説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】隣接する基板同士の付着を防止しつつ、複数の基板を一括して処理する基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】可撓性を有する複数の基板Wが所定間隔にて起立姿勢でバスケット5に保持されて気相処理槽10内に収容されている。気相処理槽10の底部を構成する貯留部21にはフッ化水素酸が貯留される。常温のフッ化水素酸からは、処理ガスとしてのフッ酸蒸気が蒸発して生成される。また、ファン23が作動して貯留部21内のフッ化水素酸の液面からバスケット5の内部を通過して循環経路24を流れて再び貯留部21に還流する気流が形成される。このような気流によってフッ酸蒸気がバスケット5内部の複数の基板Wに供給され、エッチング処理が進行する。気相エッチング処理であれば隣接する基板W間に液相の表面張力が作用することは無く、それらが付着することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池や半導体の製造に用いるシリコンウェハー等の薄板状の可撓性精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)を複数枚一括して処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池や半導体の製造工程には、基板の表面に酸化膜等の種々の薄膜を形成したり不要な膜を除去するプロセスが含まれる。一般に、不要な膜は湿式あるいは乾式のエッチング処理によって除去される。例えば、特許文献1には、フッ酸槽に貯留したフッ化水素酸(フッ酸)に複数枚の基板を浸漬して表面酸化膜のエッチング処理を行った後、それら複数の基板を水洗槽の純水中に浸漬して水洗処理を行うことが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、基板をフッ酸水溶液中に浸漬して酸化膜のエッチング処理を行った後、純水による基板の洗浄処理を行い、さらにその後IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気と窒素ガスとが満たされた状態で基板を純水から引き上げて乾燥処理を行う一連の工程が開示されている。この引き上げ乾燥処理に関連して、特許文献3には、少なくとも純水中から基板を引き上げている間、アルコール類等の有機溶剤の蒸気を基板の周囲に供給して乾燥を促進することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−333390号公報
【特許文献2】特開2002−176025号公報
【特許文献3】特開2000−91300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、上記のような基板の厚みは0.5mm〜1mm程度とされていることが多かった。例えば、半導体のシリコンウェハーの場合、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)の規格によれば、直径150mm(6インチ)のウェハーで厚さ625μm、直径200mm(8インチ)で厚さ725μm、直径300mm(12インチ)で厚さ775μmとされていた。
【0006】
ところが、近年、0.5mmより薄い基板も用いられることがあり、例えば太陽電池の製造に用いられるシリコンウェハーの厚さは150μm程度である。また、半導体のシリコンウェハーについても、用途によっては厚さ100μm程度のものまで検討されている。
【0007】
このような極薄の基板は従来に比して非常に撓みやすく、取り扱いが難しい。特に、特許文献1に開示されるように、複数の基板を一括して処理する場合、フッ化水素酸等の薬液または純水から複数の基板を引き上げる際に、隣接する基板同士が付着するという問題が生じていた。極薄の基板同士が一旦付着すると、これらを再び分離することは極めて困難である。
【0008】
複数の基板を一括保持する保持具には隣接する基板同士が付着しないように各基板の動きを規制するガイド部材が設けられているのであるが、上記のような極めて薄い基板は容易に撓むため、ガイド部材から遠い部位では容易に基板同士が付着することとなっていた。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、隣接する基板同士の付着を防止しつつ、複数の基板を一括して処理する基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理装置において、前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する気相処理槽と、前記気相処理槽内の前記複数の基板が保持されている処理空間に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理ガス供給手段は、前記気相処理槽の底部に設けられて前記水溶性薬液を貯留する貯留部を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記処理ガス供給手段は、前記水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、前記水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに前記処理空間に強制的に送給する送給手段を含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、前記送給手段は、前記気相処理槽から排出されたガスを循環させて前記気相処理槽内に再供給するファンを含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る基板処理装置において、処理前の前記複数の基板の表面にはシリコン酸化膜が形成され、前記処理ガス供給手段は、フッ化水素酸を蒸発させて生成したフッ酸蒸気を前記処理空間に供給することを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る基板処理装置において、前記処理ガス供給手段は、常温のフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気を前記処理空間に供給することを特徴とする。
【0016】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する水洗乾燥槽と、前記水洗乾燥槽内に設けられ、所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う内槽と、前記内槽に貯留されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給手段と、前記内槽に貯留されている水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下手段と、をさらに備え、前記有機溶剤供給手段が有機溶剤の蒸気を供給しつつ、前記液面降下手段が水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記液面降下手段は、一定流量にて前記内槽に貯留されている水を排液する排液手段を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項9の発明は、請求項7または請求項8の発明に係る基板処理装置において、前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容するリンス槽と、前記リンス槽内に所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板に純水のミストを供給するミスト供給手段と、をさらに備え、前記気相処理槽にて処理ガスによって処理された複数の基板を前記リンス槽にて純水のミストにて洗浄した後に、前記水洗乾燥槽の前記内槽にて純水中に浸漬させることