説明

塗布、現像装置、塗布、現像方法及び記憶媒体。

【課題】本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、レジストを塗布し、液浸露光した後の基板を現像するにあたり、基板の裏面に付着した液が乾燥することで発生するパーティクルによる汚染を防ぐことができる塗布、現像装置を提供すること。
【解決手段】 液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、前記基板の裏面に付着した、前記液層を形成した液を、前記基板が搬送手段に保持されている状態で検知する液検知部と、この液検知部の検知結果に基づいて基板の裏面の液除去処理を行うか否か判定する制御部と、液除去処理を行うと判定した基板の裏面の液を除去するための液除去手段と、を備えるように構成してウォータマークの形成を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板にレジスト液を塗布し、レジスト膜の表面に液層を形成して液浸露光した後にその被処理基板を現像する塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその塗布、現像方法を実施するためのコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、例えば半導体ウエハ(以下ウエハとする)の表面にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、このレジスト膜を所定のパターンで露光した後に、現像してレジストパターンを作成している。このような処理は、一般にレジストの塗布、現像を行う塗布、現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
ところで近年、デバイスパターンの微細化、薄膜化の要請から露光の解像度を上げることを目的として液浸露光と呼ばれる露光手法を導入することが検討されている。液浸露光とはウエハの表面に光を透過させる超純水等の液層を形成した状態で光源から発せられた光を、この液層を透過させることでウエハ表面に照射させて、所定の回路パターンをレジストに転写する露光処理である。詳しく述べると例えばArFを露光処理を行うための光源として用いた場合に、その光源から発せられた光の波長は大気中では183nmであるが水中では実質134nmになるように、この手法は光の波長が水中では短くなることを利用して解像度の高い露光処理を行うものである。
この液浸露光を行う露光装置について図14を用いて簡単に述べておく。先ず、図示しない保持機構により水平姿勢に保持されたウエハWの表面と対向するように露光手段1を配置する。この露光手段1の先端部にはレンズ10が設けられており、図示しない例えばArF、KrFなどの光源から発せられパターンマスクを通過した光は当該レンズ10を通過してウエハWの表面に塗布されたレジストに照射され、これによりレジストの回路パターンを転写させる。また先端部には光を通過させる溶液例えば超純水の供給口11及び吸引口12が夫々設けられており、供給口11を介してレンズ10とウエハWの表面との間に水が供給され、更に当該水を吸引口を介して吸引回収する。これによりレンズ10とウエハWの表面との間の隙間に光を透過させる水膜が形成され、レンズ10から出た光は当該水膜を通過してレジストに照射されることとなる。そしてウエハWの表面に所定のパターンが転写されると、ウエハWとの間に水膜を張った状態でウエハWを横方向に移動させて、露光手段1を次の転写領域に対応する位置に対向させて光を照射していくことでパターンを順次転写していく。
【0004】
そして露光時に受けた定在波の影響を除いてレジストパターンの形状を整えるために上述のように露光処理を受けたウエハWは、現像処理前に加熱処理用の熱板を備えた、PEB(ポストエクスポージャベーキング)ユニットと呼ばれる加熱ユニットに搬送され、前記熱板上で例えば120〜130℃の温度で加熱される。また例えば化学増幅型のレジスト膜が形成されている場合おいてこの加熱処理は、露光されることでレジストの表面に生成した酸触媒を当該レジスト内部に広く拡散させることも目的として行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の液浸露光処理では、ウエハWの表面に液膜を形成して露光が行われることから、ウエハWの裏面にその露光処理に使用した液が回り込み、裏面にその液が付着したまま露光装置から塗布、現像装置にウエハWが搬出されるおそれがあり、この付着した液が乾燥するとウォータマークと呼ばれる液の付着跡が形成され、このウォータマークからはパーティクルが発生する。なおウォータマークは液体が乾燥する際に空気中の成分を吸着することにより形成されると考えられている。
【0006】
そして裏面に液が付着した状態のウエハW及び既にウォータマークが形成されたウエハWが前記加熱(PEB)ユニットに搬送されて加熱処理を受けると、当該加熱ユニットの熱板上にパーティクルが転写するおそれがあり、このようにパーティクル汚染を受けた熱板については加熱処理時にパーティクルの付着している部位の温度と他の部位の温度との間に温度差が生じて、ウエハWの加熱処理が適切に行われなくなり、正常なレジストパターンが形成されなくなるおそれがある。特に既述の化学増幅型のレジストが形成されたウエハWを加熱処理する際には、酸触媒反応の進行がウエハWの面内で不均一となる結果として、レジストパターンの線幅に大きな影響が及ぶおそれがある。
【0007】
またパーティクルが付着したウエハWが現像ユニットに搬送されると、その現像ユニットにもパーティクル汚染が拡大し、この現像ユニット及び前記加熱ユニットにおいてパーティクルがウエハWの表面にまわりこんで付着して、その表面のパターンを傷つけ、パターンに欠陥が生じるおそれがある。
【0008】
ところで液浸露光処理後のウエハを処理する塗布、現像装置には、前記PEB処理を行う前にウエハWの表面を洗浄し、液浸露光処理時に使用した液を除去してその表面を乾燥させる洗浄ユニットが設けられる場合がある。この洗浄ユニットには通常、ウエハWの裏面中央部を吸引して保持するチャックが設けられており、このチャックは鉛直軸周りに回転自在に構成されている。ウエハWの洗浄処理時には、洗浄液がウエハW表面に供給されながらこのチャックを介してウエハWが回転され、その洗浄液及び液浸露光時に使用された液が遠心力により振り切られてウエハWが洗浄される。そして洗浄液の供給停止後もしばらく回転が続けられウエハW表面が乾燥される。
【0009】
しかし裏面に液が付着した状態でウエハWが前記チャックに載置されると、チャックがその液を吸引し、当該チャックの吸引力が低下することにより、洗浄処理中にウエハWがチャックから離れて床に落下して破損するおそれがある。また吸引されずにこのチャックとウエハWとの間に残った液からも既述のようにウォータマークが生成して、ウエハWの裏面がパーティクル汚染を受けるおそれがある。
【0010】
