説明

地図表示装置

【課題】地図を立体表示するための処理時間を短縮することができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】DVD−ROMに記録されている地図データには、視点位置データ20が含まれている。この視点位置データ20には、立体地図を表示するための視点位置の基準となる位置のデータ、つまり誘導点のデータが含まれている。誘導点のデータには、誘導点位置231と、対応リンクID232の情報と、終始端233の情報とが含まれる。車両の現在地が検出されると、車両の現在地に対応するリンクを抽出し、そのリンクに対応する誘導点を抽出し、その誘導点の位置に基づいて視点位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図に建物などの構造物を立体的に表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
あるカメラ視点から見た道路のイメージを3次元データとして表示するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。カメラ視点は、たとえばドライバーの位置に対応する視点であるドライバー視点や、上空からの視点に対応するバードビュー視点など複数の視点位置に切り替え可能である。
【特許文献1】特開2005−292064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、立体表示するための視点位置を、平面地図表示用の2次元データに基づいて算出しなければならないので、立体表示の処理に時間がかかるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の地図表示装置は、地図データに基づいて、道路の平面地図を表示モニタに表示する平面地図表示データと、所定高さ位置に設定した視点位置から眺めた道路の立体地図を表示モニタに表示する立体地図表示データとを作成する表示用地図データ作成手段と、視点位置を記憶する視点位置記憶手段と、車両の現在地に基づいて視点位置記憶手段から視点位置を読み出し、車両の現在地に対応する視点位置を算出する視点位置算出手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、視点位置は、道路中央から所定距離だけ車両方向に偏った位置に設定したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の地図表示装置において、地図データは、平面地図データと立体地図データとを有し、表示用地図データ作成手段は、平面地図データを用いて平面地図表示データを作成し、立体地図データを用いて立体地図表示データを作成することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、車両の現在地を検出する検出手段をさらに含み、視点位置算出手段は、前記検出手段で検出した現在地に基づいて視点位置記憶手段を参照することにより、視点位置を算出することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の地図表示装置において、平面地図データは少なくともリンクと、リンクの始端と終端に設けたノードとを有し、視点位置記憶手段は、リンクに対応する誘導線と、誘導線の始端と終端に設けて視点位置のデータを含む誘導点を有し、視点位置算出手段は、検出手段で検出された現在地をリンク上の位置として算出し、決定されたリンク上の位置を誘導線上の位置として算出し、誘導線上の位置に基づいて視点位置を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、立体地図表示データを作成するための視点位置を予め設け、車両の現在地に対応して視点位置を算出するようにしたので、平面地図表示用の2次元データから視点位置を算出する必要がない。したがって、地図を立体表示するための処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。図1のナビゲーション装置1は、予め定めた主要交差点について、臨場感のある立体地図、すなわち、現実の主要交差点の建物や構造物を描画した地図を表示することができる。立体地図は、運転者の視点や上空に設定した視点位置から道路や周辺の構造物を眺めた立体地図として表示される。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されていたDVD−ROM19が装填される。
【0007】
制御回路11は、様々な制御を行う回路であり、CPUおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。また、DVD−ROM19に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行い、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。さらに、地図データから地図の画像データを生成し、それを画像メモリ15に格納し、画像メモリ15に格納した画像データを用いて表示モニタ16に地図を表示する。この実施の形態では、平面地図と立体地図とを表示することができる。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置であり、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどから構成される。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定し、地図上に現在地を表示する。現在地検出装置14によって検出された車両の現在地は、地図の道路上を外れないようにマップマッチングによって修正される。マップマッチング後の車両の現在地はRAM13に記憶される。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に画像を表示する画像データを格納する。この画像データは地図描画用データや各種の図形データからなる。上述したようにこの画像データは、制御回路11によって生成される。地図描画用データは、平面地図を表示したり、後述する地図を立体的に表示したりするデータであり、図形データは、後述する建物などの構造物を地図に重ねて表示するデータである。
