説明

基板処理装置

【課題】基板のダメージを低減でき、かつ、パーティクル除去性能を最大限に確保できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】制御部47は、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて、チャンバー63内を所定圧力環境とするように制御し、かつ、噴出管13から処理槽1内へ供給される純水の窒素ガス溶存量を所定溶存量となるように制御するとともに、処理槽1内に貯留された窒素ガス溶存水に付与する超音波振動の出力を所定出力値とするように制御するので、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて、チャンバー63内の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値を変更することができ、基板Wの種類に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)等の基板を薬液、純水等の処理液によって洗浄等の処理を行う基板処理装置において、基板の表面からパーティクルを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、例えば、処理液が貯留されて、この処理液中に基板が浸漬される処理槽と、処理槽の処理液中に窒素ガス(N)を溶存させるための窒素ガス供給系と、処理槽内の処理液に超音波振動を付与する超音波発生部とを備えた装置がある。この装置では、処理槽内に貯留された純水中に窒素ガスを溶存させた状態でこの処理槽内の純水に超音波振動を付与して基板の表面からパーティクルを除去する基板洗浄処理を行う(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−310456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、大気圧下状態において、処理槽内で基板が浸漬される処理液中への窒素ガスの溶存ガス量を制御するとともに、その処理液に超音波振動を付与することにより、基板の超音波洗浄処理を行っているが、微細なパターンの形成される基板が超音波振動によってダメージを受けることがあるという問題がある。
【0004】
逆に、超音波振動の付与を抑えると、パーティクル除去性能が低下してしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板のダメージを低減でき、かつ、パーティクル除去性能を最大限に確保できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、発明者が鋭意研究をした結果、次のような知見を得た。すなわち、処理液中に気体を溶存させるとともにこの気体溶存処理液に超音波を付与する洗浄処理において、パーティクル除去に貢献するのは、処理液中への気体溶存量、および、超音波付与によるキャビテーション(気泡が生じる現象)での気泡が崩壊するときの発生圧力であることを発明者は認識した。さらに、処理液中への気体溶存量の増加に連れてパーティクル除去性能は向上するが、大気圧下の飽和溶存状態でもダメージが生じるし、処理液中への気体溶存量の飽和状態付近で最もパーティクル除去性能が高くなるが、飽和後は気体がそれ以上溶存できずにマイクロバブルとなって処理液中に生じ、このマイクロバブルが超音波振動を吸収してしまい、パーティクル除去性能が低下していくことになり、折角の超音波付与が無駄に消失されているという因果関係を認識するに至った。
【0007】
また、発明者は、処理液中のキャビテーション(気泡が生じる現象)によるその気泡崩壊時の発生圧力が基板洗浄(パーティクル除去)に貢献するのであるが、その気泡崩壊発生圧力の大きさによって、微細なパターンの形成される基板にダメージを与えてしまうことがあると推認した。つまり、微細なパターンが形成されている基板が超音波振動によってダメージを受けるのは、キャビテーションでの気泡崩壊時の発生圧力によるものと推認した。ここで、キャビテーションでの気泡崩壊発生圧力について簡単に説明する。超音波付与により処理液中に生じる超音波の疎の箇所に微小気泡(真空ポケット)が形成され、超音波エネルギーでその微小気泡が膨張・圧縮を繰り返してその気泡が成長し、その成長気泡が崩壊(消滅)するときに生じる発生圧力によって基板がダメージを受けることがあると考えたのである。さらに、発明者は、処理環境圧力を変えることで、キャビテーションでの気泡崩壊発生圧力が変化することを突き止めたのである。
【0008】
さらに、発明者は、これらの認識に基づいて、処理環境圧力を変えることでキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、洗浄強度の異なる、すなわちダメージの受け易さの異なる種々の基板に対しても、ダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できるということを見出したのである。
【0009】