なお特許文献1には液浸露光後の基板表面に残った液を検出して除去する技術が記載されているが、上述の基板の裏面に付着する液の問題を解決できるものではない。
【0011】
【特許文献1】特開2005−197469(段落0022、段落0023)
【0012】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、レジストを塗布し、液浸露光した後の基板を現像するにあたり、基板の裏面に付着した液が乾燥して形成されるウォータマークから発生するパーティクルによる汚染を防ぐことができる塗布、現像装置、塗布、現像方法及びその方法を実施するコンピュータプログラムを含んだ記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の塗布、現像装置は、基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に加熱処理を行う加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、前記基板の裏面に付着した、前記液層を形成した液を、前記基板が搬送手段に保持されている状態で検知する液検知部と、この液検知部の検知結果に基づいて基板の裏面の液除去処理を行うか否か判定する制御部と、液除去処理を行うと判定した基板の裏面の液を除去するための液除去手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また他の発明の塗布、現像装置は、基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に基板を加熱処理する加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により保持された基板の裏面に対し、前記液層を形成した液を除去する液除去手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに他の発明の塗布、現像装置は、基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に基板を加熱処理する加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、前記基板の裏面に付着した、前記液層を形成した液を、前記基板が搬送手段に保持されている状態で検知する液検知部と、この液検知部の検知結果に基づいて処理ユニットへの基板の搬送を行うか否か判定する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
これらの塗布、現像装置は、塗布ユニット及び現像ユニットが割り当てられた処理部と、この処理部に隣接して設けられ、基板を液浸露光する露光部と接続されるインターフェイス部と、を備え、液除去手段あるいは液検知部は当該インターフェイス部に設けられていてもよい。また基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットが設けられ、前記液除去手段による液除去処理は、当該洗浄ユニットによる洗浄処理よりも前に行われてもよい。
【0017】
また液除去手段は、基板の裏面に気体を供給する気体供給ノズルと、供給された気体及び基板の裏面の液を吸引する吸引用ノズルと、を備えていてもよく、例えば液除去手段は、基板が搬送手段に保持されている状態で基板の裏面の液除去処理を行う。また例えば基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットが設けられ、加熱ユニットへ搬送を行わないと判定された基板は、洗浄ユニットに搬送されず、また前記搬送手段には例えば液検知部が設けられている。
【0018】
本発明の塗布、現像方法は、基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、基板の裏面に付着した前記液層を形成した液を、前記搬送手段による搬送途中にて検知する工程と、この工程における検知結果に基づいて、基板に対して液除去処理するか否かを判定する工程と、液除去処理すると判定した基板の裏面に対して液除去を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
また他の発明の塗布、現像装置は、基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、 液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、前記搬送手段による搬送途中にて基板の裏面に対して液除去を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
これらの塗布、現像方法において液除去された後の基板を、基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットに搬送する工程が含まれてもよい。
さらに他の発明の塗布、現像装置は、基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、基板の裏面に付着した前記液層を形成した液を、前記搬送手段による搬送途中にて検知する工程と、この工程における検知結果に基づいて、基板を加熱ユニットへ搬送するか否かを判定する工程と、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の記憶媒体は、基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の当該基板を加熱処理ユニットに搬送して加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、既述の塗布、現像方法を実施するようにステップ群が組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液浸露光処理後、加熱処理前に搬送手段によって保持されている基板の裏面に対して、液浸露光処理の際に液層を形成した液が付着しているか否かを液検知部が検知し、液が付着していないと判定した基板については加熱ユニットへと送り、反対に液が付着していると判定された基板については液除去処理を行ってから加熱ユニットに送る構成としている。従って加熱ユニット及び現像ユニットなどの塗布、現像装置内の各所にパーティクル汚染が広がることを抑えることができ、基板の加熱処理時にパーティクルがパターンの形成に影響を与えたり、パーティクルによりパターンが傷つけられたりする不具合を抑えることができるためレジストパターンに欠陥が生じることが抑えられる。また基板を保持した状態で液の検知を行うのでスループットの低下を抑えることができる。なお多数枚の基板を処理する場合にはすべての基板に対して液除去処理を行わないので、よりスループットの低下を抑えることができる。
【0023】
