説明

校正ゲージ、それを用いた変位測定装置及びその校正方法

【課題】迷光による校正への影響を軽減できる校正ゲージを提供する。
【解決手段】被測定物へ斜めに光を出射し、該記被測定物の測定点からの反射光を受光することにより変位を測定する変位測定装置100の高さ方向の校正を行うための校正ゲージであって、コーティングされた平面を頂面6aとし既知の高さhを有する支柱6bで構成され、少なくとも頂面6aの一角は鋭角な形状、かつ頂面6aと支柱6bの側面とは直交する形状にされた測定ゲージ部6を備え、この測定ゲージ部6の頂面6aの一角が光が出射してくる方向に向けて配置されて前記校正に用いられる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に光を照射し、反射してくる光を受けて三角測量を行う光変位センサーを有し、その光変位センサーで、光の反射点における対象物の表面の変位を測定する変位測定装置、対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置、及びそれらの高さの精度を校正するのに用いられる校正ゲージに関する。特に、測定時の迷光を防止して精度校正できる校正ゲージ及びそれを用いて校正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図4を基に、上記説明した光変位センサーを使用した変位測定装置(3次元形状測定装置)の校正について説明する。三角測量による光変位センサー11におけるLDを含む投光部11aが斜めから被測定物1(校正時はプレート3)に投光し、被測定物1からの反射光を受光素子PSDを含む受光部11bで受光し、受光データを測定手段12へ送る。制御部14は、予め被測定物1の表面を走査して測定するために必要な、被測定物の表面に係るレイアウト情報を有し、そのレイアウトに基づいて、主走査範囲とその回数、主走査方向に直交する方向への副走査範囲とその回数を決定し、走査機構15に対して指示するとともに、走査開始を指示する。一方、走査しているときの位置の情報、つまり測定点の位置情報を出力している。
【0003】
走査機構15は、制御手段14の指示にしたがって、光変位センサー11と被測定物1(或いは被測定物1を固定して搭載する基台2)を相対的に主走査方向に移動させ、及び副走査方向に移動させる駆動機構及び手段を備える。例えば、それらの手段は、光変位センサー4を主走査方向に直線的に移動させ、1つの主走査が終わると主走査方向と直交方向に被測定物を移動させることにより、光変位センサー11による測定点を、相対的に走査する。
【0004】
測定手段12は、演算部12a及び校正手段12bを備えている。演算手段12aは、受光部11bの受光素子PSDの一方の出力Aと他方の出力Bとを基に、変位情報としての出力L=(A−B)/(A+B)を演算して出力する。出力Lは、予め校正手段12bが保有する校正情報によって校正されて出力される。ここまで、つまり測定手段12が被測定物1の位置(制御手段が知っている。)における変位を出力するまでが変位測定装置として機能する。
【0005】
3次元画像処理手段13は、演算手段12aの出力と制御部6の位置情報を基に、被測定物の表面形状を3次元画像として再現するためのものである。主走査方向、副走査方向及び変位方向を3次元とする画像を演算して出力する。
【0006】
図4に用いられる光変位センサー11の詳細例を図5に示す。投光部11aにおけるLD21(レーザダイオード)から出力されるレーザビームを回転ミラー型または振動ミラー型等の偏向部22によって偏向し、この偏向した光をレンズ23によって、同一平面上の所定範囲(例えば30mm)内を光軸が平行に移動する光ビームに変換して、基台2上の被測定物1の表面1aに対して所定斜め角度から出射する。走査機構15からの指示で偏光部22が表面1a上の光ビームの照射点Sを直線的に走査(主走査)する。この照射点からの反射光を受ける受光部11bは、レンズアレイ25、結像レンズ26および受光素子27によって構成されている。
【0007】
