説明

振動デバイス、振動デバイスの製造方法、電子機器

【課題】小型で低コスト化が可能な振動デバイス、電子機器、及び、振動デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】センサーデバイス1は、第1の面2a及びその第1の面2aとは反対側を向く第2の面2bを有し、互いに電気的に独立して設けられた複数の金属支柱と、複数の金属支柱の第1の面2a及び第2の面2bとは異なる面の隙間に充填され複数の金属支柱を一体に固定する絶縁体33と、を備えた基板2と、能動面10aに電極パッド11を有し、第1の金属支柱3に固定されたICチップ10と、支持部21と振動部22とを有し、支持部21をICチップ10の能動面10aに接合することによりICチップ10に支持されたセンサー素子20と、電極パッド11と第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´とを電気的に接続するボンディングワイヤー99と、ICチップ10及びセンサー素子20を覆うように設けられた蓋体9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動デバイス、振動デバイスの製造方法、及び、振動デバイスを搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度や角速度などをセンシングする振動デバイスとしてのモーションセンサーにおいては、振動片としてのセンサー素子と、該センサー素子を駆動する機能を有する半導体回路素子とを備えたセンサーデバイスを用いた構成が知られている。
例えば、特許文献1には、センサー素子としての振動ジャイロ素子(ジャイロ振動片)と、半導体回路素子としてのICチップとを備えたセンサーデバイスが基板としてのパッケージに収納されたモーションセンサーとしてのジャイロセンサーが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のジャイロセンサーの構成では、ICチップが支持基板に固着され、支持基板に形成されたリード配線部と電気的に接続されている。また、センサー素子(振動ジャイロ素子)は、支持基板に固着されたリード線に接続されることによって、半導体装置と空隙を保ち該半導体装置と平面視で重なるように配置されて、パッケージ内に封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−292079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のジャイロセンサーのように、センサー素子(振動片)とICチップ(半導体回路素子)とを基板に搭載して封止した構成の振動デバイスにおいて、従来より、基板にはセラミックパッケージが広く用いられている。
しかしながら、セラミックパッケージは一般に高価であり、振動デバイスの低コスト化のネックとなっていた。特に、ICチップやセンサー素子の設計変更に際してパッケージを新規する際に比較的高いコストが掛かるという課題があった。
また、近年の電子機器への小型化のニーズの高まりに応えるための、小型化・微細化に対応可能なパッケージ製造メーカーが限られているために、小型化に対応するセラミックパッケージが入手し難いという課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例の振動デバイスは、第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有し、複数の金属支柱であって第1の金属支柱及び第2の金属支柱を含む前記金属支柱と、複数の前記金属支柱の前記第1の面及び前記第2の面とは異なる面の隙間に充填され複数の前記金属支柱を一体に固定する絶縁体と、を備えた基板と、第3の面に電極を有し、前記第3の面とは反対側の第4の面を前記第1の金属支柱の前記第1の面に対向させて前記第1の金属支柱に固定された半導体回路素子と、支持部と、前記支持部から延出された振動部とを有し、前記支持部を前記半導体回路素子の前記第3の面に接合することにより前記半導体回路素子に支持された振動片と、前記電極と前記第2の金属支柱とを電気的に接続する導電性部材と、前記半導体回路素子及び前記振動片を覆うように設けられた蓋体と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記構成の振動デバイスの基板は、金属板を第1の面から部分的にエッチングして複数の凸部を形成してから、凸部の形成に伴って形成される凹部に絶縁体を充填して固着させ、その後、金属板を第2の面から凹部と連通するように部分的にエッチングすることにより形成することができる。即ち、周知のフォトリソグラフィー技術を利用して金属板をエッチング加工することにより形成することができるので、従来の振動デバイスで基板として用いるセラミック基板やセラミックパッケージに比して、基板に用いる材料が安価であると共に、半導体回路素子や振動片の設計変更に対して、フォトリソグラフィーのフォトマスクの変更のみで対応することができるので、低コストにて振動デバイスを提供することができる。
【0009】
〔適用例2〕上記適用例の振動デバイスにおいて、複数の前記金属支柱は、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱を平面視で囲むように配置された筒状の第3の金属支柱を含み、前記絶縁体が前記第3の金属支柱の内壁面側に充填され、前記蓋体が前記第3の金属支柱の前記第1の面に接合され、前記第3の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離は、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離より短いことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、筒状の第3の金属支柱内に第1の金属支柱及び第2の金属支柱が夫々電気的に独立した態様で絶縁体により固定された基板と、その基板に半導体回路素子と振動片とを搭載して蓋体により封止した振動デバイスを提供することができる。しかも、振動デバイスを外部基板に実装する際に電気的な接続には寄与しない第3の金属支柱の第2の面が、第1の金属支柱及び第2の金属支柱の第2の面よりも第1の面側にあるため、第3の金属支柱の第2の面が外部基板の配線と接触することが回避できるので、短絡するなどの不具合が回避でき、外部基板の配線レイアウトの自由度を大きくすることができる。
【0011】
〔適用例3〕上記適用例の振動デバイスにおいて、複数の前記金属支柱は第4の金属支柱及び金属配線部を含み、前記金属配線部は前記第2の金属支柱と前記第4の支柱とを電気的に接続し、前記金属配線部の前記第1の面と前記第2の面との間の距離は、前記第1の金属支柱、前記第2の金属支柱、及び前記第4の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離より短いことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、外部基板と接触しない状態の金属配線部により第2の金属支柱と第4の金属支柱とを電気的に接続することから、導電性部材を介して半導体回路素子の電極と接続された第2の金属支柱を第4の金属支柱に再配置して外部基板に接続することが可能になるので、外部基板の設計変更に比較的容易に対応することができる。
【0013】
〔適用例4〕上記適用例の振動デバイスにおいて、複数の前記金属支柱の前記第1の面に第1のめっき層を備え、前記第1のめっき層は前記第1の面から外側へはみ出していることを特徴とする。
【0014】
上記構成の振動デバイスにおいて、金属支柱の第1の面から外側へはみ出した第1めっき層は、振動デバイスの製造工程で、金属板の第1の面側をエッチングして金属支柱の一部を形成する工程の前に第1のめっき層を形成し、その第1のめっき層をエッチングマスクとして利用してエッチングを行うことにより形成されたものである。
これによれば、エッチングマスクとして利用した第1めっき層を、半導体回路素子及び振動片と各金属支柱との電気的な接続を図る際の接点金属としてそのまま利用できるので、製造コストの低減に顕著な効果を奏する。
【0015】
〔適用例5〕上記適用例の振動デバイスにおいて、前記金属支柱の前記第2の面、及び、前記第2の面側の前記第2の面とは異なる面に第2のめっき層を備えていることを特徴とする。
【0016】
上記構成の振動デバイスにおいて、金属支柱の第2の面、及び、第2の面側の第2の面と異なる面に備わる第2のめっき層は、その製造方法において、金属板の第2の面からエッチングして金属支柱を形成した後で、無電解めっき法により形成されるものである。
これによれば、各金属支柱の第2の面と共に、第2の面とは異なるエッチング面にもめっき層を形成することができるので、金属支柱のエッチング面が露出された場合に比して耐蝕性が向上する。
また、例えば、半田接合により振動デバイスを外部基板に実装する際に、半田が各金属支柱のエッチング面にまで濡れ広がって良好なフィレットを形成することができる。
したがって、信頼性の高い振動デバイスを提供することができる。
【0017】
〔適用例6〕上記適用例の振動デバイスにおいて、前記第3の金属支柱の前記第1の面が、他の前記金属支柱の前記第1の面よりも高い位置にあることを特徴とする。
【0018】
