説明

基板処理システム

【課題】基板を収容するための基板収容部と、上下方向に複数段設けられた各基板処理ユニットとの間で複数の基板を効率的に搬送することができ、このため単位時間あたりの基板の処理枚数を多くすることができる基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板処理ユニット40と基板収容部30との間で基板Wの搬送を行う第2の基板搬送装置60a、60bは、複数の基板処理ユニット40が区分けされる各グループに対応するよう上下方向に複数段設けられている。また、第1の基板搬送装置50により基板収容部30に搬送された、基板処理ユニット40により処理される前の基板W、および第2の基板搬送装置60aにより基板収容部30に搬送された、基板処理ユニット40aにより処理された基板Wを、それぞれ、基板収容部30における上下方向の別の位置に移し換えるための基板移し換え装置35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板に対して、処理液による液処理や処理ガスによるガス処理、あるいは洗浄処理や熱的処理等の処理を行うための基板処理システムに関し、とりわけ、単位時間あたりの基板の処理枚数を多くすることができる基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウエハ等の基板に対して、処理液による液処理や処理ガスによるガス処理、あるいは洗浄処理や熱的処理等の処理を行うための基板処理システムとして、様々な種類のものが知られている。このような基板処理システムには、基板の処理を行うための基板処理ユニットが複数設けられている。また、基板処理システムには、基板処理ユニットにより処理される前の基板、および基板処理ユニットにより処理された基板を一時的に収容するための基板収容部が設けられている。そして、基板搬送装置により、基板処理ユニットにより処理される前の基板を基板収容部から基板処理ユニットに搬送したり基板処理ユニットにより処理された基板を基板処理ユニットから基板収容部に搬送したりするようになっている。
【0003】
具体的には、例えば、特許文献1には、半導体ウエハ等の基板の洗浄を行うための基板処理ユニットが複数(具体的には4つ)設けられた基板処理システムが開示されている。特許文献1に開示される基板処理システムにおいて、基板処理ユニットは上下方向に2段となるよう配置されている。そして、1つの基板搬送装置が、基板収容部から上下2段の各基板処理ユニットにそれぞれ基板を交互に搬送するとともに、上下2段の各基板処理ユニットから基板収容部にそれぞれ基板を交互に搬送するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−273058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1に示すような基板処理システムにおいて、1つの基板搬送装置により複数段の各基板処理ユニットと基板収容部との間で基板の搬送を行ったときには、以下に示すような問題がある。すなわち、この基板搬送装置は、基板収容部から各基板処理ユニットにそれぞれ基板を交互に搬送するとともに、各基板処理ユニットから基板収容部にそれぞれ基板を交互に搬送することとなるため、多数の基板を基板処理システムで処理しようとする際に基板収容部と各基板処理ユニットとの間での基板の搬送時間により基板処理システムの処理能力が律速してしまうという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、上下方向に設けられた複数段の各基板処理ユニットに対応するよう、複数の基板搬送装置を上下方向に沿って設ける方法が考えられる。しかしながら、このような方法でも、基板収容部に複数の基板搬送装置が同時にアクセスすることができないため、基板収容部に対して一方の基板搬送装置が基板を搬送したりこの一の基板搬送装置が基板を取り出したりする際に、他方の基板搬送装置が無駄に待機してしまうこととなる。このように、複数の基板搬送装置が基板収容部にアクセスする際にこれらの基板搬送装置が渋滞してしまい、基板収容部と各基板処理ユニットとの間で複数の基板を効率的に搬送することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、基板を収容するための基板収容部と、上下方向に複数段設けられた各基板処理ユニットとの間で複数の基板を効率的に搬送することができ、このため単位時間あたりの基板の処理枚数を多くすることができる基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板処理システムは、各々が基板の処理を行う複数の基板処理ユニットであって、各基板処理ユニットが上下方向に沿って設けられた複数のグループに区分けされるような複数の基板処理ユニットと、複数の基板を上下方向に互いに離間させて一時的に収容するための基板収容部と、前記基板処理ユニットにより処理される前の基板を前記基板収容部に搬送するとともに前記基板処理ユニットにより処理された基板を前記基板収容部から取り出すための第1の基板搬送装置と、上下方向における前記各グループに対応するよう上下方向に複数段設けられた第2の基板搬送装置であって、対応する前記グループの基板処理ユニットと前記基板収容部との間で基板を搬送するための第2の基板搬送装置と、前記第1の基板搬送装置により前記基板収容部に搬送された、前記基板処理ユニットにより処理される前の基板、および前記第2の基板搬送装置により前記基板収容部に搬送された、前記基板処理ユニットにより処理された基板を、それぞれ、前記基板収容部における上下方向の別の位置に移し換えるための基板移し換え装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような基板処理システムにおいては、基板処理ユニットと基板収容部との間で基板の搬送を行う第2の基板搬送装置は、複数の基板処理ユニットが区分けされる各グループに対応するよう上下方向に複数段設けられており、基板収容部は、複数の基板を上下方向に互いに離間させて一時的に収容するようになっている。そして、基板移し換え装置は、第1の基板搬送装置により基板収容部に搬送された、基板処理ユニットにより処理される前の基板、および第2の基板搬送装置により基板収容部に搬送された、基板処理ユニットにより処理された基板を、それぞれ、基板収容部における上下方向の別の位置に移し換えることができるようになっている。このように、基板収容部の上下方向における複数の位置に基板を一時的に収容させることができるようにするとともに、基板移し換え装置により基板収容部に収容される基板を上下方向の別の位置に移し換えることができるようにすることによって、基板収容部の上下方向における各々の基板の収容位置と、各基板処理ユニットとの間で、一のグループの基板処理ユニットに対応する第2の基板搬送装置による基板の搬送を他の第2の基板搬送装置から独立して行うことができるようになる。このことにより、基板収容部と各基板処理ユニットとの間で基板を効率的に搬送することができるようになり、このため基板処理システムは単位時間あたりの基板の処理枚数を多くすることができる。
【0010】