レンズアレイ25は、等しい焦点距離f1(例えば20mm)を有する複数(例えば5個)の集光レンズ部25a〜25eが一列に並ぶように合成樹脂あるいはガラスで一体成形されている。各集光レンズ部25a〜25eは、投光部11aから出射される光ビームの走査幅寸法(30mm)内に複数個並ぶように、少なくともその並び方向に沿った幅が走査幅より短い(例えば6mm)略矩形状の外形を有し、光軸に直交する一方の面が球面状に形成された球面集束型のものであり、それぞれの光軸が平行で且つその光軸に直交する線上に連続して一列に並ぶように側面同士を密着させた状態で一体化されている。レンズアレイ25は、各集光レンズ部25a〜25eの光軸が測定対象物1の表面1a上を走査される照射点に交わる向きで、その照射点までの距離が焦点距離f1とほぼ等しくなる位置に配置されている。なお、ここで球面集束型のレンズは、光をその光軸の周りに均等にしぼり込むことができるレンズである。このため、照射点の高さ方向の変位量が焦点距離f1に比べて格段に小さい場合、各集光レンズ部25a〜25eは、照射点からの光をほぼ平行に集束して結像レンズ26へ出射する。
【0008】
結像レンズ26は、投光部から出射される光ビームの走査幅寸法(30mm)より大きい径を有し、光軸と直交する一方の面が球面状に形成され、焦点距離f2が例えば80mmの球面集束型のレンズで形成されており、レンズアレイ25からの光ビームを集束して、受光素子27の受光面27aに照射点の像を結像させる。結像レンズ26は、その光軸がレンズアレイ25の中央の集光レンズ部25cの光軸と一致するように配置されている。
【0009】
受光素子27は、PSDで構成し、受光面27aに照射された光の位置のうち、受光面27aの縦方向に沿った位置に対応する信号を出力するように構成されている。受光面27aの横幅は、レンズアレイ25の各集光レンズ部25a〜25eの幅に各集光レンズ部と結像レンズ26の焦点距離の比f2/f1(倍率)を乗じた大きさ(例えば集光レンズ部の幅が前記したように6mmで倍率が4のとき24mm)に予め設定されており、受光素子27は、その受光面27aの中心が、結像レンズ26からその焦点距離f2離れた位置で結像レンズ26の光軸に交わり、且つ、測定対象物1の表面1aの高さ方向の変位にともなって移動する結像点が受光面27a上で縦方向に移動する向きで配置されている。
なお、投光部11aからの光ビームの光軸と受光部11bのレンズアレイ25の光軸とは、受光量を確保するために、基準面2の法線をはさんで等しい角度、即ち正反射の向きと、図示されていないがその他の角度で反射する乱反射の向きとなるように予め設定されている。
【0010】
従来、図4及び図5のような変位測定装置(3次元測定装置)では、基準ターゲット(試料)に光ビームを投光し、その反射光を測定して高さ方向を校正していた(特許文献1を参照)。
【0011】
特許文献1の技術は、正反射受光部及び乱反射受光部を備えて、被測定物からの正反射光及び乱反射光のいずれも利用して変位測定が行われていた。そのため、正反射受光部及び乱反射受光部のいずれについても、校正可能にするため、基準ターゲットとしての面が、鏡面に仕上げられた乱反射膜を有していた。そして、変位は、ステージを移動させることで求められ、変位の校正は、正反射受光部及び乱反射受光部に対して、同時に行うことができる。しかしながら、その校正値が正しいかどうか確かめるのが困難であった。
【0012】
そこで、校正値が正しいかどうかを確かめるためには、実際に、既知寸法の形状についての変位を求め、その変位により面積或いは、体積を求めてみれば良いという発想に至った。そして、寸法が既知の頂面を有する立体形状を有する校正ゲージを考えた。その校正ゲージの様子を模式的に示したのが図6である。図6(A)は、基準ターゲット30を上から見た図で、円形の支柱30bの頂面30aと光路を示し、図6(B)は、その支柱30bの側面と光路を示す図である。
【0013】
校正は、図6の(A)の頂面30aの面積の範囲における高さを測定して、それらの平均を求めてみた。ところが、光ビームには有限な幅があるため、図6(A)(B)のような円柱の立体形状の頂面30aの角部では、所望の照射点(校正対象とする反射光が得られる点)以外の一部の光が迷光として、つまりノイズとして図5の受光部11bで受けてしまうため、頂面30aの面積の範囲に誤差がでて、結果として、校正に誤差が出やすかった。
【0014】
