説明

情報提供システム

【課題】車両で移動中のユーザの行動目的を特定し、その行動目的を加味した情報提供を行う。
【解決手段】特定地点を通過した車両Aからセンタ側装置10aへ送信される走行情報に基づき、センタ側装置10aにおいて行動目的関連情報が生成され、行動目的データベース11に蓄積される。一方、車両Bは、特定地点を通過する度にセンタ側装置10aから当該地点に該当する行動目的関連情報を受信し、その通過した地点ごとの行動目的関連情報を順次蓄積していく。十分な量の行動目的関連情報が蓄積された時点で、この蓄積された行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで情報受信側車両に乗車しているユーザの行動目的を特定する。このようしてユーザの行動目的を特定し、その行動目的をユーザに提供すべき情報の検索に加味することで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員に対して情報提供を行う情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが設定した目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。また、この種のナビゲーション装置では、特許文献1,2に記載のように、目的地までの経路案内の他に、地図情報や位置情報に基づいて種々の情報提供を行うものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ユーザから登録地点の指定を受け付けた際、当該登録地点についての付随情報として、ユーザから受け付けた任意の音声情報を位置情報と対応させて格納し、この音声情報を位置情報に基づく適宜なタイミングで出力する構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、地図情報から現在位置や所定時刻での予想位置、さらには任意に指定された位置等の周辺に存在する文字列を抽出し、この抽出した文字列に基づいてインターネット上から情報を取得する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−279366号公報
【特許文献2】特開2004−318483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のナビゲーション装置では、ユーザが設定した目的地を特定することは可能であるが、ユーザが何の目的でその目的地を目指しているのかを知る方法がなかった。それは、従来のナビゲーション装置の役割が「道案内」を主目的とするものであり、そこで何をするためにその目的地を目指しているのかといった行動の目的(ここでは行動目的と称する)は道案内に直接的には関係のない概念であったからである。
【0006】
しかしながら、ユーザの行動目的というものは、ユーザのニーズや趣味・嗜好といったユーザの心情を色濃く反映する重要な要素であると考えられる。そこで、「道案内」に関する情報提供の他にも、ユーザに提供すべき情報の検索にユーザの行動目的を加味することで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になり、ナビゲーション装置の利便性を更に向上させることができると考えられる。よって、ユーザの行動目的を特定し、これをナビゲーション装置が行う情報提供に積極的に活用することが肝要である。
【0007】
このような観点からすれば、上述の特許文献1,2に記載の発明では、ユーザの行動目的を情報提供に加味することは想定されていないため、上述のような課題を解決することはできない。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされており、車両で移動中のユーザの行動目的を特定し、その行動目的を加味した情報提供を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の情報提供システムは、情報センタに配置されるセンタ側装置と、情報提供側車両に搭載され、当該車両の走行情報をセンタ側装置へ送信する送信側車載装置と、情報受信側車両に搭載され、センタ側装置から行動目的関連情報を受信する受信側車載装置とからなる。
【0010】
送信側車載装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点、当該送信側車載装置に設定されている車両の目的地、走行方向及び日時を示す情報を含む走行情報をセンタ側装置へ送信する走行情報送信手段とを備える。
【0011】
センタ側装置は、送信側車載装置から送信されてくる走行情報を受信する走行情報受信手段と、走行情報受信手段により受信した走行情報を地点及び走行方向別に対応付けて集計し、その集計結果を蓄積する行動目的データベースと、行動目的データベースに蓄積された走行情報の集計結果の統計的分析に基づき、地点及び走行方向別にその地点を通行する車両の行動目的に関する行動目的関連情報を生成し、この生成した行動目的関連情報を当該地点及び走行方向別に対応付けて行動目的データベースに記録する生成記録手段とを備える。さらに、受信側車載装置から送信されてくる地点情報を受信する地点情報受信手段と、地点情報受信手段によって受信した地点情報で示される地点及び走行方向、並びに当該受信した日時に該当する行動目的関連情報を行動目的データベースから取得し、この取得した行動目的関連情報を当該地点情報の送信元の受信側車載装置へ送信する送信手段とを備える。
【0012】
受信側車載装置は、ユーザに提供するための提供情報を蓄積する提供情報データベースと、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点及び走行方向を示す情報を含む地点情報をセンタ側装置へ送信する地点情報送信手段と、地点情報送信手段によって送信した地点情報に対する応答としてセンタ側装置から当該地点に対応する行動目的関連情報を受信する受信手段と、受信手段によって受信した各地点の行動目的関連情報を集計し、その集計結果の統計的分析に基づき、自車両の行動目的を特定する特定手段と、特定手段によって特定された行動目的に適合する提供情報を提供情報データベースから検索する検索手段と、検索手段によって検索した提供情報をユーザに対して提示する情報提示手段とを備える。
【0013】
このように構成された情報提供システムによれば、情報提供側車両からセンタ側装置へ送信される走行情報に基づいて、センタ側装置において地点別の行動目的関連情報が生成され、行動目的データベースに蓄積される。この行動目的関連情報としては、走行情報に含まれる目的地や日時に適合する関連キーワード等が用いられる。具体的には、ある地点(例えば交差点等)をある方向に向かって走行する車両の目的地が、例えば「海水浴場」であったとすれば、行動目的関連情報として「泳ぐ」といったキーワードを蓄積するといった具合である。なお、様々な目的地が設定された多数の車両が同じ地点を通過するので、1つの地点に対応付けられる行動目的関連情報は必然的に複数になる。
