説明

多チャンネルポンプ及びその制御方法

【課題】 流体を吐出する複数の流出路を備えつつ、適切量の流体を精度よく吐出することができる多チャンネルポンプを提供すること。
【解決手段】 多チャンネルポンプ1は、ポンプ室2と、ポンプ室2に接続された流入路3と、流出側アクティブバルブ6を介してポンプ室2に接続された2以上の流出路4と、ポンプ室2を容積変化させるため往復移動する1つのピストン13とを備えている。1つのピストン13によって各流出路4から流体を吐出するため、吐出性能を均一化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクトメタノール型燃料電池などに用いられる多チャンネルポンプ及びその制御方法に関するものである。
【0002】
尚、本明細書において、「多チャンネルポンプ」とは、流体を吐出する複数の流出路を備えたポンプをいうものとする。
【背景技術】
【0003】
近年の情報化社会を支える携帯電子機器の電源として、あるいは大気汚染や地球温暖化に対処するための電源として、燃料電池に対する期待が高まっている。この燃料電池の中でも、メタノールから直接、プロトンを取り出すことにより発電を行うダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、改質器が不要であり体積エネルギー密度が高いという特質を有するため、携帯電子機器への応用の期待が高まりつつある。
【0004】
かかるDMFCとしては、起電部(セル)を有する起電装置と、メタノールもしくはメタノール水溶液(以下、本明細書では、メタノールとする。)の収容容器と、この収容容器からメタノールを圧送する送液ポンプを備えたものが種々提案されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
【0005】
セルは、アノード集電体とアノード触媒層とを有するアノード極(燃料極)と、カソード集電体とカソード触媒層とを有するカソード極(空気極)と、アノード極とカソード極の間に配置される電解質膜とを備えている。アノード極へは、送液ポンプによってメタノールが供給され、カソード極へは、送気ポンプによって空気が供給される。
【特許文献1】特開2004−71262号公報
【特許文献2】特開2004−127618号公報
【特許文献3】特開2004−152741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したDMFCの起電部であるセルのアノード極では、メタノール酸化の活性が低く電圧ロスを伴ってしまう。また、カソード極でも電圧ロスがある。そのため、1つのセルから取り出せる出力は極めて低くなっている。従って、所定の出力を得るために、DMFCでは、複数のセルが用いられている。
【0007】
また、アノード極に過剰なメタノールが供給されると、そのメタノールの一部が未反応の状態で、電解質膜を透過してカソード極に漏れてしまういわゆるクロスオーバーが発生する。このクロスオーバーは、カソード極の電位を低下させてしまうため、上述したカソード極での電圧ロスの一因ともなっている。また、カソード極に達した未反応のメタノールは、発電には関与せず酸素と反応して熱を発生させるため、クロスオーバーによって、セルにおける発電効率が著しく低下することになる。従って、アノード極へは、過剰なメタノールを供給しないようにすることが好ましい。
【0008】
以上から、セルのアノード極へメタノールを供給する送液ポンプとしては、複数のセルへ吐出が可能で、かつ、適切量のメタノールを精度よく吐出できるといった特性を備えた送液ポンプが望まれる。しかしながら、このような特性を備えた送液ポンプに関しては、具体的な提案がなされていない。
【0009】
そこで、本発明の課題は、流体を吐出する複数の流出路を備えつつ、適切量の流体を精度よく吐出することができる多チャンネルポンプ及びその多チャンネルポンプの制御方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、携帯電子機器用等に使用される小型のDMFC等に搭載が可能な多チャンネルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明は、ポンプ室と、該ポンプ室に接続された流入路と、流出側アクティブバルブを介して前記ポンプ室に接続された2以上の流出路と、前記ポンプ室を容積変化させるため往復移動する1つの可動体とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明では、多チャンネルポンプは、流出側アクティブバルブを介してポンプ室に接続された2以上の流出路を備えている。従って、流出側アクティブバルブを閉じている間は、流体の逆流を確実に防止することができる。また、流出路から吐出する流体の吐出先を流出側アクティブバルブにて制御することができる。さらに、多チャンネルポンプは、ポンプ室を容積変化させるために往復移動する1つの可動体を備えている。1つの可動体によって各流出路から流体を吐出するため、吐出性能が均一になり、各流出路からの吐出量のばらつきを抑え、適切量の流体を精度よく吐出することができる。
【0013】
