説明

携帯端末装置

【課題】使用者がどの位置にいても、使用者に健康上の不具合が発生した場合に確実に第三者にその旨を伝達できるようにする。
【解決手段】脈拍検知センサ6と、心電波検知センサ8と、GPSデータを取得するGPS受信部13と、無線通信回線に接続して通信を行う送受信部12と、健康時の脈拍値および血圧値の比較元データを記憶するメモリ部18と、端末全体を制御する主制御部10とを有する携帯端末装置1であって、主制御部10が、センサ6,8の検知結果に基づいて脈拍値、心拍数および血圧値を導出するとともに監視し、脈拍値、心拍数および血圧値の少なくともいずれか一方が比較元データの範囲外になった場合に、脈拍値、心拍数および血圧値の情報にGPSデータを加えた文書/音声メッセージを自動作成して、電子メールおよび音声通話によって送信相手先に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の脈拍、心拍、血圧を測定する機能およびGPS(Global Positioning System)情報を取得する機能を有し、使用者の健康に問題が発生した場合に、位置情報を第三者に報知するようにした携帯端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧測定が可能な腕時計が開発、商品化されている。腕時計で用いられている血圧測定方法としては脈波伝播速度法があり、この脈波伝播速度法は、心電波を検出するセンサと脈拍を検出するセンサとを本体に内蔵し、この2種類のセンサが、脈波の発生時点と到達時点を検出し、その時間差を脈波伝播時間として血圧を算出するものである。ここで、脈波伝播時間とは、血液の脈波が心臓を発してから指先に到達するまでの時間を指すものであり、血圧が高くなると脈波伝播時間が短くなり、逆に血圧が低くなると脈波伝播時間が長くなることが知られている。このように、血圧と脈波伝播時間とが関連付けられているため、脈波伝播時間から血圧を算出することが可能となる。
【0003】
また従来、この種の技術としては、特許文献1、2に記載されたものがある。この特許文献1には、在宅患者の情報を、インターネットを介して文書メール、ビデオメールさらにはバイタルメール等を用いて、地域ケアセンタに伝達する、といった技術について記載されている。
【0004】
特許文献2には、GPS機能および心電計や脳波計といった医療計測機能を有するピアス、イヤリングあるいは腕輪といった装飾品を、痴呆症や知的障害を有する者に携帯させ、医療管理センタが無線電波を用いて装飾品からの情報を取得することによって、位置と健康状態を管理する、といった技術について記載されている。
【特許文献1】特開2002−236759号公報
【特許文献2】特開2004−236713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した血圧測定機能を有する腕時計においては、使用者が腕時計を見ることによって健康状態をチェックできるようになる。しかし、使用者が健康上の不具合が発生して自身が動けなくなるような事態に見舞われた場合、腕時計は使用者の健康上の不具合を検出しているにもかかわらず、第三者にその旨を伝達することができない。
【0006】
また特許文献1記載の技術においては、在宅患者には有効であるが、外出可能な患者に用いた場合には、患者に健康上の不具合が発生しても、居場所がわからないため、対処が遅れるおそれがある。
【0007】
また特許文献2記載の技術においては、医療管理センタが、常時、GPS機能および医療計測機能を有する装飾品を持った者を監視するようなシステムであるが、常時監視する者がいない場合には、装飾品を持った者の体調に異常が発生した時に、その異常の発生が必ず第三者に伝達されるとは限らない。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決し、使用者がどこの位置にいても、使用者の健康上の不具合が発生した場合に確実に第三者にその旨を伝達することを実現した携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、以下のような構成を有する。
【0010】