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10の発明は、可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理装置において、前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する水洗乾燥槽と、前記水洗乾燥槽内に設けられ、所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う内槽と、前記内槽に貯留されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給手段と、前記内槽に貯留されている水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下手段と、を備え、前記有機溶剤供給手段が有機溶剤の蒸気を供給しつつ、前記液面降下手段が水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11の発明は、可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理方法において、前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持しつつ、当該複数の基板に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給する気相処理工程を備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項12の発明は、請求項11の発明に係る基板処理方法において、前記気相処理工程は、前記水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、前記水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに前記複数の基板に強制的に送給する送給工程を含むことを特徴とする。
【0022】
また、請求項13の発明は、請求項11または請求項12の発明に係る基板処理方法において、処理前の前記複数の基板の表面にはシリコン酸化膜が形成され、前記気相処理工程は、フッ化水素酸を蒸発させて生成したフッ酸蒸気を前記複数の基板に供給することを特徴とする。
【0023】
また、請求項14の発明は、請求項13の発明に係る基板処理方法において、前記気相処理工程は、常温のフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気を前記複数の基板に供給することを特徴とする。
【0024】
また、請求項15の発明は、請求項11から請求項14のいずれかの発明に係る基板処理方法において、前記気相処理工程の後に、所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う水洗工程と、前記複数の基板が浸漬されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給工程と、水の液面に有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下工程と、をさらに備えることを特徴とする。
【0025】
また、請求項16の発明は、請求項15の発明に係る基板処理方法において、前記液面降下工程は、前記複数の基板が浸漬されている水を一定流量にて排液して液面を降下させる排液工程を含むことを特徴とする。
【0026】
また、請求項17の発明は、請求項15または請求項16の発明に係る基板処理方法において、前記気相処理工程と前記水洗工程との間に、所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板に純水のミストを供給するミスト供給工程をさらに備えることを特徴とする。
【0027】
また、請求項18の発明は、可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理方法において、所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う水洗工程と、前記複数の基板が浸漬されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給工程と、水の液面に有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1から請求項9の発明によれば、可撓性を有する複数の基板が所定間隔にて起立姿勢に保持されている処理空間に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給するため、隣接する基板間に液相の表面張力が作用することは無く、隣接する基板同士が付着することが防止される。
【0029】
特に、請求項3の発明によれば、水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに処理空間に強制的に送給するため、十分な処理ガスを基板に供給することができる。
【0030】
特に、請求項4の発明によれば、気相処理槽から排出されたガスを循環させて気相処理槽内に再供給するため、処理ガスの利用効率を高めることができる。
【0031】
特に、請求項7の発明によれば、内槽に貯留されている水に表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を複数の基板に対して相対的に降下させるため、水面から露出しつつある隣接する基板が付着しようとする力が低減し、液面降下時に隣接する基板同士が付着することが防止される。
【0032】
特に、請求項8の発明によれば、一定流量にて内槽に貯留されている水を排液するため、内槽の液面を一定速度で降下させることができ、液面降下時に隣接する基板同士が付着することをより確実に防止することができる。
【0033】
特に、請求項9の発明によれば、処理ガスによって処理された複数の基板を純水のミストにて洗浄して大半の汚染物質を洗い流した後に、内槽にて純水中に複数の基板を浸漬させるため、内槽における洗浄処理時間を短くすることができる。
【0034】
また、請求項10の発明によれば、可撓性を有する複数の基板が所定間隔にて起立姿勢に保持されている内槽に貯留されている水に表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を複数の基板に対して相対的に降下させるため、水面から露出しつつある隣接する基板が付着しようとする力が低減し、液面降下時に隣接する基板同士が付着することが防止される。
【0035】
また、請求項11から請求項17の発明によれば、可撓性を有する複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持しつつ、当該複数の基板に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給するため、隣接する基板間に液相の表面張力が作用することは無く、隣接する基板同士が付着することが防止される。
【0036】
特に、請求項12の発明によれば、水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに複数の基板に強制的に送給するため、十分な処理ガスを基板に供給することができる。
【0037】
特に、請求項15の発明によれば、複数の基板が浸漬されている水に表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を複数の基板に対して相対的に降下させるため、水面から露出しつつある隣接する基板が付着しようとする力が低減し、液面降下時に隣接する基板同士が付着することが防止される。
【0038】
特に、請求項16の発明によれば、複数の基板が浸漬されている水を一定流量にて排液するため、液面を一定速度で降下させることができ、液面降下時に隣接する基板同士が付着することをより確実に防止することができる。
