説明

撮像装置、部品実装機

【課題】 大型の部品の撮像にも対応する長い1次元の撮像装置を用いて小型の部品を撮像する場合でも、短い処理時間を実現しつつ、光学系の中心付近で撮像を行うことができる撮像装置の提供
【解決手段】 受光した光量に対応して電荷を発生させる複数の受光素子が一列に並んだ受光素子アレイ121と、前記各受光素子が発生させた電荷をそれぞれ受け取り、受け取った電荷を出力部に出力するシフトレジスタ122と、前記各受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許否するシフトゲート123と、前記受光素子アレイ121と撮像対象物Pとの間に配置される光学系125と、前記受光素子アレイ121の両端部を遮光する二枚の遮光板131と、当該二枚の遮光板を前記受光素子アレイの長さ方向に駆動し遮光範囲を連続的に可変とする駆動手段とを備えた遮光装置130とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象物を1次元的に撮像する撮像装置、及び、この撮像装置を備えた部品実装機などに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板やリードフレームなどの装着対象物に電子部品などを実装する部品実装機では、電子部品を供給するパーツフィーダなどの部品供給部から装着ヘッドが電子部品を保持し、装着対象物の上方まで搬送した後、装着対象物に装着する工程が繰り返し行われている。
【0003】
また、装着ヘッドの保持する電子部品は、装着対象物に装着する前に撮像装置を用いて撮像される。そして、装着精度向上のため、部品実装機は、装着ヘッドが電子部品を保持すべき理想の保持位置に対する電子部品の位置ずれを前記撮像された画像により求め、当該位置ずれに基づき装着ヘッドの移動位置を補正した後、対象物に電子部品を装着している。
【0004】
ここで、この撮像装置としては、画像を2次元的に一度に読取るものと、電子部品を一定方向(副走査方向)に移動させつつ、この移動方向と直交する主走査方向に1次元の画像を取得する装置を配置して電子部品を撮像し、取得した1次元の画像を副走査方向に順次蓄積して電子部品全体の2次元画像を取得するものとの2つがあるが、本発明では後者を対象とする。
【0005】
次に従来技術の問題点に言及するに先立ち、前記1次元の画像を取得する1次元CCDカメラの動作原理について説明する。
【0006】
図10は1次元CCDカメラの動作説明図である。
図10に示す、1次元CCDカメラ1は、受光した光の強さに応じた電荷を発生させる受光素子が一列に並設された受光素子アレイ2と、各受光素子に一対一に対応する要素を備え、前記各受光素子2の電荷が一対一で転送されるシフトレジスタ3と、受光素子アレイ2からシフトレジスタ3への転送を許否するシフトゲート4とを備えている。
【0007】
前記1次元CCDカメラは、次のようにして1次元の像を取得する。すなわち、受光素子アレイ2の各受光素子は、光学系により結像した像に従い電荷を発生させる。そして一定時間経過後シフトゲート4に転送指令信号が入力されると、各受光素子の電荷がシフトレジスタ3の対応する要素に一度に転送される。そして、シフトレジスタ3に転送された電荷はクロック信号に同期して出力部5から1個ずつ電荷が出力され、この1個の電荷が画像信号の画素データとして処理される。
【0008】
具体的には、受光素子アレイ2の各受光素子の電荷がA1,A2,・・・,An-1,Anであるとき、シフトゲート4に転送指令信号を入力すると、各電荷A1,A2,・・・,An-1,Anが一度にシフトレジスタ3に転送される。その後、最初のクロック信号に対応してA1が出力されると共に、シフトレジスタ3内の信号が1個右にシフトする。続いて、クロック信号に同期して電荷A2,・・・,An-1,Anが順次出力され、全受光素子に対応する電荷が出力されれば1次元の画像を取得できる。
【0009】
ところで近年、部品実装機は、サイズの大きい電子部品からサイズの小さい電子部品まで一台の装置で実装する多機能機と称される装置が出現している。従って、このような装置に設けられる1次元CCDカメラ1は、最大の電子部品が撮像できるように多くの受光素子数を備えた長い受光素子アレイ2やこれに対応したシフトレジスタ3などを備える必要がある。
【0010】