このような知見に基づくこの発明は次のような構成を採る。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理液で処理する基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽内の処理液に浸漬させた状態で基板を保持する保持機構と、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、前記処理液供給手段へ供給される処理液に気体を溶存させる気体溶存手段と、前記処理槽内に貯留された処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、前記処理槽を収容するチャンバーと、前記チャンバー内の圧力を調整する圧力調整部と、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて前記チャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように前記圧力調整部を制御し、かつ、前記処理液供給手段から前記処理槽内へ供給される処理液の気体溶存量を前記洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように前記気体溶存手段を制御するとともに、前記処理槽内に貯留された処理液に付与する超音波振動の出力を前記洗浄強度に応じて所定の出力値とするように前記超音波振動付与手段を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、処理槽は、処理液供給手段から供給される処理液を貯留する。気体溶存手段は、処理液供給手段から処理槽内へ供給される処理液に気体を溶存させる。超音波振動付与手段は、処理槽内に貯留された処理液に超音波振動を付与する。保持機構は、処理槽内の処理液に浸漬させた状態で基板を保持する。チャンバーは、内部に処理槽を収容する。圧力調整部は、チャンバー内の圧力を調整する。制御手段は、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じてチャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整部を制御し、かつ、処理液供給手段から処理槽内へ供給される処理液の気体溶存量を前記洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように気体溶存手段を制御するとともに、処理槽内に貯留された処理液に付与する超音波振動の出力を前記洗浄強度に応じて所定の出力値とするように超音波振動付与手段を制御する。したがって、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて、処理槽の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値が変更されるので、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0011】
例えば、ダメージの受け易い種類の基板である場合には、処理槽の圧力値を低くし、処理液の気体溶存量を飽和状態とするとともに、超音波振動の出力を小さくするので、キャビテーションによる気泡成長期間が短くかつ崩壊し易くなり、その気泡崩壊の発生圧力が小さくでき、小さい発生圧力のためダメージ力を小さくできる。また、処理液の気体溶存量を飽和状態としているので、溶存気体によるパーティクルの除去性能も最大限に維持できる。これとは逆に、ダメージの受け難い種類の基板である場合には、処理槽の圧力値を高くし、処理液の気体溶存量を飽和状態とするとともに、超音波振動の出力を大きくするので、キャビテーションによる気泡成長期間が長くかつ崩壊し難くなり、その気泡崩壊の発生圧力が大きくでき、大きい発生圧力のためより強力にパーティクル除去ができ、ダメージの受け難い基板であるため気泡崩壊発生圧力が大きくてもダメージを受けないし、処理液の気体溶存量を飽和状態としているので、溶存気体によるパーティクルの除去性能を最大限に確保でき、大気圧下に比してパーティクルの除去性能を向上できる。
【0012】
また、上記ではバッチ式の基板処理装置について説明したが、枚葉式の基板処理装置についても適用可能である。つまり、基板を処理液で処理する基板処理装置において、基板を水平姿勢で保持する保持機構と、前記保持機構で保持される基板に処理液を供給する処理液供給手段と、前記処理液供給手段へ供給される処理液に気体を溶存させる気体溶存手段と、前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、前記保持機構を収容するチャンバーと、前記チャンバー内の圧力を調整する圧力調整部と、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて前記チャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように前記圧力調整部を制御し、かつ、前記処理液供給手段から前記チャンバー内の基板へ供給される処理液の気体溶存量を前記洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように前記気体溶存手段を制御するとともに、前記チャンバー内の基板に供給される処理液に付与する超音波振動の出力を前記洗浄強度に応じて所定の出力値とするように前記超音波振動付与手段を制御する制御手段と、を備えていることが好ましい(請求項2)。このような枚葉式の基板処理装置においても、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて、処理部の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値が変更されるので、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0013】
