説明

排気系システム

【課題】製造装置における運転工程、製造装置に供給されるガスの種類およびガス流量をコントローラに入力することにより、真空ポンプ、排ガス処理装置等を最適な運転条件で運転することができ、また排気系システム側の機器のメンテナンス要求等を製造装置側に出力することにより、適正なタイミングで排気系システムの機器をメンテナンスできる排気系システムを提供する。
【解決手段】半導体デバイス又は液晶又はLED又は太陽電池を製造する製造装置のチャンバを排気する排気系システムにおいて、真空ポンプ装置3と、排ガスを処理する排ガス処理装置5と、真空ポンプ装置3及び/又は排ガス処理装置5を制御するコントローラ6とを備え、製造装置1の運転工程、製造装置1に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラ6に入力して真空ポンプ装置3及び/又は排ガス処理装置5を制御するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス、液晶、LED等を製造する製造装置の排気系システムに係り、特に製造装置のチャンバを排気するための真空ポンプ、チャンバから排出された排ガスを処理する排ガス処理装置などを備えた排気系システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶パネル、LED、太陽電池等を製造する製造プロセスにおいては、真空に排気されたプロセスチャンバ内にプロセスガスを導入してエッチング処理やCVD処理等の各種処理を行っている。これらエッチング処理やCVD処理等の各種処理を行うプロセスチャンバは真空ポンプによって真空排気されている。また、プロセスチャンバおよびプロセスチャンバに接続されている排気系機器は、クリーニングガスを流すことによって定期的に洗浄している。これらプロセスガスやクリーニングガス等の排ガスは、シラン系ガス(SiH,TEOS等)、ハロゲン系ガス(NF,ClF,SF,CHF等)、PFCガス(CF,C等)などを含み、人体に悪影響を及ぼしたり、地球温暖化の原因になる等の地球環境に悪影響を及ぼすので、大気にそのまま放出することは好ましくない。そこで、これらの排ガスを真空ポンプの下流側に設置された排ガス処理装置によって無害化処理を行った後に大気に放出している。また、プロセスチャンバから排出される排ガスには、SiHのように燃焼爆発の危険性が高いガスも含まれているため、希釈用NユニットからNガスを排ガス中に添加して排ガスを希釈することも行われている。また、プロセスチャンバ以外にも製造装置のトランスファチャンバやロードロックチャンバなどの各種チャンバからの排気も真空ポンプや排ガス処理装置に接続され、処理することがある。
【0003】
このように、半導体製造装置、液晶パネル製造装置、LED製造装置等におけるチャンバの排気系システムは、真空ポンプ、希釈用Nユニット、排ガス処理装置等を備えており、排気系システムの各機器は製造装置からの信号によってON/OFF制御されるようになっている。例えば、半導体製造装置がLP−CVD装置の場合には、製造装置において、ウエハ投入→真空引き→昇温→成膜(材料ガス供給)→降温→大気圧復帰→ウエハ取り出しの各運転工程が順次行われ、そして、これらの運転工程が繰り返される。また、チャンバ内に付着した固形物を除去するために、定期的にクリーニングガス(HF,ClF,NF等)をチャンバ内に供給して排気する。真空ポンプは、チャンバの真空引き工程を開始する際に製造装置から真空引き開始信号を受けて起動し、チャンバの大気圧復帰工程の際に、製造装置から大気圧復帰工程信号を受けて停止するようになっている。また、排ガス処理装置は、プロセスチャンバにおける成膜工程を開始する際に製造装置から成膜工程開始信号を受けて起動し、成膜工程の終了後に所定時間運転して停止するようになっている。希釈用Nユニットも同様に製造装置からの信号を受けてNガスの供給および供給停止を行っている。このように、排気系システムの各機器は、製造装置における所定の運転工程の開始・終了等の信号に基づいてON/OFF制御されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−861号公報
【特許文献2】特開2001−189277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の半導体製造装置等のチャンバの排気系システムにおいては、製造装置における所定の運転工程の信号に基づいて真空ポンプ、排ガス処理装置、希釈用Nユニット等の運転制御を行っている。真空ポンプ、排ガス処理装置および希釈用Nユニットは、チャンバに供給されるガスの種類やガス流量によって最適な運転条件がそれぞれ異なってくるが、従来においてはこの点は全く考慮されていなかった。例えば、チャンバに供給されるガスの種類およびガス流量と、真空ポンプの到達圧力および排気速度(すなわち、真空ポンプの排気能力)とは相関関係があるが、従来にあっては、チャンバに供給されるガスの種類およびガス流量に拘らず、予め定めておいた仕様に基づいて真空ポンプを運転することが行われていた。そのため、真空ポンプは、過剰な排気能力で運転されることがあった。
【0006】
また、燃焼式排ガス処理装置にあっては、チャンバに供給されるガスの種類およびガス流量と、排ガス処理装置の燃料、酸素および空気の各供給量(すなわち、排ガス処理装置の燃焼能力)とは相関関係があるが、従来にあっては、チャンバに供給されるガスの種類およびガス流量に拘らず、予め定めておいた仕様に基づいて排ガス処理装置を運転することが行われていた。そのため、排ガス処理装置は、過剰な燃焼能力で運転されることがあった。
さらに、希釈用Nユニットにおいても、チャンバからの排ガスに希釈用Nを過剰に供給することが行われていた。
そのため、従来の製造装置の排気系システムにあっては、排気システムを構成する各機器において過剰なエネルギー消費となり、また排気システム全体としても過剰なエネルギー消費となることがあった。
【0007】
また、製造装置等の排気系システムにおいては、真空ポンプ、排ガス処理装置、接続配管等に反応生成物が粉体となって付着するため、製造装置からクリーニングガスを流して排気系システムの各機器を洗浄することが行うことがある。この場合、従来にあっては、運転実績から蓄積されたデータに基づいてクリーニングガスを流して排気系システムをクリーニングしていたため、適切なタイミングで排気系システムをクリーニングしていたわけではなく、クリーニングのタイミングが遅れる場合には粉体による配管閉塞や真空ポンプ停止が起こり、逆にクリーニングのタイミングが早い場合にはクリーニングガスの消費量に無駄が生じていた。
【0008】
さらに、排ガス処理装置においては、排ガスに燃料、酸素および空気を供給して燃焼させた後に燃焼後の粉体等の残渣を水シャワーで捕捉してタンクに貯留しているため、タンク内の排液処理およびタンクの洗浄等のメンテナンスが必要となる。この場合、従来にあっては、排ガス処理装置におけるタンク内の排液処理およびタンクの洗浄等のメンテナンスは、製造装置側のウエハ処理枚数等の情報に基づいて行っていたため、排ガス処理装置の処理能力にまだ充分な余裕がある場合が多かった。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、半導体、液晶、LED等を製造する製造装置における運転工程、製造装置に供給されるガスの種類およびガス流量を排気系システムのコントローラに入力することにより、真空ポンプ、排ガス処理装置、希釈Nユニット等を最適な運転条件で運転することができ、また排気系システム側の機器のメンテナンス要求等を製造装置側に出力することにより、適正なタイミングで排気系システムの機器をメンテナンスできる排気系システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の排気系システムの第1の態様は、半導体デバイス又は液晶又はLED又は太陽電池を製造する製造装置のチャンバを排気する排気系システムにおいて、前記チャンバを真空排気する真空ポンプ装置と、前記チャンバから排気された排ガスを処理する排ガス処理装置と、前記製造装置と前記真空ポンプ装置と前記排ガス処理装置とを接続する配管と、前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するコントローラとを備え、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報を前記コントローラに入力して前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するようにしたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して真空ポンプ装置又は排ガス処理装置を制御するようにしたため、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に応じて、真空ポンプ装置を最適な排気能力で運転することができ、また排ガス処理装置を最適な処理能力で運転することができる。したがって、真空ポンプ装置における使用電力を削減することができ、また排ガス処理装置における燃料等を削減することができ、省エネルギを達成できる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいてNガスの供給量、水の供給量、電力、燃料と酸素と空気の各供給量、ヒーター温度、プラズマ出力のいずれか1つ以上を制御することを特徴とする。