【特許文献1】特許第3751605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、迷光、つまり所望の照射点以外からの反射光によるノイズによる校正への影響を軽減できる校正ゲージを提供することである。さらには、その校正ゲージを使用することで、校正精度を上げられる変位測定装置、方法及び3次元形状測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被測定物へ斜めに光を出射し、該被測定物の測定点からの反射光を受光することにより変位を測定する変位測定装置(100)の高さ方向の校正を行うための校正ゲージであって、
乱反射膜でコーティングされた平面を頂面(6a)とし既知の高さを有する支柱(6b)で構成され、少なくとも前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状にされた測定ゲージ部(6)を備え、前記測定ゲージ部の前記頂面の一角が前記光が出射してくる方向に向けて配置されて前記校正に用いられる構成とした。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の校正ゲージは、金属のプレート(3)を有し、該プレート上に前記測定ゲージ部を備え、該測定ゲージ部の前記頂面の前記乱反射膜は粉体塗装膜である構成とした。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の校正ゲージは 前記粉体塗膜は厚さ10〜20μmであることを特徴とする請求項2に記載の校正ゲージ。
【0019】
請求項4に記載の発明は、被測定物へ斜めに光を出射する投光部(11a)と該被測定物の測定点からの反射光を受光する受光部(11b)とを含む光変位センサー(11)と、該光変位センサーの出力を基に変位を出力する測定手段(12)とを備えた変位測定装置において、
乱反射膜でコーティングされた平面を頂面(6a)とし既知の高さを有する支柱(6b)で構成され、前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状で設けられた測定ゲージ部(6)を備え、
前記測定手段(12)は、前記被測定物に代えて前記測定ゲージ部が、その前記頂面の一角が前記光が出射してくる方向に向けて配置されたときの前記光変位センサーからの出力を基に、高さ方向の校正を行う構成とした。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記測定手段は、前記変位センサーから、前記頂面の面積に応じた変位出力を受けて、該変位出力の平均値を基に、前記高さ方向の校正を行う構成とした。
【0021】
請求項6に記載の発明は、被測定物へ斜めに光を出射するとともに、出射方向に直交する方向に走査し、該被測定物の測定点からの反射光を前記走査の方向に配列されたレンズを介して受光する光変位センサーを備え、変位を測定する変位測定装置(100)の高さ校正方法であって、
プレート(3)と、該プレート上に表面が酸化マグネシウムでコーティングされた平面を含む校正部(4)と、該プレート上に、前記乱反射膜でコーティングされた平面を頂面とし既知の高さを有する支柱で構成され、前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状で設けられた測定ゲージ部(6)とを備えた校正ゲージを準備する段階と、
前記光変位センサーが前記校正部に光を出射しつつ走査し、前記レンズを介して反射光を受光したときの変位出力により、前記光変位センサーの走査方向の特性を校正する段階と、
前記光変位センサーが前記測定ゲージの前記頂面の一角へ相対する方向から光を出射し、かつ走査し、その反射光を受光したときの前記頂面の面積に対応する変位出力、及び前記既知の高さにより、前記高さ方向の校正を行う高さ校正段階と、を備えた。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る校正ゲージは、コーティングされた平面を頂面とし既知の高さを有する支柱で構成され、少なくとも頂面の一角が鋭角な形状に構成し、前記測定ゲージ部の前記頂面の一角が前記光が出射してくる方向に向けて配置されて構成に用いられることから、受光部へ入る迷光を軽減できるので、高さ方向をより正確に測定できる。そして、その校正ゲージで校正して、変位を測定することにより、測定精度の良い変位測定装置を構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明に係る校正ゲージの構造を示す図である。図2は、測定ゲージ部と迷光の関係を説明するための図である。
