説明

撮像装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムが記録された記録媒体

【課題】対象物の大きさの指標となる目盛をリアルタイムに撮像画像に重ねて表示することができる安価で簡潔な構成の撮像装置、画像表示方法、及び画像表示のためのプログラムを記録した記録媒体を提供すること。
【解決手段】対象物を撮像し、その撮像画像を表示する撮像装置であって、撮像画像中の対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成部と、目盛に歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行うために使用する補正用データを記憶しているデータ記憶部と、補正用データに基づいて目盛に形状補正を行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正部と、歪曲目盛を撮像画像に合成する画像合成部を有し、リアルタイムで撮像画像を歪曲目盛と合成して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を撮像し、撮像した撮像画像を表示する撮像装置において、撮像画像に対象物の大きさの指標となる目盛を重ねて表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、観察対象である対象物を撮像画像として撮像し、撮像した撮像画像を液晶ディスプレイや有機/無機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等の表示部にリアルタイムに表示する撮像装置、例えば内視鏡やデジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等が普及している。このような撮像装置では、レンズ等からなる撮像光学部を用いて対象物で反射した反射光を被写体像としてCCDやCMOS等のイメージングセンサに結像し、結像した被写体像を撮像画像として撮像する。
【0003】
通常、撮像光学部を用いてイメージングセンサに結像された被写体像は、撮像光学部の歪曲収差により実際の対象物と比較して歪んでいる。理解を助けるために、歪みの状況について図11を参照して説明する。
【0004】
図11は、撮像光学系の歪曲収差による被写体像の歪みを示す概念図である。ここで、図11(a)は実際の対象物を示している。また、図11(b)は、樽型歪曲収差を持つ撮像光学部を用いて図11(a)に示した対象物を結像した被写体像を示している。このように、撮像光学部により結像される被写体像は実際の対象物と比べて歪んでいるため、撮像装置で撮像される撮像画像も実際の対象物と比べると歪んだ物になってしまう。
【0005】
なお、図11(b)に示したような樽型歪みは、撮像光学部として広角レンズを用いた場合に生じ、特に広角レンズを用いて近距離を撮影した場合に顕著に現れる。広角レンズは、被写界深度が深く、対象物の広い範囲にピントを合わせることができるという特性を持つため、複数のレンズを駆動するピント調節機構を有する撮像光学部を組み込むのが構造上難しい内視鏡等でよく使用されている。内視鏡等では数mm~数十cm程度の近距離に存在する対象物を撮像する場合が多いため、上述した樽型歪みが顕著に現れる。
【0006】
ところで、このような撮像装置を用いて対象物を撮像する場合、表示部に表示した撮像画像から対象物の大きさを知りたいというニーズが存在する。この様なニーズを満たすために、内視鏡に対象物を撮像する撮像手段を複数設け、それらで撮像した複数の撮像画像間の各対応点の位置関係から各対応点の3次元座標を計算し、計算した3次元座標に基づいて撮像画像に目盛を重ねて表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
また、内視鏡に、内視鏡先端の空間位置および方向を計算する内視鏡位置・方向検出手段と、連続する内視鏡画像の各点の動きから内視鏡画像の面内方向の移動量を算出する移動量情報集出手段と、内視鏡先端の空間位置および方向と内視鏡画像の面内方向の移動量とに基づいて内視鏡画像内の各点の3次元座標を算出する奥行き情報算出手段を設け、算出した各点の3次元座標に基づいて目盛を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0008】
さらにまた、内視鏡に、内視鏡視野内において距離計算用のレーザ光を走査する測定光走査手段を設け、レーザ光の走査線上の各点と内視鏡先端との間の距離を計算し、その結果に基づいて目盛を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0009】
さらにまた、内視鏡に、対象物までの距離の2次元分布を示す距離画像を撮像する距離画像センサを設け、撮像した距離画像に基づいて目盛を表示する技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−156212号公報
【特許文献2】特開2000−210248号公報
【特許文献3】特開平5−041901号公報
【特許文献4】特開2005−087468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した特許文献1から特許文献4で提案されている技術には、以下に示すような課題がある。
【0012】
特許文献1に記載の技術では、複数の撮像手段で撮像した複数の撮像画像間で対応する対応点を検出する必要がある。また、撮像画像間の対応点を検出するためには、各撮像画像に対して撮像光学部の歪曲収差による歪みを補正する計算を行う必要がある。これらの処理には膨大な計算が必要であり、パーソナルコンピュータ(以下単に、PCと言う。)等の汎用計算機を用いてこれらの計算を行う場合、リアルタイムに撮像画像に目盛を重ねて表示するのが難しいという課題がある。
【0013】
特許文献2に記載の技術では、連続する画像間の対応点を検出し、各対応点の3次元座標を計算している。そのため、特許文献1に記載の技術と同様に膨大な計算が必要であり、汎用計算機ではリアルタイムに撮像画像に目盛を重ねて表示するのが難しいという課題がある。また、内視鏡の先端位置を検出する内視鏡位置・方位センサを内視鏡に取り付ける必要があり、内視鏡の価格が高くなってしまうという課題もある。
【0014】
また、特許文献3に記載の技術では、測定光走査手段を用いてレーザ光源の物理的な位置を制御し、内視鏡の先端までレーザ光をガイドするのに使用する光ファイバを順次切り替えることで内視鏡視野内でレーザ光を走査させ、その反射光に基づいて走査ライン上の対象物との間の距離を計算している。そのため、レーザ光源の物理的な位置を精密に制御する機構が必要であり、撮像装置の構成が複雑になるという課題がある。
【0015】
