基板エッジ領域を隔離して処理するための方法及び装置
基板エッジ領域を隔離して処理するための方法及び装置である。装置は、ドライ化学法によって基板のエッジ領域を含む基板の一部を隔離して処理するためのアイソレータを有する。アイソレータは、反応種の流れを基板のエッジ領域に供給するためのノズルと、基板をチャック上で回転させながら反応種の流れを排気プレナムに向けてバイアスさせるためのパージプレナムと、を有する。調節されたフロー制御により、反応種と反応副生成物が処理領域から移動することを防止する。アイソレータを使用して基板を処理するための方法は、反応種の流れを角度をなして基板のエッジ領域に供給しながら、パージプレナム及び排気プレナムによる流れ制御によって処理領域の周囲に境界を形成することを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のエッジ領域を処理するための方法及び装置に関し、より詳細には、基板の残りの部分から隔離された基板のエッジ領域をドライ化学処理するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造時には、誘電体、金属及びその他の材料の成膜及びエッチングを含む幅広い処理をシリコン基板ウェハに対して施す。製造プロセスの様々な段階において、ウェハのエッジ領域をクリーニングしてウェハの処理によって生じた粒子を含む不要な膜や汚染物質を除去しなければならない。不要な膜や汚染物質には、ウェハのエッジ近傍上面(主処理面)、エッジ近傍裏面、エッジ(上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を含む)上で生じる膜及び汚染物質が含まれる(以下、「エッジ領域」とは全体としてエッジ近傍上面、エッジ近傍裏面、エッジ又はそれらの組み合わせを意味する)。膜及び汚染物質は、ウェハのデバイス部分に粒子が移動することを防止するために除去することが望ましい。潜在的な汚染物質粒子は、ウェハの取り扱い及び処理時や膜の応力によるポップオフ(pop−off)の結果として生じる。処理中のデバイスを含むウェハの残りの部分に影響を与えることなく、効率的かつ費用効率がよい方法で処理を行い、エッジ領域の薄膜及び汚染物質を除去することは難しい。この問題は、ウェハの処理デバイス部分に悪影響を与える可能性を有する化学物質及び処理を使用することによって悪化する。膜や汚染物質を除去するための様々な方法が知られている。エッチングはウェット又はドライ処理環境で行うことができる。ウェット化学エッチングでは、ウェハ表面を液体の化学エッチャント(エッチング液)と接触させる。例えば、激しく撹拌した液体又はスプレーとして基板表面を通過させて材料を除去する。ドライエッチングでは、基板表面を気体のプラズマエッチャントと接触させる。
【0003】
ウェット化学エッチングはウェハ処理において広く使用されている。ウェット化学エッチングでは、液体又は蒸気の化学反応物質を拡散によって反応表面に輸送し、表面で化学反応を生じさせ、表面から生成物を除去する。しかし、化学エッチングには限界があり、全ての用途で望ましいわけではない。ウェット化学エッチングをウェハのエッジ近傍のみに施すことは難しい。また、エッチングされた材料の成分が、ウェハ表面のエッチング又は部分的にエッチングされた開口部内を移動する場合がある。また、ウェットエッチングの場合にも不完全又は不均一なエッチングが生じることがあり、等方的であるために不正確なエッチングが行われる。また、ウェットエッチングでは処理工程の間にウェハの乾燥を繰り返さなければならないため、処理時間と処理コストが増加する。ウェット処理の問題点は消費材料と大量に使用される水のコストである。ドライエッチング(通常はプラズマエッチングを意味する)は、低圧放電としてプラズマを使用する技術である。ドライエッチングプラズマ法としては、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、反応性イオンビームエッチング、その他のプラズマエッチング法が挙げられる。プラズマは十分な電界(又は電磁場)が気体に印加される際に生成され、気体を電離させてイオン化させる。そのため、プラズマは完全又は部分的にイオン化された気体である。
【0004】
しかし、ドライプラズマエッチングには限界があり、問題点がある。このような問題としては、ウェハの一部のみ(例えばウェハのエッジ領域)を処理する際に生じる問題が挙げられる。拡散効果は動作圧力が低い時に優位となるため、ウェハ上の暴露位置を制御することが困難となる。また、これらのプロセスの装置は扱いづらい上に、真空室及びポンプ設備を必要とする。また、真空が必要なためにスループットが低下し、装置と運用コストが増加する。また、イオンによるウェハに対するダメージも問題である。また、プラズマ内の電荷の差によってウェハ上のデバイスに静電気損傷が生じる場合がある。
【0005】
基板のエッジを処理する場合に難しいのは、反応性化学物質、処理対象のエッジ領域から非処理対象の領域に副生成物及び汚染物質が移動することを制限することである。少量(ppbレベル)の汚染物質であっても、最終製品の収率に重大な影響を与える場合がある。
【0006】
ウェット化学処理及びドライプラズマ処理の他に、ウェハのエッジの傾斜面及び頂部領域を処理するために研磨法が使用されている。しかし、研磨法は本質的に汚染が発生し、粒子が混入し、基板内に欠陥を生じさせる傾向がある。そのため、クリーニングを行う後処理工程が必要となる。研磨法の別の問題点は、処理後に残る表面下のダメージである。このダメージは処理によって基板シリコン結晶構造内で生じ、その後の処理に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
その他のエッジ領域処理装置は処理領域の制御において限界があり、エッジ領域に粒子が閉じ込められ、欠陥が生じる可能性がある。また、これらの装置の中には、高価な化学物質を大量消費し、大量の危険廃棄物を発生するものもある。
【0008】
そのため、上述した方法及び装置は、本質的な制限や、特にウェハのエッジ領域から膜又は汚染物質を除去し、ウェハの残りの部分をプロセスから隔離する必要がある用途に適していないという問題を有する。そのため、ウェハのエッジ領域を処理するウェット化学法、ドライイオンプラズマ法及び研磨法による固有の問題を回避する基板エッジ領域処理装置及び方法が求められている。方法及び装置は、効率的で、費用効率がよく、ダメージを与えず、ウェハに別の工程を実施する必要性がないものであることが重要である。真空系装置に関連するコストを削減するために、方法及び装置は非真空(実質的に大気圧)において作用することが重要である。
【発明の開示】
【0009】
本発明に係るエッジ領域基板処理方法及び装置は、上述した処理方法及び装置に対する利点を有する。本発明の一態様は、基板の残りの部分から隔離された基板のエッジ領域を大気圧でドライ化学処理するための方法及び装置に関する。本発明の別の態様では、基板エッジ領域処理装置は、基板の処理対象のエッジ領域の一部を隔離するためのアイソレータを含む。本発明の別の態様では、アイソレータ内の1以上の溝は反応種の流れを基板のエッジ領域に制限するためのプレナムを形成している。本発明の別の態様では、1以上のノズルがアイソレータ内に配置され、1以上のノズルの少なくとも1つが、基板の上面に対して垂直な角度及び水平な角度の間の角度で配置されている。1以上のノズルは、基板のエッジ領域上の材料と反応させるための反応種を放出する。本発明の別の態様では、差圧により、反応種をアイソレータの外部の基板の領域から離れるようにバイアスさせる。
【0010】
本発明の別の態様は、基板の一部を隔離して処理するための基板エッジ処理方法であって、処理部分は基板のエッジから基板の上面を通って基板のその他のエッジまで放射状に延び、基板の処理部分と基板の残りの部分との間に差圧バリアを形成し、基板の上面と平行な角度よりも大きく、基板の上面と垂直な角度よりも小さな角度で反応種を基板の処理部分に供給することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、本発明の装置又は方法によって製造又は処理された基板(特にウェハ)を含む。従って、本発明は、費用効率がよく、効率的に基板のエッジ領域を処理するための方法及び装置を有利に提供する。不活性ガスの流れをプレナムを介して処理対象領域近傍に供給することにより、基板の処理対象のエッジ領域は基板の残りの部分から隔離され、反応種の流れを基板の上面と角度をなすように基板のエッジ領域に供給しながらバリアを形成し、基板のエッジ領域を処理することができる。負の排気圧と共に不活性ガスを処理室に流入させることにより、反応性種及びその他のガスを基板の非処理領域から離れるようにバイアスさせることができる。
【0012】
上述した方法及び装置により、残りの領域に影響を与えることなく、基板の一部(特に基板のエッジ領域)を正確に処理することができる。差圧と組み合わせたアイソレータ構造の一部としての流れ制御により、対象外の領域への反応種の移動を効果的に制限することができる。基板のエッジ領域への反応種の流れを使用することによりエッチング速度が上昇し、処理基板のスループットを大きく向上させることができる。すなわち、本発明は、基板のデバイス部分の汚染を減少させるように基板のエッジ領域を処理するためのクリーンで、効果的で、効率的な方法及び装置を提供する。本発明の利用可能性のさらなる領域は以下の詳細な説明から明らかになるだろう。なお、以下の詳細な説明と実施例は本発明の好適な実施形態を示すものではあるが、単なる例示のみを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下の詳細な説明と添付図面によって、本発明はよりよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の好適な実施形態の説明は単なる例示であり、本発明及び本発明の用途又は使用を制限することを意図するものではない。