【0039】
特に、請求項17の発明によれば、気相処理工程と水洗工程との間に、所定間隔にて起立姿勢に保持する複数の基板に純水のミストを供給するミスト供給工程をさらに備えるため、処理ガスによって処理された複数の基板を純水のミストにて洗浄して大半の汚染物質を洗い流した後に、複数の基板を純水中に浸漬させることとなり、水洗工程の時間を短くすることができる。
【0040】
特に、請求項18の発明によれば、可撓性を有する複数の基板が所定間隔にて起立姿勢で浸漬されている水に表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を複数の基板に対して相対的に降下させるため、水面から露出しつつある隣接する基板が付着しようとする力が低減し、液面降下時に隣接する基板同士が付着することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成の一例を示す概略図である。
【図2】複数の基板を収容するバスケットを上方から見た平面図である。
【図3】基板の可撓性を示す図である。
【図4】基板処理装置の気相処理槽の構成を示す図である。
【図5】基板処理装置のリンス槽の構成を示す図である。
【図6】基板処理装置の水洗乾燥槽の構成を示す図である。
【図7】基板処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】気相処理槽の他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0043】
図1は、本発明に係る基板処理装置の全体構成の一例を示す概略図である。この基板処理装置1は、基板上のシリコン酸化膜を除去して基板の洗浄および乾燥を行うユニットである。本実施形態において、基板処理装置1による処理の対象となる基板Wは太陽電池のシリコンウェハーであり、基板W上に形成されたPSG(Phospho-Silicate Glass)膜の除去が行われる。基板処理装置1は、主たる構成として気相処理槽10、リンス槽30および水洗乾燥槽50を備える。また、基板処理装置1は、基板Wを搬送する搬送機構70、基板Wを搬入するためのローダ80および基板Wを搬出するためのアンローダ85を備える。さらに、基板処理装置1は、装置に設けられた各動作機構を制御して基板処理を進行させる制御部90を備える。なお、図1では図示の便宜上、制御部90をローダ80内に記載しているが、制御部90の配置位置はローダ80内に限定されるものではなく、装置内の任意の箇所に設けることができる。
【0044】
基板処理装置1は、複数枚(本実施形態では100枚)の基板Wを一括して処理するいわゆるバッチ式の処理装置である。複数の基板Wがバスケット5に収納された状態でローダ80に搬入される。ローダ80は、装置外部から未処理の基板Wを搬入する搬入部であり、バスケット5を載置する載置台を備える。
【0045】
図2は、複数の基板Wを収納するバスケット5を上方から見た平面図である。同図に示すように、複数の基板Wが所定間隔(本実施形態では4mm間隔)にて互いに平行に起立姿勢でバスケット5に収納されている。「起立姿勢」とは、基板Wの法線が水平方向に沿う姿勢、すなわち主面が鉛直となる姿勢である。具体的には、バスケット5の内側側壁面に溝5aが4mmピッチで刻設されている。それぞれの溝5aはバスケット5を水平面に置いたときに鉛直方向に沿うように設けられている。バスケット5の各溝5aに基板Wがはまり込むことによって、複数の基板Wが所定間隔でバスケット5に保持されることとなる。なお、バスケット5の上方および下方は開放されている。
【0046】
複数の基板Wのそれぞれは太陽電池のシリコンウェハーである。基板Wの平面サイズは156mm角である。また、基板Wの厚さは150μmであり、一般的な半導体のシリコンウェハーよりも薄い。バスケット5に収納されて基板処理装置1に搬入される基板Wの表面(片面)にはPSG膜が形成されている。PSG膜はリン(P)を含むシリコン酸化膜であり、シリコンウェハーにリンを供給してN型層を形成するための薄膜である。リンの拡散工程が終了した後はこのPSG膜が不要となるため、本発明に係る基板処理装置1にて基板WからPSG膜を除去する処理が行われるのである。なお、基板Wは単結晶のシリコンであっても多結晶のシリコンであっても良い。また、基板Wの形状は、主面の形がシリコンウェハーに典型的な円形であるに限らず、角を丸くした略四角形や略六角形などのように、多角形に近い形でもよい。
【0047】
厚さ150μmの基板Wは極めて薄いため、非常に撓みやすい。すなわち、本実施形態の基板Wは可撓性を有する。ここで本明細書における「可撓性」とは、図3に示すように、厚さtの基板Wを水平姿勢にて両端支持したときに、その自重による撓みvが厚さtの3倍以上となる性質である。例えば、基板Wの厚さtが150μmであれば、基板Wを水平姿勢にて両端支持したときに自重で450μm以上撓む場合には、その基板Wは可撓性を有するものであると言える。本実施形態の基板Wはこの条件を満たすものであり、可撓性を有する。
【0048】
図1に戻り、基板処理装置1の外部からローダ80に搬入された複数の基板Wはバスケット5に収容された状態のまま搬送機構70によって搬送される。搬送機構70は一対のハンド71,71によってバスケット5を懸吊して搬送する。また、搬送機構70は、図示を省略する水平駆動機構および昇降機構によってバスケット5を水平方向に搬送するとともに、所定位置にてバスケット5を鉛直方向に沿って昇降させる。このような動作によって、搬送機構70は、ローダ80、気相処理槽10、リンス槽30、水洗乾燥槽50およびアンローダ85の間でバスケット5を搬送するとともに、それらに対してバスケット5の受け渡しを行う。なお、バスケット5の受け渡しは一対のハンド71,71を開閉することによって行う。
【0049】
図4は、気相処理槽10の構成を示す図である。気相処理槽10は、複数の基板Wを収容し、それぞれの基板Wに気相であるフッ酸蒸気を供給して表面のシリコン酸化膜(本実施形態ではPSG膜)のエッチング処理を行う直方体形状の処理槽である。気相処理槽10は、フッ化水素酸に対する耐性を備えた樹脂(例えばPVC(ポリ塩化ビニル))にて形成され、その内側空間は仕切壁15によって上下に仕切られている。仕切壁15よりも上側は複数の基板Wが保持される処理空間16となり、下側はフッ化水素酸を貯留する貯留部21となる。仕切壁15には、バスケット5の平面サイズよりも小さな矩形形状の開口が形成されている。
【0050】
気相処理槽10の上部にはカバー11が設けられている。カバー11を開くことによって気相処理槽10の上方が開放され、気相処理槽10に対するバスケット5の搬出入が可能となる。また、カバー11を閉じることによって気相処理槽10の内部は密閉空間とされる。
【0051】
気相処理槽10の側壁のカバー11よりも上方には排気ゲート12が設けられている。排気ゲート12は排気バルブ13を介して図外の排気機構と接続されている。カバー11の開閉時に気相処理槽10内の雰囲気が若干漏出したとしても、その雰囲気は排気ゲート12から排気されることとなり、基板処理装置1の外部に拡散することは防がれる。
【0052】
カバー11が開いた状態にて、搬送機構70によってバスケット5が気相処理槽10の内部に搬入されて仕切壁15に載置される。このとき、仕切壁15の開口とバスケット5の下部開口とが対向するようにバスケット5は載置される。複数の基板Wを収納するバスケット5が仕切壁15に載置されることによって、それら複数の基板Wが所定間隔にて起立姿勢に保持されて気相処理槽10に収容されることとなる。そして、複数の基板Wは気相処理槽10内の処理空間16に保持される。
【0053】
仕切壁15よりも下側の貯留部21は気相処理槽10の底部に設けられることとなる。貯留部21には、フッ酸供給源22から所定量のフッ化水素酸が供給されて貯留される。フッ化水素酸は、フッ化水素(HF)の水溶液であり、フッ酸とも呼称される。貯留部21には共沸組成のフッ化水素酸を貯留することが好ましい。共沸組成のフッ化水素酸であれば、液相と気相とが同じ組成(フッ化水素と水との混合比)になる。貯留部21には処理後のフッ化水素酸を排液して回収する機構も接続されている。
