説明

基板処理装置

【課題】装置の占有面積を抑制しながら、基板処理速度を向上する。
【解決手段】基板処理装置10は、基板処理部と、払出機構70と、搬入機構71と、プッシャ6と、主搬送機構3とを含む。基板処理部は、複数枚の基板Wに対して一括して処理を施す。払出機構70は、払出チャック73を基板移載位置Sと基板受け渡し位置Pとの間で第1横行経路101に沿って横行させる。搬入機構71は、搬入チャック74を基板移載位置Sと基板受け渡し位置Pとの間で第1横行経路101よりも下方の第2横行経路102に沿って横行させる。プッシャ6は、昇降保持部105を基板移載位置Sにおいて昇降させる。主搬送機構3は、基板受け渡し位置Pと前記基板処理部との間で複数枚の基板Wを一括して搬送する。払出チャック73、搬入チャック74および昇降保持部105は、それぞれ、複数枚の基板Wを一括して保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数枚の基板に対して一括して処理を施す基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ等の基板に対して薬液を用いた処理を施す基板処理装置には、複数枚の基板に対して一括して処理を施すバッチ式のものがある。バッチ式の基板処理装置の一例は、下記特許文献1に示されている。この基板処理装置は、キャリヤ載置部、水平移載ロボット、姿勢変換機構、プッシャ、主搬送機構、および基板処理部を備えている。
キャリヤ載置部は、複数枚の基板を水平姿勢で垂直方向に積層した状態で保持するキャリヤ(収容器)を載置する。
【0003】
水平移載ロボットは、多関節アーム型の搬送ロボットで構成され、多関節アームを伸縮させ、かつ、鉛直軸線まわりに旋回させるように構成されている。これにより、水平移載ロボットは、多関節アームをキャリヤに向けて、このキャリヤに対して、水平姿勢で垂直方向に積層された複数枚の基板を出し入れし、さらに、多関節アームを姿勢変換機構に向けて、この姿勢変換機構に対して、水平姿勢で垂直方向に積層された複数枚の基板の受け渡しを行う。
【0004】
姿勢変換機構は、複数枚の積層された基板を一括して水平姿勢と垂直姿勢との間で姿勢変換させるためのものである。
プッシャは、上下動および水平移動が可能なホルダを備え、姿勢変換機構との間で垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡し、主搬送機構との間で垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡しする。ホルダは、姿勢変換機構が保持する複数枚の基板のピッチの半分のピッチで基板を保持する。たとえば、姿勢変換機構から25枚の基板がホルダに渡された後に、ホルダが基板積層方向に沿う水平方向に微小距離だけ移動させられる。その状態で、姿勢変換機構から別の25枚の基板がホルダに渡される。後で渡された25枚の基板は、先に渡された25枚の基板の間に入り込み、合計で50枚の基板からなるバッチがホルダ上に形成される。このように複数の基板群を組み合わせてバッチを形成することをバッチ組みという。プッシャから姿勢変換機構に基板を渡すときは、ホルダに保持された50枚の基板のうちの25枚が姿勢変換機構に渡され、この25枚の基板が水平姿勢に姿勢変換された後に、水平移載ロボットに渡される。その後、ホルダ上の残りの25枚の基板が姿勢変換機構に渡され、水平姿勢に姿勢変換された後、水平移載ロボットによって払い出される。こうして、50枚の基板が25枚ずつの2つの基板群に分離される。このように、バッチを形成している複数枚の基板を複数の基板群に分離することをバッチ解除という。
【0005】
主搬送機構は、バッチを形成する複数枚の基板を垂直姿勢で保持する基板チャックを有し、この基板チャックを水平方向に移動させることによって、バッチを構成する複数枚の基板を基板処理部に対して搬入/搬出するものである。基板チャックを洗浄するために、たとえば、プッシャと主搬送機構との間での基板受け渡し位置の下方には、チャック洗浄ユニットが設けられる。
【0006】
基板処理部は、主搬送機構の移動方向に沿って配置された複数の処理部を有する。処理部には、薬液槽、水洗槽、および乾燥部が含まれる。薬液槽は、垂直姿勢の複数枚の基板を槽内に貯留された薬液中に浸漬させ、複数枚の基板に対して一括して薬液処理を施すものである。水洗槽は、垂直姿勢の複数枚の基板を槽内に貯留された純水(脱イオン水)中に浸漬して、複数枚の基板に対して一括して水洗(リンス)処理を施すものである。乾燥部は、有機溶剤(たとえば、イソプロピルアルコール)を供給したり、液成分を振り切ったりする処理を、複数枚の基板に対して一括して施すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−354604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の先行技術に係る基板処理装置では、プッシャから主搬送機構への基板搬送経路が1系統であるので、未処理基板を主搬送機構へと送り込むときには、主搬送機構からプッシャへと処理済み基板を払い出すことができず、また、処理済み基板を払い出すときには、未処理基板を送り込むことができない。しかも、未処理基板を主搬送機構に送り込むときには、プッシャのホルダ上でのバッチ組み動作が必要であるから、主搬送機構は、処理済み基板を払い出すまでに長時間の待機を余儀なくされる場合がある。
【0009】
プッシャを追加して、一つのプッシャを姿勢変換機構から主搬送機構への往路搬送に用い、他のプッシャを主搬送機構から姿勢変換機構への復路搬送に用いることが考えられる。しかし、このような構成とすると、装置の占有面積(フットプリント)の増加は免れない。
そこで、この発明の目的は、装置の占有面積を抑制しながら、基板処理速度を向上することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、垂直姿勢の複数枚の基板に対して一括して処理を施す基板処理部と、垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する第1横行保持部を、基板移載位置と基板受け渡し位置との間で、第1横行経路に沿って横行させる第1横行機構と、垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する第2横行保持部を、前記基板移載位置と前記基板受け渡し位置との間で、前記第1横行経路よりも下方の第2横行経路に沿って横行させる第2横行機構と、垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する昇降保持部を、前記基板移載位置において昇降させる昇降機構と、前記基板受け渡し位置と前記基板処理部との間で、垂直姿勢の複数枚の基板を一括して搬送する主搬送機構とを含む、基板処理装置である。
【0011】
この構成によれば、基板移載位置と基板受け渡し位置との間の基板の搬送は、第1横行機構および第2横行機構とによって、上下に配置された第1および第2横行経路を通って行われる。すなわち、2系統の搬送経路で基板移載位置と基板受け渡し位置との間の基板搬送を行うことができる。これにより、基板移載位置から基板受け渡し位置への基板搬送を第1および第2横行機構のいずれか一方によって行うとともに、基板受け渡し位置から基板移載位置への基板の搬送を第1および第2横行機構の他方によって行うことができる。
【0012】
たとえば、基板処理部で処理された処理済み基板は、主搬送機構によって基板受け渡し位置に搬送され、この基板受け渡し位置で第1横行保持部に受け渡される。第1横行保持部は、第1横行経路を通って基板移載位置まで横行する。この基板移載位置において、昇降機構の昇降保持部が昇降することによって、第1横行保持部に保持された基板が昇降保持部に移載される。
【0013】
一方、未処理の基板を搬入するときは、第2横行保持部が基板移載位置まで移動させられる。そして、昇降保持部に予め保持させておいた未処理基板が、この昇降保持部の昇降によって、第2横行保持部に移載される。その後、第2横行保持部は、移載位置から基板受け渡し位置まで横行する。そして、この基板受け渡し位置において、第2横行保持部に保持されている基板が主搬送機構に受け渡され、主搬送機構はその基板を基板処理部へと搬送する。
【0014】
したがって、主搬送機構は、処理済み基板を第1横行保持部に払い出した後に、未処理基板を第2横行保持部から受け取るように動作することができ、基板受け渡し位置への未処理基板の搬入完了を待つことなく、処理済み基板を払い出すことができる。その結果、基板の搬送の滞留を抑制できるので、基板処理速度を向上することができる。
しかも、第1および第2横行機構は、上下に設定された第1および第2横行経路を通って第1および第2横行保持部を横行させるので、搬送経路を2系統設けているにもかかわらず、装置の占有面積を抑制することができる。
【0015】
前記第1横行機構は、処理済み基板の搬出専用とし、前記第2横行機構は未処理基板の搬入専用とすることが好ましい。これにより、処理済み基板を上方の経路を通って搬送できるので、処理済み基板を清浄な状態に保持することができる。
請求項2記載の発明は、水平姿勢の複数枚の基板を一括して水平姿勢から垂直姿勢へ姿勢変換させて、前記基板移載位置にある前記昇降機構に受け渡すとともに、前記基板移載位置にある前記昇降機構に垂直姿勢で保持された複数枚の基板を一括して受け取って、垂直姿勢から水平姿勢へ姿勢変換させる姿勢変換機構をさらに含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0016】
この構成において、請求項3に記載されているように、前記基板処理装置が、水平姿勢の複数枚の基板を収容する収容器を保持する収容器保持部と、前記収容器保持部に保持された収容器に対して水平姿勢の複数枚の基板を一括して搬出入し、前記姿勢変換機構との間で水平姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡しする搬出入機構とをさらに含むことが好ましい。
【0017】
この構成により、水平姿勢で複数枚の基板を収容する収容器から複数枚の基板を一括して取り出して処理することができる。また、処理後の複数枚の基板を収容器に収容することができる。
請求項4記載の発明は、前記搬出入機構と前記昇降機構との間の第1基板搬送経路と、前記昇降機構と前記基板受け渡し位置との間の第2基板搬送経路とが、所定の角度をなして交差しており、前記第1および第2基板搬送経路の交差点に前記昇降機構が配置されている、請求項3記載の基板処理装置である。
【0018】
この構成により、第1基板搬送経路と第2基板搬送経路とが直線状に連なっている場合に比較して、搬出入機構の設置スペースを確保しやすくなる。その結果、装置の占有面積を削減できる。さらに、搬出入機構、姿勢変換機構、昇降機構および基板受け渡し位置の位置合わせが容易になる。すなわち、それらの位置合わせに際しては、搬出入機構および姿勢変換機構を第1基板搬送経路に沿って整列させ、昇降機構および基板受け渡し機構を第2基板搬送経路に沿って整列させ、昇降機構を第1および第2基板搬送経路の交差点に配置すればよい。このような位置合わせは、搬出入機構、姿勢変換機構、昇降機構および基板受け渡し位置を同一直線上に整列させる場合に比較して格段に容易である。
【0019】
請求項5に記載されているように、前記搬出入機構は、水平姿勢の複数枚の基板を保持するバッチハンドと、前記バッチハンドを水平方向に進退させるハンド進退機構と、前記バッチハンドを鉛直軸線周りに旋回させる旋回駆動機構とを含んでいてもよい。この場合に、前記バッチハンドが前記収容器保持部に保持された収容器にアクセスするときのハンド進退方向が前記第2基板搬送経路に垂直な水平方向であってもよい。
