管理することが可能となり、ナビゲーション装置2が現在記憶しているナビ地図情報38の各「区画ID」に対する各「配信道路区分」毎のバージョン情報を正確に管理することができる。
【0096】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施例に係る地図情報配信システムを示したブロック図である。
【図2】地図情報配信システムの地図情報配信センタにおける地図データのバージョン管理の仕組みを説明した説明図である。
【図3】地図情報配信システムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図4】地図情報配信システムにおいて、ナビ側地図情報DBのナビ地図情報をエンジン始動時や目的地設定時に自動更新するために実行するナビ地図情報更新処理を示すフローチャートである。
【図5】地図情報配信センタの差分データ管理DBに格納される差分データ管理情報の一例を示す図である。
【図6】地図情報配信センタのナビ更新履歴情報DBに格納されるナビ更新履歴情報の一例を示す図である。
【図7】配信対象エリアの各区画(各メッシュ)内において抽出された差分データの一例を説明する説明図である。
【図8】図7に示す配信対象エリアの各差分データに対応する配信管理情報の一例を示す図である。
【図9】図6に示すナビ更新履歴情報を図8に示す配信管理情報に基づいて更新した一例を示す図である。
【図10】地図情報配信センタとPCとの間で実行される、県単位の更新地図情報をCD−ROMに記録する記憶媒体記録処理を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップ313で配信管理情報DBに記憶されたPC配信管理情報の一例を示す図である。
【図12】図10のステップ213でCD−ROMに記録された県単位の更新地図情報の一例を示す図である。
【図13】図10に示す記憶媒体記録処理で作成されたCD−ROMを介してナビゲーション装置のナビ地図情報を更新した場合に、当該地図情報配信センタのナビ更新履歴情報を更新する更新処理を示すフローチャートである。
【図14】図13のステップ32で図12に示す更新地図情報が記録されたCD−ROMを介してナビゲーション装置のナビ地図情報を更新した一例を示す図である。
【図15】図13のステップ413で図6に示すナビ更新履歴情報を図11に示すPC配信管理情報に基づいて更新した一例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 地図情報配信システム
2 ナビゲーション装置
3 地図情報配信センタ
4 ネットワーク
5 PC
5A 記録部
6 CD−ROM
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
15 ナビ更新履歴情報DB
16 センタ側通信装置
17 更新用地図情報
18 差分データ管理DB
19 配信管理情報DB
22 データ記録部
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
28 読取部
37 ナビ側地図情報DB
38 ナビ地図情報
51、53、55、63 ナビ更新履歴情報
52 差分データ管理情報
54 配信管理情報
61 PC配信管理情報
62 県単位の更新地図情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージョン毎の地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
各ナビゲーション装置を識別する識別情報に対応させて、各ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を記憶するバージョン情報記憶手段と、
ナビゲーション装置から前記識別情報を受信する受信手段と、
受信した該識別情報に基づいて、該識別情報に対応するナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を前記バージョン情報記憶手段から取得して、この取得した道路区分毎のバージョン情報に基づいて前記地図情報記憶手段から最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段を介して抽出した道路区分毎の差分データを前記受信手段を介して受信した識別情報に対応するナビゲーション装置に送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする地図情報配信センタ。
【請求項2】
前記受信手段を介して前記識別情報と共に前記地図情報の所定領域に対応する更新情報を要求する領域更新要求情報を受信した場合には、前記抽出手段は、受信した該識別情報に基づいて、該識別情報に対応するナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報から前記所定領域に対応する道路区分毎のバージョン情報を取得し、この取得した道路区分毎のバージョン情報に基づいて前記地図情報記憶手段から最新のバージョンの地図情報との道路区分毎の差分データを抽出することを特徴とする請求項1に記載の地図情報配信センタ。
【請求項3】
前記送信手段を介して道路区分毎の差分データを送信したナビゲーション装置から該差分データに基づいて地図情報を更新した旨を表す更新完了情報を前記受信手段を介して受信した場合には、この送信した差分データに基づいて前記バージョン情報記憶手段に記憶されている該ナビゲーション装置が記憶している地図情報の道路区分毎のバージョン情報を更新するバージョン情報更新手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図情報配信センタ。
【請求項4】
前記地図情報は、所定範囲のメッシュ単位で区画され、
前記バージョン情報記憶手段は、前記メッシュ単位で前記道路区分毎のバージョン情報を記憶し、
前記抽出手段は、前記メッシュ単位で前記道路区分毎の差分データを抽出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図情報配信センタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−20200(P2008−20200A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189614(P2006−189614)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】