【0054】
本実施形態においては、常圧にて常温のフッ化水素酸を蒸発させて生成したフッ酸蒸気を用いる。貯留部21のフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気は仕切壁15の開口およびバスケット5の下部開口を通過してバスケット5の内部に流入し、所定間隔にて起立姿勢で保持されている複数の基板Wのそれぞれに供給される。前記仕切壁15は、貯留部21のフッ化水素酸の液面から蒸発したフッ酸蒸気の流れを、バスケット5の下部開口を通過するように規制し、フッ酸蒸気が起立姿勢の基板Wと基板Wの間を通過してバスケット5の上方へ通過するように案内するので、前記仕切壁15によって、フッ酸蒸気は基板Wの表面と効率的に触れることになる。
【0055】
常温のフッ化水素酸の自然蒸発のみではフッ酸蒸気の十分な流速が得られにくいため、気相処理槽10には循環経路24およびファン23を付設している。循環経路24は、気相処理槽10の外部に設けられており、処理空間16と貯留部21とを連通する配管である。ファン23は循環経路24の経路途中に設けられている。ファン23が作動することによって、処理空間16の雰囲気が循環経路24に吸引されて貯留部21へと送り出される。貯留部21に送り出された気体はフッ化水素酸の液面に沿って流れ、フッ化水素酸から効率よく蒸発したフッ酸および水蒸気とともにバスケット5の内部を通過して処理空間16へと流入する。すなわち、循環経路24およびファン23は、気相処理槽10から排出されたガス(フッ酸蒸気および水蒸気を含む)を循環させて気相処理槽10に再供給する。そして、その循環気体がフッ化水素酸の液面にキャリアガスとして供給され、フッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気がキャリアガスとともにバスケット5の内部を経て処理空間16に強制的に送給されることとなる。
【0056】
また、貯留部21には窒素ガスノズル26が設けられている。窒素ガスノズル26はガスバルブ27を介して窒素ガス供給源と連通接続されている。ガスバルブ27を開放することによって貯留部21に貯留されているフッ化水素酸の液面に窒素ガス(N2)を供給することができる。本実施形態においては、循環経路24およびファン23がキャリアガスとともにフッ酸蒸気を処理空間16に強制的に送給する送給手段を構成しているが、これに代えてまたはこれと併せて窒素ガスノズル26によって送給手段を構成するようにしても良い。すなわち、窒素ガスノズル26が窒素ガスをキャリアガスとして貯留部21に送給し、フッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気がキャリアガスとともにバスケット5の内部を経て処理空間16に強制的に送給されるようにしても良い。この場合、循環経路24およびファン23を設けないのであれば、別途処理空間16からの排気経路を設けておく必要がある。
【0057】
さらに、貯留部21には温調器29が付設されている。温調器29は貯留部21に貯留されているフッ化水素酸を加熱または冷却して所定温度に温調するものである。温調器29としては、ヒータ、恒温水循環機構等の種々の公知の温度調節手段を採用することが可能である。
【0058】
図5は、リンス槽30の構成を示す図である。リンス槽30は、フッ酸蒸気による気相処理後の複数の基板Wを収容し、それぞれの基板Wに純水のミスト(微小な液滴)を供給して表面の洗浄処理を行う直方体形状の処理槽である。気相処理槽10と同様に、リンス槽30の上部にはカバー31が設けられている。カバー31を開くことによってリンス槽30の上方が開放され、リンス槽30に対するバスケット5の搬出入が可能となる。また、カバー31を閉じることによってリンス槽30の内部は密閉空間とされる。
【0059】
リンス槽30の側壁のカバー31よりも上方には排気ゲート32が設けられている。排気ゲート32は排気バルブ33を介して図外の排気機構と接続されている。カバー31の開閉時等にリンス槽30の雰囲気が若干漏出したとしても、その雰囲気は排気ゲート32から排気される。
【0060】
リンス槽30の底部には載置台35が設けられている。カバー31が開いた状態にて、搬送機構70によってバスケット5がリンス槽30の内部に搬入されて載置台35に載置される。気相処理後の複数の基板Wを収納するバスケット5が載置台35に載置されることによって、それら複数の基板Wが所定間隔にて起立姿勢に保持されてリンス槽30に収容されることとなる。
【0061】
リンス槽30の内側には、載置台35に載置されたバスケット5よりも上方であってカバー31よりも下方に一対の管状のミストノズル41,41が配設されている。ミストノズル41,41は、リンス液配管43によって純水供給源52と連通接続されている。リンス液配管43の経路途中にはリンス液バルブ44が設けられている。リンス液バルブ44を開放することによって純水供給源52からミストノズル41,41に純水が送給される。
【0062】
一対のミストノズル41,41は、いわゆる霧吹き器と同じ原理によって純水のミストを生成して噴霧する。ミストノズル41,41は、純水ミストの噴霧方向が載置台35に載置されたバスケット5内の基板Wを向くように設置されている。なお、ミストノズル41,41としては、いわゆる霧吹き器と同様のものに限定されず、純水と気体とを混合してミスト状の純水液滴を生成して基板Wに噴射する二流体ノズルを用いるようにしても良いし、純水の液滴をシャワー状に基板Wに吐出するシャワーノズルを用いるようにしても良い。
【0063】
リンス槽30の底部には排液管37が連通接続されている。排液管37の経路途中には排液バルブ38が介挿されている。リンス槽30の底部に流れ落ちた水は排液管37から槽外に排出される。
【0064】
図6は、水洗乾燥槽50の構成を示す図である。水洗乾燥槽50は、リンス処理後の複数の基板Wを収容し、それら複数の基板Wを純水中に浸漬して最終の仕上げ洗浄処理を行うとともに、IPA(イソプロピルアルコール)の蒸気を供給しつつ純水液面を引き下げて基板Wの乾燥処理を行う直方体形状の処理槽である。気相処理槽10と同様に、水洗乾燥槽50の上部にはカバー51が設けられている。カバー51を開くことによって水洗乾燥槽50の上方が開放され、水洗乾燥槽50に対するバスケット5の搬出入が可能となる。また、カバー51を閉じることによって水洗乾燥槽50の内部は密閉空間とされる。
【0065】
水洗乾燥槽50の側壁のカバー51よりも上方には排気ゲート52が設けられている。排気ゲート52は排気バルブ53を介して図外の排気機構と接続されている。カバー51の開閉時等に水洗乾燥槽50の雰囲気が若干漏出したとしても、その雰囲気は排気ゲート52から排気される。
【0066】
水洗乾燥槽50の内側には直方体形状の内槽60が設けられている。さらに内槽60の底部には載置台65が設けられている。カバー51が開いた状態にて、搬送機構70によってバスケット5が水洗乾燥槽50の内槽60に搬入されて載置台65に載置される。リンス処理後の複数の基板Wを収納するバスケット5が載置台65に載置されることによって、それら複数の基板Wが所定間隔にて起立姿勢に保持されて水洗乾燥槽50に収容されることとなる。
【0067】
内槽60の内側には一対の管状の純水ノズル61,61が配設されている。純水ノズル61,61は、純水配管62によって純水供給源63と連通接続されている。純水配管62の経路途中には純水バルブ64が介挿されている。純水バルブ64を開放することによって、純水供給源63から純水ノズル61,61に純水が送給される。送給された純水は純水ノズル61,61の吐出口(図示省略)から内槽60内に供給される。純水ノズル61,61の純水吐出方向は少なくとも水平面よりは上側を向くように構成されている。従って、内槽60内が純水で満たされた後もなお純水ノズル61,61からの純水供給を継続すると、内槽60内に上側へと向かう純水流(純水アップフロー)が形成されるとともに、内槽60の上端から純水が溢れ出る。
【0068】