本発明の基板処理システムにおいては、前記基板収容部は、前記第1の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第1の基板搬送装置により基板が取り出される第1の収容部分と、前記各第2の基板搬送装置に対応するよう複数設けられた第2の収容部分であって、対応する前記第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第2の基板搬送装置により基板が取り出される第2の収容部分と、を有し、前記基板移し換え装置は、前記第1の収容部分と前記第2の収容部分との間で基板の移し換えを行うようになっていることが好ましい。
【0011】
このような基板処理システムによれば、第1の基板搬送装置により基板収容部の第1の収容部分に搬送された基板は、基板移し換え装置により、処理されるべき基板処理ユニットに対応する第2の収容部分に移し換えられる。その後、処理されるべき基板処理ユニットに対応する第2の基板搬送装置により、第2の収容部分から基板処理ユニットに基板が搬送される。また、基板処理ユニットにより処理された基板は、この基板処理ユニットに対応する第2の基板搬送装置により基板収容部における対応する第2の収容部分に搬送され、この基板は、基板移し換え装置により第2の収容部分から第1の収容部分に移し換えられる。最後に、第1の基板搬送装置により、基板収容部の第1の収容部分から基板が取り出される。
【0012】
上述のような基板処理システムにおいては、前記基板収容部において、前記第1の収容部分は複数の第2の収容部分のうち2つの第2の収容部分の間に配置されていることがより好ましい。
【0013】
本発明の基板処理システムにおいては、前記基板収容部は、複数の第2の基板搬送装置のうち一の第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該一の第2の基板搬送装置により基板が取り出され、また、前記第1の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第1の基板搬送装置により基板が取り出される第1の収容部分と、前記複数の第2の基板搬送装置のうち前記一の第2の基板搬送装置以外の他の第2の基板搬送装置に対応するよう設けられた1または複数の第2の収容部分であって、対応する前記第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第2の基板搬送装置により基板が取り出される第2の収容部分と、を有し、前記基板移し換え装置は、前記第1の収容部分と前記第2の収容部分との間で基板の移し換えを行うようになっていてもよい。
【0014】
このような基板処理システムによれば、第1の基板搬送装置により基板収容部の第1の収容部分に搬送された基板のうち、一の第2の基板搬送装置に対応する基板処理ユニットにより処理されるべき基板は、この一の第2の基板搬送装置により基板収容部の第1の収容部分から基板処理ユニットに搬送される。一方、第1の基板搬送装置により基板収容部の第1の収容部分に搬送された基板のうち、一の第2の基板搬送装置以外の他の第2の基板搬送装置に対応する基板処理ユニットにより処理されるべき基板は、基板移し換え装置により、処理されるべき基板処理ユニットに対応する第2の収容部分に移し換えられる。その後、この基板は、対応する第2の基板搬送装置により、基板収容部の第2の収容部分から基板処理ユニットに搬送される。また、一の第2の基板搬送装置に対応する基板処理ユニットにより処理された基板は、対応する第2の基板搬送装置により基板収容部の第1の収容部分に搬送される。一方、一の第2の基板搬送装置以外の他の第2の基板搬送装置に対応する基板処理ユニットにより処理された基板は、対応する第2の基板搬送装置により基板収容部の第2の収容部分に搬送され、この基板は、基板移し換え装置により第2の収容部分から第1の収容部分に移し換えられる。最後に、第1の基板搬送装置により、基板収容部の第1の収容部分から基板が取り出される。
【0015】
本発明の基板処理システムにおいては、前記第1の基板搬送装置は、基板を保持するためのフォークを上下方向に沿って複数有し、前記基板収容部に基板を搬送したり前記基板収容部から基板を取り出したりする際に前記各フォークにより複数の基板を同時に搬送するようになっていることが好ましい。このことにより、第1の基板搬送装置により基板収容部に基板を搬送したり基板収容部から基板を取り出したりする動作をより効率的に行うことができるようになり、単位時間あたりの基板の処理枚数をより多くすることができる。
【0016】
本発明の基板処理システムにおいては、前記各グループにおいて、基板処理ユニットは上下方向に沿って複数段設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明の基板処理システムにおいては、前記基板収容部に対して、前記第1の基板搬送装置、前記第2の基板搬送装置、および前記基板移し換え装置は、それぞれ別の方向からアクセスするようになっていることが好ましい。
【0018】
本発明の基板処理システムにおいては、前記基板収容部に対して、前記第1の基板搬送装置、前記第2の基板搬送装置、および前記基板移し換え装置のうち少なくとも2つの装置が同時にアクセスすることができるようになっていることが好ましい。このことにより、一の装置が基板収容部にアクセスする間に他の装置が基板収容部にアクセスすることができず待機しなければならないといった事態が発生することを防止することができ、基板処理システムは単位時間あたりの基板の処理枚数をより多くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の基板処理システムによれば、基板を収容するための基板収容部と、上下方向に複数段設けられた各基板処理ユニットとの間で複数の基板を効率的に搬送することができ、このため単位時間あたりの基板の処理枚数を多くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態に係るウエハ処理システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態におけるウエハ処理システムの構成を示す概略側面図であり、図2は、図1に示すウエハ処理システムのA−Aライン矢視による上面図であり、図3は、図1に示すウエハ処理システムのB−Bライン矢視による上面図である。また、図4は、図2に示すウエハ処理システムのC−Cライン矢視による側面図であり、図5は、図4に示すウエハ収容部の各収容部分の具体的な構成を示す側断面図である。また、図6は、図2に示すウエハ処理システムのD−Dライン矢視による側面図であり、図7は、図1に示すウエハ処理システムにおける、ウエハが収容された状態でのフープの構成を示す側断面図であり、図8は、図7に示すフープのE−Eライン矢視による断面図である。また、図9は、図1に示すウエハ処理システムにおける第1のウエハ搬送装置の構成を示す斜視図である。
【0021】
