説明

基板処理装置

【課題】地震等による破損の発生を防止する。
【解決手段】ボート217を支持する断熱筒218を有する基板処理装置において、断熱筒218をボート217の下に締結される上筒10と、上筒10の下に締結される下筒20とから構成する。上筒10はボート217と同質の炭化珪素で同径の円筒形状に形成し、ボートの下側端板217aに炭化珪素のボルト18によって締結する。下筒20は石英で上筒10と同径の円筒形状に形成し、上筒10の上に印籠結合するとともに、ボルト26によって締結する。ボルト26は石英で形成し、基端部にねじ部27、先端部にねじ部の無い接触部28を形成する。ボルト26は下筒20に等間隔に突設された固定片24のねじ孔25にねじ部27をねじ込み、接触部28を上筒10の側壁11の熱通し孔13の内周面に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
例えば、半導体ウエハ(半導体集積回路装置が作り込まれるウエハ)およびガラス基板(液晶ディスプレイ装置が作り込まれる基板)等の基板を処理するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、ウエハという)を処理する基板処理装置としては、複数枚のウエハを一度に処理するバッチ式基板処理装置がある。
バッチ式基板処理装置においては、複数枚のウエハは水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列されてボートに保持され、ボートに保持された状態でボートエレベータによって処理室に搬入されて、そのままの状態で処理室内で処理を施され、ボートエレベータによって処理室から搬出される。
ボートの下には処理室内外の熱の伝達を断つ断熱筒がボートを支持するように設けられている。ボートは石英や炭化珪素等の耐熱性材料から形成されており、断熱筒も石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円筒形状に形成されている。
このようなバッチ式基板処理装置のボートおよびボートに保持されたウエハは極めて高価であるため、ボートが何時発生するか予測することができない地震等によって転倒すると甚大な損害が発生する。
そこで、従来のバッチ式基板処理装置においては、ボートの転倒を防止する転倒防止機構が具備されている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−100188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の転倒防止機構においては、ボートと断熱筒との固定についての配慮が不充分であるため、地震等による揺れによってボートにガタつきや浮き上がりが発生し、処理室内のボートやウエハ等の破損が発生する危惧ある。
【0005】
本発明の目的は、地震等による破損の発生を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
基板を保持する保持具と、
前記保持具の下に第一締結具によって締結された上筒と、
前記上筒の下に第二締結具によって締結された下筒と、
を有する基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
前記した手段によれば、地震等による破損の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】その側面断面図である。
【図3】処理炉を示す縦断面図である。
【図4】断熱筒を示す分解斜視図である。
【図5】断熱筒を示す平面断面図である。
【図6】断熱筒を示しており、(a)は正面断面図、(b)は(a)のb−b線に沿う側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態において、本発明に係る基板処理装置は、半導体ウエハを扱うものとして構成されており、半導体ウエハに酸化膜形成や拡散およびCVDのような処理を施すものとして構成されている。
本実施形態において、基板としての半導体ウエハ(以下、ウエハという)200はシリコン等の半導体から作製されており、ウエハ200を収納して搬送するキャリア(収容器)としては、FOUP(front opening unified pod)110が使用されている。
【0010】
図1および図2に示されているように、本実施形態に係る基板処理装置(以下、処理装置という)100は筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部には、メンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
筐体111の正面壁111aには、FOUP(以下、ポッドという)110を搬入搬出するためのポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるように構成されている。
【0011】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間にはポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。ポッド搬送装置118はポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されている。ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0013】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125はウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。ウエハ移載装置125aはツイーザ(基板保持体)125cによってウエハ200を保持して、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動させる。ウエハ移載装置エレベータ125bはウエハ移載装置125aを昇降させる。ウエハ移載機構125はウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)する。
図1に示されているように、ウエハ移載装置エレベータ125bは耐圧筐体111の右側端部とサブ筐体119の移載室124前方領域右端部との間に設置されている。
【0014】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が形成されている。待機部126の上方には処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0015】