内槽60の上端から溢れ出た純水は水洗乾燥槽50の底部に流れ落ちて回収される。水洗乾燥槽50の底部にはドレイン管58が連通接続されている。水洗乾燥槽50の底部に流れ落ちた水はドレイン管58から気液分離ボックス59へと排出される。気液分離ボックス59は、ドレイン管58から排出された水を気相と液相とに分離し、気相成分を所定の排気機構に排気するとともに、液相成分を所定の排液ラインに排液する。なお、水洗乾燥槽50から排出された水を気液分離ボックス59によって気液分離しているのは、排出された水にIPA蒸気が混入していることがあり、これらを分離して回収する必要があるためである。
【0069】
また、水洗乾燥槽50の内側には、内槽60よりも上方であってカバー51よりも下方に一対の管状のIPAノズル54,54が配設されている。IPAノズル54,54は、IPA配管55によってIPA供給源56と連通接続されている。IPA配管55の経路途中にはIPAバルブ57が介挿されている。IPAバルブ57を開放することによってIPA供給源56からIPAノズル54,54にIPAの蒸気が窒素ガスをキャリアガスとして送給される。送給されたIPA蒸気はIPAノズル54,54の吐出口(図示省略)から吐出される。なお、IPA供給源56としては、液相のIPAに窒素ガスを吹き込んでIPA蒸気を窒素ガスのキャリアガスとともに送出するものなど、公知の種々の機構を採用することができる。
【0070】
一対のIPAノズル54,54は、IPA蒸気の吐出方向が内槽60の内側を向くように設置されている。よって、内槽60内に純水が貯留されている状態にてIPAノズル54,54からIPA蒸気を吐出すると、貯留されている純水の液面にIPA蒸気が供給されることとなる。IPA(イソプロピルアルコール)は、水溶性の有機溶剤であり、シリコンウェハーに対する水の表面張力を低下させる作用を有する。
【0071】
また、内槽60の底部には排液管66が連通接続されている。排液管66の経路途中には排液バルブ68および流量調整バルブ67が介挿されている。排液バルブ68を開放することによって、内槽60内に貯留されている純水が排液管66を経て排液される。排液管66を流れる水の流量は流量調整バルブ67によって一定流量に調整される。従って、内槽60内に貯留されている純水は一定流量にて排液管66から排液されることとなる。
【0072】
図1に戻り、アンローダ85は、水洗乾燥槽50における処理が終了した処理済の基板Wを装置外に搬出する搬出部である。アンローダ85は、処理済の複数の基板Wを収納したバスケット5を載置する載置台を備える。
【0073】
また、制御部90は、基板処理装置1に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。
【0074】
上述した構成以外にも、基板処理装置1に公知の種々の機構を設けるようにしても良い。例えば、気相処理槽10、リンス槽30、水洗乾燥槽50の各処理槽には槽内の密閉空間を減圧する機構、および、槽内を窒素ガス等の不活性ガスに雰囲気置換する機構を設けるようにしても良い。
【0075】
次に、上記構成を有する基板処理装置1における動作手順について説明する。図7は、基板処理装置1の動作手順を示すフローチャートである。以下に示す動作手順は、制御部90が基板処理装置1の各動作機構を制御することによって実行される。
【0076】
まず、前工程(リンの拡散工程)が終了した複数の基板Wがバスケット5に収納された状態にてローダ80に搬入される。複数の基板Wのそれぞれは可撓性を有しており、その表面には不要となったPSG膜が形成されている。これら複数の基板Wが1枚ずつバスケット5の溝5aにはまり込んでいる。これにより、複数の基板Wは所定間隔(本実施形態では4mm)で互いに平行に積層された状態でバスケット5に保持されてローダ80に搬入されることとなる。
【0077】
ローダ80に搬入された基板Wは搬送機構70によって受け取られ、気相処理槽10に搬入される(ステップS1)。具体的には、搬送機構70が一対のハンド71,71によってバスケット5を保持してローダ80から気相処理槽10に搬送し、複数の基板Wをバスケット5に収納した状態のまま気相処理槽10の内部に搬入する。気相処理槽10に搬入されたバスケット5は仕切壁15の上に載置される。その結果、複数の基板Wは所定間隔にて起立姿勢にバスケット5に保持されて気相処理槽10内に収容されることとなる。また、仕切壁15の開口とバスケット5の下部開口とが対向するようにバスケット5は載置される。
【0078】
続いて、上部のカバー11が閉じられて気相処理槽10の内部が密閉空間とされ、フッ酸供給源22から貯留部21に所定量の常温のフッ化水素酸が供給されて貯留される。常温のフッ化水素酸からは、処理ガスとしてのフッ酸蒸気が蒸発して生成される。
【0079】
また、貯留部21にフッ化水素酸が供給されるのとともに、ファン23が動作を開始し、貯留部21内のフッ化水素酸の液面からバスケット5の内部を通過して処理空間16へと向かい、循環経路24を流れて再び貯留部21に還流するような気流が形成される。このような気流がキャリアガスとして作用し、フッ化水素酸から蒸発して生成されたフッ酸蒸気を強制的にバスケット5の内部から処理空間16へと送給するとともに、さらなるフッ酸蒸気の蒸発を促進する。
【0080】
バスケット5には複数の基板Wが所定間隔にて起立姿勢に保持されている。このため、処理ガスとしてのフッ酸蒸気はバスケット5に収納された複数の基板Wを構成する隣接する基板間を通過して各基板Wの表面に沿って流れ、気相のフッ酸蒸気によるエッチング処理が進行する(ステップS2)。貯留部21に貯留されている常温のフッ化水素酸からはフッ酸蒸気のみならず、同時に水分も蒸発する。特に、共沸組成のフッ化水素酸であれば、蒸発によって生成した気相中における組成が液相の組成と同じになる。このようなフッ化水素酸から蒸発した水分(水蒸気)もフッ酸蒸気とともに、キャリアガスとしての循環気流によってバスケット5の内部から処理空間16へと送給されることとなる。よって、バスケット5に収納された複数の基板Wにはフッ酸蒸気とともに水蒸気も供給され、基板Wに形成されたPSG膜の表面においてフッ酸蒸気と水蒸気とが反応してPSG膜のエッチング処理が進行するのである。また、エッチング対象のPSG膜自体にも若干の水分が吸着しているため、この水分とフッ酸蒸気との反応によるエッチング作用も生じる。
【0081】
本実施形態においては、気相処理槽10内にて気相のフッ酸蒸気によるエッチング処理を行っている。従来エッチング処理を行うときには、複数の基板Wを収納するバスケット5を液体のフッ化水素酸中に浸漬していたのであるが、この場合処理終了後にバスケット5をフッ化水素酸から引き上げる際に、フッ化水素酸の表面張力の作用によって隣接する基板同士が付着する問題が生じていた。特に、本実施形態の基板Wのように、厚さが極めて薄く、容易に撓む可撓性を有する場合には、溝5aから離れた部位で非常に高い頻度にて隣接する基板同士が付着する。
【0082】
本実施形態のように、気相であるフッ酸蒸気を用いてエッチング処理を行えば、バスケット5に収納された隣接する基板W間に液相の表面張力が作用することは無く、それらが非常に薄く可撓性を有する基板Wであったとしても隣接する基板W同士が付着することが防止される。
【0083】
また、気相のフッ酸蒸気によるエッチング処理であれば、液相のフッ化水素酸への浸漬処理に比較して使用するフッ化水素酸の量が著しく少なくて済み、発生するフッ化水素酸の廃液量も極めて少量とすることができる。また、エッチング処理後に基板Wからフッ化水素酸の液滴が落下するいわゆる液ダレが全く生じないため、後続の工程にフッ化水素酸を持ち出すおそれも無い。
【0084】
また、循環経路24を流れる循環気流をキャリアガスとしてフッ酸蒸気を強制的に複数の基板Wに送給しているため、PSG膜のエッチングレートを向上させて処理時間を短くすることができる。さらには、バスケット5を通過したフッ酸蒸気を循環経路24から貯留部21に還流して再利用することができるため、フッ酸蒸気の利用効率を高めてフッ化水素酸の消費量をさらに少なく抑制することが可能となる。
