説明

基板処理装置

【課題】メインコントローラの起動後に必要に応じて破損ファイルの発生を操作画面に表示し、警告を促すことで安全性を向上した基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1のメインコントローラ240は、立ち上げ時にレシピ実行時に使用されるパラメータファイルの破損を発見した場合、起動後に破損ファイル一覧ダイアログを操作端末241に表示するとともにレシピを実行させないように構成される。もし、レシピ開始ボタンが押されたとしても、アラームメッセージが表示されるだけであり、レシピ開始ボタンは無効となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ等の基板に、成膜処理、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の所定の処理を行う基板処理装置、特に、基板処理装置の操作画面に表示する画面制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一種である半導体製造装置のメインコントローラにおいて、立ち上げ時にパラメータファイルの破損を発見した場合、そのパラメータを新規で作成しデフォルト値(初期値)でコントローラを立ち上げる。この場合、パラメータの暫定的なデフォルトデータでコントローラが立ち上がっていることが分からない。また、この状態で半導体製造装置を運用するとトラブルが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は斯かる実情に鑑み、メインコントローラの起動後に必要に応じて破損ファイルの発生を操作画面に表示し、警告を促すことで安全性を向上した基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数のステップで構成されるレシピファイルを実行するメインコントローラを備えた基板処理装置であって、前記メインコントローラは、立ち上げ時にレシピ実行時に使用されるパラメータファイルの破損を発見した場合、起動後に破損ファイル一覧ダイアログを操作部に表示し、前記パラメータファイルを利用するレシピファイルを実行させないように構成されている。
【発明の効果】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0006】
本発明によれば、メインコントローラの立ち上げ時にパラメータファイルの破損が発見された場合、メインコントローラ起動後に、項番(No.で示す)と、ファイル種別と、異常コードと、異常コードの内容と、対処方法を含む内容を破損ファイル一覧ダイアログとして表示するようにしたので、対処方法を実行することにより、デフォルト値で再生したパラメータファイルを使用するのを未然に防ぐことができる。更に、異常コードが、装置運用に支障をきたすコードの場合、レシピを実行できなくする等装置運用自体を停止するようにしたので、正しくないパラメータのままの運用を防止したため、異常な成膜処理が行われない。従い、レシピ運用時のトラブルを防止できる。また、破損ファイル一覧ダイアログの内容はファイルに保存され、所定の記憶媒体にコピーできるようにしたので、破損ファイル一覧データを保守員にメール等で送信することができる。従い、迅速な対応が可能であり、且つ、人件費の節約も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の基板処理装置を示す側断面図である。
【図3】本発明の基板処理システムのコントローラ構成を示す図である。
【図4】破損ファイル一覧画面の表示例を示す図である。
【図5】パラメータファイル破損異常のエラーメッセージの一例を示す図である。
【図6】プロセスレシピを開始させるスタートボタンの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるアラーム表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、図3を用いて、本発明の一実施形態に係る基板処理システムの構成及び動作について説明する。
【0009】
図3に示すとおり、基板処理システムは、基板に処理を行う少なくとも一台以上の基板処理装置1と、基板処理装置1に接続される群管理装置20とを備える。尚、基板処理装置1と群管理装置20との接続は、通信ケーブル等による直接接続であっても良いし、構内回線を介したネットワーク接続でも良いし、インターネットや専用線網などの広域回線を介したネットワーク接続であっても良い。また、基板処理装置1は、基板を処理するための基板処理系250と、基板処理系250に接続されたメインコントローラとしての基板処理用コントローラ240と、基板処理用コントローラ240に接続された操作部としての操作端末241を備える。また、操作端末241は、少なくとも操作画面を有し、ユーザ(作業者)が操作する際に用いる入出力装置を担う。群管理装置10は、ネットワーク等を介して基板処理装置1に接続される郡管理コントローラ200と、郡管理コントローラ200に接続され、ユーザ(作業者)が郡管理装置20を操作する際に用いる入出力装置を担う操作端末220とを備える。基板処理システムは、このような構成において、基板処理装置1は、群管理装置20に稼動状態や障害を含む各種情報を送信している。また、送信する情報(データ)は、基板処理装置100で生成される情報を全て送信しても良いし、予め設定された所定の情報のみを送信するようにしても良い。
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0011】
先ず、図1、図2に於いて、本発明が実施される基板処理装置について説明する。
【0012】
図1、図2は基板処理装置の一例として縦型の基板処理装置を示している。尚、該基板処理装置に於いて処理される基板は、一例としてシリコン等から成るウェーハが示されている。
【0013】
基板処理装置1は筐体2を備え、該筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能な様に設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、該正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
【0014】
前記筐体2の前記正面壁3にはポッド搬入搬出口6が前記筐体2の内外を連通する様に開設されており、前記ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉され、前記ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、該ロードポート8は載置されたポッド9を位置合せする様に構成されている。
【0015】
該ポッド9は密閉式の基板搬送容器であり、図示しない工程内搬送装置によって前記ロードポート8上に搬入され、又、該ロードポート8上から搬出される様になっている。