図1等に示すように、本実施の形態のウエハ処理システム10は、半導体ウエハ(以下、ウエハWともいう)に洗浄処理や乾燥処理等の処理を行うための複数の(具体的には8つの)ウエハ処理ユニット(SPIN)40と、複数のウエハWを上下方向に互いに離間させて一時的に収容するためのウエハ収容部30と、複数枚(例えば25枚)のウエハWが上下方向に所定の間隔で水平状態に収容可能なフープ(FOUP;Front Opening Unified Pod、ウエハ格納用ポッド)20と、を備えている。ここで、ウエハ処理ユニット40は、上下方向に沿って設けられた2つのグループに区分けされており、上部のグループおよび下部のグループにはそれぞれウエハ処理ユニット40が4つずつ設けられている。より具体的には、図1乃至図3および図6(とりわけ図6)に示すように、上部のグループにおいて、ウエハ処理ユニット40aは上下2段かつ各段に2つずつとなるよう設けられている。同様に、下部のグループにおいて、ウエハ処理ユニット40bは上下2段かつ各段に2つずつとなるよう設けられている。
【0022】
また、ウエハ処理システム10には、第1のウエハ搬送装置50がフープ20とウエハ収容部30の間に設けられている。第1のウエハ搬送装置50は、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハWをフープ20からウエハ収容部30に搬送するとともに、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWをウエハ収容部30からフープ20に搬送するようになっている。また、図2、図3、図6等に示すように、ウエハ処理システム10には、上部のグループおよび下部のグループに対応するよう、上下方向に沿って2つの第2のウエハ搬送装置60a、60bがそれぞれ設けられている。より具体的には、上部の第2のウエハ搬送装置60aは上部のグループに対応するよう設けられており、この上部のグループの各ウエハ処理ユニット40aとウエハ収容部30との間でウエハWを搬送するようになっている。また、下部の第2のウエハ搬送装置60bは下部のグループに対応するよう設けられており、この下部のグループの各ウエハ処理ユニット40bとウエハ収容部30との間でウエハWを搬送するようになっている。
【0023】
また、ウエハ処理システム10において、ウエハ移し換え装置35がウエハ収容部30に隣接して設置されている。このウエハ移し換え装置35は、ウエハ収容部30に収容されたウエハWを、当該ウエハ収容部30における上下方向の別の位置に移し換えるようになっている。より具体的には、ウエハ移し換え装置35は、第1のウエハ搬送装置50によりウエハ収容部30に搬送された、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハW、および上部の第2のウエハ搬送装置60aによりウエハ収容部30に搬送された、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWを、それぞれ、ウエハ収容部30における上下方向の別の位置に移し換えるようになっている。
【0024】
以下、ウエハ処理システム10の各構成要素について詳述する。
【0025】
図1および図2に示すように、ウエハ処理システム10には、4つのフープ20が並列に載置される載置台25が設けられている。各フープ20の具体的な構成について図7および図8を用いて説明する。図7に示すように、フープ20は、複数枚、例えば25枚のウエハWを上下方向に互いに離間して積み重ねるよう収容することができるようになっている。具体的には、フープ20は、鉛直方向に延びる中空形状のハウジング21と、このハウジング21の内壁に取り付けられ、各ウエハWが水平状態で上面に載置されるような複数のウエハ載置部材22とを有している。ハウジング21は、図8に示すように横断面がU字形状となるよう一方の側面が開口しており、この開口部分にシャッター等からなる窓部開閉機構23が設けられている。窓部開閉機構23が開状態となったときに、フープ20に収容されたウエハWを取り出すことができるようになる。
【0026】
各ウエハ載置部材22は、図7に示すように、ハウジング21の内壁に水平方向に取り付けられた板状部材からなる。また、各ウエハ載置部材22は、図8に示すように、中央部分に開口22aが設けられるようなU字形状となっている。図8に示すように、各ウエハ載置部材22の開口22aはウエハWよりも小さくなっている。このため、ウエハWの周縁部分が各ウエハ載置部材22の上面に載置されることとなる。
【0027】
次に、ウエハ収容部30およびこのウエハ収容部30に隣接して設けられたウエハ移し換え装置35について図4および図5を用いて説明する。なお、図4は、図2に示すウエハ処理システム10のC−Cライン矢視による側面図であり、図5は、ウエハ収容部30の各収容部分の具体的な構成を示す側断面図である。
【0028】
前述のように、ウエハ収容部30は、複数のウエハWを上下方向に互いに離間させて一時的に収容するようになっている。より具体的には、図1および図4に示すように、ウエハ収容部30は、上部のグループのウエハ処理ユニット40aに対応するよう設けられた複数段(例えば、4段)の上部収容部分30aと、下部のグループのウエハ処理ユニット40bに対応するよう設けられた複数段(例えば、8段)の下部収容部分30bとを有している。4段の上部収容部分30aおよび8段の下部収容部分30bには、それぞれウエハWが1枚ずつ水平状態で収容されるようになっている。
【0029】
ここで、各上部収容部分30aおよび各下部収容部分30bの具体的な構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、ウエハ収容部30は、鉛直方向に延びる複数の支柱部材31を有している。具体的には、支柱部材31は4つ設けられており、各支柱部材31は水平面に沿った仮想の正方形または長方形の四隅の位置に配設されている。そして、これらの各支柱部材31の間に、上部収容部分30aおよび下部収容部分30bが形成されている。より詳細には、各支柱部材31をまたがるように、上下方向に沿って複数設けられた水平方向に延びる仕切り部材32が各支柱部材31に取り付けられており、各仕切り部材32には、それぞれ3本の同一の長さの突起部材33が各仕切り部材32の上面から上方に突出するよう設けられている(図5では3本の突起部材33のうち2本のみを表示している)。各々の突起部材33は、ウエハWの中心近傍における裏面を支持するようになっている。
【0030】
ウエハ収容部30は、水平面に沿った仮想の正方形または長方形の四隅の位置に配設された4つの支柱部材31と、各支柱部材31をまたがるよう水平方向に延びる複数の仕切り部材32とから構成されているので、このウエハ収容部30は少なくとも図2における左右方向および上方向にそれぞれ開口することとなる。このため、第1のウエハ搬送装置50、第2のウエハ搬送装置60a、60bおよびウエハ移し換え装置35は、ウエハ収容部30に対してそれぞれ別の方向からアクセスすることができる。すなわち、第1のウエハ搬送装置50はウエハ収容部30に対して図2における左方から、第2のウエハ搬送装置60a、60bはウエハ収容部30に対して図2における右方から、ウエハ移し換え装置35はウエハ収容部30に対して図2における上方から、それぞれアクセスすることとなる。なお、「ウエハ収容部30に対してアクセスすることができる」とは、各装置がウエハ収容部30にウエハWを搬送したり、ウエハ収容部30からウエハWを取り出したりすることができることをいう。
【0031】