また、本発明において、前記洗浄強度は、基板のダメージ受け易さの程度で区分けした複数の種類を有し、前記複数の種類が入力される入力手段と、前記複数の種類ごとに、所定の圧力値と所定の気体溶存量と所定の超音波振動出力値とが記憶された記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記入力手段に入力された前記種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値を、前記記憶手段から読み出し、この読み出した圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値となるように前記圧力調整部、前記気体溶存手段および前記超音波振動付与手段を制御することが好ましい(請求項3)。入力手段に入力された前記種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値で、前記圧力調整部、前記気体溶存手段および前記超音波振動付与手段を制御でき、ダメージの受け易さの異なる各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0014】
また、本発明において、気体供給源と、前記気体供給源に接続され、前記気体供給源からの気体を第1供給ラインと第2供給ラインとに分岐出力する供給ラインと、をさらに備え、前記気体溶存手段は、前記第1供給ラインからの気体を処理液に溶存させて前記処理液供給手段へ気体が溶存された処理液を供給する気体溶存ユニットを備え、前記圧力調整部は、前記第2供給ラインからの気体が供給され、前記チャンバー内を所定の圧力環境とすることが好ましい(請求項4)。気体供給源からの気体を供給ラインで気体溶存ユニットとチャンバーとに分岐供給することができ、気体溶存ユニット用の気体供給ラインとチャンバー用の気体供給ラインとを別個独立に設ける必要が無く、気体供給系の利用効率を高めることができるだけでなく、装置構成が複雑化することがない。
【0015】
また、本発明において、気体は、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、水素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガスまたは空気であり、処理液は、純水、アンモニア水、アンモニア水−過酸化水素水からなる液または塩酸−過酸化水素水からなる液または処理液に界面活性剤を添加した液であることが好ましい(請求項5)。基板のダメージを低減でき、かつ、パーティクル除去性能を最大限に確保できる気体溶存処理液を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御手段は、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じてチャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整部を制御し、かつ、処理液供給手段から処理槽内へ供給される処理液の気体溶存量を洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように気体溶存手段を制御するとともに、処理槽内に貯留された処理液に付与する超音波振動の出力を洗浄強度に応じて所定の出力値とするように超音波振動付与手段を制御する。したがって、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて、処理槽の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値が変更されるので、処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【実施例1】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
【0018】
実施例1に係る基板処理装置は、処理槽1、処理液供給系15、気体溶存ユニット25、チャンバー63および制御部47を備えている。以下に、これらの構成について説明する。
【0019】
処理槽1は、チャンバー63内に収容されており、内槽3と外槽5を備えている。内槽3は、処理液を貯留し、保持アーム7により保持された基板Wを収容可能である。複数枚の基板Wは、保持アーム7に起立姿勢で整列された状態で保持され、保持アーム7によって内槽3に対して搬入・搬出される。保持アーム7は、板状のアーム9と、このアーム9の下部においてアーム9に対して直交する方向に配設され、基板Wの下縁に当接して基板Wを支持する3本の支持部材11とを備えている。この保持アーム7は、基板Wを保持しつつ内槽3内の処理位置と、内槽3の上方にあたる待機位置とにわたって昇降可能である。内槽3は、純水等の処理液を貯留し、内槽3から溢れた処理液が内槽3の上部外周を囲うように設けられた外槽5によって回収される。内槽3の底部両側には、内槽3へ処理液を供給する二本の噴出管13が配設されている。外槽5の底部には、排出口16が形成されており、内槽3から溢れて外槽5に回収された処理液が排出口16から排液される。
【0020】
処理液供給系15は、処理槽1に処理液を供給するものであり、噴出管13に連通接続されている。具体的には、処理液供給系15は、その上流から順に、純水供給源19、制御弁21および気体溶存ユニット25を備えている。つまり、上流側一端が純水供給源19に連通接続された配管27には、流量が調整可能な制御弁21が配設され、この制御弁21の下流側に連通接続された配管31に気体溶存ユニット25の液体供給口25aが連通接続され、純水供給源19からの純水が気体溶存ユニット25の液体供給口25aに供給され、気体溶存ユニット25の下流側に連通接続された供給管17の下流側一端が噴出管13に連通接続されている。気体溶存ユニット25は、液体供給口25aに供給された純水に、気体供給源33からの気体(例えば、窒素ガス(N))を溶存させた処理液(例えば、窒素ガス溶存水)を生成し、この処理液を供給管17を介して噴出管13に供給する。