また、本発明では、複数の流出路が接続されたポンプ室に流入路が接続されている。そのため、複数の流出路に対して流入路を共通化することができ、ポンプの構成を簡素化することができる。また、可動体も1つであるからポンプの構成の簡素化が可能となる。従って、ポンプの小型化を図ることができ、例えば、携帯電子機器に使用されるDMFCといった小型の装置に搭載することが可能となる。
【0014】
本発明において、前記可動体は、前記ポンプ室に接続されたシリンダ内を往復移動するピストンであることが好ましい。可動体がピストンである場合、ピストンの移動量は比較的制御しやすいことから、微小流量を正確に吐出することが可能となる。
【0015】
本発明において、前記多チャンネルポンプは、前記ピストンが固定されるとともに外周部にオネジが形成されたピストンロッドと、前記ピストンを往復移動させるため前記オネジと螺合するメネジが形成された回転体と、該回転体を回転駆動するピストン駆動モータとを備えることが好ましい。この場合には、ネジのピッチとピストン駆動モータの回転量でピストンの移動量を制御できるため、簡易な構成で、微小流量を精度よく吐出することができる。
【0016】
本発明において、前記ピストン駆動モータはステッピングモータであることが好ましい。この場合には、ピストンの移動量をより精度よく制御することができる。
【0017】
本発明において、前記多チャンネルポンプは、前記流入路を2以上備えることが好ましい。このように構成すると、例えば、流入路ごとに流体収容容器が接続されているような場合には、流体収容容器の交換が容易になる。
【0018】
本発明において、前記流入路の一端側は、流入側アクティブバルブを介して前記ポンプ室に接続されていることことが好ましい。この場合には、パッシブバルブを介して接続されている場合と比較して、ポンプ室から流入路への逆流を確実に防止することができる。
【0019】
本発明において、前記流入路の他端側には、前記ポンプ室への流入方向に向かって開くパッシブバルブを有する第1流路と、前記ポンプ室からの流出方向に向かって開くパッシブバルブを有する第2流路とが接続されるように構成することが可能である。
【0020】
本発明において、前記流体は液体であり、前記多チャンネルポンプは、前記ポンプ室の気泡の有無を検出する検出器を備えていても良い。
【0021】
本発明における多チャンネルポンプの制御方法は、前記流入側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吸入動作で前記ポンプ室に流体を吸入した後、前記流入側アクティブバルブを閉じる吸入ステップと、該吸入ステップの後に、1の流出側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吐出動作で前記ポンプ室から流体を吐出してポンプのバックラッシュを解消する初期吐出ステップと、該初期吐出ステップの後に、所定の流出側アクティブバルブを順次開いて、前記可動体の吐出動作で所定量の流体を吐出する吐出ステップとを備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明における多チャンネルポンプの制御方法は、前記流入側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吸入動作で、前記第1流路から前記ポンプ室に流体を吸入する吸入ステップと、該吸入ステップの後に、前記可動体の吐出動作で、前記第2流路へ前記ポンプ室から流体を吐出してポンプのバックラッシュを解消した後に、前記流入側アクティブバルブを閉じる初期吐出ステップと、該初期吐出ステップの後に、所定の流出側アクティブバルブを順次開いて、前記可動体の吐出動作で所定量の流体を吐出する吐出ステップとを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の制御方法では、吸入ステップと吐出ステップとの間に、ポンプのバックラッシュを解消する初期吐出ステップが設けられている。そのため、吐出ステップでは、当初から可動体の移動量と流出路からの吐出量との関係をリニアに保つことができる。そのため、可動体の移動量を適切に制御してやれば、吐出ステップで最初に流体が吐出される流出路からの吐出量も精度よく制御することができ、各流出路からの吐出量のばらつきを低減させることができる。
【0024】
また、吐出ステップで、流出路から複数回にわたって吐出するために必要な流体を、吸入ステップで吸入している。そのため、各流出路から吐出する流体の吐出量が著しく微量であっても、吸入量をある程度確保することができる。従って、多チャンネルポンプの容量を大きくすることができ、自給性能を備えることが容易になる。
【0025】
ここで、「ポンプのバックラッシュ」とは、可動体が吸入動作から吐出動作へ移行する際の、可動体の移動量と流出路からの吐出量とがリニアな関係にはならない現象をいい、可動体を駆動する機構部のバックラッシュ等によって生じる現象である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明にかかる多チャンネルポンプでは、2以上の流出路が、流出側アクティブバルブを介してポンプ室に接続されているため、流出側アクティブバルブが閉じている間は、流体の逆流を確実に防止することができ、流出路から吐出する流体の吐出先を流出側アクティブバルブにて制御することができる。さらに、本発明の多チャンネルポンプでは、1つの可動体によってポンプ室を容積変化させるため、吐出性能が同一になり、各流出路からの吐出量のばらつきを抑えることができる。従って、各流出路から適切量の流体を精度よく吐出することができる。