また他の発明によれば、液浸露光処理後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段に保持されている基板の裏面に対して液除去処理を行う構成とすることで先の発明のようにスループットの低下を抑えながら塗布、現像装置内にパーティクル汚染が広がることを抑えることができ、基板のレジストパターンに欠陥が発生することを抑えることができる。
【0024】
さらに他の発明によれば、加熱処理前に搬送手段によって保持されている基板の裏面に対して、液浸露光処理の際に液層を形成した液が付着しているか否かを液検知部が検知し、この検知結果に基づいて加熱ユニットへの基板の搬送を行うか否か判定される構成とすることで先の発明と同様にスループットの低下を抑えながら塗布、現像装置内にパーティクル汚染が広がることを抑えることができ、基板のレジストパターンに欠陥が発生することを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の第1の実施の形態にかかる塗布、現像装置に露光装置を接続したシステムの全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図中B1はキャリアブロックであり、基板であるウエハWが例えば13枚密閉収納されたキャリアC1を搬入出するための載置部20aを備えたキャリアステーション20と、このキャリアステーション20から見て前方の壁面に設けられる開閉部21と、開閉部21を介してキャリアC1からウエハWを取り出すための受け渡し手段A1とが設けられている。
【0026】
キャリアブロックB1の奥側には筐体22にて周囲を囲まれる処理部である処理ブロックB2が接続されており、この処理ブロックB2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3とが交互に配列して設けられている。また主搬送手段A2,A3は、キャリアブロックB1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側に一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面側と、左側の一面側をなす背面部とで構成される区画壁23により囲まれる空間内に置かれている。前記棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされている。また図中24,25は各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニットである。
【0027】
液処理ユニットU4は例えば図2に示すようにレジスト液や反射防止膜を形成するための薬液などを収納する薬液収納部の上に反射防止膜形成用の塗布ユニット(BARC)(以下「反射防止膜形成ユニット(BARC)」という)26が2段、レジスト膜形成用の塗布ユニット(COT)(以下「レジスト塗布ユニット(COT)」という)27が2段、保護膜形成用の塗布ユニット(ITC)28(以下「保護膜形成ユニット(ITC)」という)が1段、上から下に向かってこの順に積層されて構成されている。保護膜形成ユニット(ITC)28は、例えば撥水性の有機材料を含む塗布液をレジスト膜が形成されたウエハW表面に塗布して、液浸露光を行う際に用いる液体がレジスト膜に浸みるのを防ぐ撥水性保護膜を形成する。
【0028】
液処理ユニットU5は、現像液などを収納する薬液収納部の上に、前記撥水性保護膜を除去するための撥水性保護膜除去ユニット(ITR)29(以下「保護膜除去ユニット(ITR)」が2段、現像ユニット(DEV)2Aが例えば3段、上から下に向かいこの順に積層されて構成されている。また既述の棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、レジスト膜を塗布する前にウエハW表面全体に疎水化処理を行う疎水化処理ユニットやウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(PAB)、ウエハWを冷却する冷却ユニット等を含んでいる。また棚ユニットU1には、キャリアブロックB1と処理ブロックB2との間でウエハWを受け渡すための受け渡しステージ(TRS)が、棚ユニットU3には、処理ブロックB2とインターフェイスブロックB3との間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しステージ(TRS)が夫々含まれている。
【0029】
処理ブロックB2における棚ユニットU3の奥側には、インターフェイス部であるインターフェイスブロックB3を介して露光部である露光装置B4が接続されている。このインターフェイスブロックB3は、例えば処理ブロックB2と露光装置B4との間に処理ブロックB2側、露光装置B4側に夫々設けられる第1の搬送室3A、第2の搬送室3Bにより構成されている。
【0030】
図3を参照しながらこれら搬送室3A,3Bの構成について説明する。第1の搬送室3Aは筺体3aを備え、筺体3a内には例えば棚ユニットU6及びバッファカセットC0が設けられており、棚ユニットU6は第1の搬送室3Aと第2の搬送室3Bとの間でウエハWの受け渡しを行うための受け渡しステージTRB1、露光処理を行ったウエハWを加熱処理する例えば2基の加熱ユニット(PEB)31及び冷却プレートを有する例えば2基の高精度温調ユニット32などが上下に積層された構成となっている。また第1の搬送室3Aは、棚ユニットU6の各ユニット、バッファカセットC0及び処理ブロックB2の棚ユニットU3の受け渡しステージにアクセスできる基板搬送手段31Aを備えている。
【0031】
第2の搬送室3Bは筺体3bを備えており、その筺体3bの露光装置B4に面する壁面にはウエハWの搬送口33が開口している。この搬送口33を介して第2の搬送室3Bに設けられた基板搬送手段34と、露光装置B4側に設けられた受け渡しステージ4Aとの間でウエハWの受け渡しが行われる。
【0032】
基板搬送手段34は夫々ウエハWの裏面の周縁裏側を保持する搬送部35,36と、これら搬送部35,36を支持する搬送基体37とを備えている。搬送部35,36は各々上下に重なるように設けられており、また各々独立して進退自在に構成されている。上段側の搬送部35は露光前のウエハWを露光装置B4に搬送し、搬送部36は露光後のウエハWを第2の搬送室3Bに搬送する。搬送基体37は鉛直軸周りに回転自在、昇降自在に構成されている。
【0033】
また第2の搬送室3Bには搬送部36がアクセスできる位置に洗浄ユニット4が設けられている。洗浄ユニット4は筺体40を備えており、筺体40の内部には図4に示すようにウエハWの中央部を吸引することでそのウエハWを吸着保持する円形のバキュームチャック41が設けられている。基板載置部であるバキュームチャック41は軸部42を介して駆動部43に接続され、当該駆動部43を介して鉛直軸周りに回転自在に構成されている。図中44はウエハWの表面に洗浄液を供給する洗浄液供給ノズルである。前記チャック41はウエハWを保持した状態で高速回転することで遠心力によりウエハW表面における露光時に付着した液及び洗浄液を振り飛ばして当該ウエハWをスピン乾燥できるようになっている。図中45は洗浄液の飛散を抑えるためのカップである。図中46は排液口であり、図中47はカップ45内の排気を行う排気口である。