【0014】
図1〜図5を参照すると、本発明のウェハエッジ領域処理装置20(「装置」)の好適な実施形態は、内部に配置されたアイソレータ24及びウェハチャック26を有する処理室22を有する。ウェハ28はウェハチャック26の上面に保持され、上面30と、底面32と、ウェハ28の放射方向の周囲を取り囲むエッジ領域33(エッジ及びエッジ近傍の薄い線で示すエッジ近傍を含む)と、を有する。アイソレータ24は、ウェハ28の上面30の一部にわたって延びる上部34及びウェハ28の底面32の一部にわたって延びる下部36を有する。アイソレータ24は、ウェハ28のエッジ領域33を処理するための処理領域37を内部に有する。処理領域37は、ガス、処理副生成物、凝縮物を排出するための排気装置39に接続された排気プレナム38内に通じている。
【0015】
第1のノズル40及び第2のノズル42がアイソレータ24の上部34内に配置されている。第1のノズル40及び第2のノズル42は、反応種の流れをウェハ28のエッジ領域33に供給する。第1のノズル40は、ウェハ28の上面30(「ウェハ面」)と共通な面に対して垂直な軸に対してオフセットされている。第1のノズル40は、ウェハ面に対して80゜±5゜の角度で上面30に向けられている。第2のノズル42は、ウェハ面に対して45゜±5゜の角度でオフセットされている。また、第2のノズル42は、アイソレータ24とウェハ28の中心を通るウェハ面に対して垂直な面に対して15゜以下の角度でオフセットされている。
【0016】
第1のノズル40は、上部34内に配置された第1の流路48に接続されている。第1の流路48はガスライン41に通じている。第2のノズル42は、上部34内に配置された第2の流路50に接続されている。第2の流路50はガスライン41に通じている。第1のノズル40及び第2のノズル42は、ガスライン41を介して反応ガス種供給源52に接続されている。
【0017】
第1のノズル40は、傾斜面及び頂部を処理するために、ウェハ28のエッジから0.1〜0.5mm離すと共にウェハ28の上面30から1.3〜1.8mm離して配置されている。第2のノズル42は、ウェハ28のエッジから0.5〜3.0mm離すと共にウェハ28の上面30から0.6〜1.1mm離して配置されている。ノズルの放射方向位置及びウェハ表面からの距離は、所望のエッジ排除領域及び処理及び膜に応じて異なる。
【0018】
反応ガス種供給源52は、反応ガス種又は反応ガス種を生成するための反応物質を供給する。反応ガス種は、ほぼ大気圧下での方法により生成することができる。この生成方法は、米国特許第5,961,772号に記載されている大気圧容量結合プラズマ源(near atomospheric capacitively coupled plasma source)(APJET)又は米国特許第6,660,177号に記載されている誘導結合プラズマ放電(inductively coupled plasma discharge)(ICPトーチ)又は燃焼炎法を含む。米国特許第5,961,772号及び第6,660,177号の開示内容はこの参照によって本明細書に援用される。反応ガス種を生成するための燃焼炎法(装置及び方法を含む)は、2005年9月19日に出願された米国特許出願第11/230,261号(「燃焼炎を使用した基板処理法及び装置(Substrate Processing Method and Apparatus Using a Combustion Flame)」)に開示されており、米国特許出願第11/230,261号の開示内容はこの参照によって本明細書に援用される。
【0019】
また、自発的エッチャント、例えばF2、O3又はHFを使用することができる。有利なことに、これらの反応種法はいずれもイオンプラズマのイオン衝撃特性を生じないため、表面及び装置の損傷が生じる可能性を最小限に抑えることができる。また、これらの手法のいずれも関連する装置と合わせて真空室を必要としない。
【0020】
上部34内に配置された上部パージプレナム54は、ウェハ28の上面30のエッジ又はエッジ近傍から、処理されるウェハの領域の上方を横切って、ウェハ28の上面30の別のエッジ又はその近傍まで延びている。上部パージプレナム54は、3.0mm以下の幅を有し、37.5mm以下の総経路長にわたって延在している。上部パージプレナム54は、反応ガスが処理領域37から排出されることを防ぐ調節されたフローシステム(tuned flow system)の一部である。
【0021】
上部パージプレナム54は、パージガスライン57を介してパージガス供給源58に接続された第1のパージ流路56に接続されている。パージガス供給源58は、第1のパージ流路56を介して上部パージプレナム54に供給されるアルゴン等の不活性ガスを供給する。1つのパージ流路がアイソレータ24の上部34内に配置されているが、パージガスの流れを上部パージプレナム54に供給するための1以上の流路が設けられていてもよい。パージ流路は、2.00mmの内径を有する。上部パージプレナム54内へのパージガスの流れによって、上部パージプレナム54によって取り囲まれた上面30の領域内に圧力差が生じ、上面30と処理されるウェハ28のエッジ領域33との間にバリアが形成される。
【0022】
上部パージプレナム54は、内部バッフル60によってウェハ28の上面30から隔てられている。内部バッフル60は、上部パージプレナム54の内側周囲に沿って設けられており、0.30〜0.80mmの隙間によってウェハ28から隔てられている。外部バッフル62は、上部パージプレナム54の外側周囲に沿って設けられており、0.50〜1.10mmの隙間によってウェハ28から隔てられている。図示するように、外部バッフル62は、内部バッフル60よりも幅が広く、内部バッフル60よりもウェハ28の上面30に近接している。これにより、バッフル60内を横切ってアイソレータ24の処理領域37に向かう方向にパージガスの流れをバイアスさせる圧力差を生じさせることによって、ウェハ28の処理部分の周囲に圧力誘発バリアを容易に形成することができる。
【0023】
第2のパージ流路64は、アイソレータ24の下部36内に配置されている。第2のパージ流路64はパージガスライン57によってパージガス供給源58に接続されている。第2のパージ流路64は、パージガスを下部パージプレナム66に供給するためのものである。上部パージプレナム54と同様に、下部パージプレナム66は、底面32の下方のウェハ28のエッジ領域33の位置又はその近傍からウェハ28のエッジの別の位置又はその近傍まで延びている。上部パージプレナム54と同様に、下部パージプレナム66は下部内部バッフル65と下部外部バッフル67との間に配置されている。下部パージプレナム66は、下部内部バッフル65及び下部外部バッフル67と共に、下部内部バッフル65及び底面32を横切る方向にパージガスの流れをバイアスさせる。
【0024】
ウェハチャック26は、上部34と下部36との間に位置するアイソレータ24のスロット内にウェハ28を配置し、ウェハ28を回転させるためにr−θ−z方向に移動させることができる。あるいは、アイソレータ24は、チャックをθ及びz方向に移動させながらr方向に移動させることができる。位置決め後、ウェハ28の各面と上部34又は下部36との間の距離は0.30〜0.80mmとなる。ウェハ28を挿入しない場合のスロット開口面積は124.20〜216.20mm2である。ウェハ28を挿入した場合のスロット開口面積は55.20〜147.20mm2である。排気スロットの幅は93.0mmである。
【0025】
ガスディフューザ80は処理室22内を延びており、処理室22に不活性ガスを流入させる。ガスディフューザ80は通常はシャワーヘッド型であり、ディフューザガスライン82を介してパージガス供給源58に接続されている。排気プレナム38は、排気装置39と共に、反応ガスが処理領域37から排出されることを防ぐ調整フローシステムの新たな別の部分である。排気装置39は排気プレナム38内で負の圧力を生成し、不活性ガスを副生成物及び凝縮物と共に処理領域37からの排出させ、ウェハ28の装置領域内にこれらのガスが移動することを防ぐ。
【0026】
ヒーター部材68は、ヒーター線70によってヒーター電源72に接続されている。ヒーター部材68はアイソレータ24を加熱し、アイソレータ24よりも少ない程度にウェハ28を加熱する。アイソレータ24を加熱することは、アイソレータ24を腐食させ、処理領域37内に汚染物質が取り込む可能性のあるガスの凝縮を防止するために望ましい。
【0027】
第1のノズル40と第2のノズル42を含むエッジ領域処理装置20のノズルはサファイア製である。サファイアは、基板処理に使用される化学物質と反応しないために有利である。これは、半導体基板の処理ではppmレベルの少量材料汚染分析が必要であり、その分析において基板に対する許容添加量が約1010原子/cm2未満であるために重要である。また、約0.1ミクロンを超える粒子の基板への添加量はゼロでなければならない。
【0028】
また、ノズルから層流のガスの流れを生じさせることが望ましい場合が多い。そのため、ノズルのアスペクト比を約10×長さと直径の比率に設定する必要がある。ノズルの内径は約0.254〜0.279mmであり、約2.50mmとなる一定のスムーズなノズルの内腔の長さを必要とする。
【0029】
第1のノズル40及び第2のノズル42を含むアイソレータ24のノズルは、ウェハ面に対してそれぞれ80゜以下及び45゜以下の角度をなしているが、薄膜のエッチング及び成膜を含む処理を容易にするためにウェハ面に対して異なる方向に有利に傾斜させることができる。
【0030】