【0020】
この構成では、バッチハンドを進退させて収容器から水平姿勢の複数枚の基板を一括して取り出し、その後に、バッチハンドを旋回させて、姿勢変換機構にそれらの基板を渡すことができる。また、バッチハンドにより姿勢変換機構から水平姿勢の複数枚の基板を一括して受け取り、その後に、バッチハンドを旋回させ、さらに、バッチハンドを進退させて、それらの基板を収容器に一括して収容することができる。第1および第2基板搬送経路が所定の角度をなして交差しているため、バッチハンドが収容器にアクセスするときのストロークを確保しつつ、搬出入機構の設置スペースを容易に確保できる。したがって、装置の占有面積の削減に有利である。
【0021】
請求項6に記載されているように、前記昇降機構は、前記第1基板搬送経路に沿って垂直姿勢の複数枚の基板を保持する第1姿勢と前記第2基板搬送経路に沿って垂直姿勢の複数枚の基板を保持する第2姿勢との間で前記昇降保持部を鉛直軸線まわりに回動させる回転駆動機構を含むことが好ましい。これにより、昇降保持部は第1および第2横行機構ならびに姿勢変換機構との間で基板を受け渡しすることができる。
【0022】
また、請求項7に記載されているように、前記昇降機構は、前記昇降保持部を上下方向に昇降することにより前記昇降保持部から前記第2横行保持部に垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡すとともに、前記昇降保持部を上下方向に昇降することにより前記第1横行保持部に保持された垂直姿勢の複数枚の基板を一括して前記昇降保持部に受け取ることが好ましい。これにより、第2横行保持部を基板の搬入に用い、第1横行保持部を基板の搬出に用いることができる。第2横行保持部よりも上方に配置された第1横行保持部を処理済み基板の搬出に用いることで、未処理基板から処理済み基板への異物の落下を防ぐことができる。
【0023】
請求項8記載の発明は、複数枚の基板を一括して保持する仲介保持部を、前記基板受け渡し位置において昇降させる仲介機構をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、仲介保持部を昇降させることによって、第1および/または第2横行保持部との間で基板を受け渡しすることができる。
【0024】
たとえば、請求項9に記載されているように、前記仲介機構は、前記仲介保持部を前記基板受け渡し位置において昇降させることにより、前記第2横行保持部との間で複数枚の基板を一括して受け渡すものであることが好ましい。
これにより、たとえば、第2横行保持部は未処理基板を基板移載位置から基板受け渡し位置へと搬送した後に、その未処理基板を仲介保持部へと受け渡すことができる。これにより、第2横行保持部は、次の未処理基板を昇降機構から受け取るために動作することができるようになる。したがって、未処理基板は、主搬送機構によって受け取られるまで、仲介保持部において待機することができるから、第2横行保持部が次の未処理基板の搬入のために動作するまでの待ち時間を短縮することができる。これにより、基板処理速度を一層向上することができる。
【0025】
この場合に、請求項10に記載されているように、前記主搬送機構は、前記基板受け渡し位置において、前記第1横行保持部および前記仲介保持部との間で複数枚の基板を一括して受け渡すものであることが好ましい。
これにより、たとえば、主搬送機構は、処理済み基板を第1横行保持部に払い出し、未処理基板を仲介保持部から受け取るように動作することができる。この場合、仲介保持部は、第2横行保持部によって基板受け渡し位置へと未処理基板が搬入されてから、この未処理基板が主搬送機構に受け渡されるまでのバッファ(待機場所)として機能することができる。その結果、たとえば、基板処理条件の変更によって、基板搬入の時間間隔に変動があった場合に、その時間間隔の変動を仲介保持部において吸収することができる。これにより、基板搬入の停滞を抑制できるから、基板処理速度を一層向上できる。
【0026】
請求項11記載の発明は、前記基板受け渡し位置において前記第2横行経路よりも下方に設けられ、複数枚の基板の方向を整列させる基板方向整列機構をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板受け渡し位置に基板方向整列機構が配置されているので、占有面積を増やすことなく基板方向整列機構を備えることができる。
【0027】
請求項12に記載されているように、基板方向整列機構は、基板受け渡し位置において、第2横行保持部に保持された状態の基板に対して、基板方向整列処理を行うものであってもよい。基板方向整列処理とは、たとえば、半導体ウエハのような円形基板に結晶方向等を表す切り欠き部(ノッチまたはオリエンテーションフラット)が形成されている場合に、この切り欠き部を整列させる処理をいう。
【0028】
また、請求項13に記載されているように、前記第1横行保持部は、互いに平行な一対の基板ガイドと、前記一対の基板ガイドの間隔を、基板の幅よりも広い開状態と、基板の幅よりも狭く前記昇降保持部の幅よりも広い閉状態との間で変更するガイド開閉手段とを含むことが好ましい。閉状態の一対の基板ガイドが基板を保持している状態で、当該一対の基板ガイドの間を通るように昇降保持部が上昇すると、基板ガイドから昇降保持部に基板を渡すことができる。昇降保持部に基板が渡された後、一対の基板ガイドを開状態とすると、この一対の基板ガイドの間を通って、昇降保持部およびそれに保持された基板を下降させることができる。こうして、第1横行保持部から昇降保持部へと基板を渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための図解的な平面図である。
【図2A】フープと主搬送機構との間の基板搬送に関連する構成を説明するための拡大平面図である。
【図2B】図2Aの矢印A1からみた立面図である。
【図3A】姿勢変換機構の平面図である。
【図3B】姿勢変換機構の内部構造を説明するための透視立面図である。
【図4】プッシャの構成を説明するための立面図である。
【図5】受け渡し機構に関連する構成を説明するための図であり、図2Aの矢印A2方向から見た立面図である。
【図6】払出機構の横行機構の構成を説明するための透視側面図である。
【図7】払出チャックの構成を説明するための図である。
【図8】搬入チャックの構成を説明するための図である。
【図9】仲介チャックの構成を説明するための図である。
【図10A】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10B】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10C】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10D】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10E】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10F】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10G】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10H】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10I】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10J】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10K】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10L】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10M】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10N】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10O】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10P】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図10Q】基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11A】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11B】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11C】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11D】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11E】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11F】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11G】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11H】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11I】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11J】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【図11K】基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を説明するための図解的な平面図である。この基板処理装置10は、フープ(FOUP)保持部1、基板処理部2、主搬送機構3、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6、受け渡し機構7、チャック洗浄ユニット8、およびコントローラ9(制御ユニット)を備えている。
【0031】
フープ保持部1は、平面視ほぼ長方形に形成された基板処理装置10の一角部に配置されている。このフープ保持部1は、水平姿勢の複数枚(たとえば25枚)の基板WをZ方向(上下方向、垂直方向)に積層した状態で収容する収容器としてのフープFを保持する収容器保持部である。基板処理装置10の前面10a(平面視における一短辺に対応)に対向するように、二点鎖線で示す自動フープ搬送装置11が配置されている。自動フープ搬送装置11は、未処理の基板Wを収容したフープFをフープ保持部1に供給する働きと、処理済みの基板Wを収容すべきフープF(空のフープ)をフープ保持部1に供給する働きと、フープ保持部1に保持させるフープを交換するために、フープ保持部1に保持されているフープFを退避させる働きとを有する。基板Wは、この実施形態では、半導体ウエハのような円形基板である。たとえば、半導体ウエハは、結晶方向を表すためのノッチを周縁部に有している。
【0032】