【0034】
図3に戻って、筺体30内の搬送口33付近には液検知部を構成する、例えばレーザー変位センサからなる距離検知センサ51が設けられており、例えばその上部には発光部52が設けられ、この発光部52からは上方に向けてレーザー光が照射される。図5(a)に示すように前記搬送部36は液浸露光処理を終えたウエハWを保持した状態で後退し、例えばウエハWは、その直径がこの発光部52の上方を通過するように径方向に沿って、搬送口33を介して露光装置B4からインターフェイスブロックB3に搬送される。なお発光部52の光源としては可視光を発する光源を用いてもよいが300nmクラスの光を発する光源を用いると、可視光を用いることによる外乱が抑えられるため好ましい。
【0035】
このように搬送部36が後退してウエハWがインターフェイスブロックB3に搬送される際に、例えば図5(b)中鎖線で示すように距離検知センサ51上にウエハWの後端が位置すると、後述の制御部100から送信された制御信号を受けて発光部52からレーザー光がウエハWの裏面に向けて照射され、そのレーザー光がウエハWの裏面に衝突して反射し、この反射光を例えば距離検知センサ51の不図示の受光部が受光する。その受光部は、例えばその受光部における光の入射位置(入射スポット)や光の入射する方向、角度などを検知する。
【0036】
搬送部36が後退を続けて、例えば図5(b)中実線で示すようにウエハWの前端が距離検知センサ51上に位置すると発光部52からレーザー光の照射が停止する。このようにレーザー光がウエハに照射される間、後述する制御部7が、前記受光部の検知結果に基づいて距離検知センサ51からそのウエハWの裏面のレーザーが照射されるポイントまでの距離を演算し、その距離をモニタする。
【0037】
距離検知センサ51の処理ブロックB2側には液除去手段であるノズル部6が設けられている。図6(a)に示すようにこのノズル部6は、ウエハWの裏面に乾燥気体を供給する気体供給ノズル61と、ウエハWの裏面に付着した液及び周囲の雰囲気を吸引する吸引ノズル62とを備えている。例えば気体供給ノズル61は処理ブロックB2側に吸引ノズル62は露光装置B4側に互いに連接して設けられている。
【0038】
図6(b)に示すようにこれらのノズル61,62は夫々スリット状の気体供給口61a、吸引口62aを備えており、これら気体供給口61a、吸引口62aはウエハWの直径をカバーする長さを有している。気体供給ノズル61には気体供給管63の一端が接続されており、気体供給管63の他端は例えばN2(窒素)ガスなどの不活性ガスが貯留された気体供給源64に接続されている。液体吸引ノズル62には吸引管65の一端が接続されている。図中66は吸引管65に介設された吸引機構であるエジェクタであり、吸引管65の他端は例えばこの塗布、現像装置が設置される工場の排気路などに接続されている。
【0039】
続いてこの塗布、現像装置に設けられた制御部7について図7を参照しながら説明する。制御部7は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部71、バス72、CPU73及び各種の演算を行うためのワークメモリ74を備えている。プログラム格納部71には例えば後述する距離検知プログラム75及び判定プログラム76及びその他の塗布、現像装置の後述の作用を実施するための各種のプログラムが格納される。距離検知プログラム75は、既述のように距離検知センサ51によってウエハWの裏面に照射されたレーザー光の反射光に基づいて、ウエハWの裏面の直径部分における距離検知センサ51とウエハWの裏面との間の距離のパターンを演算する。また図中76は記憶部であり、ウエハWの裏面に液が付着していない場合におけるウエハWの裏面と距離検知センサ51との間の距離のパターンが記憶される。
【0040】
判定プログラム75は、記憶部76に記憶された前記距離のパターンと、既述のように演算された距離のパターンとを比較し、比較結果が許容値(誤差範囲)に収まっていればウエハWの裏面全体に液が付着していないものとして洗浄ユニット4にウエハWを搬送するように搬送手段42に制御信号を送信する。その反対に比較結果が許容値に収まっていない場合は、ウエハWに液が付着しているものとして、ノズル部6及び基板搬送手段34に制御信号を送信して塗布、現像装置の作用で説明するようにウエハWの裏面の液除去処理を行う。
【0041】
なお既述のプログラム格納部71に格納される各プログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部71に格納される。
【0042】
続いて、上述の塗布、現像装置の作用について説明する。先ず外部からウエハWの収納されたキャリアC1が載置台20aに載置されると、開閉部21と共にキャリアC1の蓋体が外されて受け渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そしてウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受け渡しステージ(TRS)を介して主搬送手段A2へと受け渡される。
【0043】
続いてウエハWは、主搬送手段A2→反射防止膜形成ユニット26→主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の加熱ユニット→主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→棚ユニットU1〜U3の疎水化処理ユニット→主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→主搬送手段A2(A3)→レジスト塗布ユニット(COT)27の順に搬送されて、その表面に反射防止膜及びレジスト膜が形成される。
【0044】
レジスト膜が形成されたウエハWは主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の加熱ユニット(PAB)→主搬送手段A2→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→主搬送手段A2(A3)→保護膜塗布ユニット28の順に搬送され、レジスト膜の上部に撥水性の保護膜が形成された後、主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の加熱ユニット→主搬送手段A2(A3)→棚ユニットU1〜U3の冷却ユニット→主搬送手段A3→棚ユニットU3の受け渡しステージ(TRS)→インターフェイスブロックB3の基板搬送手段31A→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS1→基板搬送手段34の搬送部35→露光装置B4の受け渡しステージ4Aの順に搬送され、その後そのウエハWは、詳しくは「背景技術」の欄に記載したように例えば純水の液膜が形成されて液浸露光処理を受ける。