図1に示されているように、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間には、ボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム128には、蓋体としてのシールキャップ129が水平に据え付けられており、シールキャップ129はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0016】
図1に示されているように、移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側と反対側である左側端部には、クリーンユニット134が設置されている。クリーンユニット134は供給フアンおよび防塵フィルタで構成されており、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給する。図示しないが、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置が設置されている。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置およびウエハ移載装置125aに流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側 (供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出される。
【0017】
次に、処理装置100の動作について説明する。
図1および図2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。
例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0018】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置にてノッチを整合された後、待機部126へ搬入され、ボート217へ移載されて装填(ウエハチャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ110をボート217に装填する。
【0019】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0020】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が炉口シャッタ147によって開放される。続いて、シールキャップ129がボートエレベータ115の昇降台によって上昇されて、シールキャップ129に支持されたボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0021】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に処理が実施される。
処理後は、ボートエレベータ115によりボート217が搬出(ボートアンローディング)される。
その後は、ノッチ合わせ装置でのウエハの整合工程を除き、概ね、前述と逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0022】
図3は本実施形態に係る処理炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0023】
図3に示されているように、処理炉202は加熱機構としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0024】
ヒータ206の内側には均熱管(外管)205がヒータ206と同心円に配設されている。均熱管205は炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。均熱管205の内側には反応管(内管)204が均熱管205と同心円に配設されている。反応管204は石英(SiO2 )等の耐熱性材料が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管204の筒中空部は処理室201を形成しており、処理室201はウエハ200をボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
【0025】
反応管204の下端部にはガス導入部230が設けられており、ガス導入部230から反応管204の天井部233に至るまで反応管204の外壁に添ってガス導入管としての細管234が配設されている。ガス導入部230から導入されたガスは、細管234内を流通して天井部233に至り、天井部233に設けられた複数のガス導入口233aから処理室201内に導入される。また、反応管204の下端部のガス導入部230と異なる位置には、反応管204内の雰囲気を排気口231aから排気するガス排気部231が設けられている。
【0026】
ガス導入部230にはガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のガス導入部230との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源、キャリアガス供給源、不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
なお、処理室201内に水蒸気を供給する必要がある場合は、ガス供給管232のMFC241よりも下流側に、図示しない水蒸気発生装置が設けられる。
【0027】
ガス排気部231にはガス排気管229が接続されている。ガス排気管229のガス排気部231との接続側とは反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力となるよう排気し得るように構成されている。
圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0028】
反応管204の下端部には、反応管204の下端開口を気密に閉塞可能な保持体としてのベース257と、炉口蓋体としてのシールキャップ129とが設けられている。シールキャップ129は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。ベース257は例えば石英からなり、円盤状に形成され、シールキャップ129の上に取付けられている。ベース257の上面には反応管204の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられる。