【0016】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、該回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納する様に構成されている。
【0017】
前記回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、該支柱12に上中下段の各位置に於いて放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、該棚板13は前記ポッド9を複数個宛載置した状態で格納する様に構成されている。
【0018】
前記回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられ、該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置し、又該ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
【0019】
前記ロードポート8と前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送機構(容器搬送機構)15が設置されており、該ポッド搬送機構15は、前記ポッド9を保持して昇降可能、水平方向に進退可能となっており、前記ロードポート8、前記回転式ポッド棚11、前記ポッドオープナ14との間で前記ポッド9を搬送する様に構成されている。
【0020】
前記筐体2内の前後方向の略中央部に於ける下部には、サブ筐体16が後端に亘って設けられている。該サブ筐体16の正面壁17にはウェーハ(基板)18を前記サブ筐体16内に対して搬入搬出する為のウェーハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウェーハ搬入搬出口19,19に対して前記ポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
【0021】
該ポッドオープナ14は前記ポッド9を載置する載置台21と、前記ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。前記ポッドオープナ14は前記載置台21に載置された前記ポッド9の蓋を前記開閉機構22によって開閉することにより、前記ポッド9のウェーハ出入口を開閉する様に構成されている。
【0022】
前記サブ筐体16は前記ポッド搬送機構15や前記回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。該移載室23の前側領域にはウェーハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、該ウェーハ移載機構24は、ウェーハ18を載置する所要枚数(図示では5枚)のウェーハ載置プレート25を具備し、該ウェーハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能、又昇降可能となっている。前記ウェーハ移載機構24はボート(基板保持体)26に対してウェーハ18を装填及び払出しする様に構成されている。
【0023】
前記移載室23の後側領域には、前記ボート26を収容して待機させる待機部27が構成され、該待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。該処理炉28は内部に処理室29を形成し、該処理室29の下端部は炉口部となっており、該炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)31により開閉される様になっている。
【0024】
前記筐体2の右側端部と前記サブ筐体16の前記待機部27の右側端部との間には前記ボート26を昇降させる為のボートエレベータ(基板保持具昇降機構)32が設置されている。該ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられており、該シールキャップ34は前記ボート26を垂直に支持し、該ボート26を前記処理室29に装入した状態で前記炉口部を気密に閉塞可能となっている。
【0025】
前記ボート26は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウェーハ18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持する様に構成されている。
【0026】
前記ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、該クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気若しくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給する様供給ファン及び防塵フィルタで構成されている。前記ウェーハ移載機構24と前記クリーンユニット35との間には、ウェーハ18の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
【0027】
前記クリーンユニット35から吹出された前記クリーンエア36は、ノッチ合せ装置(図示せず)及び前記ウェーハ移載機構24、前記ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、前記筐体2の外部に排気がなされるか、若しくは前記クリーンユニット35によって前記移載室23内に吹出されるように構成されている。
【0028】
次に、前記基板処理装置1の作動について説明する。
【0029】
前記ポッド9が前記ロードポート8に供給されると、前記ポッド搬入搬出口6が前記フロントシャッタ7によって開放される。前記ロードポート8上の前記ポッド9は前記ポッド搬送装置15によって前記筐体2の内部へ前記ポッド搬入搬出口6を通して搬入され、前記回転式ポッド棚11の指定された前記棚板13へ載置される。前記ポッド9は前記回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、前記ポッド搬送装置15により前記棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて前記載置台21に移載されるか、若しくは前記ロードポート8から直接前記載置台21に移載される。
【0030】
この際、前記ウェーハ搬入搬出口19は前記開閉機構22によって閉じられており、前記移載室23には前記クリーンエア36が流通され、充満している。例えば、前記移載室23には前記クリーンエア36として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、前記筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0031】
前記載置台21に載置された前記ポッド9はその開口側端面が前記サブ筐体16の前記正面壁17に於ける前記ウェーハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が前記開閉機構22によって取外され、ウェーハ出入口が開放される。