(1) 使用者の身体情報を測定する身体情報測定部と、前記使用者の位置データを取得するGPS受信部と、外部の無線通信回線に接続して通信を行う送受信部と、予め設定した身体情報値の比較元データを記憶するメモリ部と、各部を制御する制御部と、を有する携帯端末装置であって、前記メモリ部には、送信相手先情報と、当該送信先情報に対して送信するメッセージデータと、前記身体情報測定部により使用者の身体情報の測定値データを得、前記メモリ部に記憶された前記比較元データと前記測定値との比較処理を前記制御部に実行させる監視プログラムと、前記監視プログラムを前記制御部が実行し、前記比較元データと前記測定値との比較処理の結果が所定の結果に至った場合、前記メモリ部に記憶されたメッセージデータを抽出し、抽出した前記メッセージデータと前記GPS受信部により得られた位置データとから送信メッセージを生成し、当該生成した送信メッセージを、前記無線送受信部を介して、前記メモリ部に予め記憶した送信相手先に対して自動送信する処理を前記制御部に実行させるメッセージ作成および送信プログラムと、が記憶されていることを特徴とする携帯端末装置。
【0011】
(1)の発明によれば、無線通信回線に接続可能な範囲内であれば使用者がどこの位置にいても、使用者の身体情報から問題が検出された場合に確実に第三者にその旨を伝達することが可能になる。
【0012】
(2) (1)の携帯端末装置であって、前記身体情報測定部は、使用者の脈拍を測定する脈拍測定部と、前記使用者の心拍を測定する心拍測定部と、を有し、前記制御部は、前記脈拍測定部および前記心拍測定部からの測定値に基づいて血圧値を算出することを特徴とする携帯端末装置。
【0013】
(2)の発明によれば、(1)の効果に加えて、使用者の身体情報として、脈拍、心拍、血圧を測定することが可能になり、これらの測定数値を用いることによって身体情報を監視することが可能になる。
【0014】
(3) (1)または(2)の携帯端末装置であって、前記メモリ部には、前記制御部に監視させる身体情報と、前記比較元データの数値と、を設定させるための設定プログラムが記憶されていることを特徴とする携帯端末装置。
【0015】
(3)の発明によれば、(1)または(2)の効果に加えて、設定プログラムを実行することにより、比較元データの数値を任意に設定することができるために、使用者の健康状態に合わせて、身体情報を監視することができる。
【0016】
(4) (3)の携帯端末装置であって、前記身体情報および前記比較元データの数値は使用者によって任意に設定可能であり、前記身体情報は、脈拍と心拍と血圧の中から少なくとも1つ設定されることを特徴とする携帯端末装置。
【0017】
(4)の発明によれば、(3)の効果に加えて、脈拍と心拍と血圧の中から、監視する身体情報を選択することが可能になり、監視したい身体情報を限定することができる。
【0018】
(5) (1)〜(4)の携帯端末装置であって、前記送受信部は、電話回線網に接続して通話する機能と、インターネット網に接続して電子メールを送信する機能とを有することを特徴とする携帯端末装置。
【0019】
(5)の発明によれば、(1)〜(4)の効果に加えて、電話による音声通話と、電子メールによる文書により使用者の異常を伝達しておくことが可能になり、第三者に使用者の異常が伝達される可能性が高くなる。
【0020】
(6) (1)〜(5)の携帯端末装置であって、前記送信メッセージは文書情報であり、前記送受信部は、送信相手先に電子メールによって前記送信メッセージを伝達することを特徴とする携帯端末装置。
【0021】
(6)の発明によれば、(1)〜(5)の効果に加えて、送信相手先の状況にかかわらず、使用者の異常を伝達しておくことが可能になり、電話が不通により使用者の異常を伝達できない、といった事態を防止することができる。
【0022】
(7) (6)の携帯端末装置であって、前記送信メッセージにおける前記位置情報は、前記位置情報に対応する情報源にアクセス可能なURLによって記述されることを特徴とする携帯端末装置。
【0023】
(7)の発明によれば、(6)の効果に加えて、送信相手先が、電子メールが送られた端末を操作することによって、容易に位置を確認することが可能となり、送信相手先が早めに行動を起こすことが可能になる。
【0024】
(8) (1)〜(4)の携帯端末装置であって、前記送信メッセージは音声情報であり、前記送受信部は、送信相手先に自動発呼して前記送信メッセージを伝達することを特徴とする携帯端末装置。
【0025】
(8)の発明によれば、(1)〜(4)の効果に加えて、送信相手先に対して直接的に使用者の異常を伝達することが可能になり、送信相手先が早めに行動を起こすことが可能になる。
【0026】
(9) (8)の携帯端末装置であって、前記送受信部は、前記メッセージを送信する際に自動発呼を行い、送信相手先が着呼した場合にのみ回線を切ることを特徴とする携帯端末装置。
【0027】
(9)の発明によれば、(8)の効果に加えてより確実に使用者の異常を報知することが可能になる。
【0028】
(10) (9)の携帯端末装置であって、発呼動作時に鳴動音を外部に伝達するスピーカを有することを特徴とする携帯端末装置。
【0029】