上記構成の振動デバイスによれば、例えば、第1の金属支柱上に接合される半導体回路素子及び振動片が第3の金属支柱により囲まれた態様となることから、第3の金属支柱が奏するシールド効果によって電磁波を遮蔽することができるので、外部の電磁波の影響による誤動作や、半導体回路素子の不要な電磁波が外部に及ぼす悪影響を回避することができる。
【0019】
〔適用例7〕上記適用例の振動デバイスにおいて、前記第3の金属支柱の前記第1の面が、前記振動片よりも高い位置にあることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、半導体回路素子及び振動片が第3の金属支柱により水平方向に全て囲まれるので、第3の金属支柱によるシールド効果がより高く発揮される振動デバイスを提供することができる。
【0021】
〔適用例8〕上記適用例の振動デバイスにおいて、前記蓋体は金属部分を含み、前記蓋体と前記第3の金属支柱とが電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、半導体回路素子や振動片を覆う蓋体がシールド効果を奏して、外部の電磁波の影響による誤動作や、半導体回路素子の不要な電磁波が外部に及ぼす悪影響を回避され、優れた特性を有する振動デバイスを提供することができる。
【0023】
〔適用例9〕本適用例の振動デバイスの製造方法は、第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する金属板を前記第1の面から部分的にエッチングして複数の凸部を形成する第1エッチング工程と、前記第1エッチング工程で前記凸部の形成に伴って形成される凹部に絶縁体を充填して固着させる絶縁体形成工程と、前記絶縁体形成工程の後で、前記金属板を前記第2の面から前記凹部と連通するように部分的にエッチングすることにより、前記凸部から前記第2の面に延びる金属支柱であって、第1の金属支柱及び第2の金属支柱を含む複数の前記金属支柱を形成する第2エッチング工程と、前記第1の金属支柱の前記第1の面に、第3の面に電極を有する半導体回路そしの前記第3の面とは反対側の第4の面を対向させて接合する半導体回路素子接合工程と、前記半導体回路素子の前記第3の面に振動片を固定する振動片固定工程と、前記電極と前記第2の金属支柱とを導電性部材により電気的に接続するボンディング工程と、前記半導体回路素子及び前記振動片を覆うように蓋体を設ける封止工程と、を含むことを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、半導体回路素子と振動片とを蓋体により封止して振動デバイスを構成する際に、半導体回路素子及び振動片を搭載する基板を、周知のフォトリソグラフィー技術を利用して金属板をエッチング加工することにより形成することができる。
これにより、従来の振動デバイスで基板として用いるセラミック基板やセラミックパッケージに比して、基板に用いる材料が安価であると共に、半導体回路素子や振動片の設計変更に対して、フォトリソグラフィーのフォトマスクの変更のみで対応することができるので、振動デバイスの低コスト化を図ることができる。
【0025】
〔適用例10〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第1エッチング工程の前に前記第1の面に第1のめっき層を形成する第1めっき工程を含み、前記第1エッチング工程では、前記第1めっき層をエッチングマスクとして利用することを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、エッチングマスクとして利用した第1めっき層を、半導体回路素子及び振動片と、各金属支柱との電気的な接続を図る際の接点金属としてそのまま利用できるので、製造コストの低減に顕著な効果を奏する。
【0027】
〔適用例11〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第2エッチング工程の後に、無電解めっき法による第2めっき工程を有することを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、各金属支柱の第2の面と共に、第2の面とは異なるエッチング面にもめっき層を形成することができるので、金属支柱のエッチング面が露出された場合に比して耐蝕性が向上する。
また、例えば、半田接合により振動デバイスを外部基板に実装する際に、半田が各金属支柱のエッチング面にまで濡れ広がって良好なフィレットを形成することができる。
したがって、信頼性の高い振動デバイスを提供することができる。
【0029】
〔適用例12〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第2エッチング工程の後に、無電解めっき法により前記第1の面の前記第1めっき層及び前記第2の面の前記第2めっき層を同時に形成するめっき工程を有することを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、第2のエッチング工程までに加熱する工程が必要な場合に、その加熱工程の熱によりめっき層が酸化したり劣化したりすることを回避しながら、基板の第1の面の第1めっき層と共に、第2の面にも第2めっき層が設けられることにより信頼性の高い振動デバイスを提供することができる。
例えば、絶縁体としてアルミナなどの焼成を必要とする材料を用いた場合に、その焼成する際の熱にめっき層が曝されることがない。
【0031】
〔適用例13〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第1のエッチング工程及び前記第2のエッチング工程により、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱を平面視で囲むように配置され前記第2の面が前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱の前記第2の面よりも前記第1の面側にある筒状の第3の金属支柱を形成し、前記絶縁体形成工程では、前記絶縁体を前記第3の金属支柱の内壁面側に充填し、前記封止工程では、前記蓋体を前記第3の金属支柱の前記第1の面に接合することを特徴とする。
【0032】
この構成によれば、筒状の第3の金属支柱内に第1の金属支柱及び第2の金属支柱が夫々電気的に独立した態様で絶縁体により固定された基板と、その基板に半導体回路素子と振動片とを搭載して蓋体により封止した振動デバイスを提供することができる。しかも、振動デバイスを外部基板に実装する際に電気的な接続には寄与しない第3の金属支柱の第2の面が、第1の金属支柱及び第2の金属支柱の第2の面よりも第1の面側にあるため、第3の金属支柱の第2の面が外部基板の配線と接触することが回避できるので、短絡するなどの不具合が回避でき、外部基板の配線レイアウトの自由度が大きくなる。
【0033】
〔適用例14〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第1のエッチング工程の前に、前記第3の金属支柱の前記第1の面となる領域をマスクして前記金属板を前記第1の面から所定量エッチングする工程を含むことを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、第1の金属支柱及び第2の金属支柱上に搭載される半導体回路素子、振動片、及び、それらを電気的に接続する導電性部材などの接続部材を第3の金属支柱によって囲むことができるので、従来のパッケージのような態様の基板を構成することができる。即ち、基板に搭載した半導体回路素子や振動片を、平板状の蓋体(リッド)により封止することができる。また、第3の金属支柱により半導体回路素子や振動片が囲まれることにより、第3の金属支柱が奏するシールド効果によって電磁波を遮蔽することができるので、外部の電磁波の影響による誤動作や、半導体回路素子の不要な電磁波が外部に及ぼす悪影響を回避することができる。
なお、金属または金属層を有する蓋体を使用することにより、シールド効果をより顕著に得ることができる。
【0035】
〔適用例15〕上記適用例の振動デバイスの製造方法において、前記第1エッチング工程、前記絶縁体形成工程、及び前記第2エッチング工程では、複数の前記金属支柱を有する一個片の基板を一つの前記金属板に平面視で複数個並べて形成し、前記半導体回路素子接合工程では、複数個の前記回路素子を、前記複数個の前記基板の夫々に平面視で並べて接合し、前記振動片接続工程では、複数個の前記振動片を、前記複数個の半導体回路素子夫々の上に並べて接続し、前記ボンディング工程では、前記複数個の半導体回路素子の前記電極と前記複数個の基板の前記第2の金属支柱とを前記導電性部材で夫々接続し、前記封止工程では、前記複数個の基板ごとに接合された前記半導体回路素子及び前記振動片を複数の前記蓋体で一括して封止して、前記金属板に連結された複数の振動デバイスを形成し、前記封止工程の後で、前記連結された複数の振動デバイスを個片に切り出すダイシング工程を有することを特徴とする。
【0036】
上記構成によれば、金属板に連結された複数の基板を形成し、夫々の基板に半導体回路素子及び振動片を接合した後に蓋体により一括して封止し、金属板に連結された複数の振動デバイスを個片に切り出して個片化するので、製造効率が向上して製造コストの低減が可能になる。
【0037】
〔適用例16〕本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一項に記載の振動デバイス、または、上記適用例のいずれかに記載された製造方法により製造された振動デバイスを備えていることを特徴とする。
【0038】