【0014】
一方、情報受信側車両は、所定の地点を通過する度に情報センタから当該地点に該当する行動目的関連情報を受信する。このとき、1つの地点に対応する行動目的関連情報が複数存在する場合、1つの地点で得られる行動目的関連情報だけでは行動目的を特定することはできない。そこで、車両が走行するに従って、その通過した地点ごとの行動目的関連情報を順次蓄積していく。そして、十分な量の行動目的関連情報が蓄積された時点で、この蓄積された行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで情報受信側車両に乗車しているユーザの行動目的を特定することができるのである。具体的には、各地で取得した行動目的関連情報の中で最も取得回数の多かったキーワードを行動目的として特定するといった運用が考えられる。
【0015】
以上のようしてユーザの行動目的を特定し、この特定したユーザの行動目的をユーザに提供すべき情報の検索に加味することで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になり、ナビゲーション装置の利便性を更に向上させることができる。
【0016】
一方、請求項2に記載の情報提供システムは、情報センタに配置されるセンタ側装置と、情報提供側車両に搭載され、当該車両の走行情報をセンタ側装置へ送信する送信側車載装置と、情報受信側車両に搭載され、センタ側装置から行動目的を受信する受信側車載装置とからなる。
【0017】
送信側車載装置は、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点、当該送信側車載装置に設定されている車両の目的地、走行方向及び日時を示す情報を含む走行情報をセンタ側装置へ送信する走行情報送信手段とを備える。
【0018】
センタ側装置は、送信側車載装置から送信されてくる走行情報を受信する走行情報受信手段と、走行情報受信手段により受信した走行情報を地点及び走行方向別に対応付けて集計し、その集計結果を蓄積する行動目的データベースと、行動目的データベースに蓄積された走行情報の集計結果の統計的分析に基づき、地点及び走行方向別にその地点を通行する車両の行動目的に関する行動目的関連情報を生成し、この生成した行動目的関連情報を当該地点及び走行方向別に対応付けて行動目的データベースに記録する生成記録手段とを備える。さらに、受信側車載装置から送信されてくる地点情報を受信する地点情報受信手段と、地点情報受信手段によって受信した地点情報で示される地点及び走行方向、並びに当該受信した日時に該当する行動目的関連情報を行動目的データベースから取得し、この取得した行動目的関連情報を当該地点情報の送信元の車両に対応付けて蓄積する車両別データベースと、車両別データベースに蓄積された車両別の各地点の行動目的関連情報を集計し、その集計結果の統計的分析に基づいて当該車両の行動目的を特定する特定手段と、特定手段によって特定した行動目的を、当該車両の受信側車載装置へ送信する送信手段とを備える。
【0019】
受信側車載装置は、ユーザに提供するための提供情報を蓄積する提供情報データベースと、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点及び走行方向を示す情報を含む地点情報をセンタ側装置へ送信する地点情報送信手段と、センタ側装置から送信されてくる行動目的を受信する受信手段と、受信手段によって受信した行動目的に適合する提供情報を提供情報データベースから検索する検索手段と、検索手段によって検索した提供情報をユーザに対して提示する情報提示手段とを備える。
【0020】
このように構成された情報提供システムによれば、情報提供側車両からセンタ側装置へ送信される走行情報に基づいて、センタ側装置において地点別の行動目的関連情報が生成され、行動目的データベースに蓄積される。なお、様々な目的地が設定された多数の車両が同じ地点を通過するので、1つの地点に対応付けられる行動目的関連情報は必然的に複数になる。
【0021】
また、センタ側装置では、情報受信側車両から送信されてくる地点情報に基づき、当該地点に該当する行動目的関連情報を行動目的データベースから検索し、これを車両別に蓄積する。これにより、複数の車両に対して、それぞれの車両が通過した地点ごとの行動目的関連情報をセンタ側で一括に管理できる。そして、1の車両について十分な量の行動目的関連情報が蓄積された時点で、当該車両に対応付けて蓄積された行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで当該車両に乗車しているユーザの行動目的を情報センタ側で特定することができるのである。具体的には、各地で取得した行動目的関連情報の中で最も取得回数の多かったキーワードを行動目的として特定するといった運用が考えられる。
【0022】
以上のようして情報センタ側でユーザの行動目的を特定し、この特定した行動目的を当該ユーザの乗車する車両に対して通知することで、当該車両に搭載された受信側車載装置において、ユーザの行動目的を提供すべき情報の検索に加味することができるようになる。このようにすることで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になり、ナビゲーション装置の利便性を更に向上させることができる。
【0023】
なお、受信側車載装置がユーザに対して提供する情報としては、例えば、特定されたユーザの行動目的に関連する施設等(POI:Point Of Interest)の情報が挙げられる。そこで、請求項3に記載のように構成するとよい。すなわち、受信側車載装置では、提供情報データベースには、POI情報が提供情報として蓄積されている。そして、検索手段は、行動目的に適合するPOI情報を検索する。情報提示手段は、検索手段によって検索したPOI情報をユーザに対して情報を提示する。
【0024】
POI情報は、車両に乗車しているユーザにとって需要の高い情報であり、ユーザの行動目的に適合したPOI情報を提供することで、付加価値の高い情報提供サービスを実現できる。
【0025】
さらに、請求項4に記載のように、提供情報データベースに音声・映像データを提供情報として蓄積しておき、ユーザの行動目的に適合する音声・映像データを検索して、これを再生するように構成してもよい。
【0026】
具体的には、例えば、行動目的が「泳ぐ」と特定された場合に、この「泳ぐ」というフレーズに関連して、「海」や「夏」に関する音楽や映像を再生することといった運用が考えられる。このようにすることで、ユーザが自身の行動目的に対する関心を更に高めることができるようになり、付加価値の高い情報提供サービスを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
[情報提供システムの構成の説明(第1実施形態)]