(10)の発明によれば、(9)の効果に加えて送信相手先が着呼するまで、スピーカを介して鳴動音が出力され続けるため、使用者の周囲にいる人達が使用者の異常状態に気付く可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、使用者がどこの位置にいても、使用者の健康状態に異常が発生した場合において、第三者にその旨を確実に伝達することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
図1は本発明の一実施形態における携帯端末装置の概要を示す斜視図であり、図1(a)は装置の表面側、図1(b)は装置の裏面側をそれぞれ示す。携帯端末装置1は、本体2が伸縮自在の環状のベルト7に取り付けられたものであり、本体2の表面側には、液晶表示器3、操作ボタン4およびスピーカ5が設置されており、裏面側には心電波検知センサ8が設置されている。さらに本体2には導線を介して脈拍検知センサ6が接続されている。
【0033】
心電波検知センサ8は、電池の収納部を開閉する開閉蓋を兼ねた電極であり、心電波検知センサ8の表面は外部に露出している。この心電波検知センサ8によって心拍数の測定が可能になる。脈拍検知センサ6は、発光素子と受光素子とを備えており、発光素子が手首の所定位置に光を照射し、反射光を受光素子が受光することにより、血液の脈流が検知される。すなわち、血液中のヘモグロビンは、光を吸収する性質を有するため、血液が多く流れている場合には受光量が減少し、血液が少なく流れている場合には受光量が増加する。そのため、受光量の増減を検知することによって脈拍数の測定がなされるようになる。
【0034】
図2は本実施形態の携帯端末装置の使用状態を示す説明図であり、携帯端末装置1は図2に示すように手首に取り付けて使用される。心電波検知センサ8は、携帯端末装置1を身に付けた際、直接肌に触れる。また、脈拍検知センサ6は、手のひら側の手首部分における親指下方の骨の部分と中指下方の筋の部分との間において、脈拍が最もはっきり現れている部分に配置され、ベルト7の内面と手首との間に挟持される。
【0035】
図3は本実施形態の携帯端末装置の制御系を示すブロック図であり、装置全体は主制御部10によって制御される。送受信部12は、アンテナ14を介して通信回線に無線接続して、所定の相手先との間で音声または文書データの送受信を行うものである。また、GPS受信部13は、GPS衛星からの電波を、アンテナ14を介して受信して、緯度、経度、高度といったGPSデータを取得するものである。I/F部15は外部のパーソナルコンピュータや情報端末と接続して送受信を行うものである。表示制御部16は主制御部10からの命令に従って液晶表示器3の表示制御を行うものであり、音声制御部17は主制御部10からの命令に従ってスピーカ5の駆動制御を行うものである。メモリ部18は、各種のプログラムやデータを記憶するものであり、使用者の脈拍値、心拍数および血圧値を監視する監視プログラム、電子メール送信用の文章を自動作成するためのプログラム、音声メッセージを自動作成するためのプログラム、携帯端末装置1を携帯した使用者(以下、携帯者と称する)を特定するための個人データ、脈拍値、心拍数および血圧値の比較元データの範囲を設定するためのしきい値を設定するための初期設定プログラム等が記憶されている。計時部19は現在の時刻、年月日を計時するものである。電源部20は携帯端末装置1全体に電源を供給するものである。
【0036】
次に、動作について図4を参照しながら説明する。まず、予め初期設定を行い(ステップ1、以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする。)、しきい値としての血圧値の上下限a1,a2、脈拍値の上下限b1,b2、心拍数の上下限c1,c2を設定し、さらに鳴動回数X等を設定する。なお、初期設定の詳細については後述する。次に、主制御部10は、監視プログラムを起動して、脈拍検知センサ6および心電波検知センサ8の検知データをモニタし(S2,S3)、脈拍検知センサ6の検知データに基づいて脈拍数を求めるとともに、脈拍検知センサ6および心電波検知センサ8からの検知データに基づいて血圧値を算出し(S4)、血圧値A、脈拍値Bおよび心拍数Cとしきい値a1,a2,b1,b2,c1,c2とを比較して、正常な範囲にあるか否かを判断する(S5)。正常と判断した場合には(S5のYes)、脈拍数、心拍数および血圧値のモニタを継続する(S2〜S5)。
【0037】