また、特許文献4に記載の技術では、撮像した撮像画像内の各点の3次元位置を計算するために距離画像を撮像する距離画像センサが必要であり、撮像装置の価格が高くなってしまうという課題がある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、対象物の大きさの指標となる目盛をリアルタイムに撮像画像に重ねて表示することができる安価で簡潔な構成の撮像装置、画像表示方法、及び画像表示のためのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの観点にかかる撮像装置は、対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置であって、さらに前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成部と、前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行うために使用する補正用データを記憶しているデータ記憶部と、前記補正用データに基づいて前記目盛に形状補正を行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正部と、前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成部を有し、前記表示部は、前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示することを特徴とする。
【0018】
本発明の他の観点にかかる画像表示方法は、対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置が行う画像表示方法であって、前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成ステップと、前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を補正用データに基づいて行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正ステップと、前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成ステップと、前記表示部に前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示するステップを有することを特徴とする。
【0019】
本発明のさらに他の観点にかかる、画像表示プログラムを記録した記録媒体は、対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置に、前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成手順と、前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を補正用データに基づいて行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正手順と、前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成手順と、前記表示部に前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示する手順を実行させる画像表示プログラムが記録されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、撮像画像中の対象物の大きさの指標となる目盛を生成し、生成した目盛に対して撮像光学部の歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行い、補正を行った歪曲目盛を撮像画像に合成して表示するものであるが、本発明では、生成した目盛に対して歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行うため、撮像画像に対して補正を行う場合と比較して少量の計算で済み、PC等の汎用計算機でもリアルタイムに目盛を撮像画像に重ねて表示することができる。
【0021】
また、本発明では、特許文献2に記載の内視鏡位置・方位センサや特許文献4に記載の距離画像センサ等の特殊なセンサを必要としないため撮像装置を安価に提供することができる。
【0022】
さらにまた、本発明では、特許文献3に記載の測定光走査手段のような物理的な位置を精密に制御する機構等の複雑な構成が不要なため、簡潔な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した距離計算部170と目盛生成部180の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した目盛形状補正部190の動作を説明する図である。
【図4】図1に示した撮像装置100の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した距離計算部510と、移動量計算部520と、目盛生成部530の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】対象物と図5に示した受光部130との位置関係の一例を説明する図である。
【図8】図6に示した奥行き目盛計算部532の動作を説明する図である。
【図9】図5に示した目盛形状補正部190の動作を説明する図である。
【図10】図5に示した距離計算部510と、移動量計算部520と、目盛生成部530の動作を説明するフローチャートである。
【図11】撮像装置における撮像光学部の歪曲収差による被写体像の歪みを説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の撮像装置100は、照明光源110と、レーザ光源120と、受光部130と、光分離部140と、撮像光学部150と、撮像部160と、距離計算部170と、目盛生成部180と、目盛形状補正部190と、データ記憶部200と、画像合成部210と、表示部220と、操作部230とを有している。
【0026】
照明光源110は、操作部230からの照明光照射の指示を受けて、少なくとも可視光の波長領域(380nm〜750nm)の一部もしくは全ての領域を含む光を照明光300として対象物に照射する。照明光源110としてはキセノンランプやハロゲンランプ等を用いることができる。
【0027】
レーザ光源120は、操作部230からのレーザ光照射の指示を受けて、対象物に対してレーザ光310を照射する。ここでは、レーザ光源120は、波長780nmのレーザ光310を照射するものとする。このように、可視光の波長領域を外れた波長領域を用いることで、撮像部160にて対象物を撮像した際に撮像画像にレーザ光310が映りこむのを避けることができる。なお、レーザ光源120が照射するレーザ光310の波長はこれに限定されるものではなく、任意の波長領域のレーザ光を用いてよい。
【0028】
受光部130は、対象物で反射した照明光300とレーザ光310とを含む反射光400を受光する。受光部130は、例えば、撮像装置100として内視鏡装置を考えた場合、内視鏡の先端部に対応する。