図1は、本発明の第1実施形態の情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図1に示すように、情報提供システム(第1実施形態)は、情報センタに設置されるセンタ側装置10a、センタ側装置10aに対して走行情報を提供する車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20a、及びセンタ側装置10aから情報サービスを受ける車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bからなる。
【0029】
センタ側装置10aは、適宜な処理能力を備えた情報処理装置上に構築された行動目的データベース11及び行動目的分析装置12を備え、車両A,Bそれぞれに搭載された車載用ナビゲーション装置20a,20bとの間でデータ通信可能に構成されている。
【0030】
行動目的データベース11は、走行情報を提供する車両Aから送信されてきた走行情報(地点、目的地、走行方向、日時等)を地点及び走行方向別に集計した「行動目的関連情報テーブル」を格納するためのデータベースである。また、この行動目的関連情報テーブルには、車両Aから取得した走行情報の集計結果に対する統計的分析に基づいて生成された行動目的関連情報も記録されている。なお、行動目的関連情報テーブルの詳細な内容については後述する。
【0031】
行動目的分析装置12は、行動目的データベース11に蓄積された走行情報の集計結果を統計的に分析することで、その地点を走行する車両の行動目的を推測するための二次的キーワードである行動目的関連情報を生成し、これを行動目的データベース11の行動目的関連情報テーブルに地点情報と対応付けて記録する。また、行動目的分析装置12は、例えばインターネット等の広域通信網を介して、外部データベース100から行動目的関連情報を取得することもできる。
【0032】
車載用ナビゲーション装置20a,20bは、現在位置から目的地までの最適経路の探索や経路案内、POI等の各種情報の提供を行う、いわゆるナビゲーションシステムを構成するものである。車載用ナビゲーション装置20a,20bは、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザからの操作を受け付ける操作部22と、外部の情報センタに設置されたセンタ側装置10aとの間でデータ通信を行うための通信部23と、各種データを記憶する外部記憶装置24と、各種情報を表示するための表示装置25と、各種音声を出力するための音声出力装置26と、車載用ナビゲーション装置20a,20b全体の作動を制御する制御部27とを備える。
【0033】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波を受信して車両の位置座標等を検出するGPS受信機、車両に加えられる回転運動の各速度に応じた検出信号を出力するジャイロスコープ、車両の速度に応じた検出信号を出力する車速センサ等から構成されている。そして、これらの各センサを互いに補完しながら使用することで車両の現在位置を検出する。
【0034】
操作部22は、ユーザからの操作を受け付けるためのものであり、表示装置25の表示画面上に一体に構成されるタッチパネルや、表示装置25の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等で構成される。
【0035】
通信部23は、情報センタに設置されたセンタ側装置10aとの間で無線通信を行うためのものである。なお、センタ側装置10aとの間の無線通信には、例えば、携帯電話網を介した無線データ通信や、狭域通信システム(DSRC:Dedicated Short Range Communication)による無線データ通信等を用いることが考えられる。
【0036】
外部記憶装置24は、DVD−ROMやハードディスクといった記憶媒体に車載用ナビゲーション装置20a,20bが作動するための各種プログラムや、ナビゲーション処理用の地図データ等の各種データを記憶し、制御部27からの制御に従ってこれらのデータを読み書きするための装置である。このうち、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bが備える外部記憶装置24には、ユーザに対して提供するための提供情報を格納する提供情報データベースが記憶されている。このデータベースには、例えば、飲食店や店舗、娯楽施設といった商業施設や公共施設等のPOIに関する情報が記述されたPOI情報や、音声・映像データ等が提供情報として格納されている。
【0037】
表示装置25は、液晶ディスプレイ等の表示面を有するカラー表示装置であり、制御部27からの映像信号の入力に応じて各種画像を表示面に表示可能である。例えば、車両が走行中においては、車両の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、各種シンボル等の付加データが地図画像上に重ねて表示される。また、表示装置25には、制御部27が外部記憶装置24内の提供情報データベースから検索した各種提供情報等が表示される。
【0038】
音声出力装置26は、各種情報を音声でユーザに報知できるように構成されている。これによって、表示装置25による表示と、音声出力装置26からの音声出力との両方でユーザに対して各種情報の提供を行うことができる。
【0039】
制御部27は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のコンピュータを中心に構成されており、ROMや外部記憶装置24等に記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。例えば、ナビゲーション関係の処理としては、外部記憶装置24に格納されている地図データに基づいて表示装置25に地図を表示する地図表示処理、ユーザにより設定された目的地までの最適経路を探索する経路探索処理、探索した最適経路に沿って走行案内を行う走行案内処理等が挙げられる。
【0040】
また、本発明における特徴的な処理として、車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20aの制御部27は、交差点等の所定の地点を通過する度に、その地点の位置情報、その地点への進入方向、その地点からの進行方向、設定された目的地及び日時等の情報を含む走行情報をセンタ側装置10aへ送信する処理を実行する。この一連の処理の詳細な手順については後述する。
【0041】
一方、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bの制御部27は、交差点等の所定の地点を通過する度に、その地点に対応する行動目的関連情報をセンタ側装置10aから取得し、これをメモリ等に蓄積する。このようにして、車両が走行するにつれて順次蓄積された複数の行動目的関連情報を統計的に分析することでユーザの行動目的を特定する。そして、特定した行動目的に適合する提供情報を外部記憶装置24に記憶されている提供情報データベースから検索し、その検索した提供情報をユーザに対して提示する。この一連の処理の詳細な手順については後述する。
【0042】
[走行情報送信処理−行動目的関連情報登録処理の説明(第1実施形態)]
