説明

基板処理装置及び半導体装置の製造方法

【課題】複数の種類のガスを用いる場合においても、所望の膜質を得られる基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、複数の基板900を円周方向に支持するサセプタ60と、サセプタを回転させる回転機構120と、サセプタの支持面62上の空間に設けられた複数の領域と、これらの複数の領域にガスを供給するガス供給部200と、を有し、ガス供給部200は、複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サセプタに装着された多数の基板上に薄膜を形成するための反応チャンバを備えた薄膜蒸着装置において、外部から反応チャンバの内部に、反応ガスを含む多数のガスを供給するガス供給手段;ガス供給手段から供給されるガスを工程目的に合うように分配して噴射するガス分配手段;ガス分配手段から分配されたそれぞれのガスを区画して収容し、ガスを滞留させる多数の反応セルを備えるガス滞留手段;ガス滞留手段を回転駆動させることにより、それぞれの反応セルで滞留するガスを基板に順次接触させる回転駆動手段;及び前記ガス滞留手段により滞留するガスを反応チャンバの外部に吸引するガス排出手段;を含むことを特徴とする薄膜蒸着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−524842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、複数の種類のガスを用いる場合に、それぞれのガスの基板への暴露時間を調整することが困難であるとの問題点があった。その結果、ガスの種類によっては、膜質等が所望のレベルに満たない場合があった。
【0005】
本発明の目的は、複数の種類のガスを用いる場合においても、所望の膜質を得られる基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、前記基板支持部を回転させる回転機構と、前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、前記領域にガスを供給するガス供給部と、を有し、前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である基板処理装置。
【0007】
さらには、次の通りである。
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、前記基板支持部を回転させる回転機構と、前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、前記領域にガスを供給するガス供給部と、を有し、前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、前記基板支持部に基板が支持された状態で前記回転機構によって前記基板支持部を回転させ、回転している間、選択されたガスを前記複数の領域におけるそれぞれの領域に供給する半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の種類のガスを用いる場合においても、所望の膜質を得られる基板処理装置及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を側方から示す断面図であって、図2におけるB−B面の断面を示す断面図である。
【図2】図1に示す基板処理装置を上方から示す断面図であって、図1におけるA−A面断面を示す断面図である。
【図3】図1に示す基板処理装置が有する搬入装置を示し、図3(a)は搬入装置の基板を搬入していない状態を上側から示す図であり、図3(b)は、搬送装置が基板を処理室内に搬入している状態を上側から示す図である。
【図4】図1に示す基板処理装置が有するガス供給部の構成を示す模式図である。
【図5】図1に示す基板処理装置が有する処理室内にガスを供給する方法を説明する図である。
【図6】図1に示す基板書処理装置が有する処理室内の複数の領域のそれぞれに供給可能なガスの種類を示す図表である。
【図7】図1に示す基板処理装置が有する制御部を示すブロック図である。
【図8】図1に示す基板処装置が有する処理室内の複数の領域のそれぞれに供給されるガスの種類の一例を示す図である。
【図9】図1に示す基板処理装置を用いた基板処理の工程を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る基板処理装置10が示されている。基板処理装置10は、例えば半導体ウエハ等の基板900を処理する装置であって、例えば、半導体集積回路装置の製造方法において、半導体装置が形成される半導体ウエハに、例えばプラズマ処理を施す基板処理装置として構成されている。