正常な範囲外であると判断した場合には(S5のNo)、主制御部10がGPS受信部13を駆動して、GPSデータ情報を取得し(S6)、メモリ部18に一時的に記憶する。次に、電子メールの送信文章を自動作成するためのプログラムを起動する(S7)。ここで、例えば、「ケツアツチガ○○ヲコエマシタ。ゲンザイ××デス」、「ミャクハクチガ△△ヲコエマシタ。ゲンザイ□□デス」、「ミャクハクチガケンチサレマセン」といった複数のメッセージフォーマットをメモリ部18に予め用意しておき、状況に最も近いフォーマットを選択して数値を入力することにより、メール本文が自動作成される。次に、このメール本文に、予め取得したGPSデータに基づく所定の情報源にアクセスするためのURLを付加し、個人データを付加し、さらに計時部19から時間情報を取得して、日時データを付加することによって送信メールの文章が自動作成される。
【0038】
例えば、脈拍値と血圧値とがともにしきい値を超えた場合には、
ケツアツチガ○○ヲコエマシタ。ゲンザイ××デス
ミャクハクチガ△△ヲコエマシタ。ゲンザイ□□デス
シンパクチガ○×ヲコエマシタ。ゲンザイ△□デス
ゲンザイイチ http://www.・・・・・・
ナマエ ********
デンワバンゴウ 012−345−6789
ニチジ 2005/01/01 00:00:00
といった文章が自動作成される。
【0039】
自動作成後、初期設定においてメモリ部18に予め登録しておいた送信相手先に一斉に自動送信して(S8)、プログラムを終了する。
【0040】
次に、通話用の音声メッセージを自動作成するためのプログラムを起動し(S9)、送信メールを音声化する。このプログラムは五十音に対応する音声を、送信メールの文字列に従って並べたものである。ここで、GPSデータのURLについては、URLの代わりにGPSデータに対応する住所情報を取得して音声化する。具体的には、主制御部10が、送受信部12を制御して、GPSデータの検索サイトにアクセスして住所情報を取得する。音声データを自動作成した後、オンフック通話状態とし、初期設定において予め登録しておいた送信相手先から一人ずつ相手先を指定して自動発呼し(S10,S11)、送信相手先が着呼した場合に音声データを送信する(S17のYes)。この時、鳴動音の出力回数xをモニタしておく(S12)。そして、音声データの送信後オンフック通話状態を解除して通話を終了する(S14〜S16)。送信相手先が複数設定されている場合には、最初の相手先との通話を終了した後、次の送信相手先に自動発呼して(S17のNo,S10,S11)、音声データを送信する。そして、初期設定において登録しておいた全ての送信相手先に対する通話が完了した時点で(S13のYes)、プログラムを終了する。ここで、複数の送信相手先からの着呼がない場合には(S13のNo)、所定回数X鳴動した場合に(S18のNo)、一旦オンフック通話状態を解除して着呼の要求を中止して(S19)、再度オンフック通話状態に切り換えて次の送信相手先に自動発呼する(S10,S11)。この動作を全ての送信相手先に対する通話が完了するまで継続する。
【0041】
なお、送信相手先に自動発呼している最中には、スピーカ5から鳴動音が出力される。そのため、全ての送信相手先に対する通話が完了するまでは、スピーカ5から鳴動音が出力されるようになる。なお、通話が完了した送信相手先の数と、通話が完了していない送信相手先の数とを液晶表示器3に表示させても良い。
【0042】
また、上述した例においては、音声データの送信後オンフック通話状態を解除して回線を切断したが、それに限らず、送信相手先の終呼を確認した時点でオンフック通話状態を解除してもよい。さらに、送信相手先が留守番電話である場合や、送信相手先からのメッセージを要求してスピーカ5から出力させる場合を考慮すると、音声データの送信終了時点から所定時間経過後にオンフック通話状態を解除しても良い。
【0043】
また、上述した例においては、音声データは、送信データを利用して作成されたものであるが、それに限らず、「ケツアツチガ○○ヲコエマシタ。ゲンザイ××デス」、「ミャクハクチガ△△ヲコエマシタ。ゲンザイ□□デス」、「シンパクチガケンチサレマセン」といった音声データフォーマットおよび個人データの音声データを予め用意し、血圧値、脈拍値やGPSデータのみを音声変換プログラムによって音声データ化し、この音声データと個人データの音声データを、抽出された音声データフォーマットに入力することよって自動作成しても良い。
【0044】
次に、初期設定について説明する。まず、I/F15と外部のパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと称する)のI/Fとをケーブルによって連結する。次に、パソコンの操作によってメモリ部18にアクセスし、メモリ部18に保存されている初期設定プログラムを起動させ、図5に示す初期設定画面を、パソコンに接続されている図示しないディスプレイに表示させる。
【0045】