【0045】
液浸露光処理を受けたウエハWが露光装置B4の受け渡しステージ4Aに載置されると、搬送部36が搬送口33を介して露光装置B4に進入して、ステージ4A上のウエハWの裏面を保持する。搬送部36がウエハWを保持したまま第2の搬送室3Bに後退し、距離検知センサ51の上方にそのウエハWの裏面後端(処理ブロックB2側の端部)が位置すると、距離検知センサ51の発光部52からレーザー光が照射され、レーザー光はウエハWの裏面後端に衝突して反射し、その反射した光を当該距離検知センサ51の受光部が受光する。
【0046】
搬送部36が後退を続け、ウエハWの裏面がその直径に沿ってレーザー光によりスキャンされ、ウエハWの前端が距離検知センサ51上に移動すると距離検知センサ51からのレーザー光の照射が停止する。制御部7はウエハWの裏面のスキャンされた領域と距離検知センサ51との距離のパターンを演算し、この演算された距離のパターンと予め制御部7に記憶された距離のパターンとを比較して、ウエハWの裏面に液が付着しているか否か判定する。
【0047】
具体的に、裏面に液が付着していないウエハWが露光装置B4から搬送される場合、図8(a)に示すようにウエハWの後端が距離検知センサ51上に移動すると、距離検知センサ51がウエハWの裏面にレーザー光を照射する。図8(b)に示すように搬送部36は後退を続け、ウエハWの裏面中央部が径方向にスキャンされる。ウエハWの裏面は平坦であるためウエハWと距離検知センサ51との距離は一定であり、このスキャン中、レーザーの反射光が一定の角度から検知センサ51の一定の位置に入射し続ける。図8(c)に示すようにウエハWの前端が距離検知センサ51上に移動すると、距離検知センサ51はレーザー光の照射を停止する。
【0048】
制御部7は、距離検知センサ51の検知に基づいて図8(d)に示すようにレーザー光が照射されたウエハWの裏面と距離検知センサ51との距離のパターンを演算し、続いてその演算した距離のパターンと当該制御部7に予め記憶された距離のパターンとを比較し、ウエハWの裏面には液が付着していないと判定して、搬送手段36に所定の制御信号を送り、その制御信号を受けた搬送手段36はウエハWを洗浄ユニット4に搬送する。
【0049】
続いて裏面に液が付着したウエハWが露光装置B4から搬送される場合について説明する。図9(a)に示すようにウエハWの後端が距離検知センサ51上に移動すると、距離検知センサ51がウエハWの裏面の後端にレーザー光を照射し、そのレーザー光の反射光を距離検知センサ51が受光する。搬送部36は後退を続け、図9(b)に示すようにウエハWの後退中に距離検知センサ51の上方に裏面に付着した液滴100及び液膜101が移動すると、照射されたレーザー光はそれら液滴100及び液膜101の表面で反射し、距離検知センサ51への反射光の入射角度及び入射ポイントが変動する。図9(c)に示すようにウエハWの前端が距離検知センサ51上に移動すると距離検知センサ51はレーザー光の照射を停止する。
【0050】
制御部7は、距離検知センサ51の検知した反射光に基づいてレーザー光が照射されたウエハWの裏面と距離検知センサ51との距離のパターンを演算する。ウエハWの裏面において液滴100及び液膜101が付着した箇所に相当する部分は、それら液滴100及び液膜101の厚さ分だけウエハWと距離検知センサ51との間の距離が小さくなり、図9(d)に示すようにその距離の変化が演算されたパターンに反映される。制御部7は、この演算されたパターンと、予め記憶されたパターンとを比較し、ウエハWの裏面に液が付着していると判断して、この液除去処理を行うようにノズル部6及び基板搬送手段34に夫々所定の制御信号を送信する。
【0051】
前記制御信号を受けた基板搬送手段34は、図10(a)に示すように搬送部36により、ウエハWの後端がノズル61,62の前側(露光装置B4側)に位置するように当該ウエハWを搬送する。続いて制御信号を受けたノズル部6の気体供給源64から気体供給ノズル61にN2ガスが供給され、このN2ガスが当該ノズル61から上方に吐出されると共にエジェクタ66が作動し、吸引ノズル62からの吸引が行われる。然る後、搬送部36がウエハWを保持した状態で後退し、例えば図10(b)に示すようにウエハWは露光装置B4側から処理ブロックB2側へ向けて移動する。
【0052】
気体供給ノズル61から吐出されたN2ガスは、後退するウエハWの裏面に当たり、図中矢印で示すようにこの裏面に沿って流れて吸引ノズル62に吸引される。ウエハWに付着している液滴100及び液膜101はこの気流に押し流されてウエハWの先端側(露光装置B4側)へ移動し、移動中に互いに凝集して大きな液溜まりとなる。ある程度大きくなった液溜まりは、その重量が増加することにより、吸引ノズル62によりN2ガスと共に吸引ノズル62に吸収されてウエハWの裏面から除去される(図10(c))。
【0053】
そして図10(d)に示すようにウエハWの先端が気体供給ノズル61及び吸引ノズル62を越えて処理ブロックB2側に移動すると、続いて搬送部36は前進してウエハWがノズル部6上を通過するように露光装置B4側に搬送し、再度ノズル61,62によりウエハWの裏面の液除去処理が行われる。その後ウエハWの後端がノズル61,62上を通過して、ウエハWがノズル61,62の前側(露光装置B4側)に移動すると、気体供給ノズル61からのN2ガスの吐出及び吸引ノズル62の吸引が停止し(図10(e))、搬送部36はウエハWを洗浄ユニット4に搬送する。
【0054】
洗浄ユニット4に搬送されたウエハWは、その裏面中央部がチャック41に保持され、然る後当該チャック41を介して回転される。例えばその回転開始直後にウエハW表面に洗浄液が供給され、この洗浄液は液浸露光時に表面に付着した液(純水)と共に遠心力により振り切られてウエハWの表面が洗浄され、ウエハWの回転開始後、所定の時間が経過すると洗浄液の供給が停止される。洗浄液の供給停止後もウエハWの回転はしばらく続けられ、その表面が乾燥される。
【0055】
この乾燥終了後、ウエハWは、搬送部36→棚ユニットU6の受け渡しステージTRS1→基板搬送手段31A→棚ユニットU6の加熱ユニット(PEB)31の順に搬送され加熱処理を受けた後、基板搬送手段31A→棚ユニットU6の温調ユニット32→基板搬送手段31A→棚ユニットU3の受け渡しステージ(TRS)→主搬送手段A3→保護膜除去ユニット29→主搬送手段A3(A2)→現像ユニット2Aの順に搬送されて現像処理を受ける。
【0056】
現像処理を受けたウエハWは、主搬送手段A2→棚ユニットU1の受け渡しステージ(TRS)→受け渡し手段A1の順に搬送され前記受け渡し手段A1により載置台20a上の元のキャリアC1へと戻される。
【0057】