本発明によれば、製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に基づいて、たとえば真空ポンプ装置へのNガスの供給量を制御することができるため、適量のNが真空ポンプ装置に供給できるので、真空ポンプ装置の安定運転を可能にし、可燃性ガスの爆発、着火を防止することができる。また、前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて、水の供給量、電力、燃料と酸素と空気の各供給量を最適な量に制御することができる。したがって、水の供給量、電力、燃料と酸素と空気の各供給量を削減することができる。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、前記コントローラはメンテナンス要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする。
本発明によれば、真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、コントローラはメンテナンス要求の情報を製造装置に出力するため、適正なタイミングで真空ポンプ装置または排ガス処理装置をメンテナンスすることができる。したがって、排気系システムの機器故障の防止を図ることができ、製造装置の安全稼働を確保することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、前記コントローラは、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要となる時期又はメンテナンスが必要となるまでの被処理ガスの種類と残供給可能量を予測し、この予測情報を前記製造装置に出力することを特徴とする。
本発明によれば、排気系システムの機器におけるメンテナンスの時期が予測できるため、製造装置の運転工程を排気系システムのメンテナンス時期を考慮して決定できる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて前記真空ポンプ装置の回転速度を制御することを特徴とする。
本発明によれば、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に応じて真空ポンプ装置を最適な回転速度に制御することができる。したがって、真空ポンプ装置を製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に対して最適な排気能力で運転できる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて前記排ガス処理装置の燃料、酸素および空気の供給量、ヒーター温度、プラズマ出力のいずれか1つ以上を制御することを特徴とする。
本発明によれば、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に対して、排ガス処理装置の燃料、酸素、空気の供給量を最適な量に制御することができる。したがって、排ガス処理装置における排ガス処理を安定して行うことができるとともに、燃料、酸素、空気の供給量を削減することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記メンテナンス要求の情報は、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から得ることを特徴とする。
本発明によれば、製造装置に供給されたガスの種類およびガスの積算供給量は、排気系システムの機器が担う経時的な負荷に対応しているため、排気系システムの各機器のメンテナンスの時期の指標として有効なものである。製造装置からコントローラに製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量が入力されると、コントローラは、入力された供給ガス流量を積算することにより製造装置に供給したガスの積算供給量を計算し、排気系システムの機器でメンテナンスが必要となる積算供給量に到達した時点で、製造装置へメンテナンス要求出力を出す。この場合、メンテナンスが必要となる機器は、粉体が付着する真空ポンプ装置や粉体や排液が溜まる排ガス処理装置が代表的機器である。勿論、他の機器もメンテナンス要求の対象となる。このように、排気系システム側から製造装置へメンテナンス要求を出すことができるため、排気系システムの機器の適正なメンテナンスおよび清掃を行うことができる。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記チャンバから排気される排ガスにNガスを添加するNユニットを備え、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して前記Nユニットを制御するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に基づいて希釈用Nガス(またはHOT Nガス)の供給を制御することができるため、Nガスの供給量を削減できる。また、適量のNが真空ポンプ装置や接続配管に供給できるため、真空ポンプ装置の安定運転を可能にし、可燃性ガスの爆発、着火を防止することができる。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記製造装置と前記真空ポンプ装置と前記排ガス処理装置とを接続する配管の少なくとも一部を加熱する配管ヒータを備え、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して前記配管ヒータを制御するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、製造装置の運転工程に応じて配管ヒータをタイミングよくON/OFFさせ、かつ製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に応じて配管ヒータを最適な温度に制御できるので、配管ヒータにおける使用電力を削減して省エネルギを達成できる。また、同時に、粉体が接続配管や真空ポンプ装置等の機器内に堆積して配管閉塞や真空ポンプ停止が起こることを防止できる。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、前記製造装置からクリーニングガスを排気して前記排気系システムの各機器をクリーニングするようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、排気系システムが清掃タイミングになった時点で製造装置からクリーニングガスを排気し、排気系システムの接ガス部分に付着した粉体を除去することができる。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、前記真空ポンプ装置又は前記排ガス処理装置又は前記配管に粉体が付着して前記クリーニングが必要になったときに、前記コントローラは前記クリーニングの要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする。