【0011】
基板処理装置10は、筐体12を有する。筐体12は、側壁部22を備え、円筒形状であって、中空部を有し、その内部に基板を処理する空間である処理室100を形成している。側壁部22には、処理室100内に基板900を搬入するために用いられる搬入口26が処理室100の内部と外部とを連通させるように形成されている。また、側壁部22には、処理室100内から基板900を搬出するために用いられる搬出口28が処理室100の内部と外部とを連通させるように形成されている。
【0012】
また、基板処理装置10は、搬入口26を開閉するための搬入側ゲート部材32を有する。また、基板処理装置10は、搬出口28を開閉するための搬出側ゲート部材34を有する。
【0013】
また、基板処理装置10は、入口側予備室40を有する。入口側予備室40は、搬入口26を介して処理室100内と連結するように筐体12に装着されていて、その内部を減圧することができるようになっている。入口側予備室40には、予備加熱ヒータ42が取り付けられている。予備加熱ヒータ42は、処理室100内に挿入する前に基板900を加熱するために用いられる。
【0014】
入口側予備室40内には、搬入装置150(図3参照、図1、図2では図示を省略)が配置されている。搬入装置150は、入口側予備室40内から処理室100内へ基板900を搬送するために用いられる。搬入装置150の詳細は後述する。
【0015】
また、基板処理装置10は、出口側予備室50を有する。出口側予備室50は、搬出口28を介して処理室100内と連結するように筐体12に装着されていて、その内部を減圧することができるようになっている。出口側予備室50には、予備冷却装置52が取り付けられている。予備冷却装置52は、処理室100内から搬出された基板900を冷却するために用いられる。
【0016】
出口側予備室50内には、搬出装置160(図7参照)が配置されている。搬出装置160は、処理室100内から予備冷却装置52へと基板900を排出するために用いられる。搬出装置160の構成は、搬入装置150と同等である。
【0017】
また、基板処理装置10は、サセプタ60を有する。サセプタ60は、複数の基板900を円周方向に支持し、基板支持部として用いられていて、処理室100内に配置されている。サセプタ60の重力方向における上向きの面は、基板を支持する基板支持面62として用いられていて、この実施形態においては、基板支持面62で、円周方向に8枚の基板900を重力方向下側から支持している。サセプタ60には、サセプタ60を回転させる回転機構120が取り付けられている。回転機構120は、基板支持部を回転させる回転機構として用いられていて、回転機構120からの駆動伝達を受けて、サセプタ60は、例えば図2に示す矢印a方向に回転する。
【0018】
サセプタ60には、基板支持面62で支持する基板900を加熱するための加熱部として用いられるヒータ64が取り付けられている。ヒータ64には、電力供給線を用い、スリップリング66、電力調整装置68を介して電源70が接続されている。スプリッタリング66は、サセプタ60と一体として回転するヒータ64に対して、停止した電源70等から電源を供給するために用いられている。
【0019】
電力調整装置68には、信号線を用いて温度調整器72が接続されている。温度調整器72は、ヒータ64近傍に配置された温度測定部76によって測定された温度に基づいて、ヒータ64の温度が予め設定された設定温度となるように電力調整装置68と共にフィードバック制御を行う。
【0020】
また、筐体12の例えば下側の壁部には、処理室100内のガスを排気するガス排気口14が形成されている。ガス排気口14には、排気管130を用いて、ガス排気口14側から順に圧力調整装置132と、排気管バルブ134と、ポンプ136とが接続されている。圧力調整装置132と、排気管バルブ134と、ポンプ136とを制御することで、処理室100内に圧力が制御され、処理室100内の圧力が所定の値に調整される。
【0021】
また、基板処理装置10は、サセプタ60の基板支持面62にガスを供給するように、処理室100内にガスを供給するガス供給部200を有する。ガス供給部200は、後述する領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域G、及び領域Hにガスを供給するガス供給部として用いられている。ガス供給部200の詳細は、後述する。
【0022】