【0032】
前記ポッド9が前記ポッドオープナ14によって開放されると、ウェーハ18は前記ポッド9から前記ウェーハ移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、該ノッチ合せ装置にてウェーハ18を整合した後、前記ウェーハ移載機構24はウェーハ18を前記移載室23の後方にある前記待機部27へ搬入し、前記ボート26に装填(チャージング)する。
【0033】
該ボート26にウェーハ18を受渡した前記ウェーハ移載機構24は前記ポッド9に戻り、次のウェーハ18を前記ボート26に装填する。
【0034】
一方(上端又は下段)のポッドオープナ14に於ける前記ウェーハ移載機構24によりウェーハ18の前記ボート26への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ14には前記回転式ポッド棚11から別のポッド9が前記ポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、前記他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0035】
予め指定された枚数のウェーハ18が前記ボート26に装填されると前記炉口シャッタ31によって閉じられていた前記処理炉28の炉口部が前記炉口シャッタ31によって開放される。続いて、前記ボート26は前記ボートエレベータ32によって上昇され、前記処理室29に搬入(ローディング)される。
【0036】
ローディング後は、前記シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。
【0037】
前記処理室29が所望の圧力(真空度)となる様にガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。又、前記処理室29が所望の温度分布となる様にヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度迄加熱される。
【0038】
又、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが前記処理室29を流通する過程で、ウェーハ18の表面と接触し、ウェーハ18の表面上に所定の処理が実施される。更に、反応後の処理ガスは、前記ガス排気機構により前記処理室29から排気される。
【0039】
そして、前記ボートエレベータ32により前記シールキャップ34を介して前記ボート26が降下される。
【0040】
処理後のウェーハ18の搬出については、上記説明と逆の手順で、ウェーハ18及びポッド9は前記筐体2の外部へ払出される。未処理のウェーハ18が、更に前記ボート26に装填され、ウェーハ18のバッチ処理が繰返される。
【0041】
前記処理炉28、少なくとも基板を搬送する機構であるポッド搬送機構15、ウェーハ移載機構24、ボートエレベータ32を含む搬送機構、前記処理炉28に処理ガス等を供給するガス供給機構、前記処理炉28内を排気するガス排気機構、前記処理炉28を所定温度に加熱するヒータ駆動部、及び前記処理炉28、前記搬送機構、前記ガス供給機構、前記ガス排気機構、前記ヒータ駆動部は、基板処理用コントローラ240により、それぞれ制御される。
【0042】
次に、本発明の一実施形態にかかる操作端末241の操作画面に於ける表示例について説明する。
【0043】
基板処理装置1のメインコントローラ240を立ち上げた時に、各パラメータを展開するためにファイルをオープンする。オープン結果が正常であればそのままパラメータを展開し、異常であれば、項番(No.)を添付して、異常と判定されたパラメータのファイル種別、異常コード、その異常の内容、異常への対処方法を、メインコントローラ起動後に破損ファイル一覧ダイアログとして表示し警告を促す。
【0044】
図4は、破損ファイル一覧ダイアログの表示例である。尚、この内容は、ファイルに保存し、所定の記憶媒体にコピーできるよう構成される。
【0045】
図5に示すように、図4の破損ファイル一覧ダイアログで表示される異常コードが、半導体製造装置の運用に支障をきたすコード(ファイルをオープンできなかったコード)の場合、運転ボタンを押しても「パラメータ破損異常のため運転動作を行えません」というメッセージを表示して半導体製造装置を運用できなくするように構成される。また、図6に示すようにレシピをStartボタンを押しても、図7に示されるように「パラメータ破損異常」のアラームを表示すると共にアラームを発生させるように構成される。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、半導体製造装置のメインコントローラ240において立ち上げ時に、パラメータファイルの破損が発見されると、メインコントローラ起動後に、項番(No.)を付加し、ファイル種別、異常コード、異常の内容、異常への対処方法を含む破損ファイルとして操作端末241に表示して、ユーザへ警告を促すように構成される。また、異常コードが、装置運用に支障をきたすコードであれば、画面上に表示される運転ボタンやレシピのStartボタンを無効にして装置運用を停止するように構成される。尚、破損ファイル一覧ダイアログの内容は、ファイルに保存され、所定の記録媒体に自動的にコピーされるように構成される。
【0047】
又、本発明の基板処理装置は、半導体製造装置だけではなく、LCD装置の様なガラス基板を処理する装置にも適用でき、縦型基板処理装置だけではなく、枚葉式の基板処理装置や横型の処理炉を有する基板処理装置にも適用できる。更に、露光装置やリソグラフィ装置、塗布装置等の他の基板処理装置に対しても同様に適用できるのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0048】
1 基板処理装置
18 ウェーハ
20 群管理装置
240 基板処理用コントローラ(メインコントローラ)
241 操作端末(操作部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステップで構成されるレシピファイルを実行するメインコントローラを備えた基板処理装置であって、前記メインコントローラは、立ち上げ時にレシピ実行時に使用されるパラメータファイルの破損を発見した場合、起動後に破損ファイル一覧ダイアログを操作部に表示する基板処理装置。
【請求項2】
前記パラメータファイルを実行時に使用する前記レシピファイルは、実行されないように構成される請求項1の基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−104701(P2012−104701A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252880(P2010−252880)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】