つぎに、車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20aと、センタ側装置10aとが連携して実行する処理の内容について、図2,図3に基づいて説明する。
【0043】
図2の左側は、車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20aの制御部27が実行する走行情報送信処理の手順を示すフローチャートであり、右側は、センタ側装置10aが実行する行動目的関連情報登録処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
車載用ナビゲーション装置20aの制御部27は、まず、位置検出器21による現在位置の検出結果及び地図データに基づき、車両が走行情報を送信すべき特定地点に到達したか否かを判定する(S100)。なお、車両が走行情報を送信すべき特定地点としては、例えば、国道等の幹線道路上の交差点等が挙げられる。車両の目的地によって、その車両が交差点の分岐をどちらの方向へ進むかが変わるため、交差点において走行情報を送信するようにすることで、車両の行動目的が反映された有益な情報を得られると考えられる。
【0045】
S100で、車両が特定地点に到達していないと判定した場合(S100:NO)、この処理を繰り返す。一方、車両が特定地点に到達したと判定した場合(S100:YES)、その特定地点の位置情報、その特定地点への進入方向、その特定地点からの進行方向、経路案内中の目的地、現在の日時等を含む走行情報を生成し、この生成した走行情報を通信部23を介してセンタ側装置10aへ送信する(S110)。
【0046】
一方、センタ側装置10aは、車両Aから送信された走行情報を受信すると、この受信した走行情報の内容に基づいて、行動目的データベース11に格納されている行動目的関連情報テーブル(図3参照)の内容を更新する(S200)。具体的には、受信した走行情報の内容を、当該特定地点及び進入方向・進行方向別に分類して、行動目的関連情報テーブルに追加する。
【0047】
ここで、行動目的データベース11に格納されている行動目的関連情報テーブルの内容について、図3に基づき説明する。図3は、行動目的データベース11に格納されている行動目的関連情報テーブルの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0048】
行動目的関連情報テーブルは、車両Aから送信されてきた走行情報に対応する「地点」と、その地点への「進入方向」と、その地点からの「進行方向」との組み合わせ別に分類されたレコードによって構成されている。そして、地点−進入方向−進行方向別に分類された個々のレコードには、当該分類に該当する走行情報の「報告数」、当該分類に該当する走行情報によって通知された「目的地」及び「日時」の情報が対応付けて蓄積されている。センタ側装置10aが車両Aに搭載された車載用ナビゲーション装置20aから走行情報を受信した場合、この走行情報で示される地点,進入方向,進行方向の組み合わせに該当するレコードに、「報告数」、「目的地」、「日時」の情報が追加・更新されるようになっている。また、行動目的関連情報テーブルにおける地点−進入方向−進行方向別の各レコードには、それぞれに対応する行動目的関連情報が蓄積されている。
【0049】
図2のフローチャートの説明に戻る。S210では、S200で更新された行動目的関連情報テーブルの内容を行動目的分析装置12によって統計的に分析し、その分析結果から行動目的関連情報を生成、あるいは外部から取得する(S210)。
【0050】
具体的には、行動目的関連情報テーブルにおける別の走行情報の収集結果に基づき、その地点での、進入方向−進行方向別、時間帯別、あるいは地点全体での走行情報の報告数の量的順位や傾向を算出する。そして、量的順位の高い(すなわち、報告数の多い)地点別、進入方向−進行方向別、あるいは時間帯別のレコードに対しては、行動目的関連情報として、当該レコードに対応付けて蓄積された目的地に関連するキーワードを内部データベースから抽出したり、目的地に関連する外部情報を外部データベース100から取得したりする。
【0051】
目的地に関連するキーワードを抽出する場合、例えば、目的地を示す名詞から行動目的を示す動詞に変えたキーワードを抽出することが考えられる。具体的には、行動目的関連情報テーブルに登録されている目的地が「海水浴場」であるならば、目的地関連情報として抽出するキーワードとして、「泳ぐ」、「日焼けする」、「ビーチバレーをする」といった動詞が抽出されるように構成することが考えられる。
【0052】
なお、目的地を示す名詞から、行動目的を示す動詞を抽出する仕組みについては、例えば目的地を示す名詞と行動目的を示す動詞との関連を定義するデータベースを予め構築しておくといった手法が考えられる。さらに、同一の目的地に対して、日中ならば「泳ぐ」、夜間なら「花火」、あるいは、夏なら「ハイキング」、冬なら「スキー」といった具合に、一日の時間帯や日付、季節等を考慮してキーワードの抽出結果を変更したり、別のデータベースを介して知りえたユーザの嗜好情報を加味するなどといった工夫をすることが考えられる。このように、単なる紐付け情報だけでなく、ユーザの行動目的をより的確に反映したキーワードを抽出できるような工夫をすることが肝要である。
【0053】
また、外部データベース100から外部情報を取得する場合、外部データベース100に対して目的地に適合する情報の検索を行い、検索の結果抽出された情報を取得するように構成することが考えられる。
【0054】
センタ側装置10aの行動目的分析装置12は、S210で生成、あるいは外部から取得した行動目的関連情報(キーワード及び外部情報)を、行動目的関連情報テーブルの該当のレコードに対応付けて登録する(S220)。
【0055】
以上で説明したように、走行情報を情報センタに提供する車両Aが市中を多数走行することで、センタ側装置10aの行動目的データベース11には、多数の走行情報及びこれに対応する行動目的関連情報が蓄積されることになる。
【0056】
[情報提供処理−行動目的関連情報送信処理の説明(第1実施形態)]
つぎに、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bと、センタ側装置10aとが連携して実行する処理の内容について、図4,図5に基づいて説明する。
【0057】
図4の左側は、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bの制御部27が実行する情報提供処理の手順を示すフローチャートであり、右側は、センタ側装置10aが実行する行動目的関連情報送信処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
車載用ナビゲーション装置20bの制御部27は、まず、位置検出器21による現在位置の検出結果及び地図データに基づき、行動目的関連情報を取得すべき特定地点に車両が到達したか否かを判定する(S300)。なお、行動目的関連情報を取得すべき特定地点は、上述の走行情報送信処理(図2参照)における走行情報を送信すべき特定地点と対応した地点である。