【0021】
また、気体供給源33は、分岐配管35の上流側一端が連通接続されている。つまり、この分岐配管35の供給側が気体供給源33に連通接続され、気体供給源33からの気体(例えば、窒素ガス)を第1供給配管35aと第2供給配管35bとに分岐して供給する。第1供給配管35aの下流側一端には、流量が調整可能な制御弁37が連通接続され、この制御弁37の下流側に連通接続された配管39の下流側一端には気体溶存ユニット25の気体供給口25bが連通接続されている。また、第2供給配管35bの下流側一端には、流量が調整可能な制御弁41が連通接続され、この制御弁41の下流側に連通接続された配管43の下流側一端には圧力調整ユニット45が連通接続されている。
【0022】
処理槽1の下方には、伝搬槽53が配置されており、この伝搬槽53の底部の裏面に超音波振動子55が設けられている。伝搬槽53には、超音波振動を伝搬するための伝搬液が貯留されている。超音波振動子55を動作させると超音波振動が発生し、その超音波振動は、伝搬槽53の底部、伝搬液、処理槽1の底部、処理槽1の内部の処理液(窒素ガス溶存水)を順に振動させ、基板Wの表面まで伝搬する。
【0023】
チャンバー63は、その内部に、処理槽1を備え、チャンバー63内の基板処理環境を所定の圧力環境することが可能なものである。圧力調整ユニット45は、チャンバー63の内部を、大気圧下や、この大気圧よりも高い加圧環境や、大気圧よりも低い減圧環境とするものである。
【0024】
また、チャンバー63の内部には圧力計65が配設されている。さらに、チャンバー63の所定箇所には、そのチャンバー63の内部気体を排出するための排気用配管71と、この排気用配管71の下流側一端に連通された排気制御弁73および真空ポンプ75とが配設されている。圧力計65により計測されたチャンバー63の内部圧力値が圧力調整ユニット45に出力されている。
【0025】
制御部47は、上述した保持アーム7の昇降、制御弁21,37,41、圧力調整ユニット45、気体溶存ユニット25および超音波振動子55を統括的に制御するものである。また、制御部47は、処理手順を規定したレシピが入力指示される入力指示部77が接続され、この入力指示部77に入力されたレシピ等の入力情報に従って基板Wに所定の洗浄処理を施すように上記の統括的制御を実行する。制御部47は、処理手順を規定したレシピを記憶するメモリ47a、マイクロプロセッサ、カウンタ・タイマなどを備えている。
【0026】
また、内槽3内には濃度計67が配設されており、この濃度計67は、内槽3内の純水の窒素ガス溶存濃度値が制御部47に出力する。
【0027】
また、制御部47は、処理しようとする基板Wに対する洗浄強度となるダメージ受け易さの種類に応じてチャンバー63の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整ユニット45を制御し、かつ、噴出管13から処理槽1内へ供給される純水の窒素ガス溶存量を前記種類に応じて所定の溶存量となるように気体溶存ユニット25を制御するとともに、処理槽1内に貯留された処理液(例えば、窒素ガス溶存水)に付与する超音波振動の出力を前記種類に応じて所定の出力値とするように超音波振動子55を制御するようになっている。
【0028】
また、処理しようとする基板Wの種類としては、基板Wのダメージ受け易さの程度で区分けした複数個の種類が挙げられる。制御部47のメモリ47aには、その複数個の種類ごとに、所定の圧力値と所定の気体溶存量と所定の超音波振動出力値とが対応して記憶されている。
【0029】
ここで、図3を用いてもう少し具体的に説明する。図3は、制御部47のメモリ47aに記憶されているデータであって、各レシピにおける基板Wのダメージ受け易さの程度の違いとそのときの各種設定値を示す図である。図3に示すように、例えば、レシピ「A」〜「D」の順番に、基板Wのダメージ受け易さの程度が「極大」、「大」、「中」および「小」で区分けされている場合を例に挙げて説明する。
【0030】
図3に示すように、レシピ「A」は、最もダメージを受け易い基板Wの場合であり、洗浄強度を最も弱くする必要がある。この場合、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「小」で、チャンバー63の圧力値が「小」で、純水への窒素ガス溶存濃度が「小」で飽和させる場合を示している。また、レシピ「D」は、最もダメージを受け難い基板Wの場合であり、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「超大」で、チャンバー63の圧力値が「超大」で、純水への窒素ガス溶存濃度が「超大」で飽和させる場合を示している。なお、ここでの「極大」、「大」、「中」および「小」はその比較程度を容易できるように説明の便宜上用いた表現であり、具体的には、ダメージ受け易さの異なる各種サンプル基板を用いて実験を繰り返すことで、この種類の基板ごとの最適な各値(圧力値、気体溶存量、超音波振動出力値)を、事前に取得することが可能である。
【0031】
制御部47は、入力指示部77に入力されたレシピで特定される前記種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値を、メモリ47aから読み出し、この読み出した圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値となるように圧力調整ユニット45、気体溶存ユニット25および超音波振動子55を制御する。
【0032】