本発明によれば、真空ポンプ装置、排ガス処理装置、接続配管等に所定量の粉体の付着が発生したことを検知し、排気系システムにおけるこれらの機器から粉体付着が発生したことを製造装置に対して出力し、信号を受信した製造装置はHF,ClF,NFなどのクリーニングガスを製造装置出口に放出する。排気系システムにおける粉体付着検知は、圧力(真空ポンプ排気圧力、排ガス処理装置流入圧力など)、真空ポンプ負荷率、製造装置からのガス種と放出時間等で検知することができる。本発明によれば、粉体による配管閉塞の防止、粉体による真空ポンプ停止の防止、粉体清掃時間の短縮が可能となる。
【0022】
本発明の好ましい態様は、前記コントローラは、排気系システムの機器の全体を制御するコントローラからなるか、または前記排気系システムの各機器を制御する個別のコントローラからなることを特徴とする。
【0023】
本発明の排気系システムの制御方法の第1の態様は、半導体デバイス又は液晶又はLED又は太陽電池を製造する製造装置のチャンバを排気する排気系システムの制御方法において、前記排気系システムは、前記チャンバを真空排気する真空ポンプ装置と、前記チャンバから排気される排ガスを処理する排ガス処理装置と、前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するコントローラとを備え、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報を前記コントローラに入力して前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御することを特徴とする。
【0024】
本発明の好ましい態様は、前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、前記コントローラはメンテナンス要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記コントローラは、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要となる時期又はメンテナンスが必要となるまでの被処理ガスの種類と残供給可能量を予測し、この予測情報を前記製造装置に出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して真空ポンプ及び/又は排ガス処理装置を制御するようにしたため、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に応じて、真空ポンプ装置を最適な排気能力で運転することができ、また排ガス処理装置を最適な処理能力で運転することができる。したがって、プロセス性能を低下させることなく真空ポンプ装置における使用電力を削減することができ、また排ガス処理装置における燃料や使用電力等を削減することができ、省エネルギを達成できる。
(2)真空ポンプ又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、コントローラはメンテナンス要求の情報を製造装置に出力するため、適正なタイミングで真空ポンプ装置または排ガス処理装置をメンテナンスすることができる。したがって、排気系システムの機器故障の防止を図ることができ、製造装置の安全稼働を確保することができる。
(3)製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に基づいて希釈用Nガス(またはHOT Nガス)の供給を制御することができるため、Nガスの供給量を削減できる。また、適量のNが真空ポンプ装置や接続配管に供給できるために、真空ポンプの安定運転を可能にし、可燃性ガスの爆発、着火を防止することができる。
(4)製造装置の運転工程に応じて配管ヒータをタイミングよくON/OFFさせ、かつ製造装置の運転工程、製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量に応じて配管ヒータを最適な温度に制御できるので、配管ヒータにおける使用電力を削減して省エネルギを達成できる。また、同時に、粉体が接続配管や真空ポンプ装置等の機器内に堆積して配管閉塞や真空ポンプ停止が起こることを防止できる。
(5)排気系システムが清掃タイミングになった時点で製造装置からクリーニングガスを排気し、排気系システムの接ガス部分に付着した粉体を除去することができる。したがって、粉体による配管閉塞の防止、粉体による真空ポンプ停止の防止、粉体清掃時間の短縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の排気系システムの基本構成を示す模式図である。
【図2】図2は、排気系システムの最上流側にある真空ポンプ装置の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、図1に示す多段真空ポンプの各圧縮段における排気速度及び圧力の関係を示す図である。
【図4】図4は、排気系システムの最下流側にある排ガス処理装置を示す模式図である。
【図5】図5は、製造装置と排気系システムのコントローラとの間で行われる情報の入出力と、コントローラと真空ポンプ装置,希釈用Nユニット,排ガス処理装置,配管ヒータとの間で行われる各種制御を説明する模式図である。
【図6】図6は、製造装置との通信機能と製造装置の排気側に設置された排気系機器の運転制御機能を備えたコントローラの一例を示す模式図である。
【図7】図7は、製造装置との通信機能と各排気系機器の制御ユニット(または機器付属のコントローラ)との通信機能を備えたコントローラの一例を示す模式図である。
【図8】図8は、製造装置との通信機能と各排気系機器との通信機能を各排気系機器に付属した制御ユニットに備えた一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る排気系システムの実施形態について図1乃至図5を参照して詳細に説明する。なお、図1から図5において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の排気系システムの基本構成を示す模式図である。図1においては、製造装置として半導体製造装置におけるCVD装置を例に挙げて説明する。
図1に示すように、製造装置1は、排気系システム2に接続されている。排気系システム2は、真空ポンプ装置3と、希釈用Nユニット4と、排ガス処理装置5と、コントローラ6と、製造装置1と真空ポンプ装置3と排ガス処理装置5とを接続する接続配管7とを備えている。製造装置1がCVD装置の場合には、プロセスチャンバにおいて、ウエハ投入→真空引き→昇温→成膜(材料ガス供給)→降温→大気圧復帰→ウエハ取り出しの各運転工程が順次行われ、そして、これらの運転工程が繰り返される。また、チャンバ内に付着した固形物を除去するために、定期的にクリーニングガス(HF,ClF,NF等)をチャンバ内に供給して排気する。
【0028】
また、排気系システム2の接続配管7には、配管ヒータ8が設置されるとともにゲートバルブV1、バイパスバルブV2等の各種バルブが設置されている。図1では、配管ヒータ8が真空ポンプ装置3の上流側に設置された例が図示されているが、配管ヒータ8は真空ポンプ装置3の下流側にも設置されている(図示せず)。排気系システム2は、1つの筐体内に真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,コントローラ6,接続配管7,配管ヒータ8の全ての機器が搭載されていてもよいし、各機器が個別に設置されていてもよい。排ガス処理装置5は排気ダクトに接続され、バイパスバルブV2も排気ダクトに接続されている。
【0029】
次に、排気系システムを構成する各機器の詳細について説明する。
図2は、排気系システム2の最上流側にある真空ポンプ装置3の一例を示す模式図である。図2に示すように、真空ポンプ装置3は、2段の圧縮段を有する第1真空ポンプ10と、2段の圧縮段を有する第2真空ポンプ20とから主に構成されており、第1真空ポンプ10にポンプ吸気口11が設けられ、第2真空ポンプ20にポンプ排気口21が設けられている。そして、第1真空ポンプ10の排気口18と第2真空ポンプ20の吸気口22とは連結管23で互いに接続されている。
【0030】