【0027】
また、本発明にかかる多チャンネルポンプでは、複数の流出路が接続されたポンプ室に流入路が接続されているため、複数の流出路に対して流入路を共通化することができ、ポンプの構成を簡素化することができる。また、可動体も1つであるからポンプの構成の簡素化が可能となる。その結果、ポンプの小型化を図ることができる。
【0028】
また、本発明の制御方法では、吸入ステップと吐出ステップとの間に、ポンプのバックラッシュを解消する初期吐出ステップが設けられているため、吐出ステップでは、当初から可動体の移動量と流出路からの吐出量との関係をリニアに保つことができる。従って、吐出ステップで最初に流体が吐出される流出路からの吐出量も精度よく制御することができ、各流出路からの吐出量のばらつきを低減させることができる。その結果、各流出路から適切量の流体を精度よく吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[多チャンネルポンプの基本構成]
図1は、本発明の実施の形態にかかる多チャンネルポンプの基本構成を示す概念図である。
【0031】
本形態の多チャンネルポンプ1(ポンプ1)は、例えば、携帯電子機器に使用されるDMFCにおいて、メタノールを圧送する送液ポンプとして使用されるものであり、ポンプ室2と、ポンプ室2に接続された流入路3と、流出側アクティブバルブ6を介してポンプ室2に接続された2以上の流出路4と、ポンプ室2を容積変化させるため往復移動する1つの可動体13とを備えている。より具体的には、1つのポンプ室2に2つの流入路3a、3bが接続され、また、ポンプ室2には、8つの流出側アクティブバルブ6a〜6hを介して8つの流出路4a〜4hが接続されている。
【0032】
流入路3a、3bの一端側(図示上端側)は、流入側アクティブバルブ5a、5bを介してポンプ室2に接続されている。また、流入路3a、3bの他端側にはそれぞれ、ポンプ室への流入方向に向かって開くパッシブバルブ10a、10b(パッシブバルブ10)をそれぞれ有する第1流路8a、8b(第1流路8)と、ポンプ室2からの流出方向に向かって開くパッシブバルブ11a、11b(パッシブバルブ11)をそれぞれ有する第2流路9a、9b(第2流路9)とが接続されている。
【0033】
第1流路8及び第2流路9は、メタノール収容容器(図示省略、以下収容容器とする。)に接続可能となっている。具体的には、第1流路8が収容容器の下方に、第2流路9が収容容器の上方に接続可能となっている。パッシブバルブ10は、例えばゴム製のバルブであり、ポンプ室2に向かうメタノールの吸入方向に圧力が生じると開くが、収容容器に向かうメタノールの吐出方向に圧力が生じても開かないようになっている。一方、パッシブバルブ11も例えば、ゴム製のバルブであるが、収容容器に向かうメタノールの吐出方向に圧力が生じると開くが、ポンプ室2に向かうメタノールの吸入方向に圧力が生じても開かないようになっている。従って、第1流路8及び流入路3を介して、メタノールが収容容器からポンプ室2に吸入され、また、流入路3及び第2流路9を介して、メタノールがポンプ室2から収容容器へ吐出されるようになっている。尚、本形態では、第1流路8a及び第2流路9aと、第1流路8b及び第2流路9bとはそれぞれ、別の収容容器に接続されている。
【0034】
流入側アクティブバルブ5a、5bは、駆動アクチュエータ(図1では図示省略)によって、個別に開閉可能になっている。
【0035】
8つの流出路4a〜4hはそれぞれ、DMFCの起電部である8つのセル(図示省略)に接続可能となっており、流出路4a〜4hから吐出されたメタノールはセルのアノード極へ供給可能となっている。
【0036】
流出側アクティブバルブ6a〜6hは、流入側アクティブバルブ5a、5bと同様に、駆動アクチュエータ(図1では図示省略)によって、個別に開閉可能になっている。
【0037】
本形態における可動体13は、ポンプ室2に接続されたシリンダ14内を往復移動するピストンである(以下、ピストン13とする)。ピストン13は、ピストンロッド15の図示上端側に固定されている。また、ピストンロッド15は、駆動アクチュエータ(図1では図示省略)に連結されており、この駆動アクチュエータによってシリンダ14内を往復移動するようになっている。
【0038】
以上のように構成されたポンプ1では、流出側アクティブバルブ6a〜6hが閉状態でかつ、流入側アクティブバルブ5a、5bの少なくとも1つが開状態であるときに、ピストン13が図示下方に移動して、メタノールがポンプ室2に吸入される。また、流入側アクティブバルブ5a、5bが閉状態でかつ、流出側アクティブバルブ6a〜6hの少なくとも1つが開状態のときに、ピストン13が図示上方へ移動して、メタノールがポンプ室2からセルに向かって吐出される。さらに、流出側アクティブバルブ6a〜6hが閉状態でかつ、流入側アクティブバルブ5a、5bの少なくとも1つが開状態であるときに、ピストン13が図示上方に移動すると、メタノールが収容容器に吐出される。ポンプ1の具体的な制御方法については、後に詳述する。
【0039】
[多チャンネルポンプの具体的構成]