なお、上記保持アーム7が本発明における保持機構に相当し、上記噴出管13が本発明における処理液供給手段に相当し、上記気体供給源33、分岐配管35および気体溶存ユニット25が本発明の気体溶存手段に相当し、上記超音波振動子55が本発明における超音波振動付与手段に相当し、上記チャンバー63が本発明におけるチャンバーに相当し、上記圧力調整ユニット45が本発明における圧力調整部に相当し、上記の制御部47が本発明における制御手段に相当する。
【0033】
次に、上述した構成の基板処理装置でのパーティクル除去処理の動作について、図2も用いて説明する。図2は、パーティクル除去処理を示すフローチャートである。
【0034】
なお、この実施例1では、レシピ等の入力情報が予め入力指示部77に入力されており、このレシピに従って洗浄処理を行うようになっており、基板Wは、処理槽1に貯留された所定の薬液に浸漬されて薬液処理されており、その後のパーティクル除去処理について説明するものとし、基板Wは保持アーム7に保持されたまま内槽3内の処理位置に移動されている状態のままであるとする。
【0035】
ステップS1では、制御部47は、噴出管13から処理槽1に純水を供給させ、内槽3内の薬液を純水に置換するよう制御する。
【0036】
具体的には、制御部47は、制御弁21を開いて、純水を噴出管13から処理槽1内に供給させ、内槽3から薬液を外槽5に溢れ出させて、内槽3内を純水に置換させる(図2のステップS1)。
【0037】
なお、内槽3の底面の排出孔(図示省略)に連通接続されている排出管(図示省略)の制御弁(図示省略)を開いて内槽3内の薬液を一気に排出した後に、内槽3内に純水を供給するようにしてもよい。
【0038】
ステップS2では、制御部47は、チャンバー63内の基板処理環境を、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて所定の圧力環境とするようにチャンバー63を制御する。具体的には、制御部47は、入力指示部77に入力されたレシピで特定される処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて、チャンバー63の内部を所定の圧力環境となるように圧力調整ユニット45を制御する。レシピ「D」の場合には、最もダメージを受け難い基板Wの場合つまり、洗浄強度を最も強くする場合であり、チャンバー63の圧力値が「超大」とする。
【0039】
具体的には、制御部47は、例えば図3に示すレシピ「A」の場合には、最もダメージを受け易い基板Wの場合であり、レシピ「A」の指示に基づきチャンバー63を所定の減圧環境(チャンバー63の圧力値を「小」)とする。つまり、制御弁37および制御弁41を閉止し、排気制御弁73を開放し、真空ポンプ75を動作させてとチャンバー63内に窒素ガスを排気させて、チャンバー63を所定の圧力値となるまで減圧していく。チャンバー63内に設けられた圧力計65が前記の減圧値となるまで減圧し、前記の減圧値となると、制御弁41を閉止する(図2のステップS2)。
【0040】
また、制御部47は、例えば図3に示すレシピ「D」の場合であれば、最もダメージを受け難い基板Wの場合であり、レシピ「D」の指示に基づきチャンバー63を所定の加圧環境(チャンバー63の圧力値を「超大」)とする。つまり、排気制御弁73を閉鎖し、圧力調整ユニット45の方の制御弁41を開いて、圧力調整ユニット45を介してチャンバー63内に窒素ガスを供給させて、チャンバー63を所定の加圧値となるまで加圧していく。チャンバー63内に設けられた圧力計65が前記の加圧値となるまで加圧し、前記の加圧値となると、制御弁41を閉止する(図2のステップS2)。
【0041】
ステップS3では、制御部47は、処理液を処理槽1に供給させてオーバーフローさせて、処理槽1の純水を、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じた所定濃度の処理液に置換させる。なおこのとき、チャンバー63内は前述したように処理しようとしている基板に応じた圧力環境状態が維持されている。レシピ「A」の場合には、最もダメージを受け易い基板Wの場合であり、チャンバー63の圧力値が「小」で維持され、純水への窒素ガス溶存濃度が「小」で飽和させる。レシピ「D」の場合であれば、最もダメージを受け難い基板Wの場合であり、チャンバー63の圧力値が「超大」で維持され、純水への窒素ガス溶存濃度が「超大」で飽和させる。
【0042】
具体的には、制御部47は、純水供給源19からの純水を気体溶存ユニット25の液体供給口25aに供給させるとともに、制御弁37を開いて気体供給源33からの気体を気体溶存ユニット25の気体供給口25bに供給させて、処理液を処理槽1に供給させてオーバーフローさせて、処理槽1の純水を処理液に置換させる(図2のステップS3)。
【0043】
内槽3内に配設された濃度計67で計測された濃度値は、制御部47に出力されている。制御部47は、その濃度値が所定の飽和値となることをモニタしている。
【0044】
ステップS4では、制御部47は、濃度計67の濃度値が飽和値となると、処理槽1内に貯留された処理液に対して超音波振動を、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じた超音波振動出力値で所定時間にわたって付与するように超音波振動子55を動作させる。レシピ「A」の場合には、最もダメージを受け易い基板Wの場合であり、チャンバー63の圧力値が「小」で維持され、純水への窒素ガス溶存濃度が「小」で飽和され、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「小」で超音波振動される。レシピ「D」の場合であれば、最もダメージを受け難い基板Wの場合であり、チャンバー63の圧力値が「超大」で維持され、純水への窒素ガス溶存濃度が「超大」で飽和され、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「超大」で超音波振動される。なおこのとき、処理液の処理槽1へのオーバーフロー供給も維持しており、溶存窒素ガスや超音波振動によって基板表面から除去されたパーティクルがオーバーフロー流れに従って外槽5の方に案内されて内槽3内から排除されていく。