図3は、高さ校正を説明するための図である。図4は、本発明及び従来技術の全体構成を示す図である。図5は、図4の光変位センサーの構造を示す図である。図6は、従来の基準ターゲットと迷光の関係を示す図である。
【0024】
図1の校正ゲージについて説明する。図1の横方向が、図5における光ビームの主走査方向、或いは図5のレンズアレイ25の並ぶ方向である。図1は、校正ゲージの上から見た図である。以下の説明では、図1の校正ゲージ(プレート3)が、図4の被測定物に代わって配置され、変位測定装置100で高さ方向を校正する場合を例として説明することがある。
【0025】
図1のプレート3は校正ゲージの基板であり、金属、例えばアルミニウム等で構成される。斜め両端の認識マーク3aは、このプレート内の各位置(座標位置)の基準となるマークである。つまり、図4の測定手段12は、光変位センサー11が、センシングした認識マーク3aの位置を測定する各部の位置座標の基準とする。
【0026】
校正部4は、プレート3上の横方向に所定長さの乱反射膜がコーティングされた校正面4aを有する。これは、図4のレンズアレイ25の各レンズ25a〜25eの特性(オフセット或いは感度等)の経年変化を校正するためのものであり、横方向の長さは、少なくともレンズアレイ25を通過する光ビーム(一主走査の光ビーム)を受光できる範囲にされている。
つまり、図4の測定手段12は、光変位センサー11が測定位置を校正面4aにおいて一主走査したときに出力する出力A及び出力Bを基に、各レンズ25a〜25eを通過したときの各特性のバラツキを求めて補正する(演算手段12a)ことによって、一律同じ特性になるよう校正する。つまり、特性の差がゼロになるように校正される。
【0027】
図1にはゲージブロック5が3個、主走査方向に配列され、各ゲージブロック5内には、複数の測定ゲージ部6が備えられている。測定ゲージ部6は、プレート3から頂面6aまでの高さhは、校正に用いられる値であって既知である。頂面6aは、菱形であってその先鋭な角部が、投光部11aへ向けて(つまり、投光方向と逆方向を向いて)配置され、使用される。頂面6aとその支柱6bとは直交している。
【0028】
なお、校正面4aは、乱反射膜は厚さ10〜20μmの粉体塗膜でコーティングされている。粉体塗膜としては、例えば、酸化マグネシウムが用いられる。
【0029】
図2(A)は、頂面6aを上から見た図であり、図2(B)はその横から、つまり支柱6bの横から見た図である(但し、図2(A)(B)は、図1を90度右に倒した方向から見た図である。)。これらに示すように、有限な幅の光ビームを投光部11aから測定ゲージ部6の先鋭な角部に照射したとき、その中心の光ビームを正反射する反射光として受光部11bが受光したとき、有限な幅にある他の光ビームの大半は、角部の側面で側面反射する。したがって、迷光として受光部11bに入射ビームを防止できる。
【0030】
この迷光は、測定手段12の演算部12aが光変位センサー11からの頂部6aの面積分の変位出力を受けて、その平均の高さに相当する出力Lを求めるにあたって、面積の方の誤差になって、結果として平均の高さに誤差が出てくる。本発明によれば、この迷光を軽減できるので、誤差が軽減でき、より精度の良い校正が可能になる。
【0031】
頂面6aの投光部11a側に対向する角部は、鋭角な形状とされている。鋭角とは、投光される光ビームの幅に対して角張っていることを意味し、120度以下の角度であれば効果が出てくる。ただ、90度以下でより鋭いほど有効である。図2(A)で言えば、頂面6aの中心線を境として投光部11a側の右半分は、より鋭角、より細くすることが良い。ただし、頂面6aの面積の測定精度が充分確保できる範囲にする必要がある。中心線の左半分の形状は、図2(A)のように左右対称の菱形でも良いし、半円で、その他の形状でも良い。
【0032】
なお、頂面6aも、校正面4aと同様に、乱反射膜は厚さ10〜20μmの粉体塗膜でコーティングされている。乱反射膜、つまり粉体塗膜の厚さ10〜20μmとしたが、製造上の制限がなければ20μmを越えた厚さであっても良い。
【0033】
頂面6aの面積は、面積を求めたときに、誤差に対して充分な大きさ、とし、高さhは、光ビームの有限な幅より充分大きい寸法であって、被測定物1で頻度が多く予想される高さとすることが、好ましい。一例として、頂面6a形状が一辺が3mmの菱形、高さhが100μmで作成した。
【0034】