基板処理部2は、基板処理装置10の側面(平面視における一長辺に対応)10bに沿うY方向(水平方向)に沿って配列された複数の処理部20(処理ユニット)を備えている。複数の処理部20は、第1薬液槽21、第1リンス液槽22、第2薬液槽23、第2リンス液槽24および乾燥処理部25を含む。第1薬液槽21および第2薬液槽23は、それぞれ、同種または異種の薬液を貯留し、その薬液中に複数枚の基板Wを一括して浸漬させて薬液処理するものである。第1リンス液槽22および第2リンス液槽24は、それぞれ、リンス液(たとえば純水)を貯留し、そのリンス液中に複数枚(たとえば52枚)の基板Wを一括して浸漬させて、表面にリンス処理を施すものである。
【0033】
この実施形態では、第1薬液槽21と、これに隣接する第1リンス液槽22とが対になっており、第2薬液槽23と、これに隣接する第2リンス液槽24とが対になっている。そして、第1薬液槽21で薬液処理された基板Wを第1リンス液槽22に移すための専用搬送機構としての第1リフタ27と、第2薬液槽23で薬液処理された基板Wを第2リンス液槽24に移すための専用搬送機構としての第2リフタ28とが備えられている。第1および第2リフタ27,28は、垂直姿勢の複数枚(たとえば52枚)の基板WをX方向(水平方向)に沿って積層した状態で支持する基板支持部と、この基板支持部を上下動させる昇降駆動機構と、基板支持部をY方向に沿って横行させる横行駆動機構とを備えている。なお、X方向は、基板処理装置10の前面10aに沿う水平方向であり、Y方向と直交する方向である。
【0034】
この構成により、第1リフタ27は、主搬送機構3から垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、この複数枚の基板Wを第1薬液槽21中に下降させて薬液中に浸漬させる。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、第1リフタ27は、基板支持部を上昇させて薬液中から複数枚の基板Wを引き上げ、第1リンス液槽22へと基板支持部を横行させ、さらに、この基板支持部を第1リンス液槽22内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、第1リフタ27は、基板支持部を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、第1リフタ27から主搬送機構3に複数枚の基板Wが一括して渡される。第2リフタ28も同様に、主搬送機構3から垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、この複数枚の基板Wを第2薬液槽23中に下降させて薬液中に浸漬させる。さらに、所定の薬液処理時間だけ待機した後に、第2リフタ28は、基板支持部を上昇させて薬液中から複数枚の基板Wを引き上げ、第2リンス液槽24へと基板支持部を横行させ、さらに、この基板支持部を第2リンス液槽24内へと下降させてリンス液中に浸漬させる。所定のリンス処理時間だけ待機した後、第2リフタ28は、基板支持部を上昇させてリンス液中から基板Wを引き上げる。この後、第2リフタ28から主搬送機構3に複数枚の基板Wが一括して渡される。
【0035】
乾燥処理部25は、複数枚(たとえば52枚)の基板Wを垂直姿勢でX方向に積層した状態で保持する基板保持機構を有しており、減圧雰囲気中で有機溶剤(イソプロピルアルコール等)を基板Wに供給したり、遠心力によって基板W表面の液成分を振り切ったりすることにより、基板Wを乾燥させるものである。この乾燥処理部25は、主搬送機構3との間で基板Wの受け渡しが可能である。
【0036】
主搬送機構3は、垂直姿勢の複数枚(たとえば52枚)の基板WをX方向に積層した状態で一括保持する基板一括保持手段としての一対の基板チャック(挟持機構)30と、この基板チャック30を作動させるチャック駆動機構と、基板チャック30をY方向に沿って水平移動(横行)させる横行駆動機構と、基板チャック30をZ方向に沿って昇降させるための昇降駆動機構とを備えている。一対の基板チャック30は、それぞれ、X方向に延びた軸状の一対の支持ガイド31を備え、各支持ガイド31の互いに対向する側には、垂直姿勢の複数枚の基板Wを受け入れて下方から支持するための複数の基板支持溝が軸方向に間隔を開けて形成されている。チャック駆動機構は、一対の基板チャック30を矢印33方向に回動させることにより、一対の支持ガイド31間の距離を拡縮する。これにより、基板チャック30は、基板Wを挟持して保持する保持状態と、基板Wの挟持を解放する解除状態とに切り換える開閉動作を行う。この開閉動作と、第1および第2リフタ27,28の上下動とによって、第1および第2リフタ27,28と基板チャック30との間での基板Wの受け渡しを行うことができる。主搬送機構3は、さらに、乾燥処理部25との間で、垂直姿勢でX方向に積層した状態で複数枚の基板Wを一括して受け渡しする。
【0037】
主搬送機構3は、垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の未処理基板Wを基板受け渡し位置Pで受け取り、垂直姿勢でX方向に積層された複数枚の処理済み基板Wを基板受け渡し位置Pで払い出すように動作する。
チャック洗浄ユニット8は、基板受け渡し位置Pと処理部20との間に配置されている。チャック洗浄ユニット8は、一対の基板チャック30がそれぞれ差し入れられる一対の開口が上面に形成された洗浄槽35を有している。この洗浄槽35内において、基板チャック30(とくに支持ガイド31)が、洗浄液を用いて洗浄される。主搬送機構3は、乾燥処理部25での乾燥処理を終えた処理済み基板Wを搬送する前に、基板チャック30をチャック洗浄ユニット8の洗浄槽35に差し入れる。そして、洗浄槽35内で基板チャック30が洗浄された後に、主搬送機構3は、乾燥処理部25から処理済み基板Wを一括して受け取るように動作する。主搬送機構3は、基板チャック30の下端に備えられた一対の支持ガイド31の間隔を狭めることができる。そこで、支持ガイド31の間隔を狭めた状態で洗浄槽35における洗浄処理を行うこととすれば、洗浄槽35を小型化できるので、基板処理装置10の占有面積を抑制できる。
【0038】
チャック洗浄ユニット8と基板受け渡し位置Pとの間にはシャッタ15が設けられている。シャッタ15は、主搬送機構3が基板受け渡し位置Pから処理部20側へと移動するとき、および主搬送機構3が処理部20側から基板受け渡し位置Pへと移動するときに開かれ、他の期間は閉状態に保持される。これにより、処理部20側の薬液雰囲気の漏洩を抑制または防止している。
【0039】
図2Aは、フープFと主搬送機構3との間の基板搬送に関連する構成を説明するための拡大平面図である。フープ保持部1に搬出入機構4が対向している。フープ保持部1の搬出入機構4側には、フープFの前面を閉塞している蓋を開閉するためのオープナ12が配置されている。
搬出入機構4の基板受け渡し位置P側に、姿勢変換機構5が配置されている。また、姿勢変換機構5の基板受け渡し位置P側にプッシャ6が配置されている。そして、基板受け渡し位置Pには、受け渡し機構7が配置されている。受け渡し機構7は、プッシャ6の位置である基板移載位置Sと、基板受け渡し位置Pとの間で基板Wを搬送するように動作する。
【0040】
搬出入機構4とプッシャ6との間の搬送経路TP1と、プッシャ6と基板受け渡し位置Pとの間の搬送経路TP2とは、所定の角度(たとえば、170度〜185度)をなして交差している。すなわち、搬送経路TP2はX方向に平行であるのに対して、搬送経路TP1は、プッシャ6から搬出入機構4に向かうに従って前面10aから離れるように斜行する斜行経路を形成している。この搬送経路TP1に沿って、搬出入機構4、姿勢変換機構5およびプッシャ6が配列されている。また、搬送経路TP2に沿って、プッシャ6が配置された基板移載位置Sおよび基板受け渡し位置Pが配列されている。よって、プッシャ6は、搬送経路TP1,TP2の交差位置に配置されている。
【0041】
このような配置は、搬出入機構4がフープFにY方向に沿ってアクセスするときのハンドストロークを確保しつつ、基板処理装置10の占有面積(フットプリント)を削減するのに役立っている。また、搬出入機構4から基板受け渡し位置Pに至る搬送経路を直線とすると、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6および基板受け渡し位置Pを直線上に配列しなければならず、その精度を確保するための調整は難作業となる。これに対して、この実施形態では、搬送経路TP1,TP2が所定の角度をなして交差する構成となっているので、搬出入機構4および姿勢変換機構5を搬送経路TP1に沿って整列させ、プッシャ6および基板受け渡し位置Pを搬送経路TP2に沿って整列させるとともに、搬送経路TP1,TP2の交差点にプッシャ6を配置すればよいので、調整が容易になる。
【0042】
図2Bは、図2Aの矢印A1からみた立面図である。ただし、チャック洗浄ユニット8の図示は省略されている。搬出入機構4は、1枚の基板Wを保持することができる枚葉ハンド39と、複数枚の基板Wを積層状態で一括して保持することができる複数枚保持ハンドであるバッチハンド40と、これらのハンド39,40を支持するハンド支持部41と、旋回ブロック42と、旋回ブロック42を鉛直軸線周りの回動が可能なように支持する昇降ブロック43と、この昇降ブロック43を昇降自在に支持する基台部44とを備えている。ハンド支持部41には、枚葉ハンド39およびバッチハンド40を独立して水平方向に進退させるためのハンド進退機構41Aが内蔵されている。旋回ブロック42は、ハンド支持部41を支持し、内蔵された旋回駆動機構42Aの働きによって鉛直軸線まわりに旋回し、これによって、ハンド支持部41とともにハンド39,40を鉛直軸線まわりに旋回させる。この旋回により、ハンド39,40をフープFに対向させたり、姿勢変換機構5に対向させたりすることができる。基台部44には、昇降ブロック43をZ方向に沿って昇降させるための昇降駆動機構(図示せず)が内蔵されている。この昇降駆動機構の働きによって、ハンド39,40を上下動させることができる。この上下動と前記ハンド進退機構による進退動作とによって、ハンド39,40は、フープFに対する基板Wの搬入および搬出、ならびに姿勢変換機構5との間での基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0043】
バッチハンド40は、フープFにおける基板保持間隔と同じ間隔で積層された複数(たとえば25個)のハンド要素を備えており、この複数のハンド要素によって、たとえば、25枚の基板Wを一括して保持することができる。したがって、バッチハンド40を用いることによって、たとえば、25枚の基板Wを一括してフープFに対して搬入/搬出し、25枚の基板Wを一括して姿勢変換機構5との間で受け渡しする。
【0044】
枚葉ハンド39は、1枚の基板Wを保持するものであり、たとえば、25枚の基板Wの他にテスト用のダミー基板を追加して同時に処理させたり、フープF内の基板Wの並び順とは異なる順序に基板Wを並び替えて処理したりするために用いられる。この枚葉ハンド39を用いることによって、1枚の基板WをフープFに対して搬入/搬出し、1枚の基板Wを姿勢変換機構5との間で受け渡しする。
【0045】
姿勢変換機構5は、基板Wの姿勢を水平姿勢と垂直姿勢との間で姿勢変換するものである。より具体的には、姿勢変換機構5は、搬出入機構4から水平姿勢で鉛直方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、これらの基板Wを垂直姿勢で水平方向に積層された姿勢へと姿勢変換する。この垂直姿勢の複数枚の基板Wがプッシャ6に受け渡される。また、姿勢変換機構5は、プッシャ6から垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取り、これらの基板Wを水平姿勢で鉛直方向に積層された姿勢へと姿勢変換する。この水平姿勢の複数枚の基板Wが搬出入機構4に受け渡される。