上述した基本構成を備える多チャンネルポンプ1の具体的構成を以下に説明する。図2は、図1に示す多チャンネルポンプの具体的構成をメタノールの吐出側から示す斜示図である。図3は、図2に示す多チャンネルポンプをX方向から示す斜示図である。図4は、図2に示す多チャンネルポンプのY断面を示す斜示図である。図5は図2に示す多チャンネルポンプのアクティブバルブの開閉機構を抜き出して示す分解斜示図である。図6は、図2に示す多チャンネルポンプの流入路及び流出路の構成を示す平面図である。
【0040】
(多チャンネルポンプの概略構成)
図2〜図4において、ポンプ1では、ベース部24とブラケット31とが4本の支柱32を介してネジによって連結されて本体フレームを構成しており、ベース部24を構成するベース板25及びブラケット31に、ピストン13の駆動機構や、流入側アクティブバルブ5a、5b及び流出側アクティブバルブ6a〜6hの開閉機構が固定保持されている。尚、ポンプ1におけるメタノールの流れの一例を図4の矢印で示している。
【0041】
ブラケット31は、図2における図示下方に延設された半円筒状の延設部31aを備えている。この延設部31aの内周側には、後述するスライド板18の凸部18aとともに、ピストン13の回止めを構成する凹溝31b、31bが略180°のピッチで2箇所に形成されている。
【0042】
ベース部24は、ポンプ室2と流入路3と流出路4と第1流路8と第2流路9とが形成されたベース板25と、流入側アクティブバルブ5と流出側アクティブバルブ6とを一体に備えるアクティブバルブ板29と、アクティブバルブ板29を押えるバルブ押え板26と、流出路4の開口端になる流出口40(40a〜40h)と第1流路8の開口端になる吸入口80(80a、80b)と第2流路9の開口端になる吐出口90(90a、90b)とが形成されたポート27と、ポート27を押えるポート押え板28とを備えており、バルブ押え板26、アクティブバルブ板29、ベース板25、ポート27、ポート押え板28がこの順番で積層されて構成されている。
【0043】
(ピストン駆動機構の構成)
ピストン13は、ピストン駆動モータ51によって円筒状のシリンダ14の内部を往復移動するように構成されている。シリンダ14は、ポンプ室2に接続されるようにベース板25に一体で形成されている(図4参照)。以下、ピストン13の駆動機構の構成を説明する。
【0044】
ピストン駆動モータ51は具体的にはステッピングモータであり、ブラケット31にネジで固定されている。本形態では、ピストン駆動モータ51は両方向に回転するようになっている。ピストン駆動モータ51の出力軸の先端には小ギア53が固定されている。小ギア53に噛み合うように、アイドルギア19が、ブラケット31に固定された固定軸20によって回転可能に保持されている。アイドルギア19に噛み合うように、ギア17がシリンダ14の外周部に固定された軸受61によって回転可能に保持されている。
【0045】
ギア17は略有底円筒状に形成されており、その底部の中心には、メネジ16aが形成された回転体としてのナット16が固定されている。一方、ピストン13が一端側に固定されたピストンロッド15の外周部には、オネジ15aが形成されており、このオネジ15aとメネジ16aとが螺合している。また、ピストンロッド15の他端側には、ブラケット31の延設部31aに形成された凹溝31bと係合する凸部18a、18aが略180°のピッチで2箇所に形成されたスライド板18が固定されている(図3参照)。これらの凸部18aと凹溝31bとによってピストン13の回止めが構成されている。
【0046】
また、ピストン13の外周側には、ポンプ室2の吸入されたメタノールの漏れを防止するためのシール部材(オイルシール)63、63が固定されている。
【0047】
このように構成されたピストン13の駆動機構では、ピストン駆動モータ51が回転するとその駆動力が小ギア53及びアイドルギア19を介してギア17に伝達される。ギア17にピストン駆動モータ51の駆動力が伝達されると、ナット16がギア17と一緒に回転する。ここで、ナット16のメネジ16aと螺合するオネジ15aが形成されたピストンロッド15の他端側には、ピストン13の回止めが構成されているため、ナット16の回転運動がピストン13の直進運動に変換される。そしてピストン駆動モータ51が両方に回転することで、ピストン13は、シリンダ14の内部を往復移動する。
【0048】
(アクティブバルブの開閉機構の構成)
流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6は、バルブ開閉駆動モータ52によって、個別に開閉可能になっている。流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6の開閉機構は、バルブ開閉駆動モータ52の他、カム36及び板バネ37を主要な構成要素としている(図5参照)。以下、流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6の開閉機構の構成を説明する。
【0049】
バルブ開閉駆動モータ52は、具体的にはステッピングモータであり、ブラケット31にネジで固定されている。本形態では、バルブ開閉駆動モータ52は、一方向(図5における半時計方向)に回転するようになっている。バルブ開閉駆動モータ52の出力軸の先端には小ギア54が固定されている。カム36は、小ギア54と噛み合うギア36aを備えており、シリンダ14の外周部に固定された軸受62によって回転可能に保持されている。本形態では、カム36は、バルブ開閉駆動モータ52によって、図5において時計方向に回転するようになっている。尚、軸受61と軸受62とは、ピストン13の移動方向で重なるようにシリンダ14の外周部に固定されており、カム36とギア17とはピストン13の移動方向で重なるように配設されている(図4参照)。