【0029】
光分離部140は、受光部130で受光された反射光400を、レーザ光310の成分(レーザ光成分)と、照明光300の成分を含むそれ以外の成分(照明光成分)とに分離する。光分離部140により分離された照明光成分は撮像光学部150に、レーザ光成は距離計算部170にそれぞれ入射される。なお、光分離部140としては、ダイクロイックプリズム等のビームスプリッタを使用することができる。
【0030】
撮像光学部150は、光分離部140から入射された照明光成分に基づいて、対象物を被写体像として撮像部160に結像する。撮像光学部150は、歪曲収差を有し、結像される被写体像は実際の対象物と比較して歪んでいる。撮像光学部150としては、広角レンズ等を使用することができる。
【0031】
撮像部160は、操作部230からの撮像開始の指示を受けて、撮像光学部150により結像された被写体像を撮像画像として撮像する。ここでは、撮像部160は、あらかじめ設定された撮像フレームレートに基づいて、結像された被写体像の撮像を繰り返すものとする。撮像部160としては、CCDやCMOS等のイメージングセンサを用いることができる。
【0032】
距離計算部170は、操作部230からの目盛生成開始の指示を受けて、光分離部140から入射されたレーザ光成分に基づいて受光部130と対象物との間の距離を示す対象間距離を計算する。ここでは、距離計算部170は、撮像部160の撮像フレームレートに基づいて対象間距離の計算を繰り返すものとする。
【0033】
目盛生成部180は、距離計算部170で計算された対象間距離に基づいて、撮像部160で撮像された撮像画像中の対象物の大きさの指標となる目盛の目盛幅を計算し、計算した目盛幅に応じた目盛を生成する。目盛生成部180は、距離計算部170で対象間距離が計算されるたびに目盛の生成を行うものとする。
【0034】
目盛形状補正部190は、目盛生成部180により生成された目盛に撮像光学部150の歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行うことで歪曲目盛を生成する。ここでは、目盛形状補正部190は、目盛生成部180で目盛が生成されるたびに歪曲目盛を生成するものとする。
【0035】
データ記憶部200は、距離計算部170による対象距離の計算や、目盛生成部180による目盛幅の計算や、目盛形状補正部190による目盛の形状補正に用いられる補正用データである補正パラメータや補正マトリクス等を記憶している。これらの値は、距離計算部170や目盛生成部180、目盛形状補正部190等を介して、操作部230から変更可能なものとする。
【0036】
画像合成部210は、目盛形状補正部190で生成された歪曲目盛を撮像部160で撮像された撮像画像に重ねて合成し、合成した撮像画像を表示部220に出力する。なお、画像合成部210は、操作部230にて目盛生成の開始を指示する操作が受け付けられていない場合、歪曲目盛の合成を行わずに撮像部160から出力された撮像画像をそのまま表示部220に出力するものとする。表示部220は、画像合成部210から出力された撮像画像を表示する。操作部230は、使用者による上述した各種操作を受け付け、その旨を各構成要素に指示する。
【0037】
次に、図2を参照して、距離計算部170と目盛生成部180の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示した距離計算部170と目盛生成部180の詳細な構成を示すブロック図である。
【0038】
まず、距離計算部170の構成について説明する。図2に示すように、距離計算部170は、結像光学部171と、距離センサ172と、反射距離計算部173とを有している。結像光学部171は、光分離部140から入射されたレーザ光成分を距離センサ172に集光する。距離センサ172は、結像光学部171により集光されたレーザ光成分の強度を示す受光量を計測する。距離センサ172としては、撮像部160と同様に、CCDやCMOS等のイメージングセンサを用いることができる。反射距離計算部173は、操作部230からの目盛生成開始の指示を受けて、距離センサ172で計測されたレーザ光成分の受光量とデータ記憶部200に記憶されている距離キャリブレーションパラメータとに基づいて対象間距離を計算する。なお、反射距離計算部173は、撮像部160の撮像フレームレートに基づいて対象間距離の計算を繰り返し行うものとする。
【0039】
レーザ光成分の受光量から対象間距離を計算する技術は公知の技術であり、対象間距離が長くなるほどレーザ光成分の受光量が減少することを利用した技術である。レーザ光成分の受光量は対象間距離に対して指数関数的に減少するため、あらかじめ各対象間距離でのレーザ光成分の受光量を計測し、近似曲線から距離キャリブレーションパラメータを算出しておくことで、レーザ光成分の受光量から対象間距離を逆算することができるようになる。
【0040】
次に、目盛生成部180の構成について説明する。図2に示すように、目盛生成部180は、面内目盛計算部181と、生成部182とを有している。
【0041】
面内目盛計算部181は、反射距離計算部173で計算された対象間距離と、データ記憶部200に記憶されている面内目盛幅パラメータとに基づいて、撮像部160で撮像された撮像画像中の対象物の大きさの指標となる目盛の目盛幅を計算する。ここで目盛幅パラメータは、対象間距離と生成する目盛の目盛幅の関係を示すパラメータであり、各対象間距離における実空間での一定の幅が撮像画像中の何ピクセル分に相当するかをキャリブレーションすることで求めることができる。なお、目盛幅計算部181で計算される目盛幅は、撮像画像中の奥行きが対象間距離と等しい面内における対象物の大きさを示す目盛である面内目盛の目盛幅である。以降、この目盛幅を面内目盛幅と呼ぶ。生成部182は、面内目盛計算部181にて計算された面内目盛幅に基づいて面内目盛を生成し、目盛形状補正部190に出力する。
【0042】
図3は、図1に示した目盛形状補正部190の動作を説明する図である。ここで、図3(a)は目盛生成部180により生成された目盛の一例を、図3(b)は目盛形状補正部190により生成された歪曲目盛の一例をそれぞれ示している。
【0043】
目盛形状補正部190は、データ記憶部200にあらかじめ記憶されている補正用データである補正パラメータおよび補正マトリクスを用いて図3(a)に示すような目盛生成部180が生成した目盛に対して、形状補正として幾何学変換を行うことで、図3(b)に示すような歪んだ目盛である歪曲目盛を生成する。ここで補正用データである補正パラメータおよび補正マトリクスは、撮像光学部150の歪曲収差による被写体像の歪みと同様の歪みを生成した目盛に与えるための幾何学変換を示すパラメータおよびマトリクスである。
【0044】
補正パラメータおよび補正マトリクスは、所定の格子模様、例えば市松模様等を撮像光学部150を介して撮像し、格子模様の歪み具合から計算することができる。より具体的には、所定の格子模様を撮像光学部150を介して撮像した画像から、Zhangの手法等の公知の技術により撮像光学部150の歪曲収差による歪みをなくす幾何学補正を行うための補正用パラメータおよび補正用マトリクスを求め、その逆変換を行う補正パラメータおよび補正マトリクスを求めることで計算することができる。