第1真空ポンプ10は、一対のルーツ型ポンプロータ13(図2では1つのポンプロータのみを示す)を有するルーツ型真空ポンプであり、1段ルーツ部14と2段ルーツ部15の2段の圧縮段が内部に備えられている。第2真空ポンプ20は、一対のスクリュー型ポンプロータ24(図2では1つのポンプロータのみを示す)を有するスクリュー型真空ポンプであり、1段スクリュー部25と2段スクリュー部26の2段の圧縮段が内部に備えられている。第1真空ポンプ10は一対のルーツ型ポンプロータ13を回転駆動するモータ30を備えている。第2真空ポンプ20は一対のスクリュー型ポンプロータ24を回転駆動するモータ31を備えている。モータ30,31は、速度制御が可能な可変速モータから構成されている。
【0031】
第1真空ポンプ10のポンプ吸気口11には、製造装置1から延びる接続配管7が接続されている。第2真空ポンプ20のポンプ排気口21には接続配管7が接続され、この接続配管7を介して気体(プロセスガス)が排ガス処理装置5に排気される。このように、この例の多段真空ポンプ装置は、互いに直列に接続された第1真空ポンプ10と第2真空ポンプ20を有し、第2真空ポンプ20が第1真空ポンプ10よりも下流側に配置されている。すなわち、第1真空ポンプ10はブースタポンプとして機能し第2真空ポンプ20よりも真空側に配置され、第2真空ポンプ20はメインポンプとして機能し第1真空ポンプ10よりも大気側に配置されている。第2真空ポンプ20は、大気圧下で起動可能に構成されている。
【0032】
最終圧縮段である第2真空ポンプ20の2段スクリュー部26の吸気側、すなわち第2真空ポンプ20の1段スクリュー部25と2段スクリュー部26の段間部27には、該段間部(最終圧縮段の吸気側)27内の圧力を測定する圧力センサ28が設置されている。また、この段間部27には、ここにNガスを導入する配管29が接続されており、配管29には、バルブV5が設置されている。圧力センサ28及びバルブV5は、信号線及び/または動力線を介してコントローラ6と接続されている。
【0033】
このような構成の真空ポンプ装置では、下流側の第2真空ポンプ20の方が第1真空ポンプ10よりも大気側に近いため、第2真空ポンプ20の内部圧力は第1真空ポンプ10の内部圧力よりも高くなる。このために、凝縮性ガスを排気する場合、凝縮性ガスの副生成物は、第2真空ポンプ20の内部、特に圧力が最も高くなる、最終圧縮段の2段スクリュー部26で析出しやすくなる。また腐食性ガスを排気する場合も同様に、最終圧縮段の2段スクリュー部26で圧力及び温度が高くなるため、2段スクリュー部26での腐食環境が厳しくなる。
【0034】
そこで、この例の真空ポンプ装置では、第2真空ポンプ20の1段スクリュー部25と2段スクリュー部26との段間部27に圧力センサ28とNガスを導入する配管29を設け、段間部27の圧力を測定するとともに、測定した圧力値に応じて、Nガス導入配管29よりポンプ内部へ導入するNガスのガス量を制御するようにしている。Nガス導入配管29は希釈用Nユニット4に接続されている。
【0035】
この種の真空ポンプ装置にあっては、図3に示すように、プロセスガスQがポンプ内部に導入されてポンプ内部を流れる時、1段ルーツ部14における排気速度S1、2段ルーツ部15における排気速度S2、1段スクリュー部25における排気速度S3、及び2段スクリュー部26における排気速度S4の間には、消費動力削減の観点から、S1>S2>S3>S4となる関係がある。
【0036】
ここで、実際の使用領域における各圧縮段の排気速度が圧力に拠らず一定とすれば、凝縮性ガスや腐食性ガス等のプロセスガスの希釈効果、すなわちプロセスガスの分圧を低減できる効果を発揮できるのは、最終圧縮段である第2真空ポンプ20の2段スクリュー部26のみである。これは、最終圧縮段以外の圧縮段の動作圧力はその下流側の圧縮段の排気容量で、つまり1段ルーツ部14の動作圧力は2段ルーツ部15の排気容量で、2段ルーツ部15の動作圧力は1段スクリュー部25の排気容量で、1段スクリュー部25の動作圧力は2段スクリュー部26の排気容量でそれぞれ決まるためである。2段スクリュー部(最終圧縮段)26は、下流側が大気圧に開放されるため、ポンプ内部にNガスを導入することによる圧力上昇が発生し難く、このため、ポンプ内部に導入されたNガスの割合でプロセスガスの分圧を低減することが可能となる。
【0037】
また、図3に示すように、ある一定量のプロセスガスQがポンプ内部に導入されて流れる場合、1段ルーツ部14の入口圧力P1、2段ルーツ部15の入口圧力P2、1段スクリュー部25の入口圧力P3、2段スクリュー部26の入口圧力P4及び2段スクリュー部26の出口圧力P5は、P1=Q/S1、P2=Q/S2、P3=Q/S3、P4=Q/S4、P5=大気圧となる。各圧縮段の排気速度は、前述した通り、消費動力削減の観点から、S1>S2>S3>S4に設定されており、このため、プロセスガスQがポンプ内部を流れる時の圧力値の変化量は、第2真空ポンプ20の2段スクリュー部26の入口圧力P4で最も大きくなる。したがって、ポンプ内部で圧力値の変化が最も大きい第2真空ポンプ20の2段スクリュー部26の入口圧力P4、つまり第2真空ポンプ20の1段スクリュー部25と2段スクリュー部26の段間部27の圧力を測定することによって、ポンプ吸気口11からポンプ内部にプロセスガスが導入されているか否かを判断することができる。
【0038】
図2に示す真空ポンプ装置3によれば、ポンプ内部を流れるプロセスガスの流量に合わせて、希釈用Nユニット4から希釈用のNガスを最終圧縮段の吸気側からポンプ内部に導入することで、ポンプの排気性能に悪影響を与えたり、ランニングコストを増大させたりすることなく、プロセスガスが圧縮され、ポンプ内部で最もプロセスガスが濃縮する最終圧縮段に固体が付着したり、腐食が発生したりすることを抑制することができる。
コントローラ6(図1参照)は、製造装置1の運転工程、製造装置1に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて真空ポンプ装置3に供給されるNガスの流量を制御する。また、コントローラ6は、製造装置1の運転工程、製造装置1に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて真空ポンプ装置3に供給される水の流量、電力を制御する。
【0039】
図2に示す真空ポンプ装置3においては、第1真空ポンプ10をルーツ型真空ポンプで構成し、第2真空ポンプ20をスクリュー型真空ポンプで構成したが、第1真空ポンプ10と第2真空ポンプ20をともにルーツ型真空ポンプで構成してもよい。なお、ルーツ型真空ポンプは、例えば、3葉のロータからなる一対のポンプロータを備えている。第2真空ポンプ20が多段のルーツ型真空ポンプの場合には、希釈用のNガスを最終圧縮段の吸気側からポンプ内部に導入すればよい。
【0040】
図4は、排気系システム2の最下流側にある排ガス処理装置5を示す模式図である。図4に示すように、排ガス処理装置5は、排ガスを燃焼して酸化分解する燃焼式の加熱処理部40と、この加熱処理部40の後段に配置された排ガス洗浄部60とを備えている。加熱処理部40は、排ガスを燃焼する燃焼室42と、燃焼室42に旋回する火炎を形成するバーナ41とを有している。排ガスは、バイパス弁(三方弁)45を通じて加熱処理部40に供給される。排ガス処理装置に不具合がある場合には、このバイパス弁45が操作され、排ガスが排ガス処理装置に導入されずに、図示しないバイパス管に送られるようになっている。
【0041】
燃料と酸素とは予め予混合器46で混合されて混合燃料が形成され、この混合燃料がバーナ41に供給されるようになっている。また、排ガスを燃焼(酸化)させるための酸素源となる空気がバーナ41に供給される。バーナ41は混合燃料を燃やして燃焼室42に旋回炎を形成し、この旋回炎により排ガスを燃焼させる。バーナ41の内部には図示しないUVセンサが配置されており、このUVセンサにより旋回炎が正常に形成されているかどうかが監視されている。UVセンサの周囲には空気および窒素がパージガスとして供給されている。燃焼室42の上部には水W1が供給されている。この水W1は燃焼室42の内面に沿って流下し、燃焼室42の内面に水膜Fを形成する。この水膜Fにより、旋回炎の熱から燃焼室42が保護される。また、バーナ41と燃焼室42との間には、バーナ41を冷却するための冷却水W2が流れる図示しない冷却水路が設けられている。
【0042】