さらに、ウエハ収容部30に対して、第1のウエハ搬送装置50、第2のウエハ搬送装置60a、60b、およびウエハ移し換え装置35のうち少なくとも2つの装置が同時にアクセスすることができるようになっている。このことにより、一の装置がウエハ収容部30にアクセスする間に他の装置がウエハ収容部30にアクセスすることができず待機しなければならないといった事態が発生することを防止することができ、ウエハ処理システム10は単位時間あたりのウエハWの処理枚数を多くすることができる。
【0032】
なお、図3および図4に示すように、ウエハ収容部30において、4段の上部収容部分30aの上方および下方、ならびに8段の下部収容部分30bの上方および下方には、それぞれウエハ反転機構34が設けられている。各ウエハ反転機構34は、第2のウエハ搬送装置60a、60bにより当該ウエハ反転機構34に送られたウエハWの表裏を反転させるようになっている。
【0033】
ウエハ移し換え装置35は、前述のように、ウエハ収容部30に収容されたウエハWを、当該ウエハ収容部30における上下方向の別の位置に移し換えるようになっている。より具体的には、ウエハ移し換え装置35は、上部収容部分30aと下部収容部分30bとの間でウエハWの移し換えを行うようになっている。
【0034】
より詳細には、図4に示すように、ウエハ移し換え装置35は、鉛直方向に延びる支柱部材36と、支柱部材36に沿って昇降自在となっているフォーク支持部材37とを有している。また、フォーク支持部材37により、ウエハWを保持するための上下一対のフォーク38a、38bが支持されている。各フォーク38a、38bは、それぞれウエハWを裏面から(下方から)保持するようになっている。なお、一対のフォーク38a、38bのうち上段のフォーク38aは上部収容部分30aから下部収容部分30bにウエハWを搬送する際に用いられ、下段のフォーク38bは下部収容部分30bから上部収容部分30aにウエハWを搬送する際に用いられるようになっている。そして、一対のフォーク38a、38bのうちいずれか一方のフォークがウエハ収容部30に向かって進出することにより、このフォークはウエハ収容部30の上部収容部分30aまたは下部収容部分30bにウエハWを収容したり上部収容部分30aまたは下部収容部分30bからウエハWを取り出したりすることができるようになっている。
【0035】
上部のグループのウエハ処理ユニット40aに対応するよう設けられた上部の第2のウエハ搬送装置60aは、上部のグループの上下2段のウエハ処理ユニット40aとウエハ収容部30における上部収容部分30aとの間でウエハWを搬送するようになっている。また、下部のグループのウエハ処理ユニット40bに対応するよう設けられた下部の第2のウエハ搬送装置60bは、下部のグループの上下2段のウエハ処理ユニット40bとウエハ収容部30における下部収容部分30bとの間でウエハWを搬送するようになっている。また、第1のウエハ搬送装置50は、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハWをフープ20からウエハ収容部30の下部収容部分30bに搬送するとともに、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWをウエハ収容部30の下部収容部分30bからフープ20に搬送するようになっている。
【0036】
次に、第1のウエハ搬送装置50および第2のウエハ搬送装置60a、60bの具体的な構成について説明する。まず、第1のウエハ搬送装置50の構成について図1乃至図3および図9を用いて説明する。
【0037】
第1のウエハ搬送装置50は、図3におけるY方向に延びるレール56上を走行する基体部材51と、この基体部材51の上面に設けられ、Z方向に伸縮することができる垂直移動機構52とを有している。この垂直移動機構52の上部には基台55が設けられており、当該基台55にフォーク支持部材53が取り付けられている。そして、このフォーク支持部材53により、ウエハWを保持するための一対のフォーク54a、54bが支持されている。
【0038】
また、垂直移動機構52は、図9に示すように基体部材51に対してθ方向に回転することができるようになっている。すなわち、基台55は、Y方向、Z方向に移動することができるとともに、θ方向に回転することができるよう構成されている。そして、一対のフォーク54a、54bが基台55の上方で重ねて配置されている。各フォーク54a、54bは、それぞれウエハWを裏面から(下方から)保持するようになっている。フォーク支持部材53は、一対のフォーク54a、54bの基端部に各々取り付けられた水平移動機構53a、53bを有しており、この水平移動機構53a、53bはそれぞれフォーク54a、54bを図9のX方向に進退移動させるようになっている。
【0039】
第2のウエハ搬送装置60a、60bもそれぞれ第1のウエハ搬送装置50と略同一の構成となっている。より具体的には、第2のウエハ搬送装置60a、60bに設けられた基台65a、65bは、それぞれθ方向に回転することができるようになっている。また、各基台65a、65bにはそれぞれフォーク支持部材63a、63bが設けられており、フォーク支持部材63a、63bは、それぞれ上下一対のフォーク64a、64bを支持するようになっている(図6参照)。上下一対の各フォーク64a、64bは、それぞれウエハWを裏面から(下方から)保持するようになっている。また、上下一対の各フォーク64a、64bは、フォーク支持部材63a、63bから図2や図3の矢印方向に進退移動することができるようになっている。なお、一対のフォーク64a、64bのうち上段のフォーク64a、64bはウエハ処理ユニット40a、40bから処理済のウエハWをウエハ収容部30に搬送する際に用いられ、下段のフォーク64a、64bはウエハ収容部30からウエハ処理ユニット40a、40bに処理前のウエハWを搬送する際に用いられるようになっている。
【0040】
各ウエハ処理ユニット40は、処理チャンバー内においてウエハWを1枚ずつ処理するようなスピン式のものからなり、処理チャンバー内でウエハWを回転させながら当該ウエハWに対して処理液による液処理や処理ガスによるガス処理、あるいは洗浄処理や熱的処理等の処理を行うようになっている。
【0041】
次に、このような構成からなるウエハ処理システム10の動作について説明する。
【0042】
最初に、処理されるべきウエハWを例えば25枚収容したフープ20が載置台25上に載置される。次に、フープ20に設けられた窓部開閉機構23が開かれ、このフープ20内のウエハWが取り出し可能となる。そして、このフープ20に対して第1のウエハ搬送装置50が接近し、この第1のウエハ搬送装置50の一対のフォーク54a、54bがそれぞれフープ20内のウエハWを持ち上げて保持する。この際に、一対のフォーク54a、54bにより、フープ20内の上下方向に隣り合う2枚のウエハWが同時に取り出される。
【0043】
次に、第1のウエハ搬送装置50の各フォーク54a、54bにそれぞれ保持された2枚のウエハWはウエハ収容部30の下部収容部分30bに同時に送られ、この下部収容部分30bに一時的に収容される。より詳細には、まず、第1のウエハ搬送装置50がウエハ収容部30に接近し、各フォーク54a、54bが同期して前進水平移動を行い、さらに基台55が下方に移動することにより、各フォーク54a、54bからウエハ収容部30の下部収容部分30bの各突起部材33上にウエハWが移載される。なお、この際に、2枚のウエハWは、8段の下部収容部分30bのうち下4段の下部収容部分30bに収容される。
【0044】