【0050】
カム36は鍔部を備えた円筒状に形成されており、ギア36aはこの鍔部の外周面に形成されている。また、カム36の外周面には、流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6の開閉を行うためのピン38が径方向に突出するように固定されている。
【0051】
板バネ37は、図5に示すようにリング状の中心部37aと、この中心部37aから径方向外方に向かって螺旋状に延設された10本の腕部37bと、腕部37bの先端に形成されたバルブ保持部37cと、バルブ保持部37cの径方向外端から図示上方に折り曲げられた後、中心部37aに向かって折り曲げられて形成された先端部37dとから構成されている。先端部37dには、ピン38と摺接する摺接部37d1と、摺接部37d1から図示斜め上方に折り曲げられてピン38を摺接部37d1へと案内する案内部37d2とが形成されている。尚、板バネ37の腕部37b、バルブ保持部37c、先端部37dについては便宜上、一部にのみ符号を付してある。
【0052】
板バネ36は、中心部37aにてシリンダ14の外周面に固定されている。板バネ36がシリンダ14の外周面に固定され、また、カム36がシリンダ14の外周部に固定された軸受62によって保持された状態では、ピン38は、図5において上下方向で、摺接部37d1の下面よりも上側に位置し、かつ、案内部37d2の上端部よりも下側に位置するようになっている。従って、カム36が回転するとピン38が案内部37d2によって摺接部37d1の下面に案内され、それによって、腕部37bが撓み、バルブ保持部37c及び先端部37dが図5において上方に持ち上げられるようになっている。
【0053】
アクティブバルブ板29は、例えば、ゴムから形成されており、同心状でかつ等角度ピッチに形成された流入側アクティブバルブ5a、5bと流出側アクティブバルブ6a〜6hとを一体に備えている。また、流入側アクティブバルブ5a、5b及び流出側アクティブバルブ6a〜6hは、通常は、ゴムの弾性によって、閉状態となるように付勢されている。具体的には図5において下側に付勢されている。さらに、流入側アクティブバルブ5a、5b及び流出側アクティブバルブ6a〜6hの上端部は、板バネ37のバルブ保持部37cにそれぞれ保持されている。
【0054】
このように構成された流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6の開閉機構では、バルブ開閉駆動モータ52の駆動力が小ギア54を介してギア36aに伝達される。ギア36aに駆動力が伝達されると、カム36が回転し、それに伴ってピン38も回転する。ピン38は、案内部37d2によって摺接部37d1の下面に案内され、それによって、腕部37bが撓み、バルブ保持部37cが図5において上方に持ち上げられる。すなわち、バルブ保持部37cに保持された流入側アクティブバルブ5a、5bあるいは流出側アクティブバルブ6a〜6hのいずれかが上方に持ち上げられ、開状態となる。また、さらにピン38が回転し、摺接部37d1の下面からピン38が外れると、開状態となっていたいずれかのアクティブバルブは付勢力によって、閉状態となる。さらにピン38が回転すると、次の案内部37d2によって、ピン38は摺接部37d1の下面に案内されて上述と同様に、いずれかのアクティブバルブが開状態となる。これらの動作が繰り返されて、バルブ保持部37cにそれぞれ保持された流入側アクティブバルブ5a、5b及び流出側アクティブバルブ6a〜6hが順次開閉動作を行う。
【0055】
(流入路及び流出路の構成)
ポンプ室2と流入路3と流出路4と第1流路8と第2流路9とは、上述のようにベース板25に形成されている。
【0056】
ポンプ室2は、ベース板25の略中央部に形成されており、流入側アクティブバルブ5a、5b及び流出側アクティブバルブ6a〜6hへ向かって放射状に延在する10本の通路を備えている(図6参照)。尚、ポンプ室2には、気泡の有無を検出する検出器(図示省略)を設けるようにしても良い。
【0057】
流出路4a〜4hは、流出側アクティブバルブ6a〜6hからベース板25の外側へ向かうように形成されている。また、流入路3a、3bは、流入側アクティブバルブ5a、5bと、傘状に形成されたパッシブバルブ10a及び11a、10b及び11bとの間にそれぞれ形成されている(図4、6参照)。さらに、パッシブバルブ10a、10bの外側には第1通路8a、8bが、パッシブバルブ11a、11bの外側には第1通路9a、9bがそれぞれ形成されている。
【0058】
[多チャンネルポンプの制御方法]
図7は、図2に示す多チャンネルポンプの制御方法を説明するタイミングチャートである。
【0059】
本形態において、ポンプ1は、流入側アクティブバルブ5を開いて、ピストン13の吸入動作で、第1流路8からポンプ室2にメタノールを吸入する吸入ステップS1と、吸入ステップの後に、ピストン13の吐出動作で、第2流路9へポンプ室2からメタノールを吐出してポンプ1のバックラッシュを解消した後に、流入側アクティブバルブ5を閉じる初期吐出ステップS2と、初期吐出ステップS2の後に、所定の流出側アクティブバルブ6を順次開いて、ピストン13の吐出動作で所定量のメタノールを吐出する吐出ステップS3とを備えた制御方法によって、制御されている。以下、その制御方法を詳細に説明する。