シールキャップ129の処理室201と反対側にはボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255は、シールキャップ129およびベース257を貫通して、断熱筒218とボート217に接続されており、断熱筒218およびボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
シールキャップ129は反応管204の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構254およびボートエレベータ115には、駆動制御部237が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0029】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて保持するように構成されている。ボート217の下方には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円筒形状をした断熱部材としての断熱筒218がボート217を支持するように設けられており、ヒータ206からの熱が反応管204の下端側に伝わりにくくなるように構成されている。
【0030】
均熱管205と反応管204との間には、温度計測器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0031】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0032】
次に、以上の構成に係る処理炉202を用いて、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200に酸化、拡散等の処理を施す方法について説明する。
以下の説明において、処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0033】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージング)されると、図3に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ129はベース257、Oリング220を介して反応管204下端をシールした状態となる。
【0034】
処理室201内が所望の圧力となるように排気装置246によって排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づき圧力調節器242が、フィードバック制御される。
また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。
続いて、回転機構254により、断熱筒218、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0035】
次いで、処理ガス供給源およびキャリアガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス供給管232からガス導入部230および細管234を流通し天井部233に至り、複数のガス導入口233aから処理室201内にシャワー状に導入される。
導入されたガスは処理室201内を流下し、排気口231aを流通してガス排気部231から排気される。ガスは処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、ウエハ200に対して酸化、拡散等の処理がなされる。
なお、ウエハ200に対して水蒸気を用いた処理を行う場合は、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは水蒸気発生装置に供給され、水蒸気発生装置にて生成された水蒸気(H2 O)を含むガスが処理室201に導入される。
【0036】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0037】
その後、シールキャップ129がボートエレベータ115によって下降されて、反応管204の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に保持された状態で、反応管204の下端から反応管204の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウエハ200はボート217よって取出される(ウエハディスチャージング)。
【0038】
なお、本実施形態の処理炉にてウエハを処理する際の処理条件としては、例えば、酸化処理においては、処理温度:150〜1050℃、処理圧力:0〜101300Pa、ガス種:HO、ガス供給流量:20sccmが例示される。これらの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハに処理がなされる。
【0039】
以下、図4〜図6に示された断熱筒について説明する。
【0040】
本実施形態において、ボート217は炭化珪素が使用されて形成されており、円板形状に形成された下側端板217aを有する。
本実施形態に係る断熱筒218は、ボート217の下に締結される上筒10と、この上筒10の下に締結される下筒20とを有する。
上筒10はボート217の形成材料と同質である炭化珪素が使用されて、外径が下側端板217aの外径と略等しく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。上筒10の側壁(筒壁)11の内周下端部には、下筒20と印籠結合するための雌嵌合部(図6参照)12が一定深さで一定幅に形成されている。
上筒10の側壁11には、熱を上筒81内外に通すことによって温度勾配を滑らかにし熱膨張による破損を抑制する熱通り孔13が、複数個(本実施形態では8個)周方向に等間隔に配されて径方向に貫通するようにそれぞれ開設されている。
上筒10の閉塞壁14の中央部には窓孔15が同心円に大きく開設されており、周辺部にはねじ孔16が複数個(本実施形態では2個)、周方向に等間隔に配されて厚さ方向に貫通するように開設されている。
上筒10がボート217の下側端板217aに締結されるに際しては、閉塞壁14が下側端板217に当接されるとともに、複数個のねじ孔16が下側端板217aに開設された複数個の透孔17にそれぞれ整合され、締結具としてのボルト18が各透孔17を挿通して各ねじ孔16にそれぞれねじ込まれる。ボルト18は上筒10の形成材料と同質である炭化珪素によって形成することが望ましい。
【0041】
下筒20は石英が使用されて、外径が上筒10の外径と略等しい円筒形状に形成されている。下筒20は上下二分割構造に構成されており、下筒20の上側分割体20aの上端は閉塞されている。下筒20の側壁21の外周上端部には、上筒10と印籠結合するための雄嵌合部22が上筒10の雌嵌合部12と同一に一定深さで一定幅に形成されている。