ここで、ウエハ収容部30の下部収容部分30bに収容されたウエハWを下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理する場合には、下部の第2のウエハ搬送装置60bがウエハ収容部30に接近し、この第2のウエハ搬送装置60bの上下一対のフォーク64bのうち下段のフォーク64bがウエハ収容部30の下部収容部分30bの各突起部材33上に載置されたウエハWを持ち上げて保持する。そして、このフォーク64bがウエハWを保持した状態で下部の第2のウエハ搬送装置60bが下部のグループのウエハ処理ユニット40bに接近し、フォーク64bによって保持されたウエハWがウエハ処理ユニット40b内に持ち込まれる。その後、ウエハ処理ユニット40bの処理チャンバー内において、ウエハWに対する処理が行われる。
【0045】
一方、ウエハ収容部30の下部収容部分30bに収容されたウエハWを上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理する場合には、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち下段のフォーク38bがウエハ収容部30の下部収容部分30bに進出し、下部収容部分30bにあるウエハWをフォーク38bが裏面から保持する。そして、フォーク38bが下部収容部分30bから退避し、フォーク支持部材37が支柱部材36に沿って上昇する。そして、ウエハWを保持したフォーク38bがウエハ収容部30の上部収容部分30aに進出し、フォーク38bからウエハ収容部30の上部収容部分30aの各突起部材33上にウエハWが移載される。なお、この際に、ウエハWは、4段の上部収容部分30aのうち下2段の上部収容部分30aに収容される。
【0046】
その後、上部の第2のウエハ搬送装置60aがウエハ収容部30に接近し、この第2のウエハ搬送装置60aの上下一対のフォーク64aのうち下段のフォーク64aがウエハ収容部30の上部収容部分30aの各突起部材33上に載置されたウエハWを持ち上げて保持する。そして、このフォーク64aがウエハWを保持した状態で上部の第2のウエハ搬送装置60aが上部のグループのウエハ処理ユニット40aに接近し、フォーク64aによって保持されたウエハWがウエハ処理ユニット40a内に持ち込まれる。その後、ウエハ処理ユニット40aの処理チャンバー内において、ウエハWに対する処理が行われる。
【0047】
下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理されたウエハWは、下部の第2のウエハ搬送装置60bの上下一対のフォーク64bのうち上段のフォーク64bにより、下部のグループのウエハ処理ユニット40bからウエハ収容部30の下部収容部分30bに搬送される。この際に、ウエハWは、8段の下部収容部分30bのうち上4段の下部収容部分30bに収容される。
【0048】
一方、上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理されたウエハWは、上部の第2のウエハ搬送装置60aの上下一対のフォーク64aのうち上段のフォーク64aにより、上部のグループのウエハ処理ユニット40aからウエハ収容部30の上部収容部分30aに搬送される。この際に、ウエハWは、4段の上部収容部分30aのうち上2段の上部収容部分30aに収容される。その後、上2段の上部収容部分30aの両方にそれぞれウエハWが収容されたら、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち上段のフォーク38aがウエハ収容部30の上2段の上部収容部分30aに進出し、上部収容部分30aにある2枚のウエハWをフォーク38aが裏面から保持する。そして、フォーク38aが上部収容部分30aから退避し、フォーク支持部材37が支柱部材36に沿って下降する。その後、ウエハWを保持したフォーク38aがウエハ収容部30の下部収容部分30bに進出し、フォーク38aからウエハ収容部30の下部収容部分30bの各突起部材33上にウエハWが移載される。この際に、2枚のウエハWは、8段の下部収容部分30bのうち上4段の下部収容部分30bに収容される。
【0049】
なお、ウエハ収容部30の上部収容部分30aおよび下部収容部分30bにおいて、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWは、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハWよりも上方に配置されるので、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWが処理される前のウエハWにより汚染させられることを抑制することができる。
【0050】
その後、ウエハ収容部30の下部収容部分30bにあるウエハWは、第1のウエハ搬送装置50によって取り出され、再びフープ20内に送られる。具体的には、第1のウエハ搬送装置50がウエハ収容部30に接近し、この第1のウエハ搬送装置50の一対のフォーク54a、54bがそれぞれウエハ収容部30の下部収容部分30b内のウエハWを持ち上げて保持する。その後、第1のウエハ搬送装置50の各フォーク54a、54bにそれぞれ保持された2枚のウエハWがフープ20に同時に移載される。
【0051】
このようにして、ウエハ処理システム10におけるウエハWに対する一連の処理が終了する。
【0052】
以上のように本実施の形態のウエハ処理システム10によれば、ウエハ処理ユニット40とウエハ収容部30との間でウエハWの搬送を行う第2のウエハ搬送装置60a、60bは、複数のウエハ処理ユニット40が区分けされる各グループ(具体的には、上段のグループおよび下段のグループ)に対応するよう上下方向に複数段(例えば2段)設けられており、ウエハ収容部30は、複数のウエハWを上下方向に互いに離間させて一時的に収容するようになっている。そして、ウエハ移し換え装置35は、第1のウエハ搬送装置50によりウエハ収容部30に搬送された、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハW、および上部の第2のウエハ搬送装置60aによりウエハ収容部30に搬送された、上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理されたウエハWを、それぞれ、ウエハ収容部30における上下方向の別の位置に移し換えることができるようになっている。
【0053】
このように、ウエハ収容部30の上下方向における複数の位置(具体的には、上部収容部分30aおよび下部収容部分30b)にウエハWを一時的に収容させることができるようにするとともに、ウエハ移し換え装置35によりウエハ収容部30に収容されるウエハWを上下方向の別の位置に移し換えることができるようにすることによって、ウエハ収容部30の上下方向における各々のウエハWの収容位置(具体的には、上部収容部分30aおよび下部収容部分30b)と、上下方向に複数段設けられた各ウエハ処理ユニット40a、40bとの間で、一のグループのウエハ処理ユニット40a、40bに対応する第2のウエハ搬送装置60a、60bによるウエハWの搬送を他の第2のウエハ搬送装置60a、60bから独立して行うことができるようになる。
【0054】