【0045】
ステップS4での処理液への超音波付与が所定時間行われると、パーティクル除去処理が終了する。なおこの後、基板Wを引き上げて所定の乾燥処理を行うなどしてもよい。
【0046】
上述したように、制御部47は、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じてチャンバー63内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整ユニット45を制御し、かつ、噴出管13から処理槽1内へ供給される純水の窒素ガス溶存量を種類に応じて所定の溶存量となるように気体溶存ユニット25を制御するとともに、処理槽1内に貯留された処理液に付与する超音波振動の出力を種類に応じて所定の出力値とするように超音波振動子55を制御するので、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて、処理槽1の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値を変更することができ、処理しようとする基板Wの種類に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0047】
例えば、図3に示すように、レシピ「A」は、最もダメージを受け易い基板Wの場合であり、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「小」で、チャンバー63の圧力値が「小」で、純水への窒素ガス溶存濃度が「小」で飽和させており、キャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を「小」とすることができ、図4に示すように、他のレシピの場合に比してやや劣るものの、窒素ガス溶存濃度が「小」で飽和させているのでパーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0048】
これとは逆に、図3に示すように、レシピ「D」は、最もダメージを受け難い基板Wの場合であり、超音波振動子55での超音波出力(振幅)が「超大」で、チャンバー63の圧力値が「超大」で、純水への窒素ガス溶存濃度が「超大」で飽和させており、キャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を「超大」とすることができ、図4に示すように、窒素ガス溶存濃度が「超大」で飽和させているのでパーティクル除去性能を最大限に確保でき、しかも他のレシピの場合に比して最も向上させることができる。
【0049】
また、基板Wの種類は、基板Wのダメージ受け易さの程度で区分けした複数個の種類からなり、種類を示すレシピが入力される入力指示部77と、複数個の種類ごとに、所定の圧力値と所定の気体溶存量と所定の超音波振動出力値とが記憶されたメモリ47aとを備え、制御部47は、入力指示部77に入力されたレシピで特定される種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値を、メモリ47aから読み出し、この読み出した圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値となるように圧力調整ユニット45、気体溶存ユニット25および超音波振動子55を制御するので、入力指示部77に入力されたレシピで特定される種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値で、圧力調整ユニット45、気体溶存ユニット25および超音波振動子55を制御でき、ダメージの受け易さの異なる各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0050】
また、気体供給源33と、この気体供給源33に接続され、気体供給源33からの気体を第1供給配管35aと第2供給配管35bとに分岐して供給する分岐配管35と、をさらに備え、第1供給配管35aからの気体を処理液に溶存させて噴出管13へ気体が溶存された処理液を供給する気体溶存ユニット25を備え、圧力調整ユニット45は、第2供給配管35bからの気体が供給され、チャンバー63内を所定の圧力環境とするので、気体供給源33からの気体を分岐配管35で気体溶存ユニット25とチャンバー63とに分岐供給することができ、気体溶存ユニット用の気体供給ラインとチャンバー用の気体供給ラインとを別個独立に設ける必要が無く、気体供給系の利用効率を高めることができるだけでなく、装置構成が複雑化することがない。
【実施例2】
【0051】
次に、図5を参照して本発明の実施例2を説明する。
図5は、実施例2に係る枚葉式の基板処理装置の概略構成図である。なお、上述した実施例1と同様の構成については同符号を付すことにより詳細な説明については省略する。
【0052】
前述した実施例1では、図1に示すように、処理槽1に複数枚の基板Wを処理液に浸漬して処理するバッチ式の基板処理装置を例に挙げて説明しているが、この実施例2では、図5に示すように、一枚の基板Wごとに処理液で処理する枚葉式の基板処理装置としている点が、前述の実施例1とは異なっている。