また、基板処理装置10は、仕切板80を有している。仕切板80は、サセプタ60に隣接する基板支持面62側の空間をサセプタ60の径方向に仕切るように配置された仕切部として用いられている。仕切板80は、例えば、筐体12の上側の壁面の処理室100側の部分(内側の部分)に装着されている。この実施形態においては、基板処理装置10は、仕切板80a、80b、80c、80d、80e、80f、80g、80hとの8個の仕切板80を有する。
【0023】
また、仕切板80は、後述する供給管210a、供給管210b、供給管210c、供給管210d、供給管210e、供給管210f、供給管210g、及び供給管210h(図4参照)であって、互いに隣り合い、互いに異なる種類のガスを供給するものの間に、サセプタ60の径方向に配置された仕切部として用いられている。
【0024】
以下、サセプタ60の上部であって、処理室100内における仕切板80aと仕切板80bとで囲まれる領域を領域Aと、仕切板80bと仕切板80cとで囲まれる領域を領域Bと、仕切板80cと仕切板80dとで囲まれる領域を領域Cと、仕切板80dと仕切板80eとで囲まれる領域を領域Dと、仕切板80eと仕切板80fとで囲まれる領域を領域Eと、仕切板80gと仕切板80hとで囲まれる領域を領域Gと、仕切板80hと仕切板80aとで囲まれる領域を領域Hと呼ぶ。以上のように、基板処理装置10においては、サセプタ60の基板支持面62上の空間に複数の領域として用いられる領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域G、及び領域Hが設けられている。
【0025】
また、基板処理装置10は、供給管支持部材270を有する。供給管支持部材270は、処理室100内に配置されていて、後述する供給管210a、供給管210b、供給管210c、供給管210d、供給管210e、供給管210f、供給管210g、及び供給管210h(図4参照)を支持する。また、供給管支持部材270は円筒形状であって、内側に形成される空間から、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hにそれぞれ連通する供給孔271が形成されている。
【0026】
また、基板処理装置10は、制御部として用いられるコントローラ800を有している。コントローラ800の詳細は後述する。
【0027】
図3は、搬入装置150を示しており、図3(a)は基板900の搬入を行っていない状態の搬入装置150を示し、図3(b)は、基板900を搬送中の搬入装置150を示している。図3(a)、図3(b)に示されるように、搬入装置150は、多関節を備えたロボットアーム152を有し、ロボットアーム152の上に載置するようにして、基板900を処理室100内に搬送する。
【0028】
図4には、ガス供給部200が示されている。
図4に示されるように、ガス供給部200は、領域Aにガスを供給する供給管210aと、領域Bにガスを供給する供給管210bと、領域Cにガスを供給する供給管210cと、領域Dにガスを供給する供給管210dと、領域Eにガスを供給する供給管210eと、領域Gにガスを供給する供給管210gと、領域Hにガスを供給する供給管210hとを有する。供給管210a、供給管210b、供給管210c、供給管210d、供給管210e、供給管210f、供給管210g、及び供給管210hは、先端部側が先述の供給管支持部材270(図2参照)に支持されていて、供給管支持部材270に支持される側の端部に、それぞれ開口部が形成されている。そして、これらの開口部と、供給管支持部材270に形成された供給孔271とを通過するようにして、処理室100内にガスが供給される。
【0029】
また、ガス供給部200は、供給管210a、供給管210b、供給管210c、供給管210d、供給管210e、供給管210f、供給管210g、及び供給管210hの互いに隣り合う2つの供給管210を連結する連結用配管214を有し、バルブV1、バルブV2、バルブV3、バルブV4、バルブV5、バルブV6、バルブV7、及びバルブV8を有する。
【0030】
バルブV1は連結用配管214の供給管210aと供給管210bとを連結する位置に装着されていて、バルブV2は連結用配管214の供給管210bと供給管210cとを連結する位置に装着されていて、バルブV3は連結用配管214の供給管210cと供給管210dとを連結する位置に装着されていて、バルブV4は連結用配管214の供給管210dと供給管210eとを連結する位置に装着されていて、バルブV5は連結用配管214の供給管210eと供給管210fとを連結する位置に装着されていて、バルブV6は連結用配管214の供給管210fと供給管210gとを連結する位置に装着されていて、バルブV7は連結用配管214の供給管210gと供給管210hとを連結する位置に装着されていて、バルブV8は連結用配管214の供給管210hと供給管210aとを連結する位置に装着されている。