【0059】
S300で、車両が特定地点に到達していないと判定した場合(S300:NO)、この処理を繰り返す。一方、車両が特定地点に到達したと判定した場合(S300:YES)、その特定地点に対応する行動目的関連情報の送信を情報センタに対して要求する(S310)。具体的には、その特定地点の位置情報、その特定地点への進入方向、その特定地点からの進行方向等を含む地点情報を生成し、この生成した地点情報を通信部23を介してセンタ側装置10aへ送信する。
【0060】
一方、センタ側装置10aは、行動目的関連情報の送信要求として車両Bから送信された地点情報を受信すると、この受信した地点情報に適合する行動目的関連情報を、行動目的関連情報テーブル(図3参照)から検索する(S400)。ここでは、車両Bから受信した地点情報に含まれる特定地点の位置、その特定地点への進入方向、及びその地点からの進行方向と一致する行動目的関連情報テーブルのレコードを検索し、そのレコードに対応付けて記録されている行動目的関連情報を取得する。また、地点情報に適合する行動目的関連情報の中から、当該地点情報を受信したときの日時に適合するものだけを抽出するようにしてもよい。
【0061】
つぎに、検索の結果、行動目的関連情報を要求元の車両Bへ送信可能であるか否かを判定し(S410)、送信可能であると判定した場合(S410:YES)、検索により取得した行動目的関連情報を当該要求元の車両Bに対して送信し(S420)、行動目的関連情報送信処理を終了する。一方、行動目的関連情報を送信不可であると判定した場合(S410:NO)、送信を行わずに行動目的関連情報送信処理を終了する。
【0062】
一方、車両Bでは、送信した地点情報に対する応答として情報センタから送信されてくる行動目的関連情報を受信すると、この受信した行動目的関連情報を地点別に制御部27のRAM等に蓄積する(S320)。以上、S300〜S320の処理を地図データに記憶されている特定地点を通過するごとに繰り返し実行し、走行中に取得した行動目的関連情報をメモリに順次蓄積する。
【0063】
そして、蓄積した行動目的関連情報の件数が一定数に達したり、ユーザに対する情報提供をすべき所定時期になる等、所定の条件を満たす場合、走行中にメモリに蓄積してきた行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで車両Bに乗車しているユーザの行動目的を特定する(S330)。
【0064】
ここで、走行中に蓄積した走行目的関連情報からユーザの行動目的を特定する手順の実例を図5に基づいて説明する。
図5では、車載用ナビゲーション装置20bを搭載した車両Bが、A交差点,B交差点、C交差点及びD交差点を順に通過する事例を想定している。また、当該経路には、Dショップ、E釣堀、F海水浴場といった各種施設へ至る分岐が含まれているものとする。
【0065】
最初に、車両BがA交差点を通過すると、情報センタから行動目的関連情報として「泳ぐ」、「釣りをする」、「買い物をする」といったキーワードを受信する。車載用ナビゲーション装置20bは受信したキーワードをメモリに蓄積する。
【0066】
つぎに、車両BがB交差点を通過した際、情報センタから行動目的関連情報として「泳ぐ」、「釣りをする」といったキーワードを受信する。車載用ナビゲーション装置20bは受信したキーワードをメモリに蓄積する。ここで、B交差点はDショップへ至る分岐となっており、車両BはこのDショップへ至る経路とは異なる方向へ進行している。その結果、情報センタから提供される行動目的関連情報には、Dショップに関連する「買い物をする」というキーワードは含まれない。なぜならば、過去にB交差点を当該車両Bと同じ方向へ進行した車両Aから提供された走行情報には、目的地の情報としてショップDが含まれず(Dショップを目的地に設定した車両はB交差点をDショップの方向へ進行するはずである)、情報センタにおいてB交差点の当該進行方向に対応する行動目的関連情報としてDショップに関連するキーワードは生成されないからである。
【0067】
つぎに、車両BがC交差点を通過した際、情報センタから行動目的関連情報として「泳ぐ」といったキーワードを受信する。車載用ナビゲーション装置20bは受信したキーワードをメモリに蓄積する。ここで、C交差点はE釣堀へ至る分岐となっており、車両BはこのE釣堀へ至る経路とは異なる方向へ進行している。その結果、情報センタから提供される行動目的関連情報には、E釣堀に関連する「釣りをする」というキーワードは含まれない。なぜならば、過去にC交差点を当該車両Bと同じ方向へ進行した車両Aから提供された走行情報には、目的地の情報としてE釣堀が含まれず、情報センタにおいてC交差点の当該進行方向に対応する行動目的関連情報としてE釣堀に関連するキーワードは生成されないからである。
【0068】
C交差点を通過した時点において、各交差点で取得したキーワードの取得回数を集計すると、「泳ぐ」が3回、「釣りをする」が2回、「買い物をする」が1回となっている。よって、C交差点を通過した時点では、最も取得回数が多いキーワードである「泳ぐ」を、当該車両Bに搭乗するユーザの行動目的に特定する。
【0069】
なお、車両BがB交差点を通過した時点におけるキーワードの取得回数は、「泳ぐ」が2回、「釣りをする」が2回、「買い物をする」が1回となっており、「泳ぐ」又は「釣りをする」のどちらかが行動目的である可能性が高いことになる。この時点では何れかの行動目的に特定することはできないが、「泳ぐ」と「釣りをする」というキーワードから、「海へ行く」といった共通性を導き、これを行動目的として特定してもよい。
【0070】
図4のフローチャートの説明に戻る。S330で行動目的を特定した後、適宜なタイミングで、その特定した行動目的に適合する提供情報を外部記憶装置24に格納された提供情報データベースから検索し、その検索された提供情報を表示装置25及び音声出力装置26を介してユーザに対して提示する(S340)。例えば、特定された行動目的が「泳ぐ」である場合、現在位置付近の海水浴場等のPOI情報を検索してユーザに提示することが考えられる。また、行動目的が「泳ぐ」である場合、その近辺には「釣りをする」目的で来ている人が多いと推測できるので、行動目的が「泳ぐ」と特定された車両において「ここでは釣りもできますよ」等といったおすすめ情報を提供してもよい。さらに、提供情報として楽曲(音声データ)を検索する場合、楽曲データに付属するタグ情報等に基づいて行動目的に適合する楽曲を検索することが考えられる。その場合、たとえ「泳ぐ」という行動目的に適合する楽曲が見つからないとしても、「泳ぐ」に関連する「海へ行く」というキーワードに適合する楽曲を検索することができる。
【0071】