上記構成の電子機器は、上記適用例の振動デバイス、または、上記適用例の製造方法により製造された振動デバイス、即ち、半導体回路素子や振動片の設計変更に対して対応が容易で低コストな振動デバイス、または、優れた感度や発振特性を有し、信頼性の高い振動デバイスを備えているので、高機能を有し、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】振動デバイスとしてのセンサーデバイスの一実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体回路素子としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図、(c)は、底面側(下側)から俯瞰した平面図。
【図2】センサーデバイスの製造方法を示すフローチャート。
【図3】(a)〜(d)は、センサーデバイスの製造方法において各工程での態様を模式的に説明する正断面図。
【図4】(a)〜(c)は、センサーデバイスの製造方法において各工程での態様を模式的に説明する正断面図。
【図5】センサーデバイス1の製造方法において金属板シートに複数のセンサーデバイス1が縦横に並べて形成された過程を示す平面図。
【図6】センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を示す模式断面図。
【図7】第2の実施形態のセンサーデバイスの製造方法を示すフローチャート。
【図8】(a)〜(d)は、第2の実施形態のセンサーデバイスの製造方法において各工程での態様を模式的に説明する正断面図。
【図9】(a)〜(c)は、第2の実施形態のセンサーデバイスの製造方法において各工程での態様を模式的に説明する正断面図。
【図10】センサーデバイスの変形例の概略構成を示す模式図であり、(a)は、ICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図。
【図11】実施形態及び変形例のセンサーデバイス、または、ジャイロセンサー(モーションセンサー)を搭載した電子機器の例を示す模式図であり、(a)は、デジタルビデオカメラの斜視図、(b)は、携帯電話機の斜視図、(c)は、情報携帯端末(PDA)の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
【0041】
(第1の実施形態)
〔センサーデバイス〕
図1は、振動デバイスとしてのセンサーデバイスの一実施形態の概略構成を示す模式図であり、(a)は、半導体回路素子としてのICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図、(c)は、底面側(下側)から俯瞰した平面図である。
図1において、センサーデバイス1は、複数の金属支柱と、それら金属支柱を互いに電気的に独立させた状態で一体に固定する絶縁体33と、を備えた基板2と、基板2に搭載されたICチップ10及び振動片としてのセンサー素子20と、ICチップ10及びセンサー素子20を覆うように設けられた蓋体9と、を有している。
【0042】
基板2は、第1の面2a、及び、第1の面2aとは反対側を向く第2の面2bを有する金属板をエッチング加工して形成され互いに電気的に独立して設けられた複数の金属支柱を備えている。本実施形態の基板2は、ICチップ10が固定される第1の金属支柱3と、ICチップ10の電極としての電極パッド11に導電性部材としてのボンディングワイヤー99を介して電気的に接続される二対の第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´と、前記二対の第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´のうちの一対の第2の金属支柱4A´,4B´と電気的に接続された第4の金属支柱6A,6Bと、これら第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´、第4の金属支柱6A,6Bを平面視で囲むように配置された筒状の第3の金属支柱5と、を有している。
これら複数の金属支柱、即ち、第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´、第4の金属支柱6A,6B、及び第3の金属支柱5は、互いに電気的に独立するように隙間を介して配置され、各金属支柱間の隙間には、絶縁体33が充填されて固化されている。これにより、筒状の第3の金属支柱5に囲まれて配置された第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´、及び第4の金属支柱6A,6Bが一体に固定された基板2が形成される。
【0043】
本実施形態の基板2は、ICチップ10の電極パッド11にボンディングワイヤー99を介して電気的に接続される第2の金属支柱(4A,4B,4A´,4B´)が二対備えられている。このうちの一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´は、金属配線部7A,7Bを夫々介して第4の金属支柱6A,6Bに電気的に接続されている。具体的には、金属板をエッチング加工することにより一体に形成された第2の金属支柱4A´、金属配線部7A、第4の金属支柱6Aと、同じく一体に形成された第2の金属支柱4B´、金属配線部7B、及び第4の金属支柱6Bとを有している。
ここで、一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´及び金属配線部7A,7Bの第2の面2bが、第1の金属支柱3、他方の一対の第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第2の面2bよりも第1の面2a側にある。換言すると、一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´及び金属配線部7A,7Bの第1の面2aと第2の面2bとの間の距離は、第1の金属支柱3、他方の一対の第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第1の面2aと第2の面2bとの合いだの距離より短い。即ち、第1の金属支柱3、他方の一対の第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第2の面2bは、センサーデバイス1を外部基板に実装する際に、外部基板と接触して電気的な接続を図るための実装端子になっており、一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´及び金属配線部7A,7Bは、外部基板に接触しないようになっている。ICチップ10の電極パッド11とボンディングワイヤー99を介して電気的に接続された一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´は、金属配線部7A,7Bを経て電気的に接続された第4の金属支柱6A,6Bの第2の面2b(実装端子)により外部基板との接続を図るようになっている。
【0044】
また、基板2において、複数の金属支柱を囲むように配置されている筒状の第3の金属支柱5の第2の面2bも、外部基板との接続に供する第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第2の面2bよりも第1の面2a側にあり、外部基板と接触しないようになっている。換言すると、第3の金属支柱の第1の面2aと第3の面2bとの合いだの距離は、外部基板との接続に供する第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第1の面2aと第2の面2bとの間の距離より短くなっている。この第3の金属支柱5の内壁面側に絶縁体33が充填され、第3の金属支柱5の第1の面2aには蓋体9が接合される。
このような構成の第3の金属支柱5を有することにより、筒状の第3の金属支柱5内に複数の金属支柱が夫々電気的に独立した態様で絶縁体33により固定された基板2と、その基板2にICチップ10とセンサー素子とを搭載して蓋体9により封止したセンサーデバイス1を提供することができる。また、センサーデバイス1を外部基板に実装する際に電気的な接続には寄与しない第3の金属支柱5の第2の面2bが、外部基板との電気的な接続に供する第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B、及び第4の金属支柱6A,6Bの第2の面よりも第1の面2a側にあるため、第3の金属支柱5の第2の面2bが外部基板の配線に接触しないので、短絡するなどの不具合が回避でき、外部基板の配線レイアウトの自由度が増すという効果を奏する。
【0045】
基板2の各金属支柱の第1の面2aには第1めっき層35が設けられ、一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´及び筒状の第3の金属支柱5以外の金属支柱の第2の面2bには第2めっき層36が設けられている。各金属支柱の第1の面2aに設けられた第1のめっき層35、及び、第2の面2bに設けられた第2めっき層36は、各金属支柱の第1の面2a及び第2の面2bのそれぞれから外側へはみ出している。これは、後述するように、基板2の製造工程において、金属板をエッチング加工して各金属支柱を形成する際に、第1めっき層35、及び、第2めっき層36をエッチングマスクとして利用していることによる。
【0046】