上述の第1の実施形態の塗布、現像装置によれば、露光装置B4において液浸露光処理を受けたウエハWを搬送部36が保持してインターフェイスブロックB3に搬送する際にそのウエハWの裏面を径方向に沿って距離検知センサ51がスキャンし、演算された距離検知センサ51とウエハWの裏面との距離のパターンに基づいて制御部7がウエハWの裏面に液浸露光に使用した液が付着しているか否かを判定して、液が付着していないと判定したウエハWについては洗浄ユニット4に搬送し、反対に液が付着していると判定されたウエハWは、搬送部36に保持されながらノズル部6により裏面の液除去処理を受けた後、前記洗浄ユニット4に搬送している。従ってこのウエハWの裏面においてウォータマークの形成が抑えられるため前記洗浄ユニット4や加熱ユニット31、現像ユニット2Aなどの露光後のウエハWに対して夫々処理を行う処理ユニット及び露光後のウエハWを搬送する各搬送手段がパーティクル汚染を受け、塗布、現像装置内にパーティクル汚染が広がることが抑えられる。その結果としてウエハWの加熱処理時にパーティクルの存在によりウエハWの加熱が均一に行われないことに基づいてパターンの形状が影響を受けたり、この加熱処理時や現像処理時にパーティクルによりパターンが損傷されたりするような不具合を抑えることができ、ウエハWに微細なレジストパターンの形成を正確に行うことができる。また露光装置B4からインターフェイスブロックB3にウエハWを搬送する搬送部36の動きを利用すると共にウエハWをこの搬送部36が保持したまま距離検出センサ51による液の検出及びノズル部6による液除去処理が行われるため、これらの液の検出処理及び液除去処理によるスループットの低下を抑えることができる。なお多数枚のウエハWを処理する場合にあっても、すべてのウエハWに対してノズル部6は液除去処理を行わないのでスループットの低下をより抑えることができる。
【0058】
また上述の実施形態においてウエハWは、洗浄ユニット4に搬送される前にノズル部6によりウエハWの裏面の液除去処理が行われるため、洗浄ユニット4のチャック41がウエハWの裏面を吸引、保持する際にウエハWの裏面の液を吸引することが抑えられる。従って当該チャック41の吸引力が低下することが抑えられる結果として、洗浄ユニット4により洗浄処理が行われる際にウエハWの吸引力が低下することによりウエハWがチャック41から離れて、床に落下して損傷することが抑えられる。
【0059】
また前後に移動する搬送部36に保持されたウエハWの裏面に気体供給ノズル61によりN2ガスを供給して液滴及び液膜を吹き流し、これらを凝集させて大きな液溜まりを作り、液の表面張力に対する重力を増加させて吸引ノズル62により吸引しているため、実質的に吸引ノズル62の吸引力が高まることになり、ウエハWの裏面の液をより確実に除去することができる。
【0060】
なおウエハWの液検知部として距離検知センサ51を設ける代わりに例えばCCDカメラにより構成される撮像手段80を設けて、搬送部36により露光装置B4からインターフェイスブロックB3に搬送されるウエハWの裏面を撮像し、その画像データを取得するようにしてもよい。この場合、例えば制御部7の記憶部76には予め液が付着していないウエハWの裏面の画像データが記憶されるように構成し、制御部7はその記憶された画像データと撮像手段80により撮像された画像データとを比較することにより露光装置B4からインターフェイスブロックB3に搬送されるウエハWの裏面に液が付着しているか否か判定するように構成される。またこの場合、露光後のウエハWを保持した搬送部36が、撮像手段80上を複数回往復し、ウエハWの裏面が撮像手段80上を通過する毎に画像データを取得して、これら複数の画像データを基に液の付着の有無の判定を行ってもよい。
【0061】
また図11(a)に示すように露光装置B4に受け渡されるウエハWの裏面を撮像手段80が撮像し、制御部7がその画像データを記憶した後、図11(b)に示すように液浸露光処理を受け、露光装置B4からインターフェイスブロックB3に搬送される前記ウエハWの裏面を撮像手段80が再度撮像して画像データを取得する。そして制御部7がこの同一のウエハWについて露光前の画像データと露光後の画像データとを比較し、その比較結果に基づいて液の付着の有無を判定するようにしてもよい。
【0062】
次に第2の実施形態の塗布、現像装置について説明する。この第2の実施形態の塗布、現像装置は既述の第1の実施形態の塗布、現像装置と略同様に構成されるが、距離検知センサ51が設けられず、また例えば制御部7に当該検出センサ51により検出された距離を基にウエハWの裏面に液の付着の有無を判定する機能が備えられていないものとする。
【0063】
この第2の実施形態の塗布、現像装置において、ウエハWは第1の実施形態の搬送経路と同一の経路でキャリアブロックB1から露光装置B4に搬送された後、搬送部36により露光装置B4からインターフェイスブロックB3に搬送されるすべてのウエハWに対してノズル部6が、第1の実施形態と同様に液除去処理を行い、液除去処理後ウエハWは第1の実施形態の搬送経路と同一の経路でキャリアブロックB1に戻される。
【0064】
この第2の実施形態の塗布、現像装置によっても既述の実施形態と同様に搬送部36にウエハWが保持された状態でその裏面の液除去処理が行われてから液浸露光処理後のウエハWの裏面に対してノズル部6により液除去処理を行ってから加熱ユニット31に搬送する構成としているため、第1の実施形態の塗布、現像装置と同様に洗浄ユニット4に搬送される前のウエハWの裏面においてウォータマークの形成が抑えられ、塗布、現像装置内にパーティクル汚染が広がり、このパーティクルによりウエハWのレジストパターンに欠陥が生じることが抑えられる。また洗浄ユニット4により洗浄処理が行われる際にウエハWがチャック41から離れ、床に落下して損傷することが抑えられる。またこの実施形態においても露光装置B4からインターフェイスブロックB3にウエハWを搬送する搬送部36の動きを利用すると共にウエハWをこの搬送部36が保持したままノズル部6による液除去処理が行われるため、スループットの低下が抑えられる。
【0065】
次に第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態の塗布、現像装置は既述の第1の実施形態の塗布、現像装置と略同様に構成されるが、ノズル部6が設けられていない。またこの塗布、現像装置には例えばアラーム発生部が設けられ、制御部7によりウエハWの裏面に液が付着していると判定された場合、このアラーム発生部がアラームを発生させる。
【0066】
この塗布、現像装置においてウエハWは第1の実施形態の搬送経路と同様の経路でキャリアブロックB1から露光装置B4に搬送される。そして露光装置B4からインターフェイスブロックB3に受け渡されるウエハWについて第1の実施形態と同様に距離検知センサ51がウエハWの裏面をスキャンし、制御部7がその裏面における液の付着の有無を判定する。制御部7により液が付着されていないと判定された場合、ウエハWは第1の実施形態と同様の搬送経路によりキャリアブロックB1に搬送される。
【0067】