【0031】
供給管210aには、ガスが供給される方向における上流側から順に、例えばオゾン(O)ガス供給装置240、マスフローコントローラ244a、バルブV11、及びリモートプラズマ装置246が取り付けられている。
【0032】
供給管210bには、マスフローコントローラ244bが取り付けられている。
【0033】
供給管210cには、ガスが供給される方向における上流側から順に、例えば窒素(N2)ガス等のパージガスを供給するパージガス供給装置252、バルブV12、及びマスフローコントローラ244cが取り付けられている。ここで、窒素ガスは第二のガスとして用いられていて、パージガス供給装置252は、第二のガスの供給源である第二のガス供給源として用いられている。
【0034】
また、供給管210cと、バルブV12と、マスフローコントローラ244cと、供給孔271であって供給管210cが接続されるもの(図2参照)とは、第3のガス供給ユニットとして用いられている。この第3のガス供給ユニットは、第2ガス(窒素ガス)を供給するために用いられる。
【0035】
供給管210dには、マスフローコントローラ244dが取り付けられている。
また、供給管210eには、ガスが供給される上流側から順に、ジルコニウム(Zr)を含むジルコニウム含有ガスであり、第一のガスとして用いられるガスであるテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(Zr〔N(CH)CHCH、以下、TEMAZとする)ガスを供給するTEMAZガス供給装置254、バルブV13、及びマスフローコントローラ244eが取り付けられている。ここで、TEMAZガス供給装置254は、第一のガスを供給する第一のガス供給源として用いられている。また、供給管210eと、バルブV13と、マスフローコントローラ244eと、供給孔271であって供給管210eが接続されるもの(図2参照)は、第一のガス(TEMAZガス)を供給するために用いられる第一のガス供給ユニットとして用いられている。
【0036】
ここで、供給管210dと、マスフローコントローラ244dと、供給孔271であって供給管210dが接続されるもの(図2参照)と、バルブV3と、バルブV4とは、第二のガス(窒素ガス)を供給するために用いられる第二のガス供給ユニットとして用いられている。この第二のガス供給ユニットは、第一のガス供給源として用いられているTEMAZガス供給装置254との間にバルブV4を有し、第二のガス供給源として用いられているパージガス供給装置256との間にバルブV3を有している。
【0037】
供給管210fには、マスフローコントローラ244fが取り付けられている。
また、供給管210gには、ガスが供給される方向における上流側から順に、例えば窒素(N2)ガス等のパージガスを供給するパージガス供給装置256、バルブV14、及びマスフローコントローラ244gが取り付けられている。ここで、先述のように窒素ガスは第二のガスとして用いられていて、パージガス供給装置256は、先述のパージガス供給装置252と同様に第二のガスの供給源である第二のガス供給源として用いられている。また、供給管210fと、マスフローコントローラ244fと、供給孔271であって供給管210fが接続されるもの(図2参照)と、バルブV5と、バルブV6とは、第二のガス(窒素ガス)を供給するために用いられる第二のガス供給ユニットとして用いられている。この第二のガス供給ユニットは、第一のガス供給源として用いられているTEMAZガス供給装置254との間にバルブV5を有し、第二のガス供給源として用いられているパージガス供給装置256との間にバルブV6を有している。
【0038】
また、供給管210gと、バルブV14と、マスフローコントローラ244gと、供給孔271であって供給管210gが接続されるもの(図2参照)とは、第3のガス供給ユニットとして用いられている。この第3のガス供給ユニットは、第2ガス(窒素ガス)を供給するために用いられる。
【0039】
供給管210hには、マスフローコントローラ244hが取り付けられている。
【0040】
図5には、処理室100内の領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hにガスが供給される様子が説明されている。図5における矢印は、それぞれが、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hに供給されるガスの流れを示している。
【0041】