【0060】
図7において、ピストン駆動モータ51のタイミングチャートでは、中心線から下側にハッチングが施されている部分は、ピストン13が吐出方向(図4における左方向)に動作する吐出動作の状態を示し、中心線から上側にハッチングが施されている部分は、ピストン13が吸入方向(図4における右方向)に動作する吸入動作の状態を示している。また、バルブ開閉駆動モータ52のタイミングチャートでは、ハッチングが施されている部分は、各アクティブバルブが開いている状態を示している。
【0061】
初期状態では、流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6は全て閉状態となっている。その状態でまず、バルブ開閉駆動モータ52を駆動して、流入側アクティブバルブ5bを開状態とする。その後、ピストン駆動モータ51によって、ピストン13をメタノールの吐出方向へ移動する。このピストン13の吐出動作を上死点(原点)まで行って、ピストン13の原点復帰を行う(原点復帰ステップS0)。尚、この際には、ポンプ室2から、開状態となったパッシブバルブ11bを介して、第2流路9bへメタノールを吐出する。
【0062】
続いて、ポンプ室2にメタノールを吸入する(吸入ステップS1)。より具体的には、流入側アクティブバルブ5bを開状態としたまま、ピストン駆動モータ51を駆動して、ピストン13をメタノールの吸入方向へ移動する。このピストン13の吸入動作を、例えば、ピストン13の下死点まで行う。ピストン13の吸入動作で、開状態となったパッシブバルブ10bを介して、第1流路8bからメタノールをポンプ室2へ吸入する。
【0063】
続いて、ピストン13の吐出動作で、ポンプ室2からメタノールを吐出してポンプ1のバックラッシュを解消した後に、流入側アクティブバルブ5bを閉じる(初期吐出ステップS2)。より具体的には、流入側アクティブバルブ5bを開状態としたまま、ピストン駆動モータ51で、ポンプ1のバックラッシュを解消するまでピストン13をメタノールの吐出方向へ移動する。このピストン13の吐出動作で、開状態となったパッシブバルブ11bを介して、第2流路9bへメタノールを吐出し、その後、バルブ開閉駆動モータ52で流入側アクティブバルブ5bを閉状態とする。
【0064】
続いて、所定の流出側アクティブバルブ6を順次開いて、ピストン13の吐出動作で所定量のメタノールを吐出する(吐出ステップS3)。より具体的には、まず、バルブ開閉駆動モータ52で流出側アクティブバルブ6fを開状態とし、ピストン駆動モータ51でピストン13の吐出動作を行って、所定量のメタノールを流出路4fから吐出する。その後、バルブ開閉駆動モータ52で流出側アクティブバルブ6fを閉状態、流出側アクティブバルブ6gを開状態とし、ピストン13の吐出動作を行って、所定量のメタノールを流出路4gから吐出する。このように、バルブ開閉駆動モータ52で、流出側アクティブバルブ6f、6g、6h、6a、6b、6c、6d、6eの開閉動作をこの順番で順次行いつつ、ピストン13の吐出動作で、流出路4f、4g、4h、4a、4b、4c、4d、4eからこの順番で、所定量のメタノールを吐出する。
【0065】
ここで、ポンプ室2に、気泡の有無を検出する検出器を設けた場合において、この検出器が気泡を検出したときには、例えば、流入側アクティブバルブ5bを開状態として、ピストン13の吐出動作を行うことで、開状態となったパッシブバルブ11bを介して、第2流路9bへ気泡を排出することができる。また、ポンプ1の起動時あるいは、収容容器の交換後には、同様の動作で、気泡を排出することも可能である。
【0066】
尚、図2〜図6に示す多チャンネルポンプ1の構成を採用する場合には、バルブ開閉駆動モータ52によって、上述した一連の動作の中では使用されない流入側アクティブバルブ5aの開閉動作も行われることになる。しかし、流入側アクティブバルブ5aが開状態であるときに、ピストン13を移動させなければ、上述した一連の動作に影響を与えることはない。
【0067】
[本形態の主な効果]
以上説明したように、本形態の多チャンネルポンプ1は、流出側アクティブバルブ6a〜6hを備えていることから、流出路4a〜4hからポンプ室2へのメタノールの逆流を確実に防止することができる。また、流出路4a〜4hから吐出するメタノールの吐出先を流出側アクティブバルブ6a〜6hで制御することができる。さらに、多チャンネルポンプ1では、1つのピストン13の吐出動作によって各流出路4a〜4hからメタノールを吐出する。そのため、各流出路4a〜4hごとにピストンが設けられている場合と比較して、吐出性能が均一になり、各流出路4a〜4hからの吐出量のばらつきを抑えることができる。従って、多チャンネルポンプ1では、適切量のメタノールを精度よく吐出することができる。
【0068】
また、本形態では、8つの流出路4a〜4hが接続されたポンプ室2に2つの流入路3a、3bが接続されている。そのため、複数の流出路4a〜4hに対して流入路3a、3bを共通で使用することができ、ポンプ1の構成を簡素化することができる。また、ピストン13も1つであるからポンプ1の構成の簡素化が可能となる。従って、ポンプ1の小型化を図ることができ、例えば、携帯電子機器に使用されるDMFCといった小型の装置に搭載することが可能となる。