【0085】
所定時間の気相エッチング処理が終了した後、カバー11が開けられて複数の基板Wが搬送機構70によって気相処理槽10からリンス槽30へと搬送される(ステップS3)。具体的には、搬送機構70が一対のハンド71,71を気相処理槽10内に差し入れてバスケット5を保持して上方に引き上げ、それをリンス槽30に搬送してエッチング処理後の複数の基板Wをバスケット5に収納した状態のままリンス槽30の内部に搬入する。リンス槽30に搬入されたバスケット5は載置台35に載置される。その結果、複数の基板Wは所定間隔にて起立姿勢にバスケット5に保持されてリンス槽30内に収容されることとなる。なお、少なくとも気相処理槽10のカバー11が開放されているときには、排気ゲート12から排気を行ってフッ化水素の雰囲気が槽外に漏出するのを防止する。
【0086】
続いて、リンス槽30のカバー31が閉じられてリンス槽30の内部が密閉空間とされる。そして、リンス液バルブ44が開放されて一対のミストノズル41,41からバスケット5の内部に向けて純水のミストが吐出され、バスケット5に収納されている複数の基板Wのリンス処理が行われる(ステップS4)。すなわち、ミストノズル41,41から噴霧された純水のミストが複数の基板Wの表面に着液し、基板Wの表面が濡れた状態となってリンス処理が進行する。バスケット5および基板Wから滴下した液体は排液管37から排出される。
【0087】
本実施形態においては、リンス処理の前工程として気相のフッ酸蒸気によるエッチング処理を行っている。従来のように、複数の基板Wをフッ化水素酸の液中に浸漬してエッチング処理を行った場合には、エッチング処理終了後の基板Wにも多量のフッ化水素酸の液が付着しており、純水のミストを供給した程度では十分な洗浄処理が出来なかった。本実施形態のように、気相のフッ酸蒸気を用いてエッチング処理を行えば、液ダレが生じるほどのフッ化水素酸が基板Wに付着することは無いため、ミストノズル41,41から純水のミストを供給する程度であっても十分なリンス処理を行うことができる。従って、使用する純水量が少なくて済み、リンス槽30から発生する排液の量も少量とすることができる。また、リンス処理に要する時間も短くすることができる。
【0088】
また、純水のミストを供給してリンス処理を行っているため、バスケット5に収納された隣接する基板W間に液相の表面張力が作用することは無く、それらが非常に薄く可撓性を有する基板Wであったとしても隣接する基板W同士が付着することが防止される。
【0089】
所定時間のリンス処理が終了した後、リンス液バルブ44が閉止されてミストノズル41,41からの純水ミスト噴霧が停止され、カバー31が開けられて複数の基板Wが搬送機構70によってリンス槽30から水洗乾燥槽50へと搬送される(ステップS5)。具体的には、搬送機構70が一対のハンド71,71をリンス槽30内に差し入れてバスケット5を保持して上方に引き上げ、それを水洗乾燥槽50に搬送してリンス処理後の複数の基板Wをバスケット5に収納した状態のまま水洗乾燥槽50の内部に搬入する。
【0090】
水洗乾燥槽50の内槽60には、予め純水ノズル61,61から純水が供給されて貯留されている。水洗乾燥槽50に搬入されたバスケット5は内槽60の純水中に浸漬されて載置台65に載置される。その結果、複数の基板Wは所定間隔にて起立姿勢にバスケット5に保持されて水洗乾燥槽50内に収容されることとなる。
【0091】
内槽60が純水で満たされていると、載置台65に載置されるバスケット5に収納された複数の基板Wは完全に純水中に浸漬されることとなる。そして、一対の純水ノズル61,61から純水供給を継続して行うことによって、内槽60内に純水のアップフローが形成され、基板Wの浸漬洗浄処理が進行する(ステップS6)。すなわち、内槽60内を上側へと向かう純水のアップフローが基板W間を流れて基板Wの表面洗浄処理が進行するのである。これにより、前工程のリンス処理では残留していたフッ化水素酸やエッチング残渣等も完全に洗い流される。
【0092】
洗い流された汚染物質は純水アップフローによって上方へと運ばれ、純水とともに内槽60の上端から溢れ出る。内槽60から溢れ出た汚染物質を含む純水はドレイン管58から気液分離ボックス59へと排出される。このため、内槽60に汚染物質が滞留することはほとんど無く、基板Wは常に清浄な純水によって洗浄されることとなる。
【0093】
所定時間の浸漬洗浄処理が終了する前に、一対のIPAノズル54,54からのIPA蒸気の供給を開始する(ステップS7)。IPAノズル54,54は、内槽60に貯留されている純水の液面に向けてIPAの蒸気を供給する。
【0094】
続いて、所定時間の浸漬洗浄処理が終了した後、純水ノズル61,61からの純水供給が停止されるとともに、排液バルブ68が開放されて内槽60内の水が排液管66を経て排液される。これによって、内槽60内の水の液面が降下する(ステップS8)。内槽60から排液される水の流量は流量調整バルブ67によって一定流量に調整されるため、内槽60内における水の液面降下速度も一定となる。本実施形態においては、内槽60内における液面降下速度が0.55mm毎秒〜1.65mm毎秒となるように、排水量が調整されている。
【0095】
また、内槽60に貯留されている水の液面が降下している間、IPAノズル54,54からのIPA蒸気の供給は継続して行われている。すなわち、ステップS8の工程が実行されている間はステップS7の工程も並行して行われている。IPAは、水溶性の有機溶剤であり、シリコンウェハーに対する水の表面張力を低下させる作用を有する。内槽60に貯留されている水の液面が降下するに従って徐々に液面から基板Wが露出して来るのであるが、かかる性質を有するIPAの蒸気が降下する水面に供給されると、マランゴニ現象により気液界面近傍の基板Wの表面から水が効率的に排除され、複数の基板Wが迅速に乾燥される。また、基板Wの表面に乾燥ムラが生じることもない。
【0096】
また、IPAによって水の表面張力が低下することにより、水面から露出しつつあるバスケット5内の隣接する基板Wが付着しようとする力も低減する。このため、バスケット5に収納された複数の基板Wが非常に薄く可撓性を有するものであったとしても、液面降下時に隣接する基板W同士が付着することが防止される。なお、IPAノズル54,54からのIPA蒸気の供給は少なくとも水面を降下させるよりも前に開始する必要があるが、複数の基板Wを純水中に浸漬させるよりも前、つまりステップS6よりも前に開始するようにしても良い。
【0097】
内槽60からの排液が終了した後(少なくとも基板Wの全体が液面から完全に露出した後)、排液バルブ68が閉止されるとともにIPAノズル54,54からのIPA蒸気の供給も停止される。そして、カバー51が開けられて水洗および乾燥処理の終了した複数の基板Wが搬送機構70によって水洗乾燥槽50から搬出され、アンローダ85に搬送される(ステップS9)。具体的には、搬送機構70が一対のハンド71,71を水洗乾燥槽50内に差し入れてバスケット5を保持して上方に引き上げ、それをアンローダ85に搬送して載置する。そして、処理済みの複数の基板Wが収納されたバスケット5がアンローダ85から装置外に搬出されて一連の表面処理が完了する。
【0098】
本実施形態のようにすれば、気相処理槽10においては、気相であるフッ酸蒸気によって複数の基板Wに一括してエッチング処理を行っているため、それら複数の基板Wに液相の表面張力が作用することは無く、隣接する基板W同士の付着を防止することができる。また、水洗乾燥槽50においては、複数の基板Wを純水中に浸漬して洗浄処理を行った後、水面にIPA蒸気を供給しつつ水面を基板Wに対して降下させて複数の基板Wに一括して乾燥処理を行っているため、IPAにより水の表面張力が低下して隣接する基板Wの付着を防止することができる。なお、リンス槽30においては、純水のミストを供給して複数の基板Wに一括してリンス処理を行っているため、それら複数の基板Wに液相の表面張力が作用することは無く、隣接する基板W同士の付着が生じないのは勿論である。従って、基板処理装置1における全処理工程にわたって、一括処理される複数の基板Wを構成する隣接する基板W同士の付着を防止することができる。