【0045】
なお、補正パラメータおよび補正マトリクスを用いた幾何学変換方法は、上述したZhangの手法等の公知の技術における幾何学変換方法と同様の方法を用いることができる。また、補正用データである補正パラメータおよび補正マトリクスは撮像光学部150特有の値であるため、本実施形態の撮像装置100の製造時等に計算し、初期設定としてデータ記憶部200に記憶させておけば良い。
【0046】
このようにして生成した歪曲目盛を、画像合成部210にて撮像画像に重ねて合成し、合成した撮像画像を表示部220にて表示することで、撮像画像中の対象物の大きさを歪曲目盛に基づいて求めることができる。なお、ここでは、図3(a)に示すように目盛生成部180は計算した目盛幅に応じて格子状の目盛を生成するものとしているが、十字や直線等の他の形状の目盛を生成してもよい。また、図3(b)に示すように撮像光学部150は樽型歪曲収差を持つものとしているが、糸巻き歪曲収差等の他の歪曲収差を持つものでもよい。
【0047】
ここで、図4を参照して図1に示した撮像装置100の動作について説明する。図4は、図1に示した撮像装置100の動作を説明するフローチャートである。
【0048】
まず、撮像装置100の使用者により操作部230にて照明光300およびレーザ光310の照射を指示する操作が行われると、照明光源110およびレーザ光源120は照明光300およびレーザ光310の照射をそれぞれ開始する(ステップS1)。
【0049】
また、使用者により、操作部230にて撮像開始を指示する操作と、目盛生成開始を指示する操作が行われると、撮像部160は撮像画像の撮像を、距離計算部170は対象間距離の計算をそれぞれ開始する。照明光300とレーザ光310の照射が開始されると、対象物にそれらが反射した反射光400が受光部130で受光される(ステップS2)。
【0050】
受光部130で受光された反射光400は、光分離部140にて、照明光成分とレーザ光成分とに分離され、照明光成分は撮像光学部150に、レーザ光成分は距離計算部170の結像光学部171にそれぞれ入射される(ステップS3)。
【0051】
撮像光学部150は、照明光成分が入射されると、照明光成分に基づいて対象物を被写体像として撮像部160に結像する(ステップS4)。この際、撮像光学部150の歪曲収差により被写体像は実際の対象物と比べて歪んでいる。
【0052】
操作部230からの指示に応じて撮像画像の撮像を開始している撮像部160は、結像された被写体像を撮像画像として撮像し、画像合成部210に出力する(ステップS5,S6)。
【0053】
一方、結像光学部171は、レーザ光成分が入射されると、レーザ光成分を距離センサ172に集光する。距離センサ172は、結像光学部171により集光されたレーザ光成分の受光量を計測し、反射距離計算部173に出力する。操作部230からの指示に応じて対象間距離の計算を開始している反射距離計算部173は、距離センサ172で計算された受光量に基づいて対象間距離を計算し、目盛生成部180の面内目盛計算部181に出力する(ステップS7)。
【0054】
面内目盛計算部181は、反射距離計算部173で計算された対象間距離と、データ記憶部200に記憶されている目盛幅キャリブレーションパラメータとに基づいて面内目盛幅を計算する(ステップS8)。
【0055】
生成部182は、面内目盛計算部181で計算された面内目盛幅に基づいて、面内目盛を目盛として生成する(ステップS9)。
【0056】
目盛形状補正部190は、生成部182にて生成された目盛に対して、データ記憶部200に記憶されている補正マトリクスに基づいて形状補正を行うことで歪曲目盛を生成し、画像合成部210に出力する(ステップS10,S11)。
【0057】
次に、画像合成部210は、目盛形状補正部190から出力された歪曲目盛を撮像部160から出力された撮像画像に重ねて合成し、合成した撮像画像を表示部220に出力する(ステップS12,S13)。
【0058】
次に、表示部220は、画像合成部210から出力された、歪曲目盛と合成された撮像画像を表示する(ステップS14)。
【0059】
以降、使用者により操作部230にて撮像および目盛生成の終了を指示する操作が行われるまで、撮像部160の撮像フレームレートに基づいてステップS4〜ステップS14の処理が繰り返される。使用者により、操作部230にて撮像および目盛生成の終了を指示する操作が行われると撮像部160は撮像画像の撮像を、反射距離計算部173は対象間距離の計算を終了する(ステップS15)。
【0060】
その後、使用者により、操作部230にて照明光300およびレーザ光310の照射停止の指示が行われると、照明光源110およびレーザ光源120は照明光300およびレーザ光310の照射をそれぞれ停止する(ステップS16)。
【0061】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述したように本実施形態の撮像装置100によれば、撮像画像中の対象物の大きさの指標となる目盛を生成し、生成した目盛に対して撮像光学部150の歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行い、補正を行った歪曲目盛を撮像画像に合成して表示する。
【0062】
このように本実施形態の撮像装置100では、生成した目盛に対して形状補正を行うため、撮像画像に対して補正を行う場合と比較して少量の計算で済み、PC等の汎用計算機でもリアルタイムに目盛を撮像画像に重ねて表示することができる。
【0063】
また、本実施形態の撮像装置100では、特許文献4に記載されている距離画像センサや特許文献2に記載されている内視鏡位置・方位センサ等の特殊なセンサを必要としないため撮像装置を安価に提供することができる。
【0064】
また、本実施形態の撮像装置100では、特許文献3に記載されている測定光走査手段のような物理的な位置を精密に制御する機構等の複雑な構成が不要なため、簡潔な構成で実現することができる。
【0065】
また、本実施形態の撮像装置100では、レーザ光310の反射光であるレーザ光成分に基づいて対象間距離を計算し、計算した対象間距離に基づいて面内目盛幅を計算することで対象間距離に応じた目盛を生成するため、対象間距離が変化し、撮像画像中の対象物の大きさが変化しても適切は目盛幅の目盛を撮像画像に重ねて表示することができる。
(第2の実施形態)
【0066】
図5は、本発明の第2の実施形態の撮像装置の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態の撮像装置500は、図1に示した第1の実施形態の撮像装置100と比較して、移動距離計算部520を有する点と、距離計算部170の代わりに距離計算部510を、目盛生成部180の代わりに目盛生成部530を有する点とが異なる。なお、他の構成要素については、図1に示した撮像装置100と同様のため説明を省略する。