図5に示すように、処理室100内の領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hには、供給管支持部材270に形成された供給孔271を通過するようにしてガスが供給される。また、先述のように、供給管210a(図4参照)は、供給管支持部材270に支持される側の端部側に形成された開口部から排出されたガスが領域Aに供給されるように、供給管支持部材270に支持されている。同様に、供給管210b、供給管210c、供給管210d、供給管210e、供給管210f、供給管210g、及び供給管210hは、供給管支持部材270に支持される側の端部側にそれぞれ形成された開口部から排出されたガスが、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hにそれぞれ供給されるように供給管支持部材270に支持されている。供給管支持部材270内は、各供給管210から供給されているガスが混合しないように、各供給管毎に区画されている。
【0042】
図6は、処理室100内の領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hに、供給可能なガスの種類を示す図表である。図6において、「○」は、該当する領域に該当するガスが供給可能なことを示す。また、図6において、空欄は、該当する領域に該当するガスが供給できないことを示す。
【0043】
図6の第2行に示すように領域Aには、オゾンガスが供給可能である。領域Aに供給されるオゾンガスは、オゾンガス供給装置240から供給されたオゾンガスである。
【0044】
図6の第3行に示すように、領域Bには、オゾンガスを供給することが可能であり、パージガスを供給することが可能である。領域Bに供給されるオゾンガスは、オゾンガス供給装置240から供給されたオゾンガスであり、領域Bに供給されるパージガスは、パージガス供給装置252から供給されたパージガスである。領域Bにオゾンガスを供給するか、パージガスを供給するかは、コントローラ800が、バルブV1、バルブV2どちらかを開いた状態とするかによって決せされる。すなわち、バルブV1が開かれ、バルブV2が閉じられると、領域Bには、オゾンガスが供給される。一方、バルブV1が閉じられ、バルブV2が開かれると領域Aにパージガスが供給される。
【0045】
図6の第4行に示すように、領域Cには、パージガスが供給可能である。領域Dに供給されるパージガスは、パージガス供給装置252から供給されたパージガスである。
【0046】
図6の第5行に示すように、領域Dには、パージガスを供給することが可能であり、TEMAZガスを供給することが可能である。領域Dに供給されるパージガスは、パージガス供給装置252から供給されたパージガスであり、領域Dに供給されるTEMAZガスは、TEMAZガス供給装置254から供給されたTEMAZガスである。領域Dにパージガスを供給するか、TEMAZガスを供給するかは、コントローラ800が、バルブV3、バルブV4どちらかを開いた状態とするかによって決せされる。すなわち、バルブV3が開かれ、バルブV4が閉じられると、領域Dには、パージガスが供給される。一方、バルブV3が閉じられ、バルブV4が開かれると領域DにTEMAZガスが供給される。
【0047】
図6の第6行に示すように、領域Eには、TEMAZガスが供給可能である。領域Eに供給されるTEMAZガスは、TEMAZガス供給装置254から供給されたTEMAZガスである。
【0048】
図6の第7行に示すように、領域Fには、TEMAZガスを供給することが可能であり、パージガスを供給することが可能である。領域Fに供給されるTEMAZガスは、TEMAZガス供給装置254から供給されたTEMAZガスであり、領域Fに供給されるパージガスは、パージガス供給装置256から供給されたパージガスである。領域FにTEMAZガスを供給するか、パージガスを供給するかは、コントローラ800が、バルブV5、バルブV6のどちらを開いた状態とするかによって決せされる。すなわち、バルブV5が開かれ、バルブV6が閉じられると、領域Fには、TEMAZガスが供給される。一方、バルブV5が閉じられ、バルブV6が開かれると領域Fにパージガスが供給される。
【0049】
図6の第8行に示すように、領域Gには、パージガスが供給可能である。領域Gに供給されるパージガスは、パージガス供給装置256から供給されたパージガスである。
【0050】
図6の第9行に示すように、領域Hには、パージガスを供給することが可能であり、オゾンガスを供給することが可能である。領域Hに供給されるパージガスは、パージガス供給装置256から供給されたパージガスであり、領域Hに供給されるオゾンガスは、オゾンガス供給装置240から供給されたオゾンガスである。領域Hにパージガスを供給するか、オゾンガスを供給するかは、コントローラ800が、バルブV7、バルブV8のどちらを開いた状態とするかによって決せされる。すなわち、バルブV7が開かれ、バルブV8が閉じられると、領域Hには、パージガスが供給される。一方、バルブV7が閉じられ、バルブV8が開かれると領域Hにオゾンガスが供給される。