このことにより、ウエハ収容部30と各ウエハ処理ユニット40a、40bとの間でウエハWを効率的に搬送することができるようになり、このためウエハ処理システム10は単位時間あたりのウエハWの処理枚数を多くすることができる。
【0055】
また、本実施の形態のウエハ処理システム10において、ウエハ収容部30は、上部収容部分30aと下部収容部分30bとを有しており、下部収容部分30bは、上下2段の第2のウエハ搬送装置60a、60bのうち下部の第2のウエハ搬送装置60bによりウエハWが搬送されるとともに当該下部の第2のウエハ搬送装置60bによりウエハWが取り出され、また、第1のウエハ搬送装置50によりウエハWが搬送されるとともに当該第1のウエハ搬送装置50によりウエハWが取り出されるようになっている。一方、上部収容部分30aは、上下2段の第2のウエハ搬送装置60a、60bのうち上部の第2のウエハ搬送装置60aに対応するよう設けられており、この第2のウエハ搬送装置60aによりウエハWが搬送されるとともに当該第2のウエハ搬送装置60aによりウエハWが取り出されるようになっている。そして、ウエハ移し換え装置35は、下部収容部分30bと上部収容部分30aとの間でウエハWの移し換えを行うようになっている。
【0056】
このようなウエハ処理システム10によれば、第1のウエハ搬送装置50によりウエハ収容部30の下部収容部分30bに搬送されたウエハWのうち、下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理すべきウエハWは、対応する下部の第2のウエハ搬送装置60bによりウエハ収容部30の下部収容部分30bから下部のグループのウエハ処理ユニット40bに搬送され、一方、上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理すべきウエハWは、ウエハ移し換え装置35によりウエハ収容部30における下部収容部分30bから上部収容部分30aに移し換えられた後、対応する上部の第2のウエハ搬送装置60aによりウエハ収容部30の上部収容部分30aから上部のグループのウエハ処理ユニット40aに搬送されることとなる。そして、下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理されたウエハWは、対応する下部の第2のウエハ搬送装置60bにより下部のグループのウエハ処理ユニット40bからウエハ収容部30の下部収容部分30bに搬送される。一方、上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理されたウエハWは、対応する上部の第2のウエハ搬送装置60aにより上部のグループのウエハ処理ユニット40aからウエハ収容部30の上部収容部分30aに搬送され、その後、ウエハ移し換え装置35によりウエハ収容部30における上部収容部分30aから下部収容部分30bに移し換えられる。最後に、第1のウエハ搬送装置50により、ウエハ収容部30の下部収容部分30bからウエハWが取り出される。
【0057】
また、第1のウエハ搬送装置50は、ウエハWを保持するためのフォーク54a、54bを上下方向に沿って複数(具体的には、例えば2本)有し、ウエハ収容部30にウエハWを搬送したりウエハ収容部30からウエハWを取り出したりする際に各フォーク54a、54bにより複数(例えば、2枚)のウエハWを同時に搬送するようになっている。このことにより、第1のウエハ搬送装置50によりウエハ収容部30にウエハWを搬送したりウエハ収容部30からウエハWを取り出したりする動作をより効率的に行うことができるようになり、単位時間あたりのウエハWの処理枚数をより多くすることができる。
【0058】
なお、本実施の形態によるウエハ処理システム10は、上記の態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。例えば、複数のウエハ処理ユニット40が区分けされるグループは、図6等に示すような上下2段となるよう設けられたものに限定されることはなく、上下方向における3段以上のグループにウエハ処理ユニット40が区分けされるようになっていてもよい。この場合、第2のウエハ搬送装置は、上下方向に3段以上設けられた各グループに対応するよう、上下方向に複数段(3段以上)設けられることとなる。また、この場合、ウエハ収容部30は、図1に示すような上部収容部分30aおよび下部収容部分30bを有するものの代わりに、上下方向に3段以上設けられた各段のグループに対応するよう、3つ以上の複数の収容部分が設けられることとなり、各々の収容部分と各段のグループのウエハ処理ユニットとの間で対応するウエハ搬送装置によりウエハWの搬送が行われることとなる。
【0059】
以下、ウエハ収容部の他の態様について、図10を用いて説明する。図10は、本実施の形態におけるウエハ処理システムの他の構成を示す概略側面図である。なお、図10に示すようなウエハ処理システム10aにおいて、図1乃至図9に示すウエハ処理システム10と略同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図10に示すようなウエハ処理システム10aには、図1乃至図9に示すようなウエハ収容部30の代わりに以下に詳述するウエハ収容部70が設けられている。ウエハ収容部70も、図1に示すようなウエハ収容部30と同様に、複数のウエハWを上下方向に互いに離間させて一時的に収容するようになっているが、このウエハ収容部70は、上部のグループのウエハ処理ユニット40aに対応するよう設けられた複数段(例えば、2段)の上部収容部分70aと、下部のグループのウエハ処理ユニット40bに対応するよう設けられた複数段(例えば、2段)の下部収容部分70cと、上部収容部分70aと下部収容部分70cとの間の位置に設けられた複数段(例えば、2段)の中部収容部分70bとを有している。2段の上部収容部分70a、2段の中部収容部分70bおよび2段の下部収容部分70cには、それぞれウエハWが1枚ずつ水平状態で収容されるようになっている。
【0061】
また、図10に示すように、ウエハ収容部70において、2段の上部収容部分70aの上方および下方、ならびに2段の下部収容部分70cの上方および下方には、それぞれウエハ反転機構74が設けられている。各ウエハ反転機構74は、第2のウエハ搬送装置60a、60bにより当該ウエハ反転機構74に送られたウエハWの表裏を反転させるようになっている。
【0062】
図10に示すようなウエハ処理システム10aにおいて、ウエハ移し換え装置35は、図1乃至図9に示すようなウエハ処理システム10と同様に、ウエハ収容部70に収容されたウエハWを、当該ウエハ収容部70における上下方向の別の位置に移し換えるようになっている。より具体的には、ウエハ移し換え装置35は、上部収容部分70a、中部収容部分70bおよび下部収容部分70cの間でウエハWの移し換えを行うようになっている。
【0063】