しかし、このような長い1次元CCDカメラ1では、小さな部品を撮像する場合でも、全受光素子が電荷を発生させ、全ての電荷が電送され出力される。従って、この電荷を画像信号として処理する場合、小さな電子部品では電子部品の像とは無関係な画素が多数発生し、無駄な画像処理をしなければならないという問題がある。
【0011】
従来、前記問題を解決する発明として、図11に示すように、長い1次元CCDカメラ1で小さな電子部品Pを撮像する場合、1次元CCDカメラ1の片側を遮光板6でマスキングし、必要な部分のみで小さな電子部品Pを撮像することで、電子部品Pの大きさに応じた時間で撮像処理が行えるという発明が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−214128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、従来の方法では、1次元CCDカメラ1の片側をマスクするため、受光素子アレイ2の視野が一方に偏ることになる。従って、光学系7の中心軸と受光素子アレイ2の視野の中心とがずれてしまう。このような状態で電子部品Pを撮像すると光学系7の収差のために画像がひずんで正確な画像処理が行えない場合がある。
【0013】
さらに、受光素子アレイの視野の中心に電子部品Pを配置する必要があるため、電子部品Pのサイズが変わるたびに、1次元CCDカメラ1に対する電子部品Pの位置が最適になるように電子部品Pの位置制御を行う必要がある。
【0014】
そこで、本発明は、大型の部品の撮像にも対応する長い1次元の撮像装置を用いて小型の部品を撮像する場合でも、短い処理時間を実現しつつ、収差の良い部分で撮像を行うことができる撮像装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、受光した光量に対応して電荷を発生させる複数の受光素子が一列に並んだ受光素子アレイと、前記各受光素子が発生させた電荷をそれぞれ受け取り、受け取った電荷を出力部に出力するシフトレジスタと、前記各受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許否するシフトゲートと、前記受光素子アレイと撮像対象物との間に配置される光学系と、前記受光素子アレイの両端部を遮光する二枚の遮光板と、当該二枚の遮光板の少なくともいずれかを前記受光素子アレイの長さ方向に駆動し遮光範囲を連続的に可変とする駆動手段とを備えた遮光装置とを備える。
【0016】
また、前記遮光装置は、撮像対象物の大きさに対応して遮光範囲を変更するものとしても良い。
【0017】
前記撮像装置はさらに、遮光されていない範囲の前記受光素子数に応じた間隔で、前記受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許可する転送指令信号を前記シフトゲートへ出力する転送指令信号出力手段を備えることが好ましい。
【0018】
上記発明によれば、撮像対象物の大きさに応じて受光素子アレイを遮光することができ、しかも、受光素子アレイの中央部であって、光学系の中心軸近傍で対象物を撮像できるため、高速かつ収差の良い像を取得することが可能となる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る部品実装機は、部品を基板に実装する部品実装機であって、受光した光量に対応して電荷を発生させる複数の受光素子が一列に並んだ受光素子アレイと、前記各受光素子が発生させた電荷をそれぞれ受け取り、受け取った電荷を出力部に出力するシフトレジスタと、前記各受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許否するシフトゲートと、前記受光素子アレイと部品との間に配置される光学系と、前記受光素子アレイの両端部を遮光する二枚の遮光板と、当該二枚の遮光板を前記受光素子アレイの長さ方向に駆動し遮光範囲を連続的に可変とする駆動手段とを備えた遮光装置と前記受光素子アレイの長さ方向と垂直に部品を移動させる移動手段とを備える。
【0020】
前記部品実装機はさらに、遮光されていない範囲の前記受光素子数に応じた間隔で、前記受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許可する転送指令信号を前記シフトゲートへ出力する転送指令信号出力手段を備え、前記移動手段は前記前記転送指令信号に同期して部品を移動させることが好ましい。
【0021】