その他、提供情報の提示方法として、次のような工夫も考えられる。例えば、車両のアクセサリスイッチがOFFにされた地点において特定されていた移動目的と、それまでに収集した移動目的関連情報のキーワードとを比較し、次にアクセサリスイッチがONにされた時点で、2番目に多かったキーワードに関連する提供情報を提示するようにすれば、この地域での別の楽しみ方を提案できる。また、その地域における現在とは別の季節の楽しみ方等に関する情報をユーザに提供してもよい。例えば、紅葉の名所であり、かつ桜の名所でもある地域に秋の紅葉見物を行動目的にして訪れた場合、春の桜に関する情報をユーザに対して提示するといった観光ガイドも可能である。
【0072】
[情報提供システムの構成の説明(第2実施形態)]
つぎに、図6は、本発明の第2実施形態の情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、情報提供システム(第2実施形態)は、情報センタに設置されるセンタ側装置10b、センタ側装置10bに対して走行情報を提供する車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20a、及びセンタ側装置10bから情報サービスを受ける車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bからなる。なお、図6のブロック図においては、図1に示す第1実施形態の情報提供システムと同様の構成には同一の符号を付し、その説明については省略する。
【0074】
センタ側装置10bは、適宜な処理能力を備えた情報処理装置上に構築された、行動目的データベース13、車両別データベース14、及び行動目的分析装置15を備え、車両A,Bそれぞれに搭載された車載用ナビゲーション装置20a,20bとの間でデータ通信可能に構成されている。
【0075】
行動目的データベース13は、「行動目的関連情報テーブル」を格納するためのデータベースである。なお、行動目的関連情報テーブル(図3参照)は、上述の第1実施形態で説明したものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0076】
車両別データベース14は、地点情報を提供する個々の車両Bごとに行動目的関連情報を蓄積した「車両別行動目的関連情報テーブル」を格納するためのデータベースである。なお、車両別行動目的関連情報テーブルの詳細な内容については後述する。
【0077】
行動目的分析装置15は、行動目的データベース13に蓄積された走行情報の集計結果を統計的に分析することで、その地点を走行する車両の行動目的を推測するための二次的キーワードである行動目的関連情報を生成し、これを行動目的データベース13の行動目的関連情報テーブルに地点情報と対応付けて記録する。また、行動目的分析装置15は、例えばインターネット等の広域通信網を介して、外部データベース100から行動目的関連情報を取得することもできる。この一連の処理については、上述の第1実施形態における「行動目的関連情報登録処理」(図2参照)の手順と同様なのでここでの説明は省略する。
【0078】
さらに、行動目的分析装置15は、地点情報を提供する車両Bから受信した地点情報を受信すると、その地点情報に適合する行動目的関連情報を行動目的データベース13内の行動目的関連情報テーブルから検索する。そして、その検索した行動目的関連情報を、車両別データベース14内の車両別行動目的関連情報テーブルに、当該車両Bに対応付けて登録する。また、車両別データベース14内の車両別行動目的関連情報テーブルに蓄積された車両別の行動目的関連情報を統計的に分析することで、当該車両Bの行動目的を特定し、その特定した行動目的を当該車両Bに通知する。これら一連の処理についての詳細な説明は後述する。
【0079】
車両Aに搭載される車載用ナビゲーション装置20aの制御部27は、交差点等の所定の地点を通過する度に、その地点の位置情報、その地点への進入方向、その地点からの進行方向、設定された目的地及び日時等の情報を含む走行情報をセンタ側装置10bへ送信する。この一連の処理については、上述の第1実施形態における「走行情報送信処理」(図2参照)の手順と同様なのでここでの説明は省略する。
【0080】
一方、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bの制御部27は、交差点等の所定の地点を通過する度に、その地点の位置情報、その地点への進入方向、その地点からの進行方向等の情報を含む走行情報をセンタ側装置10bへ送信する。そして、あるタイミングでセンタ側装置10bから送信されてくる当該車両Bに対応する行動目的を取得する。そして、その取得した行動目的に適合する提供情報を外部記憶装置24に記憶されている提供情報データベースから検索し、その検索した提供情報をユーザに対して提示する。この一連の処理の詳細な手順については後述する。
【0081】
[情報提供処理−行動目的送信処理の説明(第2実施形態)]
つぎに、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bと、センタ側装置10bとが連携して実行する処理の内容について、図7,図8に基づいて説明する。
【0082】
図7の左側は、車両Bに搭載される車載用ナビゲーション装置20bの制御部27が実行する情報提供処理の手順を示すフローチャートであり、右側は、センタ側装置10bが実行する行動目的送信処理の手順を示すフローチャートである。
【0083】
車載用ナビゲーション装置20bの制御部27は、まず、位置検出器21による現在位置の検出結果及び地図データに基づき、行動目的関連情報を取得すべき特定地点に車両が到達したか否かを判定する(S500)。なお、行動目的関連情報を取得すべき特定地点は、上述の走行情報送信処理(図2参照)における走行情報を送信すべき特定地点と対応した地点である。
【0084】
S500で、車両が特定地点に到達していないと判定した場合(S500:NO)、この処理を繰り返す。一方、車両が特定地点に到達したと判定した場合(S500:YES)、その特定地点の位置情報、その特定地点への進入方向、その特定地点からの進行方向等を含む地点情報を生成し、この生成した地点情報を通信部23を介してセンタ側装置10bへ送信する。以上、S500〜S510の処理を地図データに記憶されている特定地点を通過するごとに繰り返し実行する。
【0085】
一方、センタ側装置10bは、車両Bから送信された地点情報を受信すると、この受信した地点情報に適合する行動目的関連情報を、行動目的関連情報テーブル(図3)から検索する(S600)。ここでは、車両Bから受信した地点情報に含まれる特定地点の位置、その特定地点への進入方向、及びその地点からの進行方向と一致する行動目的関連情報テーブルのレコードを検索し、そのレコードに対応付けて記録されている行動目的関連情報を取得する。また、地点情報に適合する行動目的関連情報の中から、当該地点情報を受信したときの日時に適合するものだけを抽出するようにしてもよい。つぎに、S600で検索した行動目的関連情報を、当該地点情報の送信元である車両Bの識別情報に対応付けて、車両別データベース14内の車両別行動目的関連情報テーブルに蓄積する(S610)。
【0086】