【0099】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、基板W上にPSG膜が形成されていたが、フッ酸蒸気によるエッチング対象となる膜種はこれに限定されるものではなく、BPSG(Boron Phospho-Silicate Glass)膜や通常のSiO2の膜であっても良い。BPSG膜はボロン(B)およびリン(P)を含むシリコン酸化膜である。また、通常のSiO2の膜にはシリコンの自然酸化膜および熱酸化膜が含まれる。すなわち、基板Wの表面にシリコン酸化膜(PSG膜およびBPSG膜を含む)が形成されていれば良く、そのシリコン酸化膜がフッ化水素酸から蒸発して生成したフッ酸蒸気によってエッチング処理される。なお、シリコンの熱酸化膜には水分が吸着していないのであるが、気相処理槽10においてはフッ化水素酸から蒸発した水分もフッ酸蒸気とともに基板Wに供給されるため、エッチング処理を行うことが可能である。
【0100】
また、気相処理槽10における処理内容はフッ酸蒸気によるエッチング処理に限定されるものではなく、他の水溶性の薬液を蒸発させて生成した処理ガスによる処理であっても良い。水溶性薬液を貯留部21に貯留し、その水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを処理空間16に供給する。そのような水溶性薬液には、上記実施形態のフッ化水素酸の他に、塩酸(Hcl)、酢酸(CH3COOH)、アンモニア水(NH3+H2O)、硝酸(HNO3)、過酸化水素水(H22)などが含まれる。
【0101】
また、気相処理槽10の構成は図8に示すようなものであっても良い。図8において、図4と同一の要素については同一の符号を付している。図8に示す構成においても、気相処理槽10から排出されたガスを循環させて気相処理槽10に再供給する循環経路124およびファン123を設けている。但し、図8の構成では、循環経路124の経路途中に貯留部121を設けている。すなわち、貯留部121を気相処理槽10とは別体に設けている。この貯留部121にフッ化水素酸等の水溶性薬液が貯留される。このように構成しても、ファン123が作動すると、貯留部121内のフッ化水素酸の液面からバスケット5の内部を通過して処理空間16へと向かい、循環経路124を流れて再び貯留部121に還流するような気流が形成される。そして、このような気流がキャリアガスとして作用し、フッ化水素酸から蒸発して生成されたフッ酸蒸気を強制的にバスケット5の内部から処理空間16へと送給するとともに、さらなるフッ酸蒸気の蒸発を促進する。従って、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。もっとも、気相処理槽10の構成としては、上記実施形態のように処理槽底部に貯留部21を設けるようにした方が(すなわち、貯留部21を気相処理槽10と一体に形成するようにした方が)簡易なものとなる。
【0102】
また、上記実施形態においては、ファン23および循環経路24によって形成される循環気流をキャリアガスとしてフッ酸蒸気を強制的に複数の基板Wに送給するようにしていたが、これに代えて窒素ガスノズル26からフッ化水素酸の液面に窒素ガスを供給し、その窒素ガスをキャリアガスとしてフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気を強制的に複数の基板Wに送給するようにしても良い。もっとも、循環経路24を流れる循環気流によってフッ酸蒸気を複数の基板Wに供給するようにした方がフッ酸蒸気を還流して再利用することができるため、フッ化水素酸の消費量を少なくすることができる。
【0103】
また、キャリアガスによってフッ化水素酸からのフッ酸蒸気の蒸発を促進するに代えて、またはそれに加えて、温調器29によって貯留部21に貯留されているフッ化水素酸を加熱してフッ酸蒸気の蒸発を促進するようにしても良い。但し、共沸組成のフッ化水素酸を用いている場合には、フッ化水素酸を加熱すると蒸発によって生成した気相中における組成が液相の組成と異なるため、常温のフッ化水素酸からフッ酸蒸気を蒸発させることが好ましい。なお、図8の貯留部121に温調器29を付設し、貯留部121に貯留されている水溶性薬液を温調するようにしても良い。
【0104】
また、上記実施形態の基板処理装置1にはリンス槽30を設け、フッ酸蒸気による気相エッチング処理が終了した基板Wにリンス槽30にて純水ミストによるリンス処理を行った後に、後続の水洗および乾燥処理を行うようにしていたが、純水ミストによるリンス処理は必須の工程では無い。すなわち、気相処理槽10における気相エッチング処理が終了した基板Wを直接水洗乾燥槽50に搬送して水洗および乾燥処理を行うようにしても良い。気相エッチング処理が終了した基板を直接内槽60に満たされている純水に浸漬するようにしても、洗浄処理の目的は達成される。もっとも、上記実施形態のように中間段階の純水ミストによるリンス処理を行った方が大半のフッ化水素酸やエッチング残渣等の汚染物質をリンス処理によって洗い流せるため、内槽60における洗浄処理時間を著しく短時間化することができ、基板処理装置1におけるトータル処理時間も短くすることができる。
【0105】
また、上記実施形態の水洗乾燥槽50においては、内槽60の水を排液することによって水面を降下するようにしていたが、これに代えて、またはこれに加えて、複数の基板Wを引き上げるようにしても良い。すなわち、内槽60に貯留されている水の液面を複数の基板Wに対して相対的に降下させるようにすれば良い。もっとも、隣接する基板Wの付着を防止する観点からは、液面降下速度が遅い方が好ましく、内槽60の水を排液して水面を降下させるようにした方が確実に液面降下速度を適正値として隣接する基板W同士の付着を確実に防止することができる。
【0106】
また、上記実施形態においては、水面にIPA蒸気を供給しつつ水面を基板Wに対して降下させていたが、IPA蒸気に代えて水溶性でかつ基板Wに対する水の表面張力を低下させる作用を有する有機溶剤の蒸気を供給するようにしても良い。そのような有機溶剤には、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、IPA等のアルコール類、アセトン、ジエチルケトン等のケトン類、および、メチルエーテル、エチルエーテル等のエーテル類等が含まれる。もっとも、金属等の不純物の含有量が少なく、精密電子基板用途として市場に多く提供されている点を考慮するとIPAを使用することが好ましい。
【0107】
また、図7のステップS6では、予め純水が貯留されている内槽60に複数の基板Wを浸漬するようにしていたが、空の内槽60に複数の基板Wを収納したバスケット5を搬入した後に純水ノズル61,61から純水を供給して複数の基板Wを純水中に浸漬するようにしても良い。
【0108】
また、上記実施形態においては、複数の基板Wをバスケット5に収納した状態のまま搬送して処理を行っていたが、これに代えて、複数の基板Wをバスケット5から取り出した状態で各処理槽に搬送して処理を行うようにしても良い。各処理槽においては、複数の保持溝を所定ピッチで設けた保持具によって複数の基板Wを所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する。
【0109】
また、本発明に係る基板処理技術の処理対象となる基板Wは太陽電池のシリコンウェハーに限定されるものではなく、可撓性を有する基板であれば良く、例えば薄い半導体のシリコンウェハーであっても良い。
【符号の説明】
【0110】
1 基板処理装置
5 バスケット
10 気相処理槽
16 処理空間
21,121 貯留部
23,123 ファン
24,124 循環経路
30 リンス槽
41 ミストノズル
50 水洗乾燥槽
54 IPAノズル
60 内槽
61 純水ノズル
66 排液管
67 流量調整バルブ
68 排液バルブ
70 搬送機構
80 ローダ
85 アンローダ
90 制御部
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理装置であって、