即ち、基板2の各金属支柱は、金属板を、第1めっき層35をエッチングマスクにして第1の面2a側からエッチングする工程と、第2めっき層36をエッチングマスクにして第2の面2b側からエッチングする工程との2回のエッチングを経て形成される。各エッチング工程において、第1めっき層35または第2めっき層36をエッチングマスクにして金属板の第1の面2aまたは第2の面2bのそれぞれからエッチングを行う際に、第1の面2a、または第2の面2bから金属板の中央にエッチングが進んでいく過程で、各金属支柱の第1めっき層35または第2めっき層36の周縁部直下の金属板がエッチングされていく所謂サイドエッチングが起こる。このサイドエッチングのために、各金属支柱の第1の面2aの第1めっき層35、及び、第2の面2bの第2めっき層36が、各金属支柱から外側にはみ出す形態が形成されるものである。
【0047】
絶縁体33は、後述する基板2の製造工程において、金属板の第1の面2a側からのエッチングの後で、第2の面2b側からのエッチングを行う前に形成される。即ち、金属板の第1の面2aから部分的なエッチングを行うことにより各金属支柱の一部となる複数の凸部を形成した後で、それら凸部の形成に伴って形成される凹部に流動性を有する状態の絶縁体33を充填してから固化させることにより、絶縁体33が形成される。その後、金属板の第2の面2bから前記凹部の一部と連通するように部分的にエッチングを行うことにより、前記凸部の第1の面2aから第2の面2bに延びる複数の金属支柱が、互いに電気的に独立しながら平面視で並んで設けられる。
【0048】
基板2の第1の金属支柱3の第1の面2a上には、半導体回路素子としてのICチップ10が接合部材(ダイアタッチ材)を介して接合されている。
ICチップ10には、能動面10a側にトランジスターやメモリー素子などの半導体素子を含んで構成される集積回路(図示せず)が形成されている。この集積回路には、例えば、センサー素子20を駆動振動させるための駆動回路と、物理量が加わったときにセンサー素子20に生じる検出振動を検出する検出回路とが備えられている。
ICチップ10は、能動面10a側に設けられた複数の電極パッド11と、センサー素子20の上記外部接続端子と電気的に接続されるマウント電極とを備えている。
また、図示はしないが、ICチップ10の能動面10a上には、パッシベーション膜となる絶縁膜が形成されており、この絶縁膜には、電極パッド11とマウント電極とを外側に露出させる開口部が設けられている。絶縁膜は、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si34)などの無機絶縁材料や、ポリイミド樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、BCB(benzocyclobutene)及びPBO(polybenzoxazole)などの樹脂を用いて形成することができる。
【0049】
また、ICチップ10に形成された集積回路には、電極パッド11以外にも、図示しない他の電極が形成されている。この他の電極は、電極パッド11の場合と同様に配線が接続されている。本実施形態のICチップ10は、センサー素子20に接続されるマウント電極を有している。
電極パッド11やその他の電極は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または、これらを含む合金などを用いて形成することができる。特に電極パッド11については、ワイヤーボンディングの際の接合性を高めるため、その表面にニッケル(Ni)、金(Au)のメッキを施しておくのが好ましい。このようにすることで、特にさびによる接触性、接合性の低下を防止することができる。
また、電極パッド11やその他の電極は、ハンダメッキ、ハンダプリコートなどの最表面処理を施したものとしてもよい。
【0050】
上記のような構成のもとに、ICチップ10に形成された集積回路は、上記マウント電極上に設けられた接合部材97を介してセンサー素子20と電気的に接続されるようになっている。これにより、センサー素子20は、ICチップ10に保持されている。このとき、接合部材97によって、センサー素子20とICチップ10との間に隙間が設けられている。
接合部材97は、ICチップ10とセンサー素子20との間に隙間を設けるギャップ材としての厚みを有した導電性の接合部材97であり、例えば、銀(Ag)ペースト等の導電性接着剤や、金(Au)などにより形成されたスタッドバンプを用いることができる。スタッドバンプは、金ワイヤーを用いて放電加熱により金ボールを形成し、超音波を印加させるなどの方法により金ボールをICチップのマウント電極上に接合させることにより形成するものであり、ワイヤー径の小さい金ワイヤーを用いることによって微細なバンプを比較的容易に形成することができる。
【0051】
センサー素子20は、例えば、圧電材料である水晶を基材(主要部分を構成する材料)として形成されている。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。
水晶を用いて形成されるセンサー素子20は、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有している。なお、所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
【0052】
また、センサー素子20を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
本実施形態のセンサー素子20は、支持部21と、支持部21から並行させて延出された一対の振動部(振動腕)22,22とを有する所謂音叉型の振動片である。このような形状のセンサー素子20は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。なお、センサー素子20は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
【0053】
図示はしないが、センサー素子20の振動部22には、駆動電極(励振電極)及び検出電極が設けられている。また、センサー素子20の支持部21のICチップ10と対向する側の面には、上記駆動電極及び検出電極から引き出された引き回し配線に接続された外部接続端子が設けられている。外部接続端子は、上述したICチップ10のマウント電極と電気的及に接続されるものであり、この外部接続端子とマウント電極とが、接合部材97を介して接合される。
【0054】
上記のように、ICチップ10及びセンサー素子20が接合された基板2上には、ICチップ10及びセンサー素子20を覆うようにキャップ状の蓋体9が接合されている。蓋体9は、セラミックなどにより形成することができるが、本実施形態では、コバールなどの金属を用いた蓋体9を使用する。
蓋体9は、基板2の筒状の第3の金属支柱5の第1の面2a上にシームリングなどを介したシーム溶接などの接合方法により電気的な接続を図りながら接合されている。これにより、基板2と蓋体9とにより形成される空間が気密に封止される。このとき、ICチップ10及びセンサー素子20が収容された空間が、センサー素子20の振動が阻害されないように、真空状態(真空度が高い状態)あるいは不活性ガス雰囲気に保持されていることが望ましく、蓋体9を接合する封止工程では、前記空間から外部に脱気を行いながら封止したり、あるいは窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガスを注入して封止したりする。
【0055】
上記第1の実施形態のセンサーデバイス1によれば、この構成によれば、ICチップ10とセンサー素子20とを蓋体9により封止してセンサーデバイス1を構成する際に、ICチップ10及びセンサー素子20を搭載する基板2を、周知のフォトリソグラフィー技術を利用して金属板をエッチング加工することにより形成することができる。
これにより、従来のセンサーデバイス(振動デバイス)で基板として用いられるセラミック基板やセラミックパッケージに比して、基板に用いる材料が安価であると共に、ICチップやセンサー素子20の設計変更に対して、フォトリソグラフィーのフォトマスクの変更のみで対応することができるので、低コスト化が図られたセンサーデバイス1を提供することができる。
【0056】
〔センサーデバイスの製造方法〕
次に、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1の製造方法について説明する。
図2は、センサーデバイス1の製造方法を示すフローチャートである。
また、図3及び図4は、センサーデバイス1の製造方法において各工程の態様を模式的に説明する正断面図である。
また、図5は、センサーデバイス1の製造方法において金属板シートに複数のセンサーデバイス1が縦横に並べて形成された過程を示す平面図である。
【0057】
本実施形態のセンサーデバイス1の製造方法では、一つの金属板に複数個の基板2を平面視で並べて形成し、夫々の基板にICチップ10及びセンサー素子20を接合して蓋体9で封止し、その後、ダイシングすることにより個片のセンサーデバイス1を一括して複数個得る方法をとる。図4及び図5は、一つのセンサーデバイス1が形成される領域を示す部分断面図となっている。
【0058】
まず、図3(a)に示すように、センサーデバイス1を複数個形成することが可能な面積を有する金属板シート2Aの第1の面2a及び第2の面2bに第1めっき層35及び第2めっき層36を形成(第1めっき工程)した後に、第1めっき層35と第2めっき層36とのそれぞれをパターニングすることにより、複数の金属支柱を形成するためのエッチングマスクを形成する。