装置20の好適な実施形態は、不活性周囲環境においてガス反応物質を点火燃焼させて得られる燃焼炎(点火装置は図示せず)を使用する。好適な実施形態では、ガス反応物質としては水素(H2)や三フッ化窒素(NF3)が挙げられる。ただし、その他の燃焼成分を使用することもできる。アルゴンは不活性環境を生じさせる。ただし、その他の不活性ガスを使用することもできる。
【0031】
動作時には、ウェハ28をウェハチャック26の中心に配置し、ウェハチャック26によって上部34と下部36との間のアイソレータ24のスロット内にウェハ28を配置する。ウェハチャック26によってウェハ28を回転させる。
【0032】
不活性ガス76を、パージガス供給源58から上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66に流入させる。不活性ガス76を、100sccm〜8,000sccmの速度で上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66に流入させる。また、不活性ガス76を、ガスディフューザ80を介して処理室22に流入させる。不活性ガス76を、500sccm〜10,000sccmの速度で処理室22に流入させる。
【0033】
次に、排気装置39を作動させ、排気プレナム38を介してガスや凝縮物を含む処理副生成物を吸引する。ヒーター電源72からヒーター部材68に電力を供給し、アイソレータ24を加熱する。次に、反応種74が第1のノズル40及び第2のノズル42から放出される。反応種(燃焼炎の場合にはガス)は、ノズルを介して375sccm〜475sccmの速度で流れる。ウェハ28が回転すると、反応種74はウェハ28のエッジ領域33上に接触する。反応種74はウェハ28のエッジ領域33内で薄膜又は汚染物質と反応し、反応副生成物78が生成する。
【0034】
第1の処理ノズル40及び第2の処理ノズル42の位置により、反応種74が供給され、ウェハ28の上部傾斜面、頂部、下部傾斜面が包み込まれる。
【0035】
方向ベクトルによって示すように(図5)、反応種74は、排気プレナム38及び排気装置39内にガスを引き込む圧力差と協働する不活性ガス76の流れによってアイソレータ24から排出されないようになっている。不活性ガス76は、上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66内に加圧バリアを形成し、ウェハの処理エッジ領域を取り囲む。外部バッフル部材62と協働する内部バッフル部材60が、ウェハ28の処理領域に向かって不活性ガス76の流れにバイアスをかける。反応種74とウェハ28の表面の薄膜との反応により生成した反応副生成物78は、ウェハ28の処理領域から排気プレナム38内に送られる。そのため、有利なことに、反応種74及び反応副生成物78はウェハ28のエッジ領域に閉じ込められ、ウェハの装置にダメージを与える可能性のあるウェハ28のその他の領域内への移動を防止する。また、排気プレナム38により生じた圧力差によって、ウェハ28の中心部分から遠ざかるようにガスの流れがさらにバイアスされる。
【0036】
ウェハ28のエッジ領域33を処理した後、反応種の流れを停止させる。ウェハ28を一回転させるだけでウェハ全体のエッジ領域33の処理を行うことができる。あるいは、2回以上回転させて、成膜及びエッチングを含む2以上のプロセスを行うことができる。反応種の流れを停止させた後、処理室22からその他のガス及び凝縮物が十分に除去されるまで不活性ガス76の流れを維持する。その後、ヒーター部材68をオフにし、パージガス供給源58からの不活性ガス76の流れを停止させ、ウェハ28を除去し、処理を行う別のウェハと取り替える。
【0037】
装置20及び装置20を使用するための方法は、対象となる薄膜をエッチングするために好適である。薄膜としては、例えば、タンタル及び窒化タンタル、層間誘電体、裏面側ポリマー、フォトレジストエッジビーズが挙げられる。
【0038】
図6及び図7Aを参照すると、化学気相成長(CVD)又は物理気相成長(PVD)によって成膜される膜が薄膜90としてウェハ等の基板92上に延在している。薄膜90は、基板92の上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を横切って基板92の上面から延びている。上述した装置20は、基板92上の薄膜90を処理し、図7Bに示すような基板92の形状を得るために有利に使用することができる。
【0039】
図6及び図7Cを参照すると、基板を完全に覆う薄膜94は、上面から上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を横切って基板92の底面に延びている。このような形状を有する薄膜としては、例えば熱SiO2(thermal SiO2)及びSi3N4が挙げられる。上述した装置20の実施形態は、基板92を完全に覆う薄膜94を処理し、図7Dに示すような基板92の形状を得るために使用することができる。
【0040】
図6及び図7Eを参照すると、裏面ポリマー薄膜96は、上部傾斜面の位置又は近傍から、頂部の少なくとも一部を横切って基板92の底面に延びている。上述した装置20の実施形態は、基板92上の裏面ポリマー薄膜96を処理し、図7Fに示すような基板92の形状を得るために使用することができる。
【0041】
次に、図8及び図9を参照すると、エッジ領域処理装置100の代替実施形態(「第1の代替装置」)は、前処理ノズル102及び後処理ノズル104を使用する。前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、第1の処理流路110及び第2の処理流路112を介してガスライン114に通じる酸素(O2)106及び水素(H2)108の前処理ガス供給源に接続されている。
【0042】
酸素106及び水素108を前処理及び後処理ガスとして示しているが、その他のガスも使用することができる。また、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、処理領域37内のウェハ28の上面30に燃焼炎を供給するためのものである。前処理の目的は、処理領域内の温度を上昇させて反応速度を上昇させること、及び/又はガス又は反応副生成物の凝縮を防ぐことである。また、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、例えば、SiO2を成膜させることにより化学的に上面30のエッジ領域を変性させ、選択性を高め、次いで第1のノズル40及び第2のノズル42によって実施されるエッチングに速やかに移行するために使用することができる。あるいは、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、その他の工程を向上させるために単独又は協働して作動させることができる。
【0043】
第1の代替装置は、前処理ノズル102及び後処理ノズル104から放出されるH2108及びO2106の燃焼炎を発火させること以外は実質的に上述したように作動させる。このようにして、ウェハ28が回転することにより、燃焼炎は処理領域37内で上面30にあたることになる。有利には、前処理及び後処理における凝縮物の生成を防止し、熱エネルギーを与えてウェハ28を処理するための反応速度を上昇させるようにウェハを加熱する。
【0044】
図10を参照すると、第2の代替実施形態のエッジ領域処理装置20(「第2の代替装置」)は、アイソレータ24の上部及び下部が逆になっている点を除けば、上述したウェハエッジ領域処理装置20と実質的に同一である。第2の代替装置150では、別の上部152が上面30を横切って延び、別の下部154が底面32を横切って延び、第1のノズル40及び第2のノズル42が下部154に配置されている。第2の代替装置は、エッジ近傍底面32のエッジ領域の処理を行う。第1のノズル40及び第2のノズル42は、反応種が上部傾斜面領域まで頂部を包み込むように配置するか、エッジ近傍底面及び/又は下部傾斜面のみが処理されるように配置することができる。第2の代替装置150の動作は実質的に上述した通りである。
【0045】
図11を参照すると、第3の代替実施形態のエッジ領域処理装置170(「第3の代替装置」)は、第1の下部ノズル174及び第2の下部ノズル176が内部に配置された第2の下部172を有する。第3の代替装置170の構成により、ウェハ28のエッジ近傍上面30及びエッジ近傍下面32を同時に処理することができる。上部34及び第2の下部172による処理は独立して行うことができ、エッジ近傍上面30をエッジ近傍底面32とは独立して処理する。
【0046】
図12を参照すると、第4の代替実施形態のエッジ領域処理装置200(「第4の代替装置」)は、上述した装置20に追加された先進的プロセス制御(APC)サブシステムを含む。APCサブシステムは、アイソレータ24の処理領域37内における圧力差を監視・制御し、反応種及び反応副生成物を含むガスが処理領域37からウェハ28のその他の領域に移動することを防ぐための排気流204に合わせた絞り弁202を含む。絞り弁202は、予め設定した圧力差にリアルタイムで調節するための絞り弁制御装置206に接続されている。このようにして、装置に対するガス荷重が変化したとしても一定の圧力差を維持する。あるいは、圧力差がガス荷重によって異なる場合にも、手動絞り弁を使用することができる。
【0047】
光学解析電子装置208が、反応工程から生じた光子放出を受けるためにアイソレータ24の上部34内に配置された光ファイバー結合器210に接続されている。光学解析電子装置208は、反応工程を観察・分析し、反応種の存在及び/又は反応種の相対濃度を決定するために使用する。この機能の別のモードでは、発光分光測定法を使用して化学反応が生じている領域に存在していることが観察されている反応種及び/又はエッチング生成物に基づいてエッチングの終点を推測することができる。FTIR法を使用してアイソレータ24から排出されるガス流出物を分析するために、FTIR制御電子機器214に接続されたFTIRガス解析装置212が排気流204に沿って設けられている。FTIRガス解析装置212及びFTIR制御電子機器214からの情報は、反応ガス輸送装置の健全性及び状態を決定し、終点を検出するために使用する。FTIR法では、排気流204は赤外線(IR)源及び検出器を含む光学セルを介して送られる。専用制御装置及びホストコンピュータ(図示せず)はガスセルを作動させる。市販のFTIR装置を使用することができる。