上部のグループのウエハ処理ユニット40aに対応するよう設けられた上部の第2のウエハ搬送装置60aは、上部のグループのウエハ処理ユニット40aとウエハ収容部70における上部収容部分70aとの間でウエハWを搬送するようになっている。また、下部のグループのウエハ処理ユニット40bに対応するよう設けられた下部の第2のウエハ搬送装置60bは、下部のグループのウエハ処理ユニット40bとウエハ収容部70における下部収容部分70cとの間でウエハWを搬送するようになっている。また、第1のウエハ搬送装置50は、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハWをフープ20からウエハ収容部70の中部収容部分70bに搬送するとともに、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWをウエハ収容部70の中部収容部分70bからフープ20に搬送するようになっている。
【0064】
次に、図10に示すような構成からなるウエハ処理システム10aの動作について説明する。なお、図10に示すようなウエハ処理システム10aの動作の説明において、図1乃至図9に示すウエハ処理システム10と同じ動作についてはその説明を省略する。
【0065】
まず、第1のウエハ搬送装置50により、フープ20からウエハ収容部70の中部収容部分70bにウエハWを搬送する。この際に、ウエハWは、2段の中部収容部分70bのうち下段の中部収容部分70bに収容される。
【0066】
ここで、ウエハ収容部70の中部収容部分70bに収容されたウエハWを下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理する場合には、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち下段のフォーク38bにより中部収容部分70bから下部収容部分70cにウエハWが移し換えられる。なお、この際に、ウエハWは、2段の下部収容部分70cのうち下段の下部収容部分70cに収容される。その後、下部の第2のウエハ搬送装置60bがウエハ収容部70に接近し、この第2のウエハ搬送装置60bの上下一対のフォーク64bのうち下段のフォーク64bによりウエハ収容部70の下部収容部分70cから下部のグループのウエハ処理ユニット40bにウエハWが搬送される。そして、ウエハ処理ユニット40bの処理チャンバー内において、ウエハWに対する処理が行われる。
【0067】
一方、ウエハ収容部70の中部収容部分70bに収容されたウエハWを上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理する場合には、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち下段のフォーク38bにより中部収容部分70bから上部収容部分70aにウエハWが移し換えられる。なお、この際に、ウエハWは、2段の上部収容部分70aのうち下部の上部収容部分70aに収容される。その後、上部の第2のウエハ搬送装置60aがウエハ収容部70に接近し、この第2のウエハ搬送装置60aの上下一対のフォーク64aのうち下段のフォーク64aによりウエハ収容部70の上部収容部分70aから上部のグループのウエハ処理ユニット40aにウエハWが搬送される。そして、ウエハ処理ユニット40aの処理チャンバー内において、ウエハWに対する処理が行われる。
【0068】
下部のグループのウエハ処理ユニット40bにより処理されたウエハWは、下部の第2のウエハ搬送装置60bの上下一対のフォーク64bのうち上段のフォーク64bにより、下部のグループのウエハ処理ユニット40bからウエハ収容部70の下部収容部分70cに搬送される。この際に、ウエハWは、2段の下部収容部分70cのうち上段の下部収容部分70cに収容される。その後、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち上段のフォーク38aにより、下部収容部分70cから中部収容部分70bにウエハWが移し換えられる。この際に、ウエハWは、2段の中部収容部分70bのうち上段の中部収容部分70bに収容される。
【0069】
一方、上部のグループのウエハ処理ユニット40aにより処理されたウエハWは、上部の第2のウエハ搬送装置60aの上下一対のフォーク64aのうち上段のフォーク64aにより、上部のグループのウエハ処理ユニット40aからウエハ収容部70の上部収容部分70aに搬送される。この際に、ウエハWは、2段の上部収容部分70aのうち上段の上部収容部分70aに収容される。その後、ウエハ移し換え装置35の上下一対のフォーク38a、38bのうち上段のフォーク38aにより、上部収容部分70aから中部収容部分70bにウエハWが移し換えられる。この際に、ウエハWは、2段の中部収容部分70bのうち上段の中部収容部分70bに収容される。
【0070】
なお、ウエハ収容部70の上部収容部分70a、中部収容部分70bおよび下部収容部分70cにおいて、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWは、ウエハ処理ユニット40により処理される前のウエハWよりも上方に配置されるので、ウエハ処理ユニット40により処理されたウエハWが処理される前のウエハWにより汚染させられることを抑制することができる。
【0071】
その後、ウエハ収容部70の中部収容部分70bにあるウエハWは、第1のウエハ搬送装置50によって取り出され、再びフープ20内に送られる。
【0072】
このようにして、ウエハ処理システム10aにおけるウエハWに対する一連の処理が終了する。
【0073】
以上のように、図10に示すような構成のウエハ処理システム10aにおいて、ウエハ収容部70は、上部収容部分70a、中部収容部分70bおよび下部収容部分70cを有しており、中部収容部分70bは、第1のウエハ搬送装置50によりウエハWが搬送されるとともに当該第1のウエハ搬送装置50によりウエハWが取り出されるようになっている。また、上部収容部分70aおよび下部収容部分70cは、それぞれ、上下2段の各々の第2のウエハ搬送装置60a、60bに対応するよう設けられており、対応する各々の第2のウエハ搬送装置60a、60bによりウエハWが搬送されるとともに当該第2のウエハ搬送装置60a、60bによりウエハWが取り出されるようになっている。そして、ウエハ移し換え装置35は、上部収容部分70a、中部収容部分70bおよび下部収容部分70cの間でウエハWの移し換えを行うようになっている。なお、ウエハ収容部70において、中部収容部分70bは上部収容部分70aと下部収容部分70cとの間に配置されている。
【0074】
図10に示すようなウエハ処理システム10aでも、図1乃至図9に示すようなウエハ処理システム10と同様に、ウエハ収容部70の上下方向における複数の位置(具体的には、上部収容部分70a、中部収容部分70bおよび下部収容部分70c)にウエハWを一時的に収容させることができるようにするとともに、ウエハ移し換え装置35によりウエハ収容部70に収容されるウエハWを上下方向の別の位置に移し換えることができるようにすることによって、ウエハ収容部70の上下方向における各々のウエハWの収容位置(具体的には、上部収容部分70aおよび下部収容部分70c)と、上下方向に複数段設けられた各グループのウエハ処理ユニット40a、40bとの間で、一のグループのウエハ処理ユニット40a、40bに対応する第2のウエハ搬送装置60a、60bによるウエハWの搬送を他の第2のウエハ搬送装置60a、60bから独立して行うことができるようになる。さらに、第2のウエハ搬送装置60a、60bによるウエハ収容部70へのアクセスとは独立して、第1のウエハ搬送装置50がウエハ収容部70の中部収容部分70bにアクセスすることができるようになる。