図1の測定ゲージ部6は、ここではいずれも同一形状で精密に作られる(変化のあるものを作っても良い。)。複数のゲージブロック5及び同一ゲージブロック内の複数の測定ゲージ部6は、ユーザ側の使い道に多様性をもたすために作ってある。例えば、3つのゲージブロック5の内1つのブロック内の測定ゲージ部6に微少なキズ等があることを知らないで測定しても、三つの測定ゲージ部6で求めた高さの平均値とすれば、キズ等の影響を軽減されて校正できる。
【0035】
次に、機番1,機番2及び機番3で特定される三つの変位測定装置100の高さ方向の測定精度が同一になるよう既知の高さhを有する測定ゲージ部6を用いて校正する方法について、説明する。
各機番1〜3のそれぞれにおいて、光変位センサー11は、制御手段14からの指示を受けた走査機構に15によって、同一の測定ゲージ部6の頂部6aの面積の範囲だけ走査される。
【0036】
機番1において、測定手段12の演算部12aが光変位センサー11からの頂部6aの面積分の変位出力を受けて、その平均の出力L1を求める。そして、図2(A)に示すように平均の出力L1を高さhと値付けした機番1の特性を求めて、その機番1の特性を校正手段12bに記憶し、校正を終えた後に、実際に被測定物1を測定したときは、校正手段12bに記憶した機番1の特性で値付けして変位出力として、3次元画像処理手段13へ送る。
【0037】
機番2,及び機番3についてもそれぞれ、同一の測定ゲージ部6について、平均の出力L2及びL3を求める。そして、図3(A)に示すように機番1〜3のそれぞれに校正された特性を持つことができる。
【0038】
また、図3(B)のように、機番1〜3のそれぞれは、同一の特性を有し、例えば機番1と同じ特性を有することとし、それぞれの光変位センサー11からの出力の縮尺を機番1を基準に機番毎に変えて校正することもできる。例えば、図3(B)の特正は、機番1と同じ特性で、機番1,2,及び3とも共用とする。そして、光変位センサー11から出力軸を機番1の場合は、縮尺係数k1=1とし、機番2の場合は縮尺係数k2=出力L1/出力L2、機番3の場合は縮尺係数k3=出力L1/出力L3とし、実際に被測定物1を測定したときは、各機番の光変位センサー11の出力に上記の縮尺係数を掛けた横軸(出力軸L)を用いた図3(B)の共用の特性により値付けすれば良い。
【0039】
本発明に係る校正ゲージを用いた変位測定装置の校正の手順(方法)を中心に説明する。
(1)予備段階
被測定物へ斜めに光を出射するとともに、出射方向に直交する方向に走査し、該被測定物の測定点からの反射光を前記走査の方向に配列されたレンズを介して受光する光変位センサー11、及び測定手段12を備え、印刷されたはんだの変位を測定する変位測定装置200を決定する。
(2)プレート3と、プレート3上に表面がはんだに似せた酸化マグネシウムでコーティングされた校正面4aを含む校正部4と、プレート3上に同じく酸化マグネシウムでコーティングされた平面を頂面6aとし既知の高さhを有する支柱6bで構成され、前記頂面6aの一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状で設けられた測定ゲージ部6とを備えた校正ゲージを測定対象として、配置する。
(3)光変位センサー11が校正面4aに光を出射しつつ走査し、レンズ25を介して反射光を受光したときの出力により、光変位センサー11の走査方向の特性を校正する。
(4)光変位センサー11が測定ゲージ部6の頂面6aの一角へ相対する方向から光を斜めに出射し、その反射光を受光したときの変位出力、及び既知の高さhにより、高さ方向の校正を行う。このとき、頂面6aの面積分の変位出力の平均値と、高さhを比較することによって校正する。
上記(1)〜(4)の校正を済ました変位測定装置は、その後は、校正された特性で測定できる。
【0040】
本発明の構成によれば、正反射を受光して測定、乱反射を受光して測定、又は「背景」の欄で説明したように正反射及び乱反射の双方を同時に受光して測定を行う場合のいずれにも、迷光、つまり所望の照射点以外からの反射光によるノイズによる校正への影響を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る校正ゲージの構造を示す図である。
【図2】図1の測定ゲージ部と迷光の関係を説明するための図である。
【図3】高さ校正を説明するための図である。