バーナ41を通って燃焼室42に導入された排ガスは、旋回炎により燃焼される。これにより、排ガスに含まれるシランやジシランなど可燃性ガスが酸化分解される。このとき、可燃性ガスの燃焼に伴い、副生成物としてシリカ(SiO)が生成される。このシリカは微小な粉塵として排ガス中に存在する。
【0043】
このような副生成物の一部は、バーナ41や燃焼室42の内面に堆積する。そこで、加熱処理部40は、図示しないスクレーパを定期的に操作して、バーナ41や燃焼室42の内面に堆積した副生成物を掻き落とすように構成されている。燃焼室42の下方には循環タンク50が配置されている。循環タンク50の内部には堰51が設けられており、この堰51によって上流側の第1の槽50Aと下流側の第2の槽50Bとに区画されている。スクレーパにより掻き落とされた副生成物は、第1の槽50Aの底部に堆積する。また、燃焼室42の内面を流下した水膜Fは第1の槽50Aに流入する。第1の槽50Aの水は、堰51をオーバーフローして第2の槽50Bに流れ込むようになっている。
【0044】
燃焼室42は冷却部55を介して排ガス洗浄部60と連通している。この冷却部55は、燃焼室42に向かって延びる配管56と、この配管56内に配置されたスプレーノズル57とを有している。スプレーノズル57は、配管56を流れる排ガスに対向するように水を噴射する。したがって、加熱処理部40により処理された排ガスは、スプレーノズル57から噴射される水によって冷却される。水は、配管56を通って循環タンク50に回収されるようになっている。
【0045】
冷却された排ガスは、次に排ガス洗浄部60に導入される。この排ガス洗浄部60は、水により排ガスを洗浄し、排ガスに含まれる微小な粉塵を除去する装置である。この粉塵は、主として、加熱処理部40での酸化分解(燃焼処理)により生成された副生成物である。
【0046】
排ガス洗浄部60は、ガス流路62を形成する壁部材61と、ガス流路62内に配置される第1のミストノズル63A、第1の水膜ノズル63B、第2のミストノズル64A、および第2の水膜ノズル64Bとを備えている。これらミストノズル63A,64A及び水膜ノズル63B,64Bは、ガス流路62の中心部に位置し、略直線状に配列されている。第1のミストノズル63Aおよび第1の水膜ノズル63Bは第1のノズルユニット63を構成し、第2のミストノズル64Aおよび第2の水膜ノズル64Bは第2のノズルユニット64を構成する。したがって、本実施形態では、2組のノズルユニット63,64が設けられている。なお、ノズルユニットは1組でもよく、3組以上のノズルユニットを設けてもよい。
【0047】
第1のミストノズル63Aは、第1の水膜ノズル63Bよりも、排ガスの流れ方向において上流側に配置されている。同様に、第2のミストノズル64Aは、第2の水膜ノズル64Bよりも上流側に配置されている。すなわち、ミストノズルと水膜ノズルとが交互に配置されている。ミストノズル63A,64A、水膜ノズル63B,64B、壁部材61は、耐腐食性のある樹脂(例えばPVC:ポリ塩化ビニル)から構成されている。
第1のミストノズル63Aおよび第2のミストノズル64Aは、互いに同一の構成およびサイズを有しており、第1の水膜ノズル63Bおよび第2の水膜ノズル64Bは、互いに同一の構成およびサイズを有している。
【0048】
第1のミストノズル63Aの上流側には、排ガスの流れを整流する整流部材70が配置されている。この整流部材70は、排ガスの圧力損失を生じさせて、ガス流路62中の排ガスの流れを均一にする。整流部材70は、酸による腐食を防ぐために、金属以外の材料で構成されていることが望ましい。整流部材70の例として、樹脂で構成された不織材や、複数の開孔が形成された樹脂プレートが挙げられる。整流部材70の上流側には、ミストノズル71が配置されている。ミストノズル63A,64A,71および水膜ノズル63B,64Bは、壁部材61に取り付けられている。
【0049】
図4に示すように、排ガスは、排ガス洗浄部60の下部に設けられた配管56から排ガス洗浄部60の内部に導入される。排ガスは、排ガス洗浄部60内を下から上に流れる。より詳しくは、配管56から導入された排ガスは、まず、排ガス洗浄部60のミストノズル71に向かう。そして、排ガスは、ミストノズル71により形成されたミストを通過し、整流部材70により整流される。整流部材70を通過した排ガスは均一な流れを形成し、ガス流路62を低速で上昇する。ガス流路62には、ミスト、水膜、ミスト、及び水膜がこの順に形成されている。
【0050】
排ガスに含まれている直径1μm未満の微小な粉塵は、拡散作用(ブラウン運動)により、ミストを構成する水粒に容易に付着し、これによりミストに捕捉される。直径1μm以上の粉塵も、その多くは同様に水粒に捕捉される。水粒の径は約100μmであるので、この水粒に付着した粉塵のサイズ(径)は見かけ上大きくなる。したがって、粉塵を含む水粒は、下流側の水膜に慣性衝突により容易にぶつかり、水粒とともに粉塵は排ガスから除去される。ミスト捕捉されなかった比較的径の大きい粉塵も、同様にして水膜に捕捉され、除去される。このようにして水により洗浄された排ガスは、壁部材61の上端部の排出ポート77から排出される。
【0051】
水膜との慣性衝突は、粉塵の径が1μm未満であると起こりにくいことが分かっている。本実施形態によれば、径が1μm未満の粉塵は、拡散作用(ブラウン運動)により水粒に付着しやすいので、微小な粉塵の多くは水粒に捕捉される。粉塵を捕捉した水粒は1μmよりも大きな径を有するので、水膜との慣性衝突が起こりやすくなる。したがって、水粒は水膜に容易に捕捉される。
【0052】
ガス流路62を流れる排ガスの流速は遅いほうが好ましい。これは、排ガスの流速が遅いと、排ガス中に含まれる粉塵とミストとの接触時間が長くなり、結果として粉塵の除去率が高くなるからである。このような観点から、ガス流路62の断面積は大きい方が好ましい。ガス流路62内では、水膜はミストの上方に形成されている。したがって、水膜は、ミストの保護膜または傘のような役割を担い、上方から落ちてくる水滴からミストを保護する。その結果、水滴によるミストの崩壊が防止され、粉塵の除去率が向上する。
【0053】
図4に示すように、排ガス洗浄部60の下方には、上述した循環タンク50が位置している。ミストノズル63A,64A,71および水膜ノズル63B,64Bから供給された水は、循環タンク50の第2の槽50Bに回収される。第2の槽50Bに貯留された水は、循環ポンプPによりミストノズル63A,64A,71および水膜ノズル63B,64Bに供給される。循環ポンプPと排ガス洗浄部60との間には熱交換器79が配置されている。この熱交換器79では、冷却水と循環水(循環タンク50からの水)との間で熱交換が行われ、循環水が冷却される。冷却された循環水は、ミストノズルおよび水膜ノズルに供給される。同時に、循環水は、水W1として加熱処理部40の燃焼室42の上部に送られ、上述したように、燃焼室42の内面に水膜Fを形成する。
【0054】
上述のように、ミストノズル63A,64Aおよび水膜ノズル63B,64Bに供給される水は、循環タンク50に回収された水であり、粉塵(副生成物など)を含んでいる。したがって、ガス流路62を洗浄するために、排出ポート77の上方に配置されたシャワーノズル80から市水がガス流路62に供給されるようになっている。シャワーノズル80の上方には、ミストトラップ81が設けられている。このミストトラップ81は、その内部に複数の邪魔板を有しており、排出ポート77を通り抜けたミストを捕捉する。このようにして、処理されて無害化された排ガスは、排気ダクト(図1参照)を介して最終的に大気に放出される。
【0055】
循環タンク50には水位センサ85が設けられている。この水位センサ85は第2の槽50Bの水位を監視し、第2の槽50Bの水位が所定の値を超えたときに、バルブV21を開いて第2の槽50Bの水を排出させる。また、循環ポンプPによって移送される水の一部は、循環タンク50の側部から第1の槽50Aに流入するようになっている。流入した水は、第1の槽50Aの底部に堆積した副生成物を堰51の方に押し流す。これにより、燃焼室42の下端開口部が副生成物によって閉塞してしまうことが防止される。循環タンク50の下方には漏洩センサ86が配置され、循環タンク50からの水漏れが監視されている。
【0056】
図4に示す排ガス処理装置5によれば、排ガス中の微小な粉塵は、拡散作用(ブラウン運動)によりミストに容易に付着し、このミストは水膜との接触(慣性衝突)により排ガスから除去される。すなわち、微小な粉塵はミストに捕捉されることにより、見かけ上のサイズが大きくなる。したがって、水膜ノズルにより形成された水膜に接触しやすくなる。その結果、微小な粉塵を高効率で排ガスから除去することができる。