【0075】
このことにより、ウエハ収容部70と各ウエハ処理ユニット40a、40bとの間でウエハWを効率的に搬送することができるとともに、ウエハ収容部70への第1のウエハ搬送装置50のアクセスをスムーズに行うことができるようになり、このためウエハ処理システム10aは単位時間あたりのウエハWの処理枚数を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一の実施の形態におけるウエハ処理システムの構成を示す概略側面図である。
【図2】図1に示すウエハ処理システムのA−Aライン矢視による上面図である。
【図3】図1に示すウエハ処理システムのB−Bライン矢視による上面図である。
【図4】図2に示すウエハ処理システムのC−Cライン矢視による側面図である。
【図5】図4に示すウエハ収容部の各収容部分の具体的な構成を示す側断面図である。
【図6】図2に示すウエハ処理システムのD−Dライン矢視による側面図である。
【図7】図1に示すウエハ処理システムにおける、ウエハが収容された状態でのフープの構成を示す側断面図である。
【図8】図7に示すフープのE−Eライン矢視による断面図である。
【図9】図1に示すウエハ処理システムにおける第1のウエハ搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の一の実施の形態におけるウエハ処理システムの他の構成を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0077】
10、10a ウエハ処理システム
20 フープ
21 ハウジング
22 ウエハ載置部材
22a 開口
23 窓部開閉機構
25 載置台
30 ウエハ収容部
30a 上部収容部分
30b 下部収容部分
31 支柱部材
32 仕切り部材
33 突起部材
34 ウエハ反転機構
35 ウエハ移し換え装置
36 支柱部材
37 フォーク支持部材
38a、38b フォーク
40 ウエハ処理ユニット
40a 上部のグループのウエハ処理ユニット
40b 下部のグループのウエハ処理ユニット
50 第1のウエハ搬送装置
51 基体部材
52 垂直移動機構
53 フォーク支持部材
53a、53b 水平移動機構
54a、54b フォーク
55 基台
56 レール
60a、60b 第2のウエハ搬送装置
63a、63b フォーク支持部材
64a、64b フォーク
65a、65b 基台
70 ウエハ収容部
70a 上部収容部分
70b 中部収容部分
70c 下部収容部分
74 ウエハ反転機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が基板の処理を行う複数の基板処理ユニットであって、各基板処理ユニットが上下方向に沿って設けられた複数のグループに区分けされるような複数の基板処理ユニットと、
複数の基板を上下方向に互いに離間させて一時的に収容するための基板収容部と、
前記基板処理ユニットにより処理される前の基板を前記基板収容部に搬送するとともに前記基板処理ユニットにより処理された基板を前記基板収容部から取り出すための第1の基板搬送装置と、
上下方向における前記各グループに対応するよう上下方向に複数段設けられた第2の基板搬送装置であって、対応する前記グループの基板処理ユニットと前記基板収容部との間で基板を搬送するための第2の基板搬送装置と、
前記第1の基板搬送装置により前記基板収容部に搬送された、前記基板処理ユニットにより処理される前の基板、および前記第2の基板搬送装置により前記基板収容部に搬送された、前記基板処理ユニットにより処理された基板を、それぞれ、前記基板収容部における上下方向の別の位置に移し換えるための基板移し換え装置と、
を備えたことを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
前記基板収容部は、
前記第1の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第1の基板搬送装置により基板が取り出される第1の収容部分と、
前記各第2の基板搬送装置に対応するよう複数設けられた第2の収容部分であって、対応する前記第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第2の基板搬送装置により基板が取り出される第2の収容部分と、
を有し、
前記基板移し換え装置は、前記第1の収容部分と前記第2の収容部分との間で基板の移し換えを行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記基板収容部において、前記第1の収容部分は複数の第2の収容部分のうち2つの第2の収容部分の間に配置されていることを特徴とする請求項2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記基板収容部は、
複数の第2の基板搬送装置のうち一の第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該一の第2の基板搬送装置により基板が取り出され、また、前記第1の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第1の基板搬送装置により基板が取り出される第1の収容部分と、
前記複数の第2の基板搬送装置のうち前記一の第2の基板搬送装置以外の他の第2の基板搬送装置に対応するよう設けられた1または複数の第2の収容部分であって、対応する前記第2の基板搬送装置により基板が搬送されるとともに当該第2の基板搬送装置により基板が取り出される第2の収容部分と、
を有し、
前記基板移し換え装置は、前記第1の収容部分と前記第2の収容部分との間で基板の移し換えを行うようになっていることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記第1の基板搬送装置は、基板を保持するためのフォークを上下方向に沿って複数有し、前記基板収容部に基板を搬送したり前記基板収容部から基板を取り出したりする際に前記各フォークにより複数の基板を同時に搬送するようになっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記各グループにおいて、基板処理ユニットは上下方向に沿って複数段設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項7】
前記基板収容部に対して、前記第1の基板搬送装置、前記第2の基板搬送装置、および前記基板移し換え装置は、それぞれ別の方向からアクセスするようになっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【請求項8】
前記基板収容部に対して、前記第1の基板搬送装置、前記第2の基板搬送装置、および前記基板移し換え装置のうち少なくとも2つの装置が同時にアクセスすることができるようになっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−129769(P2010−129769A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302701(P2008−302701)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】