【0053】
前述の実施例1と同様に、処理しようとする基板Wが図示省略の基板搬送機構で処理部80に搬送され(図5参照)、この処理部80で基板Wの超音波洗浄処理が行われるようになっている。
【0054】
処理部80は、図5に示すように、基板Wを一枚ずつ処理する、いわゆる枚葉式の処理部である。処理部80は、基板Wを水平姿勢で支持するチャック81(保持機構)と、このチャック81の下端部に連結された回転軸83と、この回転軸83を回転駆動するモータ85(駆動部)と、チャック81の周囲を囲う飛散防止カップ87とを備えている。飛散防止カップ87は、基板Wから周囲に飛散する処理液を回収する。また、飛散防止カップ87は、チャック81に対して昇降可能になっている。
【0055】
また、処理部80は、図5に示すように、気体溶存ユニット25からの処理液に超音波を付与して出力する超音波ノズル89を備えている。
【0056】
具体的には、超音波ノズル89は、供給管17の下流側に連通接続されている。また、この供給管17の途中に制御弁91が連通接続されている。
【0057】
制御部47は、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて処理部80の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整ユニット45を制御し、かつ、超音波ノズル89から基板Wに供給される純水の窒素ガス溶存量を前記種類に応じて所定の溶存量となるように気体溶存ユニット25を制御するとともに、処理液に付与する超音波振動の出力を前記種類に応じて所定の出力値とするように超音波ノズル89での超音波発生部(図示省略)を制御して、処理部80内でチャック81により水平姿勢で回転される基板Wに超音波ノズル89からの処理液が吐出されるようになっている。
【0058】
なお、上記チャック81が本発明における保持機構に相当し、上記超音波ノズル89が本発明における処理液供給手段および超音波振動付与手段に相当する。
【0059】
上述したように、実施例2によれば、基板Wを水平姿勢で保持するチャック81と、このチャック81で保持される基板Wに、超音波振動を付与した処理液を供給する超音波ノズル89と、この超音波ノズル89から基板Wに供給される処理液に気体を溶存させる気体溶存ユニット25と、チャック81を収容するチャンバー63と、このチャンバー63内の処理部80の基板処理環境の圧力を調整する圧力調整ユニット45と、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて処理部80の基板処理環境を所定の圧力環境とするように圧力調整ユニット45を制御し、かつ、超音波ノズル89から処理部80内の基板Wへ供給される処理液の気体溶存量を種類に応じて所定の溶存量となるように気体溶存ユニット25を制御するとともに、処理部80内の基板Wに供給される処理液に付与する超音波振動の出力を種類に応じて所定の出力値とするように超音波ノズル89の超音波発生部(図示省略)を制御する制御部47と、を備えているので。このような枚葉式の基板処理装置においても、処理しようとする基板Wのダメージ受け易さの種類に応じて、処理部80の圧力値、処理液の気体溶存量および超音波振動の出力値が変更されるので、処理しようとする基板Wの種類に応じてキャビテーションでの気泡崩壊発生圧力を調整でき、処理液の気体溶存量を飽和溶存量とすることができ、各種の基板に対してもダメージを低減できるだけでなく、パーティクル除去性能を最大限に確保できる。
【0060】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0061】
(1)上述した各実施例では、図1,図5に示すように純水供給源19を使用していたが、これに替えて、薬液供給源を採用してもよい。
【0062】
(2)上述した各実施例では、気体として窒素ガスを例に挙げて説明しているが、酸素ガス(O2)、アルゴンガス(Ar)、水素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガスまたは空気などを採用してもよい。
【0063】
(3)上述した実施例1では、内槽3内に濃度計67を配設しているが、濃度計67を内槽3から排除し、気体溶存ユニット25内に設けるようにして所定量の気体溶存処理液を処理槽1に供給することで、処理槽1内の処理液が所定の濃度となっているとしてもよい。
【0064】
(4)上述した各実施例では、チャンバー63内に圧力計65を設けているが、チャンバー63内に圧力計65を設けず、配管43に流量計を設け、チャンバー63に供給される気体(例えば、窒素ガス)量とチャンバー63からの排出ガス量との比較でもってチャンバー63内の圧力を判定するような構成を採用してもよい。
【0065】
(5)上述した実施例2では、超音波ノズル89を採用しているが、処理液を供給するノズルと、このノズルとは別体で、基板Wの表面に供給された処理液に超音波を付与する超音波付与ユニットを設けるようにしてもよい。
【0066】
(6)上述した各実施例では、処理液として純水を例に挙げて説明しているが、アンモニア水、アンモニア水−過酸化水素水からなる液または塩酸−過酸化水素水からなる液または前記処理液に界面活性剤を添加した液などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成図である。
【図2】パーティクル除去処理を示すフローチャートである。
【図3】制御部のメモリに記憶されているデータであって、各レシピにおける基板のダメージ受け易さの程度の違いとそのときの各種設定値を示す図である。
【図4】各レシピでのパーティクル除去特性を示す図である。