【0048】
図13を参照すると、第5の代替実施形態のエッジ領域処理装置300(「第5の代替装置」)は、拡張排気プレナム306の一方の面に配置されたノズルアセンブリ304を有する拡張アイソレータハウジング302を有する。ノズルアセンブリ304は、実質的に、図9において、図8に示すような下部36を有する第1の代替装置の上部34である。本実施形態では、ウェハ28は処理方向308に回転するため、ウェハ28は、拡張アイソレータハウジング302の残りの部分を通って回転を続ける前に、ノズルアセンブリ304内を通過する。第5の代替装置では、ノズルアセンブリ304が拡張アイソレータハウジング302の一方の面に配置されているため、拡張排気プレナム206によって反応種及び反応副生成物をさらに回収することができる。有利には、反応種又は反応副生成物がウェハ28の装置領域に移動することをさらに防止することができる。
【0049】
本実施形態の説明は単に例示を目的としたものであり、本発明の要旨から逸脱しない変形も本発明の範囲に含まれる。従って、そのような変形及び変更も本発明の範囲から逸脱するものとはみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好適な実施形態としての基板エッジ領域処理装置の概略側面図である。
【図2】図1に示す好適な実施形態の概略上面図である。
【図3】図1に示す好適な実施形態の概略断面側面図である。
【図4】基板の一部を切り取った、図1に示す好適な実施形態の下側半分の概略断面図である。
【図5】図1に示す好適な実施形態のアイソレータの一部の詳細図である。
【図6】図1に示す好適な実施形態を用いて処理される基板ウェハの断面図である。
【図7A】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7B】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7C】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7D】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7E】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7F】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図8】本発明の代替実施形態の概略断面図である。
【図9】図8に示す別の実施形態の概略上面図である。
【図10】本発明の第2の代替実施形態の概略断面側面図である。
【図11】本発明の第3の代替実施形態の概略断面側面図である。
【図12】追加の構成部材を有する、図1に示す本発明の第4の代替実施形態の概略断面図である。
【図13】本発明の第5の代替実施形態の概略上面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のエッジ領域を処理するための方法及び装置に関し、より詳細には、基板の残りの部分から隔離された基板のエッジ領域をドライ化学処理するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造時には、誘電体、金属及びその他の材料の成膜及びエッチングを含む幅広い処理をシリコン基板ウェハに対して施す。製造プロセスの様々な段階において、ウェハのエッジ領域をクリーニングしてウェハの処理によって生じた粒子を含む不要な膜や汚染物質を除去しなければならない。不要な膜や汚染物質には、ウェハのエッジ近傍上面(主処理面)、エッジ近傍裏面、エッジ(上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を含む)上で生じる膜及び汚染物質が含まれる(以下、「エッジ領域」とは全体としてエッジ近傍上面、エッジ近傍裏面、エッジ又はそれらの組み合わせを意味する)。膜及び汚染物質は、ウェハのデバイス部分に粒子が移動することを防止するために除去することが望ましい。潜在的な汚染物質粒子は、ウェハの取り扱い及び処理時や膜の応力によるポップオフ(pop−off)の結果として生じる。処理中のデバイスを含むウェハの残りの部分に影響を与えることなく、効率的かつ費用効率がよい方法で処理を行い、エッジ領域の薄膜及び汚染物質を除去することは難しい。この問題は、ウェハの処理デバイス部分に悪影響を与える可能性を有する化学物質及び処理を使用することによって悪化する。膜や汚染物質を除去するための様々な方法が知られている。エッチングはウェット又はドライ処理環境で行うことができる。ウェット化学エッチングでは、ウェハ表面を液体の化学エッチャント(エッチング液)と接触させる。例えば、激しく撹拌した液体又はスプレーとして基板表面を通過させて材料を除去する。ドライエッチングでは、基板表面を気体のプラズマエッチャントと接触させる。
【0003】
ウェット化学エッチングはウェハ処理において広く使用されている。ウェット化学エッチングでは、液体又は蒸気の化学反応物質を拡散によって反応表面に輸送し、表面で化学反応を生じさせ、表面から生成物を除去する。しかし、化学エッチングには限界があり、全ての用途で望ましいわけではない。ウェット化学エッチングをウェハのエッジ近傍のみに施すことは難しい。また、エッチングされた材料の成分が、ウェハ表面のエッチング又は部分的にエッチングされた開口部内を移動する場合がある。また、ウェットエッチングの場合にも不完全又は不均一なエッチングが生じることがあり、等方的であるために不正確なエッチングが行われる。また、ウェットエッチングでは処理工程の間にウェハの乾燥を繰り返さなければならないため、処理時間と処理コストが増加する。ウェット処理の問題点は消費材料と大量に使用される水のコストである。ドライエッチング(通常はプラズマエッチングを意味する)は、低圧放電としてプラズマを使用する技術である。ドライエッチングプラズマ法としては、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、スパッタエッチング、反応性イオンビームエッチング、その他のプラズマエッチング法が挙げられる。プラズマは十分な電界(又は電磁場)が気体に印加される際に生成され、気体を電離させてイオン化させる。そのため、プラズマは完全又は部分的にイオン化された気体である。
【0004】
しかし、ドライプラズマエッチングには限界があり、問題点がある。このような問題としては、ウェハの一部のみ(例えばウェハのエッジ領域)を処理する際に生じる問題が挙げられる。拡散効果は動作圧力が低い時に優位となるため、ウェハ上の暴露位置を制御することが困難となる。また、これらのプロセスの装置は扱いづらい上に、真空室及びポンプ設備を必要とする。また、真空が必要なためにスループットが低下し、装置と運用コストが増加する。また、イオンによるウェハに対するダメージも問題である。また、プラズマ内の電荷の差によってウェハ上のデバイスに静電気損傷が生じる場合がある。
【0005】
基板のエッジを処理する場合に難しいのは、反応性化学物質、処理対象のエッジ領域から非処理対象の領域に副生成物及び汚染物質が移動することを制限することである。少量(ppbレベル)の汚染物質であっても、最終製品の収率に重大な影響を与える場合がある。
【0006】
ウェット化学処理及びドライプラズマ処理の他に、ウェハのエッジの傾斜面及び頂部領域を処理するために研磨法が使用されている。しかし、研磨法は本質的に汚染が発生し、粒子が混入し、基板内に欠陥を生じさせる傾向がある。そのため、クリーニングを行う後処理工程が必要となる。研磨法の別の問題点は、処理後に残る表面下のダメージである。このダメージは処理によって基板シリコン結晶構造内で生じ、その後の処理に悪影響を与える可能性がある。
【0007】
その他のエッジ領域処理装置は処理領域の制御において限界があり、エッジ領域に粒子が閉じ込められ、欠陥が生じる可能性がある。また、これらの装置の中には、高価な化学物質を大量消費し、大量の危険廃棄物を発生するものもある。
【0008】
そのため、上述した方法及び装置は、本質的な制限や、特にウェハのエッジ領域から膜又は汚染物質を除去し、ウェハの残りの部分をプロセスから隔離する必要がある用途に適していないという問題を有する。そのため、ウェハのエッジ領域を処理するウェット化学法、ドライイオンプラズマ法及び研磨法による固有の問題を回避する基板エッジ領域処理装置及び方法が求められている。方法及び装置は、効率的で、費用効率がよく、ダメージを与えず、ウェハに別の工程を実施する必要性がないものであることが重要である。真空系装置に関連するコストを削減するために、方法及び装置は非真空(実質的に大気圧)において作用することが重要である。
【発明の開示】
【0009】
本発明に係るエッジ領域基板処理方法及び装置は、上述した処理方法及び装置に対する利点を有する。本発明の一態様は、基板の残りの部分から隔離された基板のエッジ領域を大気圧でドライ化学処理するための方法及び装置に関する。本発明の別の態様では、基板エッジ領域処理装置は、基板の処理対象のエッジ領域の一部を隔離するためのアイソレータを含む。本発明の別の態様では、アイソレータ内の1以上の溝は反応種の流れを基板のエッジ領域に制限するためのプレナムを形成している。本発明の別の態様では、1以上のノズルがアイソレータ内に配置され、1以上のノズルの少なくとも1つが、基板の上面に対して垂直な角度及び水平な角度の間の角度で配置されている。1以上のノズルは、基板のエッジ領域上の材料と反応させるための反応種を放出する。本発明の別の態様では、差圧により、反応種をアイソレータの外部の基板の領域から離れるようにバイアスさせる。