【0046】
プッシャ6は、姿勢変換機構5から垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wを一括して受け取る昇降保持部105を有する昇降機構である。プッシャ6は、基板移載位置Sにおいて、昇降保持部105をZ方向に上下動させることができ、鉛直軸線まわりに回転させることができ、X方向に沿って微小距離(たとえば、5mm)だけ直線移動させることができる。より具体的には、昇降保持部105は、原点高さH10と、原点高さよりも高い第1移載高さH11と、第1移載高さH11よりも高い第2移載高さH12とに高さを変更する。
【0047】
プッシャ6は、昇降保持部105の上下動によって、姿勢変換機構5との間で複数枚の基板Wを受け渡すことができる。昇降保持部105は、姿勢変換機構5が一度に姿勢変換する枚数(たとえば26枚)の2倍の枚数(たとえば52枚)の基板Wを、姿勢変換機構5における基板保持ピッチ(フープF内での基板保持ピッチに等しい)の半分のピッチ(ハーフピッチ)で保持する。
【0048】
たとえば、姿勢変換機構5から25枚の基板Wが昇降保持部105に渡された後に、昇降保持部105が180度旋回させられる。旋回中心軸は、昇降保持部105の旋回中心軸は、複数の基板保持位置の中心に対して前記ハーフピッチの半分だけ基板整列方向に偏心している。そのため、180度の旋回によって、保持された25枚の基板Wがハーフピッチだけ移動することになる。この状態で、姿勢変換機構5から別の25枚の基板Wが昇降保持部105に渡される。これにより、後で渡された25枚の基板Wは、先に渡された25枚の基板Wの間に入り込み、合計で50枚の基板からなるバッチが昇降保持部105上に形成される。このように複数の基板群を組み合わせてバッチを形成するバッチ組みが行われる。このとき、隣り合う一対ずつの基板Wは、各表面同士(または裏面同士)が対向した状態(フェース・ツー・フェース)となる。
【0049】
全ての基板Wの表面を同方向に向け、各基板Wの表面が隣接基板Wの裏面に対向する状態(フェース・ツー・バック)での処理が望まれる場合もある。この場合には、前述の180度の旋回動作の代わりに、昇降保持部105がハーフピッチ分の微小距離だけ水平移動される。これにより、フェース・ツー・バックでのバッチ組みを行える。
プッシャ6から姿勢変換機構5に基板Wを渡すときは、昇降保持部105に保持された、たとえば50枚の基板Wのうちの25枚が姿勢変換機構5に渡され、この25枚の基板Wが水平姿勢に姿勢変換された後に、搬出入機構4に渡される。その後、昇降保持部105の180度旋回またはハーフピッチ分の水平移動を行う。その状態で、昇降保持部105上の残りの25枚の基板Wが姿勢変換機構5に渡され、水平姿勢に姿勢変換された後、搬出入機構4によって払い出される。こうして、50枚の基板Wが25枚ずつの2つの基板群に分離される。
【0050】
受け渡し機構7は、払出機構70と、搬入機構71と、仲介機構72とを備えており、これらは垂直姿勢で水平方向(X方向)に積層された複数枚の基板Wを一括して保持するチャック73,74,75をそれぞれ備えている。
払出機構70のチャック73(以下「払出チャック73」という。)は、搬入機構71のチャック74(以下「搬入チャック74」という。)よりも上方に配置されている。払出機構70は、払出高さH0に設定された第1横行経路101に沿って、第1横行保持部としての払出チャック73をX方向に沿って横行(水平移動)させることによって、基板Wを基板受け渡し位置Pから基板移載位置S(プッシャ6の位置)まで搬送する第1横行機構である。すなわち、払出チャック73は、処理済みの基板Wを基板受け渡し位置Pの払出高さH0において主搬送機構3から受け取り、それらの基板Wを払出高さH0で基板移載位置Sまで払い出す。プッシャ6は、昇降保持部105を第2移載高さH12まで上昇させることによって、その基板Wを払出チャック73から受け取る。
【0051】
搬入機構71は、払出高さH0よりも低い搬入高さH1に設定された第2横行経路102に沿って、第2横行保持部としての搬入チャック74をX方向に沿って横行(水平移動)させることによって、基板Wを基板移載位置Sから基板受け渡し位置Pまで搬送する第2横行機構である。すなわち、搬入チャック74は、未処理の基板Wをプッシャ6の昇降保持部105から渡され、それらの基板Wを基板受け渡し位置Pまで搬送して、搬入高さH1で保持する。
【0052】
仲介機構72は、仲介保持部としてのチャック75(以下「仲介チャック75」という。)を払出高さH0よりも下方の領域で上下動させることによって、搬入チャック74から基板Wを受け取り、その基板Wを払出高さH0と搬入高さH1との間にある移載高さH2まで上昇させる仲介機構である。この移載高さH2において仲介チャック75に保持されている基板Wが、主搬送機構3によって受け取られる。
【0053】
仲介機構72が搬入チャック74から基板Wを受け取ることにより、搬入チャック74は、主搬送機構3の動作を待つことなく、次のバッチの基板Wをプッシャ6から受け取ることができる状態となる。すなわち、仲介チャック75は、いわばバッファ位置を提供するので、搬出入機構4、姿勢変換機構5およびプッシャ6などの動作と主搬送機構3の動作とのタイミングのずれを吸収する。これにより、搬入チャック74による基板搬入動作をスムーズに行わせることができる。とくに、基板処理条件(いわゆるレシピ)が変更されたときには、基板受け渡し位置Pにおいて待ち時間が生じる場合があるが、仲介チャック75において基板Wを待機させておくことができるので、搬出入機構4、姿勢変換機構5におよびプッシャ6などの動作に生じる待ち時間を解消または短縮することができる。
【0054】
基板受け渡し位置Pにおいて、搬入高さH1の下方には、必要に応じて基板方向整列機構13が配置される。基板方向整列機構13は、基板受け渡し位置Pの搬入高さH1において搬入チャック74に保持されているバッチを構成する基板Wの方向(たとえば、半導体ウエハのノッチの方向)を整列させる。この基板方向整列機構13によって基板整列処理を受けた後の基板Wが、仲介チャック75によって移載高さH2へと運ばれることになる。
【0055】
基板方向整列機構13は、整列処理ヘッド16と、この整列処理ヘッド16を昇降させる昇降機構17とを有している(図5を併せて参照)。整列処理ヘッド16は、Y方向に間隔を開けて対向配置された一対の基板ガイド18と、この一対の基板ガイド18間に配置されたローラ機構19とを備えている。詳細な図示は省略するが、ローラ機構19は、水平方向に積層された複数枚の下方周縁部に当接して、各基板Wを中心まわりに回転させるローラと、基板Wの周縁部に形成されたノッチに係合して基板Wの回転を規制する係合部材とを備えている。
【0056】
基板整列処理を行うときには、整列処理ヘッド16が搬入高さH1付近まで上昇させられ、搬入チャック74に保持されている基板Wをローラ機構19のローラ上に支持し、搬入チャック74から微小距離だけ持ち上げる。その状態でローラ機構19を作動させると、基板Wが基板ガイド18によって案内されながら回転する。基板Wが一回転するのに必要な時間に渡ってローラ機構19を作動させると、すべての基板Wのノッチが係合部材に係合し、ノッチが直線状に整列する。これにより、基板Wの方向(半導体ウエハの場合には結晶方向)が整列することになる。こうして、基板整列処理が行われた後には、整列処理ヘッド16が昇降機構17によって下降させられ、整列処理後の基板Wが搬入チャック74に渡される。
【0057】
図3Aは姿勢変換機構5の平面図であり、図3Bは内部構造を説明するための透視立面図である。姿勢変換機構5は、当該基板処理装置のフレームに固定されたベース49と、回動ブロック50と、この回動ブロック50に取り付けられた一対の第1保持機構51と、同じく回動ブロック50に取り付けられた一対の第2保持機構52と、基板規制機構53とを備えている。
【0058】
回動ブロック50は、ベース49に対して回動軸50aまわりの回動が可能であるように取り付けられている。回動軸50aは、その軸線方向が水平方向に沿っており、この軸線方向は搬送経路TP1に直交する平面内にある。ベース49には回動ブロック50を回動軸50aまわりに回動させるためのモータ55がギヤヘッド54を介して取り付けられている。したがって、モータ55を駆動することによって、第1および第2保持機構51,52の姿勢を変更することができる。
【0059】
一対の第1保持機構51は、搬送経路TP1に垂直な水平方向に間隔を開けて配置された一対の棒状の水平保持部材56と、各水平保持部材56にはめ込まれた支持棒57とを有している。水平保持部材56の周面には、中心軸を挟んで対向する位置に一対の保持溝群58,59が形成されている。各保持溝群58,59は、複数の保持溝58a,59aからなる。各保持溝58a,59aは水平保持部材56の長手方向に対して垂直な方向に沿って形成されている。また、複数の保持溝58a,59aは水平保持部材56の長手方向に所定のピッチで配列されている。このピッチは、搬出入機構4のバッチハンド40が複数枚の基板Wを保持するピッチ、すなわち、フープF内における基板保持ピッチに等しい。
【0060】
一対の水平保持部材56は、互いに平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。そして、一対の水平保持部材56が鉛直方向(Z方向)に沿う姿勢のときに、水平姿勢の複数枚の基板Wを、保持溝群58,59のいずれかによって下方から支持することができる。一対の保持溝群58,59の一方(たとえば保持溝群58)は未処理の基板Wを保持するために用いられ、その他方(たとえば保持溝群59)は、処理済みの基板Wを保持するために用いられる。たとえば、搬出入機構4から渡される未処理の基板Wを保持するときには、一対の水平保持部材56の各保持溝群58が互いに対向させられる。また、プッシャ6から渡される処理済み基板Wを保持するときには、一対の水平保持部材56の各保持溝群59が互いに対向させられる。
【0061】
一対の第2保持機構52は、搬送経路TP1に垂直な水平方向に間隔を開けて配置された一対の棒状の垂直保持部材60を有している。これらの垂直保持部材60は、水平保持部材56と平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。各垂直保持部材60は、支持棒61と、この支持棒61に取り付けられた複数の保持溝部材62とを有している。複数の保持溝部材62は、支持棒61の長手方向に所定ピッチで固定された板状体からなる。このピッチは、搬出入機構4のバッチハンド40における基板保持ピッチに等しい。各保持溝部材62は、支持棒61を挟んで対向する端面に一対の保持溝63,64を有している。複数の保持溝部材62は、これらの保持溝63,64が支持棒61の長手方向に沿って整列するように配列されている。各保持溝63,64は、支持棒61の長手方向に直交する平面に沿って形成されている。
【0062】
一対の垂直保持部材60は、互いに平行な姿勢で回動ブロック50に取り付けられている。そして、一対の垂直保持部材60が水平方向に沿う姿勢のときに、垂直姿勢の複数枚の基板Wをいずれかの保持溝63,64によって下方から支持する。一対の保持溝63,64の一方(たとえば保持溝63)は未処理の基板Wを保持するために用いられ、その他方(たとえば保持溝64)は、処理済みの基板Wを保持するために用いられる。たとえば、搬出入機構4から渡される未処理の基板Wを保持するときには、一対の支持棒61に保持された保持溝部材62の各保持溝63が互いに対向させられる。また、プッシャ6から渡される処理済み基板Wを保持するときには、一対の支持棒61に保持された保持溝部材62の各保持溝64が互いに対向させられる。