【0067】
図6は、図5に示した距離計算部510と、移動量計算部520と、目盛生成部530の詳細な構成を示すブロック図である。最初に、距離計算部510の構成について説明する。図6に示すように、距離計算部510は、結像光学部511と、距離センサ512と、反射距離計算部513とを有している。
【0068】
結像光学部511は、光分離部140から入射されたレーザ光成分に基づいて、レーザ光310の照射により対象物上に生じたスペックルパターンをスペックル像として距離センサ512に結像する。結像光学部511としては、広角レンズ等を使用することができる。
【0069】
距離センサ512は、図2に示した距離センサ172と同様に、レーザ光成分の受光量を計測する。また、距離センサ512は、結像光学部511により結像されたスペックル像をスペックル画像として撮像する。距離センサ512は、あらかじめ設定されたスペックル画像フレームレートに基づいて繰り返しスペックル画像の撮像を行うものとし、撮像されたスペックル画像は、移動量計算部520に出力される。なお、スペックル画像フレームレートは、撮像部160の撮像フレームレート以下の間隔とする。距離センサ512としては、CCDやCMOS等のイメージングセンサを使用することができる。反射距離計算部513は、図2に示した反射距離計算部173と同様であるため説明を省略する。
【0070】
次に、移動量計算部520の構成について説明する。図6に示すように、移動量計算部520は、画像間変位計算部521と、画像記憶部522と、変位累計部523とを有している。
【0071】
画像記憶部522は、画像変位計算部521専用の記憶領域であり、データ記憶部200と比較して高速なデータの読み書きが行える。
【0072】
画像間変位計算部521は、距離センサ514で撮像された連続するスペックル画像間の変位量を計算する。具体的には、画像間変位計算部521は、距離センサセンサ512から出力されたスペックル画像を画像記憶部522に記憶する。また、画像間変位計算部521は、距離センサ512から出力されたスペックル画像と、画像記憶部522に記憶しておいた前回距離センサ512から出力されたスペックル画像との間の変位量をベクトルとして計算する。なお、画像間変位計算部521は、スペックル画像間の変位量を、例えば、スペックル画像間の相関を計算する方法や、オプティカルフローを計算する方法、SHIFT(Scale Invariant Feature Transform)特徴量を計算する方法等の公知の計算方法を用いて計算するものとする。これらのスペックル画像間の変位量を計算する技術は、例えばレーザマウス等で使用されている公知の技術であるため、ここでは詳細な記述を省略する。また、ここでは、画像間変位計算部521は、画像記憶部522にスペックル画像を記憶するものとしたが、データ記憶部200に記憶してもよい。
【0073】
変位累計部523は、あらかじめ設定されている所定の間隔の間、画像間変位計算部521で計算された変位量を累計し、変位量の累計値を所定の間隔における受光部130の移動量として目盛生成部530に出力する。なお、所定の間隔は撮像部160の撮像フレームレート以上の間隔とする。ここでは、変位累計部523は、所定の間隔の間変位量を累計するものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、操作部230にて、受光部130の移動開始を示す操作が受け付けられてから、移動終了を示す操作が受け付けられるまでの間の変位量の累計を行ってもよい。なお、移動量は、ベクトルである変位量を累計したものであるためベクトルとして計算されるものとする。
【0074】
次に、目盛生成部530の構成について説明する。図6に示すように、目盛生成部530は、面内目盛計算部531と、奥行き目盛計算部532と、生成部533とを有している。
【0075】
面内目盛計算部531は、反射距離計算部513から対象間距離が出力されると、対象間距離とデータ記憶部200に記憶されている目盛幅パラメータとに基づいて面内目盛幅を計算し、計算した面内目盛幅と対象間距離とを奥行き目盛計算部532に出力する。
【0076】
奥行き目盛計算部532は、変位累計部523から受光部130の移動量が出力されると、移動量と、受光部130の移動開始位置および終了位置の2点において距離計算部510が計算した対象間距離と、それらの対象間距離に基づいて面内目盛計算部531が計算した面内目盛幅とに基づいて撮像画像中の奥行き方向の対象物の大きさの指標となる奥行き目盛の目盛幅を計算する。以降、奥行き目盛計算部532で計算された目盛幅を奥行き目盛と呼ぶ。
【0077】
生成部533は、反射距離計算部513で計算された対象間距離と、面内目盛計算部531で計算された面内目盛幅と、奥行き目盛計算部532で計算された奥行き目盛幅とに基づいて、面内目盛および奥行き目盛を組み合わせた目盛である3次元目盛を生成する。生成された3次元目盛は、目盛形状補正部190に出力される。
【0078】
次に、奥行き目盛計算部532が奥行き目盛幅を計算する動作と、生成部533が3次元目盛を生成する動作とについて、図7乃至図9を参照して説明する。
【0079】
図7は、対象物と図5に示した受光部130との位置関係の一例を説明する図である。図8は、図6に示した奥行き目盛計算部532の動作を説明する図である。図9は、図5に示した目盛形状補正部190の動作を説明する図である。ここで、図9(a)は生成部533により生成される3次元目盛の一例を、図9(b)は、目盛形状補正部190により(a)が形状補正された歪曲目盛の一例を示している。
【0080】
ここでは、図7に示すように、対象物上の点Aと対峙する位置にて受光部130が対象物と正対した状態で撮像が開始され、その後、所定の間隔の間に、使用者により受光部130が点Bと対峙する位置へと対象物と並行して移動させられた場合の奥行き目盛計算部532と生成部533の動作について説明する。
【0081】
まず、奥行き目盛計算部532は、図6に示した面内目盛計算部531から図7の点Aにおける対象間距離d1と面内目盛幅m1とが初回の出力として出力されると、それらを受光部130の移動開始位置のデータである始点データとしてデータ記憶部532に記憶する。
【0082】
次に、奥行き目盛計算部532は、図6に示した変位累計部523から受光部130の移動量Lが出力されるまで、面内目盛計算部531から出力される対象間距離および面内目盛幅を受光部130の移動終了位置のデータである終点データとしてデータ記憶部200に記憶する。
【0083】
所定の間隔が経過し、図6に示した変位累計部523から受光部130の移動量Lが出力されると、奥行き目盛計算部532は、データ記憶部200に記憶しておいた始点データと終点データとに基づいて、受光部130の移動により生じた対象間距離の差分と、面内目盛幅間の比率とを計算する。この際、終点データには、図7の点Bにおける対象間距離d2と面内目盛幅m2とが記憶されている。そのため、ここでは、対象間距離の差分d2−d1=Δdと、面内目盛幅の比率m1/m2と、が計算される。