ここで、車両別データベース14に格納されている車両別行動目的関連情報テーブルの内容について、図8に基づき説明する。図8は、車両別データベース14に格納されている車両別行動目的関連情報テーブルの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0087】
車両別行動目的関連情報テーブルは、個々の車両別に分類されたレコードによって構成されている。そして、車両別に分類された個々のレコードには、各々の車両から送信されてきた地点情報に含まれる位置情報(地点A,地点B…)と、その各地点に対応する行動目的関連情のキーワードとが対応付けて蓄積されている。センタ側装置10bが車両Bに搭載された車載用ナビゲーション装置20bから地点情報を受信した場合、その位置情報に対応する行動目的関連情報が行動目的関連情報テーブルから検索され、その地点情報の送信元の車両に該当するレコードに、位置情報と検索された行動目的関連情報のキーワードとが追加・更新されるようになっている。
【0088】
図7のフローチャートの説明に戻る。S620では、行動目的関連情報テーブルに蓄積された当該地点情報の送信元の車両Bに対応する行動目的関連情報から、当該車両Bの行動目的を特定可能であるか否かを判定する(S620)。具体的には、当該車両Bに対応付けられた行動目的関連情報の蓄積件数が一定数に達していれば、行動目的を特定可能であると判定する。ここで、行動目的を特定不可である判定した場合(S620:NO)、すなわち、行動目的関連情報テーブルにおける当該車両Bに対応する行動目的関連情報の蓄積件数が十分ではない場合、行動目的送信処理を終了する。一方、行動目的を特定可能である判定した場合(S620:YES)、すなわち、行動目的関連情報テーブルにおける当該車両Bに対応する行動目的関連情報の蓄積件数が十分である場合、行動目的関連情報テーブル蓄積にされている当該車両Bに対応する行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで車両Bに乗車しているユーザの行動目的を特定する(S630)。そして、その特定した行動目的を、当該車両Bに対して送信し(S640)、行動目的送信処理を終了する。
【0089】
一方、車両Bでは、センタ側装置10bから行動目的を受信すると、適宜なタイミングで、その受信した行動目的に適合する提供情報を外部記憶装置24に格納された提供情報データベースから検索し、その検索された提供情報を表示装置25及び音声出力装置26を介してユーザに対して提示する(S520)。
【0090】
なお、提供情報の具体例としては、次のようなものが挙げられる。例えば、行動目的に合った楽曲を選択して、自動的に演奏を開始する。行動目的が「海で泳ぐ」である場合、車両が目指す地域の特性を「海」と認識でき、「海」に関係する楽曲を提供情報データベースから検索することができる。
【0091】
あるいは、ユーザの行動目的に合った地域情報・広告情報を提供する。車両がその地域に来た目的が特定できるので、その地域にいるからこその情報提供が可能である。例えば、行動目的がサーフィンであると判明している車両が、その地域にあるサーフショップの付近へ到達した場合、その店舗の広告情報を提供することができる。
【0092】
[効果]
上記実施形態の情報提供システムによれば、以下のような効果を奏する。
(1)第1実施形態の情報提供システムでは、車両Aからセンタ側装置10aへ送信される走行情報に基づいて、センタ側装置10aにおいて地点別の行動目的関連情報が生成され、行動目的データベース11に蓄積される。一方、車両Bは、所定の地点を通過する度にセンタ側装置10aから当該地点に該当する行動目的関連情報を受信する。そして、十分な量の行動目的関連情報が蓄積された時点で、この蓄積された行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで車両Bに乗車しているユーザの行動目的を特定することができる。以上のようしてユーザの行動目的を特定し、この特定したユーザの行動目的をユーザに提供すべき情報の検索に加味することで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になり、ナビゲーション装置の利便性を更に向上させることができる。
【0093】
(2)第2実施形態の情報提供システムでは、車両Aからセンタ側装置10bへ送信される走行情報に基づいて、センタ側装置10bにおいて地点別の行動目的関連情報が生成され、行動目的データベース13に蓄積される。また、センタ側装置10bでは、車両Bから送信されてくる地点情報に基づき、当該地点に該当する行動目的関連情報を行動目的データベース13から検索し、これを車両別に車両別データベース14に蓄積する。これにより、複数の車両に対して、それぞれの車両が通過した地点ごとの行動目的関連情報をセンタ側で一括に管理できる。そして、1の車両について十分な量の行動目的関連情報が蓄積された時点で、当該車両に対応付けて蓄積された行動目的関連情報を集計し、その統計的特徴を分析することで当該車両に乗車しているユーザの行動目的を情報センタ側で特定することができるのである。以上のようして情報センタ側でユーザの行動目的を特定し、この特定した行動目的を当該ユーザの乗車する車両Bに対して通知することで、当該車両Bに搭載された車載用ナビゲーション装置20bにおいて、ユーザの行動目的を提供すべき情報の検索に加味することができるようになる。このようにすることで、ユーザのニーズに最適化された情報提供が可能になり、ナビゲーション装置の利便性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1実施形態の情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】走行情報送信処理、及び行動目的関連情報登録処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】行動目的関連情報テーブルの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】情報提供処理、及び行動目的関連情報送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】情報センタから取得した行動目的関連情報から行動目的を特定する手順の一例を示す説明図である。
【図6】第2実施形態の情報提供システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】情報提供処理、及び行動目的送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】車両別行動目的関連情報テーブルの構成の一例を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