初期設定の設定項目としては、監視する身体情報の種類、身体情報のしきい値、携帯者の個人情報、電子メールの送信先、音声メッセージの連絡先等が備えられている。
【0046】
本実施形態においては、監視可能な身体情報として脈拍、心拍および血圧があるため、この3つの中から任意に選択される。例えば、心臓に不安のある場合には脈拍を監視し、血圧に不安のある場合には血圧を監視し、さらに運動することに不安のある場合には心拍を監視するなど、使用者の目的に合わせて適宜設定可能である。
【0047】
また、身体情報のしきい値の設定項目には、脈拍数、心拍数、血圧値のしきい値が使用者によって入力される。なお、この項目には、予めデフォルト値が入力されており、個人の健康状態に応じて適宜、設定値が変更可能になっている。なお、身体情報のしきい値の設定項目においては、身体情報として選択されなかった項目に対応する設定項目については、入力不可能な状態にしても良い。電子メールの送信先や音声メッセージの連絡先の項目には、新規に入力するかもしくは電子データによって作成されたアドレス帳から選択可能になっている。その他、しきい値の上限から下限までの範囲を調整するための調整値を設定する項目が設けられている。この調整値により、例えば、運動を始める場合などには範囲を広く、安静状態にある場合には範囲を狭く設定するなど、個人の状況に合わせてしきい値の上限から下限までの範囲を変えることが可能になる。
【0048】
なお、初期設定の方法としては、上述したように、パソコンと携帯端末装置1とをケーブルによって連結する他にも、携帯端末装置1の液晶表示器3に初期設定画面を表示させて、各種の設定を行うようにしても、また、メモリ部18を着脱自在なカード型メモリとし、初期設定時にはカード型メモリを携帯端末装置1から抜き出して、パソコンにマウントされているリーダーに装着することにより、各種の設定を行い、設定後、カード型メモリを携帯端末装置1に戻すようにしても良い。さらには、パソコンから電子メールによって初期設定データを送信して、携帯端末装置1に初期設定データを導入するようにしても良い。
【0049】
このように構成された本実施形態によれば、携帯端末装置1の携帯者の脈拍あるいは血圧に異常が検出された場合、その旨とともにGPSデータを付加したメッセージを所定の送信相手先に送信されるために、送信相手先においては携帯者の現在地を容易に特定できるようになり、迅速な対応を行うことが可能になる。しかも、電子メールにおいてはGPSデータがURLで表示されるため、URLを選択することにより容易に携帯者の現在地を特定できるようになる。また、電子メールと電話回線を介した音声通話という2つの伝達方法で連絡するとともに、複数の送信相手先を設定することができるため、携帯者に異常が検出された旨を第三者により確実に伝達することが可能になる。しかも、オンフック通話状態は相手先がオンフックにしない限り解除されないため、携帯端末装置1からの発呼に対し、初期設定された全ての相手先が着呼しない限り、スピーカ5から鳴動音が出力され続けるようになり、携帯者の周囲にいる第三者が異常に気付いてくれる可能性が高くなる。また、子供に本実施形態の携帯端末装置を携帯させることにより、迷子になった場合など子供が、危険な状態に陥った場合に脈拍、心拍が上昇し、血圧が高くなる状態が継続されるため、安全用、防犯用としての機能も期待できる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した構成に限るものではない。例えば、図1に示す構成では、装飾品としての腕輪を想定しているが、それ以外にも腕時計であっても良く、さらに心電波と脈拍が検知できるのであれば、装着位置も手首に限るものではない。
【0051】
また、健康な子供の安全用として用いる場合には、スピーカ5から出力される鳴動音がかえって子供が危険な状態に陥るおそれもあるため、スピーカ5の使用の可/不可を初期設定あるいは操作ボタン4の操作によって設定できるようにしても良い。さらには、子供の電子玩具のように見せるために、液晶表示器3に漫画のキャラクター等を表示させておいても良く、また、腕時計として機能させるために計時部19からの情報に基づいて時刻表示を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態における携帯端末装置の概要を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の携帯端末装置を手首に取り付けた状態を示す説明図である。