具体的には、まず、第1めっき工程にて、電解めっき法などにより、金属板シート2Aの第1の面全面に第1めっき層35を形成し、第2の面全面に第2めっき層36を形成する。第1めっき層35及び第2めっき層36を同時に形成することができる。
次に、フォトリソグラフィーを利用して第1めっき層35及び第2めっき層36の一部を除去することにより、図3(a)に示すように、複数の金属支柱を形成するためのエッチングマスクパターンとなる第1めっき層35と第2めっき層36とを、第1の面2aまたは第2の面2bに形成する(図2のステップS−1)。
なお、第1めっき層35及び第2めっき層36によるエッチングマスクパターンの形成は、金属板シート2Aの第1の面2a及び第2の面2bの夫々に、フォトリソフラフィーを用いて形成されたフォトレジストによるめっきマスクパターンを形成し、第1めっき層35および第2めっき層を選択的に形成した後にフォトレジストを剥離する方法によっても形成することができる。
【0059】
次に、図3(b)に示すように、金属板シート2Aの第1の面2aから、第1めっき層35をエッチングマスクとして利用して部分的にエッチングすることにより、複数の金属支柱の一部となる複数の凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aaを形成する第1エッチングを行う(図2のステップS2)。即ち、複数の凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aa間で金属板シート2Aが完全にエッチングされて無くなる前(即ち、貫通前)の所定の深さまでエッチングしたところでエッチングを止める。このハーフエッチングにより、第1の金属支柱3の一部となる凸部3a、第2の金属支柱4A、4B´夫々の一部となる凸部4Aa,4B´a、第3の金属支柱5の一部となる凸部5a、及び、第4の金属支柱6Aの一部となる凸部6Aaが形成される。
なお、図3及び図4の断面では、第2の金属支柱4A,4B´、及び、第4の金属支柱6Aの夫々と対をなす第2の金属支柱4B,4A´、及び、第4の金属支柱6Bが図示されないが、これらの一部となる凸部も同時に形成され、以降の工程でも同時に加工が進められていく(以下、説明は省略する)。
また、この第1エッチング工程では、金属配線部7B、及びそれと対をなす金属配線部7A(図示されず)の一部も同時に形成される。
【0060】
金属板シート2Aには、例えば銅(Cu)を用いることができる。第1エッチング工程において銅板のハーフエッチングを行う場合は、例えばディップ式又はスプレー式のウェットエッチングで行う。また、エッチング液には、例えば塩化第2鉄溶液、又は、アルカリ性のエッチング溶液(以下、アルカリ溶液という。)を用いる。
なお、第1めっき層35が例えばニッケル/パラジウム/金(Ni/Pd/Au)、又は、ニッケル/金(Ni/Au)からなる場合は、上記エッチング液にアルカリ溶液を用いることが好ましい。Niはアルカリ溶液に溶けにくいので、図3(b)に示すように、第1めっき層35は、各凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aaの表面(第1の面2a)からそれぞれ外側へはみ出すように残って形成される。
【0061】
次に、図3(c)に示すように、第1エッチング工程での凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aaの形成に伴って形成される凹部に、絶縁体33を充填して固化させる絶縁体形成を行う。本実施形態では、当初は常温で流動性を有する絶縁性の無機物からなる絶縁体33形成材料を前記凹部に充填してから、焼成して絶縁体33を固化させる(図2のステップS3)。
なお、本実施形態のように、焼成することにより固化する絶縁体33を用いる場合は、焼成によって金属板シート2Aの物性が劣化しないように、比較的低い焼成温度の絶縁体33材料を用いることが好ましい。
【0062】
次に、図3(d)に示すように、金属板シート(2A)を第2の面2bから前記凹部と連通するように部分的にエッチングすることにより、各凸部3,4A,4B´a,5,6Aから第2の面2bに延びる複数の金属支柱を形成する第2エッチングを行う。これにより、金属板シート(2A)に平面視で複数並んだセンサーデバイス(1)の基板2が形成される(図2のステップS4)。
【0063】
第2エッチング工程では、上記のめっき・パターニング工程で第1の面2aの第1めっき層35による各凸部形成用のエッチングマスクパターンと同時に、金属板シート2Aの第2の面2bに形成した第2めっき層36によるエッチングマスクパターンをエッチングマスクとして利用して行う。この第2エッチング工程により、筒状の第3の金属支柱5、及び、その第3の金属支柱5に囲まれるようにして、且つ、絶縁体33によって一体に保持され互いに電気的に独立して設けられる複数の金属支柱、即ち、第1の金属支柱3、第2の金属支柱4A,4B´、第4の金属支柱6A、及び、第2の金属支柱4B´と第4の金属支柱6Aとを電気的に接続する金属配線部7Bが形成される。
ここで、第3の金属支柱5と、金属配線部7Bとの第2の面2bには第2めっき層36によるエッチングマスクパターンは形成されていないので、第3の金属支柱5、及び金属配線部7Bの第2の面2bは、上記したように、他の金属支柱の第2の面2bよりも第1の面2a側までエッチングされる。
【0064】
次に、図4(a)に示すように、第1の金属支柱3の第1の面2aに、電極パッド(11)を有するICチップ10の能動面10aの反対側の面を対向させてダイアタッチ材などの接合部材95による接合する半導体回路素子接合工程としてのICダイアタッチを行う(図2のステップS5)。そして、複数の電極パッド(11)と、対応する第2の金属支柱4A,4B´とを、導電性部材としてのボンディングワイヤー99により電気的に接続するボンディング工程としてのワイヤーボンディングを行う(図2のステップS6)。
【0065】
次に、図4(b)に示すように、ICチップ10の能動面10aにセンサー素子20を電気的に接続させるとともに固定する振動片接続工程としてのセンサー素子20接続を行う。センサー素子20の電気的な接続及び固定は、ICチップ10の能動面10aの図示しない上記マウント電極上に設けられたスタッドバンプなどの接合部材97を介して行う。これにより、センサー素子20とICチップ10の集積回路とが接続されるとともに、接合部材97によって、間に隙間が設けられた状態でICチップ10上にセンサー素子20が保持される(図2のステップS7)。
【0066】
次に、基板2にICチップ10とともに接合されたセンサー素子20の周波数調整を行う(図2のステップS8)。周波数調整は、センサー素子20の電極の一部をレーザートリミングにより除去して質量を減少させることによる方法や、蒸着やスパッタリングなどセンサー素子20に質量を付加させることによる方法、あるいは、ICチップ10のデーターの書き換えによる方法などにより行うことができる。
【0067】
次に、図4(c)に示すように、基板2上に接合されたICチップ10及びセンサー素子20を覆うように蓋体9を接合して、ICチップ10及びセンサー素子20を基板2と蓋体9とにより形成される内部空間に封止する(図2のステップS9)。具体的には、コバールなどの金属を用いた蓋体9を、基板2の筒状の第3の金属支柱5の第1の面2a上にシームリングなどを介したシーム溶接などの接合方法により接合する。このとき、内部空間から外部に脱気を行いながら封止したり、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガスを注入しながら封止することにより、センサー素子20の安定した振動特性が保持される。
これにより、図5に示すように、金属板シート2Aに平面視で縦横等間隔に並んで連結された複数のセンサーデバイス1が形成される。
【0068】
次に、図5に破線で示す切断線に沿ってダイシングすることにより、金属板シート2Aに複数形成されたセンサーデバイス1を個片化する(図2のステップS10)。
次に、センサーデバイス1の外観的特性や電気的特性を検査する特性検査を行って、各特性が規格内に入っている良品と、規格外となる不良品とを選別して(図2のステップS11)、一連のセンサーデバイス1の製造を終了する。
【0069】
上記製造方法により製造されるセンサーデバイス1によれば、ICチップ10及びセンサー素子20を搭載する基板2を、周知のフォトリソグラフィー技術を利用して金属板をエッチング加工することにより形成することができる。これにより、従来のセンサーデバイス(振動デバイス)で基板として用いるセラミック基板やセラミックパッケージに比して、基板に用いる材料が安価であると共に、ICチップやセンサー素子の設計変更に対して、フォトリソグラフィーのフォトマスクの変更のみで対応することができるので、低コストにてセンサーデバイス1を提供することができる。
【0070】
また、上記実施形態のセンサーデバイス1は、ICチップ10の電極パッド11とボンディングワイヤーを介して接続される2対の第2の金属支柱のうち、一方の一対の第2の金属支柱4A´,4B´は、金属配線部7A,7Bを介して第4の金属支柱6A,6Bに接続され、これら第4の金属支柱6A,6Bの第2の面2bにより外部基板との接続を図る構成として。