【0084】
次に、奥行き目盛計算部532は、始点データの面内目盛幅m1に基づいて生成される第1の面内目盛と、終点データの面内目盛幅m2に基づいて生成される第2の面内目盛との撮像画像中での配置位置を移動量Lに基づいて計算する。
【0085】
ここでは、図8に示すように、第2の面内目盛820の中心Cが撮像画像800の中心と一致するように配置され、撮像画像800の中心から移動量L離れた位置に第1の面内目盛810の中心Dが配置されるものとする。これらの位置は、撮像光学部150に歪曲収差が存在しない場合の撮像画像中の対象物上の点Bと点Aの位置に相当する。なお、図8では、第1の面内目盛を十字目盛として、第2の面内目盛を格子状目盛として図示しているが、これらは概念を説明するためのものであり、実際に撮像画像上に描画されるわけではない。
【0086】
次に、奥行き目盛計算部532は、計算した第1の面内目盛と第2の面内目盛の配置位置と、面内目盛幅の比率m1/m2と、対象間距離の差分Δdとに基づいて奥行き目盛幅を計算する。具体的には、奥行き目盛計算部532は、中心点Cと中心点Dとを結ぶ線分が対象間距離の差分Δdと等しく、奥行き目盛幅は撮像画像中の奥行きが浅い位置から深い位置に向けて等比級数的に減少するものとして奥行き目盛幅を計算する。
【0087】
次に、生成部533は、計算した奥行き目盛幅と、始点データの面内目盛幅m1と、終点データの面内目盛幅m2とに基づいて、図9(a)に示すような3次元目盛を生成する。生成された3次元目盛は、目盛形状補正部190により形状補正が行われ、図9(b)に示すよう歪曲目盛に変換される。なお、生成部533が生成する3次元目盛の形状は、図9(a)に示すような格子状目盛にL字型目盛を組み合わせた形状に限定されるものではなく撮像画像中の対象物の3次元的な大きさを把握できる任意の形状でよい。
【0088】
なお、奥行き目盛計算部532は、生成部533に、奥行き目盛幅と始点データと終点データとを出力した後、終点データを始点データとしてデータ記憶部532に記憶し、引き続き、面内目盛計算部531から出力された対象間距離および面内目盛幅を終点データとしてデータ記憶部200に記憶する。
【0089】
図10を参照して、図5に示した撮像装置500の動作について説明する。図10は、図5に示した距離計算部510と、移動量計算部520と、目盛生成部530と、目盛形状補正部190との動作を説明するフローチャートである。ここでは図4に示したフローチャートのステップS7からステップS11に相当する動作についてのみ説明する。これら以外の動作は図4に示したフローチャートと同様のため説明を省略する。
【0090】
まず、距離計算部510の結像光学部511は、光分離部140により対象物で反射した反射光から分離されたレーザ光成分が入射されると、入射されたレーザ光成分に基づいて、スペックルパターンをスペックル像として距離センサ512に結像する(ステップS101)。
【0091】
距離センサ512は、レーザ光成分の受光量を計測し反射距離計算部513に出力する。反射距離計算部513は、距離センサ512から出力された受光量に基づいて対象間距離を計算し、目盛生成部530の面内目盛計算部531に出力する(ステップS102)。
【0092】
面内目盛計算部531は、反射距離計算部513から出力された対象間距離に応じた面内目盛幅を計算し、計算した面内目盛幅と対象間距離とを奥行き目盛計算部532に出力する(ステップS103,S104)。なお、奥行き目盛計算部532に出力された面内目盛幅および対象間距離は、目盛計算部532にて始点データもしくは終点データとしてデータ記憶部200に記憶される。
【0093】
一方、距離センサ512は、スペックル画像フレームレートに基づいてスペックル画像の繰り返し撮像も行い、撮像したスペックル画像を移動量計算部520の画像間変位計算部521に出力する。画像間変位計算部521は、距離センサ512から出力され最新のスペックル画像と画像記憶部522に記憶しておいた前回出力されたスペックル画像との間の変位量を計算する(ステップS105)。
【0094】
画像間変位計算部521で計算された変位量は、変位累計部523にて所定の間隔の間累計され、累計値は受光部130の移動量として目盛生成部530の奥行き目盛計算部532に出力される(ステップ106,S107)。
【0095】
奥行き目盛計算部532は、変位累計部523から受光部130の移動量が出力されると、移動量に基づいて撮像画像中における第1の面内目盛と第2の面内目盛の配置位置を計算する(ステップS108)。
【0096】
また、奥行き目盛計算部532は、データ記憶部200に記憶しておいた始点データおよび終点データに基づいて、面間目盛幅の比率と対象間距離の差分を計算し、それらと、第1の面内目盛と第2の面内目盛の配置位置とに基づいて、奥行き目盛幅を計算する(ステップS109)。
【0097】
次に、生成部533は、奥行き目盛幅と、始点データおよび終点データとに基づいて3次元目盛を生成する(ステップS110)。
【0098】
次に、目盛形状補正部190は、生成部533にて3次元目盛が生成されると、データ記憶部200に記憶している補正マトリクスに基づいて、3次元目盛に対して形状補正を行うことで歪曲目盛を生成する(ステップS111)。目盛形状補正部190は、生成した歪曲目盛を画像合成部210に出力する(ステップS112)。
【0099】
次に、本実施形態の効果について説明する。上述したように本実施形態の撮像装置500によれば、使用者により受光部130が移動させられた際に、受光部130の移動量をベクトルとして計算し、計算した移動量と受光部130の移動開始位置および終了位置の2点において距離計算部510が計算した対象間距離とそれら2点の対象間距離に基づいて面内目盛計算部531が計算した面内目盛幅とに基づいて奥行き目盛幅を計算することで、面内目盛に加え、奥行き目盛も生成することができる。そのため、本実施形態の撮像装置500においては、表示部220に表示した撮像画像から対象物の3次元的な大きさを求めることができる。
【0100】
なお、上述した第1および第2の実施形態の撮像装置100,500は、一例であり、その構成及び動作は、発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更可能である。例えば、第1および第2の実施形態では、レーザ光成分の受光量に基づいて対象間距離を計算しているが、レーザ光源120からレーザ光310としてパルスレーザ光を照射し、距離計算部170,510にて、レーザ光照射からレーザ光の反射光を受光するまでの経過時間(飛行時間(TOF:Time Of Flight))に基づいて対象間距離を測定するようにしてもよい。
【0101】