10a,10b…センタ側装置、11,13…行動目的データベース、12,15…行動目的分析装置、14…車両別データベース、20a,20b…車載用ナビゲーション装置、21…位置検出器、22…操作部、23…通信部、24…外部記憶装置、25…表示装置、26…音声出力装置、27…制御部、100…外部データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報センタに配置されるセンタ側装置と、情報提供側車両に搭載され、当該車両の走行情報を前記センタ側装置へ送信する送信側車載装置と、情報受信側車両に搭載され、前記センタ側装置から行動目的関連情報を受信する受信側車載装置とからなる情報提供システムであって、
前記送信側車載装置は、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点、当該送信側車載装置に設定されている車両の目的地、走行方向及び日時を示す情報を含む走行情報を前記センタ側装置へ送信する走行情報送信手段とを備え、
前記センタ側装置は、
前記送信側車載装置から送信されてくる走行情報を受信する走行情報受信手段と、
前記走行情報受信手段により受信した走行情報を地点及び走行方向別に対応付けて集計し、その集計結果を蓄積する行動目的データベースと、
前記行動目的データベースに蓄積された走行情報の集計結果の統計的分析に基づき、前記地点及び走行方向別にその地点を通行する車両の行動目的に関する行動目的関連情報を生成し、この生成した行動目的関連情報を当該地点及び走行方向別に対応付けて前記行動目的データベースに記録する生成記録手段と、
前記受信側車載装置から送信されてくる地点情報を受信する地点情報受信手段と、
前記地点情報受信手段によって受信した地点情報で示される地点及び走行方向、並びに当該受信した日時に該当する行動目的関連情報を前記行動目的データベースから取得し、この取得した行動目的関連情報を当該地点情報の送信元の受信側車載装置へ送信する送信手段とを備え、
前記受信側車載装置は、
ユーザに提供するための提供情報を蓄積する提供情報データベースと、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点及び走行方向を示す情報を含む地点情報を前記センタ側装置へ送信する地点情報送信手段と、
前記地点情報送信手段によって送信した地点情報に対する応答として前記センタ側装置から当該地点に対応する行動目的関連情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した各地点の行動目的関連情報を集計し、その集計結果の統計的分析に基づき、自車両の行動目的を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された行動目的に適合する提供情報を前記提供情報データベースから検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索した提供情報をユーザに対して提示する情報提示手段とを備えること
を特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
情報センタに配置されるセンタ側装置と、情報提供側車両に搭載され、当該車両の走行情報を前記センタ側装置へ送信する送信側車載装置と、情報受信側車両に搭載され、前記センタ側装置から行動目的を受信する受信側車載装置とからなる情報提供システムであって、
前記送信側車載装置は、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点、当該送信側車載装置に設定されている車両の目的地、走行方向及び日時を示す情報を含む走行情報を前記センタ側装置へ送信する走行情報送信手段とを備え、
前記センタ側装置は、
前記送信側車載装置から送信されてくる走行情報を受信する走行情報受信手段と、
前記走行情報受信手段により受信した走行情報を地点及び走行方向別に対応付けて集計し、その集計結果を蓄積する行動目的データベースと、
前記行動目的データベースに蓄積された走行情報の集計結果の統計的分析に基づき、前記地点及び走行方向別にその地点を通行する車両の行動目的に関する行動目的関連情報を生成し、この生成した行動目的関連情報を当該地点及び走行方向別に対応付けて前記行動目的データベースに記録する生成記録手段と、
前記受信側車載装置から送信されてくる地点情報を受信する地点情報受信手段と、
前記地点情報受信手段によって受信した地点情報で示される地点及び走行方向、並びに当該受信した日時に該当する行動目的関連情報を前記行動目的データベースから取得し、この取得した行動目的関連情報を当該地点情報の送信元の車両に対応付けて蓄積する車両別データベースと、
前記車両別データベースに蓄積された車両別の各地点の行動目的関連情報を集計し、その集計結果の統計的分析に基づいて当該車両の行動目的を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定した行動目的を、当該車両の受信側車載装置へ送信する送信手段とを備え、
前記受信側車載装置は、
ユーザに提供するための提供情報を蓄積する提供情報データベースと、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段による検出結果に基づき、車両が所定の地点を通過する度に、当該地点及び走行方向を示す情報を含む地点情報を前記センタ側装置へ送信する地点情報送信手段と、
前記センタ側装置から送信されてくる行動目的を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した行動目的に適合する提供情報を前記提供情報データベースから検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索した提供情報をユーザに対して提示する情報提示手段とを備えること
を特徴とする情報提供システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報提供システムにおいて、
前記受信側車載装置では、
前記提供情報データベースには、POI(Point Of Interest)情報が提供情報として蓄積されており、
前記検索手段は、前記行動目的に適合するPOI情報を検索し、
前記情報提示手段は、前記検索手段によって検索したPOI情報をユーザに対して情報を提示すること
を特徴とする情報提供システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の情報提供システムにおいて、
前記受信側車載装置では、
前記提供情報データベースには、音声・映像データが提供情報として蓄積されており、
前記検索手段は、前記行動目的に適合する音声・映像データを検索し、
前記情報提示手段は、前記検索手段によって検索した音声・映像データを再生すること
を特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−60322(P2010−60322A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223726(P2008−223726)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】