【図5】実施例2に係る基板処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0068】
W … 基板
1 … 処理槽
3 … 内槽
5 … 外槽
7 … 保持アーム(保持機構)
9 … アーム
13 … 噴出管(処理液供給手段)
25 … 気体溶存ユニット(気体溶存手段)
33 … 気体供給源(気体溶存手段)
35 … 分岐配管(気体溶存手段)
45 … 圧力調整ユニット(圧力調整部)
47 … 制御部(制御手段)
55 … 超音波振動子(超音波振動付与手段)
63 … チャンバー部(チャンバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液で処理する基板処理装置において、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽内の処理液に浸漬させた状態で基板を保持する保持機構と、
前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記処理液供給手段へ供給される処理液に気体を溶存させる気体溶存手段と、
前記処理槽内に貯留された処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、
前記処理槽を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内の圧力を調整する圧力調整部と、
処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて前記チャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように前記圧力調整部を制御し、かつ、前記処理液供給手段から前記処理槽内へ供給される処理液の気体溶存量を前記洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように前記気体溶存手段を制御するとともに、前記処理槽内に貯留された処理液に付与する超音波振動の出力を前記洗浄強度に応じて所定の出力値とするように前記超音波振動付与手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理液で処理する基板処理装置において、
基板を水平姿勢で保持する保持機構と、
前記保持機構で保持される基板に処理液を供給する処理液供給手段と、
前記処理液供給手段へ供給される処理液に気体を溶存させる気体溶存手段と、
前記処理液供給手段から基板に供給される処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、
前記保持機構を収容するチャンバーと、
前記チャンバー内の圧力を調整する圧力調整部と、
処理しようとする基板に対する洗浄強度に応じて前記チャンバー内の基板処理環境を所定の圧力環境とするように前記圧力調整部を制御し、かつ、前記処理液供給手段から前記チャンバー内の基板へ供給される処理液の気体溶存量を前記洗浄強度に応じて所定の溶存量となるように前記気体溶存手段を制御するとともに、前記チャンバー内の基板に供給される処理液に付与する超音波振動の出力を前記洗浄強度に応じて所定の出力値とするように前記超音波振動付与手段を制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記洗浄強度は、基板のダメージ受け易さの程度で区分けした複数の種類を有し、
前記複数の種類が入力される入力手段と、
前記複数の種類ごとに、所定の圧力値と所定の気体溶存量と所定の超音波振動出力値とが記憶された記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記入力手段に入力された前記種類に応じた圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値を、前記記憶手段から読み出し、この読み出した圧力値、気体溶存量および超音波振動出力値となるように前記圧力調整部、前記気体溶存手段および前記超音波振動付与手段を制御する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板処理装置において、
気体供給源と、
前記気体供給源に接続され、前記気体供給源からの気体を第1供給ラインと第2供給ラインとに分岐出力する供給ラインと、をさらに備え、
前記気体溶存手段は、前記第1供給ラインからの気体を処理液に溶存させて前記処理液供給手段へ気体が溶存された処理液を供給する気体溶存ユニットを備え、
前記圧力調整部は、前記第2供給ラインからの気体が供給され、前記チャンバー内を所定の圧力環境とする
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置において、
前記気体は、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、水素ガス、ヘリウムガス、炭酸ガスまたは空気であり、
前記処理液は、純水、アンモニア水、アンモニア水−過酸化水素水からなる液または塩酸−過酸化水素水からなる液または前記処理液に界面活性剤を添加した液であることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−54919(P2009−54919A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222330(P2007−222330)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】