上記発明によれば、部品実装機において、前記撮像装置により部品の2次元画像を高速かつ収差の良い状態で取得することが可能となる。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る撮像方法は、請求項3に記載の撮像装置を対象とする撮像方法であって、前記受光素子アレイの遮光されていない範囲の受光素子数を取得する受光素子数取得ステップと、前記受光素子数取得ステップで取得した受光素子数に基づいた間隔で転送指令信号を出力する転送指令信号出力ステップと、前記シフトレジスタから出力された電荷を画像信号として蓄積する画像信号蓄積ステップとを含む。また、前記ステップをコンピュータに実行させるプログラムでも上記目的を達成できる。そして、前記と同様の作用効果を実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、大型の部品の撮像にも対応する長い1次元の撮像装置を用いて小型の部品を撮像する場合、前記撮像装置の両端をマスキングすることで、光学系の中心付近で小型の部品を配置し撮像を行うことができ、収差の良い状態でひずみの少ない画像を高速で取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置を備えた部品実装機の平面図である。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態に係る撮像装置を備えた部品実装機の内部を示す側面図である。
【0026】
図1、図2に示すように、部品実装機100は、複数の電子部品を吸着、搬送、装着するマルチ装着ヘッド101と、当該マルチ装着ヘッド101を水平面内で自由に移動させることのできるXYロボット102と、大型から小型まで複数種類の電子部品を供給する部品供給部103と、電子部品を装着する基板を搬送するためのレール104と、電子部品を装着するために基板が載置されるテーブル105と、撮像装置110とを備えている。
【0027】
マルチ装着ヘッド101は、電子部品Pを真空吸着する吸着ノズルを備えた装着ヘッドが1列に並べて設けられたものであり、マルチ装着ヘッド101の本体に対し、各装着ヘッドは独立に上昇、下降ができるものとなされている。
【0028】
また、XYロボット102は前記マルチ装着ヘッド101を水平面内で自在に移動させることができるものであり、このXYロボット102とマルチ装着ヘッド101とが電子部品を移動させる移動手段として機能する。
【0029】
図3は、撮像装置110の平面図であり、(a)は遮光板を開けた状態、(b)は遮光板を閉じた状態を示している。
【0030】
図4は、撮像装置110とマルチ装着ヘッド101と電子部品Pとの関係を示した側面図であり、(a)は遮光板を開けた状態、(b)は遮光板を閉じた状態を示している。
【0031】
図3、図4に示すように、撮像装置110は、認識ボックス111と、認識ボックス111に収納され、認識ボックス111上を通過する電子部品Pの下面を撮像する1次元CCDカメラ120と、1次元CCDカメラ120を両端から遮光する遮光装置130とを備えている。
【0032】
認識ボックス111は、内部に収納される1次元CCDカメラ120に不必要な光が入射しないように、1次元CCDカメラ120の主走査方向に延びるスリット状の窓113が設けられた遮光性を備えた箱である。また、認識ボックス111の両脇には光源112が備えられており、認識ボックス111の上方に搬送された電子部品Pの下面を明るく照らすことができるようになっている。
【0033】
遮光装置130は、認識ボックス111の上方の水平面に配置される遮光板131と、当該遮光板131を支える支持板132と、遮光板131を1次元CCDカメラ120の主走査方向に駆動する駆動機構133と、駆動機構133に駆動力を与えるモータ134とを備える第1遮光装置130aと、第1遮光装置130aと同一の構成で左右対称の第2遮光装置130bとを備えている。なお、前記駆動機構133としては、前記支持板132がボールナットとして機能し、回転自在に軸支されたボールネジに螺合している構造を例示することができる。また、前記駆動機構133とモータ134とで駆動手段を構成している。
【0034】
そして、遮光板131が受光素子アレイ121に対して対称に駆動するように、後述の遮光板駆動回路により第1遮光装置130aと第2遮光装置130bとが制御されており、モータ134を駆動することにより、図3、図4に示すように、1次元CCDカメラ120上に二枚の遮光板131を対称に出退させ、1次元CCDカメラ120をその主走査方向において両端の一部を覆って、1次元CCDカメラ120の主走査方向の有効な視野を受光素子アレイ121の中央部を中心として拡縮することができるようになっている。