【0051】
以上で説明をしたように、基板処理装置10においては、ガス供給部200は、複数の領域である領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hにおける隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは異なるガスを供給するかを選択可能な構成となっている。例えば、領域Bにオゾンガスを供給して、領域Aに供給されるガス(オゾンガス)と同じ種類のガス(オゾンガス)を領域Bに供給するか、領域Bにパージガスを供給して領域Aに供給されるガストは異なるガス(パージガス)を領域Bに供給するかを選択可能な構成となっている。また、例えば、領域Bにパージを供給して、領域Cに供給されるガス(パージガス)と同じ種類のガス(パージガス)を領域Bに供給するか、領域Bにオゾンガスを供給して領域Cに供給されるガス(パージガス)とは異なるガス(オゾンガス)を領域Bに供給するかを選択可能な構成となっている。
【0052】
図7は、コントローラ800を示すブロック図である。
図7に示すように、コントローラ800は、搬入側ゲート部材32、搬出側ゲート部材34、電力調整装置68、温度調整器72、回転機構120、圧力調整装置132、搬入装置150、搬出装置160、バルブV1、バルブV2、バルブV3、バルブV4、バルブV5、バルブV6、バルブV7、バルブV8、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV14、マスフローコントローラ244a、マスフローコントローラ244b、マスフローコントローラ244c、マスフローコントローラ244d、マスフローコントローラ244e、マスフローコントローラ244f、マスフローコントローラ244g、マスフローコントローラ244h等を制御する。
【0053】
図8には、処理室100内における領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hに、供給されるガスの種類の一例が示されている。
図8に示されるように、この例では、領域H、領域A、及び領域Bがオゾンガス供給領域となっていて、領域H、領域A、及び領域Bにオゾンガスが供給される。また、領域C及び領域Dがパージガス供給領域となっていて、領域C及び領域Dには、パージガスが供給される。また、領域Eは、TEMAZガス供給領域となっていて、領域Eには、TEMAZガスが供給される。また、領域F及び領域Gは、パージガス供給領域となっていて、領域F及び領域Gには、パージガスが供給される。
【0054】
図8に示す例のように各領域にガスを供給するためには、コントローラ800は、バルブV1を開いた状態とさせ、バルブV2を閉じた状態とさせ、バルブV3を開いた状態とさせ、バルブV4を閉じた状態とさせ、バルブV5を閉じた状態とさせ、バルブV6を開いた状態とさせ、バルブV7を閉じた状態とさせ、バルブV8を開いた状態とする。
【0055】
図8に示す例のようにガスを供給する場合において、供給管210bは、供給管210bが供給するガスであるオゾンガスと同じ種類のガス(オゾンガス)を供給する他の供給管である供給管210aと一方の側で隣接し、異なる種類のガス(パージガス)を供給するさらに他の供給管である供給管210cと他方の側で隣接するように配置された状態となっている。また、基板処理装置10においては、コントローラ800は、マスフローコントローラ244a〜244hを制御することで、供給管210a〜210hのいずれかであって、互いに隣り合うものによるガス供給量が互いに異なる値となるように制御することができる。
【0056】
また、コントローラ800は、バルブV1〜V8と、バルブV11〜V14とを制御することで、供給管210a〜210hのいずれかであって、互いに隣り合うものを、一方がガスを供給する場合に、他方がガスを供給しないように制御することができる。
【0057】
また、コントローラ800は、基板900を処理する第一のプロセスでは所定の量のガスを供給させ、基板900を処理する第二のプロセスでは、第一のプロセスとは異なる量のガスを供給させるように基板処理装置10を制御することができる。
【0058】
図9には、基板処理装置10による処理工程の一例が示されている。図9に示される処理は、半導体装置(デバイス)の製造工程としての一工程として、基板上に金属膜を成膜するものである。
【0059】