【0010】
表示モニタ16は、自車位置付近の地図などの各種情報を表示する表示装置である。液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどから構成される。入力装置17は、ナビゲーション装置1を操作するためのボタンやジョイスティックなどの入力スイッチである。操作パネルやリモコンなどに設けられる。
【0011】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として目的地までの経路演算を行う。このようにして求められたルート(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを他の道路と変えて画面表示される。これにより、地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、画面や音声などによって進行方向指示を行い、車両を誘導する。
【0012】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19から地図データを読み出す。なお、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。
【0013】
DVD−ROM19に記録されている地図データは、平面地図データ、立体地図データ、経路探索用データなどを含む。経路探索用データは、推奨経路を探索するときに使用するデータである。平面地図データは、平面地図表示データを作成するための2次元データである。そして、平面地図表示データを使用して表示モニタ16に平面地図を表示する。平面地図データは、広域から詳細まで複数の縮尺の平面地図の地図データを有し、この地図データを使用することによって表示地図の縮尺を変更することができる。
【0014】
立体地図データは、視点位置データと立体物データとを有しており、これらのデータを使用して地図を立体的に表示することができる。視点位置データは、車両の現在地に基づいて、地図を立体表示するための視点位置を決定するためのデータである。視点位置データ20は、図2に示すように、誘導線ID21、種別22および誘導点ID23から構成される。誘導線とは、地図を立体表示するための視点位置を決定するための基準点の軌道線であり、誘導線IDとは、それぞれの誘導線に割り振られた識別符号である。主に車両が交差点を通過するときに地図が立体表示されるので、誘導線は、交差点周辺の道路に設定される。
【0015】
種別22は、車両が交差点に進入するときの誘導線か、車両が交差点内を走行しているときの誘導線か、または車両が交差点から退出するときの誘導線かを識別するための項目である。「進入」の場合は、車両が交差点に進入するときの誘導線であり、「内」の場合は、車両が交差点を通過中のときの誘導線であり、「脱出」は車両が交差点から退出するときの誘導線である。
【0016】
誘導点ID23は、誘導線を構成する誘導点に割り振られた識別符号である。誘導線は複数の誘導点より構成され、それぞれの誘導点IDの誘導点の欄には、図3に示すように、誘導点位置231の情報と、対応リンクID232の情報と、終始端情報233とが格納される。誘導点とは、地図を立体表示するための視点位置の基準となる点であり、誘導点位置231の欄には、誘導点の3次元座標(X,Y,Z)が格納される。たとえば、X、Yは誘導点の緯度、経度であり、Zは誘導点の海抜の高さである。誘導点以外の視点位置については、2つの誘導点による視点位置から補間演算することによって算出する。ドライバーの目の高さに視点位置を設定して地図を立体表示するときは、誘導線上で自車位置に対応付けられた位置の3次元座標が視点位置として用いられる。一方、上空に視点位置を設定する場合は、誘導線上で自車位置に対応付けられた位置の後方上空の所定位置が視点位置となる。
【0017】
対応リンクID232は、誘導点に対応するリンクのリンクIDである。これにより、リンクを有する平面地図データと、立体地図データの誘導線とを関連付けることができる。また、推奨経路は平面地図データのリンクより構成されるため、対応リンクのリンクIDによって、推奨経路と誘導線とを関連付けることができる。これにより、推奨経路の誘導ポイントである主要交差点の立体地図を表示することができる。
【0018】
終始端情報234の欄には、誘導点が、誘導線の始端または終端に対応するときは、始端または終端が格納される。また誘導点が、対応するリンクの始端または終端、つまりリンクの両端を構成するノードに対応するときは、リンクの始端または終端が格納される。
【0019】
図4(a),(b)を参照して、誘導線の一例を示す。図4(a)は道路上に誘導線Y1〜Y3を示した図である。誘導線Y1〜Y3は、車両位置の後方上空の視点から地図を立体的に表示する場合、車両が交差点41を右折するときの誘導線である。誘導線Y1は、誘導点42a〜42cより構成される。誘導線Y2は、誘導点42c〜42eより構成される。誘導線Y3は、誘導点42c〜42eより構成される。
【0020】