【0035】
1次元CCDカメラ120は、図5に示すように、複数の受光素子が1次元的に配列された受光素子アレイ121と、受光素子アレイ121の各受光素子が発生させた電荷を1対1で受け取ることのできる素子を備えたシフトレジスタ122と、受光素子アレイ121からシフトレジスタ122への電荷の転送を制御するシフトゲート123と、シフトゲート123の信号を出力する出力部124と、光学系125とを備えている。そして1次元CCDカメラ120は、マルチ装着ヘッド101により搬送された電子部品Pの下面を下部から臨み、電子部品Pの下面の画像を取得できるものとなされている。
【0036】
同図中の光学系125は1枚のレンズとして示されているが、これは概念的に示したもので、1次元CCDカメラ120に実際に備えられる光学系とは異なる。また、遮光装置130は遮光状態を示すために受光素子アレイ121の近傍に記載されているが、これも、実際の関係を示すものではない。
【0037】
また、遮光装置としては、受光素子アレイの両端部において電荷を発生させないものであれば良いのであり、液晶シャッタ等の電子デバイスでも良い。
【0038】
図6は、本実施形態の部品実装機100の機能構成を示す図である。
同図に示すように部品実装機100は、転送指令信号出力部610と、副走査方向処理部620と、制御部630と、クロック691と、画像処理部692と、遮光板駆動回路693と、ヘッド駆動回路694と、現在位置カウンタ695とを備えている。
【0039】
転送指令信号出力部610は、シフトゲート123に転送を許可する転送指令信号を所定の間隔で出力する処理部である。また、転送指令信号出力部610は、電子部品Pの大きさに基づいて決定される主走査方向可変設定値に基づき前記所定の間隔を決定する。また、前記所定の間隔は、クロック691が発生するクロック信号を計数することにより取得している。即ち、この転送指令信号出力部610は、1次元CCDカメラ120の受光素子アレイ121からシフトゲート123へ電荷を転送するタイミングを制御するものである。
【0040】
転送指令信号出力部610は、制御部630から主走査方向可変設定値がセットされるシフトトリガカウンタプリセッタ611と、コンパレータ612が出力する転送指令信号によりリセットされると共に、クロック信号をアップカウントしてコンパレータ612に主走査方向現在値を出力するシフトトリガカウンタ613と、シフトトリガカウンタプリセッタ611が示す主走査方向可変基準値に、シフトトリガカウンタ613が示す主走査方向現在値が達したかどうか比較をし、達したらシフトゲート123に転送指令信号を出力してシフトゲート123を開くコンパレータ612とを備えている。転送指令信号は、副走査方向処理部620の画面トリガカウンタ623にも同時に出力される。
【0041】
次に副走査方向処理部620は、転送指令信号出力部610が出力する転送指令信号の回数から算出される電子部品Pの移動量と、制御部630から与えられた副走査方向可変設定値とを比較し、電子部品Pの移動量が副走査方向可変設定値となった際、画像処理部692に視野内処理完了信号を出力する副走査方向処理部である。即ち、副走査方向処理部620は、画像処理部692において処理される画像の副走査方向の長さを規定する処理部である。
【0042】
副走査方向処理部620は、コントローラ631から副走査方向可変設定値がセットされる画面トリガカウンタプリセッタ621と、コンパレータ622が出力する視野内処理完了信号によりリセットされると共に、転送指令信号をアップカウントして副走査方向現在値を出力する画面トリガカウンタ623と、画面トリガカウンタプリセッタ621が示す副走査方向可変基準値に、画面トリガカウンタ623が示す副走査方向現在値が達したかどうか比較し、達したらコントローラ631、画像処理部692及び画像トリガカウンタ623に視野内処理完了信号を出力し、画面トリガカウンタ623をリセットするコンパレータ622とを備えている。
【0043】
制御部630は、部品実装機100全体を制御する処理部である。また、上述したように電子部品Pの移動をコントロールするために、ヘッド駆動回路694を制御している。また、転送指令信号出力部610に現在ノズルに吸着されている電子部品Pのサイズに応じて、主走査方向の有効な視野の長さに相当する主走査方向可変設定値を与えると共に、これにあわせて遮光板駆動回路693に、遮光板131の先端位置を示す指示を出力し、受光素子アレイ121のうち覆うべき受光素子数をコントロールしている。