【図3】本実施形態の携帯端末装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】初期設定画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯端末装置、3…液晶表示器、5…スピーカ、6…脈拍検知センサ、8…心電波検知センサ、10…主制御部、12…送受信部、13…GPS受信部、15…I/F部、18…メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体情報を測定する身体情報測定部と、前記使用者の位置データを取得するGPS受信部と、外部の無線通信回線に接続して通信を行う送受信部と、予め設定した身体情報値の比較元データを記憶するメモリ部と、各部を制御する制御部と、を有する携帯端末装置であって、
前記メモリ部には、
送信相手先情報と、
当該送信先情報に対して送信するメッセージデータと、
前記身体情報測定部により使用者の身体情報の測定値データを得、前記メモリ部に記憶された前記比較元データと前記測定値との比較処理を前記制御部に実行させる監視プログラムと、
前記監視プログラムを前記制御部が実行し、前記比較元データと前記測定値との比較処理の結果が所定の結果に至った場合、前記メモリ部に記憶されたメッセージデータを抽出し、抽出した前記メッセージデータと前記GPS受信部により得られた位置データとから送信メッセージを生成し、当該生成した送信メッセージを、前記無線送受信部を介して、前記メモリ部に予め記憶した送信相手先に対して自動送信する処理を前記制御部に実行させるメッセージ作成および送信プログラムと、が記憶されていることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記身体情報測定部は、使用者の脈拍を測定する脈拍測定部と、前記使用者の心拍を測定する心拍測定部と、を有し、
前記制御部は、前記脈拍測定部の測定結果に基づいて脈拍値を算出し、前記心拍測定部の測定結果に基づいて心拍値を算出し、前記脈拍値と前記心拍値に基づいて血圧値を算出し、
前記測定値は、前記脈拍値、前記心拍値および前記血圧値の少なくともいずれか1つであり、
前記比較元データは、前記身体情報に応じて予め設定された上限しきい値と下限しきい値からなり、
前記制御部は、前記測定値が前記上限しきい値と前記下限しきい値に基づく範囲外となった場合に、メッセージ作成および送信プログラムを実行させることを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記メモリ部には、前記制御部に監視させる身体情報と、前記比較元データの数値と、を設定させるための設定プログラムが記憶されていることを特徴とする請求項1または2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記身体情報および前記比較元データの数値は使用者によって任意に設定可能であり、前記身体情報は、脈拍と心拍と血圧の中から少なくとも1つ設定されることを特徴とする請求項3記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記送受信部は、電話回線網に接続して通話する機能と、インターネット網に接続して電子メールを送信する機能とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記送信メッセージは文書情報であり、前記送受信部は、送信相手先に電子メールによって前記送信メッセージを伝達することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記送信メッセージにおける前記位置情報は、前記位置情報に対応する情報源にアクセス可能なURLによって記述されることを特徴とする請求項6記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記送信メッセージは音声情報であり、前記送受信部は、送信相手先に自動発呼して前記送信メッセージを伝達することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の携帯端末装置。
【請求項9】
前記送受信部は、前記メッセージを送信する際に自動発呼を行い、送信相手先が着呼した場合にのみ回線を切ることを特徴とする請求項8記載の携帯端末装置。
【請求項10】
発呼動作時に鳴動音を外部に伝達するスピーカを有することを特徴とする請求項9記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−54241(P2007−54241A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242280(P2005−242280)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】