【0069】
本形態では、ピストン13の駆動機構は、外周部にオネジ15aが形成されたピストンロッド15と、オネジ15aと螺合するメネジ16aが形成されたナット16と、ナット16をギア17等を介して回転駆動するピストン駆動モータ51とを備えている。そのため、ネジのピッチとピストン駆動モータ51の回転量でピストン13の移動量を制御できる。従って、流出路4a〜4hから微小流量を吐出することができる。また、吐出流量の精度を上げることができる。特に、本形態では、ピストン駆動モータ51はステッピングモータであるため、ピストン13の移動量をより精度よく制御することができる。例えば、本形態のポンプ1では、各流出路4a〜4hから0.01ccといった微小流量を精度よく吐出することができる。また、微小流量を間欠的に吐出することも可能である。
【0070】
本形態では、多チャンネルポンプ1は、2つの流入路3a、3bを備えている。そのため、流入路3a、3bごとに収容容器が接続されているような場合には、収容容器の交換作業が容易になる。
【0071】
本形態では、流入路3a、3bの一端側は、流入側アクティブバルブ5a、5bを介してポンプ室2に接続されている。そのため、ポンプ室2から流入路3a、3bへの逆流を確実に防止することができる。
【0072】
また、本形態における多チャンネルポンプ1の制御方法では、吸入ステップS1と吐出ステップS3との間に、ポンプ1のバックラッシュを解消する初期吐出ステップS2が設けられている。そのため、吐出ステップS3では、当初からピストン13の移動量と流出路4a〜4hからの吐出量との関係をリニアに保つことができる。従って、ピストン13の移動量を適切に制御してやれば、吐出ステップS3で最初に流体が吐出される流出路4fからの吐出量も精度よく制御することができ、各流出路4a〜4hからの吐出量のばらつきを低減させることができる。
【0073】
さらに、本形態における多チャンネルポンプ1の制御方法では、吐出ステップS3で、流出路4a〜4hから複数回にわたって吐出するために必要なメタノールを、吸入ステップS1で吸入している。そのため、各流出路4a〜4hから吐出するメタノールの吐出量が著しく微量であっても、吸入量をある程度確保することができる。例えば、各流出路4a〜4hからの各吐出量が1(μl)であっても、吸入量は8(μl)とすることができる。従って、ポンプ1の容量を大きくすることができ、自給性能を備えることが容易になる。
【0074】
[他の実施の形態]
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
【0075】
例えば、上述した形態の多チャンネルポンプ1は、可動体としてピストン13を用いたピストン式のポンプであったが、ピストン式のポンプには限定されず、1のみの可動体を備えるダイヤフラム式のポンプであっても良い。また、その他の方式を採用したポンプであっても良い。
【0076】
また、上述した形態では、流入側アクティブバルブ5及び流出側アクティブバルブ6を共通の駆動アクチュエータであるバルブ開閉駆動モータ52によって開閉駆動していたが、各アクティブバルブのそれぞれに、駆動アクチュエータを設けるようにしても良いし、いくつかのアクティブバルブを開閉駆動する駆動アクチュエータを複数設けるようにしても良い。
【0077】
さらに、ピストン駆動モータ51は、ステッピングモータには限定されず、その他のモータを使用することも可能である。また、ピストン13の駆動アクチュエータは、モータには限定されず、種々の駆動アクチュエータの使用が可能である。
【0078】
さらにまた、上述した形態では、2つの流入路3a、3bが設けられていたが、流入路は1つであっても良い。また、逆に3つ以上の流入路が設けられていても良い。
【0079】
また、多チャンネルポンプ1の制御方法は、上述の制御方法には限定されない。例えば、流入側アクティブバルブ5を開いて、ピストン13の吸入動作でポンプ室2にメタノールを吸入した後、流入側アクティブバルブ5を閉じる吸入ステップと、吸入ステップの後に、1の流出側アクティブバルブ6を開いて、ピストン13の吐出動作でポンプ室2からメタノールを吐出してポンプ1のバックラッシュを解消する初期吐出ステップと、初期吐出ステップの後に、所定の流出側アクティブバルブ6を順次開いて、ピストン13の吐出動作で所定量のメタノールを吐出する吐出ステップとを備える制御方法によって、ポンプ1を制御しても良い。
【0080】
この場合にも、吸入ステップと吐出ステップとの間に、ポンプ1のバックラッシュを解消する初期吐出ステップが設けられているため、吐出ステップでは、当初からピストン13の移動量と流出路4からの吐出量との関係をリニアに保つことができ、各流出路4からの吐出量のばらつきを低減させることができる。吐出ステップで、流出路4から複数回にわたって吐出するために必要なメタノールを、吸入ステップで吸入しているため、各流出路4から吐出するメタノールの吐出量が著しく微量であっても、吸入量をある程度確保することができる。従って、ポンプ1の容量を大きくすることができ、自給性能を備えることが容易になる。
【0081】
さらに、使用される流体は、メタノールもしくはメタノール水溶液に限定されるものではなく、エタノール(エチルアルコール)もしくはその水溶液、あるいは他の液体であっても良い。
【0082】