反対に制御部7がウエハWの裏面に液が付着していると判定した場合、例えば基板搬送手段34は洗浄ユニット4へのウエハWの搬送を行わず、例えばその場で停止し、既述のようにアラーム発生部がアラームを発する。
【0068】
この塗布、現像装置によれば、液浸露光処理後、搬送部36によりインターフェイスブロックB3に搬送されるウエハWの裏面に対して、液浸露光処理時に液層を形成した液が付着しているか否かを距離検知センサ51により検知し、液が付着していると判定されたウエハWがあったときは基板搬送手段34による洗浄ユニット4への搬送が行われないことで加熱ユニット31へのウエハWの搬送が回避されることにより、第1の実施形態の塗布、現像装置と同様に洗浄ユニット4に搬送される前のウエハWの裏面においてスループットの低下が抑えられながら、ウォータマークの形成が抑えられ、塗布、現像装置内にパーティクル汚染が広がり、このパーティクルによりウエハWのレジストパターンに欠陥が生じることが抑えられる。また洗浄ユニット4により洗浄処理が行われる際にウエハWがチャック41から離れ、床に落下して損傷することが抑えられる。またこの実施形態においても露光装置B4からインターフェイスブロックB3にウエハWを搬送する搬送部36の動きを利用すると共にウエハWをこの搬送部36が保持したまま距離検出センサ51による液の検出が行われるためスループットの低下を抑えることができる。
【0069】
なお第1及び第3の実施形態において液検知部は、露光装置B4からインターフェイスブロックB3にウエハWの搬送を行う基板搬送装置34の搬送部に組み込まれてもよく、その場合、ウエハWの裏面の一部を保持する搬送部としては例えば図12(a),(b)に示すように構成される。この図に示した搬送部81は、爪部82,83を備え、この爪部82,83の各先端にはウエハWの第1の保持部82a,83aが設けられている。これら第1の保持部82a,83aはウエハWの位置規制用の上方に向かう突部を備えたブロックとして形成され、その突部の基部側の平面部はウエハWの載置面82b,83bとして構成されている。
【0070】
また搬送部81の基部側には扇状のブロックとして形成された、ウエハWの第2の保持部84が設けられており、この第2の保持部84の外周縁はウエハWの位置規制用の突縁部として構成されている。この突縁部の内側(搬送部81の先端側)の平面部はウエハWの載置面84aとして構成される。
【0071】
第2の保持部84において搬送部81の先端側に向かう側壁には、第1の保持部82a,83aに向かって図12(b)中鎖線で示すようにレーザー光を照射する例えばレーザー変位センサからなる発光部85が設けられており、第1の保持部82a,83aにおいて搬送部81の基部側に向かう側壁には、受光部82c,83cが設けられている。これらの受光部82c,83cは前記発光部85から照射されたレーザー光を受光して、その光量(光強度)を検知する。
【0072】
またこの搬送部81が設けられる塗布、現像装置の制御部7には前記光量の許容値(許容範囲)が設定され、後述するようにウエハWが搬送される際にこの受光部82c、83cが受ける光量がこの許容値に収まっていれば制御部7は、ウエハWの裏面に液が付着していないと判定し、許容値に収まらなければ液が付着していると判定する。
【0073】
そして搬送部81が露光装置B4の受け渡しステージ4AからウエハWを受け取り、各載置面82b,83b,84aにウエハWが載置されると、発光部85からレーザー光が受光部82c,83cに向けて照射される。図12(b)のようにウエハWの裏面に液が付着していない場合は受光部82c,83cが受光する光量は既述の許容値に収まるが、その反対に図12(c)に示すようにウエハWの裏面に液滴100が付着している場合はその液滴100によりレーザー光が屈折したり、遮られたりすることにより、図中点線で示すように裏面に液が付着していないウエハWを搬送する場合に比べて受光部83cに達する光量が小さくなるかゼロになることにより、既述の許容値を外れる結果、制御部7が、液が付着していると判定し、既述のようにノズル部6により液除去処理が行われるかあるいは基板搬送手段34により洗浄ユニット4へのウエハWの搬送が停止される。
【0074】
このように液検知部を搬送部に組み込むことによりインターフェイスブロックB3の大型化、ひいては塗布、現像装置の大型化を抑えることができる。
【0075】
また前記搬送部81の第1の保持部82a(83a)は、例えば図13(a)に示すように構成してもよい。図中87a,87bは、ウエハWの載置面82b(83b)の前後方向に夫々設けられた電極であり、各電極87a,87bにはこれら各電極に電圧を印加するセンサ88が接続されている。各電極87a,87b及びセンサ88は液検知部として構成される。
【0076】
図13(b)に示すように裏面に液102が付着したウエハWが載置面82bに載置されると、その液102により電極87a,87bが短絡し、これら電極間に電流が流れる。この電流の流れ(電極87a,87b間の抵抗値の変化)をセンサ88が検知して、その検知結果に基づいて制御部7がウエハWの裏面への液の付着の有無を判定する。
【0077】
第2の保持部84のウエハWの載置面84aにもこのような電極87a,87bを設けてもよく、また図13(c)に示すように例えば多数の電極87a,87bを交互に載置面82b(83b)の前後方向に多数配列することにより、この載置面82b(83b)における液の検知可能範囲を広げてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の塗布、現像装置の実施の形態を示す平面図である。
【図2】上記塗布、現像装置の実施の形態を示す斜視図である。
【図3】上記塗布、現像装置のインターフェイス部を示す斜視図である。
【図4】前記塗布、現像装置に組み込まれる洗浄ユニットを示す縦断面図である。
【図5】上記インターフェイス部の搬送手段により液検知部上を搬送されるウエハの様子を示した説明図である。
【図6】上記インターフェイス部に設けられたノズル部の構成を示す説明図である。
【図7】上記塗布、現像装置に設けられた制御部を示す説明図である。
【図8】上記インターフェイス部に裏面に液が付着していないウエハが搬送される様子を示した説明図である。
【図9】上記インターフェイス部に裏面に液が付着しているウエハが搬送される様子を示した説明図である。
【図10】上記ノズル部によりウエハの裏面の液が除去される様子を示した説明図である。
【図11】他の液検知部により液を検出する様子を示した説明図である。
【図12】液検知部が組み込まれた搬送機構を示した構成図である。
【図13】液検知部の更に他の構成を示した構成図である。
【図14】液浸露光が行われる様子を示した説明図である
【符号の説明】
【0079】
W 半導体ウエハ
B1 キャリアブロック
B2 処理ブロック
B3 インターフェイスブロック
B4 露光装置
27 塗布ユニット
2A 現像ユニット
31 加熱ユニット
34 基板搬送手段
35,36 搬送部
4 洗浄ユニット