【0044】
さらに、制御部630は、マルチ装着ヘッド101が電子部品Pを所定の位置に搬送した際に副走査方向処理部620へスタート信号を出力する。
【0045】
画像処理部692は、読み取り完了信号を入力すると、読み取った画像信号を処理して処理結果を制御部630へ出力するものであるが、この画像処理部692の処理内容は、得られた画像のずれを補正するものの他、電子部品Pの有無検出、位置ずれ量検出など、任意に選択できる機能を有している。
【0046】
なお、読み取り完了信号は制御部630にも出力され、制御部630は、読み取り完了信号を受信すると、ヘッド駆動回路694に命じて次の工程に移るように、XYロボット102などを制御する。
【0047】
制御部630は、ノズルに吸着させる電子部品Pの品種、そのサイズ及びそのサイズにあわせて適切に設定された主走査方向可変設定値、副走査方向可変設定値などを記憶するメモリからなる記憶部632と、記憶部632のデータを参照して入出力を行うコントローラ631とを備えている。
【0048】
上記の機能により、部品実装機100は1次元CCDカメラ120により、電子部品Pの2次元的な画像を得ることができる。
【0049】
次に、撮像装置110の動作を説明する。
図7は、部品実装機による電子部品Pの撮像動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
図8は、1次元CCDカメラによる撮像状態を概念的に示す図である。
図9は、蓄積された画像信号を概念的に示す図である。
【0051】
まず、図7に示すように、マルチ装着ヘッド101が保持する電子部品Pの形状を、部品ライブラリ等から取得し、主走査方向可変設定値、副走査方向可変設定値を算出する。具体的には、電子部品Pのサイズよりも主走査方向、副走査方向共にやや長い設定値が算出される(S801)。
【0052】
次に、XYロボット102によりマルチ装着ヘッド101に保持された電子部品Pが読み取り装置110の近傍に搬送される(S802)。より詳細には、1次元CCDカメラ120の主走査方向の中央部に電子部品Pが配置されると共に、電子部品Pの端部が1次元CCDカメラ120の近傍の所定位置に配置される。
【0053】
次に、主走査方向可変設定値に基づき、遮光板駆動回路693が遮光装置130を制御して1次元CCDカメラ120の両端を遮光する(S803)。
【0054】
なお、前記搬送(S802)と遮光(S803)は前後しても良く、また、同時に動作しても良い。また、前記遮光する範囲は、両端で均等となることが好ましい。光学系の中心軸が受光素子アレイ121の中央を通っているためである。
【0055】
次に、撮像装置110により、撮像が以下のように行われる。
まず、副走査方向の最初の領域が1次元CCDカメラ120により撮像される。すなわち、図8(a)に示すように、1次元CCDカメラ120の視野に入射する光量に基づき、受光素子アレイ121が電荷を発生させる(S804)。
【0056】
なお、受光素子アレイ121の中央部分では電荷が発生するが(図8中A、B、C、D、E)、受光素子アレイ121の両端は遮光板(図示せず)で遮光されているため電荷の発生はない(図8中斜線)。
【0057】
次に、転送指令信号出力部610から送信される転送指令信号をシフトゲート123が受信し、受光素子アレイ121からシフトレジスタ122へ電荷が転送される(図8中1)(S805)。
【0058】
ここで、初期状態のシフトレジスタ122には電荷の蓄積はないため(図8中0)、受光素子アレイ121の電荷の状態がそのまま転送される。
【0059】
次に、クロック691から発信されるクロック信号に同期してシフトレジスタ122に蓄積されている電荷が出力部124から1個ずつ画像信号700として出力される(図8中1’)(S806)。
【0060】
ここで、前記出力される画像信号の個数は、受光した受光素子の数(図8中では5個)だけ画像信号として出力される。従って、1回の転送指令信号に基づき得られる画像信号700は、受光素子アレイ121が取得した全電荷の一部である。
【0061】
なお、この出力数は主走査方向可変設定値に基づきシフトレジスタ122をシフトさせるクロック信号の数で制御される。
【0062】