【0063】
回動ブロック50は、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53が垂直姿勢となる水平保持姿勢(図3Aおよび図3Bに表された姿勢)と、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53が水平姿勢となる垂直保持姿勢(図2Aおよび図2Bにおいて二点鎖線で表された姿勢)との間で回動される。以下では、回動ブロック50が水平保持姿勢のときの第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53の姿勢も水平保持姿勢と呼ぶこととし、回動ブロック50が垂直保持姿勢のときの第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53の姿勢も垂直保持姿勢と呼ぶことにする。回動ブロック50が水平保持姿勢のとき、水平姿勢の基板Wの周縁部が、第1保持機構51の水平保持部材56によって、対向する2箇所で下方から支持される。垂直保持姿勢のときは、垂直姿勢の基板Wの周縁部が、第2保持機構52の保持溝部材62によって、下方の2箇所で支持される。
【0064】
回動ブロック50が垂直保持姿勢のときに、第2保持機構52は、第1保持機構51よりも下方に位置している。第2保持機構52に備えられた保持溝部材62は、基板Wの厚さよりも広い間隙65を開けて支持棒61に取り付けられている。また、一対の支持棒61間の間隔は、基板Wの幅(円形基板の場合の直径)よりも大きくなっている。さらに、一対の水平保持部材56の互いに対向する保持溝58a,59aの底部間の間隔は、基板Wの幅(円形基板の場合の直径)よりも大きくなっている。そのため、第1および第2保持機構51,52を垂直保持姿勢としてプッシャ6との間で基板Wの受け渡しを行う際には、間隙65に対応する位置に保持されている基板Wは、第1および第2保持機構51,52間を通過する。
【0065】
基板規制機構53は、第1および第2保持機構51,52と平行に設けられた丸棒状の部材からなる。この基板規制機構53は、水平保持姿勢のときに、第2保持機構52よりもプッシャ6寄りに位置するように回動ブロック50に取り付けられている。基板規制機構53は、一対の第2保持機構52の対向方向に沿って、移動可能である。すなわち、基板規制機構53は、一対の第2保持機構52間の中間位置付近で基板Wの周端面に当接する規制位置(図3Aにおいて実線で示す位置)と、基板Wと干渉しない退避位置(図3Aにおいて二点鎖線で示す位置)との間で移動可能である。基板規制機構53は、退避位置にあるとき、第1および第2保持機構51,52の配列方向(搬送経路TP1に沿う方向)に沿って基板Wが移動するときに、この基板Wと干渉しないようになっている。
【0066】
回動ブロック50には、第1および第2保持機構51,52ならびに基板規制機構53を駆動するための駆動機構が収容されている。
第1保持機構51のための駆動機構81は、支持棒57を軸線まわりの回動が可能な状態で支持する軸受け82と、支持棒57にその軸線まわりの回転力を与えるモータ83と、モータ83を支持する支持板84を支持棒57の長手方向に沿って所定のストロークでスライドさせるシリンダ85とを有している。モータ83を駆動することによって、保持溝群58,59のいずれかを互いに対向させて基板Wの保持のために選択することができる。また、シリンダ85を駆動することで、保持溝58a,59aの位置を支持棒57の長手方向に沿って微小距離だけ移動させることができ、これにより、回動ブロック50が垂直保持姿勢のときに、保持溝58a,59aの壁面を基板Wから退避させることができる。
【0067】
第2保持機構52のための駆動機構87は、支持板88上に固定されたレール89と、レール89に沿って移動する移動ベース90と、移動ベース90に取り付けられた軸受け91とを備えている。軸受け91は、第2保持機構52の支持棒61をその軸線まわりの回動が可能な状態で支持している。駆動機構87は、さらに、支持棒61に回転力を与えるモータ92を備えており、このモータ92は、移動ベース90において軸受け91とは反対側の表面に取り付けられている。モータ92を駆動することで、保持溝部材62の保持溝63,64のいずれかを基板Wの保持のために選択することができる。
【0068】
レール89は、第1および第2保持機構51,52の整列方向(搬送経路TP1に平行な方向)に沿って配置されている。このレール89上を移動する移動ベース90は、連結部材93を介して、シリンダ94の駆動ロッドに結合されている。したがって、シリンダ94を駆動することによって、第2保持機構52がレール89に沿って移動する。これにより、回動ブロック50が水平保持姿勢のときに、第1保持機構51によって水平姿勢で保持されている基板Wに対して、第2保持機構52を接近させたり、離反させたりすることができる。
【0069】
基板規制機構53のための駆動機構96は、一対の第2保持機構52の対向方向に平行に配置されたレール97と、このレール97に沿って移動する移動ベース98と、移動ベース98をレール97に沿って移動させるためのアクチュエータ100(たとえばボールねじ機構からなる)とを備えている。移動ベース98に基板規制機構53の基端部が結合されている。移動ベース98は、連結部材99を介してアクチュエータ100の作動部に結合されている。このアクチュエータ100を駆動することによって、基板規制機構53を前述の規制位置と退避位置との間で移動させる。
【0070】
図4は、プッシャ6の構成を説明するための立面図である。プッシャ6は、複数枚の基板Wを垂直姿勢で水平方向にハーフピッチで積層配列した状態で保持する昇降保持部105を備えている。昇降保持部105は、鉛直軸線まわりに回転する回転軸部106の上端に結合されている。回転軸部106は、横行ベース107に回転自在に支持されている。横行ベース107は、昇降ベース108に支持されている。昇降ベース108は、連結部材109を介してリニアアクチュエータ110の作動部材110aに結合されている。リニアアクチュエータ110は、ボールねじ機構およびリニアガイドを内蔵したものであり、上端に結合されたモータ111からの駆動力を得て、作動部材110aを上下に駆動するものである。これにより、昇降ベース108が上下動される。
【0071】
昇降ベース108が上下動されることによって、昇降保持部105は、原点高さH10、第1移載高さH11および第2移載高さH12の間で昇降される。
横行ベース107には、回転軸部106を鉛直軸線まわりに回転させる回転駆動機構112が内蔵されている。これにより、昇降保持部105を搬送経路TP1(図2Aにおいて二点鎖線で示す姿勢)に沿う姿勢としたり、搬送経路TP2に沿う姿勢(図2Aにおいて実線で示す姿勢)としたりすることができる。また、フェース・ツー・フェースのバッチを組んだり、そのバッチを解除したりするために、昇降保持部105の方向(複数枚の基板Wの積層方向をいう。)を180度反転することができる。
【0072】
昇降ベース108には、一対のレール113が設けられている。レール113は、昇降保持部105に保持される複数枚の基板Wの積層方向(水平方向)に沿って配置されている。横行ベース107は、レール113上を移動可能とされている。昇降ベース108には、横行ベース107をレール113に沿って微小距離(ハーフピッチ分)移動させるためのスライド駆動機構114が備えられている。このスライド駆動機構114は、たとえば、ねじ軸およびこれに螺合するボールナットを有するボールねじ機構からなり、そのボールナットに対して、連結部材を介して横行ベース107が結合されている。この構成により、フェース・ツー・バックのバッチを形成したり、そのバッチを解除したりするために、昇降保持部105をハーフピッチ分の距離だけ水平移動させることができる。
【0073】
昇降保持部105は、第1ガイド116および第2ガイド117を備え、これらを未処理基板Wの保持と処理済み基板Wの保持とで使い分けるように構成されている。第1ガイド116は、水平方向に沿って平行に配置された3本の支持部材118を有している。また、第2ガイド117は、水平方向に平行に配置された3本の支持部材119を有している。支持部材118,119の各上面には、複数(たとえば52個)の基板保持溝がハーフピッチで形成されている。
【0074】
第2ガイド117が回転軸部106の上端に固定されている一方で、第1ガイド116は昇降軸120によって支持されている。この昇降軸120は、移動ベース107に内蔵された上下駆動機構(図示省略)によって微小距離だけ上下動される。これにより、第1ガイド116の基板支持高さを第2ガイド117の基板支持高さよりも高くしたり、反対に、第1ガイド116の基板支持高さを第2ガイド117の基板支持高さよりも低くしたりする。これにより、第1および第2ガイド116,117のうちで基板支持高さの高い方を基板Wの支持のために用いることができる。したがって、たとえば、第1ガイド116を姿勢変換機構5から受け取る未処理基板Wの保持のために用い、第2ガイド117を受け渡し機構7から受け取る処理済み基板Wの保持のために用いることができる。
【0075】
図5は、受け渡し機構7に関連する構成を説明するための図であり、図2Aの矢印A2方向から見た立面図である。払出機構70は、払出チャック73と、この払出チャック73をX方向に沿って横行させる横行機構76とを備えている。搬入機構71は、搬入チャック74と、この搬入チャック74をX方向に沿って横行させる横行機構77とを備えている。仲介機構72は、仲介チャック75と、この仲介チャック75を上下動作させる昇降駆動機構78とを備えている。昇降駆動機構78は、ボールねじおよびリニアガイドを内蔵したリニアアクチュエータ125と、このリニアアクチュエータ125に駆動力を与えるモータ126とを備えている。リニアアクチュエータ125は、モータ126からの駆動力を得て、作動子125aを上下動させる。この作動子125aに連結ブラケット127を介して仲介チャック75が結合されている。
【0076】
図6は、払出機構70の横行機構76の構成を説明するための透視側面図であり、図5の矢印A3方向に見た構成を図解的に表してある。以下、図5を併せて参照する。
横行機構76は、基板処理装置10の前面10a側のフレームに鉛直姿勢で取り付けられた板状の支持ブロック130に内蔵されたボールねじ機構131と、ボールねじ機構131の上方位置において支持ブロック130を払出チャック73側から穿って形成した作動空間132(図5参照)内をX方向に水平移動する移動プレート133と、作動空間132を払出チャック73側から覆うように支持ブロック130に固定された固定プレート134と、固定プレート134の作動空間132に臨む表面にX方向(搬送経路TP2に沿う方向)に沿って設けられた上下一対のレール135とを含む。
【0077】
移動プレート133はレール135に結合されており、このレール135に沿ってX方向に水平移動できるようになっている。移動プレート133は、ボールねじ機構131のボールナット136に結合されている。さらに、移動プレート133は、連結部材137を介して払出チャック73に結合されている。