【0010】
本発明の別の態様は、基板の一部を隔離して処理するための基板エッジ処理方法であって、処理部分は基板のエッジから基板の上面を通って基板のその他のエッジまで放射状に延び、基板の処理部分と基板の残りの部分との間に差圧バリアを形成し、基板の上面と平行な角度よりも大きく、基板の上面と垂直な角度よりも小さな角度で反応種を基板の処理部分に供給することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、本発明の装置又は方法によって製造又は処理された基板(特にウェハ)を含む。従って、本発明は、費用効率がよく、効率的に基板のエッジ領域を処理するための方法及び装置を有利に提供する。不活性ガスの流れをプレナムを介して処理対象領域近傍に供給することにより、基板の処理対象のエッジ領域は基板の残りの部分から隔離され、反応種の流れを基板の上面と角度をなすように基板のエッジ領域に供給しながらバリアを形成し、基板のエッジ領域を処理することができる。負の排気圧と共に不活性ガスを処理室に流入させることにより、反応性種及びその他のガスを基板の非処理領域から離れるようにバイアスさせることができる。
【0012】
上述した方法及び装置により、残りの領域に影響を与えることなく、基板の一部(特に基板のエッジ領域)を正確に処理することができる。差圧と組み合わせたアイソレータ構造の一部としての流れ制御により、対象外の領域への反応種の移動を効果的に制限することができる。基板のエッジ領域への反応種の流れを使用することによりエッチング速度が上昇し、処理基板のスループットを大きく向上させることができる。すなわち、本発明は、基板のデバイス部分の汚染を減少させるように基板のエッジ領域を処理するためのクリーンで、効果的で、効率的な方法及び装置を提供する。本発明の利用可能性のさらなる領域は以下の詳細な説明から明らかになるだろう。なお、以下の詳細な説明と実施例は本発明の好適な実施形態を示すものではあるが、単なる例示のみを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。以下の詳細な説明と添付図面によって、本発明はよりよく理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の好適な実施形態の説明は単なる例示であり、本発明及び本発明の用途又は使用を制限することを意図するものではない。
【0014】
図1〜図5を参照すると、本発明のウェハエッジ領域処理装置20(「装置」)の好適な実施形態は、内部に配置されたアイソレータ24及びウェハチャック26を有する処理室22を有する。ウェハ28はウェハチャック26の上面に保持され、上面30と、底面32と、ウェハ28の放射方向の周囲を取り囲むエッジ領域33(エッジ及びエッジ近傍の薄い線で示すエッジ近傍を含む)と、を有する。アイソレータ24は、ウェハ28の上面30の一部にわたって延びる上部34及びウェハ28の底面32の一部にわたって延びる下部36を有する。アイソレータ24は、ウェハ28のエッジ領域33を処理するための処理領域37を内部に有する。処理領域37は、ガス、処理副生成物、凝縮物を排出するための排気装置39に接続された排気プレナム38内に通じている。
【0015】
第1のノズル40及び第2のノズル42がアイソレータ24の上部34内に配置されている。第1のノズル40及び第2のノズル42は、反応種の流れをウェハ28のエッジ領域33に供給する。第1のノズル40は、ウェハ28の上面30(「ウェハ面」)と共通な面に対して垂直な軸に対してオフセットされている。第1のノズル40は、ウェハ面に対して80゜±5゜の角度で上面30に向けられている。第2のノズル42は、ウェハ面に対して45゜±5゜の角度でオフセットされている。また、第2のノズル42は、アイソレータ24とウェハ28の中心を通るウェハ面に対して垂直な面に対して15゜以下の角度でオフセットされている。
【0016】
第1のノズル40は、上部34内に配置された第1の流路48に接続されている。第1の流路48はガスライン41に通じている。第2のノズル42は、上部34内に配置された第2の流路50に接続されている。第2の流路50はガスライン41に通じている。第1のノズル40及び第2のノズル42は、ガスライン41を介して反応ガス種供給源52に接続されている。
【0017】
第1のノズル40は、傾斜面及び頂部を処理するために、ウェハ28のエッジから0.1〜0.5mm離すと共にウェハ28の上面30から1.3〜1.8mm離して配置されている。第2のノズル42は、ウェハ28のエッジから0.5〜3.0mm離すと共にウェハ28の上面30から0.6〜1.1mm離して配置されている。ノズルの放射方向位置及びウェハ表面からの距離は、所望のエッジ排除領域及び処理及び膜に応じて異なる。
【0018】
反応ガス種供給源52は、反応ガス種又は反応ガス種を生成するための反応物質を供給する。反応ガス種は、ほぼ大気圧下での方法により生成することができる。この生成方法は、米国特許第5,961,772号に記載されている大気圧容量結合プラズマ源(near atomospheric capacitively coupled plasma source)(APJET)又は米国特許第6,660,177号に記載されている誘導結合プラズマ放電(inductively coupled plasma discharge)(ICPトーチ)又は燃焼炎法を含む。米国特許第5,961,772号及び第6,660,177号の開示内容はこの参照によって本明細書に援用される。反応ガス種を生成するための燃焼炎法(装置及び方法を含む)は、2005年9月19日に出願された米国特許出願第11/230,261号(「燃焼炎を使用した基板処理法及び装置(Substrate Processing Method and Apparatus Using a Combustion Flame)」)に開示されており、米国特許出願第11/230,261号の開示内容はこの参照によって本明細書に援用される。
【0019】
また、自発的エッチャント、例えばF2、O3又はHFを使用することができる。有利なことに、これらの反応種法はいずれもイオンプラズマのイオン衝撃特性を生じないため、表面及び装置の損傷が生じる可能性を最小限に抑えることができる。また、これらの手法のいずれも関連する装置と合わせて真空室を必要としない。
【0020】
上部34内に配置された上部パージプレナム54は、ウェハ28の上面30のエッジ又はエッジ近傍から、処理されるウェハの領域の上方を横切って、ウェハ28の上面30の別のエッジ又はその近傍まで延びている。上部パージプレナム54は、3.0mm以下の幅を有し、37.5mm以下の総経路長にわたって延在している。上部パージプレナム54は、反応ガスが処理領域37から排出されることを防ぐ調節されたフローシステム(tuned flow system)の一部である。
【0021】
上部パージプレナム54は、パージガスライン57を介してパージガス供給源58に接続された第1のパージ流路56に接続されている。パージガス供給源58は、第1のパージ流路56を介して上部パージプレナム54に供給されるアルゴン等の不活性ガスを供給する。1つのパージ流路がアイソレータ24の上部34内に配置されているが、パージガスの流れを上部パージプレナム54に供給するための1以上の流路が設けられていてもよい。パージ流路は、2.00mmの内径を有する。上部パージプレナム54内へのパージガスの流れによって、上部パージプレナム54によって取り囲まれた上面30の領域内に圧力差が生じ、上面30と処理されるウェハ28のエッジ領域33との間にバリアが形成される。
【0022】
上部パージプレナム54は、内部バッフル60によってウェハ28の上面30から隔てられている。内部バッフル60は、上部パージプレナム54の内側周囲に沿って設けられており、0.30〜0.80mmの隙間によってウェハ28から隔てられている。外部バッフル62は、上部パージプレナム54の外側周囲に沿って設けられており、0.50〜1.10mmの隙間によってウェハ28から隔てられている。図示するように、外部バッフル62は、内部バッフル60よりも幅が広く、内部バッフル60よりもウェハ28の上面30に近接している。これにより、バッフル60内を横切ってアイソレータ24の処理領域37に向かう方向にパージガスの流れをバイアスさせる圧力差を生じさせることによって、ウェハ28の処理部分の周囲に圧力誘発バリアを容易に形成することができる。
【0023】
第2のパージ流路64は、アイソレータ24の下部36内に配置されている。第2のパージ流路64はパージガスライン57によってパージガス供給源58に接続されている。第2のパージ流路64は、パージガスを下部パージプレナム66に供給するためのものである。上部パージプレナム54と同様に、下部パージプレナム66は、底面32の下方のウェハ28のエッジ領域33の位置又はその近傍からウェハ28のエッジの別の位置又はその近傍まで延びている。上部パージプレナム54と同様に、下部パージプレナム66は下部内部バッフル65と下部外部バッフル67との間に配置されている。下部パージプレナム66は、下部内部バッフル65及び下部外部バッフル67と共に、下部内部バッフル65及び底面32を横切る方向にパージガスの流れをバイアスさせる。
【0024】
ウェハチャック26は、上部34と下部36との間に位置するアイソレータ24のスロット内にウェハ28を配置し、ウェハ28を回転させるためにr−θ−z方向に移動させることができる。あるいは、アイソレータ24は、チャックをθ及びz方向に移動させながらr方向に移動させることができる。位置決め後、ウェハ28の各面と上部34又は下部36との間の距離は0.30〜0.80mmとなる。ウェハ28を挿入しない場合のスロット開口面積は124.20〜216.20mm2である。ウェハ28を挿入した場合のスロット開口面積は55.20〜147.20mm2である。排気スロットの幅は93.0mmである。