図9に一例として示される処理は、ジルコニウム(Zr)が第一の元素として用いられ、酸素(O)が第二の元素として用いられている。また、図9に一例として示される処理は、第一の元素を含む処理ガスである第一のガスとしてZr含有ガスであるテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ、 Zr[N(CH)CHCH])ガスを用い、第二のガスであるパージガスとして窒素(N)ガスを用い、第二の元素を含む処理ガスである第三のガスとして、酸素含有ガスであるオゾン(O)ガスを用いる。また、図9に一例として示される処理では、基板900上に絶縁膜としてジルコニア膜(ZrO膜)を形成する。
【0060】
最初の工程である基板搬入工程S10では、コントローラ800は、搬入口26の搬入側ゲート部材32を開かせるように入口側ゲート部材32を制御し、8枚の基板900を処理室100内に搬入させ、8枚の基板900をサセプタ60上に載置するように搬入装置150を制御する。そして、基板900がサセプタ60上に載置された後に、搬入側ゲート部材32に、搬入口26を閉じさせる。
【0061】
次の工程である圧力調整工程S20では、コントローラ800は、ポンプ136を作動させ、排気管バルブ134に開度を調整させることで、処理室100内の圧力を所望の圧力(成膜圧力)になるように制御する。また、コントローラ800は、ヒータ64に電力を投入させ、基板900の温度(成膜温度)を所望の温度に維持するように制御する。
【0062】
次の成膜工程S30では、コントローラ800は、回転機構120を制御して、サセプタ60を、例えば1(回転/秒)で回転させつつ、ガス供給部200を制御して、ガス供給部200に処理室100内へのガスの供給を開始させる。そして、回転した状態にあるサセプタ60に載置された基板900が、TEMAZガスが供給される領域である領域Eを通過する際に、基板900表面の下地膜上に、第一の元素として用いられるジルコニウムを含む第一の層であって、1原子層未満から数原子層のジルコニウム含有層としてのジルコニウム層(Zr層)が形成される。
【0063】
また、オゾンガスが供給される領域である領域H、領域A、領域Bを通過する際に、基板900上には、第一の層としてのジルコニウム含有層が形成されており、活性種となったオゾンガスが、ジルコニウム含有層の一部と反応する。この反応によりジルコニウム含有層は酸化されて、ジルコニウム(第一の元素)及び酸素(第二の元素)を含む第二の層、すなわち、ジルコニア(ZrO層)へと改質される。
このように、TEMAZガスが供給される領域Eと、オゾンガスが供給される領域である領域H、領域A、領域Bと基板900が通過し、基板900にジルコニア膜が形成される。成膜工程S30において、基板900上へのジルコニア膜形成処理を繰り返すことで、所望の膜厚のジルコニア膜を形成することができる。
【0064】
所定時間が経過して所望の膜厚のジルコニア膜が形成されたら、ガス供給部200を制御して、処理室100内へのTEMAZガス及びオゾンガスの供給を停止させる。
【0065】
次の工程である真空引き工程S40では、コントローラ800は、ガス供給部200に処理室100内へのパージガスの供給を引き続き行わせつつ、排気管バルブ134を開状態で維持させ、ポンプ136を駆動させることで、処理室100内が20Pa以下となるように処理室100内からガスを排出する。これにより、処理室100内のガスが窒素(N)に置換される。
【0066】
次の工程である基板搬出工程S50では、コントローラ800は、排気管130に備えられた排気管バルブ134に開状態を維持させつつ、処理室100内の圧力を出口側予備室50と同程度の圧力(例えば、大気圧)に復帰させる。そして、コントローラ800は、搬出装置160を制御して、搬出装置160に処理室100内から基板900を搬出させる。
【0067】
以上のように、本実施形態においては、基板処理装置10を用いて、サセプタ60に基板900が支持された状態で回転機構120によってサセプタ60を回転させ、回転している間、選択されたガスを複数の領域である領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、及び領域Hにおけるそれぞれの領域に供給することにより半導体装置(デバイス)が製造される。
【0068】
本実施形態によれば、例えば、オゾンガス、パージガス、TEMAZガス等の複数の種類のガスを基板の処理に用いる場合に、それぞれのガスへの基板900の暴露時間を調整することができる基板処理装置を提供することができる。本実施形態では、オゾンガス、窒素ガス、TEMAZガスを用いる例を説明したが、本発明はこれに限り適用可能なものではなく、本発明は、二種類以上のガスを使用するものに適用可能である。