固定プレート134には、この連結部材137のX方向への移動経路に沿って切り欠き139が形成されている。したがって、ボールねじ機構131のモータ138を駆動することによってボールナット136をX方向に移動させれば、移動プレート133とともに払出チャック73をX方向に移動させることができる。
【0078】
搬入チャック74の横行機構77の構造も同様であるので、図5において、横行機構77の対応箇所に同符号を付して説明を省略する。
図7は払出チャック73の構成を説明するための図である。図7(a)は平面図、図7(b)は−Y方向に見た側面図、図7(b)は−X方向に見た背面図である。
払出チャック73は、X方向に沿って互いに平行に延びた片持ち梁状の一対の基板ガイド140と、これらの基板ガイド140を片持ち支持するベース部141とを備えている。基板ガイド140の上面には、垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wの下方縁部を支持するための複数の保持溝が形成されている。保持溝の間隔はハーフピッチである。ベース部141は、Y方向に延びた断面C字状の長尺体である。ベース部141には、一対のシリンダ142が、作動ロッドを互いに対向させた状態で保持されている。ベース部141の基板ガイド140側の側面には、リニアガイド143がY方向に沿って固定されている。このリニアガイド143に対して、一対の基板ガイド140が、連結部材144を介して取り付けられている。これにより、一対の基板ガイド140は、同じ高さ位置でY方向に対向しており、かつ、Y方向に沿って移動可能である。
【0079】
連結部材144は、基板ガイド140の基端部に結合されており、この基端部から立ち上がった立ち上がり壁部145がリニアガイド143に結合されており、さらに、立ち上がり壁部145の内側縁部上端から水平に延びた水平部146が、ベース部141の貫通孔147を通ってシリンダ142の作動ロッドに結合されている。貫通孔147は、ベース部141の長手方向に沿って延びた長孔である。
【0080】
一対のシリンダ142は、同期して駆動される。これらのシリンダ142の作動ロッドが伸縮されることによって、一対の基板ガイド140は、互いの間隔を狭めた閉位置(実線で示す位置)と、互いの間隔を広げた開位置(二点鎖線で示す位置)とをとることができるようになっている。基板ガイド140を閉位置とすることによって、基板Wを下方から支持することができる。このように、一対のシリンダ142は、一対の基板ガイドを閉位置と開位置との間で変更するガイド開閉手段を構成している。
【0081】
一対の基板ガイド140を閉位置として払出チャック73を閉状態としているとき、基板ガイド140相互間の間隔は、プッシャ6の昇降保持部105の幅よりも広くなっている。したがって、基板移載位置S(図2A参照)において、払出チャック73を閉状態として基板Wを保持している状態で、プッシャ6の昇降保持部105を一対の基板ガイド140間を通して第2移載高さH12まで上昇させることができる。これにより、払出チャック73からプッシャ6の昇降保持部105に基板Wを移載できる。
【0082】
一対の基板ガイド140を開位置として払出チャック73を開状態としているとき、基板ガイド140の相互間の間隔は、基板Wの幅(円形基板の場合の直径)よりも広くなり、これらの基板ガイド140の間を基板Wが通過できるようになる。したがって、基板移載位置Sにおいて、払出チャック73からプッシャ6の昇降保持部105に基板Wが移載された後に、払出チャック73を開状態とすると、一対の基板ガイド140の間を通ってプッシャ6およびそれに保持された基板Wを下降させることができる。
【0083】
図8は搬入チャック74の構成を説明するための図である。図8(a)は平面図、図8(b)は−Y方向に見た側面図、図8(b)は−X方向に見た背面図である。
搬入チャック74は、同じ高さ位置でX方向に平行に延びた片持ち梁状の一対の基板ガイド148と、これらの一対の基板ガイド148の基端部に結合されたベース部149とを有している。基板ガイド148の上面には、垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wの下方縁部を支持するための複数の保持溝が形成されている。保持溝の間隔は、ハーフピッチである。一対の基板ガイド148の互いの間隔は固定されており、この間隔は、プッシャ6の昇降保持部105の幅よりも広くなっている。
【0084】
基板移載位置Sにおいて、プッシャ6の昇降保持部105から搬入チャック74に基板Wを移載するときには、基板Wを保持した昇降保持部105が第1移載高さH11に配置され、その下方位置に搬入チャック74が導かれる。この状態から昇降保持部105を一対の基板ガイド148の間を通って下降させると、昇降保持部105から搬入チャック74に基板Wが移載される。
【0085】
図9は仲介チャック75の構成を説明するための図である。図9(a)は平面図、図9(b)は−Y方向に見た側面図、図9(b)は−X方向に見た背面図である。
仲介チャック75は、X方向に沿って互いに平行に延びた片持ち梁状の一対の基板ガイド150と、これらの基板ガイド150を片持ち支持するベース部151とを備えている。基板ガイド150の上面には、垂直姿勢で水平方向に積層された複数枚の基板Wの下方縁部を支持するための複数の保持溝が形成されている。保持溝の間隔はハーフピッチである。ベース部151は、Y方向に延びた断面C字状の長尺体である。ベース部151には、一対のシリンダ152が、作動ロッドを互いに対向させた状態で保持されている。ベース部151の基板ガイド150側の側面には、リニアガイド153がY方向に沿って固定されている。このリニアガイド153に対して、一対の基板ガイド150が、連結部材154を介して取り付けられている。これにより、一対の基板ガイド150は、同じ高さ位置でY方向に対向しており、かつ、Y方向に沿って移動可能となっている。
【0086】
連結部材154は、基板ガイド150の基端部に結合されており、この基端部から立ち上がった立ち上がり壁部155がリニアガイド153に結合されており、さらに、立ち上がり壁部155の内側縁部上端から水平に延びた水平部156が、ベース部151の貫通孔157を通ってシリンダ152の作動ロッドに結合されている。貫通孔157は、ベース部151の長手方向に沿って延びた長孔である。
【0087】
一対のシリンダ152は、同期して駆動される。これらのシリンダ152の作動ロッドが伸縮されることによって、一対の基板ガイド150は、互いの間隔を狭めた閉位置(実線で示す位置)と、互いの間隔を広げた開位置(二点鎖線で示す位置)とをとることができるようになっている。基板ガイド150を閉位置とすることによって、基板Wを下方から支持することができる。
【0088】
一対の基板ガイド150を開位置として仲介チャック75を開状態としているとき、基板ガイド150の相互間の間隔は、基板Wの幅(円形基板の場合の直径)よりも広くなり、これらの基板ガイド150の間を基板Wが通過できるようになる。したがって、基板受け渡し位置Pにおいて、搬入チャック74が搬入高さH1で基板Wを保持しているときに、仲介チャック75を開状態として下降させると、その基板ガイド150は搬入チャック74に保持されている基板Wと干渉することなく、搬入チャック74の下方へと移動することができる。
【0089】
一対の基板ガイド150を閉位置として仲介チャック75を閉状態としているとき、一対の基板ガイド150相互間の間隔は、搬入チャック74の一対の基板ガイド148間の間隔よりも狭くなっている。したがって、基板受け渡し位置P(図2A参照)において搬入チャック74が基板Wを搬入高さH1で保持しているときに、仲介チャック75を閉状態として搬入チャック74の下方から移載高さH2まで上昇させると、搬入チャック74から仲介チャック75へと基板Wを受け渡すことができる。
【0090】
図10A〜図10Qは、基板搬入動作の流れを説明するための図解的な説明図である。この基板搬入動作は、コントローラ9(図1参照)が主搬送機構3、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6および受け渡し機構7の各部を制御することによって達成される。
図10Aに示すように、搬出入機構4は、バッチハンド40によって、フープ保持部1に保持されたフープFから複数枚(たとえば25枚)の未処理基板Wを取り出し、姿勢変換機構5に向けて搬送する。このとき、姿勢変換機構5は、水平保持姿勢に制御されており、一対の第1保持機構51は未処理基板用の保持溝群(たとえば保持溝群58)を互いに対向させた姿勢に制御され、一対の第2保持機構52は未処理基板用の保持溝(たとえば保持溝63)を互いに対向させた姿勢に制御される。また、一対の第2保持機構52は、基板Wに当接しないように、搬出入機構4とは反対側に後退した後退位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に配置される。さらに、基板規制機構53は、退避位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に配置される。一方、払出チャック73は、プッシャ6の昇降保持部105の上方(基板移載位置Sにおける搬出高さH0)に配置されている。これは、主搬送機構3と仲介機構72との間の基板受け渡しを阻害しないようにするためである。プッシャ6の昇降保持部105は、原点位置(バッチの最初の半分を受け取る回転位置)に回転させられ、また、垂直支持姿勢のときの第2保持機構52よりも下方の原点高さH10まで移動させられる。
【0091】
この状態で、図10Bに示すように、搬出入機構4から姿勢変換機構5に、バッチの最初の半分を構成する複数枚の基板Wが一括して渡される。このとき、姿勢変換機構5の第1保持機構51は、各基板Wを水平方向に対向する一対の保持溝58aに挿入させ、この基板Wの互いに対向する一対の周縁部を下方から支持する。
次に、姿勢変換機構5において、第2保持機構52が第1保持機構51に接近するように横行させられる。これにより、図10Cの状態となる。このとき、第2保持機構52は、前進位置(図3Aに実線で示す位置)にあり、保持溝部材62の未処理基板用の保持溝63に基板Wが挿入された状態となる。
【0092】
この状態から姿勢変換機構5の回動ブロック50が回動させられ、図10Dに示すように、垂直支持姿勢となる。これにより、複数枚の基板Wは、水平姿勢から垂直姿勢へと姿勢変換させられ、第2保持機構52によって下方側周縁部が保持された状態となる。この状態で、第1保持機構51は、その軸方向に沿って回動ブロック50側へと移動させられ、各保持溝58aが基板Wから離間させられる。
【0093】
次に、図10Eに示すように、プッシャ6の昇降保持部105が第1移載高さH11(未処理基板受け取り高さ)まで上昇させられる。このとき、昇降保持部105は、第1および第2保持機構51,52の間を通って上昇することにより、第2保持機構52から複数枚の基板Wを一括して受け取る。これにより、一つのバッチの半分の枚数の基板Wが昇降保持部105に垂直姿勢で保持されることになる。このとき、昇降保持部105は、未処理基板用の第1ガイド116で基板Wを保持する。
【0094】
次いで、図10Fに示すように、姿勢変換機構5の回動ブロック50が水平保持姿勢へと回動させられる。また、第1保持機構51は、その軸方向に沿って回動ブロック50から離れる方向へと移動させられて、原点位置に戻される。さらに、第2保持機構52は後退位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に戻される。姿勢変換機構5が水平保持姿勢に戻された後に、プッシャ6は、昇降保持部105を鉛直軸線まわりに180度回転させる。その後、昇降保持部105は、原点高さH10へと下降させられる。