【0025】
ガスディフューザ80は処理室22内を延びており、処理室22に不活性ガスを流入させる。ガスディフューザ80は通常はシャワーヘッド型であり、ディフューザガスライン82を介してパージガス供給源58に接続されている。排気プレナム38は、排気装置39と共に、反応ガスが処理領域37から排出されることを防ぐ調整フローシステムの新たな別の部分である。排気装置39は排気プレナム38内で負の圧力を生成し、不活性ガスを副生成物及び凝縮物と共に処理領域37からの排出させ、ウェハ28の装置領域内にこれらのガスが移動することを防ぐ。
【0026】
ヒーター部材68は、ヒーター線70によってヒーター電源72に接続されている。ヒーター部材68はアイソレータ24を加熱し、アイソレータ24よりも少ない程度にウェハ28を加熱する。アイソレータ24を加熱することは、アイソレータ24を腐食させ、処理領域37内に汚染物質が取り込む可能性のあるガスの凝縮を防止するために望ましい。
【0027】
第1のノズル40と第2のノズル42を含むエッジ領域処理装置20のノズルはサファイア製である。サファイアは、基板処理に使用される化学物質と反応しないために有利である。これは、半導体基板の処理ではppmレベルの少量材料汚染分析が必要であり、その分析において基板に対する許容添加量が約1010原子/cm2未満であるために重要である。また、約0.1ミクロンを超える粒子の基板への添加量はゼロでなければならない。
【0028】
また、ノズルから層流のガスの流れを生じさせることが望ましい場合が多い。そのため、ノズルのアスペクト比を約10×長さと直径の比率に設定する必要がある。ノズルの内径は約0.254〜0.279mmであり、約2.50mmとなる一定のスムーズなノズルの内腔の長さを必要とする。
【0029】
第1のノズル40及び第2のノズル42を含むアイソレータ24のノズルは、ウェハ面に対してそれぞれ80゜以下及び45゜以下の角度をなしているが、薄膜のエッチング及び成膜を含む処理を容易にするためにウェハ面に対して異なる方向に有利に傾斜させることができる。
【0030】
装置20の好適な実施形態は、不活性周囲環境においてガス反応物質を点火燃焼させて得られる燃焼炎(点火装置は図示せず)を使用する。好適な実施形態では、ガス反応物質としては水素(H2)や三フッ化窒素(NF3)が挙げられる。ただし、その他の燃焼成分を使用することもできる。アルゴンは不活性環境を生じさせる。ただし、その他の不活性ガスを使用することもできる。
【0031】
動作時には、ウェハ28をウェハチャック26の中心に配置し、ウェハチャック26によって上部34と下部36との間のアイソレータ24のスロット内にウェハ28を配置する。ウェハチャック26によってウェハ28を回転させる。
【0032】
不活性ガス76を、パージガス供給源58から上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66に流入させる。不活性ガス76を、100sccm〜8,000sccmの速度で上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66に流入させる。また、不活性ガス76を、ガスディフューザ80を介して処理室22に流入させる。不活性ガス76を、500sccm〜10,000sccmの速度で処理室22に流入させる。
【0033】
次に、排気装置39を作動させ、排気プレナム38を介してガスや凝縮物を含む処理副生成物を吸引する。ヒーター電源72からヒーター部材68に電力を供給し、アイソレータ24を加熱する。次に、反応種74が第1のノズル40及び第2のノズル42から放出される。反応種(燃焼炎の場合にはガス)は、ノズルを介して375sccm〜475sccmの速度で流れる。ウェハ28が回転すると、反応種74はウェハ28のエッジ領域33上に接触する。反応種74はウェハ28のエッジ領域33内で薄膜又は汚染物質と反応し、反応副生成物78が生成する。
【0034】
第1の処理ノズル40及び第2の処理ノズル42の位置により、反応種74が供給され、ウェハ28の上部傾斜面、頂部、下部傾斜面が包み込まれる。
【0035】
方向ベクトルによって示すように(図5)、反応種74は、排気プレナム38及び排気装置39内にガスを引き込む圧力差と協働する不活性ガス76の流れによってアイソレータ24から排出されないようになっている。不活性ガス76は、上部パージプレナム54及び下部パージプレナム66内に加圧バリアを形成し、ウェハの処理エッジ領域を取り囲む。外部バッフル部材62と協働する内部バッフル部材60が、ウェハ28の処理領域に向かって不活性ガス76の流れにバイアスをかける。反応種74とウェハ28の表面の薄膜との反応により生成した反応副生成物78は、ウェハ28の処理領域から排気プレナム38内に送られる。そのため、有利なことに、反応種74及び反応副生成物78はウェハ28のエッジ領域に閉じ込められ、ウェハの装置にダメージを与える可能性のあるウェハ28のその他の領域内への移動を防止する。また、排気プレナム38により生じた圧力差によって、ウェハ28の中心部分から遠ざかるようにガスの流れがさらにバイアスされる。
【0036】
ウェハ28のエッジ領域33を処理した後、反応種の流れを停止させる。ウェハ28を一回転させるだけでウェハ全体のエッジ領域33の処理を行うことができる。あるいは、2回以上回転させて、成膜及びエッチングを含む2以上のプロセスを行うことができる。反応種の流れを停止させた後、処理室22からその他のガス及び凝縮物が十分に除去されるまで不活性ガス76の流れを維持する。その後、ヒーター部材68をオフにし、パージガス供給源58からの不活性ガス76の流れを停止させ、ウェハ28を除去し、処理を行う別のウェハと取り替える。
【0037】
装置20及び装置20を使用するための方法は、対象となる薄膜をエッチングするために好適である。薄膜としては、例えば、タンタル及び窒化タンタル、層間誘電体、裏面側ポリマー、フォトレジストエッジビーズが挙げられる。
【0038】
図6及び図7Aを参照すると、化学気相成長(CVD)又は物理気相成長(PVD)によって成膜される膜が薄膜90としてウェハ等の基板92上に延在している。薄膜90は、基板92の上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を横切って基板92の上面から延びている。上述した装置20は、基板92上の薄膜90を処理し、図7Bに示すような基板92の形状を得るために有利に使用することができる。
【0039】
図6及び図7Cを参照すると、基板を完全に覆う薄膜94は、上面から上部傾斜面、頂部、下部傾斜面を横切って基板92の底面に延びている。このような形状を有する薄膜としては、例えば熱SiO2(thermal SiO2)及びSi3N4が挙げられる。上述した装置20の実施形態は、基板92を完全に覆う薄膜94を処理し、図7Dに示すような基板92の形状を得るために使用することができる。
【0040】
図6及び図7Eを参照すると、裏面ポリマー薄膜96は、上部傾斜面の位置又は近傍から、頂部の少なくとも一部を横切って基板92の底面に延びている。上述した装置20の実施形態は、基板92上の裏面ポリマー薄膜96を処理し、図7Fに示すような基板92の形状を得るために使用することができる。
【0041】
次に、図8及び図9を参照すると、エッジ領域処理装置100の代替実施形態(「第1の代替装置」)は、前処理ノズル102及び後処理ノズル104を使用する。前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、第1の処理流路110及び第2の処理流路112を介してガスライン114に通じる酸素(O2)106及び水素(H2)108の前処理ガス供給源に接続されている。
【0042】
酸素106及び水素108を前処理及び後処理ガスとして示しているが、その他のガスも使用することができる。また、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、処理領域37内のウェハ28の上面30に燃焼炎を供給するためのものである。前処理の目的は、処理領域内の温度を上昇させて反応速度を上昇させること、及び/又はガス又は反応副生成物の凝縮を防ぐことである。また、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、例えば、SiO2を成膜させることにより化学的に上面30のエッジ領域を変性させ、選択性を高め、次いで第1のノズル40及び第2のノズル42によって実施されるエッチングに速やかに移行するために使用することができる。あるいは、前処理ノズル102及び後処理ノズル104は、その他の工程を向上させるために単独又は協働して作動させることができる。
【0043】
第1の代替装置は、前処理ノズル102及び後処理ノズル104から放出されるH2108及びO2106の燃焼炎を発火させること以外は実質的に上述したように作動させる。このようにして、ウェハ28が回転することにより、燃焼炎は処理領域37内で上面30にあたることになる。有利には、前処理及び後処理における凝縮物の生成を防止し、熱エネルギーを与えてウェハ28を処理するための反応速度を上昇させるようにウェハを加熱する。
【0044】
図10を参照すると、第2の代替実施形態のエッジ領域処理装置20(「第2の代替装置」)は、アイソレータ24の上部及び下部が逆になっている点を除けば、上述したウェハエッジ領域処理装置20と実質的に同一である。第2の代替装置150では、別の上部152が上面30を横切って延び、別の下部154が底面32を横切って延び、第1のノズル40及び第2のノズル42が下部154に配置されている。第2の代替装置は、エッジ近傍底面32のエッジ領域の処理を行う。第1のノズル40及び第2のノズル42は、反応種が上部傾斜面領域まで頂部を包み込むように配置するか、エッジ近傍底面及び/又は下部傾斜面のみが処理されるように配置することができる。第2の代替装置150の動作は実質的に上述した通りである。