このように、ICチップ10の電極パッド11と電気的に接続される第2の金属支柱4A´,4B´を、金属配線部7A,7Bを介して、外部基板との接続を図る第4の金属支柱6A,6Bに再配置する再配置配線を形成することにより、ICチップ10の電極パッドの配置の変更や外部基板の設計変更に対して比較的容易に対応することができる。これにより、複数の前記金属支柱は第4の金属支柱を含み、前記第2の金属支柱と前記第4の支柱とを電気的に接続する金属配線部を有し、前記金属配線部の前記第2の面が、前記第1の金属支柱、前記第2の金属支柱、及び前記第4の金属支柱の前記第2の面よりも前記第1の面側にあることを特徴とする。
【0071】
また、上記実施形態では、基板2の各金属支柱は、金属板を、第1めっき層35をエッチングマスクにして第1の面2a側からエッチングする第1エッチング工程と、第2めっき層36をエッチングマスクにして第2の面2b側からエッチングする第2エッチング工程により形成した。
これによれば、第1エッチング工程及び第2エッチング工程においてエッチングマスクとして利用した第1めっき層35及び第2めっき層36を、各金属支柱において、ICチップ10及びセンサー素子20、あるいは外部基板との電気的な接続を図る際の接点金属としてそのまま利用できるので、センサーデバイス1の低コスト化に顕著な効果を奏する。
【0072】
また、上記実施形態のセンサーデバイス1は、金属を用いた蓋体9を第3の金属支柱5の第1の面2aに電気的な接続を図りながら接合して、基板2に接合されたICチップ10及びセンサー素子20を封止する構成とした。
これにより、ICチップ10やセンサー素子20を覆うように接合される蓋体9がシールド効果を奏して、外部の電磁波の影響によりICチップ10が誤動作したり、ICチップ10の不要な電磁波が外部に悪影響を及ぼしたりする不具合を回避することができる。
【0073】
また、は、上記実施形態のセンサーデバイス1の製造方法によれば、金属板シート2Aに複数個の基板2を平面視で並べて形成し、夫々の基板2にICチップ10及びセンサー素子20を接合して蓋体9で封止し、その後、ダイシングすることにより個片のセンサーデバイス1を一括して複数個得る方法をとっている。
これにより、製造効率が向上して製造コストを顕著に低減することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
以下、センサーデバイスの第2の実施形態について説明する。
図6は、センサーデバイスの第2の実施形態の概略構成を示す模式図であり、図1における図1(b)と同じ断面を示す断面図である。
なお、第2の実施形態のセンサーデバイスは、基板の第1の面及び第2の面に形成されるめっき層以外の構成は、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1と同じであるため、上記第1の実施形態との共通部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
図6において、第2の実施形態のセンサーデバイス101は、複数の金属支柱、及び、それら金属支柱を互いに電気的に独立させた状態で一体に固定する絶縁体33を備えた基板102と、基板102に搭載されたICチップ10及びセンサー素子20と、ICチップ10及びセンサー素子20を封止する蓋体9と、を有している。
金属板を加工することにより形成された基板102は、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1の基板2(図1、図3、図4を参照)と概ね同じ構成を有している。即ち、基板102は、第1の金属支柱3、二対の第2の金属支柱4A,4B´、第4の金属支柱6A、及び、第2の金属支柱4B´と第4の金属支柱6Aとを夫々電気的に接続する金属配線部7B、これらの金属支柱及び金属配線部を平面視で囲むように配置された筒状の第3の金属支柱5が、絶縁体33によって一体に固定されて形成されている。
【0076】
各金属支柱及び金属配線部7Bの第1の面2aには、第1めっき層85が形成されている。また、各金属支柱及び金属配線部7Bの第2の面2b、及び、第2の面2b側の第2の面2bとは異なる面には第2のめっき層86が備えられている。ここで、第2の面2b側の第2の面2bとは異なる面とは、第2の面2bからエッチングを行う第2エッチング工程で形成されるエッチング面のことを指し、各金属支柱または金属配線部7A,7Bの側面の一部である。換言すれば、本実施形態の基板102の絶縁体33から露出した第1の面2aの全てが第1めっき層85に覆われているとともに、第2の面2b側の金属板の露出面の全てに第2めっき層が備えられている。
【0077】
上記構成の基板102上には、上記第1の実施形態と同じ態様でICチップ10及びセンサー素子20が搭載され、それらICチップ10及びセンサー素子が蓋体9により安定した雰囲気の空間に封止されている。
【0078】
第2の実施形態のセンサーデバイス101において、基板102の各金属支柱及び金属配線部7Bの第2の面2b、及び、第2の面2b側の第2の面2bと異なる面に備わる第2のめっき層は、後述する製造方法において、金属板の第2の面2bからエッチングして各金属支柱及び金属配線部7Bを形成した後で、無電解めっき法により形成されるものである。
これによれば、基板102の金属板の露出面の全てに第1めっき層85または第2めっき層が形成されているので、金属板の金属面が露出された場合に比して耐蝕性が向上する。
また、例えば、半田接合によりセンサーデバイス101を外部基板に実装する際に、半田などの接合部材が各金属支柱の第2の面2bだけでなく側面にまで濡れ広がって良好なフィレットを形成することができる。
したがって、接続信頼性の高いセンサーデバイス101を提供することができる。
【0079】
次に、第2の実施形態のセンサーデバイス101の製造方法について図面に沿って説明する。
図7は、第2の実施形態のセンサーデバイスの製造方法を示すフローチャートである。
また、図8及び図9は、第2の実施形態のセンサーデバイスの製造方法において各工程での態様を模式的に説明する正断面図である。
なお、本実施形態のセンサーデバイス101は、基板102以外の構成は上記第1の実施形態のセンサーデバイス1と同じであるため、上記実施形態と同じ工程については同一符号を付して説明を省略する。また、図7及び図8には基板の製造過程のみを示す。
【0080】
本第2の実施形態のセンサーデバイス1の製造方法では、まず、図8(a)に示すように、金属板シート2Aの第1の面2aにフォトレジストを塗布した後に、そのフォトレジストをパターニングすることにより、複数の金属支柱の第1の面2a側の一部を形成するためのエッチングマスク(フォトレジストパターン)88を形成する(図7のステップS21)。
【0081】
次に、図8(b)に示すように、金属板シート2Aの第1の面2aから、エッチングマスク88を利用してハーフエッチングすることにより、複数の金属支柱及び金属配線部7B(及び7A)の一部となる複数の凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aaを形成する第1エッチングを行う(図7のステップS22)。
次に、図8(c)に示すように、第1エッチング工程で凸部3a,4Aa,4B´a,5a,6Aaの形成に伴って形成される凹部に、絶縁体33を充填して固化させる絶縁体形成を行う(図2のステップS23)。
【0082】
次に、図8(d)に示すように、金属板シート2Aの第2の面2bにフォトレジストを塗布した後に、そのフォトレジストをパターニングすることにより、複数の金属支柱の第2の面2b側の一部を形成するためのエッチングマスク89を形成する(図7のステップS24)。
【0083】
次に、図9(a)に示すように、金属板シート(2A)を第2の面2bからエッチングマスク89を利用して前記凹部と連通するようにハーフエッチングすることにより、各凸部から第2の面2bに延びる複数の金属支柱を形成する第2エッチングを行う(図7のステップS25)。
【0084】
次に、上記の工程を経て複数の基板102の外形が形成された金属板シート2Aからエッチングマスク89を剥離してから(図9(b)を参照)、無電解めっき液に浸漬して無電解めっきすることにより、露出した金属面に第2めっき層86を形成する。これにより、図9(c)に示すように、基板102の各金属支柱及び金属配線部の第1の面2aに第1めっき層85が形成され、第2の面2b、及び、第2の面2b側の第2の面2bとは異なる面に第2めっき層86が形成される。
ここまでの工程により、金属板シート2Aに平面視で並んで連結された複数の基板102が形成される(図7のステップS26)。
【0085】
上記のように形成された基板102を用いて、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1の製造方法(図2〜図5を参照)と同様に、図7に示すステップS5〜S11の工程を経て、基板102上に搭載されたICチップ10及びセンサー素子20が蓋体9により気密に封止されたセンサーデバイス101を製造することができる
【0086】
上記実施形態で説明したセンサーデバイスは、以下の変形例として実施することも可能である。
【0087】
(変形例)
以下、センサーデバイスの変形例について図面を参照して説明する。
図10は、センサーデバイスの変形例の概略構成を示す模式図であり、(a)は、ICチップ側(上側)から俯瞰した平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図である。なお、上記実施形態との共通部分については同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0088】