また、用途も燃料電池に限ったものではなく、例えば、化学物質の分析装置分野においては、微量試薬の滴下装置に用いられる、複数のシリンジポンプの代用として使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態にかかる多チャンネルポンプの基本構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す多チャンネルポンプの具体的構成をメタノールの吐出側から示す斜示図である。
【図3】図2に示す多チャンネルポンプをX方向から示す斜示図である。
【図4】図2に示す多チャンネルポンプのY断面を示す斜示図である。
【図5】図2に示す多チャンネルポンプのアクティブバルブの開閉機構を抜き出して示す分解斜示図である。
【図6】図2に示す多チャンネルポンプの流入路及び流出路の構成を示す平面図である。
【図7】図2の示す多チャンネルポンプの制御方法を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0084】
1 多チャンネルポンプ
2 ポンプ室
3(3a、3b) 流入路
4(4a〜4h) 流出路
5(5a、5b) 流入側アクティブバルブ
6(6a〜6h) 流出側アクティブバルブ
8(8a、8b) 第1流路
9(9a、9b) 第2流路
10(10a、10b)、11(11a、11b) パッシブバルブ
13 ピストン(可動体)
14 シリンダ
15 ピストンロッド
15a オネジ
16 ナット(回転体)
16a メネジ
51 ピストン駆動モータ
S1 吸入ステップ
S2 初期吐出ステップ
S3 吐出ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室と、該ポンプ室に接続された流入路と、流出側アクティブバルブを介して前記ポンプ室に接続された2以上の流出路と、前記ポンプ室を容積変化させるため往復移動する1つの可動体とを備えることを特徴とする多チャンネルポンプ。
【請求項2】
前記可動体は、前記ポンプ室に接続されたシリンダ内を往復移動するピストンであることを特徴とする請求項1記載の多チャンネルポンプ。
【請求項3】
前記ピストンが固定されるとともに外周部にオネジが形成されたピストンロッドと、前記ピストンを往復移動させるため前記オネジと螺合するメネジが形成された回転体と、該回転体を回転駆動するピストン駆動モータとを備えることを特徴とする請求項2記載の多チャンネルポンプ。
【請求項4】
前記ピストン駆動モータはステッピングモータであることを特徴とする請求項3記載の多チャンネルポンプ。
【請求項5】
前記流入路を2以上備えることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の多チャンネルポンプ。
【請求項6】
前記流入路の一端側は、流入側アクティブバルブを介して前記ポンプ室に接続されていることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の多チャンネルポンプ。
【請求項7】
前記流入路の他端側には、前記ポンプ室への流入方向に向かって開くパッシブバルブを有する第1流路と、前記ポンプ室からの流出方向に向かって開くパッシブバルブを有する第2流路とが接続されていることを特徴とする請求項6記載の多チャンネルポンプ。
【請求項8】
前記流体は液体であり、前記ポンプ室の気泡の有無を検出する検出器を備えることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の多チャンネルポンプ。
【請求項9】
請求項6記載の多チャンネルポンプの制御方法であって、
前記流入側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吸入動作で前記ポンプ室に流体を吸入した後、前記流入側アクティブバルブを閉じる吸入ステップと、
該吸入ステップの後に、1の流出側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吐出動作で前記ポンプ室から流体を吐出してポンプのバックラッシュを解消する初期吐出ステップと、
該初期吐出ステップの後に、所定の流出側アクティブバルブを順次開いて、前記可動体の吐出動作で所定量の流体を吐出する吐出ステップとを備えることを特徴とする多チャンネルポンプの制御方法。
【請求項10】
請求項7記載の多チャンネルポンプの制御方法であって、
前記流入側アクティブバルブを開いて、前記可動体の吸入動作で、前記第1流路から前記ポンプ室に流体を吸入する吸入ステップと、
該吸入ステップの後に、前記可動体の吐出動作で、前記第2流路へ前記ポンプ室から流体を吐出してポンプのバックラッシュを解消した後に、前記流入側アクティブバルブを閉じる初期吐出ステップと、
該初期吐出ステップの後に、所定の流出側アクティブバルブを順次開いて、前記可動体の吐出動作で所定量の流体を吐出する吐出ステップとを備えることを特徴とする多チャンネルポンプの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−29189(P2006−29189A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208551(P2004−208551)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】