誘導線Y1は交差点41を進入するときの誘導線であるので、誘導線Y1の種別22は「進入」となる。誘導線Y2は交差点41を通過しているときの誘導線であるので、誘導線Y2の種別22は「内」となる。誘導線Y3は交差点41を退出するときの誘導線であるので、誘導線Y3の種別22は「脱出」となる。
【0021】
誘導線Y1の誘導点42a〜42cのうち、誘導点42aは誘導線Y1の始端であり、誘導点42cは誘導線Y1の終端である。誘導線Y2の誘導点42c〜42eのうち、誘導点42cは誘導線Y2の始端であり、誘導点42eは誘導線Y2の終端である。誘導線Y3の誘導点42e〜42gのうち、誘導点42eは誘導線Y3の始端であり、誘導点42gは誘導線Y3の終端である。
【0022】
誘導点は、2次元データのノードに対応して設定されるとともに、図4(a)に示すように、誘導線Y1〜Y3が変化する位置41c〜41e(車両が曲がったり、車線が広くなる地点)に設定される。また、誘導点は、図4(b)に示すように、平坦路から上り坂に変わる地点41a、上り坂から下り坂に変わる地点41bや下り坂から平坦路に変わる地点41cなど道路の勾配が変化する地点にも設定される。このように道路の勾配が変化する地点に誘導点を設定するのは、道路の高さが変化しているにもかかわらず、視点位置が変わらないと、視点位置が道路に潜ったりするからである。
【0023】
リンクとの対応関係を明確にするため、誘導線Y1〜Y3が設定されている道路のリンクL1〜L4およびノードN1、N2も図4(a)に示している。視点位置データ20によれば、誘導線Y1の対応リンクはリンクL3である。誘導線Y2の対応リンクはリンクL3とリンクL5である。誘導線Y3の対応リンクはリンクL5である。誘導点42aはリンクL3の始端であるノードN1に対応する。誘導点42dはリンクL3の終端であり、リンクL5の始端であるノードN2に対応する。
【0024】
図4(a)に示すように、リンクL1〜L5は道路の中央に位置するのに対し、誘導線Y1〜Y3は、道路の片側車線の中央に位置する。すなわち、誘導線Y1〜Y3は、道路全幅の中央から所定距離だけ車両方向に偏った位置に設定される。平面地図データをそのまま使用して、リンクL1〜L5上に視点位置を設定して、地図を立体表示した場合、車両があたかも中央分離帯上や中央線上を走行しているように地図は表示される。このように表示されるとユーザは違和感を覚えるため、誘導線Y1〜Y3を道路の片側車線の中央に設定する。その結果、後述するように車両が左車線を走行しているように地図が表示されるため、ユーザは地図の表示に対し違和感を覚えない。誘導線Y1〜Y3の位置は、リンクL1〜L5の位置と、立体表示するときの道路幅のデータに基づいて左車線の中央位置を算出し、その位置を誘導線Y1〜Y3の位置として設定する。
【0025】
図4(a)のリンクL3上の位置43aのように、対応する誘導点のない位置の視点位置については、誘導点42bの視点位置と誘導点42cの視点位置との間の補間演算によって算出する。ここで、誘導点42bの視点位置と誘導点42cの視点位置との間では、視点位置が線形的に変化するものとする。ノードN2と誘導点42aおよびノードN2と誘導点42dはそれぞれ対応しているので、位置43aに対応する誘導線上の点43bを算出することができる。そして、点43bを挟む誘導点42bの視点位置および誘導点42cの視点位置より補間演算して点43bに対応する視点位置を算出する。たとえば、誘導点42bの視点位置の座標を(X1,Y1,Z1)、誘導点42cの視点位置の座標を(X2,Y2,Z2)とする。点43bの位置が誘導点42bと誘導点42cとの間の中間地点の場合は、点43bに対応する視点位置の座標は、((X1+X2)/2,(Y1+Y2)/2,(Z1+Z2)/2)となる。
【0026】
図5に示すように、実際、誘導線はひとつの交差点41などに何種類もあり、探索された推奨経路に合わせて、すなわち、交差点への進行方向に応じて、地図の立体表示に使用する誘導線は適宜選択される。
【0027】
次に、立体物データ60について説明する。立体物データ60は、図6に示すように、各構造物について構造物属性データ61、底面データ62、ポリゴンデータ63およびテクスチャデータ64を有している。
【0028】
構造物属性データ61は、構造物の属性に関するデータであり、構造物の種別611、構造物の名称612、構造物の説明613などから構成される。
【0029】
底面データ62は、構造物と関連付けられた2次元領域データであり、たとえば、構造物が含まれる敷地や構造物の底面などのデータである。底面データ62には、図7に示すように、2次元領域を構成する頂点の座標データ621〜624が含まれる。
【0030】
ポリゴンデータ63は、構造物を立体的に描画するために使用されるポリゴンのデータである。図8に示すように、ポリゴンデータ63には、構造物を構成するポリゴン数631、構造物を構成するポリゴン632a,632bおよび各ポリゴンを構成する頂点の座標データ633a〜633hが含まれる。
【0031】
テクスチャデータ64は、ポリゴンに貼り付ける画像の画像データである。ポリゴンに画像を貼り付けることによって構造物をより実物に近く描画できる。図9に示すように、テクスチャデータ64には、各ポリゴン632a,632bに対応して画像データ641,642が含まれる。
【0032】
構造物の立体描画について、図10を参照して説明する。最初に、表示モニタ16に表示される範囲に含まれる底面データを抽出する。表示モニタ16に表示される範囲は、地図を立体表示するための視点位置より算出する。そして、図10(a)に示すように、視点位置から眺めたときの底面データ101を描画する。次に底面データ101に関連付けられているポリゴンデータ102〜104を読み込んで、図10(b)に示すように、底面データ81上に視点位置から眺めたときのポリゴンデータ102〜104を描画する。そして、図10(c)に示すように、テクスチャデータの画像をポリゴン102〜104に貼り付けて、立体描画処理は終了する。道路を立体的に表示するときも同様の処理を行う。