図10に示す本変形例のセンサーデバイス201は、複数の金属支柱、及び、それら金属支柱を互いに電気的に独立させた状態で一体に固定する絶縁体33を備えた基板202と、基板202に搭載されたICチップ10及びセンサー素子20と、ICチップ10及びセンサー素子20を封止する平板状の蓋体209と、を有している。
金属板を加工することにより形成された基板202は、上記第1の実施形態のセンサーデバイス1の基板2(図1、図3、図4を参照)と概ね同じ構成の複数の金属支柱を有している。即ち、基板202は、第1の金属支柱3、二対の第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´、第4の金属支柱6A,6B、及び、第2の金属支柱4A´,4B´と第4の金属支柱6A,6Bとを夫々電気的に接続する金属配線部7A,7B、これらの金属支柱及び金属配線部を平面視で囲むように配置された筒状の第3の金属支柱205が、絶縁体33によって一体に固定されて形成されている。
【0089】
上記構成の基板202において、筒状の第3の金属支柱205の第1の面202aは、他の金属支柱の第1の面2aよりも上方にある。詳細には、第3の金属支柱205の第1の面202aは、第1の金属支柱3の第1の面2aに搭載されたICチップ10およびセンサー素子20よりも上方にある。
このような構成の基板202を形成するには、まず、上記実施形態で述べたセンサーデバイスの製造方法の基板の製造工程において(図2、図3を参照)、第1エッチング工程で金属支柱の第1の面2a側の一部(凸部)を形成する前に、第3の金属支柱205の第1の面202aとなる領域をマスクして金属板をハーフエッチングすることによって、第3の金属支柱205の上方の筒状の壁を形成する。その後で、上記実施形態のセンサーデバイスの製造方法に沿って基板202を形成し、その基板202上に上記第1の実施形態と同じ態様でICチップ10及びセンサー素子20を搭載する。そして、第3の金属支柱205の第1の面202aに平板状の蓋体209を接合してICチップ10及びセンサー素子を封止することにより、本変形例のセンサーデバイス201を製造することができる。
【0090】
この構成によれば、第1の金属支柱3上に搭載されるICチップ10及びセンサー素子20や、ICチップ10と第2の金属支柱4A,4B,4A´,4B´とを電気的に接続する導電性部材としてのボンディングワイヤー99などの接続部材を第3の金属支柱205によって囲むことができるので、従来のパッケージのような態様の基板202を構成することができる。即ち、基板202に搭載したICチップ10やセンサー素子20を、平板状の蓋体209(リッド)によって封止することができる。
また、第3の金属支柱205によりICチップ10やセンサー素子20が囲まれることにより、第3の金属支柱205がシールド効果を奏して電磁波を遮蔽することができるので、外部の電磁波の影響によるICチップなどの誤動作や、ICチップ10の不要な電磁波が外部に及ぼす悪影響を回避することができる。
なお、この構成において、蓋体209に金属を用いるか、または金属層を有する構成とすることによって、シールド効果をより顕著に得ることができる。
【0091】
(第3の実施形態)
〔電子機器〕
上記実施形態及び変形例に記載のセンサーデバイスを搭載した電子機器は、低コスト化及び信頼性の向上が可能である。
例えば、図11(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態のセンサーデバイス1を備えたセンサーを搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を搭載することができる。
また、図11(b)は、電子機器としての携帯電話機、図11(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図11(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図11(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態のセンサーデバイスを搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図11(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、携帯電話機3000に搭載されるセンサーデバイスとしてジャイロセンサーを用いることにより、手振れ補正を行うことができる。また、図11(b)の携帯電話機3000や、図11(c)のPDA4000にGPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態のセンサーデバイスを搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
これらの電子機器は、上記実施形態および変形例のセンサーデバイスを用いているので、低コスト化、及び、信頼性の向上を図ることが可能である。
【0092】
なお、図11に示す電子機器に限らず、本発明のセンサーデバイス及びモーションセンサーを適用可能な電子機器として、モバイルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ゲーム機などが挙げられる。
【0093】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態及びその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態では、ICチップ10の電極パッド11と電気的に接続される第2の金属支柱4A´,4B´を、金属配線部7A,7Bを介して、外部基板との接続を図る第4の金属支柱6A,6Bに再配置する再配置配線を形成し、この第4の金属支柱6A,6Bを介して電極パッド11と外部基板との接続を行う構成を説明した。
これに限らず、例えば、ICチップ10の集積回路のデーター書き込みが可能な回路素子から引き出された電極パッド11と、第2の金属支柱とを導電性部材(ボンディングワイヤー99)により接続し、この第2の金属支柱と金属配線部により接続された第4の金属支柱を、ユーザー用の書き込み端子として利用することができる。このとき、第4の金属支柱の第2の面を書き込み端子として利用することに限らず、例えば、複数の金属支柱を取り囲むように配置された第3の金属支柱の一部をエッチング加工及び絶縁体による固定によって電気的に独立させ、この第3の金属支柱の一部、即ちセンサーデバイスの側面にユーザー用の書き込み端子を配置して提供することもできる。
【0095】
また、上記第2の実施形態のセンサーデバイス101の製造方法では、フォトレジストをパターニングして形成したエッチングマスク88を利用して第1エッチングを行い、第2エッチング後に全面無電解めっきを行うことにより、第1めっき層35及び第2めっき層36を同時形成する構成とした。
これに限らず、第1エッチングには第1の実施形態と同様に第1めっき層35をエッチングマスクとして利用して、第2エッチング後には金属板の第2の面2b側のみに無電解めっき法による第2めっき層を形成する構成としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態及び変形例では、振動片としてのセンサー素子形成材料として水晶を用いた例を説明したが、水晶以外の圧電体材料を用いることができる。例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ほう酸リチウム(Li247)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta25)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電基板、あるいはジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zrx,Ti1−x)O3)などの圧電セラミックスを用いることができる。
また、圧電体材料以外の材料を用いて振動片を形成することができる。例えば、シリコン半導体材料などを用いて振動素子を形成することもできる。
また、振動素子の駆動振動の励振方式や検出振動の検出方式は、圧電効果によるものだけに限らない。静電気力(クーロン力)を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片においても、本発明の構成及びその効果を発揮させることができる。
【0097】
また、振動片としてのセンサー素子の形状は、上記実施形態及び変形例で説明したセンサー素子20のような音叉型に限らない。振動部から延びる一つの振動部を備えたビーム形の振動片や、3つ以上の振動部を備えた振動片であってもよく、あるいは、MEMSジャイロ素子のように櫛歯電極で静電検出する振動片においても、本発明の基板を用いた構成によれば、上述した実施形態及び変形例に記載したものと同様な効果を得ることができる。
【0098】
また、センサーデバイスに備わる振動片としてのセンサー素子20は、例えば、角速度感知素子や、加速度に反応する加速度感知素子、圧力に反応する圧力感知素子、重さに反応する重量感知素子など、種々の感知素子を用いることができる。
したがって、本発明のセンサーデバイスを利用したセンサーは、角速度を検出するジャイロセンサーや、角加速度、加速度、力、温度、磁気など、種々の物理量を検出するセンサーとして利用することができる。
【0099】