前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する気相処理槽と、
前記気相処理槽内の前記複数の基板が保持されている処理空間に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給する処理ガス供給手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理ガス供給手段は、前記気相処理槽の底部に設けられて前記水溶性薬液を貯留する貯留部を含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記処理ガス供給手段は、前記水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、前記水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに前記処理空間に強制的に送給する送給手段を含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の基板処理装置において、
前記送給手段は、前記気相処理槽から排出されたガスを循環させて前記気相処理槽内に再供給するファンを含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理装置において、
処理前の前記複数の基板の表面にはシリコン酸化膜が形成され、
前記処理ガス供給手段は、フッ化水素酸を蒸発させて生成したフッ酸蒸気を前記処理空間に供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の基板処理装置において、
前記処理ガス供給手段は、常温のフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気を前記処理空間に供給することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する水洗乾燥槽と、
前記水洗乾燥槽内に設けられ、所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う内槽と、
前記内槽に貯留されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給手段と、
前記内槽に貯留されている水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下手段と、
をさらに備え、
前記有機溶剤供給手段が有機溶剤の蒸気を供給しつつ、前記液面降下手段が水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の基板処理装置において、
前記液面降下手段は、一定流量にて前記内槽に貯留されている水を排液する排液手段を含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の基板処理装置において、
前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容するリンス槽と、
前記リンス槽内に所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板に純水のミストを供給するミスト供給手段と、
をさらに備え、
前記気相処理槽にて処理ガスによって処理された複数の基板を前記リンス槽にて純水のミストにて洗浄した後に、前記水洗乾燥槽の前記内槽にて純水中に浸漬させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理装置であって、
前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持して収容する水洗乾燥槽と、
前記水洗乾燥槽内に設けられ、所定間隔にて起立姿勢に保持される前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う内槽と、
前記内槽に貯留されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給手段と、
前記内槽に貯留されている水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下手段と、
を備え、
前記有機溶剤供給手段が有機溶剤の蒸気を供給しつつ、前記液面降下手段が水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理方法であって、
前記複数の基板を所定間隔にて起立姿勢に保持しつつ、当該複数の基板に水溶性薬液を蒸発させて生成した処理ガスを供給する気相処理工程を備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
請求項11記載の基板処理方法において、
前記気相処理工程は、前記水溶性薬液の液面にキャリアガスを供給し、前記水溶性薬液から生成した処理ガスをキャリアガスとともに前記複数の基板に強制的に送給する送給工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の基板処理方法において、
処理前の前記複数の基板の表面にはシリコン酸化膜が形成され、
前記気相処理工程は、フッ化水素酸を蒸発させて生成したフッ酸蒸気を前記複数の基板に供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項14】
請求項13記載の基板処理方法において、
前記気相処理工程は、常温のフッ化水素酸から生成したフッ酸蒸気を前記複数の基板に供給することを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記気相処理工程の後に、所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う水洗工程と、
前記複数の基板が浸漬されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給工程と、
水の液面に有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下工程と、
をさらに備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項16】
請求項15記載の基板処理方法において、
前記液面降下工程は、前記複数の基板が浸漬されている水を一定流量にて排液して液面を降下させる排液工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の基板処理方法において、
前記気相処理工程と前記水洗工程との間に、所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板に純水のミストを供給するミスト供給工程をさらに備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項18】
可撓性を有する複数の基板を一括して処理する基板処理方法であって、
所定間隔にて起立姿勢に保持する前記複数の基板を純水中に浸漬して洗浄処理を行う水洗工程と、
前記複数の基板が浸漬されている水の液面に向けて水の表面張力を低下させる有機溶剤の蒸気を供給する有機溶剤供給工程と、
水の液面に有機溶剤の蒸気を供給しつつ、水の液面を前記複数の基板に対して相対的に降下させる液面降下工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−60895(P2011−60895A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207099(P2009−207099)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000134028)株式会社テックインテック (9)
【Fターム(参考)】