【0057】
図5は、製造装置1と排気系システム2のコントローラ6との間で行われる情報の入出力と、コントローラ6と真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,配管ヒータ8との間で行われる各種制御を説明する模式図である。図5においては、排気系システム2の機器の全体を制御するコントローラとしてコントローラ6を図示したが、コントローラ6は各機器(真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,配管ヒータ8)に付属して設置された個別のコントローラであってもよい。
【0058】
図5に示す排気系システム2において、製造装置1の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量が製造装置1からコントローラ6に入力される。製造装置1がCVD装置の場合には、プロセスチャンバにおいて、ウエハ投入→真空引き→昇温→成膜(材料ガス供給)→降温→大気圧復帰→ウエハ取り出しの各運転工程が順次行われ、そして、これらの運転工程が繰り返される。また、チャンバ内に付着した固形物を除去するために、定期的にクリーニングガス(HF,ClF,NF等)をチャンバ内に供給して排気する。コントローラ6は、製造装置1の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じて真空ポンプ装置3の第1真空ポンプ10および第2真空ポンプ20の回転速度の自動制御を行う。すなわち、真空側に配置されるブースタポンプとしての第1真空ポンプ10と大気側に配置されるメインポンプとしての第2真空ポンプ20とを製造装置1の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じた最適な回転速度に制御する。
【0059】
製造装置1がCVD装置の場合、各運転工程における第1真空ポンプ10および第2真空ポンプ20の最適な回転速度は以下の通りである。
1)ウエハ投入:真空ポンプの運転は不要であるが、真空ポンプを完全に止めると立ち上げに時間が掛かるので、たとえば20%とか出力を落とした状態で運転して、チャンバの真空排気をバルブで止める。
2)真空引き:真空ポンプは100%出力で運転する。
3)昇温:真空が保たれた状態であれば良いので、真空ポンプは、たとえば70%出力で運転する。
4)成膜:材料ガスが供給されるので、真空ポンプは100%出力で運転する。
5)降温:ガスの流入が止まるので、少し出力を落とした運転でよいので、真空ポンプは、たとえば70%出力で運転する。
6)大気圧復帰:酸化しないように、チャンバーにNを流入させる。真空ポンプの運転は不要であるが、1)と同じ理由で出力を落とした状態で運転していても良い。
7)ウエハ取り出し:1)と同じ。
【0060】
なお、真空ポンプ装置3は、真空引き工程においてはチャンバにガスが供給されていないため、製造装置1からコントローラ6へは真空引きの運転工程が入力され、供給ガス種なし、供給ガス流量0の情報が入力される。そして、チャンバにガスが供給されると、製造装置1からコントローラ6に運転工程、供給ガス種、供給ガス流量の情報が入力される。チャンバにガスが供給される工程において、コントローラ6は、供給ガス種、供給ガス流量に応じて真空ポンプ装置3の第1真空ポンプ10および第2真空ポンプ20の回転速度の自動制御を行う。これにより、チャンバにおける供給ガスの種類および供給ガス流量に対して、真空ポンプ10,20を最適な排気能力で運転することができる。したがって、真空ポンプ装置3における使用電力を削減し、省エネルギを達成できる。なお、コントローラ6に代えて、真空ポンプ装置3を個別に制御するためのコントローラに製造装置1からの情報を入力して真空ポンプ装置3の回転速度を制御するようにしてもよい。
【0061】
また、コントローラ6は、製造装置1の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じて配管ヒータ8の制御温度を自動で設定し、その温度に配管ヒータ8を自動で調整する。この場合、供給ガス種、供給ガス流量に応じた加熱温度をコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、配管ヒータ8の温度設定値変更と温度制御を自動で行う。また、コントローラ6には、加熱の必要のない工程を予め記憶させておき、コントローラ6は、加熱の必要のない工程では配管ヒータ8を自動でOFFする。このように、コントローラ6は、配管ヒータ8をタイミングよくON/OFFさせ、かつ製造装置1の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じて配管ヒータ8を最適な温度に制御できるので、配管ヒータ8における使用電力を削減して省エネルギを達成できる。また、同時に、粉体が接続配管7や真空ポンプ装置3等の機器内に堆積して配管閉塞や真空ポンプ停止が起こることを防止できる。なお、コントローラ6に代えて、配管ヒータ8を個別に制御するためのコントローラに製造装置1からの情報を入力して配管ヒータ8を制御するようにしてもよい。
【0062】
排ガス処理装置5においては、燃料、酸素、空気の配管にそれぞれマスフローコントローラMFC1,MFC2,MFC3を設置し、燃料、酸素、空気のバーナ41への供給量が自動調整できるようになっている。また、燃料、酸素、空気の配管に遮断弁V11,V12,V13を設置し、排ガス処理を必要としない製造装置1の製造工程では、バーナ41への燃料、酸素、空気の供給が遮断できるようになっている。さらにNの配管にマスフローコントローラMFC4と遮断弁V14を設置している。
【0063】
製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じた燃料、酸素、空気の各供給量をあらかじめコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、マスフローコントローラMFC1,MFC2,MFC3を自動制御する。すなわち、コントローラ6により、製造装置に供給しているガス種、製造装置に供給されたガス流量、真空ポンプ装置3に供給したNの流量,希釈用Nユニット4から供給した希釈Nの流量から必要な熱量を自動計算し、燃料、酸素、空気の供給量を自動で計算し、燃料、酸素、空気の供給量をマスフローコントローラMFC1,MFC2,MFC3で自動調整する。また、排ガス処理を必要としない製造装置の工程では遮断弁V11,V12,V13を作動させて燃料、酸素、空気の供給を遮断する。これにより、排ガス処理装置5における使用電力を削減するとともに燃料、酸素、空気の供給量を削減し、省エネルギを達成できる。なお、コントローラ6に代えて、排ガス処理装置5を個別に制御するためのコントローラに製造装置1からの情報を入力して排ガス処理装置5を制御するようにしてもよい。排ガス処理装置5が燃焼式でなくプラズマ式やヒータ式等の場合には、排ガス処理に必要な温度をあらかじめコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、プラズマ出力やヒータの出力を自動制御する。
【0064】
また、図5に示すように、希釈用Nユニット4においては、希釈Nの配管にマスフローコントローラMFC5を設置している。また、希釈Nの配管に遮断弁V15を設置し、希釈不要な製造装置の工程では希釈Nの供給を遮断できるようになっている。製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じた希釈N流量をあらかじめコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、マスフローコントローラMFC5を自動制御する。なお、流せる希釈N流量が異なるN配管を複数準備し、バルブでN配管を自動で切り替えることにより、希釈N流量を制御してもよい。図5に示すように構成することにより、希釈Nの供給量を削減し、省エネルギを達成できる。また、適量のNが真空ポンプ装置3や接続配管7に供給できるために、真空ポンプの安定運転を可能にし、可燃性ガスの爆発、着火を防止することができる。なお、希釈用Nユニット4から供給するNは、HOT Nであってもよい。また、コントローラ6に代えて、希釈用Nユニット4を個別に制御するためのコントローラに製造装置1からの情報を入力して希釈用Nユニット4を制御するようにしてもよい。