また、本発明のセンサーデバイス(振動デバイス)に用いる振動片は、上記実施形態及び変形例で説明したセンサー素子20に限らず、例えば共振子であってもよく、その共振子を用いて振動デバイスとしての発振器を構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,101,201…振動デバイスとしてのセンサーデバイス、2,102,202…基板、2A…金属板シート、2a,202a…第1の面、2b…第2の面、3…第1の金属支柱、3a,4Aa,4Ba´,5a,6Aa…凸部、4A,4B,4A´,4B´…第2の金属支柱、5,205…第3の金属支柱、6A,6B…第4の金属支柱、7A,7B…金属配線部、9,209…蓋体、10…半導体回路素子としてのICチップ、10a…一方の主面としての能動面、11…電極としての電極パッド、20…振動片としてのセンサー素子、21…支持部、22…振動部、33…絶縁体、35,85…第1めっき層、36,86…第2めっき層、88,89…エッチングマスク、95…接合部材、97…導電性の接合部材、99…導電性部材としてのボンディングワイヤー、240…電子機器としてのデジタルビデオカメラ、241…受像部、242…操作部、243…音声入力部、1001〜1003…表示ユニット、3000…電子機器としての携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…電子機器としてのPDA、4001…複数の操作ボタン、4002…電源スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有し、複数の金属支柱であって第1の金属支柱及び第2の金属支柱を含む前記金属支柱と、複数の前記金属支柱の前記第1の面及び前記第2の面とは異なる面の隙間に充填され複数の前記金属支柱を一体に固定する絶縁体と、を備えた基板と、
第3の面に電極を有し、前記第3の面とは反対側の第4の面を前記第1の金属支柱の前記第1の面に対向させて前記第1の金属支柱に固定された半導体回路素子と、
支持部と、前記支持部から延出された振動部とを有し、前記支持部を前記半導体回路素子の前記第3の面に接合することにより前記半導体回路素子に支持された振動片と、
前記電極と前記第2の金属支柱とを電気的に接続する導電性部材と、
前記半導体回路素子及び前記振動片を覆うように設けられた蓋体と、
を有することを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の振動デバイスにおいて、
複数の前記金属支柱は、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱を平面視で囲むように配置された筒状の第3の金属支柱を含み、
前記絶縁体が前記第3の金属支柱の内壁面側に充填され、
前記蓋体が前記第3の金属支柱の前記第1の面に接合され、
前記第3の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離は、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離より短いことを特徴とする振動デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動デバイスにおいて、
複数の前記金属支柱は第4の金属支柱及び金属配線部を含み、
前記金属配線部は前記第2の金属支柱と前記第4の支柱とを電気的に接続し、
前記金属配線部の前記第1の面と前記第2の面との間の距離は、前記第1の金属支柱、前記第2の金属支柱、及び前記第4の金属支柱の前記第1の面と前記第2の面との間の距離より短いことを特徴とする振動デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
複数の前記金属支柱の前記第1の面に第1のめっき層を備え、前記第1のめっき層は前記第1の面から外側へはみ出していることを特徴とする振動デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記金属支柱の前記第2の面、及び、前記第2の面側の前記第2の面とは異なる面に第2のめっき層を備えていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項6】
請求項2に記載の振動デバイスにおいて、
前記第3の金属支柱の前記第1の面が、他の前記金属支柱の前記第1の面よりも高い位置にあることを特徴とする振動デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の振動デバイスにおいて、
前記第3の金属支柱の前記第1の面が、前記振動片よりも高い位置にあることを特徴とする振動デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の振動デバイスにおいて、
前記蓋体は金属部分を含み、前記蓋体と前記第3の金属支柱とが電気的に接続されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項9】
第1の面及び前記第1の面とは反対側の第2の面を有する金属板を前記第1の面から部分的にエッチングして複数の凸部を形成する第1エッチング工程と、
前記第1エッチング工程で前記凸部の形成に伴って形成される凹部に絶縁体を充填して固着させる絶縁体形成工程と、
前記絶縁体形成工程の後で、前記金属板を前記第2の面から前記凹部と連通するように部分的にエッチングすることにより、前記凸部から前記第2の面に延びる金属支柱であって、第1の金属支柱及び第2の金属支柱を含む複数の前記金属支柱を形成する第2エッチング工程と、
前記第1の金属支柱の前記第1の面に、第3の面に電極を有する半導体回路素子の前記第3の面とは反対側の第4の面を対向させて接合する半導体回路素子接合工程と、
前記半導体回路素子の前記第3の面に振動片を固定する振動片固定工程と、
前記電極と前記第2の金属支柱とを導電性部材により電気的に接続するボンディング工程と、
前記半導体回路素子及び前記振動片を覆うように蓋体を設ける封止工程と、
を含むことを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第1エッチング工程の前に前記第1の面に第1のめっき層を形成する第1めっき工程を含み、
前記第1エッチング工程では、前記第1めっき層をエッチングマスクとして利用することを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第2エッチング工程の後に、無電解めっき法による第2めっき工程を有することを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第2エッチング工程の後に、無電解めっき法により前記第1の面の前記第1めっき層及び前記第2の面の前記第2めっき層を同時に形成するめっき工程を有することを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第1のエッチング工程及び前記第2のエッチング工程により、前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱を平面視で囲むように配置され前記第2の面が前記第1の金属支柱及び前記第2の金属支柱の前記第2の面よりも前記第1の面側にある筒状の第3の金属支柱を形成し、
前記絶縁体形成工程では、前記絶縁体を前記第3の金属支柱の内壁面側に充填し、
前記封止工程では、前記蓋体を前記第3の金属支柱の前記第1の面に接合することを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第1のエッチング工程の前に、
前記第3の金属支柱の前記第1の面となる領域をマスクして前記金属板を前記第1の面から所定量エッチングする工程を含むことを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか一項に記載の振動デバイスの製造方法において、
前記第1エッチング工程、前記絶縁体形成工程、及び前記第2エッチング工程では、複数の前記金属支柱を有する一個片の基板を一つの前記金属板に平面視で複数個並べて形成し、
前記半導体回路素子接合工程では、複数個の前記回路素子を、前記複数個の前記基板の夫々に平面視で並べて接合し、
前記振動片接続工程では、複数個の前記振動片を、前記複数個の半導体回路素子夫々の上に並べて接続し、
前記ボンディング工程では、前記複数個の半導体回路素子の前記電極と前記複数個の基板の前記第2の金属支柱とを前記導電性部材で夫々接続し、
前記封止工程では、前記複数個の基板ごとに接合された前記半導体回路素子及び前記振動片を複数の前記蓋体で一括して封止して、前記金属板に連結された複数の振動デバイスを形成し、
前記封止工程の後で、前記連結された複数の振動デバイスを個片に切り出すダイシング工程を有することを特徴とする振動デバイスの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の振動デバイス、または、請求項9〜14のいずれか一項に記載された製造方法により製造された振動デバイスを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−182765(P2012−182765A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45999(P2011−45999)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】