【0069】
本発明は、特許請求の範囲に記載した通りであり、さらに次に付記した事項を含む。
【0070】
〔付記1〕
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、
前記基板支持部を回転させる回転機構と、
前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、
前記領域にガスを供給するガス供給部と、
を有し、
前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である
基板処理装置。
【0071】
〔付記2〕
前記ガス供給部は、
第一のガス供給源と、
第二のガス供給源と、
第一のガス供給ユニットと、
前記第一のガス供給源と前記第二のガス供給源との間にそれぞれバルブを有する第二のガス供給ユニットと、
第三のガス供給ユニットと、
を少なくとも有し、
前記第一のガス供給ユニット、前記第二のガス供給ユニット、及び前記第三の供給のガス供給ユニットは、前記複数の領域におけるいずれかの領域に対応するように構成されている付記1記載の基板処理装置。
【0072】
〔付記3〕
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、
前記基板支持部を回転させる回転機構と、
前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、
前記領域にガスを供給するガス供給部と、
を有し、
前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記基板支持部に基板が支持された状態で前記回転機構によって前記基板支持部を回転させ、回転している間、選択されたガスを前記複数の領域におけるそれぞれの領域に供給する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0073】
10:基板処理装置
12:筐体
60:サセプタ
62:基板支持面
80:仕切板
100:処理室
200:ガス供給部
210:供給管
214:連結用配管
240:オゾンガス供給装置
244:マスフローコントローラ
252:パージガス供給装置
254:TEMAZガス供給装置
256:パージガス供給装置
270:供給管支持部材
271:供給孔
800:コントローラ
900:基板
V バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、
前記基板支持部を回転させる回転機構と、
前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、
前記領域にガスを供給するガス供給部と、
を有し、
前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である
基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給部は、
第一のガス供給源と、
第二のガス供給源と、
第一のガス供給ユニットと、
前記第一のガス供給源と前記第二のガス供給源との間にそれぞれバルブを有する第二のガス供給ユニットと、
第三のガス供給ユニットと、
を少なくとも有し、
前記第一のガス供給ユニット、前記第二のガス供給ユニット、及び前記第三の供給のガス供給ユニットは、前記複数の領域におけるいずれかの領域に対応するように構成されている請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
複数の基板を円周方向に支持する基板支持部と、
前記基板支持部を回転させる回転機構と、
前記基板支持部の支持面上の空間に設けられた複数の領域と、
前記領域にガスを供給するガス供給部と、
を有し、
前記ガス供給部は、前記複数の領域における隣り合う領域で同じガスを供給するか、若しくは前記複数の領域における隣り合う領域で異なるガスを供給するかが選択可能な構成である基板処理装置を用いた半導体装置の製造方法であって、
前記基板支持部に基板が支持された状態で前記回転機構によって前記基板支持部を回転させ、回転している間、選択されたガスを前記複数の領域におけるそれぞれの領域に供給する半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−65791(P2013−65791A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204726(P2011−204726)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】