51 距離検出センサ
6 ノズル部
7 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に加熱処理を行う加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、
前記基板の裏面に付着した、前記液層を形成した液を、前記基板が搬送手段に保持されている状態で検知する液検知部と、
この液検知部の検知結果に基づいて基板の裏面の液除去処理を行うか否か判定する制御部と、
液除去処理を行うと判定した基板の裏面の液を除去するための液除去手段と、
を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項2】
塗布ユニット及び現像ユニットが割り当てられた処理部と、
この処理部に隣接して設けられ、基板を液浸露光する露光部と接続されるインターフェイス部と、を備え、
液検知部及び液除去手段は当該インターフェイス部に設けられたことを特徴とする請求項1記載の塗布、現像装置。
【請求項3】
基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に基板を加熱処理する加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により保持された基板の裏面に対し、前記液層を形成した液を除去する液除去手段と、
を備えたことを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項4】
塗布ユニット及び現像ユニットが割り当てられた処理部と、
この処理部に隣接して設けられ、基板を液浸露光する露光部と接続されるインターフェイス部と、を備え、
液除去手段は当該インターフェイス部に設けられることを特徴とする請求項3記載の塗布、現像装置。
【請求項5】
基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットが設けられ、
前記液除去手段による液除去処理は、当該洗浄ユニットによる洗浄処理よりも前に行われることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項6】
液除去手段は、基板の裏面に気体を供給する気体供給ノズルと、供給された気体及び基板の裏面の液を吸引する吸引用ノズルと、を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項7】
液除去手段は、基板が搬送手段に保持されている状態で基板の裏面の液除去処理を行うことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の塗布、現像装置。
【請求項8】
基板の表面にレジストを塗布する塗布ユニットと、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板に現像液を供給して現像する現像ユニットと、露光処理後、現像処理前に基板を加熱処理する加熱ユニットと、を備えた塗布、現像装置において、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送する搬送手段と、
前記基板の裏面に付着した、前記液層を形成した液を、前記基板が搬送手段に保持されている状態で検知する液検知部と、
この液検知部の検知結果に基づいて処理ユニットへの基板の搬送を行うか否か判定する制御部と、
を備えることを特徴とする塗布、現像装置。
【請求項9】
基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットが設けられ、
加熱ユニットへ搬送を行わないと判定された基板は、洗浄ユニットに搬送されないことを特徴とする請求項8記載の塗布、現像装置。
【請求項10】
塗布ユニット及び現像ユニットが割り当てられた処理部と、
この処理部に隣接して設けられ、基板を液浸露光する露光部と接続されるインターフェイス部と、を備え、
前記液検知部は当該インターフェイス部に設けられることを特徴とする請求項1、2、8または9記載の塗布、現像装置。
【請求項11】
前記搬送手段に液検知部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、8、9または10に記載の塗布、現像装置。
【請求項12】
基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、
基板の裏面に付着した前記液層を形成した液を、前記搬送手段による搬送途中にて検知する工程と、
この工程における検知結果に基づいて、基板に対して液除去処理するか否かを判定する工程と、
液除去処理すると判定した基板の裏面に対して液除去を行う工程と、を含むことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項13】
基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、
前記搬送手段による搬送途中にて基板の裏面に対して液除去を行う工程と、
を含むことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項14】
液除去された後の基板を、基板の裏面を吸引保持する基板載置部を備え、前記加熱処理を行う前に基板表面を洗浄して前記液層を形成した液を除去するための洗浄ユニットに搬送する工程を含むことを特徴とする請求項12または13記載の塗布、現像方法。
【請求項15】
基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の基板を加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像方法であって、
液浸露光後、前記加熱処理前の基板を搬送手段により搬送する工程と、
基板の裏面に付着した前記液層を形成した液を、前記搬送手段による搬送途中にて検知する工程と、
この工程における検知結果に基づいて、基板を加熱ユニットへ搬送するか否かを判定する工程と、
を含むことを特徴とする塗布、現像方法。
【請求項16】
基板の表面にレジストを塗布し、その表面に液層を形成して液浸露光された後の当該基板を加熱処理ユニットに搬送して加熱処理した後に現像液を供給して現像する塗布、現像装置に用いられるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項12ないし15のいずれか一に記載の塗布、現像方法を実施するようにステップ群が組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−299937(P2007−299937A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126778(P2006−126778)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】