下筒20の閉塞壁23の周辺部には固定片24が複数個(本実施形態では4個)、周方向に等間隔に配されて垂直にそれぞれ突設されており、各固定片24は熱通し孔13の何れかにそれぞれ対向するように設けられている。各固定片24には、締結具としてのボルト26がねじ込まれる各ねじ孔25がそれぞれ開設されている。ボルト26は石英が使用されて形成されており、基端部にねじ部27を有し、先端部にねじ部の無い接触部28を有する。接触部28の外径は上筒10の熱通し孔13の内径以下に設定されている。
【0042】
上筒10が下筒20に取り付けられるに際しては、まず、ボート217が締結されていない状態の上筒10が下筒20に被せ付けられる。この際、雌嵌合部12と雄嵌合部22とが嵌合されるとともに、各固定板24が所定の熱通し孔13にそれぞれ整合される。
次いで、ボルト26が上筒10の窓孔15から上筒10内に挿入されて、固定板24のねじ孔25にねじ込まれる。ボルト26の基端部に形成されたねじ部27がねじ孔25に奥までねじ込まれると、図7(b)に示されているように、ねじ部の無い接触部28が熱通し孔13の内周面に接触する。この状態において、ボルト26の接触部28の先端面は熱通し孔13から突出しない。複数個の固定板24にボルト26が取り付けられると、複数個のボルト26は下筒20を四方から締結した状態になる
この状態において、ボルト26はねじ部の無い接触部28が接触することによって下筒20を締結した状態になるので、石英からなるねじ部27が損傷することはない。
他方、ボルト26の接触部28の先端面は熱通し孔13から突出しない状態になるので、ボルト26の先端部が断熱筒128外周から突出することによって処理ガスの流れに悪影響が及ぶ現象を未然に防止することができる。
さらに、図6(b)に示されているように、熱通し孔13の内径がボルト26の外径よりも大径に形成されている場合には、ボルト26が挿入された熱通し孔13も熱の通り路を確保することができるので、熱通し孔13として機能することができる。
【0043】
以上の実施形態によれば、次のうち少なくとも一つの効果が得られる。
【0044】
(1)下筒に上筒をねじ部の無い接触部を先端部に有するボルトによって締結し、上筒にボートをボルトによって締結することにより、上筒と下筒とからなる断熱筒から上方のガタつきや浮き上がりを防止することができるので、地震等による破損の発生を防止することができる。
【0045】
(2)下筒に上筒をねじ部の無い接触部を有するボルトによって締結することにより、ボルトのねじ部の損傷を防止することができるので、締結状態を確保することができる。
【0046】
(3)下筒に上筒を締結したボルトの先端面が上筒外周から突出しない状態に設定することにより、ボルト先端部が断熱筒外周から突出することによって処理ガスの流れに悪影響が及ぶ現象を未然に防止することができる。
【0047】
(4)ボルトの接触部の締結相手として上筒に開設された熱通し孔を活用することにより、上筒に締結専用の透孔を開設せずに済むので、加工工数の増加を回避することができるばかりでなく、断熱筒の強度や断熱特性や流路抵抗の低下等を防止することができる。
【0048】
(5)ボルトの接触部の外径を熱通し孔の内径未満に設定することにより、ボルトが挿入された熱通し孔も熱の通り路を確保することができるので、熱通し孔として活用することができる。
【0049】
(6)上筒を炭化珪素によって形成することにより、ボートを炭化珪素によって形成することができるので、ボートの耐熱性能を向上させることができる。
【0050】
(7)上筒をボートと同質である炭化珪素によって形成することにより、下筒を石英によって形成することができるので、断熱筒のコスト延いては処理炉および基板処理装置のコストを低減することができる。
【0051】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0052】
例えば、下筒に上筒を締結する締結具および/または上筒をボートに締結する締結具としては、ボルトを使用するに限らず、リベット等を使用してもよい。
【0053】
上筒と下筒とを締結する締結具の締結相手として上筒に開設された熱通し孔を使用するに限らず、上筒に締結専用の透孔を開設してもよい。断熱筒の条件によっては、熱通し孔は省略することができる。
【0054】
上筒と下筒とを締結する締結具の接触部の外径は、熱通し孔の内径未満に設定するに限らず、熱通し孔の内径以上に設定することができる。
【0055】
上筒に雌嵌合部を設け、下筒に雄嵌合部を設けるに限らず、上筒に雄嵌合部を設け、下筒に雌嵌合部を設けてもよいし、上筒と下筒との間の雌嵌合部と雄嵌合部とによる印籠結合は省略してもよい。
【0056】
上筒は炭化珪素によって形成するに限らず、石英で形成してもよい。
下筒は石英によって形成するに限らず、炭化珪素によって形成してもよい。
【0057】
上筒は上下に二分割するに限らず、三分割以上に分割してもよいし、分割せずに一体的に形成してもよい。
【0058】
前記実施形態においては、ウエハを処理する場合について説明したが、本発明は液晶パネルのガラス基板や磁気ディスクや光ディスク等の基板を処理する基板処理装置全般に適用することができる。
【0059】
また、酸化膜形成に限らず、拡散やCVDやアニールおよびアッシング等の処理全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…上筒、11…側壁(筒壁)、12…雌嵌合部、13…熱通し孔、14…閉塞壁、15…窓孔、16…ねじ孔、17…透孔、18…ボルト(締結具)、
20…下筒、21…側壁、22…雄嵌合部、23…閉塞壁、24…固定片、25…ねじ孔、26…ボルト、27…ねじ部、28…接触部、
100…処理装置(基板処理装置)、110…ポッド(キャリア)、118…ポッド搬送装置、125…ウエハ移載機構、125a…ウエハ移載装置、125b…ウエハ移載装置エレベータ、115…ボートエレベータ、129…シールキャップ、
200…ウエハ(基板)、202…処理炉、217…ボート(保持具)、217a…下側端板、218…断熱筒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持具と、
前記保持具の下に第一締結具によって締結された上筒と、
前記上筒の下に第二締結具によって締結された下筒と、
を有する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−216703(P2012−216703A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81598(P2011−81598)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】