次に、XYロボット102により、電子部品Pを副走査方向に所定量移動させる(S807)。
【0063】
以上に説明した、受光→転送→出力→移動(S804〜S807)の各ステップが副走査方向可変設定値が満了するまで繰り返えされ、画像信号が蓄積されていく。
【0064】
ただし、出力される画像信号は以下のようになる。
図8(b)に示すように、2回目以降の受光においても受光素子アレイ121の中央部分には次の電荷が発生し(図8中F〜J)、両端部には電荷の発生はない(S804)。
【0065】
次に、受光素子アレイ121からシフトレジスタ122へ電荷が転送されるが(図8中2)(S805)。シフトレジスタ122には前回出力されていない電荷(B〜E)が残存している(図中1’)。しかし、電荷が残存している部分に対応する受光素子アレイ121の受光素子は遮光されていて電荷の発生が無いため、電荷が転送されても残存している電荷(B〜E)はそのまま維持され、当該電荷(B〜E)に続いて受光素子アレイ121の電荷(F〜J)が蓄積される(図8中2)。
【0066】
次に、クロック691から発信されるクロック信号に同期してシフトレジスタ122に蓄積されている電荷が出力部124から1個ずつ画像信号700として出力される(図8中2’)。ここでも、出力される画像信号700の個数は前回と同じである。
【0067】
従って、ここで得られる画像信号700は、前回転送された電荷と今回転送された電荷が並んで出力されることになる。
【0068】
最後に、蓄積されたままの画像信号では、図9(a)に示すように、ずれた像しか得られないため、画像処理部692が画像のずれを図9(b)となるように補正し、正確な像を作成する(S808)。
【0069】
以上のような構成及び動作により電子部品Pを撮像すると、撮像対象の電子部品Pの大きさに応じて、1次元CCDカメラの両端が遮光され、受光している部分のみ(一部例外有り)画像信号として出力されるため、高速な撮像を実現することができる。しかも、電子部品Pの像が1次元CCDカメラの中央部であって光学系の中心軸近傍で撮像されるため、収差の良いところで撮像でき、高精度の画像を取得することができる。
【0070】
なお、本実施形態では遮光板を対称に移動させたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、電子部品Pの形状などによって非対称に移動させてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、1次元CCDカメラを備える撮像装置に適用でき、特に部品実装機に備えられる撮像装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置を備えた部品実装機の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る撮像装置を備えた部品実装機の内部を示す側面図である。
【図3】撮像装置の平面図であり、(a)は遮光板を開けた状態、(b)は遮光板を閉じた状態を示している。
【図4】撮像装置とマルチ装着ヘッドと電子部品との関係を示した側面図であり、(a)は遮光板を開けた状態、(b)は遮光板を閉じた状態を示している。
【図5】1次元CCDカメラを概念的に示し、マルチ装着ヘッドと電子部品との関係を示した側面図である。
【図6】本実施形態の部品実装機の機能構成を示す図である。
【図7】部品実装機による電子部品の撮像動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】1次元CCDカメラによる撮像状態を概念的に示す図である。
【図9】蓄積された画像信号を概念的に示す図である。
【図10】1次元CCDカメラを概念的に示す図である。
【図11】従来の画像撮像装置を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 1次元CCDカメラ
2 受光素子アレイ
3 シフトレジスタ
4 シフトゲート
5 出力部
6 遮光板
7 光学系
100 電子部品実装装置
101 マルチ装着ヘッド
102 XYロボット
103 部品供給部
104 レール
105 テーブル
110 撮像装置
111 認識ボックス
112 光源
113 窓
120 1次元CCDカメラ
121 受光素子アレイ
122 シフトレジスタ
123 シフトゲート
124 出力部
125 光学系
130 遮光装置
131 遮光板
132 支持板