【0033】
次に、本発明の実施形態の視点位置データを使用して上空に視点を設定して作成する立体地図について、図11を参照して説明する。なお、リンクL3およびリンクL5を通過する推奨経路114が探索されているものとして説明する。現在地検出装置14によって車両の現在地を検出する。そして、検出した現在地をマップマッチングして、リンクL3上の位置111に補正する。図11(a)に示すように、リンクL3上の位置111に対応する、誘導線上の位置112を算出する。そして、位置112を挟む2つの誘導点の視点位置より補間演算して視点位置を決定する。たとえば、視点位置を、誘導点より車両進行方向後方に所定距離(たとえば、10m)の位置で、誘導点より所定距離(たとえば、5m)上方の位置に設定する。誘導線Y1〜Y3の位置に推奨経路114の表示位置を決定する。そして、図11(b)に示すような立体地図110が表示モニタ16に表示される。
【0034】
次に、本発明の実施形態の立体地図表示処理について図12のフローチャートを参照して説明する。図12の処理は、立体地図を表示する交差点に車両が所定距離手前まで接近するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0035】
ステップS1201では、現在地検出装置14によって、車両の現在地を検出する。ステップS1202では、マップマッチングを行って、車両の現在地を修正する。ステップS1203では、車両の現在地に対応するリンクを抽出する。ステップS1204では、視点位置データ20と照合して、抽出したリンクの両端のノードと対応する誘導点を抽出する。
【0036】
ステップS1205では、抽出したリンクにおける車両の現在地の相対位置に対応する、抽出した誘導点間の誘導線上の相対位置を算出する。たとえば、車両の現在地が抽出したリンクの中央の位置である場合は、抽出した誘導点間の誘導線上における中央の位置となる。ステップS1206では、算出した相対位置を挟む2つの誘導点を抽出する。ステップS1207では、抽出した2つの誘導点における視点位置より相対位置における視点位置を補間演算する。ステップS1208では、ステップS1207で補間演算した視点位置に基づいて、立体地図を表示するための立体地図描画処理を行い、立体地図表示データを作成する。ステップS1209では、立体地図表示データを用いて立体地図を表示モニタ16に表示する。
【0037】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)車両の現在地に基づいて視点位置データ20から誘導点の視点位置を読み出し、車両の現在地に対応する視点位置を算出する。したがって、地図を立体表示するための処理時間を短縮することができる。特に、道路の高さが変化する地点では視点位置の高さを算出するのに時間がかかるため、実施の形態によるナビゲーション装置1による効果は大きい。また、視点位置が道路より下の位置になり、道路を潜ったように立体地図が表示されるのを防止することができる。
【0038】
(2)視点位置データ20の視点位置は道路の左車線中央を通過するよう設定したので、車両が左車線を走行しているように地図は表示され、ユーザは地図の表示に対し違和感を覚えない。
【0039】
(3)平面地図データを用いて平面地図表示データを作成し、立体地図データを用いて立体地図表示データを作成するので、平面地図表示データおよび立体地図表示データをそれぞれ、速やかに作成することができる。
【0040】
(4)検出した現在地に基づいて、視点位置データ20を参照することにより、視点位置を算出するので、車両走行位置に応じた立体地図を表示することができる。
【0041】
(5)平面地図データは少なくともリンクと、リンクの始端と終端に設けたノードとを有し、視点位置データ20は、リンクに対応する誘導線と、誘導線の始端と終端に設けられ、視点位置のデータを含む誘導点とを有するものとした。そして、車両の現在地をリンク上の位置として算出し、リンク上の位置を誘導線上の位置として算出し、誘導線上の位置に基づいて視点位置を算出するようにした。したがって、平面地図データに関連付けて立体地図を表示することができるので、高速に立体地図を表示することができる。また、車両が交差点の所定距離手前に近づいたとき、交差点の立体地図を表示することができる。
【0042】
(6)視点位置データ20には、道路方向が変化する地点および道路の勾配が変化する地点(変化点と呼ぶ)における誘導点が設けられ、誘導点に対応する視点位置以外の視点位置については前後2つの誘導点における視点位置による補間演算で算出するようにした。したがって、視点位置データ20のデータ量を少なくすることができ、地図を立体表示するための処理時間を短縮することができる。
【0043】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)図13に示すように、視点位置データ20と照合して決定した視点位置による立体地図110と、リンク上に自車位置マークを表示した平面地図130とを分割画面で同時に表示するようにしてもよい。立体地図110と平面地図130とを組み合わせることによって交差点41の状況をより容易に把握することができる。また、立体地図データを使用する立体地図110と、平面地図データを使用する平面地図130とを同時に表示すると、地図表示の処理負担が増加する。しかし、視点位置データ20を使用することにより立体地図110の表示の処理負担が軽減されるので、立体地図データを使用する立体地図110と、平面地図データを使用する平面地図130との分割画面表示が容易になる。また、立体地図110には、誘導線上に自車位置マーク113を表示し、平面地図130にはリンク上に自車位置マーク113を表示することによって、それぞれの地図110,130において、最適な位置に自車位置マーク113を表示することができる。