【0095】
次に、図10G〜10Jに示すように、バッチの残りの部分を構成する別の複数枚の未処理基板Wに関して、図10A〜10Dの場合と同様の動作が行われる。これにより、たとえば25枚の基板Wが垂直姿勢で姿勢変換機構5の第2保持機構52によって保持され、その下方には別のたとえば25枚の基板Wが昇降保持部105によって垂直姿勢で保持された状態となる。このとき、姿勢変換機構5によって保持されている複数枚の基板Wのピッチと、昇降保持部105に保持されている複数枚の基板Wのピッチとは等しく、これらの基板Wは互いに平行になっている。そして、平面視において、両基板群は、基板面に平行な水平方向位置が互いに等しく、基板面に垂直な水平方向位置は、ハーフピッチだけずれている。
【0096】
この状態から、図10Kに示すように、プッシャ6の昇降保持部105を第1移載高さH11まで上昇させると、姿勢変換機構5の第2保持機構52から昇降保持部105へと基板Wが受け渡され、昇降保持部105上には、たとえば、50枚の基板Wがハーフピッチで保持された状態となる。こうして、バッチ組みが完了する。昇降保持部105が上昇するとき、この昇降保持部105に保持されている複数枚の基板Wは、第2保持機構52の保持溝部材62間の間隙65(図3B参照)を通過して上昇する。したがって、これらの基板Wが第2保持機構52と干渉することはない。
【0097】
その後は、図10Lに示すように、姿勢変換機構5の回動ブロック50が水平保持姿勢へと回動させられる。また、第1保持機構51は軸方向に沿って先端側に移動されて原点位置に戻され、第2保持機構52は後退位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に戻される。
次に、図10Mに示すように、搬入チャック74が搬入高さH1の第2横行経路102(図2B参照)に沿って横行(水平移動)して、基板受け渡し位置Pから、基板移載位置Sにおいて昇降保持部105の下方の位置まで前進する。また、昇降保持部105は、基板Wの整列方向が搬送経路TP2に整合するように鉛直軸線まわりに回動される。搬入高さH1は、昇降保持部105の原点高さH10よりも高く、第1移載高さH11よりも低い。
【0098】
この状態から、図10Nに示すように、プッシャ6は、昇降保持部105を第1移載高さH11から原点高さH10まで下降させる。搬入チャック74の一対の基板ガイド148の間隔は、基板Wの幅よりも狭く、昇降保持部105の幅よりも広い。したがって、昇降保持部105は、搬入チャック74の一対の基板ガイド140の間を通って下降し、その過程で、昇降保持部105から搬入チャック74へと複数枚(たとえば50枚)の未処理基板Wが一括して受け渡される。
【0099】
次いで、図10Oに示すように、搬入チャック74が搬入高さH1で横行して、基板移載位置Sから基板受け渡し位置Pへと移動する。次いで、仲介チャック75が搬入高さH1よりも下方、すなわち、搬入チャック74の下方位置へと移動する。この下方移動に先立ち、仲介チャック75は、一対の基板ガイド150の間隔を開いた開状態に制御される。これにより、基板ガイド150間の間隔は、基板Wの直径よりも広くなる。したがって、仲介チャック75は、搬入チャック74に保持された基板Wと干渉することなく、搬入チャック74の下方へと移動することができる。
【0100】
こうして、図10Pに示すように、仲介チャック75が搬入チャック74の下方まで移動すると、仲介チャック75は、一対の基板ガイド150の間隔を狭めた閉状態とされる。このとき、この一対の基板ガイド150は、搬入チャック74の一対の基板ガイド148よりも内側に位置することになる。
この状態から、図10Qに示すように、仲介チャック75が移載高さH2まで上昇させられる。この上昇過程で、搬入チャック74に保持された複数枚(たとえば50枚)の基板Wが、仲介チャック75に一括して受け渡される。そして、この仲介チャック75に保持された複数枚の基板Wが、主搬送機構3によって受け取られ、基板処理部2へと搬送されていく。
【0101】
基板方向整列機構13によって基板W方向を整列させる整列動作を行わせるときには、図10Oの状態から、仲介チャック75を下降させる前に、基板方向整列機構13の整列処理ヘッド16が上昇させられる。そして、搬入チャック74に保持されている基板Wを微小距離だけ持ち上げた状態で基板Wの方向を整列させる整列処理が行われる。その後に、整列処理ヘッド16が下降させられることによって、整列処理後の基板Wが再び搬入チャック74に受け渡される。
【0102】
搬入チャック74がプッシャ6の位置(基板移載位置S)まで前進した状態のときに、仲介チャック75が基板Wを保持していない状態であれば、図10Nの状態から仲介チャック75を予め下降させておき、その後に、搬入チャック74を基板受け渡し位置Pまで後退させるようにしてもよい。このようにすれば、仲介チャック75を閉状態のままで下降させることができるので、動作を簡略化できる。
【0103】
図11A〜11Kは、基板搬出動作の流れを説明するための図解的な説明図である。この基板搬出動作は、コントローラ9(図1参照)が主搬送機構3、搬出入機構4、姿勢変換機構5、プッシャ6および受け渡し機構7の各部を制御することによって達成される。
基板処理部2で処理された後の基板Wは、主搬送機構3によって搬送されて、払出チャック73に渡される。払出チャック73は、主搬送機構3の仲介チャック75へのアクセスを妨げないように、通常は、プッシャ6の昇降保持部105の上方(基板移載位置S)に位置している。したがって、主搬送機構3によって処理済みの基板Wが払い出されるときには、払出チャック73は、払出高さH0の第1横行経路101(図2B参照)に沿って横行(水平移動)して基板受け渡し位置Pに移動する。この移動後に、主搬送機構3から処理済みの基板Wが払出チャック73に受け渡されることによって、図11Aの状態となる。
【0104】
このとき、姿勢変換機構5は、水平保持姿勢に制御されている。一対の第1保持機構51は処理済み基板用の保持溝群(たとえば保持溝群59)を互いに対向させた姿勢に制御され、一対の第2保持機構52は処理済み基板用の保持溝(たとえば保持溝64)を互いに対向させた姿勢に制御される。また、一対の第1保持機構51は、軸方向に沿って回動ブロック50寄りの位置(垂直姿勢で第2保持機構52に保持された基板Wとの間に間隔を確保できる位置)に制御される。さらに、一対の第2保持機構52は、第1保持機構51に接近した前進位置(図3Aに実線で示す位置)に配置される。そして、基板規制機構53は、退避位置に配置される。プッシャ6の昇降保持部105は、処理済み基板保持用の第2ガイド117の基板保持位置が、未処理基板保持用の第1ガイド116の基板保持位置よりも上方となるように制御される。
【0105】
この状態から、図11Bに示すように、払出チャック73が、払出高さH0で横行して、プッシャ6の昇降保持部105の上方(基板移載位置S)へと移動する。その後に、昇降保持部105が払出チャック73の位置(第2移載高さH12)まで上昇し、払出チャック73から処理済みの複数枚の基板Wを一括して受け取る。この基板Wの受け取りが完了するまで、払出チャック73は、閉状態、すなわち一対の基板ガイド140の間隔を狭くした状態となっている。この閉状態のとき、一対の基板ガイド140の間隔は、昇降保持部105の幅よりも広く、基板Wの幅(直径)よりも狭くなっている。したがって、昇降保持部105は、一対の基板ガイド140間を通って第2移載高さH12まで上昇し、払出チャック73から基板Wを受け取ることになる。
【0106】
昇降保持部105が払出チャック73から処理済み基板Wを受け取った後、払出チャック73は開状態に制御され、一対の基板ガイド140の間隔が基板Wの幅(直径)よりも広くされる。これにより、昇降保持部105は、保持した基板Wと払出チャック73との干渉を回避しながら下降することができるようになる。
この状態から、図11Cに示すように、姿勢変換機構5の回動ブロック50が回動されて垂直保持姿勢となる。そして、図11Dに示すように、プッシャ6の昇降保持部105が一対の第1保持機構51および一対の第2保持機構52の間を通って原点高さH10まで下降する。この過程で、バッチの半分の基板Wが昇降保持部105から第2保持機構52に受け渡される。このとき、バッチの残り半分の基板Wは、第2保持機構52の保持溝部材62間の間隙65を通り抜け、昇降保持部105に保持されたままの状態となる。こうして、バッチ解除がなされる。昇降保持部105は、基板Wが払出チャック73よりも下方に位置するようになると、第1保持機構51に基板Wが達するよりも前に、鉛直軸線まわりに回動させられ、昇降保持部105に保持された基板Wの整列方向と搬送経路TP1とが整合させられる。
【0107】
次いで、第1保持機構51が軸方向に沿って先端側に移動され、基板Wを水平姿勢で支持するための準備がなされる。そして、図11Eに示すように、姿勢変換機構5の回動ブロック50が回動されて水平保持姿勢となる。これにより、基板Wは第1保持機構51によって水平姿勢で保持された状態となる。さらに、基板規制機構53が基板Wを規制する規制位置まで移動させられる。この状態で、第2保持機構52が後退位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に後退させられる。このとき、第2保持機構52に追従しようとする基板Wがあれば、このような基板Wの移動は基板規制機構53によって規制される。したがって、基板Wは第1保持機構51に保持された状態に保たれる。
【0108】
次に、図11Fに示すように、搬出入機構4のバッチハンド40によって、第1保持機構51に保持された複数枚の基板Wが一括して搬出され、フープ保持部1に保持されたフープFに収容される。
次いで、図11Gに示すように、一対の第1保持機構51は軸方向に沿って基端部側に移動させられて、第2保持機構52に垂直姿勢で基板Wが保持されたときに、基板Wとの間隔を確保できるようになる。また、一対の第2保持機構52は、第1保持機構51に接近した前進位置(図3Aに実線で示す位置)に配置される。基板規制機構53は、退避位置に配置される。さらに、プッシャ6は、昇降保持部105を上昇させる。
【0109】
この状態から、図11Hに示すように、姿勢変換機構5は、回動ブロック50を回動させて垂直保持姿勢とする。その後、プッシャ6は、第1および第2保持機構51,52の上方で、昇降保持部105を鉛直軸線まわりに180度回転させる。これにより、昇降保持部105に保持されている複数枚の基板Wの位置と、第2保持機構52の基板保持位置とが整合する。
【0110】
そして、図11Iに示すように、プッシャ6は、昇降保持部105を原点高さH10へと下降させる。この過程で、昇降保持部105に保持された複数枚の基板Wが第2保持機構52に一括して受け渡される。基板Wが第2保持機構52に受け渡された後、第1保持機構51は、軸方向に沿って先端側に移動させられて、基板Wの表面に当接できる状態となり、基板Wの水平保持に備えられる。
【0111】
次いで、図11Jに示すように、姿勢変換機構5の回動ブロック50が回動されて水平保持姿勢となる。これにより、基板Wは第1保持機構51によって水平姿勢で保持された状態となる。さらに、基板規制機構53が基板Wを規制する規制位置まで移動させられる。この状態で、第2保持機構52が後退位置(図3Aに二点鎖線で示す位置)に後退させられる。このとき、第2保持機構52に追従しようとする基板Wがあれば、このような基板Wの移動は基板規制機構53によって規制される。したがって、基板Wは第1保持機構51に保持された状態に保たれる。