【0065】
図5に示すように、真空ポンプ装置3の第1真空ポンプ10および第2真空ポンプ20を冷却するために、冷却水が供給されるようになっている。また、排ガス処理装置5のバーナ41および熱交換器79(図4参照)等を冷却するために、冷却水が供給されるようになっている。第1真空ポンプ10,第2真空ポンプ20および排ガス処理装置5における冷却水の配管にマスフローコントローラMFC10,MFC11等を設置し、製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じた冷却水使用量をあらかじめコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、マスフローコントローラMFC10,MFC11等を自動制御する。なお、流せる冷却水流量が異なる冷却水配管を複数準備し、バルブで冷却水配管を自動で切り替えることにより、冷却水流量を制御してもよい。図5に示すように構成することにより、真空ポンプ装置3および排ガス処理装置5における冷却水を削減し、省エネルギを達成できる。
【0066】
さらに、図5に示すように、排ガス処理装置5の排ガス洗浄部60には、洗浄水が供給されるようになっている。この洗浄水の配管にマスフローコントローラMFC15を設置し、製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量に応じた洗浄水使用量をあらかじめコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、マスフローコントローラMFC15を自動制御する。なお、流せる洗浄水流量が異なる洗浄水配管を複数準備し、バルブで洗浄水配管を自動で切り替えることにより、洗浄水流量を制御してもよい。図5に示すように構成することにより、排ガス処理装置5における洗浄水を削減し、省エネルギを達成できる。
【0067】
図5に示すように、排ガス処理装置5の排水を中和するために、中和液供給ポンプ82が設置されている。中和液供給ポンプ82の配管には中和液流量計83が設置されている。コントローラ6は、製造装置の供給ガス種、ガス流量に応じて排水を中和するための中和液の供給量を自動計算し、中和液の流量が計算値になるように中和液供給ポンプ82の出力を自動調整する。図5に示すように構成することにより、中和液の供給量が削減できるとともに、pHメータが無くてもpHコントロールが可能となる。
【0068】
また、図5に示すように、排気系システム2が清掃タイミングになった時点で製造装置1からクリーニングガスを排気し、排気系システム2の接ガス部分に付着した粉体を除去することができるようになっている。すなわち、真空ポンプ装置3、排ガス処理装置5、接続配管7に所定量の粉体の付着が発生したことを検知し、排気系システム2におけるこれらの機器から粉体付着が発生したことを製造装置1に対してメンテナンス要求として信号出力する。この出力は、排気系システム2の各機器を個別に制御するためのコントローラから行ってもよいし、コントローラ6から行ってもよい。信号を受信した製造装置1はHF,ClF,NFなどのクリーニングガスを製造装置出口に放出する。排気系システム2における粉体付着検知は、圧力(真空ポンプ排気圧力、排ガス処理装置流入圧力など)、真空ポンプ負荷率(電力など)、製造装置からのガス放出時間等で検知する。これにより、粉体による配管閉塞の防止、粉体による真空ポンプ停止の防止、粉体清掃時間の短縮が可能となる。
【0069】
クリーニングガスは、HF,ClF,NFなどの腐食性の強いガスであるため、排気系システム2の配管や各機器をクリーニングガスでクリーニングする際に、真空ポンプ装置3、排ガス処理装置5、接続配管7等が腐食する恐れがある。そのため、クリーニングガスのガス種、ガス流量に応じた加熱温度をコントローラ6に記憶させておき、フィードフォワードとPID制御の組合せで、配管ヒータ8および希釈用Nユニット4の温度設定値変更と温度制御を自動で行う。これにより、クリーニングガスによる排気系システム2の各機器の腐食消耗が防止できる。なお、コントローラ6に代えて、配管ヒータ8や希釈用Nユニット4を個別に制御するためのコントローラにより配管ヒータ8や希釈用Nユニット4を制御するようにしてもよい。
【0070】
図5に示す排気系システム2において、コントローラ6は、排気系システム2でメンテナンスが必要となった時点で、製造装置1にメンテナンス要求出力を出すことができる。また、コントローラ6は、排気系システム2でメンテナンスが必要となる時期を算出し、製造装置1に出力する。すなわち、製造装置1からコントローラ6に製造装置の運転工程、供給ガス種、供給ガス流量が入力される。コントローラ6は、入力された供給ガス流量を積算することにより製造装置1に供給したガスの積算供給量を計算し、排気系システム2の機器でメンテナンスが必要となる積算供給量に到達した時点で、製造装置1へメンテナンス要求出力を出す。この場合、メンテナンスが必要となる機器は、粉体が付着する真空ポンプ装置3や粉体や排液が溜まる排ガス処理装置5が代表的機器である。勿論、他の機器もメンテナンス要求の対象となる。このように、排気系システム2側から製造装置1へメンテナンス要求を出すことができるため、排気系システム2の機器の適正なメンテナンスおよび清掃を行うことができる。したがって、排気系システム2において機器故障の防止を図ることができ、製造装置1の安定稼働を確保することができる。コントローラ6は、積算供給量に到達する以前は、製造装置1から入力される、供給されたガスの種類とガスの供給量からガス種とその残供給可能量(排気系システム2で継続して処理できるガス量)を製造装置1へ出力したり、これらの情報により、メンテナンスが必要となる時期を予測し、この予測情報を製造装置1に出力することができる。なお、排ガス処理装置5においては、循環タンク50に粉体が溜まるが、循環タンク50に溜まった粉体の量は、製造装置1から排出された排ガスの量と比例するので、循環タンク50に溜まった粉体の量を製造装置1から排出された排ガス量から算出することにより、排気系システム2でメンテナンスが必要となる時間を検知することもできる。
【0071】
また、図5に示す排気系システム2において、排ガス処理装置5の粉体自動清掃を行うことができる。製造装置1が製造をしていない工程であることをコントローラ6で確認して、排ガス処理装置5におけるタンク、粉体捕集トラップの自動洗浄を行う。自動洗浄は製造装置の供給ガス種とその積算供給量が規定値に到達した場合にのみ実施する。これにより、人手によるメンテナンスの手間を削減することができるとともに、製造装置の稼働率を向上させることができる。また、メンテナンスによる使用ユーティリティを削減することもできる。
【0072】
さらに、気密試験対象部位を密閉できるように排気系システム2の各機器の接続配管7上に自動弁を配置し、その密閉される部位に圧力センサと、N供給配管を配置する。排気系システム2の各機器の操作盤で自動気密試験のボタン(スイッチ)を操作すると、気密試験対象部位が自動弁で密閉され、Nで密閉部が所定圧力まで自動で加圧される。Nにより加圧された時点の圧力を記憶し、所定時間後の圧力と比較することで漏洩箇所の有無を操作盤のソフトにより自動で判断する。気密試験終了後は自動弁を順次開にし、加圧に使用したNを放出する。
【0073】
図5に示す排気系システム2において、排気系システム2の機器に異常や故障が起こったときに、排気系システム2の機器側から製造装置1に異常や故障の表示信号やアラーム信号を出力することは従来の排気系システムと同様である。
【0074】
図6乃至図8は、排気系システム2の機器の全体を制御するコントローラおよび排気系システム2の各機器(真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,配管ヒータ8)に付属して設置された個別のコントローラの実施例を示す模式図である。
【0075】