【0045】
図11を参照すると、第3の代替実施形態のエッジ領域処理装置170(「第3の代替装置」)は、第1の下部ノズル174及び第2の下部ノズル176が内部に配置された第2の下部172を有する。第3の代替装置170の構成により、ウェハ28のエッジ近傍上面30及びエッジ近傍下面32を同時に処理することができる。上部34及び第2の下部172による処理は独立して行うことができ、エッジ近傍上面30をエッジ近傍底面32とは独立して処理する。
【0046】
図12を参照すると、第4の代替実施形態のエッジ領域処理装置200(「第4の代替装置」)は、上述した装置20に追加された先進的プロセス制御(APC)サブシステムを含む。APCサブシステムは、アイソレータ24の処理領域37内における圧力差を監視・制御し、反応種及び反応副生成物を含むガスが処理領域37からウェハ28のその他の領域に移動することを防ぐための排気流204に合わせた絞り弁202を含む。絞り弁202は、予め設定した圧力差にリアルタイムで調節するための絞り弁制御装置206に接続されている。このようにして、装置に対するガス荷重が変化したとしても一定の圧力差を維持する。あるいは、圧力差がガス荷重によって異なる場合にも、手動絞り弁を使用することができる。
【0047】
光学解析電子装置208が、反応工程から生じた光子放出を受けるためにアイソレータ24の上部34内に配置された光ファイバー結合器210に接続されている。光学解析電子装置208は、反応工程を観察・分析し、反応種の存在及び/又は反応種の相対濃度を決定するために使用する。この機能の別のモードでは、発光分光測定法を使用して化学反応が生じている領域に存在していることが観察されている反応種及び/又はエッチング生成物に基づいてエッチングの終点を推測することができる。FTIR法を使用してアイソレータ24から排出されるガス流出物を分析するために、FTIR制御電子機器214に接続されたFTIRガス解析装置212が排気流204に沿って設けられている。FTIRガス解析装置212及びFTIR制御電子機器214からの情報は、反応ガス輸送装置の健全性及び状態を決定し、終点を検出するために使用する。FTIR法では、排気流204は赤外線(IR)源及び検出器を含む光学セルを介して送られる。専用制御装置及びホストコンピュータ(図示せず)はガスセルを作動させる。市販のFTIR装置を使用することができる。
【0048】
図13を参照すると、第5の代替実施形態のエッジ領域処理装置300(「第5の代替装置」)は、拡張排気プレナム306の一方の面に配置されたノズルアセンブリ304を有する拡張アイソレータハウジング302を有する。ノズルアセンブリ304は、実質的に、図9において、図8に示すような下部36を有する第1の代替装置の上部34である。本実施形態では、ウェハ28は処理方向308に回転するため、ウェハ28は、拡張アイソレータハウジング302の残りの部分を通って回転を続ける前に、ノズルアセンブリ304内を通過する。第5の代替装置では、ノズルアセンブリ304が拡張アイソレータハウジング302の一方の面に配置されているため、拡張排気プレナム206によって反応種及び反応副生成物をさらに回収することができる。有利には、反応種又は反応副生成物がウェハ28の装置領域に移動することをさらに防止することができる。
【0049】
本実施形態の説明は単に例示を目的としたものであり、本発明の要旨から逸脱しない変形も本発明の範囲に含まれる。従って、そのような変形及び変更も本発明の範囲から逸脱するものとはみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好適な実施形態としての基板エッジ領域処理装置の概略側面図である。
【図2】図1に示す好適な実施形態の概略上面図である。
【図3】図1に示す好適な実施形態の概略断面側面図である。
【図4】基板の一部を切り取った、図1に示す好適な実施形態の下側半分の概略断面図である。
【図5】図1に示す好適な実施形態のアイソレータの一部の詳細図である。
【図6】図1に示す好適な実施形態を用いて処理される基板ウェハの断面図である。
【図7A】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7B】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7C】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7D】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7E】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図7F】前処理及び後処理された薄膜を有する基板ウェハの断面図である。
【図8】本発明の代替実施形態の概略断面図である。
【図9】図8に示す別の実施形態の概略上面図である。
【図10】本発明の第2の代替実施形態の概略断面側面図である。
【図11】本発明の第3の代替実施形態の概略断面側面図である。
【図12】追加の構成部材を有する、図1に示す本発明の第4の代替実施形態の概略断面図である。
【図13】本発明の第5の代替実施形態の概略上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持するチャックと、ノズルマニホールド及び排気プレナムを含み、前記ノズルマニホールドが前記基板のエッジの一部をカバーし、前記排気プレナムが前記基板から離れるように延びるアイソレータと、前記ノズルマニホールド内に形成され、前記基板のエッジ又はエッジ近傍から、前記基板のエッジ近傍表面の上方を通過して前記基板のエッジ又はエッジ近傍に延び、反応種の流れを前記基板のエッジ近傍に制限するプレナムを形成する1以上の溝と、前記ノズルマニホールド内に配置された1以上のノズルと、を含み、前記1以上のノズルの少なくとも1つが、前記チャックの上面に対して垂直な角度及び水平な角度の間の角度で前記アイソレータ内に配置されている基板エッジ処理装置。
【請求項2】
実質的に大気圧に維持され、基板を収容・処理する処理室と、前記処理室内に設けられ、前記基板を保持・回転させるチャックと、少なくとも部分的に前記処理室内に設けられ、排気部と、前記基板の表面の一部を隔離するアイソレータ部と、を有し、前記排気部が前記基板の前記表面から離れるように延びるハウジングと、前記アイソレータ部内に配置され、前記基板の前記表面に開口すると共に前記基板の前記表面に対向し、反応種が前記ハウジングの外部に出ることを防止する少なくとも1つのガスプレナムと、前記少なくとも1つのプレナムと連通し、不活性ガスを供給する不活性ガスラインと、前記ガスプレナムと前記排気プレナムとの間において前記アイソレータ部内に配置された複数のノズルと、を含み、前記1以上のノズルの少なくとも1つが、前記基板の前記表面に対して垂直な角度よりも小さく、前記基板の前記表面に対して平行な角度よりも大きな角度で前記基板の前記表面に向けて配置されている基板エッジ処理装置。
【請求項3】
ウェハの処理部分を隔離して処理するための基板ウェハエッジ処理方法であって、前記処理部分は前記ウェハのエッジから前記ウェハの上面を通って前記ウェハのエッジまで延び、前記方法は、前記ウェハの前記処理部分と前記ウェハの残りの部分との間に正の差圧バリアを形成し、前記ウェハの前記上面と平行な角度よりも大きく、前記ウェハの前記上面と垂直な角度よりも小さな角度で反応種を前記ウェハの前記処理部分に供給することを含む方法。
【請求項4】
請求項3において、前記ウェハをチャック上で回転させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項5】
請求項3において、ガス流を受けるための1以上のプレナムを前記処理部分のエッジ又はエッジ近傍に設け、前記処理部分と前記ウェハの残りの部分との間に圧力バリアを形成することをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項6】
請求項5において、不活性ガスを前記1以上のプレナムに流入させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項7】
請求項6において、前記不活性ガスがアルゴンである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項8】
請求項3において、実質的に大気圧で行われる基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項9】
請求項3において、燃焼炎を前記基板表面に供給する前に前記基板表面を予熱する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項10】
請求項3において、前記燃焼炎を供給する位置の近傍において前記基板表面を予熱する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項11】
請求項3において、実質的に非イオン化環境下で行われる基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項12】
請求項3において、前記反応種が水素と三フッ化窒素の燃焼炎によって形成される基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項13】
請求項12において、前記水素と前記三フッ化窒素のモル比が実質的に3:2である基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項14】