133 駆動機構
134 モータ
610 主走査方向処理部
611 シフトトリガカウンタプリセッタ
612 コンパレータ
613 シフトトリガカウンタ
620 副走査方向処理部
630 制御部
691 クロック
692 画像処理部
693 遮光板駆動回路
694 ヘッド駆動回路
695 現在位置カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光量に対応して電荷を発生させる複数の受光素子が一列に並んだ受光素子アレイと、
前記各受光素子が発生させた電荷をそれぞれ受け取り、受け取った電荷を出力部に出力するシフトレジスタと、
前記各受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許否するシフトゲートと、
前記受光素子アレイと撮像対象物との間に配置される光学系と、
前記受光素子アレイの両端部を遮光する二枚の遮光板と、当該二枚の遮光板の少なくともいずれかを前記受光素子アレイの長さ方向に駆動し遮光範囲を連続的に可変とする駆動手段とを備えた遮光装置と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記遮光装置は、撮像対象物の大きさに対応して遮光範囲を変更する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置はさらに、
遮光されていない範囲の前記受光素子数に応じた間隔で、前記受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許可する転送指令信号を前記シフトゲートへ出力する転送指令信号出力手段を備える請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
部品を基板に実装する部品実装機であって、
受光した光量に対応して電荷を発生させる複数の受光素子が一列に並んだ受光素子アレイと、
前記各受光素子が発生させた電荷をそれぞれ受け取り、受け取った電荷を出力部に出力するシフトレジスタと、
前記各受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許否するシフトゲートと、
前記受光素子アレイと部品との間に配置される光学系と、
前記受光素子アレイの両端部を遮光する二枚の遮光板と、当該二枚の遮光板を前記受光素子アレイの長さ方向に駆動し遮光範囲を連続的に可変とする駆動手段とを備えた遮光装置と
前記受光素子アレイの長さ方向と垂直に部品を移動させる移動手段と
を備えることを特徴とする部品実装機。
【請求項5】
前記部品実装機はさらに、
遮光されていない範囲の前記受光素子数に応じた間隔で、前記受光素子が発生させた電荷を前記シフトレジスタへ転送するのを許可する転送指令信号を前記シフトゲートへ出力する転送指令信号出力手段を備え、
前記移動手段は前記前記転送指令信号に同期して部品を移動させる請求項4に記載の部品実装機。
【請求項6】
請求項3に記載の撮像装置を対象とする撮像方法であって、
前記受光素子アレイの遮光されていない範囲の受光素子数を取得する受光素子数取得ステップと、
前記受光素子数取得ステップで取得した受光素子数に基づいた間隔で転送指令信号を出力する転送指令信号出力ステップと、
前記シフトレジスタから出力された電荷を画像信号として蓄積する画像信号蓄積ステップと
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
請求項3に記載の撮像装置を対象とする撮像プログラムであって、
前記受光素子アレイの遮光されていない範囲の受光素子数を取得する受光素子数取得ステップと、
前記受光素子数取得ステップで取得した受光素子数に基づいた間隔で転送指令信号を出力する転送指令信号出力ステップと、
前記シフトレジスタから出力された電荷を画像信号として蓄積する画像信号蓄積ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする撮像プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−79635(P2007−79635A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262860(P2005−262860)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】