図6は、製造装置との通信機能と製造装置の排気側に設置された排気系機器(全てまたは一部)の運転制御機能を備えたコントローラの一例を示す。図6に示すように、コントローラは、製造装置1との通信と排気系システム2に設置された各排気系機器(真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,配管ヒータ8,バルブ等)の運転制御を行う。
図7は、製造装置との通信機能と各排気系機器の制御ユニット(または機器付属のコントローラ)との通信機能を備えたコントローラの一例を示す。図7に示すように、コントローラは、製造装置1との通信と排気系システム2に設置された各排気系機器(真空ポンプ装置3,希釈用Nユニット4,排ガス処理装置5,配管ヒータ8,バルブ等)の制御ユニットとの通信を行う。
図8は、製造装置との通信機能と各排気系機器との通信機能を各排気系機器に付属した制御ユニットに備えた一例を示す。図8に示す実施例では、排ガス処理装置5の制御ユニットに製造装置1ならびに排気系システム2に設置された各排気系機器との通信機能を持たせている。この場合には、図6および図7に示すような独立したコントローラは不要となる。
【0076】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0077】
1 製造装置
2 排気系システム
3 真空ポンプ装置
4 希釈用Nユニット
5 排ガス処理装置
6 コントローラ
7 接続配管
8 配管ヒータ
10,20 真空ポンプ
11,22 ポンプ吸気口
13 ルーツ型ポンプロータ
14 1段ルーツ部
15 2段ルーツ部
18,21 ポンプ排気口
23 連結管
24 スクリュー型ポンプロータ
25 1段スクリュー部
26 2段スクリュー部
27 段間部
28 圧力センサ
29 配管
30,31 モータ
40 加熱処理部
41 バーナ
42 燃焼室
45 バイパス弁(三方弁)
46 予混合器
50 循環タンク
50A,50B 槽
51 堰
55 冷却部
56 配管
57 スプレーノズル
60 排ガス洗浄部
61 壁部材
62 ガス流路
63,64 ノズルユニット
63A,64A,71 ミストノズル
63B,63B 水膜ノズル
70 整流部材
77 排出ポート
79 熱交換器
80 シャワーノズル
81 ミストトラップ
82 中和液供給ポンプ
83 中和液流量計
85 水位センサ
86 漏洩センサ
MFC1〜MFC5,MFC10〜MFC11,MFC15 マスフローコントローラ
P 循環ポンプ
V1 ゲートバルブ
V2 バイパスバルブ
V5,V21 バルブ
V11〜V14 遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス又は液晶又はLED又は太陽電池を製造する製造装置のチャンバを排気する排気系システムにおいて、
前記チャンバを真空排気する真空ポンプ装置と、
前記チャンバから排気された排ガスを処理する排ガス処理装置と、
前記製造装置と前記真空ポンプ装置と前記排ガス処理装置とを接続する配管と、
前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するコントローラとを備え、
前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報を前記コントローラに入力して前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するようにしたことを特徴とする排気系システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいてNガスの供給量、水の供給量、電力、燃料と酸素と空気の各供給量、ヒーター温度、プラズマ出力のいずれか1つ以上を制御することを特徴とする請求項1記載の排気系システム。
【請求項3】
前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、前記コントローラはメンテナンス要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする請求項1記載の排気系システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要となる時期又はメンテナンスが必要となるまでの被処理ガスの種類と残供給可能量を予測し、この予測情報を前記製造装置に出力することを特徴とする請求項1記載の排気系システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報に基づいて前記真空ポンプ装置の回転速度を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排気系システム。
【請求項6】
前記メンテナンス要求の情報は、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から得ることを特徴とする請求項3記載の排気系システム。
【請求項7】
前記チャンバから排気される排ガスにNガスを添加するNユニットを備え、
前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して前記Nユニットを制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排気系システム。
【請求項8】
前記製造装置と前記真空ポンプ装置と前記排ガス処理装置とを接続する配管の少なくとも一部を加熱する配管ヒータを備え、
前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報をコントローラに入力して前記配管ヒータを制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排気系システム。
【請求項9】
前記製造装置からクリーニングガスを排気して前記排気系システムの各機器をクリーニングするようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の排気系システム。
【請求項10】
前記真空ポンプ装置又は前記排ガス処理装置又は前記配管に粉体が付着して前記クリーニングが必要になったときに、前記コントローラは前記クリーニングの要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする請求項9記載の排気系システム。
【請求項11】
前記コントローラは、排気系システムの機器の全体を制御するコントローラからなるか、または前記排気系システムの各機器を制御する個別のコントローラからなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の排気系システム。
【請求項12】
半導体デバイス又は液晶又はLED又は太陽電池を製造する製造装置のチャンバを排気する排気系システムの制御方法において、
前記排気系システムは、
前記チャンバを真空排気する真空ポンプ装置と、
前記チャンバから排気される排ガスを処理する排ガス処理装置と、
前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御するコントローラとを備え、
前記製造装置の運転工程、前記製造装置に供給されたガスの種類およびガス流量の情報を前記コントローラに入力して前記真空ポンプ装置及び/又は排ガス処理装置を制御することを特徴とする排気系システムの制御方法。
【請求項13】
前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要になったときに、前記コントローラはメンテナンス要求の情報を前記製造装置に出力することを特徴とする請求項12記載の排気系システムの制御方法。
【請求項14】
前記コントローラは、前記製造装置に供給されたガスの種類とガスの積算供給量から前記真空ポンプ装置又は排ガス処理装置にメンテナンスが必要となる時期又はメンテナンスが必要となるまでの被処理ガスの種類と残供給可能量を予測し、この予測情報を前記製造装置に出力することを特徴とする請求項12または13記載の排気系システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−54541(P2012−54541A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161552(P2011−161552)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】