【図4】本発明及び従来技術の全体構成を示す図である。
【図5】図4の光変位センサーの構造を示す図である。
【図6】従来の基準ターゲットと迷光の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 被測定物、 2 基台、 3 プレート、3a 認識マーク、 4 校正部、
5 ゲージブロック、6 測定ゲージ部
11 光変位センサー、11a 投光部、 11b 受光部、 12 測定手段、
12a 演算手段、 12b 校正手段、 13 3次元画像処理手段、
14 制御手段、 15 走査機構、
21 LD、 22 偏向部、 23 レンズ、 25 レンズアレイ、
26 結像レンズ、 27 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物へ斜めに光を出射し、該被測定物の測定点からの反射光を受光することにより変位を測定する変位測定装置(100)の高さ方向の校正を行うための校正ゲージであって、
乱反射膜がコーティングされた平面を頂面(6a)とし既知の高さを有する支柱(6b)で構成され、少なくとも前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状にされた測定ゲージ部(6)を備え、前記測定ゲージ部の前記頂面の一角が前記光の出射方向に向けて配置されて前記校正に用いられることを特徴とする校正ゲージ。
【請求項2】
請求項1に記載の校正ゲージは、金属のプレート(3)を有し、該プレート上に前記測定ゲージ部を備え、該測定ゲージ部の前記頂面の前記乱反射膜は粉体塗膜であることを特徴とする請求項1に記載の校正ゲージ。
【請求項3】
前記粉体塗膜は厚さ10〜20μmであることを特徴とする請求項2に記載の校正ゲージ。
【請求項4】
被測定物へ斜めに光を出射する投光部(11a)と該被測定物の測定点からの反射光を受光する受光部(11b)とを含む光変位センサー(11)と、該光変位センサーの出力を基に変位を出力する測定手段(12)とを備えた変位測定装置において、
乱反射膜がコーティングされた平面を頂面(6a)とし既知の高さを有する支柱(6b)で構成され、前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状で設けられた測定ゲージ部(6)を備え、
前記測定手段(12)は、前記被測定物に代えて前記測定ゲージ部が、その前記頂面の一角が前記光が出射してくる方向に向けて配置されたときの前記光変位センサーからの出力を基に、高さ方向の校正を行うことを特徴とする変位測定装置。
【請求項5】
前記測定手段は、前記変位センサーから、前記頂面の面積に応じた変位出力を受けて、該変位出力の平均値を基に、前記高さ方向の校正を行うことを特徴とする請求項4に記載の変位測定装置。
【請求項6】
被測定物へ斜めに光を出射するとともに、出射方向に直交する方向に走査し、該被測定物の測定点からの反射光を前記走査の方向に配列されたレンズを介して受光する光変位センサーを備え、変位を測定する変位測定装置(100)の高さ校正方法であって、
プレート(3)と、該プレート上に表面が酸化マグネシュームでコーティングされた平面を含む校正部(4)と、該プレート上に、前記乱反射膜がコーティングされた平面を頂面とし既知の高さを有する支柱で構成され、前記頂面の一角は鋭角な形状、かつ頂面と支柱の側面とは直交する形状で設けられた測定ゲージ部(6)とを備えた校正ゲージを準備する段階と、
前記光変位センサーが前記校正部に光を出射しつつ走査し、前記レンズを介して反射光を受光したときの変位出力により、前記光変位センサーの走査方向の特性を校正する段階と、
前記光変位センサーが前記測定ゲージの前記頂面の一角へ相対する方向から光を出射し、かつ走査し、その反射光を受光したときの前記頂面の面積に対応する変位出力、及び前記既知の高さにより、前記高さ方向の校正を行う高さ校正段階と、と備えた変位測定装置の高さ校正方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−58268(P2008−58268A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238900(P2006−238900)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】