また、本発明の撮像装置100,500の一部の機能、例えば図1の撮像装置100における距離計算部170の一部、目盛生成部180、目盛形状補正部190、データ記憶部200、画像合成部210や、図5の距離計算部510の一部、移動量計算部520、目盛生成部530、目盛形状補正部190、データ記憶部200、画像合成部210等は、上述のように専用のハードウェアにより実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを、撮像装置100,500に読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを撮像装置100,500に読み込ませ、実行するものであってもよい。撮像装置100,500に読み取り可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM等の記録媒体、撮像装置100,500に内蔵されるハードディスク装置等の記憶装置を指す。さらに、撮像装置100,500に読み取り可能な記録媒体は、撮像装置100,500内部の揮発性メモリのように動的に一定時間プログラムを保持しているものを含む。
【符号の説明】
【0102】
100 撮像装置
110 照明光源
120 レーザ光源
130 受光部
140 光分離部
150 撮像光学部
160 撮像部
170,510 距離計算部
171,511 結像光学部
172,512 距離センサ
173,513 反射距離計算部
180,530 目盛生成部
181,531 面内目盛計算部
182,533 生成部
190 目盛形状補正部
200 データ記憶部
210 画像合成部
220 表示部
230 操作部
520 移動量計算部
521 画像間変位計算部
522 画像記憶部
523 変位累計部
532 奥行き目盛計算部
800 撮像画像
810 第1の面内目盛
820 第2の面内目盛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置であって、さらに
前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成部と、
前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を行うために使用する補正用データを記憶しているデータ記憶部と、
前記補正用データに基づいて前記目盛に形状補正を行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正部と、
前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成部を有し、
前記表示部は、前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記対象物にレーザ光を照射するレーザ光源と、
前記反射光から前記レーザ光の成分であるレーザ光成分を分離する光分離部と、
前記レーザ光成分に基づいて、前記対象物と前記受光部との間の距離を示す対象間距離を計算する距離計算部とを有し、
前記目盛生成部は、
前記対象間距離に基づいて、前記撮像画像中の奥行きが該対象間距離と等しい面内における前記対象物の大きさの指標となる面内目盛の目盛幅である面内目盛幅を計算する面内目盛計算部と、
前記面内目盛幅に基づいた面内目盛を前記目盛として生成する生成部を有する撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記距離計算部は、
前記レーザ光成分の強度を示す受光量を計測する距離センサと、
前記受光量に基づいて前記対象間距離を計算する反射距離計算部を有する撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置であって、
前記レーザ光成分に基づいて、当該撮像装置の使用者により前記受光部が所定の間隔の間に移動させられた移動量をベクトルとして計算する移動量計算部を有し、
前記目盛生成部は、
前記移動量と、前記移動の開始位置および終了位置の2点において前記距離計算部が計算した対象間距離と、前記2点の対象間距離に基づいて前記面内目盛計算部が計算した面内目盛幅とに基づいて、前記撮像画像中の奥行き方向の前記対象物の大きさの指標となる奥行き目盛の目盛幅である奥行き目盛幅を計算する奥行き目盛計算部を有し、
前記面内目盛幅に基づいた面内目盛を前記目盛として生成する前記生成部は、前記面内目盛に加え、前記奥行き目盛幅と前記移動量とに基づいた奥行き目盛も前記目盛として生成する撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置であって、
前記使用者からの操作を受け付ける操作部を有し、
前記移動量計算部は、前記所定の間隔の代わりに、前記操作部にて前記移動の開始を指示する操作が受け付けられてから、前記移動の終了を指示する操作が受け付けられるまでの間の前記受光部の移動量を計算する撮像装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の撮像装置であって、
前記距離計算部は、
前記レーザ光の照射により前記対象物上に生じたスペックルパターンを、前記レーザ光成分に基づいてスペックル像として結像する結像光学部を有し、
前記距離センサは、前記スペックル像をスペックル画像として繰り返し撮像し、
前記移動量計算部は、
前記距離センサにより撮像された連続するスペックル画像間の変位量をベクトルとして計算する画像間変位計算部と
前記移動の間の前記変位量を累計することで前記移動量を計算する変位累計部を有する撮像装置。
【請求項7】
対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置が行う画像表示方法であって、
前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成ステップと、
前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を補正用データに基づいて行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正ステップと、
前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成ステップと、
前記表示部に前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示するステップとを有することを特徴とする画像表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載の画像表示方法であって、
前記対象物にレーザ光を照射するレーザ照射ステップと、
前記反射光から前記レーザ光の成分であるレーザ光成分を分離する光分離ステップと、
前記レーザ光成分に基づいて、前記対象物と前記受光部との間の距離を示す対象間距離を計算する距離計算ステップを有し、
前記目盛生成ステップでは、
前記対象間距離に基づいて、前記撮像画像中の奥行きが該対象間距離と等しい面内における前記対象物の大きさの指標となる面内目盛の目盛幅である面内目盛幅を計算する面内目盛計算ステップと、
前記面内目盛幅に基づいた面内目盛を前記目盛として生成する生成ステップを有する画像表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像表示方法であって、