請求項3において、前記反応種が燃焼炎によって形成され、前記燃焼炎を前記ウェハのエッジ領域に供給する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項15】
請求項14において、前記ウェハを回転させ、前記ウェハ表面のエッジ部分をエッチングする基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項16】
請求項3において、処理される材料がSiO2である基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項17】
請求項3において、エッチングされる材料がSiである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項18】
請求項3において、エッチングされる材料がTaである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項19】
請求項3に記載の方法によって処理された基板ウェハ。
【請求項20】
請求項3において、前記ウェハの前記処理部分からガスを排出させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項21】
1以上のプレナム内のガスの加圧バリアによってウェハの処理対象領域を隔離し、前記1以上のプレナムを、前記ウェハのエッジ上の第1の位置又はその近傍から、前記ウェハの前記エッジ上の第2の位置又はその近傍に延出させ、前記加圧バリアの内部において前記ウェハの表面に反応種の流れを供給し、前記ウェハの前記処理対象領域への全てのガスの流れをバイアスさせるために前記加圧バリアの外部において不活性ガスを流動させることを含むウェハエッジ処理方法。
【請求項1】
基板を保持するチャックと、ノズルマニホールド及び排気プレナムを含み、前記ノズルマニホールドが前記基板のエッジの一部をカバーし、前記排気プレナムが前記基板から離れるように延びるアイソレータと、前記ノズルマニホールド内に形成され、前記基板のエッジ又はエッジ近傍から、前記基板のエッジ近傍表面の上方を通過して前記基板のエッジ又はエッジ近傍に延び、反応種の流れを前記基板のエッジ近傍に制限するプレナムを形成する1以上の溝と、前記ノズルマニホールド内に配置された1以上のノズルと、を含み、前記1以上のノズルの少なくとも1つが、前記チャックの上面に対して垂直な角度及び水平な角度の間の角度で前記アイソレータ内に配置されている基板エッジ処理装置。
【請求項2】
実質的に大気圧に維持され、基板を収容・処理する処理室と、前記処理室内に設けられ、前記基板を保持・回転させるチャックと、少なくとも部分的に前記処理室内に設けられ、排気部と、前記基板の表面の一部を隔離するアイソレータ部と、を有し、前記排気部が前記基板の前記表面から離れるように延びるハウジングと、前記アイソレータ部内に配置され、前記基板の前記表面に開口すると共に前記基板の前記表面に対向し、反応種が前記ハウジングの外部に出ることを防止する少なくとも1つのガスプレナムと、前記少なくとも1つのプレナムと連通し、不活性ガスを供給する不活性ガスラインと、前記ガスプレナムと前記排気プレナムとの間において前記アイソレータ部内に配置された複数のノズルと、を含み、前記1以上のノズルの少なくとも1つが、前記基板の前記表面に対して垂直な角度よりも小さく、前記基板の前記表面に対して平行な角度よりも大きな角度で前記基板の前記表面に向けて配置されている基板エッジ処理装置。
【請求項3】
ウェハの処理部分を隔離して処理するための基板ウェハエッジ処理方法であって、前記処理部分は前記ウェハのエッジから前記ウェハの上面を通って前記ウェハのエッジまで延び、前記方法は、前記ウェハの前記処理部分と前記ウェハの残りの部分との間に正の差圧バリアを形成し、前記ウェハの前記上面と平行な角度よりも大きく、前記ウェハの前記上面と垂直な角度よりも小さな角度で反応種を前記ウェハの前記処理部分に供給することを含む方法。
【請求項4】
請求項3において、前記ウェハをチャック上で回転させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項5】
請求項3において、ガス流を受けるための1以上のプレナムを前記処理部分のエッジ又はエッジ近傍に設け、前記処理部分と前記ウェハの残りの部分との間に圧力バリアを形成することをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項6】
請求項5において、不活性ガスを前記1以上のプレナムに流入させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項7】
請求項6において、前記不活性ガスがアルゴンである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項8】
請求項3において、実質的に大気圧で行われる基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項9】
請求項3において、燃焼炎を前記基板表面に供給する前に前記基板表面を予熱する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項10】
請求項3において、前記燃焼炎を供給する位置の近傍において前記基板表面を予熱する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項11】
請求項3において、実質的に非イオン化環境下で行われる基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項12】
請求項3において、前記反応種が水素と三フッ化窒素の燃焼炎によって形成される基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項13】
請求項12において、前記水素と前記三フッ化窒素のモル比が実質的に3:2である基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項14】
請求項3において、前記反応種が燃焼炎によって形成され、前記燃焼炎を前記ウェハのエッジ領域に供給する基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項15】
請求項14において、前記ウェハを回転させ、前記ウェハ表面のエッジ部分をエッチングする基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項16】
請求項3において、処理される材料がSiO2である基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項17】
請求項3において、エッチングされる材料がSiである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項18】
請求項3において、エッチングされる材料がTaである基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項19】
請求項3に記載の方法によって処理された基板ウェハ。
【請求項20】
請求項3において、前記ウェハの前記処理部分からガスを排出させることをさらに含む基板ウェハエッジ処理方法。
【請求項21】
1以上のプレナム内のガスの加圧バリアによってウェハの処理対象領域を隔離し、前記1以上のプレナムを、前記ウェハのエッジ上の第1の位置又はその近傍から、前記ウェハの前記エッジ上の第2の位置又はその近傍に延出させ、前記加圧バリアの内部において前記ウェハの表面に反応種の流れを供給し、前記ウェハの前記処理対象領域への全てのガスの流れをバイアスさせるために前記加圧バリアの外部において不活性ガスを流動させることを含むウェハエッジ処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−509336(P2009−509336A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531116(P2008−531116)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032110
【国際公開番号】WO2007/037825
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508083471)アクレテック ユーエスエイ インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ACCRETECH USA, INC.
【住所又は居所原語表記】2600 Telegraph Road, Suite 180, Bloomfield Hills, MI 48302, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032110
【国際公開番号】WO2007/037825
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(508083471)アクレテック ユーエスエイ インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ACCRETECH USA, INC.
【住所又は居所原語表記】2600 Telegraph Road, Suite 180, Bloomfield Hills, MI 48302, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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