【0044】
(2)誘導線Y1〜Y3は、道路の片側車線の中央に位置するようにした。しかし、誘導線Y1〜Y3の道路中央から所定距離だけ車両方向に偏った位置であれば、立体表示した地図を見たユーザが違和感を覚えないので、実施例に限定されない。
【0045】
(3)図4(a)のリンクL3上の位置43aのように、対応する誘導点のない位置の視点位置については、誘導点42bと誘導点42cとの間の補間演算によって、リンクL3上の位置43aに対応する誘導点位置を算出し、その誘導点位置を基準にして視点位置を算出するようにしてもよい。
【0046】
(4)地図表示装置であれば、ナビゲーション装置1に限定されない。
【0047】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の表示用地図データ作成手段は制御回路11に対応し、視点位置記憶手段はDVD−ROM19に対応する。視点位置算出手段は制御回路11に対応し、検出手段は現在地検出装置14に対応する。表示モード設定手段は入力装置17に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】視点位置データを説明するための図である。
【図3】視点データに含まれる誘導点のデータを説明するための図である。
【図4】誘導線の一例を説明するための図である。
【図5】交差点に設定された複数の誘導線を説明するための図である。
【図6】立体物データに含まれている構造物属性データを説明するための図である。
【図7】立体物データに含まれている底面データを説明するための図である。
【図8】立体物データに含まれているポリゴンデータを説明するための図である。
【図9】立体物データに含まれているテクスチャデータを説明するための図である。
【図10】構造物の立体描画を説明するための図である。
【図11】視点位置データに基づいて決定された視点位置の立体地図を説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態の立体地図表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】分割画面で表示モニタに表示した立体地図と平面地図とを説明するための図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
14 現在地検出装置
16 表示モニタ
20 視点位置データ
41 交差点
42a〜42g 誘導点
60 立体物データ
101 底面データ
102〜104 ポリゴンデータ
113 自車位置マーク
114 推奨経路
L1〜L5 リンク
N1,N2 ノード
Y1〜Y3 誘導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データに基づいて、道路の平面地図を表示モニタに表示する平面地図表示データと、所定高さ位置に設定した視点位置から眺めた道路の立体地図を前記表示モニタに表示する立体地図表示データとを作成する表示用地図データ作成手段と、
前記視点位置を記憶する視点位置記憶手段と、
車両の現在地に基づいて前記視点位置記憶手段から前記視点位置を読み出し、前記車両の現在地に対応する前記視点位置を算出する視点位置算出手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記視点位置は、道路中央から所定距離だけ車両方向に偏った位置に設定したことを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記地図データは、平面地図データと立体地図データとを有し、
前記表示用地図データ作成手段は、前記平面地図データを用いて前記平面地図表示データを作成し、前記立体地図データを用いて前記立体地図表示データを作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
車両の現在地を検出する検出手段をさらに含み、
前記視点位置算出手段は、前記検出手段で検出した現在地に基づいて前記視点位置記憶手段を参照することにより、前記視点位置を算出することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記平面地図データは少なくともリンクと、前記リンクの始端と終端に設けたノードとを有し、
前記視点位置記憶手段は、前記リンクに対応する誘導線と、前記誘導線の始端と終端に設けて前記視点位置のデータを含む誘導点を有し、
前記視点位置算出手段は、前記検出手段で検出された前記現在地を前記リンク上の位置として算出し、前記決定された前記リンク上の位置を前記誘導線上の位置として算出し、前記誘導線上の位置に基づいて前記視点位置を算出することを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−129093(P2008−129093A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310872(P2006−310872)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(501348139)株式会社 エイチ・シー・エックス (86)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】