前記距離計算ステップは、
前記レーザ光成分の強度を示す受光量を計測する距離センスステップと、
前記受光量に基づいて前記対象間距離を計算する反射距離計算ステップを有する画像表示方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像表示方法であって、
前記レーザ光成分に基づいて、当該撮像装置の使用者により前記受光部が所定の間隔の間に移動させられた移動量をベクトルとして計算する移動量計算ステップを有し、
前記目盛生成ステップでは、
前記移動量と、前記移動の開始位置および終了位置の2点において前記距離計算ステップで計算した対象間距離と、前記2点の対象間距離に基づいて前記面内目盛計算ステップで計算した面内目盛幅とに基づいて、前記撮像画像中の奥行き方向の前記対象物の大きさの指標となる奥行き目盛の目盛幅である奥行き目盛幅を計算する奥行き目盛計算ステップを有し、
前記生成ステップでは、前記面内目盛に加え、前記奥行き目盛幅と前記移動量に基づいた奥行き目盛も前記目盛として生成する画像表示方法。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示方法であって、
前記撮像装置は、前記使用者からの操作を受け付ける操作部を有するものとし、
前記移動量計算ステップでは、前記所定の間隔の代わりに、前記操作部にて前記移動の開始を指示する操作が受け付けられてから、前記移動の終了を指示する操作が受け付けられるまでの間の前記受光部の移動量を計算する画像表示方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の画像表示方法であって、
前記レーザ光の照射により前記対象物上に生じたスペックルパターンを、前記レーザ光成分に基づいてスペックル像として結像する結像光学ステップと、
前記スペックル像をスペックル画像として繰り返し撮像するスペックル像撮像ステップとを有し、
前記移動量計算ステップは、
前記スペックル像撮像ステップにより撮像された連続するスペックル画像間の変位量をベクトルとして計算する画像間変位計算ステップと
前記移動の間の前記変位量を累計することで前記移動量を計算する変位累計ステップを有する画像表示方法。
【請求項13】
対象物で反射した反射光を受光する受光部と、該反射光に基づいて、歪曲収差により前記対象物を歪ませて被写体像として結像する撮像光学部と、該被写体像を撮像画像として撮像する撮像部と、該撮像画像を表示する表示部を有する撮像装置に、
前記撮像画像中の前記対象物の大きさの指標となる目盛を生成する目盛生成手順と、
前記目盛に前記歪曲収差による歪みと同等の歪みを与える形状補正を補正用データに基づいて行った歪曲目盛を生成する目盛形状補正手順と、
前記歪曲目盛を前記撮像画像に合成する画像合成手順と、
前記表示部に前記歪曲目盛と合成された前記撮像画像を表示する手順を実行させる画像表示プログラムが記録された記録媒体。
【請求項14】
請求項13に記載の画像表示プログラムが記録された記録媒体であって、前記画像表示プログラムが、
前記対象物にレーザ光を照射するレーザ照射手順と、
前記反射光から前記レーザ光の成分であるレーザ光成分を分離する光分離手順と、
前記レーザ光成分に基づいて、前記対象物と前記受光部との間の距離を示す対象間距離を計算する距離計算手順とを有し、
前記目盛生成手順では、
前記対象間距離に基づいて、前記撮像画像中の奥行きが該対象間距離と等しい面内における前記対象物の大きさの指標となる面内目盛の目盛幅である面内目盛幅を計算する面内目盛計算手順と、
前記面内目盛幅に基づいた面内目盛を前記目盛として生成する生成手順を有することを特徴とする画像表示プログラムが記録された記録媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の画像表示プログラムが記録された記録媒体であって、
前記距離計算手順は、
前記レーザ光成分の強度を示す受光量を計測する距離センス手順と、
前記受光量に基づいて前記対象間距離を計算する反射距離計算手順を有することを特徴とする画像表示プログラムが記録された記録媒体。
【請求項16】
請求項15に記載の画像表示プログラムが記録された記録媒体であって、前記画像表示プログラムは、
前記レーザ光成分に基づいて、当該撮像装置の使用者により前記受光部が所定の間隔の間に移動させられた移動量をベクトルとして計算する移動量計算手順を有し、
前記目盛生成手順は、
前記移動量と、前記移動の開始位置および終了位置の2点において前記距離計算手順で計算した対象間距離と、前記2点の対象間距離に基づいて前記面内目盛計算手順で計算した面内目盛幅とに基づいて、前記撮像画像中の奥行き方向の前記対象物の大きさの指標となる奥行き目盛の目盛幅である奥行き目盛幅を計算する奥行き目盛計算手順を有し、
前記生成手順では、前記面内目盛に加え、前記奥行き目盛幅と前記移動量に基づいた奥行き目盛も前記目盛として生成することを特徴とする画像表示プログラムが記録された記録媒体。
【請求項17】
請求項16に記載の画像表示プログラムが記録された記録媒体であって、
前記撮像装置は、前記使用者からの操作を受け付ける操作部を有するものとし、
前記移動量計算手順では、前記所定の間隔の代わりに、前記操作部にて前記移動の開始を指示する操作が受け付けられてから、前記移動の終了を指示する操作が受け付けられるまでの間の前記受光部の移動量を計算することを特徴とする画像表示プログラムが記録された記録媒体。
【請求項18】
請求項16または請求項17に記載の画像表示プログラムが記録された記録媒体であって、前記画像表示プログラムは、
前記レーザ光の照射により前記対象物上に生じたスペックルパターンを、前記レーザ光成分に基づいてスペックル像として結像する結像光学手順と、
前記スペックル像をスペックル画像として繰り返し撮像するスペックル像撮像手順を有し、
前記移動量計算手順は、
前記スペックル像撮像手順により撮像された連続するスペックル画像間の変位量をベクトルとして計算する画像間変位計算手順と
前記移動の間の前記変位量を累計することで前記移動量を計算する変位累計手順を有することを特徴とする画像表示プログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−69965(P2011−69965A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220565(P2009−220565)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度文部科学省「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成「光医療産業バレー」拠点創出」(委託業務)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(307029319)エーテック株式会社 (6)
【Fターム(参考)】