【0112】
次に、図11Kに示すように、搬出入機構4のバッチハンド40によって、第1保持機構51に保持された複数枚の基板Wが一括して搬出され、フープ保持部1に保持されたフープFに収容される。このフープFは、バッチを構成する最初の半分の基板Wを収容したフープFとは別のものである。
以上のように、この実施形態によれば、第1横行経路101に沿って横行する払出チャック73によって処理済み基板Wを基板受け渡し位置Pから基板移載位置Sまで搬送し、第1横行経路101の下方の第2横行経路102に沿って横行する搬入チャック74によって未処理基板Wを基板移載位置Sから基板受け渡し位置Pまで搬送するようにしている。これにより、基板移載位置Sと基板受け渡し位置Pとの間の基板搬送を2系統で行うことができるので、未処理基板Wを基板受け渡し位置Pへと搬入している期間にも、主搬送機構3は処理済み基板Wを払い出すことができる。これにより、基板処理速度を向上することができる。しかも、第1および第2横行経路101,102が上下方向に重なっているので、基板処理装置10の占有面積を抑制しながら、2系統の搬送経路を設けることができる。
【0113】
基板移載位置Sと基板受け渡し位置Pとの間の搬送経路を2系統にするために、一対のプッシャを設け、この一対のプッシャを基板移載位置Sと基板受け渡し位置Pとの間で横行させることが考えられる。しかし、このような構成とすると、基板処理装置10の占有面積が大幅に増加するうえに、複雑な構成のプッシャを一対設けることによって、コストの大幅な増加を招く。
【0114】
これに対して、この実施形態の構成の場合には、前述のとおり、第1および第2横行経路101,102が配置されているので、占有面積を抑制できる。そのうえ、払出チャック73および搬入チャック74は、横行することができればよいので、これらを駆動するための構成はさほど複雑ではなく、それに応じてコストの増加も少ない。したがって、コストの低い構成で、2系統の搬送経路を確保して、基板処理速度を向上することができる。
【0115】
さらにまた、この実施形態では、基板受け渡し位置Pにおいて上下動する仲介チャック75が設けられており、これによって、いわゆるバッファ位置が確保されている。この構成によって、基板搬送の滞留を抑制できるから、基板処理速度の向上に寄与することができる。しかも、仲介チャック75は上下動できれば充分であり、横行する必要がないので、その駆動機構の構成は複雑ではない。したがって、コストの低い構成でバッファ位置を確保して、基板処理速度の向上を図ることができる。
【0116】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、仲介機構72が設けられているが、この仲介機構72を省いてもよい。この場合には、搬入チャック74によって基板受け渡し位置Pまで搬送された未処理基板Wは、搬入チャック74から主搬送機構3に直接受け渡されることになる。
【0117】
また、前述の実施形態では、払出チャック73を搬入チャック74よりも上方に配置しているが、これらの上下関係を逆転してもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 フープ保持部
2 基板処理部
3 主搬送機構
4 搬出入機構
5 姿勢変換機構
6 プッシャ
7 受け渡し機構
8 チャック洗浄ユニット
9 コントローラ
10 基板処理装置
13 基板方向整列機構
20 処理部
40 バッチハンド
41A ハンド進退機構
42A 旋回駆動機構
50 回動ブロック
51 第1保持機構
52 第2保持機構
53 基板規制機構
70 払出機構
71 搬入機構
72 仲介機構
73 払出チャック
74 搬入チャック
75 仲介チャック
76 横行機構
77 横行機構
78 昇降駆動機構
101 第1横行経路
102 第2横行経路
105 昇降保持部
106 回転軸部
107 横行ベース
108 昇降ベース
116 第1ガイド
117 第2ガイド
125 リニアアクチュエータ
126 モータ
140 基板ガイド
141 ベース部
142 シリンダ
148 基板ガイド
149 ベース部
150 基板ガイド
151 ベース部
152 シリンダ
F フープ
H0 払出高さ
H1 搬入高さ
H2 移載高さ
H10 原点高さ
H11 第1移載高さ
H12 第2移載高さ
P 基板受け渡し位置
S 基板移載位置
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直姿勢の複数枚の基板に対して一括して処理を施す基板処理部と、
垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する第1横行保持部を、基板移載位置と基板受け渡し位置との間で、第1横行経路に沿って横行させる第1横行機構と、
垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する第2横行保持部を、前記基板移載位置と前記基板受け渡し位置との間で、前記第1横行経路よりも下方の第2横行経路に沿って横行させる第2横行機構と、
垂直姿勢の複数枚の基板を一括して保持する昇降保持部を、前記基板移載位置において昇降させる昇降機構と、
前記基板受け渡し位置と前記基板処理部との間で、垂直姿勢の複数枚の基板を一括して搬送する主搬送機構とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
水平姿勢の複数枚の基板を一括して水平姿勢から垂直姿勢へ姿勢変換させて、前記基板移載位置にある前記昇降機構に受け渡すとともに、前記基板移載位置にある前記昇降機構に垂直姿勢で保持された複数枚の基板を一括して受け取って、垂直姿勢から水平姿勢へ姿勢変換させる姿勢変換機構をさらに含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
水平姿勢の複数枚の基板を収容する収容器を保持する収容器保持部と、
前記収容器保持部に保持された収容器に対して水平姿勢の複数枚の基板を一括して搬出入し、前記姿勢変換機構との間で水平姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡しする搬出入機構とをさらに含む、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記搬出入機構と前記昇降機構との間の第1基板搬送経路と、前記昇降機構と前記基板受け渡し位置との間の第2基板搬送経路とが、所定の角度をなして交差しており、前記第1および第2基板搬送経路の交差点に前記昇降機構が配置されている、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記搬出入機構は、水平姿勢の複数枚の基板を保持するバッチハンドと、前記バッチハンドを水平方向に進退させるハンド進退機構と、前記バッチハンドを鉛直軸線周りに旋回させる旋回駆動機構とを含み、前記バッチハンドが前記収容器保持部に保持された収容器にアクセスするときのハンド進退方向が前記第2基板搬送経路に垂直な水平方向である、請求項4記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降機構は、前記第1基板搬送経路に沿って垂直姿勢の複数枚の基板を保持する第1姿勢と前記第2基板搬送経路に沿って垂直姿勢の複数枚の基板を保持する第2姿勢との間で前記昇降保持部を鉛直軸線まわりに回動させる回転駆動機構を含む、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記昇降機構は、前記昇降保持部を上下方向に昇降することにより前記昇降保持部から前記第2横行保持部に垂直姿勢の複数枚の基板を一括して受け渡すとともに、前記昇降保持部を上下方向に昇降することにより前記第1横行保持部に保持された垂直姿勢の複数枚の基板を一括して前記昇降保持部に受け取る、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
複数枚の基板を一括して保持する仲介保持部を、前記基板受け渡し位置において昇降させる仲介機構をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記仲介機構は、前記仲介保持部を前記基板受け渡し位置において昇降させることにより、前記第2横行保持部との間で複数枚の基板を一括して受け渡すものである、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記主搬送機構は、前記基板受け渡し位置において、前記第1横行保持部および前記仲介保持部との間で複数枚の基板を一括して受け渡すものである、請求項9記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記基板受け渡し位置において前記第2横行経路よりも下方に設けられ、複数枚の基板の方向を整列させる基板方向整列機構をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板方向整列機構は、前記基板受け渡し位置において、前記第2横行保持部に保持された状態の基板に対して、基板方向整列処理を行うものである、請求項11記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記第1横行保持部は、
互いに平行な一対の基板ガイドと、
前記一対の基板ガイドの間隔を、基板の幅よりも広い開状態と、基板の幅よりも狭く前記昇降保持部の幅よりも広い閉状態との間で変更するガイド開閉手段とを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図10K】
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【図10L】
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【図10M】
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【図10N】
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【図10O】
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【図10P】
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【図10Q】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図11G】
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【図11H】
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【図11I】
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【図11J】
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【図11K】
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【公開番号】特開2010−93230(P2010−93230A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165681(P2009−165681)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】